湿度センサ
【課題】煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であれ、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することのできる湿度センサを提供する。
【解決手段】湿度センサ10は、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒が多孔質フィルタに吹き付けられてコーティングされている光触媒フィルタ40を、ケース開口部11aに、該ケース開口部11aを覆う状態で備えている。また、湿度検出素子20を内部に収容するケース11は、ケース開口部11aの周縁に凹部12が形成されており、光触媒フィルタ40は、ケース11の凹部12に対応した凸部42を有する枠部材41を有している。光触媒フィルタ40は、枠部材41の凸部42がケース11の凹部12に圧入嵌合されることで、ケース11に固定されている。
【解決手段】湿度センサ10は、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒が多孔質フィルタに吹き付けられてコーティングされている光触媒フィルタ40を、ケース開口部11aに、該ケース開口部11aを覆う状態で備えている。また、湿度検出素子20を内部に収容するケース11は、ケース開口部11aの周縁に凹部12が形成されており、光触媒フィルタ40は、ケース11の凹部12に対応した凸部42を有する枠部材41を有している。光触媒フィルタ40は、枠部材41の凸部42がケース11の凹部12に圧入嵌合されることで、ケース11に固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当該湿度センサを取り巻く雰囲気の湿度を検出する湿度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の湿度センサとしては従来、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この技術も含め、従来一般に知られている技術について説明する。
【0003】
湿度センサは、そもそも、当該センサを取り巻く雰囲気(空気)の相対湿度を検出するものであり、湿度センサの検出部であるセンサ素子、正確には、雰囲気に含まれる水分を吸収することのできる感湿膜は、空気にさらされていなければならない。そのため、従来一般に知られている技術では、センサ素子を保護するためのケースに該センサ素子が収容されているとともに、このケース内外に空気を流通させるためのケース開口部が該ケースに形成されている。さらに、そうした空気に併せて塵や埃あるいは水滴等がケース内部に進入することを抑制するため、空気を通過させる一方で塵埃や水滴等を通過させない程度の大きさの孔が多数形成された多孔質フィルタがケース開口部に配設されている。
【特許文献1】特開平10−142181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした湿度センサを用いて、例えば煙草の煙などの極小の分子が多く浮遊する雰囲気の湿度を検出しようとすると、煙草の煙(煙草分子)は、上記多孔質フィルタの孔を通過し、センサ素子(感湿膜)表面に付着することがある。
【0005】
詳しくは、図10(a)及び(b)に示されるように、感湿膜には、該感湿膜上表面で開口するとともに該感湿膜内部まで達する細孔が多数存在する。通常、空気に併せてケース内部に進入しようとする塵や埃あるいは水滴等は、上記多孔質フィルタによって捕捉・排除され、空気及び該空気に含まれる水分子のみがケース内部に進入する。そして、導電性を有する水分子が、こうした感湿膜の細孔開口から内部に入り込んで該細孔内表面に付着する、あるいは感湿膜表面に付着することで、感湿膜の誘電率が変化することとなる。すなわち、空気の相対湿度(空気中に含まれる水分子の数)に応じて感湿膜の誘電率が変化することとなる。このようにして、空気の相対湿度の変化は、誘電率(静電容量)の変化に基づいて検出されている。
【0006】
しかしながら、煙草分子が浮遊する雰囲気の湿度を検出する際、煙草分子は、極小であるため、上記多孔質フィルタにて捕捉・排除されることなく、空気に含まれる水分子と併せてケース内部に進入する。そして、ケース内部に進入した煙草分子は、図10(a)に示されるように、感湿膜の細孔内に水分子よりも先に入り込み、さらには、感湿膜の細孔の開口を塞いでしまうことがある。このように感湿膜の細孔の開口部が煙草分子で塞がれてしまうと、水分子は、感湿膜の細孔内表面に付着できなくなり、感湿膜の誘電率が小さくなってしまう。そして、空気は実際には同一の湿度であっても、電気容量が小さくなることがある。
【0007】
逆に、空気に含まれる水分子と併せてケース内部に進入した煙草分子は、図10(b)に示されるように、感湿膜の細孔内に水分子よりも先に入り込み、さらには、より多くの水分子を吸着して感湿膜の細孔内表面に付着させることもある。このように感湿膜の細孔内表面により多くの水分子が付着してしまうと、感湿膜の誘電率は大きくなってしまい、空気は実際には同一の相対湿度であっても、電気容量が大きくなることもある。
【0008】
具体的には、当該湿度センサの出力と相対湿度との関係を図11に示す。同図11に示されるように、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が少ない場合、当該湿度センサは、例えば直線Aとして示すセンサ出力と相対湿度との関係をとる。一方、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が多く、感湿膜の細孔内表面への水分子吸着が煙草分子によって抑制された場合、当該湿度センサは、例えば直線Bとして示すセンサ出力と相対湿度との関係をとる。他方、雰囲気中に浮遊する煙草分子数が多く、感湿膜の細孔内表面への水分子吸着が煙草分子によって促進された場合、当該湿度センサは、例えば直線Cとして示すセンサ出力と相対湿度との関係をとる。ここで例えば、当該湿度センサのセンサ出力が「Vh」であったとすると、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が少ない場合には、相対湿度は「Rha」として検出され、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が多い場合には、相対湿度は「Rhb」あるいは「Rhc」として検出されることとなる。このように、雰囲気の相対湿度にかかる検出精度が低下することが懸念される。
【0009】
感湿膜の細孔の開口を塞ぐ、あるいは細孔内表面に煙草分子が付着することに対しては、例えば、上記多孔質フィルタに形成される多数の孔の大きさを、煙草分子を捕捉・除去することができる程度に小さくすることが考えられる。しかしながら、煙草分子の直径はおよそ「0.4nm」であって、極めて小さい。このような極小の煙草分子を捕捉・除去することのできる多孔質フィルタを使用しては、当該湿度センサ内外の空気の流通が滞り、当該センサの応答性を悪化させることが懸念される。さらには、多孔質フィルタの目詰まりが生じやすくなってしまう。
【0010】
なお、感湿膜の誘電率(静電容量)の変化に基づき雰囲気の相対湿度変化を検出する、いわゆる容量式の湿度センサについて説明したが、感湿膜のインピーダンスの変化に基づき雰囲気の相対湿度変化を検出する、いわゆる抵抗式湿度センサにおいても、上述した事態は同様に起こり得る。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であれ、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することのできる湿度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、表面で開口しつつ内部に達する複数の細孔が形成された感湿膜と、前記感湿膜の細孔内表面を含む表面に水分が吸着することによって変化する当該感湿膜の物理量を検出するための一対の電極とを有する湿度検出素子と、前記湿度検出素子を内部に収容するとともに、内外に空気を流通させるための開口部である第1ケース開口部が形成されているケースと、を備える湿度センサとして、光触媒がコーティングされている多孔質フィルタである光触媒フィルタを、前記第1ケース開口部を覆う状態で該第1ケース開口部に備えることとした。
【0013】
まず、光触媒について説明する。光(特に紫外光)が光触媒に照射されると、光触媒の表面から電子が飛び出し、電子が飛び出したことで形成された光触媒の穴は、正の電荷を帯びる正孔(ホール)となる。こうした正孔は強い酸化力を有しており、近くに存在する有機物から電子を奪う。このようにして電子が奪われることで、有機物は、該有機物を形成している分子同士の結合が切断され、最終的には、二酸化炭素や水となり、雰囲気中に発散していくことが知られている。なお、煙草分子(ニコチン等)も有機物である。
【0014】
湿度センサとしての上記構成では、煙草分子は、空気に併せて前記光触媒フィルタを通過しようとする際、正の電荷を帯びた光触媒に吸い寄せられて、分解されることとなる。すなわち、煙草分子がいくら極小であっても、該煙草分子は、光触媒フィルタによって捕捉・排除され、空気中に含まれる水分子と併せて前記ケース内部に進入することが抑制される。したがって、当該湿度センサが多数の煙草分子が浮遊する雰囲気中にあっても、課題の欄で述べたような感湿膜の特性の変化を低減することができる。その結果、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であっても、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することができるようになる。
【0015】
なお、こうした構成においては、例えば請求項2に記載の発明のように、前記多孔質フィルタに前記光触媒を吹き付けてコーティングすることで前記光触媒フィルタを構成することができる。また、そうした光触媒としては、例えば請求項3に記載の発明のように、酸化チタン(TiO2)を採用することができる。
【0016】
また、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、例えば請求項4に記載の発明では、前記ケースの前記第1ケース開口部の周縁に凹部を形成し、前記ケースの前記凹部に対応した凸部を有する枠部材を有して前記光触媒フィルタを構成するとともに、前記枠部材の前記凸部を前記ケースの前記凹部に圧入嵌合することで、前記光触媒フィルタを前記ケースに固定することとした。これにより、簡素な構成で当該湿度センサを実現することができるようになる。
【0017】
なお、請求項4に記載の構成において、例えば請求項5に記載の発明のように、前記ケースの前記凹部に接着剤を塗布し、前記枠部材の前記凸部と前記ケースの前記凹部とを、この接着剤により接着してもよい。これにより、前記枠部材と前記ケースとの結合が強められるため、これらの間に隙間が形成されにくくなる。そして、ひいては、これらの間の隙間を介して煙草分子がケース内部に進入することが低減され、より高い信頼性をもって雰囲気の相対湿度を検出することができるようになる。
