説明

演奏教習装置及びブログラム

【課題】 練習曲に最適なコードの押さえ方を練習することのできる演奏教習装置を提供する。
【解決手段】 演奏教習装置は、演奏操作に対応する演奏情報を入力する演奏操作子と、一連の和音情報を演奏順に取得する和音取得手段と、前記取得した一連の和音情報の演奏順に従い、個々の和音情報で示される和音の基本形又は転回形を表す和音の押さえ方情報を生成する生成手段と、前記生成した和音の押さえ方情報を演奏順に従い提示する提示手段と、前記演奏操作子から入力される演奏情報と、前記和音の押さえ方情報とを演奏順に従い比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づき前記演奏操作子を用いた演奏操作を評価する演奏評価手段と、前記演奏評価結果を報知する報知手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏教習装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵盤等の演奏操作子を備えた演奏教習装置が知られている。演奏教習装置の一形態として、和音(コード)名や和音(コード)の押さえ方(運指情報)を順次ユーザに提示して、ユーザに演奏操作子を用いて演奏をさせ、当該演奏操作が提示した和音と一致するか否かを判断して演奏評価を行うものが知られている。
【0003】
また、鍵盤楽器におけるコードの弾き方(押さえ方)を段階的に習得できる演奏教習装置として、複数の教習レベルを用意し、選択された教習レベルに応じてユーザのコード演奏の評価を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−156308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術のように、演奏評価の基準が複数設けられていると、ユーザは演奏レベルに応じた練習を行うことができるが、従来の演奏教習装置では、根音(ルート)の上に3度、5度といった和音構成音を積み重ねるコードの基本形の押さえ方を習得することを目標としているため、曲の流れやコード進行を意識した最適なコードの押さえ方とユーザに提示されるコードの押さえ方とが必ずしも一致するとは限らない。また、ユーザが和音の転回形の押さえ方をした場合には、不正解であると判定される。したがって、コード進行としてユーザが流れをつかんだ演奏をすることが困難である。
【0006】
また、連続するコードのルート音が離れている場合には、指の移動距離が長く、演奏初心者のユーザには演奏が難しくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、練習曲に最適なコードの押さえ方を練習することのできる演奏教習装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、初心者でも簡単に演奏練習することのできる演奏教習装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、演奏教習装置は、演奏操作に対応する演奏情報を入力する演奏操作子と、一連の和音情報を演奏順に取得する和音取得手段と、前記取得した一連の和音情報の演奏順に従い、個々の和音情報で示される和音の基本形又は転回形を表す和音の押さえ方情報を生成する生成手段と、前記生成した和音の押さえ方情報を演奏順に従い提示する提示手段と、前記演奏操作子から入力される演奏情報と、前記和音の押さえ方情報とを演奏順に従い比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づき前記演奏操作子を用いた演奏操作を評価する演奏評価手段と、前記演奏評価結果を報知する報知手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、練習曲に最適なコードの押さえ方を練習することのできる演奏教習装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、初心者でも簡単に演奏練習することのできる演奏教習装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例による演奏教習装置100のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例による演奏教習装置100の機能を表すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例によるコードと演奏音の対応テーブルの一例を表す概念図である。
【図4】本発明の第2の実施例による音名と距離の対応表の一例を表す概念図である。
【図5】本発明の第2の実施例による演奏教習装置100で実行されるコードの押さえ方生成処理を表すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例の変形例による演奏教習装置100で実行されるコードの押さえ方生成処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施例共通の演奏教習装置100のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【0014】
演奏教習装置100のバス6には、RAM7、ROM8、CPU9、検出回路11、表示回路13、記憶装置15、音源・効果回路18、通信インターフェイス(I/F)21が接続される。
