説明

潤滑油組成物

【課題】重質(HD)ディーゼル(圧縮点火)内燃エンジンで優れた性能を示し、低含量燐処方であるクランクケース潤滑剤を提供すること。
【解決手段】0.10重量%以下の燐を含む重質ディーゼルエンジン潤滑油組成物であって、無灰分散剤、中性カルシウムフェナート、過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート及びフェノール系又はアミン系酸化防止剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重質(HD)ディーゼル(圧縮点火)内燃エンジンで優れた性能を示し、低含量燐処方であるクランクケース潤滑剤に関する。そのような潤滑剤は潤滑油、潤滑油組成物及び潤滑油処方物のように多様に呼ばれている。
【背景技術】
【0002】
重質トラック輸送市場は、ディーゼルエンジンを優れた長命と経済的な運転の両方のために好ましいパワー源として採用している。乗用車エンジンと比較してHDディーゼルエンジンのより厳しい性能要求を満たすために、特殊な潤滑剤が開発されている。
充分なHD性能を証明するために、以下のものを含めた、いくつかのエンジン試験が要求される。
・ 粘度増加により測定される酸化防止性能についてのSequence IIIE(ASTM D553)試験。
・ 内径研磨、ピストン洗浄度、シリンダー摩耗量、エンジンスラッジ及び油消費量につてのDaimler Chrysler OM364LAディーゼルエンジン試験。
・ すすに関係したバルブ列摩耗量、フィルタープラギング及びスラッジを評価するためのCummins M11試験。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
このように、当業界においてHDディーゼルの要求に応ずる能力のある潤滑油について要求がある。驚いたことに、Sequence IIIE、OM364LA及びCummins M11試験で改善した性能を提供する低含量燐潤滑油を発見した。このように、第一の局面において、本発明は、以下を添加した多割合の潤滑粘度の油を含む重質ディーゼルエンジン潤滑油組成物に関する。
(a)0.3質量%以下、例えば0.2質量%以下、例えば0.1質量%以下のホウ素を有する少量の潤滑油ボレート化又は非ボレート化無灰分散剤、
(b)少量の油溶性中性カルシウムフェナート洗剤、
(c)0.1質量%以下、例えば0.05質量%以下、例えば0.025質量%以下のマグネシウムが組成物中に存在するような少量の油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、又はその混合物、
(d)組成物の燐含量が0.025から0.10質量%、例えば0.05から0.07又は0.08質量%であるような量で存在する金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート、及び
(e)少量のフェノール系又はアミン系酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤。
そして、この組成物はいかなる中性金属スルホネート及びフェナート(b)以外のいかなる中性金属洗剤も含まない。
ここで用いた、すべての質量%は特に記述がない限り、活性成分基準であり、上記した(a)、(c)及び(d)に関しては元素であるホウ素、マグネシウム又は燐を基準とする。
組成物は芳香族アミンのようなアミン系酸化防止剤を含まないのが好ましい。
多割合は組成物の50質量%を超えることを意味し、少量は、記載した添加剤に関して、及び組成物中に存在する添加剤のすべての合計質量%に関して、組成物の50質量%未満を意味する。
組成物の添加剤は、配合、貯蔵又は使用の条件下で反応してもよく、また本発明はそのような反応の結果として得られる又は得られた生成物を提供すると理解される。
この明細書中、“を含む(comprises or comprising)”又は同義語は記載された特徴、整数、工程又は成分の存在を特定するためと解されるが、一以上のその他の特徴、整数、工程又は成分の存在又は添加を排除しない。
【0004】
第二局面において、本発明は重質ディーゼルエンジン潤滑油組成物を提供するために潤滑粘度の油と混合するための濃厚物に関し、その濃厚物は、
(a)0.3質量%以下、例えば0.2質量%以下、例えば0.1質量%以下のホウ素を有する潤滑油ボレート化又は非ボレート化無灰分散剤と、
(b)油溶性中性カルシウムフェナート洗剤と、
(c)0.3質量%以下のマグネシウムが濃厚物中に存在する量で存在する油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、又はその混合物と、
(d)濃厚物の燐濃度が0.7質量%以下であるような量で存在する金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートと、
(e)フェノール系又はアミン系酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤とを含有し、その濃厚物はいかなる中性金属スルホネート及びフェナート(b)以外のいかなる中性金属洗剤も含まない。
第三局面において、本発明は、そのクランクケースに本発明の第一局面の潤滑油組成物を提供する工程を含む重質ディーゼルエンジンを潤滑する方法に関する。