【0018】
一方、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、例えば請求項6に記載の発明では、前記ケースの前記第1ケース開口部の周縁に突起を形成し、前記突起の長さよりも短い貫通孔が前記突起に対応して形成された枠部材を有して前記光触媒フィルタを構成するとともに、前記ケースの前記突起を前記枠部材の前記貫通孔を介してかしめることで前記光触媒フィルタを前記ケースに固定することとした。これによっても、前記光触媒フィルタと前記ケースとの結合を強めることができるようになる。
【0019】
こうした請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、例えば請求項7に記載の発明では、前記ケースに、内外に空気を流通させるための開口部である第2ケース開口部を形成し、前記光触媒フィルタを前記第2ケース開口部にも備えることとした。これにより、空気を流通させるための開口面積が増加するため、より高い信頼性及び高い応答性をもって雰囲気の相対湿度を検出することができるようになる。
【0020】
また、請求項1〜7のいずれかに記載の構成において、例えば請求項8に記載の発明によるように、前記ケース全面に光触媒をコーティングすれば、雰囲気中を浮遊する煙草分子をより多く分解することができるようになるため、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊する雰囲気の相対湿度を検出する際の信頼性を、よりいっそう高めることができるようになる。
【0021】
なお、例えば請求項9に記載の発明のように、前記感湿膜を、湿度に応じてその誘電率が変化するものとし、当該湿度センサを、前記感湿膜の誘電率の変化に基づいて湿度を検出する容量式の湿度センサとして構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる湿度センサの第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。なお、本実施の形態の湿度センサは、以下に詳述するように、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒が多孔質フィルタに吹き付けられてコーティングされている光触媒フィルタを、ケース開口部を覆う状態で該ケース開口部に備えている。これにより、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であれ、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することができるようにしている。
【0023】
図1(a)は、本実施の形態の平面構造を示す平面図である。また、図1(b)は、同実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図であり、図1(c)は、図1(b)の分解図である。これら図1(a)〜(c)に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10は、基本的に、湿度検出素子20及びリード端子30を、例えば有底角筒状に形成されたケース11の内底面に備えて構成されている。
【0024】
このうち、湿度検出素子20は、図1(a)〜(c)に示されるように、ケース11の内底面に載置されるとともに例えばシリコンからなる基板21上に、同一平面に離間して対向配置された一対の電極22a及び22bと、当該湿度センサ10を取り巻く雰囲気の湿度変化に応じて誘電率(物理量)が変化するとともに一対の電極22a及び22b並びにこれら電極間を覆う感湿膜23と、を有する湿度検出部24を備えている。また、湿度センサ10は、湿度検出素子20における電極22a及び22b間の静電容量の変化に基づいて雰囲気の相対湿度を検出する回路部25を同じく基板21上に備えている。
【0025】
なお、一対の電極22a及び22bの形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態では、図1(a)に示されるように、その形状として櫛歯形状を採用している。これにより、湿度検出部24の配置面積を小さくするとともに、一対の電極22a及び22bが互いに対向する面積を大きくすることができ、雰囲気の湿度変化に伴って変化するこれら電極間の静電容量の変化量が大きくなる。ひいては、湿度センサ10の湿度検出にかかる感度が向上する。また、こうした容量式湿度センサの検出原理については一般的に知られているため、ここでの詳細な説明を割愛する。
【0026】
一方、リード端子30は、図1(a)〜(c)に示されるように、例えば略長方形状に形成されており、ケース11の一端に複数(本実施の形態では2つ)、所定の間隔をもって配列され、ケース11側壁を貫通した状態で該ケース11に備えられている。これら複数のリード端子30は、ボンディングワイヤ31を介して、回路部25の、例えばアルミニウムからなる図示しないパッド部とそれぞれ電気的に接続される。そして、回路部25を通じて得られた雰囲気の相対湿度に関する情報は、「回路部25(正確にはパッド部)→ボンディングワイヤ31→リード端子30」と順次伝わり、当該湿度センサ10外部へ出力される。
【0027】
ここで、ケース11は、図1(b)及び(c)に示されるように、上方に向けて開口されたケース開口部11aを有する例えば有底角筒状に形成されている。そもそも湿度センサ10は、当該湿度センサ10を取り巻く雰囲気(空気)の相対湿度を検出するものである。そのため、湿度センサ10の検出部である湿度検出素子20、正確には、感湿膜23は、雰囲気にさらされていなければならない。また、そうした雰囲気も、ケース11内外で好適に入れ替わらなければならない。したがって、ケース11の上面に、該ケース11内外に空気を流通させるためのケース開口部11aが形成されている。
【0028】
ただし、そうしたケース開口部11aは、空気に併せて塵や埃あるいは水滴等がケース11内部に進入する要因となる。そのため、図1に示されるように、空気を通過させる一方で塵埃や水滴等を通過させない程度の大きさの孔が多数形成された光触媒フィルタ40が、ケース開口部11aを覆う状態で該ケース開口部11aに備えられている。
【0029】
詳しくは、図1に示されるように、ケース開口部11aの周縁(正確には、ケース11の各角部)には、複数(本実施の形態では4つ)の円形状の凹部12が適宜の深さ並びに適宜の直径にて形成されている。一方、光触媒フィルタ40は、こうして形成されたケース11の凹部12に対応した高さ及び直径にて形成された複数(本実施の形態では4つ)の凸部42を有する環状の枠部材41を有して構成されている。そして光触媒フィルタ40は、枠部材41の各凸部42がケース11の各凹部12にそれぞれ圧入嵌合されることで、ケース11上面に固定されている。このようにして、光触媒フィルタ40により、ケース11内外に空気を流通させるとともに、塵や埃あるいは水滴等がケース11内へ進入することを抑制している。
【0030】
ところで、課題の欄でも記載したように、例えば煙草の煙などの極小の分子が多く浮遊する雰囲気の湿度を検出しようとすると、ケース開口部11aを覆う多孔質フィルタに光触媒がコーティングされていなければ、次のような不具合が生じ得る。
【0031】
すなわち、煙草分子は、その直径がおよそ「0.4nm」ほどであり、塵や埃あるいは水滴に比較して極めて小さい。そのため、塵や埃あるいは水滴を捕捉・排除する目的で形成された大きさの孔では、煙草分子を捕捉することができず、空気に含まれる水分子と併せて煙草分子がケース11内部に進入してしまう。
【0032】
こうしてケース11内部に進入した煙草分子は、感湿膜23表面で開口するとともに該感湿膜23内部まで達する細孔の中に、水分子よりも先に入り込む。さらには、感湿膜23の細孔の開口を塞いでしまうことがある。このように感湿膜23の細孔の開口部が煙草分子で塞がれてしまうと、水分子は、感湿膜23の細孔内表面に付着することができなくなり、感湿膜23の誘電率が小さくなる。そして、空気は実際には同一の相対湿度であっても、電気容量が小さくなってしまうことがある。逆に、空気に含まれる水分子と併せてケース11内部に進入した煙草分子は、感湿膜23の細孔内に水分子よりも先に入り込み、さらには、より多くの水分子を吸着して感湿膜23の細孔内容面に付着させることもある。このように感湿膜23の細孔内表面により多くの水分子が付着してしまうと、感湿膜23の誘電率は大きくなり、空気は実際には同一の相対湿度であっても、電気容量が大きくなってしまうこともある。このように、雰囲気の相対湿度にかかる検出精度が低下することが懸念される。
【0033】
そこで、本実施の形態の光触媒フィルタ40は、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒を多孔質フィルタに吹き付けてコーティングすることで構成されている。
【0034】
光触媒に対し、光、特に紫外光が照射されると、この光触媒の表面から電子が飛び出す。電子が飛び出したことで形成された光触媒の穴は、正の電荷を帯びる正孔(ホール)となって強い酸化力を有し、近くに存在する有機物から電子を奪う。このようにして電子が奪われることで、有機物は、該有機物を形成している分子同士の結合が切断され、最終的には、二酸化炭素や水となり、雰囲気に発散していくこととなる。なお、煙草分子(ニコチン等)も有機物である。
【0035】
このような機能を有する光触媒が多孔質フィルタにコーティングされることにより、煙草分子が光触媒フィルタ40を通過しようとする際、該煙草分子は、正の電荷を帯びた光触媒に吸い寄せられ、分解されることとなる。すなわち、当該湿度センサが多数の煙草分子が浮遊する雰囲気に置かれても、煙草分子は、光触媒フィルタ40によって捕捉・排除され、空気中に含まれる水分子と併せてケース11内部に進入することが抑制される。その結果、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であっても、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することができるようになる。
【0036】
なお、上記第1の実施の形態は、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0037】
上記第1の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース11の各凹部12にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース11に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図1(c)に対応する図として図2に示すように、ケース11の各凹部12に接着剤13を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース11の各凹部12とをこの接着剤13によって接着することでこれらを固定し、湿度センサ10aを構成してもよい。
