説明

潤滑組成物

【課題】ピストンエンジンの運転の際に消費される燃料の量を低減すること。
【解決手段】(A)潤滑粘性油;
(B)エステル添加剤成分としての、グリセロールと12〜30個の炭素原子及び0〜3個の炭素−炭素二重結合を含むカルボン酸との1又はそれより多くのエステルであって、成分の50質量%未満が、1又はそれより多くのモノエステルであるもの;及び
(C)更なる添加剤成分としての、油溶性モリブデン化合物
を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、例えば、潤滑油組成物、より具体的には、ピストンエンジン、特にはガソリン(スパーク点火)及びディーゼル(圧縮点火)、クランクケース潤滑化における使用に適切な組成物(そのような組成物は、クランクケース潤滑剤と称される);それらのための添加剤濃縮物;及び摩擦変化(friction modification)における添加剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クランクケース潤滑油組成物、又は潤滑剤は、エンジンのクランクシャフト下でのオイルサンプがあり及び循環油が戻されるエンジン内における一般的潤滑化のために使用される油である。いくつかの目的のためにクランクケース潤滑剤中に添加剤を含ませることがよく知られている。
本発明は、クランクケース潤滑化における有機摩擦改良剤の使用に関する。摩擦低減剤としても称される摩擦改良剤は、摩擦係数を低減することにより作動し及び従って、燃料経済を改良する境界添加剤(boundary additive)であり得る。
摩擦改良剤としてのグリセロールモノエステルの使用は、当該技術分野において、例えば、US-A-4,495,088;US-A-4,683,069;EP-A-0 092 946;及びWO-A-01/72933に記載されている。これらの文献の1又はそれより多くは、その商業的に入手可能な形態でグリセロールモノオレエートと称されることが多いものは、ジエステルを含む混合物であること及びグリセロールを脂肪酸でエステル化する際、モノ−、ジ−及びトリエステルであることを示す。また、上記で挙げた文献のいくつかは、混合物中におけるものエステルの割合が高いことを教示し、及びEP-A-0 092 946は、エステル成分中における実質的に全てのモノエステルの使用を教示する。
WO-A-01/72933(上に記載)及びUS-B-6,723,685の各々は、潤滑油組成物中におけるモリブデン化合物との組み合わせでのグリセロールエステル添加剤の使用を記載する。しかしながら、WO-A-01/72933では、エステル添加剤のモノエステル含量が少なくとも75モル%であることが必要とされ、及び比較例において、モリブデン化合物との組み合わせでの68モル%のモノエステルの使用が記載され、及びUS-B-6,723,685には、モノエステル含量が記載されていない。
【0003】
EP-A-0 743 354には、アルキルアミンホスフェート及びオキシモリブデンスルフィドジチオカルバメート、オキシモリブデンスルフィドオルガノホスホロシチオエート(organophosphorosithioate)、脂肪酸エステル及び有機アミドを含む群より選ばれる少なくとも1つの添加剤を含む、改良された摩耗保護を提供する潤滑油が開示されている。EP-A-0 743 354の実施例は、50%モノエステルを含む脂肪酸エステルの使用を含む。WO-A-96/37581には、特定式のジチオカルバミン酸金属塩極圧添加剤を含む潤滑油組成物が開示されており、ここで、金属は、モリブデン又はタングステンであり得、それは、優秀な摩耗抵抗性、極圧潤滑性及び低摩擦係数を示すとされている。潤滑油組成物は、付加的に、脂肪酸エステルを含み得、及び実施例2は、50%モノエステルを含む脂肪酸エステルを使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
潤滑剤の配合者が直面する問題は、ピストンエンジンの運転の際に消費される燃料の量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、驚くべきことに、本願明細書におけるデータにより証明されるように、モノエステルの割合が制御されたグリセロールエステル添加剤をモリブデン化合物との組み合わせで用いることにより、高温での摩擦変化における改良がなされる。
【0006】
従って、第1態様においては、本発明は、
