湿度センサ
【課題】湿度センサ素子と同一の基板に備えた電子部品から発せられた熱の影響を受けにくく、正確な湿度測定が可能な湿度センサを提供する。
【解決手段】湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む周辺回路と、湿度センサ素子及び周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、湿度センサ素子と電子部品を互いに平面的に重複しない位置で配置して、基板上に、湿度センサを設けたセンサエリアと、電子部品を設けた放熱エリアを設定し、放熱エリアの放熱性をセンサエリアの放熱性より高める放熱手段と、センサエリアと放熱エリアを熱的に分離する熱分離手段との少なくとも一方を設けた。
【解決手段】湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む周辺回路と、湿度センサ素子及び周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、湿度センサ素子と電子部品を互いに平面的に重複しない位置で配置して、基板上に、湿度センサを設けたセンサエリアと、電子部品を設けた放熱エリアを設定し、放熱エリアの放熱性をセンサエリアの放熱性より高める放熱手段と、センサエリアと放熱エリアを熱的に分離する熱分離手段との少なくとも一方を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度変化を測定する湿度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
湿度変化を測定する湿度センサは、近年、時計や携帯電話のような小型電子機器にも搭載できるように、小型化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−125157号公報
【特許文献2】特開2008−241603号公報
【特許文献3】特開2009−231606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、湿度センサ素子とその周辺回路を同一の基板上に搭載して小型化(搭載スペースの省略化)を図ろうとすると、例えばオペアンプ、抵抗やコイルなど動作時に熱を発する電子部品が湿度センサ素子の近くに配置されている場合に、該電子部品から発せられる熱により湿度センサ素子周辺の温度が上昇して湿度センサ素子周辺の相対湿度が下がり、正確な湿度測定ができなかった。特許文献1は、電子部品からの熱による温度上昇を抑制するため、局部冷却が可能な冷却用集積素子を基板上に搭載しているが、基板の拡大やコスト増加を招くため好ましくない。
【0005】
特許文献2には、基板のセンサ部を設けた側とは反対側の面に発熱部を備えた湿度センサ装置が記載されているが、発熱部は、センサ部を構成する感湿膜中の水分量を調整して特定の湿度状態を作り出す機能を有するもの、すなわち、センサ部に熱を与えることを目的とした電子部品であり、この発熱部からの熱がセンサ部に影響しないようにする手段は開示されていない。また、特許文献3には、発熱部品の実装に伴う温度上昇によるLSIの誤作動を回避するため、第1の面にデジタル部品を実装し、この第1の面と対向する第2の面にアナログ部品を実装した電子回路基板が記載されているが、湿度センサにおいて湿度センサ素子部と周辺回路をどのように配置するかの具体的な記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、湿度センサ素子が同一の基板に搭載された電子部品から発せられる熱の影響を受けにくく、正確な湿度測定が可能な湿度センサを得ることを目的とする。
【0007】
本発明は、電子部品からの熱の影響が湿度センサ素子に及ばないように、基板に搭載する湿度センサ素子とその周辺回路(特に動作時に熱を発する電子部品)との最適なレイアウトを提案するものである。特に、湿度センサ素子を設けたセンサエリア外に電子部品からの熱を放出させる放熱エリアを設ければ、湿度センサ素子への熱の影響を抑えられることに着目したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で配置して、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、前記放熱エリアの放熱性をセンサエリアの放熱性より高める放熱手段と、前記センサエリアと放熱エリアを熱的に分離する熱分離手段との少なくとも一方を設けたことを特徴としている。
【0009】
具体的に、前記放熱手段は、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積となる導電性の放熱パターンであることが好ましい。この態様によれば、電子部品からの熱が放熱パターンを介して放出され、かつ、該放出される熱がメタルパターンからセンサエリアに伝わるのを防止できる。この放熱パターンは、導体パターンであって、湿度センサ及び電子部品の電気配線パターンも含まれる。一方、前記熱分離手段は、前記センサエリアと前記放熱エリアの間を分断する、前記基板に穿設したスリットからなっていることが好ましい。この態様によれば、スリットによりセンサエリアと放熱エリアが離間するので、電子部品から発せられた熱がセンサエリアに伝わりにくくなり、また、放熱エリアでの放熱効果が高まる。
【0010】
前記湿度センサと前記熱を発する電子部品を接続する電気配線パターンは、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで幅広に形成されていることが好ましい。この態様によれば、放熱エリアでは電子部品からの熱が電気配線パターンで外方へ放出されやすくなり、センサエリアでは電子部品からの熱が電気配線パターンに伝わるのを抑えることができる。
【0011】
