溶融金属中の水素濃度を測定する装置及び方法
溶融金属中の水素濃度を測定するためのプローブは、プローブボディーと水素センサを具備する。センサ構造は、内部に封止された空洞が画成される壁を有するセンサボディーに基づいている。空洞は、空洞の内部に基準分圧の水素を発生するための固体基準物質を含む。空洞の壁の少なくとも一部は固体電解質物質から形成され、固体電解質物質は空洞の外側の固体電解質の表面上の測定電極と、空洞の内部の固体電解質の表面上の、基準分圧の水素に晒される基準電極とを支持する。電気導体は、基準電極から空洞の壁を貫いてセンサボディーの外側表面へ延びている。プローブボディーは、センサを収納するためのチャンバと、センサがチャンバに収納されたときに電気導体に結合するための基準信号コネクションを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素濃度を測定するための装置及び方法に関し、詳細には溶融金属中の溶解水素濃度を測定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融金属、特に溶融アルミニウム及びその合金中の溶解水素濃度をモニタすることは重要である。溶融アルミニウム中の水素の溶解度は固体アルミニウム中の溶解度よりも大幅に高く、したがって、アルミニウムを鋳造したときにメルト中に溶解した水素が固体のアルミニウム製品に泡やその他の欠陥を生ずる傾向がある。溶融アルミニウム中の水素濃度はアルミニウムと環境中の水分の反応によって増加することがあり、アルミニウム鋳造時に水素濃度をモニタできることは決定的に重要である。
【0003】
溶融アルミニウムとその合金、及びその他の金属中の水素濃度をモニタするために多くの方法が開発されているが、それらの方法はいずれも、精度の不足、扱い難い装置を必要とするなどの欠点があり、測定に時間がかかるという欠点もある。これらの問題に解を提供する一つのテクノロジは、内部固体水素基準を用いるプロトン伝導固体電解質センサの実現性である。このテクノロジは公開された従来技術に記載されている。例えば、D P Lapham等による‘溶融アルミニウム中の水素の検出’、Ionics 8 (2002), ページ391から401、C Schwandt等による‘電気化学センサを使用する溶融アルミニウムとその合金中の水素の測定’、EPD Congress 2003, TMS (The Minerals, Metals and Materials Society), 2003、ページ427から438、及びケンブリッジ大学Technical Service Limitedの2003年英国特許出願第003967号明細書などに記載されている。これらの文献はすべて引用によって全体が本明細書に組み込まれる。‘逆電流法’と呼ばれるこのようなプローブによって測定する有利な方法がD J Fray and R V Kumarによる欧州特許出願第98932375.3号明細書に記載されており、これも引用によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
しかし、このテクノロジはこれまでのところ、鋳物工場の生産現場で使用するための実際的な要件を満たす水素プローブを生み出すまでには開発されていない。本発明はこの問題に対処することを目的とするものである。
【発明の開示】
【0005】
本発明はいろいろな態様において、添付の独立クレームに規定されるようなプローブ、水素センサ、及び方法を提供する。発明の好ましい又は有利な特徴は従属するサブクレームで規定される。
【0006】
第一の態様で、本発明は有利な形でプローブボディーと水素センサを具備するプローブを提供できる。センサは、プロトン伝導性固体電解質センサであり、内部固体水素基準がセンサボディーの封止された空洞の内部に含まれることが好ましい。固体電解質はセンサボディーの壁の少なくとも一部分を形成し、空洞の内部のその表面の少なくとも一部分に基準電極を有する。固体基準物質は、空洞の内部に基準分圧の水素を発生し、基準電極がそれに晒される。基準電極は壁を貫いてセンサボディーの外側表面へ延びる電気導体に結合されている。
【0007】
プローブボディーは、センサを収納するためのチャンバと、センサがチャンバに収納されるとき電気導体に結合するための基準信号コネクション、又はコネクタ、を具備することが好ましい。基準信号コネクションは次に、水素濃度測定値を生成するためのアナライザに電気的に結合できる。ある好適な実施形態では、センサはプローブボディーのチャンバの中に挿入でき、センサが挿入されると基準電極が基準信号コネクションに自動的に結合される。
【0008】
アナライザが、空洞の外側の固体電解質の表面の少なくとも一部分に形成される測定電極に電気滝に結合されることも必要である。これは例えば、測定電極から延びる第二の電気導体によっても、又は水素の検出時にプローブが浸漬される溶融金属を通る電気経路によっても達成できる。
【0009】
プローブボディーはプローブ・サポートの端に支持されて、プローブボディーの少なくとも一端が水素濃度を感知するために溶融金属中に浸漬できることが有利である。ある好適な実施形態では、溶融金属に浸漬されたプローブボディーの端に開口が画成される。センサは開口を通ってプローブボディーのチャンバの中に有利に挿入することができ、その後開口を水素透過性のシールによって封止することができる。したがって、プローブボディーを溶融金属に浸漬するとき、金属はシールを通過しないが、メルトからの水素はシールを通って拡散しチャンバ内部に水素の分圧を発生する。固体電解質上の測定電極が水素に晒され、固体電解質の両端間に電位差が生成されるが、これは測定電極と基準電極における水素の分圧の比に、Nernstの式に従って周知の方法で関連付けられる。前述のアナライザは次に、電位差を測定し、又は“逆電流法”などの方法を使用してチャンバ内の水素分圧を決定することができ、基準水素分圧が分ることを示している。
【0010】
測定電極から延びる電気導体によって測定電極がアナライザに結合されている場合、水素透過性シールは導電性物質であっても非導電性物質であってもよい。あるいは、シールは導電性であり、測定電極から溶融金属への導電路の一部を形成してもよい。その場合、別の電気結合が溶融金属とアナライザとの間に形成される。一実施形態では、導電性の水素透過性シールは、グラファイトを、例えばグラファイトウール又は多孔質グラファイト層の形で含む。グラファイト・シールを、特にアルミニウム又はアルミニウム合金における水素濃度を感知するためのプローブに使用する場合、グラファイトの外側表面を二ホウ化チタンでコーティングして溶融アルミニウムとの濡れを改善することが有利である。
【0011】
プローブの応答時間を低減するために、チャンバの中に拡散する必要がある水素の量を低減してメルト中の水素濃度と平衡になる水素分圧を達成することが有利である。これを達成するために、好適な実施形態では、水素透過性シールとセンサとの間にインサートを設置することによってチャンバの容積(チャンバの“デッドボリューム”と呼ばれる)を低減させている。
【0012】
例えばチャンバの端にある開口でシールを締り嵌めにすることによって、又はシールを、開口を覆うねじキャップの一部とすることによって、水素透過性シールを使用してチャンバ中のセンサを機械的に固定できることが有利である。
【0013】
シールを取り外し可能にして、例えばセンサの故障時にセンサの除去と交換が可能になるようにすることが有利である。
【0014】
プローブボディー中のチャンバは、開口以外が密封されることが有利である。このように、チャンバからの水素の拡散を阻止するためにも、チャンバの中への環境アクセスを阻止するためにも、センサとチャンバボディーとの間のシールは必要とされない。したがって、プローブボディーの基準信号コネクションの配置は密封されることが有利である。
【0015】
ある好適な実施形態では、センサボディーはプローブボディーに固定されず、チャンバにすき間嵌めにあることが有利である。言い換えると、センサとチャンバの間には十分なクリアランスがあって、熱衝撃又はセンサボディーとプローブボディーの相対的熱膨張を調整でき、センサに過度の応力が印加されないようにすることが好ましい。さもないと、そのような熱応力がセンサを損傷する可能性がある。このクリアランスはまたセンサボディーとチャンバとの間の水素の流れも可能にし、測定電極をプローブボディーの開口に最も近いプローブボディーの表面と限らず、プローブボディーの表面の任意の地点に配置することを可能にする。
【0016】
別の実施形態では、プローブボディーはプローブを収納するためのチャンバを具備しなくてもよく;この実施形態では、プローブボディーはセンサと一体化している。この実施形態では、プローブボディーは、メルトと固体電解質との間に水素透過性シールを設ける機能、センサをメルトから保護する機能、及びセンサをプローブ・サポートに結合する手段を提供する機能、の一部又は全部を有利な形で可能にする。そのような実施形態の一つでは、センサ・チューブは、一端で水素透過性シールを収容し、他端でプローブ・サポートに例えば押し込みによって嵌め込まれるように成形される保護セラミック・スリーブの内部に組み込まれる。あるいは、プローブボディーはセンサを保護する外部コーティングのみを提供できる。さらに別の実施形態では、センサをプローブ・サポートに結合するためのプローブボディー結合手段は、センサ・チューブの一端で半径方向に延びたフランジを具備し、ねじ溝つきカラーなどのカップリングと係合してそれをプローブ・サポートに固定するようになっている。さらなる実施形態では、水素透過性シールの機能は、チューブの内部の窪んだシートに置かれた平面状の固体電解質を超えてセンサ・チャンバから離れて延びている、センサ・チューブの適当に延ばされた部分の中にシールを挿入することによって実行できる。
【0017】
センサがプローブボディーと一体化しているこれらの実施形態の各々では、センサを組み込んでいるプローブボディーは、本明細書に記載される他の実施形態と同様に、使用中に劣化又は損傷した後にプローブボディーとセンサを交換できるという利点が得られるように、プローブ・サポートに着脱可能に結合できることが有利である。
【0018】
プローブのコンポーネントの寸法及び様々なコンポーネントが作製される材料は、プローブが溶融金属に繰り返し浸漬されたときに伴う熱衝撃と熱サイクリングを受けたときプローブが頑丈で信頼できることを確実にするように選択できることが有利である。
【0019】
プローブは小型である(特に横方向寸法又は直径が小さい)ことが有利である。例えば、センサボディーの最大横方向寸法は、10mm未満、好ましくは6mm未満、特に好ましくは4mm未満であることが有利である。これは熱衝撃の影響を低減するだけでなく、溶融金属に浸漬されたときプローブが動作温度に達するのにかかる時間を有利に短縮し、プローブボディー・チャンバの体積と水素が拡散するためのデッドボリュームを低減することによってプローブの応答時間を改善する。
【0020】
ある好適な実施形態では、固体電解質はインジウムをドープされたジルコン酸カルシウムなどのペロブスカイトを含む。センサボディーの他の部分は、固体電解質と適合する熱膨張係数の物質から製造することが有利である。例えば、センサボディーの他の部分は固体電解質と同じ熱膨張係数又は少し小さな熱膨張係数を有し、高温で固体電解質を圧縮状態に保って電解質にクラックが発生しないようにする。
【0021】
固体基準物質は、チタン/チタン水素化物、ジルコニウム/ジルコニウム水素化物、又はハフニウム/ハフニウム水素化物などの金属/金属水素化物基準を含むことが有利である。
【0022】
固体電解質の表面上の電極は、多孔質プラチナ電極であることが好ましい。
【0023】
プローブボディーは、溶融金属に浸漬されたときほぼ不活性であり、耐熱衝撃性が高く、適当な熱膨張係数を有してセンサボディーに応力を印加しない一つ以上の材料から製造されることが好ましい。好適な実施形態では、プローブボディーは、窒化アルミニウム、サイアロン、窒化ケイ素、高密度グラファイト、アルミナ、マグネシア、炭化ホウ素、又は安定化ジルコニアを含む。プローブボディーは、湿潤剤又は二ホウ化チタンでコーティングできることが有利である。後者は、プローブボディーがグラファイトから作製され、溶融アルミニウムに浸漬される場合に特に効果的である。
【0024】
プローブは、プローブボディーがプローブ・サポートの一端に取り付けられるプローブ・アセンブリの一部を形成することがある。プローブ・サポートの他端には、オペレータが保持してプローブをメルトに浸漬するためのハンドルが設けられている。プローブ・サポートはチューブ状であってもよく、その場合電気的コネクションは内部に沿ってプローブボディーとアナライザとの間で支持できる。
【0025】
プローブ・サポートの端は、任意の都合のよい方法でプローブボディーに固定することができる。一実施形態では、プローブ・サポートはろう付け又は無シリカ・ガラスによってプローブボディーに固定される。そのような実施形態では、プローブ・サポートの端はプローブボディー・チャンバの壁の一部を形成でき、その場合、プローブ・サポートとプローブボディーとの間の接合部は密封されることが有利である。プローブ・サポートがチューブ状で、例えば基準電極から延びる導体を支持する場合、チューブは、例えば無シリカ・ガラスを使用して効果的に封止できる。
【0026】
別の実施形態では、(もし在るならば)センサを収納するチャンバ及びセンサ自身を含むプローブボディーは、交換可能なユニットとして構成できる。同様に、前述のように一体化されたユニットとしてセンサを組み込んだプローブボディーも、交換可能なユニット又はコンポーネントとして構成できる。これらの実施形態では、プローブボディーは容易に交換できるようにプローブ・サポートの一端に着脱可能に結合できるように設計することが有利である。使用時には、プローブボディー、及びプローブの設計に応じてプローブ・サポートの一部が、溶融金属に繰り返し浸漬され、劣化する。したがって、プローブボディーを交換可能にすることが経済的に有利である。この実施形態の好ましい実施例では、プローブボディーとプローブ・サポートとの間の結合は、使用時にプローブボディーを機械的に支持すると共に、基準電極、測定電極、及び熱電対への結合(もし該当する場合)を含めて必要な電気的結合を構成する。
【0027】
この実施形態の一例では、センサが収納されるプローブボディー・チャンバはプローブボディー・シャフトの一端に取り付けられる。シャフトは、プローブが使用される溶融金属に対してほぼ不活性な外側表面を有し、その長さの方向に内部で必要な電気導体を支持する。例えば、熱電対及び基準電極へのコネクションがシャフトの内部で延び、他方、メルトを使用して前述のように測定電極へのコネクションが得られる。センサから遠い方のプローブボディー・シャフトの端には、それをプローブ・サポートの端に固定するための適当なカップリングが設けられる。カップリングは、ねじ溝付きグラファイト・カップリングを具備することが都合がよい;その理由は、グラファイトは導電性であり、測定の際にこれがメルトと接触でき、これを使用して測定電極からメルトを介してプローブ・サポートの内部に収納された電気導体までの導電路を達成できるからである。プローブ・サポートは、チューブ状で内部にメルトから保護された状態でセンサから読み取りを行うためにサポートのハンドル端まで電気導体を支持することが有利である。
【0028】
このデザインは、プローブボディーとセンサの迅速かつ容易な交換を効果的に可能にし、交換されたものは修理又は廃棄される。交換可能なユニットは、ホットエンド・シール(プローブ・チャンバを封止する)、及びセンサ自身など劣化を受けるプローブのコンポーネントのほぼ全部を含む。プローブボディーは、プローブボディーの交換が、電気的コネクションを手動で結合するためにオペレータを必要としないように設計することが有利である:プローブボディーをプローブ・サポートに結合するときに、電気的コネクションが自動的に達成されるようにすることが有利である。
【0029】
本発明を実施したプローブは、アルミニウム、マグネシウム、又は銅、もしくはこれらの金属の合金などの溶融金属においての水素濃度を測定するために使用できる。プローブを製造するのに使用した物質、及びその熱的性能に応じて、センサをプローブボディー開口からある距離をおいて取り付けることが必要になるかもしれない。例えば、前述のプローブは溶融アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの合金では有利に使用できるが、銅とその合金は一般にもっと高温で溶融する。したがって、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの合金については、チャンバの体積を最小にし、プローブの応答時間を短縮するように、センサをプローブ・チャンバから開口のすぐ近くに取り付けることができる。銅及びその合金で使用する場合、センサがより低い温度に晒されるように、センサをプローブ・チャンバの端の開口からもっと遠くに、溶融金属から離して取り付けることが必要になるかもしれない。
【0030】
さらなる態様では、本発明は次のように構成される水素センサを提供する。センサボディーはチューブを具備し、チューブの一端を固体電解質が閉鎖し、チューブの他端をセンサキャップが閉鎖して、センサボディーの内部に封止された空洞を画成する。金属/金属水素化物基準であることが好ましい、空洞の内部の固体基準物質は、空洞の内部に基準分圧の水素を発生する。測定電極は空洞の外側で固体電解質の表面上に設けられ、基準電極は空洞の内部で固体電解質の表面上に設けられて、基準分圧の水素に晒される。電気導体は、基準電極からセンサボディーの外側表面へ、好ましくはセンサキャップの開口を通って延び、開口はろう付け又は無シリカ・ガラスによって封止される。この実施形態では、固体電解質は、ほぼ平面状であることが好ましい。チューブの断面が円形で、固体電解質はほぼ円板状であることが有利である。
【0031】
固体電解質の最大横方向寸法は、10 mm未満、好ましくは6 mm未満、そして4 mm未満であることが特に好ましい。
【0032】
空洞は、基準物質とセンサキャップとの間に緩衝物質を含むことが有利である。これは、基準分圧の水素を含む空洞の容積を有利に低減できるだけでなく、センサキャップをチューブに固定するために必要なろう付け又は封止処理に基準物質が晒されないことにもできる。
【0033】
前述した本発明のこれとその他の態様は、好ましい実施形態では、溶融金属の水素濃度を測定するための従来技術プローブの問題点に対処したプローブを提供する。詳細には、本発明の実施形態は、頑丈で、都合よく小さなサイズから成り、迅速な応答時間で正確な測定値が得られるプローブを提供できる。さらに、センサをプローブボディーから取り外して新しいセンサと交換できる実施形態、又はセンサを組み込んだプローブボディーをプローブ・サポートから取り外して交換できる好適な実施形態では、長時間にわたって溶融金属に繰り返し浸漬される場合に経済的実績が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に本発明の具体的実施形態を、図面を参照して事例によって説明する。
【0035】
図1は、水素センサ2の縦断面図である。センサは、センサボディーを有し、その一端は平面状の固体電解質ディスク6で閉鎖されたチューブを具備する。ディスクは、各面に形成された多孔質プラチナ製電極24,26を有し、チューブの端の凹所の中に無シリカ・ガラス8を使用して封止されている。金属−金属水素化物の基準物質10がチューブの中の基準電極の背後に挿入され、電気導体12が基準電極からチューブの内壁に沿って延びている。基準物質の上のチューブの内部の容積には、Y2O3粉末などの不活性緩衝物質14が充填されている。次に、センサキャップ16がチューブの上端の中に挿入される。センサキャップの孔を通って延びる電極ワイヤ18が電気導体12と接触している。電極ワイヤは孔に封入され、センサキャップはガラス・シール20、好ましくは無シリカ・ガラスを使用してチューブに封止される。固体電解質ディスクは、チューブ、及びセンサキャップが封止された空洞を囲むセンサボディーの壁を形成する。この空洞は固体基準物質を含み、それが空洞の内部に基準分圧の水素を発生する。電極ワイヤは、センサボディーから外へチューブと同軸に延びる。