(A)潤滑粘性油;
(B)エステル添加剤成分としての、グリセロールと12〜30個の炭素原子及び0〜3個の炭素−炭素二重結合を含むカルボン酸との1又はそれより多くのエステルであって、成分の50質量%未満が、1又はそれより多くのモノエステルであるもの;及び
(C)更なる添加剤成分としての、油溶性モリブデン化合物
を含む組成物を提供する。
第2態様においては、本発明は、
高温での内燃エンジンの摩擦変化を改良する方法であって、エンジンを運転すること、及びエンジンを本発明の第1態様による組成物で潤滑化することを含む方法を提供する。
第3態様においては、本発明は、内燃エンジンの潤滑化における潤滑油組成物の高温摩擦変化特性を強化するための、本発明の第1態様で定義するような、添加剤(C)との組み合わせでの添加剤(B)の使用を提供する。
【0007】
第4態様においては、本発明は、
(A)潤滑粘性油;
(B)エステル添加剤成分としての、グリセロールと12〜30個の炭素原子及び0〜3個の炭素−炭素二重結合を含むカルボン酸との1又はそれより多くのエステルであって、成分の55質量%未満が、1又はそれより多くのモノエステルであるもの;及び
(C)更なる添加剤成分としての、油溶性三核モリブデン化合物
を含む組成物を提供する。
第5態様においては、本発明は、
高温での内燃エンジンの摩擦変化を改良する方法であって、エンジンを運転すること、及びエンジンを本発明の第4態様による組成物で潤滑化することを含む方法を提供する。
第6態様においては、本発明は、内燃エンジンの潤滑化における潤滑油組成物の高温摩擦変化特性を強化するための、本発明の第4態様において定義したような、添加剤(C)との組み合わせでの添加剤(B)の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願明細書において、以下の用語及び表現は、以下に記載する意味を有する:
“活性成分”又は“(a.i.)”は、希釈剤又は溶剤でない添加剤材料を意味する;
“含む”又は同族用語は、記載の特徴、工程、整数又は成分の存在を意味するが、1又はそれより多くの他の特徴、工程、整数、成分又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。表現“からなる”又は“本質的にからなる”又は同族語は、“含む”又は同族語に包含され得、ここで、“本質的にからなる”は、それが適用される組成物の特徴に実質的に影響を与えない物質の包含を許容する;
“多量”は、組成物の50質量%を越えることを意味する;
“少量”は、組成物の50質量%未満を意味する。
また、使用される種々の成分は、本質的に及び最適に及び慣例的に、配合、貯蔵又は使用の条件下で反応し得ること、及び本発明が、また、そのような反応の結果として得られうる又は得られる生成物を提供することが理解されるであろう。
更に、本願明細書に記載する上限及び下限量、範囲及び比の制限は、独立して、組み合わせられ得ることが理解されるべきである。
別に記載のない限り、本発明の各々の及び全ての態様に関連する本発明の特徴を、以下により詳細に記載する。
【0009】
添加剤成分(B)
カルボン酸は、好ましくは、飽和又は不飽和のC16-18脂肪酸、例えばオレイン酸である。
好ましくは、本発明の第1態様に関連し、成分は、下限として1、5又は10質量%及び上限として30、40又は45質量%の1又はそれより多くのモノエステルを含み、その条件及び下限は、独立して、組み合わせられ得る。好ましくは、本発明の第4態様に関連して、成分は、下限として1、5又は10質量%、及び上限として30、40、45又は50質量%の1又はそれより多くのモノエステルを含み、その上限及び下限は、独立して、組み合わせられ得る。
本発明の第1態様又は本発明の第4態様のいずれか1つの実施態様において、成分は、部分エステルのみからなり、即ち、モノ及びジエステルからなり;この実施態様は、40質量%未満、例えば5〜40質量%未満の1又はそれより多くのモノエステル、即ち、60質量%又はそれより多く、例えば60〜95質量%の1又はそれより多くのジエステルを含む。
1又はそれより多くのトリエステルが成分中に存在する第1又は第4実施態様のいずれかにおいては、それらは、成分の60質量%又はそれより多く、例えば60〜95質量%を構成する。
別の実施態様においては、モノエステルは、成分が、全体的にジエステルからなるか又は全体的にトリエステルからなるか又は全体的にそれらの混合物からなる場合、成分に不在であり得る。
