説明

潤滑用添加剤を有する着色濃縮液による光ファイバの被覆

【課題】潤滑用添加剤を有する着色濃縮液による光ファイバのコーティングシステムを提供する。
【解決手段】システム400は、光ファイバコア406に一次被覆材409で一次金型408により一次被覆した後、離型入り着色二次混合物426で二次金型428により二次被覆をする。離型入り着色二次混合物426は、あらかじめ決められた量の着色剤、および離型剤を含む濃縮液412を紫外線(UV)硬化型希釈被覆材418と選択的に混合することにより準備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には光ファイバの着色、より詳しくは光ファイバ着色濃縮液の潤滑用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
商用の光ファイバ通信システムは、帯域幅、およびチャンネル数の要求に応えるために、しばしば施設の間に多数本のファイバ径間を必要とする。一つの施設を他とを結ぶための光ケーブルは設置するために多額の費用がかかるため、しばしばケーブルは多数のファイバを含み、(しばしばダークファイバと呼ばれる)いくつかのファイバは将来の拡張用、あるいは冗長用として指定されている。典型的な光ケーブルは多数のリボンファイバ配列を含むことが出来、それぞれのリボンは多数のファイバを含むことが出来る。また、ケーブルはルースチューブ構成の中に多数のルースファイバを含むことも出来る。したがって、個々の光ファイバはケーブル中で特定の光ファイバを隣と区別するために、固有可視識別子、あるいは着色を必要とすることが理解できる。
【0003】
リボンファイバは多数の光ファイバを含み、通常、その多数の光ファイバは、互いに並んで直線配列するように配置され、その多数のファイバは、それを保護すし、束ねるように機能するマトリックス材料で取り囲まれている。しかし、マトリックス材料は光ファイバに損傷を与えかねないような過大な力を加えることなく、個々のファイバから剥がれ、分離できねばならない。さらに、多数の光ファイバがルースチューブの中に配されるなら、それらは拘束応力による損失、および分散を避けるために互いに独立して滑ることができなければならない。これら両方の必要性に対処するために、リボンマトリックスとの接着を抑制、あるいはルースチューブファイバを拘束することなく互いに滑らせるように、光ファイバは潤滑性のコーティング、あるいはファイバの外側表面への離型剤を塗布して製造される。
【0004】
コスト、および潤滑性コーティングを施した着色光ファイバの製造に関わる更なるオフライン工程を低減するために、製造業者は線引き工程の最終段階中に離型剤を含む着色コーティングを光ファイバに施せるインライン型の金型、およびUV硬化型の炉を考案している。従来型の着色二次コーティングは1%から20%の反応性潤滑用添加剤を含むように調合されている。ファイバの同時線引き、コーティング、および着色はオフライン着色工程に関わる時間、およびコスト削減を助ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、線引き塔の利用を最大限にするために、しばしば製造業者は後で必要に応じて着色、あるいは第三者のケーブル製造業者に販売できるための在庫用として着色しない光ファイバを製造しなければならない。したがって、潤滑用添加剤を有する着色濃縮液による光ファイバのコーティングを提供する改良されたシステム、および方法に対する必要性がいまだ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の必要性のいくつか、あるいはそのすべてが本発明のある実施例によって対処される。本発明のある実施例は潤滑用添加剤を有する着色濃縮液による光ファイバのコーティングを提供する改良されたシステム、および方法を含む。
【0007】
本発明の実施例により、光ファイバを被覆する方法が提供される。その方法は一次被覆材で光ファイバを被覆し、紫外線(UV)硬化型希釈剤の入った被覆材と濃縮液とを選択的に混合することによって二次被覆材を調製することを含み、その場合において、濃縮液はあらかじめ決められた量の着色剤、および離型剤からなり、光ファイバ、および一次被覆に二次被覆材を塗布する。
【0008】