第四局面において、本発明は、一以上の以下のクランクケース潤滑油試験において充分な性能を達成するために、本発明の第一局面の添加剤(a)から(e)の組合せのクランクケース潤滑油組成物の使用に関する。
酸化防止性能についてのSequence IIIE(ASTM D553)、
内径研磨、ピストン洗浄度、シリンダー摩耗量、エンジンスラッジ及び油消費量につてのDaimler Chrysler OM364LA及び、
すすに関係したバルブ列摩耗量、フィルタープラギング及びスラッジについてのCummins M11。
第五局面において、本発明は、
(1)移動可能で、重質ディーゼル内燃エンジンに油を差すために接している機械部分と、
(2)本発明の第一局面の潤滑油組成物とを有する組合せに関する。
以下のより詳細に本発明の特徴を述べる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
(潤滑油)
潤滑粘度の油は、重質ディーゼル(圧縮点火)エンジンについてクランクケース潤滑油として使用される任意の合成又は天然油から選んでもよい。潤滑粘度の油は、100℃で2.5〜12mm2/s、好ましくは2.5〜9mm2/sの粘度を有するものがよい。必要な場合には、合成及び天然基油の混合物を使用してもよい。
【0006】
(分散剤(a))
無灰分散剤は、粒子を分散することに関係する能力のある官能基を有する油溶性ポリマーの炭化水素骨格を含む。分散剤は2〜10質量%、好ましくは3〜5質量%の量で存在してもよい。一般的に、分散剤は、しばしば架橋基を介してポリマー骨格と結合したアミン、アルコール、アミド又はエステル極性部を含む。例えば、分散剤は、長鎖炭化水素置換モノ及びジカルボン酸又はその無水物の油溶性塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド及びオキサゾリン、長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体、直接結合しているポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素、及び長鎖置換フェノールとホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンを縮合することによって形成されるMannich縮合生成物及びKoch反応生成物から選んでもよい。
油溶性ポリマーの炭化水素骨格は、一般的にはオレフィンポリマー、特に多モル割合(すなわち、50モル%以上)のC2〜C18のオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、オクテン-1、スチレン)及び典型的にはC2〜C5のオレフィンを含むポリマーである。油溶性ポリマーの炭化水素骨格はホモポリマー(例えば、ポリプロピレン又はポリイソブチレン)又は2以上のそのようなオレフィンのコポリマー(例えば、エチレン及びプロピレン及びブチレンのようなαオレフィンのコポリマー又は二つの異なるαオレフィンのコポリマー)であってもよい。
オレフィンポリマーの一つの好ましい類はポリブテン及び、特にポリイソブテン(PIB)又はポリ-n-ブテンであり、例えばC4製油所streamのポリマー化により調製してもよい。オレフィンポリマーのその他の好ましい類はエチレンαオレフィン(EAO)コポリマー又はαオレフィンホモ-及びコポリマーであり、例えば、それぞれの場合に、高割合(例えば、>30%)の末端ビニリデン不飽和を有し、メタロセン化学を用いて調製してもよい。
【0007】
油溶性ポリマーの炭化水素骨格は、通常、300〜20000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。その骨格のMnは500〜10000の範囲が好ましく、より好ましくは700〜5000であり、その骨格の使用は主機能である分散性を有する成分を調製するためである。またポリエポキシドのようなヘテロポリマーも成分を調製するために使用できる。相対的に低い分子量(Mnが500〜1500)及び相対的に高い分子量(Mnが1500〜5000又はそれ以上)の両方のポリマーは分散剤を作るのに有用である。分散剤としての使用に、特に有用なオレフィンポリマーは900〜3000の範囲のMnを有する。成分が粘度改良効果も与えることを意図する場合には、より高い分子量、一般的には2000〜20000の範囲のMnのものを使用することが望ましい。成分が主に粘度改良剤として機能することを意図する場合、分子量はより一層大きい20000〜500000又はそれ以上の範囲のMnであってもよい。分散剤を調製するために使用される機能化したオレフィンポリマーは、ポリマー鎖当たり約1の末端二重結合を有するものが好ましい。
そのようなポリマーについてのMnはいくつかの既知の方法によって決定できる。そのような決定の簡便な方法はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるものであり、それによりさらに分子量分布情報が提供される。
【0008】
油溶性ポリマーの炭化水素骨格は、ポリマーの骨格に官能基を結合して又はポリマー骨格から一以上の官能基ペンダントとしてより機能的にしてもよい。一般に、官能基は極性を有し、P、O、S、N、ハロゲン又はホウ素のような一以上のヘテロ原子を含有する。官能基は置換反応により油溶性ポリマーの炭化水素骨格の飽和炭化水素部に、又は付加又は付加環化反応によりオレフィン部に結合することができる。代わりに、官能基はポリマー鎖端の酸化又は分裂とともにポリマーと結合することができる(例えば、オゾン分解)。
