説明

湾曲したばね部材を製造するための方法及び装置

本発明は、湾曲したばね部材をばね鋼帯材(14)から製造するための方法であって、送りユニット(16)は、供給ロール(12)からばね鋼帯材(14)を、少なくとも3つの曲げローラ(34)及び1つの曲げ戻しローラ(36)から成る曲げ加工ユニット(32)へ送り、少なくとも1つの曲げローラ(34)及び曲げ戻しローラ(36)は曲げ加工用モータ(60,62)によって、ばね鋼帯材(14)に対して横方向に調節され、曲げ加工ユニット(32)に切断ユニット(44)を接続してあり、切断ユニットはばね鋼帯材(14)を切断工具(46,48;76,78)によって個別のばね部材に切断するようになっている形式のものに関する。本発明に基づき、切断工具(46,48;76,78)はばね鋼帯材(14)の長手方向に数値制御によって走行可能にしてあり、かつ切断過程中にばね鋼帯材(14)の送り運動と同期させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲したばね部材をばね鋼帯材から製造するための方法であって、送りユニットは、供給ロールからばね鋼帯材を、少なくとも3つの曲げローラ及び1つの曲げ戻しローラによって形成された曲げ加工ユニットへ送るようになっており、前記少なくとも1つの曲げローラ及び前記曲げ戻しローラは曲げ加工用モータによって、ばね鋼帯材に対して横方向に、例えばほぼ垂直に調節されるようになっており、前記曲げ加工ユニットに切断ユニットを接続してあり、つまり前記曲げ加工ユニットの下流側に切断ユニットを設けてあり、該切断ユニットは前記ばね鋼帯材を切断工具によって個別のばね部材に切断(分離)するようになっている形式のものに関し、さらに、ばね鋼帯材から湾曲したばね部材を製造するための装置であって、供給ロール(供給巻体)、曲げ加工ユニット及び切断ユニットを備えており、前記切断ユニットが上側の切断工具及び下側の切断工具を有しており、該切断工具間を前記ばね鋼帯材が通して案内されるようになっている形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19816609A1号明細書には、車両用の扁平ビーム形ワイパーの製造のための方法及び装置を開示してあり、この場合に前記扁平ビーム形ワイパーは湾曲されたばね部材(湾曲形状のばねエレメント)、いわゆる扁平ビーム(フラットビーム)を含んでいる。ばね部材、つまり扁平ビームはワイパーブレードの支持部材(支持エレメント)を成すものであり、有利には長さにわたって変化した厚さを有している。ばね部材は、熱処理され若しくは焼き入れされたばね鋼帯材(ばね鋼ストリップ)から製造されるようになっており、ばね鋼帯材は、対を成して配置された2つの供給ロール(供給巻体)から、連続的な送りで案内ローラを介して曲げ加工ユニットへ供給されるようになっている。曲げ加工ユニットは切断ユニット(分離ユニット)を含んでおり、該切断ユニットによって、ばね鋼帯材は曲げ加工の後に個別の支持部材(ばね部材若しくはばね鋼帯材片)に切断される。切断過程中には、連続的な送りは一時的に中断される。
【0003】
曲げ加工ユニットにおいて、ばね鋼帯材は3つの支持部によって1つの方向に曲げられ、次いで後続の支持部によって、前記1つの方向への曲げよりも少ないパーセントで曲げ戻され、つまり別の方向に曲げられる。湾曲された支持部材の形状安定性を保証するために必要な曲げ戻し率は、経験的に決定される。ばね鋼帯材の品質に依存して曲げ戻し率は、平均値として、前に行われた曲げの約10%乃至40%である。曲げ加工ユニットの、供給方向で見て始めの2つの支持部分は、曲げローラによって形成されているのに対して、3つ目の支持部分は切れ刃(受け部)によって形成されており、切れ刃は切断ナイフ(切れ刃工具若しくは剪断工具)と協働して、ばね鋼帯材から、曲げ加工済みの支持部材を切断するようになっている。曲げローラは調節モータによってばね鋼帯材に向けて、若しくはばね鋼帯材から離れる方向に調節(移動)されるようになっている。曲げローラの位置に応じて、ばね鋼帯材の所定の曲げを生ぜしめるようになっている。調節モータは電子式の制御ユニットによって種々の調節値に依存してプログラムに基づき作動される。
