説明

漏洩磁束探傷装置

【課題】本発明は、厚鋼材の表層部を探傷する際、静止した厚鋼材上で磁化器を走査するために磁化器を大型化せずに厚鋼材表層部の磁化レベルを上げ、磁気センサが高いS/Nで表層部の欠陥からの漏洩磁束を検出する漏洩磁束探傷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上記した目的を達成するために、本発明の漏洩磁束探傷装置は、前記磁化器を走査するために設置された移動台車と、前記磁化器の磁極近傍にそれぞれ磁束収束板を備えることを特徴とする。
【効果】本発明によれば、厚鋼材の表層部を探傷する際、静止した厚鋼材上で磁化器を走査するために磁化器を大型化せずに厚鋼材表層部の磁化レベルを上げ、磁気センサが高いS/Nで表層部の欠陥からの漏洩磁束を検出する漏洩磁束探傷装置を提供することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気探傷装置に係り、特に厚物の鋼材を直流磁化し、鋼材表層部の欠陥部に生じる漏洩磁束を検出する漏洩磁束探傷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、強磁性体である薄鋼板に存在する表面及び内部欠陥を検出する検査方法として漏洩磁束探傷法が用いられている。その一例として、製鉄プラントにおける製鉄ラインに組み込まれている、漏洩磁束探傷装置の構成を図9に示す。製品検査ラインを搬送ローラ101、102によりほぼ一定速度Vで搬送される薄鋼帯103の搬送路に沿って漏洩磁束探傷装置100が配置されている。この漏洩磁束探傷装置100は、走行状態の薄鋼帯103に磁界を印加する磁化器104と、薄鋼帯103を挟んで磁化器104の対向位置に配置された磁気センサ105と、この磁気センサ105からの検出信号に基づいて薄鋼帯103の内部又は表面の欠陥106を検出する信号処理装置(図示しない)とで構成される。磁化器104と薄鋼帯103の間には、磁化器104が薄鋼帯103を磁化している間も磁化器104と薄鋼帯103が相対的に移動可能とするために隙間(以下、ギャップという)が設けられており、磁化器104で発生した磁束は、磁極からギャップを通り、薄鋼帯103内を通り、反対側のギャップを介して磁極に入る。薄鋼帯103を磁気飽和近傍まで磁化すると、欠陥部から漏洩磁束が空間に漏洩する。磁気センサ105はこの漏洩磁束を検出し、検出信号の信号レベルによって欠陥106の大きさを評価できる。
【0003】
さらに微小欠陥を検出する場合は、微小欠陥から十分な漏洩磁束が発生するように薄鋼帯103を磁気飽和するまで磁化するため、薄鋼帯103の磁気抵抗が増加し、健全部からも浮遊磁束が発生する。この浮遊磁束は常時発生しており、磁気センサ105が欠陥からの漏洩磁束を検出する際にノイズとなり、S/Nが低下する。この対策として磁化器104と磁気センサ105の間にシールド体を配置して、磁気センサのS/Nを高める方法が提案されている。(特許文献1)図10に薄鋼帯103と磁化器104、磁気センサ105、シールド板107a、107bの位置関係を示す。シールド板107a、107b相互間の距離(2A)と薄鋼帯103と磁気センサ105のリフトオフ(L)の関係を
2.2≦2A/L≦2.8 …(1)
に設定することにより、磁気センサ105のS/Nを高めている。
【0004】
しかしながら、厚物の鋼材(以下、厚鋼材という)表層部を上記装置構成で探傷する場合は、薄鋼板と同様の効果は得るのは難しくなる。一般に厚鋼材を直流磁化すると厚鋼材の磁化レベルは、磁束が通る断面積が大きいほど小さくなり、表面の磁化レベルが最大であり、内部になるほど小さくなる。そのため、厚鋼材を薄鋼板と同様に磁気飽和するには、大量の磁束を磁化器で発生させるため、磁化器を大型化する必要がある。さらに、厚鋼材の健全部から浮遊磁束が発生するほど厚鋼材内部の磁化レベルを上げるには、磁化器が大きくなりすぎ、現実的ではない。また、厚鋼材を探傷する場合は、厚鋼材を移動しながら探傷することは難しく、固定した厚鋼材上で磁化器を走査しながら探傷する必要がある。