本発明の他の実施例により、光ファイバの線引き塔が提供される。線引き塔は光ファイバに一次被覆材を塗布するように作用する一次金型システム、および一次被覆の上に二次被覆材を塗布するための二次金型システムを含む。二次金型システムはUV硬化型希釈剤の入ったコーティング材を濃縮液と選択的に混合させるように作用する一つ以上のバルブ、あるいはポンプからなり、その場合において、濃縮液はあらかじめ決められた量の着色剤、および離型剤からなる。また、二次金型システムは、混合されたUV硬化型希釈剤の入った被覆材と濃縮液とを混合することにより二次被覆材を調製するように作用するインライン型の混合器、および光ファイバに二次被覆材を塗布するように作用する被覆用金型からなる。
【0009】
他の実施例により、光ファイバが提供される。光ファイバは光のコアを覆う一次被覆、および一次被覆を覆う二次被覆を含み、その二次被覆は濃縮液とUV硬化型希釈被覆材とからなり、濃縮液は重量で約20%から約40%の量の離型剤からなる。
【0010】
他の実施例により、光ファイバの線引き工程中に二次被覆材と混合される放射線硬化型の着色濃縮液が提供される。濃縮液は、光ファイバを着色するために有効な、重量で約20%から約50%の着色剤、光ファイバに滑らかな外側表面を生成するために有効な、重量で約20%から約40%の離型剤、および着色剤、および離型剤のベースとして有効な、重量で約20%から約50%のUV硬化型希釈剤の入った被覆材を含む。本発明の実施例により、離型剤は反応性シリコン、あるいは過フッ化炭化水素ベースの材料を含んで良い。
【0011】
本発明の他の実施例、および観点がここに詳細に述べられ、請求の範囲に含まれる発明の一部であると見なされる。他の実施例、および観点が以下の詳細な説明、付属する図面、および請求の範囲の参照によって理解される。
参照する付属の図、およびフロー図は必ずしも寸法どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1Aから図1Dは、本発明の実施例による具体的な被覆された光ファイバの断面図である。
【図2】本発明の実施例による具体的なリボンファイバの端部の断面図である。
【図3】本発明の実施例による具体的なリボンファイバの上面輪郭図である。
【図4】本発明の実施例による具体的なファイバ被覆システムのブロック図である。
【図5】本発明の実施例による他の具体的なファイバ被覆システムのブロック図である。
【図6】本発明の実施例によるファイバ被覆工程の例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これ以降、本発明の実施例が示されている付属の図を参照して本発明の実施例がより詳細に説明される。しかし、この発明は多くの異なる形態で実施されてよく、ここに説明される実施例に限定されると解釈されるべきでない;むしろ、この開示が十分で完結したものであり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるよう、これらの実施例が提供される。全体を通して同じ構成要素に対しては同じ番号で参照される。
【0014】
本発明のある実施例は光ファイバを着色、あるいは着色せずに選択的に被覆できる。例えば、工程がファイバを着色するように選択されるとき、ファイバに混合剤を塗布する直前にクリアベースの被覆材が濃縮潤滑材、あるいは離型剤を含有する着色濃縮液と混合される。着色濃縮液はファイバの識別を容易にするように作用する着色剤、およびリボンマトリックスからファイバの分離を容易にする、あるいはルースチューブ架設で使用するために被覆表面に滑らかさを付与するように作用する離型剤を含むことができる。しかし、工程が着色しないファイバを製造するように選択されるとき、本発明の実施例により、(潤滑用添加剤を含有する)着色濃縮液が省かれ、あらかじめ決められた量の離型剤付きの(あるいは離型剤なしの)無着色ファイバを製造するためにファイバは無色のベース被覆材で被覆される。したがって、クリアベースの被覆材中の離型剤の量は、オフラインでファイバに塗布される追加の着色層の接着を容易にするように単独で最適化することができる。
【0015】
本発明の実施例により、着色濃縮液中の潤滑用添加剤の濃度は、濃縮液が着色ファイバを製造するために無色ベースのUV硬化型被覆材と混合することにより濃度が薄くなったとき、出来上がったファイバの表面がリボンファイバ、あるいはルースチューブケーブル用として望ましい特性を持つように適当量の被着防止、あるいは潤滑材を保持するようにあらかじめ決められる。
