潜水ビークル
船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有する潜水ビークルであり、環状体の内部は、ビークルが液体に潜水する時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを画定する。ビークルはさらに、船体軸を中心にビークルを転回させるための手段を含む。浮力制御システムが設けられ、外側船体は船体軸に対して後傾している。ビークルを出動および使用する様々な方法が記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜水ビークルと、かかるビークルを操作、ドック格納、出動させる方法に関連する。なお、本明細書において、「潜水」の語は、使用時に部分的にのみ潜水できる地上ビークルばかりでなく、使用時に水(または他の液体)に完全に潜水するビークルも含むものとする。本発明はまた、潜水グライダ玩具にも関連する。
【背景技術】
【0002】
内部流路を持つ水中ビークルは、米国特許第5438947号明細書に記載されている。ビークルは、流路に取り付けられたプロペラと、ビークルの進行方向を制御する方向舵とを有する。ビークルが高速で移動できるように、ビークルは低アスペクト比で設計されている。
【発明の開示】
【0003】
本発明の第一の態様は、船体軸を画定するとともにこの船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトをこの環状体の内部が画定する潜水ビークルであって、さらに、このダクトを中心としてビークルを転回させるための手段を含む潜水ビークルを提供する。
【0004】
使用時に、ビークルは1回転未満、または複数回転、ダクトを中心として転回する。ビークルは船体軸を中心として対称に転回してもよいが、重心が船体軸からオフセットしている場合には特に、ダクトを中心として偏心状態で転回してもよい。
【0005】
従来、略環状の形状は、結果的に、転回(つまりダクトを中心とする回転)時に不安定なビークルとするため望ましくないと考えられていた。しかしこの性質は、(特に無人または自動ビークルに関わる)多くの用途では必ずしも不利益でなく、転回は角運動量を発生させる結果、高い安定性を付与するので利用が可能であることを発明者は見出した。さらに、ビークルの転回は、周囲の海流と組み合わされて、海流とビークル転回のベクトルに対応する流体力学的揚力または下方推力の増加と引き替えに、ビークルの軸からの横ドリフトを減少させるのに役立つマグナス力を発生する。二地点以上の間でのビークルの精密なナビゲーションが必要とされる場合には、このような横ドリフトの減少は価値がある。また、投影矩形視野からの情報を獲得するため、ビークル軸に沿った線形運動と組み合わされた連続転回がセンサ装置に利用される場合には、センサの二次元走査を実施するのにビークル転回が利用される。矩形視野の幅はセンサが情報を獲得するセクタの大きさによって決定され、矩形視野の長さはビークルの軸方向移動の長さによって決定される。セクタは一般的に180°未満の角度に及ぶが、この方法を拡張して、センサ装置のセンサが180°以上360°までの情報を獲得してもよい。この場合、投影視野は、ビークルの転回運動の範囲である二次元平面にわたって連続的である。このような例では、センサ装置は角度姿勢に関する同期方式でデータを獲得するため、間に正確な整合を伴った連続ラインが形成される。好適な実施例では、センサデータの適切な処理により、二次元でのセンサ開口の合成拡大(synthetic extension)が実施される。この特定例では、合成開口処理の性能に対する限定要因の一つは、データ獲得時間を通した推定および実際のビークル位置の間の不正確さによる解像度の低下である。結果的に、このようなシステムでは、精度を向上するためビークルの位置および姿勢が推定される慣性ナビゲーション装置を導入している。しかし、本発明の好適な実施例は代わりに、複雑な修正または推定アルゴリズムに頼らずに角運動量を増大させてビークルの位置と姿勢のいずれかにおけるドリフトの程度を減少させることにより、ビークルの基本的安定性を向上させる、より低コストでより優れた設計を採用する。ゆえに、後述する好適な実施例では、ダクトを中心とするビークルの転回を制御するための様々な手段と、他の姿勢制御要素とが設けられる。
【0006】
ダクトを中心としてビークルを転回させるための手段は、例えば、推進システム(ツイン推力ベクトル推進システムなど)、フィンなどの一つ以上の制御面、慣性制御システム、モータ制御により船体の周囲を左舷または右舷へ移動する浮力制御システムでよい。
【0007】
本発明の第二の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定する潜水ビークルを提供し、ビークルはさらに浮力制御システムを含む。
【0008】
本発明の第三の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定し、外側船体の少なくとも一部が船体軸に対して後傾している潜水ビークルを提供する。
【0009】
本発明の第四の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定し、船体が投影面積Sと、船体軸に対して垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より高い、潜水ビークルを提供する。
【0010】
比較的直径の大きな船体により、2個以上のセンサによるアレイを船体上で充分に離間させることができ、長いセンサ基線が得られる。このようにして、センサ基線の長さに比例してセンサアレイの有効鋭敏性が上昇する。また、比較的高い比B2/Sによって高い揚力と抗力の比が得られて、ビークルはグライダとして効率的に作動できる。
【0011】
本発明の第五の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部が開口したダクトを環状体の内部が画定する潜水ビークルを提供する。
【0012】
本発明の第六の態様は潜水ビークルの推進システムを提供し、推進システムは、可撓性で略環状のジャケットに収容される2個以上の軸対称駆動アセンブリを含む。
【0013】
本発明の第七の態様は、軸対称に取り付けられた2個以上の駆動アセンブリを有する潜水ビークルを操作する方法を提供し、この方法は、液体中でビークルを推進させるように駆動アセンブリを軸対称に往復させることを含む。
【0014】
本発明の第八の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定する外側船体と、一対以上の推進装置を含むツイン推力ベクトル推進システムとを有する潜水ビークルを提供し、各対は、船体軸の第1側に旋回自在に取り付けられた第1推進装置と、第1推進装置と対向して船体軸の第2側に旋回自在に取り付けられた第2推進装置とを含む。
【0015】
一般的に、各推進装置は、装置を旋回させることにより他の推進装置と無関係に変化することのできる推力ベクトルを発生させる。一般的に各装置は、船体軸に対してある角度(好ましくは90°)の軸を中心に旋回できるように取り付けられている。推進装置は、例えば回転プロペラまたは往復フィンである。推進装置は、ダクトの内側でもダクトの外側でもよいが、外側船体と一体的でなければならない。
【0016】
本発明の第九の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈し、グライダ玩具が液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定する、外側船体を有する潜水グライダ玩具を提供する。
【0017】
以下の説明は本発明のすべての態様に当てはまる。
【0018】
本発明の好適な実施例では、抗力を下げるためダクトは船首の断面積が小さく、一方、さもなければ従来の平面翼または水平尾翼スタビライザ装置により誘発された時に一層重要となる誘発航跡渦を軽減することによって、抗力の減少がさらに保証される。ダクトの壁は、液体中でのビークルの運動を補助するのに用いられる流体力学的揚力を効率的に発生させるような形状であることが好ましい。
【0019】
ダクトのさらなる長所は、上部構造(推進装置など)がダクト内に一層安全に収容されて、外側船体が比較的滑らかで一体的な外面を呈するようにして、他の水中物体との衝突または巻き込みによる損害または損失の危険を少なくするのに役立つことである。
【0020】
本発明の実施例は、従来の平面翼に基づく他のものと比較してビークルの構造的剛性が向上した略環状のプロフィールを提供する。その長所は、同様の流体力学的パラメータを持つビークルのコストまたは質量の削減と、環状船体と船体に収納されたトロイド状圧力容器のいずれかが座屈応力に対する高い抗力を与える場合にはより深い潜水能力のいずれかで実現される。
【0021】
ダクトは長さの全部または一部において完全に閉鎖されるか、長さに沿って延在するスロットにより部分的に開口している。ダクトはまた、所定の性能条件における流体力学的性能を助長または変更するためのスロットまたはポートも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の様々な実施例を例として説明する。
【0023】
図1(A)と図1(B)を参照すると、潜水ビークル1は、層流翼形(laminar flow hydrofoil profile)(図1(B)に図示)から、船体軸3を中心とする回転体として展開された外側船体2を有する。ゆえに、図1(A)に見られるように船体軸に沿って見た時に外側船体2は環状を呈する。水または他の液体にビークルが潜水した時に、水がダクトを満たして、ビークルが水中を移動するとダクトを流れて流体力学的揚力を発生させるように、環状体の内壁4は前後で開口したダクト5を画定する。
図1(B)に見られるように、翼形(hydrofoil profile)は、狭い船首端部6から最も広い点7まで徐々に外向きテーパ状となってから、船尾端部8へとより急激に内向きテーパ状となっている。この特定実施例では、最も広い点7は船首端部と船尾端部との間の距離のほぼ3分の2に位置する。多様な用途において有効である適切な範囲のレイノルズ数により決定される特定範囲の流型に従って揚力、抗力、ピッチモーメントの係数を修正するように、本ビークルおよび他のビークルの変形において特定の翼形断面を修正してもよい。
【0024】
船体軸の両側には一対の推進装置9,10が対称に取り付けられている。推進装置は、図1(B)に見られるように、最も広い点7と並んで船体に取付けられるL字形支持シャフト13,14に取り付けられたプロペラ11,12を含む。プロペラは、効率が高くなるようにシュラウド15,16内に取り付けられている。各L字形シャフトは、ビークルのピッチ軸と平行な軸を中心として船体に対して360度回転できるように船体に旋回自在に取り付けられ、こうして推力ベクトル推進を行う。シュラウドとL字形シャフトはともに、外側船体について記載したものと同様の翼弦長と高さとの比を用いた翼形断面を有する。ゆえに、推進装置8,9は例えば、ビークルを船体軸に沿って前方へ推進する推力を付与する図1(A)と図1(B)に示されたような同一方向形態と、船体軸を中心としてビークルを連続的に転回させる図2(A)と図2(B)に示されたような反対方向形態との間で回転することができる。図2(A)の矢印Vはビークルの動きを示し、図2(A)の矢印Lは液体の流れを示す。そのため、この特定実施例では推進システム内に4個のモータ、つまり推進装置を駆動するための2個のブラシレス直流電動モータと、プロペラモータが取り付けられたL字形支持シャフトを駆動するための2個の直流電動モータとを使用し、モータとL字形シャフトとの間で駆動力と負荷とを伝達するのには機械式ウォームドライブギヤ減速機構が使用されることになる。作用負荷がモータの定格と一致する限り、ステッパモータなどの代替モータタイプを後者の方法に使用してもよい。
【0025】
開ループピッチまたはヨー安定性を最低にするため、ビークルの重心(CofG)は動水圧中心の前方に位置し、これらの中心をさらに離間させることによってより高い安定性が達成される。しかし、ビークル推進システムと組み合わされる閉ループ姿勢制御システム(不図示)により付加的な安定性が得られるので、正確な位置は重要でない。このような状況において、動水圧中心またはその後方にCofGを持つビークルの操縦により、安定性が敏捷性の犠牲となることがある。同様に、推進装置の位置は船首に向かう前方と船尾に向かう後方のいずれかに調整され、これに従ってビークルダイナミクスが調節される。
【0026】
このような姿勢制御システムは、(i)3本の直交軸上での線形加速度を測定する装置と、(ii)3本の直交軸上での角加速度を測定する装置と、(iii)2本または3本の直交軸上における配向を測定する装置と、(iv)これらの装置からの信号を組み合わせて、その時に望ましい特定ビークルの動的運動または復元力に従って、上述した推進システムを起動させる要求信号を計算する装置とを含む。配向装置は、重力センサ、または地球磁場ベクトルを検出するセンサ、またはその両方を含む。ビークルはまた、なんらかの初期基準位置に対する特定の時点でのビークルの位置を推定するナビゲーションシステムも含む。このようなナビゲーションシステムの好適な実施例は、上述した姿勢制御システムにより提供されるデータと他の任意のデータとに基づいて作動する処理装置を含み、このようなデータを提供する固有センサが、ナビゲーション目的でビークルに含まれてもよい。このようなセンサは、(i)静止位置把握衛星(GPS)受信装置と、(ii)1台以上の音響応答器または通信装置とを含む。GPS装置は、浮上した時に緯度、経度、高度におけるビークル位置の推定値を導出するのに使用される。音響応答器または通信装置は、局所的な液体媒体中に位置する1台以上の対応の応答器または通信装置に対する位置を確立するため、音響信号を送受信する。好適な実施例では、処理装置は、姿勢制御およびナビゲーションシステムのセンサ装置から提供された可変データに基づいてビークルの相対または絶対位置を推定するカルマンフィルタとして説明される固有のアルゴリズムを含む。
【0027】
この特定実施例では、ビークルは若干の正の浮力を持つように設計される。浮心(CofB)は、CofBが重心と一致する最小値と、CofBがCofGの上の逆円錐の体積内に位置し、円錐の頂点がCofGに隣接し、円錐の底面が環状船体の上部によって画定される最大値との間のいずれかに位置する。
【0028】
特定実施例では、円錐の体積のどの部分も、ビークルの軸を二分する垂直面の後部に位置してCofGと一致することのないように円錐が傾斜している。CofBがこの円錐内に位置してCofGから離間している時には、ビークルは静的条件下で正のピッチを取り、そのため、環状船体からの正の浮力と流体力学的揚力との組合せからのみ生じる力を受けて、深いところから水面まで潜航し、ビークルの潜航経路が浅いため、いくらかの有益な水平移動距離が得られる。
【0029】
こうして、ミッションサイクル中の引力の再利用により、ビークルのバッテリ設備内での省エネが可能となって好都合である。ビークルの潜航経路は、使用されていない時に船体軸に対して平行となるように折り畳まれるプロペラ(不図示)を採用すること、またはプロペラシュラウドを省略することによって改善され、その場合にはビークルの抗力がさらに最小となる。
【0030】
ビークルは、船体の外側本体に配置された太陽エネルギー電池(不図示)も含み、やはり環状船体では、船体の外面エリアが同様の質量の円筒形ビークルと比べて比較的広いので、効率的な手段となる。このような実施例では、太陽電池は、バッテリ設備内に位置する再充電電池内に蓄積されたエネルギーを補充する充電回路に電気接続されている。こうして、ビークルが海面またはその付近で作動または静止している時には、太陽エネルギーを用いてビークルエネルギー設備の計画的かつ好都合な補充が可能となる。
【0031】
この実施例では、CofBは上述した体積測定円錐内のある静止位置に固定されるか、CofBは円錐の周囲の位置へ制御機構により動的に調節される。いずれの場合も、環状船体のトロイド状区分内に位置する1個以上の正浮力バラスト要素の位置によってCofBが制御される。2個のバラスト要素が使用される実施例では、要素は同じくトロイド内に配置され、その場合、ビークルの静的浮力は最大となる。または、ビークルのCofBとCofGがともに船体軸上に位置するように2個のバラスト要素がトロイドの周囲に位置されてもよく、その場合にはビークルの静的安定性はゼロである。
【0032】
そのため、ビークルは推進システムを用いて、船体軸を中心とするスピンを誘発し、ビークルはCofGに対するCofBの位置を調節する。そのため、CofBとCofGとの間の最大離間が望ましい時には、ビークルはスピンを伴わない移動の際にその動的運動を適応させる。しかし、転回時の偏心を最小にすべき場合に、船体軸に対するCofGとCofBとの間の最小離間が望ましい時には、船体軸に沿った運動が存在してもしなくても、ビークルはスピンが起こると動的運動を適応させる。
【0033】
