溶接観察装置
【課題】溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系として、テレセントリック光学系とフォトクロミックフィルタ(PCF)による部分減光を使用し、PCF上で結像させず、PCF上から焦点がずれても減光性能を確保でき、溶接状態のモニタリングが良好な溶接観察装置を提供する。
【解決手段】アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光する対物光学系(1,2)と、対物光学系(1,2)により集光した光を導光するテレセントリック光学系3と、テレセントリック光学系3によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、PCF4により、アーク溶接部8からの光を、部分減光する。
【解決手段】アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光する対物光学系(1,2)と、対物光学系(1,2)により集光した光を導光するテレセントリック光学系3と、テレセントリック光学系3によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、PCF4により、アーク溶接部8からの光を、部分減光する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接観察装置に関し、特に溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系に特徴を有する溶接観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接には、例えば、ティグ方式(TIG:Tungsten Inert Gas Welding)、ミグ方式(MIG:Metal Inert Gas Welding)、マグ方式(MAG:Metal Active Gas Welding)などがある。また、CO2ガスアーク溶接方式(MAG)などもある。
【0003】
TIG方式は、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で、タングステン電極と母材間にアークを発生させて、このアーク熱を利用して母材と溶接棒(または溶加棒)を溶融させて溶接する方法である。タングステン電極はアークを発生させるだけで、自らは溶融移行しない。
【0004】
MAG方式においては、溶接が開始されると、溶接ワイヤが連続的に供給され、溶接ワイヤと母材間に発生したアークが持続されて、溶接が進行する。溶接ワイヤは、アークを発生する電極であると同時に、そのアーク熱によって、自らも溶融して溶接金属を形成する。この際、溶接トーチ先端部のノズルより流出するシールドガスによって、溶接金属を遮蔽し、大気の悪影響を防止しているが、このシールドガスとしては、CO2ガス、アルゴンガス、アルゴンガスにCO2ガスを混合したガスなどが用いられる。MAG溶接という用語は、シールドガスの種類、特性を考慮して定義されたものであり、溶接法としての原理は、MIG溶接やCO2ガスアーク溶接と同じである。
【0005】
MIG方式の原理はMAG方式と同じであるが、シールドガスの種類として、アルゴンやヘリウム(またはこれらの混合ガス)などのイナートガス(不活性ガス)を使用し、あるいはこれにCO2ガスや酸素などのアクティブガス(活性ガス)を少量添加したものを使用する。
【0006】
アーク溶接のアークは、一般に強い光、特に紫外放射と可視光を放射するため、作業現場ではこの紫外放射によって多くの角膜炎、結膜炎が発生している。また、可視光による網膜障害の事例も報告されている。溶接アークは、紫外、可視、赤外の広い波長範囲に光を同時に放射するが、そのスペクトルの形は、一般に、溶接法や条件によって異なる。
【0007】
TIG方式、MIG方式、MAG方式のいずれの方式においても、従来の溶接観察装置においては、光学的なダイナミックレンジが狭く、溶接時において、溶接部の高輝度部分と、溶接部の周辺部分の暗部との間で、同時に観察することが難しいという問題点がある。
【0008】
上記問題点を解決するために、電子式画像合成などを使用する従来の溶接観察装置においては、装置が大きく、複雑となり、取り付けにくく、高価である。
【0009】
上記問題点を解決するために、レーザ照明などの高輝度照明を利用する従来の溶接観察装置においては、装置が大きく、取り付けにくく、高価であると同時に、レーザ照明ではカラー化できず、アーク部分を観察できないという問題点がある。
【0010】
上記問題点を解決するために、ND(Neutral Density)フィルタを使用する従来の溶接観察装置においては、カラー画像が鮮明に得ることができず、溶接部の周辺部分の暗部が観察できないという問題点がある。
【0011】
上記問題点を解決するために、部分フィルタを使用する従来の溶接観察装置においては、画面構成上、部分フィルタを配置するための位置を固定する必要がある。
【0012】
アーク溶接をビデオ観察するための装置および方法については、既に開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
特許文献1においては、アーク溶接環境下において発生する様々な光をフィルタリングためのレンズ構成およびシステムが開示されている。特許文献1に係るシステムにおいては、アーク溶接時に発生する溶接部の高輝度光のコントラストを劇的に低減化して、適切な遠隔監視を可能としている。具体的には、フォトクロミックレンズ(Photochromic Lens)を使用して、アーク溶接部のネガティブイメージを形成する。特許文献1に係るシステムにおいては、フォトクロミックレンズを使用して形成するアーク溶接部のネガティブイメージは、フォトクロミックレンズ上に照射されて結像する溶接部の輝度を低減化するための濃度可光学フィルタとして機能する。特許文献1に係るシステムにおいては、まず第1のレンズを使用して、フォトクロミックレンズ上にアーク溶接部の光を集光・結像させ、次に、第2のレンズを使用して、紫外光を除去してカメラに入力する画像を形成している。
【0014】
フォトクロミックレンズを使用する上記特許文献1のシステムにおいては、高性能のフォトクロミックフィルタ(PCF:Photochromic Filter)が必要であり、しかも焦点がずれると減光性能が急激に低下するという問題点がある。
【特許文献1】米国特許第5255088号明細書(FIG.2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系として、テレセントリック光学系とPCFによる部分減光を使用し、PCF上で結像させず、PCF上から焦点がずれても減光性能を確保でき、溶接状態のモニタリングが良好な溶接観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、前記対物光学系により集光した光を導光するテレセントリック光学系と、前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、前記第3波長フィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を、部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0019】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、前記対物光学系により集光した光を導光するイメージファイバと、前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部とを備え、前記フォトクロミックフィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、前記イメージファイバによって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部とを備え、前記第3波長フィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0021】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部とを備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより、
