説明

滑り制御型のブーストブレーキングシステム

マスタシリンダは、ハウジングと、ハウジング内に配置された第1の2次ピストンとを備える。第1の2次ピストンはハウジングと協働して、ハウジング内で第1の2次ピストンが移動すると容量が変化する第1の2次室を画定する。第2の2次ピストンがハウジング内に配置されており、ハウジングと協働して、ハウジング内で第2の2次ピストンが移動すると容量が変化する第2の2次室を画定する。さらに、段付きの1次ピストンがハウジング内に配置されている。1次ピストンがハウジングと協働して、1次ピストンがハウジング内で移動すると容量が変化する1次室を画定している。1次ピストンは、第1の2次ピストンと第2の2次ピストンを駆動させるために、第1の2次ピストンおよび第2の2次ピストンと接合させられる接合面を画定する。1次ピストンバネは、始動時に、1次ピストン上に復元力を維持する。

【発明の詳細な説明】
【関連技術】
【0001】
電気油圧式ブレーキシステムは、典型的に、車輪上の車両ブレーキに隔離弁によって結合した手動給電式のマスタシリンダを装備する。
【0002】
本発明は、概して、車両ブレーキに油圧式ブレーキ圧を制御された形で印加するブレーキシステムに関する。
【0003】
より具体的には、本発明は、マルチピストンおよびマルチチャンバマスタシリンダを装備した電気油圧式ブーストブレーキシステムに使用するブレーキシステムに関する。車両の運転者がブレーキペダルに圧力を加えると、油圧的に加圧された流体がペダルシミュレータに提供され、従来型のブレーキングシステム内で運転者の足に対して発せられた圧力がシミュレートされる。圧力トランデューサが、運転者の入力によってペダルに発せられた圧力の印加力を測定し、運転者による所望のブレーキ作動力を表す信号を生成する。印加された圧力を表す信号が、1または複数のモータ作動式ポンプの動作を制御する電気制御ユニットに提供されることで、加圧された油圧ブレーキ流体の流れが車両ブレーキアクチュエータに伝達される。電気油圧式ブレーキングシステムが、例えばアンチロックブレーキングシステムのような2次ブレーキングサブシステムと協働して作業する場合には、緊急に始動された際に、こうした2次ブレーキングシステムの動作によって圧力差および流量の問題が発生する可能性がある。
【0004】
さらに、電気的または油圧的な障害時に、電気油圧式ブレーキングシステムは、油圧的または電気的障害時に手動踏み込み動作を利用できる安全装置を装着している。典型的にこれには、1または複数の隔離弁の電力遮断が含まれ、これにより、モータ作動式のポンプの補助がなくても、手動によるブレーキング(バックアップ回路を介する)を、マスタシリンダから車両ブレーキアクチュエータへ直接実施できるようになる。しかし、いくつかのシステム(例えば、Robert Bosch GmbHに譲渡された米国特許6、733、090号に示されているシステム)は、1または複数の車両ブレーキアクチュエータのそれぞれを始動させるために、加圧されたブレーキ流体がマスタシリンダから流れるようにするための1または複数の隔離弁に頼るものである。いくつかのブレーキングシステムは、電気油圧式ブレーキング流体を、1本の車両軸(即ち、前部または後部の車輪の組)に関連した1組の車輪に付加するための1つの回路を含み、一方、他の1組の車輪は厳密に油圧的に始動されるブレーキを設けている。他のブレーキングシステムは、2つの電気油圧式ブレーキ回路(即ち、第1の組の車輪用の第1の回路と、第2の組の車輪用の第2の回路)を設けている。しかし、こうしたシステムは、典型的にはマスタシリンダから車両ブレーキアクチュエータへの油圧ブレーキ流体の流れを可能にする隔離弁への電力が遮断されてオープンとなったとの仮定に頼るものである。こうしたシステムは、隔離弁が閉鎖位置において動作不能となったり、油圧的漏出が生じた場合に用いられる、手動「踏み込み」を設けていない場合には受け入れられる。
【0005】
さらに、2005年5月6日に提出の、係属PCT出願番号PCT/US2005/016179号において説明されているマスタシリンダのような、マルチ室およびマルチピストン式のマスタシリンダは、エンジンコンパートメント内の梱包上の制約に対応できるようそのサイズを最適化する必要がある。さらに、電気油圧式ブレーキングモジュールをマスタシリンダとは別に梱包した場合には、隔離されたブレーキモジュール内に捕獲されたガスを除去する必要がある。典型的に、マスタシリンダがブレーキモジュールよりも高い場所に位置している場合には、捕獲されたガスは、マスタシリンダからブレーキモジュールへ(そして最終的には容器へ)自然にブリーディングされることはない。
【技術分野】
【0006】
本発明は一般に、車両ブレーキに油圧式ブレーキング圧力を制御された方法で印加するためのブレーキングシステムに関する。
【0007】
より具体的には、本発明は、マルチピストンおよびマルチ室型マスタシリンダを装備した電気油圧式ブーストブレーキングシステムを使用するためのブレーキングシステムに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1では、ブレーキシステム内に動的油圧ブーストを付加するための本発明による車両ブレーキシステムの第1の実施形態を示しており、この車両ブレーキシステムの全体を符号20で表している。ブレーキシステム20は、4つの車輪と、各車輪につき1つのブレーキとを装備した自動車のような地上車両への使用に好適である。さらに、ブレーキシステム20に、車両操作者への正常な反応とペダル感を刺激しながら、車両を効率的にブレーキングするための、アンチロックブレーキや他の滑り制御特徴のようなブレーキ機能をブレーキシステム20に設けることも可能である。
【0009】
ブレーキシステム20は、容器24と流体連通したマスタシリンダ22を装備している。この容器24はブレーキモジュール26と共に作用することで、後部車両軸29上の第1の車両ブレーキ28aおよび第2の車両ブレーキ28bを作動させ、前部車両軸31の第3の車両ブレーキ28cおよび第4の車両ブレーキ28dを作動させて車両のブレーキングを行う。車両ブレーキ28a〜dのそれぞれは、加圧したブレーキ流体を充填することで動作する従来型のブレーキを設けている。このブレーキは、例えば、車輪と共に回転する摩擦要素(例えばブレーキディスク)に係合して、関連車両のブレーキングを実施するために車両に搭載されたブレーキキャリパであってよい。
【0010】
図2、図3に見られるように、マスタシリンダ22はマスタシリンダハウジング30を含んでいる。マスタシリンダハウジング30を、以下では独立したハウジング部分として記載しているが、マスタシリンダハウジング30は、2つまたはこれ以上の別個に形成されて結合されたハウジング部分として形成されるか、あるいは1つのハウジング部分として形成されていてよい。マスタシリンダ22は、マスタシリンダハウジング30の第1の端部34に形成された1次ハウジング部分32を設けている。この第1の端部34は、第1の直径の、端部が開放した第1の円筒形ボア36を設けている。第1の円筒形ボア36から、これよりも直径が小さい1次ハウジング部分32内の第2の円筒形ボア38までは1段高くなっている。第1の円筒形ボア36と第2の円筒形ボア38は相互に軸方向に整列している。1次ハウジング部分32は、流体回路42に結合した第1のポート40と、流体回路46に結合した第2のポート44とを設けている。
【0011】
1次ハウジング部分32は、第3の円筒形ボア50を設けた中間ハウジング部分48と一体に形成されている。第2の円筒形ボア38から、これよりも直径が大きいことが好ましい第3の円筒形ボア50までは1段高くなっている。第2の円筒形ボア38は第3の円筒形ボア50と軸方向に整列している。中間ハウジング部分48は、容器24と流体連通している流体回路46と結合した第3のポート52を設けている。
【0012】
中間ハウジング部分48は、第1の2次ハウジング部分54と第2の2次ハウジング部分56と一体に形成されている。第1の2次ハウジング部分54は第4の円筒形ボア58を設けている。中間ハウジング部分48の第3の円筒形ボア50から、第1の2次ハウジング部分54の第4の円筒形ボア58までは1段高くなっている。第4の円筒形ボア58から第5の円筒形ボア60までは1段低くなっている。
【0013】
第2の2次ハウジング部分56は、第6円筒形ボア62を設けている。中間ハウジング部分48の第3の円筒形ボア50から、第2の2次ハウジング部分56の第6円筒形ボア62までは1段高くなっている。第6円筒形ボア62から第7円筒形ボア64までは1段低くなっている。
【0014】
第4の円筒形ボア58と第5の円筒形ボア60、並びに第6円筒形ボア62と第7円筒形ボア64は相互に軸方向に整列している。第4の円筒形ボア58と第6円筒形ボア60は平行し、同一の直径を有することが好ましい。これに加え、第5の円筒形ボア60と第7円筒形ボア64は相互に平行し、同一の直径を有することが好ましい。
【0015】
第1の2次ハウジング部分54は、流体回路68に結合している第4のポート66と、流体回路74に結合している第5のポート70および第6ポート72と、第2のブレーキ流体回路78に結合している第7ポート76とを設けている。
【0016】
第2の2次ハウジング部分56は、流体回路82に結合している第8ポート80と、流体回路86に結合している第9ポート84および第1の0ポート85と、第3のブレーキ流体回路90に結合している第1の1ポート88とを設けている。
【0017】
ブレーキペダル92は、入力ロッド95を介して、マスタシリンダ22の1次ピストン94の第1の端部に結合している。走行センサ96は、ブレーキペダル92の走行距離を表す信号を生成する。
【0018】
1次ピストン94は、第1の円筒形ボア36の内径よりも若干小さい外径を有する第1の円筒形部分98を設けている。1次ピストン94の第1の円筒形部分98は、第1の円筒形ボア36内部で滑動することができる。第1の円筒形ボア36の内面上に1次密封部100を組み込むことで、第1の円筒形部分98と1次ハウジング部分32の第1の円筒形ボア36の内面との間でブレーキ流体がどの方向にも漏出しないようにしている。これに加え、第1の円筒形ボア36の内面壁に第1の密封部102を組み込むことで、流体が1次密封部100の方向に流れて行かないようにしている。
【0019】
第1の円筒形部分98から第2の円筒形部分104までは1段高くなっている。第2の円筒形部分104の外径は第1の円筒形部分98よりも実質的に小さい。第2の円筒形部分104は、第1の円筒形ボア36および第2の円筒形ボア38内で滑動することができる。第2の円筒形ボア38は第2の密封部106を設けている。第1の密封部102と第2の密封部106は、これらの間の領域を密封することで1次チャンバ108を画定している。第2の密封部106に一方向の密封を設けることで、1次チャンバ108からのブレーキ流体の流出を防止している。
【0020】
1次ピストン94の第2の円筒形部分104から第3の円筒形部分110までは1段高くなっている。第3の円筒形部分110の外径は第2の円筒形部分104の外径よりも大きい。第3の円筒形部分110は、第3の円筒形ボア50内部で滑動することができる。第3の円筒形ボア50は、第3の密封部112と第4の密封部114を設けている。密封部106、112、114は、マスタシリンダハウジング30、第1の2次ハウジング部分54、第2の2次ハウジング部分56、1次ピストン94、接合部材122、第1の2次ピストン126、第2の2次ピストン127と協働し、第1の中間チャンバ115を密封および画定する。
【0021】
1次ピストン94は接合面116を設けている。1次ピストン94の接合面116と接合部材122の接合面120との間には、1次ピストンバネ118が予負荷がかかった状態で配置されている。接合面116、122は、それぞれの接合面116、120の上に1次ピストンばね118を保持するための階段状の部分を設けていてよい。
【0022】
1次ピストン94の接合面116の一部は、第1の2次ピストン126の第1の端部124と整列している。第1の2次ピストン126は第1の円筒形部分128を設けており、この第1の円筒形部分128から第2の円筒形部分130までは1段高くなっている。第2の円筒形部分130の直径は第1の円筒形部分128の直径よりも大きい。第2の円筒形部分130から、第1の2次部分126の第3の円筒形部分132までは1段低くなっている。第3の円筒形部分132の直径は第2の円筒形部分130よりも小さい。第3の円筒形部分132の円周には第1の2次ピストンバネ134が配置されている。第2の円筒形部分130と第3の円筒形部分132の間で推移する階段状の表面と、第4の円筒形ボア58と第5の円筒形ボア60の間で推移する階段状部分との間には、第1の2次ピストンバネ134の端部が配置されている。
【0023】
1次ピストン94の接合面116は第2の2次ピストン127の第1の端部136と整列している。第2の2次ピストン127は第1の円筒形部分140を設けており、この第1の円筒形部分140から第2の円筒形部分142までは1段高くなっている。第2の円筒形部分142の直径は第1の円筒形部分140の直径よりも大きい。第2の円筒形部分142から、第2の円筒形部分142よりも直径が小さい第2の2次ピストン127の第3の円筒形部分144までは1段低くなっている。第3の円筒形部分144の円周には、第2の2次ピストンバネ146が配置されている。第2の円筒形部分142と第3の円筒形部分144の間で推移する階段状の表面と、第6円筒形ボア62と第7円筒形ボア64の間で推移する階段状の表面との間に、第1の2次ピストンバネ146の端が配置されている。
【0024】
第1の2次ピストン126および第2の2次ピストン127の円周に2次ピストンバネ134、146をそれぞれ位置決めすることで、各バネが圧縮時に座屈することを防止している。これに加え、各2次ピストンの前方にあるそれぞれの2次ピストンバネをパッケージングするのとは反対に、マスタシリンダ22の全長を短くすることができる。
【0025】
第1の2次ピストン126の第2の円筒形部分130の外面の周囲には第5の密封部148が配置されており、第1の2次ピストン126と共に移動できるようになっている。第5の密封部148と第3の密封部112は、これらの間にある第2の中間チャンバ150を密封する。同様に、第2の2次ピストン127の第2の円筒形部分142の外面の周囲には第6密封部152が配置されており、第2の2次ピストン127と共に移動できるようになっている。第6密封部152と第4の密封部114は、これらの間にある第3の中間チャンバ154を密封する。
【0026】
第1の2次ピストン126の第3の円筒形部分132の外面の周囲には、第7密封部156が配置されている。第7密封部156、第1の2次ピストン126の端部、第5の円筒形ボア60の内壁によって包囲された領域の間には、第1の2次チャンバ158が形成されている。
【0027】
第2の2次ピストン127の第3の円筒形部分144の外面周囲には、第8密封部160が配置されている。第8密封部160、第2の2次ピストン127の端部、第7円筒形ボア64の内壁で包囲された領域の間には第2の2次チャンバ162が形成されている。
【0028】
階段状の2次ピストン126、127(より具体的には、それぞれ、第1の2次ピストン126および第2の2次ピストン127の第3の円筒形部分132、144)は、給電されていない状態において、通常のブーストブレーキング動作中のリアバイアスを補正し、ダイナミック・リア・プロポーションを低減する。第3の円筒形部分132、144の直径は、2次ピストンのそれぞれの第2の円筒形部分136、142の直径よりも小さい。これにより、第7密封部156と第8密封部160を、第1の2次ピストン126と第2の2次ピストン127のそれぞれの周囲により小さく配置できるようになる。それぞれの密封部156、160と接する、それぞれのピストン126、127の表面積が縮小されているため、ブレーキペダル92が解除されると、各2次ピストン126、127がそれぞれのボア60、64から引き出される。その結果、各2次ピストン126、127が滑動して対応する円筒形ボア60、64に出入りする際に発生する摩擦が減少する。
【0029】
同様に、1次ピストン94の2次円筒形部分104の直径を減少させたことで、第2の密封部106の接触面との摩擦が減少する。先述したように、1次ピストン94は、第2の円筒形ボア38の直径が第1の円筒形ボア36の直径と同じである場合よりも容易に、1次ハウジング部分32の第2の円筒形ボア38から推移する。その結果、第2の円筒形ボア38の内壁と第2の密封部106の間の表面接触が減少するために、1次ピストン94が滑動して第2の円筒形ボア38に出入りする際に発生する摩擦が減少する。
【0030】
第1の2次ピストン126の第1の円筒形部分128の一部は、中間ハウジング部分48および第1の2次ハウジング部分54の内部で滑動できる。第2の円筒形部分130は、第1の2次ハウジング部分54の第4の円筒形ボア58内部で滑動できる。第3の円筒形部分132の一部は、第1の2次ハウジング部分54の第4の円筒形ボア58および第5の円筒形ボア60の内部で滑動可能である。第1の2次ハウジング部分54内の、第1の2次ピストン126の周囲に配置されたバネ134は、第1の2次ピストン126を付勢するために予負荷がかかった状態にある。
【0031】
第2の2次ピストン127の第1の円筒形部分140の一部は、中間ハウジング部分48および第2の2次ハウジング部分56の両方の内部で滑動できる。第2の円筒形部分142は、第1の2次ハウジング部分56の第6円筒形ボア62内部で滑動できる。第3の円筒形部分144の一部は、第1の2次ハウジング部分56の第6円筒形ボア62および第7円筒形ボア64の両方の内部で滑動可能である。第2の2次ハウジング部分56内部の第2の2次ピストン127周囲に配置されたバネ146は、第1の2次ピストン126を付勢するために予負荷がかかった状態にある。