推力ベクトル推進装置は、正方向と逆方向のいずれかにおける船体軸上の運動、船体軸を中心とするスピンまたは転回、ビークルのCofGを中心とするピッチまたはヨーのための手段を提供する。前述したように、ビークル転回を起こすためには二つの推進装置が反対方向であるのは明らかである。二つの推進装置は同一方向であってもよい。例えば、推力ベクトルがCofGの上に位置するように両者が下向きであると、ビークルは船首を下に向ける。同様に、推力ベクトルがCofGの下に位置するように二つの推進装置が上向きであると、ビークルは船首を上に向ける。ビークルおよび相互に対する様々な程度の推進装置ピッチを使用してビークルのピッチ、ロール、ヨーを実施できることも明らかである。ヨーは、異なるプロペラ回転速度が採用される時に、異なる推力の印加によっても誘発される。ゆえに、ビークルは独自の自動制御に基づいて潜水、方向転換、転回、浮上が可能であることが分かる。
【0034】
ビークルが空転している時と、CofGの位置が推進装置の回転軸と一致する時には、ビークルは特殊な方法で駆動される。図2(B)を参照すると、垂直方向がページ上で垂直であると定義した場合、図1(A)に示された位置では、ビークルは0度のロール角であって、推進装置9は上向き、推進装置10は下向きである。下方運動が必要な場合、ビークルが350度と10度の間(または推進装置9がほぼ上向きである他の限定円弧上)にある時には推進装置9がパルスオンとなり、ビークルが170度と190度の間(推進装置10がほぼ上向きである他の限定円弧上)にある時には推進装置10がパルスオンとなる。ビークルは円弧の周りに推力ベクトルを集め、船体軸に垂直な(この場合には下向きの)移動を発生させる線形加速度を受ける。これにより、空転ビークルは、船体軸に垂直である平面上で正確に移動できる。
【0035】
そのため、動的制御による高い旋回率のための推力ベクトル推進装置が配置されるので、ビークルは高度の操作性を持つことが明らかである。ビークルが高度の安定性を持つことも明らかである。運動が船体軸に沿っている第一例では、誘発トルクを相殺する逆回転プロペラにより比較的高速が達成される一方で、逆向きの推進装置はさらなるロール安定性を提供する。船体軸を中心とするスピン運動が発生する第二例では、角運動量が増大し、やはりビークルの安定性が上昇し、外力を受けた時にはビークル姿勢または位置のエラーの減少としてこれが測定される。
【0036】
ビークルの船首は、衝突回避と撮像の用途のため一対のビデオカメラ17,18を搭載している。船体の直径が比較的長いためカメラを充分に離間させることが可能であり、こうして、両方のカメラ視野内に位置する物体の間の視差の測定により正確な距離推定を提供する長い立体写真基線が得られる。ソナー撮像と検知のため、ソナー送信器19とソナー受信器20とが設けられている。やはり広い基線が長所である。外側船体2は図1(A)に見られる内部空間を含む。この外側船体は、エポキシ樹脂の層の間に交互に積層されたガラスまたは炭素繊維フィラメントを用いた剛性複合材料から製造されることが好ましい。あるいは、より安価で弾性の低い船体が、ポリウレタンまたは高密度ポリエチレンなど、適当な硬質ポリマーから成形されてもよい。船体が加圧されるならば、アルミニウムから外側船体を製造することも可能である。内部空間は外側船体の小孔(不図示)によって満たされるか、加圧される。内部空間は、一対のバッテリパック21,22と、一対の船尾センサ23,24と、船体軸に沿って離間した4個のトロイド状圧力容器25〜28とを収容する。圧力容器は、ビークルの電子機器、何らかの推進サブシステム要素、他のアイテムを収納し、軸方向ストラット(不図示)により結合されている。この特定実施例では、トロイドの周囲に螺旋状に巻かれるか、エポキシ樹脂の層の間に交互に積層されたガラスまたは炭素繊維フィラメントを用いた剛性複合物からトロイド状圧力容器が製造されることが好ましい。あるいは、アルミニウム、ステンレスまたは亜鉛めっき鋼、チタンなどの適当なグレードの金属からトロイド状圧力容器が製造されてもよい。
【0037】
船体軸上での船体の長さは翼形区分の翼弦長に対応し、これは図2(A)に(a)で示されるのに対して、二つの端部でダクトを横切る直径または翼幅は(b)で記される。船体のアスペクト比(AR)は以下のように表される。
【0038】
AR=2B2/S
【0039】
上式において、Bは船体の翼幅(船体の最大外径で規定される)、Sは船体の投影面積である。
【0040】
翼幅Bが(b)とほぼ等しく面積Sが(b)×(a)にほぼ等しいと考えた場合、ARは約2(b)/(a)である。図2(B)のビークルでは、ARは約1.42であるが、この数字は、用途によって他の比が必要である他の実施例では変更されてもよい。アスペクト比が低い幅の狭いビークルに対応するため、またはアスペクト比が高い幅広のビークルに対応するため、トロイドの直径を簡単に変更することによりビークル形状を調節してもよいことは明白である。いずれの場合にも、低アスペクト比のトロイド形状を用いて比較的高い揚力係数が達成されるので、ある状況では固有の長所が得られ、一方、高アスペクト比のトロイド形状を用いると、最適のグライドスロープ比または揚力と抗力の同様の比が達成される。
【0041】
特定シナリオでのビークルの動作を表すレイノルズ数の範囲によって決定される流体の流型における抗力係数を最小にするように、外側船体が設計される。外側船体は、下層(図1(B)に斜線で示す)と、外板層(不図示)とを含む。
【0042】
第2ビークル30が図3(A)と図3(B)に描かれている。このビークルはビークル1と同一であるが、プロペラツイン推力ベクトル推進システムの代わりに、バイオミメティックフィンツイン推力ベクトル推進システムを採用している。この場合、推進システムは、船尾端部に向かって外側船体に旋回自在に取り付けられ、図3(A)と図3(B)に実線で示された第1(収容)位置と、図3(B)に点線で示された第2位置との間でちょうど180度回転できる一対のフィン31,32で構成される。フィンの各々は、独立した電動DCブラシレスモータと、ヘリカルウォームドライブ(不図示)を含むことが好ましい機械式ギヤ減速機構とによって回転され、いくつかのモードで駆動される。この形態においてフィンは、往復運動時に負荷を受けながらいくらかの撓曲が見られるように特定グレードのポリウレタンから製造され、このような撓曲は各フィンから後方へ推進渦流を一層効率的に案内するのに役立つ。
【0043】
一つのモードでは、船体軸に沿って車両を前方に駆動するパドリング動作を発生させるためフィンは異なる位相で往復する。別のモードでは、フィンは往復状態だが今度は相互に同じ位相で駆動されてビークルを船体軸に沿って前方へ駆動する。
【0044】
別のモードでは、フィンは、往復状態であるが、今度は往復円弧の中心が船体軸およびフィン旋回軸で定められる水平面の上下にずれた状態で駆動され、そうする際に、ビークルを前方へ駆動するとともに転回を起こし、転回は往復フィンの相対的変位に応じていずれかの方向で行われる。
【0045】
別のモードでは、フィンは往復状態であるが、今度は相互に同じ位相で、やはり往復円弧の中心が上述の軸方向旋回面の上下にずれた状態で駆動される。このモードはビークルを前方へ推進するが、CofGを中心とするピッチ回転を起こし、こうしてビークルの潜水または上昇に用いられる。ビークルの転回モードとの組合せで使用される時には、このモードはビークルのヨーを結合および発生させる。
【0046】
このバイオミメティック設計により、各フィン推進装置への励起信号の周波数および規模を連続的に変化させることと、いずれのフィンについてもフィン円弧の往復中心の選択を連続に変化させることと、フィン間のフェージングを連続的に変化させることが可能となる。そのため、この設計は、低速での良好な推進効率と、高速での良好な推進効率とを達成する。
【0047】
この方法の別の実施例では同様の往復フィンを使用するが、この特定設計においてはフィン旋回点とフィン尾部との間のほぼ中間に3個のナックルヒンジが含まれる。これらのナックルヒンジはステンレス鋼で製造されて、フィン旋回点で行われる励起に対して注意深く位相を合わせることにより往復状態で駆動される。この設計は、ナックルヒンジでの振幅xを持つフィン旋回点から開始する進行波を発生させ、これは振幅yでフィン尾部まで進み、yはxより大きい。この設計を用いると、前述した動作モードが繰り返され、それが動作の長所であるが、進行推進波を得るため旋回点およびナックルヒンジの励起駆動信号の位相を注意深く調整することにより、推進効率が向上する。
【0048】
図4(A)〜図4(C)には第3推進ビークル40が描かれている。このビークルは図3(A)と図3(B)に描かれたビークルに類似しており、やはりバイオミメティックフィンツイン推力ベクトル推進システムを採用している。一対の軸対称フィン41,42が、環状船体の船尾にこれと一体的に取り付けられている。フィンは同一であり、図4(C)には一方の42が断面で描かれている。外側船体の外板層は43を終端とするが、下層(ある程度の可撓性を持つ)はフィンの周囲まで延在し、下層はポリウレタンなどのエラストマ材料を含む。フィンは、旋回点46で結合された基端プレート44と末端プレート45とを含む構造骨格を有する。一対の隆起部47,48が、末端プレートの両側とその長さに沿った一部において嵌合する。ライン49は両端部で旋回点46に装着され、従動プーリ50を通過している。プーリ50を駆動すると、点線で示されているように、基端プレート44が隆起部47,48を中心に回転し、末端プレートは旋回点46を中心に回転する。プーリ50を往復させることにより、フィン42も往復する。上下のフィン尾部コーナーを制御するのに2本の別のライン(不図示)が使用されるため、この方法を用いて、正または負の翼形の翼ねじれがいずれのフィン先端にも効率的に付与されるように、フィン尾部コーナーは各推進装置内で独立して、またいずれの推進装置からも独立して操作される。この方法は、かなりの敏捷性をビークルに与える。
【0049】
この推進装置駆動機構の代替実施例では、末端プレートの各側に設けられた2個の電磁石51,52を使用し、この電磁石に設けられたコイルの周囲に電流を流すことによって電磁石が励磁されるため、いずれかの電磁石におけるこのような信号の交互位相変化が基端プレートに往復動作を誘発する。制御装置(不図示)は電磁石の励磁を制御し、またプーリ50と末端プレートとを類似の往復動作で駆動するモータの励磁を制御するが、往復する基端および末端プレートの相対的位相変化は、推進装置により進行推進波が伝達されるように制御装置によって注意深く維持される。希土類または同様の磁石を基端プレートに設けることと、磁石と電磁石の位置が逆転した往復機構とを含む他の変形がこの方式で実行されてもよいことは明らかである。
【0050】
この、環状船体と組み合わされたバイオミメティック推進実施例の主な相違は、フィンストロークが軸対称で行われて、ビークルの推進効率を高めることである。フィン尾部コーナーの非対称的な駆動によってビークルの転回が誘発されることを除いて、やはり前述の推進モードがこの設計でも繰り返される。プレートは剛性であっても、励起信号の位相変化で可撓性が考慮されるのであれば可撓性を持つ設計であってもよい。やはり、往復する軸対称進行推進波が各フィンの基部から各フィン尾部まで伝達されるように、基端および末端プレートと尾部フィンコーナーラインの励起および位相変化駆動により、効率的な推進が実施される。
【0051】
前述したように、環状船体と組み合わされたこのバイオミメティック推進設計は、推進装置を効率的に転回させる際に多くの自由度を与える。
【0052】
図4(A)、図4(B)、図4(C)に描かれた環状船体と関連するフィン推進装置の数は、いくらか大きな数nまで容易に増加させることができ、限定的な場合には、フィン推進装置はビークルの尾部周囲と一体化して、連続的かつ一体的で可撓性を持つ環状のバイオミメティック推進装置を形成することは明らかなはずである。
【0053】
このような一体的で可撓性の環状バイオミメティック推進装置の特定実施例について、以下に説明する。軸対称ツインフィン推進装置ビークルについて上述した駆動アセンブリが、n=10となるように環状体の後部の周囲にやはり設けられるため、ビークルの環状体の後部に装着された一体的な弾性ポリウレタンジャケット内に末端および基端プレートが収容される。尾部コーナーフィンの追加ラインは、フィン推進装置が可撓性の一体的な環状体に完全一体化される時には余分となるので、含まれていない。
【0054】
ビークルを船体軸に沿って前方へ駆動するように、進行性かつ推進性で連続的な軸対称進行波が可撓性環状体の基部からその尾部へ励起されるように、上述のように基端および末端プレートが駆動される。可撓性環状体の完全な周方向制御が可能であるので、ピッチとヨーの制御はこの実施例では取るに足らないことであり、独立した方法での基端および末端プレートの励起が行われる。
【0055】
図5A〜図5Cにはグライダビークル100が描かれている。ビークルの船体は図5Aに見られるように環状の構造を有し、ビークル抗力を最小にし、航跡渦へ開放される残留エネルギーを低下させ、ピッチおよびヨーの安定性を提供し、姿勢制御のための新機構を提供するため、後傾形状を採用している。図5Bはビークルの左舷立面図であり、図5Cはビークルの平面図を表し、点線は翼形の形状を示す。外側船体は同様の構造を使用し、図1〜図4に描かれたビークルと共通する様々なセンサ、バッテリパック、圧力容器を収容するが、明瞭化のためこれらは描かれていない。
【0056】
船体は、船体の周囲に90度離間している4個の船首頂点101〜104と4個の船尾頂点105〜108とを有する。
【0057】
浮力エンジン(不図示)が外側船体内に収容され、ビークルが潜水と上昇を交互に行うように周期的に駆動される。CofBとCofGの相対位置を注意深く調節することにより、ビークルは潜水し上昇しながら傾斜し、そのため、前方動作の成分を付与するように外側船体形状によって揚力が発生する。こうしてビークル100は浮力によるグライダとして作動することができ、単独で、または自動監視船隊において使用され、その海域の支援チームからの介入を受けずに、広大なエリアの大洋、海底、海岸線をサンプリングするようにプログラムされる。
【0058】
この特定実施例では、流体力学的抗力が最小となるのでビークルは非常に低エネルギーの形態を採用し、各潜水・上昇サイクル中に2度のみ状態を変える浮力エンジンから動力が発生するので連続的なモータ推進が行われず、そのため電気エネルギー消費も最小となる。
【0059】
従来の海洋グライダは浮力を加減して、船体軸上のマスの位置を調節するが、この特定実施例は固定マスを維持し、ビークルの環状船体に嵌着して船体の後傾形状に従うリング(不図示)に沿った浮力エンジンの調節により、浮力とCofB位置とを加減する。ビークルが上昇する際には、浮力エンジンは上部船首フィン101の付近に位置するため、CofBはCofGの前方に位置し、結果的に「ノーズアップ」形態となる。モータ制御下で船体の周囲の左舷または右舷への浮力エンジンの動きは、船体軸を中心としてビークルを転回させるとともにCofBをCofGの後方へ移動させ、この点でビークルは傾斜した「ノーズダウン」となる。次に浮力エンジンは負の浮揚性となり、ビークルは海洋へと潜る。ある既定の時点または深度において、浮力エンジンはリングを中心に移動してビークルは船体軸を中心とする回転を開始し、90°の船体回転中にCofBは船体軸の上へと前方移動し、この時点でビークルは傾斜ノーズアップとなり、浮力は正となり、ビークルは海面へと上昇する。
【0060】
ビークルは、深海への潜水から海面への上昇までの変温層からエネルギーを抽出する一つ以上の装置も含み、水深が0から600mの多くの海洋では20℃以上の温度勾配が予想され、海洋体積の75%の温度が4℃以下であるのに対して、海面温度は30℃を超えるかそれ以上である。
【0061】
このような環境発電装置の一つは、図15Aまたは図15Dに記載された浮力制御システム900であり、温度感受性の相変化物質(PCM)(i)が、トロイド状圧力容器の一部を形成する室(a)に収容され、数本のトロイド状アルミニウム管(b)もこの室の中に存在する。室の壁もアルミニウム製であり、ガラスまたは炭素繊維フィラメントと組み合わされたシンタクチック・フォームまたはネオプレンとエポキシ樹脂などの絶縁複合構造層に包囲され、このようなフィラメントは室のトロイド形状の周囲に螺旋状に巻かれ、このような物質は内面と外面との間の熱伝導率を低く維持する。他に二つの絶縁トロイド室(c),(d)が含まれ、このような室は別々のトロイドであっても、前のトロイドの一部であってもよく、その構造はトロイド軸を中心とする3個以上のセクタに分割される。
【0062】
室(a)は外部の海水に開口するポートと連通しているため、室(a)と海水との間の物理的な絶縁バリヤを維持するため可撓性で熱伝導率の低い膜またはピストンシール界面も含むこの室の区分には海水が流入する。室(a)はまた、ある量の液体により、または別のバルブにより分離された2枚の可撓膜を介して海水にも接続された高圧ガス室(j)とも連通する。室(c)は、室(a)内のアルミニウム管に接続された二つのポートおよび二つのバルブ(h)と連通する。トロイド状圧力容器は、可撓膜アセンブリと外部液体への連通ポートとを備える任意の低圧ガス室(k)も含む。室(d)はまた、同じアルミニウム管に接続された2個のポートおよび2個のバルブ(h)とも連通し、熱電半導体(TES)ペルチェ効果装置(e)のアレイも含み、このような装置の各側は、外部の海水または内部流体への熱抗力の低い経路を持つ。室(c),(d)は、海水に開口するポートおよびバルブも含む。