【0015】
RAM7は、再生バッファ等のバッファ領域、フラグ、レジスタ、各種パラメータ等を記憶するCPU9のワーキングエリアを有する。
【0016】
ROM8には、各種データファイル、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。この場合、プログラム等を重ねて、記憶装置15に記憶する必要は無い。
【0017】
CPU9は、ROM8又は、記憶装置15に記憶されている制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等に従い、演算又は装置の制御を行う。タイマが、CPU9に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等がCPU9に供給される。
【0018】
ユーザは、検出回路11に接続されるパネル(設定)操作子12を用いて、各種入力及び設定、選択をすることができる。設定操作子12は、例えば、スイッチ、パッド、フェーダ、スライダ、ロータリーエンコーダ、ジョイスティック、ジョグシャトル、文字入力用キーボード、マウス等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。また、設定操作子12は、カーソルスイッチ等の他の操作子を用いて操作する表示装置14上に表示されるソフトスイッチ等でもよい。本実施例では、ユーザは、設定操作子12を操作することにより、演奏教習を行う楽曲に対応する曲データMDの選択を行う。
【0019】
表示回路13は、ディスプレイ14に接続され、各種情報をディスプレイ14に表示することができる。ディスプレイ14は、演奏教習装置100の設定のための各種情報等を表示することができる。また、ディスプレイ14は、演奏ガイドとして、和音名(コード名)や和音(コード)の押さえ方(運指情報)等を表示するとともに、演奏評価結果を表示する。
【0020】
記憶装置15は、ハードディスク、FD(フレキシブルディスク又はフロッピーディスク(登録商標))、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多目的ディスク)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等の記憶媒体とその駆動装置の組み合わせの少なくとも1つで構成される。記憶媒体は、着脱可能であってもよいし、内蔵されていてもよい。記憶装置15及び(または)ROM8には、MIDIデータ等の自動演奏データ等の各種曲データMD、オーディオデータ等、及び、本発明の各実施例を実現するためのプログラムや、その他の制御プログラムを記憶することができる。また、記憶装置15は、図2に示すコード進行パターンデータベースCDB、及び、図2及び図3に示すコード・演奏音対応テーブルCPTを記憶する。なお、本発明の各実施例を実現するためのプログラムや、その他の制御プログラムを記憶装置15に記憶する場合は、これらをROM8に合わせて記憶する必要はない。また、一部のプログラムのみを記憶装置15に記憶し、その他のプログラムをROM8に記憶するようにしてもよい。また、曲データMD、コード進行パターンデータベースCDB及びコード・演奏音対応テーブルCPTをROM8に記憶するようにしてもよい。
【0021】
音源・効果回路18は、記憶装置15、ROM8又はRAM7等に記録された自動演奏データ又は演奏操作子(鍵盤)22あるいは通信インターフェイス21に接続された外部機器等から供給される演奏信号、MIDI信号等に応じて楽音信号を生成し、各種音楽的効果を付与して、サウンドシステム19に供給する。サウンドシステム19は、D/A変換器及びスピーカを含み、供給されるデジタル形式の楽音信号をアナログ形式に変換し、発音する。
【0022】
通信インターフェイス21は、USBやIEEE1394等の汎用近距離有線I/F、Ethernet(登録商標)等の汎用ネットワークI/F等の通信インターフェイス、MIDI I/Fなどの汎用I/F、無線LANやBluetooth(登録商標)等の汎用近距離無線I/F等の通信インターフェイス及び音楽専用無線通信インターフェイスのうち少なくとも1つで構成され、外部機器、サーバ等との通信が可能である。
【0023】
演奏操作子(鍵盤等)22は、検出回路11に接続され、ユーザの演奏動作に従い、演奏情報(演奏データ)を供給する。演奏操作子22は、ユーザの演奏を入力するための操作子であり、ユーザが操作した操作子に対応する音高で、該ユーザの操作子に対する操作開始タイミング及び終了タイミングをそれぞれキーオン及びキーオフ信号として入力する。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施例による演奏教習装置100の機能を表すブロック図である。
【0025】
演奏教習装置100は、記憶部51、コード進行パターン抽出部91、生成部92、演奏評価部93、押さえ方情報(運指情報)表示部30、演奏評価結果表示部31、設定操作子12及び演奏操作子22を含んで構成される。なお、演奏教習装置100の各機能は、特に明記しない限り図1のCPU9により実行される各機能に対応したプログラムにより実現される。
【0026】
記憶部51は、例えば、図1の外部記憶装置15又はROM8等で構成され、複数の曲データMD、及びコード進行パターンデータベースCDBを記憶する。また、図3に示すコード・演奏音対応テーブルCPT、図4に示す音名と距離の対応表NDTを必要に応じて記憶する。なお、本実施例では、図1の通信I/F21等を介してサーバ等からダウンロードされて一時的に記憶される曲データMD等も記憶部51に記憶されたデータとして扱う。