本発明は、別の表現で示すことができる。すなわち、湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積となる導電性の放熱パターンを設けたことを特徴としている。または、湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、前記基板に、前記センサエリアと前記放熱エリアを分断するスリットを穿設形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湿度センサ素子と電子部品が平面的に重複せず、かつ、基板に設けた放熱パターンまたはスリットを介して、湿度センサ素子を設けたセンサエリアと電子部品からの熱を放出する放熱エリアとが熱的に分離しているので、湿度センサ素子が電子部品から発せられる熱の影響を受けにくく、正確な湿度測定が可能な湿度センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した第1実施形態による湿度センサを示す斜視図である。
【図2】同湿度センサを上面側から見て示す平面図である。
【図3】同湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図4】図2及び図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明を適用した第2実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図である。
【図6】同湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図7】図5及び図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本発明を適用した第3実施形態による湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図9】本発明を適用した第4実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図である。
【図10】同湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図11】図9及び図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】第1実施例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【図13】第2実施例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【図14】第1比較例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【図15】第2比較例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図4は、本発明を適用した湿度センサの第1実施形態を示している。図1は第1実施形態による湿度センサの斜視図、図2は同湿度センサを上面側から見て示す平面図、図3は同湿度センサを底面側から見て示す平面図、図4は図2及び図3のIV−IV線に沿う断面図である。湿度センサ1は、単一の基板10に、湿度変化を測定する湿度センサ素子20と、その周辺回路30と、外部回路との接続に用いられるコネクタ40とを搭載して構成されている。
【0015】
基板10は、平面矩形状の平板基板である。この基板表面10aには、図2に示されるように、湿度センサ素子20とコネクタ40が離間して配置されている。コネクタ40は図2では鎖線で示している。湿度センサ素子20は、具体的には例えば、吸収または放出した水分量に応じて誘電率が変化する高分子感湿材料を誘電体とし、その誘電率変化を静電容量変化として検出する静電容量型、あるいは、電気抵抗変化として検出する抵抗型を用いることができる。これらの湿度センサ素子20は周知である。コネクタ40は、複数の突起状電極からなるコネクタピンを有しており、コネクタピンの一端部40aが基板10の側方(図1、図4では左方)に突出し、コネクタピンの他端部40bが基板裏面10bに突出している。
【0016】
基板裏面10bには、図3に示されるように、周辺回路30の回路構成要素が配置されている。周辺回路30には、例えば抵抗、コイル、オペアンプ等の発熱を目的とはしていないものの動作時(通電時)に熱を発する電子部品32が備えられている。動作時に発熱する電子部品32は、湿度センサ素子20から可及的に遠く離れるように基板10のコネクタ40を設けた一端側に寄せて配置され、基板10を介してコネクタ40と対向している。具体的に周辺回路30には、例えば、外部電源から与えられた供給電圧を所定電圧まで降下させて、湿度センサ素子20への入力電圧を生成する降圧回路などが含まれる。周辺回路30を構成する回路構成要素には例えばコンデンサように発熱しない回路部品も備えられるが、発熱しない回路部品は湿度センサ素子20に対して熱影響を及ぼさないので、基板10のどこに配置してもよい。
【0017】
湿度センサ素子20、電子部品32及びコネクタ40は、基板表裏面10a、10bに形成された複数の電気配線パターン15によりそれぞれ電気的に接続されている。複数の電気配線パターン15のうち、電子部品32に接続する電気配線パターン15aは最も幅狭に形成されており(図3)、電子部品32からの熱が電気配線パターン15aに、また、該電気配線パターン15aを介して基板10に伝わりにくくしてある。図2及び図3の符号16は、コネクタ40との電気接続部である。
【0018】
