説明

滑り軸受け複合材料、使用及び製造法

鋼製のキャリア層、銅合金からなる軸受け金属層、及び前記軸受け金属層の上に施工された滑り層を有する滑り軸受け複合材料が開示される。前記銅合金は、0.5〜5重量%のニッケル、0.2〜2.5重量%のケイ素、≦0.1重量%の鉛を含む。前記滑り層は、電気メッキ層、スパッタ層または樹脂層であることができる。また製造方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に従う滑り軸受け複合材料に関する。更に本発明は、使用及び製造法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公告(C1)第44 15 629号明細書からは、非常時でも稼働可能な耐摩耗性の物品、例えばダイカスティング機のピストンの製造のために、銅−ニッケル−ケイ素合金を使用することが知られている。ドイツ特許出願公告(C1)第44 15 629号明細書に記載の合金は、ニッケル1〜4%、ケイ素0.1〜1.5%及び残部の銅からなり、一体の材料として使用される。
【0003】
米国特許第2,137,282号明細書は、ニッケル0.1〜30%、ケイ素0.05〜3%、及び残部の銅からなる合金を開示している。この合金は、適当な熱処理の後に、高い硬度及び良好な電導性を特徴とする。
【0004】
米国特許第1,658,186号明細書は、銅−ニッケル−ケイ素合金を開示しており、硬化粒子として働くケイ化物について詳しく記載されている。硬度の調節のための様々な熱処理方法が記載されている。
【0005】
更に別の銅−ニッケル−ケイ素合金が米国特許第2,241,815号明細書に記載されており、ニッケルの割合は0.5〜5%であり、ケイ素の割合は0.1〜2%である。
【0006】
米国特許第2,185,958号明細書は、ニッケル1%、ケイ素3.5%及び残部の銅からなる合金、並びにケイ素1.5%、ニッケル1%及び残部の銅からなる合金を開示している。
【0007】
ドイツ特許出願公告(C1)第36 42 825号明細書からは、高い強度及び長い耐用年数が意図された、ニッケル4〜10%、アルミニウム1〜2%、スズ1〜3%及び残部の銅並びに通常の不純物からなる滑り軸受け材料が知られている。この滑り軸受け材料から、一体型のブッシュを製造している。
【0008】
英国特許出願公開第2384007号明細書は、銅合金からなりそして最大で130HVの硬度を有する焼結層が施工された鋼製母材を有する滑り軸受け複合材料を開示している。この銅合金は、1〜11重量%のスズ、0.2重量%までのリン、最大で10重量%のニッケルまたは銀、最大で25重量%の鉛及びビスマスを含む。
【0009】
一体型の材料からなる滑り軸受け要素は、ハウジング中での締りばめの保証のために、非常に高い強度、それゆえ非常に高い硬度を持たなければならないという欠点がある。軸受け金属の適応性、例えば滑り層が局部的に磨耗する場合などにおいて軸受け金属の適応性が必要な用途では、このような材料はスコァリングを起こす傾向が強いか、または軸の損傷を招く。
【0010】
更に別の欠点は、熱膨張係数が異なるために、鋼製ハウジング中で滑り軸受け要素が大きく膨張することで遊びが望ましくない程に小さくなることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、機械的及びトライボロジー的性質を、望まれる要求に適合させることができ、またこれと同時に締りばめに必要な剛性も保証される、滑り軸受け複合材料を提供することである。更に、この滑り軸受け複合材料から作製される滑り軸受け要素は、鋼製ハウジング内への取り付けに特に適しているべきである。また更に、使用及び製造法の提供も課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題は、請求項1に従う滑り軸受け複合材料によって解決される。
【0013】
ニッケル−ケイ素を含む銅合金が、それらの機械的及びトライボロジー的性質に関して広い範囲で調節することができ、それによって、要求される性質に適合させることができることが判明した。
【0014】
鋼製の母材は、それの剛性の故に、必要な締りばめを保証し、それによって、軸受け材料の組織構造を、強度の要求には左右されずに調節することができる。それ故、例えば、特許請求の範囲に記載の銅合金は、それらの組織構造に関して、強度及び硬度並びにトライボロジー的性質(例えば、スコァリングに関する挙動)が従来の鉛−青銅製の軸受けに匹敵する範囲にあるように形成することができる。