【0036】
固体電解質は、インジウムをドープされたジルコン酸カルシウムから成ることが好ましい。チューブ及びセンサキャップは、ドープされないジルコン酸カルシウムから製造されることが好ましく、その場合チューブの熱膨張は電解質ディスク及びセンサキャップの熱膨張と一致し、センサが熱サイクルされても過度な熱応力が発生することがない。あるいは、チューブ及びセンサキャップはマグネシア−アルミン酸マグネシウム(MMA)から製造でき、これは熱膨張係数がインジウムをドープされたジルコン酸カルシウムより少し高い。この場合、測定条件下で(溶融金属に浸漬された状態で)電解質は永続的な圧縮応力状態にあり、電解質の耐熱衝撃性及び耐熱サイクリング性を向上している。
【0037】
この実施形態における電解質ディスクの直径は3mmであり、チューブの外径は4mmである。
【0038】
図2は別のセンサを示しており、これはチューブと固体電解質がシンブル22と呼ばれる単一コンポーネントとして製造されるという点で図1のセンサと異なっている。したがってこの場合、センサボディーの壁は、端で閉鎖されたインジウムをドープされたジルコン酸カルシウムのチューブから成り、チューブの開放した端は、センサキャップと電極ワイヤによって図1のセンサと同じように閉鎖される。図1と2に共通するコンポーネントには、両方の図で同じ参照符号が付けられている。
【0039】
図3と4は、図1に示されているようなプローブボディー40とセンサ2を具備するプローブのアセンブリを示す。図3はプローブの分解図であり、図4はこのプローブの組立図である。
【0040】
プローブボディーは、開口44で終端するプローブボディー・チャンバ42を囲んでいる。プローブボディーはほぼ円筒形状から成り、開口に対向するチャンバの端で、プローブボディーの中心孔がプローブ・サポート46の端を収納する。プローブ・サポートの一端48はチャンバの端面の一部を形成し、プローブボディーにろう付け又は封止される。金属チューブ52で内張されためくら孔50がプローブ・サポートの内部でチャンバから同軸に延びている。めくら孔はプローブ・サポートの内部で中心孔に沿って延びる電子導体54で終端する。電子導体の端は、チャンバの端が密封されるようにめくら孔の端でろう付け又はガラス・シールを使用して封止される。
【0041】
チャンバ42はセンサ2を収納するように成形され、センサをチャンバに完全に挿入すると、電極ワイヤ18が金属チューブ52に進入してそれと電気的に接触し、それが図4に示されるような基準電極コネクション56を形成する。センサがチャンバの中に挿入された後、水素透過性シール又はバリア58が締り嵌めで開口44の中に挿入され、チャンバを閉鎖し、センサをチャンバの内部で機械的に保持する。
【0042】
センサとプローブボディーとの間に十分なクリアランスがあって、プローブを溶融金属の中に浸漬することによって生ずる熱サイクリングの際にセンサが自由に膨張し、収縮することができ、プローブを加熱したり冷却したりしたときにセンサボディーがプローブボディーによって拘束されないようにすることが有利である。
【0043】
センサをチャンバ内に配置し、水素透過性シールを取り付けると、側面及び水素透過性シールと対向する側の端におけるチャンバの密封によって、測定を行うときに水素が測定チャンバから漏洩することが防止され、センサは環境の汚染から保護される。
【0044】
水素透過性シールは、溶融アルミニウムと固体電解質又はセンサの他のコンポーネントとの間の直接接触を防止する。溶融アルミニウムと電解質との直接接触は避けなければならない。直接の接触によって、電解質は水素−イオン−伝導領域から離脱して酸素−イオン−伝導領域に進入するからである。この場合、測定電極の電位は、その電極における水素の活量ではなく酸素の活量によって決定され、誤った測定値を導く。しかし、水素透過性シールは導電性であり、測定電極と溶融金属との間に電気的な結合を形成する。したがって、アナライザはメルトを介して測定電極と電気的に接触することができ、プローブ・サポートの内部の電子導体を通して基準電極と電気的に接触することができる。グラファイトフェルト、グラファイトウール、又は開放気孔のある等級のグラファイトが、この実施形態における水素透過性バリアとして適した材料である。
【0045】
プローブボディーは、チャンバの壁を通して気体が拡散するのを防ぐために高密度の物質から、メルトに迅速に浸漬しても破断しないように耐熱衝撃性が高く、熱膨張係数が小さな物質から、そして測定のさいに溶融金属と接触しても化学的に安定な物質から作製することが好ましい。機械加工可能な等級の窒化アルミニウムは、機械加工によって、好ましくは研磨を必要とせずにボディーを製造できるので材料として適当である。プローブボディーの材料として適当なその他の材料は、サイアロン、窒化ケイ素、高密度グラファイト、アルミナ、マグネシア、又は安定化ジルコニアである。
【0046】
プローブボディーと水素透過性バリアは、二ホウ化チタン・インクで塗装されることが好ましい。プローブボディーをこのようにコーティングすることによって、溶融アルミニウム又はアルミニウム合金に浸漬したときの応答時間、及び溶解水素濃度の変化に対するプローブの応答が大幅に改善される。TiB2コーティングは、溶融アルミニウム中での濡れを増進し、導電性を有するのでメルトと水素透過性バリア及びプローブボディーのその他の部分との間の電気的接触を改善する。これは例えば溶融金属の脱気のときに有利である。プローブの下方を通る気泡がメルトとの電気的接触を低下させ、誤った信頼できない測定値を導くことがあるからである。プローブボディーをTiB2インクでコーティングすると、コーティングがプローブボディーの表面全体にわたって電気的接触を可能にし、電気的接触が低下することが避けられる。金属メルト中で安定な任意の適当な電子伝導性コーティングを、このために使用することもできる。
【0047】
プローブ・サポートは、プローブをメルトに浸漬したときの基準電極と測定電極との間の短絡を防ぐために電気的に絶縁性の物質で作製されなければならない。アルミナは、熱サイクリングによる損傷を避けるに十分な小さな粒径(3mm以下)を有するかぎり、プローブ・サポートとして適当な物質である。その他の適当な物質は、サイアロン又は窒化ケイ素である。プローブ・サポートとプローブボディーとの間の熱膨張の不一致を考慮に入れて、プローブを使用温度に加熱したときに、両者が堅固に一緒に保持されることを確実にすることが重要である。
【0048】
図5は、第三のセンサ60を示し、図6にそれが縦断面図で示されている。このセンサの構造は、それが一端で閉鎖された固体電解質のチューブ62から作られ、基準電極64と測定電極66がそれぞれその内側表面と外側表面に形成されているという点で図2のセンサと類似している。金属−金属水素化物の基準物質68がチューブの中に挿入され、電気導体70が基準電極からチューブの内部で延びている。導体は、基準電極と大きな面積で接触するために基準電極と接触するところではらせん状に成形されている。スペーサ72がチューブの中で基準物質の上方に挿入され、電気導体がスペーサの内部の中心孔を通って延びている。チューブの上端は、不活性な緩衝物質74で充填され、センサキャップ76により閉鎖される。電気導体はセンサキャップの中心孔を通って延びている。センサキャップは、チューブと導体にガラス・シール又はろう付けを使用して封止される。スペーサを囲うチューブの外径は漸次増大して、円錐台状の外側表面78を形成し、これにより、後述するように対応する形に作られたプローブボディーの内部のセンサの正確な場所が与えられる。
【0049】
図5と6のセンサを製造するための物質は、図2のセンサと同じである。スペーサ72は酸化アルミニウムなどの不活性物質から作製され、センサの応答時間を低減するためにセンサ空洞中のデッドボリュームを占有する。
【0050】
図7と8は、図5と6のセンサを収納するためのモジュラ・プローブ80の分解図と組立図である。ほぼ円筒形状のプローブボディー82はその対称軸と整列するプローブ・チャンバ84を画成する内壁を有する。プローブ・チャンバは、プローブボディーの一端で内側に雌ねじ溝がついた開口86で終わる。電気導体88が、プローブ・チャンバのブラインド・エンド90の内部でらせん状に巻かれ、チャンバのブラインド・エンドから延びるプローブボディーの中心孔を通って延びその内部で封止される。
【0051】
プローブボディーは、両端92,94で外側の雄ねじ溝がつけられている。
【0052】
プローブ・チャンバは、図5と6のセンサを収納するように成形され、測定電極を支持するセンサの端はチャンバのブラインド・エンドの中に挿入されて、測定電極が電気導体と接触するようになる。プローブ・チャンバの端の内側雌ねじ溝に外側雄ねじ溝が付いたインサート96がねじ込まれ、センサを定位置に保持する。基準電極から延びる電子導体が、ねじ込まれたインサートの中心孔を通って別の電気導体98と接触し、それがプローブボディーの内部の封止された孔を通り、測定電極に結合された電子導体88と平行に出てゆく。
【0053】
内側に雌ねじ溝がついたキャップ100が、プローブボディーの外側雄ねじ溝92に装着され、プローブ・チャンバの開口に水素透過性のシールを提供する。
【0054】
プローブボディーの他端のねじ溝94は、チューブ状のプローブ・サポート102の一端にねじ込まれ、測定及び基準電子導体がチューブの内側に沿って通る。プローブ・サポートの内部のプローブボディーの端はさらに、センサに隣接するプローブボディーの温度を測定するための熱電対106の端を収納する凹所104を具備する。測定及び基準電子導体と熱電対からのリード線は、チューブ状のプローブ・サポートを通って水素濃度と温度を測定するアナライザに結合される。
【0055】
図3と4のプローブと同様に、この実施形態でも、センサとプローブ・チャンバの壁との間に十分なクリアランスがあって、プローブが加熱されたり冷却されたりしたときにセンサがプローブボディーによって拘束されることなしに自由に膨張したり収縮したりできる。さらに、センサの周囲で水素が測定電極の領域に流れてゆくことができるような十分なクリアランスが設けられている。
【0056】
測定及び基準電子導体は両方とも、プローブボディーを通るところで無シリカ・ガラス又はろう付けによって封止され、プローブ・チャンバの密封を(水素透過性シール以外で)確実にする。
【0057】
水素透過性シールは多孔質キャップ100によって提供される。これはメルトとプローブ・チャンバとの間で、アルミニウムがチャンバに浸入するのを阻止しながら水素の交換を可能にする。キャップが多孔質グレードのグラファイトから作製される場合、それを二ホウ化チタンでコーティングして溶融アルミニウムによる濡れを高めて、水素交換を促進することが好ましい。しかし、キャップは他の材料で、例えば多孔質セラミック材料(例えば多孔質アルミナ、多孔質炭化ケイ素、多孔質窒化ケイ素)又は発泡金属、などで製造することもできる。これらの材料を使用する場合、十分なプローブ応答を得るためにキャップに二ホウ化チタンのコーティングを用いる必要はないかもしれない。それでも、二ホウ化チタンのコーティングを用いることはプローブ応答を改善するであろう。測定電極も基準電極も電子導体によってアナライザに結合されているので、メルトとの電気的結合の必要はなく、水素透過性シールは電気的に絶縁性の材料を使用して作製できる。
【0058】
プローブキャップ100がグラファイト又は発泡金属などの電子導体である場合、アース・リード線を設けてキャップをプローブ・サポート・チューブの内部を通してアースに結合し、センサ信号の電気的ノイズを低減できる。
【0059】
プローブボディーの材料の選択は、図3と4のプローブの場合と同様であるが、ただし、測定及び基準電子導体、及びもしあれば、アース線の短絡を防ぐために電気的に絶縁性の材料でなければならないという点が異なる。
【0060】
プローブ・サポートは、耐熱衝撃性が高く、溶融金属と接触しているときの化学的安定性、及び測定温度範囲(これは溶融アルミニウムで普通650℃から800℃)にわたる空気中での化学的安定性が高い材料から作製されなければならない。適当な材料としては、サイアロン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及び炭化ホウ素がある。グラファイトも使用できるが、オルトリン酸アルミニウムなどの保護コーティングをする必要、又は650℃と800℃との間で、空気中で分解するため定期的な交換が必要である。
【0061】
これまで説明した本発明の実施形態のそれぞれにおいて、センサからの電気信号、及びもしあれば熱電対からの電気信号、の安定性は、信号を伝達する電気導体を電気的ノイズから遮蔽することによって改善される。ある好ましい実施形態では、導体がチューブ状のプローブ・サポート内で導かれ、プローブ・サポートがグラファイトなどの導電性の物質から製造される場合、遮蔽はプローブ・サポートをアースに結合することによって達成される。プローブ・サポートが絶縁性の物質から製造される場合、その内壁を銀、金、又はプラチナなどの導電性の酸化しにくい物質でコーティングし、それをアースに電気的に結合することができる。銅などの酸化に対する抵抗が低い物質も、ガラス・コーティングなどによって導電性物質の層を酸素への露呈から保護するならば使用することができる。別の実施形態では、遮蔽は、一つ以上の電気導体を適当に絶縁してチューブ状のプローブ・サポートの内側に同心的に配置された別の金属チューブ、例えばスチール又はインコネル(登録商標)のチューブに通してアースに電気的に結合することによって達成される。
【0062】
図9は、プローブ・アセンブリ100の概略図である。
【0063】
図9に示されているように、プローブボディー104を具備するプローブ102は、図8に示されている構造と同様の水素透過性キャップ106で終端する。プローブはチューブ状プラスチック・サポート108に支持され、その内部にプローブボディーの内部に取り付けられたセンサから及び熱電対からの信号を伝達する電気導体が収納されている。プローブから遠い方のプローブ・サポートの端は、金属ハンドル110の内部の孔に取り付けられている。プローブ・サポートは、加熱中にプローブ・サポートとハンドルとの間の熱膨張不一致がプローブ・サポートのクラックや弛みの発生を生じないように堅固に定位置に保持されることが重要である。この実施形態では、これはプローブ・サポートの外側表面に周縁溝を形成し、それに銅リングを嵌めることによって達成される。プローブ・サポートをハンドルの孔の中に挿入するにつれて、銅リングが孔に進入し、ハンドルの周縁に配置された三つの止めねじが半径方向に銅リングにねじ込まれる。これによって強固な結合が確実になるだけでなく、銅リングとハンドルとの間の電気的結合が達成され、それはプローブ・サポートをアースするために使用できる。プローブ・サポートが導電性物質から成る場合、アース結合は自動的に達成される。プローブ・サポートが絶縁性物質から成り、内部で遮蔽される場合、スクリーンと銅リングとを結合しなければならない。例えばプローブ・サポートの内部に金属コーティングが施されている場合、コーティングをプローブ・サポートの外側まで延ばして銅リングに接触するようにできる。
【0064】
ハンドル110はハブ112で終端し、そこから電気ソケット114が延びている。ハブはセラミック・コネクタ・ブロックを収納し、センサ及び熱電対(もしあれば)からの電気導体がそれに結合される。対応するコネクションが、コネクタ・ブロックから電気導体114へ延びており、これをエレクトロニック・アナライザに、好ましくは遮蔽されたケーブルによって結合することができる。するとアナライザはプローブからの水素濃度と温度測定値を発生できる。
【0065】
図10から15までは、本発明のさらなる実施の形態に係るプローブのいろいろな態様を示す。
【0066】
図10は、プローブボディー202をプローブ・サポート204と結合して組み立てられたプローブ200の側面図である。プローブボディーから遠い方のサポートの端はハブ206及びハンドル208で終端する。ハブは、プローブをエレクトロニック・アナライザに電気的に結合するためのコネクタ又はコネクション・ブロック210を具備する。
【0067】
プローブ・サポートから取り外されたプローブボディーが図11と12に示されている。これはセンサ214が収納されたプローブ・チャンバ212を含む。センサ構造は図2に示されている構造と同様で、固体電解質材料から成るブラインド・エンド・チューブ、又はシンブル222を具備し、チューブのブラインド・エンドの内面と外面に形成されたプラチナ電極を設けられている。チューブは長さが13mm、外径が4.5mmである。チューブは金属/金属水素化物基準物質を含み(図示せず)、センサキャップ216を用いて封止される。電極ワイヤ218がセンサキャップの孔を通って延び、センサボディーの内部でセンサ空洞(図示せず)の内側表面上の基準電極に結合される。不活性物質のスペーサ220が金属/金属水素化物基準物質をセンサ・チャンバの内部の定位置に保持し、センサ・チャンバの内部容積を低減している。
【0068】
プローブボディー・チャンバ212は、プローブボディー・シャフト230の一端にある。シャフトは長さが44mm、直径が8mm、サイアロン製の電気的に絶縁性のチューブ234の内部で軸方向に延びる導電性のSiC製のコア、又はロッド(直径2mm)を具備する。SiC製のロッドは、例えば、ろう付け又はガラス・シールによって、又はその他の便利な方法でサイアロン製チューブの内部に固定される。
【0069】
シャフト230の一端に、AlN製の円筒状チューブ(窒化アルミニウム、長さ23mm、外径9mm)236をシャフトの端の直径が小さくなった部分に押し込むことによってプローブボディー・チャンバ212が形成される。センサがAlN製チューブ内に収納され、電極ワイヤ218がSiC製ロッド232の端に形成された軸方向のブラインド孔238に延びている。こうして、電極がプローブボディー・チャンバに収納されると電極ワイヤとSiCロッドとの間で電気的接触が自動的に形成される。センサがチャンバの中に挿入された後、グラファイトウールのスペーサ241が挿入され、水素透過性シール又はバリア240が締り嵌めで挿入されてチャンバを閉鎖し、その内部にセンサを機械的に保持する。
【0070】
プローブ・チャンバから遠い方のシャフトの端には、半径方向に延びるフランジ242が形成され、それが内側に雌ねじ溝が付いたグラファイト・カラー244を保持する。このカラーはシャフトに沿ってスライドできるが、フランジ242とAlN製スリーブ236との間に把持されて保持される。スリーブ236はサイアロン製スリーブ236よりも外径が大きい;組立時には、AlN製シリンダをシャフトに押込嵌めする前にグラファイト・カラーをシャフトに取り付けなければならない。図11は、プローブボディーの側面図であり、シャフトの中央近くの位置にあるグラファイト・カラーを示している。
【0071】
図13は、プローブボディーと結合する前のプローブ・サポートの端の縦断面図である。サポート204は、長さが約50cmで外径が16mmのサイアロン製チューブ250を具備し、その内部で二本の電気導体がハブ206から延びてエレクトロニック・アナライザをそれぞれ基準電極及び測定電極に結合する。これらは基準電極導体252及び測定電極導体254である。
【0072】
プローブボディーが結合されるサイアロン製チューブの端には、SiC製ボス256がチューブ250に接合されている。ボスの外側表面は円筒形部分を含み、それに銀インクがコーティングされ、チューブの端に挿入され、950℃(銀の融点)に加熱されて接合部257を固定する。ろう付けやガラス接合など他の接合方法も使用できる。有利な形では、チューブの端を溶融金属に浸漬したときに熱膨張応力を低減する、サイアロン製チューブの断面の変化は必要とされない。チューブの端から延びたボスの部分には外側の雄ねじ溝が付けられグラファイト・カラー244の雌ねじ溝を収納するようになる。
【0073】