【0063】
ビークルの操作に応じてバルブおよびポートを開口させ制御するのに、制御装置(f)と1個以上の流体ポンプ(g)が使用される。室(c)は表面付近では温水で満たされるつまり充填されるのに対して、室(d)は深海において低温の海水で満たされるつまり充填される。制御装置(f)は、海面付近で作動する時に、ビークルの初期化中に室(d)の流体の温度を低下させるため二つの半導体接合部に印加される電位差により、TES(e)装置を起動するのに使用される。あるいは、ビークルの第1潜水サイクルを開始するのに単純なバラスト装置が代わりに使用されてもよい。
【0064】
制御装置(f)は、液面に近い時にはポートとバルブとポンプとを作動させ、管(b)と温水容器(c)と外部液体とを介して温かい表面温度に露出される相変化物質(i)の膨張体積を用いて、乾性ガス(l)を加圧する。室(j)とガス(l)との加圧後、エネルギーが蓄積されるようにそのバルブは閉じられる。ビークルは静止状態での負の浮力を用いて、または一時的なバラスト装置を用いて、または制御装置(f)と容器室(d)またはTES(e)またはその組合せを用いて、PCM(i)を低温に露出することによる密度の変化により、ビークルは降下する。好適な実施例では、容器(c),(d)と管(b)とポンプとは、局所的な温度勾配による非効率性を最小にするため海水の循環を助ける。その結果生じるPCMの周囲での温度の低下は、PCM容積内でのアルミニウム管(b)の近接結合により効率的に維持され、これは、PCMにおける液体から固体への相変化と、ビークルの密度を上げる対応の体積減少とを引き起こすため、海水より重くなって降下する。
【0065】
既定の深度に到達すると、制御装置(f)はポートとバルブとポンプとを作動させて、可撓膜を動かせて張らせるように加圧ガス(l)を放出し、所定量の外部液体を排出するため、ビークルの密度は外部液体と比べて正となり、ビークルは上昇を開始する。上昇中、制御装置(f)はポートとバルブとポンプを作動させて、管(b)を介して温かい海水を室(c)から室(a)へ移動させ、これら二つの室の間でもう一度海水を循環させる。結果的に生じるPCM周囲の温度上昇は、固体から液体への移相と、ビークルの密度をさらに低下させる対応の容積増大とを引き起こし、上昇が加速される。
【0066】
このような装置には、パラフィン、脂肪酸、塩水和物などいくつかの相変化物質が利用され、この物質またはこの物質の特定の混合物は、指定の変温層に見られる温度域内で特定の相変化が生じるように、より詳しくは、固体と液体との物質相変化が8℃と16℃との間で発生するように選択されるが、正確な範囲は予想される深度プロフィールおよび局所的な海洋温度に適合するように選択される。
【0067】
本発明は、トロイド状圧力容器内に相変化物質を含めることによって、代替浮力制御装置に対する長所を確実に備え、局所的幾何学形状と物質とが組み合わされて、変温層を通過中のビークル密度を変化させるための高効率の装置を提供する。
【0068】
この環境発電装置のさらなる実施例は、ビークルの運転効率と耐性とを向上させるため変温層からさらにエネルギーを抽出する。この代替実施例では、室(d)と制御装置(f)とに設けられたTES(e)が組み合わされて、連続的な潜水と上昇のサイクルの間に続けて起きる温度差が両側に維持される時に、TESの二つの半導体接合部の間に電位差を発生させる。この電位差は、電気損失を最小にして90%を超える伝達効率を達成する高周波数切換DC・DCコンバータを介して、スーパーコンデンサのアレイとビークルバッテリ設備とに伝えられる。この付加的な環境発電装置は、図15Aと図15Dに見られるように、TESが、冷たい室(d)と暖かい室(c)との間のバリヤとなるように調整される。
【0069】
ビークルは、圧縮ガスおよびタンクシステム、油圧ポンプ、電動モータ駆動装置およびピストンバルブシステムを含む多くの代替浮力制御装置の一つを代わりに収納してもよく、蓄積されたエネルギーは、ビークル内の規定の容積から海水を物理的に排出するのに使用される。
【0070】
この浮力制御システムのさらなる長所は拡張性であり、トロイド形状はより大きな直径に発展され、トロイドが図15Dに記載されたようにグループで使用されてもよい。この方法のさらなる実施例では、図15Aに見られるトロイド状浮力制御装置が図15Bと図15Cに記載された螺旋形に発展されている。この解決法はトロイド形状と基本的構造を維持しているが、その容量を直線状に拡張しており、効率的な構造においてより大きな排水容量を可能にするのに役立ち、さもなければ大型の水中ビークルではこれは厄介で困難であろう。
【0071】
上述した実施例は動力推進源として浮力のみを用いるが、上記のビークル30,40について説明したバイオミメティックフィンまたは周方向推進装置により低エネルギービークルが補強された他の実施例が開示されることは明らかである。ここに説明する低エネルギービークルは、上記のビークル1で開示されたプロペラおよび推進装置により補強されてもよい。
【0072】
別の低エネルギーグライダビークル実施例では、浮力エンジンが固定され、代わりにマスがモータ制御下で圧力容器の周囲を移動して、CofGを前方または後方へ効率的に移動させ、結果的にピッチアップまたはピッチダウン姿勢を誘発する。さらなる実施例では、マスと浮力エンジンの両方がリング周囲を移動している。
【0073】
ビークルは、海面付近に近づいた時に内部エネルギー蓄積装置を補充して海でのミッション時間を延長するように、他のビークルについて前述した太陽エネルギー電池によって補強されている。
【0074】
様々なサイズの海洋グライダを実現するようにビークルが変形されてもよいことも明らかである。この点において環状構造は好都合であって構造的な弾性を提供し、そのためこの形状のビークルは30mまたは60m以上の翼幅を持つ構造でもよい。
【0075】
図6Aと図6Bは、図1(A)と図1(B)に描かれた圧力容器と類似した代替圧力容器150の斜視図および側面図である。比較的大型の一対のトロイド状圧力容器151,152が軸ストラット153〜156によって相互に接続されている。比較的小型の一対のトロイド状圧力容器157,158は大型圧力容器151,152の前後に位置し、軸ストラット159〜164により接続されている。軸ストラットはそれ自体が圧力容器であるため、構造全体が単一の連続容器となるか、軸ストラットは中実の構造部材であって、その場合にはトロイドが4個の独立した仕切り圧力容器を形成する。トロイド形状により過剰な質量またはコストを伴わずに深海潜水が可能となる。
【0076】
図7は、慣性姿勢制御システム200の斜視図である。環状支持フレーム201がトロイド状圧力容器の一つの内側に取り付けられている。システム200は、対応の「平坦な」トロイド状圧力容器、例えば容器1,30,40の一つへの装着に適した「平坦な」フレームを持つように図示されている。しかし、システムは、フレーム200の形状を適当に調節することにより、ここに説明した「後傾」容器構造の一つへの装着に適していてもよい。
【0077】
第1対のマス202,203は、船体軸に対して垂直に位置するそれぞれの軸により、フレームに取り付けられている。第2対のマス204,205は船体軸と平行なそれぞれの軸によりフレームに取り付けられている。各マスは、それぞれの軸を中心としてそれぞれのモータ(不図示)により独立して回転する。マス202,203を加速することにより、ピッチ制御を行う均一および反対の角加速度がビークルに与えられる。マス204,205を加速することにより、図7の形態でロール制御を行う均一および反対の角加速度がビークルに与えられる。ピッチとロールの組合せでヨー制御を行う。
【0078】
図8は、第1ビークル1の変形であるビークル210を示す。ビークル210はビークル1と同一であるが、さらに音波送信器211とセンサ212とを含んでいる。表面213の斜視図がビークルの下に描かれている。表面213は船体軸と平行である。ビークルは、表面213の隣の矢印Vで示されているように船体軸の方向に移動する。ビークルはまた、矢印Vで示されているように、船体軸を中心に連続的に転回する。送信器211は螺旋経路を辿るビーム214を発し、表面上の一連のストライプ215を掃引する。受信器212は、対応の螺旋経路を辿る検知軸を有し、表面上の対応する一連のストライプを掃引する。制御装置(不図示)は、連続ストライプからのセンサデータを処理することにより、センサ212により捕捉される像の有効解像度を向上させて、二次元におけるセンサ開口の合成拡大(synthetic extension)を実施する。
【0079】
送信器とセンサがそのビームを船体軸に平行となるように配向される代替ビークル(不図示)において同様の原理が採用され、ビークルは船体軸に対して角度を成す表面と平行に移動する。この場合に、ビームは、表面上の一連のストライプの代わりに湾曲経路を掃引する。
【0080】
外側の上部構造がないため、ビークル1は図9Aと図9Bに示されるようにドック格納される。ドックは、断面で描かれた円筒形内壁230を有する。ドックは、水線より下の船舶船体、または港または沖合構造物などの固定構造に形成される。図9Bに描かれたようにビークルがドックに包囲されるまで、船体軸に沿って(矢印Vの方向に)移動することにより、ビークル1はドックへ入る。ドックへ移動する際にビークルを転回させると、安定性を増すとともに、正確な位置決めを可能にする。ビークルはドックから出られるようにプロペラを逆回転させることにより出動する。
【0081】
図9Cは、誘導電気再充電システムの一部を示す。ドック内の環状一次コイル231がビークル内の環状二次コイル232と誘導結合して、ビークルのバッテリを再充電する。
【0082】
図10に描かれた第2ドック格納構成では、ダクト5に収容されて船体の内壁と当接し、これを所定箇所に固定する突出部240をドックが有する。
【0083】
ビークル100と類似した形状の代替ビークル260のための第3ドック格納構成が、図11に描かれている。この場合には、円筒形ドックの代わりに、断面で描かれた(ビークル260は断面で描かれていないが)中空の円筒形突出部250が設けられている。突出部250はダクトに収容され、船体の内壁と当接し、これを所定箇所に固定する。この場合のビークル260は、船首フィン262に装着された係留具261を備える図5Bの「後傾翼部」設計の牽引変形例である。ダクトには上部構造(例えばプロペラまたはフィン)がないので、突出部250はダクトを貫通できる。ビークルが重力を受けて突出部からスライドするように、突出部を下に傾けることによってビークルが出動する。図9Cと同様の方法で、誘導再充電システムが採用される。
【0084】
図12A、図12B、図12Cは、第6ビークル600の正面、左舷側面、平面の図である。ビークルの船体は図5A〜図5Cに描かれたビークルと共通して、船体軸601に対して後傾しているが、この場合には、船首フィン602と船尾フィン603とを支承する前傾部と、船首フィン604と船尾フィン605とを支承する後傾部とを船体が有する。ビークルはグライダとして作動し、浮力エンジン(不図示)と、図7に描かれたシステムと構造が類似した慣性姿勢制御システム(不図示)とを支承する。こうしてビークルは、ダクトの内側の上部構造もビークルの外側から突出するものも備えない完全に一体的な外側形状を有する。
【0085】
図13(A)と図13(B)は、ビークル700の正面図および左舷側面図である。ビークルは、ツイン推力ベクトル推進装置705,706を備える、図1に描かれた種類の推進システムを備えるものとして描かれ、シュラウド708の一方が図13(B)に見られる。図17(B)に描かれたポート牽引具701と、右舷側の同じ位置で船体に装着された右舷係留具(不図示)とを含むハーネス係留システムにより、ビークルは母船(不図示)に係留されている。係留具は一緒になって、動作中にデータ伝達と抗力負荷の伝達とを行う単一の係留ハーネスを形成する。外側船体の外面と同一平面で固定取付されてピッチ制御を行う付加的な一対の推進装置702,703をビークルは有する。ビークルの船尾にはセンサ704が描かれている。
【0086】
図14(A)と図14(B)は、ビークル800の正面図と左舷側面図である。ビークルは母船(不図示)に係留され、ビークルへおよび/またはビークルからデータを送信する単一の係留具801によって牽引される。係留具801は旋回点(不図示)によって船体に装着されることが好ましいが、これに代わる添えロープ方法も充分に使用できる。船体の船尾には4枚のフィンが装着されている。上部フィン802と下部フィン803と左舷フィン804とが図14(B)に見られるが、右舷フィンは隠れている。4枚のフィンの各々は、フィン802,803について点線で示されているように旋回して、ピッチおよびヨーの制御を行う。ビークル800は、V字翼部よりも剛性であり、翼フラッタを受けにくい。調整ピッチモーメントが大きいことで誘導抗力が低くピッチ安定性が高くなるため、V翼部よりも効率的である。
【0087】
上述したビークルは、自動無人水中探査、撮像、検査、地図作成、海洋科学監視に使用できる。この場合、推進ビークルは、直径が500mm、長さが600mm程度であり、グライダ型は2または4倍大きい。しかし、基本的なビークル設計は調整可能であり、数センチメートルの長さの翼幅を持つ非常に小型のビークルから、何十メートルの長さの翼幅を持つ非常に大型の海洋ビークルにも利用できる。ビークルは、レーザ、ジオフォン、ハイドロフォン、低周波数・中間周波数・高周波数の音波トランスデューサプロジェクタ、電磁センサ、ラインスキャン、二次元撮像センサを含む多様なセンサ形態を収容できる。ビークルは、ドック格納や、管、ポート、ガレージ内での停止、液体床部での着地または離昇動作にも適している。
【0088】
連続転回により誘発される安定性によりビークルは「停止」、つまり並進運動がほぼない状態を維持することが可能である。これは、低速で安定性を失う従来の自動水中ビークルと対照的である。「停止」モードで作動する間、フィードバックシステムが外部物体へのビークルの近接度を検知し、検知された近接度を受けてビークルの位置を制御する、例えば物体から一定の距離にビークルを保つのに必要とされる少量の推力を発生させる。
【0089】
ここに説明したビークルの代替用途は、かさばる原料(原油など)を大量に長距離輸送することであり、船体の内部には原料が充填される。この設計では、環状船体の長さは20メートルであるが、外径は10メートルまでに制約される。原料は内側のトロイド状圧力容器または外側船体、またはその両方に収容される。ビークルのサイズおよび/またはアスペクト比は必要に応じて大きくする。例えば、大きなビークル有効搭載量が維持される必要がある場合には、ビークル軸に沿ったある点で装着されるトロイド状の区画として拡大有効搭載量区分が構成されてもよい。このタイプの用途では、ビークルが海流に対してある角度で傾斜している場合には、海流により誘発される抗力および揚力のため、ビークルは側方へ外れるようにドリフトする。しかし、軸を中心にビークルを連続的に転回させることにより、海流により発生した横方向の力が低下する。代わりに、ビークルを横でなく上下に動かす傾向のあるマグナス力が発生される。
【0090】
このタイプのビークルのさらなる代替用途は、検査、修理、他の目的のため、液体充填パイプ(例えば水道管、オイル管)にビークルを潜水させることである。この場合、管に収容されるのに充分に小型となるようにビークルの直径が選択される。
【0091】
あるいは、海底ケーブル敷設用途では、長いケーブルが外側船体に搭載されてビークルから配置されるように、はるかに大型のビークルが指定される。例えばこのようなビークルは、重い海底牽引ケーブルが巻かれる開口したトロイド状保管区画を有し、このような区画は大型ビークル内に一つのトロイド状区分を形成する。そのためこのビークルの特定実施例は、長さ5.6メートルで外径4メートルの環状船体を採用する。推進システムは前述のように小型ビークル用であり、海底ケーブルを自動的に配置して敷設するため軸動作とともにスピンが誘発される。
【0092】
完全潜水可能な潜水ビークルとして作動する代わりに、上述したビークルは使用時に部分的にのみ潜水する表面ビークルとして作動するように設計されてもよい。この場合、カメラと無線センサとは外側環状外板の上部に固定され、ソナーセンサはトロイド状船体の下部の周囲に設けられる。表面ビークルは、前述した他のビークルと類似した構造および推進装置を有し、後傾または非後傾トロイド形状のいずれかを用いて実行される。船体の環形状により得られる重大な長所は、CofGが低くマスが分散されたトロイド形状が、従来の表面船舶により達成されるよりも、波、風、うねりにより生じる妨害に対する弾性を持つ効率的な波浪貫通動作を提供する時に、表面またはその付近で作動中に安定性が向上することである。さもなければ波、風、うねりの衝撃から生じる予測不能なセンサ動作によって監視、撮像、地図作成動作が妨害されてしまう時には、特に重要である。さらに、図2(A)、図2(B)、図3(A)、図3(B)、図4(A)〜図4(C)に描かれたツイン推力ベクトル推進装置方法は、海面より上にあるビークル上面および関連のセンサ高さの調節を可能にする。