【0016】
光ファイバのオフライン着色用のUV着色インクは、UV硬化中にポリマネットワークと反応する約1−20%の反応性潤滑用添加剤を含むことができるが、また、リボンマトリックスから剥がすために十分滑らかであるように表面を改質する。線引き後に第三層として塗布されるUVインクは、ファイバの識別を容易にするために適切な色強度を備えるために通常は5から7ミクロンの厚さである。しかし、着色された第二層の厚さは、本発明の実施例により、従来の第三着色層よりも約4から5倍厚くてもよい。例えば、直径245ミクロンの光ファイバの第二被覆は通常25から30ミクロンの厚さ、あるいは第三着色層よりも約4から5倍厚い。したがって、着色のための第三層に頼ることなく、ファイバの識別を容易にするためのオフライン着色に使われる希釈されたインクでこの厚さ25から30ミクロンの第二層が着色可能である。標準的なオフラインUVインクの処方は、使用中(一般に混合後、24から72時間)に色素の粒子が沈殿しないように、その粘度、および色素濃度が最適化されているので、着色濃縮液として使用するために適当な候補である。本発明の実施例により、得られる厚くて希釈された第二の被覆が着色された第二層の表面で十分な滑らかさを有するように、着色濃縮液中の潤滑、あるいは離型剤の濃度が増やされてもよい。
【0017】
本発明の実施例により、従来の第三の薄い着色被覆層の総合した色濃度に類似、比例する厚い第二のファイバ被覆の色濃度とするために、着色濃縮液はクリアな第二(UV硬化型希釈材)と混合されてよい。本発明の実施例により、クリアなファイバが追加の潤滑性添加剤を加えることなく選択的に製造できるよう、追加の潤滑性のよい添加物は、クリアな第二(UV硬化型希釈材)バルクよりも濃縮着色液に加えられてもよい。
【0018】
本発明の実施例において、濃縮された着色色素(あるいは、染料)、および濃縮された被着防止材料からなる濃縮液がUV硬化型希釈被覆材と選択的に混合されてよい。濃縮液は重量で約20%から約40%の量の離型剤からなってよい。他の実施例において、濃縮液は重量で約10%から約50%の量の離型剤からなってよい。本発明の実施例によって、第二の被覆材は重量で約20%から約30%の濃縮液の混合物からなってよい。他の実施例において、第二の被覆材は選択的に重量で約0%から約40%の濃縮液の混合物からなってよい。本発明の実施例により、着色された第二の被覆は濃縮液とUV硬化型希釈被覆材とのインライン混合によって準備されてもよい。本発明の実施例により、第二の被覆材は濃縮液とUV硬化型希釈被覆材とのインライン混合によって準備されてもよい。本発明の実施例によって、第一、および第二の被覆の少なくとも一つはUV硬化型であってよい。
【0019】
本発明の実施例により、光ファイバは濃縮液とUV硬化型希釈被覆からなる第二の被覆を有して供され、その場合において濃縮液は重量で約20%から約40%の量の離型剤からなる。本発明の実施例において、濃縮液は重量で約20%から約50%の量のファイバを着色するために有効な着色剤からなってよい。本発明の他の実施例において、ファイバの第二の被覆材は重量で約20%から約30%の量の濃縮液からなってよい。本発明の他の実施例において、無着色のファイバを選択的に製造するために、ファイバの第二の被覆材は重量で約0%の量の濃縮液からなってよい。
【0020】
本発明の実施例により、離型剤は、シリコンアクリレート、シリコンオイル、過フッ化炭化水素、過フッ化炭化水素オイル、あるいは過フッ化炭化水素アクリレートの一つ以上からなってよい。フリーラジカル、あるいはアクリレートとの付加反応(例えば、チオール機能、ビニル機能、ビニルエーテル機能)を示す機能群を有する他のタイプのシリコン、および過フッ化炭化水素が被着防止材料として使われてもよい。
【0021】
本発明の実施例により、被覆材料は色素、あるいは染料で着色できる。着色色素を利用する実施例は、適当な液体の基材、例えば有機バインダレジン、あるいはUV硬化型ポリマ中に分散した色素粒子を有する被覆材料を含んでよい。染料を利用する実施例は、例えば高分子発色団を含む分子からなる重合体着色剤を有する被覆材を含んでよい。これらの材料例の中で、有機染料群はポリマ鎖と化学的に結合してよく、重合染料として参照されてよい。他の実施例において、非重合染料が着色のために使用できる。
【0022】