さらに上記基板10には、基板表面10a及び基板裏面10bの両方に、湿度センサ素子20を設けたセンサエリアαを除いて、ベタ膜状のメタルパターン50が形成されている。メタルパターン50は、例えば銅からなり、複数の電気接続部16のうちグランド端子16Gに接続されている。本実施形態では、基板表面10a及び基板裏面10bのメタルパターン50及び複数の電気配線パターン15が放熱パターンとして機能する。この放熱パターンの面積(メタルパターン50と複数の電気配線パターン15の合計面積)は、基板上に設定したセンサエリアαよりも放熱エリアβで大きい。つまり、メタルパターン50が形成されたエリアが、電子部品32から発せられた熱及び電子部品32から基板10に伝わった熱を外方へ放出させる放熱エリアβ(図2及び図3の下側エリア)となり、該メタルパターン50が形成されていないセンサエリアα(図2及び図3の上側エリア)とは熱的に分離されている(図12参照)。このようにメタルパターン50をセンサエリアαを除いて設けることで、電子部品32からの放熱を促進でき、かつ、メタルパターン50からセンサエリアα側に熱が伝わるのを防止でき、湿度センサ素子20の周辺の相対湿度変化を抑えられる。
【0019】
図5〜図7は、本発明を適用した湿度センサの第2実施形態を示している。図5は第2実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図、図6は同湿度センサを底面側から見て示す平面図、図7は図5及び図6のVII−VII線に沿う断面図である。この第2実施形態は、基板表裏面10a、10bの一方(図示実施形態では基板裏面10b)のみに、湿度センサ素子20とその周辺回路30の回路構成要素を配置した実施形態である。コネクタ40は、湿度センサ素子20及び周辺回路30を配置した側とは反対側の面(基板表面10a)に設けた。この周辺回路30及びコネクタ40の配設位置以外の構成は、第1実施形態と同一である。湿度センサ素子20と周辺回路30の発熱する電子部品32は、互いの平面的な位置が異なっていれば、第1実施形態のように基板表裏面10a、10bの一方と他方に分けて設けても、第2実施形態のように基板表裏面10a、10bの一方のみに設けてもよい。
【0020】
図8は、本発明を適用した湿度センサの第3実施形態を示しており、湿度センサを底面側から見て示す平面図である。この第3実施形態は、上述の第1実施形態による湿度センサ1(図1〜図4)において、湿度センサ素子20と発熱する電子部品32を電気的に接続する電気配線パターン15aを、センサエリアαよりも放熱エリアβで幅広に形成した実施形態である。複数の電気配線パターン15は、メタルパターン50とともに放熱パターンとして機能する。放熱エリアβでは電気配線パターン15aのパターン幅を広げることで電子部品32からの熱をより放出しやすくし、逆に、センサエリアαでは電気配線パターン15aのパターン幅を狭めることで電子部品32からの熱が電気配線パターン15aを介して基板10、延いては湿度センサ素子20に伝わりにくくしてある。電気配線パターン15a以外の構成は、第1実施形態と同一である。
【0021】
図9〜図11は、本発明を適用した湿度センサの第4実施形態を示している。図9は第4実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図、図10は同湿度センサを底面側から見て示す平面図、図11は図9及び図10のXI−XI線に沿う断面図である。この第4実施形態は、基板10に、センサエリアαと放熱エリアβとを分断させるスリット60を形成した実施形態である。スリット60が存在することで、センサエリアαと放熱エリアβが物理的に一部離間し、電子部品32から発せられた熱がセンサエリアαに伝わりにくくなるだけでなく、放熱エリアβでの放熱効果が高まり、これによって湿度センサ素子20への熱影響を低減できる。設けるスリット60の平面形状は任意であり、非連続であってもよい。図示実施形態では、平面矩形をなす基板10の短手方向と平行な直線状のスリット60を設けているが、湿度センサ素子20の外周を囲むように設けることもできる。スリット60以外の構成は第1実施形態と同一である。この第4実施形態においてメタルパターン50は省略可能であるが、メタルパターン50とスリット60の両方を備えていると、より高い放熱効果を得られる(図13参照)。
【0022】
次に、図12〜図15に示す熱分布図を参照し、本発明の作用効果について説明する。図12はセンサエリアαを除いて基板表裏面10a、10bにメタルパターン50を設けた第1実施例(第1実施形態)の熱分布図、図13はセンサエリアαを除いて基板表裏面10a、10bにメタルパターン50を設け、さらにスリット60を設けた第2実施例(第4実施形態)の熱分布図である。これに対し、図14は基板表裏面10a、10bの全面にメタルパターン50を設けた第1比較例の熱分布図、図15は基板表裏面10a、10bの全面にメタルパターン50を設け、さらにスリット60を形成した第2比較例の熱分布図である。上記実施例及び比較例は、湿度センサ素子20と発熱する電子部品32とを、基板表裏面10a、10bの一方と他方に、互いに平面的な位置を異ならせて設けた湿度センサである。各図において、(A)は湿度センサ素子20を設けた側の面、(B)は発熱する電子部品32を設けた側の面を示している。
【0023】
図12の第1実施例と図14の第1比較例を比較すると、第1比較例はメタルパターン50から全面的に放熱されて基板全面がほぼ一様な温度になるのに対し、第1実施例では、電子部品32自体は高温になるが湿度センサ素子20での温度は低く、放熱エリアβからセンサエリアαにかけて基板温度が変化している。よって、センサエリアαを除いてメタルパターン50を設けたことで(基板全面に形成したセンサエリアのメタルパターンを除去したことで)、電子部品32からの熱がメタルパターン50を介して放出される放熱エリアβがセンサエリアαとは熱的に分離すること、すなわち、電子部品32からの熱がメタルパターン50で放出されて湿度センサ素子20まで伝わらないことが図12から明らかである。
【0024】
