説明

漏水検知システム

【課題】 漏水検知部に詰まり等が発生したとしても誤判定することなく、熱交換器破損に起因する漏水発生を正確に検知し得る漏水検知システムを提供する。
【解決手段】 漏水検知部を構成する貯留容器内に一時貯留された熱媒体の液位が漏水検知液位レベルを超えた状態が設定時間継続(漏電電極がON状態継続)すれば、漏水発生の可能性ありと判定する(S1でYES)。漏水検知部の上流側の膨張タンクの液位が設定液位よりも上であれば(S2でYES)、熱交換器破損に起因する漏水発生と判定して報知する(S3)。膨張タンクの液位が設定液位よりも下であれば(S2でNO)、漏水検知部内又は下流側排出路の詰まり発生(排出異常発生)と判定して報知する(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源側の液体と加熱対象側の液体との間で熱交換が行われる熱交換器において、両液体を隔てる内部隔壁の損傷に起因して生じるおそれのある漏水を検知する漏水検知システムに関し、特に漏水検知システム側の不具合に起因する誤判定発生のおそれを回避し得る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人は、特許文献1において、一次側循環回路内の熱媒体を熱源にして、二次側循環回路内の熱媒体を熱交換器で熱交換加熱するような給湯装置やコージェネレーション・システム(以下、「コージェネシステム」という)において、熱交換器の内部隔壁の損傷(例えば穴あき)発生を検知するための熱交換器破損検知装置を提案している。このものでは、熱交換器に前記損傷が発生すると、内部圧力の高い一次側循環回路内の熱媒体が二次側循環回路内に漏れだし、二次側循環回路に介装された膨張タンクに流入し、膨張タンクをオーバーフローすることになるため、オーバーフローした熱媒体を一時貯留する貯留容器を設置し、この貯留容器内の液位を検知する液位センサからの出力に基づいて熱交換器破損の発生を検知するようにしている。より具体的には、貯留容器に対し、熱媒体の一時貯留量が所定の高水位レベル以上になれば大流量で排出し得る排出路を設ける一方、底部近くの低水位レベル位置に所定の小流量ずつの排出のみを許容する抑制排出路を設けている。そして、前記の熱交換器破損が生じたときには、抑制排出路による排出が追いつかずに前記低水位レベル以上の一時貯留量を所定時間にわたり継続することになるため、このような低水位レベル以上の一時貯留量の継続が液位センサにより検出されたとき、熱交換器破損と判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−241119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の熱交換器破損検知装置の原理を応用して一次側から二次側への熱交換器を介した漏水発生を検知しようとすると、その検知メカニズムにおける不具合発生に起因して誤判定を生じるおそれが考えられる。すなわち、前記の熱交換器破損検知装置では、前記の抑制排出路として小開口部や、狭窄部を設けることで所定の小流量の通過量となるようにしているため、その抑制排出路に何らかの原因で詰まり等が発生して排出不能になってしまうと、熱交換器破損が生じていなくても、低水位レベル以上の一時貯留量の状態が継続してしまうことになる。この結果、熱交換器破損が生じていないにも拘わらず、熱交換器破損が生じたと誤判定してしまうおそれのあることが考えられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前記の詰まり等が発生したとしても誤判定することなく、熱交換器破損に起因する漏水発生を正確に検知し得る漏水検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、内圧が高圧側になる一次側回路と、膨張タンクが介装されて内圧が低圧側になる二次側回路との間で両回路内の熱媒体を液−液熱交換する熱交換器を備えたシステムに適用され、前記膨張タンクからオーバーフローした熱媒体を一時貯留する漏水検知部と、この漏水検知部内で熱媒体の設定滞留状態の発生を検知することで前記熱交換器を介した両回路間における漏水発生と判定する漏水検知処理手段とを備えた漏水検知システムを対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記膨張タンク内に液位を検知する液位検知手段と、前記液位検知手段による液位検知に基づいて前記漏水発生との判定結果を補正処理する漏水判定補正手段と、を備えることとした(請求項1)。