説明

滅菌処理システム

【課題】 滅菌処理槽内の廃棄物から水分を分離するとともに、上方からのみならず下方からも高圧蒸気を供給し、処理時間を短縮することができ、廃棄物をムラなく加熱して滅菌効率や精度を向上することができる滅菌処理システムを提供する。
【解決手段】 廃棄物を滅菌処理する滅菌処理ユニット5を備えた滅菌処理システム1であって、滅菌処理ユニット5は、破砕された廃棄物を収容する滅菌処理槽51と、この滅菌処理槽内51に収容された廃棄物を攪拌する攪拌手段52と、滅菌処理槽51内に上方から高圧蒸気を供給する上方蒸気供給手段53と、滅菌処理槽51の底部に設けられて廃棄物から水分を分離する分離スクリーン56と、この分離スクリーン56で仕切られた下方空間に連通されており滅菌処理槽51内に下方から高圧蒸気を供給する下方蒸気供給手段54とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の滅菌処理システム、特に医療現場等から廃棄される感染性廃棄物等の特別管理廃棄物を滅菌処理するのに好適な滅菌処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場等から廃棄される廃棄物は廃棄物処理法上、感染性廃棄物といわれており特別管理廃棄物に区分されている。また、その排出される内容物によって感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物に分類される。感染性一般廃棄物は、医療機関等から排出される一般廃棄物のうち感染性病原体が内在または付着しているおそれのあるものをいい、たとえば血液等の付着した包帯・脱脂綿・ガーゼ・紙くず等である。また、感染性産業廃棄物は、医療機関等から排出される産業廃棄物のうち感染性病原体が内在または付着しているおそれのあるものをいい、たとえば凝固した血液等の汚泥、消毒アルコール等の廃油、レントゲン定着液等の廃酸、凝固していない血液等の廃アルカリ、合成樹脂の器具等の廃プラスチック、手袋等のゴム系樹脂、注射針等の金属、アンプル等のガラスである。
【0003】
これらの感染性廃棄物は、化学薬品等と同様、環境破壊への適切な対応が求められることに加え、バイオハザードといわれる生物災害のリスクもあるため、安全かつ適切に無害化処理されることが求められている。
【0004】
そのような感染性廃棄物を滅菌処理する技術として、たとえば特開2007−7622号公報には、耐圧容器内において有機系廃棄物を高温・高圧の環境下で攪拌しながら加水分解すると共に、熱分解し、炭化して処理する有機系廃棄物の処理装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−7622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来の廃棄物処理装置においては、廃棄物が耐圧容器の底部に蓄積されるため、耐圧容器の上方から蒸気を噴射し、廃棄物に当てている。このため、底部側の廃棄物には熱が伝わらないという問題がある。これに対して攪拌手段によって攪拌することによって処理ムラ生じないようにしているが、均一的に熱処理することは難しく、処理時間もかかってしまうため、効果的な処理とはいえない。
【0007】
また、医療機関等から排出される廃棄物は、血液や体液等の水分を含有している場合が多い。このため、そのような水分が処理容器内の温度上昇を妨げ、滅菌処理に必要な規定温度に到達し難いという問題がある。また、水分が多い状態のまま、前記規定温度まで昇温しようとすると、長い処理時間を要することとなり、結果として滅菌効果が低減してしまうため、如何にして水分処理を改善するかが問題となっている。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、滅菌処理槽内の廃棄物から水分を分離するとともに、上方からのみならず下方からも高圧蒸気を供給し、処理時間を短縮することができ、廃棄物をムラなく加熱して滅菌効率や精度を向上することができる滅菌処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る滅菌処理システムは、廃棄物を滅菌処理する滅菌処理ユニットを備えた滅菌処理システムであって、前記滅菌処理ユニットは、破砕された廃棄物を収容する滅菌処理槽と、この滅菌処理槽内に収容された廃棄物を攪拌する攪拌手段と、前記滅菌処理槽内に上方から高圧蒸気を供給する上方蒸気供給手段と、前記滅菌処理槽の底部に設けられて前記廃棄物から水分を分離する分離スクリーンと、この分離スクリーンで仕切られた下方空間に連通されており前記滅菌処理槽内に下方から高圧蒸気を供給する下方蒸気供給手段とを有している。
【0010】
また、本発明の一態様として、廃棄物を搬送する搬送コンベヤ、およびこの搬送コンベヤを覆って気密状態に保持する搬送ダクトを有する搬送ユニットと、搬送された前記廃棄物を破砕する破砕手段、および破砕された前記廃棄物を貯留して前記滅菌処理槽へ投入する廃棄物ホッパーを有する破砕ユニットとを備えており、前記搬送ダクトと、前記破砕手段と、前記廃棄物ホッパーとを気密状態で連通させるとともに、それら連通された各構成内部に熱風を循環させて滅菌処理する熱風滅菌処理手段を備えていてもよい。
【0011】