基準電極導体252は、サイアロン製チューブ250の長さにわたって延びるインコネル(登録商標)600を外被とする熱電対の外被によって与えられる。熱電対の外被はその内部の熱電対ワイヤから絶縁されているので、基準電極導体として利用できる。熱電対の外被252は、電気的絶縁層264でコーティングされ、導体をボスから且つサイアロン製チューブの内部で絶縁する。外被、そして基準電極導体、の端はボス256の軸方向通路を通って延びている。外被にはハブでばね260が作用して外被の反対側の端262をサイアロン製チューブの端から遠くへボス256から出てゆくように付勢する。
【0074】
測定電極導体254は、ハブ206からボスのオフセット・ブラインド孔266に延びるインコネル(登録商標)600電極である。サイアロン製チューブの内部の基準電極導体は、基準電極導体及びプローブ・サポート・チューブ250からの電気的絶縁を確実にするために、セラミック・ビーズ(図示せず)に通される。
【0075】
プローブボディーをプローブ・サポートに結合するために、グラファイト・カラー244が図14に示されるようにボス256にねじ付けされる。カラーがボスにねじ付けされると、プローブボディー・シャフトの内部のSiC製ロッド232の端268(これはグラファイト・カラーの内部のシャフトのサイアロン製スリーブ234の端から少し出ている)が基準電極導体の端262と接触するようになる。カラーをさらにボスにねじ付けさせると、この接触が基準電極導体を付勢バネ260の作用に抗してハブに付勢する。これによってSiC製ロッドと基準電極導体との間の優れた電気的接触と、プローブボディー・シャフトのフランジ242がグラファイト・カラーの内部に堅固に置かれることの両方が確実にされる。カラーをボスに完全にねじ付けさせると、カラーの端がプローブ・サポートのサイアロン製チューブ250の端面に当接する。組み立てられた構造は図14と15に見られる。
【0076】
組み立てられたプローブでは、基準電極は、電極ワイヤ218,SiC製ロッド232及び基準電極導体252によってハブにおけるコネクタ210に電気的に結合される。測定電極は、グラファイトフェルト241,グラファイトのエンドキャップ240,金属メルト、グラファイト・カラー(これは使用時にはメルトに沈められる)、SiC製ボス256,及び測定電極導体254を介してコネクタ210に結合される。
【0077】
本発明のこの実施形態のさらなる特徴は以下の通りである。
【0078】
使用時にメルトに沈められるプローブのホットエンドには、SiCが使用されて信頼できる高温での電気的結合が作られる。これはプローブボディー・シャフトの内部のロッド232及びボス256でも要求される。SiCは、測定条件下で、600℃と850℃との間の温度にある溶融アルミニウムに浸漬したとき、アルミニウムから発生する水素による還元雰囲気下でも、ハンドル端で空気に晒されるプローブ・サポート・チューブ250の内部に存在しそうな酸化雰囲気下でも、酸化したり劣化したりしない。
【0079】
グラファイト・カラー、プローブボディー・シャフトのフランジ端、及びプローブ・サポート・チューブ250の端は、プローブボディーとプローブ・サポートとの間の接合部でアルミニウムの浸入を阻止するためのガスケットを必要としないように適当な許容公差で作成することができる。これによって接合部の構造の複雑さを有利に低減できる。
【0080】
溶融金属に浸漬されるコンポーネントの断面の変化を回避することが望ましい。それでもやはり、実施形態では、AlN製シリンダを嵌め込んでプローブボディー・チャンバを形成することを可能にするようなプローブボディー・シャフトの断面の縮小がある。しかしながら、シャフトの端へのAlN製シリンダの押込嵌めは、溶融アルミニウムに浸漬したときに接合部がわずかに弛むことを可能にし、応力を低減し、又は無くすことができる。さらに、熱膨張が良く一致するように材料が選択され、これも熱応力を低減させる。
【0081】
プローブボディー・シャフトは、センサ空洞をプローブ・サポートの端から隔離する。グラファイト・カラーは溶融アルミニウムの浸入に対してプローブ・サポートの端を封止するが、これは気密性がなく、前述のようにカラーの内側は事実上大気に晒されている。したがって、プローブ・サポートの端には人工的に低い水素レベルが存在する。その結果として、プローブボディー・シャフトの長さ、及び溶融アルミニウムによるシャフトの濡れは、局所的に低い水素レベルがセンサによって測定される水素の活量に影響しないように予め定められていなければならない。
【0082】
水素透過性シール240は、多孔質グラファイトで作製されることが好ましく、その多孔率を調整してガス注入によってメルトを処理するときのプローブ信号の安定性を向上させることができる。グラファイト膜のすぐ下方に気泡があると、プローブからの信号に望ましくない急激な変化が生ずることがある。グラファイト・シールの多孔率を小さくすることによって、その端における水素分圧の急激な局所的変動に対しプローブが鈍感になるようにすることができる。これは、シールを通しての水素の拡散が十分速やかなプローブ測定応答時間を与えるための十分な多孔率という要請とバランスさせなければならない。
【0083】
プローブ・サポートのサイアロン製チューブの外側表面をSiCでコーティングすることができる。これによってメルトがアースされ、プローブはノイズに対して、例えば誘導加熱炉におけるノイズに対して、より弾力的になり、チューブ内の導体に対する電気的遮蔽となる。サイアロン製チューブの内側表面をSiCでコーティングすることもでき、コーティングを測定電極導体として使用することもできる。その場合、導体254は省くことができる。
【0084】
図10に示されているように、プローブ・サポートは二つのチューブ状セクション270,272で製造され、接合部274で結合される。プローブボディーが結合されるプローブ・サポート・セクション270は前述したサイアロン製チューブ250を含む。サイアロン製チューブ250とプローブ・サポートの残りの部分はそれぞれ長さが約50cmである。サイアロン製チューブの端部分は、水素濃度を測定するときに溶融金属に浸漬されるので、時間と共に劣化するが、劣化はプローブボディーの場合よりも遅い。したがって、過度な劣化が生じたときにはサイアロン製チューブ250を交換できることが有利になる。これは、カップリング274を解除し、サイアロン製チューブとボス256を引き出し、これらのコンポーネントを取り替えることによって達成される。基準電極導体、測定電極導体、及び熱電対は、取り替えるサイアロン製チューブとボスに通すことができるので取り替える必要はない。
【0085】
図16と17は、プローブボディーとセンサの機能が単一ユニットに統合されている本発明の別の実施形態を示す。センサ300は、センサ・チューブ302を具備し、このチューブには窪んだ内側ステップ304が形成され、そこに固体電解質の平面状ディスク306が載置され、その位置で接着されている。ステップは、センサ・チューブの端部分308が固体電解質ディスクを超えて延びるように窪んでいる。この凹所にグラファイトウールのディスク310が挿入され、続いて水素透過性のグラファイト・ディスク312が押込嵌めによって挿入される。センサ・チューブの内部の固体電解質ディスクの背後では、センサ構造は、図1の実施形態を含む前述のいろいろな実施形態で記載されたものと同様である。
【0086】
チューブは、固体水素基準物質314,充填材316及びセンサキャップ318を含む。
【0087】
測定電極は固体電解質ディスクの外側表面上に、基準電極はその内側表面上に形成される。測定電極はグラファイトウールと接触するので、水素透過性のグラファイト・シールを介してメルトと電気的に接触している。基準電極は、センサ・チューブの内部の電気導体(図示せず)に、ひいてはセンサキャップの孔を通って軸方向に延び、センサの上端322から出て終端する基準電極導体に結合される。
【0088】
センサ・チューブ302には、センサキャップに隣接する端に、チューブから半径方向外側に延びるフランジ324が形成される。
【0089】
センサ・チューブの外側表面には、耐熱衝撃性保護コーティング326がコーティングされる。
【0090】
図17は、プローブボディーとセンサ300のプローブ・サポートとの結合を示し、これは図13,14及び15で示されているものと同様である。グラファイト・カラー328は、内側に雌ねじ溝がつけられ、ねじ溝付きハブ256および プローブ・サポートの端と係合するようになっており、かつ軸方向の孔330が形成され、フランジ324がカラーの内側表面と係合するようにプローブボディーとセンサを収納する。抗してカラーをねじってハブに嵌めると、基準電極導体がバネ負荷された熱電対外被262と接触し、図13から15までに関して説明したように、これがプローブ・サポートの内部で基準電極導体としての役目をする。
【0091】
測定電極は、前述の実施形態と同様に、グラファイトウール、グラファイト・シール、メルト、及びグラファイト・カラーを介して電気的に結合される。
【0092】
この実施形態では、プローブボディーをセンサと一体化することができ、プローブ・サポートに着脱可能に結合できる結合手段(この実施形態では、グラファイト・カラー)を具備していることが分かる。
【0093】
エレクトロニック・アナライザ
前述したように、プローブを用いる電流逆転測定法を使用して、水素濃度を測定することができ、センサ電解質の脱水をモニタすることができる。しかし、通常のインピーダンス分析ユニットを使用することもできる。この場合、アナライザは、センサEMF、温度、及びセンサ・インピーダンスを測定する。溶解水素レベルを計算するためにはEMFと温度のみが必要とされ;インピーダンスは、後述するように、センサの状態を決定する別の計算で使用される。
【0094】
EMFは、水素イオン伝導体に関するNernstの式に従ってセンサ電極の間に発生される(1):
【数1】
センサの内側の基準水素分圧(pH2ref)は温度依存的である。アナライザは二つの較正値(AとB)によってプログラムされ、それによって任意の与えられた温度での基準水素分圧がどれほどになるかを算出できる。これらの較正値は、二つの異なる温度で既知分圧の水素におけるセンサEMFを測定することによって取得される。
【0095】
溶融アルミニウムと平衡している水素の分圧は、Siebertの法則(2)によって溶解水素濃度(H)と関連付けられる:
【数2】
定数CとDは、アルミニウム合金によって決まり、いろいろな合金の化学組成(例えば、シリコン含有量、マグネシウム含有量,等)が、水素の溶解度にどれほど影響するかによって変化する。
【0096】
したがって事実上、計算を以下の段階に分解できる:
(i) 測定された温度から、センサの内側の基準水素分圧を算出する;
(ii) 測定されたEMFと(i)から、式(1)を用いて溶融アルミニウムと平衡にある水素分圧を算出する;
(iii)(ii)と式(2)を用いてメルト中の溶解水素濃度を算出する。
【0097】
実際には、これらは全部一つの式に結合できる(ここで温度Tは摂氏温度)。
【数3】
【0098】
アナライザはまた、センサ・インピーダンス、又は抵抗、をモニタしてセンサ状態を次のように決定する。二つの較正定数、R700とR750、はそれぞれ700℃と750℃における製造後のセンサの抵抗であり、これが測定され、アナライザにプログラムされる。すると、製造され水和された状態でのセンサの任意の温度における抵抗が、導電度の温度に対するアレニウス依存性を使用して計算できる。アナライザはセンサの実際の抵抗を測定して、計算値からのずれを測定し、所定の閾値を超えるずれ、例えば5キロオームを超えるずれ、があると警報する。この戦略によって電解質の状態の正確な表示が得られ、センサが脱水されたときにアナライザは適当なエラー・メッセージを表示できる。700℃と750℃という温度は恣意的なものであり、他の較正温度を使用してもよい。
【0099】
他の金属
前述の実施形態は、溶融アルミニウム及びアルミニウム合金における溶解水素濃度を測定するプローブという文脈で説明された。同様のプローブを使用して、溶融マグネシウムとその合金における溶解水素濃度を測定することができる:溶融マグネシウムとの材料の適合性を保証するために必要な変更を加えることは、同業者であれば発明するほどの労力なしに可能であろう。実施形態に変更を加えることによって、同様のプローブを用いて溶融銅及びその合金における溶解水素濃度を測定できる。実施形態で記載されたセンサの最高使用温度は約850℃であり、その温度を超えると金属/金属水素化物基準の性能は劣化する。溶融銅は、普通約1100℃という温度にある。溶融銅における溶解水素濃度を測定するためには、したがって、プローブボディーを延ばしてセンサをメルトから遠くに配置してセンサ温度を850℃よりも低く保つ必要がある。
【0100】
結論として、本発明のいろいろな実施形態は、従来の水素センサの多くの問題点を解決するものであることが分る。その利点は以下のようなものである。
【0101】
携帯性
記載した実施形態は、鋳物工場のいろいろな測定場所に容易に運ぶことができるプローブを提供している。軽量の固体プローブと関連アナライザだけを運ぶだけでよい。さらに、プローブの優れた携帯性と速い応答時間は、有利にバッチ測定を行うことを可能にし、例えば、溶解水素レベルを迅速にチェックした後に鋳造することが可能になる。
【0102】
反復浸漬の適性
実施形態のセンサは、自己完結的であり、プローブボディーに接合又は封止されないことが有利である。すなわち、センサは、従来の設計のセンサのように、プローブボディーによる物理的な制約や熱膨張の不一致による力を受けないことが有利である。これは、熱サイクリングに対するセンサの耐性を高め、プローブを溶融金属への反復浸漬に適したものにするという利点がある。
【0103】
プローブをメルトに、特に溶融アルミニウムに、繰り返し浸漬したり出したりすると、ブロッキング酸化物層(例えば酸化アルミニウムの層)が堆積し、メルトとプローブ・チャンバとの間の水素の交換を阻害することがある。これは応答時間を遅くし、反復浸漬の後にセンサの測定電極における水素の化学ポテンシャルをメルトにおける平衡レベルよりも低下させる。従来技術のプローブでは、このブロッキング酸化物層はプローブ・チャンバに含まれる空気中の酸素と溶融金属との間の反応によって堆積する。前述の実施形態のセンサとプローブの自己完結的な性質により、プローブ・チャンバを最小のデッドボリューム(自由なチャンバ容積)で設計することが可能になり、従来技術のプローブで反復浸漬の後に見られた遅い応答時間と水素濃度測定値の減少という問題を有利に軽減できる。
【0104】
測定あたりのコストの低さ
従来技術の測定方法は水素プローブの高価格と短寿命のために測定あたりのコストが高いという欠点があった。前述した本発明の実施形態は、交換センサなどの交換コンポーネントの利用を可能にし、それをより安価に製造し、プローブをより長時間使用することが有利に可能になる。したがって、従来の方法に比べて、測定あたりのコストを有利に低減することができる。
【0105】
脱気プロセスのオンライン・モニタリング
本発明の前述の実施形態は好適に頑丈な構成を有し、溶解水素レベルの変化に対する迅速な応答が可能である。したがって、これらのプローブをロータリ脱気装置と組み合わせて用いて脱気プロセスのオンライン実時間モニタリングを実現できる。
【0106】
結論
本発明の実施形態の重要な利点として、センサの自己完結的な性質及びプローブの携帯可能性があげられる。センサの自己完結的な性質はいろいろな方法で活用される。第一に、センサはプローブボディーに結合又は接合されないことが好ましく、これはセンサの耐熱衝撃性を劇的に改善し、故障までのサイクル数で見たセンサ寿命の延びにつながる。第二に、プローブボディーとセンサは、小型化されることが好ましく、これには次のような利点がある:すなわち、プローブ・チャンバのデッドボリュームの低減は水素濃度の変化に対する応答時間を有利に改善し、反復浸漬したときのプローブ表面への金属酸化物の堆積を阻止できる;浸漬したときのプローブの予熱時間が有利に短縮し、プローブの耐熱衝撃性が改善できる。最後に、プローブと交換センサの製造コストを有利に低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に係る水素センサの縦断面図である。
【図2】図2は、本発明の第二の実施形態に係る水素センサの縦断面図である。
【図3】図3は、図1のセンサを組み込んだプローブの分解断面図である。
【図4】図4は、図3のプローブの組立断面図である。
【図5】図5は、本発明の第三の実施形態に係る水素センサの等角投影図である。
【図6】図6は、図5のセンサの縦断面図である。
【図7】図7は、図5のセンサを組み込んだプローブの分解図である。
【図8】図8は、図7のプローブを組み立てた状態での縦断面図である。
【図9】図9は、本発明を実施するプローブ・アセンブリの概略図である。
【図10】図10は、本発明のさらなる実施形態に係るプローブの側面図である。
【図11】図11は、図10のプローブのプローブボディーの側面図である。
【図12】図12は、図11のプローブボディーの縦断面図である。
【図13】図13は、図10のプローブのプローブ・サポートの端部分の縦断面図である。
【図14】図14は、図10のプローブのプローブボディーとプローブ・サポートの端部分の組み立てた状態での縦断面図である。
【図15】図15は、図14のプローブボディーとプローブ・サポートとの間のカップリングの拡大図である。
【図16】図16は、本発明のさらなる実施形態に係るセンサを組み込んだプローブボディーの縦断面図である。
【図17】図17は、図16のプローブボディーとセンサをプローブ・サポートに結合した縦断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素濃度を測定するための装置及び方法に関し、詳細には溶融金属中の溶解水素濃度を測定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融金属、特に溶融アルミニウム及びその合金中の溶解水素濃度をモニタすることは重要である。溶融アルミニウム中の水素の溶解度は固体アルミニウム中の溶解度よりも大幅に高く、したがって、アルミニウムを鋳造したときにメルト中に溶解した水素が固体のアルミニウム製品に泡やその他の欠陥を生ずる傾向がある。溶融アルミニウム中の水素濃度はアルミニウムと環境中の水分の反応によって増加することがあり、アルミニウム鋳造時に水素濃度をモニタできることは決定的に重要である。
【0003】
溶融アルミニウムとその合金、及びその他の金属中の水素濃度をモニタするために多くの方法が開発されているが、それらの方法はいずれも、精度の不足、扱い難い装置を必要とするなどの欠点があり、測定に時間がかかるという欠点もある。これらの問題に解を提供する一つのテクノロジは、内部固体水素基準を用いるプロトン伝導固体電解質センサの実現性である。このテクノロジは公開された従来技術に記載されている。例えば、D P Lapham等による‘溶融アルミニウム中の水素の検出’、Ionics 8 (2002), ページ391から401、C Schwandt等による‘電気化学センサを使用する溶融アルミニウムとその合金中の水素の測定’、EPD Congress 2003, TMS (The Minerals, Metals and Materials Society), 2003、ページ427から438、及びケンブリッジ大学Technical Service Limitedの2003年英国特許出願第003967号明細書などに記載されている。これらの文献はすべて引用によって全体が本明細書に組み込まれる。‘逆電流法’と呼ばれるこのようなプローブによって測定する有利な方法がD J Fray and R V Kumarによる欧州特許出願第98932375.3号明細書に記載されており、これも引用によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
しかし、このテクノロジはこれまでのところ、鋳物工場の生産現場で使用するための実際的な要件を満たす水素プローブを生み出すまでには開発されていない。本発明はこの問題に対処することを目的とするものである。