エステルは、例えば、上記WO-A-01/72933に記載されているように、ボレート化され得る。
【0010】
潤滑粘性油(A)
潤滑粘性油(“ベースストック”又は“ベースオイル”と称されることがある)は、潤滑剤の主要液体構成成分であり、その中に、添加剤及び場合により他のオイルがブレンドされて、例えば、最終潤滑剤(又は潤滑油組成物)が生成される。
ベースオイルは、濃縮物を製造するために及びそれらから潤滑油組成物を製造するために有用であり、及び天然(植物、動物又は鉱物)及び合成潤滑油及びそれらの混合物から選択され得る。それは、粘性において、軽質留出物鉱油から重質潤滑油の範囲、例えばガスエンジンオイル、鉱物潤滑油、自動車オイル及びヘビーデューティディーゼルオイルであり得る。一般に、オイルの粘度は、100℃で2〜30mm2-1、特には5〜20mm2-1の範囲にある。
天然オイルは、動物及び植物油(例えばヒマシ油又はラード油)液体石油及びパラフィン系、ナフテン系及び混合パラフィン−ナフテン系の水素化精製された、溶剤処理された鉱物潤滑油を含む。石炭又は頁岩より誘導される潤滑粘性油が、また、有用なベースオイルである。
合成潤滑油は、炭化水素油、例えば重合された又は共重合されたオレフィン(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン));アルキルベンゼン(例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェノール(例えばビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェノール);及びアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド及びその誘導体;それらの類似物及び同族体を含む。
別の適切なクラスの合成潤滑油は、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。これらのエステルの具体例は、ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、及び1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させることにより形成される複合体エステルを含む。
【0011】
合成油として有用なエステルは、また、C5-12モノカルボン酸及びポリオール、及びポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールから製造されるものを含む。
未精製、精製及び再精製油を本発明の潤滑油に使用することができる。未精製油は、更なる精製処理なしに天然又は合成源から直接得られるものである。例えば、レトルト操作により直接得られるシェール油、蒸留により直接得られる石油又はエステル化方法により直接得られ、及び更なる処理なしに使用されるエステルオイルは、未精製油であろう。精製油は、それらが、更に、1又はそれより多くの精製工程において処理されて、1又はそれより多くの特性が改良されている以外は未精製油と同様である。多くのそのような精製技術、例えば、蒸留、溶剤抽出、酸又は塩基抽出、ろ過及びパーコレーションが、当該技術分野における当業者に知られている。再精製油は、既に使用された精製油に適用される精製油を得るために使用されるものと同様の処理により得られる。そのような再精製油は、また、再生油又は再処理油として知られ、及び使用済み添加剤及びオイルブレークダウン製品(oil breakdown product)の承認のための技術により追加的処理がなされることが多い。
【0012】
ベースオイルの他の例は、ガス−液体(gas-to-liquid)(GTL)ベースオイルであり、即ち、ベースオイルは、フィッシャー・トロプシュ触媒を用いてH2及びCOを含む合成ガスから製造されるフィッシャー・トロプシュ合成炭化水素から誘導されるオイルであってもよい。これらの炭化水素は、典型的に、ベースオイルとして有用であるための更なる処理を必要とする。例えば、それらは、当該技術分野において知られる方法により、水素異性化(hydroisomerize)され;水素化分解され及び水素異性化され;脱ろうされ;又は水素異性化され及び脱ろうされ得る。
ベースオイルは、API EOLCS 1509の定義に従ってグループI〜Vに分類され得る。