前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の溶接観察装置によれば、溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系を有することによって、溶接状態のモニタリングを良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0024】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。また、図2は、本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置は、図1に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光する対物光学系(1)と、対物光学系(1)により集光した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、PCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0027】
又、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置は、図1に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、波長フィルタ2を透過した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、第3波長フィルタ6により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0028】
或いはまた、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置は、図1に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、波長フィルタ2を透過した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、第3波長フィルタ6およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0029】
図1において、対物光学系は、ウィンドウユニット1を備え、スペーサ44内に配置されている。テレセントリック光学系は、対物レンズ3を備え、レンズホルダ46内に収納されている。48はボディ、50はカメラヘッド、7はローパスフィルタを示す。
【0030】
本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置は、図2に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、波長フィルタ2を透過した光を導光する対物レンズ3と、対物レンズ3によって導光された光が結像するPCF4と、PCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、第3波長フィルタ6およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0031】
本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置においては、テレセントリック光学系を使用していない。対物レンズ3によって導光された光がPCF4面上に結像することから、高性能のPCF4を使用すれば、アーク溶接部8からの光を、劇的なコントラストで減光することが可能である。しかしながら、対物レンズ3によって導光された光がPCF4面上に結像することから、わずかでも焦点がずれた場合には、焦点深度が浅い構成のため、減光特性が急激に劣化してしまう。
【0032】
一方、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置においては、図1に示すように、テレセントリック光学系を使用することで、焦点深度が深くなり、劇的なコントラストで減光することはできないが、カラー化画像が得られる、広いダイナミックレンジ特性が得られる、低価格のPCFを複数枚重ねて部分減光可能など、様々な高機能化を実現することができる。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的光路図を示す。図3は、図1に示された本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に対応している。
【0034】
ウィンドウユニット1は、全光量の調整を行なう機能を備える。対物レンズ3と共に、テレセントリック光学系の一部を構成しているものと見ることもできる。
【0035】
第1波長フィルタ2は、紫外光(UV)を透過し、可視光(VIS)を吸収あるいは反射する性能を有する。図5は、第1波長フィルタ2のフィルタリング特性例(200nm〜500nm)、図6は、第1波長フィルタ2のフィルタリング特性例(200nm〜2000nm)を示す。
【0036】
対物レンズ3は、結像用のレンズであるが、UV光、VIS光のいずれも透過可能である。
【0037】
PCF4は、UV光により部分的に濃度変化し、VIS光をマスクする性能を備える。
【0038】
第2波長フィルタ5は、固体撮像装置9の保護のために、UV光を反射し、VIS光を透過する性能を有する。図7は、第2波長フィルタ5のフィルタリング特性例を示す。
【0039】
第3波長フィルタ6は、赤外(IR)光を反射し、VIS光を透過する性能を有する。図8は、第3波長フィルタ6のフィルタリング特性例を示す。第3波長フィルタ6は、波長選択のためのフィルタであり、例えば図8に示すように、窓波長を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0040】
(CCDカメラの性能)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する固体撮像装置として、電荷転送素子(CCD:Charge Coupled Device)の出力信号と分光放射照度との関係を説明する模式図である。
【0041】
TIG、MIG、MAGなどのアーク溶接ではアークの部分が非常に明るいため、通常のCCDカメラでは、ダイナミックレンジが足りないため、アークとワークを同時に観察することができない。
【0042】
すなわち、図11に示すように、CCD出力信号は、暗電流Isnで決まる分光放射強度P0と、飽和出力信号ISATで決まる分光放射強度P1の範囲で略リニアなダイナミックレンジが得られる.