【0032】
再び図1を参照すると、1次回路178が、容器24から、電気モータ182で駆動されるポンプ180へ油圧ブレーキ流体を提供する。好ましい実施形態では、モータ182は、トルク出力を自己監視するフラックススイッチ・ブラシレスモータである。高圧アキュムレータ(HPA)184は、流体回路186を介してポンプ180と流体連通している。図示にあるHPA184は、滑動密封部と予負荷をかけた窒素とがバネとして機能するピストンスタイルのアキュムレータである。金属、ゴム、プラスチック、その他のエラストマから成るダイヤフラムを設けたダイヤフラムタイプのHPAを使用することもできる。圧縮可能な容量を有する、これ以外のタイプの好適なガスも使用可能である。HPA184内の予負荷をかけた窒素が、ピストンをHPA184の流体接触方向へ付勢する。無論、任意の適切なアキュムレータ設計を使用することができ、HPA184は図示したピストンタイプの設計でなくてもよい。例えば、HPA184はブラダーまたはダイヤフラム駆動型のアキュムレータであってよい。さらに、加圧ガスの代わりに、ばね、またはその他の圧縮可能な弾性構成部品(例えばエラストマ)を、HPA184内でこれに対して作用させることができる。アキュムレータは、アキュムレータが密封された容量のガスに作用する状態で、全てのブレーキ流体を放出した際の実際のガス容量に従って寸法される。作業容量として知られた、所与のアキュムレータの使用可能な圧力範囲内における利用可能なブレーキ流体の容量が、アキュムレータから放出できる圧縮可能なガスの量による影響を受ける。この作業容量は、圧縮可能なガスの圧力および温度の変化に伴って変化する。アキュムレータを寸法する際には、負荷率と放出率も考慮する必要がある。
【0033】
動作時に、ポンプ180からの加圧されたブレーキ流体が、電気油圧式パイロット動作されるブースト弁188と協働するHPA184に供給される。ブースト弁188は、加圧されたブレーキ流体でHPA184を加圧するために、加圧されたブレーキ流体がポンプ180の放出部からHPA184へと流れるようにするための圧力を流体回路186内に維持することができる可変流動弁である。ブースト弁188はさらに、車両ブレーキ28a〜dを作動させるために、加圧されたブレーキ流体を第1のブレーキ流体回路190に通すこともできる。フィルタ192は、ポンプ180からHPA184またはブースト弁188に提供された加圧されたブレーキ流体を濾過するために、ポンプ180とHPA184/ブースト弁188の間で接続している。フィルタ192が遮断された場合には、加圧されたブレーキ流体がフィルタ192をバイパスして、HPA184とブースト弁188へ流れるようにするために、バイパス194がフィルタ192と平行に接続する。
【0034】
第1の組の弁には適用弁200とダンプ弁202が含まれ、これらの弁は第1のブレーキ流体回路190と流体連通しており、ブースト弁188から受容したブレーキ流体を第1のブレーキ28aへ協働的に供給し、また、加圧されたブレーキ流体を第1のブレーキ28aから協働的に解放する。第2の組の弁には適用弁204とダンプ弁206が含まれ、これらの弁は第1のブレーキ流体回路190と流体連通しており、ブースト弁188から受容した加圧されたブレーキ流体を第2のブレーキ28bへ協働的に供給し、加圧されたブレーキ流体を第2のブレーキ28bから協働的に解放する。
【0035】
第3の組の弁には適用弁208とダンプ弁210が含まれ、これらの弁は第1のブレーキ流体回路190および流体回路68と流体連通しており、ブースト弁188から受容した加圧されたブレーキ流体を第3のブレーキ28cを作動させるために協働的に供給し、また、加圧されたブレーキ流体を第3のブレーキ28cから協働的に解放する。
第4の組の弁には適用弁212とダンプ弁214が含まれ、これらの弁は第1のブレーキ流体回路190および流体回路68と流体連通しており、ブースト弁188から受容した加圧されたブレーキ流体を第4のブレーキを作動させるために協働的に供給し、また、加圧されたブレーキ流体を第4のブレーキ28dから協働的に解放する。
【0036】
ペダルシミュレータ216は、運転者がブレーキペダル92で感じるのと同様の従来のブーストシステムの特徴をシミュレートする。ペダルシミュレータは、マスタシリンダ22の1次室108と流体連通した、ブレーキ動作中に1次室108からブレーキ流体を受容するための第1の室218を設けている。第1の室218と第2の室224の間には、ペダルシミュレータピストン220とペダルシミュレータバネ222が配置されている。第2の室224は第1のブレーキ流体回路190と(流体回路252を介して)流体連通していることにより、ブレーキ解除動作中に、第1のブレーキ流体回路190からブースト弁188を介したブレーキ流体の戻り通路を提供している。
【0037】
1次室108とペダルシミュレータ216の間には減衰オリフィス226が配置されている。減衰オリフィス226は断面が狭窄した通路を設けており、この通路によって、減衰オリフィス226とペダルシミュレータ216との間を流れる油圧ブレーキ流体の、
減衰オリフィス226を通る量が規制される。
【0038】
ノーマルオープン(N/O)ベースブレーキ弁230は、電力遮断位置にある場合にノーマルオープンにポートされる電気作動式弁である。N/Oベースブレーキ弁230は、マスタシリンダ22の1次チャンバ108と流体連通した流体回路42と第1のブレーキ流体回路190との間において流体結合している。圧力センサ232は流体回路42と結合し、流体圧力を監視する。ノーマルクローズ(N/C)ベースブレーキ弁234は、ペダルシミュレータ216と容器24の間に配置され、これらと流体連通している。
【0039】
ブレーキをかける必要がある場合、ブースト弁188が付勢されることで、HPA184およびポンプ180によって提供された加圧されたブレーキ流体が第1のブレーキ流体回路190に流れ、車両ブレーキ28a、28b、28c、28dを作動できるようになる。電気的故障が発生した場合には、ブースト弁188は活性状態には保たれず、電力遮断位置に戻るため、HPA184によるブースト機能の試行は行われない。ブースト弁188は電気作動式ブースト弁であるため、電気的故障の発生時には、手動による踏み込み作業を用いて、前部車両ブレーキ28c、28dおよび後部車両ブレーキ28a、28bをかけることができる。後部車両ブレーキ28a、28bの踏み込み作業のための動力は、操作者がブレーキペダル92に力をかけて1次室108内の油圧流体を加圧し、油圧ブレーキ流体を流体回路42を通ってN/Oベースブレーキ弁230へ強制的に送るという手動によって提供される。油圧ブースト動作中に、N/Oベースブレーキ弁230がクローズに電気的にポートされることで、油圧流体がペダルシミュレータ216へ流れるようにする。電気的故障中は、N/Oベースブレーキ弁230の電源が遮断されてオープン位置にある場合には、後部車両ブレーキ28a、28bを通過する油圧ブレーキ流体は規制されない。N/Oベースブレーキ弁230がオープン一にある場合にはベースブレーキ弁230を通過する間、油圧ブレーキ流体は規制されない。その結果、車両の操作者がN/Oベースブレーキ弁230を強制開放させるために新たに圧力を追加する必要がなくなる(これは、N/Oベースブレーキ弁230の代わりに利用するものとしてはそれほど好ましくない、また、油圧ブレーキ流体を車両ブレーキへ送ることができるようポートを開放するべく、弁内部のバネ力を克服するために追加の力を要する従来のフェールセーフ弁とは対照的である)。
【0040】
車両ブレーキ28a、28b、28c、28dを作動させるために油圧ブーストを増加させる必要がある場合には、N/Oベースブレーキ弁230を付勢してクローズ位置にすることで、車両ブレーキを作動させる第1のブレーキ流体回路190に高油圧が流れるようにする。高ブースト中、第1のブレーキ流体回路190内の圧力と回路42内の圧力の差が遥かに大きい場合には、この大きな圧力差によってN/Oベースブレーキ弁230が油圧式にロック閉鎖される。この条件下で、油圧ブースト圧が低くなり過ぎ、手動での踏み込みが必要となった場合には、操作者はブレーキペダル92に力をかけて、電気的に作動された閉鎖N/Oベースブレーキ弁230の両方を開放するために、第1のブレーキ流体回路190内に残っている残留ブースト圧力を克服する。手動によるN/Oベースブレーキ弁230の遂行に必要な力を最小限に抑えるために、N/Oベースブレーキ弁230の電源を遮断する。N/Oベースブレーキ弁230は電力遮断されているが、N/Oベースブレーキ弁230は、第1のブレーキ流体回路190と流体回路42の間の圧力差が大きい間は閉鎖状態を保ち続けて、油圧式ロック条件を維持することができる。手動による踏み込みが必要な際にブースト圧力が低下した場合には、操作者は、圧力差(油圧式ロック条件)を克服するのに十分な力をブレーキペダルにかけるだけでよい。これは、油圧式ロック条件を克服するのに十分な力を超える大きなブレーキペダル力をかけることで、付勢閉鎖されたN/Oベースブレーキ弁230を開放する場合とは対照的である。さらに、1次室108と、減衰オリフィス226の上流にあるペダルシミュレータ216との間には、N/Oベースブレーキ弁230が配置されている。
【0041】
操作者がブレーキペダル92に突然大きな力をかけた場合、運転者が車両を一時的に止めるためにこの大きな力をかけ、その後すぐにブレーキを解放するつもりであるのか、または、運転者が車両を停止するために大きなブレーキ力を維持しようとしているのかを判断することができない。これら両方の条件下において、ポンプ180およびHPA184からの油圧ブーストが、車両ブレーキ28a、28b、28c、28dを作動させるために急速に圧力を増す。車両ブレーキを作動させるために、ポンプ180とHPA184に第1のブレーキ流体回路190内の圧力を上昇させられるよう、ブースト弁188が付勢開放されている間、マスタシリンダ22の1次室108から流体回路42を通って流れる流量は、第1のブレーキ流体回路190内のブースト圧力よりも大きくてもよい。これらの条件下では、流体回路42と第1のブレーキ流体回路190の間の圧力差により、N/Oベースブレーキ弁230が強制開放される可能性がある。このような条件下でN/Oベースブレーキ弁230が開放してしまわないようにするには、N/Oベースブレーキ弁230を完全に付勢閉鎖して流体中の一時的な圧力上昇を防止し、第1のブレーキ流体回路190が弁を開放することを防止する。
【0042】
N/Oベースブレーキ弁230のエネルギー消費を最小化するために、N/Oベースブレーキ弁230が、油圧ブレーキ流体流量に応じて電流制限される。即ち、閉鎖位置を維持するために必要なエネルギーは少量だけであるため、N/Oベースブレーキ弁230が低流量にて付勢閉鎖されると、N/Oベースブレーキ弁230に供給された電流がこの流量に比例して低下する。あるいは、閉鎖位置を維持するべくN/Oベースブレーキ弁230上で増加する圧力を克服するためにはより大量のエネルギーが必要であるため、対応する流体回路内に高い流量が予想される場合には、N/Oベースブレーキ弁230に供給する電流をこれに比例して増加させることができる。
【0043】
走行センサ96は、運転者のブレーキングの意図を決定するために主に使用される。ペダル移動からは、大きなブレーキ力がかかった場合の運転者のブレーキ要求に関する精密な情報は得られないかもしれない。例えば、ブレーキペダル92に最初に力がかかると、ブレーキペダル92は相当な距離を移動するが、M/C1次圧力の増加は最小である可能性がある。あるいは、ブレーキペダル92に大きな力がかかり、ブレーキペダル92にかけられたこの力がゆっくりと弱まると、ブレーキペダルの移動が少し短縮されただけでも、相当量のペダル力が減少する。ブースト圧力とペダル移動をより上手く相関させるために、圧力センサ232を使用して流体回路42内の圧力を測定することで、様々なブレーキ要求を補助する。例えば、ブレーキペダル92に最初に力がかかった場合には、走行センサ96が運転者のブレーキ要求を決定するより精密なインジケータとなる。ペダル92に大きな力がかかった後にこの力が弱まった場合には、この条件下においては、圧力センサ232で測定した圧力が走行センサ96よりも精密なインジケータとなる。これは、ブレーキ力の大きな減少が、ブレーキペダル92が短い距離だけ移動した結果生じたものであるかもしれないためである。結果として、圧力センサ232で測定した圧力を走行センサ96と共用することで、ブレーキ変調下での運転者のブレーキ要求が決定される。これにより、圧力センサ232の信号が走行センサの出力を確認するまで、ブースト圧力の印加が制限される。車輪ロック条件に必要なものよりも高いブースト圧力を維持することには追加利点がないため、全ての場合において、ブースト圧力を車輪ロック圧力に限定することが可能である。
【0044】
走行センサ96はまた、マスタシリンダ22から供給された油圧ブレーキ流体の流量を決定するためにも使用できる。この流量を、圧力センサ232からの信号と共に用いることで、ペダル減衰オリフィス226およびN/Oベースブレーキ弁230の上流における圧力を推定できる。これが、N/Oベースブレーキ弁230を付勢する際に必要な閉鎖力を決定するために予想される流量のインジケータとなる。
【0045】
N/Cベースブレーキ弁234は、ペダルシミュレータ216から、またはブースト弁188から流体回路236を通って容器24へ送られた加圧された流体の流れを方向転換させるためのノーマルクローズ弁である。この容器24は油圧ブレーキ流体を収容するためのものであり大気圧を放出する。N/Cベースブレーキ弁234によって、油圧ブレーキ流体を手動で後部ブレーキへ送りながら、ペダルシミュレータ216までのブレーキペダルの移動が損失しないようにすることができる。N/Cベースブレーキ弁234は、電力遮断位置にない際にノーマルクローズにポートされる電気作動式弁である。N/Oベースブレーキ弁230と同様、N/Cベースブレーキ弁234は油圧ブレーキ流体流量に応じて電流制限を行うことで、エネルギーを保存する。N/Cベースブレーキ弁234が、高い流量下において、大きな電流引き込みを使用して完全に付勢されることにより、ブースト弁188またはペダルシミュレータ216から戻った加圧された油圧ブレーキ流体の流れによって弁が強制閉鎖されてしまうことを防止する。低流量の条件下では、より小さい電流引き込みを使用してN/Cベースブレーキ弁234が付勢されることで、N/Cベースブレーキ弁234に発せられる小さい力により弁が開放状態に維持される。
【0046】
ダンプ弁202、206、210、214から戻る油圧ブレーキ流体の流れが、流体回路178を介して容器へ戻される。それぞれのダンプ弁から容器24へ直接戻る油圧ブレーキ流体には(ペダルシミュレータとは対照的に)、ABSのような2次ブレーキ補助機能を使用した際に運転者が感じるであろう脈動フィードバックを減少させる利点がある。これにより、加圧された油圧ブレーキ流体が、最初は戻りのブレーキ流体を規制しない容器24へ戻ることができる。流体回路178を介して戻る油圧ブレーキ流体の別の利点は、この回路が実際にダンプ弁202、206、210、214からブレーキ流体を引き出すことである。流体回路178は、容器24への戻りラインとしての役割に加えて、モータ182とポンプ180がブースト圧力を供給するべく、またはHPA184を充填するべく動作している最中に、流体をポンプ180に提供する役割も果たす。ポンプ180の動作中に油圧ブレーキ流体がダンプ弁202、206、210、214から開放されると、ポンプ180がポンプ180に流入する油圧ブレーキ流体を真空に引く。ポンプ180によって作成された真空が、油圧ブレーキ流体をダンプ弁202、206、210、214から、停止中のポンプ180よりも高速にて引き出す。
【0047】
図1に示すブレーキシステムによって、ブースト弁188とペダルシミュレータ216の両方からの加圧されたブレーキ流体の2つの戻り経路が提供される。ブレーキ流体は、流体回路236を介して容器24へ戻り、さらに流体回路42とマスタシリンダ22を介して容器24へ戻る。ブレーキ流体を容器24、1次室108へ戻すために、ブレーキ流体が流体回路42から1次室108内へ流れる。ブレーキペダル92が休止位置にある際に、ベント回路238が1次室108およびベント室239と流体接続している。ベント室239の流体ポート44は流体回路46と流体連通している。流体回路46内にフィルタ(図示せず)を配置して、容器24へ戻るブレーキ流体を濾過してもよい。ポンプ180(およびHPA184)の出力部と流体回路178の間には、ばね装填されたチェック弁240が接続している。これにより最大圧力が制限される(即ち、容器よりも上の圧力が制限される)。ばね装填されたチェック弁240はブリード弁242と平行に接続している。ポンプ180が始動中であり、HPA184が所定の高圧閾値を超えている際に、ブースト弁188が遮断されたり、動作不能となった場合には、ばね装填されたチェック弁240がHPA184内に貯留された高度に加圧されたブレーキ流体を解放する。ばね装填されたチェック弁240は、HPA184内に貯留された加圧されたブレーキ流体の力がチェック弁の密封範囲にかけて作用するチェック弁ばねの力よりも大きい場合に開放する。このような条件は、ブレーキをかけることなく車両を運転した際に、HPA184内に貯留された油圧ブレーキ流体が所定の高圧閾値を超えた場合に生じる。エンジンコンパートメント温度が上昇することで、HPA184内の油圧式ブレーキ流体の圧力も上昇し、HPA184内の加圧状態が生じる。過圧状況にあるHPA184を解放するために、ばね装填されたチェック弁240はポンプ180および適用弁200、204、212、214に関連して配置される(ブースト弁が適用位置にある場合に行われる)。