【0004】
さらにドイツ連邦共和国特許出願公開第10115047A1号明細書に、湾曲されたばね鋼帯材片の製造のための方法及び装置を記載してある。該装置は、送りユニットを有しており、送りユニットは供給ロールからばね鋼帯材を曲げ加工ユニットへ送るようになっている。送りユニットと曲げ加工ユニットとの間に矯正装置を設けてある。曲げ加工ユニットは3つの曲げローラ及び1つの曲げ戻しローラを含んでおり、この場合に1つの曲げローラと曲げ戻しローラとは調節装置を介してばね鋼帯材に対して横方向に、例えばほぼ垂直に調節されるようになっている。ばね鋼帯材の供給方向で曲げ加工ユニットに続けて切断ユニットを配置してあり、切断ユニットは、数値制御式の制御ユニットに接続されていて、ばね鋼帯材から個別のばね鋼帯材片を切り取るようになっている。ばね鋼帯材の送り(供給)は切断工程中には一時的に停止される。
【0005】
本発明により、ばね鋼帯材の送りは中断されないようになっている。このことを達成するために、切断工具はばね鋼帯材の長手方向に数値制御に基づき走行(移動)させられ、かつ切断工程中にばね鋼帯材の送り運動と同期させられるようになっている。一様な送り速度により、曲げ加工ユニット内で曲げ加工を同じく一様な速度で行うことができ、このことは湾曲されたばね部材の特性に効果的である。本発明と異なり、公知の装置は、スタート・ストップ式に、特に単位時間当たりに製造される製品数の多い場合には極めて異なる速度並びに、送り及び曲げ加工の際の大きな加速度を伴って作動するようになっている。スタート・ストップ式の、つまり断続的(間欠的)な送りは、構成部品(ばね部材)に負荷を与えることになり、ひいては大きな摩耗を生ぜしめてしまうことになる。本発明における連続的な送り、つまり一様な送りによって、送りユニットの駆動モータと曲げ加工ユニットの駆動モータとの間の相互作用は改善され、その結果、ばね鋼帯材の摩耗は減少され、製造能力は高められるようになっている。さらに、従来技術においてプロセス制御のために用いられているばね鋼帯材のいわゆるトリガー穴を省略してある。トリガー穴はばね鋼帯材片の長さを異ならせ、曲げ精度を低下させるものである。
【0006】
前述の曲げ加工法を実施するための本発明に基づく装置においては、切断工具(切れ刃工具若しくは剪断工具)はばね鋼帯材の長手方向、つまり送り方向でばね鋼帯材に対して相対的に調節可能に配置されており、切断工具の調節運動は電子式の制御ユニットによって、切断工程中にばね鋼帯材の送り運動と同期させられている。この場合に切断工具は1つの実施態様では、切断ユニットと一緒にばね鋼帯材の長手方向でばね鋼帯材に対して調節されるようになっており、若しくは別の実施態様では、切断ユニットの不動(定位置)のケーシング内に配置されていて、該ケーシング内で該ケーシングに対して相対的に、かつばね鋼帯材の長手方向で該ばね鋼帯材に対して相対的に調節させられるようになっている。該別の実施態様は簡単に実施され、切断工具は正確に制御される。
【0007】
切断工具は、実施態様では上側の打抜き工具及び下側の打抜き工具によって形成されており、該打抜き工具(剪断金型)は上側の工具スライダー若しくは下側の工具スライダーに組み込まれており、この場合に前記工具スライダーはばね鋼帯材の長手方向若しくは送り方向に移動可能に切断ユニットのケーシング内のスライダー案内に案内されている。有利な実施態様では、切断工具の作動の際の質量力若しくは重力の補償のために、該切断工具に対して、質量力と逆向きに作用する補償質量を設けてある。曲げ加工ユニットと切断工具との間でのばね鋼帯材の案内のために、曲げ加工ユニットの後に、つまり曲げ加工ユニットの下流側にローラ案内部を設けてあり、該ローラ案内部のローラ(案内ローラ)は、空気力によってばね鋼帯材に対して調節されるようになっている。さらに有利には、ローラ案内部の、切断工具の領域内のいくつかの案内ローラは、ばね鋼帯材の長手方向で該案内ローラ間の相互の位置を変化させられるようになっており、これによって前記案内ローラ間の相互の間隔は、前記切断工具の運動に依存してばね鋼帯材の長手方向で増大若しくは減少させられるようになっている。ばね鋼帯材の長手方向での切断工具の調節によって、曲げ加工ユニットと切断工具との間の種々の間隔を達成できるようにしてある。曲げ加工ユニットと切断工具との間の間隔に、いくつかの案内ローラは適合され、案内ローラの過度に大きな間隔での分配は避けられるようになっている。