【0093】
上述した各々のビークルのさらなる代替実施例では、環状体は二つの隆起部の各側にポートまたはスロット110,111と薄羽根112,113,114とを含む。図5Dに記された一例では、ビークル構造の一部を形成するトロイド状バー区分に設けられたヒンジ115,116を中心として薄羽根が回転し、左舷および右舷の環状側面の各々の二つ以上のトロイド状バー区分の各々に、このような羽根が3枚使用される。図5Dは、スロットと羽根とが環状体に含まれる特定実施例を記しているが、羽根が環状体の先端または後端の一部を形成する逆の形態にもこの原理が適用されることは明らかなはずである。
【0094】
ビークルの直接的な目標および周囲の局所的条件に従って、羽根を独立して駆動および弛緩させるのに関連の制御装置が使用される。弛緩した時には、羽根を回って環状体を通る効率的な流体の流れを可能にすることにより、羽根は直交流の影響を少なくする。上部および下部の羽根は制御装置により動的に調節されて、トロイドの四分の一のいずれかまたはすべてに正または負の翼ねじれを効率的に導入し、これが翼形のピッチ、ロール、ヨーモーメントを変化させ、そのためビークルを安定させるか、急激なピッチ、ヨー、ロールを導入するのに使用される。一例では、±90°以内の移動における羽根の操作が約0.5秒以内に実施されるように、減速比ギヤ機構を用いて密封容器に嵌着する電動ブラシレスモータにより、羽根が駆動される。中央の薄羽根対も同様に使用されることは明らかである。別の例では、トロイド面に対して垂直な配向を持ち、ビークルのCofGをほぼ二分するシャフトを中心に薄羽根が回転し、このようなシャフトが2本と関連の薄羽根とが含まれ、両シャフトの軸は90°の角度に及び、両シャフトの軸は、ビークルの軸と一致する垂直面に対して45°に並べられる。やはり薄羽根は、弛緩するか、薄羽根と結合された際に2本のシャフトの軸が描く面によって規定される方向に流体を移動させるように駆動される。この例では、薄羽根とシャフトとが関連のブラシレスDC電動モータにより直接駆動されるか、機械式ギヤ減速比機構を用いて間接的に駆動される。
【0095】
ビークルが連続転回モードで操作される場合には、ここに説明した船体形状が(船体軸に沿って見ると)高い回転対称を持つことは長所である。しかし、本発明は以下を含む本発明の代替実施例(不図示)も包含する。
【0096】
・外側船体の内壁および/または外壁が船体軸に沿って見ると円形ではない実施例。例えば外側船体は、多角形の環状(正方形、六角形など)を持つ。
・ダクトが適当な仕切りにより2本以上の別々のダクトに分割される実施例。
・外側船体自体が2本以上の別々のダクトを画定する実施例。
・外側船体が、船体軸を中心とする回転体として層流翼形から360度未満の角度だけ展開された実施例。この場合、ダクトは部分的に開口してスロットが長さ方向に延在する。180度を超える、好ましくは360度に近い角度とすることにより、いかなるロール角においても流体力学的揚力を提供するように、船体はほぼ環状となる。
【0097】
図5A〜図5Dと図12A〜図12Cには、浮力制御エンジンを備える潜水グライダが図示されているが、代替実施例では、例えばスイミングプールで使用される潜水グライダ玩具に、図5A〜図5Dまたは図5A〜図5Cに描かれた船体プロフィールが使用されてもよい。図5Dのグライダのプロフィール(羽根なし)が、この用途では最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1(A)は、第1形態のプロペラを備える第1推進ビークルの正面図である。図1(B)は、船体軸と図1のA−A線に沿ったビークルの断面図である。
【図2】図2(A)は、第2形態のプロペラを備えるビークルの正面図である。図2(B)は、図2(A)のA−A線に沿ったビークルの断面図である。
【図3】図3(A)は、第2推進ビークルの背面図である。図3(B)は、図3(A)のA−A線におけるビークルの断面図である。
【図4】図4(A)は、第3推進ビークルの背面図である。図4(B)は、図4(A)のA−A線における第3推進ビークルの断面図である。図4(C)は、図4(A)のB−B線におけるビークルの断面図である。
【図5A】第1グライダビークルの正面図である。
【図5B】第1グライダビークルの側面図である。
【図5C】第1グライダビークルの平面図である。
【図5D】環状体の隆起部の周囲のスロットに薄羽根が含まれる別のグライダの側面図である。
【図6A】代替圧力容器の斜視図である。
【図6B】代替圧力容器の側面図である。
【図7】代替姿勢制御システムの斜視図である。
【図8】使用時の第4推進ビークルの正面図である。
【図9A】図1のA−A線における第1推進ビークルのドック格納プロセス中の断面図である。
【図9B】ドック格納後のビークルを示す。
【図9C】誘導電気再充電システムを示す拡大図である。
【図10】代替ドック格納構造を示す断面図である。
【図11】さらなる代替ドック格納構造を備える牽引係留ビークルの概略図である。
【図12A】グライダビークルの正面図である。
【図12B】ビークルの側面図である。
【図12C】ビークルの平面図である。
【図13】図13(A)は、第4推進ビークルの正面図である。図13(B)は、ビークルの側面図である。
【図14】図14(A)は、第2牽引係留ビークルの正面図である。図14(B)は、ビークルの側面図である。
【図15A】トロイド状浮力制御システムの軸図である。
【図15B】螺旋状浮力制御システムの軸図である。
【図15C】図15Bのシステムの側面図である。
【図15D】さらなる浮力制御システムの側方断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜水ビークルと、かかるビークルを操作、ドック格納、出動させる方法に関連する。なお、本明細書において、「潜水」の語は、使用時に部分的にのみ潜水できる地上ビークルばかりでなく、使用時に水(または他の液体)に完全に潜水するビークルも含むものとする。本発明はまた、潜水グライダ玩具にも関連する。
【背景技術】
【0002】
内部流路を持つ水中ビークルは、米国特許第5438947号明細書に記載されている。ビークルは、流路に取り付けられたプロペラと、ビークルの進行方向を制御する方向舵とを有する。ビークルが高速で移動できるように、ビークルは低アスペクト比で設計されている。
【発明の開示】
【0003】
本発明の第一の態様は、船体軸を画定するとともにこの船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトをこの環状体の内部が画定する潜水ビークルであって、さらに、このダクトを中心としてビークルを転回させるための手段を含む潜水ビークルを提供する。
【0004】
使用時に、ビークルは1回転未満、または複数回転、ダクトを中心として転回する。ビークルは船体軸を中心として対称に転回してもよいが、重心が船体軸からオフセットしている場合には特に、ダクトを中心として偏心状態で転回してもよい。
【0005】
従来、略環状の形状は、結果的に、転回(つまりダクトを中心とする回転)時に不安定なビークルとするため望ましくないと考えられていた。しかしこの性質は、(特に無人または自動ビークルに関わる)多くの用途では必ずしも不利益でなく、転回は角運動量を発生させる結果、高い安定性を付与するので利用が可能であることを発明者は見出した。さらに、ビークルの転回は、周囲の海流と組み合わされて、海流とビークル転回のベクトルに対応する流体力学的揚力または下方推力の増加と引き替えに、ビークルの軸からの横ドリフトを減少させるのに役立つマグナス力を発生する。二地点以上の間でのビークルの精密なナビゲーションが必要とされる場合には、このような横ドリフトの減少は価値がある。また、投影矩形視野からの情報を獲得するため、ビークル軸に沿った線形運動と組み合わされた連続転回がセンサ装置に利用される場合には、センサの二次元走査を実施するのにビークル転回が利用される。矩形視野の幅はセンサが情報を獲得するセクタの大きさによって決定され、矩形視野の長さはビークルの軸方向移動の長さによって決定される。セクタは一般的に180°未満の角度に及ぶが、この方法を拡張して、センサ装置のセンサが180°以上360°までの情報を獲得してもよい。この場合、投影視野は、ビークルの転回運動の範囲である二次元平面にわたって連続的である。このような例では、センサ装置は角度姿勢に関する同期方式でデータを獲得するため、間に正確な整合を伴った連続ラインが形成される。好適な実施例では、センサデータの適切な処理により、二次元でのセンサ開口の合成拡大(synthetic extension)が実施される。この特定例では、合成開口処理の性能に対する限定要因の一つは、データ獲得時間を通した推定および実際のビークル位置の間の不正確さによる解像度の低下である。結果的に、このようなシステムでは、精度を向上するためビークルの位置および姿勢が推定される慣性ナビゲーション装置を導入している。しかし、本発明の好適な実施例は代わりに、複雑な修正または推定アルゴリズムに頼らずに角運動量を増大させてビークルの位置と姿勢のいずれかにおけるドリフトの程度を減少させることにより、ビークルの基本的安定性を向上させる、より低コストでより優れた設計を採用する。ゆえに、後述する好適な実施例では、ダクトを中心とするビークルの転回を制御するための様々な手段と、他の姿勢制御要素とが設けられる。
【0006】
ダクトを中心としてビークルを転回させるための手段は、例えば、推進システム(ツイン推力ベクトル推進システムなど)、フィンなどの一つ以上の制御面、慣性制御システム、モータ制御により船体の周囲を左舷または右舷へ移動する浮力制御システムでよい。
【0007】
本発明の第二の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定する潜水ビークルを提供し、ビークルはさらに浮力制御システムを含む。
【0008】
本発明の第三の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定し、外側船体の少なくとも一部が船体軸に対して後傾している潜水ビークルを提供する。
【0009】
本発明の第四の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定し、船体が投影面積Sと、船体軸に対して垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より高い、潜水ビークルを提供する。
【0010】
比較的直径の大きな船体により、2個以上のセンサによるアレイを船体上で充分に離間させることができ、長いセンサ基線が得られる。このようにして、センサ基線の長さに比例してセンサアレイの有効鋭敏性が上昇する。また、比較的高い比B2/Sによって高い揚力と抗力の比が得られて、ビークルはグライダとして効率的に作動できる。
【0011】
本発明の第五の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部が開口したダクトを環状体の内部が画定する潜水ビークルを提供する。
【0012】
本発明の第六の態様は潜水ビークルの推進システムを提供し、推進システムは、可撓性で略環状のジャケットに収容される2個以上の軸対称駆動アセンブリを含む。
【0013】
本発明の第七の態様は、軸対称に取り付けられた2個以上の駆動アセンブリを有する潜水ビークルを操作する方法を提供し、この方法は、液体中でビークルを推進させるように駆動アセンブリを軸対称に往復させることを含む。
【0014】
本発明の第八の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈して、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定する外側船体と、一対以上の推進装置を含むツイン推力ベクトル推進システムとを有する潜水ビークルを提供し、各対は、船体軸の第1側に旋回自在に取り付けられた第1推進装置と、第1推進装置と対向して船体軸の第2側に旋回自在に取り付けられた第2推進装置とを含む。
【0015】
一般的に、各推進装置は、装置を旋回させることにより他の推進装置と無関係に変化することのできる推力ベクトルを発生させる。一般的に各装置は、船体軸に対してある角度(好ましくは90°)の軸を中心に旋回できるように取り付けられている。推進装置は、例えば回転プロペラまたは往復フィンである。推進装置は、ダクトの内側でもダクトの外側でもよいが、外側船体と一体的でなければならない。
【0016】
本発明の第九の態様は、船体軸を画定するとともに船体軸に沿って見た時に略環状を呈し、グライダ玩具が液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを環状体の内部が画定する、外側船体を有する潜水グライダ玩具を提供する。
【0017】
以下の説明は本発明のすべての態様に当てはまる。
【0018】
本発明の好適な実施例では、抗力を下げるためダクトは船首の断面積が小さく、一方、さもなければ従来の平面翼または水平尾翼スタビライザ装置により誘発された時に一層重要となる誘発航跡渦を軽減することによって、抗力の減少がさらに保証される。ダクトの壁は、液体中でのビークルの運動を補助するのに用いられる流体力学的揚力を効率的に発生させるような形状であることが好ましい。
【0019】
ダクトのさらなる長所は、上部構造(推進装置など)がダクト内に一層安全に収容されて、外側船体が比較的滑らかで一体的な外面を呈するようにして、他の水中物体との衝突または巻き込みによる損害または損失の危険を少なくするのに役立つことである。
【0020】
本発明の実施例は、従来の平面翼に基づく他のものと比較してビークルの構造的剛性が向上した略環状のプロフィールを提供する。その長所は、同様の流体力学的パラメータを持つビークルのコストまたは質量の削減と、環状船体と船体に収納されたトロイド状圧力容器のいずれかが座屈応力に対する高い抗力を与える場合にはより深い潜水能力のいずれかで実現される。
【0021】
ダクトは長さの全部または一部において完全に閉鎖されるか、長さに沿って延在するスロットにより部分的に開口している。ダクトはまた、所定の性能条件における流体力学的性能を助長または変更するためのスロットまたはポートも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の様々な実施例を例として説明する。
【0023】
図1(A)と図1(B)を参照すると、潜水ビークル1は、層流翼形(laminar flow hydrofoil profile)(図1(B)に図示)から、船体軸3を中心とする回転体として展開された外側船体2を有する。ゆえに、図1(A)に見られるように船体軸に沿って見た時に外側船体2は環状を呈する。水または他の液体にビークルが潜水した時に、水がダクトを満たして、ビークルが水中を移動するとダクトを流れて流体力学的揚力を発生させるように、環状体の内壁4は前後で開口したダクト5を画定する。
図1(B)に見られるように、翼形(hydrofoil profile)は、狭い船首端部6から最も広い点7まで徐々に外向きテーパ状となってから、船尾端部8へとより急激に内向きテーパ状となっている。この特定実施例では、最も広い点7は船首端部と船尾端部との間の距離のほぼ3分の2に位置する。多様な用途において有効である適切な範囲のレイノルズ数により決定される特定範囲の流型に従って揚力、抗力、ピッチモーメントの係数を修正するように、本ビークルおよび他のビークルの変形において特定の翼形断面を修正してもよい。
【0024】
船体軸の両側には一対の推進装置9,10が対称に取り付けられている。推進装置は、図1(B)に見られるように、最も広い点7と並んで船体に取付けられるL字形支持シャフト13,14に取り付けられたプロペラ11,12を含む。プロペラは、効率が高くなるようにシュラウド15,16内に取り付けられている。各L字形シャフトは、ビークルのピッチ軸と平行な軸を中心として船体に対して360度回転できるように船体に旋回自在に取り付けられ、こうして推力ベクトル推進を行う。シュラウドとL字形シャフトはともに、外側船体について記載したものと同様の翼弦長と高さとの比を用いた翼形断面を有する。ゆえに、推進装置8,9は例えば、ビークルを船体軸に沿って前方へ推進する推力を付与する図1(A)と図1(B)に示されたような同一方向形態と、船体軸を中心としてビークルを連続的に転回させる図2(A)と図2(B)に示されたような反対方向形態との間で回転することができる。図2(A)の矢印Vはビークルの動きを示し、図2(A)の矢印Lは液体の流れを示す。そのため、この特定実施例では推進システム内に4個のモータ、つまり推進装置を駆動するための2個のブラシレス直流電動モータと、プロペラモータが取り付けられたL字形支持シャフトを駆動するための2個の直流電動モータとを使用し、モータとL字形シャフトとの間で駆動力と負荷とを伝達するのには機械式ウォームドライブギヤ減速機構が使用されることになる。作用負荷がモータの定格と一致する限り、ステッパモータなどの代替モータタイプを後者の方法に使用してもよい。