このとき、磁化器を大型化して大量の磁束を発生させると、磁化器と厚鋼材の間に働く吸引力が大きくなりすぎるため、磁化器を厚鋼材に対して走査することが難しくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO92/14145号公報の明細書の4ページ下段、FIG.13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上述べたように、薄鋼板を対象とした従来の漏洩磁束探傷装置は、薄鋼板を磁気飽和させ、健全部からの浮遊磁束が常時存在する条件において、磁気センサ近傍にシールド板を配置することにより、磁気センサが欠陥からの漏洩磁束を検出する際のS/Nを高めている。しかし、厚鋼材を対象とする場合は、厚鋼材を磁気飽和させるためには、磁化器の大型化により厚鋼材と磁化器の間の吸引力が非常に大きくなり、厚鋼材上で磁化器を走査することが難しくなってしまう。そのため、厚鋼材上で磁化器を走査するためには、磁化器を大型化せずに厚鋼材の磁化レベルを上げ、磁気センサが高いS/Nで欠陥からの漏洩磁束を検出する必要がある。
【0007】
本発明は、厚鋼材の表層部を探傷する際、静止した厚鋼材上で磁化器を走査するために磁化器を大型化せずに厚鋼材表層部の磁化レベルを上げ、磁気センサが高いS/Nで表層部の欠陥からの漏洩磁束を検出する漏洩磁束探傷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の漏洩磁束探傷装置は、前記磁化器を走査するために設置された移動台車と、前記磁化器の磁極近傍にそれぞれ磁束収束板を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、厚鋼材の表層部を探傷する際、静止した厚鋼材上で磁化器を走査するために磁化器を大型化せずに厚鋼材表層部の磁化レベルを上げ、磁気センサが高いS/Nで表層部の欠陥からの漏洩磁束を検出する漏洩磁束探傷装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の形態の漏洩磁束探傷装置の断面図である。
【図2】磁束収束板無しの磁化器で厚鋼材を磁化した場合の磁束の流れ説明図である。
【図3】磁束収束板有りの磁化器で厚鋼材を磁化した場合の磁束の流れ説明図である。
【図4】磁極と磁束収束板の間隔をパラメータとした磁極間隔中心軸上の厚鋼材の表面からの深さにおけるX軸方向の磁束密度の関係を表すシミュレーション結果である。
【図5(a)】磁極間隔の中心を対象に磁極間隔の1/2の範囲におけるZ軸方向の磁束密度の積分値を説明する図である。
【図5(b)】磁極と磁束収束板の間隔と磁束収束板無しの条件で規格化したZ軸方向の磁束密度の積分値の関係を表すシミュレーション結果である。
【図6(a)】本発明の第二の形態の漏洩磁束探傷装置の断面図である。
【図6(b)】図6(a)のA−A断面図である。
【図7】本発明の第三の形態の漏洩磁束探傷装置の断面図である。
【図8(a)】本発明の漏洩磁束探傷装置による測定方法を説明する図である。
【図8(b)】磁束収束板無しと有りの条件による測定結果である。
【図9】従来の薄鋼帯検査に用いる漏洩磁束探傷装置である。
【図10】従来の薄鋼帯検査に用いる高感度な漏洩磁束探傷装置である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な一実施例である漏洩磁束探傷装置を図1、図3、図6、図7、図8を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1に第一の形態の漏洩磁束探傷装置のプローブ10の断面図を示す。プローブ10はヨーク1にコイル2を巻回した磁化器と磁化器を設置する移動台車6により構成される。磁化器の磁極間隔Lは60mmとした。移動台車6の底面には厚鋼材8上を移動するための走行輪7a、7bが取り付けられており、厚鋼材8と接する走行輪7a、7bの先端と移動台車6の底面間の距離は0.5mmに設定され、磁化器の磁極23a、23bの底面と移動台車6の底面の距離も0.5mmであり、磁極23a、23bの底面と厚鋼材8のギャップは1mmに設定されている。磁気センサ3は、ホール素子タイプのセンサを用いており、センサ基板4に取り付けられ、センサ基板4が移動台車6の裏面に磁極間の中心に磁気センサの中心が一致するように取り付けられている。磁気センサ3内部のホール素子と厚鋼材8のリフトオフは0.9mmである。磁束収束板5a、5bは、磁極23a、23bの側面との間隔Cが6.5mm、厚鋼材8とのギャップが0.5mmとなるように設置されている。磁化器には電流を供給する励磁用の電源(図示しない)が接続されており、磁気センサ3の信号はAD変換ボード(図示しない)を介し、データ収録装置(図示しない)に収録される。