さらに、本発明の一態様として、前記搬送ユニットは、前記搬送ダクト内を気密状態に遮断可能な一対の気密ゲートと、前記搬送ダクト内を負圧にする負圧手段とを有しており、前記一対の気密ゲートで仕切られた気密空間に廃棄物を搬入する場合には、前記一対の気密ゲートを両方閉鎖して前記負圧手段により前記気密空間を負圧にした後、奥側の気密ゲートを閉鎖した状態で手前側の気密ゲートのみを開放して前記廃棄物を搬入し、前記気密空間から廃棄物を搬出する場合には、前記一対の気密ゲートを両方閉鎖して前記負圧手段により前記気密空間を負圧にした後、手前側の気密ゲートを閉鎖した状態で奥側の気密ゲートのみを開放して前記廃棄物を搬出するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様として、前記搬送ユニットは、搬送方向にスライド可能な複数の搬送コンベヤを縦列配置させているとともに、前記気密ゲートを各搬送コンベヤの境界位置にて開閉可能に配置しており、前記廃棄物を通過させる際には、前記気密ゲートを開放するとともに、隣接する前記搬送コンベヤの一方または両方を近接する方向にスライドさせ、前記廃棄物を通過させた後には、隣接する前記搬送コンベヤの一方または両方を離間する方向にスライドさせるとともに、前記気密ゲートを閉鎖するようにしてもよい。
【0013】
さらに、本発明の一態様として、前記廃棄物を収容する密閉容器の形状に対応付けて不適切な物が混入しているか否かを重量により判別するための重量判別値を記憶する重量判別値記憶手段と、前記密閉容器の形状を判別する容器形状判別手段と、前記廃棄物を収容した前記密閉容器の重量を測定する重量測定手段と、前記密閉容器を所望の場所へ移送する移送手段とを有する重量選別ユニットを備えており、前記重量測定手段が測定した重量を取得するとともに前記容器形状判別手段が判別した形状に対応する重量判別値を前記重量判別値記憶手段から取得し、前記重量が前記重量判別値以下の場合、前記移送手段を制御して前記密閉容器を次の処理ラインへ移送させ、前記重量が前記重量判別値を超えている場合、前記移送手段を制御して前記密閉容器を前記処理ライン以外の場所へ移送する制御手段とを有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、滅菌処理槽内の廃棄物から水分を分離するとともに、上方からのみならず下方からも高圧蒸気を供給し、処理時間を短縮することができ、廃棄物をムラなく加熱して滅菌効率や精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る滅菌処理システムの一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本実施形態の滅菌処理システムを示すブロック図である。
【図3】本実施形態において、重量判別値記憶手段に記憶されている重量判別値データである。
【図4】本実施形態の重量選別ユニットを示す(a)平面図、および(b)正面図である。
【図5】本実施形態の搬送ユニットにおいて、(a)第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとが離隔状態であって、第1気密ゲートが遮断位置にあり、第2搬送コンベヤと第3搬送コンベヤとが近接状態であって、第2気密ゲートが開放位置にある状態を示す側面図、および(b)第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとが近接状態であって、第1気密ゲートが開放位置にあり、第2搬送コンベヤと第3搬送コンベヤとが離隔状態であって、第2気密ゲートが遮断位置にある状態を示す側面図である。
【図6】本実施形態の搬送ユニットにおいて、搬送ダクトを取った状態の平面図である。
【図7】本実施形態の破砕ユニットにおいて、各種のダクトの配管状態を示す(a)平面図、および(b)正面図である。
【図8】本実施形態の滅菌処理ユニットを示す(a)正面図、および(b)側面断面図である。
【図9】本実施形態における滅菌処理システムの動作を示すフローチャート図である。
【図10】本実施形態の重量選別工程を示すフローチャート図である。
【図11】本実施形態の搬送工程を示すフローチャート図である。
【図12】本実施形態の破砕工程を示すフローチャート図である。
【図13】本実施形態の滅菌処理工程を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る滅菌処理システム1の一実施形態について図面を用いて説明する。図1および図2に示すように、本実施形態の滅菌処理システム1は、主として、廃棄物を重量で選別する重量選別ユニット2と、この重量選別ユニット2で選別された廃棄物を搬送する搬送ユニット3と、廃棄物を破砕する破砕ユニット4と、この破砕ユニット4で破砕された廃棄物を滅菌処理する滅菌処理ユニット5とを有している。そして、これら各ユニットのプロセスが、コンピューター等から構成される制御手段6によって一元管理されている。以下、各ユニットについて詳細に説明する。
【0017】
なお、本実施形態において、処理対象とする廃棄物は、医療機関等から排出される医療廃棄物のように、感染症等の病原体によって汚染されているおそれのある感染性廃棄物である。このような感染性廃棄物は、通常、密閉性の高い密閉容器Cに収容されたまま処理され、途中で開封することは許されない。このため、本実施形態では、密閉容器Cに収容された状態の廃棄物についても、単に「廃棄物」と記載する場合がある。
【0018】