図12の第1実施例と図13の第2実施例を比較すると、スリットを具備しない第1実施例は放熱エリアβからセンサエリアαにかけての温度変化がなだらかであるのに対し、スリット60を具備する第2実施例では、放熱エリアβからセンサエリアαにかけての温度変化がスリット位置で明確にあらわれている。また、第2実施例のほうが第1実施例よりもセンサエリアα及び放熱エリアβの両方で基板温度が低くなっている。よって、センサエリアαを除いてメタルパターン50を有し、さらにスリット60を具備することで、メタルパターン50からの放熱が促進され、湿度センサ素子20及びその周囲をより低温で保てることが明らかである。
【0025】
図14の第1比較例と図15の第2比較例を比較すると、スリットを具備しない第1比較例よりもスリット60を具備する第2比較例のほうが、実質的な放熱エリアβ’が広くとれており、放熱効果が高いことがわかる。しかし、第1比較例及び第2比較例はいずれもメタルパターン50を基板全面に有するので、電子部品32からの熱がメタルパターン50を介して湿度センサ素子20に伝わり、電子部品32側と湿度センサ素子20側との温度差は小さい。このため、湿度センサ素子20の周囲の相対湿度が変化してしまう。
【0026】
図13の第2実施例と図15の第2比較例を比較すると、第2比較例はスリット60を有していてもメタルパターン50から全面的に放熱されて基板全面がほぼ一様な温度になるのに対し、第2実施例では、電子部品32自体は高温になるが湿度センサ素子20での温度は低く、放熱エリアβからセンサエリアαにかけて基板温度が変化している。スリット60を有する第2実施例においても、センサエリアαを除いてメタルパターン50を設けたことで(基板全面に形成したセンサエリアのメタルパターンを除去したことで)、電子部品32からの熱がメタルパターン50を介して放出される放熱エリアβがセンサエリアαとは熱的に分離すること、すなわち、電子部品32からの熱がメタルパターン50で放出されて湿度センサ素子20まで伝わらないことが図13から明らかである。
【0027】
以上の図12〜図15から明らかなように、センサエリアαを除いてメタルパターン50を設け、さらに、スリット60を形成した第2実施例(第4実施形態)が、最も高い放熱効果が得られるベストモードである。
【0028】
以上のように各実施形態では、湿度センサ素子20と発熱する電子部品32が平面的に重複せず、湿度センサ素子20を設けたセンサエリアαよりも放熱エリアβで放熱パターン(メタルパターン50と電気配線パターン15)の面積が大きくなるので、放熱エリアβのメタルパターン50を介して電子部品32からの放熱が促進されつつ、メタルパターン50からセンサエリアαに熱が伝わるのを防止できる。よって、同一の基板10に湿度センサ素子20と電子部品32が搭載されていても、電子部品32から発せられた熱が湿度センサ素子20に伝わりにくくなる。これにより、電子部品32の発熱による湿度センサ素子20の周辺の相対湿度変化を抑えられるので、湿度センサ素子20の正確な湿度測定が可能となる。
【0029】
また第4実施形態によれば、基板10に設けたスリット60によりセンサエリアα(湿度センサ素子20)と放熱エリアβ(電子部品32)とが分断されるので、メタルパターン50の放熱効果が高まり、湿度センサ素子20に及ぶ熱の影響をより小さく抑えられる。さらに本実施形態のように湿度センサ素子20と電子部品32との配置関係に着目してメタルパターン50及びスリット60を設け、該湿度センサ素子20に対する熱影響を低減させれば、冷却用素子を設ける必要がなく、基板の大型化及びコスト増加を招くこともない。
【符号の説明】
【0030】
1 湿度センサ
10 基板
10a 基板表面
10b 基板裏面
15 電気配線パターン
20 湿度センサ素子
30 周辺回路
32 電子部品
40 コネクタ
50 メタルパターン
60 スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度変化を測定する湿度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
湿度変化を測定する湿度センサは、近年、時計や携帯電話のような小型電子機器にも搭載できるように、小型化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−125157号公報
【特許文献2】特開2008−241603号公報
【特許文献3】特開2009−231606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、湿度センサ素子とその周辺回路を同一の基板上に搭載して小型化(搭載スペースの省略化)を図ろうとすると、例えばオペアンプ、抵抗やコイルなど動作時に熱を発する電子部品が湿度センサ素子の近くに配置されている場合に、該電子部品から発せられる熱により湿度センサ素子周辺の温度が上昇して湿度センサ素子周辺の相対湿度が下がり、正確な湿度測定ができなかった。特許文献1は、電子部品からの熱による温度上昇を抑制するため、局部冷却が可能な冷却用集積素子を基板上に搭載しているが、基板の拡大やコスト増加を招くため好ましくない。
【0005】
特許文献2には、基板のセンサ部を設けた側とは反対側の面に発熱部を備えた湿度センサ装置が記載されているが、発熱部は、センサ部を構成する感湿膜中の水分量を調整して特定の湿度状態を作り出す機能を有するもの、すなわち、センサ部に熱を与えることを目的とした電子部品であり、この発熱部からの熱がセンサ部に影響しないようにする手段は開示されていない。また、特許文献3には、発熱部品の実装に伴う温度上昇によるLSIの誤作動を回避するため、第1の面にデジタル部品を実装し、この第1の面と対向する第2の面にアナログ部品を実装した電子回路基板が記載されているが、湿度センサにおいて湿度センサ素子部と周辺回路をどのように配置するかの具体的な記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、湿度センサ素子が同一の基板に搭載された電子部品から発せられる熱の影響を受けにくく、正確な湿度測定が可能な湿度センサを得ることを目的とする。