【0013】
移動台車には、磁化器から厚鋼材への磁場の浸透を妨げず、且つ磁化器の吸引力に耐えるように非磁性材の金属または高強度樹脂が用いられる。厚鋼材上の走行輪は円板形状の車輪または球形上のボールとし、材質は走行時に過大な摩擦力が生じないように低摩擦係数、吸引力に耐える高強度のものが良い。磁化器と厚鋼材のギャップは移動台車に取り付けられる走行輪の位置により決定され、粗加工面等の表面粗さの粗い面を走行する場合にも、磁化器と厚鋼材のギャップを一定にするために、走行輪の位置を調整可能とする。表面粗さの粗い面を走行する場合は、走行輪を4個以上取り付けて、磁化器と厚鋼材のギャップを一定にするために移動台車の水平を保っても良い。磁化器を大型化せずに効率よく磁化器の発生磁束を厚鋼材に流入させるには、磁化器を励磁した移動台車が走査可能なレベルで、できるだけ磁化器と厚鋼材のギャップを小さくするほうが良い。そのため、機械加工面や粗加工面を走行する場合、走行面の凹凸が1mm以下であるので、磁化器と厚鋼材のギャップは凹凸の2倍以下の2mm以下に設定するとよい。
【0014】
磁気センサは移動台車の裏面に磁化器の磁極間隔及び磁極の奥行き方向に対して中心の位置に取り付ける。磁気センサと厚鋼材の間隔(以下、リフトオフという)は、磁化器と厚鋼材のギャップ以下とする。探傷時間を短縮するために磁気センサを複数取り付ける場合は、磁極間隔の方向及び直交方向にアレイ状に取り付けても良い。
【0015】
磁束収束板は、低保持力・高透磁率材を用いる。磁束収束板と厚鋼材のギャップBは、磁束収束板から空間に漏洩する磁束を少なくするために、磁化器と厚鋼材のギャップA以下、できれば磁化器と厚鋼材のギャップAより小さいほうが望ましい。ここで、磁束収束板の有無による厚鋼材を磁化した際の磁束の流れの違いについて図2、図3を用いて説明する。まず、磁束収束板が無い場合は図2に示すように、図示しないコイル2に所定の直流電流を流すとヨーク1により厚鋼材8が磁化される。このとき、磁化器の発生磁束11は、主にヨーク1の磁極23aの底面部から厚鋼材8内に流入する磁束12と磁極23aの側面から漏洩して厚鋼材8に流入する磁束13と磁極23aの側面から直接磁極23bの側面に流入する磁束14に分かれる。厚鋼材8の磁極23a、23b間を通る磁束15は、磁極23bの底面からヨーク1に流入する磁束16と厚鋼材8表面から漏洩して磁極23bの側面に流入する磁束17に分かれてヨーク1にもどる。
【0016】
次に、磁束収束板を設置すると図3に示すように磁化器の発生磁束11は、磁極23aの底面部から厚鋼材8内に流入する磁束12と磁極23aの側面から直接磁極23bの側面に流入する磁束14と磁極23aの側面から磁束収束板5aを通り、厚鋼材8内に流入する磁束18と磁極23aの側面から磁束収束板5aを通り、磁束収束板5bの側面から厚鋼材8に流入する磁束19、磁極23aの側面から磁束収束板5aを経由して空間を通り、磁束収束板5bから磁極23b側面に流入する磁束20に分かれる。厚鋼材8の磁束収束板5a、5b間を通る磁束16は、磁極23bの底面からヨーク1に流入する磁束16と厚鋼材8表面から漏洩して磁束収束板5bを通り、磁極23bの側面に流入する磁束21と磁束収束板5bの底面から磁極23bの側面に流入する磁束22に分かれてヨーク1にもどる。
【0017】
図2、図3を比較すると磁束収束板5a、5bを設置したことにより、全体の磁気抵抗が小さくなり、磁化器の発生磁束11が増大した効果と磁束収束板5a、5bを磁束が通り、磁極近傍で厚鋼材に流入する効果により、厚鋼材8を通る磁束16が増大する。この効果をシミュレーションにより検証した。図4は磁束収束板が無い条件と磁束収束板と磁極の間隔C(以下、間隔Cという)をパラメータとし、磁極間隔Lの中心上の厚鋼材8の表面からの深さにおけるX軸方向の磁束密度(以下、Bxという)について計算した結果を示している。この結果から、磁束収束板無しの条件が最もBxが小さく、間隔Cを小さくしていくとBxは増大し、間隔Cが最小の0mmの条件でBxが最大となることが分かる。