重量選別ユニット2は、不適切な物が混入された廃棄物を重量で選別するためのものである。本実施形態において、重量選別ユニット2は、図2に示すように、廃棄物を重量により判別するための重量判別値を記憶する重量判別値記憶手段21と、密閉容器Cの形状を判別する容器形状判別手段22と、廃棄物を収容した密閉容器Cの重量を測定する重量測定手段23と、密閉容器Cを所望の位置へ移送する移送手段24とを有している。
【0019】
重量判別値記憶手段21は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、不適切な物が混入しているか否かを判別するための重量判別値を記憶するものである。本実施形態では、図3に示すように、4種類の寸法を有する密閉容器Cの形状に対応付けて、容量に応じた重量判別値が設定されている。
【0020】
容器形状判別手段22は、密閉容器Cの形状・寸法を特定できる手段であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、レーザー光等による非接触型の寸法測定器等から構成されており、図4(b)に示すように、密閉容器Cを最初に載置する受入コンベヤ25の両サイドに設けられている。重量測定手段23は、計量器等から構成されており、図4(a)に示すように、受入コンベヤ25の終端近傍に設置されている。
【0021】
移送手段24は、ロボットアーム等から構成されており、図4(a),(b)に示すように、密閉容器Cを把持して、次の処理ラインとなる搬送ユニット3へ移送させたり、または搬送ユニット3外へ退避させるようになっている。なお、本実施形態では、図4(a),(b)に示すように、処理対象以外の不適切な物が混入された密閉容器Cを搬送ユニット3外へ退避させるための不適物コンベヤ26が、受入コンベヤ25と並設されている。
【0022】
以上の構成を備えた重量選別ユニット2において、制御手段6は、廃棄物の重量に応じて移送手段24を制御する役割を果たす。具体的には、制御手段6は、容器形状判別手段22が判別した形状に対応する重量判別値を重量判別値記憶手段21から取得するとともに、重量測定手段23が測定した重量を取得する。そして、当該重量が重量判別値以下の場合、移送手段24を制御して密閉容器Cを搬送ユニット3へ移送させる。一方、当該重量が重量判別値を超えている場合、移送手段24を制御して密閉容器Cを搬送ユニット3外へ退避させるようになっている。
【0023】
なお、本実施形態において、廃棄物を重量で選別する理由は、次のとおりである。すなわち、上述したように、医療廃棄物を収容した密閉容器Cは開封できないため、容器内に不適切な物が混入しているかどうかは視認することができない。そこで、密閉容器Cの容量から想定される重量の上限値(重量判別値)を超えている密閉容器Cについては、水分が多すぎていたり、医療廃棄物以外の重たい物が混入されている可能性が高いものとして排除し、円滑な滅菌処理を実現するようになっている。
【0024】
つぎに、搬送ユニット3は、重量選別ユニット2で選別された密閉容器Cを破砕ユニット4へ搬送するためのものである。本実施形態において、搬送ユニット3は、図2および図5から図7に示すように、廃棄物を搬送する搬送コンベヤ31と、この搬送コンベヤ31を覆って気密状態を保持する搬送ダクト32と、この搬送ダクト32内を気密状態に遮断可能な一対の気密ゲート33と、搬送ダクト32内を負圧にする負圧手段34とを有している。
【0025】
搬送コンベヤ31は、複数のベルトコンベヤ等から構成されており、廃棄物を搬送するためのものである。本実施形態では、図5に示すように、第1搬送コンベヤ311、第2搬送コンベヤ312および第3搬送コンベヤ313が搬送方向に沿って縦列配置されている。そして、これら各搬送コンベヤ311〜313を被覆するように搬送ダクト32が設けられている。
【0026】
また、第1搬送コンベヤ311および第2搬送コンベヤ312は、シフトシリンダ35によって、搬送方向にスライド可能に構成されており、隣接する搬送コンベヤ31に近接する近接状態と、隣接する搬送コンベヤ31と離間する離隔状態とにスライド可能に構成されている。なお、搬送コンベヤ31の数やスライド方法は本実施形態に限定されるものではない。
【0027】
気密ゲート33は、搬送ダクト32内を気密状態に遮断するためのものである。本実施形態では、図5に示すように、第1搬送コンベヤ311と第2搬送コンベヤ312との境界位置に手前側となる第1気密ゲート331が設けられ、第2搬送コンベヤ312と第3搬送コンベヤ313との境界位置に奥側となる第2気密ゲート332が設けられている。
【0028】
各気密ゲート331,332は、開閉可能に構成されており、図6に示すように、搬送ダクト32内へ進入し、搬送ダクト32内を気密状態に遮断する閉鎖位置(図6の第2気密ゲート332の位置)と、搬送ダクト32から退避して搬送ダクト32内を連通させる開放位置(図6の第1気密ゲート331の位置)とにスライド可能に構成されている。なお、気密ゲート33の数や遮断方法は本実施形態に限定されるものではない。
【0029】
負圧手段34は、搬送ダクト32内を負圧に保持するものである。本実施形態において、負圧手段34は、排気ファンによって構成されており、図7に示すように、搬送ダクト32の上部に連通された排気ダクト36に接続されている。これにより、破砕ユニット4で破砕された廃棄物の粉塵が、搬送ダクト32まで舞い上がっても、直ちに排気ダクト36から吸い込まれるようになっている。なお、本実施形態では、図7(b)に示すように、吸い込んだ粉塵を凝縮水槽37に蓄積した後、図示しない焼却炉施設で焼却処理している。このようにして感染性廃棄物の処理過程で生じる粉塵等を未処理のまま外部に排出してしまうのを防止している。