【0015】
全体として、滑り軸受け複合材料の使用範囲がかなり拡張される。
【0016】
また、鋼製母材を有する該複合材料は、鋼製ハウジングと一緒に使用した場合にそれらの熱膨張係数に基づく利点を供する。
【0017】
該軸受け金属のトライボロジー的性質の調節は、好ましくは、熱機械的処理、特に圧延及び焼き鈍しによって行われる。
【0018】
該複合材料のこのような熱機械的処理は、完成部品に必要な鋼の性質が損なわれないように、構成することができる。
【0019】
本発明の製造方法は、第一の態様においては次の工程を含む: 銅−ニッケル−ケイ素合金から帯状材料を製造し、そしてこの帯状材料を、鋼製のキャリア層上にロール圧接して複合体を製造する。この際、軸受け金属及び/または鋼の50〜70%の変形が行われる。
【0020】
次いで行われる熱機械的処理は次の工程を含む:
・550℃〜700℃の温度での2〜5時間の前記複合体の第一の焼き鈍し、前記複合体の少なくとも一回の第一の圧延、この際、20〜30%の変形度で行われる。
・500℃〜600℃の温度で1時間を超える時間の少なくとも一回の第二の焼き鈍し。
・場合によっては、前記複合体の第二の圧延、この際、最大30%の変形度で行われ、次いで、500℃を超える温度で少なくとも1時間の第三の焼き鈍し。
【0021】
更に別の態様では、銅合金をキャリア層上に施用しそして焼結するかまたは鋳て付ける。
【0022】
第一及び/または第二圧延工程とそれに次ぐ焼き鈍しによって、軸受け金属の降伏点が調節される。この際、軸受け金属の降伏点は好ましくは150〜250MPaである。
【0023】
第二の焼き鈍しの後に最終寸法に達した場合には、熱機械的処理を停止する。この場合、降伏点は、第一の圧延及び第二の焼き鈍しによって調節される。
【0024】
第二の焼き鈍しの後でも最終の寸法に達していない場合には、次いで、第二の圧延及び第三の焼き鈍し工程を行い、それによって降伏点を上記の値に調節する。
【0025】
上記熱機械的処理の後の組織は、銅マトリックス内部におけるNiSiに基づく微細で均一及び等方性に分布した金属間析出物を特徴とする。
【0026】
該軸受け金属の上記降伏点は、鋼の降伏点よりも明らかに低い。これは、鋼キャリア層が必要な締りばめを供するので可能なことである。本発明の複合材料の利点は、所望のトライボロジー的性質、特に軸受け金属層の適応性が達成されるまで、軸受け金属の降伏点を低下させることができること、すなわち、例えば、対部品の摩耗が起こらないかまたは僅かにしか起こらないことにある。
【0027】
滑り軸受け要素の製造のためには、上記の複合体からこれを裁断してシートを切り離し、そしてこれらのシートを、公知の変形工程を介して滑り軸受け要素に変形加工する。最後のプロセスは、好ましくは、滑り軸受けの形成作業及び滑り層の施工である。
【0028】
滑り層は、電気メッキ、PVD法、特にスパッタリング、または特許請求の範囲に記載の他の方法によって、場合によっては中間層の施工の後に、施工される。場合によっては、滑り層の上には、更に初期なじみ層が施工される。
【0029】
滑り層によって、該複合材料のトライボロジー的性質が更に向上される。
【発明の態様】
【0030】
該銅−ニッケル−ケイ素合金においては、ニッケルの割合は0.5〜5重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%、特に1.5〜2.2重量%であり、ケイ素の割合は0.2〜2.5重量%、好ましくは0.4〜1.2重量%、または0.5〜1.5重量%である。
【0031】
該銅−ニッケル−ケイ素合金は、マンガンを0.05〜2.0重量%、好ましくは0.15〜1.5重量%の割合で含むことができる。
【0032】
ケイ素に対して2.5〜5のニッケルの重量比(ニッケル:ケイ素=2.5〜5)において、トライボロジー的性質を向上し得ること、特に、軸受け材料のスコァリングを大きく減少できることが判明した。この重量比において、良好なトライボロジー的性質の要因であるニッケル−ケイ素化合物の形成が促進されて、充分な程度で生成する。
【0033】
該銅合金は、更に微量添加元素を含むことができる。好ましくは、キャリア層は、0.05〜0.4重量%、好ましくは0.075〜0.25重量%の量で少なくとも一種の微量添加元素を含む。微量添加元素としては、例えば、クロム、チタン、ジルコニウム、亜鉛及びマグネシウムの個々のものまたは組み合わせが挙げられる。