【0018】
次に、磁極間と厚鋼材で囲まれる空間の漏洩磁束と間隔Cの関係について説明する。図5(a)に磁極間隔の中心からL/2の範囲におけるZ軸成分の磁束密度の積分値(以下、ΣBzlという)を示す。図5(b)には間隔CとΣBzlを磁束収束板が無い条件の値で規格化したものの関係をグラフに示す。厚鋼材のBxが最大となる間隔Cが0mmにおいては、磁束収束板が無い条件のΣBzlの約1.6倍であり、間隔Cを大きくしていくとΣBzlは小さくなり、間隔Cが5〜8mmで磁束収束板が無い条件の約0.8倍まで小さくなる。間隔Cが8mmを超えるとΣBzlは再び大きくなり、間隔Cが10mmで磁束収束板が無い条件とほぼ等しくなり、その後は間隔Cが大きくなるにつれてΣBzlも大きくなる。
【0019】
図4、図5から間隔Cが0mm近傍では、ΣBzlは磁束収束板が無い条件と比べて大きくなるが、Bxが磁束収束板が無い条件と比べて大きくなる効果のほうが大きいので、磁気センサのS/Nは高くなり、間隔Cが10mmまでは、ΣBzlは磁束収束板が無い条件と比べて小さく、Bxは磁束収束板が無い条件と比べて大きいので、磁気センサのS/Nは高くなる。間隔Cが10mmを超えると、ΣBzlは磁束収束板が無い条件と比べて大きくなり、Bxが磁束収束板が無い条件と比べて大きくなる効果が小さくなるので、磁気センサのS/N向上は望めない。このシミュレーションに用いた磁化器の磁極間隔Lは60mmであるので、一例として間隔Cを磁極間隔Lの1/6以下に設定すれば、磁気センサのS/Nを高める効果が得られるといえる。但し、厳密には磁極間隔Lを含む磁化器の形状、厚鋼材の磁気特性等により磁気センサのS/Nを高める効果が得られる間隔Cの範囲は多少ばらつくので、磁束収束板の間隔Cを磁極間隔Lの1/5以下とし、探傷する際に最適な位置を検討できるように磁極間隔Lの1/5以下の範囲で磁束収束板の位置を自由に設定できる機構を設けることが望ましい。
本発明によれば、磁化器の磁極内側近傍にそれぞれ独立した磁束収束板を備えたことにより、全体の磁気抵抗を低減し、磁化器からの発生磁束が増大する効果と磁極内側面から漏洩する磁束を磁極近傍で厚鋼材に還流する効果により、磁束収束板間の厚鋼材表層部の磁化レベルが増大し、磁束収束板から厚鋼材に漏洩する磁束も磁束収束板が無い条件と同様のレベルに抑えることにより、磁化器を大型化せずに磁気センサが高いS/Nで表層部の欠陥からの漏洩磁束を検出する漏洩磁束探傷装置を提供することができる。特に、磁束収束板と磁極の間隔を磁極間隔の1/5以下の範囲で最適な位置に調整する機構を備えることにより、更にS/Nの高い漏洩磁束探傷装置を提供することができる。
【実施例2】
【0020】
図6(a)、図6(b)に第二の形態の実施例を示す。図6(a)には、磁束収束板24a、24bの位置が調整できるように磁極23a、23bとの間にスペーサ25a、25bが取り付けられている。図6(b)は図6(a)のA−A断面を示しており、磁束収束板24a、24bの位置が調整できるように調整穴26a、26bが移動台車6に設けられている。磁束収束板24a、24b及びスペーサ25a、25bはT字形をしており、それぞれ調整穴26a、26bに設置できる。磁化器を励磁すると磁束収束板24a、24bは、常時スペーサ25a、25bを挟んで磁極23a、23bに引き寄せられているので、プローブ10走査中でも安定して位置決めされる。よって、スペーサ25a、25bの厚さを任意に変更することにより、磁極23a、23bと磁束収束板24a、24abの間隔Cを調整できる。
【実施例3】
【0021】
図7に第三の実施の形態の実施例を示す。図7は、移動台車6の走行輪を取り付けている部分の断面図である。移動台車6に取り付ける走行輪にボールローラ31を用い、ボールローラ31のネジ部にリングスペーサ32を挿入して、移動台車6の底面と厚鋼材8のギャップを調整する。リングスペーサ32の厚さを変更することにより、移動台車6の底面と厚鋼材8のギャップを自在に調整できる。
【0022】