【0038】
上記第1の実施の形態では、図1に示したように、ケース開口部11aの周縁に、複数の円形状の凹部12を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、枠部材41に、各凹部12に対応する高さ及び直径にて凸部42を形成することとした。逆に、ケース開口部の周縁に複数の凸部を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、光触媒フィルタを構成する枠部材に、各凸部に対応する高さ及び直径にて凹部を形成することとしてもよい。また、そうした凹部及び凸部の形状も円形状に限られず任意である。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第2の実施の形態について、図3(a)及び(b)を参照しつつ説明する。また、この図3において、先の図1及び図2に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0040】
図3(a)は、本実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図であり、図3(b)は、同図(a)の分解図である。これら図3(a)及び(b)に示されるように、本実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じた構造となっている。ただし、本実施の形態の湿度センサ10bでは、ケース開口部11aの周縁に突起14を形成し、この突起14の長さよりも短い貫通孔43が突起14に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース11の突起14を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース11に固定するようにしている。
【0041】
詳しくは、図3(b)に示すように、ケース開口部11aの周縁(正確には、ケース11の各角部)には、複数(本実施の形態では4つ)の円形状の突起14が例えば長さ「L1」並びに適宜の直径にて形成されている。一方、光触媒フィルタ40aは、例えば長さ「L2」並びに適宜の内径の貫通孔43が複数(本実施の形態では4つ)、上記突起14の形成される位置に対応して形成された枠部材41aを有して構成される。ここで、突起14の長さ「L1」は、貫通孔43の長さ「L2」よりも長く形成されている。したがって、ケース11の突起14を枠部材41aの貫通孔43に嵌合すると、突起14の先端部分は貫通孔43から突き出すこととなる。そして、突起14の貫通孔43から突き出た部分のみを加熱すると、図3(a)に示すように、突起14の貫通孔43から突き出た部分が溶解し貫通孔43の直径よりも大きくなる。これにより、突起14の貫通孔43から突き出た部分がフックの役割を果たし、ケース11の突起14は、枠部材41aの貫通孔43から抜けなくなる。これにより、光触媒フィルタ40aとケース11との結合力を強めることができるようになる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第3の実施の形態について、図4を参照しつつ説明する。また、この図4において、先の図1〜図3に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0043】
図4は、先の図1(b)に対応する図であって、本実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図である。同図4に示されるように、本実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じた構造となっている。ただし、本実施の形態の湿度センサ10cでは、ケース11の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第1の実施の形態の効果に加え、新たに、次のような効果が得られるようになる。すなわち、本実施の形態の湿度センサ10cによれば、当該湿度センサ10cを取り巻く雰囲気中を浮遊するタバコ分子をより多く分解することができるようになるため、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊する雰囲気の相対湿度を検出する際の信頼性を、よりいっそう高めることができるようになる。
【0044】
なお、上記第3の実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じて、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0045】
上記第3の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース11の各凹部12にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース11に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図4に対応する図として図5に示すように、ケース11の各凹部12に接着剤13を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース11の各凹部12とをこの接着剤13によって接着することでこれらを固定して、湿度センサ10dを構成してもよい。
【0046】
上記第3の実施の形態では、図4に示したように、ケース開口部11aの周縁に、複数の円形状の凹部12を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、枠部材41に、各凹部12に対応する高さ及び直径にて凸部42を形成することとした。逆に、ケース開口部の周縁に複数の円形状の凸部を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、光触媒フィルタを構成する枠部材に、各凸部に対応する高さ及び直径にて凹部を形成することとしてもよい。また、そうした凹部及び凸部の形状も円形状に限られず任意である。
【0047】
(第4の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第4の実施の形態について、図6を参照しつつ説明する。また、この図6において、先の図1〜図5に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0048】
図6は、先の図3(a)に対応する図であって、本実施の形態の側面断面構造を示す一部側面断面図である。この図6に示されるように、本実施の形態も、先の第2の実施の形態及び第3の実施の形態に準じた構造となっている。すなわち、図6に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10eでは、ケース開口部11aの周縁に突起14を形成し、この突起14の長さよりも短い貫通孔43が突起14に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース11の突起14を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース11に固定するようにしている。また、ケース11の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第2及び第3の実施の形態の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0049】
(第5の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第5の実施の形態について、図7(a)〜(c)を参照しつつ説明する。また、この図7において、先の図1〜図6に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0050】
図7(a)は、本実施の形態の平面構造を示す平面図である。また、図7(b)は、同実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図であり、図7(c)は、同実施の形態の平面構造を裏面側から示す図である。これら図7(a)〜(c)に示されるように、本実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じた構造となっている。ただし、本実施の形態の湿度センサ10fでは、ケース16の表面側に、内外に空気を流通させるための(第1)ケース開口部16aが形成されているだけでなく、ケース16の裏面側にも、内外に空気を流通させるための(第2)ケース開口部16bが形成されている。そして、光触媒フィルタ40及び45が、これら両ケース開口部16a及び16bをそれぞれ覆う状態で、これら両ケース開口部16a及び16bにそれぞれ備えられている。
【0051】
詳しくは、図7(a)及び(b)に示されるように、ケース16は、上方に向けて開口されたケース開口部16aを有する例えば有底角筒状に形成されている。また、ケース16は、図7(c)に示されるように、その内底面に、例えば長方形状の複数(本実施の形態では4つ)の開口からなるケース開口部16bが形成されている。ケース開口部16bがこのような形状に形成されることで、ケース16内外によりいっそう空気が流通する上、湿度検出素子20をケース16内に安定して支持することができるようになる。
【0052】
ところで、こうしたケース開口部16bは、空気に併せて塵や埃あるいは水滴等がケース16内部に進入する要因となる。そのため、図7(c)に示されるように、空気を通過させる一方で、塵埃や水滴等を通過させない程度の大きさの孔が多数形成された光触媒フィルタ45が、ケース開口部16bを覆う状態で該ケース開口部16bに備えられている。
【0053】
ただし、第1の実施の形態の説明でも記載したように、また、課題の欄でも記載したように、ケース開口部16bを覆う多孔質フィルタに光触媒がコーティングされていなければ、例えば煙草の煙などの極小の分子が多く浮遊する雰囲気の湿度を検出しようとすると、雰囲気の相対湿度にかかる検出精度が低下することが懸念される。したがって、本実施の形態の湿度センサ10fでは、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒が多孔質フィルタに吹き付けられてコーティングされている光触媒フィルタ45が、ケース開口部16bを覆う状態で該ケース開口部16bに備えられている。これにより、第1の実施の形態の効果に準じた効果が得られるとともに、空気を流通させるための開口面積が増加するため、より高い信頼性及び高い応答性をもって雰囲気の相対湿度を検出することができるようになる。
【0054】
なお、上記第5の実施の形態は、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0055】