【0007】
本発明は、電子部品からの熱の影響が湿度センサ素子に及ばないように、基板に搭載する湿度センサ素子とその周辺回路(特に動作時に熱を発する電子部品)との最適なレイアウトを提案するものである。特に、湿度センサ素子を設けたセンサエリア外に電子部品からの熱を放出させる放熱エリアを設ければ、湿度センサ素子への熱の影響を抑えられることに着目したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で配置して、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、前記放熱エリアの放熱性をセンサエリアの放熱性より高める放熱手段と、前記センサエリアと放熱エリアを熱的に分離する熱分離手段との少なくとも一方を設けたことを特徴としている。
【0009】
具体的に、前記放熱手段は、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積となる導電性の放熱パターンであることが好ましい。この態様によれば、電子部品からの熱が放熱パターンを介して放出され、かつ、該放出される熱がメタルパターンからセンサエリアに伝わるのを防止できる。この放熱パターンは、導体パターンであって、湿度センサ及び電子部品の電気配線パターンも含まれる。一方、前記熱分離手段は、前記センサエリアと前記放熱エリアの間を分断する、前記基板に穿設したスリットからなっていることが好ましい。この態様によれば、スリットによりセンサエリアと放熱エリアが離間するので、電子部品から発せられた熱がセンサエリアに伝わりにくくなり、また、放熱エリアでの放熱効果が高まる。
【0010】
前記湿度センサと前記熱を発する電子部品を接続する電気配線パターンは、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで幅広に形成されていることが好ましい。この態様によれば、放熱エリアでは電子部品からの熱が電気配線パターンで外方へ放出されやすくなり、センサエリアでは電子部品からの熱が電気配線パターンに伝わるのを抑えることができる。
【0011】
本発明は、別の表現で示すことができる。すなわち、湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積となる導電性の放熱パターンを設けたことを特徴としている。または、湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、前記基板に、前記センサエリアと前記放熱エリアを分断するスリットを穿設形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湿度センサ素子と電子部品が平面的に重複せず、かつ、基板に設けた放熱パターンまたはスリットを介して、湿度センサ素子を設けたセンサエリアと電子部品からの熱を放出する放熱エリアとが熱的に分離しているので、湿度センサ素子が電子部品から発せられる熱の影響を受けにくく、正確な湿度測定が可能な湿度センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した第1実施形態による湿度センサを示す斜視図である。
【図2】同湿度センサを上面側から見て示す平面図である。
【図3】同湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図4】図2及び図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明を適用した第2実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図である。
【図6】同湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図7】図5及び図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本発明を適用した第3実施形態による湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図9】本発明を適用した第4実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図である。
【図10】同湿度センサを底面側から見て示す平面図である。
【図11】図9及び図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】第1実施例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【図13】第2実施例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【図14】第1比較例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【図15】第2比較例の湿度センサ動作時における基板上の温度変化を示す熱分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図4は、本発明を適用した湿度センサの第1実施形態を示している。図1は第1実施形態による湿度センサの斜視図、図2は同湿度センサを上面側から見て示す平面図、図3は同湿度センサを底面側から見て示す平面図、図4は図2及び図3のIV−IV線に沿う断面図である。湿度センサ1は、単一の基板10に、湿度変化を測定する湿度センサ素子20と、その周辺回路30と、外部回路との接続に用いられるコネクタ40とを搭載して構成されている。
【0015】