CCD出力信号は、分光放射強度P1で飽和出力信号ISATとなり、分光放射強度がP1よりも大きなP2では、飽和出力信号ISATに固定されてしまい、広いダイナミックレンジにおいて期待される出力信号IPOを得ることができない。
【0043】
本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置においては、カラー化、カメラの小型化を維持するために、PCFという紫外線によって可視領域での濃度が変化するフィルタを使用する。TIGや、MIG、MAGの溶接では、アークに部分から多量の紫外線が放射されるため、PCFを用いて、PCFを部分的に黒くして、可視光領域で減光させている。
【0044】
本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置においては、紫外画像を、PCF上には結像させない。レンズはテレセントリック光学系を使用し、紫外光、および可視光の光線束は、PCF全体に広がらず、部分的に小さく透過していく。このため、本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置ほどコントラストがシャープではないが、紫外光の強い光の部分、すなわちアークの部分を、空間的に、部分的に減光することができる。このため、PCFの濃度変化率が低くても、PCFを複数枚重ねることによって、減光特性を強化することができる。TIG溶接などでは、良好な観察結果が得られており、例えば、視野径約40mm、ワーキングディスタンス(WD)は、150mm程度の溶接観察装置が得られている。
【0045】
溶接アークは、紫外、可視、赤外の広い波長範囲に光を同時に放射するが、そのスペクトルの形は、一般に、溶接法や条件によって異なる。
【0046】
発生する光のスペクトル(波長分布)の例を図12および図13に示す。
【0047】
図12は、軟鋼のMAG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例であり、アークから距離約1mの位置における分光放射照度を示す。線スペクトルのほとんどが鉄(Fe)によるもので、軟鋼およびステンレス鋼の溶接の場合には、これと似た形のスペクトルとなる。
【0048】
図13は、アルミニウム合金のMIG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例であり、アークから距離約1mの位置における分光放射照度を示す。線スペクトルのほとんどがアルミニウム、マグネシウム、アルゴンによるものである。
【0049】
図14は、MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、カラーフィルタの窓領域の存在を説明する図であり、図15は、MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、単色光の窓領域の存在を説明する図である。
【0050】
また、図16は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の撮影例であり、図17は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察した別のアーク溶接時の撮影例である。
【0051】
さらに、図18は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の高輝度部分の拡大図である。
【0052】
(第1の実施の形態の変形例)
図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。例えば、MIG、MAGなどの溶接において、ハイパワー光、パルス光などを観察する場合には、空間的な減光だけでは、アーク光を減光しきれない場合(減光特性が足りない場合)に、波長域で遮光する方法を組み合わせることが有効である。
【0053】
本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図4に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、第1波長フィルタ2を透過した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,80)と、第2および第3波長フィルタ(5,80)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、第3波長フィルタ80およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0054】
図1に示した本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置との差異は、第3波長フィルタ80の特性が異なることである。
【0055】
本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0056】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応して、狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0057】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光することもできる。
【0058】
すなわち、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図14に示すアーク溶接時の発光スペクトルにおいて、BGRで示すように、アーク放射強度の少ない部分を窓として、他の波長領域を波長フィルタで減光することができる。
【0059】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図14に示すアーク溶接時の発光スペクトルにおいて、BGRの複数の窓波長を透過するフィルタを使用し、これによって、カラー画像を得ることもできる。この場合には、CCDカメラ側において、色補正手段を設けることも必要となる。
【0060】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図15に示すように、波長域として、例えば600nm〜700nm程度の範囲をバンドパスフィルタで選択的に観察することができる。バンド幅は、狭く設定することもでき、あるいは上記範囲で広く設定することもできる。
【0061】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、別の波長として、赤外領域の光を利用することもできる。
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、PCFを使用せず、波長フィルタのみを使用することもできる。
【0062】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置は、アーク溶接部8は、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、あるいは炭酸ガス溶接に適用可能である。
【0063】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置において、PCFは、モジュール化され交換可能な構造を備えることも可能である。
【0064】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置は、アーク溶接機に適用することができる。
【0065】
本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置によれば、光学系だけで構成することができるため、コンパクト化され、取り付けスペースをとらないため、省スペース化可能である。
【0066】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置は部品点数が少ないため、低コスト化を実現することができる。
【0067】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置においては、PCFを重ねて使用できるため、紫外光量に対する可視濃度が変化するように、フィルタ性能が劣っていても、また厚さが大きくても十分に使用可能である。
【0068】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置によれば、カラー観察を実現することができる。
【0069】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置によれば、アーク部分(明るい部分)とワーク部分(暗い部分)の同時観察を実現することができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。また、図10は、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の全体構成を示す。
【0071】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の全体構成は、図10に示すように、対物光学系52と、対物光学系52に接続されるイメージファイバ54と、イメージファイバ54に接続されるカメラ部56と、カメラ部56に接続されるカメラ制御部60とを有する。
【0072】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置においては、第1の実施の形態におけるテレセントリック光学系(3)をイメージファイバ54で置換した構成を有し、その他の構成は、第1の実施の形態に係る溶接観察装置と同様である。このため、各部の詳細な構成は、重複するため説明を省略する。