【0048】
組立工場においてブレーキングシステム20をブレーキ流体で充填する前に、一般に導管から空気を排除すると同時に全ての電磁弁を付勢する必要がある。ブリード弁242は、ブレーキモジュール26に捕獲されたガスを除去できるようにするばね作動式ピストンを設けている。ブリード弁242は、弁を付勢せずにブレーキモジュール26内の空気を除去するために、ばねによってオープン位置に保持される。ブレーキモジュール26が空気を排除し、ブレーキングシステムが作動すると、少ないポンプ流体の流れがブリード弁242を閉鎖し、ポンプ180とHPA184によって印加されたブレーキング圧力がブリード弁242を閉鎖位置に維持する。ブリード弁が閉鎖位置にある場合、ブレーキ流体がブリード弁242を介してポンプ180をバイパスすることが阻止される。ポンプ180またはHPA184が圧力を提供しない、または非常に低い圧力を提供する場合、ブリード弁が開放され、捕獲された空気が流体回路244を介してブリード弁とバイパスすることができる。ポンプ180によって圧力が上昇すると、ブリード弁242が閉鎖され、ブレーキ流体が流体回路244およびブリード弁242を介して流体回路178へ流れることが阻止される。これに加え、ブリード弁242と解放弁240を統合して、多機能弁246(図6に示す)とすることができる。
【0049】
さらに、流体回路244と流体回路178の間に手動ブリードネジ131が(ブリード弁242と平行して)結合している。電力が供給されない間に、HPAが加圧流体を消費し尽くす必要がある場合には、手動ブリードネジ131によってHPAを手動で枯渇させる。
【0050】
先述のペダルシミュレータ216は、ブレーキペダル92内のブレーキフィードバックをシミュレートするべく車両ブレーキペダル92に間接的に対抗する復元力を提供するために、流体回路42に対抗力を発する。一般に、ペダルシミュレータは、ブレーキングシステムの必要性に基づいて、各車両に合ったサイズに製造されている。しかし、変調ペダルシミュレータは全ての用途に利用できる。
【0051】
次に、ブレーキングシステムの動作について説明する。ブレーキングシステム20の典型的なブレーキング状況では、車両の操作者がブレーキペダル92を押し下げる。ブレーキペダル92は走行センサ96と結合しており、走行センサ96は、ブレーキペダル92の移動距離を表す信号を生成し、制御モジュール(図示せず)にこの信号を提供する。制御モジュールは様々な信号、処理信号を受信し、受信した信号に応じてブレーキシステム20の様々な構成部品の動作を制御する。進化したブレーキング制御スキーム(例えば、アンチロックブレーキング(AB)、トラクションコントロール(TC)、車両安定性制御(VSC))の実行中に、制御モジュールはパワートレイン制御モジュール(図示せず)、および車両のこれ以外の追加のブレーキング制御装置と通信し、調和したブレーキングを提供することが好ましい。制御モジュールは、HPA184内への流体の貯留を維持するために必要な流れと相関する電気モータ182に信号を提供する。1次回路178は、油圧式ブレーキング流体を、容器24から電気モータ182で駆動されるポンプ180へ提供する。
【0052】
ポンプ180からの、加圧されたブレーキ流体が、電気作動式ブースト弁188と協働するHPA184に供給される。最大ポンプ出力の大きさは、HPA184の枯渇を防止し、また、少なくとも1回のロックアップ圧力の印加を必要に応じて供給するのに十分である。ブースト弁188は、制御モジュールによって電気的に位置決めされた制御弁を設けている。ブースト弁188の制御圧力が制御モジュールから受信した付勢電気信号と比例する形でブースト弁188を制御することが望ましい。ブースト弁188は、所望の制御圧力を達成するのに必要な流れを許容するよう自己の位置決めを行う。これにより、十分に開放したポートまたは十分に閉鎖したポートのいずれか一方とは対照的に、油圧ブレーキ流体の可変流動が可能となる。
【0053】
加圧されたブレーキ流体が流体接続を通ってHPA184内に流れると、HPA184のピストンが移動して窒素ガスプレチャージをさらに圧縮する。この条件下で、HPA184内には、ポンプ180が運転しているかしていないかに関係なく車両ブレーキ28a、28b、28c、28dの作動を補助するために使用可能な、圧縮された窒素ガスの影響下でピストンによって加圧されたブレーキ流体の容器が設けられている。
【0054】
ブレーキングが必要な場合に、ブースト弁188が付勢されることで、HPA184とポンプ180によって提供された、加圧されたブレーキ流体が、ブレーキ流体回路190を介して車両ブレーキ28a、28b、28c、28dを作動できるようになる。電力遮断位置において適用弁200、204がポートされることで、加圧されたブレーキ流体が後部車両ブレーキ28a、28bへ向かい、ブレーキを作動できるようになる。電力遮断位置において適用弁208、212がポートされることで、加圧されたブレーキ流体が第2の中間室150、第3の中間室154へそれぞれ流れるようになる。第2の中間室150、第3の中間室154に流入する加圧された油圧ブレーキ流体が、第1の2次ピストン126と第2の2次ピストン127のそれぞれに対して力を発する。第1の2次ピストン126と第2の2次ピストン127に対して発せられた力によって、第1の2次室158と第2の2次室162内のブレーキ流体が加圧される。第1の2次室158内の加圧された油圧ブレーキ流体は、第2のブレーキ流体回路78を介して車両ブレーキ28cを作動させるために、車両ブレーキ28cと流体連通している。同様に、第2の2次室162内の加圧された油圧ブレーキ流体は、第3の回路236を介して車両ブレーキを作動されるために、車両ブレーキ28dと流体連通している。1次ピストン94、第1の2次ピストン、第2の2次ピストン127は、各ブレーキ適用中に機能する。その結果、これにより「睡眠障害」が排除される。1次および2次ピストン(即ち、第1の円筒形部分は各2次ピストンの第2の2次部分とは別である)とは別個で異なり、手動での踏み込み操作にのみ使用されるものである中間ピストン部分を設けたブレーキングシステムは、通常のブースト動作中にはこうした中間ピストン部分が使用されないことから、操作不能であり、気付かれることがない(即ち「睡眠障害」)。唯一これが最初に検出されるのは、対応する回路上でのブレーキ障害を引き起こす可能性がある手動踏み込みを運転者が適用した時である。本発明はこの問題を克服する。これに加え、統合型の2次ピストンを設けることにより、前部車輪の手動踏み込み動作中におけるペダル移動の損失が減少する。
【0055】
ブースト動作中に運転者にペダルフィードバックを提供するために、押し下げられたブレーキペダル92に応じて、1次ピストン94が、油圧ブレーキ流体を、1次室108から流体回路42を介しペダルシミュレータ216へ強制排出させる。
【0056】
1次室108とペダルシミュレータ216の間に配置された減衰オリフィス226が、これを通過できる油圧ブレーキ流体の流量を規制する。油圧ブレーキ流体が減衰オリフィス226を通って移動する際に、ブレーキペダル92を押し下げる操作者は、減衰オリフィス226内で油圧ブレーキ流体の流れが規制されることによる抵抗を感じる。油圧ブレーキ流体のこの規制された流れにより、1次室108内において、ペダルシミュレータ216内よりも圧力が高くなる。ペダルシミュレータ216によってさらに抵抗が提供される。油圧ブレーキ流体が流体回路42からペダルシミュレータ第1の室218内に強制流入させられると、加圧された油圧ブレーキ流体がシミュレータピストン220上に力を発し、次にこのピストンが力を発してシミュレータバネ222を圧縮する。シミュレータバネ222と減衰オリフィス226が協働して発した復元力によって、運転者がブレーキペダル92にて感じる従来型ブーストシステムの特徴がシミュレートされる。
【0057】
加圧された油圧ブレーキ流体はペダルシミュレータ第1の室218を充填して拡張させると、ペダルシミュレータ第2の室224内に貯留されている油圧ブレーキ流体が流体回路252を介して強制排出される。N/Cベースブレーキ弁234が作動すると、加圧された油圧ブレーキ流体が流体回路252から流体回路236へ流れるようになる。流体回路236は、油圧ブレーキ流体を貯留するための大気圧における通液口を設けた容器24と流体接続している。
【0058】
運転者がブレーキペダル92を解除すると、制御モジュールが、車両ブレーキ28a、28b、28c、28dを不活性化する運転者の動作を識別する信号を走行センサ96から受信する。制御モジュールが、ブースト弁188への電力を遮断する信号を提供する。電力遮断位置にて、ポンプ180およびHPA184からの加圧された油圧ブレーキ流体の車両ブレーキ28a、28b、28c、28dへ向かう流れが規制される。さらに、電力遮断位置にある間、ブースト弁188がポートされて、車両ブレーキ28a、28b、28c、28dを作動させるための流体回路内の加圧された油圧ブレーキ流体が解放される。電力遮断時に、ブースト弁188が第1のブレーキ流体回路190を流体回路252へポートすることで、流体回路190内の加圧された油圧ブレーキ流体が解放される。
【0059】
ブースト弁188が電力遮断位置にポートされたことに反応して、マスタシリンダ22の第2の中間室150および第3の中間室154内の圧力が解放される。第2の中間室150と第3の中間室154内の圧力が解放されたことに反応して、第1の2次ピストンバネ134と第2の2次ピストンバネ146が、第1の2次ピストン126と第2の2次ピストン127に対して力を発する。第1の2次ピストン126と第2の2次ピストン127は、それぞれの2次ピストンバネ134、146の復元力に反応して変位され、その結果、第2の中間室150と第3の中間室154内の油圧ブレーキ流体がそれぞれのチャンバから強制排出される。第2の中間室150と第3の中間室154内の油圧ブレーキ流体は、流体回路68および流体回路82へそれぞれ送られる。流体回路68、82内の油圧ブレーキ流体は、ダンプ弁210、214のそれぞれを通って、容器24と流体連通している流体回路178へとポートされる。
【0060】
運転者がブレーキペダル92を解除する最中に、流体回路190、252からの油圧ブレーキ流体の流れがペダルシミュレータ第2の室224内へ流入する。ペダルシミュレータ第2の室224へ入る油圧流体の流れと協同して、ペダルシミュレータバネ222がペダルシミュレータピストン220に対して対抗圧力を発し、次にこれがペダルシミュレータ第1の室218上に作用する。ペダルシミュレータ第1の室218内の油圧ブレーキ流体が、流体回路42を介して、マスタシリンダ22の1次室108へ強制的に送られる。ブレーキペダル92に力が発せられない場合には、1次ピストンバネ118が、1次室108内のブレーキ流体の戻りと協働して1次ピストン94をブレーキ不適用位置へ戻す。
【0061】
ブレーキ解除動作中に、ペダルシミュレータ第2の室224に入る高いブレーキ流体流量が存在することで、ペダルシミュレータピストン220がブレーキ不適用位置へ戻され、これにより、ペダルシミュレータ第1の室218からブレーキ流体が排出されて空になる。ペダルシミュレータ第1の室218が空になり、ピストンが一番底のペダルシミュレータ216の内壁に到達すると、ペダルシミュレータ第2の室224内に流入中である高いブレーキ流体流量がリップ密封部を通過して、ペダルシミュレータ第1の室218内へ、さらには回路42へ流れて、1次室108へ戻れるようになる。リップ密封部を通過した高い流量のブレーキ流体によりリップ密封部が弾かれて変形すると、永久的な損傷を負うことになる。この状況の発生を防止するために、ペダルシミュレータから排出され(さらにリップ密封部を越えて)回路42へ流れる流量を、戻りチェック流路によって規制する。
【0062】
図4は、ペダルシミュレータ216を含むブレーキモジュール26の構成部品の断面図を示す。先述したように、ペダルシミュレータ第2の室224内に流入するブレーキ流体が、ピストンが最も降下して内壁254に達するまで、ペダルシミュレータピストン220に対して力を発する。典型的には、ペダルシミュレータ第1の室218からのブレーキ流体が流体回路42から強制排出されると、ブレーキ流体がポート258、ポート256を通って流出できるようになる。ポート256はポート258よりも直径が大きな入口を設けており、この入口によって、ブレーキ流体がペダルシミュレータ第1の室218から高い流量で排出できるようになる。ペダルシミュレータピストン74が最も降下して内壁254に達すると、ペダルシミュレータピストン220の階段状の部分260がポート256と軸方向に整列する。階段状の部分260の直径はポート256の直径よりも若干小さく、ポート256内に入り、ポート256を通るブレーキ流体の流れを遮断する。ポート256が遮断された状態では、ブレーキ流体は、ポート258を介してしかペダルシミュレータ第1の室218から出ることができない。ポート258を通るブレーキ流体の流れが規制されることで、ペダルシミュレータ第1の室218から出て流体回路42へ流れる流量が減少する。その結果、リップ密封部262を通過し、流体回路258を介してペダルシミュレータ第1の室218から出て流体回路42へと流れる流体流量が低下する。この低い流量によって、リップ密封部262の変形が防止される。
【0063】
運転者の隔離に関連すれば、通常のブーストブレーキング動作中、ブレーキペダル92に力を発したり、ブレーキペダル92上の圧力を解放する場合に、ペダル圧力が運転者から隔離されることは絶対にない。ペダルシミュレータバネ222は減衰オリフィス226と協働して、1次室108内の油圧ブレーキ流体がブレーキペダル92によって加圧され、ペダルシミュレータ第1の室218に流入する際に復元力を維持する。ブレーキペダル92が解除されると、対応する車両ブレーキを作動するために使用される対応回路のそれぞれの内部で加圧された油圧ブレーキ流体がペダルシミュレータ第2の室224へ戻り、(ペダルシミュレータバネ222との協働によって)ブレーキペダル92の解除時にこれに対して復元力が付加される。その結果、それぞれの油圧式ブレーキ回路からブレーキペダル92に発せられたペダル圧力が、通常のブレーキング状況中に維持される。例えば、図1を参照すると、運転者がブレーキペダル92を現在のブレーキ位置から解除すると、ブレーキペダル92に結合した1次ピストン94が、1次チャンバ108内の圧力を解放し、次に、ペダルシミュレータ第1の室218内の圧力を解放するように変位する。ペダルシミュレータ第1の室218上の圧力の解放に反応して、ペダルシミュレータバネ222がシミュレータピストン220に対抗力を発することで、油圧ブレーキ流体を流体ペダルシミュレータ第1の室218から流体回路42を介して1次室108へ強制的に送る。チェック弁228が減衰オリフィス226と平行に結合しているため、油圧ブレーキ流体が、減衰オリフィス226で可能な速度よりも高速に1次室108へ流れるようになる。チェック弁228は、油圧ブレーキ流体がペダルシミュレータ216から1次室108への流れのみを許容する形でポートされる。ブレーキシステム20の利点は、ブースト動作中に電力が損失する際に、ブースト弁188によって付加された油圧ブレーキ流体が、バイパス弁88を通って容器24へ向けられるのとは対照的に、ペダルシミュレータ216を介して1次室108へ戻るため、ペダルの落下が防止されることである。
【0064】
先述したように、フラックススイッチングブラシレスモータ182を使用してポンプ180を駆動することが好ましい。従来の電気油圧式ブレーキングシステムでは、典型的にそれぞれの流体回路内の圧力を決定するために、ポンプの下流に典型的には1または複数の圧力センサが設けられている。感知された圧力は制御モジュールによって監視され、ポンプの動作を制御するためのフィードバックをモータに提供することで、それぞれの回路内に油圧ブレーキ流体の圧力が維持される。しかし、フラックススイッチングブラシレスモータ182を統合することで、ブレーキモジュール26から圧力センサが排除される。モータ182はその出力トルクを、電流対トルクの相関に基づいて自己監視し、電流対圧力相関に基づく制御モジュールによって指示されたとおりに流体回路186内の対応圧力を維持する。制御モジュールは、車両中に配置されている他のセンサと協働して、運転者が入力したブレーキング要求を決定するべく走行センサ96を監視する。これらのセンサは、システム要求を満たし、HPA184が十分充電された状態に維持するために必要なポンプの流れを決定するために、制御モジュールに信号入力を供給する。制御モジュールが受信した別のセンサ入力には、各車両の車輪の車輪速度、車両減速、ステアリング角度、車両のヨーイング率、車両速度、車両横揺れ率、さらに、レーダ、赤外線、超音波、または類似の衝突回避システムからの信号、クルーズ制御システム(AICC 自律走行制御システムを含む)、同等物が含まれる。
【0065】
電気ブレーキが故障した場合には、ブレーキシステム20で手動ブレーキングを行う。電気故障中、モータ182が動作を中止することで、ポンプ180からの加圧された油圧ブレーキ流体の製造に障害が生じる。さらに、付勢された場合には、ブースト弁188が電力遮断位置に戻る。手動でのブレーキングを提供するために、運転者はブレーキペダル92に対して大きな力を発する。1次チャンバ108内の油圧ブレーキ流体が加圧され、流体回路42を通って案内される。ブレーキ流体がN/Oベースブレーキ弁230を通り、適用弁200、204を通ることで、後部車両ブレーキ28a、28bを作動させるためにブレーキング流体が付加される。運転者がN/Oベースブレーキ弁230を介して手動で加圧したブレーキ流体が、適用弁208、212を通過して、第1のおよび第2の中間室150、154へ到達する。前部車両ブレーキ28c、28dを作動させるべく、第1の2次室150と第2の2次室154でブレーキング流体を加圧するために、それぞれの中間室内に発せられた圧力が、第1の2次ピストン126と第2の2次ピストン127に対して力を発する。