有用な機能付与反応は、ポリマーのアリル結合からオレフィン結合のハロゲン化及びハロゲン化したポリマーとエチレン性不飽和官能化合物との続く反応(例えば、ポリマーがマレイン酸又は無水マレイン酸と反応するマレエイション)、ハロゲン化のない“ene”反応によるポリマーと不飽和官能化合物との反応、ポリマーと少なくとも一のフェノール基との反応(これはMannich基本型縮合の誘導体化を可能にする)、ポリマーとヒドロホルミル化触媒を用いた一酸化炭素との不飽和点での反応又は-CH2-に結合した又は、イソ又はネオ位にカルボニル基を導入するKoch型反応、遊離ラジカル触媒を用いた遊離ラジカル添加によるポリマーと機能化した化合物との反応、チオカルボン酸誘導体との反応、及び空気酸化法、エポキシ化、クロロアミノ化又はオゾン分解によるポリマーの反応を含む。
【0009】
次いで、機能化した油溶性ポリマーの炭化水素骨格は、対応する誘導体を形成するために、アミン、アミノアルコール、アルコール、金属化合物又はその混合物のような求核反応物でさらに誘導体化される。機能化したポリマーを誘導体化するための有用なアミン化合物は、少なくとも一のアミンを含み、一以上の追加のアミン又はその他の反応性基又は極性基を含むことができる。これらのアミンはヒドロカルビルアミンであってもよく、ヒドロカルビル基がその他の基、例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、ニトリル、イミダゾリン基などを含む主にヒドロカルビルアミンであってもよい。特に有用なアミン化合物としては、モノ-及びポリアミン、例えばポリアルキレン及び分子内に約2〜60個、便宜的には2〜40個(例えば、3〜20個)の全炭素原子及び約1〜12個、便宜的には3〜12個、好ましくは3〜9個の窒素原子のポリオキシアルキレンポリアミンが挙げられる。アミン化合物の混合物はアルキレンジハロゲン化物とアンモニアとの反応により調製されるもののように使用できる。アミンは脂肪族飽和アミンが好ましく、例えば1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、ジエチレントリアミンのようなポリエチレンアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2-プロピレンジアミンのようなポリプロピレンアミン及びジ-(1,3-プロピレン)トリアミンが挙げられる。
【0010】
分散剤の好ましい群としては、無水コハク酸基で置換したもの及びポリエチレンアミン(例えば、テトラエチレンペンタミン)、トリスメチロールアミノメタンのようなアミノアルコール、メタロセン触媒重合のポリマー生成物、アルコールと反応性金属のような随意の付加反応物、例えばペンタエリスリトール及びそれらの組合せと反応したものが挙げられる。米国特許第5,225,092号、第3,275,554号及び第3,565,804号に示された、ハロゲン化した炭化水素のハロゲン基を種々のアルキレンポリアミンと置換する方法によってポリアミンが骨格と直接結合している分散剤も有用である。
分散剤の他の類はMannich基本縮合生成物を含む。一般に、これらは約1モルのアルキル置換モノ-又はポリヒドロキシベンゼンと約1〜2.5モルのカルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)及び約0.5〜2モルの、例えば米国特許第3,442,808号に開示されているポリアルキレンポリアミンとを縮合することにより調製される。
【0011】
分散剤は、更に、米国特許第3,087,936号及び第3,254,025号に一般に記載されているホウ素化のような種々の慣用の後処理方法によって後処理することができる。これはアシル窒素含有分散剤と酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸及びホウ酸エステルからなる群から選ばれるホウ素化合物又は高割合でボレート化した(borated)低Mw分散剤(ホウ素/窒素モル比が0.01〜3.0である)とを処理することにより容易に成される。
本発明での使用においてはポリイソブテニルスクシンイミド分散剤が好ましく、ここで、ポリイソブテニル基のMnは1500〜3000、例えば2000〜2300であり、又は0.3質量%以下、例えば0.2質量%以下、例えば0.1質量%以下、例えば0.01〜0.1質量%のホウ素を含むそのボレート化誘導体である。
【0012】
(カルシウムフェナート(b))
本発明の潤滑油は中性カルシウムフェナートを含む。“中性”はフェナートが実質的に化学量論量の金属を含むことを意味する。好適にはフェナートは0.3〜1.5質量%、好ましくは0.3〜0.8質量%、より好ましくは0.45〜0.65質量%の量で用いる。例えば、本発明ではアルキル化カルシウムフェナート及び好ましくは硫化アルキル化カルシウムフェナートを含む。そのような塩は当業界で容易に得られる。フェナートを調製する方法は、例えば米国特許第3,966,621号に開示されている。
フェノール及び硫化フェノールのカルシウム塩は酸化物又は水酸化物及び中性の好適な金属化合物との反応により調製してもよい。硫化フェノールは、一般的に二以上のフェノールを硫黄含有ブリッジによって架橋した化合物の混合物である生成物を形成するために、フェノールと硫黄又は、硫化水素、硫黄一ハロゲン化物又は硫黄二ハロゲン化物のような硫黄含有化合物とを反応させることにより調製してもよい。
