説明

潤滑剤供給ユニット付運動案内装置

【課題】圧送性の高い潤滑剤供給システムを持った潤滑剤供給ユニット付の運動案内装置を提供する。
【解決手段】潤滑剤供給ユニット付運動案内装置は、転動体転走面を有する軌道レールと、転動体転走面と対向する負荷転動体転走面を有する移動ブロックと、転動体転走面と負荷転動体転走面との間に転がり運動自在に設置される複数の転動体とを備えており、移動ブロックは、負荷転動体転走面が形成される移動ブロック本体部の前後両端面のうち少なくともいずれか一方の端面に、移動ブロック本体部とは別体に設けられる潤滑剤供給ユニット16を備えている。この潤滑剤供給ユニット16は、外部から潤滑剤を導入するための導入口32aと、軌道レールに対する潤滑剤の供給を行うための供給口32cと、導入口32aと供給口32cとを接続する接続パイプ32bと、によって構成される潤滑剤供給路32を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤供給ユニット付運動案内装置に係り、特に、悪潤滑環境下での使用に耐え得るように改良された潤滑剤供給ユニット付の運動案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の運動案内装置としては、ベッド等の基台に配設されるとともに転動体の転走面が形成された軌道レールと、複数の転動体を介してこの軌道レールに組み付けられ、テーブル等の可動体を支持しながら軌道レールに沿って移動する移動ブロックとから構成されるものが知られている。
【0003】
上記移動ブロックは、転動体を介して軌道レールの転動体転走面と対向する負荷転動体転走面及びこの負荷転動体転走面と平行な無負荷転動体転走路を有し、転動体の転がり運動に伴い軌道レールに沿って移動自在な移動ブロック本体と、この移動ブロックの前後両端面に夫々固定されるとともに、該移動ブロックの負荷転動体転走面及び無負荷転動体転走路の間で転動体を案内する円弧状の方向転換路を有する一対の蓋体とから構成されており、上記蓋体を移動ブロック本体の前後両端面に固定することで上記負荷転動体転走面と無負荷転動体転走路の端部間とが方向転換路で連結され、転動体の無限循環路が移動ブロック内に完成するようになっている。
【0004】
さらに、軌道レールに付着する塵芥等が移動ブロックの移動に伴ってその内部に侵入するのを防止するため、通常、かかる移動ブロックの前後両端面にはゴム等の軟弾性体からなる板状のシール部材が取り付けられており、このシール部材を軌道レールの表面に密着させた状態で当該移動ブロックが運動するようになっている。
【0005】
このような運動案内装置を使用するに当たっては、転動体それ自体の摩耗やこれが転走する軌道レールの転動体転走面あるいは移動ブロックの負荷転動体転走面の摩耗を抑え、該移動ブロックの高精度の運動を長期にわたって維持する観点から、かかる転動体や上記負荷転動体転走面等に対して定期的あるいは連続的にグリース等の潤滑剤を供給する必要がある。
【0006】
このため、前述した従来の運動案内装置では、移動ブロックを構成する蓋体の裏面側、すなわち移動ブロック本体との当接面に潤滑剤の供給路となる凹溝を形成し、該蓋体を移動ブロック本体に固定した際に移動ブロックの外部から転動体の無限循環路に連通する潤滑剤の供給路が完成するように構成されていた。そしてこの場合、潤滑剤は、無限循環路内を循環する転動体に対して供給されていた(例えば、下記特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特許第2573452号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、潤滑剤にとって劣悪な環境、例えば低温環境や塵芥の多い環境、水の掛かる環境下などで運動案内装置を使用する場合には、従来の凹溝から成る潤滑剤供給路では不十分な場合があった。すなわち、上記のような悪潤滑環境下にあっては、潤滑剤の圧送性を高めて軌道レールと移動ブロックとの間に十分な量の潤滑剤を供給し続ける構成の確立が不可欠であるため、新たな潤滑剤供給システムを持った運動案内装置の実現が求められていた。
【0009】