【0008】
種々の長さでかつ種々の曲げを実施するために、有利な実施態様では、切断工具は不動のケーシング内に配置されており、ばね鋼帯材の長手方向で移動可能若しくは調節可能な切断工具にとって、所定の基準位置(零点位置)を規定してあり、換言すれば切断工具は所定の基準位置に規定されるようになっている。種々のタイプのばね部材の製造に際して曲げ加工ユニットを切断ユニットの基準位置に合わせるために、曲げ加工ユニットをばね鋼帯材の長手方向で調節可能に形成してあり、若しくは切断ユニットをばね鋼帯材の長手方向で調節可能に形成してある。この場合に調節は、ばね部材の製造装置の準備作業若しくは装備作業に際して製造すべきばね部材のタイプに合わせて手動で行われるようになっていてよいものである。しかしながら有利な実施態様では、曲げ加工ユニットはスピンドル駆動部を介してモータによって調節される。その結果、曲げ加工ユニットの調節は自動的な準備過程によって行われるようになっている。曲げ加工ユニットだけを長手方向に調節するのではなく、有利な実施態様では、曲げ加工ユニットを送りユニット及び数値制御用の少なくとも1つの測定輪と一緒に、長手方向に調節可能な1つの構成ユニットにまとめてある。構成ユニットは、スピンドル駆動部を介してモータによって調節されるようになっており、この場合に該構成ユニットの調節過程(調節作業)は自動的な準備過程(準備作業)の一部分である。有利には数値制御用の2つの測定輪を設けてあり、該測定輪のうちの第1の測定輪はばね鋼帯材の送り方向で曲げ加工ユニットの前に、つまり上流側に配置され、かつ第2の測定輪は曲げ加工ユニットの後に、つまり下流側に配置されている。第2の測定輪は切断ユニットのケーシングに配置されていてよい。
【0009】
正確な曲げ加工を達成するために、調節可能な曲げローラ若しくは曲げ戻しローラの調節距離若しくは移動距離は、正確に規定(決定若しくは画定)されるようになっている。このために、曲げローラ若しくは曲げ戻しローラを支承する曲げローラ支持体は、スピンドルを介して曲げ加工用モータによって実質的に遊びなしに、つまり正確に調節されるようになっている。この場合に、調節距離若しくは移動距離は、電子式の制御ユニットの出力信号に依存して、曲げ加工用モータとして数値制御式のモータを用いてある場合には回転式の増分値測定発信器によって決定されるようになっている。有利な実施態様では、曲げローラ支持体の調節距離若しくは移動距離は、ソフトウエアーとして組み込まれた絶対値測定発信器によって求められるようになっていてよく、絶対値測定発信器は例えばガラススケールから成るセンサーを含んでいて、数値制御式の曲げ加工用モータにも、リニアモータによって形成された曲げ加工用モータにも適している。
【0010】
曲げ加工済みの、つまり完成したばね部材の取り出しのために、切断ユニットにエジェクター装置を接続してあり、つまり切断ユニットの下流側で該切断ユニットに続けてエジェクター装置を設けてあり、該エジェクター装置は駆動され、かつ電子式の制御ユニットによって制御されるようになっている。この場合に切り取るべきばね部材は、送り方向で切断工具を越えて所定の距離にわたって突出しており、その結果ばね部材はエジェクター装置によって容易に捉えられるようになっている。
【0011】
ばね鋼帯材は供給ロール(供給巻体若しくはストックロール)として巻き取られており、この場合に供給ロールの直径、ひいてはばね鋼帯材の巻き取り湾曲(ロールの各捲層の曲率)は、製造経過に伴って、つまりばね鋼帯材の繰り出されるに伴って変化する。