本発明の油で用いられる中性カルシウムフェナートは、上記のように、その他の中性金属洗剤添加物を含まない本発明の組成物の単独中性金属洗剤である。
(過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム(c))
本発明の組成物はまた、記載したように、油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム又はその両方を含み、0.2〜2質量%の量が好ましい。又記載したように、本発明の組成物は0.05質量%以下のマグネシウムを含み、0.03〜0.05質量%のマグネシウムが好ましく、又は0.025質量%以下のマグネシウムを含む。
金属含有すなわち灰分形成スルホネート洗剤は沈殿物を減少又は除去する洗剤として、及び酸中和剤又は錆止め剤として機能し、その結果摩耗及び腐食を減らし、エンジン寿命を延ばす。洗剤は、一般に長い疎水性尾を持つ極性頭を含み、酸性有機化合物の金属塩を含む極性頭を含む。過剰の酸化物又は水酸化物のような金属化合物と二酸化炭素のような酸性気体とを反応させて多量の金属塩基を含むことが可能である。得られた過塩基化洗剤スルホネートは金属塩基(例えばカーボネート)ミセルの外層として中和した洗剤を含む。そのような過塩基化スルホネート洗剤は150又はそれ以上、一般的には250〜450又はそれ以上のTBNを有してもよい。
油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム及びマグネシウムはそれぞれ300及び400のTBNを有するのが好ましい。
【0013】
スルホネートは、石油の分別から得られるもののようなアルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化又は芳香族炭化水素のアルキル化によって一般的に得られるスルホン酸から調製してもよい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又はそれらのハロゲン誘導体、例えばクロロベンゼン、クロロトルエン及びクロロナフタレン、をアルキル化することにより得られるものが挙げられる。アルキル化は触媒と3〜70個又はそれよりも多い炭素原子を有するアルキル化剤の存在下で行ってもよい。アルカリールスルホネートは、通常アルキル置換芳香族成分当たり9〜80個又はそれ以上、好ましくは16〜60個の炭素原子を含む。
油溶性スルホネート又はアルキルアリールスルホン酸は、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カーボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスルフィド、ニトレート、ボレート及び金属エーテルで中和してもよい。金属化合物の量は最終生成物の望ましいTBNを考慮して選ばれるが、一般的にはその化学量論的要求の125〜200質量%の範囲である。
【0014】
(金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート(d))
ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩はしばしば耐摩耗剤及び酸化防止剤として用いられる。本発明の組成物は、0.05〜0.10質量%、例えば0.05〜0.07又は0.08質量%の燐が最終潤滑油に存在するような量で金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートを含むものが好ましい。金属はアルカリ金属又はアルカリ土類金属であってもよく、又はアルミニウム、鉛、すず、モリブデン、マンガン、ニッケル又は銅であってもよいが、亜鉛塩が好ましく、潤滑油組成物の全質量を基準として0.1〜1.5質量%、好ましくは0.5〜1.0質量%の量で存在してもよい。それらはジヒドロカルビルジチオ燐酸(DDPA)を、通常一以上のアルコール又はフェノールとP2S5の反応により、最初に形成し、次いで形成したDDPAを亜鉛化合物で中和する公知の方法で調製してもよい。例えば、ジチオ燐酸は第一級アルコール及び第二級アルコールの混合物を反応することにより作ってもよい。代わりに、一のヒドロカルビル基は性質として完全に第二級であり、他のヒドロカルビル基は性質として完全に第一級である複合的なジチオ燐酸を調製してもよい。亜鉛塩を作るために、任意の塩基又は中性亜鉛化合物が用いられるが、酸化物、水酸化物及びカーボネートがもっとも一般に用いられる。市販の添加剤はしばしば中和反応において過剰の塩基性亜鉛化合物を使用するために過剰の亜鉛を含んでいる。
好ましい亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートはジヒドロカルビルジチオ燐酸の油溶性塩であり、次式で表すことができる。
【0015】
【化1】

【0016】