基板10は、平面矩形状の平板基板である。この基板表面10aには、図2に示されるように、湿度センサ素子20とコネクタ40が離間して配置されている。コネクタ40は図2では鎖線で示している。湿度センサ素子20は、具体的には例えば、吸収または放出した水分量に応じて誘電率が変化する高分子感湿材料を誘電体とし、その誘電率変化を静電容量変化として検出する静電容量型、あるいは、電気抵抗変化として検出する抵抗型を用いることができる。これらの湿度センサ素子20は周知である。コネクタ40は、複数の突起状電極からなるコネクタピンを有しており、コネクタピンの一端部40aが基板10の側方(図1、図4では左方)に突出し、コネクタピンの他端部40bが基板裏面10bに突出している。
【0016】
基板裏面10bには、図3に示されるように、周辺回路30の回路構成要素が配置されている。周辺回路30には、例えば抵抗、コイル、オペアンプ等の発熱を目的とはしていないものの動作時(通電時)に熱を発する電子部品32が備えられている。動作時に発熱する電子部品32は、湿度センサ素子20から可及的に遠く離れるように基板10のコネクタ40を設けた一端側に寄せて配置され、基板10を介してコネクタ40と対向している。具体的に周辺回路30には、例えば、外部電源から与えられた供給電圧を所定電圧まで降下させて、湿度センサ素子20への入力電圧を生成する降圧回路などが含まれる。周辺回路30を構成する回路構成要素には例えばコンデンサように発熱しない回路部品も備えられるが、発熱しない回路部品は湿度センサ素子20に対して熱影響を及ぼさないので、基板10のどこに配置してもよい。
【0017】
湿度センサ素子20、電子部品32及びコネクタ40は、基板表裏面10a、10bに形成された複数の電気配線パターン15によりそれぞれ電気的に接続されている。複数の電気配線パターン15のうち、電子部品32に接続する電気配線パターン15aは最も幅狭に形成されており(図3)、電子部品32からの熱が電気配線パターン15aに、また、該電気配線パターン15aを介して基板10に伝わりにくくしてある。図2及び図3の符号16は、コネクタ40との電気接続部である。
【0018】
さらに上記基板10には、基板表面10a及び基板裏面10bの両方に、湿度センサ素子20を設けたセンサエリアαを除いて、ベタ膜状のメタルパターン50が形成されている。メタルパターン50は、例えば銅からなり、複数の電気接続部16のうちグランド端子16Gに接続されている。本実施形態では、基板表面10a及び基板裏面10bのメタルパターン50及び複数の電気配線パターン15が放熱パターンとして機能する。この放熱パターンの面積(メタルパターン50と複数の電気配線パターン15の合計面積)は、基板上に設定したセンサエリアαよりも放熱エリアβで大きい。つまり、メタルパターン50が形成されたエリアが、電子部品32から発せられた熱及び電子部品32から基板10に伝わった熱を外方へ放出させる放熱エリアβ(図2及び図3の下側エリア)となり、該メタルパターン50が形成されていないセンサエリアα(図2及び図3の上側エリア)とは熱的に分離されている(図12参照)。このようにメタルパターン50をセンサエリアαを除いて設けることで、電子部品32からの放熱を促進でき、かつ、メタルパターン50からセンサエリアα側に熱が伝わるのを防止でき、湿度センサ素子20の周辺の相対湿度変化を抑えられる。
【0019】
図5〜図7は、本発明を適用した湿度センサの第2実施形態を示している。図5は第2実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図、図6は同湿度センサを底面側から見て示す平面図、図7は図5及び図6のVII−VII線に沿う断面図である。この第2実施形態は、基板表裏面10a、10bの一方(図示実施形態では基板裏面10b)のみに、湿度センサ素子20とその周辺回路30の回路構成要素を配置した実施形態である。コネクタ40は、湿度センサ素子20及び周辺回路30を配置した側とは反対側の面(基板表面10a)に設けた。この周辺回路30及びコネクタ40の配設位置以外の構成は、第1実施形態と同一である。湿度センサ素子20と周辺回路30の発熱する電子部品32は、互いの平面的な位置が異なっていれば、第1実施形態のように基板表裏面10a、10bの一方と他方に分けて設けても、第2実施形態のように基板表裏面10a、10bの一方のみに設けてもよい。
【0020】
図8は、本発明を適用した湿度センサの第3実施形態を示しており、湿度センサを底面側から見て示す平面図である。この第3実施形態は、上述の第1実施形態による湿度センサ1(図1〜図4)において、湿度センサ素子20と発熱する電子部品32を電気的に接続する電気配線パターン15aを、センサエリアαよりも放熱エリアβで幅広に形成した実施形態である。複数の電気配線パターン15は、メタルパターン50とともに放熱パターンとして機能する。放熱エリアβでは電気配線パターン15aのパターン幅を広げることで電子部品32からの熱をより放出しやすくし、逆に、センサエリアαでは電気配線パターン15aのパターン幅を狭めることで電子部品32からの熱が電気配線パターン15aを介して基板10、延いては湿度センサ素子20に伝わりにくくしてある。電気配線パターン15a以外の構成は、第1実施形態と同一である。
【0021】
図9〜図11は、本発明を適用した湿度センサの第4実施形態を示している。図9は第4実施形態による湿度センサを上面側から見て示す平面図、図10は同湿度センサを底面側から見て示す平面図、図11は図9及び図10のXI−XI線に沿う断面図である。この第4実施形態は、基板10に、センサエリアαと放熱エリアβとを分断させるスリット60を形成した実施形態である。スリット60が存在することで、センサエリアαと放熱エリアβが物理的に一部離間し、電子部品32から発せられた熱がセンサエリアαに伝わりにくくなるだけでなく、放熱エリアβでの放熱効果が高まり、これによって湿度センサ素子20への熱影響を低減できる。設けるスリット60の平面形状は任意であり、非連続であってもよい。図示実施形態では、平面矩形をなす基板10の短手方向と平行な直線状のスリット60を設けているが、湿度センサ素子20の外周を囲むように設けることもできる。スリット60以外の構成は第1実施形態と同一である。この第4実施形態においてメタルパターン50は省略可能であるが、メタルパターン50とスリット60の両方を備えていると、より高い放熱効果を得られる(図13参照)。