曲げ加工ユニット内においてほぼ一様な製造条件で出発する、つまり加工開始するために、曲げ加工ユニットの前に、つまり曲げ加工ユニットの上流側に前曲げ加工ユニットを設けてあり、該前曲げ加工ユニット(前処理ユニット、つまりばね鋼帯材の巻き取りに起因する曲がりを取るための加工ユニット)は、供給ロールの直径及び、例えばばね鋼帯材の厚さに依存して制御されて、ばね部材の製造中に、つまりばね鋼帯材の供給中に該ばね鋼帯材に、曲げ加工ユニット(曲げ加工ステーション)における一様な供給条件若しくは装入条件を生ぜしめるようになっている。
【0012】
ばね部材の製造にとって、例えば記号又は商標を施すための処理ユニット(若しくは加工ユニット)を追加的に設けてあり、該処理ユニットは処理過程(若しくは加工過程)を同一の製造プロセスで実施するために、有利には曲げ加工ユニットの前に配置してあり、該処理ユニットの工具は、ばね鋼帯材の長手方向に走行可能若しくは移動可能であり、かつ装置の稼働中にはばね鋼帯材の送り運動と同期させられるようになっている。これによって、従来はばね鋼帯材の送り運動の中断を条件としていた該処理ユニットは、ばね鋼帯材の送り運動を中断させることなしに、用いられるようになっている。
【0013】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。特許請求の範囲、本明細書及び図面に示してある各構成は単独に若しくは任意に組み合わせて用いられるものである。図面において、
図1は、本発明に基づく装置の概略図であり、
図2は、本発明に基づく装置の変化例の概略図である。
【0014】
本発明に基づく装置10は、送りユニット16、曲げ加工ユニット32、及び切断ユニット44を含んでいる。送りユニット16は互いに相対して位置する少なくとも2つの送りローラ18を有していて、該送りローラ間をばね鋼帯材14は通して案内されるようになっている。調節装置28によって調節されるようになっていてかつ駆動可能な送りローラ18は、供給ロール12からばね鋼帯材14を曲げ加工ユニット32に送るようになっている。曲げ加工ユニット内には3つの曲げローラ34を互いに次のように配置してあり、つまり、ばね鋼帯材14は曲げローラによって所定の曲率で曲げられるようになっている。曲げローラ34の少なくとも1つは、調節装置38によってばね鋼帯材14の長手方向52に対して横方向に、例えばほぼ垂直に調節され、その結果、曲げ曲率は変化されるようになっている。ばね鋼帯材14の送り方向72で3つの曲げローラ34の下流側に、曲げ戻しローラ36を配置してあり、該曲げ戻しローラは調節装置40によってばね鋼帯材14の長手方向52に対して横方向に調節されるようになっている。曲げ戻しローラ36によって、ばね鋼帯材14は、完成品に大きな安定性を与えるために所定の量で曲げ戻されるようになっている。ばね鋼帯材14の曲げ戻しは、3つの曲げローラ34によって行われた先行の曲げ加工に依存して行われる。
【0015】
続く切断ユニット44では、曲げ加工済みのばね部材(ばねエレメント)は、ばね鋼帯材14から上側の剪断工具46及び下側の剪断工具48によって切り取られる。剪断を容易にするために、ばね部材は案内ローラ50によって弾性的に押されてまっすぐにされる。切断工具46,48は長手方向52に走行させられ、その結果、切断工具の切れ刃はばね鋼帯材14に対して相対的に長手方向52に移動させられるようになっている。切断工具46,48の切断過程中に、切断工具46,48の長手方向運動はばね鋼帯材14の送り運動と同期させられ、その結果、正確な切断を可能にしている。切断工具46,48並びに、曲げローラ34,36及び送りローラ18の運動は、電子式の制御ユニット42によって工程パラメータに依存して互いに調整されるようになっている。切断工具46,48の作動の際の動的な切断力の補償のために、有利には切断工具46,48に対して逆向きの補償質量を設けてある。切断工具46,48の滑らかな運動は、ばね鋼帯材14の案内及び送りに有利に作用する。
【0016】
切断工具46,48は切断ユニットと一緒に長手方向52に調節(移動)され、若しくは位置不動の切断ユニット44の場合には、ケーシング54(図2)に対して相対的に調節(移動)されるようになっている。切断工具46,48の調節に相応して、案内ローラ50は相互の間隔を変化させて、案内距離にわたってほぼ均一に分配されるようになっている。