より具体的には、前記漏水判定補正手段として、前記液位検知手段による検知液位が設定液位以下であるとき、前記漏水検知部内で熱媒体の設定滞留状態の発生を検知したとしても、漏水発生との判定を行わない構成とする(請求項2)。
【0007】
本発明の場合、漏水検知部内で熱媒体の設定滞留状態が発生して漏水発生と判定される事態に仮に至るような場合であっても、液位検知手段による膨張タンク側の液位状況(検知液位)が例えばオーバーフローは発生し得ないような設定液位以下である場合には、前記の漏水発生との判定結果を補正処理、すなわち、漏水発生との判定をキャンセルしたり、漏水発生との判定を行わないようにしたりする補正処理を行うため、漏水検知処理における誤判定の発生を確実に回避することが可能となり、誤判定に基づく無駄なメンテナンス作業を強いられることを回避することが可能となる。
【0008】
さらに、前記漏水判定補正手段として、前記液位検知手段による検知液位が設定液位以下であるとき、前記漏水検知部内又はその漏水検知部から下流側の排出路において通路閉塞が発生していると判定し、その旨のエラー発生に係る報知処理を実行する構成とすることもできる(請求項3)。このようにすることにより、漏水検知処理における誤判定の発生を確実に回避し得るのみならず、前記の漏水検知部における熱媒体の設定滞留状態の発生が、熱交換器破損に起因して漏水が発生したものであるのか、漏水検知部内又は下流側の排出路での通路閉塞(詰まり)が発生したものであるのか、のいずれの原因によるものかを確実に峻別することが可能となる。その上に、通路閉塞が発生した場合には、その旨をユーザ又はメンテナンス作業員に的確に報知し得ることになって、以後のメンテナンスを大幅に容易化し得ることになる。
【発明の効果】
【0009】
以上、説明したように、本発明の漏水検知システムによれば、漏水検知部内で熱媒体の設定滞留状態が発生して漏水発生と判定される事態に仮に至るような場合であっても、液位検知手段による膨張タンク側の液位状況(検知液位)に基づき、漏水発生との判定結果を補正処理することができるようになる。これにより、漏水検知処理における誤判定の発生を確実に回避することができ、誤判定に基づく無駄なメンテナンス作業を強いられることを回避することができるようになる。
【0010】
特に請求項2によれば、前記の効果をより具体的に得ることができるようになる。さらに、請求項3によれば、液位検知手段による検知液位が設定液位以下であるとき、前記漏水検知部内又はその漏水検知部から下流側の排出路において通路閉塞が発生していると判定し、その旨のエラー発生に係る報知処理を実行するようにすることで、漏水検知部における熱媒体の設定滞留状態の発生が、熱交換器破損に起因して漏水が発生したものであるのか、漏水検知部内又は下流側の排出路での通路閉塞が発生したものであるのか、のいずれの原因によるものかを確実に峻別することができることになる。その上に、通路閉塞が発生した場合には、その旨をユーザ又はメンテナンス作業員に的確に報知することができ、以後のメンテナンスを大幅に容易化することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る漏水検知システムを適用したコージェネシステムの例を示す模式図である。
【図2】図2(a)は図1の漏水検知システムの貯留容器の拡大断面説明図であり、図2(b)は図2(a)の部分拡大図である。
【図3】図3(a)は図2(b)の部分斜視図であり、図3(b)は図2(b)の構成に代え得る他の態様を示す図2(b)対応図である。
【図4】コントローラにおける漏水検知に係る制御構成のブロック図である。