【0066】
ブースト補助動作を動作不能にしてしまう流体回路(例えば第1のブレーキ流体回路190)内の漏出といった油圧上の障害が発生した場合には、手動踏み込み動作を使用して、前部車両ブレーキ28c、28dをかける。ブレーキモジュール26のブースト補助回路(例えば第1のブレーキ流体回路190)内で油圧ブレーキ流体の著しい漏出が生じると、通常のブースト状況中に油圧ブレーキ流体が不適切に加圧されてしまう可能性がある。こうした場合には、後部車両ブレーキ28a、28bは動作不能となる。こうした条件下で車両を停止するための確実にバックアップが保証された状況を提供するためには、車両の運転者が、マスタシリンダ22の各ピストンを手動で踏み込み、前部車両ブレーキ28a、28bを作動させる。
【0067】
前部車両ブレーキ28c、28dは別の回路78、90上でそれぞれ動作するため、前部車両ブレーキのうちの1つが動作不能となった場合には、他方が動作を継続する。従来のブレーキシステムでは、ブレーキペダルに発せられたそれぞれの力は、車両ブレーキに発せられた圧力がブレーキペダルに発せられた力と比例する。従来型のシステムでは、ブレーキ回路が動作不能になると、損失した回路を補うべく車両ブレーキ上に増分量の圧力を生成するために、ブレーキペダルに発せられた力の増分量が必要になる。本発明では、ブレーキ回路のうち1つが損失すると、同じブレーキ力(即ち、4つの車両ブレーキをかけるために使用されるブレーキ力)が、動作可能なブレーキ上により高い圧力を生成する。例えば、第1のブレーキ流体回路190に漏出が発生し、後部ブレーキ28a、28bに損失が生じた場合、車両ブレーキ28a〜dをかけるために使用されるブレーキペダルに発せられた同じブレーキ力が、車両ブレーキ28c、28d上により高い圧力を生成する。その結果、マスタシリンダ22がブレーキ回路の損失を補償するため、ブレーキペダルに発せられた同じブレーキ力が、動作可能な前部ブレーキ上により高い圧力を生成できるようになる。これに加え、過去のブレーキシステムでは、バイパス弁をN/Oベースブレーキ弁230と平行に組み込み、N/Oベースブレーキ弁230が機能しない場合に手動ブレーキングを行えるようにしていたが、しかし、こうした開放弁の排除によって、車両の運転者は、4つの車輪の踏み込みに関連して、マスタシリンダ22内において所与のペダル力でより高い圧力を生成することができる。バイパスが排除されたため、運転者によってマスタシリンダ22内で生成されたより高い圧力は軽減されない。むしろ、運転者は、このような解放弁がない状態で、マスタシリンダ22内でより高い圧力を生成でき、このような圧力を、車両により高い手動ブレーキング圧力を適用するために使用できる。
【0068】
油圧式ブレーキシステム内に漏出があるかどうかの検出は、典型的に、容器24内のブレーキ流体のレベルによって決定される。容器24に適合された流体レベルスイッチ264を利用して、低レベルのブレーキ流体状況が存在するかどうかを決定できる。流体レベルスイッチ264がブレーキ流体が低いと示した場合には、ブレーキスステムをチェックする必要がある旨の警告が車両の操作者に対して発せられる。しかし、操作者は、それぞれのブレーキ作動で通常のブレーキペダルフィードバックを感知した場合には、現在の状況の重大性に気付かずに、この警告インジケータを無視する可能性がある。
【0069】
従来のブレーキングシステムでは、ブレーキペダルに印加された直接圧力が、マスタシリンダ内の1または複数のピストンに対して力を発し、この力が、油圧ブレーキ流体をブレーキ回路を通り複数の車両ブレーキへ強制的に送る。従来型のブレーキングシステムでは、ブレーキング回路内の油圧ブレーキ流体の抵抗力が、直接ペダルフィードバックを提供する。従来型のブレーキングシステム内で、警告灯を必要とするサービスに加え、漏出が存在する状況において、操作者は、ブレーキペダルからの非典型的なフィードバック抵抗(例えばスポンジのようなブレーキ)を感じることがあり、これによりブレーキングシステムに修理が必要であると気付くようになる。しかし、本発明のブレーキングシステムでは、ペダルシミュレータはブレーキペダルから従来型のブレーキングシステムと同じ抵抗フィードバックを付加するのではない。本発明のブレーキペダル92に付加される復元力は、マスタシリンダ22内の1次ピストン94が油圧ブレーキ流体をシミュレータピストン220に対して加圧し、次にこれが力を発してシミュレータバネ222を圧縮した結果生じたものである。従来型のブレーキングシステムの直接圧力フィードバックと比較して、ペダルシミュレータ216によって付加された圧力フィードバックは、 別の圧力センサと協働して走行センサ96が感知したそれぞれのペダル変位に予測される圧力に基づく。その結果、ペダルシミュレータ216は、従来型のブレーキングシステムのものと同じ抵抗ブレーキング力フィードバックを提供しない。運転者は警告灯を確認しても、ブレーキペダル92の抵抗力を普通に感じた場合には、緊急な修理は必要ないと考えるかもしれない。
【0070】
緊急な注意を要するブレーキ障害が発生したと決定する上で操作者を上手く補助するために、2次警告(例えば緊急サービスブレーキングシステム)を操作者に提供することが好ましい。漏出を検出するためにブレーキングシステムにセンサを追加することができるが、センサの追加には経費がかかり、本発明の実現には相応しくないかもしれない。例えば、前部車両ブレーキの両方の流体回路の間に圧力差スイッチを配置することができる。2つのブレーキ回路の間の大きな圧力差は、ブレーキ回路の1つにおいて漏出が生じていることを示している。しかし、圧力差スイッチは各比例弁(または隔離弁)と各車両ブレーキの間に配置する必要があるため、圧力差スイッチは、ブレーキングシステムがアンチロックブレーキングを適用する際に生成された急速な圧力差に晒される。このような圧力差によって間違った警告が発せられる可能性がある。
【0071】
システム内に油圧ブレーキ流体の漏出が存在するかどうかを、システムにセンサを追加することなく決定するには、ブレーキング状況中、ブレーキングシステムに提供された所定量の流量に基づいて決定を行うことができる。好ましい実施形態では(図1に示す)、モータ182は、ポンプ180を駆動するために使用されるフラックススイッチングブラシレスモータである。モータ182はその速度を自己監視する。モータ180の動作速度に基づき、ポンプ180により出力される油圧ブレーキ流体の流量に関する決定が行われる。ブレーキング回路178によって使用されるモータ182の速度と油圧ブレーキ流体の量(例えば、容器24によって排出されたブレーキ流体の量)により決定された、ポンプ180による油圧ブレーキ流体出力の流量に基づいて相関が行われる。それぞれのブレーキング条件(例えば、走行センサ96が検出した高圧ブレーキングまたは低圧ブレーキング)を仮定した場合に所定閾値よりも高い比率は、ブレーキングシステム内に漏出が存在するかどうかを決定する。あるいは、従来型のモータ(例えば、ブラシ付きモータ)を利用することができる。ポンプ180によって出力される油圧ブレーキ流体の流量は、従来型モータ182の電流引き込みによって決定される。さらに別の好ましい実施形態では(図示せず)、ブースト弁188へ流れる油圧式流体の流量は、高圧アキュムレータ184が再充填される頻度によって決定できる。
【0072】
車両ブレーキングシステム20の各流体回路内で著しい漏出が生じると、1次ピストン94が油圧ブレーキ流体を圧縮しようとする際に、マスタシリンダ22の1次室108内の油圧ブレーキ流体圧力が損失する結果を招く。油圧ブースト機能と手動ブレーキング機能の両方とも、この著しい漏出によりブレーキングシステムの加圧に失敗するだろう。前部車両ブレーキ28c、28dをかけるべく手動での踏み込みを適用するために、運転者はブレーキペダル92をより長い距離だけ踏み込む。このより長い距離によって、1次ピストン94が、通常のブースト動作中に使用される範囲を超えて変位する。1次ピストン94の接合面116は第1の2次ピストン126の端部120、第2の2次ピストン127の端部136と接触し、変位する。第1の2次ピストン126、第2の2次ピストン127が変位すると、第1の2次室158および第2の2次室162内のブレーキ流体が加圧されることにより、前部車両ブレーキ28c、28dを作動させる力が発せられる。
【0073】
2次室の一方に漏出が発生し、その結果それぞれの2次室内の油圧式流体が損失した場合には、両方の前部車両ブレーキ28c、28dは独立的に作動可能であることから、これらの一方がブレーキングに使用される。後部車両ブレーキ28a、28b、さらに、前部車両ブレーキ28cまたは28dのそれぞれについては、油圧ブレーキ流体回路の無欠性を維持する手動ブレーキングが可能である。
【0074】
回生ブレーキングシステム、アンチロックブレーキングシステム(ABS)、トラクションコントロール、協調車両安定性制御、ヒルホールド、自動衝突回避、または自動激突制御のようなブレーキシステム20によって、様々な2次ブレーキング方法を実行、あるいは協働的に実行することができる。そのため、運転中の車両のブレーキペダル92が押下されていない時でも、上記目的のために車両ブレーキ28a、28b、28c、28dのうち1または複数を作動させることが望ましい。同様に、操作者がブレーキペダル92を押下している場合でも、アンチロックブレーキングの目的で、車両ブレーキ28a、28b、28c、28dのうち1または複数のブレーキ力を独立して、または複数一緒に、一時的に減少させることが望ましい。
【0075】
図1はさらに、車両の後部軸29と前部軸31に対して異なる圧力を印加するための、独立した前部および後部軸ブレーキ制御条件を備えた車両を図示している。これは、一方の軸に印加された圧力を他方の軸に関連して降下させることで達成できる。それぞれの車両軸の圧力を降下させるには、各軸上の両方の車両ブレーキに、ブレーキング力を実質的に同じ圧力で付加する必要がある。各車輪どうしの間の外部要因、例えばブレーキの硬さやパッド摩擦が一貫していると仮定すると、各軸のブレーキの組に実質的に均一なブレーキング力を付加するためには、同じ流量の加圧されたブレーキ液を各ブレーキに付加することが必要である。
【0076】
典型的に、回生ブレーキングは、軸に電磁抵抗力を発しながら、圧力を同時に降下させることによりエネルギーを回復するために、車両の各軸のうちの1つに付加される。ブレーキング期間中、最大エネルギーを回復するために各軸に回生ブレーキングが付加されるとブレーキブレンディングが発生するため、各軸に付加されている回生ブレーキングによって車両の各軸間にトルクの不均等性が作成されることがない。車両の各領域内に過剰な車輪トルクが存在すると、車輪が滑り易くなる。その結果、回復エネルギーとバランスの取れたブレーキングとの間でバランスが維持されるようになる。アンチロックブレーキングのような各滑り制御が付加される条件下では、ブレーキバランスはより複雑になる。このような条件下で、各ブレーキに圧力を供給し、これに維持し、または各ブレーキから圧力を解除するために、非回生ブレーキング軸の各車両ブレーキが各適用弁と各ダンプ弁によって制御される。各弁は2つの位置弁(即ち、十分に開放または十分に閉鎖している)である。アンチロックブレーキング中における各弁からのパルス発生によって、各車両ブレーキ回路内に異なる流量が生成されることで、各軸の各車輪に付加されるブレーキング力は不均衡となる。
【0077】
後部軸29の1組の車両ブレーキ内にバランスの良い流量の加圧されたブレーキ流体を付加するためには、適用弁200、204は比例弁であることが好ましい。これに加え、比例弁266は、ダンプ弁202、206と流体回路178の間の流体回路268に接続している。比例弁266は、流体回路268と流体回路178のジョイント結合より以前に配置される。
【0078】
バランスのよいブレーキ流体の流量を、後部軸上の対応するブレーキ24a、24bの組に付加するために、比例弁200、204を、車両ブレーキ28a、28bのそれぞれに提供する、加圧されたブレーキ流体の量を可変的に制御するように調整する。バランスの良い比例圧力制御の最中、ダンプ弁202、206は継続的に開放状態に維持される。開放流量が低い差分圧力を予測して、そのコイルを開放油圧位置に維持しながら、コイルの加熱を低減する際に、各ダンプ弁202、206がパルス幅変調される。ダンプ弁202、206は、閉鎖位置においてブレーキ圧力を維持することで、ブースト弁188からの加圧されたブレーキ流体を車両ブレーキ28a、28bに付加できるようになる。ダンプ弁202、206は、開放位置において、ブレーキ流体を各車両ブレーキ28aまたは28bから開放することができる。アンチロックブレーキング(または他の滑り制御)の期間中には、各車両ブレーキ28a、28b内の不均衡な圧力は望ましい場合が多い。後部軸上でブレーキ圧力のバランスを取るために、流体回路268内のダンプ弁202、206の下流に比例弁266を設ける。比例弁266は、流体回路268と流体回路178のジョイント結合よりも以前に配置されるため、回路178と流体連通している、ダンプ弁210、214からの流量は影響を受けないまま維持される。
【0079】
非例弁266は、ダンプ弁202、206から出る加圧されたブレーキ流体の流量と容量を制御する。比例弁266は、弁を急激に開閉するのとは対照的に、加圧されたブレーキ流体の流量を段階的に変更できるよう可変的に調整される。さらに、車両ブレーキ28a、28bから出る加圧されたブレーキ流体の流量が、ダンプ弁202、206により、高いブレーキング圧力において制御されるため、比例弁266は比較的小型サイズのものであってよい。これは、比例弁266が、ダンプ弁202、206両方の下流にあたる流れを規制しないよう十分な開放範囲を設けて寸法されていても、主に低いブレーキ圧力にて機能するためである。
【0080】
あるいは、ダンプ弁202、206は、比例弁266を組み込むことなく、車両ブレーキ28d、28cから離れる加圧されたブレーキ流体の流量を可変的に制御する比例弁を設けていてよいが、これにより追加の経費がかさむ。これは、ノーマルクローズ比例弁設計が別個に必要であり、別個の圧力バランス電磁弁、または余分の圧力トランスデューサを追加する必要があるためである。
【0081】
車両ブレーキを離れる加圧されたブレーキ流体の流量を様々に制御するために比例弁266を利用することに加えて、第1のブレーキ流体回路190と流体回路178の間でコンプライアンスアキュムレータ270がポートされる。機器アキュムレータ270は、第1のブレーキ流体回路190と流体回路178の間で、加圧されたブレーキ流体の混合を防止するバネ装填された2つの室装置である。ABSブレーキング作動中、適用弁200、204、200、212の作動および停止のために、第1のブレーキ流体回路190内のブレーキ流体の圧力が絶えず変化する。適用弁200、204、200、212をコンスタントに作動させることにより、第1のブレーキ流体回路190内に圧力変動が生成される。コンプライアンスアキュムレータ270は、こうした圧力変動を軽減させる減衰装置として機能する。コンプライアンスアキュムレータ270はまた、第1のブレーキ流体回路190内のブレーキ流体圧力がコンプライアンスアキュムレータ270のバネ力よりも上である場合に、コンプライアンスアキュムレータ270の室内に加圧されたブレーキ流体を蓄積し、コンプライアンスアキュムレータ270内のブレーキ流体圧力が第1のブレーキ流体回路190内のブレーキ流体圧力よりも大きい場合に、第1のブレーキ流体回路190へ加圧されたブレーキ流体を放出する。このため、コンプライアンスアキュムレータ270は、ブースト弁188を介して油圧ブレーキ流体の流量と圧力をコンスタントに変更することなく、第1のブレーキ流体回路190内の増分圧力の変化を規制することができる。
【0082】
図1は更に、マスタシリンダ22内に捕獲されたガスを除去するためのブレーキシステムを図示する。典型的に、マスタシリンダのチャンバは、容器への通液口はマスタシリンダ室に提供されているため、捕獲されたガスを除去するべく容器を通液するためのハイドロメカニカル弁または電磁弁を必要としない。典型的に、車両内に搭載されたマスタシリンダは、ブレーキモジュールよりも高い位置に位置決めされているため、捕獲されたガスがマスタシリンダからブレーキモジュールへと自然に流れてしまうことがない。しかし、マスタシリンダとブレーキモジュールが相互に近接して搭載されている場合には、ガスはブレーキモジュールへと流れ、その後、別個の戻り経路を介してマスタシリンダ容器へと戻ることができる。ブレーキモジュールとマスタシリンダが互いに遠く離れて搭載されているブレーキシステムの場合には、捕獲されたガスをブレーキモジュールを介してマスタシリンダから容器へ排出することがより困難となる。
【0083】
この実施形態では、ブレーキモジュール26がマスタシリンダ22から遠く離れて搭載されている場合に、捕獲されたガスを除去するために、ブリード弁272が、流体回路274を介した第2の中間室150と流体回路276を介した第3の中間室154の間で流体接続している。ブリード弁272はまた第1の中間室115にも流体接続している。ブリード弁272は、ブリード弁ピストン284の円周周囲に配置された第1のブリード弁密封部277を設けている。第1のブリード弁室278は、第1の中間室115と流体連通している。第1のブリード弁室278は、ブリード弁272の弁本体281、ブリード弁ピストン284、第1の密封部277の間に形成されている。