本発明の実施例により、離型剤付きの光ファイバを選択的に着色するためのいろいろな濃度の混合物、および被覆塗布システムが付属する図を参照して説明される。
【0023】
図1Aは光ファイバコア102、無着色の一次被覆104、および離型剤106付きの着色した二次被覆を有する被覆光ファイバ100Aの断面の例を図解する。実施例により、光ファイバコア102は光導波路からなってよい。他の実施例により、光ファイバコア102はクラッド材により取り囲まれる光導波路からなってよい。本発明の実施例により、離型剤106付きの着色された二次被覆は、光ファイバに着色された二次被覆材を塗布する前にあらかじめ用意された濃縮液をUV硬化型希釈剤と選択的に混合することによりファイバ線引き工程中にオンラインで行なわれてよい。濃縮液は重量で約20%から50%の着色色素、および重量で約20%から40%の離型剤を含んでよい。
【0024】
本発明の実施例により、図1Aに示されるように、着色ファイバが必要とされるときには、重量で約20%から約30%の離型剤入りの着色濃縮液が、重量で約80%から約70%のUV硬化型希釈被覆材料と混合されてよい。しかし、図1Bに示されるように、無着色のファイバが必要とされるときには、濃縮液が省かれ、UV硬化型希釈被覆材だけが光ファイバに塗布されてよい。この場合、得られる光ファイバ100Bは離型剤の入らない無着色二次被覆108で被覆され、外層に離型剤がないので、その後の着色層が光ファイバに接着可能になるため、オフライン工程での光ファイバの着色が可能になる。
【0025】
図1Cは本発明の他の実施例を示していて、被覆光ファイバ100Cは離型剤の入っていない着色二次被覆110を用いて準備される。この実施例においては、必要な離型機能を外層に備えるために、離型剤入りの無着色三次被覆112が離型剤なしの着色二次被覆110を覆ってよい。この実施例は着色層に離型剤が必要ないときに、コストを抑える。しかし、追加のオンライン塗布金型がインライン塗布工程の中に加えられる、あるいは離型剤入りの無着色三次被覆112がオフラインで光ファイバに塗布される必要がある。
【0026】
本発明の他の実施例が図1Dに示され、離型剤入りの着色された濃縮三次被覆114が無着色二次被覆108を有する被覆光ファイバ100Dの外側表面に塗布される。この実施例において、離型剤入りの着色された三次被覆材114が無着色の二次被覆108に接着するように、無着色の二次被覆108はあらかじめ決められた量の離型剤を含んでよい(または、離型剤をまったく含んでなくてもよい)。この実施例はインラインの被覆プロセスのために追加のオンライン塗布器を必要とする場合、あるいは離型剤入りの着色三次被覆材114がオフラインで加えられる必要がある場合がある。
【0027】
図2は光ファイバリボンケーブル200の断面を示し、被覆された光ファイバ201はリボンマトリックス材料202によって取り囲まれている。本発明の実施例により、被覆光ファイバ201はリボンマトリックス202から被覆光ファイバ201の分離を容易にする離型剤入りの着色二次被覆を含んでよい。ファイバ306が分離され、露出された例示的なリボンケーブル300が図3に示されている。実施例により、リボンマトリックス304は被覆された光ファイバ306を露出させるために線302まで剥がされる。被覆された光ファイバ306の外側被覆中に離型剤を用いることで、個々のファイバの端部がマトリックスから分離され、必要に応じて終端できるように光ファイバからリボンマトリックスを剥がすことを容易にする。
【0028】
図4は、本発明の実施例によるインラインの一次、および二次被覆システム400を図示する。システム400は一次被覆システム402、および二次被覆システム404を含んでよい。この実施例において、光ファイバ線引き塔は、一次被覆金型408を用いて無着色の一次被覆材409で被覆される線引きされた光ファイバコア406を製造する。得られた一次被覆付きの線引きされたファイバ410は、次いで二次被覆が一次被覆を取り囲むように一次、および二次被覆付きの線引きされたファイバを製造するために二次被覆金型428に入る。
【0029】