【0034】
好ましくは、軸受け金属層及びキャリア層との間は、場合によっては中間層を介して、ロール圧接される。中間層としては、銅または銅合金、例えば銅−亜鉛合金または銅−スズ合金を使用することができる。
【0035】
軸受け金属層は、焼結層または鋳造層であることができ、この際、焼結温度としては10〜30分間で600℃〜800℃の温度、鋳造温度としては1000℃〜1250℃の温度が使用される。焼結工程には、第一の焼き鈍し工程が統合される。
【0036】
更に、滑り層が電気メッキ層からなることも有利である。電気メッキ層は、多機能性材料であり、これは、中でも、異物粒子に対する良好な埋込力、滑り対部品に対するなじみ性または適応性、腐食保護として、及びオイル不足の際の非常時稼働性に優れる。特に、電気メッキ層は低粘性のオイルを使用する場合に有利である。なぜならば、この場合には、混合摩擦状態が頻繁に発生し得、この際に上記の性質が効力を発揮するからである。
【0037】
この電気メッキ層は、好ましくは、鉛−スズ−銅合金、スズ−銅合金、ビスマス−銅合金、またはビスマス単独からなる。
【0038】
上記鉛−スズ−銅合金においては、好ましくは、スズの割合は4〜20重量%であり、そして銅の割合は1〜10重量%である。前記ビスマス−銅合金においては、銅の好ましい割合は1〜20重量%である。
【0039】
滑り層は、熱被覆法によっても施工することができる。熱被覆法としては、 プラズマ溶射法、高速火炎溶射法及び低温ガス溶射法が挙げられる。
【0040】
更に別の好ましい方法の一つは、PVD法、特にスパッタリングである。スパッタ層は、好ましくは、アルミニウム−スズ合金、アルミニウム−スズ−銅合金、アルミニウム−スズ−ニッケル−マンガン合金、アルミニウム−スズ−ケイ素合金、またはアルミニウム−スズ−ケイ素−銅合金からなる。
【0041】
前記合金において、好ましくは、スズの割合は8〜40重量%であり、銅の割合は0.5〜4.0重量%であり、ケイ素の割合は0.02〜5.0重量%であり、ニッケルの割合は0.02〜2.0重量%であり、そしてマンガンの割合は0.02〜2.5重量%である。
【0042】
更に別の態様の一つでは、滑り層は樹脂層からなることができる。樹脂層は、好ましくは、塗工法または印刷法、例えばスクリーン印刷法もしくはパッド印刷法を用いて、あるいは浸漬または吹き付けして施工することができる。
【0043】
この目的のためには、被覆すべき表面は、脱脂、化学的もしくは物理的活性化及び/または機械的粗面処理、例えばサンドブラストもしくは研磨によって適切に前処理しなければならない。
【0044】
前記樹脂層のマトリックスは、好ましくは、高耐熱樹脂、例えばPAIからなる。更に、前記マトリックス中には、MoS2、窒化ホウ素、グラファイトまたはPTFEなどの添加物を挿入することができる。単独もしくは組み合わせとしての前記添加物の割合は好ましくは5〜50体積%である。
【0045】
接合の向上のためには、好ましくは、軸受け金属層と滑り層との間に少なくとも一つの中間層を配置する。この中間層も同様に、それに次いで滑り層をスパッタ法で施工する場合でも、電気メッキ層であることができる。
【0046】
電気メッキにより施工される中間層は、ニッケルまたは銀を含むことができるか、またはこれらの元素からなることができる。しかし、ニッケルからなる中間層及びスズ−ニッケルからなる中間層の二つの中間層を施工することもできる。
【0047】
電気メッキにより施工される中間層の代わりに、スパッタ中間層を設けることもできる。この場合は、ニッケル合金層、例えばNiCu30からなるニッケル合金層、ニッケル単独層、ニッケル−クロム層(好ましくはクロムを15〜25%の割合で含む)、スズ層、スズ合金層、クロム層及び銅層、ニッケル−クロム合金層、ニッケル−銅合金層、銅合金層、またはクロム−ニッケル合金層が好ましい。
【0048】
軸受け金属層の厚さは、好ましくは0.1〜0.8mm、好ましくは0.1〜0.5mm、特に0.15〜0.35mmである。
【0049】
中間層の厚さとしては、1〜12μm、好ましくは0.5〜7.0μm、特に1.0〜4.0μmが好ましく、そして滑り層の厚さとしては、4〜30μm、好ましくは8〜20μm、特に10〜16μmが好ましい。
【0050】