【0084】
ブリード弁ピストン284の円周周囲には第2のブリード弁密封部283が配置されている。第2のブリード弁室288は、第2の中間室150と流体連通している。第2のブリード弁室288は、弁本体281、ブリード弁ピストン278、第1の密封弁密封部277、第2のブリード弁密封部283の間に形成されている。
【0085】
ブリード弁ピストン284の円周周囲には第3のブリード弁密封部285が配置されている。第3のブリード弁室286が第3の中間室154と流体連通しており、この第3のブリード弁室286は弁本体281、ブリード弁ピストン284、第2のブリード弁密封部283、第3のブリード弁密封部285の間に配置されている。第2のブリード弁密封部283は、第3のブリード弁室286から第2のブリード弁室288までのブレーキ流体の一方向への流れを提供する。
【0086】
第4のブリード弁室290は第3の中間室154と流体連通している。第4のブリード弁室290は弁本体281、ブリード弁ピストン284、第3のブリード弁密封部285の間に形成されている。
【0087】
車両が非ブレーキング状況にある場合、ブレーキモジュール26の流体回路が、他の任意の2次ブレーキングモジュールと同様に、流体の流れが殆どまたは全くなく、低圧に維持される(ポンプ180と、HPA184と、HPA184内の高圧を維持するブースト弁188との間の流体回路186を除く)。非ブレーキング状況中に、ブレーキペダル92は休止位置にあり、1次ピストン94、さらにマスタシリンダ22の第1のピストン、2次ピストン127にブレーキング力は発せられない。その結果、マスタシリンダ22内の各室内における加圧されたブレーキ流体が未加圧のままとなる。第1の中間室115内の油圧ブレーキ流体は、未加圧状態において、流体回路280を介してブリード弁272の第1のブリード弁室278の油圧ブレーキ流体と平衡する。この平衡状態において、ブリード弁272内のバネ282が予負荷状態に維持される(即ち、ブリード弁内に挿入されると予負荷される)。ばね282は予負荷状態において、ブリード弁ピストン284をブリード弁272の対向端部へと往復させるための、弁本体285内に配置されたブリード弁ピストン284上への力を維持する。ブリード弁ピストン284が対向端部へと往復されると、ブリード弁ピストン284がブリード弁272を開放位置にポートする。非ブレーキング状況中に、ブースト弁188が油圧ブースト圧力を印加しないため、ブリード弁ピストン284の対向する側部から、ブリード弁ピストン284とバネ282に対して抵抗力は発せられない。
【0088】
マスタシリンダ22内に捕獲されたガスを除去するために、ブースト弁188が可変的に開放され、非常に低い流量の加圧された油圧ブレーキ流体がマスタシリンダ22の第3の中間室154へ流れるようになる。ブリードモードにある間に、N/Oベースブレーキ弁230が付勢されて閉鎖し、低流量の加圧された油圧ブレーキ流体がマスタシリンダ22の第3の中間室154のみに流れるようになる。油圧ブレーキ流体がHPA184内で高度に加圧されているにもかかわらず、ブースト弁188が部分的に開放して、低流量の加圧された油圧ブレーキ流体のみが、ブースト弁188を通り、流体回路190、82を介して第3の中間室154へ流れるようになる。低流量により、流体回路190、82内の油圧ブレーキ流体の圧力が低くなる(例えば1Bar)。
【0089】
低加圧された油圧ブレーキ流体の流れが、流体回路82を介してマスタシリンダ22の第3の中間室154に入り、次に、流体管276を介して第3の中間室154から排出される。ブリード弁272が開放位置にポートされた状態で、低加圧されたブレーキ流体が、流体回路276を介して第3のブリード弁室286に入る。ブリード弁272内のリップ密封部が、第3のブリード弁室286から第2のブリード弁室288までの、ブリード弁272の油圧ブレーキ流体の方向流を制御する。油圧ブレーキ流体はブリード弁272を介して第2のブリード弁室288から出て、流体回路274を通って流れ、マスタシリンダ22の第2の中間室154へ到達する。油圧式流体の流れが第2の中間室154を出て、流体回路94、86を通り、容器24へ到達する。適用弁208が閉鎖位置にポートされ、ダンプ弁210が開放位置にポートされることにより、油圧ブレーキ流体の流れが容器24に到達できるようになる。低加圧された油圧ブレーキ流体の流れが第2の中間室150と第3の中間室62に入り、ここから出ると、捕獲されたガスが第2の中間室150、第3の中間室62から強制排出され、ブレーキモジュール26を介して容器24へ移送され、ここで、捕獲されたガスが容器24へ排出される。
【0090】
この捕獲されたガスのマスタシリンダ22からの排出は、制御モジュール(図示せず)にブースト弁188を周期的に開放させて、各流体回路190、68、82内に低圧流体流量を製造することにより(即ち、非ブレーキング条件下にて)、周期的な基準で開始される。油圧ブーストブレーキングが必要な場合には常に、ブースト弁188が、マススタシリンダ22への加圧された油圧式流体の流量を増加させることで、電気油圧的に補助されたブレーキングを提供する。ブースト弁188から発せられた上昇した圧力が、加圧された油圧ブレーキ流体を流体回路276を介して第4のブリード弁室290へ提供することで、ピストン284が閉鎖にポートされた位置との間で往復し、これにより、ブリード弁272を通る加圧されたブレーキ流体の流れが阻止される。ブリード弁272は、ブリード弁272内の油圧ブレーキ流体の両方向への流れを阻止するリップ密封部291、293を設けている。むしろ、オープンにポートされた場合に、油圧式ブレーキング流体の流れは1方向にのみ(即ち、第3のブリード弁室286から第2のブリード弁室288へ)流れることができる。第2のブリード弁室288から、リップ密封部291、293を超えて第3のブリード弁286までの流れが遮断される。
【0091】
図5は、多機能弁246の断面図を図示している。図1中の油圧式概略図にて述べた弁の大部分は別個かつ明確に示されているが、多機能弁246は複数の弁の複数の機能を統合および実行する。多機能弁246は、電気障害が生じた場合に、HPA184内に保存されている過剰に加圧されたブレーキ流体を解放するため、HPA184内の圧力を手動で解放するべくブリード弁242を開放するため、さらに、システム充填または修理の最中に空気を除去するために、バネ装填チェック弁240(即ち緊急解除弁)を設けている。バネ装填チェック弁が、多機能弁246内の符号182で示されている。ボール292が保持器内に据え付けられており、バネ294によって付勢される。ボール292に発せられたブレーキ流体圧力が、バネ294によって付加された力よりも大きい場合には、ボール292が取り除かれて、ブレーキ流体が室296を通り流体回路178へ流れるようになる。
【0092】
HPA184から圧力を手動解除するために、多機能弁246のブリード弁242は、開放位置にある場合に多機能弁246の内壁部分300と共に流路を作成する接合部分298を設けている。多機能弁246は、ねじ切りされた内部弁本体302を設けている。弁ハウジング306の合致壁部分304も、内部弁本体302と係合するためにねじ切りされている。ソケット部分308を設けているために、内部弁本体302が右方向または左方向に回転することができる。内部弁本体302が各方向へ回転されると、接合部分298が内部壁部分300から離れて流路が開放する。HPA184のブリーディング、またはブレーキ回路の排液を行うために、ブレーキ流体がこの流路を流れるようになる。これに加え、ブレーキ流体をブレーキモジュール26に追加し、捕獲された空気をブリーディングするために、ブレーキ流体をブレーキシステム20に追加することができる。 内部弁本体302が反対方向へ回転すると、接合面187が内壁部分300と密封接触することで、流路が閉鎖される。
【0093】
図6は、ブレーキングシステムに動的油圧ブーストを付加するための、本発明による車両ブレーキシステムの第2の実施形態であり、この車両ブレーキングシステムの全体を符号310で表している。同じ要素には図1に示した参照符号と同じ参照符号を利用しており、車両ブレーキングシステム310はマスタシリンダ312を設けている。マスタシリンダ312は、図1では使用されている、捕獲された空気をマスタシリンダ312からブリーディングするためのブリード弁272を必要としない。むしろ、以下で説明するように、マスタシリンダ312は、第2の中間室150および第3の中間室154から空気をブリーディングするようにポートされる。
【0094】
図7は、マスタシリンダ312の拡大断面図を示す。このマスタシリンダ312は、図1に示したマスタシリンダ22と類似しており、さらに、第9密封部314と第1の0密封部316が追加されている。第9密封部314とリップ密封部112の間には第1のブリード室318が形成されている。第1のブリード室318は、第1の2次ピストン126の第1の円筒形部分128の一部の周囲に配置された環状室である。第1の0密封部316とリップ密封部114の間には、第2のブリード室320が形成されている。第2のブリード室320は、第2の2次ピストン127の第1の円筒形部分144の一部の周囲に配置された環状室である。
【0095】
第1の流路322は、第1の2次ピストン126の表面に形成された円周のへこみである。リップ密封部112は第1の流路322と軸方向に整列すると、ブレーキ流体が、第2の中間室150と第1のブリード室318の間の、リップ密封部112周囲に流れるようになる。同様に、2次流路326は、第2の2次ピストン127の表面に形成された円周のへこみである。リップ密封部114が第2の流路326と軸方向に整列する場合に、ブレーキ流体がリップ密封部114の周囲の、第3の中間室154と第2のブリード室320の間に流れるようになる。
【0096】
非ブレーキング状況中に、第1のブリード室318と第2のブリード室320の間にブレーキ流体を流すための流路330がマスタシリンダ312内に提供される。
【0097】
非ブレーキング状況中に、ブレーキモジュール26の流体回路、並びに他の2次ブレーキングモジュールの流体回路には流体の流れが殆どまたは全くなく、また、低圧に維持される(ポンプ180、HPA184、HPA184内を高圧に維持するためのブースト弁188の間の流体回路は除く)。ブレーキペダル92は休止位置にあり、マスタシリンダ312の1次ピストン94または2次ピストンにはブレーキ力は発せられない。マスタシリンダ312内の各室内におけるブレーキ流体は未加圧状態に維持される。マスタシリンダ312が休止状態、および非ブレーキング位置にある場合、第1の流路通路322がリップ密封部112の上に重なって軸方向に整列するため、ブレーキ流体がリップ密封部112の周囲の、第2の中間室150および第1のブリード室318へ流れるようになる。同様に、第2の流路326がリップ密封部114の上に重なって軸方向に整列するため、リップ密封部114の周囲の、第3の中間室154と第2のブリード室320の間でブレーキ流体が流れるようになる。さらに、第1のブリード室318と流体連通している第1の入口332は、流路330とも流体連通している。同様に、2次ブリード室320と流体連通している2次入口334は、流路330とも流体連通している。その結果、第1のブリード室318(および第2の中間室150)内の油圧ブレーキ流体が第2のブリード室320(および第3の中間室154)の油圧ブレーキ流体と平衡する。
【0098】
図6、図7の両方を参照すると、マスタシリンダ312の第2の中間室150および第3の中間室154から捕獲された空気を排除するために、ブースト弁188が可変開放する。適用弁208が開放し、ダンプ弁210が閉鎖にポートされることで、非常に低流量の加圧された油圧ブレーキ流体がマスタシリンダ312の第2の中間室150に流れるようになる。ブリードモードにある状態で、N/Oベースブレーキ弁230が付勢されて閉鎖すると、低流量の油圧ブレーキ流体がマスタシリンダ312の第2の中間室150のみへ流れるようになる。油圧ブレーキ流体がHPA184内で高度に加圧されていることに関係なく、ブースト弁188の一部のみが開放することで、低流量の加圧された油圧ブレーキ流体のみがブースト弁188を通り、第1のブレーキ流体回路190および流体回路68を介して第2の中間室150へ流れるようになる。この低流量により、第1のブレーキ流体回路190および流体回路68内の油圧ブレーキ流体の圧力上昇が低くなる(例えば1Bar)。
【0099】
低圧の流体ブレーキ流体が、マスタシリンダ312の第2の中間室150から、リップ密封部112の周囲において、第1の流路322を通って第1のブリード室318へ流れる。次に、油圧ブレーキ流体が入口332を通って第1のブリード室318から出る。油圧ブレーキ流体は流路330を通り、入口334を介して第2のブリード室320内へ流れる。次に、油圧ブレーキ流体は第2の流路326を介してリップ密封部114の周囲に強制的に流され、第3の中間室154へ入る。次に、油圧ブレーキ流体と捕獲された空気が流体回路82を介して第3の中間室154から強制排出される。適用弁212は閉鎖し、ダンプ弁214が開放すると、油圧ブレーキ流体が流体回路178を介して容器24へ流れるようになる。低圧の油圧ブレーキ流体が第2の中間室150および第3の中間室154のそれぞれに流入し、さらに排出されると、捕獲されたガスがこれらの室から強制排出され、ブレーキモジュール26を介して容器24へ移送され、ここで、捕獲されたガスが容器24へ排除され、大気中に気化する。
【0100】
あるいは、適用弁208とダンプ弁214を閉鎖し、適用弁212とダンプ弁210を開放することにより、第3の中間室154内に捕獲された空気を第2の中間室150へ排除することができる。
【0101】
このマスタシリンダ312に捕獲されたガスの排除は、制御モジュール(図示せず)に、ブースト弁188を周期的に開放させて(即ち、非ブレーキング状況下にある)、各流体回路190、68、82内部に低圧の流体流量を製造することにより、周期的に開始できる。油圧ブーストブレーキングが常に必要である場合には、ブースト弁188が、マスタシリンダ312へ流れる加圧された油圧式流体の流量を増加させて、電気油圧的に補助されたブレーキングを提供する。前部車両ブレーキ28c、28dをかけるために、ブースト弁188から発せられた上昇した圧力が、加圧された油圧ブレーキ流体を中間室150、154に提供する。2次ピストン126、127が動作することで、流路322、326がリップ密封部112、114をそれぞれ超えて移動するため、流路225、226、リップ密封部112、114の軸方向への整列はもはや存在しない。そのため、油圧ブレーキ流体がリップ密封部112、114の周囲に、また、第1のブリード室318および第2のブリード室320へ流れることが防止される。その結果、滑り制御動作中に、マスタシリンダ312が機能的に車両にブレーキをかけ、2つの前部ブレーキ28c、28dにレベルの異なる圧力を印加できるようになる。
【0102】
図8は、全体を参照符号336で示した、ブレーキングシステムにおいて動的油圧ブーストを付加するための、本発明による車両ブレーキシステムの第3の実施形態を図示している。図1に示したものと同じ要素には同じ参照符号を利用しており、車両ブレーキングシステム336はマスタシリンダ338を設けている。マスタシリンダ338には、図1で使用されている、マスタシリンダ338に捕獲された空気をブリーディングするためのブリード弁272が必要ない。むしろ、流体回路68と82の間に手動ブリードネジ340が結合しており、油圧ブレーキ流体と、マスタシリンダ338の中間室150、154から捕獲された空気とをブリーディングする手動始動弁として使用される(しかし、適用弁とダンプ弁は、ブリーディング動作の箇所にて先述したように始動される必要がある)。
【0103】
図9は、マスタシリンダ内に捕獲されたガスを除去するための第4の好ましい実施形態を図示している。マスタシリンダ22は、図1、図2に示したものと同じである。ブレーキモジュール26がマスタシリンダ22から遠く離れた場所に搭載されている場合には、流体回路46内に規制オリフィス344を配置することで、捕獲されたガスの除去を行う。規制オリフィス344は、ポート44、52を通って容器24へ戻るブレーキ流体の流れを規制し、捕獲されたガスを除去するために流れを再びマスタシリンダ22に戻す。
【0104】
車両が非ブレーキング状況にある場合は、ブレーキモジュール26の流体回路、並びにその他任意の2次ブレーキングモジュールに流体の流れは殆どまたは全くなく、さらにこの流体の流れは低圧に維持される(ポンプ180、HPA184、HPA184内に高圧を維持するためのブースト弁188の間の流体回路244は除く)。非ブレーキング状況中に、ブレーキペダル92は休止位置にあり、1次ピストン94、並びにマスタシリンダ22の中間ピストンおよび2次ピストンにブレーキング力は発せられない。
【0105】
マスタシリンダ22内に捕獲されたガスを除去するために、ブースト弁188が可変開放し、非常に低流量の加圧された油圧ブレーキ流体がブースト弁188を通って第1のブレーキ流体回路190へ流れることができるようになる。流量が低いことにより、第1のブレーキ流体回路190内の油圧ブレーキ流体の低圧力が上昇(例えば1Bar)する。流体は、ノーマルオープンM/C隔離弁230を通って流体回路42へ流れる。流体回路42からのブレーキ流体は1次室108に入り、ベント回路238と出口ポート44を流れる。ブレーキ流体の一部は、規制オリフィス344によって容器24への戻りを規制される。規制オリフィス344による流体の流れの規制は、ブレーキ流体の一部をポート52を強制的に通し第1の中間室115内へ流れさせる。ブレーキ流体はリップ密封部112、114を超え、第2の中間室150、第3の中間室154内へ流れる。次に、ブレーキ流体はポート66、80から強制的に排出されて、流体回路68、82へ流れる。隔離弁208、212が閉鎖にポートされ、ダンプ弁210、214が開放にポートされることで、油圧ブレーキ流体が容器24に流れるようになる。低加圧された油圧ブレーキ流体の流れが第2の中間室150、第3の中間室154に入ると、捕獲されたガスが、第2の中間室150、第3の中間室154、1次室108、第1の中間室115を含む室から強制排出される。捕獲されたガスは流体回路178を通って容器24へ送られ、次に、容器24内に捕獲されたガスが除去される。