【0073】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、図9に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光する対物光学系52と、対物光学系52により集光した光を導光するイメージファイバ54と、イメージファイバ54によって導光された光を照射するPCF4,PCF4を透過した光を受光する固体撮像装置9を有するカメラ部56とを備え、PCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0074】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系52と、第1波長フィルタ2を透過した光を導光するイメージファイバ54と、イメージファイバ54によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを有するカメラ部56とを備え、第3波長フィルタ6により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0075】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系52と、第1波長フィルタ2を透過した光を導光するイメージファイバ54と、イメージファイバ54によって導光された光を照射するPCF4とPCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置9とを有するカメラ部56とを備え、第3波長フィルタ6およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0076】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0077】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応した狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0078】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光することもできる。
【0079】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、赤外光バンドパスフィルタを使用して、赤外光を観察することもできる。
【0080】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、あるいは炭酸ガス溶接に適用可能である。
【0081】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置においては、PCF4は、モジュール化され交換可能な構造を備えることも可能である。
【0082】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、アーク溶接機に適用することができる。
【0083】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、電子機器(カメラ部)への熱伝導を遮断することができ、また、冷却ジャケットの取り付けが難しい場合に適用することができる。耐熱温度としては、例えば約150℃である。
【0084】
イメージファイバ54は、石英系のイメージファイバを適用することができ、例えば、画素数としては、約3万画素程度である。
【0085】
本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置によれば、光学系だけで構成することができるため、コンパクト化され、取り付けスペースをとらないため、省スペース化可能である。
【0086】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置は部品点数が少ないため、低コスト化を実現することができる。
【0087】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置においては、PCFを重ねて使用できるため、紫外光量に対する可視濃度が変化するフィルタ性能が劣っていても、また厚さが大きくても十分に使用可能である。
【0088】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置によれば、カラー観察を実現することができる。
【0089】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置によれば、アーク部分(明るい部分)とワーク部分(暗い部分)の同時観察を実現することができる。
【0090】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1乃至第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0091】
本発明は第1乃至第2の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する固体撮像装置は、CCDに限定されず、CMOSイメージセンサ、アモルファスイメージセンサ、MOS型イメージセンサなど、他の方式のイメージセンサを適用することも可能である。
【0092】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の実施の形態に係る溶接観察装置は、溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系に特徴を有し、溶接状態のモニタリングが良好にすることができることから、MIG、MAG、CO2溶接における溶接監視装置や、自動溶接機などへの組み込みに最適である。さらに、本発明の実施の形態に係る溶接観察装置は、アークランプ(Xe、メタルハライドなど)、ファイバ融着機、プラズマを使用した装置の観察装置としても適用可能である。さらに、本発明の実施の形態に係る溶接観察装置は、溶接装置の制御装置、溶接部の検査装置としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の光路図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第1波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第1波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第2波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第3波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の全体構成図。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する固体撮像装置(CCD)のCCD出力信号と分光放射照度との関係を説明する模式図。
【図12】軟鋼のMAG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例。
【図13】アルミニウム合金のMIG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例。
【図14】MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、カラーフィルタの窓領域の存在を説明する図。
【図15】MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、単色光の窓領域の存在を説明する図。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の撮影図。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察した別のアーク溶接時の撮影図。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の高輝度部分の拡大図。
【符号の説明】
【0095】
1…ウィンドウユニット
2…第1波長フィルタ
3…対物レンズ
4…フォトクロミックフィルタユニット
5…第2波長フィルタ
6、80…第3波長フィルタ
7…ローパスフィルタ
8…アーク溶接部
9…固体撮像装置(CCD)
44…スペーサ
46…レンズホルダ
48…ボディ
50…カメラヘッド
52…対物光学系
54…イメージファイバ
56…カメラ部
60…カメラ制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接観察装置に関し、特に溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系に特徴を有する溶接観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接には、例えば、ティグ方式(TIG:Tungsten Inert Gas Welding)、ミグ方式(MIG:Metal Inert Gas Welding)、マグ方式(MAG:Metal Active Gas Welding)などがある。また、CO2ガスアーク溶接方式(MAG)などもある。
【0003】
TIG方式は、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で、タングステン電極と母材間にアークを発生させて、このアーク熱を利用して母材と溶接棒(または溶加棒)を溶融させて溶接する方法である。タングステン電極はアークを発生させるだけで、自らは溶融移行しない。
【0004】
MAG方式においては、溶接が開始されると、溶接ワイヤが連続的に供給され、溶接ワイヤと母材間に発生したアークが持続されて、溶接が進行する。溶接ワイヤは、アークを発生する電極であると同時に、そのアーク熱によって、自らも溶融して溶接金属を形成する。この際、溶接トーチ先端部のノズルより流出するシールドガスによって、溶接金属を遮蔽し、大気の悪影響を防止しているが、このシールドガスとしては、CO2ガス、アルゴンガス、アルゴンガスにCO2ガスを混合したガスなどが用いられる。MAG溶接という用語は、シールドガスの種類、特性を考慮して定義されたものであり、溶接法としての原理は、MIG溶接やCO2ガスアーク溶接と同じである。
【0005】
MIG方式の原理はMAG方式と同じであるが、シールドガスの種類として、アルゴンやヘリウム(またはこれらの混合ガス)などのイナートガス(不活性ガス)を使用し、あるいはこれにCO2ガスや酸素などのアクティブガス(活性ガス)を少量添加したものを使用する。
【0006】
アーク溶接のアークは、一般に強い光、特に紫外放射と可視光を放射するため、作業現場ではこの紫外放射によって多くの角膜炎、結膜炎が発生している。また、可視光による網膜障害の事例も報告されている。溶接アークは、紫外、可視、赤外の広い波長範囲に光を同時に放射するが、そのスペクトルの形は、一般に、溶接法や条件によって異なる。
【0007】
TIG方式、MIG方式、MAG方式のいずれの方式においても、従来の溶接観察装置においては、光学的なダイナミックレンジが狭く、溶接時において、溶接部の高輝度部分と、溶接部の周辺部分の暗部との間で、同時に観察することが難しいという問題点がある。
【0008】
上記問題点を解決するために、電子式画像合成などを使用する従来の溶接観察装置においては、装置が大きく、複雑となり、取り付けにくく、高価である。
【0009】