【発明の開示】
【0005】
本発明はいろいろな態様において、添付の独立クレームに規定されるようなプローブ、水素センサ、及び方法を提供する。発明の好ましい又は有利な特徴は従属するサブクレームで規定される。
【0006】
第一の態様で、本発明は有利な形でプローブボディーと水素センサを具備するプローブを提供できる。センサは、プロトン伝導性固体電解質センサであり、内部固体水素基準がセンサボディーの封止された空洞の内部に含まれることが好ましい。固体電解質はセンサボディーの壁の少なくとも一部分を形成し、空洞の内部のその表面の少なくとも一部分に基準電極を有する。固体基準物質は、空洞の内部に基準分圧の水素を発生し、基準電極がそれに晒される。基準電極は壁を貫いてセンサボディーの外側表面へ延びる電気導体に結合されている。
【0007】
プローブボディーは、センサを収納するためのチャンバと、センサがチャンバに収納されるとき電気導体に結合するための基準信号コネクション、又はコネクタ、を具備することが好ましい。基準信号コネクションは次に、水素濃度測定値を生成するためのアナライザに電気的に結合できる。ある好適な実施形態では、センサはプローブボディーのチャンバの中に挿入でき、センサが挿入されると基準電極が基準信号コネクションに自動的に結合される。
【0008】
アナライザが、空洞の外側の固体電解質の表面の少なくとも一部分に形成される測定電極に電気滝に結合されることも必要である。これは例えば、測定電極から延びる第二の電気導体によっても、又は水素の検出時にプローブが浸漬される溶融金属を通る電気経路によっても達成できる。
【0009】
プローブボディーはプローブ・サポートの端に支持されて、プローブボディーの少なくとも一端が水素濃度を感知するために溶融金属中に浸漬できることが有利である。ある好適な実施形態では、溶融金属に浸漬されたプローブボディーの端に開口が画成される。センサは開口を通ってプローブボディーのチャンバの中に有利に挿入することができ、その後開口を水素透過性のシールによって封止することができる。したがって、プローブボディーを溶融金属に浸漬するとき、金属はシールを通過しないが、メルトからの水素はシールを通って拡散しチャンバ内部に水素の分圧を発生する。固体電解質上の測定電極が水素に晒され、固体電解質の両端間に電位差が生成されるが、これは測定電極と基準電極における水素の分圧の比に、Nernstの式に従って周知の方法で関連付けられる。前述のアナライザは次に、電位差を測定し、又は“逆電流法”などの方法を使用してチャンバ内の水素分圧を決定することができ、基準水素分圧が分ることを示している。
【0010】
測定電極から延びる電気導体によって測定電極がアナライザに結合されている場合、水素透過性シールは導電性物質であっても非導電性物質であってもよい。あるいは、シールは導電性であり、測定電極から溶融金属への導電路の一部を形成してもよい。その場合、別の電気結合が溶融金属とアナライザとの間に形成される。一実施形態では、導電性の水素透過性シールは、グラファイトを、例えばグラファイトウール又は多孔質グラファイト層の形で含む。グラファイト・シールを、特にアルミニウム又はアルミニウム合金における水素濃度を感知するためのプローブに使用する場合、グラファイトの外側表面を二ホウ化チタンでコーティングして溶融アルミニウムとの濡れを改善することが有利である。
【0011】
プローブの応答時間を低減するために、チャンバの中に拡散する必要がある水素の量を低減してメルト中の水素濃度と平衡になる水素分圧を達成することが有利である。これを達成するために、好適な実施形態では、水素透過性シールとセンサとの間にインサートを設置することによってチャンバの容積(チャンバの“デッドボリューム”と呼ばれる)を低減させている。
【0012】
例えばチャンバの端にある開口でシールを締り嵌めにすることによって、又はシールを、開口を覆うねじキャップの一部とすることによって、水素透過性シールを使用してチャンバ中のセンサを機械的に固定できることが有利である。
【0013】
シールを取り外し可能にして、例えばセンサの故障時にセンサの除去と交換が可能になるようにすることが有利である。
【0014】
プローブボディー中のチャンバは、開口以外が密封されることが有利である。このように、チャンバからの水素の拡散を阻止するためにも、チャンバの中への環境アクセスを阻止するためにも、センサとチャンバボディーとの間のシールは必要とされない。したがって、プローブボディーの基準信号コネクションの配置は密封されることが有利である。
【0015】
ある好適な実施形態では、センサボディーはプローブボディーに固定されず、チャンバにすき間嵌めにあることが有利である。言い換えると、センサとチャンバの間には十分なクリアランスがあって、熱衝撃又はセンサボディーとプローブボディーの相対的熱膨張を調整でき、センサに過度の応力が印加されないようにすることが好ましい。さもないと、そのような熱応力がセンサを損傷する可能性がある。このクリアランスはまたセンサボディーとチャンバとの間の水素の流れも可能にし、測定電極をプローブボディーの開口に最も近いプローブボディーの表面と限らず、プローブボディーの表面の任意の地点に配置することを可能にする。
【0016】
別の実施形態では、プローブボディーはプローブを収納するためのチャンバを具備しなくてもよく;この実施形態では、プローブボディーはセンサと一体化している。この実施形態では、プローブボディーは、メルトと固体電解質との間に水素透過性シールを設ける機能、センサをメルトから保護する機能、及びセンサをプローブ・サポートに結合する手段を提供する機能、の一部又は全部を有利な形で可能にする。そのような実施形態の一つでは、センサ・チューブは、一端で水素透過性シールを収容し、他端でプローブ・サポートに例えば押し込みによって嵌め込まれるように成形される保護セラミック・スリーブの内部に組み込まれる。あるいは、プローブボディーはセンサを保護する外部コーティングのみを提供できる。さらに別の実施形態では、センサをプローブ・サポートに結合するためのプローブボディー結合手段は、センサ・チューブの一端で半径方向に延びたフランジを具備し、ねじ溝つきカラーなどのカップリングと係合してそれをプローブ・サポートに固定するようになっている。さらなる実施形態では、水素透過性シールの機能は、チューブの内部の窪んだシートに置かれた平面状の固体電解質を超えてセンサ・チャンバから離れて延びている、センサ・チューブの適当に延ばされた部分の中にシールを挿入することによって実行できる。
【0017】
センサがプローブボディーと一体化しているこれらの実施形態の各々では、センサを組み込んでいるプローブボディーは、本明細書に記載される他の実施形態と同様に、使用中に劣化又は損傷した後にプローブボディーとセンサを交換できるという利点が得られるように、プローブ・サポートに着脱可能に結合できることが有利である。
【0018】
プローブのコンポーネントの寸法及び様々なコンポーネントが作製される材料は、プローブが溶融金属に繰り返し浸漬されたときに伴う熱衝撃と熱サイクリングを受けたときプローブが頑丈で信頼できることを確実にするように選択できることが有利である。
【0019】
プローブは小型である(特に横方向寸法又は直径が小さい)ことが有利である。例えば、センサボディーの最大横方向寸法は、10mm未満、好ましくは6mm未満、特に好ましくは4mm未満であることが有利である。これは熱衝撃の影響を低減するだけでなく、溶融金属に浸漬されたときプローブが動作温度に達するのにかかる時間を有利に短縮し、プローブボディー・チャンバの体積と水素が拡散するためのデッドボリュームを低減することによってプローブの応答時間を改善する。
【0020】
ある好適な実施形態では、固体電解質はインジウムをドープされたジルコン酸カルシウムなどのペロブスカイトを含む。センサボディーの他の部分は、固体電解質と適合する熱膨張係数の物質から製造することが有利である。例えば、センサボディーの他の部分は固体電解質と同じ熱膨張係数又は少し小さな熱膨張係数を有し、高温で固体電解質を圧縮状態に保って電解質にクラックが発生しないようにする。
【0021】
固体基準物質は、チタン/チタン水素化物、ジルコニウム/ジルコニウム水素化物、又はハフニウム/ハフニウム水素化物などの金属/金属水素化物基準を含むことが有利である。
【0022】
固体電解質の表面上の電極は、多孔質プラチナ電極であることが好ましい。
【0023】
プローブボディーは、溶融金属に浸漬されたときほぼ不活性であり、耐熱衝撃性が高く、適当な熱膨張係数を有してセンサボディーに応力を印加しない一つ以上の材料から製造されることが好ましい。好適な実施形態では、プローブボディーは、窒化アルミニウム、サイアロン、窒化ケイ素、高密度グラファイト、アルミナ、マグネシア、炭化ホウ素、又は安定化ジルコニアを含む。プローブボディーは、湿潤剤又は二ホウ化チタンでコーティングできることが有利である。後者は、プローブボディーがグラファイトから作製され、溶融アルミニウムに浸漬される場合に特に効果的である。
【0024】
プローブは、プローブボディーがプローブ・サポートの一端に取り付けられるプローブ・アセンブリの一部を形成することがある。プローブ・サポートの他端には、オペレータが保持してプローブをメルトに浸漬するためのハンドルが設けられている。プローブ・サポートはチューブ状であってもよく、その場合電気的コネクションは内部に沿ってプローブボディーとアナライザとの間で支持できる。
【0025】
プローブ・サポートの端は、任意の都合のよい方法でプローブボディーに固定することができる。一実施形態では、プローブ・サポートはろう付け又は無シリカ・ガラスによってプローブボディーに固定される。そのような実施形態では、プローブ・サポートの端はプローブボディー・チャンバの壁の一部を形成でき、その場合、プローブ・サポートとプローブボディーとの間の接合部は密封されることが有利である。プローブ・サポートがチューブ状で、例えば基準電極から延びる導体を支持する場合、チューブは、例えば無シリカ・ガラスを使用して効果的に封止できる。
【0026】
別の実施形態では、(もし在るならば)センサを収納するチャンバ及びセンサ自身を含むプローブボディーは、交換可能なユニットとして構成できる。同様に、前述のように一体化されたユニットとしてセンサを組み込んだプローブボディーも、交換可能なユニット又はコンポーネントとして構成できる。これらの実施形態では、プローブボディーは容易に交換できるようにプローブ・サポートの一端に着脱可能に結合できるように設計することが有利である。使用時には、プローブボディー、及びプローブの設計に応じてプローブ・サポートの一部が、溶融金属に繰り返し浸漬され、劣化する。したがって、プローブボディーを交換可能にすることが経済的に有利である。この実施形態の好ましい実施例では、プローブボディーとプローブ・サポートとの間の結合は、使用時にプローブボディーを機械的に支持すると共に、基準電極、測定電極、及び熱電対への結合(もし該当する場合)を含めて必要な電気的結合を構成する。
【0027】
この実施形態の一例では、センサが収納されるプローブボディー・チャンバはプローブボディー・シャフトの一端に取り付けられる。シャフトは、プローブが使用される溶融金属に対してほぼ不活性な外側表面を有し、その長さの方向に内部で必要な電気導体を支持する。例えば、熱電対及び基準電極へのコネクションがシャフトの内部で延び、他方、メルトを使用して前述のように測定電極へのコネクションが得られる。センサから遠い方のプローブボディー・シャフトの端には、それをプローブ・サポートの端に固定するための適当なカップリングが設けられる。カップリングは、ねじ溝付きグラファイト・カップリングを具備することが都合がよい;その理由は、グラファイトは導電性であり、測定の際にこれがメルトと接触でき、これを使用して測定電極からメルトを介してプローブ・サポートの内部に収納された電気導体までの導電路を達成できるからである。プローブ・サポートは、チューブ状で内部にメルトから保護された状態でセンサから読み取りを行うためにサポートのハンドル端まで電気導体を支持することが有利である。
【0028】
このデザインは、プローブボディーとセンサの迅速かつ容易な交換を効果的に可能にし、交換されたものは修理又は廃棄される。交換可能なユニットは、ホットエンド・シール(プローブ・チャンバを封止する)、及びセンサ自身など劣化を受けるプローブのコンポーネントのほぼ全部を含む。プローブボディーは、プローブボディーの交換が、電気的コネクションを手動で結合するためにオペレータを必要としないように設計することが有利である:プローブボディーをプローブ・サポートに結合するときに、電気的コネクションが自動的に達成されるようにすることが有利である。
【0029】
本発明を実施したプローブは、アルミニウム、マグネシウム、又は銅、もしくはこれらの金属の合金などの溶融金属においての水素濃度を測定するために使用できる。プローブを製造するのに使用した物質、及びその熱的性能に応じて、センサをプローブボディー開口からある距離をおいて取り付けることが必要になるかもしれない。例えば、前述のプローブは溶融アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの合金では有利に使用できるが、銅とその合金は一般にもっと高温で溶融する。したがって、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの合金については、チャンバの体積を最小にし、プローブの応答時間を短縮するように、センサをプローブ・チャンバから開口のすぐ近くに取り付けることができる。銅及びその合金で使用する場合、センサがより低い温度に晒されるように、センサをプローブ・チャンバの端の開口からもっと遠くに、溶融金属から離して取り付けることが必要になるかもしれない。
【0030】
さらなる態様では、本発明は次のように構成される水素センサを提供する。センサボディーはチューブを具備し、チューブの一端を固体電解質が閉鎖し、チューブの他端をセンサキャップが閉鎖して、センサボディーの内部に封止された空洞を画成する。金属/金属水素化物基準であることが好ましい、空洞の内部の固体基準物質は、空洞の内部に基準分圧の水素を発生する。測定電極は空洞の外側で固体電解質の表面上に設けられ、基準電極は空洞の内部で固体電解質の表面上に設けられて、基準分圧の水素に晒される。電気導体は、基準電極からセンサボディーの外側表面へ、好ましくはセンサキャップの開口を通って延び、開口はろう付け又は無シリカ・ガラスによって封止される。この実施形態では、固体電解質は、ほぼ平面状であることが好ましい。チューブの断面が円形で、固体電解質はほぼ円板状であることが有利である。
【0031】
固体電解質の最大横方向寸法は、10 mm未満、好ましくは6 mm未満、そして4 mm未満であることが特に好ましい。
【0032】
空洞は、基準物質とセンサキャップとの間に緩衝物質を含むことが有利である。これは、基準分圧の水素を含む空洞の容積を有利に低減できるだけでなく、センサキャップをチューブに固定するために必要なろう付け又は封止処理に基準物質が晒されないことにもできる。
【0033】
前述した本発明のこれとその他の態様は、好ましい実施形態では、溶融金属の水素濃度を測定するための従来技術プローブの問題点に対処したプローブを提供する。詳細には、本発明の実施形態は、頑丈で、都合よく小さなサイズから成り、迅速な応答時間で正確な測定値が得られるプローブを提供できる。さらに、センサをプローブボディーから取り外して新しいセンサと交換できる実施形態、又はセンサを組み込んだプローブボディーをプローブ・サポートから取り外して交換できる好適な実施形態では、長時間にわたって溶融金属に繰り返し浸漬される場合に経済的実績が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に本発明の具体的実施形態を、図面を参照して事例によって説明する。
【0035】
図1は、水素センサ2の縦断面図である。センサは、センサボディーを有し、その一端は平面状の固体電解質ディスク6で閉鎖されたチューブを具備する。ディスクは、各面に形成された多孔質プラチナ製電極24,26を有し、チューブの端の凹所の中に無シリカ・ガラス8を使用して封止されている。金属−金属水素化物の基準物質10がチューブの中の基準電極の背後に挿入され、電気導体12が基準電極からチューブの内壁に沿って延びている。基準物質の上のチューブの内部の容積には、Y2O3粉末などの不活性緩衝物質14が充填されている。次に、センサキャップ16がチューブの上端の中に挿入される。センサキャップの孔を通って延びる電極ワイヤ18が電気導体12と接触している。電極ワイヤは孔に封入され、センサキャップはガラス・シール20、好ましくは無シリカ・ガラスを使用してチューブに封止される。固体電解質ディスクは、チューブ、及びセンサキャップが封止された空洞を囲むセンサボディーの壁を形成する。この空洞は固体基準物質を含み、それが空洞の内部に基準分圧の水素を発生する。電極ワイヤは、センサボディーから外へチューブと同軸に延びる。
【0036】
固体電解質は、インジウムをドープされたジルコン酸カルシウムから成ることが好ましい。チューブ及びセンサキャップは、ドープされないジルコン酸カルシウムから製造されることが好ましく、その場合チューブの熱膨張は電解質ディスク及びセンサキャップの熱膨張と一致し、センサが熱サイクルされても過度な熱応力が発生することがない。あるいは、チューブ及びセンサキャップはマグネシア−アルミン酸マグネシウム(MMA)から製造でき、これは熱膨張係数がインジウムをドープされたジルコン酸カルシウムより少し高い。この場合、測定条件下で(溶融金属に浸漬された状態で)電解質は永続的な圧縮応力状態にあり、電解質の耐熱衝撃性及び耐熱サイクリング性を向上している。
【0037】
この実施形態における電解質ディスクの直径は3mmであり、チューブの外径は4mmである。
【0038】
図2は別のセンサを示しており、これはチューブと固体電解質がシンブル22と呼ばれる単一コンポーネントとして製造されるという点で図1のセンサと異なっている。したがってこの場合、センサボディーの壁は、端で閉鎖されたインジウムをドープされたジルコン酸カルシウムのチューブから成り、チューブの開放した端は、センサキャップと電極ワイヤによって図1のセンサと同じように閉鎖される。図1と2に共通するコンポーネントには、両方の図で同じ参照符号が付けられている。
【0039】
図3と4は、図1に示されているようなプローブボディー40とセンサ2を具備するプローブのアセンブリを示す。図3はプローブの分解図であり、図4はこのプローブの組立図である。
【0040】
プローブボディーは、開口44で終端するプローブボディー・チャンバ42を囲んでいる。プローブボディーはほぼ円筒形状から成り、開口に対向するチャンバの端で、プローブボディーの中心孔がプローブ・サポート46の端を収納する。プローブ・サポートの一端48はチャンバの端面の一部を形成し、プローブボディーにろう付け又は封止される。金属チューブ52で内張されためくら孔50がプローブ・サポートの内部でチャンバから同軸に延びている。めくら孔はプローブ・サポートの内部で中心孔に沿って延びる電子導体54で終端する。電子導体の端は、チャンバの端が密封されるようにめくら孔の端でろう付け又はガラス・シールを使用して封止される。
【0041】
チャンバ42はセンサ2を収納するように成形され、センサをチャンバに完全に挿入すると、電極ワイヤ18が金属チューブ52に進入してそれと電気的に接触し、それが図4に示されるような基準電極コネクション56を形成する。センサがチャンバの中に挿入された後、水素透過性シール又はバリア58が締り嵌めで開口44の中に挿入され、チャンバを閉鎖し、センサをチャンバの内部で機械的に保持する。
【0042】
センサとプローブボディーとの間に十分なクリアランスがあって、プローブを溶融金属の中に浸漬することによって生ずる熱サイクリングの際にセンサが自由に膨張し、収縮することができ、プローブを加熱したり冷却したりしたときにセンサボディーがプローブボディーによって拘束されないようにすることが有利である。