初期なじみ層の厚さは0.2〜12μm、好ましくは0.2〜6μm、特に0.2〜3μmである。
【0051】
該滑り軸受け複合材料の好ましい用途は、滑り軸受けシェルへの使用である。
【0052】
銅合金の例を次に挙げる。
【0053】
【表1】

【0054】
製造法の一例は、次の工程を含む:
− 帯状材料を製造するための、300mmの幅及び10mmの厚さでの銅合金の連続鋳造、特にダブル連続鋳造。
− 帯状材料の両面フライス加工及びその後の巻き取り。
− ロール圧接寸法になるまでの圧延及び焼き鈍し作業。
【0055】
帯状材料は、例えばブラシによって機械的に前処理し、そしてロール圧接によって帯状鋼上に施工する。この帯状鋼は、300mmの幅及び4.5mmの厚さを有する。銅合金とのロール圧接は、50〜70%の変形度を与える。
【0056】
次いで、ベル型焼き鈍し炉中で550℃の温度で2時間、第一の焼き鈍し工程を行う。これに次いで、圧延工程で第一の圧延を行う。この際、複合体の厚さは28%薄くされ、これが最終寸法に相当する。
【0057】
次いで、得られた複合体を550℃で2時間焼き鈍しする。その後、95mmの幅及び1.56mmの厚さの寸法で裁断する。
【0058】
この例では、軸受け金属の降伏点は約150〜170MPaである。
【0059】
該方法の更に別の態様の一つでは、銅合金は粉末の形で帯状鋼上に散布し、そして保護ガス雰囲気中での680℃の温度及び10〜20分間の少なくとも一回の焼結処理によって焼結する。
【0060】
該方法の更に別の態様の一つでは、銅合金は1000℃〜1250℃の温度で帯状鋼上に鋳造する。この際、この帯状鋼は、好ましくは、1000℃を超える温度に予熱しておく。次いで、1〜5分内、特に2〜4分内で100℃以下の温度に冷却する。
【0061】
次に続く圧延及び焼き鈍し工程は、ロール圧接の別の態様である。
【0062】
電気メッキ滑り層の例を以下の表2に纏める。
【0063】
【表2】

【0064】
好ましい電気メッキ滑り層の一つは、銅39〜55重量%及び残部のスズからなるスズ−銅粒子が挿入された、スズマトリックスを有する。それの粒子直径は好ましくは0.5μm〜3μmである。この電気メッキ層は、好ましくは、二つの中間層の上に施工され、この際、第一の中間層はNiからなり、そしてその上に設けられた第二の中間層はニッケル及びスズからなる。前記第二の中間層のNiの割合は30〜40重量%のNiである。前記第一の中間層は、1〜4μmの厚さを有し、そして第二の中間層は2〜7μmの厚さを有する。
【0065】
スパッタ層の例を以下の表3に纏める。
【0066】
【表3】

【0067】
樹脂滑り層の例を以下の表4に纏める。
【0068】
【表4】

【0069】
上記の滑り層は全て、該銅合金からなる軸受け金属層と組み合わせることができる。
【0070】
これらの組み合わせ層の上に施工する初期なじみ層としては、スズまたはインジウムのそれぞれ単独の層や、上記の全ての電気メッキ層及び樹脂層を使用することができる。この際、好ましくは、使用した滑り層よりも柔らかい初期なじみ層を選択するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製のキャリア層、0.5〜5重量%のニッケル、0.25〜2.5重量%のケイ素、≦0.1重量%の鉛及び残部の銅を含む銅合金からなる軸受け金属層、及びこの軸受け金属層の上に施工された滑り層を有する滑り軸受け複合材料。
【請求項2】
前記銅合金が、0.05〜2重量%の割合でマンガンを含むことを特徴とする、請求項1の滑り軸受け複合材料。
【請求項3】
ケイ素に対するニッケルの重量比が2.5〜5であることを特徴とする、請求項1または2の滑り軸受け複合材料。
【請求項4】
前記軸受け金属層が、0.05〜0.4重量%の割合で少なくとも一種の微量添加元素を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項5】
前記微量添加元素がクロム、チタン、ジルコニウム、亜鉛及び/またはマグネシウムであることを特徴とする、請求項4の滑り軸受け複合材料。
【請求項6】
軸受け金属層とキャリア層との間が、場合によっては中間層を介して、ロール圧接されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項7】
前記軸受け金属層が焼結層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項8】