上記問題点を解決するために、レーザ照明などの高輝度照明を利用する従来の溶接観察装置においては、装置が大きく、取り付けにくく、高価であると同時に、レーザ照明ではカラー化できず、アーク部分を観察できないという問題点がある。
【0010】
上記問題点を解決するために、ND(Neutral Density)フィルタを使用する従来の溶接観察装置においては、カラー画像が鮮明に得ることができず、溶接部の周辺部分の暗部が観察できないという問題点がある。
【0011】
上記問題点を解決するために、部分フィルタを使用する従来の溶接観察装置においては、画面構成上、部分フィルタを配置するための位置を固定する必要がある。
【0012】
アーク溶接をビデオ観察するための装置および方法については、既に開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
特許文献1においては、アーク溶接環境下において発生する様々な光をフィルタリングためのレンズ構成およびシステムが開示されている。特許文献1に係るシステムにおいては、アーク溶接時に発生する溶接部の高輝度光のコントラストを劇的に低減化して、適切な遠隔監視を可能としている。具体的には、フォトクロミックレンズ(Photochromic Lens)を使用して、アーク溶接部のネガティブイメージを形成する。特許文献1に係るシステムにおいては、フォトクロミックレンズを使用して形成するアーク溶接部のネガティブイメージは、フォトクロミックレンズ上に照射されて結像する溶接部の輝度を低減化するための濃度可光学フィルタとして機能する。特許文献1に係るシステムにおいては、まず第1のレンズを使用して、フォトクロミックレンズ上にアーク溶接部の光を集光・結像させ、次に、第2のレンズを使用して、紫外光を除去してカメラに入力する画像を形成している。
【0014】
フォトクロミックレンズを使用する上記特許文献1のシステムにおいては、高性能のフォトクロミックフィルタ(PCF:Photochromic Filter)が必要であり、しかも焦点がずれると減光性能が急激に低下するという問題点がある。
【特許文献1】米国特許第5255088号明細書(FIG.2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系として、テレセントリック光学系とPCFによる部分減光を使用し、PCF上で結像させず、PCF上から焦点がずれても減光性能を確保でき、溶接状態のモニタリングが良好な溶接観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、前記対物光学系により集光した光を導光するテレセントリック光学系と、前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、前記第3波長フィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を、部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0019】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、前記対物光学系により集光した光を導光するイメージファイバと、前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部とを備え、前記フォトクロミックフィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、前記イメージファイバによって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部とを備え、前記第3波長フィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【0021】
本発明の他の態様によれば、アーク溶接部と、前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部とを備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより、
前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の溶接観察装置によれば、溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系を有することによって、溶接状態のモニタリングを良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0024】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。また、図2は、本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置は、図1に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光する対物光学系(1)と、対物光学系(1)により集光した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、PCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0027】
又、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置は、図1に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、波長フィルタ2を透過した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、第3波長フィルタ6により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0028】
或いはまた、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置は、図1に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、波長フィルタ2を透過した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置とを備え、第3波長フィルタ6およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0029】
図1において、対物光学系は、ウィンドウユニット1を備え、スペーサ44内に配置されている。テレセントリック光学系は、対物レンズ3を備え、レンズホルダ46内に収納されている。48はボディ、50はカメラヘッド、7はローパスフィルタを示す。
【0030】
本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置は、図2に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、波長フィルタ2を透過した光を導光する対物レンズ3と、対物レンズ3によって導光された光が結像するPCF4と、PCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、第3波長フィルタ6およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0031】
本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置においては、テレセントリック光学系を使用していない。対物レンズ3によって導光された光がPCF4面上に結像することから、高性能のPCF4を使用すれば、アーク溶接部8からの光を、劇的なコントラストで減光することが可能である。しかしながら、対物レンズ3によって導光された光がPCF4面上に結像することから、わずかでも焦点がずれた場合には、焦点深度が浅い構成のため、減光特性が急激に劣化してしまう。
【0032】
一方、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置においては、図1に示すように、テレセントリック光学系を使用することで、焦点深度が深くなり、劇的なコントラストで減光することはできないが、カラー化画像が得られる、広いダイナミックレンジ特性が得られる、低価格のPCFを複数枚重ねて部分減光可能など、様々な高機能化を実現することができる。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的光路図を示す。図3は、図1に示された本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に対応している。
【0034】
ウィンドウユニット1は、全光量の調整を行なう機能を備える。対物レンズ3と共に、テレセントリック光学系の一部を構成しているものと見ることもできる。
【0035】
第1波長フィルタ2は、紫外光(UV)を透過し、可視光(VIS)を吸収あるいは反射する性能を有する。図5は、第1波長フィルタ2のフィルタリング特性例(200nm〜500nm)、図6は、第1波長フィルタ2のフィルタリング特性例(200nm〜2000nm)を示す。
【0036】
対物レンズ3は、結像用のレンズであるが、UV光、VIS光のいずれも透過可能である。
【0037】
PCF4は、UV光により部分的に濃度変化し、VIS光をマスクする性能を備える。
【0038】
第2波長フィルタ5は、固体撮像装置9の保護のために、UV光を反射し、VIS光を透過する性能を有する。図7は、第2波長フィルタ5のフィルタリング特性例を示す。
【0039】
第3波長フィルタ6は、赤外(IR)光を反射し、VIS光を透過する性能を有する。図8は、第3波長フィルタ6のフィルタリング特性例を示す。第3波長フィルタ6は、波長選択のためのフィルタであり、例えば図8に示すように、窓波長を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0040】
(CCDカメラの性能)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する固体撮像装置として、電荷転送素子(CCD:Charge Coupled Device)の出力信号と分光放射照度との関係を説明する模式図である。
【0041】
TIG、MIG、MAGなどのアーク溶接ではアークの部分が非常に明るいため、通常のCCDカメラでは、ダイナミックレンジが足りないため、アークとワークを同時に観察することができない。
【0042】
すなわち、図11に示すように、CCD出力信号は、暗電流Isnで決まる分光放射強度P0と、飽和出力信号ISATで決まる分光放射強度P1の範囲で略リニアなダイナミックレンジが得られる.