【0106】
このマスタシリンダ22に捕獲されたガスの除去は、制御モジュール(図示せず)にブースト弁188を周期的に開放させて(即ち、非ブレーキング状況)、流体回路190、68、82のそれぞれの内部に低圧の流体流量を製造することによって周期的に実行される。油圧式ブーストブレーキングが必要である時には常に、ブースト弁188がマスタシリンダ22へ流れる加圧された油圧式流体の流量を増加させることにより、電気油圧的に補助されたブレーキングが提供される。N/Oベースブレーキ弁230が閉鎖したことで、流体回路42を介したマスタシリンダ22への流れがなくなる。
【0107】
図10は、本発明の第5の好ましい実施形態によるブレーキシステムを図示している。比例弁266は図1ではダンプ弁202、206の下流に配置さているが、図10では、ブースト弁188、適用弁346、適用弁348の間に配置されている。図1に示したように位置決めした比例弁を設けることに伴う問題は、比例弁が高速反応を伴ってデジタル的に、かつ精密性を持って可変的に動作する必要があることである。比例弁266を適用弁346、348の上流に配置することで、適用弁346、348が、比例弁とは対照的に、隔離弁(即ちデジタル弁)として動作する。さらに、適用弁346、348の上流に配置された比例弁266は比例的にのみ動作し、デジタル的には動作しない。これにより、ブレーキブレンディング機能を達成するために付勢されるべき弁の個数を減らすことで、 軸比例減少制御が単純化する。比例弁266のみが可変制御を必要とする(これは、図1の適用弁200、204とは対照的である)。
【0108】
図11は、本発明による第6の好ましい実施形態を図示している。図1に示した、後部軸非礼制御を行うためのブレーキング回路と同様に、単純な外部再配管を行うことによって、前部軸比例圧力減少制御にも同じ回路を使用することができる。後部ブレーク28a、28bは、弁208と210の間、弁212と214の間のポートにそれぞれ接続している。弁200と202の間、弁204と206の間のポートは、前部ブレーキ28c、28dにそれぞれ関連したマスタシリンダ室に接続している。
【0109】
図12は、本発明による第7の好ましい実施形態を図示している。全体を参照符号350で示したブレーキングシステムは、マスタシリンダ352を設けている。1次ピストンバネ354は、1次ピストン356周囲の1次室108内に配置されている。1次ピストン356は第1の円筒形部分358を設けており、この第1の円筒形部分358から第2の円筒形部分360までは1段降下している。第1の円筒形部分358と第2の円筒形部分360の間の段状面には、1次ピストンバネ354の一部を受容するための環状凹部362が形成されている。1次ピストンバネ354は、第2の円筒形部分360の外面周囲に配置されており、第2の円筒形部分360に沿って軸方向に延び、1次ハウジング部分32の反対側の壁面と接合する。1次ピストンバネ354を、1次ピストンの接合面と接合部材の接合面(図2に示す)の間の、第1の中間室内で梱包するのとは対照的に、2次円筒形部分360の周囲で梱包することにより、第1の中間室115の直径を小さくすることができる。これに加え、1次ピストンバネ354は1次室108内の使用されていない空間内に梱包される。その結果、マスタシリンダ350の長さが、図1に示したマスタシリンダの長さよりも短くなる。さらに、1次ピストン356の外面周囲で1次バネ354を梱包することで、マスタシリンダ350の内部副構成部品の組立品が単純化する。
【0110】
要するに、本発明は、ハウジングと、ハウジング内に配置された第1の2次ピストンとを設けたマスタシリンダを提供する。第1の2次ピストンはハウジングと協働して、ハウジング内部で第1の2次ピストンが移動すると容量が変化する第1の2次室を画定する。第2の2次ピストンはハウジング内に配置され、これと協働することで、ハウジング内で第2の2次ピストンが動作すると容量が変化する第2の2次室を画定する。ハウジング内には段付きの1次ピストンが配置されている。1次ピストンはハウジングと協働して、ハウジング内で1次ピストンが移動すると容量が変化する1次室を画定する。1次ピストンは、第1の2次ピストンおよび第2の2次ピストンを移動させるために、第1の2次ピストンおよび第2の2次ピストンと接合させられる接合面を画定している。1次ピストンバネは、始動された1次ピストン上に復元力を維持する。
【0111】
本発明のさらに別の態様では、加圧された油圧ブレーキ流体を複数の車両ブレーキに印加するためのブレーキングシステムが提供される。このブレーキシステムは、ブレーキ流体源と1次ブレーキ流体回路を設けている。ポンプによって、ブレーキ流体源から1次ブレーキ流体回路に油圧ブレーキ流体が提供される。ポンプは電気モータで駆動される。高圧アキュムレータが、1次回路からの加圧された油圧ブレーキ流体を貯留する。第1のブレーキ流体回路が提供される。ブースト弁が、1次ブレーキ流体回路から第1のブレーキ流体回路への加圧されたブレーキ流体の流れを制御する。第1のブレーキが第1のブレーキ流体回路からのブレーキ流体によって始動される。第2のブレーキが、第1のブレーキ流体回路からの加圧されたブレーキ流体を付加することで動作する。第2のブレーキ回路が提供される。第2の回路からの加圧されたブレーキ流体によって、第3のブレーキが始動される。第3の回路ブレーキ流体回路が提供される。第3の回路からの加圧されたブレーキ流体によって第4のブレーキが始動される。ブレーキペダルは、運転者からのブレーキング要求を受信し、入力し、このブレーキング要求を、第1のブレーキ回路、第2のブレーキ回路、第3のブレーキ回路と流体結合したマスタシリンダに提供する。
【0112】
本発明のさらに別の態様では、複数の車両ブレーキに対して、加圧された油圧ブレーキ流体を付加するためのブレーキングシステムが提供される。このブレーキシステムはブレーキ流体源と1次ブレーキ流体回路を設けている。ポンプが、ブレーキ流体源からの油圧ブレーキ流体を1次ブレーキ流体回路に提供する。ポンプは電気モータで駆動される。高圧アキュムレータが、1次回路からの、加圧された油圧ブレーキ流体を貯留する。第1のブレーキ流体回路が提供される。ブースト弁が、1次ブレーキ流体回路から第1のブレーキ流体回路への、加圧されたブレーキ流体の流れを制御する。第1のブレーキが、第1のブレーキ流体回路からのブレーキ流体によって始動される。第2のブレーキが、第2のブレーキ流体回路からの加圧されたブレーキ流体を付加することによって動作する。第2のブレーキ回路が提供される。第3のブレーキが第2の回路からの加圧されたブレーキ流体によって始動される。第3の回路ブレーキ流体回路が提供される。第4のブレーキが、第3の回路からの加圧されたブレーキ流体によって始動される。ブレーキペダルが、運転者から入力されたブレーキング要求を受信する。マスタシリンダはハウジングと、ハウジング内に配置された第1の2次ピストンとを設けている。第1の2次ピストンはハウジングと協働し、ハウジング内で第1の2次ピストンが移動すると容量が変化する第1の2次チャンバを画定する。第2の2次ピストンはハウジング内に配置されており、ハウジングと協働して、ハウジング内で第2の2次ピストンが移動すると容量が変化する第2の2次室を画定する。段付きの1次ピストンがハウジング内に配置されている。1次ピストンはハウジングと協働し、ハウジング内で1次ピストンが移動すると容量が変化する1次室を画定している。1次ピストンは、第1の2次ピストンと第2の2次ピストンを移動させるために、第1の2次ピストンおよび第2の2次ピストンと接合して駆動させることができる接合面を画定する。1次ピストンバネは、始動されると1次ピストン上で復元力を維持する。
【0113】
本発明のさらに別の態様では、複数の車両ブレーキに対して、加圧された油圧ブレーキ流体を付加するためのブレーキングシステムが提供される。このブレーキシステムはブレーキ流体源と1次ブレーキ流体回路を設けている。ポンプが、ブレーキ流体源からの油圧ブレーキ流体を1次ブレーキ流体回路に提供する。ポンプは電気モータで駆動される。高圧アキュムレータが、1次回路からの、加圧された油圧ブレーキ流体を貯留する。第1のブレーキ流体回路が提供される。ブースト弁が、1次ブレーキ流体回路から第1のブレーキ流体回路への、加圧されたブレーキ流体の流れを制御する。第1のブレーキが、第1のブレーキ流体回路からのブレーキ流体によって始動される。第2のブレーキが、第1のブレーキ流体回路からの加圧されたブレーキ流体を付加することによって動作する。第2のブレーキ回路が提供される。第2の回路からのブレーキ流体を加圧して第3のブレーキを始動する。第3の回路ブレーキ流体回路が提供される。第4のブレーキが、第3の回路からの加圧されたブレーキ流体によって始動される。ブレーキペダルが、運転者からのブレーキング要求を受信し、入力する。マスタシリンダは、ブレーキペダルから入力要求を受信する。マスタシリンダはハウジングを設けている。第1の2次ピストンはハウジング内に配置されている。第1の2次ピストンはハウジングと協働し、ハウジング内で第1の2次ピストンが移動すると容量が変化する第1の2次チャンバを画定する。第1の2次室は、第3のブレーキに作用する第2のブレーキ流体回路と流体連通している。第1の2次ピストンバネが第4のボア内に配置されており、第1の2次ピストン周囲の円周上に配置されていることで、第1の2次ピストンバネが始動されると、この上に復元力が維持される。第2の2次ピストンがハウジング内に配置されており、また、ハウジングと協働することで、ハウジング内で第2の2次ピストンが移動すると容量が変化する第2の2次室を画定している。第2の2次室は、第4の車両ブレーキ上に作用する第3のブレーキ流体回路と流体連通している。第2の2次ピストンバネは第6ボア内に配置され、また、第2の2次ピストン周囲の円周上に配置されており、第2の2次ピストンが始動されるとこの上に復元力を維持する。第1の2次ピストンと第2の2次ピストンのそれぞれは、第1のブレーキ流体回路からの加圧された流体を付加により独立的かつ有効に代用することができ、これにより、第3のブレーキアクチュエータを動作するべく第2のブレーキ流体回路内で、第4のブレーキアクチュエータを動作させるべく第3のブレーキ流体回路内でブレーキ流体を加圧することができる。段付きの1次ピストンがハウジング内に配置されている。1次ピストンがハウジングと協働して、ハウジング内で1次ピストンが移動すると容量が変化する1次室を画定している。1次ピストンは、第1の2次ピストンと第2の2次ピストンを移動させるために、第1の2次ピストンおよび第2の2次ピストンと接合させられる接合面を画定している。1次ピストンバネは、始動されると1次ピストン上に復元力を維持する。
【0114】
前述の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認でき、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および改造を加えて、これを様々な使用および状況に適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【図2】本発明の第1の好ましい実施形態によるマスタシリンダの拡大概略図である。
【図3】本発明の第1の好ましい実施形態によるマスタシリンダの断面図(平面図)である。
【図4】ブレーキモジュール油圧式制御ユニットの回路線図であり、本発明の第1の好ましい実施形態による構成部品の断面図を図示している。
【図5】本発明の第1の好ましい実施形態による多機能弁の断面図である。
【図6】本発明の第2の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【図7】本発明の第2の好ましい実施形態によるマスタシリンダの断面図である。
【図8】本発明の第3の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【図9】本発明の第4の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【図10】本発明の第5の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【図11】本発明の第6の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【図12】本発明の第7の好ましい実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【参照符号の説明】
【0116】
20・・・車両ブレーキシステム、22・・・マスタシリンダ、24・・・容器、26・・・ブレーキモジュール、28a・・・第1の車両ブレーキ、28b・・・第2の車両ブレーキ、28c・・・第3の車両ブレーキ、28d・・・第4の車両ブレーキ、29・・・後部軸、30・・・マスタシリンダハウジング、31・・・前部軸、32・・・1次ハウジング部分、34・・・第1の端部、36・・・端部開放第1の円筒形ボア、38・・・第2の円筒形ボア、40・・・第1のポート、42・・・流体回路、44・・・第2のポート、46・・流体回路、48・・・中間ハウジング部分、50・・・第3の円筒形ボア、52・・・第3のポート、54・・・第1の2次ハウジング部分、56・・・第2の2次ハウジング部分、58・・・第4の円筒形ボア、60・・・第5の円筒形ボア、62・・・第6円筒形ボア、64・・・第7円筒形ボア、66・・・第4のポート、68・・・流体回路、70・・・第5のポート、72・・・第6ポート、74・・・流体回路、76・・・第7ポート、78・・・第2のブレーキ流体回路、80・・・第8ポート、82・・・流体回路、84・・・第9ポート、85・・・第1の0ポート、86・・・流体回路、88・・・第1の1ポート、90・・・第3のブレーキ流体回路、92・・・ブレーキペダル、94・・・1次ピストン、95・・・入力ロッド、96・・・走行センサ、98・・・第1の円筒形部分、100・・・1次密封部、102・・・第1の密封部(seal)、104・・・第2の円筒形部分、106・・・第2の密封部、108・・・1次室、110・・・第3の円筒形部分、112・・・第3の密封部、114・・・第4の密封部、115・・・第1の中間室、116・・・接合面、118・・・1次ピストンバネ、120・・・接合面、122・・・接合部材、124・・・第1の端部、126・・・第1の2次ピストン、127・・・第2の2次ピストン、128・・・第1の円筒形部分、130・・・第2の円筒形部分、132・・・第3の円筒形部分、134・・・第1の2次ピストンバネ、136・・・第1の端部、140・・・第1の円筒形部分、142・・・第2の円筒形部分、144・・・第3の円筒形部分、146・・・第2の2次ピストンバネ、148・・・第5の密封部、150・・・第2の中間室、152・・・第6密封部、154・・・第3の中間室、156・・・第7密封部、158・・・第1の2次室、160・・・第8密封部、162・・・第2の2次室、178・・・1次回路、180・・・ポンプ、182・・・電気モータ、184・・・高圧アキュムレータ(HPA)、186・・・流体回路、188・・・電気油圧式パイロット操作式ブースト弁、190・・・第1のブレーキ流体回路、192・・・フィルタ、200・・・適用弁、202・・・ダンプ弁、204・・・適用弁、206・・・ダンプ弁、208・・・適用弁、210・・・ダンプ弁、212・・・適用弁、214・・・ダンプ弁、216・・・ペダルシミュレータ、218・・・第1の室、220・・・ペダルシミュレータピストン、222・・・ペダルシミュレータバネ、224・・・第2の室、226・・・減衰オリフィス、228・・・チェック弁、230・・・ノーマルオープン(N/O)ベースブレーキ弁、232・・・圧力センサ、234・・・ノーマルクローズ(N/C)ベースブレーキ弁、236・・・流体回路、238・・・ベント回路、239・・・ベント室、240・・・バネ装填チェック弁、242・・・ブリード弁、246・・・多機能弁、252・・・流体回路、254・・・内壁、256・・・ポート、258・・・ポート、260・・・段付き部分、262・・・リップ密封部、264・・・流体レベルスイッチ、266・・・比例弁、268・・・流体回路、270・・・コンプライアンスアキュムレータ、272・・・ブリード弁、274・・・流体回路、276・・・流体回路、277・・・第1のブリード弁密封部、278・・・第1のブリード弁室、280・・・流体回路、281・・・弁本体、282・・・バネ、283・・・第2のブリード弁密封部、280・・・流体回路、281・・・弁本体、282・・・バネ、283・・・第2のブリード弁密封部、284・・・ブリード弁ピストン、285・・・第3のブリード弁密封部、286・・・第3のブリード弁室、288・・・第2のブリード弁室、290・・・第4のブリード弁室、291・・・リップ密封部、292・・・ボール、293・・・リップ密封部、294・・・バネ、296・・・室、298・・・接合部分、300・・・内壁部分、302・・・内部弁本体、304・・・合致壁部分、306・・・弁ハウジング、308・・・ソケット部分、310・・・車両ブレーキシステム、312・・・マスタシリンダ、314・・・密封部、316・・・リップ密封部、318・・・第1のブリード室、320・・・第2のブリード室、322・・・第1の流路、326・・・第2の流路、330・・・流体通路、332・・・第1の入口、334・・・第2の入口、336・・・車両ブレーキシステム、340・・・手動ブリードネジ、344・・・規制オリフィス、346・・・適用弁、348・・・適用弁、350・・・ブレーキシステム、352・・・マスタシリンダ、354・・・1次ピストンバネ、356・・・1次ピストン、358・・・第1の円筒形部分、360・・・第2の円筒形部分、362・・・環状凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダであって、