上記第5の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース16の各凹部17にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース16に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図7(b)に対応する図として図8に示すように、ケース16の各凹部12に接着剤18を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース16の各凹部17とをこの接着剤18によって接着することでこれらを固定し、湿度センサ10gを構成してもよい。
【0056】
(第6の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第6の実施の形態について、図9を参照しつつ説明する。また、この図9において、先の図1〜図8に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0057】
図9は、本実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図である。この図9に示されるように、本実施の形態も、先の図3(a)に示した第2の実施の形態、及び、先の図6に示した第4の実施の形態に準じた構造となっている。すなわち、本実施の形態の湿度センサ10hでは、ケース開口部16aの周縁に突起19を形成し、この突起19の長さよりも短い貫通孔43が突起19に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース16の突起19を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース16に固定するようにしている。また、内外に空気を流通させるためのケース開口部16bをケース16の裏面側にも形成し、このケース開口部16bを覆う状態で、光触媒フィルタ45をケース開口部16bに備えるようにしている。これにより、先の第2の実施の形態及び第4の実施の形態に準じた効果が得られるようになる。
【0058】
(第7の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第7の実施の形態について説明する。この実施の形態は、先の図4に示した第3の実施の形態、及び、先の図7(a)〜(c)に示した第5の実施の形態に準じた構造を有する。
【0059】
すなわち、同図7に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10iでは、ケース16の表面側に、内外に空気を流通させるための(第1)ケース開口部16aが形成されているだけでなく、ケース16の裏面側にも、内外に空気を流通させるための(第2)ケース開口部16bが形成されている。そして、光触媒フィルタ40及び45が、これら両ケース開口部16a及び16bをそれぞれ覆う状態で、これら両ケース開口部16a及び16bにそれぞれ備えられている。また、ケース16の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第3及び第5の実施の形態の効果が得られるようになる。
【0060】
なお、上記第7の実施の形態は、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0061】
上記第7の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース16の各凹部17にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース16に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図8に示すように、ケース16の各凹部12に接着剤18を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース16の各凹部17とをこの接着剤18によって接着することでこれらを固定し、湿度センサ10jを構成してもよい。
【0062】
(第8の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第8の実施の形態について説明する。この実施の形態は、先の図6に示した第4の実施の形態、及び、先の図9に示した第6の実施の形態に準じた構造を有する。
【0063】
すなわち、同図9に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10kでは、ケース16の表面側に、内外に空気を流通させるための(第1)ケース開口部16aが形成されているだけでなく、ケース16の裏面側にも、内外に空気を流通させるための(第2)ケース開口部16bが形成されている。そして、光触媒フィルタ40a及び45が、これら両ケース開口部16a及び16bをそれぞれ覆う状態で、これら両ケース開口部16a及び16bにそれぞれ備えられている。また、ケース開口部16aの周縁に突起19を形成し、この突起19の長さよりも短い貫通孔43が突起19に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース16の突起19を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース16に固定するようにしている。さらに、ケース16の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第4及び第6の実施の形態の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0064】
(他の実施の形態)
上記各実施の形態(変形例を含む)では、酸化チタン(TiO2)からなる光触媒を多孔質フィルタに吹き付けてコーティングすることにより、光触媒フィルタ40、40a、45を構成することとしたが、光触媒は、酸化チタンに限られない。要は、多孔質フィルタにコーティングすることが可能であって、光が照射されると強い酸化力を持ち、煙草分子のような極小な有機物がフィルタを通過しようとする際にこれを捕捉・分解することができるのであれば、その材料は任意である。また、そうした光触媒を用いて光触媒フィルタ40、40a、45を構成する構成方法も、吹きつけに限られない。他に、例えば含浸により、光触媒フィルタを構成することとしてもよい。
【0065】
上記各実施の形態(変形例を含む)では、雰囲気の湿度変化を櫛歯型電極22a及び22b間の静電容量の変化として検出する容量式湿度センサとして実現していたが、電極の形状はこれに限られない。また、検出原理についてもこれに限られない。他に例えば、雰囲気の湿度変化を感湿膜23のインピーダンスの変化として検出する抵抗式湿度センサとして実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明にかかる湿度センサの第1の実施の形態について、(a)は、平面構造を示す平面図。(b)は、(a)のIB−IB線に沿った側面構造を示す側面断面図。(c)は、(b)の分解図。
【図2】同第1の実施の形態の変形例について、側面構造を分解して示す一部側面断面図。
【図3】本発明にかかる湿度センサの第2の実施の形態について、(a)は、側面構造を示す一部側面断面図。(b)は(a)の分解図。
【図4】本発明にかかる湿度センサの第3の実施の形態について、(a)は、平面構造を示す平面図。(b)は、側面構造を示す一部側面断面図。
【図5】同第3の実施の形態の変形例について、側面構造を分解して示す一部側面断面図。
【図6】本発明にかかる湿度センサの第4の実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図。
【図7】本発明にかかる湿度センサの第5(及び第7)の実施の形態について、(a)は、平面構造を示す平面図。(b)は、(a)のIIB−IIB線に沿った側面構造を示す側面断面図。(c)は、裏面構造を示す図。
【図8】同第5(及び第7)の実施の形態の変形例について、側面構造を分解して示す一部側面断面図。
【図9】本発明にかかる湿度センサの第6(及び第8)の実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図。
【図10】(a)は、感湿膜の細孔開口部を煙草分子が塞ぎ、水分子が細孔内表面に付着することができない様子を示した模式図。(b)は、感湿膜の細孔内表面に付着した煙草分子がさらに水分子を吸着し、より多くの水分子が細孔内表面に付着した様子を示した模式図。
【図11】雰囲気中で浮遊する煙草分子の多寡の別に、雰囲気の実際の相対湿度とセンサ出力との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0067】
10〜10k…湿度センサ、11、16…ケース、11a、16a…(第1)ケース開口部、12、17…凹部、13、18…接着剤、14、19…突起、16b…(第2)ケース開口部、20…湿度検出素子、21…基板、22a、22b…櫛歯型電極(湿度検出用の電極)、23…感湿膜、24…湿度検出部、25…回路部、30…リード端子、31…ボンディングワイヤ、40、40a、45…光触媒フィルタ、41、41a…枠部材、42…凸部、43…貫通孔、50…光触媒コーティング。
【技術分野】
【0001】
本発明は、当該湿度センサを取り巻く雰囲気の湿度を検出する湿度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の湿度センサとしては従来、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この技術も含め、従来一般に知られている技術について説明する。
【0003】
湿度センサは、そもそも、当該センサを取り巻く雰囲気(空気)の相対湿度を検出するものであり、湿度センサの検出部であるセンサ素子、正確には、雰囲気に含まれる水分を吸収することのできる感湿膜は、空気にさらされていなければならない。そのため、従来一般に知られている技術では、センサ素子を保護するためのケースに該センサ素子が収容されているとともに、このケース内外に空気を流通させるためのケース開口部が該ケースに形成されている。さらに、そうした空気に併せて塵や埃あるいは水滴等がケース内部に進入することを抑制するため、空気を通過させる一方で塵埃や水滴等を通過させない程度の大きさの孔が多数形成された多孔質フィルタがケース開口部に配設されている。
【特許文献1】特開平10−142181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした湿度センサを用いて、例えば煙草の煙などの極小の分子が多く浮遊する雰囲気の湿度を検出しようとすると、煙草の煙(煙草分子)は、上記多孔質フィルタの孔を通過し、センサ素子(感湿膜)表面に付着することがある。
【0005】