【0043】
センサをチャンバ内に配置し、水素透過性シールを取り付けると、側面及び水素透過性シールと対向する側の端におけるチャンバの密封によって、測定を行うときに水素が測定チャンバから漏洩することが防止され、センサは環境の汚染から保護される。
【0044】
水素透過性シールは、溶融アルミニウムと固体電解質又はセンサの他のコンポーネントとの間の直接接触を防止する。溶融アルミニウムと電解質との直接接触は避けなければならない。直接の接触によって、電解質は水素−イオン−伝導領域から離脱して酸素−イオン−伝導領域に進入するからである。この場合、測定電極の電位は、その電極における水素の活量ではなく酸素の活量によって決定され、誤った測定値を導く。しかし、水素透過性シールは導電性であり、測定電極と溶融金属との間に電気的な結合を形成する。したがって、アナライザはメルトを介して測定電極と電気的に接触することができ、プローブ・サポートの内部の電子導体を通して基準電極と電気的に接触することができる。グラファイトフェルト、グラファイトウール、又は開放気孔のある等級のグラファイトが、この実施形態における水素透過性バリアとして適した材料である。
【0045】
プローブボディーは、チャンバの壁を通して気体が拡散するのを防ぐために高密度の物質から、メルトに迅速に浸漬しても破断しないように耐熱衝撃性が高く、熱膨張係数が小さな物質から、そして測定のさいに溶融金属と接触しても化学的に安定な物質から作製することが好ましい。機械加工可能な等級の窒化アルミニウムは、機械加工によって、好ましくは研磨を必要とせずにボディーを製造できるので材料として適当である。プローブボディーの材料として適当なその他の材料は、サイアロン、窒化ケイ素、高密度グラファイト、アルミナ、マグネシア、又は安定化ジルコニアである。
【0046】
プローブボディーと水素透過性バリアは、二ホウ化チタン・インクで塗装されることが好ましい。プローブボディーをこのようにコーティングすることによって、溶融アルミニウム又はアルミニウム合金に浸漬したときの応答時間、及び溶解水素濃度の変化に対するプローブの応答が大幅に改善される。TiB2コーティングは、溶融アルミニウム中での濡れを増進し、導電性を有するのでメルトと水素透過性バリア及びプローブボディーのその他の部分との間の電気的接触を改善する。これは例えば溶融金属の脱気のときに有利である。プローブの下方を通る気泡がメルトとの電気的接触を低下させ、誤った信頼できない測定値を導くことがあるからである。プローブボディーをTiB2インクでコーティングすると、コーティングがプローブボディーの表面全体にわたって電気的接触を可能にし、電気的接触が低下することが避けられる。金属メルト中で安定な任意の適当な電子伝導性コーティングを、このために使用することもできる。
【0047】
プローブ・サポートは、プローブをメルトに浸漬したときの基準電極と測定電極との間の短絡を防ぐために電気的に絶縁性の物質で作製されなければならない。アルミナは、熱サイクリングによる損傷を避けるに十分な小さな粒径(3mm以下)を有するかぎり、プローブ・サポートとして適当な物質である。その他の適当な物質は、サイアロン又は窒化ケイ素である。プローブ・サポートとプローブボディーとの間の熱膨張の不一致を考慮に入れて、プローブを使用温度に加熱したときに、両者が堅固に一緒に保持されることを確実にすることが重要である。
【0048】
図5は、第三のセンサ60を示し、図6にそれが縦断面図で示されている。このセンサの構造は、それが一端で閉鎖された固体電解質のチューブ62から作られ、基準電極64と測定電極66がそれぞれその内側表面と外側表面に形成されているという点で図2のセンサと類似している。金属−金属水素化物の基準物質68がチューブの中に挿入され、電気導体70が基準電極からチューブの内部で延びている。導体は、基準電極と大きな面積で接触するために基準電極と接触するところではらせん状に成形されている。スペーサ72がチューブの中で基準物質の上方に挿入され、電気導体がスペーサの内部の中心孔を通って延びている。チューブの上端は、不活性な緩衝物質74で充填され、センサキャップ76により閉鎖される。電気導体はセンサキャップの中心孔を通って延びている。センサキャップは、チューブと導体にガラス・シール又はろう付けを使用して封止される。スペーサを囲うチューブの外径は漸次増大して、円錐台状の外側表面78を形成し、これにより、後述するように対応する形に作られたプローブボディーの内部のセンサの正確な場所が与えられる。
【0049】
図5と6のセンサを製造するための物質は、図2のセンサと同じである。スペーサ72は酸化アルミニウムなどの不活性物質から作製され、センサの応答時間を低減するためにセンサ空洞中のデッドボリュームを占有する。
【0050】
図7と8は、図5と6のセンサを収納するためのモジュラ・プローブ80の分解図と組立図である。ほぼ円筒形状のプローブボディー82はその対称軸と整列するプローブ・チャンバ84を画成する内壁を有する。プローブ・チャンバは、プローブボディーの一端で内側に雌ねじ溝がついた開口86で終わる。電気導体88が、プローブ・チャンバのブラインド・エンド90の内部でらせん状に巻かれ、チャンバのブラインド・エンドから延びるプローブボディーの中心孔を通って延びその内部で封止される。
【0051】
プローブボディーは、両端92,94で外側の雄ねじ溝がつけられている。
【0052】
プローブ・チャンバは、図5と6のセンサを収納するように成形され、測定電極を支持するセンサの端はチャンバのブラインド・エンドの中に挿入されて、測定電極が電気導体と接触するようになる。プローブ・チャンバの端の内側雌ねじ溝に外側雄ねじ溝が付いたインサート96がねじ込まれ、センサを定位置に保持する。基準電極から延びる電子導体が、ねじ込まれたインサートの中心孔を通って別の電気導体98と接触し、それがプローブボディーの内部の封止された孔を通り、測定電極に結合された電子導体88と平行に出てゆく。
【0053】
内側に雌ねじ溝がついたキャップ100が、プローブボディーの外側雄ねじ溝92に装着され、プローブ・チャンバの開口に水素透過性のシールを提供する。
【0054】
プローブボディーの他端のねじ溝94は、チューブ状のプローブ・サポート102の一端にねじ込まれ、測定及び基準電子導体がチューブの内側に沿って通る。プローブ・サポートの内部のプローブボディーの端はさらに、センサに隣接するプローブボディーの温度を測定するための熱電対106の端を収納する凹所104を具備する。測定及び基準電子導体と熱電対からのリード線は、チューブ状のプローブ・サポートを通って水素濃度と温度を測定するアナライザに結合される。
【0055】
図3と4のプローブと同様に、この実施形態でも、センサとプローブ・チャンバの壁との間に十分なクリアランスがあって、プローブが加熱されたり冷却されたりしたときにセンサがプローブボディーによって拘束されることなしに自由に膨張したり収縮したりできる。さらに、センサの周囲で水素が測定電極の領域に流れてゆくことができるような十分なクリアランスが設けられている。
【0056】
測定及び基準電子導体は両方とも、プローブボディーを通るところで無シリカ・ガラス又はろう付けによって封止され、プローブ・チャンバの密封を(水素透過性シール以外で)確実にする。
【0057】
水素透過性シールは多孔質キャップ100によって提供される。これはメルトとプローブ・チャンバとの間で、アルミニウムがチャンバに浸入するのを阻止しながら水素の交換を可能にする。キャップが多孔質グレードのグラファイトから作製される場合、それを二ホウ化チタンでコーティングして溶融アルミニウムによる濡れを高めて、水素交換を促進することが好ましい。しかし、キャップは他の材料で、例えば多孔質セラミック材料(例えば多孔質アルミナ、多孔質炭化ケイ素、多孔質窒化ケイ素)又は発泡金属、などで製造することもできる。これらの材料を使用する場合、十分なプローブ応答を得るためにキャップに二ホウ化チタンのコーティングを用いる必要はないかもしれない。それでも、二ホウ化チタンのコーティングを用いることはプローブ応答を改善するであろう。測定電極も基準電極も電子導体によってアナライザに結合されているので、メルトとの電気的結合の必要はなく、水素透過性シールは電気的に絶縁性の材料を使用して作製できる。
【0058】
プローブキャップ100がグラファイト又は発泡金属などの電子導体である場合、アース・リード線を設けてキャップをプローブ・サポート・チューブの内部を通してアースに結合し、センサ信号の電気的ノイズを低減できる。
【0059】
プローブボディーの材料の選択は、図3と4のプローブの場合と同様であるが、ただし、測定及び基準電子導体、及びもしあれば、アース線の短絡を防ぐために電気的に絶縁性の材料でなければならないという点が異なる。
【0060】
プローブ・サポートは、耐熱衝撃性が高く、溶融金属と接触しているときの化学的安定性、及び測定温度範囲(これは溶融アルミニウムで普通650℃から800℃)にわたる空気中での化学的安定性が高い材料から作製されなければならない。適当な材料としては、サイアロン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及び炭化ホウ素がある。グラファイトも使用できるが、オルトリン酸アルミニウムなどの保護コーティングをする必要、又は650℃と800℃との間で、空気中で分解するため定期的な交換が必要である。
【0061】
これまで説明した本発明の実施形態のそれぞれにおいて、センサからの電気信号、及びもしあれば熱電対からの電気信号、の安定性は、信号を伝達する電気導体を電気的ノイズから遮蔽することによって改善される。ある好ましい実施形態では、導体がチューブ状のプローブ・サポート内で導かれ、プローブ・サポートがグラファイトなどの導電性の物質から製造される場合、遮蔽はプローブ・サポートをアースに結合することによって達成される。プローブ・サポートが絶縁性の物質から製造される場合、その内壁を銀、金、又はプラチナなどの導電性の酸化しにくい物質でコーティングし、それをアースに電気的に結合することができる。銅などの酸化に対する抵抗が低い物質も、ガラス・コーティングなどによって導電性物質の層を酸素への露呈から保護するならば使用することができる。別の実施形態では、遮蔽は、一つ以上の電気導体を適当に絶縁してチューブ状のプローブ・サポートの内側に同心的に配置された別の金属チューブ、例えばスチール又はインコネル(登録商標)のチューブに通してアースに電気的に結合することによって達成される。
【0062】
図9は、プローブ・アセンブリ100の概略図である。
【0063】
図9に示されているように、プローブボディー104を具備するプローブ102は、図8に示されている構造と同様の水素透過性キャップ106で終端する。プローブはチューブ状プラスチック・サポート108に支持され、その内部にプローブボディーの内部に取り付けられたセンサから及び熱電対からの信号を伝達する電気導体が収納されている。プローブから遠い方のプローブ・サポートの端は、金属ハンドル110の内部の孔に取り付けられている。プローブ・サポートは、加熱中にプローブ・サポートとハンドルとの間の熱膨張不一致がプローブ・サポートのクラックや弛みの発生を生じないように堅固に定位置に保持されることが重要である。この実施形態では、これはプローブ・サポートの外側表面に周縁溝を形成し、それに銅リングを嵌めることによって達成される。プローブ・サポートをハンドルの孔の中に挿入するにつれて、銅リングが孔に進入し、ハンドルの周縁に配置された三つの止めねじが半径方向に銅リングにねじ込まれる。これによって強固な結合が確実になるだけでなく、銅リングとハンドルとの間の電気的結合が達成され、それはプローブ・サポートをアースするために使用できる。プローブ・サポートが導電性物質から成る場合、アース結合は自動的に達成される。プローブ・サポートが絶縁性物質から成り、内部で遮蔽される場合、スクリーンと銅リングとを結合しなければならない。例えばプローブ・サポートの内部に金属コーティングが施されている場合、コーティングをプローブ・サポートの外側まで延ばして銅リングに接触するようにできる。
【0064】
ハンドル110はハブ112で終端し、そこから電気ソケット114が延びている。ハブはセラミック・コネクタ・ブロックを収納し、センサ及び熱電対(もしあれば)からの電気導体がそれに結合される。対応するコネクションが、コネクタ・ブロックから電気導体114へ延びており、これをエレクトロニック・アナライザに、好ましくは遮蔽されたケーブルによって結合することができる。するとアナライザはプローブからの水素濃度と温度測定値を発生できる。
【0065】
図10から15までは、本発明のさらなる実施の形態に係るプローブのいろいろな態様を示す。
【0066】
図10は、プローブボディー202をプローブ・サポート204と結合して組み立てられたプローブ200の側面図である。プローブボディーから遠い方のサポートの端はハブ206及びハンドル208で終端する。ハブは、プローブをエレクトロニック・アナライザに電気的に結合するためのコネクタ又はコネクション・ブロック210を具備する。
【0067】
プローブ・サポートから取り外されたプローブボディーが図11と12に示されている。これはセンサ214が収納されたプローブ・チャンバ212を含む。センサ構造は図2に示されている構造と同様で、固体電解質材料から成るブラインド・エンド・チューブ、又はシンブル222を具備し、チューブのブラインド・エンドの内面と外面に形成されたプラチナ電極を設けられている。チューブは長さが13mm、外径が4.5mmである。チューブは金属/金属水素化物基準物質を含み(図示せず)、センサキャップ216を用いて封止される。電極ワイヤ218がセンサキャップの孔を通って延び、センサボディーの内部でセンサ空洞(図示せず)の内側表面上の基準電極に結合される。不活性物質のスペーサ220が金属/金属水素化物基準物質をセンサ・チャンバの内部の定位置に保持し、センサ・チャンバの内部容積を低減している。
【0068】
プローブボディー・チャンバ212は、プローブボディー・シャフト230の一端にある。シャフトは長さが44mm、直径が8mm、サイアロン製の電気的に絶縁性のチューブ234の内部で軸方向に延びる導電性のSiC製のコア、又はロッド(直径2mm)を具備する。SiC製のロッドは、例えば、ろう付け又はガラス・シールによって、又はその他の便利な方法でサイアロン製チューブの内部に固定される。
【0069】
シャフト230の一端に、AlN製の円筒状チューブ(窒化アルミニウム、長さ23mm、外径9mm)236をシャフトの端の直径が小さくなった部分に押し込むことによってプローブボディー・チャンバ212が形成される。センサがAlN製チューブ内に収納され、電極ワイヤ218がSiC製ロッド232の端に形成された軸方向のブラインド孔238に延びている。こうして、電極がプローブボディー・チャンバに収納されると電極ワイヤとSiCロッドとの間で電気的接触が自動的に形成される。センサがチャンバの中に挿入された後、グラファイトウールのスペーサ241が挿入され、水素透過性シール又はバリア240が締り嵌めで挿入されてチャンバを閉鎖し、その内部にセンサを機械的に保持する。
【0070】
プローブ・チャンバから遠い方のシャフトの端には、半径方向に延びるフランジ242が形成され、それが内側に雌ねじ溝が付いたグラファイト・カラー244を保持する。このカラーはシャフトに沿ってスライドできるが、フランジ242とAlN製スリーブ236との間に把持されて保持される。スリーブ236はサイアロン製スリーブ236よりも外径が大きい;組立時には、AlN製シリンダをシャフトに押込嵌めする前にグラファイト・カラーをシャフトに取り付けなければならない。図11は、プローブボディーの側面図であり、シャフトの中央近くの位置にあるグラファイト・カラーを示している。
【0071】
図13は、プローブボディーと結合する前のプローブ・サポートの端の縦断面図である。サポート204は、長さが約50cmで外径が16mmのサイアロン製チューブ250を具備し、その内部で二本の電気導体がハブ206から延びてエレクトロニック・アナライザをそれぞれ基準電極及び測定電極に結合する。これらは基準電極導体252及び測定電極導体254である。
【0072】
プローブボディーが結合されるサイアロン製チューブの端には、SiC製ボス256がチューブ250に接合されている。ボスの外側表面は円筒形部分を含み、それに銀インクがコーティングされ、チューブの端に挿入され、950℃(銀の融点)に加熱されて接合部257を固定する。ろう付けやガラス接合など他の接合方法も使用できる。有利な形では、チューブの端を溶融金属に浸漬したときに熱膨張応力を低減する、サイアロン製チューブの断面の変化は必要とされない。チューブの端から延びたボスの部分には外側の雄ねじ溝が付けられグラファイト・カラー244の雌ねじ溝を収納するようになる。
【0073】
基準電極導体252は、サイアロン製チューブ250の長さにわたって延びるインコネル(登録商標)600を外被とする熱電対の外被によって与えられる。熱電対の外被はその内部の熱電対ワイヤから絶縁されているので、基準電極導体として利用できる。熱電対の外被252は、電気的絶縁層264でコーティングされ、導体をボスから且つサイアロン製チューブの内部で絶縁する。外被、そして基準電極導体、の端はボス256の軸方向通路を通って延びている。外被にはハブでばね260が作用して外被の反対側の端262をサイアロン製チューブの端から遠くへボス256から出てゆくように付勢する。
【0074】
測定電極導体254は、ハブ206からボスのオフセット・ブラインド孔266に延びるインコネル(登録商標)600電極である。サイアロン製チューブの内部の基準電極導体は、基準電極導体及びプローブ・サポート・チューブ250からの電気的絶縁を確実にするために、セラミック・ビーズ(図示せず)に通される。
【0075】
プローブボディーをプローブ・サポートに結合するために、グラファイト・カラー244が図14に示されるようにボス256にねじ付けされる。カラーがボスにねじ付けされると、プローブボディー・シャフトの内部のSiC製ロッド232の端268(これはグラファイト・カラーの内部のシャフトのサイアロン製スリーブ234の端から少し出ている)が基準電極導体の端262と接触するようになる。カラーをさらにボスにねじ付けさせると、この接触が基準電極導体を付勢バネ260の作用に抗してハブに付勢する。これによってSiC製ロッドと基準電極導体との間の優れた電気的接触と、プローブボディー・シャフトのフランジ242がグラファイト・カラーの内部に堅固に置かれることの両方が確実にされる。カラーをボスに完全にねじ付けさせると、カラーの端がプローブ・サポートのサイアロン製チューブ250の端面に当接する。組み立てられた構造は図14と15に見られる。
【0076】
組み立てられたプローブでは、基準電極は、電極ワイヤ218,SiC製ロッド232及び基準電極導体252によってハブにおけるコネクタ210に電気的に結合される。測定電極は、グラファイトフェルト241,グラファイトのエンドキャップ240,金属メルト、グラファイト・カラー(これは使用時にはメルトに沈められる)、SiC製ボス256,及び測定電極導体254を介してコネクタ210に結合される。
【0077】
本発明のこの実施形態のさらなる特徴は以下の通りである。
【0078】
使用時にメルトに沈められるプローブのホットエンドには、SiCが使用されて信頼できる高温での電気的結合が作られる。これはプローブボディー・シャフトの内部のロッド232及びボス256でも要求される。SiCは、測定条件下で、600℃と850℃との間の温度にある溶融アルミニウムに浸漬したとき、アルミニウムから発生する水素による還元雰囲気下でも、ハンドル端で空気に晒されるプローブ・サポート・チューブ250の内部に存在しそうな酸化雰囲気下でも、酸化したり劣化したりしない。
【0079】
グラファイト・カラー、プローブボディー・シャフトのフランジ端、及びプローブ・サポート・チューブ250の端は、プローブボディーとプローブ・サポートとの間の接合部でアルミニウムの浸入を阻止するためのガスケットを必要としないように適当な許容公差で作成することができる。これによって接合部の構造の複雑さを有利に低減できる。