【0017】
送りユニット16と曲げ加工ユニット32との間に、前曲げ加工ユニット20を設けてあり、つまり本来の曲げ加工ユニット32の前に別の曲げ加工ユニットを配置(前置)してあり、該前曲げ加工ユニット(前置曲げ加工ユニット)20は3つの曲げローラ22を含んでおり、該曲げローラのうちの1つは調節装置30によって、ばね鋼帯材14の長手方向52に対して横方向に調節されるようになっている。調節は電子的な制御ユニット42によって供給ロール(供給巻体)12の直径24及びばね鋼帯材14の厚さ26に依存して行われる。前曲げ加工ユニット20は、直径24の異なることに起因するばね鋼帯材14の種々の曲率の湾曲を製造過程中に簡単に補償するようになっており、その結果高価な矯正装置は省略されるようになっている。
【0018】
図2に示す実施例では、送りユニット16、曲げ加工ユニット32及び数値制御用の2つの測定輪56,58は、1つの構成ユニット90にまとめられており、該構成ユニットは、切断ユニット44に対する位置を変化させるために、長手方向52に調節されるようになっている。構成ユニットの調節は手動で行われるようになっていてもよい。しかしながら構成ユニット90は有利にはモータによってスピンドル駆動部を介して調節されるようになっており、この場合に調節過程は自動的な準備過程の一部分である。数値制御用の測定輪56によって、引っ張られたばね鋼帯材14の滑りを測定し、数値制御用の測定輪58によって、押されたばね鋼帯材14の滑りを測定するようになっている。つまり、測定輪56,58は送り量を正確に検出するようになっており、この場合に第2、つまり下流側の測定輪58は第1(上流側)の測定輪56及び該両方の測定輪間の供給区域を監視している。第2の測定輪58を切断ユニット44のケーシング54の外側に取り付けることも有利である。
【0019】
曲げ加工ユニット32内で上側の曲げローラ34は、曲げローラ支持体70に支承されており、該曲げローラ支持体はスピンドル66を介して曲げ加工用モータ62によって調節されるようになっている。さらに曲げ戻しローラ36を曲げローラ支持体68に支承してあり、この場合に曲げローラ支持体68はスピンドル64を介して曲げ加工用モータ60によって調節されるようになっている。調節はほぼ遊びなく、極めて正確に行われる。
【0020】
曲げ加工ユニット32と切断ユニット44との間で、ばね鋼帯材14はローラ案内部74を通して案内されるようになっており、該ローラ案内部の案内ローラは、空気力によってばね鋼帯材14に対して調節されるようになっている。
【0021】
図2の切断ユニット44は、プレスによって形成されており、この場合に切断ユニットの上側の打抜き工具76は上側の工具スライダー80に組み付けられており、工具スライダーは切断ユニット44のケーシング54内でスライド案内84に沿って長手方向54に摺動可能に案内されている。相応に下側の打抜き工具78は、下側の工具スライダー82に組み付けられており、該工具スライダーはケーシング54内のスライダー案内86に沿って長手方向54に摺動可能に案内されている。案内ローラ50は打抜き工具76,78の領域で種々の案内区域を橋絡しなければならないので、打抜き工具76,78がどの位置にあるかに応じて、互いに離れるように若しくは接近するように互いにテレスコープ式に走行させられるようになっており、これによって打抜き工具76,78の位置に応じて案内ローラ50間の間隔を大きく若しくは小さくできるようにしてある。切断工具として機能する打抜き工具76,78は、補償質量と協働するようになっていてよい。送り方向72で装置10の終端部にエジェクター装置88を配置してあり、該エジェクター装置(突き出し装置又は排出装置)は駆動可能であり、電子式の制御ユニット42によって制御されるようになっている。エジェクター装置は曲げ加工済みのばね部材の、打抜き工具76,78を越えて位置する端部を捉えていて、ばね部材を切り取りの後に貯蔵容器内へ突き出す若しくは排出するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に基づく装置の概略図