ここで、R及びR'は1〜18個、好ましくは2〜12個の炭素原子を含み、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリール及び脂環式基のような基を含む同じ又は異なるヒドロカルビル基であってもよい。R及びR'基として特に好ましいものは2〜8個の炭素原子のアルキル基である。このような基は、例えばエチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってもよい。油溶性を得るために、ジチオ燐酸の炭素原子の数(例えばR及びR')は一般的に約5個又はそれ以上であろう。従って、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートは亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含むことができる。好適には、ジチオ燐酸にヒドロカルビル基を導入するために使用した少なくとも50モル%のアルコールは第二級アルコールである。
第二級アルコールの割合はより大きいほうが好ましく、特に高い窒素系で要求されるかもしれない。このようにヒドロカルビル基を導入するために用いられるアルコールは60又は75モル%の第二級アルコールであってもよい。最も好ましくは、ヒドロカルビル基は90モル%を超える第二級アルコールである。性質が第二級である金属ジチオホスフェートはSequence VE(ASTM D5302)及びGM 6.2L試験のような試験においてよりよい摩耗抑制を与える。
【0017】
(フェノール系又はアミン系酸化防止剤(e))
本発明の潤滑剤は、例えば0.1〜1.5質量%、好ましくは約0.2〜1.0質量%の酸化防止剤(e)を含む。ヒンダードフェノールが好ましく、一般に一の又は両方のオルト位を置換した油溶性フェノールである。好適な化合物としては一価及び単核フェノール、例えば2,6-ジターシャリーアルキルフェノール(例えば、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、2-t-ブチルフェノール、4-アルキル、2,6-t-ブチルフェノール、2,6-ジイソプロピルフェノール及び2,6-ジメチル、4-t-ブチルフェノール)が挙げられる。その他の好適なヒンダードフェノールとしては多価及び多核フェノール、例えばアルキレン架橋ヒンダードフェノール(4,4-メチレンビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール)、4,4'-メチレンビス(2-tert-アミル-o-クレゾール)及び2,2'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール))が挙げられる。ヒンダードフェノールはボレート化及び硫化してもよい。好ましくは、ヒンダードフェノールはよい油溶性及び相対的に低い揮発性を有する。
アミン系酸化防止剤の例としては、窒素原子に直接結合した少なくとも二つの芳香族基を有する芳香族アミン酸化防止剤が挙げられる。これらの材料は少量で用いられるが、本発明の好ましい実施態様はこれらの化合物を含まない。これらの芳香族アミンは衝突すす誘起粘度増加を起こすことを見出した。それらは少量でのみ使用するのが好ましく、また組成物のその他の成分から生ずる不純物として得られる量を除いて、まったく使用しないのがより好ましい。
一つのアミン窒素に直接結合した少なくとも二つの芳香族基を有する一般的な油溶性芳香族アミンは6〜16個の炭素原子を含む。アミンは二よりも多い芳香族基を含んでもよい。二つの芳香族基が共有結合により又は、原子又は基(例えば、酸素原子又は硫黄原子、又は-CO-、-SO2-又はアルキレン基)により結合しており、二つの芳香族基は一つのアミン窒素と直接結合している合計で少なくとも三つの芳香族基を有する化合物も、窒素原子と直接結合している少なくとも二つの芳香族基を有する芳香族アミンと考えられる。芳香族環は一般的には、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ及びニトロ基から選ばれる1以上の置換基により置換される。これらの化合物は最小限に又は完全に避けるべきである。そのような一のアミン窒素と直接結合した少なくとも二つの芳香族基を有する任意の油溶性芳香族アミンの量は0.2質量%以下であることが好ましい。
【0018】
(補助添加剤)
その他の添加剤は本発明の組成物中に随意の成分として存在してもよく、これらを以下に挙げる。
非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール及びそのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール及びアニオン性アルキルスルホン酸からなる群から選ばれる錆止め剤を使用してもよい。
銅及び鉛含有腐食防止剤を使用してもよいが、一般的には本発明の処方では必要としない。一般的には、そのような化合物は5〜50個の炭素原子を含むチアジアゾールポリスルフィド、その誘導体及びそのポリマーである。米国特許第2,719,125号、第2,719,126号及び第3,087,932号に記載されているもののような1,3,4-チアジアゾール誘導体が一般的である。その他の同様の材料は米国特許第3,821,236号、第3,904,537号、第4,097,387号、第4,107,059号、第4,136,043号、第4,188,299号及び第4,193,882号に記載されている。その他の添加剤は、英国特許明細書第1,560,830号に記載したもののようなチアジアゾールのチオ及びポリチオスルフェナミドである。ベンゾトリアゾール誘導体もこの類の添加剤に属する。これらの化合物が潤滑剤組成物に含まれる場合、0.2質量%以下の量であることが望ましい。