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、圧送性の高い潤滑剤供給システムを持った潤滑剤供給ユニット付の運動案内装置を提供することにより、悪潤滑環境下での運動案内装置の安定した使用を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置は、転動体転走面を有する軌道レールと、前記転動体転走面と対向する負荷転動体転走面を有する移動ブロックと、前記転動体転走面と前記負荷転動体転走面との間に転がり運動自在に設置される複数の転動体と、を備え、前記移動ブロックは、前記負荷転動体転走面が形成される移動ブロック本体部と、該移動ブロック本体部の前後両端面のうち少なくともいずれか一方の端面に、前記移動ブロック本体部とは別体に設けられる潤滑剤供給ユニットと、を備えており、該潤滑剤供給ユニットから前記軌道レールに対して潤滑剤の供給を行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、前記移動ブロック本体部は、前記負荷転動体転走面と所定間隔を隔てて平行に設けられる無負荷転動体転走路と、前記負荷転動体転走面と前記無負荷転動体転走路とを接続して前記複数の転動体を無限循環させる一対の方向転換路と、を備えており、一方、前記潤滑剤供給ユニットは、外部から潤滑剤を導入して前記軌道レールに対する潤滑剤の供給を行う潤滑剤供給路を備えており、該潤滑剤供給路が、前記移動ブロック本体部の備える前記負荷転動体転走面、前記無負荷転動体転走路及び前記一対の方向転換路と交わらないように形成されていることとすることができる。
【0012】
また、本発明に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、前記潤滑剤供給路は、外部から潤滑剤を導入するための導入口と、前記軌道レールに対する潤滑剤の供給を行うための供給口と、前記導入口と前記供給口とを接続する接続パイプと、によって構成することが好適である。
【0013】
さらに、本発明に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、前記供給口は、前記軌道レールが有する転動体転走面と対向する位置に所定の間隔を隔てて近接配置されていることとすることができる。
【0014】
またさらに、本発明に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置は、前記供給口が設置される近傍の形状が、前記軌道レールが有する転動体転走面の形状に対応して形成されていることとすることができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、前記移動ブロックの前後両端面の最外側には、前記軌道レールに摺接して外部から移動ブロック内部への塵芥の侵入を防止するためのシール部材を設置することができる。
【0016】
なお上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動ブロック本体部とは別体に設けられる潤滑剤供給ユニットから軌道レールに対して直接に潤滑剤を供給するようにしたので、従来技術のように転動体を介して無限循環路に潤滑剤を供給していた場合に比べて、運動案内装置の潤滑性能が飛躍的に向上する。
【0018】
また、潤滑剤供給ユニットは、別部材として構成されているので、既存の運動案内装置に対して後付け設置が可能であり、また、メンテナンス性も従来に比して向上している。
【0019】
さらに、潤滑剤供給ユニットに内蔵される潤滑剤供給路が接続パイプを有する構成としているので、従来技術で採用されていた凹溝に比べて圧送性が飛躍的に向上し、悪潤滑環境下での安定した潤滑剤供給が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置の部分破断斜視図であり、図2は、図1の部分縦断面側面図である。図1及び図2において示される本実施形態の潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10は、直線状に延びる軌道レール11と、この軌道レール11に複数の転動体としてのローラ20…を介して移動自在に設けられる移動ブロック12とを備えている。
【0022】
軌道レール11は、縦断面側面が略四角形をしており、且つ、移動ブロック12の移動方向(すなわち、長手方向)に細長く延びた形状で形成されている。軌道レール11の左右側面には、長手方向に沿って上下に2条ずつ、合計4条の転動体転走面11aが形成されている。この転動体転走面11aは、複数のローラ20…がその面上を転がり運動するローラ転走面として機能している。
【0023】
移動ブロック12は、複数のローラ20…を介して軌道レール11に沿った移動運動ができるように構成された部材である。この移動ブロック12の具体的な構成は、移動ブロック12の本体として構成される鋼製の移動ブロック本体部13と、移動ブロック本体部13に組み込まれて無負荷転動体転走路を形成する樹脂循環路成形体14と、樹脂循環路成形体14が組み込まれた移動ブロック本体部13の左右両側の端面に装着される一対の側蓋15,15と、一対の側蓋15,15の外側に設置される一対の潤滑剤供給ユニット16,16と、一対の潤滑剤供給ユニット16,16のさらに外側に設置される一対のシール部材17,17とによって構成されている。
【0024】