本発明の実施例により、二次被覆金型428は二次被覆システム404の一部であってよい。二次被覆システム404は着色剤、および離型剤の入った濃縮液412を保持、放出させるように作用するコンテナ、あるいは圧力容器を含んでよい。本発明の実施例により、濃縮液用のバルブ416が、例えば、線引き塔制御器から出される濃縮液バルブ制御信号414に応答して開く、あるいは閉じる。二次被覆システムもまた、UV硬化型希釈被覆材418を保持、放出させるように作用するコンテナ、あるいは圧力容器を含んでよい。UV硬化型希釈被覆材418は濃縮液412と相性のよい放射線硬化型材料であってよい。UV硬化型希釈被覆材418は濃縮液412あり、あるいは無しで被覆を選択的に形成するように作用してもよい。希釈被覆材用のバルブ422が、例えば、線引き塔制御器から出される希釈剤バルブ制御信号420に応答して開く、あるいは閉じる。
【0030】
本発明の実施例により、濃縮液計量ポンプ信号415によって制御される濃縮液計量ポンプ417が濃縮液バルブ416に加えて、あるいは置き換えて使われてよい。同様に、本発明の実施例により、希釈液計量ポンプ信号421によって制御される希釈液計量ポンプ423が希釈液バルブ422に加えて、あるいは置き換えて使われてよい。したがって、計量ポンプ417、423を含む実施例において、希釈液418と濃縮液412の二次被覆混合部分426は計量ポンプ417、423、および制御信号415、421によって連続的に制御される。
【0031】
本発明の実施例により、濃縮液バルブ416、および希釈液バルブ422の両方が開かれるとき(あるいはまた、計量ポンプ417、423が希釈液418、および濃縮液412の両方を圧送しているとき)、離型剤入りの着色二次被覆混合物426を作るために、インライン混合器424がUV硬化型希釈被覆材418と濃縮液412とを混合してよい。それから、離型剤入りの着色二次被覆材430で被覆された光ファイバを製造するために、二次被覆金型428によって二次被覆材混合物426が一次被覆された線引きファイバ410に塗布される。しかし、本発明の他の実施例により、無着色のファイバが必要なとき(例えば、濃縮液バルブ416が閉まっている、あるいは濃縮液計量ポンプ417が止まっている)、UV硬化型希釈被覆材418は濃縮液412と混合されることなく、インライン混合器424をそのまま通過してよい。したがって、この場合、UV硬化型希釈被覆材418は二次被覆金型428によって一次被覆付きの線引きファイバ410に塗布されてよく、その結果、離型剤のつかない無着色被覆光ファイバが得られる。したがって、本発明の実施例により、光ファイバの二次被覆の特性は選択的に制御され、バルブ416、422、あるいは計量ポンプ417、423の選択的な操作による線引き工程を中断することなく、線引き中にインラインで製造される。
【0032】
図5は、本発明の実施例によるインラインの一次、二次、および三次の被覆システム500を図示する。システム500の実施例は一次被覆金型408を用いて無着色の一次被覆材409で被覆される線引き光ファイバコア406を含む。その結果得られた一次被覆付きの線引きファイバ410は、次いで二次被覆金型428に入り、UV硬化型無着色被覆材505で覆われて、無着色の二次被覆に取り囲まれた無着色の一次被覆付き線引きファイバ502を製造する。実施例により、インラインの一次、二次、および三次被覆システム500は、無着色の一次、および二次被覆されたファイバ502に三次被覆金型506によって塗布される離型剤504入りの着色三次被覆材を含むコンテナ、あるいは圧力容器を含んでよい。システム500は、二次被覆によって取り囲まれる無着色の一次被覆、着色された三次被覆508によって取り囲まれる二次被覆付きの線引きファイバを製造する。離型剤504入りの着色三次被覆材の塗布を選択的に制御することにより、例示的なシステム500は離型剤入りの三次着色層の塗布を、線引き工程を中断することなく線引き中にインラインでファイバに二次被覆を選択的に塗布することができる。
【0033】
本発明の実施例により、例示的な被覆システム400、500は実質的に液体の被覆材を保護、および光ファイバの識別のための実質的に固体層に変換するために一つ以上のUV硬化炉、あるいはランプ段を含んでよい。
【0034】
光ファイバを選択的に着色するための例示的な方法600が図6を参照して説明される。ブロック602、および本発明の実施例により、光ファイバは一次被覆材で被覆される。ブロック604、および実施例により、二次被覆材が濃縮液をUV硬化型希釈被覆材と選択的に混合することにより準備され、ここで濃縮液はあらかじめ決められた量の着色剤、および離型剤からなる。ブロック606、および本発明の実施例により、二次被覆材が光ファイバ、および一次被覆に塗布される。