【0019】
少量の解乳化成分を使用してもよい。好ましい解乳化成分はEP第330,522号に記載されている。それはアルキレン酸化物と、ビスエポキサイドと多価アルコールとの反応により得られた付加物との反応により得られる。解乳化剤は0.1質量%以下のレベルで使用すべきであり、0.001〜0.05質量%であるのがよい。
流動点降下剤、そうでなければ潤滑油流動改良剤として知られているものは、流体が流動し又は流れ出すことができる最低温度を低くする。そのような添加剤はよく知られている。流体の低温流動性を改良した一般的なそれらの添加剤はC8〜C18のジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー及びポリアルキルメタクリレートである。同様に、ジアルキルフマレート及びビニルアセテートは相溶化剤として使用してもよい。
不相溶性は、モーターオイル粘度改良剤の製造で使用する或る種のポリマーをベースストックに溶解する場合に生じるかもしれない。分離及び粒状化する傾向の両方を与えるポリマーの不均一な分子分散が生じる。この問題は分散させ又はパッキングを防ぐ官能基と結合した炭化水素基を有する相溶化剤の使用により解決される。
【0020】
泡制御はポリシロキサンタイプ、例えばシリコーンオイル又はポリジメチルシロキサンの消泡剤を含む多くの化合物によって行うことができる。
粘度改良剤(VM's)は潤滑油に高温又は低温での実施可能性を与える機能を果たす。使用されるVMはそのような単一の機能を有するかもしれないし、多機能であるかもしれない。
分散剤としても機能する多機能の粘度改良剤も知られている。好適な粘度改良剤はポリイソブチレン、エチレン及びプロピレン及び高級αオレフィンのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸及びビニル化合物のコポリマー、スチレン及びアクリル酸エステルのインターポリマー、及びスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、イソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマー及び同様にブタジエン及びイソプレン及びイソプレン/ジビニルベンゼンの部分水素化ホモポリマーである。
上記の添加剤のいくつかは、様々な効果を提供することができる。例えば、単一添加剤は分散剤−酸化防止剤として機能することができる。
上述のその他の成分の添加がここに記載の限定に従わなければならないことに注意することは重要である。
【0021】
(混合)
本発明の潤滑油組成物を調製するため、一般的には各添加剤を潤滑粘度の油又は基油に、添加剤が所望の機能を提供できる量で混合する。添加剤(a)から(e)の有効な量は上記した。その他の添加剤の典型的な量を、活性成分に対する質量%として以下に列挙する。
【0022】
添加剤 質量% 質量%
(一般的な量) (好ましい量)
腐食防止剤 0〜0.2 0〜0.1
流動点降下剤 0.01〜1 0.1〜0.3
消泡剤 0.0005〜0.005 0.001〜0.004
追加の耐摩耗剤 0〜0.5 0〜0.2
粘度改良剤 0〜1.5 0〜1.2
鉱油又は合成基油 残部 残部
【0023】
添加剤成分は任意の好適な方法により基油に混合してもよい。このように、各添加剤は所望する濃度でそれを油に分散又は溶解することにより油に直接加えることができる。そのような混合は外界温度又は高温で行ってもよい。
粘度改良剤及び流動点降下剤を除くすべての添加剤は濃厚物にブレンドし、次いで基油にブレンドして最終潤滑油を調製するのが好ましい。そのような濃厚物の使用又は添加剤パッケージは一般的である。濃厚物が基本潤滑剤の所定量と混合する場合、最終処方で所望する濃度を与えるのに適した量で添加剤を含むように濃厚物は一般的には処方する。
濃厚物は米国特許第4,938,880号に記載された方法に従って調製するのが好ましい。その特許は分散剤及び金属洗剤を少なくとも約100℃の温度であらかじめ混合したプレミックスを調製することを記載している。その後、プレミックスは少なくとも85℃に冷却し、補助添加剤を加える。
最終組成物は2〜15質量%、好ましくは5〜10質量%、一般的には7〜8質量%の添加剤パッケージを使用してもよく、残りは基油である。
【実施例】
【0024】
(実施例)
本発明は以下の実施例を参照し例示としてのみ更に説明する。実施例では、他に断らない限り、すべての%は活性成分の質量%として記した。複数の油を処方し、Sequence IIIE、OM364LA及びM11エンジン試験を行った。末尾の文字Aで識別する油は比較油であり、末尾の数字1で識別する油は本発明の油である。各実施例において、
・値は各処方で示した添加剤の質量%を表し、残部は基油、粘度改良剤、消泡添加剤及び解乳化剤を含む。
・“ZDDP”は亜鉛ジアルキルジチオホスフェートであり、アルキル基は第一級C8及び第二級C4である。
・分散剤はMn 2225ポリイソブテニルスクシンイミド分散剤であり、実施例1〜3ではBが0.14質量%となるようにボレート化されており、実施例4ではボレート化しないで使用した。
- は成分が無いことを示す。
以下の実施例において、
* は処方において0.097質量%のPを与える。