【図2】本発明に基づく装置の変化例の概略図
【符号の説明】
【0023】
12 供給ロール、 14 ばね鋼帯材、 16 送りユニット、 18 送りローラ、 20 前曲げ加工ユニット、 24 直径、 26 厚さ、 28 調節装置、 32 曲げ加工ユニット、 36 曲げ戻しローラ、 38,40 調節装置、 42 制御ユニット、 44 切断ユニット、 46,48 切断工具、 50 案内ローラ、 52 長手方向、 54 ケーシング、 62 曲げ加工用モータ、 66 スピンドル、 72 送り方向、 76,78 打抜き工具、 80,82 工具スライダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲したばね部材をばね鋼帯材(14)から製造するための方法であって、この場合に送りユニット(16)は、供給ロール(12)からばね鋼帯材(14)を、少なくとも3つの曲げローラ(34)及び1つの曲げ戻しローラ(36)から成る曲げ加工ユニット(32)へ送るようになっており、前記少なくとも1つの曲げローラ(34)及び前記曲げ戻しローラ(36)は曲げ加工用モータ(60,62)によって、ばね鋼帯材(14)に対して横方向に調節されるようになっており、前記曲げ加工ユニット(32)に切断ユニット(44)を接続してあり、該切断ユニットは前記ばね鋼帯材(14)を切断工具(46,48;76,78)によって個別のばね部材に切断するようになっている形式のものにおいて、切断工具(46,48;76,78)をばね鋼帯材(14)の長手方向に数値制御によって走行可能にしてあり、かつ切断過程中にばね鋼帯材(14)の送り運動と同期させることを特徴とする、湾曲したばね部材を製造するための方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、供給ロール(12)、曲げ加工ユニット(32)及び切断ユニット(44)を備えており、前記切断ユニットは上側の切断工具(46)及び下側の切断工具(48)を有しており、該切断工具間をばね鋼帯材(14)は通して案内されるようになっている形式のものにおいて、切断工具(46,48;76,78)はばね鋼帯材(14)の送り運動の方向若しくは長手方向(52)で該ばね鋼帯材(14)に対して相対的に調節可能に配置されており、この場合に前記切断工具の調節運動は電子式の制御ユニット(42)によって切断過程中に前記ばね鋼帯材(14)の送り運動と同期されるようになっていることを特徴とする、湾曲したばね部材の製造のための装置。
【請求項3】
切断工具(46,48;76,78)は切断ユニット(44)と一緒にばね鋼帯材(14)の長手方向(52)で該ばね鋼帯材(14)に対して相対的に調節させられるようになっている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
切断工具(46,48;76,78)は切断ユニット(44)の不動のケーシング(54)内に配置されていて、該ケーシング内で該ケーシングに対して相対的に、かつばね鋼帯材(14)の長手方向(52)で該ばね鋼帯材(14)に対して相対的に調節させられるようになっている請求項2に記載の装置。
【請求項5】
切断工具は、上側の打抜き工具(76)及び下側の打抜き工具(78)によって形成されており、該打抜き工具は上側の工具スライダー(80)若しくは下側の工具スライダー(82)に組み付けられており、この場合に前記工具スライダー(80,82)は長手方向(52)に移動可能に切断ユニットのケーシング(54)内のスライダー案内(84,86)に案内されている請求項4に記載の装置。
【請求項6】
切断工具(46,48;76,78)の作動の際の質量力の補償のために、該切断工具に対して補償質量を設けてある請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
曲げ加工ユニット(32)の後にローラ案内部(74)を設けてあり、該ローラ案内部のローラは、空気力によってばね鋼帯材(14)に対して調節可能である請求項2から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