【0030】
以上の構成を備えた搬送ユニット3において、制御手段6は、少なくとも一方の気密ゲート33が常に閉鎖するように、各気密ゲート33の動作を制御する役割を果たす。具体的には、制御手段6は、一対の気密ゲート331,332で仕切られた気密空間に廃棄物を搬入する場合には、一対の気密ゲート331,332を両方閉鎖して負圧手段34により気密空間を負圧にした後、第2気密ゲート332を閉鎖した状態で第1気密ゲート331のみを開放して廃棄物を搬入する。
【0031】
一方、気密空間から廃棄物を搬出する場合には、一対の気密ゲート331,332を両方閉鎖して負圧手段34により32内の気密空間を負圧にした後、第1気密ゲート331を閉鎖した状態で第2気密ゲート332のみを開放して廃棄物を搬出するようになっている。このように負圧空間を利用することにより搬送ユニット3内の空気が逆流して外部に漏れないように制御されている。
【0032】
また、本実施形態において、制御手段6は、気密ゲート33の動作に合わせて搬送コンベヤ31の動作を制御する。具体的には、制御手段6は、廃棄物を通過させる際には、気密ゲート33を開放するとともに、隣接する搬送コンベヤ31の一方または両方を近接する方向にスライドさせ、廃棄物を通過させた後には、隣接する搬送コンベヤ31の一方または両方を離間する方向にスライドさせるとともに、気密ゲート33を閉鎖するように制御する。
【0033】
なお、本実施形態では、搬送ユニット3において廃棄物を搬送している間だけ、制御手段6が負圧手段34を運転させているが、この構成に限定されるものではない。例えば、制御手段6によって運転制御することなく、常時、負圧手段34を運転するようにしてもよい。
【0034】
つぎに、破砕ユニット4は、搬送ユニット3から搬送された廃棄物を破砕するためのものである。本実施形態において、破砕ユニット4は、図2および図7に示すように、廃棄物を破砕する破砕手段41と、この破砕手段41で破砕された廃棄物を貯留する廃棄物ホッパー42と、この廃棄物ホッパー42から後述する滅菌処理槽51へ廃棄物を投入する投入ゲート43とを有している。
【0035】
破砕手段41は、密閉性および耐熱性に優れた破砕機から構成されており、廃棄物を密閉容器Cごと破砕するものである。本実施形態において、破砕手段41は、廃棄物が十分に破砕されたか否かを判別するための指標として、空転時の電流値が測定可能に構成されている。この空転時の電流値を検知することにより破砕が完了したことを判別することができる。なお、本実施形態では、システムの稼働中、破砕手段41を常時運転させているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、密閉容器Cが投入されるタイミングで運転を開始し、破砕が完了したタイミングで運転を停止するように制御してもよい。
【0036】
廃棄物ホッパー42は、その底部に開閉可能な投入ゲート43が設けられており、この投入ゲート43が閉じられている間、破砕された廃棄物を順次貯留するようになっている。また、本実施形態において、廃棄物ホッパー42内には、貯留された廃棄物の容量を測定する容量センサ(図示せず)と、後述する熱風処理時に廃棄物ホッパー42内の温度を測定する温度センサ(図示せず)を有している。
【0037】
以上の構成を備えた破砕ユニット4において、制御手段6は、破砕された廃棄物を所定量ずつ滅菌処理ユニット5へ供給するように、破砕手段41および投入ゲート43を制御する役割を果たす。具体的には、制御手段6は、破砕手段41に廃棄物が投入されると、空転時の電流値が所定の設定値以下になるまで監視し、破砕の完了を担保する。また、制御手段6は、廃棄物ホッパー42の容量センサを監視し、所定量に到達する度に、投入ゲート43を開放し滅菌処理槽51へ投入するようになっている。
【0038】
なお、本実施形態のように、感染性廃棄物を処理するシステムにおいては、感染防止の観点から、適当な対処をしない限り、破砕手段41や廃棄物ホッパー42等の装置内部へ人間が入ることは禁止されている。そこで、本実施形態では、破砕手段41や廃棄物ホッパー42が故障した際、あるいは定期的なメンテナンスを行う際、作業者による修理や点検を可能とするため、各装置内部で熱風を循環させて乾熱滅菌を行う熱風滅菌処理手段44を有している。
【0039】
本実施形態において、熱風滅菌処理手段44は、空気を加温して送風するヒータ付きブロワによって構成されている。そして、このヒータ付きブロワからの熱風を通風させる循環ダクト45が配管されている。具体的には、循環ダクト45は、図7に示すように、ヒータ付きブロワから廃棄物ホッパー42の下方に連通されているとともに、搬送ダクト32の上部からヒータ付きブロワにかけて連通されている。これにより、気密状態に連通された廃棄物ホッパー42、破砕手段41、および搬送ダクト32の内部に熱風を循環させて滅菌処理を行うようになっている。
【0040】
なお、本実施形態では、図7に示すように、循環ダクト45が上述した排気ダクト36と連通するように分岐されている。そして、この循環ダクト45に別途、熱風滅菌処理手段44が接続されており、第1気密ゲート331および第2気密ゲート332で遮断される気密空間の内部でも熱風を循環させ、乾熱滅菌を行えるようになっている。
【0041】