ハウジング(30)を備え、
前記ハウジング(30)内に配置された第1の2次ピストン(126)をさらに備え、前記第1の2次ピストン(126)は前記ハウジング(30)と協働して、前記ハウジング(30)内で前記第1の2次ピストン(126)が移動すると容量が変化する第1の2次室(158)を画定し、
前記ハウジング(30)内に配置された第2の2次ピストン(127)をさらに備え、前記第2の2次ピストン(127)は前記ハウジングと協働して、前記第2の2次ピストンが前記ハウジング内で移動すると容量が変化する第2の2次室(162)を画定し、
前記ハウジング(30)内に配置された段付きの1次ピストン(94)をさらに備え、前記1次ピストン(94)は前記ハウジング(30)と協働して1次室(108)を画定し、前記1次室は、前記ハウジング内で前記1次ピストン(94)が移動すると容量が変化し、前記1次ピストン(94)は、前記第1の2次ピストン(126)および前記第2の2次ピストン(136)を移動させるために、前記第1の2次ピストン(126)および前記第2の2次ピストン(136)と接合させられる接合面(116)を画定しており、
始動されると前記1次ピストン(94)上で復元力を維持する1次ピストンバネ(118)をさらに備えている、マスタシリンダ。
【請求項2】
始動されると前記第1の2次ピストン(126)上に復元力を維持するために、前記ハウジング(30)内に配置された、第1の2次ピストンバネ(134)をさらに備える、請求項1に記載のマスタシリンダ。
【請求項3】
前記ハウジング(30)内に第2の2次ピストンバネ(146)をさらに備え、前記第2の2次ピストン(127)は、始動されると前記第2の2次ピストン(127)上に復元力を維持する、請求項2に記載のマスタシリンダ。
【請求項4】
前記ハウジングは、
第1の直径を有する第1のボア(36)と、
前記第1のボア(36)と平行し、これと連通しており、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2のボア(38)と、
前記第2のボア(38)と平行し、これと流体連通しており、前記第2の直径よりも大きな第3の直径を有する第3のボア(50)と、
前記第3のボア(50)と連通しており、前記第3の直径よりも小さい第4の直径を有する第4のボア(58)と、
前記第4のボア(50)連通しており、前記第4の直径よりも小さい第5の直径を有する第5のボア(60)と、
前記第4のボア(58)と平行し、前記第3のボア(50)と連通しており、前記第3の直径よりも小さい第6直径を有する第6ボア(62)とを備えている、請求項3に記載のマスタシリンダ。
【請求項5】
前記第1の2次ピストンバネ(134)は、前記第4のボア(58)内の前記第1の2次ピストン(126)の円周周囲に配置されている、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項6】
前記第2の2次ピストンバネ(146)は、前記第6ボア(62)内の、前記第2の2次ピストン(127)の円周周囲に配置されている、請求項に記載のマスタシリンダ。
【請求項7】
前記第1の2次ピストン(126)は、前記第4のボア(58)および前記第5のボア(60)内に配置されており、前記第3のボア(50)内に延びており、前記第1の2次室(158)は、前記第5のボア(60)内で前記第1の2次ピストンが移動すると容量が変化する、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項8】
前記第2の2次ピストン(127)は前記第6ボア(62)と前記第7ボア(64)内に配置され、前記第3のボア(50)内に延びており、前記第2の2次ピストン(127)は、前記第7ボア(64)内で前記第2の2次ピストンが移動すると容量が変化する、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項9】
前記段付き1次ピストン(94)は前記第1のボア(36)と前記第2のボア(38)内に配置され、前記第3のボア(50)内に延びており、前記1次室(108)は、前記1次ピストン(94)が前記第1のボア(36)内で移動すると容量が変化する、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項10】
前記段付き1次ピストン(94)は、前記第1の2次ピストン(126)、前記第2の2次ピストン(127)と協働して前記第3のボア(50)内に延びており、前記第3のボア(50)は第1の中間室(115)を画定する、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項11】
前記1次室(108)は前記第1のボア(36)、前記第2のボア(38)、前記1次ピストン(94)と共に形成されており、前記ハウジング(30)はさらに、前記1次室(108)を密封するために前記1次ピストン(94)の周囲に配置された第1の密封部(102)と第2の密封部(106)を含んでいる、請求項10に記載のマスタシリンダ。
【請求項12】
前記1次ピストンバネ(118)は、始動時に前記段付き1次ピストン(94)上に復元力を維持するために、前記第1の中間室(115)内に配置されている、請求項10に記載のマスタシリンダ。
【請求項13】
前記ハウジング(30)は、前記第3のボア(50)内に配置された接合面(120)を有する接合部材(122)を含み、前記1次ピストン(94)は接合面(116)を含み、前記1次ピストンバネ(118)は、始動時に前記1次ピストン(94)上に前記復元力を維持するために、前記第3のボア(50)内の、前記1次ピストン(94)の前記接合面(116)と前記接合部材(122)の前記接合面(120)との間に配置されている、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項14】
前記第1の中間室(115)は前記第3のボア(50)、前記第1の2次ピストン(126)、前記第2の2次ピストン(127)、前記接合部材(122)によって協働的に形成されており、前記第1の2次ピストン(126)周囲に配置された前記第3の密封部(112)と、前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された前記第4の密封部(114)とが、前記1次ピストン(94)の周囲に配置された前記第2の密封部(106)と協働し、前記第1の中間室(115)を協働的に密封する、請求項13に記載のマスタシリンダ。
【請求項15】
前記第1の2次ピストン(126)、前記第3のボア(50)、前記第4のボア(58)によって協働的に形成された第2の中間室(150)をさらに備え、前記第1の2次ピストン(126)は、前記第4のボア(58)内の前記第1の2次ピストン(126)周囲に配置された第5の密封部(148)を含み、前記第5の密封部(148)は前記第3の密封部(112)と協働して前記第2の中間室(150)を密封する、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項16】
前記第2のボア(38)と前記1次ピストン(94)は直径が減少した部分であり、前記第2の密封部(106)は、前記第2のボア(38)と前記1次ピストン(94)の間で密封係合している、請求項15に記載のブレーキシステム。
【請求項17】
前記第2の2次ピストン(127)、前記第3のボア(50)、前記第5のボア(60)の間に協働的に形成された第3の中間室(154)をさらに備え、前記第2の2次ピストン(127)は、前記第5のボア(60)内の前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された第6密封部(152)を含んでおり、前記第6密封部(152)は前記第4の密封部(114)と協働して前記第3の中間室(154)を密封する、請求項14に記載のマスタシリンダ。
【請求項18】
前記第1の2次室(158)は前記第1の2次ピストン(126)と前記第6ボア(62)の間に協働的に形成されており、前記第1の2次ピストン(126)は、前記第1の2次室(158)を密封するために、前記第6ボア(62)内の前記第1の2次ピストン(126)の周囲に配置された第7密封部(156)を含んでいる、請求項4に記載のブレーキシステム。
【請求項19】
前記第2の2次室(162)は、前記第2の2次ピストン(127)と前記第7ボア(64)の間に協働的に形成されており、前記第2の2次ピストン(127)は、前記第2の2次室(162)を密封するために、前記第7ボア(64)内の前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された第8密封部(160)を含んでいる、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項20】
前記第1のボア(36)と前記第2のボア(38)は協働して1次ハウジング部分(32)を形成している、請求項4に記載のマスタシリンダ。
【請求項21】
前記第3のボア(50)は中間ハウジング部分(48)を形成している、請求項20に記載のマスタシリンダ。
【請求項22】
前記第4のボア(58)と前記第6ボア(62)は第1の2次ハウジング部分(54)を形成している、請求項21に記載のマスタシリンダ。
【請求項23】
前記第5のボア(60)と前記第7ボア(64)は、第2の2次ハウジング部分(56)を形成する、請求項22に記載のマスタシリンダ。
【請求項24】
前記1次ピストンバネ(118)は、始動時に前記段付きの1次ピストン(94)上に復元力を維持するために、前記1次ピストン(94)の円周周囲の前記1次室(108)内に配置される、請求項1に記載のマスタシリンダ。
【請求項25】
前記1次ピストン(356)は、第1の円筒形部分(358)と第2の円筒形部分(360)を含んでおり、これらの部分の間には環状凹部(362)が形成されており、前記環状凹部(362)は前記第2の円筒形部分(360)と同じ直径を有し、前記第2の円筒形部分(360)へと連続的に延びており、前記1次ピストンバネ(356)は、始動時に前記1次ピストン(356)上に前記復元力を維持するために、前記環状凹部(362)と前記1次室(108)の端面との間の、前記第2の円筒形部分(360)の円周周囲に配置されている、請求項24に記載のマスタシリンダ。
【請求項26】
前記1次ピストン(94)の動作を促すために、ブレーキペダル(92)と前記1次ピストン(94)の間に有効に結合した入力ロッド(95)をさらに備えている、請求項1に記載のマスタシリンダ。
【請求項27】
加圧された油圧ブレーキ流体を複数の車両ブレーキに対して付加するブレーキングシステムであって、
ブレーキ流体源と、
1次ブレーキ流体回路と、
前記ブレーキ流体源から前記1次ブレーキ流体回路へ油圧ブレーキ流体を提供するポンプと、
前記ポンプを駆動する電気モータと、
前記1次回路から加圧した油圧ブレーキ流体を貯留するための高圧アキュムレータと、
第1のブレーキ流体回路と、
前記1次ブレーキ流体回路から前記第1のブレーキ流体回路への加圧されたブレーキ流体の流れを制御するブースト弁と、
前記第1のブレーキ流体回路からのブレーキ流体によって始動された第1のブレーキと、
前記第1のブレーキ流体回路からの加圧されたブレーキ流体を付加することによって動作される第2のブレーキと、
第2のブレーキ流体回路と、
前記第2の回路からの加圧されたブレーキ流体によって始動される第3のブレーキと、
第3の回路ブレーキ流体回路と、
前記第3の回路からの加圧されたブレーキ流体によって始動される第4のブレーキと、
運転者からの入力ブレーキ要求を受信するためのブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルからの前記入力要求を受信するためのマスタシリンダとを備えており、前記マスタシリンダは、
ハウジング(30)を備え、
前記ハウジング(30)内に配置された第1の2次ピストン(126)をさらに備え、前記第1の2次ピストン(126)は前記ハウジング(30)と協働して、前記ハウジング(30)内で前記第1の2次ピストン(126)が移動すると容量が変化する第1の2次室(158)を画定しており、前記第1の2次室(158)は、前記第3のブレーキ(28c)上で作用するべく前記第2のブレーキ流体回路(78)と流体連通しており、
始動時に前記第1の2次ピストン(126)上に復元力を維持するために、前記第4のボア(58)内及び前記第1の2次ピストン(126)の円周周囲に配置された前記第1の2次ピストンバネ(134)をさらに備え、
前記ハウジング(30)内に配置された第2の2次ピストン(127)をさらに備え、前記第2の2次ピストン(127)は前記ハウジングと協働して、前記ハウジング内で前記第2の2次ピストンが移動すると容量が変化する第2の2次室(162)を画定しており、前記第2の2次室(166)は、前記第4の車両ブレーキ(28d)に作用する前記第3のブレーキ流体回路(90)と流体連通しており、
始動時に前記第2の2次ピストン(127)上に復元力を維持するために、前記第6ボア(62)内及び前記第2の2次ピストン(127)の円周周囲に配置された第2の2次ピストンバネ(146)をさらに備え、
前記第1の2次ピストン(126)と前記第2の2次ピストン(127)のそれぞれは、前記第1のブレーキ流体回路(190)からの加圧された流体を付加することで独立的かつ有効に代用でき、これにより前記第2のブレーキ流体回路(78)内のブレーキ流体が加圧されて、前記第3のブレーキアクチュエータ(28c)と前記第3のブレーキ流体回路(90)が動作されることで、第4のブレーキアクチュエータ(28d)が動作され、
前記ハウジング(30)内に配置された段付き1次ピストン(94)をさらに備え、前記1次ピストン(94)は前記ハウジング(30)と協働して、前記ハウジング内で前記1次ピストン(94)が移動すると容量が変化する1次室(108)を画定し、前記1次ピストン(94)は、前記第1の2次ピストン(126)および前記第2の2次ピストン(136)を移動するために、前記第1の2次ピストン(126)および前記第2の2次ピストン(136)と接合するように駆動される接合面(116)を画定しており、
作動時に前記1次ピストン(94)上に復元力を維持するための1次ピストンバネ(118)をさらに備えているブレーキングシステム。
【請求項28】
前記マスタシリンダ(22)はさらに、前記運転者の前記ブレーキング要求を決定するための走行センサ(96)を備えており、前記ブレーキング要求は、前記第1のブレーキ流体回路(190)に加圧されたブレーキ流体を提供するために、前記ブースト弁(188)を制御するために有効に利用される、請求項27に記載のブレーキングシステム。
【請求項29】
前記ハウジングは、
第1の直径を有する第1のボア(36)と、
前記第1のボア(36)と平行し、これと連通し、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2のボア(38)と、
前記第2のボア(38)と平行し、これと流体連通し、前記第2の直径よりも大きい第3の直径を有する第3のボア(50)と、
前記第3のボア(50)と連通し、前記第3の直径よりも小さい第4の直径を有する第4のボア(58)と、
前記第4のボア(58)と連通し、前記第4の直径よりも小さい第5の直径を有する第5のボア(60)と、
前記第4のボア(58)と平行し、前記第3のボア(50)と連通し、前記第3の直径よりも小さい第6直径を有する第6ボア(62)と備えた、請求項27に記載のマスタシリンダ。
【請求項30】
前記ハウジング(30)は、前記第1のボア(36)、前記第2のボア(38)と前記1次ピストン(94)の間に協働的に形成された1次室(108)を含み、前記ハウジング(30)は、前記1次室(108)を密封するために、前記1次ピストン(94)の周囲に配置された第1の密封部と第2の密封部(106)を含む、請求項29に記載のブレーキングシステム。
【請求項31】
前記ハウジング(30)は、接合部材(122)、前記第3のボア(50)、前記第1の2次ピストン(126)、及び前記第2の2次ピストン(127)によって協働的に形成された第1の中間室(115)を含み、前記ハウジングはさらに、前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された第3の密封部(112)と、前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された第4の密封部(114)とを含んでおり、前記第3の密封部(112)と前記第4の密封部(114)は前記第2の密封部(106)と協働して前記第1の中間室(115)を協働的に密封する、請求項30に記載のブレーキングシステム。
【請求項32】