【0027】
それぞれの曲データMDは、設定情報SI、演奏データPD及びコード進行データCDを含んで構成される。
【0028】
設定情報SIは、曲データMDに基づき再生される楽曲の調、拍子、テンポなどを設定するための情報である。
【0029】
演奏データPDは、例えば、曲データMDに基づき再生される楽曲を自動演奏するためのMIDIデータ等の自動演奏データであり、1〜複数のトラックに記録され、タイミングデータと、当該タイミングに再生されるイベントデータとで構成される。
【0030】
タイミングデータは、例えば、所定音符長を所定数(分解能)で割ったTick(Clockともいう)で表されるデータであり、一例として、四分音符を1920で割ったものとする。なお、この場合は、「分解能=1920」といい、1920Ticksで四分音符1つ分の長さに相当する。なお、Tickは、四分音符を分解能で割ったものなので、Tickの時間的長さは、テンポによって変化する。タイミングデータは、曲データの先頭等の所定位置からの絶対タイミング(Tick数)で表してもよいし、1つ前のイベントデータのタイミングからの相対タイミング(Tick数)で表してもよい。
【0031】
イベントデータは、少なくともノート情報を含む。ノート情報は、ノートオンイベント(キーオン)及びノートオフイベント(キーオフ)であり、それぞれが、音高情報を含む。また、ノート情報として、例えば、ゲートタイム、ベロシティ等を含むようにしてもよい。イベントデータとしては、ノート情報の他に、テンポ情報、音色情報、音量情報等を含むようにしてもよい。
【0032】
コード進行データCDは、曲データMDに基づき再生される楽曲のコード進行を記録する情報であり、一連の和音情報を演奏順に記憶している。和音情報は、例えば、和音名(コード情報)と当該和音が適用されるタイミングを示す情報であり、コード進行データCDは、例えば、和音名(コード情報)と当該和音が適用されるタイミングのリストである。なお、コード進行データCDは、演奏データPDの一部(任意の1トラック)として、コード名を表すイベントデータ及びタイミングデータとして構成しても良い。
【0033】
コード進行パターンデータベースCDBは、「I→IV→V7→I」、「I→VIm→IV→V7」、「I→IIm→V7→I」等のコード進行を複数パターン記憶している。なお、和音記号「I、II、III、IV、V、VI」は各調における主音に対する度数を表す。コード進行パターンデータベースCDBは、コード進行を和音記号で表して、設定情報SIで設定される調に応じて和音名に変換して用いる。例えば、設定される調が「Cmaj(ハ長調)」である場合には、和音記号「I」、「IIm」、「IIIm」は、それぞれ「Cmaj」、「Dm」、「Em」に読みかえられる。また、コード進行パターンデータベースCDBを実際の和音名で表すようにしてもよい。その場合、例えば、「Cmaj(ハ長調)」におけるコード進行を複数記憶し、設定情報SIで設定される調に応じて各和音名を転調(トランスポーズ)して用いるようにする。
【0034】
コード・演奏音対応テーブルCPTは、後に詳述する生成部92での処理において、コードの押さえ方(押さえ方情報)を決定するために参照されるテーブルであり、図3(A)〜(C)に示すように、コード進行パターンごとに、コード名と当該コード名における演奏音とを記録する。演奏音は、当該コード名におけるコード構成音を記録するのみならず、各構成音の他の構成音に対する相対的な音高が認識できるように記録される。例えば、図に示すように、音高が低い順からコード構成音を記録し、それを演奏音とする。また、各構成音を絶対音高で記録し、必要に応じてトランスポーズして用いるようにしてもよい。
【0035】
図3(A)に示す例では、コード進行パターン「I→IV→V7→I」に該当するコード進行における演奏音が記録されている。この例では、楽曲の調がCmaj(ハ長調)であるものとして、演奏音が記録されており、コード進行は「Cmaj→Fmaj→G7→Cmaj」となる。第1小節第1拍目からのCmajは、基本形で演奏され、低い音から「C、E、G」とする。第2小節第1拍目からのFmajは、基本形は「F、A、C」であるが、第1小節第1拍目からのCmajとの繋がりを考慮して、転回形で演奏され、低い音から「C、F、A」とする。第3小節第1拍目からのG7は、基本形は「G、B、D、F」であるが、この場合も、第2小節第1拍目からのFmajとの繋がりを考慮して、転回形で演奏され、低い音から「B、D、F、G」とする。第4小節第1拍目からのCmajは、第3小節第1拍目からのG7との繋がりを考慮しても基本形で問題が無いため、基本形で演奏され、低い音から「C、E、G」とする。
【0036】
図3(B)に示す例では、コード進行パターン「I→VIm→IV→V7」に該当するコード進行における演奏音が記録されている。この例では、楽曲の調がCmaj(ハ長調)であるものとして、演奏音が記録されており、コード進行は「Cmaj→Am→Fmaj→G7」となる。第1小節第1拍目からのCmajは、基本形で演奏され、低い音から「C、E、G」とする。第2小節第1拍目からのAmは、基本形は「A、C、E」であるが、第1小節第1拍目からのCmajとの繋がりを考慮して、転回形で演奏され、低い音から「C、E、A」とする。第3小節第1拍目からのFmajは、基本形は「F、A、C」であるが、第1小節第1拍目からのAmとの繋がりを考慮して、転回形で演奏され、低い音から「C、F、A」とする。第4小節第1拍目からのG7は、基本形は「G、B、D、F」であるが、この場合も、第3小節第1拍目からのFmajとの繋がりを考慮して、転回形で演奏され、低い音から「B、D、F、G」とする。