つぎに、滅菌処理ユニット5は、破砕ユニット4で破砕された廃棄物を滅菌処理するためのものである。本実施形態において、滅菌処理ユニット5は、図2および図8に示すように、廃棄物を収容する滅菌処理槽51と、この滅菌処理槽51に収容された廃棄物を攪拌する攪拌手段52と、滅菌処理槽51内に上方から高圧蒸気を供給する上方蒸気供給手段53と、下方から高圧蒸気を供給する下方蒸気供給手段54と、滅菌処理槽51から廃棄物を排出する排出ゲート55とを有している。
【0042】
滅菌処理槽51は、図8に示すように、略円筒形状に形成されており、上部と下部にそれぞれ投入口511および排出口512が設けられている。また、本実施形態では、廃棄物に含まれるプラスチック類はリサイクルすることを想定しているため、これらを変形・溶解させることなく確実に滅菌するには、厳密な温度管理が必要となる。このため、滅菌処理槽51内には、槽内の温度を測定する温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0043】
また、本実施形態では、図8に示すように、滅菌処理槽51の底部には、廃棄物から水分を分離する分離スクリーン56が設けられている。この分離スクリーン56は、網目状のウェッジワイヤスクリーン等から構成されており、滅菌処理槽51の内壁面に沿って、図8(a)に示すように、断面略半円弧形状に形成されている。これにより滅菌処理槽51の底部と分離スクリーン56との間に下方空間を形成することができ、廃棄物から水分を分離して水分による温度低下の影響を排除し、また、別途、下方蒸気供給手段54の噴射口を確保できる。
【0044】
また、本実施形態では、図8に示すように、滅菌処理槽51の下部にドレン管57が接続されており、分離スクリーン56で分離された汚水を排出するようになっている。この際、汚水も廃棄物と分離されて処理されるため、滅菌処理槽51内で確実に加熱処理され、安全な状態で排水できるようになっている。
【0045】
攪拌手段52は、図8に示すように、滅菌処理槽51の軸線に沿う回転軸521と、この回転軸521から突設されている複数枚の攪拌羽根522と、回転軸521を回転駆動する駆動モータ523とを有している。各攪拌羽根522は、図8(b)に示すように、側面視において右下がりに形成されており、廃棄物を攪拌しながら投入口511側から排出口512側へ移送するようになっている。また、駆動モータ523は、駆動ベルト524を介して回転軸521に回転駆動力を伝達するようになっている。
【0046】
上方蒸気供給手段53は、図8(a)に示すように、高圧蒸気を供給する蒸気ボイラ531と、この蒸気ボイラ531から滅菌処理槽51の上部に接続される上方蒸気供給管532とを有している。一方、下方蒸気供給手段54は、蒸気ボイラ541と、この蒸気ボイラ531に接続される下方蒸気供給管542とを有している。また、下方蒸気供給管542は、図8(b)に示すように、滅菌処理槽51の内周面と分離スクリーン56とで仕切られた下方空間に連通されており、滅菌処理槽51内に下方から高圧蒸気を供給するようになっている。なお、本実施形態では、上方蒸気供給手段53および下方蒸気供給手段54において、1つの蒸気ボイラ531(541)を兼用しているが、別々の蒸気ボイラを使用してもよい。
【0047】
排出ゲート55は、滅菌処理槽51の排出口512に開閉自在に設けられており、滅菌処理後に開放されて廃棄物を排出するようになっている。なお、本実施形態では、滅菌処理槽51の投入口511および排出口512に、蒸気パイプを介して蒸気ボイラ531に接続された蒸気噴射部(図示せず)が設けられている。これにより、当該蒸気噴射部から蒸気を噴射することで、投入口511や排出口512に付着した不純物を滅菌・除去するようになっている。
【0048】
以上の構成を備えた滅菌処理ユニット5において、制御手段6は、攪拌手段52、上方蒸気供給手段53および下方蒸気供給手段54を制御する役割を果たす。具体的には、制御手段6は、投入口511から廃棄物が投入されると、攪拌手段52を始動させるとともに、上方蒸気供給管532および下方蒸気供給管542の各蒸気弁(図示せず)を開放し、滅菌処理槽51内へ高圧蒸気を供給する。そして、温度センサの測定値を監視し、所定の温度範囲内の状態が所定時間経過したとき、滅菌処理が完了したものとして蒸気弁を閉じ、滅菌処理槽51の放出弁(図示せず)を開放する。
【0049】
なお、本実施形態において、制御手段6は、滅菌処理槽51内に供給された高圧蒸気が一気に噴出するのを防止するため、放出弁を間欠的に少しずつまたはゆっくりと開くように制御する。また、本実施形態では、分離スクリーン56で分離された汚水および凝縮水を排水する条件を別途設定しており、所定の温度範囲内の状態が所定時間経過したとき、ドレン管57に設けられたドレン弁(図示せず)を開放して排出するようになっている。
【0050】
なお、本実施形態では、滅菌処理が完了する条件として、121℃以上の状態で20分以上経過することを条件とし、汚水および凝縮水を排水する条件としては、100℃以上の状態で10分以上経過することを条件としているが、これらの値に限定されるものではなく、廃棄物の種類や処理量等に応じて適宜増減させてもよい。
【0051】
滅菌処理完了後、制御手段6は、排出ゲート55を開放し排出口512から滅菌処理後の廃棄物を排出させる。なお、本実施形態において、排出された廃棄物は、図1に示すように、排出コンベヤ7によって搬送され、図示しない振動フィーダおよびドラム式磁選機で後処理された後、廃プラスチックのリサイクル施設へ提供されるようになっている。