前記軸受け金属層が鋳造層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項9】
前記滑り層が電気メッキ層からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項10】
前記電気メッキ層が、鉛−スズ−銅合金、スズ−銅合金、ビスマス−銅合金またはビスマスからなることを特徴とする、請求項9の滑り軸受け複合材料。
【請求項11】
前記鉛−スズ−銅合金において、スズの割合が4〜20重量%であり、そして銅の割合が1〜10重量%であることを特徴とする、請求項10の滑り軸受け複合材料。
【請求項12】
前記ビスマス−銅合金において銅の割合が1〜20重量%であり、及び前記スズ−銅合金において銅の割合が2〜20重量%であることを特徴とする、請求項10の滑り軸受け複合材料。
【請求項13】
前記滑り層が、熱被覆法によって施工された層からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項14】
前記滑り層が樹脂層からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項15】
前記樹脂滑り層のマトリックスが、PAIなどの高耐熱性樹脂からなることを特徴とする、請求項14の滑り軸受け複合材料。
【請求項16】
前記樹脂滑り層が、充填材としてMoS2、窒化ホウ素、PTFE及び/またはグラファイトを含むことを特徴とする、請求項14または15の滑り軸受け複合材料。
【請求項17】
前記充填材の割合が、単独または組み合わせとして、5〜50体積%であることを特徴とする、請求項16の滑り軸受け複合材料。
【請求項18】
前記軸受け金属層と前記滑り層との間に少なくとも一つの中間層が配置されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項19】
前記中間層が電気メッキ層であることを特徴とする、請求項18の滑り軸受け複合材料。
【請求項20】
前記中間層がニッケルまたは銀を含むことを特徴とする、請求項18の滑り軸受け複合材料。
【請求項21】
ニッケルからなる中間層とスズ−ニッケルからなる中間層の二つの中間層が設けられることを特徴とする、請求項19の滑り軸受け複合材料。
【請求項22】
前記中間層がスパッタ層であることを特徴とする、請求項18の滑り軸受け複合材料。
【請求項23】
前記中間層が、ニッケル合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−銅合金、亜鉛合金、亜鉛、クロム、銅、銅合金、ニッケル、クロム−ニッケル合金、またはニッケル−クロムからなることを特徴とする、請求項18〜22のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項24】
前記滑り層が、PVD法によって施行された層からなることを特徴とする、請求項18〜23のいずれか一つと組み合わせた請求項1〜8のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項25】
前記滑り層が、スパッタ層からなることを特徴とする、請求項24の滑り軸受け複合材料。
【請求項26】
前記スパッタ層が、アルミニウム−スズ合金、アルミニウム−スズ−ケイ素合金、アルミニウム−スズ−銅合金、アルミニウム−スズ−ケイ素−銅合金、またはアルミニウム−スズ−ニッケル−マンガン合金からなることを特徴とする、請求項25の滑り軸受け複合材料。
【請求項27】
前記合金において、スズの割合が8〜40重量%であり、銅の割合が0.5〜4.0重量%であり、ケイ素の割合が0.02〜5.0重量%であり、ニッケルの割合が0.02〜2.0重量%であり、そしてマンガンの割合が0.02〜2.5重量%であることを特徴とする、請求項26の滑り軸受け複合材料。
【請求項28】
前記中間層が電気メッキ層からなり、かつ前記滑り層がスパッタ層からなることを特徴とする、請求項25の滑り軸受け複合材料。
【請求項29】
前記滑り層の上に初期なじみ層が設けられることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項30】
前記初期なじみ層が、スズ層、鉛層、銅層またはインジウム層あるいは樹脂層として形成されることを特徴とする、請求項29の滑り軸受け複合材料。