詳しくは、図10(a)及び(b)に示されるように、感湿膜には、該感湿膜上表面で開口するとともに該感湿膜内部まで達する細孔が多数存在する。通常、空気に併せてケース内部に進入しようとする塵や埃あるいは水滴等は、上記多孔質フィルタによって捕捉・排除され、空気及び該空気に含まれる水分子のみがケース内部に進入する。そして、導電性を有する水分子が、こうした感湿膜の細孔開口から内部に入り込んで該細孔内表面に付着する、あるいは感湿膜表面に付着することで、感湿膜の誘電率が変化することとなる。すなわち、空気の相対湿度(空気中に含まれる水分子の数)に応じて感湿膜の誘電率が変化することとなる。このようにして、空気の相対湿度の変化は、誘電率(静電容量)の変化に基づいて検出されている。
【0006】
しかしながら、煙草分子が浮遊する雰囲気の湿度を検出する際、煙草分子は、極小であるため、上記多孔質フィルタにて捕捉・排除されることなく、空気に含まれる水分子と併せてケース内部に進入する。そして、ケース内部に進入した煙草分子は、図10(a)に示されるように、感湿膜の細孔内に水分子よりも先に入り込み、さらには、感湿膜の細孔の開口を塞いでしまうことがある。このように感湿膜の細孔の開口部が煙草分子で塞がれてしまうと、水分子は、感湿膜の細孔内表面に付着できなくなり、感湿膜の誘電率が小さくなってしまう。そして、空気は実際には同一の湿度であっても、電気容量が小さくなることがある。
【0007】
逆に、空気に含まれる水分子と併せてケース内部に進入した煙草分子は、図10(b)に示されるように、感湿膜の細孔内に水分子よりも先に入り込み、さらには、より多くの水分子を吸着して感湿膜の細孔内表面に付着させることもある。このように感湿膜の細孔内表面により多くの水分子が付着してしまうと、感湿膜の誘電率は大きくなってしまい、空気は実際には同一の相対湿度であっても、電気容量が大きくなることもある。
【0008】
具体的には、当該湿度センサの出力と相対湿度との関係を図11に示す。同図11に示されるように、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が少ない場合、当該湿度センサは、例えば直線Aとして示すセンサ出力と相対湿度との関係をとる。一方、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が多く、感湿膜の細孔内表面への水分子吸着が煙草分子によって抑制された場合、当該湿度センサは、例えば直線Bとして示すセンサ出力と相対湿度との関係をとる。他方、雰囲気中に浮遊する煙草分子数が多く、感湿膜の細孔内表面への水分子吸着が煙草分子によって促進された場合、当該湿度センサは、例えば直線Cとして示すセンサ出力と相対湿度との関係をとる。ここで例えば、当該湿度センサのセンサ出力が「Vh」であったとすると、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が少ない場合には、相対湿度は「Rha」として検出され、雰囲気中に浮遊する煙草分子の数が多い場合には、相対湿度は「Rhb」あるいは「Rhc」として検出されることとなる。このように、雰囲気の相対湿度にかかる検出精度が低下することが懸念される。
【0009】
感湿膜の細孔の開口を塞ぐ、あるいは細孔内表面に煙草分子が付着することに対しては、例えば、上記多孔質フィルタに形成される多数の孔の大きさを、煙草分子を捕捉・除去することができる程度に小さくすることが考えられる。しかしながら、煙草分子の直径はおよそ「0.4nm」であって、極めて小さい。このような極小の煙草分子を捕捉・除去することのできる多孔質フィルタを使用しては、当該湿度センサ内外の空気の流通が滞り、当該センサの応答性を悪化させることが懸念される。さらには、多孔質フィルタの目詰まりが生じやすくなってしまう。
【0010】
なお、感湿膜の誘電率(静電容量)の変化に基づき雰囲気の相対湿度変化を検出する、いわゆる容量式の湿度センサについて説明したが、感湿膜のインピーダンスの変化に基づき雰囲気の相対湿度変化を検出する、いわゆる抵抗式湿度センサにおいても、上述した事態は同様に起こり得る。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であれ、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することのできる湿度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、表面で開口しつつ内部に達する複数の細孔が形成された感湿膜と、前記感湿膜の細孔内表面を含む表面に水分が吸着することによって変化する当該感湿膜の物理量を検出するための一対の電極とを有する湿度検出素子と、前記湿度検出素子を内部に収容するとともに、内外に空気を流通させるための開口部である第1ケース開口部が形成されているケースと、を備える湿度センサとして、光触媒がコーティングされている多孔質フィルタである光触媒フィルタを、前記第1ケース開口部を覆う状態で該第1ケース開口部に備えることとした。
【0013】
まず、光触媒について説明する。光(特に紫外光)が光触媒に照射されると、光触媒の表面から電子が飛び出し、電子が飛び出したことで形成された光触媒の穴は、正の電荷を帯びる正孔(ホール)となる。こうした正孔は強い酸化力を有しており、近くに存在する有機物から電子を奪う。このようにして電子が奪われることで、有機物は、該有機物を形成している分子同士の結合が切断され、最終的には、二酸化炭素や水となり、雰囲気中に発散していくことが知られている。なお、煙草分子(ニコチン等)も有機物である。
【0014】
湿度センサとしての上記構成では、煙草分子は、空気に併せて前記光触媒フィルタを通過しようとする際、正の電荷を帯びた光触媒に吸い寄せられて、分解されることとなる。すなわち、煙草分子がいくら極小であっても、該煙草分子は、光触媒フィルタによって捕捉・排除され、空気中に含まれる水分子と併せて前記ケース内部に進入することが抑制される。したがって、当該湿度センサが多数の煙草分子が浮遊する雰囲気中にあっても、課題の欄で述べたような感湿膜の特性の変化を低減することができる。その結果、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であっても、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することができるようになる。
【0015】
なお、こうした構成においては、例えば請求項2に記載の発明のように、前記多孔質フィルタに前記光触媒を吹き付けてコーティングすることで前記光触媒フィルタを構成することができる。また、そうした光触媒としては、例えば請求項3に記載の発明のように、酸化チタン(TiO2)を採用することができる。
【0016】
また、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、例えば請求項4に記載の発明では、前記ケースの前記第1ケース開口部の周縁に凹部を形成し、前記ケースの前記凹部に対応した凸部を有する枠部材を有して前記光触媒フィルタを構成するとともに、前記枠部材の前記凸部を前記ケースの前記凹部に圧入嵌合することで、前記光触媒フィルタを前記ケースに固定することとした。これにより、簡素な構成で当該湿度センサを実現することができるようになる。
【0017】
なお、請求項4に記載の構成において、例えば請求項5に記載の発明のように、前記ケースの前記凹部に接着剤を塗布し、前記枠部材の前記凸部と前記ケースの前記凹部とを、この接着剤により接着してもよい。これにより、前記枠部材と前記ケースとの結合が強められるため、これらの間に隙間が形成されにくくなる。そして、ひいては、これらの間の隙間を介して煙草分子がケース内部に進入することが低減され、より高い信頼性をもって雰囲気の相対湿度を検出することができるようになる。
【0018】
一方、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、例えば請求項6に記載の発明では、前記ケースの前記第1ケース開口部の周縁に突起を形成し、前記突起の長さよりも短い貫通孔が前記突起に対応して形成された枠部材を有して前記光触媒フィルタを構成するとともに、前記ケースの前記突起を前記枠部材の前記貫通孔を介してかしめることで前記光触媒フィルタを前記ケースに固定することとした。これによっても、前記光触媒フィルタと前記ケースとの結合を強めることができるようになる。
【0019】
こうした請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、例えば請求項7に記載の発明では、前記ケースに、内外に空気を流通させるための開口部である第2ケース開口部を形成し、前記光触媒フィルタを前記第2ケース開口部にも備えることとした。これにより、空気を流通させるための開口面積が増加するため、より高い信頼性及び高い応答性をもって雰囲気の相対湿度を検出することができるようになる。
【0020】
また、請求項1〜7のいずれかに記載の構成において、例えば請求項8に記載の発明によるように、前記ケース全面に光触媒をコーティングすれば、雰囲気中を浮遊する煙草分子をより多く分解することができるようになるため、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊する雰囲気の相対湿度を検出する際の信頼性を、よりいっそう高めることができるようになる。
【0021】
なお、例えば請求項9に記載の発明のように、前記感湿膜を、湿度に応じてその誘電率が変化するものとし、当該湿度センサを、前記感湿膜の誘電率の変化に基づいて湿度を検出する容量式の湿度センサとして構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる湿度センサの第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。なお、本実施の形態の湿度センサは、以下に詳述するように、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒が多孔質フィルタに吹き付けられてコーティングされている光触媒フィルタを、ケース開口部を覆う状態で該ケース開口部に備えている。これにより、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であれ、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することができるようにしている。
【0023】
図1(a)は、本実施の形態の平面構造を示す平面図である。また、図1(b)は、同実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図であり、図1(c)は、図1(b)の分解図である。これら図1(a)〜(c)に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10は、基本的に、湿度検出素子20及びリード端子30を、例えば有底角筒状に形成されたケース11の内底面に備えて構成されている。
【0024】