移動ブロック本体部13は、縦断面側面の形状が門型に形成されており、左右から下方に延びるスカート形状部の内周面側に対して、軌道レール11に形成される転動体転走面11aと対向する負荷転動体転走面13aが形成されている。すなわち、負荷転動体転走面13aは、移動ブロック本体部13の左右スカート形状部の内周面側の上下に2条ずつ、合計4条設けられている。
【0025】
さらに、移動ブロック本体部13には、上下2条ずつ、合計4条の負荷転動体転走面13aと所定間隔を隔てて平行に設けられる上下2条ずつ、合計4条の無負荷転動体転走路が形成されている。かかる4条の無負荷転動体転走路は、複数のローラ20…からの転がり負荷を受けない箇所であり、上述したように樹脂循環路成形体14によって形成されている。
【0026】
また、移動ブロック本体部13の左右両側の端面に装着される一対の側蓋15,15には、それぞれに方向転換路(不図示)が形成されている。この方向転換路は、負荷転動体転走面13aと無負荷転動体転走路との両端を接続するように形成されており、これら負荷転動体転走面13a、無負荷転動体転走路及び一対の方向転換路がつながることによって、複数のローラ20…を収容して無限循環させることが可能な無限循環路が形成されている。なお、上下2条ずつ、合計4条形成されることとなる無限循環路は、上下の無限循環路同士が立体交差するように構成されており、その交差角度は、略90°となっている。
【0027】
複数のローラ20…は、図3A及び図3Bに示すように、転動体保持帯としてのローラ保持帯21を介して一連につなげられており、ローラ保持帯21に保持されつつ無限循環路中を循環する。ローラ保持帯21は、隣り合うローラ20,20同士の間に介装されるスペーサ21aと、スペーサ21a同士をつなぐ可撓性のベルト21bと、ローラ保持帯21の両端部を構成する面取案内部21c,21cとによって構成されている。なお、ベルト21bの側縁部はローラ20…の軸線方向の両端よりも外方に張り出しており、この張り出した側縁部が樹脂循環路成形体14に形成された保持溝14aに係合することによって、ローラ保持帯21の脱落防止と安定したローラ20…の循環が実現されている。
【0028】
次に、本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10の最も特徴的な部材である潤滑剤供給ユニット16について説明する。この潤滑剤供給ユニット16は、一対の側蓋15,15の外側に設置される部材である。つまり、潤滑剤供給ユニット16は、移動ブロック本体部13とは別体に構成されている。この潤滑剤供給ユニット16の具体的構成について、図4を用いて説明する。ここで、図4は、本実施形態に係る潤滑剤供給ユニットの外観斜視図である。
【0029】
潤滑剤供給ユニット16の外観形状は、移動ブロック本体部13や側蓋15と概略同じ門型形状に形成されており、4つ開けられたねじ孔31を用いることによって側蓋15との接続ができるようになっている。この潤滑剤供給ユニット16は、外部から潤滑剤を導入して軌道レール11に対する潤滑剤の供給を行うための潤滑剤供給路32を備えている。
【0030】
潤滑剤供給路32の具体的な構成は、外部から潤滑剤を導入するための導入口32aと、軌道レール11に対する潤滑剤の供給を行うための供給口32cと、導入口32aと供給口32cとを接続する接続パイプ32bと、によって構成されている。図4において例示する形態では、導入口32aに接続する接続パイプ32bは2系統に分かれており、この2つの接続パイプ32bの先端にはそれぞれ2つの供給口32cが形成されている(なお、図4では1つのみが見えている)。すなわち、上下2つずつ、合計4個の供給口32cが本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット16には形成されている。これは、それぞれの供給口32cが軌道レール11に形成された転動体転走面11aに対向する位置に設置されることによって好適な潤滑状態を実現するために採られた形態である。ローラ20の転走面となる転動体転走面11aのそれぞれに対して供給口32cから効率良く潤滑剤が供給されることにより、悪潤滑環境であっても所望の案内運動を行うことが可能な運動案内装置を実現することが可能となる。
【0031】
また、供給口32cは、軌道レール11が有する転動体転走面11aと対向する位置に所定の間隔を隔てて近接配置されていることが望ましい。供給口32cと転動体転走面11aとの配置関係をこのように構成することによって、例えば潤滑剤の供給量が少ない場合であっても潤滑剤は確実に転動体転走面11aに届くことになり、非常に効率の良い潤滑剤の供給が実現する。かかる構成は、環境への影響を意識しなければならない近時の産業界における要請にも合致したものであり、また、無駄な潤滑剤を使用しなくても良くなることから、コスト的にも非常に有意である。
【0032】