【0037】
図3(C)に示す例では、コード進行パターン「I→IIm→V7→I」に該当するコード進行における演奏音が記録されている。この例では、楽曲の調がCmaj(ハ長調)であるものとして、演奏音が記録されており、コード進行は「Cmaj→Dm→G7→Cmaj」となる。第1小節第1拍目からのCmajは、基本形で演奏され、低い音から「C、E、G」とする。第2小節第1拍目からのDmは、第1小節第1拍目からのCmajとの繋がりを考慮しても基本形で問題が無いため、基本形で演奏され、低い音から「D、F、A」とする。第3小節第1拍目からのG7は、基本形は「G、B、D、F」であるが、この場合も、第2小節第1拍目からのDmとの繋がりを考慮して、転回形で演奏され、低い音から「D、F、G、B」とする。第4小節第1拍目からのCmajは、第3小節第1拍目からのG7との繋がりを考慮しても基本形で問題が無いため、基本形で演奏され、低い音から「C、E、G」とする。
【0038】
コード・演奏音対応テーブルCPTでは、特定のコード進行における和音(コード)の構成音の音高順を記録することにより、基本形だけではなく、当該和音の転回形を簡単に指定することができる。よって、これを用いることにより、コード進行に適合した和音(基本形又は転回形)をユーザに提示することができる。
【0039】
図2に戻り、設定操作子12は、図1を参照して説明した設定操作子12と同様の構成であり、ユーザは設定操作子12を用いて、記憶部51に記憶された曲データMDの選択、演奏評価部93による演奏評価における評価レベルの設定等を行う。
【0040】
コード進行パターン抽出部91は、設定操作子12により選択された記憶部51に記憶されている曲データMD(以下、単に「被選択曲データMD」と呼ぶ)内のコード進行データCDを読み出し、コード進行パターンデータベースCDBを参照して、曲データMDのコード進行パターンを抽出(特定)する。
【0041】
例えば、コード進行データCDの先頭から4つずつコード情報を取得して、それぞれの4つのコード情報を1つのコード情報組とし、設定情報SI中の調情報から各コード情報組みの各コードのルート(根音)を当該調情報で表される調における度数に変換し、コード進行パターンデータベースCDBに登録されている4コード進行パターンとマッチングを行うことにより、コード進行パターンを特定する。
【0042】
なお、コード進行パターンデータベースCDBに登録されている4コード進行パターンのいずれとも合致しない場合は、登録されている4コード進行パターンを前半と後半の2つに分けて2コード進行パターンとし、かつ、コード進行データCDの先頭から2つずつコード情報を取得して、それぞれの2つのコード情報を1つのコード情報組としてマッチングを行うようにしてもよい。
【0043】
また、コード進行パターンデータベースCDBに登録されている4コード進行パターンのいずれとも合致しない場合には、曲データMD中の楽節記号に対応するイベントデータのタイミングや、自動処理による曲構造解析を行い、曲中の区切れ位置から4つずつコード情報を取得するようにしてもよい。
【0044】
生成部92は、被選択曲データMD基づきコード進行パターン抽出部91から供給されるコード進行パターン及びコード・演奏音対応テーブルCPT又は音名と距離の対応表NDTを参照して、ユーザが演奏操作子22を用いて被選択曲データMDを演奏する際のコード(和音)の押さえ方を曲の進行にしたがってユーザに提示するための情報(以下、単に「押さえ方情報」と呼ぶ)を生成し、押さえ方情報(運指情報)表示部30に供給する。なお、曲の進行にしたがって、一連の押さえ方情報を記録したものを押さえ方データと呼ぶ。
【0045】
コードの押さえ方(押さえ方情報)は、コード・演奏音対応テーブルCPTを参照することにより決定する。具体的には、コード進行パターン抽出部91から供給されるコード進行パターンに合致するコード・演奏音対応テーブルCPTを用いて、演奏音を決定し、各演奏音を演奏すべき指を周知の運指情報生成技術により決定して、押さえ方情報として押さえ方情報(運指情報)表示部30及び演奏評価部93に供給する。なお、コード・演奏音対応テーブルCPTは、ハ長調であることを前提として用意されているので、例えば、設定情報SIで示される調情報がト長調(Gmaj)である場合には、コード・演奏音対応テーブルCPTの各演奏音に付き7半音音高を高くして(又は5半音低くして)用いる。
【0046】
また、コード進行パターン抽出部91において、コード進行を抽出できなかった部分については、当該部分のコードをコード進行データCDから検出し、当該検出したコードの基本形に基づき、演奏音を決定し、各演奏音を演奏すべき指を周知の運指情報生成技術により決定して、押さえ方情報として押さえ方情報(運指情報)表示部30及び演奏評価部93に供給するようにしてもよい。あるいは、コード進行パターン抽出部91において、コード進行を抽出できなかった部分については、後述する演算により、演奏音を決定し、各演奏音を演奏すべき指を周知の運指情報生成技術により決定して、押さえ方情報として押さえ方情報(運指情報)表示部30及び演奏評価部93に供給するようにしてもよい。