オイルは、組成物が、例えば、上記成分(B)及び(C)である添加剤、又は成分(B)及び(C)及び1又はそれより多くの共添加剤の組み合わせの1〜90質量%活性成分、例えば10〜80質量%活性成分、好ましくは20〜80質量%活性成分、より好ましくは20〜70質量%活性成分を含む濃縮物形態にあるように、濃縮物形成量(例えば30〜70質量%、例えば40〜60質量%)で存在し得る。
濃縮物中において使用される潤滑粘性油は、適切な油性の、典型的には炭化水素、キャリヤ流体、例えば鉱物潤滑油、又は他の適切な溶剤である。例えば本願明細書において記載される潤滑粘性油、及び脂肪族、ナフテン系及び芳香族炭化水素が、濃縮物のための適切なキャリヤ流体の例である。
【0013】
濃縮物は、それらの使用前に添加剤を取り扱う、及び潤滑油組成物中における添加剤の溶解又は分散を促進する有利な手段の構成要素となる。1つより多くのタイプの添加剤(“添加剤成分”と称されることがある)を含む潤滑油組成物を製造する際、各添加剤は、別々に−各々、濃縮物形態で導入され得る。しかしながら、多くの場合、単一濃縮物中に2又はそれより多くの添加剤を含む、いわゆる添加剤“パッケージ”(“アドパック”とも称される)を提供することが有利である。
潤滑粘性油は、少量の成分(B)及び成分(C)、及び必要なら、少量の、潤滑油組成物を構成する、例えば後述される1又はそれより多くの共添加剤との組み合わせで、多量に提供され得る。この製造は、添加剤を直接オイルに添加することにより、又はそれをそれらの濃縮物形態で添加して、添加剤を分散又は溶解させることにより達成され得る。添加剤は、当該技術分野における当業者に知られる方法により、他の添加剤の添加の前、それと同時又はそれより後に添加することができる。
【0014】
添加剤成分(C)
本発明の第1態様に関して、潤滑油組成物中において摩擦変化及び/又は耐摩耗特性を有する適切な油溶性有機モリブデン化合物を使用することができる。そのような油溶性有機モリブデン化合物の例としては、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィドなど、及びそれらの混合物が記載され得る。特に好ましいものは、モリブデンのジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート及びアルキルチオキサンテートである。
モリブデン化合物は、一核、二核、三核又は四核であってもよい。二核及び三核モリブデン化合物が好ましい。
また、モリブデン化合物は、酸性モリブデン化合物であってもよい。これらの化合物は、ASTM試験D−664又はD−2896滴定手順により測定されるように塩基性窒素化合物と反応するであろうし、及び典型的には六価である。
モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及び他のアルカリ金属のモリブデン酸塩及び他のモリブデン塩、例えばモリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl4、MoO2Br2、Mo23Cl6、三酸化モリブデン又は同様の酸性モリブデン化合物が包含される。あるいはまた、本発明の組成物は、例えば、米国特許第4,263,152号、第4,285,822号、第4,283,295号、第4,272,387号、第4,265,773号、第4,261,843号、第4,259,195号及び第4,259,194号及びWO 94/06897に記載されているような塩基性窒素化合物のモリブデン/硫黄複合体によるモリブデンで提供され得る。
【0015】
本発明の組成物において有用なモリブデン化合物としては、式Mo(ROCS24及びMO(RSCS24(式中、Rは、一般に、炭素原子数が1〜30、及び好ましくは2〜12のアルキル、アリール、アラルキル及びアルコキシアルキルからなる群より選ばれる有機基であり、及び最も好ましくは炭素原子数2〜12のアルキルである)の有機モリブデン化合物がある。特に好ましいものは、モリブデンのジアルキルジチオカルバメートである。
本発明の第4態様に関し、潤滑油組成物中における摩擦変化及び/又は耐摩耗特性を有する適切な三核油溶性有機モリブデン化合物を使用してもよい。そのような油溶性有機モリブデン化合物の例としては、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィドなど、及びそれらの混合物が記載され得る。特に好ましいものは、モリブデンのジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート及びアルキルチオキサンテートである。