このうち、湿度検出素子20は、図1(a)〜(c)に示されるように、ケース11の内底面に載置されるとともに例えばシリコンからなる基板21上に、同一平面に離間して対向配置された一対の電極22a及び22bと、当該湿度センサ10を取り巻く雰囲気の湿度変化に応じて誘電率(物理量)が変化するとともに一対の電極22a及び22b並びにこれら電極間を覆う感湿膜23と、を有する湿度検出部24を備えている。また、湿度センサ10は、湿度検出素子20における電極22a及び22b間の静電容量の変化に基づいて雰囲気の相対湿度を検出する回路部25を同じく基板21上に備えている。
【0025】
なお、一対の電極22a及び22bの形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態では、図1(a)に示されるように、その形状として櫛歯形状を採用している。これにより、湿度検出部24の配置面積を小さくするとともに、一対の電極22a及び22bが互いに対向する面積を大きくすることができ、雰囲気の湿度変化に伴って変化するこれら電極間の静電容量の変化量が大きくなる。ひいては、湿度センサ10の湿度検出にかかる感度が向上する。また、こうした容量式湿度センサの検出原理については一般的に知られているため、ここでの詳細な説明を割愛する。
【0026】
一方、リード端子30は、図1(a)〜(c)に示されるように、例えば略長方形状に形成されており、ケース11の一端に複数(本実施の形態では2つ)、所定の間隔をもって配列され、ケース11側壁を貫通した状態で該ケース11に備えられている。これら複数のリード端子30は、ボンディングワイヤ31を介して、回路部25の、例えばアルミニウムからなる図示しないパッド部とそれぞれ電気的に接続される。そして、回路部25を通じて得られた雰囲気の相対湿度に関する情報は、「回路部25(正確にはパッド部)→ボンディングワイヤ31→リード端子30」と順次伝わり、当該湿度センサ10外部へ出力される。
【0027】
ここで、ケース11は、図1(b)及び(c)に示されるように、上方に向けて開口されたケース開口部11aを有する例えば有底角筒状に形成されている。そもそも湿度センサ10は、当該湿度センサ10を取り巻く雰囲気(空気)の相対湿度を検出するものである。そのため、湿度センサ10の検出部である湿度検出素子20、正確には、感湿膜23は、雰囲気にさらされていなければならない。また、そうした雰囲気も、ケース11内外で好適に入れ替わらなければならない。したがって、ケース11の上面に、該ケース11内外に空気を流通させるためのケース開口部11aが形成されている。
【0028】
ただし、そうしたケース開口部11aは、空気に併せて塵や埃あるいは水滴等がケース11内部に進入する要因となる。そのため、図1に示されるように、空気を通過させる一方で塵埃や水滴等を通過させない程度の大きさの孔が多数形成された光触媒フィルタ40が、ケース開口部11aを覆う状態で該ケース開口部11aに備えられている。
【0029】
詳しくは、図1に示されるように、ケース開口部11aの周縁(正確には、ケース11の各角部)には、複数(本実施の形態では4つ)の円形状の凹部12が適宜の深さ並びに適宜の直径にて形成されている。一方、光触媒フィルタ40は、こうして形成されたケース11の凹部12に対応した高さ及び直径にて形成された複数(本実施の形態では4つ)の凸部42を有する環状の枠部材41を有して構成されている。そして光触媒フィルタ40は、枠部材41の各凸部42がケース11の各凹部12にそれぞれ圧入嵌合されることで、ケース11上面に固定されている。このようにして、光触媒フィルタ40により、ケース11内外に空気を流通させるとともに、塵や埃あるいは水滴等がケース11内へ進入することを抑制している。
【0030】
ところで、課題の欄でも記載したように、例えば煙草の煙などの極小の分子が多く浮遊する雰囲気の湿度を検出しようとすると、ケース開口部11aを覆う多孔質フィルタに光触媒がコーティングされていなければ、次のような不具合が生じ得る。
【0031】
すなわち、煙草分子は、その直径がおよそ「0.4nm」ほどであり、塵や埃あるいは水滴に比較して極めて小さい。そのため、塵や埃あるいは水滴を捕捉・排除する目的で形成された大きさの孔では、煙草分子を捕捉することができず、空気に含まれる水分子と併せて煙草分子がケース11内部に進入してしまう。
【0032】
こうしてケース11内部に進入した煙草分子は、感湿膜23表面で開口するとともに該感湿膜23内部まで達する細孔の中に、水分子よりも先に入り込む。さらには、感湿膜23の細孔の開口を塞いでしまうことがある。このように感湿膜23の細孔の開口部が煙草分子で塞がれてしまうと、水分子は、感湿膜23の細孔内表面に付着することができなくなり、感湿膜23の誘電率が小さくなる。そして、空気は実際には同一の相対湿度であっても、電気容量が小さくなってしまうことがある。逆に、空気に含まれる水分子と併せてケース11内部に進入した煙草分子は、感湿膜23の細孔内に水分子よりも先に入り込み、さらには、より多くの水分子を吸着して感湿膜23の細孔内容面に付着させることもある。このように感湿膜23の細孔内表面により多くの水分子が付着してしまうと、感湿膜23の誘電率は大きくなり、空気は実際には同一の相対湿度であっても、電気容量が大きくなってしまうこともある。このように、雰囲気の相対湿度にかかる検出精度が低下することが懸念される。
【0033】
そこで、本実施の形態の光触媒フィルタ40は、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒を多孔質フィルタに吹き付けてコーティングすることで構成されている。
【0034】
光触媒に対し、光、特に紫外光が照射されると、この光触媒の表面から電子が飛び出す。電子が飛び出したことで形成された光触媒の穴は、正の電荷を帯びる正孔(ホール)となって強い酸化力を有し、近くに存在する有機物から電子を奪う。このようにして電子が奪われることで、有機物は、該有機物を形成している分子同士の結合が切断され、最終的には、二酸化炭素や水となり、雰囲気に発散していくこととなる。なお、煙草分子(ニコチン等)も有機物である。
【0035】
このような機能を有する光触媒が多孔質フィルタにコーティングされることにより、煙草分子が光触媒フィルタ40を通過しようとする際、該煙草分子は、正の電荷を帯びた光触媒に吸い寄せられ、分解されることとなる。すなわち、当該湿度センサが多数の煙草分子が浮遊する雰囲気に置かれても、煙草分子は、光触媒フィルタ40によって捕捉・排除され、空気中に含まれる水分子と併せてケース11内部に進入することが抑制される。その結果、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊している雰囲気であっても、高い信頼性をもってその相対湿度を検出することができるようになる。
【0036】
なお、上記第1の実施の形態は、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0037】
上記第1の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース11の各凹部12にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース11に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図1(c)に対応する図として図2に示すように、ケース11の各凹部12に接着剤13を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース11の各凹部12とをこの接着剤13によって接着することでこれらを固定し、湿度センサ10aを構成してもよい。
【0038】
上記第1の実施の形態では、図1に示したように、ケース開口部11aの周縁に、複数の円形状の凹部12を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、枠部材41に、各凹部12に対応する高さ及び直径にて凸部42を形成することとした。逆に、ケース開口部の周縁に複数の凸部を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、光触媒フィルタを構成する枠部材に、各凸部に対応する高さ及び直径にて凹部を形成することとしてもよい。また、そうした凹部及び凸部の形状も円形状に限られず任意である。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第2の実施の形態について、図3(a)及び(b)を参照しつつ説明する。また、この図3において、先の図1及び図2に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0040】
図3(a)は、本実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図であり、図3(b)は、同図(a)の分解図である。これら図3(a)及び(b)に示されるように、本実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じた構造となっている。ただし、本実施の形態の湿度センサ10bでは、ケース開口部11aの周縁に突起14を形成し、この突起14の長さよりも短い貫通孔43が突起14に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース11の突起14を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース11に固定するようにしている。
【0041】
詳しくは、図3(b)に示すように、ケース開口部11aの周縁(正確には、ケース11の各角部)には、複数(本実施の形態では4つ)の円形状の突起14が例えば長さ「L1」並びに適宜の直径にて形成されている。一方、光触媒フィルタ40aは、例えば長さ「L2」並びに適宜の内径の貫通孔43が複数(本実施の形態では4つ)、上記突起14の形成される位置に対応して形成された枠部材41aを有して構成される。ここで、突起14の長さ「L1」は、貫通孔43の長さ「L2」よりも長く形成されている。したがって、ケース11の突起14を枠部材41aの貫通孔43に嵌合すると、突起14の先端部分は貫通孔43から突き出すこととなる。そして、突起14の貫通孔43から突き出た部分のみを加熱すると、図3(a)に示すように、突起14の貫通孔43から突き出た部分が溶解し貫通孔43の直径よりも大きくなる。これにより、突起14の貫通孔43から突き出た部分がフックの役割を果たし、ケース11の突起14は、枠部材41aの貫通孔43から抜けなくなる。これにより、光触媒フィルタ40aとケース11との結合力を強めることができるようになる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第3の実施の形態について、図4を参照しつつ説明する。また、この図4において、先の図1〜図3に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0043】