** は処方において0.05質量%のMgを与える。
*** は処方において0.03質量%のMgを与える。
【0025】
(実施例1)

これら二つの油のSequence IIIEデータは以下であった。
【0026】

“KV増加”は40℃で測定した動粘度の増加であり、 “パス”を構成する200%未満であった。油1−1は本発明の油である。油1−Aは比較油である。これらのデータは単独中性洗剤として使用したカルシウムフェナートの有益な効果を示した。油1−1の補助分散剤は酸化のために粘度増加を示さなかった。
【0027】
(実施例2)

これら油についてのOM364LAデータは以下であった。
【0028】

油2−1は本発明の油であり、単独中性洗剤としてカルシウムフェナートを有する処方が有利な特性を示した。油2−1の補助分散剤はOM364LA試験で内径研磨に影響しなかった。
【0029】
(実施例3)

*** は処方において0.03質量%のMgを与える。
油3−1は油2−1より少ないMgを含む。油3−1についてのOM364LAデータは実施例2の油2−1の同じデータと比較で以下の表にした。
【0030】

【0031】
(実施例4)

油4−1のCummins M11試験データは実施例3で用いた油3−1のデータと比較して以下の表に示した。これらのデータは、ホウ素が無いにもかかわらず、摩耗制御が保持された。
【0032】

以下に本発明の態様を示す。
1.(a)0.3質量%以下、例えば0.2質量%以下、例えば0.1質量%以下のホウ素を有する少量の潤滑油ボレート化又は非ボレート化無灰分散剤と、
(b)少量の油溶性中性カルシウムフェナート洗剤と、
(c)0.1質量%以下、例えば0.05質量%以下、例えば0.025質量%以下のマグネシウムが組成物中に存在するような少量の油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、又はその混合物と、
(d)組成物の燐含量が0.025から0.10質量%、例えば0.05から0.07又は0.08質量%であるような量で存在する金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートと、
(e)少量のフェノール系又はアミン系酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤とを添加した多割合の潤滑粘度の油を含む重質ディーゼルエンジン用潤滑油組成物であって、いかなる中性金属スルホネート及びフェナート(b)以外のいかなる中性金属洗剤も含まない潤滑油組成物。
2.分散剤がポリイソブテニルスクシンイミド潤滑油分散剤であって、ポリイソブテニルは1500から3000、例えば2000から2300の数平均分子量(Mn)を有する上記1に記載の組成物。
3.0.3から1.5質量%の中性カルシウムフェナートが存在する上記1又は2に記載の組成物。
4.0.2から2質量%の過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、又はその混合物が存在する上記1から3のいずれか1項に記載の組成物。
5.金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートが、アルキル基が2から8個の炭素原子を有する亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである上記1から4のいずれか1項に記載の組成物。
6.0.1から1.5質量%のヒンダードフェノールタイプの酸化防止剤(e)が存在する上記1から5のいずれか1項に記載の組成物。
7.重質ディーゼルエンジン用潤滑油組成物を調製するために潤滑粘度の油とブレンドするための濃厚物であって、
(a)0.3質量%以下、例えば0.2質量%以下、例えば0.1質量%以下のホウ素を有する潤滑油ボレート化又は非ボレート化無灰分散剤と、
(b)油溶性中性カルシウムフェナート洗剤と、
(c)0.3質量%以下のマグネシウムが濃厚物中に存在する量で存在する油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、又はその混合物と、
(d)濃厚物の燐含量が0.7質量%以下であるような量で存在する金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートと、
(e)フェノール系又はアミン系酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤とを含有し、いかなる中性金属スルホネート及びフェナート(b)以外のいかなる中性金属洗剤も含まない濃厚物。
8.重質ディーゼルエンジンを潤滑する方法であって、上記1から6のいずれか1項に記載した潤滑油組成物をそのクランクケースに提供する工程を含む潤滑方法。
9.以下の1以上のクランクケース潤滑油試験において、充分な性能を達成するための上記1から6のいずれか1項に記載の添加剤(a)から(e)の組合せのクランクケース潤滑油組成物の使用。
酸化防止性能(antioxidancy)についてのSequence IIIE(ASTM D553)、
内径研磨、ピストン洗浄度、シリンダー摩耗量、エンジンスラッジ及び油消費量につてのDaimler Chrysler OM 364LA及び、
すすに関係したバルブ列摩耗量、フィルタープラギング及びスラッジについてのCummins M11