【図5】漏水検知に係る制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る漏水検知システムRを適用したコージェネシステムを示す。このコージェネシステムは、発電システムEと、給湯・暖房システムWと、これらの各システムE,W,Rの作動制御等の制御を行うコントローラCとを備えたものであり、発電システムEの発電運転に伴い発生する排熱を給湯・暖房システムWでの熱源として利用するものである。まず、コージェネシステムの構成について、概略を説明する。
【0014】
発電システムEは、その駆動により発電運転が行われるガスエンジン11と、このガスエンジン11内部のエンジン冷却水を熱源の熱媒体として排熱回収用の熱交換器31との間で循環させる第1循環回路12とを備え、第1循環回路12には循環ポンプ13と、膨張タンク14とが介装されている。そして、ガスエンジン11の駆動により発電運転が行われると、その発電運転により生成された電力が電気機器に供給される一方、駆動により昇温したエンジン冷却水が熱交換器31に対し第1循環回路12を通して循環供給され、この熱交換器31において前記エンジン冷却水を熱源として給湯・暖房システムW側の第2循環回路32の循環湯水を液−液熱交換により加熱するようになっている。これにより、ガスエンジン11の排熱回収が行われる。
【0015】
前記膨張タンク14には、液位検出手段として低水位用及び高水位用の2本の水位電極141,142が設置される一方、液位が所定液位よりも上昇したときにオーバーフローさせるためのオーバーフロー管15が接続されている。そして、第1循環回路12内の熱媒体が所定量以下に減れば、コントローラCによる制御により熱媒体が自動補給されるようになっている。すなわち、水位電極141からの信号出力により膨張タンク14内の液位が低水位を下回ったことが検知されれば、熱媒体補給用の補給路16を開制御して熱媒体(例えばエンジン冷却水用の不凍液)が補給され、水位電極142からの信号出力により液位が高水位(設定液位)まで回復したことが検知されれば、前記の補給が停止されるようになっている。前記オーバーフロー管15の下流端は漏水検知システムRの後述の貯留容器51まで延長されて、オーバーフローした熱媒体を貯留容器51内に流入させるようになっている。
【0016】
給湯・暖房システムWは、前記発電システムEの排熱を熱源とする貯湯式給湯装置と、給湯装置の側の貯湯の熱を熱源とする温水式暖房装置とを複合させたもので構成されている。給湯装置の側の構成として、密閉式の貯湯タンク2と、循環ポンプ30の作動により貯湯タンク2内の湯水を底部21から取り出して液−液熱交換式の熱交換器31において前記エンジン冷却水の排熱を熱回収した上で頂部22に戻すことで貯湯タンク2内に貯湯として蓄熱するための第2循環回路32と、外部から水道水等を給水する給水回路33と、貯湯タンク2からの貯湯又は補助熱源機34からの補助加熱後の湯を用いて給湯栓35に給湯する給湯回路36とを備えている。なお、補助熱源機34は、例えば瞬間式湯沸器により構成されている。
【0017】
給水回路33は、上流端が外部の水道管等に接続され、下流端が逆止弁を介して貯湯タンク2の底部近傍に接続されて貯湯タンク2に対し給水したり、分岐給水路37を通して給湯回路36の側に給水したりすることができるようになっている。そして、給湯栓35が開かれて給湯回路36から給湯される場合には、貯湯タンク2からの湯又は補助熱源機34からの補助加熱後の湯に対し、分岐給水路37からの給水を混合弁38において所定の混合比で混合することで温調した上で、給湯栓35に給湯させるようになっている。以上の動作における貯湯タンク2内の貯湯温度に応じて補助熱源機34を作動させたり、混合弁38による混合制御により温調制御したりという種々の作動制御がコントローラCにより行われるようになっている。
【0018】