図4は、先の図1(b)に対応する図であって、本実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図である。同図4に示されるように、本実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じた構造となっている。ただし、本実施の形態の湿度センサ10cでは、ケース11の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第1の実施の形態の効果に加え、新たに、次のような効果が得られるようになる。すなわち、本実施の形態の湿度センサ10cによれば、当該湿度センサ10cを取り巻く雰囲気中を浮遊するタバコ分子をより多く分解することができるようになるため、煙草分子のような極小の分子が多く浮遊する雰囲気の相対湿度を検出する際の信頼性を、よりいっそう高めることができるようになる。
【0044】
なお、上記第3の実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じて、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0045】
上記第3の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース11の各凹部12にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース11に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図4に対応する図として図5に示すように、ケース11の各凹部12に接着剤13を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース11の各凹部12とをこの接着剤13によって接着することでこれらを固定して、湿度センサ10dを構成してもよい。
【0046】
上記第3の実施の形態では、図4に示したように、ケース開口部11aの周縁に、複数の円形状の凹部12を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、枠部材41に、各凹部12に対応する高さ及び直径にて凸部42を形成することとした。逆に、ケース開口部の周縁に複数の円形状の凸部を適宜の深さ及び適宜の直径にて形成するとともに、光触媒フィルタを構成する枠部材に、各凸部に対応する高さ及び直径にて凹部を形成することとしてもよい。また、そうした凹部及び凸部の形状も円形状に限られず任意である。
【0047】
(第4の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第4の実施の形態について、図6を参照しつつ説明する。また、この図6において、先の図1〜図5に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0048】
図6は、先の図3(a)に対応する図であって、本実施の形態の側面断面構造を示す一部側面断面図である。この図6に示されるように、本実施の形態も、先の第2の実施の形態及び第3の実施の形態に準じた構造となっている。すなわち、図6に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10eでは、ケース開口部11aの周縁に突起14を形成し、この突起14の長さよりも短い貫通孔43が突起14に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース11の突起14を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース11に固定するようにしている。また、ケース11の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第2及び第3の実施の形態の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0049】
(第5の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第5の実施の形態について、図7(a)〜(c)を参照しつつ説明する。また、この図7において、先の図1〜図6に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0050】
図7(a)は、本実施の形態の平面構造を示す平面図である。また、図7(b)は、同実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図であり、図7(c)は、同実施の形態の平面構造を裏面側から示す図である。これら図7(a)〜(c)に示されるように、本実施の形態も、先の第1の実施の形態に準じた構造となっている。ただし、本実施の形態の湿度センサ10fでは、ケース16の表面側に、内外に空気を流通させるための(第1)ケース開口部16aが形成されているだけでなく、ケース16の裏面側にも、内外に空気を流通させるための(第2)ケース開口部16bが形成されている。そして、光触媒フィルタ40及び45が、これら両ケース開口部16a及び16bをそれぞれ覆う状態で、これら両ケース開口部16a及び16bにそれぞれ備えられている。
【0051】
詳しくは、図7(a)及び(b)に示されるように、ケース16は、上方に向けて開口されたケース開口部16aを有する例えば有底角筒状に形成されている。また、ケース16は、図7(c)に示されるように、その内底面に、例えば長方形状の複数(本実施の形態では4つ)の開口からなるケース開口部16bが形成されている。ケース開口部16bがこのような形状に形成されることで、ケース16内外によりいっそう空気が流通する上、湿度検出素子20をケース16内に安定して支持することができるようになる。
【0052】
ところで、こうしたケース開口部16bは、空気に併せて塵や埃あるいは水滴等がケース16内部に進入する要因となる。そのため、図7(c)に示されるように、空気を通過させる一方で、塵埃や水滴等を通過させない程度の大きさの孔が多数形成された光触媒フィルタ45が、ケース開口部16bを覆う状態で該ケース開口部16bに備えられている。
【0053】
ただし、第1の実施の形態の説明でも記載したように、また、課題の欄でも記載したように、ケース開口部16bを覆う多孔質フィルタに光触媒がコーティングされていなければ、例えば煙草の煙などの極小の分子が多く浮遊する雰囲気の湿度を検出しようとすると、雰囲気の相対湿度にかかる検出精度が低下することが懸念される。したがって、本実施の形態の湿度センサ10fでは、例えば酸化チタン(TiO2)からなる光触媒が多孔質フィルタに吹き付けられてコーティングされている光触媒フィルタ45が、ケース開口部16bを覆う状態で該ケース開口部16bに備えられている。これにより、第1の実施の形態の効果に準じた効果が得られるとともに、空気を流通させるための開口面積が増加するため、より高い信頼性及び高い応答性をもって雰囲気の相対湿度を検出することができるようになる。
【0054】
なお、上記第5の実施の形態は、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0055】
上記第5の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース16の各凹部17にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース16に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図7(b)に対応する図として図8に示すように、ケース16の各凹部12に接着剤18を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース16の各凹部17とをこの接着剤18によって接着することでこれらを固定し、湿度センサ10gを構成してもよい。
【0056】
(第6の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第6の実施の形態について、図9を参照しつつ説明する。また、この図9において、先の図1〜図8に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら各要素についての重複する説明は割愛する。
【0057】
図9は、本実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図である。この図9に示されるように、本実施の形態も、先の図3(a)に示した第2の実施の形態、及び、先の図6に示した第4の実施の形態に準じた構造となっている。すなわち、本実施の形態の湿度センサ10hでは、ケース開口部16aの周縁に突起19を形成し、この突起19の長さよりも短い貫通孔43が突起19に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース16の突起19を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース16に固定するようにしている。また、内外に空気を流通させるためのケース開口部16bをケース16の裏面側にも形成し、このケース開口部16bを覆う状態で、光触媒フィルタ45をケース開口部16bに備えるようにしている。これにより、先の第2の実施の形態及び第4の実施の形態に準じた効果が得られるようになる。
【0058】
(第7の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第7の実施の形態について説明する。この実施の形態は、先の図4に示した第3の実施の形態、及び、先の図7(a)〜(c)に示した第5の実施の形態に準じた構造を有する。
【0059】
すなわち、同図7に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10iでは、ケース16の表面側に、内外に空気を流通させるための(第1)ケース開口部16aが形成されているだけでなく、ケース16の裏面側にも、内外に空気を流通させるための(第2)ケース開口部16bが形成されている。そして、光触媒フィルタ40及び45が、これら両ケース開口部16a及び16bをそれぞれ覆う状態で、これら両ケース開口部16a及び16bにそれぞれ備えられている。また、ケース16の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第3及び第5の実施の形態の効果が得られるようになる。
【0060】
なお、上記第7の実施の形態は、例えば以下のような形態として実施することもできる。
【0061】
上記第7の実施の形態では、枠部材41の各凸部42をケース16の各凹部17にそれぞれ圧入嵌合することで、光触媒フィルタ40をケース16に固定していたが、光触媒フィルタ40の固定態様はこれに限られない。他に例えば、先の図8に示すように、ケース16の各凹部12に接着剤18を塗布するとともに、枠部材41の凸部42とケース16の各凹部17とをこの接着剤18によって接着することでこれらを固定し、湿度センサ10jを構成してもよい。
【0062】
(第8の実施の形態)