10.(1)移動可能で、重質ディーゼルエンジンに油を差すために接している機械部分と、
(2)上記1から6のいずれか1項に記載の潤滑油組成物とを有する組合せ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.3質量%以下のホウ素を有する少量の潤滑油ボレート化又は非ボレート化無灰分散剤と、
(b)少量の油溶性中性カルシウムフェナート洗剤と、
(c)0.03質量%以上0.05質量%以下のマグネシウムが組成物中に存在するような少量の油溶性過塩基化スルホン酸マグネシウム、又は油溶性過塩基化スルホン酸カルシウム及びスルホン酸マグネシウムと、
(d)組成物の燐含量が0.025から0.10質量%であるような量で存在する金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートと、
(e)少量のフェノール系又はアミン系酸化防止剤とを添加した多割合の潤滑粘度の油を含む重質ディーゼルエンジン用潤滑油組成物であって、いかなる中性金属スルホネート及びフェナート(b)以外のいかなる中性金属洗剤も含まない潤滑油組成物。
【請求項2】
更に、
(g)0から0.2質量%の腐食防止剤;
(h)0.01から1質量%の流動点降下剤;
(i)0.0005から0.005質量%の消泡剤;及び
(j)0から0.5質量%の追加の耐摩耗剤を添加した請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
潤滑油組成物が、0.2質量%以下のホウ素を有する潤滑油ボレート化又は非ボレート化無灰分散剤を含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
潤滑油組成物が、油溶性過塩基性スルホン酸カルシウム及びマグネシウムの混合物を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
分散剤がポリイソブテニルスクシンイミド潤滑油分散剤であって、ポリイソブテニルは1500から3000の数平均分子量(Mn)を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
0.3から1.5質量%の中性カルシウムフェナートが存在する請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
0.2から2質量%の過塩基化スルホン酸カルシウム又はマグネシウム、又はその混合物が存在する請求項1からのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートが、アルキル基が2から8個の炭素原子を有する亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである請求項1からのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
0.1から1.5質量%のヒンダードフェノールタイプの酸化防止剤(e)が存在する請求項1からのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
潤滑油組成物がアミン系酸化防止剤を含まない請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
重質ディーゼルエンジンを潤滑する方法であって、請求項1から10のいずれか1項に記載した潤滑油組成物をそのクランクケースに提供する工程を含む潤滑方法。
【請求項12】
以下の重質ディーゼルエンジン試験の要件に充足するための、請求項11に記載された重質ディーゼルエンジンを潤滑する方法。
酸化防止性能についてのSequence IIIE(アメリカ材料試験協会規格D553試験)、内径研磨、ピストン洗浄度、シリンダー摩耗量、エンジンスラッジ及び油消費量についてのDaimler Chrysler OM 364LA及び、すすに関係したバルブ列摩耗量、フィルタープラギング及びスラッジについてのCummins M11
【請求項13】
以下の試験のうち1以上の重質ディーゼルエンジン試験の要件において、充分な性能を達成するための請求項1から10のいずれか1項に記載のクランクケース潤滑油組成物の使用。
酸化防止性能(antioxidancy)についてのSequence IIIE(ASTM D553)、内径研磨、ピストン洗浄度、シリンダー摩耗量、エンジンスラッジ及び油消費量についてのDaimler Chrysler OM 364LA及び、すすに関係したバルブ列摩耗量、フィルタープラギング及びスラッジについてのCummins M11
【請求項14】
(1)移動可能で、重質ディーゼルエンジンに油を差すために接している機械部分と、
(2)請求項1から10のいずれか1項に記載の潤滑油組成物とを有する組合せ。

【公開番号】特開2012−162750(P2012−162750A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129533(P2012−129533)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2001−77771(P2001−77771)の分割
【原出願日】平成13年3月19日(2001.3.19)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】