CCD出力信号は、分光放射強度P1で飽和出力信号ISATとなり、分光放射強度がP1よりも大きなP2では、飽和出力信号ISATに固定されてしまい、広いダイナミックレンジにおいて期待される出力信号IPOを得ることができない。
【0043】
本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置においては、カラー化、カメラの小型化を維持するために、PCFという紫外線によって可視領域での濃度が変化するフィルタを使用する。TIGや、MIG、MAGの溶接では、アークに部分から多量の紫外線が放射されるため、PCFを用いて、PCFを部分的に黒くして、可視光領域で減光させている。
【0044】
本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置においては、紫外画像を、PCF上には結像させない。レンズはテレセントリック光学系を使用し、紫外光、および可視光の光線束は、PCF全体に広がらず、部分的に小さく透過していく。このため、本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置ほどコントラストがシャープではないが、紫外光の強い光の部分、すなわちアークの部分を、空間的に、部分的に減光することができる。このため、PCFの濃度変化率が低くても、PCFを複数枚重ねることによって、減光特性を強化することができる。TIG溶接などでは、良好な観察結果が得られており、例えば、視野径約40mm、ワーキングディスタンス(WD)は、150mm程度の溶接観察装置が得られている。
【0045】
溶接アークは、紫外、可視、赤外の広い波長範囲に光を同時に放射するが、そのスペクトルの形は、一般に、溶接法や条件によって異なる。
【0046】
発生する光のスペクトル(波長分布)の例を図12および図13に示す。
【0047】
図12は、軟鋼のMAG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例であり、アークから距離約1mの位置における分光放射照度を示す。線スペクトルのほとんどが鉄(Fe)によるもので、軟鋼およびステンレス鋼の溶接の場合には、これと似た形のスペクトルとなる。
【0048】
図13は、アルミニウム合金のMIG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例であり、アークから距離約1mの位置における分光放射照度を示す。線スペクトルのほとんどがアルミニウム、マグネシウム、アルゴンによるものである。
【0049】
図14は、MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、カラーフィルタの窓領域の存在を説明する図であり、図15は、MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、単色光の窓領域の存在を説明する図である。
【0050】
また、図16は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の撮影例であり、図17は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察した別のアーク溶接時の撮影例である。
【0051】
さらに、図18は、本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の高輝度部分の拡大図である。
【0052】
(第1の実施の形態の変形例)
図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。例えば、MIG、MAGなどの溶接において、ハイパワー光、パルス光などを観察する場合には、空間的な減光だけでは、アーク光を減光しきれない場合(減光特性が足りない場合)に、波長域で遮光する方法を組み合わせることが有効である。
【0053】
本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図4に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系と、第1波長フィルタ2を透過した光を導光するテレセントリック光学系(3)と、テレセントリック光学系(3)によって導光された光を照射するPCF4と、PCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,80)と、第2および第3波長フィルタ(5,80)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを備え、第3波長フィルタ80およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0054】
図1に示した本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置との差異は、第3波長フィルタ80の特性が異なることである。
【0055】
本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0056】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応して、狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0057】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光することもできる。
【0058】
すなわち、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図14に示すアーク溶接時の発光スペクトルにおいて、BGRで示すように、アーク放射強度の少ない部分を窓として、他の波長領域を波長フィルタで減光することができる。
【0059】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図14に示すアーク溶接時の発光スペクトルにおいて、BGRの複数の窓波長を透過するフィルタを使用し、これによって、カラー画像を得ることもできる。この場合には、CCDカメラ側において、色補正手段を設けることも必要となる。
【0060】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、図15に示すように、波長域として、例えば600nm〜700nm程度の範囲をバンドパスフィルタで選択的に観察することができる。バンド幅は、狭く設定することもでき、あるいは上記範囲で広く設定することもできる。
【0061】
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、別の波長として、赤外領域の光を利用することもできる。
また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置は、PCFを使用せず、波長フィルタのみを使用することもできる。
【0062】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置は、アーク溶接部8は、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、あるいは炭酸ガス溶接に適用可能である。
【0063】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置において、PCFは、モジュール化され交換可能な構造を備えることも可能である。
【0064】
また、本発明の第1の実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置は、アーク溶接機に適用することができる。
【0065】
本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置によれば、光学系だけで構成することができるため、コンパクト化され、取り付けスペースをとらないため、省スペース化可能である。
【0066】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置は部品点数が少ないため、低コスト化を実現することができる。
【0067】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置においては、PCFを重ねて使用できるため、紫外光量に対する可視濃度が変化するように、フィルタ性能が劣っていても、また厚さが大きくても十分に使用可能である。
【0068】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置によれば、カラー観察を実現することができる。
【0069】
また、本発明の第1に実施の形態およびその変形例に係る溶接観察装置によれば、アーク部分(明るい部分)とワーク部分(暗い部分)の同時観察を実現することができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造を示す。また、図10は、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の全体構成を示す。
【0071】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の全体構成は、図10に示すように、対物光学系52と、対物光学系52に接続されるイメージファイバ54と、イメージファイバ54に接続されるカメラ部56と、カメラ部56に接続されるカメラ制御部60とを有する。
【0072】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置においては、第1の実施の形態におけるテレセントリック光学系(3)をイメージファイバ54で置換した構成を有し、その他の構成は、第1の実施の形態に係る溶接観察装置と同様である。このため、各部の詳細な構成は、重複するため説明を省略する。