ローラ案内部の、切断工具(46,48;76,78)の領域内のいくつかのローラ(50)は、長手方向(52)で該ローラ間の相互の位置を変化させられるようになっており、これによって前記ローラ間の相互の間隔は、前記切断工具(46,48;76,78)の運動に依存して長手方向(52)で増大若しくは減少させられるようになっている請求項7に記載の装置。
【請求項9】
切断ユニット(44)にエジェクター装置(88)を接続してあり、該エジェクター装置は駆動され、かつ電子式の制御ユニット(42)によって制御されるようになっている請求項2から8のいずれ1項に記載の装置。
【請求項10】
曲げローラ(34)の少なくとも1つは、1つの曲げローラ支持体(70)に支承されており、曲げ戻しローラ(36)は別の1つの曲げローラ支持体(68)に支承されており、この場合に前記両方の曲げローラ支持体(68,70)は各曲げ加工用モータ(60,62)によってスピンドル(64,66)を介して調節されるようになっている請求項2から9のいずれ1項に記載の装置。
【請求項11】
曲げ加工用モータ(60,62)は数値制御式のモータによって形成されており、この場合に曲げローラ支持体(68,70)の調節距離は、制御ユニット(44)の出力信号に依存して回転式の増分値発信器によって決定されるようになっている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
曲げ加工用モータ(60,62)はリニアモータによって形成されている請求項10に記載の装置。
【請求項13】
曲げローラ支持体(68,70)の調節距離は、ソフトウエアーとして組み込まれた絶対値測定発信器によって求められるようになっている請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
絶対値測定発信器はガラススケール及びセンサーを含んでいる請求項13に記載の装置。
【請求項15】
曲げ加工ユニット(32)、送りユニット(16)及び数値制御用の少なくとも1つの測定輪(56,58)は、長手方向(52)で調節可能な1つの構成ユニット(90)にまとめられている請求項2から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
数値制御用の2つの測定輪(56,58)を設けてあり、該測定輪のうちの第1の測定輪(56)はばね鋼帯材の送り方向(72)で曲げ加工ユニット(32)の前に配置されており、かつ第2の測定輪(58)は前記曲げ加工ユニット(32)の後に配置されている請求項14に記載の装置。
【請求項17】
第2の測定輪(58)は切断ユニット(44)のケーシング(54)に配置されている請求項16に記載の装置。
【請求項18】
構成ユニット(90)は、スピンドル駆動部を介してモータによって調節されるようになっている請求項15から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
曲げ加工ユニット(32)の前に前曲げ加工ユニット(20)を設けてある請求項2から18のいずれ1項に記載の装置。
【請求項20】
曲げ加工ユニット(32)の前に、記号又は商標の記入若しくは装着のための処理ユニットを配置してあり、該処理ユニットの工具は長手方向(52)で走行可能であり、かつ稼働中には送り運動と同期させられるようになっている請求項2から19のいずれ1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−522105(P2009−522105A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547920(P2008−547920)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068603
【国際公開番号】WO2007/080023
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】