【0022】
次に、図12〜図15に示す熱分布図を参照し、本発明の作用効果について説明する。図12はセンサエリアαを除いて基板表裏面10a、10bにメタルパターン50を設けた第1実施例(第1実施形態)の熱分布図、図13はセンサエリアαを除いて基板表裏面10a、10bにメタルパターン50を設け、さらにスリット60を設けた第2実施例(第4実施形態)の熱分布図である。これに対し、図14は基板表裏面10a、10bの全面にメタルパターン50を設けた第1比較例の熱分布図、図15は基板表裏面10a、10bの全面にメタルパターン50を設け、さらにスリット60を形成した第2比較例の熱分布図である。上記実施例及び比較例は、湿度センサ素子20と発熱する電子部品32とを、基板表裏面10a、10bの一方と他方に、互いに平面的な位置を異ならせて設けた湿度センサである。各図において、(A)は湿度センサ素子20を設けた側の面、(B)は発熱する電子部品32を設けた側の面を示している。
【0023】
図12の第1実施例と図14の第1比較例を比較すると、第1比較例はメタルパターン50から全面的に放熱されて基板全面がほぼ一様な温度になるのに対し、第1実施例では、電子部品32自体は高温になるが湿度センサ素子20での温度は低く、放熱エリアβからセンサエリアαにかけて基板温度が変化している。よって、センサエリアαを除いてメタルパターン50を設けたことで(基板全面に形成したセンサエリアのメタルパターンを除去したことで)、電子部品32からの熱がメタルパターン50を介して放出される放熱エリアβがセンサエリアαとは熱的に分離すること、すなわち、電子部品32からの熱がメタルパターン50で放出されて湿度センサ素子20まで伝わらないことが図12から明らかである。
【0024】
図12の第1実施例と図13の第2実施例を比較すると、スリットを具備しない第1実施例は放熱エリアβからセンサエリアαにかけての温度変化がなだらかであるのに対し、スリット60を具備する第2実施例では、放熱エリアβからセンサエリアαにかけての温度変化がスリット位置で明確にあらわれている。また、第2実施例のほうが第1実施例よりもセンサエリアα及び放熱エリアβの両方で基板温度が低くなっている。よって、センサエリアαを除いてメタルパターン50を有し、さらにスリット60を具備することで、メタルパターン50からの放熱が促進され、湿度センサ素子20及びその周囲をより低温で保てることが明らかである。
【0025】
図14の第1比較例と図15の第2比較例を比較すると、スリットを具備しない第1比較例よりもスリット60を具備する第2比較例のほうが、実質的な放熱エリアβ’が広くとれており、放熱効果が高いことがわかる。しかし、第1比較例及び第2比較例はいずれもメタルパターン50を基板全面に有するので、電子部品32からの熱がメタルパターン50を介して湿度センサ素子20に伝わり、電子部品32側と湿度センサ素子20側との温度差は小さい。このため、湿度センサ素子20の周囲の相対湿度が変化してしまう。
【0026】
図13の第2実施例と図15の第2比較例を比較すると、第2比較例はスリット60を有していてもメタルパターン50から全面的に放熱されて基板全面がほぼ一様な温度になるのに対し、第2実施例では、電子部品32自体は高温になるが湿度センサ素子20での温度は低く、放熱エリアβからセンサエリアαにかけて基板温度が変化している。スリット60を有する第2実施例においても、センサエリアαを除いてメタルパターン50を設けたことで(基板全面に形成したセンサエリアのメタルパターンを除去したことで)、電子部品32からの熱がメタルパターン50を介して放出される放熱エリアβがセンサエリアαとは熱的に分離すること、すなわち、電子部品32からの熱がメタルパターン50で放出されて湿度センサ素子20まで伝わらないことが図13から明らかである。
【0027】
以上の図12〜図15から明らかなように、センサエリアαを除いてメタルパターン50を設け、さらに、スリット60を形成した第2実施例(第4実施形態)が、最も高い放熱効果が得られるベストモードである。
【0028】
以上のように各実施形態では、湿度センサ素子20と発熱する電子部品32が平面的に重複せず、湿度センサ素子20を設けたセンサエリアαよりも放熱エリアβで放熱パターン(メタルパターン50と電気配線パターン15)の面積が大きくなるので、放熱エリアβのメタルパターン50を介して電子部品32からの放熱が促進されつつ、メタルパターン50からセンサエリアαに熱が伝わるのを防止できる。よって、同一の基板10に湿度センサ素子20と電子部品32が搭載されていても、電子部品32から発せられた熱が湿度センサ素子20に伝わりにくくなる。これにより、電子部品32の発熱による湿度センサ素子20の周辺の相対湿度変化を抑えられるので、湿度センサ素子20の正確な湿度測定が可能となる。
【0029】
また第4実施形態によれば、基板10に設けたスリット60によりセンサエリアα(湿度センサ素子20)と放熱エリアβ(電子部品32)とが分断されるので、メタルパターン50の放熱効果が高まり、湿度センサ素子20に及ぶ熱の影響をより小さく抑えられる。さらに本実施形態のように湿度センサ素子20と電子部品32との配置関係に着目してメタルパターン50及びスリット60を設け、該湿度センサ素子20に対する熱影響を低減させれば、冷却用素子を設ける必要がなく、基板の大型化及びコスト増加を招くこともない。
【符号の説明】
【0030】
1 湿度センサ
10 基板
10a 基板表面
10b 基板裏面
15 電気配線パターン
20 湿度センサ素子
30 周辺回路
32 電子部品