【請求項31】
前記軸受け金属層の厚さが0.1〜0.8mmであることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項32】
前記中間層の厚さが1〜12μmであることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項33】
前記滑り層の厚さが4〜30μmであることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項34】
前記初期なじみ層の厚さが0.2〜12μmであることを特徴とする、請求項29〜33のいずれか一つの滑り軸受け複合材料。
【請求項35】
滑り軸受けシェルのための、請求項1の滑り軸受け複合材料の使用。
【請求項36】
滑り軸受け複合材料、特に滑り軸受けシェルなどの滑り軸受け要素のための滑り軸受け複合材料の製造方法であって、次の工程、すなわち
− 請求項1に従う銅合金から帯状材料を製造し、そしてこの帯状材料を、場合によっては中間層も使用して、鋼製のキャリア層の上にロール圧接して複合体を製造する工程、
− 次の工程で熱機械的に処理する工程、
− 550℃〜700℃の温度で2〜5時間の前記複合体の少なくとも一回の第一の焼き鈍し工程、
− 20〜30%の変形度で行われる、前記複合体の少なくとも一回の第一の圧延工程、
− 500〜600℃の温度で1時間を超える時間の少なくとも一回の第二の焼き鈍し工程、
を含む、前記方法。
【請求項37】
滑り軸受け複合材料、特に滑り軸受けシェルなどの滑り軸受け要素のための滑り軸受け複合材料の製造方法であって、次の工程、すなわち
− 請求項1に従う銅合金を鋼製キャリア層の上に施工して複合体を製造する工程、
− 第一の焼き鈍し工程が統合された、前記複合体を焼結する工程、
− 次の段階で熱機械的処理を行う工程、
− 20〜30%の変形度で行われる、前記複合体の少なくとも一回の第一の圧延工程、
− 500℃〜600℃の温度で1時間を超える時間の少なくとも一回の第二の焼き鈍し工程、
を含む、前記方法。
【請求項38】
滑り軸受け複合材料、特に滑り軸受けシェルなどの滑り軸受け要素のための滑り軸受け複合材料の製造方法であって、次の工程、すなわち、
− 請求項1に従う銅合金を鋼製のキャリア層の上に鋳造して複合体を製造する工程、
− 次の工程で熱機械的処理を行う工程、
− 550℃〜700℃の温度で2〜5時間の前記複合体の少なくとも一回の第一の焼き鈍し工程、
− 20〜30%の変形度で行う、前記複合体の少なくとも一回の第一の圧延工程、
− 500℃〜600℃の温度で1時間を超える時間の少なくとも一回の第二の焼き鈍し工程、
を含む、前記方法。
【請求項39】
第二の焼き鈍し工程の後に、最大30%の変形度で第二の圧延工程を行い、次いで>500℃の温度で少なくとも1時間、第三の焼き鈍し工程を行うことを特徴とする、請求項36〜38のいずれか一つの方法。
【請求項40】
滑り軸受け要素、特に滑り軸受けシェルを製造する方法であって、
・請求項36〜39に従い複合体を製造し、
・前記複合体からシートを切り離し、
・前記シートを変形加工して滑り軸受け要素とし、そして
・滑り層を施工する、
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項41】
前記滑り層の施工の前に、少なくとも一つの中間層を施工することを特徴とする、請求項40の方法。
【請求項42】
前記滑り層の上に、初期なじみ層を施工することを特徴とする、請求項40または41の方法。

【公表番号】特表2008−540953(P2008−540953A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510508(P2008−510508)
【出願日】平成18年5月13日(2006.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004505
【国際公開番号】WO2006/120016
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(501014452)フエデラル―モーグル・ウイースバーデン・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (21)
【Fターム(参考)】