又、温水式暖房装置の側の構成としては、例えば床暖房等の外部の暖房端末40に対し暖房用熱源の熱媒体(例えばエチレングリコール等の不凍液)を循環供給する第3循環回路41を備えている。この第3循環回路41には、液−液熱交換式の熱交換器42と、循環ポンプ43と、膨張タンク44とが介装されている。熱交換器42には、第2循環回路32の熱交換器31により熱交換加熱された湯、又は、熱交換器31の下流側で補助熱源機34により補助加熱された湯が熱源として循環供給され(図1の一点鎖線の矢印参照)、貯湯式給湯装置の側の湯により暖房用の熱媒体が熱交換加熱されるようになっている。暖房端末40からの暖房要求がコントローラCに出力されると、循環ポンプ43が作動されて熱媒体が熱交換器42と暖房端末40との間で循環供給されることになり、熱交換器42で加熱された熱媒体が暖房端末40に供給されて放熱され、放熱により降温した熱媒体が熱交換器42に戻されて再加熱されるということを繰り返すことになる。
【0019】
膨張タンク44は、発電システムEの膨張タンク14と同様構成を備えている。すなわち、膨張タンク44には、液位検出手段として低水位用及び高水位用の2本の水位電極441,442が設置される一方、液位が所定液位よりも上昇したときにオーバーフローさせるためのオーバーフロー管45が接続されている。そして、第3循環回路41内の熱媒体が所定量以下に減れば、コントローラCによる制御により熱媒体が自動補給されるようになっている。水位電極441からの信号出力により膨張タンク44内の液位が低水位を下回ったことが検知されれば、熱媒体補給用の補給路46を開制御して熱媒体が補給され、水位電極442からの信号出力により液位が高水位(設定液位)まで回復したことが検知されれば、前記の補給が停止されるようになっている。前記オーバーフロー管45の下流端は漏水検知システムRの貯留容器51まで延長されて、オーバーフローした熱媒体を貯留容器51内に流入させるようになっている。
【0020】
漏水検知システムRは、前記の膨張タンク14及び/又は44においてオーバーフローしてオーバーフロー管15,45により導入される熱媒体を一時貯留する貯留容器51と、貯留容器51内に一時貯留される熱媒体の液位を検出する液位電極により構成された漏水電極52と、貯留容器51内に一時貯留された熱媒体を2通りの排出形態により排出させる排出部53とを備えている。排出部53は、図2(a),(b)及び図3(a)に示すように、貯留容器51の底壁511を上下に貫通する筒状本体531により構成され、筒状本体531には上下にそれぞれ開口し比較的大径の内径に設定された開放排出路532と、底壁511よりも僅かに上位置において筒状本体531の側面に開口して開放排出路532に連通する抑制排出路533とが形成されている。
【0021】
筒状本体531は、開放排出路532の上端開口532aが所定の上限液位レベルHLに位置するように底壁511から上方に突出した状態に配設されている。そして、開放排出路532の通水断面積は、抑制排出路533のそれよりも大流量の熱媒体の通過を許容し得る値であって、一時貯留される熱媒体がオーバーフロー管15,45から急速かつ多量に導入されて上限液位レベルHLを超えることになったとしても、その一時貯留状態の熱媒体を早期に排出し得る程度に大流量で通過させ得る値に設定されている。又、抑制排出路533の開口位置は、底壁511の上面(底面)位置でもよいが、熱媒体に含まれるかもしれない塵埃等を沈殿させて目詰まりの発生を回避するために、底壁511の上面から僅かに上位置の下限液位レベルLLから上に開口するように設定されている。
【0022】
この抑制排出路533の開口断面積は、熱交換器破損に起因する程度よりも少ない一時貯留量の熱媒体であれば、たとえオーバーフロー管15,45から導入されて漏水電極52の下端位置である漏水検知液位レベルRLを超えて漏水電極52から検知信号が出力されたとしても、早期(後述の漏水検知タイマに基づく経過時間値よりも早期)に排出し得る程度の流量(例えば50〜200mL/分)で熱媒体を排出し得るように設定されている。すなわち、貯留容器51に対しオーバーフロー管15,45から導入される熱媒体が、熱交換器破損に起因するものではなくて、例えばオーバーフロー管15,45の内表面に生じるかもしれない凝結水の発生や、膨張タンク14,44への補給路16,46からの補給の停止遅れに起因する過剰補給に起因する程度の僅かな量であれば、その熱媒体を早期に排出させることで、漏水検知と判定されないようになっている。このような排出部53を有する貯留容器51によって漏水検知部が構成されている。そして、この漏水検知部での熱媒体の一時貯留量の状況を漏水電極52により把握することで、熱交換器31及び/又は42の熱交換器破損(例えば内部隔壁の穴あき)の発生に起因する漏水が発生していることを判定し得るようにしている。つまり、熱交換器破損に起因して膨張タンク14,44がオーバーフローした結果、貯留容器51内に一時貯留されることになった熱媒体が抑制排出路533からでは排出し切らずに所定の設定時間以上にわたり漏水検知液位レベルRLよりも高い液位に維持されるという滞留状態(設定滞留状態)に至れば、熱交換器破損に起因する漏水が発生したと検知し得るようにしているのである。