さらに、潤滑剤供給ユニット16の好適な構成として、供給口32cが設置される近傍の潤滑剤供給ユニット16の形状を、軌道レール11が有する転動体転走面11aの形状に対応して形成することが好ましい。すなわち、本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10の場合は、転動体としてローラ20を用いていることから、転動体転走面11aの形状は平面形状である。したがって、供給口32cの近傍の形状は、転動体転走面11aの平面形状と平行な平面形状とするのが良い(図4参照)。供給口32c近傍の形状を転動体転走面11aの形状に対応した平面形状とすることによって、転動体転走面11aの全面に対して安定した潤滑剤供給が可能となるので、さらに効率の良い潤滑剤供給が実現することとなる。なお、転動体がボールの場合には、軌道レール11が有する転動体転走面11aの形状が円弧形状となるが、この場合には、供給口32c近傍の形状を転動体転走面11aの円弧形状に対応した円弧形状とすれば、図4で示す本実施形態の場合と同様の作用・効果が得られる。
【0033】
また、潤滑剤供給ユニット16に内蔵される潤滑剤供給路32が接続パイプ32bを有する構成とされているので、従来技術で採用されていた凹溝に比べて圧送性が飛躍的に向上し、悪潤滑環境下での安定した潤滑剤供給が実現されている。ちなみに、導入口32aに対する潤滑剤の導入は、グリスガン等の手動の器具を用いて行っても良いし、あるいは導入口32aに常時接続された潤滑剤自動供給手段を通じて定期的あるいは連続的にグリースやオイル等の潤滑剤を自動供給するようにしても良い。
【0034】
なお、上述した潤滑剤供給路32は潤滑剤供給ユニット16に内蔵されており、移動ブロック本体部13の備える負荷転動体転走面13a、無負荷転動体転走路及び一対の方向転換路と交わらないように形成されている。すなわち、潤滑剤供給ユニット16が、移動ブロック本体部13と別部材で構成されているので、既存の運動案内装置に対して後付け設置が可能であり、また、メンテナンス性が非常に良い構成となっている。
【0035】
再び図1及び図2を参照して本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10の構成を説明すると、一対の潤滑剤供給ユニット16,16の両側、すなわち移動ブロック12の前後両端面の最外側には、一対のシール部材17,17が設置されている。このシール部材17は、軌道レール11に摺接して外部から移動ブロック12内部への塵芥等の侵入を防止するための役割を担う部材である。このシール部材17の防塵構造は、潤滑剤供給ユニット16によって移動ブロック12と軌道レール11との間に供給される潤滑剤を無駄なく軌道レール11上に行き渡らせるという作用も発揮することが可能となっている。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0037】
例えば、図4を用いて説明した潤滑剤供給ユニット16については、例えば図5に示すような形態とすることも可能である。すなわち、軌道レール11に対する潤滑剤の供給を行うための供給口32cの数を左右1つずつ、合計2個とし、その供給口32cの設置位置を軌道レール11の中間位置、すなわち、上下2つの転動体転走面11aに挟まれたちょうど中間の位置に設定することも可能である。図5によって例示する形態の潤滑剤供給ユニット16の場合、転動体転走面11aに対応して潤滑剤を供給できなくなるが、構造が簡易なために製造し易く、しかもシール部材17の効果によって潤滑剤が引き延ばされて軌道レール11上に行き渡ることになるので、製品品質上問題となることはない。
【0038】
また、上述した本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10では、転動体としてローラ20を用いた場合を例示して説明したが、転動体については、ボールを用いても良い。転動体としてボールを用いた場合であっても、本発明に係る潤滑剤供給ユニットは、上で説明した場合と同様の作用・効果を発揮することができる。
【0039】
さらに、上述した本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10は、上下2条ずつ、合計4条の無限循環路を形成した場合を例示したが、無限循環路の条数やその配置等については、任意に変更することが可能である。
【0040】
またさらに、上述した本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10は、2つの潤滑剤供給ユニット16を設置した場合を例示して説明したが、この設置個数は、片側1つであっても良い。
【0041】