【0025】
開ループピッチまたはヨー安定性を最低にするため、ビークルの重心(CofG)は動水圧中心の前方に位置し、これらの中心をさらに離間させることによってより高い安定性が達成される。しかし、ビークル推進システムと組み合わされる閉ループ姿勢制御システム(不図示)により付加的な安定性が得られるので、正確な位置は重要でない。このような状況において、動水圧中心またはその後方にCofGを持つビークルの操縦により、安定性が敏捷性の犠牲となることがある。同様に、推進装置の位置は船首に向かう前方と船尾に向かう後方のいずれかに調整され、これに従ってビークルダイナミクスが調節される。
【0026】
このような姿勢制御システムは、(i)3本の直交軸上での線形加速度を測定する装置と、(ii)3本の直交軸上での角加速度を測定する装置と、(iii)2本または3本の直交軸上における配向を測定する装置と、(iv)これらの装置からの信号を組み合わせて、その時に望ましい特定ビークルの動的運動または復元力に従って、上述した推進システムを起動させる要求信号を計算する装置とを含む。配向装置は、重力センサ、または地球磁場ベクトルを検出するセンサ、またはその両方を含む。ビークルはまた、なんらかの初期基準位置に対する特定の時点でのビークルの位置を推定するナビゲーションシステムも含む。このようなナビゲーションシステムの好適な実施例は、上述した姿勢制御システムにより提供されるデータと他の任意のデータとに基づいて作動する処理装置を含み、このようなデータを提供する固有センサが、ナビゲーション目的でビークルに含まれてもよい。このようなセンサは、(i)静止位置把握衛星(GPS)受信装置と、(ii)1台以上の音響応答器または通信装置とを含む。GPS装置は、浮上した時に緯度、経度、高度におけるビークル位置の推定値を導出するのに使用される。音響応答器または通信装置は、局所的な液体媒体中に位置する1台以上の対応の応答器または通信装置に対する位置を確立するため、音響信号を送受信する。好適な実施例では、処理装置は、姿勢制御およびナビゲーションシステムのセンサ装置から提供された可変データに基づいてビークルの相対または絶対位置を推定するカルマンフィルタとして説明される固有のアルゴリズムを含む。
【0027】
この特定実施例では、ビークルは若干の正の浮力を持つように設計される。浮心(CofB)は、CofBが重心と一致する最小値と、CofBがCofGの上の逆円錐の体積内に位置し、円錐の頂点がCofGに隣接し、円錐の底面が環状船体の上部によって画定される最大値との間のいずれかに位置する。
【0028】
特定実施例では、円錐の体積のどの部分も、ビークルの軸を二分する垂直面の後部に位置してCofGと一致することのないように円錐が傾斜している。CofBがこの円錐内に位置してCofGから離間している時には、ビークルは静的条件下で正のピッチを取り、そのため、環状船体からの正の浮力と流体力学的揚力との組合せからのみ生じる力を受けて、深いところから水面まで潜航し、ビークルの潜航経路が浅いため、いくらかの有益な水平移動距離が得られる。
【0029】
こうして、ミッションサイクル中の引力の再利用により、ビークルのバッテリ設備内での省エネが可能となって好都合である。ビークルの潜航経路は、使用されていない時に船体軸に対して平行となるように折り畳まれるプロペラ(不図示)を採用すること、またはプロペラシュラウドを省略することによって改善され、その場合にはビークルの抗力がさらに最小となる。
【0030】
ビークルは、船体の外側本体に配置された太陽エネルギー電池(不図示)も含み、やはり環状船体では、船体の外面エリアが同様の質量の円筒形ビークルと比べて比較的広いので、効率的な手段となる。このような実施例では、太陽電池は、バッテリ設備内に位置する再充電電池内に蓄積されたエネルギーを補充する充電回路に電気接続されている。こうして、ビークルが海面またはその付近で作動または静止している時には、太陽エネルギーを用いてビークルエネルギー設備の計画的かつ好都合な補充が可能となる。
【0031】
この実施例では、CofBは上述した体積測定円錐内のある静止位置に固定されるか、CofBは円錐の周囲の位置へ制御機構により動的に調節される。いずれの場合も、環状船体のトロイド状区分内に位置する1個以上の正浮力バラスト要素の位置によってCofBが制御される。2個のバラスト要素が使用される実施例では、要素は同じくトロイド内に配置され、その場合、ビークルの静的浮力は最大となる。または、ビークルのCofBとCofGがともに船体軸上に位置するように2個のバラスト要素がトロイドの周囲に位置されてもよく、その場合にはビークルの静的安定性はゼロである。
【0032】
そのため、ビークルは推進システムを用いて、船体軸を中心とするスピンを誘発し、ビークルはCofGに対するCofBの位置を調節する。そのため、CofBとCofGとの間の最大離間が望ましい時には、ビークルはスピンを伴わない移動の際にその動的運動を適応させる。しかし、転回時の偏心を最小にすべき場合に、船体軸に対するCofGとCofBとの間の最小離間が望ましい時には、船体軸に沿った運動が存在してもしなくても、ビークルはスピンが起こると動的運動を適応させる。
【0033】
推力ベクトル推進装置は、正方向と逆方向のいずれかにおける船体軸上の運動、船体軸を中心とするスピンまたは転回、ビークルのCofGを中心とするピッチまたはヨーのための手段を提供する。前述したように、ビークル転回を起こすためには二つの推進装置が反対方向であるのは明らかである。二つの推進装置は同一方向であってもよい。例えば、推力ベクトルがCofGの上に位置するように両者が下向きであると、ビークルは船首を下に向ける。同様に、推力ベクトルがCofGの下に位置するように二つの推進装置が上向きであると、ビークルは船首を上に向ける。ビークルおよび相互に対する様々な程度の推進装置ピッチを使用してビークルのピッチ、ロール、ヨーを実施できることも明らかである。ヨーは、異なるプロペラ回転速度が採用される時に、異なる推力の印加によっても誘発される。ゆえに、ビークルは独自の自動制御に基づいて潜水、方向転換、転回、浮上が可能であることが分かる。
【0034】
ビークルが空転している時と、CofGの位置が推進装置の回転軸と一致する時には、ビークルは特殊な方法で駆動される。図2(B)を参照すると、垂直方向がページ上で垂直であると定義した場合、図1(A)に示された位置では、ビークルは0度のロール角であって、推進装置9は上向き、推進装置10は下向きである。下方運動が必要な場合、ビークルが350度と10度の間(または推進装置9がほぼ上向きである他の限定円弧上)にある時には推進装置9がパルスオンとなり、ビークルが170度と190度の間(推進装置10がほぼ上向きである他の限定円弧上)にある時には推進装置10がパルスオンとなる。ビークルは円弧の周りに推力ベクトルを集め、船体軸に垂直な(この場合には下向きの)移動を発生させる線形加速度を受ける。これにより、空転ビークルは、船体軸に垂直である平面上で正確に移動できる。
【0035】
そのため、動的制御による高い旋回率のための推力ベクトル推進装置が配置されるので、ビークルは高度の操作性を持つことが明らかである。ビークルが高度の安定性を持つことも明らかである。運動が船体軸に沿っている第一例では、誘発トルクを相殺する逆回転プロペラにより比較的高速が達成される一方で、逆向きの推進装置はさらなるロール安定性を提供する。船体軸を中心とするスピン運動が発生する第二例では、角運動量が増大し、やはりビークルの安定性が上昇し、外力を受けた時にはビークル姿勢または位置のエラーの減少としてこれが測定される。
【0036】
ビークルの船首は、衝突回避と撮像の用途のため一対のビデオカメラ17,18を搭載している。船体の直径が比較的長いためカメラを充分に離間させることが可能であり、こうして、両方のカメラ視野内に位置する物体の間の視差の測定により正確な距離推定を提供する長い立体写真基線が得られる。ソナー撮像と検知のため、ソナー送信器19とソナー受信器20とが設けられている。やはり広い基線が長所である。外側船体2は図1(A)に見られる内部空間を含む。この外側船体は、エポキシ樹脂の層の間に交互に積層されたガラスまたは炭素繊維フィラメントを用いた剛性複合材料から製造されることが好ましい。あるいは、より安価で弾性の低い船体が、ポリウレタンまたは高密度ポリエチレンなど、適当な硬質ポリマーから成形されてもよい。船体が加圧されるならば、アルミニウムから外側船体を製造することも可能である。内部空間は外側船体の小孔(不図示)によって満たされるか、加圧される。内部空間は、一対のバッテリパック21,22と、一対の船尾センサ23,24と、船体軸に沿って離間した4個のトロイド状圧力容器25〜28とを収容する。圧力容器は、ビークルの電子機器、何らかの推進サブシステム要素、他のアイテムを収納し、軸方向ストラット(不図示)により結合されている。この特定実施例では、トロイドの周囲に螺旋状に巻かれるか、エポキシ樹脂の層の間に交互に積層されたガラスまたは炭素繊維フィラメントを用いた剛性複合物からトロイド状圧力容器が製造されることが好ましい。あるいは、アルミニウム、ステンレスまたは亜鉛めっき鋼、チタンなどの適当なグレードの金属からトロイド状圧力容器が製造されてもよい。
【0037】
船体軸上での船体の長さは翼形区分の翼弦長に対応し、これは図2(A)に(a)で示されるのに対して、二つの端部でダクトを横切る直径または翼幅は(b)で記される。船体のアスペクト比(AR)は以下のように表される。
【0038】
AR=2B2/S
【0039】
上式において、Bは船体の翼幅(船体の最大外径で規定される)、Sは船体の投影面積である。
【0040】
翼幅Bが(b)とほぼ等しく面積Sが(b)×(a)にほぼ等しいと考えた場合、ARは約2(b)/(a)である。図2(B)のビークルでは、ARは約1.42であるが、この数字は、用途によって他の比が必要である他の実施例では変更されてもよい。アスペクト比が低い幅の狭いビークルに対応するため、またはアスペクト比が高い幅広のビークルに対応するため、トロイドの直径を簡単に変更することによりビークル形状を調節してもよいことは明白である。いずれの場合にも、低アスペクト比のトロイド形状を用いて比較的高い揚力係数が達成されるので、ある状況では固有の長所が得られ、一方、高アスペクト比のトロイド形状を用いると、最適のグライドスロープ比または揚力と抗力の同様の比が達成される。
【0041】
特定シナリオでのビークルの動作を表すレイノルズ数の範囲によって決定される流体の流型における抗力係数を最小にするように、外側船体が設計される。外側船体は、下層(図1(B)に斜線で示す)と、外板層(不図示)とを含む。
【0042】
第2ビークル30が図3(A)と図3(B)に描かれている。このビークルはビークル1と同一であるが、プロペラツイン推力ベクトル推進システムの代わりに、バイオミメティックフィンツイン推力ベクトル推進システムを採用している。この場合、推進システムは、船尾端部に向かって外側船体に旋回自在に取り付けられ、図3(A)と図3(B)に実線で示された第1(収容)位置と、図3(B)に点線で示された第2位置との間でちょうど180度回転できる一対のフィン31,32で構成される。フィンの各々は、独立した電動DCブラシレスモータと、ヘリカルウォームドライブ(不図示)を含むことが好ましい機械式ギヤ減速機構とによって回転され、いくつかのモードで駆動される。この形態においてフィンは、往復運動時に負荷を受けながらいくらかの撓曲が見られるように特定グレードのポリウレタンから製造され、このような撓曲は各フィンから後方へ推進渦流を一層効率的に案内するのに役立つ。
【0043】
一つのモードでは、船体軸に沿って車両を前方に駆動するパドリング動作を発生させるためフィンは異なる位相で往復する。別のモードでは、フィンは往復状態だが今度は相互に同じ位相で駆動されてビークルを船体軸に沿って前方へ駆動する。
【0044】
別のモードでは、フィンは、往復状態であるが、今度は往復円弧の中心が船体軸およびフィン旋回軸で定められる水平面の上下にずれた状態で駆動され、そうする際に、ビークルを前方へ駆動するとともに転回を起こし、転回は往復フィンの相対的変位に応じていずれかの方向で行われる。
【0045】
別のモードでは、フィンは往復状態であるが、今度は相互に同じ位相で、やはり往復円弧の中心が上述の軸方向旋回面の上下にずれた状態で駆動される。このモードはビークルを前方へ推進するが、CofGを中心とするピッチ回転を起こし、こうしてビークルの潜水または上昇に用いられる。ビークルの転回モードとの組合せで使用される時には、このモードはビークルのヨーを結合および発生させる。
【0046】
このバイオミメティック設計により、各フィン推進装置への励起信号の周波数および規模を連続的に変化させることと、いずれのフィンについてもフィン円弧の往復中心の選択を連続に変化させることと、フィン間のフェージングを連続的に変化させることが可能となる。そのため、この設計は、低速での良好な推進効率と、高速での良好な推進効率とを達成する。
【0047】
この方法の別の実施例では同様の往復フィンを使用するが、この特定設計においてはフィン旋回点とフィン尾部との間のほぼ中間に3個のナックルヒンジが含まれる。これらのナックルヒンジはステンレス鋼で製造されて、フィン旋回点で行われる励起に対して注意深く位相を合わせることにより往復状態で駆動される。この設計は、ナックルヒンジでの振幅xを持つフィン旋回点から開始する進行波を発生させ、これは振幅yでフィン尾部まで進み、yはxより大きい。この設計を用いると、前述した動作モードが繰り返され、それが動作の長所であるが、進行推進波を得るため旋回点およびナックルヒンジの励起駆動信号の位相を注意深く調整することにより、推進効率が向上する。
【0048】
図4(A)〜図4(C)には第3推進ビークル40が描かれている。このビークルは図3(A)と図3(B)に描かれたビークルに類似しており、やはりバイオミメティックフィンツイン推力ベクトル推進システムを採用している。一対の軸対称フィン41,42が、環状船体の船尾にこれと一体的に取り付けられている。フィンは同一であり、図4(C)には一方の42が断面で描かれている。外側船体の外板層は43を終端とするが、下層(ある程度の可撓性を持つ)はフィンの周囲まで延在し、下層はポリウレタンなどのエラストマ材料を含む。フィンは、旋回点46で結合された基端プレート44と末端プレート45とを含む構造骨格を有する。一対の隆起部47,48が、末端プレートの両側とその長さに沿った一部において嵌合する。ライン49は両端部で旋回点46に装着され、従動プーリ50を通過している。プーリ50を駆動すると、点線で示されているように、基端プレート44が隆起部47,48を中心に回転し、末端プレートは旋回点46を中心に回転する。プーリ50を往復させることにより、フィン42も往復する。上下のフィン尾部コーナーを制御するのに2本の別のライン(不図示)が使用されるため、この方法を用いて、正または負の翼形の翼ねじれがいずれのフィン先端にも効率的に付与されるように、フィン尾部コーナーは各推進装置内で独立して、またいずれの推進装置からも独立して操作される。この方法は、かなりの敏捷性をビークルに与える。
【0049】
この推進装置駆動機構の代替実施例では、末端プレートの各側に設けられた2個の電磁石51,52を使用し、この電磁石に設けられたコイルの周囲に電流を流すことによって電磁石が励磁されるため、いずれかの電磁石におけるこのような信号の交互位相変化が基端プレートに往復動作を誘発する。制御装置(不図示)は電磁石の励磁を制御し、またプーリ50と末端プレートとを類似の往復動作で駆動するモータの励磁を制御するが、往復する基端および末端プレートの相対的位相変化は、推進装置により進行推進波が伝達されるように制御装置によって注意深く維持される。希土類または同様の磁石を基端プレートに設けることと、磁石と電磁石の位置が逆転した往復機構とを含む他の変形がこの方式で実行されてもよいことは明らかである。
【0050】
この、環状船体と組み合わされたバイオミメティック推進実施例の主な相違は、フィンストロークが軸対称で行われて、ビークルの推進効率を高めることである。フィン尾部コーナーの非対称的な駆動によってビークルの転回が誘発されることを除いて、やはり前述の推進モードがこの設計でも繰り返される。プレートは剛性であっても、励起信号の位相変化で可撓性が考慮されるのであれば可撓性を持つ設計であってもよい。やはり、往復する軸対称進行推進波が各フィンの基部から各フィン尾部まで伝達されるように、基端および末端プレートと尾部フィンコーナーラインの励起および位相変化駆動により、効率的な推進が実施される。
【0051】
前述したように、環状船体と組み合わされたこのバイオミメティック推進設計は、推進装置を効率的に転回させる際に多くの自由度を与える。
【0052】
図4(A)、図4(B)、図4(C)に描かれた環状船体と関連するフィン推進装置の数は、いくらか大きな数nまで容易に増加させることができ、限定的な場合には、フィン推進装置はビークルの尾部周囲と一体化して、連続的かつ一体的で可撓性を持つ環状のバイオミメティック推進装置を形成することは明らかなはずである。