【0047】
なお、本実施例では生成部92は、曲データMDの選択後から再生(曲データMDに基づく演奏教習)の開始前までに、1曲分の押さえ方情報(押さえ方データ)を生成するものとするが、再生後に所定区間を先読みして、順次押さえ方情報を生成するようにしてもよい。
【0048】
生成部92で生成された押さえ方情報は、図1のRAM7内に用意される1曲分の押さえ方情報(押さえ方データ)の記憶領域に、コード進行情報CDの各コードと各押さえ方情報の対応関係が分かるように記憶する。また、コード進行情報CD内に各コードと各押さえ方情報の対応関係が分かるように記憶してもよい。
【0049】
押さえ方情報は、対象となるコードの構成音のそれぞれについての音高を示す情報である。例えば、ルート音に対する相対的な音高差(半音数、度数等)で各構成音の音高を記録してもよいし、各構成音をそれぞれ絶対音高で記録してもよい。なお、押さえ方情報は、コードを基本形又は転回形で演奏すべきか否か、転回形で演奏する場合の転回形の種類(第1転回形、第2転回形等)、及びコード構成音の中で演奏すべき構成音等が判別できる情報であれば、どのような記録形式であっても良い。
【0050】
押さえ方情報(運指情報)表示部30は、生成部92から供給される押さえ方情報に基づき、コードの押さえ方をディスプレイ14(図1)等に表示する。なお、コードの押さえ方の表示方法(提示方法)は、単にコードの構成音を音高順に並べたものを表示してもよいし、左右10指のいずれの指で演奏すべきかを示す態様で表示しても良い。また、単にコード情報で示される和音名のみを表示するようにしてもよい。なお、押さえ方情報(運指情報)表示部30による表示等に基づきユーザが演奏操作を行うため、当該提示は、実際に演奏するべきタイミングよりも前に行う必要がある。
【0051】
押さえ方情報のユーザへの提示方法は、ディスプレイ14の表示画面上にコード名や構成音を楽譜形式で表示してもよい。また、ディスプレイ14を用いずに、例えば、鍵盤の各鍵にガイドランプを設け、当該ガイドランプの点灯により、演奏すべき鍵をユーザに知らせる方法でもよい。その他、周知の運指情報表示技術を用いて表示することができる。また、外付けのディスプレイに表示するようにしても良い。
【0052】
演奏操作子22は、図1を参照して説明した演奏操作子22と同様の構成であり、ユーザが押さえ方情報(運指情報)表示部30に表示される押さえ方情報を参照して、演奏操作子22を演奏操作(演奏操作子22を用いて和音(コード情報)等を入力)することにより、当該演奏操作に基づく演奏情報(コード情報)が演奏評価部93に供給される。
【0053】
演奏評価部93は、予め設定された、或いは、ユーザが設定操作子12で設定したレベル設定に基づき入力されるユーザの演奏を評価して、評価結果を演奏評価結果表示部31に表示する。
【0054】
演奏評価部93における演奏評価は、例えば、演奏操作子22から供給される演奏操作に基づく演奏情報(コード情報)と、生成部92から供給される押さえ方情報とを比較し、両者が一致した場合を正解とする。演奏評価の結果は、演奏評価結果表示部31に供給される。
【0055】
演奏評価部93におけるレベル設定としては、例えば、以下のレベル1〜4が考えられる。レベル1では、演奏操作子22から供給される演奏操作に基づく演奏情報(コード情報)の最低音と、生成部92から供給される押さえ方情報の最低音とを比較し、両者が一致した場合を正解とする。レベル2では、演奏操作子22から供給される演奏操作に基づく演奏情報(コード情報)の最低音から2つの押鍵(ノート情報)と、生成部92から供給される押さえ方情報の最低音から2つの音とを比較し、両者が一致した場合を正解とする。レベル3では、演奏操作子22から供給される演奏操作に基づく演奏情報(コード情報)と、生成部92から供給される押さえ方情報とを比較し、各情報の絶対音高は無視して、音名が一致していれば正解とみなす。すなわち、レベル3では、コード構成音が一致していれば、転回形、基本形を問わず正解とする。レベル4では、演奏操作子22から供給される演奏操作に基づく演奏情報(コード情報)と、生成部92から供給される押さえ方情報とを比較し、両者が完全に一致している場合のみを正解とする。すなわち、レベル4では、転回形、基本形を区別して正否を判断する。
【0056】
演奏評価結果表示部31は、ディスプレイ14(図1)等で構成され、演奏評価部93から供給される演奏評価の結果を表示する。演奏評価結果のユーザへの報知方法は、ディスプレイ14の表示画面上に「○」や、「×」をユーザが演奏情報を入力するたびに表示してもよいし、一曲の演奏終了後に総合評価を得点やメッセージなどで表示してもよい。また、ディスプレイ14への表示に限らず、サウンドシステム19(図1)を介して、音声で演奏評価結果を報知するようにしてもよい。
【0057】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。上述の第1の実施例では、コードの押さえ方(押さえ方情報)をコード・演奏音対応テーブルCPTを参照することにより決定したが、第2の実施例では、生成部92での処理において、コードの押さえ方(押さえ方情報)を演算(図5又は図6に示すフローチャートによる処理)により決定する。
【0058】
第2の実施例では、コード・演奏音対応テーブルCPT、コード進行パターンデータベースCDB、コード進行パターン抽出部91を省略することができる。また、記憶部51には、図4に示す音名と距離の対応表NDTが記憶される。その他の構成は第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0059】