【0035】
例示的な方法600は、選択的に着色される、あるいは着色されない二次被覆を有する光ファイバを製造するための方法を好適に提供する。例示的な方法600は、選択された場合には、(無着色のUV硬化型希釈被覆材で希釈された後)被覆されたファイバがリボンマトリックスから剥がせるだけの十分な潤滑用添加剤を有する着色光ファイバを製造するために、あらかじめ決められた量の離型剤、あるいは潤滑用添加剤をUV硬化型希釈被覆材と混合することを可能にする。さらに、実施例により、無着色のファイバが必要であれば、離型剤入りの着色濃縮液の流れが省かれ、着色剤、あるいは離型剤の入らないUV硬化型希釈剤で二次被覆が行なわれる。この例示的な方法の一つの利点は、(着色、および離型剤入りの濃縮液なしで作られる)無着色ファイバがその後、三次被覆層で着色されてよく、着色された三次層は無着色の二次層に密着するということである。この例示的な方法の他の利点は、濃縮された離型剤がUV硬化型希釈剤の中にある必要はないということである。
【0036】
したがって、本発明の実施例は、選択的に着色された光ファイバを提供するあるシステム、および方法を創出する技術的な効果を提供できる。さらに本発明の実施例は、滑らかな表面を有する着色された光ファイバ、あるいはオフラインで着色するために滑らかな表面を有しない無着色のファイバのいずれかを選択的に製造する技術的な効果を提供できる。本発明の実施例において、インラインの一次、および二次被覆システム400、およびインラインの一次、二次、および三次被覆システム500は、操作を容易にするために実行されるいくつかのアプリケーションソフトウエアを含んでもよい。
【0037】
実施例において、一つ以上のI/Oインターフェースがインラインの一次、および二次被覆システム400の間、インラインの一次、二次、および三次被覆システム500の間、および一つ以上の入力/出力装置の間の通信を容易にする。例えば、プログラム可能なロジックコントローラ、ユニバーサルシリアルバスポート、シリアルポート、ディスクドライブ、CD−ROMドライブ、および/あるいはディスプレイ、キーボード、キーパッド、マウス、コントロールパネル、タッチスクリーンディスプレイ、マイクロフォン、その他のような一つ以上のユーザインターフェースデバイスがインライン一次、および二次被覆システム400、あるいはインライン一次、二次、および三次被覆システム500とのユーザの対話を容易にする。一つ以上のI/Oインターフェースがデータ、および/あるいは多種類の入力デバイスからのユーザ指示を受信、あるいは収集するために使われてよい。受信されたデータは、本発明のいろいろな実施例で必要とされるように一つ以上のコンピュータプロセッサで処理、および/あるいは一つ以上の記憶装置に保存される。
【0038】
一つ以上のネットワークインターフェースがインライン一次、および二次被覆システム400、あるいはインライン一次、二次、および三次被覆システム500の入力、および出力と一つ以上の適当なネットワーク、および/あるいは接続との接続;例えば、システムに関連するいくつかのセンサとの通信を容易にする接続を容易にする。さらに、一つ以上のネットワークインターフェースは一つ以上の適当なネットワーク;例えば、外部装置および/あるいはシステムとの通信のためのローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、携帯電話ネットワーク、ラジオ周波数ネットワーク、Bluetooth(商標)が可能なネットワーク、Wi−Fi(商標)が可能なネットワーク、衛星ベースのネットワーク、いずれかの有線ネットワーク、いずれかの無線ネットワークなどとの接続を容易にする。
【0039】
要望に応じて、本発明の実施例は大体図4、および5に描かれる構成要素を有するインライン一次、および二次被覆システム400、およびインライン一次、二次、および三次被覆システム500を含んでよい。
【0040】
本発明は、本発明の実施例によるシステム、方法、装置、および/あるいはコンピュータプログラム製品のブロック、およびフロー図を参照して上に述べられている。ブロック図、およびフロー図の一つ以上のブロック、およびブロック図、およびフロー図のブロックの組合せは、それぞれコンピュータで実行可能なプログラムの命令によって実行可能であることが理解されよう。同様に、本発明のいくつかの実施例により、ブロック図、およびフロー図のいくつかのブロックは必ずしもここに示される順番で実行される必要はなく、あるいはまったく実行されなくてもよい。