【0080】
溶融金属に浸漬されるコンポーネントの断面の変化を回避することが望ましい。それでもやはり、実施形態では、AlN製シリンダを嵌め込んでプローブボディー・チャンバを形成することを可能にするようなプローブボディー・シャフトの断面の縮小がある。しかしながら、シャフトの端へのAlN製シリンダの押込嵌めは、溶融アルミニウムに浸漬したときに接合部がわずかに弛むことを可能にし、応力を低減し、又は無くすことができる。さらに、熱膨張が良く一致するように材料が選択され、これも熱応力を低減させる。
【0081】
プローブボディー・シャフトは、センサ空洞をプローブ・サポートの端から隔離する。グラファイト・カラーは溶融アルミニウムの浸入に対してプローブ・サポートの端を封止するが、これは気密性がなく、前述のようにカラーの内側は事実上大気に晒されている。したがって、プローブ・サポートの端には人工的に低い水素レベルが存在する。その結果として、プローブボディー・シャフトの長さ、及び溶融アルミニウムによるシャフトの濡れは、局所的に低い水素レベルがセンサによって測定される水素の活量に影響しないように予め定められていなければならない。
【0082】
水素透過性シール240は、多孔質グラファイトで作製されることが好ましく、その多孔率を調整してガス注入によってメルトを処理するときのプローブ信号の安定性を向上させることができる。グラファイト膜のすぐ下方に気泡があると、プローブからの信号に望ましくない急激な変化が生ずることがある。グラファイト・シールの多孔率を小さくすることによって、その端における水素分圧の急激な局所的変動に対しプローブが鈍感になるようにすることができる。これは、シールを通しての水素の拡散が十分速やかなプローブ測定応答時間を与えるための十分な多孔率という要請とバランスさせなければならない。
【0083】
プローブ・サポートのサイアロン製チューブの外側表面をSiCでコーティングすることができる。これによってメルトがアースされ、プローブはノイズに対して、例えば誘導加熱炉におけるノイズに対して、より弾力的になり、チューブ内の導体に対する電気的遮蔽となる。サイアロン製チューブの内側表面をSiCでコーティングすることもでき、コーティングを測定電極導体として使用することもできる。その場合、導体254は省くことができる。
【0084】
図10に示されているように、プローブ・サポートは二つのチューブ状セクション270,272で製造され、接合部274で結合される。プローブボディーが結合されるプローブ・サポート・セクション270は前述したサイアロン製チューブ250を含む。サイアロン製チューブ250とプローブ・サポートの残りの部分はそれぞれ長さが約50cmである。サイアロン製チューブの端部分は、水素濃度を測定するときに溶融金属に浸漬されるので、時間と共に劣化するが、劣化はプローブボディーの場合よりも遅い。したがって、過度な劣化が生じたときにはサイアロン製チューブ250を交換できることが有利になる。これは、カップリング274を解除し、サイアロン製チューブとボス256を引き出し、これらのコンポーネントを取り替えることによって達成される。基準電極導体、測定電極導体、及び熱電対は、取り替えるサイアロン製チューブとボスに通すことができるので取り替える必要はない。
【0085】
図16と17は、プローブボディーとセンサの機能が単一ユニットに統合されている本発明の別の実施形態を示す。センサ300は、センサ・チューブ302を具備し、このチューブには窪んだ内側ステップ304が形成され、そこに固体電解質の平面状ディスク306が載置され、その位置で接着されている。ステップは、センサ・チューブの端部分308が固体電解質ディスクを超えて延びるように窪んでいる。この凹所にグラファイトウールのディスク310が挿入され、続いて水素透過性のグラファイト・ディスク312が押込嵌めによって挿入される。センサ・チューブの内部の固体電解質ディスクの背後では、センサ構造は、図1の実施形態を含む前述のいろいろな実施形態で記載されたものと同様である。
【0086】
チューブは、固体水素基準物質314,充填材316及びセンサキャップ318を含む。
【0087】
測定電極は固体電解質ディスクの外側表面上に、基準電極はその内側表面上に形成される。測定電極はグラファイトウールと接触するので、水素透過性のグラファイト・シールを介してメルトと電気的に接触している。基準電極は、センサ・チューブの内部の電気導体(図示せず)に、ひいてはセンサキャップの孔を通って軸方向に延び、センサの上端322から出て終端する基準電極導体に結合される。
【0088】
センサ・チューブ302には、センサキャップに隣接する端に、チューブから半径方向外側に延びるフランジ324が形成される。
【0089】
センサ・チューブの外側表面には、耐熱衝撃性保護コーティング326がコーティングされる。
【0090】
図17は、プローブボディーとセンサ300のプローブ・サポートとの結合を示し、これは図13,14及び15で示されているものと同様である。グラファイト・カラー328は、内側に雌ねじ溝がつけられ、ねじ溝付きハブ256および プローブ・サポートの端と係合するようになっており、かつ軸方向の孔330が形成され、フランジ324がカラーの内側表面と係合するようにプローブボディーとセンサを収納する。抗してカラーをねじってハブに嵌めると、基準電極導体がバネ負荷された熱電対外被262と接触し、図13から15までに関して説明したように、これがプローブ・サポートの内部で基準電極導体としての役目をする。
【0091】
測定電極は、前述の実施形態と同様に、グラファイトウール、グラファイト・シール、メルト、及びグラファイト・カラーを介して電気的に結合される。
【0092】
この実施形態では、プローブボディーをセンサと一体化することができ、プローブ・サポートに着脱可能に結合できる結合手段(この実施形態では、グラファイト・カラー)を具備していることが分かる。
【0093】
エレクトロニック・アナライザ
前述したように、プローブを用いる電流逆転測定法を使用して、水素濃度を測定することができ、センサ電解質の脱水をモニタすることができる。しかし、通常のインピーダンス分析ユニットを使用することもできる。この場合、アナライザは、センサEMF、温度、及びセンサ・インピーダンスを測定する。溶解水素レベルを計算するためにはEMFと温度のみが必要とされ;インピーダンスは、後述するように、センサの状態を決定する別の計算で使用される。
【0094】
EMFは、水素イオン伝導体に関するNernstの式に従ってセンサ電極の間に発生される(1):
【数1】
センサの内側の基準水素分圧(pH2ref)は温度依存的である。アナライザは二つの較正値(AとB)によってプログラムされ、それによって任意の与えられた温度での基準水素分圧がどれほどになるかを算出できる。これらの較正値は、二つの異なる温度で既知分圧の水素におけるセンサEMFを測定することによって取得される。
【0095】
溶融アルミニウムと平衡している水素の分圧は、Siebertの法則(2)によって溶解水素濃度(H)と関連付けられる:
【数2】
定数CとDは、アルミニウム合金によって決まり、いろいろな合金の化学組成(例えば、シリコン含有量、マグネシウム含有量,等)が、水素の溶解度にどれほど影響するかによって変化する。
【0096】
したがって事実上、計算を以下の段階に分解できる:
(i) 測定された温度から、センサの内側の基準水素分圧を算出する;
(ii) 測定されたEMFと(i)から、式(1)を用いて溶融アルミニウムと平衡にある水素分圧を算出する;
(iii)(ii)と式(2)を用いてメルト中の溶解水素濃度を算出する。
【0097】
実際には、これらは全部一つの式に結合できる(ここで温度Tは摂氏温度)。
【数3】
【0098】
アナライザはまた、センサ・インピーダンス、又は抵抗、をモニタしてセンサ状態を次のように決定する。二つの較正定数、R700とR750、はそれぞれ700℃と750℃における製造後のセンサの抵抗であり、これが測定され、アナライザにプログラムされる。すると、製造され水和された状態でのセンサの任意の温度における抵抗が、導電度の温度に対するアレニウス依存性を使用して計算できる。アナライザはセンサの実際の抵抗を測定して、計算値からのずれを測定し、所定の閾値を超えるずれ、例えば5キロオームを超えるずれ、があると警報する。この戦略によって電解質の状態の正確な表示が得られ、センサが脱水されたときにアナライザは適当なエラー・メッセージを表示できる。700℃と750℃という温度は恣意的なものであり、他の較正温度を使用してもよい。
【0099】
他の金属
前述の実施形態は、溶融アルミニウム及びアルミニウム合金における溶解水素濃度を測定するプローブという文脈で説明された。同様のプローブを使用して、溶融マグネシウムとその合金における溶解水素濃度を測定することができる:溶融マグネシウムとの材料の適合性を保証するために必要な変更を加えることは、同業者であれば発明するほどの労力なしに可能であろう。実施形態に変更を加えることによって、同様のプローブを用いて溶融銅及びその合金における溶解水素濃度を測定できる。実施形態で記載されたセンサの最高使用温度は約850℃であり、その温度を超えると金属/金属水素化物基準の性能は劣化する。溶融銅は、普通約1100℃という温度にある。溶融銅における溶解水素濃度を測定するためには、したがって、プローブボディーを延ばしてセンサをメルトから遠くに配置してセンサ温度を850℃よりも低く保つ必要がある。
【0100】
結論として、本発明のいろいろな実施形態は、従来の水素センサの多くの問題点を解決するものであることが分る。その利点は以下のようなものである。
【0101】
携帯性
記載した実施形態は、鋳物工場のいろいろな測定場所に容易に運ぶことができるプローブを提供している。軽量の固体プローブと関連アナライザだけを運ぶだけでよい。さらに、プローブの優れた携帯性と速い応答時間は、有利にバッチ測定を行うことを可能にし、例えば、溶解水素レベルを迅速にチェックした後に鋳造することが可能になる。
【0102】
反復浸漬の適性
実施形態のセンサは、自己完結的であり、プローブボディーに接合又は封止されないことが有利である。すなわち、センサは、従来の設計のセンサのように、プローブボディーによる物理的な制約や熱膨張の不一致による力を受けないことが有利である。これは、熱サイクリングに対するセンサの耐性を高め、プローブを溶融金属への反復浸漬に適したものにするという利点がある。
【0103】
プローブをメルトに、特に溶融アルミニウムに、繰り返し浸漬したり出したりすると、ブロッキング酸化物層(例えば酸化アルミニウムの層)が堆積し、メルトとプローブ・チャンバとの間の水素の交換を阻害することがある。これは応答時間を遅くし、反復浸漬の後にセンサの測定電極における水素の化学ポテンシャルをメルトにおける平衡レベルよりも低下させる。従来技術のプローブでは、このブロッキング酸化物層はプローブ・チャンバに含まれる空気中の酸素と溶融金属との間の反応によって堆積する。前述の実施形態のセンサとプローブの自己完結的な性質により、プローブ・チャンバを最小のデッドボリューム(自由なチャンバ容積)で設計することが可能になり、従来技術のプローブで反復浸漬の後に見られた遅い応答時間と水素濃度測定値の減少という問題を有利に軽減できる。
【0104】
測定あたりのコストの低さ
従来技術の測定方法は水素プローブの高価格と短寿命のために測定あたりのコストが高いという欠点があった。前述した本発明の実施形態は、交換センサなどの交換コンポーネントの利用を可能にし、それをより安価に製造し、プローブをより長時間使用することが有利に可能になる。したがって、従来の方法に比べて、測定あたりのコストを有利に低減することができる。
【0105】
脱気プロセスのオンライン・モニタリング
本発明の前述の実施形態は好適に頑丈な構成を有し、溶解水素レベルの変化に対する迅速な応答が可能である。したがって、これらのプローブをロータリ脱気装置と組み合わせて用いて脱気プロセスのオンライン実時間モニタリングを実現できる。
【0106】
結論
本発明の実施形態の重要な利点として、センサの自己完結的な性質及びプローブの携帯可能性があげられる。センサの自己完結的な性質はいろいろな方法で活用される。第一に、センサはプローブボディーに結合又は接合されないことが好ましく、これはセンサの耐熱衝撃性を劇的に改善し、故障までのサイクル数で見たセンサ寿命の延びにつながる。第二に、プローブボディーとセンサは、小型化されることが好ましく、これには次のような利点がある:すなわち、プローブ・チャンバのデッドボリュームの低減は水素濃度の変化に対する応答時間を有利に改善し、反復浸漬したときのプローブ表面への金属酸化物の堆積を阻止できる;浸漬したときのプローブの予熱時間が有利に短縮し、プローブの耐熱衝撃性が改善できる。最後に、プローブと交換センサの製造コストを有利に低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に係る水素センサの縦断面図である。
【図2】図2は、本発明の第二の実施形態に係る水素センサの縦断面図である。
【図3】図3は、図1のセンサを組み込んだプローブの分解断面図である。
【図4】図4は、図3のプローブの組立断面図である。
【図5】図5は、本発明の第三の実施形態に係る水素センサの等角投影図である。
【図6】図6は、図5のセンサの縦断面図である。
【図7】図7は、図5のセンサを組み込んだプローブの分解図である。
【図8】図8は、図7のプローブを組み立てた状態での縦断面図である。
【図9】図9は、本発明を実施するプローブ・アセンブリの概略図である。
【図10】図10は、本発明のさらなる実施形態に係るプローブの側面図である。
【図11】図11は、図10のプローブのプローブボディーの側面図である。
【図12】図12は、図11のプローブボディーの縦断面図である。
【図13】図13は、図10のプローブのプローブ・サポートの端部分の縦断面図である。
【図14】図14は、図10のプローブのプローブボディーとプローブ・サポートの端部分の組み立てた状態での縦断面図である。
【図15】図15は、図14のプローブボディーとプローブ・サポートとの間のカップリングの拡大図である。
【図16】図16は、本発明のさらなる実施形態に係るセンサを組み込んだプローブボディーの縦断面図である。
【図17】図17は、図16のプローブボディーとセンサをプローブ・サポートに結合した縦断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素センサを具備するプローブボディーを有するプローブであって、
前記センサは、
内部に封止された空洞が画成される壁を有するセンサボディーであって、前記空洞は、前記空洞の内部に基準分圧の水素を発生する固体基準物質を含むセンサボディーと;
前記壁の少なくとも一部を形成する固体電解質と;
前記空洞の外側の前記固体電解質の表面上の測定電極と;
前記空洞の内部の前記固体電解質の表面上の、前記基準分圧の水素に晒される基準電極と;
前記基準電極から前記壁を貫いて前記センサボディーの外側表面へ延びる電気導体;
を具備することを特徴とする、
プローブ。
【請求項2】
前記プローブボディーは:
前記センサを収納するためのチャンバと;
前記センサが前記チャンバに収納されるとき、前記電気導体に結合する基準信号コネクション;
を具備することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記プローブボディーは前記センサと一体化しており、オプションとして前記センサの外側表面にコーティングを具備することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記プローブボディーは、前記プローブボディーと前記センサとをプローブ・サポートに着脱可能に結合するための結合手段を具備することを特徴とする、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記センサボディーはチューブを具備し、前記固体電解質は前記チューブの一端を閉鎖し且つセンサキャップは前記チューブの他端を閉鎖し、前記センサキャップは好ましくは前記チューブと同じ物質から成ることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項6】
前記センサボディーは、一端が閉鎖したチューブの他端をセンサキャップが閉鎖している形で前記固体電解質を具備することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項7】
前記電気導体は、前記センサキャップを貫いて延びていることを特徴とする、請求項5又は6に記載のプローブ。
【請求項8】
前記電気導体は、前記センサボディーの外側表面から外向きに延び、前記基準信号コネクションは、前記センサが前記チャンバに収納されるとき、前記電気的コネクタに接触するためのソケットを具備することを特徴とする、請求項2に記載のプローブ。
【請求項9】
前記プローブ・チャンバは、前記センサが前記チャンバに収納されるとき前記測定電極に電気的に結合するための測定信号コネクション又はコネクタを具備することを特徴とする、請求項2又は8に記載のプローブ。
【請求項10】
前記チャンバは、水素透過性シールによって封止できる開口を具備し、オプションとして前記シールが前記センサを前記チャンバの内部に保持することを特徴とする、請求項2、8又は9のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記水素透過性シールは、多孔質アルミナ、多孔質炭化ケイ素、又は多孔質窒化ケイ素などの非導電性物質から成り、オプションとして二ホウ化チタンなどの湿潤剤でコーティングされていることを特徴とする、請求項10に記載のプローブ。
【請求項12】
前記水素透過性シールは導電性であり且つグラファイト又は多孔質金属から成り、オプションとして前記測定電極と電気的に結合し、オプションとして二ホウ化チタンなどの湿潤剤でコーティングされ、オプションとして接地線と結合されていることを特徴とする、 請求項10に記載のプローブ。
【請求項13】
さらに、前記水素透過性シールと前記センサとの間に位置するインサートを具備する、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項14】
前記水素透過性シールは、ねじ溝により又は締り嵌めによって定位置に保持されることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項15】
前記チャンバは、前記開口以外で封止されることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項16】
前記センサは、前記開口を通って前記チャンバの中に挿入可能であることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項17】
前記センサは前記チャンバから取り外し可能であり、オプションとして交換可能であることを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至16のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項18】
前記センサが前記チャンバの中に挿入されるとき、前記センサボディーと前記チャンバとの間に十分なクリアランスがあって、使用時に前記センサに過度の応力を印加することなく熱衝撃を調整することを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至17のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項19】
前記センサが前記チャンバの中に挿入されるとき、前記センサボディーと前記チャンバとの間に十分なクリアランスがあって、前記センサと前記チャンバとの間の水素の流れを可能にすることを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至17のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項20】