本発明の第4態様の三核モリブデン化合物は、四核モリブデン化合物を含み得る。好ましくは、三核モリブデン化合物は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%及びより好ましくは実質的に100%の三核モリブデン化合物を含む。
【0016】
本発明の全ての態様において有用なあるクラスの好ましい有機モリブデン化合物は、式Mo3knz(式中、Lは、化合物をオイル中に溶解性又は分散性にするのに十分な数の炭素原子を有する有機基を有する独立に選択されるリガンドであり、nは1〜4であり、kは4〜7であり、Qは中性電子供与化合物、例えば水、アミン、アルコール、ホスフィン及びエーテルの群より選ばれ、及びzは0〜5であり、及び非化学量論値を含む)の三核モリブデン化合物及びそれらの混合物である。少なくとも21個の全炭素原子、例えば少なくとも25個、少なくとも30個、又は少なくとも35個の炭素原子が、全てのリガンドの有機基に存在すべきである。
本願明細書において使用する用語“油溶性”又は“分散性”又は同族語は、必ずしも、化合物又は添加剤が、全ての割合でオイル中に溶解性、可溶性、混和性又は懸濁可能であることを示す訳ではない。しかしながら、これらは、それらが、例えば、オイルが使用される環境においてそれらの意図される効果を発揮するのに十分な程度でオイル中に溶解性又は安定分散性であることを意味する。更に、他の添加剤の付加的導入は、また、所望なら、特定の添加剤の高レベルでの導入の可能にし得る。
潤滑油組成物を使用して、機械的エンジン部品の潤滑化を、特には内燃エンジン、例えばスパーク点火、圧縮点火2又は4ストロークピストンエンジンにおいて、組成物をそれらに導入することによりすることができる。
【0017】
潤滑油組成物及び濃縮物は、油性キャリヤとの混合前及び後に化学的に同一物を残し得る又は残し得ない定義される成分を含む。本発明は、混合前、又は混合後、又は混合前及び後の両方に定義される成分を含む組成物及び濃縮物を包含する。
濃縮物を使用して潤滑油組成物を製造する際、それらは、例えば、濃縮物の部あたりで3〜100質量部、例えば5〜40質量部の潤滑粘性油で希釈され得る。
本発明の潤滑油組成物中において、有機摩擦改良剤としての代表的有効量の添加剤成分(B)は、0.05〜5質量%、例えば0.05質量%から0.3質量%まで又は0.6質量%まで又は1.5質量%までである。
本発明の潤滑油組成物は、モリブデン化合物(C)を、組成物に少なくとも10ppm、例えば50〜2000ppmのモリブデンを提供する量で含んでいてもよい。好ましくは、モリブデン化合物からのモリブデンは、潤滑油組成物の全質量をベースとして、10〜1500ppm、例えば20〜1000ppm、より好ましくは30〜750ppmの量で存在する。いくつかの適用のためには、モリブデンは、500ppmより多い量で存在する。
潤滑油組成物中における代表的有効量での他の共添加剤を以下に記載する。記載の全ての値は、質量%活性成分として記載する。
【0018】

(1)粘度改良剤は、マルチグレードオイルにおいてのみ使用される。
典型的に、添加剤の各々をベースオイルにブレンドすることにより製造された最終潤滑油組成物は、5〜25質量%、好ましくは5〜18質量%、典型的には7〜15質量%の濃縮物を含み得、残部が潤滑粘性油である。
【0019】
共添加剤
上記共添加剤を更に以下において論じる:当該技術分野において知られているように、いくつかの添加剤は、複数の効果を提供し得−例えば、単一添加剤が、分散剤として及び酸化抑制剤として作用し得る。
分散剤は、主な機能が、固体及び液体混成をサスペンションで保持し、それによりそれらを不動体化し、及びスラッジ堆積物を低減すると同時にエンジン堆積物を低減することである添加剤である。従って、例えば、分散剤は、潤滑剤の使用の間の酸化により生じる油不溶性物質を懸濁状態に保持し、従って、エンジン金属部におけるスラッジ凝集及び沈降又は堆積を防止する。
分散剤は、通常、上述したように“無灰”であり、金属含有、及び従って灰形成材料とは対照的に、燃焼の際に実質的に灰を形成しない非金属性有機材料である。それらは、極性ヘッドを有する長鎖炭化水素を含み、極性は、例えばO、P又はN原子の包含により誘導される。炭化水素は、例えば炭素原子数40〜500の、油溶解性を与える親油性基である。従って、無灰分散剤は、油溶性高分子主鎖を含む。