前記ハウジング(30)は、前記第1の2次ピストン(126)、前記第3のボア(50)、前記第4のボア(58)によって協働的に形成された第2の中間室(150)を含み、前記第1の2次ピストン(126)は、前記第4のボア(58)内の前記第1の2次ピストン(126)の周囲に配置された第5の密封部(148)を含み、前記第3の密封部(112)と前記第5の密封部(148)は前記第2の中間室(150)を協働的に密封し、前記第2の中間室(150)は前記第1の回路(190)と流体連通している、請求項31に記載のブレーキングシステム。
【請求項33】
前記ハウジング(30)は、前記第1の2次ピストン(126)と第6ボア(62)の間に協働的に形成された第1の2次室(158)を含み、前記第1の2次ピストン(126)は、前記第1の2次室(158)を密封するために、前記第6ボア(62)内の前記第1の2次ピストン(126)の周囲に配置された第7密封部(156)を含み、前記第1の回路(190)によって前記第2の中間室(150)に提供された加圧されたブレーキ流体が、前記第1の2次ピストン(126)を、前記第3のブレーキ(28c)を始動させるために、前記第1の2次室(158)内の前記ブレーキ流体に作用するように促す、請求項32に記載のブレーキングシステム。
【請求項34】
前記ハウジング(30)は、前記第2の2次ピストン(127)、前記第3のボア(50)、前記第5のボア(60)の間に協働的に形成された第3の中間室(154)を含み、前記第2の2次ピストン(127)は、前記第5のボア(60)内の前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された第6密封部(152)を含み、前記第4の密封部(114)と前記第6密封部(152)が協働で前記第3の中間室(154)を密封し、前記第2の中間室(150)は前記第1の回路(190)と流体連通している、請求項32に記載のブレーキングシステム。
【請求項35】
前記ハウジング(30)は、前記第2の2次ピストン(127)と前記第7ボア(64)の間に協働で形成された第2の2次室(162)を含み、前記第2の2次ピストン(127)は、前記第2の2次室(162)を密封するために、前記第7ボア(64)内の前記第2の2次ピストン(127)の周囲に配置された第8密封部(160)を含み、前記第1の回路(190)によって前記第3の中間室(154)に供給された加圧されたブレーキ流体が、前記第4のブレーキ(28d)を始動させるために、前記第2の2次ピストン(127)を、前記第2の2次室(166)内で前記ブレーキ流体に作用するように促す、請求項34に記載のブレーキングシステム。
【請求項36】
非ブレーキ付加状況中に、前記マスタシリンダ(22)から捕獲されたガスをブリーディングするためのブリード弁(272)をさらに備え、前記ブリード弁(272)は、
弁本体(281)を備え、
前記弁本体(281)内で滑動可能であるブリード弁ピストン(248)をさらに備え、
前記ブリード弁ピストン(284)の円周周囲に配置された第1のブリード弁密封部(277)をさらに備え、
前記第1の中間室(115)と流体連通した第1のブリード弁室(278)をさらに備え、前記第1のブリード弁室(278)は、前記弁本体(281)、前記ブリード弁ピストン(284)、前記第1のブリード弁密封部(277)の間に形成されており、
前記ブリード弁ピストン(284)の円周周囲に配置された第2のブリード弁密封部(283)をさらに備え、
第2の中間室(150)と流体連通した第2のブリード弁室(288)をさらに備え、前記第1のブリード弁室(115)は、前記弁本体(281)、前記ブリード弁ピストン(284)、前記第1のブリード弁密封部(277)、前記第2のブリード弁密封部(283)の間に形成されており、
前記ブリード弁ピストン(284)の円周周囲に配置された第3のブリード弁密封部(285)をさらに備え、
前記第3の中間室(154)と流体連通した第3のブリード弁室(286)をさらに備え、前記第3のブリード弁室(286)は、前記弁本体(281)、前記ブリード弁ピストン(284)、前記第2のブリード弁密封部(283)、前記第3のブリード弁密封部(285)の間に形成されており、前記第2のブリード弁密封部(283)により、ブレーキ流体が前記第3のブリード弁室(286)から前記第2のブリード弁室(285)まで一方向に流れることができ、
第4のブリード弁室(290)は前記第3の中間室(154)と流体連通しており、前記第4のブリード弁室(290)は、前記弁本体(281)、前記ブリード弁ピストン(284)、前記第3のブリード弁密封部(285)の間に形成されており、
前記第1のブレーキ流体回路(190)からの低圧力で加圧された流体が、前記マスタシリンダ(22)の前記第3の中間室(154)に、次に前記ブリード弁(272)の前記第3のブリード弁室(286)に提供され、前記第3のブリード弁密封部(285)は、ブレーキ流体の前記一方向の流れを、前記第3のブリード弁室(286)から前記第2のブリード弁室(288)へ流れるようにし、次に、前記マスタシリンダ(22)の前記第2の中間室(150)へ、続いて、前記非ブレーキ付加状況下で、前記マスタシリンダ(22)内から捕獲されたガスを除去するために、前記ブレーキ流体源(24)へ流れるようにする、請求項35に記載のブレーキングシステム。
【請求項37】
ブレーキ付加動作が、前記マスタシリンダ(22)の前記第3の中間室(154)に加圧されたブレーキ流体を提供し、前記加圧されたブレーキ流体の流れが、前記第3の中間室(154)から前記ブリード弁(272)の前記第4のブリード弁室(290)へ流れることで、前記ブリード弁ピストン(284)を前記第1のブリード弁室(278)へと強制移動させ、前記ブリード弁ピストン(284)の変位は、前記マスタシリンダ(22)の前記第3の中間室(154)から前記ブリード弁(272)の前記第2の第3のブリード室(286)への加圧された流体の流れを終了させる、請求項36に記載のブレーキングシステム。
【請求項38】
前記捕獲されたガスは、前記非ブレーキ付加状況中に、前記マスタシリンダ(22)から所定の時間間隔で除去される、請求項36に記載のブレーキングシステム。
【請求項39】
手動ブリードネジ(340)は、前記第2の中間室(150)と前記第3の中間室(154)の間で流体結合しており、前記手動ブリードネジ(340)が開放位置にある際に、前記第2の中間室(150)および前記第3の中間室(154)に捕獲された空気を除去するために、前記第2の中間室(150)と前記第3の中間室(154)の間にブレーキ流体を流すようになる、請求項35に記載のブレーキングシステム。
【請求項40】
前記ハウジング(30)は、前記第1の2次ピストン(126)の周囲に配置され、第1のブリード室(318)を間に形成するために前記第3の密封部(112)に近接している第9密封部(314)を含み、前記第1の2次ピストン(126)は、非ブレーキング状況中に、前記第3の密封部(112)と軸方向に整列した第1の円周へこみ(322)を含み、これにより、前記被ブレーキング状況中に、ブレーキ流体を、前記第2の中間室(150)と前記第1のブリード室(318)の間に流し、
前記ハウジング(30)はさらに、前記第2のピストン(127)の周囲に配置され、第2のブリード室(320)を間に形成するために、前記第4の密封部(114)に近接している第1の0密封部(316)を含み、前記第2の2次ピストン(127)は、前記非ブレーキング状況中に、ブレーキ流体を前記第2の中間室(150)と前記第2のブリード室(320)の間に流すために、前記非ブレーキング状況中に前記第4の密封部(114)と軸方向に整列する第2の円周のへこみ(326)を含み、
前記第1のブリード室(318)および前記第2のブリード室(320)に流体接続した流路(330)をさらに備え、前記ブースト弁(188)は、前記非ブレーキング状況中の、開放位置にある際に、低圧ブレーキ流体の流れを前記第2の中間室(150)に提供し、前記非ブレーキ状況中に、前記低圧流体が、前記第2の中間室(150)から前記第1のブリード室(318)へ流れ、次に、前記第1のブリード室(318)から前記流体通路(330)を通って、前記第2のブリード室(320)へ流れ、その後、非ブレーキ状況中に、前記第2のブリード室(320)から前記第3の中間室(154)へ流れ、ここで、前記非ブレーキング状況中に前記低加圧されたブレーキ流体が流れる状態において、前記第2の中間室(150)、前記第3の中間室(154)から捕獲された空気が除去される、請求項35に記載のブレーキングシステム。
【請求項41】
前記1次ピストン(94)の周囲に配置され、全着第1の密封部(102)に近接した1次密封部(100)をさらに備え、
前記1次ピストン(94)と前記第1のボア(36)の間に形成されたベント室(238)をさらに備え、前記第1の密封部(102)と前記1次密封部(100)は前記ベント室(238)を密封し、
前記1次ピストン(94)内に形成され、また、非ブレーキング状況中に、前記1次室(108)を前記ベント室(238)に流体接続させるために、前記非ブレーキング状況中に前記第1の密封部(102)と整列するベント回路(239)をさらに備え、
前記ベント室(238)内に形成された第1のポート(44)をさらに備え、
前記前ベント室(238)の前記第1のポート(44)と前記ブレーキ流体源(24)との間で結合している流体回路(46)をさらに備え、
前記流体回路(46)に結合した前記第1の中間室(115)内に形成されている第2のポートをさらに備え、
前記ベント室(238)と前記ブレーキ流体源(24)との間で前記流体回路(46)に結合した規制オリフィス(344)をさらに備え、前記規制オリフィス(344)は、ブレーキ流体の、前記ブレーキ流体源(24)に向かう流れを規制し、ブレーキ流体の一部を前記ベント室(238)の前記第1のポート(44)から前記第1の中間室(115)の前記第2のポートへ方向転換させ、
前記ブースト弁(188)は、開放位置にある場合、非ブレーキング状況中に、低加圧されたブレーキ流体を前記1次室(108)に提供し、前記低加圧されたブレーキ流体は前記1次室(108)から前記ベント室(238)へ流れ、前記低加圧されたブレーキ流体は前記ベント室(238)の前記第1のポート(44)から出て、前記第1の中間室(115)の前記第2のポート(42)へ流れ、前記低加圧されたブレーキ流体は、前記第3の密封部(112)と前記第4の密封部(114)を通り、前記第2の中間室(150)および前記第3の中間室(154)のそれぞれへ流れ、次に、前記非ブレーキング状況中に、前記第2の中間室(150)および第3の中間室(154)から捕獲された空気を除去するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)へと流れる、請求項35に記載のブレーキングシステム。
【請求項42】
前記複数の車両ブレーキに対してブレーキ始動とブレーキ停止を協働して提供するために、複数の適用弁と複数のダンプ弁をさらに備え、
前記複数の適用弁とダンプ弁のそれぞれの急速な始動と停止によって生成された圧力変動を軽減するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と前記ブレーキ流体源(24)の間に配置されたコンプライアンスアキュムレータ(270)をさらに備える、請求項27に記載のブレーキングシステム。
【請求項43】
前記ブレーキングシステムから捕獲されたガスを手動でブリーディングするために、前記1次ブレーキ回路(192)およびブレーキ流体源(24)の間に接続したブリード弁(272)を含む多機能弁(246)と、前記ブレーキ流体源(24)への前記1次ブレーキ流体回路(192)の過剰圧力を開放するために、前記1次ブレーキ回路(192)と前記ブレーキ流体源(24)の間で接続したバネ装填チェック弁(240)とをさらに備えており、前記バネ装填チェック弁(240)は、前記ブリード弁(242)と平行に接続している、請求項27に記載のブレーキングシステム。
【請求項44】
協働して前記ブースト弁(188)から受容したブレーキ流体を前記第1のブレーキ(24a)に供給し、加圧されたブレーキ流体を前記第1のブレーキ(24)から協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第1の組の弁をさらに備え、
前記ブースト弁(188)から受容した加圧されたブレーキ流体を前記にブレーキ(24a)へ協働して供給し、加圧されたブレーキ流体を前記第2のブレーキ(24b)から協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第2の組の弁をさらに備え、
前記ブースト弁(188)から受容した加圧されたブレーキ流体を、前記第3のブレーキ(28c)を始動させるべく前記第2のブレーキ流体回路(78)に作用するように協働して供給するために、また、前記第3のブレーキ(28c)から加圧されたブレーキ流体を協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第3の組の弁をさらに備え、
前記ブースト弁(188)から受容した加圧されたブレーキ流体を、前記第4のブレーキ(28d)を始動させるべく前記第3のブレーキ流体回路(90)に作用するように、協働して供給するために、また、加圧されたブレーキ流体を前記第4のブレーキ(28d)から協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第4の組の弁をさらに備え、
同一の車両軸に効果的に係合するように設けられている前記第1のブレーキ(28b)および前記第2のブレーキ(28b)に向かう加圧されたブレーキ流体の流量のバランスをとるために、前記第1のブレーキ(28a)および前記第2のブレーキ(28b)のそれぞれに作用する前記ブレーキ流体を可変的に制御するために、前記第1の組の弁のうち少なくとも1つの弁、および前記第2の組の弁のうち少なくとも1つの弁と流体連通した比例弁(266)をさらに備える、請求項27に記載のブレーキングシステム。
【請求項45】
前記比例弁(266)は、前記第1のブレーキ(28a)と前記第2のブレーキ(28b)に作用する、前記第1の組の弁の前記少なくとも1つの弁と、前記第2の組の弁の前記少なくとも1つの弁とに付加されたブレーキ流体を可変制御する、請求項44に記載のブレーキングシステム。
【請求項46】
前記比例弁は、前記第1のブレーキ(28a)と前記第2のブレーキ(28b)に作用する、前記第1の組の弁の前記少なくとも1つの弁、および前記第2の組の弁の前記少なくとも1つの弁から解放されたブレーキ流体を可変制御する、請求項44に記載のブレーキングシステム。
【請求項47】
前記ブースト弁(188)から受容したブレーキ流体を、前記第1のブレーキ(28a)に協働して供給するために、また、前記第1のブレーキ(28a)から加圧されたブレーキ流体を協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第1の組の弁をさらに備え、
前記ブースト弁(188)から受容した加圧されたブレーキ流体を前記第2のブレーキ(28b)に協働して供給するために、また、前記第2のブレーキ(28b)から加圧されたブレーキ流体を協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第2の組の弁をさらに備え、
前記ブースト弁(188)から受容した加圧されたブレーキ流体を、前記第3のブレーキ(28c)を始動させるべく前記第2のブレーキ流体回路(78)に作用するように供給するために、また、加圧されたブレーキ流体を前記第3のブレーキ(28c)から協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第3の組の弁をさらに備え、
前記ブースト弁(188)から受容した加圧されたブレーキ流体を、前記第4のブレーキ(28d)を始動するべく前記第3のブレーキ流体回路(90)に作用するように協働して供給するために、また、前記第4のブレーキ(28d)から受容した加圧されたブレーキ流体を協働して解放するために、前記第1のブレーキ流体回路(190)と流体連通した第4の組の弁をさらに備え、
同一の車両軸に効果的に係合するように設けられている前記第3のブレーキ(28c)および前記第4のブレーキ(28d)に向かう加圧されたブレーキ流体の流量のバランスをとるために、前記第3のブレーキ(28c)および前記第4のブレーキ(28d)のそれぞれに作用する前記ブレーキ流体を可変的に制御するために、前記第3の組の弁のうち少なくとも1つの弁、および前記第4の組の弁のうち少なくとも1つの弁と流体連通した比例弁(266)をさらに備える、請求項27に記載のブレーキングシステム。
【請求項48】
前記比例弁(266)は、前記第3のブレーキ(28c)と前記第4のブレーキ(28d)に作用する、前記第3の組の弁の前記少なくとも1つの弁と、前記第4の組の弁の前記少なくとも1つの弁とに付加されたブレーキ流体を可変制御する、請求項47に記載のブレーキングシステム。
【請求項49】
前記比例弁(266)は、前記第3のブレーキ(28c)と前記第4のブレーキ(28d)に作用する、前記第3の組の弁の前記少なくとも1つの弁、および前記第4の組の弁の前記少なくとも1つの弁から解放されたブレーキ流体を可変制御する、請求項47に記載のブレーキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−502594(P2009−502594A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519593(P2008−519593)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025510
【国際公開番号】WO2007/005571
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(507421773)
【Fターム(参考)】