図4は、本発明の第2の実施例による音名と距離の対応表の一例を表す概念図である。
【0060】
音名と距離の対応表NDTは、後に詳述する生成部92での処理において、コードの押さえ方を演算により決定する場合に参照されるテーブルであり、図4に示すように、12音階の各音高(C、C♯、D、D♯、E、F、F♯、G、G♯、A、A♯、B)からの高音側及び低音側の半音距離(1〜6)に相当する音高を記録する。
【0061】
例えば、音高「C」に対して、低音側に半音距離「1」離れた音高は「B」であり、高音側に半音距離「1」離れた音高は「C♯」である。また、音高「C」に対して、低音側に半音距離「5」離れた音高は「G」であり、高音側に半音距離「5」離れた音高は「F」である。
【0062】
図5は、本発明の第2の実施例による生成部92で実行されるコードの押さえ方生成処理を表すフローチャートである。
【0063】
ステップSA1で、コードの押さえ方生成処理を開始し、ステップSA2では、記憶部51に記憶されている曲データMD中のコード進行データCDを参照してコード進行情報を取得する。コード進行情報は1曲分をまとめて取得する。なお、コード進行情報は、インターネット等から曲データMDをダウンロードし、該ダウンロードした曲データMDに含まれるコード進行データCDを参照して取得してもよい。
【0064】
ステップSA3では、ステップSA2で取得したコード進行情報に含まれるコード進行数分の押さえ方情報の記憶領域を図1のRAM7内に確保する。その後、ステップSA4では、ステップSA2で取得したコード進行情報の先頭のコード情報(和音情報)を取得する。
【0065】
ステップSA5では、ステップSA4で取得したコード情報に対し、ルート(根音)、3度、5度、(7度)の音名(構成音)を抽出し、各構成音の音高順が分かるように押さえ方情報として押さえ方データに記録する。例えば、ステップSA4で取得したコード情報が、「Cmaj」である場合は、ルート「C」、3度「E」、5度「G」の音名を抽出して、RAM7内の押さえ方データの記憶領域に、ステップSA4で取得したコード情報に関連付けて記録する。また、例えば、ステップSA4で取得したコード情報が、「G7」である場合は、ルート「G」、3度「B」、5度「D」、7度「F」の音名を抽出して、RAM7内の押さえ方データの記憶領域に、ステップSA4で取得したコード情報に関連付けて記録する。その後、ステップSA6で、「直前音名」として、ステップSA5で抽出したルートをRAM7内の所定領域に記憶する。
【0066】
なお、和音(コード情報)の構成音の抽出は、「maj(メジャー)」及び「m(マイナー)」の場合は、コード情報で示されるコード名のルートに対して、3度(長3度又は短3度)及び5度(完全5度)の音名を求めたり、「7(セブンス)」の場合は、前記3度及び5度に加えて短7度の音名を求めたりする等、音楽的規則に従い行う。なお、各コード情報の構成音を記憶したテーブルを記憶部51に記憶して、それを参照することにより各コード情報の構成音を抽出しても良い。
【0067】
ステップSA7では、ステップSA2で取得したコード進行情報内から、ステップSA4(ステップSA12でNOの矢印に従いステップSA7に戻った場合は、前回のステップSA7)で取得したコード情報の次に記録されているコード情報を取得する。
【0068】
ステップSA8では、ステップSA7で取得したコード情報に対して、構成音の全音名を抽出する。なお、構成音の抽出は、ステップSA5と同様の手法で行う。
【0069】
ステップSA9では、図4に示す音名と距離の対応表NDTを参照し、ステップSA8で抽出した構成音の中で、ステップSA6(又はステップSA11)で記憶した「直前音名」と同一又は一番距離(半音数)の少ない音名を検出する。一番距離(半音数)の少ない音名が低音側と高音側の2つ検出された場合は、低音側で一番距離(半音数)の少ない音名を採用する。
【0070】
ステップSA10では、ステップSA9で検出した音名を最低音として、ステップSA7で取得したコード情報で示される和音の転回形を構成し、低い方から順にコード構成音名を記録した押さえ方情報を押さえ方データに追記する。
【0071】
ステップSA11では、ステップSA9で検出した音名を「直前音名」として、RAM7内の所定領域に記憶する。その後、ステップSA12で、ステップSA7で取得した現在対象としているコード情報は、ステップSA2で取得したコード進行情報CDの末尾であるか否かを判断する。末尾である場合は、YESの矢印で示すステップSA13に進み、コードの押さえ方生成処理を終了する。末尾でない場合は、NOの矢印で示すステップSA7に戻り以降の処理を繰り返す。
【0072】
以上のステップSA7〜SA11までの処理を具体的に説明すると、例えば、「直前音名」として「C」が記録されており、ステップSA7で取得したコード情報で示される和音が「Fmaj」である場合には、ステップSA8で、「Fmaj」の全構成音「F、A、C」が検出され、ステップSA9で「直前音名」と同一の「C」が検出される。その後、ステップSA9で検出された「C」を最低音として、ステップSA10で、「Fmaj」の第2転回形である「C、F、A」が押さえ方情報として押さえ方データに記憶される。次に、ステップSA11では、ステップSA9で検出した音名「C」を「直前音名」として、RAM7内の所定領域に記憶する。