好ましいクラスのオレフィンポリマーは、ポリブテン、特にはポリイソブテン(PIB)又はポリ−n−ブテンであり、例えばC4精製ストリームの重合により製造され得る。
【0020】
分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換カルボン酸の誘導体を含み、例は、高分子ヒドロカルビル置換コハク酸の誘導体である。分散剤の注目すべき群は、例えば、上記酸(又は誘導体)と窒素含有化合物、有利にはポリアルキレンポリアミン、例えばポリエチレンポリアミンとを反応させることにより製造される炭化水素置換スクシンイミドである。特に好ましいものは、US-A-3,202,678;-3,154,560;-3,172,892;-3,024,195;-3,024,237;-3,219,666;及び-3,216,936;及びBE-A-66,875に記載されているようなポリアルキレンポリアミンとアルケニルコハク酸無水物との反応生成物であり、それらは、後処理されて、それらの特性が改良されてもよく、例えばボレート化(US-A-3,087,936及び-3,254,025に記載されているように)、フッ素化及びオキシレート化される。例えば、ボレート化は、アシル窒素含有分散剤を、酸化ホウ素、ホウ素ハロゲン化物、ホウ素酸及びホウ素酸エステルより選ばれるホウ素化合物で処理することにより達成され得る。
清浄剤は、エンジン内のピストン堆積物、例えば高温ワニス及びラッカー堆積物の形成を低減する添加剤であり;それは、通常、酸中和特性を有し、及び微細固形物を懸濁状態で保持することが可能である。大抵の清浄剤は、酸性有機化合物の金属塩である金属“石鹸”をベースとする。
【0021】
清浄剤は、一般に、長鎖疎水性尾を有する極性ヘッドを含み、極性ヘッドは、酸性有機化合物の金属塩を含む。その塩は、実質的に化学量論量の金属を含み得、そのケースにおいては、それらは、通常、正塩又は中性塩として記載され、及び典型的には、0〜80の全塩基価又はTBN(ASTM D2896により測定され得るような)を有するであろう。多量の金属塩基は、過剰な金属化合物、例えば酸化物又は水酸化物を酸性ガス、例えば二酸化炭素と反応させることにより含ませることができる。得られる過塩基化清浄剤は、中和清浄剤を、金属塩基(例えばカーボネート)ミセルの外層として含む。そのような過塩基化清浄剤は、150又はそれより高く、及び典型的には250〜500又はそれより高いTBNを有し得る。
使用することができる清浄剤は、金属、特にはアルカリ又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムの、油溶性の中性及び過塩基化スルホネート、フェナート、硫化フェナート、チオホスホネート、サリチレート、及びナフテネート及び他の油溶性カルボキシレートを含む。最も通常使用される金属は、カルシウム及びマグネシウムであり、それは、潤滑剤中に使用される清浄剤、及びナトリウムとカルシウム及び/又はマグネシウムとの混合物中の双方に存在し得る。特に有利な金属清浄剤は、50〜450のTBNを有する中性及び過塩基化カルシウムスルホネート及び硫化フェナートである。
【0022】
酸化防止剤は、酸化抑制剤と称されることがあり;それらは、組成物の酸化に対する抵抗性を上昇させ及びペルオキシドと組み合せて及びそれを変性させて無毒とすることにより、ペルオキシドを分解することにより、又は酸化触媒を不活性化することにより機能し得る。酸化的劣化は、潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニス様堆積物により、及び粘度上昇により拡大され得る。
それらは、ラジカル・スカベンジャー(例えば立体障害フェノール、第2級芳香族アミン及び有機銅塩);ヒドロペルオキシド分解剤(例えば有機硫黄及び有機リン添加剤);及び多機能剤(例えば耐摩耗添加剤としても機能し得るジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛、及び摩擦改良剤及び耐摩耗添加剤としても機能し得る有機モリブデン化合物)として分類され得る。