前記センサボディーは、前記チャンバにすき間嵌めになっていることを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至19のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項21】
熱電対は前記センサの近くに配置できることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項22】
前記プローブボディーは、プローブ・サポートに結合可能であることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項23】
プローブ・サポートは、前記プローブボディーに固定され、オプションとして前記プローブ・サポートの一端は、前記プローブボディー・チャンバの壁の一部を形成することを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項24】
前記プローブ・サポートはチューブの形状であり、前記基準信号コネクションに電気的に結合された基準信号導体が前記チューブに沿って通り、前記チューブの一端はオプションとして前記導体の周囲に封止され、前記チューブはオプションとして電気的に遮蔽される及び/又は接地されることを特徴とする、請求項22又は23に記載のプローブ。
【請求項25】
前記プローブボディーは、前記プローブ・サポートに着脱可能に結合できることを特徴とする、請求項22に記載のプローブ。
【請求項26】
前記プローブボディーは、第一及び第二の端部を有するプローブボディー・シャフトを具備し、前記センサ用の前記チャンバは、前記プローブ・サポートと結合できる前記第一の端部及び前記第二の端部に位置することを特徴とする、請求項22又は25に記載のプローブ。
【請求項27】
基準信号導体は、前記センサの前記基準信号電気導体を前記プローブ・サポートの基準信号導体に結合するために、前記シャフトに沿って延びることを特徴とする、請求項26に記載のプローブ。
【請求項28】
測定信号導体は、前記センサの前記測定電極を前記プローブ・サポートの測定電極導体に結合するために、前記シャフトに沿って延びることを特徴とする、請求項26又は27に記載のプローブ。
【請求項29】
前記測定電極は、前記プローブを溶融金属に浸漬した際に前記溶融金属を介して伝導によって前記プローブ・サポートの測定電極導体に電気的に結合されることを特徴とする、請求項22又は請求項26乃至28のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項30】
前記プローブボディーと前記プローブ・サポートとの間の少なくとも一つの電気的結合は、前記プローブボディーを前記プローブ・サポートに結合したとき自動的に行われることを特徴とする、請求項22又は請求項26乃至29のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項31】
前記プローブ・サポートの熱膨張係数は、前記プローブボディーの熱膨張係数と適合できるように選択されることを特徴とする、請求項22乃至30のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項32】
前記プローブ・サポートの横方向寸法は、10mm未満、好ましくは5mm未満、特に好ましくは3mm未満であることを特徴とする、請求項22乃至31のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項33】
前記プローブ・サポートは、電気的に絶縁性であり、オプションとしてアルミナ、サイアロン、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、又は窒化ケイ素から成ることを特徴とする、請求項22乃至32のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項34】
前記プローブ・サポートはグラファイトから成り、オプションとしてオルトリン酸アルミニウムでコーティングされていることを特徴とする、請求項22乃至32のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項35】
前記固体電解質は、インジウムをドープされたジルコン酸カルシウムを含むことを特徴とする、請求項1乃至34のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項36】
前記固体基準物質は、金属/金属水素化物基準を含むことを特徴とする、請求項1乃至35のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項37】
前記電極は、多孔質プラチナ電極であることを特徴とする、請求項1乃至36のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項38】
前記センサ空洞は、緩衝物質及び/又はスペーサを含み、オプションとして酸化イットリウム又は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1乃至37のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項39】
前記チューブは、ドープされていないジルコン酸カルシウム又はマグネシア−アルミン酸マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項5に記載のプローブ。
【請求項40】
前記センサの最大横方向寸法は、10mm未満、好ましくは6mm未満、特に好ましくは4mm未満であることを特徴とする、請求項1乃至39のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項41】
前記プローブボディーは、窒化アルミニウム、サイアロン、窒化ケイ素、高密度グラファイト、アルミナ、マグネシア、炭化ホウ素、又は安定化ジルコニアを含むことを特徴とする、請求項1乃至40のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項42】
前記プローブボディーの少なくとも一部は、湿潤剤又は二ホウ化チタンでコーティングされていることを特徴とする、請求項1乃至41のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項43】
アルミニウム、マグネシウム、又は銅などの溶融金属中の水素の濃度を測定するための、請求項1乃至42のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項44】
溶融金属中の水素の濃度を測定するためのプローブであって:
水素センサを含むプローブボディーと;
前記プローブボディーを一端に支持するプローブ・サポートと;
前記プローブ・サポートの他端に取り付けられたハンドルと;
前記プローブ・アセンブリをアナライザに電気的に結合して、前記アナライザが前記センサからの電気信号又は出力に応答して水素濃度を評価できるようにする電気的コネクタ手段;
を具備する、
プローブ。
【請求項45】
前記プローブ・サポートはチューブ状であり、前記センサと前記電気的コネクタ手段との間の電気的結合は、前記プローブ・サポートの内部で支持されることを特徴とする、請求項44に記載のプローブ。
【請求項46】
前記プローブ・サポートは、電気的に遮蔽されていることを特徴とする、請求項44又は45に記載のプローブ。
【請求項47】
前記プローブ・サポートは前記ハンドルに結合されて、前記プローブを前記溶融金属に浸漬したときその間の熱膨張の不一致によって結合が弛まないようにすることを特徴とする、請求項44乃至46のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項48】
前記プローブボディーは、前記プローブ・サポートに着脱可能に結合できることを特徴とする、請求項44乃至47のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項49】
前記センサは、前記プローブボディーに着脱可能に結合できることを特徴とする、請求項44乃至48のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項50】
前記センサは、前記プローブボディーと一体化されていることを特徴とする、請求項44乃至48のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項51】
チューブを具備するセンサボディーであって、固体電解質が前記チューブの一端を閉鎖し、またセンサキャップが前記チューブの他端を閉鎖し、前記センサボディーの内部に封止された空洞を画成するセンサボディーと;
前記空洞の内部にあって前記空洞の内部に基準分圧の水素を発生する固体基準物質と:
前記空洞の外側の前記固体電解質の表面上の測定電極と;
前記空洞の内部の前記固体電解質の表面上にあり、前記基準分圧の水素に晒される基準電極と;
前記基準電極から前記センサボディーの外側表面へ延びる電気導体;
を具備することを特徴とする、
水素センサ。
【請求項52】
前記電気導体は、前記センサボディーの外側表面から外向きに延びることを特徴とする、請求項51に記載の水素センサ。
【請求項53】
前記固体電解質は、ほぼ平面状であることを特徴とする、請求項51又は52に記載の水素センサ。
【請求項54】
前記固体電解質は、ほぼ円板形であることを特徴とする、請求項51乃至53のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項55】
前記固体電解質の最大横方向寸法は、10mm未満、好ましくは6mm未満、特に好ましくは4mm未満、又は約3mmであることを特徴とする、請求項51乃至54のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項56】
前記チューブと前記固体電解質の熱膨張係数は、前記センサの作動温度でほぼ等しくなるように、又は前記固体電解質が圧縮応力下にあるように予め定められていることを特徴とする、請求項51乃至55のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項57】
前記空洞は、前記基準物質と前記センサキャップとの間に緩衝物質を含むことを特徴とする、請求項51乃至56のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項58】
前記センサキャップは、前記チューブと同じ物質から成ることを特徴とする、請求項51乃至57のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項59】
前記電気導体は、前記センサキャップを貫いて前記センサボディーの外側表面に延びていることを特徴とする、請求項51乃至58のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項60】
前記固体電解質は、インジウムをドープされたジルコン酸カルシウムを含むことを特徴とする、請求項51乃至59のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項61】
前記チューブは、ジルコン酸カルシウム又はマグネシア/アルミン酸マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項51乃至60のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項62】
前記固体電解質は、好ましくは無シリカ・ガラスから成るガラス・シールによって前記チューブに固定されることを特徴とする、請求項51乃至61のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項63】
前記基準物質は、金属/金属水素化物基準を含むことを特徴とする、請求項51乃至62のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項64】
前記緩衝物質は、酸化イットリウム粉末を含むことを特徴とする、請求項51乃至63のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項65】
溶融金属中の水素濃度を感知するためのプローブであって、
センサとプローブボディーを具備し、
前記センサは、固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生するための固体基準物質を含み、前記センサは、前記プローブボディーから取り外し可能且つ取り替え可能であることを特徴とする、
プローブ。
【請求項66】
溶融金属中の水素濃度を感知するためのプローブであって、
プローブボディーとプローブ・サポートを具備し、
前記プローブボディーは水素センサを組み込み、前記プローブボディーは前記プローブ・サポートから取り外し可能且つ取り替え可能であることを特徴とする、
プローブ。
【請求項67】
前記センサは、固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生するための固体基準物質を含むことを特徴とする、請求項66に記載のプローブ。
【請求項68】
センサとプローブボディーを有し、前記センサは固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生する固体基準物質を含むプローブを使用して、溶融金属中の水素濃度を感知するための方法であって、前記センサを前記プローブボディーから取り外し且つ交換センサを前記プローブボディーに取り付けるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項69】
プローブボディーとプローブ・サポートを有し、前記プローブボディーは水素センサを組み込んでいるプローブを使用して、溶融金属中の水素濃度を感知するための方法であって、前記プローブボディーを前記プローブ・サポートから取り外し且つ交換プローブボディーを前記プローブ・サポートに取り付けるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項70】
前記センサは、固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生するための固体基準物質を含むことを特徴とする、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
水素センサを製造するための方法であって:
端が開いたチューブを準備することと;
前記チューブの一端に固体電解質を固定して前記チューブの端を閉鎖し、前記電解質は前記チューブの内部の表面上の少なくとも一部に基準電極を支持することと;
前記チューブの内部の前記基準電極から延びる電子導体を配置することと;
固体水素基準物質を前記チューブの中に挿入することと;
センサキャップを固定して前記チューブの開いた端を閉鎖し、前記電気導体は前記キャップを貫いて又は過ぎて前記センサの外側表面に延びていること;
から成るステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項72】
プローブボディーと水素センサを具備するプローブであって、
前記センサは:
内部に封止された空洞が画成される壁を有するセンサボディーであって、前記空洞は前記空洞の内部に基準分圧の水素を発生するための固体基準物質を含むセンサボディーと;
前記壁の少なくとも一部を形成する固体電解質と;
前記空洞の外側の前記固体電解質の表面上の測定電極と;
前記空洞の内部の前記固体電解質の表面上にあり、前記基準分圧の水素に晒される基準電極と;
前記基準電極から前記壁を貫いて前記センサボディーの外側表面へ延びる電気導体;
を具備し、
前記プローブボディーは、
前記センサを収納するためのチャンバと;
前記センサが前記チャンバに収納されるとき、前記電気導体に結合するための基準信号コネクション;
を具備することを特徴とする、
プローブ。
【請求項73】
請求項1乃至50又は65乃至67又は72のいずれか1項に記載のプローブ用のセンサ。
【請求項74】
請求項1乃至50又は65乃至67又は72のいずれか1項に記載のプローブ用のプローブボディー。
【請求項75】
請求項1乃至50又は65乃至67又は72のいずれか1項に記載のプローブ用のプローブ・サポート。
【請求項1】
水素センサを具備するプローブボディーを有するプローブであって、
前記センサは、
内部に封止された空洞が画成される壁を有するセンサボディーであって、前記空洞は、前記空洞の内部に基準分圧の水素を発生する固体基準物質を含むセンサボディーと;
前記壁の少なくとも一部を形成する固体電解質と;
前記空洞の外側の前記固体電解質の表面上の測定電極と;
前記空洞の内部の前記固体電解質の表面上の、前記基準分圧の水素に晒される基準電極と;
前記基準電極から前記壁を貫いて前記センサボディーの外側表面へ延びる電気導体;
を具備することを特徴とする、
プローブ。
【請求項2】
前記プローブボディーは:
前記センサを収納するためのチャンバと;
前記センサが前記チャンバに収納されるとき、前記電気導体に結合する基準信号コネクション;
を具備することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記プローブボディーは前記センサと一体化しており、オプションとして前記センサの外側表面にコーティングを具備することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記プローブボディーは、前記プローブボディーと前記センサとをプローブ・サポートに着脱可能に結合するための結合手段を具備することを特徴とする、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記センサボディーはチューブを具備し、前記固体電解質は前記チューブの一端を閉鎖し且つセンサキャップは前記チューブの他端を閉鎖し、前記センサキャップは好ましくは前記チューブと同じ物質から成ることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項6】
前記センサボディーは、一端が閉鎖したチューブの他端をセンサキャップが閉鎖している形で前記固体電解質を具備することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項7】
前記電気導体は、前記センサキャップを貫いて延びていることを特徴とする、請求項5又は6に記載のプローブ。
【請求項8】
前記電気導体は、前記センサボディーの外側表面から外向きに延び、前記基準信号コネクションは、前記センサが前記チャンバに収納されるとき、前記電気的コネクタに接触するためのソケットを具備することを特徴とする、請求項2に記載のプローブ。
【請求項9】
前記プローブ・チャンバは、前記センサが前記チャンバに収納されるとき前記測定電極に電気的に結合するための測定信号コネクション又はコネクタを具備することを特徴とする、請求項2又は8に記載のプローブ。
【請求項10】
前記チャンバは、水素透過性シールによって封止できる開口を具備し、オプションとして前記シールが前記センサを前記チャンバの内部に保持することを特徴とする、請求項2、8又は9のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記水素透過性シールは、多孔質アルミナ、多孔質炭化ケイ素、又は多孔質窒化ケイ素などの非導電性物質から成り、オプションとして二ホウ化チタンなどの湿潤剤でコーティングされていることを特徴とする、請求項10に記載のプローブ。
【請求項12】