【0073】
また、例えば、「直前音名」として「C」が記録されており、ステップSA7で取得したコード情報で示される和音が「G7」である場合には、ステップSA8で、「G7」の全構成音「G、B、D、F」が検出され、ステップSA9で音名と距離の対応表NDTを参照して「直前音名」の「C」と最も距離が近い「B」が検出される。その後、ステップSA9で検出された「B」を最低音として、ステップSA10で「G7」の第1転回形である「B、D、F、G」が押さえ方情報として押さえ方データに記憶される。次に、ステップSA11では、ステップSA9で検出した音名「B」を「直前音名」として、RAM7内の所定領域に記憶する。
【0074】
以上のように、第2の実施例によれば、コード・演奏音対応テーブルCPT、コード進行パターンデータベースCDB、コード進行パターン抽出部91を用いずに、音名と距離の対応表NDTを参照して生成部92の演算で楽曲データMDのコード進行情報CDに応じて、最適な押さえ方情報を生成することができる。
【0075】
図6は、本発明の第2の実施例の変形例による生成部92で実行されるコードの押さえ方生成処理を表すフローチャートである。この変形例によっても、コード・演奏音対応テーブルCPT、コード進行パターンデータベースCDB、コード進行パターン抽出部91を用いずに、音名と距離の対応表NDTを参照して生成部92の演算で楽曲データMDのコード進行情報CDに応じて、最適な押さえ方情報を生成することができる。
【0076】
ステップSB1からステップSB5までの処理は、図5のステップSA1からステップSA5までの処理と同様であるので、説明を省略する。
【0077】
ステップSB6では、ステップSB2で取得したコード進行情報内から、ステップSB4(ステップSB12でNOの矢印に従いステップSB6に戻った場合は、前回のステップSB6)で取得したコード情報の次に記録されているコード情報を取得する。
【0078】
ステップSB7では、ステップSB6で取得したコード情報に対して、構成音の全音名を抽出する。なお、構成音の抽出は、ステップSB5と同様の手法で行う。
【0079】
ステップSB8では、ステップSB5(ステップSB12でNOの矢印に従いステップSB6に戻った場合は、前回のステップSB10又はSB11)で記憶した押さえ方情報(直前の押さえ方情報)にステップSB7で抽出した現在のコード(ステップSB6で取得したコード情報)の構成音と同じ音名があるか否かを判断する。同じ音名がある場合は、YESの矢印で示すステップSB9に進み、同じ音名がない場合は、NOの矢印で示すステップSB11に進む。
【0080】
ステップSB9では、ステップSB8で検出した同じ音名が、それぞれ低いほうから何番目に記憶されているかを検出する。その後、ステップSB10で、ステップSB8で検出した現在のコードの構成音中の直前の押さえ方情報の構成音と同じ音名が、当該直前の押さえ方情報の構成音と同じ順番で押さえられるように、現在のコードの基本形又は転回形を押さえ方情報として押さえ方データに記憶(追記)する。その後、ステップSB12に進む。
【0081】
ステップSB11では、ステップSB7で抽出した現在のコード(ステップSB6で取得したコード情報)の構成音の中から、ステップSB5(ステップSB12でNOの矢印に従いステップSB6に戻った場合は、前回のステップSB9)で記憶した押さえ方情報(直前の押さえ方情報)の最低音からの距離(半音数)が一番近い構成音名を、音名と距離の対応表NDTを参照して検出し、当該検出した構成音名が最低音となるように基本形又は転回形を構成して、押さえ方情報として押さえ方データに記録(追記)する。その後、ステップSB12に進む。
【0082】
ステップSB12では、ステップSB6で取得した現在対象としているコード情報は、ステップSB2で取得したコード進行情報CDの末尾であるか否かを判断する。末尾である場合は、YESの矢印で示すステップSB13に進み、コードの押さえ方生成処理を終了する。末尾でない場合は、NOの矢印で示すステップSB6に戻り以降の処理を繰り返す。
【0083】
ステップSB6〜ステップSB10の処理を具体的に説明すると、例えば、ステップSB2で取得したコード情報で示される和音が「Cmaj」であり、ステップSB5で押さえ方情報に記憶された音名が「C、E、G」である際に、ステップSB6で取得したコード情報で示される和音が「Fmaj」である場合には、ステップSB7で、「Fmaj」の全構成音「F、A、C」が検出される。その後、ステップSB8では、ステップSB5で記憶された音名「C、E、G」にステップSB7で検出した現在のコード構成音「F、A、C」と同一の音名があるか否かが判断される。この場合、「C」が同一であるので、ステップSB9に進み、当該同じ音名「C」が押さえ方情報では、1番低い音であり、現在のコードでは1番高い音であることが検出される。その後、ステップSB10で、現在のコードにおける「C」が、押さえ方情報の「C」のように1番低い音となるように、「C、F、A」(第2転回形)の順で押さえ方情報に記録される。
【0084】