【0052】
つぎに、以上の構成を備えた本実施形態の滅菌処理システム1による作用について説明する。
【0053】
まず、本実施形態の滅菌処理システム1によって、廃棄物を滅菌処理する場合、図9に示すように、重量選別ユニット2において、重量選別工程を行う(ステップS1)。具体的には、図10に示すように、容器形状判別手段22が密閉容器Cの形状および大きさを判別するとともに(ステップS11)、重量測定手段23が密閉容器Cを含めた廃棄物の重量を測定する(ステップS12)。そして、当該測定重量が重量判別値以下の場合(ステップS13:YES)、制御手段6が移送手段24を制御して密閉容器Cを搬送ユニット3へ移送させる(ステップS14)。一方、当該測定重量が重量判別値を超えている場合(ステップS13:NO)、制御手段6が移送手段24を制御して密閉容器Cを搬送ユニット3外へ退避させる(ステップS15)。
【0054】
これにより、本実施形態のように、開封することが禁じられている密閉容器Cを処理する場合であっても、その形状に応じた重量判別値で選別される。このため、多量の水分が含まれている密閉容器Cや、リサイクル対象品以外の重たい物が混入されている密閉容器Cは、リサイクルに適さない廃棄物として焼却処分され、リサイクルに適した廃棄物だけが後段の滅菌処理に供されることとなる。
【0055】
つぎに、図9に示すように、搬送ユニット3において、搬送工程が行われる(ステップS2)。具体的には、図11に示すように、重量選別ユニット2の移送手段24が、第1搬送コンベヤ311に密閉容器Cを載置すると(ステップS201)、制御手段6が第1気密ゲート331を開放する(ステップS202)。このとき、気密空間が開放されるため、制御手段6は、負圧手段34を停止する。
【0056】
つづいて、図5(b)に示すように、制御手段6が、密閉容器Cを載せた第1搬送コンベヤ311を前進させ(ステップS203)、第2搬送コンベヤ312と近接状態にした後、第2搬送コンベヤ312および第1搬送コンベヤ311の順に始動する(ステップS204,S205)。これにより、密閉容器Cが第1搬送コンベヤ311から第2搬送コンベヤ312へ移送される。
【0057】
つぎに、制御手段6は、第1搬送コンベヤ311を停止して後退させ(ステップS206)、第2搬送コンベヤ312と離隔状態にした後、第1気密ゲート331を遮断する(ステップS207)。このとき、本実施形態では、制御手段6が負圧手段34を始動する(ステップS208)。これにより、第1気密ゲート331および第2気密ゲート332で仕切られた搬送ダクト32内が負圧に保持されるため、次工程において第2気密ゲート332を開放した際に、破砕ユニット4から流れてくる廃棄物の粉塵等が直ちに排気ダクト36により吸い込まれ、搬送ダクト32内に留まったり、外部へ漏れるのを防止している。
【0058】
つづいて、制御手段6は、密閉容器Cを載せた第2搬送コンベヤ312を停止した後(ステップS209)、第2気密ゲート332を開放する(ステップS210)。このとき、制御手段6は、負圧手段34を停止し、破砕ユニット4の空気を逆流させないようにする。つぎに、制御手段6は、第3搬送コンベヤ313を始動させた後(ステップS211)、図5(a)に示すように、第2搬送コンベヤ312を前進させ(ステップS212)、第3搬送コンベヤ313と近接させてから始動する(ステップS213)。これにより、密閉容器Cが第2搬送コンベヤ312から第3搬送コンベヤ313へ移送される。
【0059】
密閉容器Cが第3搬送コンベヤ313上の所定位置まで搬送されると、制御手段6は第3搬送コンベヤ313を停止する(ステップS214)。その後、制御手段6は、第2搬送コンベヤ312を停止して後退させ(ステップS215)、第3搬送コンベヤ313と離隔状態にした後、第2気密ゲート332を閉鎖して遮断する(ステップS216)。そして、再度、負圧手段34を始動させることにより(ステップS217)、第1気密ゲート331および第2気密ゲート332で仕切られた搬送ダクト32内の気密空間を負圧に保持し、次に第1気密ゲート331を開放する場合に破砕粉等が漏れ出ないように準備する。
【0060】
以上のステップS201〜S217を繰り返すことにより、移送手段24によって搬送ユニット3へ移送されてきた密閉容器Cは、第1搬送コンベヤ311から第3搬送コンベヤ313まで搬送された後、次々と破砕ユニット4へ投入される。また、本実施形態では、負圧に保持された気密空間を経由するため、破砕ユニット4で発生する感染性の破砕粉等が外部へ放出されて汚染することを防止する。
【0061】
つぎに、図9に示すように、破砕ユニット4において、破砕工程が行われる(ステップS3)。具体的には、図12に示すように、まず、搬送ユニット3から破砕手段41へ密閉容器Cが投入される(ステップS31)。これにより、破砕手段41が、密閉容器Cを破砕するとともに、その内部に密閉されていた廃棄物を細かく破砕し、廃棄物ホッパー42へ貯留させる。
【0062】
破砕手段41が廃棄物を破砕している間、制御手段6は、破砕手段41の空転時の電流値を監視し、当該電流値が所定の設定値以下になるのを監視する(ステップS32)。これにより、センサー等で検出するのが困難な破砕の完了が担保される。
【0063】