【0073】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、図9に示すように、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光する対物光学系52と、対物光学系52により集光した光を導光するイメージファイバ54と、イメージファイバ54によって導光された光を照射するPCF4,PCF4を透過した光を受光する固体撮像装置9を有するカメラ部56とを備え、PCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0074】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系52と、第1波長フィルタ2を透過した光を導光するイメージファイバ54と、イメージファイバ54によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と第2および第3波長フィルタ(5,6)を透過した光を受光する固体撮像装置9とを有するカメラ部56とを備え、第3波長フィルタ6により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0075】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、アーク溶接部8と、アーク溶接部8からの光を集光するウィンドウユニット1とウィンドウユニット1により集光した光を照射する第1波長フィルタ2とを備える対物光学系52と、第1波長フィルタ2を透過した光を導光するイメージファイバ54と、イメージファイバ54によって導光された光を照射するPCF4とPCF4を透過した光を照射する第2および第3波長フィルタ(5,6)と、第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置9とを有するカメラ部56とを備え、第3波長フィルタ6およびPCF4により、アーク溶接部8からの光を部分減光する。
【0076】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0077】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応した狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化することもできる。
【0078】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光することもできる。
【0079】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、第3波長フィルタとして、赤外光バンドパスフィルタを使用して、赤外光を観察することもできる。
【0080】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、あるいは炭酸ガス溶接に適用可能である。
【0081】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置においては、PCF4は、モジュール化され交換可能な構造を備えることも可能である。
【0082】
また、本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、アーク溶接機に適用することができる。
【0083】
本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置は、電子機器(カメラ部)への熱伝導を遮断することができ、また、冷却ジャケットの取り付けが難しい場合に適用することができる。耐熱温度としては、例えば約150℃である。
【0084】
イメージファイバ54は、石英系のイメージファイバを適用することができ、例えば、画素数としては、約3万画素程度である。
【0085】
本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置によれば、光学系だけで構成することができるため、コンパクト化され、取り付けスペースをとらないため、省スペース化可能である。
【0086】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置は部品点数が少ないため、低コスト化を実現することができる。
【0087】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置においては、PCFを重ねて使用できるため、紫外光量に対する可視濃度が変化するフィルタ性能が劣っていても、また厚さが大きくても十分に使用可能である。
【0088】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置によれば、カラー観察を実現することができる。
【0089】
また、本発明の第2に実施の形態に係る溶接観察装置によれば、アーク部分(明るい部分)とワーク部分(暗い部分)の同時観察を実現することができる。
【0090】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1乃至第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0091】
本発明は第1乃至第2の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する固体撮像装置は、CCDに限定されず、CMOSイメージセンサ、アモルファスイメージセンサ、MOS型イメージセンサなど、他の方式のイメージセンサを適用することも可能である。
【0092】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の実施の形態に係る溶接観察装置は、溶接アーク放電下において、溶接状態を確認するためにアーク放電光をフィルタリングする光学系に特徴を有し、溶接状態のモニタリングが良好にすることができることから、MIG、MAG、CO2溶接における溶接監視装置や、自動溶接機などへの組み込みに最適である。さらに、本発明の実施の形態に係る溶接観察装置は、アークランプ(Xe、メタルハライドなど)、ファイバ融着機、プラズマを使用した装置の観察装置としても適用可能である。さらに、本発明の実施の形態に係る溶接観察装置は、溶接装置の制御装置、溶接部の検査装置としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の比較例に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置の光路図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第1波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第1波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第2波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する第3波長フィルタのフィルタリング特性例。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の模式的断面構造図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る溶接観察装置の全体構成図。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置に適用する固体撮像装置(CCD)のCCD出力信号と分光放射照度との関係を説明する模式図。
【図12】軟鋼のMAG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例。
【図13】アルミニウム合金のMIG溶接における分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)を示す一例。
【図14】MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、カラーフィルタの窓領域の存在を説明する図。
【図15】MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接の分光放射照度と波長との関係(発光スペクトル)と、単色光の窓領域の存在を説明する図。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の撮影図。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察した別のアーク溶接時の撮影図。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る溶接観察装置を用いて観察したアーク溶接時の高輝度部分の拡大図。
【符号の説明】
【0095】
1…ウィンドウユニット
2…第1波長フィルタ
3…対物レンズ
4…フォトクロミックフィルタユニット
5…第2波長フィルタ
6、80…第3波長フィルタ
7…ローパスフィルタ
8…アーク溶接部
9…固体撮像装置(CCD)
44…スペーサ
46…レンズホルダ
48…ボディ
50…カメラヘッド
52…対物光学系
54…イメージファイバ
56…カメラ部
60…カメラ制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、
前記対物光学系により集光した光を導光するテレセントリック光学系と、
前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、
前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置と
を備え、前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項2】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、
前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、
前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置と
を備え、前記第3波長フィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項3】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、
前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、
前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、
前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置と
を備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項4】
前記第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項5】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応した狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項6】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光したことを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項7】