【0041】
これらコンピュータで実行可能な命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プロセッサ、あるいは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされ、コンピュータ、プロセッサ、あるいは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行する命令がフロー図のブロックで規定される一つ以上の機能を実行する方法を生成する。これらのコンピュータプログラムの命令は、コンピュータが読めるメモリに保存される命令が製品を製造するためのフロー図のブロックに規定される一つ以上の機能を実行する方法を含む特定の方法で機能するように、コンピュータ、あるいは他のプログラム可能なデータ処理装置を管理するコンピュータが読めるメモリに保存されてもよい。例として、本発明の実施例は、ここに実行されるコンピュータが読めるプログラムコード、あるいはプログラム命令を有するコンピュータで使用可能な媒体からなるコンピュータプログラム製品を備えてもよく、前記コンピュータが読めるプログラムコードは、フロー図のブロックに規定されるひとつ以上の機能を満足するように実行されるべく適合される。コンピュータ、あるいは他のプログラム可能な装置の上で実行される命令が、フロー図のブロックに規定される機能を満足する要素、あるいはステップを備えるようなコンピュータで実行される処理を生成するために、一連の動作要素、あるいはステップがコンピュータ、あるいは他のプログラム可能な装置の上で実行されるように、コンピュータプログラムの命令がコンピュータ、あるいは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされてもよい。
【0042】
したがって、ブロック図、およびフロー図のブロックは規定された機能を実行するための方法の組合せ、規定された機能を実行するための要素、あるいはステップの組合せ、および規定された機能を実行するためのプログラムの命令方法をサポートする。また、ブロック図、およびフロー図のそれぞれのブロック、およびブロック図、およびフロー図のブロックの組合せは、特定の目的、規定された機能、要素、あるいはステップを実行するハードウエアベースのコンピュータシステム、あるいは特定目的のハードウエア、およびコンピュータ命令の組合せによって実行されるということが理解されよう。
【0043】
本発明は、現在もっとも実践的で多彩な実施例であると考えられるものに関連して述べられたが、本発明は開示された実施例に限定されるものではなく、むしろ、付属する請求の範囲内に含まれるいろいろな修正、および同等の構成を包含するものとして意図されていることが理解されるべきである。具体的な用語がここに用いられているが、それらは一般的、かつ説明の意味合いとしてだけで使われ、限定を目的としたものではない。
【0044】
この記述はベストモードを含む発明を開示し、当業者がいずれかの装置、あるいはシステムを作り、使用し、かついずれかの具体化された方法を実行することを含む本発明の実施を可能にする例を用いている。本発明の特許を受けられる範囲が請求の範囲に規定され、当業者がなし得る他の例を含む。そのような他の例は、請求の範囲の言葉本来の意味と異ならない構造的な要素を有する、あるいは請求の範囲の言葉本来の意味とはわずかな違いであって同等の構造的な要素を含むのであれば、請求の範囲内であると意図される。
【符号の説明】
【0045】
100A、100B、100C、100D 被覆光ファイバ
102、406 光ファイバコア
104 無着色一次被覆
106、504 離型剤
108 無着色二次被覆
110 着色二次被覆
112 無着色三次被覆
114 着色(濃縮)三次被覆
200 光ファイバリボンケーブル
201 被覆光ファイバ
202、304 リボンマトリックス
300 リボンケーブル
306 分離、露出されたファイバ
400 インライン一次、および二次被覆システム
402 一次被覆システム
404 二次被覆システム
408 一次被覆金型
409 無着色一次被覆材