電流値が設定値以下になると(ステップS32:YES)、制御手段6は、廃棄物ホッパー42の容量センサから廃棄物の容量を取得し、当該容量が所定の設定値に到達したか否かを監視する(ステップS33)。そして、当該容量が所定の設定値に到達したとき(ステップS33:YES)、制御手段6は投入ゲート43を開放する(ステップS34)。これにより、廃棄物ホッパー42において、破砕手段41による破砕工程に影響を及ぼさない容量を制限することができ、廃棄物が所定量ずつ滅菌処理槽51へ投入される。
【0064】
つぎに、図9に示すように、滅菌処理ユニット5において、滅菌処理工程が行われる(ステップS4)。具体的には、図13に示すように、まず、制御手段6が、攪拌手段52を始動させた後(ステップS41)、上方蒸気供給手段53および下方蒸気供給手段54の各蒸気弁を開放する(ステップS42)。これにより、滅菌処理槽51の上下から供給された高圧蒸気が、廃棄物の滅菌処理を進行する。また、攪拌羽根522が、廃棄物を常時攪拌することで熱による固化を防止するとともに、熱を隅々まで行き渡らせる。
【0065】
また、本実施形態において、滅菌処理槽51の底部では、分離スクリーン56が、廃棄物から汚水や凝縮水を分離する。そして、下方蒸気供給手段54が、分離された汚水や凝縮水を吹き散らすように高圧蒸気を供給する。このため、汚水や凝縮水が迅速に加熱処理されるとともに、水分による槽内の温度低下が抑制される。また、下方から供給される高圧蒸気の熱が伝達しやすくなり、廃棄物が迅速かつ均一的に加熱処理される。したがって、廃棄物および汚水等の双方について、滅菌処理に要する時間が短縮されるとともに滅菌効率や滅菌精度が向上する。
【0066】
各蒸気弁を開放した後、制御手段6は、滅菌処理槽51内の各位置における温度センサの測定値を監視し、121℃以上の状態が20分以上経過したか否かを判別する(ステップS43)。そして、当該条件が満たされたことを確認した後(ステップS43:YES)、蒸気弁を閉じる(ステップS44)。これにより、廃棄物は完全に滅菌処理されたことが担保される。
【0067】
滅菌処理が完了した後、制御手段6は、放出弁を開放し(ステップS45)、滅菌処理槽51内に供給された高圧蒸気を放出する。このとき、本実施形態では、制御手段6が、放出弁を間欠的に徐々に開くように制御する。このため、滅菌処理槽51内の高圧蒸気が一気に噴出するのを防止し、安全に高圧蒸気が放出される。
【0068】
一方、制御手段6は、分離スクリーン56で分離された汚水および凝縮水を排水するため、別途、温度センサの測定値を監視し、100℃以上の状態が15分以上経過したか否かを判別する(ステップS46)。そして、当該条件が満たされたことを確認した後(ステップS46:YES)、ドレン弁を開放する(ステップS47)。これにより、汚水や凝縮水についても完全に滅菌された状態で排水される。
【0069】
滅菌処理槽51から高圧蒸気を放出し、かつ、汚水や凝縮水を排出した後、制御手段6は、排出ゲート55を開放する(ステップS48)。これにより、排出口512から滅菌処理後の廃棄物が排出される。このとき、本実施形態では、攪拌羽根522を適宜正逆回転させることにより、槽内の廃棄物を排出口512へ誘導し、槽内に残留廃棄物が生じないようにする。なお、排出口512から排出された廃棄物は、排出コンベヤ7で搬送され、振動フィーダおよびドラム式磁選機で後処理された後、廃プラスチックのリサイクル施設へ提供される。
【0070】
なお、本実施形態では、上述した通常の処理工程の他、破砕手段41や廃棄物ホッパー42が故障した際、あるいは定期的なメンテナンスを行う際に、熱風滅菌処理手段44が各装置内部に熱風を循環させる。本実施形態では、図7に示すように、故障した箇所に応じて、廃棄物ホッパー42、破砕手段41および搬送ダクト32にかけて熱風を循環させるとともに、第1気密ゲート331および第2気密ゲート332で遮断された気密空間に熱風を循環させる。また、定期点検時には、熱風滅菌処理手段44が、上記双方の空間に同時に熱風を循環する。
【0071】
これにより、廃棄物によって汚染された装置内部が熱風により乾熱滅菌される。このため、通常、感染防止の観点から、人間が入ることが禁止されている装置内部へ入ることができ、作業者による修理や点検が可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、廃棄物の排出が完了したとき等の適当なタイミングで、制御手段6が、滅菌処理槽51の投入口511および排出口512に設けられた蒸気噴射部から蒸気を噴射させる。これにより、投入口511や排出口512に付着した不純物を滅菌し、効果的に除去する。
【0073】
以上のような本実施形態の滅菌処理システム1によれば、以下のような効果を奏する。
1.滅菌処理槽51内の廃棄物から水分を分離し、上方のみならず下方からも高圧蒸気を供給することで、処理時間を短縮でき、廃棄物をムラなく加熱して滅菌効率や滅菌精度を向上することができる。
2.装置の故障時や定期メンテナンス時に、熱風による滅菌処理を行うことができるため作業者による修理や点検を適宜行うことができる。
3.感染性の破砕粉が外気へ放出されるのを防止することができる。
4.搬送ダクト32内を気密状態に保持しつつ、廃棄物を搬送することができる。
5.滅菌処理システム1での処理に不適切なものが含まれている可能性の高い密閉容器Cを除外し、リサイクルに適した円滑な処理を進めることができる。
【0074】
なお、本発明に係る滅菌処理システム1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0075】