次に、本発明にかかる湿度センサの第8の実施の形態について説明する。この実施の形態は、先の図6に示した第4の実施の形態、及び、先の図9に示した第6の実施の形態に準じた構造を有する。
【0063】
すなわち、同図9に示されるように、本実施の形態の湿度センサ10kでは、ケース16の表面側に、内外に空気を流通させるための(第1)ケース開口部16aが形成されているだけでなく、ケース16の裏面側にも、内外に空気を流通させるための(第2)ケース開口部16bが形成されている。そして、光触媒フィルタ40a及び45が、これら両ケース開口部16a及び16bをそれぞれ覆う状態で、これら両ケース開口部16a及び16bにそれぞれ備えられている。また、ケース開口部16aの周縁に突起19を形成し、この突起19の長さよりも短い貫通孔43が突起19に対応して形成された枠部材41aを有して光触媒フィルタ40aを構成する。そして、ケース16の突起19を枠部材41aの貫通孔43を介してかしめることで、光触媒フィルタ40aをケース16に固定するようにしている。さらに、ケース16の全面、すなわち、湿度検出素子20及びリード端子30を除く全構成要素に対して光触媒が吹き付けられてコーティング50がなされている。これにより、先の第4及び第6の実施の形態の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0064】
(他の実施の形態)
上記各実施の形態(変形例を含む)では、酸化チタン(TiO2)からなる光触媒を多孔質フィルタに吹き付けてコーティングすることにより、光触媒フィルタ40、40a、45を構成することとしたが、光触媒は、酸化チタンに限られない。要は、多孔質フィルタにコーティングすることが可能であって、光が照射されると強い酸化力を持ち、煙草分子のような極小な有機物がフィルタを通過しようとする際にこれを捕捉・分解することができるのであれば、その材料は任意である。また、そうした光触媒を用いて光触媒フィルタ40、40a、45を構成する構成方法も、吹きつけに限られない。他に、例えば含浸により、光触媒フィルタを構成することとしてもよい。
【0065】
上記各実施の形態(変形例を含む)では、雰囲気の湿度変化を櫛歯型電極22a及び22b間の静電容量の変化として検出する容量式湿度センサとして実現していたが、電極の形状はこれに限られない。また、検出原理についてもこれに限られない。他に例えば、雰囲気の湿度変化を感湿膜23のインピーダンスの変化として検出する抵抗式湿度センサとして実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明にかかる湿度センサの第1の実施の形態について、(a)は、平面構造を示す平面図。(b)は、(a)のIB−IB線に沿った側面構造を示す側面断面図。(c)は、(b)の分解図。
【図2】同第1の実施の形態の変形例について、側面構造を分解して示す一部側面断面図。
【図3】本発明にかかる湿度センサの第2の実施の形態について、(a)は、側面構造を示す一部側面断面図。(b)は(a)の分解図。
【図4】本発明にかかる湿度センサの第3の実施の形態について、(a)は、平面構造を示す平面図。(b)は、側面構造を示す一部側面断面図。
【図5】同第3の実施の形態の変形例について、側面構造を分解して示す一部側面断面図。
【図6】本発明にかかる湿度センサの第4の実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図。
【図7】本発明にかかる湿度センサの第5(及び第7)の実施の形態について、(a)は、平面構造を示す平面図。(b)は、(a)のIIB−IIB線に沿った側面構造を示す側面断面図。(c)は、裏面構造を示す図。
【図8】同第5(及び第7)の実施の形態の変形例について、側面構造を分解して示す一部側面断面図。
【図9】本発明にかかる湿度センサの第6(及び第8)の実施の形態の側面構造を示す一部側面断面図。
【図10】(a)は、感湿膜の細孔開口部を煙草分子が塞ぎ、水分子が細孔内表面に付着することができない様子を示した模式図。(b)は、感湿膜の細孔内表面に付着した煙草分子がさらに水分子を吸着し、より多くの水分子が細孔内表面に付着した様子を示した模式図。
【図11】雰囲気中で浮遊する煙草分子の多寡の別に、雰囲気の実際の相対湿度とセンサ出力との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0067】
10〜10k…湿度センサ、11、16…ケース、11a、16a…(第1)ケース開口部、12、17…凹部、13、18…接着剤、14、19…突起、16b…(第2)ケース開口部、20…湿度検出素子、21…基板、22a、22b…櫛歯型電極(湿度検出用の電極)、23…感湿膜、24…湿度検出部、25…回路部、30…リード端子、31…ボンディングワイヤ、40、40a、45…光触媒フィルタ、41、41a…枠部材、42…凸部、43…貫通孔、50…光触媒コーティング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面で開口しつつ内部に達する複数の細孔が形成された感湿膜と、前記感湿膜の細孔内表面を含む表面に水分が吸着することによって変化する当該感湿膜の物理量を検出するための一対の電極とを有する湿度検出素子と、
前記湿度検出素子を内部に収容するとともに、内外に空気を流通させるための開口部である第1ケース開口部が形成されているケースと、を備える湿度センサにおいて、
光触媒がコーティングされている多孔質フィルタである光触媒フィルタが前記第1ケース開口部を覆う状態で該第1ケース開口部に備えられていることを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】
前記光触媒フィルタは、前記多孔質フィルタに前記光触媒が吹き付けられてコーティングされている請求項1に記載の湿度センサ。
【請求項3】
前記光触媒は、酸化チタンである請求項1または2に記載の湿度センサ。
【請求項4】
前記ケースは、前記第1ケース開口部の周縁に凹部が形成されており、前記光触媒フィルタは、前記ケースの前記凹部に対応した凸部を有する枠部材を有しているとともに、
前記光触媒フィルタは、前記枠部材の前記凸部が前記ケースの前記凹部に圧入嵌合されることで、前記ケースに固定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項5】
前記ケースの前記凹部には接着剤が塗布され、前記枠部材の前記凸部と前記ケースの前記凹部とは、この接着剤により接着されている請求項4に記載の湿度センサ。
【請求項6】
前記ケースは、前記第1ケース開口部の周縁に突起が形成されており、前記光触媒フィルタは、前記突起の長さよりも短い貫通孔が前記突起に対応して形成された枠部材を有しているとともに、
前記光触媒フィルタは、前記ケースの前記突起が前記枠部材の前記貫通孔を介してかしめられることで前記ケースに固定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項7】
前記ケースには、内外に空気を流通させるための開口部である第2ケース開口部が形成されており、前記光触媒フィルタが前記第2ケース開口部にも備えられている請求項4〜6のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項8】
前記ケース全面に光触媒がコーティングされている請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項9】
前記感湿膜は、湿度に応じてその誘電率が変化するものであり、当該湿度センサは、前記感湿膜の誘電率の変化に基づいて湿度を検出する容量式の湿度センサである請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項1】
表面で開口しつつ内部に達する複数の細孔が形成された感湿膜と、前記感湿膜の細孔内表面を含む表面に水分が吸着することによって変化する当該感湿膜の物理量を検出するための一対の電極とを有する湿度検出素子と、
前記湿度検出素子を内部に収容するとともに、内外に空気を流通させるための開口部である第1ケース開口部が形成されているケースと、を備える湿度センサにおいて、
光触媒がコーティングされている多孔質フィルタである光触媒フィルタが前記第1ケース開口部を覆う状態で該第1ケース開口部に備えられていることを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】
前記光触媒フィルタは、前記多孔質フィルタに前記光触媒が吹き付けられてコーティングされている請求項1に記載の湿度センサ。
【請求項3】
前記光触媒は、酸化チタンである請求項1または2に記載の湿度センサ。
【請求項4】
前記ケースは、前記第1ケース開口部の周縁に凹部が形成されており、前記光触媒フィルタは、前記ケースの前記凹部に対応した凸部を有する枠部材を有しているとともに、
前記光触媒フィルタは、前記枠部材の前記凸部が前記ケースの前記凹部に圧入嵌合されることで、前記ケースに固定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項5】
前記ケースの前記凹部には接着剤が塗布され、前記枠部材の前記凸部と前記ケースの前記凹部とは、この接着剤により接着されている請求項4に記載の湿度センサ。
【請求項6】
前記ケースは、前記第1ケース開口部の周縁に突起が形成されており、前記光触媒フィルタは、前記突起の長さよりも短い貫通孔が前記突起に対応して形成された枠部材を有しているとともに、
前記光触媒フィルタは、前記ケースの前記突起が前記枠部材の前記貫通孔を介してかしめられることで前記ケースに固定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項7】
前記ケースには、内外に空気を流通させるための開口部である第2ケース開口部が形成されており、前記光触媒フィルタが前記第2ケース開口部にも備えられている請求項4〜6のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項8】
前記ケース全面に光触媒がコーティングされている請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【請求項9】
前記感湿膜は、湿度に応じてその誘電率が変化するものであり、当該湿度センサは、前記感湿膜の誘電率の変化に基づいて湿度を検出する容量式の湿度センサである請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿度センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−70201(P2008−70201A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248388(P2006−248388)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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