さらにまた、上述した本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置10は、転動体であるローラ20が無限循環する場合を例示して説明したが、有限循環タイプの運動案内装置であっても本発明に係る潤滑剤供給ユニットを適用することが可能である。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る潤滑剤供給ユニット付運動案内装置の部分破断斜視図である。
【図2】図1の部分縦断面側面図である。
【図3A】ローラ保持帯によって一連につなげられた複数のローラを示す上面図である。
【図3B】ローラ保持帯によって一連につなげられた複数のローラを示す側面図である。
【図4】本実施形態に係る潤滑剤供給ユニットの外観斜視図である。
【図5】本実施形態に係る別の潤滑剤供給ユニットを例示する外観斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10 潤滑剤供給ユニット付運動案内装置、11 軌道レール、11a 転動体転走面、12 移動ブロック、13 移動ブロック本体部、13a 負荷転動体転走面、14 樹脂循環路成形体、14a 保持溝、15 側蓋、16 潤滑剤供給ユニット、17 シール部材、20 ローラ、21 ローラ保持帯、21a スペーサ、21b ベルト、21c 面取案内部、31 ねじ孔、32 潤滑剤供給路、32a 導入口、32b 接続パイプ、32c 供給口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体転走面を有する軌道レールと、
前記転動体転走面と対向する負荷転動体転走面を有する移動ブロックと、
前記転動体転走面と前記負荷転動体転走面との間に転がり運動自在に設置される複数の転動体と、
を備え、
前記移動ブロックは、
前記負荷転動体転走面が形成される移動ブロック本体部と、
該移動ブロック本体部の前後両端面のうち少なくともいずれか一方の端面に、前記移動ブロック本体部とは別体に設けられる潤滑剤供給ユニットと、
を備えており、該潤滑剤供給ユニットから前記軌道レールに対して潤滑剤の供給を行うようにしたことを特徴とする潤滑剤供給ユニット付運動案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、
前記移動ブロック本体部は、
前記負荷転動体転走面と所定間隔を隔てて平行に設けられる無負荷転動体転走路と、
前記負荷転動体転走面と前記無負荷転動体転走路とを接続して前記複数の転動体を無限循環させる一対の方向転換路と、
を備えており、一方、
前記潤滑剤供給ユニットは、外部から潤滑剤を導入して前記軌道レールに対する潤滑剤の供給を行う潤滑剤供給路を備えており、
該潤滑剤供給路が、前記移動ブロック本体部の備える前記負荷転動体転走面、前記無負荷転動体転走路及び前記一対の方向転換路と交わらないように形成されていることを特徴とする潤滑剤供給ユニット付運動案内装置。
【請求項3】
請求項2に記載の潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、
前記潤滑剤供給路は、
外部から潤滑剤を導入するための導入口と、
前記軌道レールに対する潤滑剤の供給を行うための供給口と、
前記導入口と前記供給口とを接続する接続パイプと、
によって構成されていることを特徴とする潤滑剤供給ユニット付運動案内装置。
【請求項4】
請求項3に記載の潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、
前記供給口は、前記軌道レールが有する転動体転走面と対向する位置に所定の間隔を隔てて近接配置されていることを特徴とする潤滑剤供給ユニット付運動案内装置。
【請求項5】
請求項4に記載の潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、
前記供給口が設置される近傍の形状が、前記軌道レールが有する転動体転走面の形状に対応して形成されていることを特徴とする潤滑剤供給ユニット付運動案内装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の潤滑剤供給ユニット付運動案内装置において、
前記移動ブロックの前後両端面の最外側には、前記軌道レールに摺接して外部から移動ブロック内部への塵芥の侵入を防止するためのシール部材が設置されていることを特徴とする潤滑剤供給ユニット付運動案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−271003(P2007−271003A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98702(P2006−98702)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】