次に、ステップSB6〜ステップSB11の処理を具体的に説明すると、例えば、ステップSB2(又は前回のステップSB6)で取得したコード情報で示される和音が「Cmaj」であり、ステップSB5(又は前回のステップSB10あるいはステップSB11)で押さえ方情報に記憶された音名が「C、E、G」である際に、ステップSB6で取得したコード情報で示される和音が「Dm」である場合には、ステップSB7で、「Dm」の全構成音「D、F、A」が検出される。その後、ステップSB8では、ステップSB5で記憶された音名「C、E、G」にステップSB7で検出した現在のコード構成音「D、F、A」と同一の音名があるか否かが判断される。この場合、同一音名が無いので、ステップSB11に進み、音名と距離の対応表NDTを参照して、直前の押さえ方情報の一番低い音である「C」からの距離(半音数)が一番近い現在のコード構成音「D」を最低音とする。この場合は、Dmの基本形である「D、F、A」が押さえ方情報に記録される。
【0085】
以上、本発明の第1及び第2の実施例によれば、練習曲等の楽曲のコード進行に応じて、最適な押さえ方情報を生成するので、当該楽曲に応じた最適なコードの押さえ方を練習することができる。
【0086】
また、コードの転回形と基本形の双方を最適な押さえ方としてユーザに提示するので、転回形の押さえ方も練習することができる。転回形を取り入れることで、初心者にとってもコードチェンジに伴う手の移動が少なく弾きやすい演奏練習をすることができる。
【0087】
さらに、本発明の第1及び第2の実施例によれば、練習曲等の楽曲のコード進行に応じて、最適な押さえ方情報を生成するので、コード単独での抑え方の練習にとどまらず、コード進行としての押さえ方、すなわち、後続するコードとの音楽的繋がりや、指の移動のしやすさ等を踏まえたコードの押さえ方を練習することができる。
【0088】
なお、第1の実施例と第2の実施例を組み合わせて、コード進行パターン抽出部91において、コード進行を抽出できない部分について押さえ方情報を決定するために、テーブルを参照する方式と演算で決定する方式を併用するようにしてもよい。この場合は、コード・演奏音対応テーブルCPT、コード進行パターンデータベースCDB、及び音名と距離の対応表NDTの全てを記憶部51に記憶する。
【0089】
また、コード情報の取得に合わせて自動伴奏音を生成するようにしてもよい。その際、ユーザのコード演奏が正解と判定されなかった場合には、例えば、その次のコードの演奏タイミングまで自動伴奏音はリズム音のみ再生にしてもよいし、ユーザの演奏音よりコード検出をしてその検出されたコードに基づく自動伴奏音を生成するようにしてもよい。
【0090】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。以下に、本発明の実施例に変形例を示す。
【符号の説明】
【0091】
6…バス、7…RAM、8…ROM、9…CPU、10…タイマ、11…検出回路、12…設定操作子、13…表示回路、14…ディスプレイ、15…外部記憶装置、18…音源・効果回路、19…サウンドシステム、21…通信I/F、22…演奏操作子(鍵盤)、30…押さえ方情報(運指情報)表示部、31…演奏評価結果表示部、51…記憶部、91…コード進行パターン抽出部、92…生成部、93…演奏評価部、100…演奏教習装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏操作に対応する演奏情報を入力する演奏操作子と、
一連の和音情報を演奏順に取得する和音取得手段と、
前記取得した一連の和音情報の演奏順に従い、個々の和音情報で示される和音の基本形又は転回形を表す和音の押さえ方情報を生成する生成手段と、
前記生成した和音の押さえ方情報を演奏順に従い提示する提示手段と、
前記演奏操作子から入力される演奏情報と、前記和音の押さえ方情報とを演奏順に従い比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づき前記演奏操作子を用いた演奏操作を評価する演奏評価手段と、
前記演奏評価結果を報知する報知手段と
を有する演奏教習装置。
【請求項2】
さらに、前記一連の和音情報のコード進行パターンを検出するコード進行検出手段を有し、
前記生成手段は、前記検出したコード進行パターンに従い、個々の和音情報で示される和音の基本形又は転回形を表す和音の押さえ方情報を生成する請求項1記載の演奏教習装置。
【請求項3】
前記生成手段は、和音の押さえ方情報の生成対象となる和音情報で示される和音の構成音のうち、一連の和音情報における1つ前の演奏順の和音情報に対応する押さえ方情報における最低音の音名と同一又は最も半音数の少ない音名を最低音とした和音の基本形又は転回形を表す和音の押さえ方情報を生成する請求項1記載の演奏教習装置。
【請求項4】
演奏操作に対応する演奏情報を演奏操作子から入力する入力手順と、
一連の和音情報を演奏順に取得する和音取得手順と、
前記取得した一連の和音情報の演奏順に従い、個々の和音情報で示される和音の基本形又は転回形を表す和音の押さえ方情報を生成する生成手順と、
前記生成した和音の押さえ方情報を演奏順に従い提示する提示手順と、
前記演奏操作子から入力される演奏情報と、前記和音の押さえ方情報とを演奏順に従い比較する比較手順と、
前記比較手段による比較結果に基づき前記演奏操作子を用いた演奏操作を評価する演奏評価手順と、
前記演奏評価結果を報知する報知手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−123239(P2011−123239A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280223(P2009−280223)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】