410、430 一次(二次)被覆されたファイバ
412 濃縮液
414 濃縮液バルブ制御信号
415 濃縮液計量ポンプ信号
416 濃縮液バルブ
417 濃縮液計量ポンプ
418 UV硬化型希釈被覆材
420 希釈剤バルブ制御信号
421 希釈液計量ポンプ信号
422 希釈被覆材バルブ
423 希釈液計量ポンプ
424 インライン混合器
426 二次被覆混合物
428 二次被覆金型
500 被覆システム
502 無着色一次、二次被覆ファイバ
505 UV硬化型無着色被覆材
506 三次被覆金型
508 着色三次被覆材
600 着色方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次被覆材で光ファイバを被覆し、
予め決められた量の着色剤と離型剤とを含む濃縮液を紫外線(UV)硬化型希釈被覆材と選択的に混合することにより二次被覆材を準備し、
前記二次被覆材を前記光ファイバと前記一次被覆材とに塗布する、ことを特徴とする光ファイバを被覆する方法。
【請求項2】
前記二次被覆材を準備することは、重量で約20%から約40%の量の離型剤を含む前記濃縮液を前記UV硬化型希釈被覆材と混合することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二次被覆材を準備することは、約20%から約30%の前記濃縮液を約80%から約70%の前記UV硬化型希釈被覆材と混合することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二次被覆材を準備することは、約0%から約20%の前記濃縮液を約100%から約80%の前記UV硬化型希釈被覆材と混合することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記二次被覆材を準備することは、前記濃縮液と前記UV硬化型希釈被覆材とをインラインで混合することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記離型剤は、シリコンアクリレート、シリコンオイル、過フッ化炭化水素、過フッ化炭化水素オイル、あるいは過フッ化炭化水素アクリレートの一つ以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
光ファイバに一次被覆材を塗布するよう動作する一次金型システムと、
前記一次被覆の上に二次被覆材を塗布する二次金型システムとを備え、前記二次金型システムが、
予め決められた量の着色剤と離型剤とを含む濃縮液をUV硬化型希釈被覆材と選択的に混合するよう動作する一つ以上のバルブあるいはポンプと、
混合された前記UV硬化型希釈被覆材と前記濃縮液とを混合することにより二次被覆材を準備するよう動作するインライン混合器と、
前記二次被覆材を光ファイバに塗布するよう動作する被覆金型とを含む、ことを特徴とする光ファイバの線引き塔。
【請求項8】
前記濃縮液は重量で約20%から約40%の量の前記離型剤を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の光ファイバの線引き塔。
【請求項9】
一つ以上のバルブが、約0%から30%の前記濃縮液を約100%から約70%の前記UV硬化型希釈被覆材と混合するよう動作する、ことを特徴とする請求項7に記載の光ファイバの線引き塔。
【請求項10】
光ファイバを着色するために有効な、重量で約20%から約50%の着色剤と、
光ファイバに滑らかな外側表面を生成するために有効な、重量で約20%から約40%の離型剤と、
前記着色剤と前記離型剤のベースとして有効な、重量で約20%から約50%のUV硬化型希釈被覆材料とからなる、二次被覆材料と混合されて光ファイバを被覆する放射線硬化型着色濃縮液。

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−126770(P2011−126770A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239232(P2010−239232)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(509094034)オーエフエス ファイテル,エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】