【0053】
このような一体的で可撓性の環状バイオミメティック推進装置の特定実施例について、以下に説明する。軸対称ツインフィン推進装置ビークルについて上述した駆動アセンブリが、n=10となるように環状体の後部の周囲にやはり設けられるため、ビークルの環状体の後部に装着された一体的な弾性ポリウレタンジャケット内に末端および基端プレートが収容される。尾部コーナーフィンの追加ラインは、フィン推進装置が可撓性の一体的な環状体に完全一体化される時には余分となるので、含まれていない。
【0054】
ビークルを船体軸に沿って前方へ駆動するように、進行性かつ推進性で連続的な軸対称進行波が可撓性環状体の基部からその尾部へ励起されるように、上述のように基端および末端プレートが駆動される。可撓性環状体の完全な周方向制御が可能であるので、ピッチとヨーの制御はこの実施例では取るに足らないことであり、独立した方法での基端および末端プレートの励起が行われる。
【0055】
図5A〜図5Cにはグライダビークル100が描かれている。ビークルの船体は図5Aに見られるように環状の構造を有し、ビークル抗力を最小にし、航跡渦へ開放される残留エネルギーを低下させ、ピッチおよびヨーの安定性を提供し、姿勢制御のための新機構を提供するため、後傾形状を採用している。図5Bはビークルの左舷立面図であり、図5Cはビークルの平面図を表し、点線は翼形の形状を示す。外側船体は同様の構造を使用し、図1〜図4に描かれたビークルと共通する様々なセンサ、バッテリパック、圧力容器を収容するが、明瞭化のためこれらは描かれていない。
【0056】
船体は、船体の周囲に90度離間している4個の船首頂点101〜104と4個の船尾頂点105〜108とを有する。
【0057】
浮力エンジン(不図示)が外側船体内に収容され、ビークルが潜水と上昇を交互に行うように周期的に駆動される。CofBとCofGの相対位置を注意深く調節することにより、ビークルは潜水し上昇しながら傾斜し、そのため、前方動作の成分を付与するように外側船体形状によって揚力が発生する。こうしてビークル100は浮力によるグライダとして作動することができ、単独で、または自動監視船隊において使用され、その海域の支援チームからの介入を受けずに、広大なエリアの大洋、海底、海岸線をサンプリングするようにプログラムされる。
【0058】
この特定実施例では、流体力学的抗力が最小となるのでビークルは非常に低エネルギーの形態を採用し、各潜水・上昇サイクル中に2度のみ状態を変える浮力エンジンから動力が発生するので連続的なモータ推進が行われず、そのため電気エネルギー消費も最小となる。
【0059】
従来の海洋グライダは浮力を加減して、船体軸上のマスの位置を調節するが、この特定実施例は固定マスを維持し、ビークルの環状船体に嵌着して船体の後傾形状に従うリング(不図示)に沿った浮力エンジンの調節により、浮力とCofB位置とを加減する。ビークルが上昇する際には、浮力エンジンは上部船首フィン101の付近に位置するため、CofBはCofGの前方に位置し、結果的に「ノーズアップ」形態となる。モータ制御下で船体の周囲の左舷または右舷への浮力エンジンの動きは、船体軸を中心としてビークルを転回させるとともにCofBをCofGの後方へ移動させ、この点でビークルは傾斜した「ノーズダウン」となる。次に浮力エンジンは負の浮揚性となり、ビークルは海洋へと潜る。ある既定の時点または深度において、浮力エンジンはリングを中心に移動してビークルは船体軸を中心とする回転を開始し、90°の船体回転中にCofBは船体軸の上へと前方移動し、この時点でビークルは傾斜ノーズアップとなり、浮力は正となり、ビークルは海面へと上昇する。
【0060】
ビークルは、深海への潜水から海面への上昇までの変温層からエネルギーを抽出する一つ以上の装置も含み、水深が0から600mの多くの海洋では20℃以上の温度勾配が予想され、海洋体積の75%の温度が4℃以下であるのに対して、海面温度は30℃を超えるかそれ以上である。
【0061】
このような環境発電装置の一つは、図15Aまたは図15Dに記載された浮力制御システム900であり、温度感受性の相変化物質(PCM)(i)が、トロイド状圧力容器の一部を形成する室(a)に収容され、数本のトロイド状アルミニウム管(b)もこの室の中に存在する。室の壁もアルミニウム製であり、ガラスまたは炭素繊維フィラメントと組み合わされたシンタクチック・フォームまたはネオプレンとエポキシ樹脂などの絶縁複合構造層に包囲され、このようなフィラメントは室のトロイド形状の周囲に螺旋状に巻かれ、このような物質は内面と外面との間の熱伝導率を低く維持する。他に二つの絶縁トロイド室(c),(d)が含まれ、このような室は別々のトロイドであっても、前のトロイドの一部であってもよく、その構造はトロイド軸を中心とする3個以上のセクタに分割される。
【0062】
室(a)は外部の海水に開口するポートと連通しているため、室(a)と海水との間の物理的な絶縁バリヤを維持するため可撓性で熱伝導率の低い膜またはピストンシール界面も含むこの室の区分には海水が流入する。室(a)はまた、ある量の液体により、または別のバルブにより分離された2枚の可撓膜を介して海水にも接続された高圧ガス室(j)とも連通する。室(c)は、室(a)内のアルミニウム管に接続された二つのポートおよび二つのバルブ(h)と連通する。トロイド状圧力容器は、可撓膜アセンブリと外部液体への連通ポートとを備える任意の低圧ガス室(k)も含む。室(d)はまた、同じアルミニウム管に接続された2個のポートおよび2個のバルブ(h)とも連通し、熱電半導体(TES)ペルチェ効果装置(e)のアレイも含み、このような装置の各側は、外部の海水または内部流体への熱抗力の低い経路を持つ。室(c),(d)は、海水に開口するポートおよびバルブも含む。
【0063】
ビークルの操作に応じてバルブおよびポートを開口させ制御するのに、制御装置(f)と1個以上の流体ポンプ(g)が使用される。室(c)は表面付近では温水で満たされるつまり充填されるのに対して、室(d)は深海において低温の海水で満たされるつまり充填される。制御装置(f)は、海面付近で作動する時に、ビークルの初期化中に室(d)の流体の温度を低下させるため二つの半導体接合部に印加される電位差により、TES(e)装置を起動するのに使用される。あるいは、ビークルの第1潜水サイクルを開始するのに単純なバラスト装置が代わりに使用されてもよい。
【0064】
制御装置(f)は、液面に近い時にはポートとバルブとポンプとを作動させ、管(b)と温水容器(c)と外部液体とを介して温かい表面温度に露出される相変化物質(i)の膨張体積を用いて、乾性ガス(l)を加圧する。室(j)とガス(l)との加圧後、エネルギーが蓄積されるようにそのバルブは閉じられる。ビークルは静止状態での負の浮力を用いて、または一時的なバラスト装置を用いて、または制御装置(f)と容器室(d)またはTES(e)またはその組合せを用いて、PCM(i)を低温に露出することによる密度の変化により、ビークルは降下する。好適な実施例では、容器(c),(d)と管(b)とポンプとは、局所的な温度勾配による非効率性を最小にするため海水の循環を助ける。その結果生じるPCMの周囲での温度の低下は、PCM容積内でのアルミニウム管(b)の近接結合により効率的に維持され、これは、PCMにおける液体から固体への相変化と、ビークルの密度を上げる対応の体積減少とを引き起こすため、海水より重くなって降下する。
【0065】
既定の深度に到達すると、制御装置(f)はポートとバルブとポンプとを作動させて、可撓膜を動かせて張らせるように加圧ガス(l)を放出し、所定量の外部液体を排出するため、ビークルの密度は外部液体と比べて正となり、ビークルは上昇を開始する。上昇中、制御装置(f)はポートとバルブとポンプを作動させて、管(b)を介して温かい海水を室(c)から室(a)へ移動させ、これら二つの室の間でもう一度海水を循環させる。結果的に生じるPCM周囲の温度上昇は、固体から液体への移相と、ビークルの密度をさらに低下させる対応の容積増大とを引き起こし、上昇が加速される。
【0066】
このような装置には、パラフィン、脂肪酸、塩水和物などいくつかの相変化物質が利用され、この物質またはこの物質の特定の混合物は、指定の変温層に見られる温度域内で特定の相変化が生じるように、より詳しくは、固体と液体との物質相変化が8℃と16℃との間で発生するように選択されるが、正確な範囲は予想される深度プロフィールおよび局所的な海洋温度に適合するように選択される。
【0067】
本発明は、トロイド状圧力容器内に相変化物質を含めることによって、代替浮力制御装置に対する長所を確実に備え、局所的幾何学形状と物質とが組み合わされて、変温層を通過中のビークル密度を変化させるための高効率の装置を提供する。
【0068】
この環境発電装置のさらなる実施例は、ビークルの運転効率と耐性とを向上させるため変温層からさらにエネルギーを抽出する。この代替実施例では、室(d)と制御装置(f)とに設けられたTES(e)が組み合わされて、連続的な潜水と上昇のサイクルの間に続けて起きる温度差が両側に維持される時に、TESの二つの半導体接合部の間に電位差を発生させる。この電位差は、電気損失を最小にして90%を超える伝達効率を達成する高周波数切換DC・DCコンバータを介して、スーパーコンデンサのアレイとビークルバッテリ設備とに伝えられる。この付加的な環境発電装置は、図15Aと図15Dに見られるように、TESが、冷たい室(d)と暖かい室(c)との間のバリヤとなるように調整される。
【0069】
ビークルは、圧縮ガスおよびタンクシステム、油圧ポンプ、電動モータ駆動装置およびピストンバルブシステムを含む多くの代替浮力制御装置の一つを代わりに収納してもよく、蓄積されたエネルギーは、ビークル内の規定の容積から海水を物理的に排出するのに使用される。
【0070】
この浮力制御システムのさらなる長所は拡張性であり、トロイド形状はより大きな直径に発展され、トロイドが図15Dに記載されたようにグループで使用されてもよい。この方法のさらなる実施例では、図15Aに見られるトロイド状浮力制御装置が図15Bと図15Cに記載された螺旋形に発展されている。この解決法はトロイド形状と基本的構造を維持しているが、その容量を直線状に拡張しており、効率的な構造においてより大きな排水容量を可能にするのに役立ち、さもなければ大型の水中ビークルではこれは厄介で困難であろう。
【0071】
上述した実施例は動力推進源として浮力のみを用いるが、上記のビークル30,40について説明したバイオミメティックフィンまたは周方向推進装置により低エネルギービークルが補強された他の実施例が開示されることは明らかである。ここに説明する低エネルギービークルは、上記のビークル1で開示されたプロペラおよび推進装置により補強されてもよい。
【0072】
別の低エネルギーグライダビークル実施例では、浮力エンジンが固定され、代わりにマスがモータ制御下で圧力容器の周囲を移動して、CofGを前方または後方へ効率的に移動させ、結果的にピッチアップまたはピッチダウン姿勢を誘発する。さらなる実施例では、マスと浮力エンジンの両方がリング周囲を移動している。
【0073】
ビークルは、海面付近に近づいた時に内部エネルギー蓄積装置を補充して海でのミッション時間を延長するように、他のビークルについて前述した太陽エネルギー電池によって補強されている。
【0074】
様々なサイズの海洋グライダを実現するようにビークルが変形されてもよいことも明らかである。この点において環状構造は好都合であって構造的な弾性を提供し、そのためこの形状のビークルは30mまたは60m以上の翼幅を持つ構造でもよい。
【0075】
図6Aと図6Bは、図1(A)と図1(B)に描かれた圧力容器と類似した代替圧力容器150の斜視図および側面図である。比較的大型の一対のトロイド状圧力容器151,152が軸ストラット153〜156によって相互に接続されている。比較的小型の一対のトロイド状圧力容器157,158は大型圧力容器151,152の前後に位置し、軸ストラット159〜164により接続されている。軸ストラットはそれ自体が圧力容器であるため、構造全体が単一の連続容器となるか、軸ストラットは中実の構造部材であって、その場合にはトロイドが4個の独立した仕切り圧力容器を形成する。トロイド形状により過剰な質量またはコストを伴わずに深海潜水が可能となる。
【0076】
図7は、慣性姿勢制御システム200の斜視図である。環状支持フレーム201がトロイド状圧力容器の一つの内側に取り付けられている。システム200は、対応の「平坦な」トロイド状圧力容器、例えば容器1,30,40の一つへの装着に適した「平坦な」フレームを持つように図示されている。しかし、システムは、フレーム200の形状を適当に調節することにより、ここに説明した「後傾」容器構造の一つへの装着に適していてもよい。
【0077】
第1対のマス202,203は、船体軸に対して垂直に位置するそれぞれの軸により、フレームに取り付けられている。第2対のマス204,205は船体軸と平行なそれぞれの軸によりフレームに取り付けられている。各マスは、それぞれの軸を中心としてそれぞれのモータ(不図示)により独立して回転する。マス202,203を加速することにより、ピッチ制御を行う均一および反対の角加速度がビークルに与えられる。マス204,205を加速することにより、図7の形態でロール制御を行う均一および反対の角加速度がビークルに与えられる。ピッチとロールの組合せでヨー制御を行う。
【0078】
図8は、第1ビークル1の変形であるビークル210を示す。ビークル210はビークル1と同一であるが、さらに音波送信器211とセンサ212とを含んでいる。表面213の斜視図がビークルの下に描かれている。表面213は船体軸と平行である。ビークルは、表面213の隣の矢印Vで示されているように船体軸の方向に移動する。ビークルはまた、矢印Vで示されているように、船体軸を中心に連続的に転回する。送信器211は螺旋経路を辿るビーム214を発し、表面上の一連のストライプ215を掃引する。受信器212は、対応の螺旋経路を辿る検知軸を有し、表面上の対応する一連のストライプを掃引する。制御装置(不図示)は、連続ストライプからのセンサデータを処理することにより、センサ212により捕捉される像の有効解像度を向上させて、二次元におけるセンサ開口の合成拡大(synthetic extension)を実施する。
【0079】
送信器とセンサがそのビームを船体軸に平行となるように配向される代替ビークル(不図示)において同様の原理が採用され、ビークルは船体軸に対して角度を成す表面と平行に移動する。この場合に、ビームは、表面上の一連のストライプの代わりに湾曲経路を掃引する。
【0080】
外側の上部構造がないため、ビークル1は図9Aと図9Bに示されるようにドック格納される。ドックは、断面で描かれた円筒形内壁230を有する。ドックは、水線より下の船舶船体、または港または沖合構造物などの固定構造に形成される。図9Bに描かれたようにビークルがドックに包囲されるまで、船体軸に沿って(矢印Vの方向に)移動することにより、ビークル1はドックへ入る。ドックへ移動する際にビークルを転回させると、安定性を増すとともに、正確な位置決めを可能にする。ビークルはドックから出られるようにプロペラを逆回転させることにより出動する。
【0081】
図9Cは、誘導電気再充電システムの一部を示す。ドック内の環状一次コイル231がビークル内の環状二次コイル232と誘導結合して、ビークルのバッテリを再充電する。
【0082】
図10に描かれた第2ドック格納構成では、ダクト5に収容されて船体の内壁と当接し、これを所定箇所に固定する突出部240をドックが有する。
【0083】
ビークル100と類似した形状の代替ビークル260のための第3ドック格納構成が、図11に描かれている。この場合には、円筒形ドックの代わりに、断面で描かれた(ビークル260は断面で描かれていないが)中空の円筒形突出部250が設けられている。突出部250はダクトに収容され、船体の内壁と当接し、これを所定箇所に固定する。この場合のビークル260は、船首フィン262に装着された係留具261を備える図5Bの「後傾翼部」設計の牽引変形例である。ダクトには上部構造(例えばプロペラまたはフィン)がないので、突出部250はダクトを貫通できる。ビークルが重力を受けて突出部からスライドするように、突出部を下に傾けることによってビークルが出動する。図9Cと同様の方法で、誘導再充電システムが採用される。
【0084】
図12A、図12B、図12Cは、第6ビークル600の正面、左舷側面、平面の図である。ビークルの船体は図5A〜図5Cに描かれたビークルと共通して、船体軸601に対して後傾しているが、この場合には、船首フィン602と船尾フィン603とを支承する前傾部と、船首フィン604と船尾フィン605とを支承する後傾部とを船体が有する。ビークルはグライダとして作動し、浮力エンジン(不図示)と、図7に描かれたシステムと構造が類似した慣性姿勢制御システム(不図示)とを支承する。こうしてビークルは、ダクトの内側の上部構造もビークルの外側から突出するものも備えない完全に一体的な外側形状を有する。
【0085】