上記実施例で説明したプローブ10を用いて、磁束収束板の効果について測定した結果について説明する。なお、磁化器の起磁力は3000ATとした。図8(a)に測定方法を示す。測定対象となる厚鋼材8の板厚は20mm、表面から3mmの深さに直径5mmの横穴9を設けた。プローブの走査方向は磁化方向と平行とし、横穴9に対して直交するように走査した。
【0023】
図8(b)に測定結果を示す。グラフの横軸は厚鋼材上のプローブの走査位置、縦軸は磁気センサのセンサ出力である。磁束収束板の有無にかかわらず欠陥信号を検出できており、磁束収束板無しと比較して磁束収束板有りのセンサ出力が1.4倍になり、磁束収束板の効果により、厚鋼材内の磁化レベルが高められていることが確かめられた。
【0024】
本発明は、上記実施例に限定されること無く、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種種の変形が可能であり、それらも本発明に含まれることはいうまでもない。具体的には、ヨーク1、磁気センサ3、磁気シールド板5a、5bの磁気特性及びその形状は、測定対象となる鋼材の磁気特性、検出対象となる欠陥の大きさと漏洩磁束分布に応じて本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜調整することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 ヨーク
2 コイル
3、105 磁気センサ
4 センサ基板
5a、5b 磁束収束板
6 移動台車
7a、7b 走行輪
8 厚鋼材
9 横穴
10 プローブ
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22 磁束
23a、23b 磁極
24a、24b T字型の磁束収束板
25a、25b T字型のスペーサ
26a、26b 調整穴
31 ボールローラ
32 リングスペーサ
100 従来の漏洩磁束探傷装置
101、102 搬送ローラ
103 薄鋼帯
104 磁化器
106 欠陥
107a、107b シールド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚物の鋼材を磁化器により磁化し、前記厚物の鋼材に存在する欠陥から生じる漏洩磁束を磁気センサにより検出する漏洩磁束探傷装置において、
前記磁化器を走査するために設置された移動台車と、
前記磁化器の磁極近傍にそれぞれ磁束収束板を備えることを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
【請求項2】
請求項1において、前記磁化器と前記厚物の鋼材のギャップAが、前記磁束収束板と前記厚物の鋼材のギャップBに比べて等しい、又は大きいことを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
【請求項3】
請求項2において、前記磁極と前記磁束収束板の間隔Cは前記磁極間隔Lの1/5以下に設定したことを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
【請求項4】
請求項3において、前記磁極と前記磁束収束板の間隔Cを調整可能にしたことを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
【請求項5】
請求項1から4において、前記磁化器と前記厚物の鋼材のギャップAを2mm以下に設定したことを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
【請求項6】
請求項1から5において、前記移動台車に取り付ける走行輪の取り付け高さを調整可能としたことを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
【請求項7】
請求項1から6において、前記移動台車に4個以上のボールローラ等の球形回転体が取り付けられたことを特徴とする漏洩磁束探傷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68440(P2013−68440A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205494(P2011−205494)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】