例えば、上述した本実施形態では、分離スクリーン56として、網目状のウェッジワイヤスクリーンを用いているが、この構成に限定されるものではない。廃棄物から水分を分離できるものであれば、適宜選択することができ、例えば、水分を浸透させるような浸透部材であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 滅菌処理システム
2 重量選別ユニット
3 搬送ユニット
4 破砕ユニット
5 滅菌処理ユニット
6 制御手段
7 排出コンベヤ
21 重量判別値記憶手段
22 容器形状判別手段
23 重量測定手段
24 移送手段
25 受入コンベヤ
26 不適物コンベヤ
31 搬送コンベヤ
32 搬送ダクト
33 気密ゲート
34 負圧手段
35 シフトシリンダ
36 排気ダクト
37 凝縮水槽
41 破砕手段
42 廃棄物ホッパー
43 投入ゲート
44 熱風滅菌処理手段
45 循環ダクト
51 滅菌処理槽
52 攪拌手段
53 上方蒸気供給手段
54 下方蒸気供給手段
55 排出ゲート
56 分離スクリーン
57 ドレン管
311 第1搬送コンベヤ
312 第2搬送コンベヤ
313 第3搬送コンベヤ
331 第1気密ゲート
332 第2気密ゲート
511 投入口
512 排出口
521 回転軸
522 攪拌羽根
523 駆動モータ
524 駆動ベルト
531,541 蒸気ボイラ
532 上方蒸気供給管
542 下方蒸気供給管
C 密閉容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を滅菌処理する滅菌処理ユニットを備えた滅菌処理システムであって、前記滅菌処理ユニットは、破砕された廃棄物を収容する滅菌処理槽と、この滅菌処理槽内に収容された廃棄物を攪拌する攪拌手段と、前記滅菌処理槽内に上方から高圧蒸気を供給する上方蒸気供給手段と、前記滅菌処理槽の底部に設けられて前記廃棄物から水分を分離する分離スクリーンと、この分離スクリーンで仕切られた下方空間に連通されており前記滅菌処理槽内に下方から高圧蒸気を供給する下方蒸気供給手段とを有する滅菌処理システム。
【請求項2】
廃棄物を搬送する搬送コンベヤ、およびこの搬送コンベヤを覆って気密状態に保持する搬送ダクトを有する搬送ユニットと、
搬送された前記廃棄物を破砕する破砕手段、および破砕された前記廃棄物を貯留して前記滅菌処理槽へ投入する廃棄物ホッパーを有する破砕ユニットとを備えており、
前記搬送ダクトと、前記破砕手段と、前記廃棄物ホッパーとを気密状態で連通させるとともに、それら連通された各構成内部に熱風を循環させて滅菌処理する熱風滅菌処理手段を備えている請求項1に記載の滅菌処理システム。
【請求項3】
前記搬送ユニットは、前記搬送ダクト内を気密状態に遮断可能な一対の気密ゲートと、前記搬送ダクト内を負圧にする負圧手段とを有しており、
前記一対の気密ゲートで仕切られた気密空間に廃棄物を搬入する場合には、前記一対の気密ゲートを両方閉鎖して前記負圧手段により前記気密空間を負圧にした後、奥側の気密ゲートを閉鎖した状態で手前側の気密ゲートのみを開放して前記廃棄物を搬入し、
前記気密空間から廃棄物を搬出する場合には、前記一対の気密ゲートを両方閉鎖して前記負圧手段により前記気密空間を負圧にした後、手前側の気密ゲートを閉鎖した状態で奥側の気密ゲートのみを開放して前記廃棄物を搬出する請求項2に記載の滅菌処理システム。
【請求項4】
前記搬送ユニットは、搬送方向にスライド可能な複数の搬送コンベヤを縦列配置させているとともに、前記気密ゲートを各搬送コンベヤの境界位置にて開閉可能に配置しており、
前記廃棄物を通過させる際には、前記気密ゲートを開放するとともに、隣接する前記搬送コンベヤの一方または両方を近接する方向にスライドさせ、前記廃棄物を通過させた後には、隣接する前記搬送コンベヤの一方または両方を離間する方向にスライドさせるとともに、前記気密ゲートを閉鎖する請求項3に記載の滅菌処理システム。
【請求項5】
前記廃棄物を収容する密閉容器の形状に対応付けて不適切な物が混入しているか否かを重量により判別するための重量判別値を記憶する重量判別値記憶手段と、前記密閉容器の形状を判別する容器形状判別手段と、前記廃棄物を収容した前記密閉容器の重量を測定する重量測定手段と、前記密閉容器を所望の場所へ移送する移送手段とを有する重量選別ユニットを備えており、
前記重量測定手段が測定した重量を取得するとともに前記容器形状判別手段が判別した形状に対応する重量判別値を前記重量判別値記憶手段から取得し、前記重量が前記重量判別値以下の場合、前記移送手段を制御して前記密閉容器を次の処理ラインへ移送させ、前記重量が前記重量判別値を超えている場合、前記移送手段を制御して前記密閉容器を前記処理ライン以外の場所へ移送する制御手段とを有している請求項1から請求項4のいずれかに記載の滅菌処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−50789(P2012−50789A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197994(P2010−197994)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(508176980)カワテックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】