【0023】
ここで、給湯栓35が閉じられて給湯回路36による給湯作動が停止している状態では、第2循環回路32内が給水圧に支配的となっているため、膨張タンク14,44で開放されている第1又は第3循環回路12,41内の内圧よりも第2循環回路32内のそれの方が高くなる。このため、熱交換器31,42において熱交換器破損が万一発生すると、内圧の高い第2循環回路32内の湯水が第1又は第3循環回路12,41内に継続的に漏水することになる。漏水が発生すると、膨張タンク14,44の液位が上昇してオーバーフローすることになり、このオーバーフローした熱媒体等がオーバーフロー管15,45を通して貯留容器51に導入されることになるのである。従って、かかる漏水発生を早期に検知することで、第1又は第3循環回路12,41内の熱媒体に対し第2循環回路32内の湯水が混入してしまうという不具合発生を可及的に小さく抑えることができたり、熱交換器破損の発生を早期に把握してメンテナンスすることができたりするということが可能となる。
【0024】
コントローラCは図4に示すように漏水検知処理手段6を備え、この漏水検知処理手段6は漏水検知処理部61と、漏水判定補正手段としての漏水判定補正部62とを備えている。これら漏水検知処理部61及び漏水判定補正部62は、貯留容器51内の漏水電極52と、膨張タンク14,44の特に高水位用の水位電極142,442とからの信号出力に基づいて、漏水検知の判定を行って報知手段としてのリモコン63に対する報知処理を行ったり、漏水発生ではなくて例えば抑制排出路533に詰まりが発生したことに起因する偽漏水検知であることを検知して漏水判定検知の補正処理を行ったりするようになっている。
【0025】
以下、図5を参照しつつ、漏水検知処理手段6による処理を説明する。まず、漏水電極52が所定の設定時間だけON状態を継続するか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、漏水電極52からON信号が出力されれば、電子時計を用いた漏水検知タイマをスタートさせ、ON信号が設定時間の経過するまで継続すれば、ON状態継続(設定滞留状態の発生)と判定して漏水発生の可能性ありとの判定を行う(ステップS1でYES)。次に、膨張タンク14,44の水位電極142,442からのON信号が出力されているか否かを判定する(ステップS2)。水位電極142,442のいずれかからON信号が出力されていれば(ステップS2でYES)、膨張タンク14又は44内の熱媒体の液位が上昇してオーバーフローした結果、前記の漏水電極52のON状態が継続しているため、熱交換器破損(熱交換器穴あき)に起因する漏水発生との判定を確定させ、報知手段であるリモコン63に対する報知処理等を行う(ステップS3)。
【0026】
一方、ステップS2で水位電極142,442のいずれからもON信号が出力されていなければ(ステップS2でNO)、排出異常発生(漏水検知部の詰まり発生)と判定し、漏水電極52のON状態が設定時間継続しているとしても、前記の漏水発生の可能性ありとの判定をキャンセルして漏水発生との判定は行わないようにし、報知手段であるリモコン63に対し排出異常発生の旨の報知処理等を行う(ステップS4)。つまり、膨張タンク14,44でオーバーフローしていないにも拘わらず、漏水電極52がONとなる漏水検知液位レベルRLよりも高い一時貯留量が継続しているため、それは抑制排出路533を含む排出路に詰まりが生じたためであり、熱交換器破損が発生したのではないと判定する。
【0027】