前記第3波長フィルタとして、赤外光バンドパスフィルタを使用して、赤外光を観察することを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項8】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、
前記対物光学系により集光した光を導光するイメージファイバと、
前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部と
を備え、前記フォトクロミックフィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項9】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、
前記イメージファイバによって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部と
を備え、前記第3波長フィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項10】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、
前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、
前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部と
を備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項11】
前記第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項12】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応した狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項13】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光したことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項14】
前記第3波長フィルタとして、赤外光バンドパスフィルタを使用して、赤外光を観察することを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項15】
前記アーク溶接部は、TIG溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項16】
前記アーク溶接部は、MIG溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項17】
前記アーク溶接部は、MAG溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項18】
前記アーク溶接部は、炭酸ガス溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項19】
前記フォトクロミックフィルタは、モジュール化され交換可能な構造を備えることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項20】
前記請求項1〜19のいずれかに記載の溶接観察装置を備えるアーク溶接機。
【請求項1】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、
前記対物光学系により集光した光を導光するテレセントリック光学系と、
前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、
前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置と
を備え、前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項2】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、
前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、
前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置と
を備え、前記第3波長フィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項3】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するテレセントリック光学系と、
前記テレセントリック光学系によって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、
前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、
前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置と
を備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項4】
前記第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項5】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応した狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項6】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光したことを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項7】
前記第3波長フィルタとして、赤外光バンドパスフィルタを使用して、赤外光を観察することを特徴とする請求項2または3に記載の溶接観察装置。
【請求項8】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光する対物光学系と、
前記対物光学系により集光した光を導光するイメージファイバと、
前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、前記フォトクロミックフィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部と
を備え、前記フォトクロミックフィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項9】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、
前記イメージファイバによって導光された光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部と
を備え、前記第3波長フィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項10】
アーク溶接部と、
前記アーク溶接部からの光を集光するウィンドウユニットと前記ウィンドウユニットにより集光した光を照射する第1波長フィルタとを備える対物光学系と、
前記第1波長フィルタを透過した光を導光するイメージファイバと、
前記イメージファイバによって導光された光を照射するフォトクロミックフィルタと、
前記フォトクロミックフィルタを透過した光を照射する第2および第3波長フィルタと、前記第2および第3波長フィルタを透過した光を受光する固体撮像装置とを有するカメラ部と
を備え、前記第3波長フィルタおよび前記フォトクロミックフィルタにより、前記アーク溶接部からの光を部分減光することを特徴とする溶接観察装置。
【請求項11】
前記第3波長フィルタとして、RGBの3波長カラーフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項12】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応した狭帯域化したRGBバンドパスフィルタを使用して、カラー化したことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項13】
前記第3波長フィルタとして、前記アーク溶接の発光スペクトルの窓波長に対応したバンドパスフィルタを使用して単色化して減光したことを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項14】
前記第3波長フィルタとして、赤外光バンドパスフィルタを使用して、赤外光を観察することを特徴とする請求項9または10に記載の溶接観察装置。
【請求項15】
前記アーク溶接部は、TIG溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項16】
前記アーク溶接部は、MIG溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項17】
前記アーク溶接部は、MAG溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項18】
前記アーク溶接部は、炭酸ガス溶接により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項19】
前記フォトクロミックフィルタは、モジュール化され交換可能な構造を備えることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の溶接観察装置。
【請求項20】
前記請求項1〜19のいずれかに記載の溶接観察装置を備えるアーク溶接機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−260055(P2008−260055A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106651(P2007−106651)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000150981)日酸TANAKA株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000150981)日酸TANAKA株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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