図13(A)と図13(B)は、ビークル700の正面図および左舷側面図である。ビークルは、ツイン推力ベクトル推進装置705,706を備える、図1に描かれた種類の推進システムを備えるものとして描かれ、シュラウド708の一方が図13(B)に見られる。図17(B)に描かれたポート牽引具701と、右舷側の同じ位置で船体に装着された右舷係留具(不図示)とを含むハーネス係留システムにより、ビークルは母船(不図示)に係留されている。係留具は一緒になって、動作中にデータ伝達と抗力負荷の伝達とを行う単一の係留ハーネスを形成する。外側船体の外面と同一平面で固定取付されてピッチ制御を行う付加的な一対の推進装置702,703をビークルは有する。ビークルの船尾にはセンサ704が描かれている。
【0086】
図14(A)と図14(B)は、ビークル800の正面図と左舷側面図である。ビークルは母船(不図示)に係留され、ビークルへおよび/またはビークルからデータを送信する単一の係留具801によって牽引される。係留具801は旋回点(不図示)によって船体に装着されることが好ましいが、これに代わる添えロープ方法も充分に使用できる。船体の船尾には4枚のフィンが装着されている。上部フィン802と下部フィン803と左舷フィン804とが図14(B)に見られるが、右舷フィンは隠れている。4枚のフィンの各々は、フィン802,803について点線で示されているように旋回して、ピッチおよびヨーの制御を行う。ビークル800は、V字翼部よりも剛性であり、翼フラッタを受けにくい。調整ピッチモーメントが大きいことで誘導抗力が低くピッチ安定性が高くなるため、V翼部よりも効率的である。
【0087】
上述したビークルは、自動無人水中探査、撮像、検査、地図作成、海洋科学監視に使用できる。この場合、推進ビークルは、直径が500mm、長さが600mm程度であり、グライダ型は2または4倍大きい。しかし、基本的なビークル設計は調整可能であり、数センチメートルの長さの翼幅を持つ非常に小型のビークルから、何十メートルの長さの翼幅を持つ非常に大型の海洋ビークルにも利用できる。ビークルは、レーザ、ジオフォン、ハイドロフォン、低周波数・中間周波数・高周波数の音波トランスデューサプロジェクタ、電磁センサ、ラインスキャン、二次元撮像センサを含む多様なセンサ形態を収容できる。ビークルは、ドック格納や、管、ポート、ガレージ内での停止、液体床部での着地または離昇動作にも適している。
【0088】
連続転回により誘発される安定性によりビークルは「停止」、つまり並進運動がほぼない状態を維持することが可能である。これは、低速で安定性を失う従来の自動水中ビークルと対照的である。「停止」モードで作動する間、フィードバックシステムが外部物体へのビークルの近接度を検知し、検知された近接度を受けてビークルの位置を制御する、例えば物体から一定の距離にビークルを保つのに必要とされる少量の推力を発生させる。
【0089】
ここに説明したビークルの代替用途は、かさばる原料(原油など)を大量に長距離輸送することであり、船体の内部には原料が充填される。この設計では、環状船体の長さは20メートルであるが、外径は10メートルまでに制約される。原料は内側のトロイド状圧力容器または外側船体、またはその両方に収容される。ビークルのサイズおよび/またはアスペクト比は必要に応じて大きくする。例えば、大きなビークル有効搭載量が維持される必要がある場合には、ビークル軸に沿ったある点で装着されるトロイド状の区画として拡大有効搭載量区分が構成されてもよい。このタイプの用途では、ビークルが海流に対してある角度で傾斜している場合には、海流により誘発される抗力および揚力のため、ビークルは側方へ外れるようにドリフトする。しかし、軸を中心にビークルを連続的に転回させることにより、海流により発生した横方向の力が低下する。代わりに、ビークルを横でなく上下に動かす傾向のあるマグナス力が発生される。
【0090】
このタイプのビークルのさらなる代替用途は、検査、修理、他の目的のため、液体充填パイプ(例えば水道管、オイル管)にビークルを潜水させることである。この場合、管に収容されるのに充分に小型となるようにビークルの直径が選択される。
【0091】
あるいは、海底ケーブル敷設用途では、長いケーブルが外側船体に搭載されてビークルから配置されるように、はるかに大型のビークルが指定される。例えばこのようなビークルは、重い海底牽引ケーブルが巻かれる開口したトロイド状保管区画を有し、このような区画は大型ビークル内に一つのトロイド状区分を形成する。そのためこのビークルの特定実施例は、長さ5.6メートルで外径4メートルの環状船体を採用する。推進システムは前述のように小型ビークル用であり、海底ケーブルを自動的に配置して敷設するため軸動作とともにスピンが誘発される。
【0092】
完全潜水可能な潜水ビークルとして作動する代わりに、上述したビークルは使用時に部分的にのみ潜水する表面ビークルとして作動するように設計されてもよい。この場合、カメラと無線センサとは外側環状外板の上部に固定され、ソナーセンサはトロイド状船体の下部の周囲に設けられる。表面ビークルは、前述した他のビークルと類似した構造および推進装置を有し、後傾または非後傾トロイド形状のいずれかを用いて実行される。船体の環形状により得られる重大な長所は、CofGが低くマスが分散されたトロイド形状が、従来の表面船舶により達成されるよりも、波、風、うねりにより生じる妨害に対する弾性を持つ効率的な波浪貫通動作を提供する時に、表面またはその付近で作動中に安定性が向上することである。さもなければ波、風、うねりの衝撃から生じる予測不能なセンサ動作によって監視、撮像、地図作成動作が妨害されてしまう時には、特に重要である。さらに、図2(A)、図2(B)、図3(A)、図3(B)、図4(A)〜図4(C)に描かれたツイン推力ベクトル推進装置方法は、海面より上にあるビークル上面および関連のセンサ高さの調節を可能にする。
【0093】
上述した各々のビークルのさらなる代替実施例では、環状体は二つの隆起部の各側にポートまたはスロット110,111と薄羽根112,113,114とを含む。図5Dに記された一例では、ビークル構造の一部を形成するトロイド状バー区分に設けられたヒンジ115,116を中心として薄羽根が回転し、左舷および右舷の環状側面の各々の二つ以上のトロイド状バー区分の各々に、このような羽根が3枚使用される。図5Dは、スロットと羽根とが環状体に含まれる特定実施例を記しているが、羽根が環状体の先端または後端の一部を形成する逆の形態にもこの原理が適用されることは明らかなはずである。
【0094】
ビークルの直接的な目標および周囲の局所的条件に従って、羽根を独立して駆動および弛緩させるのに関連の制御装置が使用される。弛緩した時には、羽根を回って環状体を通る効率的な流体の流れを可能にすることにより、羽根は直交流の影響を少なくする。上部および下部の羽根は制御装置により動的に調節されて、トロイドの四分の一のいずれかまたはすべてに正または負の翼ねじれを効率的に導入し、これが翼形のピッチ、ロール、ヨーモーメントを変化させ、そのためビークルを安定させるか、急激なピッチ、ヨー、ロールを導入するのに使用される。一例では、±90°以内の移動における羽根の操作が約0.5秒以内に実施されるように、減速比ギヤ機構を用いて密封容器に嵌着する電動ブラシレスモータにより、羽根が駆動される。中央の薄羽根対も同様に使用されることは明らかである。別の例では、トロイド面に対して垂直な配向を持ち、ビークルのCofGをほぼ二分するシャフトを中心に薄羽根が回転し、このようなシャフトが2本と関連の薄羽根とが含まれ、両シャフトの軸は90°の角度に及び、両シャフトの軸は、ビークルの軸と一致する垂直面に対して45°に並べられる。やはり薄羽根は、弛緩するか、薄羽根と結合された際に2本のシャフトの軸が描く面によって規定される方向に流体を移動させるように駆動される。この例では、薄羽根とシャフトとが関連のブラシレスDC電動モータにより直接駆動されるか、機械式ギヤ減速比機構を用いて間接的に駆動される。
【0095】
ビークルが連続転回モードで操作される場合には、ここに説明した船体形状が(船体軸に沿って見ると)高い回転対称を持つことは長所である。しかし、本発明は以下を含む本発明の代替実施例(不図示)も包含する。
【0096】
・外側船体の内壁および/または外壁が船体軸に沿って見ると円形ではない実施例。例えば外側船体は、多角形の環状(正方形、六角形など)を持つ。
・ダクトが適当な仕切りにより2本以上の別々のダクトに分割される実施例。
・外側船体自体が2本以上の別々のダクトを画定する実施例。
・外側船体が、船体軸を中心とする回転体として層流翼形から360度未満の角度だけ展開された実施例。この場合、ダクトは部分的に開口してスロットが長さ方向に延在する。180度を超える、好ましくは360度に近い角度とすることにより、いかなるロール角においても流体力学的揚力を提供するように、船体はほぼ環状となる。
【0097】
図5A〜図5Dと図12A〜図12Cには、浮力制御エンジンを備える潜水グライダが図示されているが、代替実施例では、例えばスイミングプールで使用される潜水グライダ玩具に、図5A〜図5Dまたは図5A〜図5Cに描かれた船体プロフィールが使用されてもよい。図5Dのグライダのプロフィール(羽根なし)が、この用途では最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1(A)は、第1形態のプロペラを備える第1推進ビークルの正面図である。図1(B)は、船体軸と図1のA−A線に沿ったビークルの断面図である。
【図2】図2(A)は、第2形態のプロペラを備えるビークルの正面図である。図2(B)は、図2(A)のA−A線に沿ったビークルの断面図である。
【図3】図3(A)は、第2推進ビークルの背面図である。図3(B)は、図3(A)のA−A線におけるビークルの断面図である。
【図4】図4(A)は、第3推進ビークルの背面図である。図4(B)は、図4(A)のA−A線における第3推進ビークルの断面図である。図4(C)は、図4(A)のB−B線におけるビークルの断面図である。
【図5A】第1グライダビークルの正面図である。
【図5B】第1グライダビークルの側面図である。
【図5C】第1グライダビークルの平面図である。
【図5D】環状体の隆起部の周囲のスロットに薄羽根が含まれる別のグライダの側面図である。
【図6A】代替圧力容器の斜視図である。
【図6B】代替圧力容器の側面図である。
【図7】代替姿勢制御システムの斜視図である。
【図8】使用時の第4推進ビークルの正面図である。
【図9A】図1のA−A線における第1推進ビークルのドック格納プロセス中の断面図である。
【図9B】ドック格納後のビークルを示す。
【図9C】誘導電気再充電システムを示す拡大図である。
【図10】代替ドック格納構造を示す断面図である。
【図11】さらなる代替ドック格納構造を備える牽引係留ビークルの概略図である。
【図12A】グライダビークルの正面図である。
【図12B】ビークルの側面図である。
【図12C】ビークルの平面図である。
【図13】図13(A)は、第4推進ビークルの正面図である。図13(B)は、ビークルの側面図である。
【図14】図14(A)は、第2牽引係留ビークルの正面図である。図14(B)は、ビークルの側面図である。
【図15A】トロイド状浮力制御システムの軸図である。
【図15B】螺旋状浮力制御システムの軸図である。
【図15C】図15Bのシステムの側面図である。
【図15D】さらなる浮力制御システムの側方断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する潜水ビークルであって、さらに、該ダクトを中心としてビークルを転回させるための手段を含む潜水ビークル。
【請求項2】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が該ダクト中に配置される、請求項1に記載のビークル。
【請求項3】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が推進システムを含む、請求項1又は2に記載のビークル。
【請求項4】
前記推進システムが前記船体軸を中心として回転対称である、請求項3に記載のビークル。
【請求項5】
前記推進システムが一対以上の推進装置を具備し、各対が、前記船体軸の第1側に旋回自在に取り付けられた第1装置と、該第1装置と対向して該船体軸の第2側に旋回自在に取り付けられた第2装置とを含む、請求項3又は4に記載のビークル。
【請求項6】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が一つ以上の制御面を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のビークル。
【請求項7】
前記ダクトを中心としてビークルを転回させるための前記手段が一対以上の制御面を具備し、各々が、前記船体軸の第1側の第1制御面と、該第1制御面と対向する該船体軸の第2側の第2制御面とを含む、請求項6に記載のビークル。
【請求項8】
前記各制御面がフィンを含む、請求項6又は7に記載のビークル。
【請求項9】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が、一つ以上のマスを含む慣性制御システムを具備し、該マスの各々が、等加速度および逆加速度を該ビークルに付与するように加速される、請求項1乃至8のいずれかに記載のビークル。
【請求項10】
さらに浮力制御システムを含む、請求項1乃至9のいずれかに記載のビークル。
【請求項11】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する潜水ビークルであって、さらに、浮力制御システムを含む潜水ビークル。
【請求項12】
前記浮力制御システムが前記船体軸を中心として回転対称である、請求項10又は11に記載のビークル。
【請求項13】
前記外側船体の少なくとも一部が前記船体軸に対して後傾している、請求項1乃至12のいずれかに記載のビークル。
【請求項14】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定し、該外側船体の少なくとも一部が該船体軸に対して後傾している、潜水ビークル。
【請求項15】
前記船体が投影面積Sと、前記船体軸に垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが1より大きい、請求項1乃至14のいずれかに記載のビークル。
【請求項16】
前記船体が投影面積Sと、前記船体軸に垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より大きい、請求項1乃至15のいずれかに記載のビークル。
【請求項17】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定し、前記船体が投影面積Sと、前記船体軸に垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より大きい、潜水ビークル。
【請求項18】
前記環状体の内部が、前記船体軸に沿った断面で見た時に少なくとも部分的に湾曲しているような形状である、請求項1乃至17のいずれかに記載のビークル。
【請求項19】
前記環状体の内部および外部が、前記船体軸に沿った断面で見た時に翼形(hydrofoil profile)となるような形状である、請求項1乃至18のいずれかに記載のビークル。
【請求項20】
前記翼形が、前記船体軸に沿った中間位置に比較的広い区分と、該中間位置の前後に比較的狭い区分とを有する、請求項19に記載のビークル。
【請求項21】
さらに、前記外側船体の内側に収容された一つ以上の圧力容器を含む、請求項1乃至20のいずれかに記載のビークル。
【請求項22】
前記船体軸に沿って見た時に前記圧力容器の少なくとも一つが略環状である、請求項21に記載のビークル。
【請求項23】
前記船体軸に沿って離間した2個以上の圧力容器を含む、請求項21又は22に記載のビークル。
【請求項24】
前記圧力容器と前記外側船体との間の内部空間が使用時に満たされる、請求項21,22,又は23に記載のビークル。
【請求項25】
さらに、前記外側船体の内側に少なくとも部分的に収容されたエネルギー源を含む、請求項1乃至24のいずれかに記載のビークル。
【請求項26】
さらに、1個以上のセンサを含む、請求項1乃至25のいずれかに記載のビークル。
【請求項27】
センサの少なくとも一つが近接センサを含む、請求項26に記載のビークル。
【請求項28】
さらに、推進システムと、前記近接センサからの信号を受けて該推進システムを調節するためのフィードバック機構とを含む、請求項27に記載のビークル。
【請求項29】
前記ビークルが、前記ダクトに位置する重心と、該ダクトに位置する浮心とを有する、請求項1乃至28のいずれかに記載のビークル。
【請求項30】
前記ビークルが、前記船体軸上に概ね位置する重心と、該船体軸上に概ね位置する浮心とを有する、請求項1乃至29のいずれかに記載のビークル。
【請求項31】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈し、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する外側船体と、一対以上の推進装置を具備して、各対が、該船体軸の第1側に旋回自在に取り付けられた第1推進装置と、該第1推進装置と対向して該船体軸の第2側に旋回自在に取り付けられた第2推進装置とを含む、ツイン推力ベクトル推進システムとを有する潜水ビークル。