40 コネクタ
50 メタルパターン
60 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、
前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で配置して、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、
前記放熱エリアの放熱性をセンサエリアの放熱性より高める放熱手段と、前記センサエリアと放熱エリアを熱的に分離する熱分離手段との少なくとも一方を設けたことを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】
請求項1記載の湿度センサにおいて、前記放熱手段は、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積に設けた導電性の放熱パターンである湿度センサ。
【請求項3】
請求項1または2記載の湿度センサにおいて、前記熱分離手段は、前記センサエリアと前記放熱エリアの間を分断する、前記基板に穿設したスリットである湿度センサ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の湿度センサにおいて、前記湿度センサと前記熱を発する電子部品を接続する電気配線パターンは、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで幅広に形成されている湿度センサ。
【請求項5】
湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、
前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、
前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積となる導電性の放熱パターンを設けたことを特徴とする湿度センサ。
【請求項6】
湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、
前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、
前記基板に、前記センサエリアと前記放熱エリアを分断するスリットを穿設形成したことを特徴とする湿度センサ。
【請求項7】
請求項5または6記載の湿度センサにおいて、前記湿度センサと前記熱を発する電子部品を接続する電気配線パターンは、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで幅広に形成されている湿度センサ。
【請求項1】
湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、
前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で配置して、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、
前記放熱エリアの放熱性をセンサエリアの放熱性より高める放熱手段と、前記センサエリアと放熱エリアを熱的に分離する熱分離手段との少なくとも一方を設けたことを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】
請求項1記載の湿度センサにおいて、前記放熱手段は、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積に設けた導電性の放熱パターンである湿度センサ。
【請求項3】
請求項1または2記載の湿度センサにおいて、前記熱分離手段は、前記センサエリアと前記放熱エリアの間を分断する、前記基板に穿設したスリットである湿度センサ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の湿度センサにおいて、前記湿度センサと前記熱を発する電子部品を接続する電気配線パターンは、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで幅広に形成されている湿度センサ。
【請求項5】
湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、
前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、
前記センサエリアよりも前記放熱エリアで大面積となる導電性の放熱パターンを設けたことを特徴とする湿度センサ。
【請求項6】
湿度変化を測定する湿度センサ素子と、動作時に熱を発する電子部品を含む素子周辺回路と、前記湿度センサ素子及び前記素子周辺回路を外部回路に接続させるコネクタとを同一の基板に搭載した湿度センサにおいて、
前記湿度センサ素子と前記電子部品を互いに平面的に重複しない位置で設け、前記基板上に、前記湿度センサを設けたセンサエリアと、前記電子部品を設けた放熱エリアを設定し、
前記基板に、前記センサエリアと前記放熱エリアを分断するスリットを穿設形成したことを特徴とする湿度センサ。
【請求項7】
請求項5または6記載の湿度センサにおいて、前記湿度センサと前記熱を発する電子部品を接続する電気配線パターンは、前記センサエリアよりも前記放熱エリアで幅広に形成されている湿度センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−191071(P2011−191071A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55058(P2010−55058)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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