前記水素透過性シールは導電性であり且つグラファイト又は多孔質金属から成り、オプションとして前記測定電極と電気的に結合し、オプションとして二ホウ化チタンなどの湿潤剤でコーティングされ、オプションとして接地線と結合されていることを特徴とする、 請求項10に記載のプローブ。
【請求項13】
さらに、前記水素透過性シールと前記センサとの間に位置するインサートを具備する、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項14】
前記水素透過性シールは、ねじ溝により又は締り嵌めによって定位置に保持されることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項15】
前記チャンバは、前記開口以外で封止されることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項16】
前記センサは、前記開口を通って前記チャンバの中に挿入可能であることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項17】
前記センサは前記チャンバから取り外し可能であり、オプションとして交換可能であることを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至16のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項18】
前記センサが前記チャンバの中に挿入されるとき、前記センサボディーと前記チャンバとの間に十分なクリアランスがあって、使用時に前記センサに過度の応力を印加することなく熱衝撃を調整することを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至17のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項19】
前記センサが前記チャンバの中に挿入されるとき、前記センサボディーと前記チャンバとの間に十分なクリアランスがあって、前記センサと前記チャンバとの間の水素の流れを可能にすることを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至17のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項20】
前記センサボディーは、前記チャンバにすき間嵌めになっていることを特徴とする、請求項2又は請求項8乃至19のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項21】
熱電対は前記センサの近くに配置できることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項22】
前記プローブボディーは、プローブ・サポートに結合可能であることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項23】
プローブ・サポートは、前記プローブボディーに固定され、オプションとして前記プローブ・サポートの一端は、前記プローブボディー・チャンバの壁の一部を形成することを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項24】
前記プローブ・サポートはチューブの形状であり、前記基準信号コネクションに電気的に結合された基準信号導体が前記チューブに沿って通り、前記チューブの一端はオプションとして前記導体の周囲に封止され、前記チューブはオプションとして電気的に遮蔽される及び/又は接地されることを特徴とする、請求項22又は23に記載のプローブ。
【請求項25】
前記プローブボディーは、前記プローブ・サポートに着脱可能に結合できることを特徴とする、請求項22に記載のプローブ。
【請求項26】
前記プローブボディーは、第一及び第二の端部を有するプローブボディー・シャフトを具備し、前記センサ用の前記チャンバは、前記プローブ・サポートと結合できる前記第一の端部及び前記第二の端部に位置することを特徴とする、請求項22又は25に記載のプローブ。
【請求項27】
基準信号導体は、前記センサの前記基準信号電気導体を前記プローブ・サポートの基準信号導体に結合するために、前記シャフトに沿って延びることを特徴とする、請求項26に記載のプローブ。
【請求項28】
測定信号導体は、前記センサの前記測定電極を前記プローブ・サポートの測定電極導体に結合するために、前記シャフトに沿って延びることを特徴とする、請求項26又は27に記載のプローブ。
【請求項29】
前記測定電極は、前記プローブを溶融金属に浸漬した際に前記溶融金属を介して伝導によって前記プローブ・サポートの測定電極導体に電気的に結合されることを特徴とする、請求項22又は請求項26乃至28のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項30】
前記プローブボディーと前記プローブ・サポートとの間の少なくとも一つの電気的結合は、前記プローブボディーを前記プローブ・サポートに結合したとき自動的に行われることを特徴とする、請求項22又は請求項26乃至29のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項31】
前記プローブ・サポートの熱膨張係数は、前記プローブボディーの熱膨張係数と適合できるように選択されることを特徴とする、請求項22乃至30のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項32】
前記プローブ・サポートの横方向寸法は、10mm未満、好ましくは5mm未満、特に好ましくは3mm未満であることを特徴とする、請求項22乃至31のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項33】
前記プローブ・サポートは、電気的に絶縁性であり、オプションとしてアルミナ、サイアロン、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、又は窒化ケイ素から成ることを特徴とする、請求項22乃至32のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項34】
前記プローブ・サポートはグラファイトから成り、オプションとしてオルトリン酸アルミニウムでコーティングされていることを特徴とする、請求項22乃至32のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項35】
前記固体電解質は、インジウムをドープされたジルコン酸カルシウムを含むことを特徴とする、請求項1乃至34のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項36】
前記固体基準物質は、金属/金属水素化物基準を含むことを特徴とする、請求項1乃至35のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項37】
前記電極は、多孔質プラチナ電極であることを特徴とする、請求項1乃至36のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項38】
前記センサ空洞は、緩衝物質及び/又はスペーサを含み、オプションとして酸化イットリウム又は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1乃至37のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項39】
前記チューブは、ドープされていないジルコン酸カルシウム又はマグネシア−アルミン酸マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項5に記載のプローブ。
【請求項40】
前記センサの最大横方向寸法は、10mm未満、好ましくは6mm未満、特に好ましくは4mm未満であることを特徴とする、請求項1乃至39のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項41】
前記プローブボディーは、窒化アルミニウム、サイアロン、窒化ケイ素、高密度グラファイト、アルミナ、マグネシア、炭化ホウ素、又は安定化ジルコニアを含むことを特徴とする、請求項1乃至40のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項42】
前記プローブボディーの少なくとも一部は、湿潤剤又は二ホウ化チタンでコーティングされていることを特徴とする、請求項1乃至41のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項43】
アルミニウム、マグネシウム、又は銅などの溶融金属中の水素の濃度を測定するための、請求項1乃至42のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項44】
溶融金属中の水素の濃度を測定するためのプローブであって:
水素センサを含むプローブボディーと;
前記プローブボディーを一端に支持するプローブ・サポートと;
前記プローブ・サポートの他端に取り付けられたハンドルと;
前記プローブ・アセンブリをアナライザに電気的に結合して、前記アナライザが前記センサからの電気信号又は出力に応答して水素濃度を評価できるようにする電気的コネクタ手段;
を具備する、
プローブ。
【請求項45】
前記プローブ・サポートはチューブ状であり、前記センサと前記電気的コネクタ手段との間の電気的結合は、前記プローブ・サポートの内部で支持されることを特徴とする、請求項44に記載のプローブ。
【請求項46】
前記プローブ・サポートは、電気的に遮蔽されていることを特徴とする、請求項44又は45に記載のプローブ。
【請求項47】
前記プローブ・サポートは前記ハンドルに結合されて、前記プローブを前記溶融金属に浸漬したときその間の熱膨張の不一致によって結合が弛まないようにすることを特徴とする、請求項44乃至46のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項48】
前記プローブボディーは、前記プローブ・サポートに着脱可能に結合できることを特徴とする、請求項44乃至47のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項49】
前記センサは、前記プローブボディーに着脱可能に結合できることを特徴とする、請求項44乃至48のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項50】
前記センサは、前記プローブボディーと一体化されていることを特徴とする、請求項44乃至48のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項51】
チューブを具備するセンサボディーであって、固体電解質が前記チューブの一端を閉鎖し、またセンサキャップが前記チューブの他端を閉鎖し、前記センサボディーの内部に封止された空洞を画成するセンサボディーと;
前記空洞の内部にあって前記空洞の内部に基準分圧の水素を発生する固体基準物質と:
前記空洞の外側の前記固体電解質の表面上の測定電極と;
前記空洞の内部の前記固体電解質の表面上にあり、前記基準分圧の水素に晒される基準電極と;
前記基準電極から前記センサボディーの外側表面へ延びる電気導体;
を具備することを特徴とする、
水素センサ。
【請求項52】
前記電気導体は、前記センサボディーの外側表面から外向きに延びることを特徴とする、請求項51に記載の水素センサ。
【請求項53】
前記固体電解質は、ほぼ平面状であることを特徴とする、請求項51又は52に記載の水素センサ。
【請求項54】
前記固体電解質は、ほぼ円板形であることを特徴とする、請求項51乃至53のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項55】
前記固体電解質の最大横方向寸法は、10mm未満、好ましくは6mm未満、特に好ましくは4mm未満、又は約3mmであることを特徴とする、請求項51乃至54のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項56】
前記チューブと前記固体電解質の熱膨張係数は、前記センサの作動温度でほぼ等しくなるように、又は前記固体電解質が圧縮応力下にあるように予め定められていることを特徴とする、請求項51乃至55のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項57】
前記空洞は、前記基準物質と前記センサキャップとの間に緩衝物質を含むことを特徴とする、請求項51乃至56のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項58】
前記センサキャップは、前記チューブと同じ物質から成ることを特徴とする、請求項51乃至57のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項59】
前記電気導体は、前記センサキャップを貫いて前記センサボディーの外側表面に延びていることを特徴とする、請求項51乃至58のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項60】
前記固体電解質は、インジウムをドープされたジルコン酸カルシウムを含むことを特徴とする、請求項51乃至59のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項61】
前記チューブは、ジルコン酸カルシウム又はマグネシア/アルミン酸マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項51乃至60のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項62】
前記固体電解質は、好ましくは無シリカ・ガラスから成るガラス・シールによって前記チューブに固定されることを特徴とする、請求項51乃至61のいずれか1項に記載の水素センサ。
【請求項63】
前記基準物質は、金属/金属水素化物基準を含むことを特徴とする、請求項51乃至62のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項64】
前記緩衝物質は、酸化イットリウム粉末を含むことを特徴とする、請求項51乃至63のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項65】
溶融金属中の水素濃度を感知するためのプローブであって、
センサとプローブボディーを具備し、
前記センサは、固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生するための固体基準物質を含み、前記センサは、前記プローブボディーから取り外し可能且つ取り替え可能であることを特徴とする、
プローブ。
【請求項66】
溶融金属中の水素濃度を感知するためのプローブであって、
プローブボディーとプローブ・サポートを具備し、
前記プローブボディーは水素センサを組み込み、前記プローブボディーは前記プローブ・サポートから取り外し可能且つ取り替え可能であることを特徴とする、
プローブ。
【請求項67】
前記センサは、固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生するための固体基準物質を含むことを特徴とする、請求項66に記載のプローブ。
【請求項68】
センサとプローブボディーを有し、前記センサは固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生する固体基準物質を含むプローブを使用して、溶融金属中の水素濃度を感知するための方法であって、前記センサを前記プローブボディーから取り外し且つ交換センサを前記プローブボディーに取り付けるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項69】
プローブボディーとプローブ・サポートを有し、前記プローブボディーは水素センサを組み込んでいるプローブを使用して、溶融金属中の水素濃度を感知するための方法であって、前記プローブボディーを前記プローブ・サポートから取り外し且つ交換プローブボディーを前記プローブ・サポートに取り付けるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項70】
前記センサは、固体電解質と前記固体電解質の一方の側に基準水素分圧を発生するための固体基準物質を含むことを特徴とする、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
水素センサを製造するための方法であって:
端が開いたチューブを準備することと;
前記チューブの一端に固体電解質を固定して前記チューブの端を閉鎖し、前記電解質は前記チューブの内部の表面上の少なくとも一部に基準電極を支持することと;
前記チューブの内部の前記基準電極から延びる電子導体を配置することと;
固体水素基準物質を前記チューブの中に挿入することと;
センサキャップを固定して前記チューブの開いた端を閉鎖し、前記電気導体は前記キャップを貫いて又は過ぎて前記センサの外側表面に延びていること;
から成るステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項72】
プローブボディーと水素センサを具備するプローブであって、
前記センサは:
内部に封止された空洞が画成される壁を有するセンサボディーであって、前記空洞は前記空洞の内部に基準分圧の水素を発生するための固体基準物質を含むセンサボディーと;
前記壁の少なくとも一部を形成する固体電解質と;
前記空洞の外側の前記固体電解質の表面上の測定電極と;
前記空洞の内部の前記固体電解質の表面上にあり、前記基準分圧の水素に晒される基準電極と;
前記基準電極から前記壁を貫いて前記センサボディーの外側表面へ延びる電気導体;
を具備し、
前記プローブボディーは、
前記センサを収納するためのチャンバと;
前記センサが前記チャンバに収納されるとき、前記電気導体に結合するための基準信号コネクション;
を具備することを特徴とする、
プローブ。
【請求項73】
請求項1乃至50又は65乃至67又は72のいずれか1項に記載のプローブ用のセンサ。
【請求項74】
請求項1乃至50又は65乃至67又は72のいずれか1項に記載のプローブ用のプローブボディー。
【請求項75】
請求項1乃至50又は65乃至67又は72のいずれか1項に記載のプローブ用のプローブ・サポート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−514947(P2008−514947A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534092(P2007−534092)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003812
【国際公開番号】WO2006/037992
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507103525)エンバイロンメンタル モニタリング アンド コントロール リミティド (2)
【出願人】(503372842)ケンブリッジ エンタープライズ リミティド (32)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003812
【国際公開番号】WO2006/037992
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507103525)エンバイロンメンタル モニタリング アンド コントロール リミティド (2)
【出願人】(503372842)ケンブリッジ エンタープライズ リミティド (32)
【Fターム(参考)】
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