【請求項32】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈して、ビークルが液体に浸漬された時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する外側船体を有する、潜水ビークル。
【請求項33】
ビークルを液体に潜水させて該液体を前記ダクトに満たすことと、船体軸を中心として該ビークルを複数回転だけ転回させることとを含む、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの操縦方法。
【請求項34】
さらに、自身の軸を中心として前記ビークルを転回させながら、ほぼ並進運動のない状態に該ビークルを維持することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
さらに、自身の軸を中心として前記ビークルを転回させながら前記液体の流れに対してある角度に該ビークルを傾斜させることにより、マグナス力を発生させることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
さらに、前記ビークルの限定された回転円弧にわたって推進システムにパルス送信することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ビークルがセンサを具備し、さらに、自身の軸を中心として該ビークルを転回させながら該ビークルを並進運動させることと、1回転につき2回以上、該センサからセンサデータを獲得することとを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
さらに、連続回転からの前記センサデータを処理して、二次元でのセンサ開口の合成拡大(synthetic extension)を実施することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
さらに、外部物体への前記ビークルの近接度を検知して、該検知された近接度を受けて該ビークルの位置を制御することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
さらに、前記ビークルからケーブルを敷設することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
点検、修理、他の目的のため液体充填パイプにビークルを潜水させることを含む、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの使用。
【請求項42】
ビークルを略円筒形ドックに挿入することを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルのドック格納方法。
【請求項43】
ドック突出部を前記ダクトに挿入することを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルのドック格納方法。
【請求項44】
略円筒形ドックから前記ビークルを出動させることを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの出動方法。
【請求項45】
前記ダクトに収納されたドック突出部から前記ビークルを出動させることを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの出動方法。
【請求項46】
潜水ビークルの推進システムであって、可撓性で略環状のジャケットに収容された2個以上の軸対称駆動アセンブリを含む推進システム。
【請求項47】
軸対称に取り付けられた2個以上の駆動アセンブリを有する潜水ビークルの操作方法であって、液体内でビークルを推進させるように該駆動アセンブリを軸対称に往復させることを含む方法。
【請求項48】
前記駆動アセンブリがフィンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記駆動アセンブリが可撓性で略環状のジャケットに収容される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時にほぼ環状を呈する外側船体を有し、グライダ玩具が液体に潜水した時に該液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを該環状体の内部が画定する、潜水グライダ玩具。
【請求項51】
前記船体が投影面積Sと、船体軸に対して垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より大きい、請求項50に記載のグライダ玩具。
【請求項52】
前記外側船体の少なくとも一部が前記船体軸に対して後傾している、請求項50又は51に記載のグライダ玩具。
【請求項1】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する潜水ビークルであって、さらに、該ダクトを中心としてビークルを転回させるための手段を含む潜水ビークル。
【請求項2】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が該ダクト中に配置される、請求項1に記載のビークル。
【請求項3】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が推進システムを含む、請求項1又は2に記載のビークル。
【請求項4】
前記推進システムが前記船体軸を中心として回転対称である、請求項3に記載のビークル。
【請求項5】
前記推進システムが一対以上の推進装置を具備し、各対が、前記船体軸の第1側に旋回自在に取り付けられた第1装置と、該第1装置と対向して該船体軸の第2側に旋回自在に取り付けられた第2装置とを含む、請求項3又は4に記載のビークル。
【請求項6】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が一つ以上の制御面を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のビークル。
【請求項7】
前記ダクトを中心としてビークルを転回させるための前記手段が一対以上の制御面を具備し、各々が、前記船体軸の第1側の第1制御面と、該第1制御面と対向する該船体軸の第2側の第2制御面とを含む、請求項6に記載のビークル。
【請求項8】
前記各制御面がフィンを含む、請求項6又は7に記載のビークル。
【請求項9】
前記ダクトを中心として前記ビークルを転回させるための前記手段が、一つ以上のマスを含む慣性制御システムを具備し、該マスの各々が、等加速度および逆加速度を該ビークルに付与するように加速される、請求項1乃至8のいずれかに記載のビークル。
【請求項10】
さらに浮力制御システムを含む、請求項1乃至9のいずれかに記載のビークル。
【請求項11】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する潜水ビークルであって、さらに、浮力制御システムを含む潜水ビークル。
【請求項12】
前記浮力制御システムが前記船体軸を中心として回転対称である、請求項10又は11に記載のビークル。
【請求項13】
前記外側船体の少なくとも一部が前記船体軸に対して後傾している、請求項1乃至12のいずれかに記載のビークル。
【請求項14】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定し、該外側船体の少なくとも一部が該船体軸に対して後傾している、潜水ビークル。
【請求項15】
前記船体が投影面積Sと、前記船体軸に垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが1より大きい、請求項1乃至14のいずれかに記載のビークル。
【請求項16】
前記船体が投影面積Sと、前記船体軸に垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より大きい、請求項1乃至15のいずれかに記載のビークル。
【請求項17】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈する外側船体を有し、潜水ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定し、前記船体が投影面積Sと、前記船体軸に垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より大きい、潜水ビークル。
【請求項18】
前記環状体の内部が、前記船体軸に沿った断面で見た時に少なくとも部分的に湾曲しているような形状である、請求項1乃至17のいずれかに記載のビークル。
【請求項19】
前記環状体の内部および外部が、前記船体軸に沿った断面で見た時に翼形(hydrofoil profile)となるような形状である、請求項1乃至18のいずれかに記載のビークル。
【請求項20】
前記翼形が、前記船体軸に沿った中間位置に比較的広い区分と、該中間位置の前後に比較的狭い区分とを有する、請求項19に記載のビークル。
【請求項21】
さらに、前記外側船体の内側に収容された一つ以上の圧力容器を含む、請求項1乃至20のいずれかに記載のビークル。
【請求項22】
前記船体軸に沿って見た時に前記圧力容器の少なくとも一つが略環状である、請求項21に記載のビークル。
【請求項23】
前記船体軸に沿って離間した2個以上の圧力容器を含む、請求項21又は22に記載のビークル。
【請求項24】
前記圧力容器と前記外側船体との間の内部空間が使用時に満たされる、請求項21,22,又は23に記載のビークル。
【請求項25】
さらに、前記外側船体の内側に少なくとも部分的に収容されたエネルギー源を含む、請求項1乃至24のいずれかに記載のビークル。
【請求項26】
さらに、1個以上のセンサを含む、請求項1乃至25のいずれかに記載のビークル。
【請求項27】
センサの少なくとも一つが近接センサを含む、請求項26に記載のビークル。
【請求項28】
さらに、推進システムと、前記近接センサからの信号を受けて該推進システムを調節するためのフィードバック機構とを含む、請求項27に記載のビークル。
【請求項29】
前記ビークルが、前記ダクトに位置する重心と、該ダクトに位置する浮心とを有する、請求項1乃至28のいずれかに記載のビークル。
【請求項30】
前記ビークルが、前記船体軸上に概ね位置する重心と、該船体軸上に概ね位置する浮心とを有する、請求項1乃至29のいずれかに記載のビークル。
【請求項31】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈し、ビークルが液体に潜水した時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する外側船体と、一対以上の推進装置を具備して、各対が、該船体軸の第1側に旋回自在に取り付けられた第1推進装置と、該第1推進装置と対向して該船体軸の第2側に旋回自在に取り付けられた第2推進装置とを含む、ツイン推力ベクトル推進システムとを有する潜水ビークル。
【請求項32】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時に略環状を呈して、ビークルが液体に浸漬された時に液体がダクトを満たすように、両端部で開口したダクトを該環状体の内部が画定する外側船体を有する、潜水ビークル。
【請求項33】
ビークルを液体に潜水させて該液体を前記ダクトに満たすことと、船体軸を中心として該ビークルを複数回転だけ転回させることとを含む、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの操縦方法。
【請求項34】
さらに、自身の軸を中心として前記ビークルを転回させながら、ほぼ並進運動のない状態に該ビークルを維持することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
さらに、自身の軸を中心として前記ビークルを転回させながら前記液体の流れに対してある角度に該ビークルを傾斜させることにより、マグナス力を発生させることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
さらに、前記ビークルの限定された回転円弧にわたって推進システムにパルス送信することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ビークルがセンサを具備し、さらに、自身の軸を中心として該ビークルを転回させながら該ビークルを並進運動させることと、1回転につき2回以上、該センサからセンサデータを獲得することとを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
さらに、連続回転からの前記センサデータを処理して、二次元でのセンサ開口の合成拡大(synthetic extension)を実施することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
さらに、外部物体への前記ビークルの近接度を検知して、該検知された近接度を受けて該ビークルの位置を制御することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
さらに、前記ビークルからケーブルを敷設することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
点検、修理、他の目的のため液体充填パイプにビークルを潜水させることを含む、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの使用。
【請求項42】
ビークルを略円筒形ドックに挿入することを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルのドック格納方法。
【請求項43】
ドック突出部を前記ダクトに挿入することを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルのドック格納方法。
【請求項44】
略円筒形ドックから前記ビークルを出動させることを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの出動方法。
【請求項45】
前記ダクトに収納されたドック突出部から前記ビークルを出動させることを含む方法である、請求項1乃至32のいずれかに記載のビークルの出動方法。
【請求項46】
潜水ビークルの推進システムであって、可撓性で略環状のジャケットに収容された2個以上の軸対称駆動アセンブリを含む推進システム。
【請求項47】
軸対称に取り付けられた2個以上の駆動アセンブリを有する潜水ビークルの操作方法であって、液体内でビークルを推進させるように該駆動アセンブリを軸対称に往復させることを含む方法。
【請求項48】
前記駆動アセンブリがフィンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記駆動アセンブリが可撓性で略環状のジャケットに収容される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
船体軸を画定するとともに該船体軸に沿って見た時にほぼ環状を呈する外側船体を有し、グライダ玩具が液体に潜水した時に該液体がダクトを満たすように、両端部で開口するダクトを該環状体の内部が画定する、潜水グライダ玩具。
【請求項51】
前記船体が投影面積Sと、船体軸に対して垂直な最大外径Bとを有し、比B2/Sが0.5より大きい、請求項50に記載のグライダ玩具。
【請求項52】
前記外側船体の少なくとも一部が前記船体軸に対して後傾している、請求項50又は51に記載のグライダ玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【公表番号】特表2009−512591(P2009−512591A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536126(P2008−536126)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003901
【国際公開番号】WO2007/045887
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508121636)ゴー サイエンス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003901
【国際公開番号】WO2007/045887
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508121636)ゴー サイエンス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】
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