以上の漏水検知処理によれば、貯留容器51内の一時貯留量がたとえ漏水電極52がONとなる漏水検知液位レベルRLよりも高い状態が継続したとしても、膨張タンク14,44側の状況(オーバーフローが発生しているか否か)を水位電極142,442の出力状況をチェックすることで、前記の一時貯留量の状況が熱交換器破損に起因して漏水が発生したものであるか、抑制排出路533等の詰まり発生に起因して発生したものであるかを確実に峻別することができる。これにより、漏水検知処理における誤判定の発生を確実に回避することができるようになり、誤判定に基づく無駄なメンテナンス作業を強いられることを回避することができる。その上に、詰まり発生(通路閉塞)が発生した場合には、その旨をユーザ又はメンテナンス作業員に的確に報知することができ、以後のメンテナンスを大幅に容易化することができるようになる。
【0028】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態における排出部53の抑制排出路533の代わりに、図3(b)に示すような排出部53aを適用してもよい。この排出部53aは、排出路の途中に狭窄部を形成し、この狭窄部により抑制排出路533aを構成したものである。この抑制排出路533aも前記実施形態の抑制排出路533と同様な通過流量になるように絞られている。
【0029】
又、本発明の適用対象としては、少なくとも次の構成を備えるものであればよい。すなわち、液−液熱交換式の熱交換器を備え、内部隔壁に穴あき等の熱交換器破損が発生すると、内圧の高い側から低い側に熱媒体が漏水し、その漏水が流入する側の回路に介装された膨張タンクからオーバーフローした熱媒体が漏水検知システムRの貯留タンク51に導入されるように構成されていれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
6 漏水検知処理手段
14,44 膨張タンク
15,45 オーバーフロー管
31,42 熱交換器
51 貯留容器(漏水検知部)
52 漏水電極
53 排出部(漏水検知部)
61 漏水検知処理部
62 漏水判定補正部(漏水判定補正手段)
63 リモコン(報知手段)
142,442 水位電極(液位検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内圧が高圧側になる一次側回路と、膨張タンクが介装されて内圧が低圧側になる二次側回路との間で両回路内の熱媒体を液−液熱交換する熱交換器を備えたシステムに適用され、前記膨張タンクからオーバーフローした熱媒体を一時貯留する漏水検知部と、この漏水検知部内で熱媒体の設定滞留状態の発生を検知することで前記熱交換器を介した両回路間における漏水発生と判定する漏水検知処理手段とを備えた漏水検知システムであって、
前記膨張タンク内に液位を検知する液位検知手段と、
前記液位検知手段による液位検知に基づいて前記漏水発生との判定結果を補正処理する漏水判定補正手段と、
を備えていることを特徴とする漏水検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の漏水検知システムであって、
前記漏水判定補正手段は、前記液位検知手段による検知液位が設定液位以下であるとき、前記漏水検知部内で熱媒体の設定滞留状態の発生を検知したとしても、漏水発生との判定を行わないように構成されている、漏水検知システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の漏水検知システムであって、
前記漏水判定補正手段は、前記液位検知手段による検知液位が設定液位以下であるとき、前記漏水検知部内又はその漏水検知部から下流側の排出路において通路閉塞が発生していると判定し、その旨のエラー発生に係る報知処理を実行するように構成されている、漏水検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−207928(P2012−207928A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71497(P2011−71497)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】