適切な酸化防止剤の例は、銅含有酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、芳香族アミン含有酸化防止剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、ジチオホスフェート誘導体、金属チオカルバメート、及びモリブデン含有化合物より選ばれる。
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、耐摩耗及び酸化防止剤として使用されることが多い。その金属は、アルカリ又はアルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、ニッケル又は銅であってもよい。亜鉛塩は、潤滑油組成物の全質量をベースとして0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%の量で潤滑油中において最も通常使用される。それらは既知の技術に従って、最初に、通常、1又はそれより多くのアルコール又はフェノールをP25と反応させることによりジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、次いで形成されたDDPAを亜鉛化合物で中和することにより製造される。例えば、ジチオリン酸は、第1級及び第2級アルコールの混合物を反応させることにより製造することができる。あるいはまた、一方のヒドロカルビル基が完全に性質上第2級であり、他方のヒドロカルビル基が完全に性質上第1級である複数のジチオリン酸を製造することができる。亜鉛塩を製造するために、塩基性又は中性亜鉛化合物を使用することができるが、オキシド、ヒドロキシド及びカーボネートが最も一般的に使用される。商業的添加剤は、中和反応における過剰の塩基性亜鉛化合物の使用のために、過剰の亜鉛を含むことが多い。
【0023】
耐摩耗剤は、摩擦及び過剰摩耗を低減し、及び通常、例えば包含される表面上にポリスルフィドフィルムを堆積することが可能である、硫黄又はリン又はその両方を含有する化合物をベースとする。注目すべきものは、ジヒドロカルビルジチオリン酸塩、例えば本願明細書において酸化防止剤として議論されるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)である。
無灰の耐摩耗剤の例は、1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、硫化脂肪酸エステル、及びジチオカルバメート誘導体を含む。
さび及び腐食抑制剤は、さび及び/又は腐食から表面を保護するように機能する。
さび抑制剤としては、非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール及びそれらのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール、及びアニオン性アルキルスルホン酸が挙げられる。
潤滑油流動性改良剤としても知られる流動点降下剤は、流体が流れる又は注入可能である最低温度を低下させる。そのような添加剤は、よく知られている。流体の低温流動性を改良する添加剤の典型例は、C8-18ジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー及びポリアルキルメタクリレートである。
ポリシロキサンタイプの添加剤、例えばシリコーンオイル又はポリジメチルシロキサンは、泡制御を提供し得る。
【0024】
少量の解乳化成分を使用してもよい。好ましい解乳化成分は、EP-A-330,522に記載されている。それは、ビスエポキシドを多価アルコールと反応させることにより得られる付加物とアルキレンオキシドを反応させることにより得られる。解乳化剤は、0.1質量%活性成分を越えないレベルで使用されるべきである。0.001〜0.05質量%活性成分の処理割合が有利である。
粘度改良剤(又は粘度指数改良剤)は、高及び低温作業性を潤滑油に付与する。分散剤としても機能する粘度改良剤が、また知られており、及び無灰分散剤について上述したように製造することができる。一般に、これらの分散剤粘度改良剤は、その後、例えばアルコール又はアミンで誘導体化される官能化ポリマー(例えば、活性モノマー、例えばマレイン酸無水物で後グラフト化(post graft)されたエチレン−プロピレンの共重合体(interpolymer))である。
潤滑剤は、従来の粘度改良剤を伴って又は伴わずに、及び分散剤粘度改良剤を伴って又は伴わずに配合することができる。粘度改良剤としての使用に適切な化合物は、一般に、ポリエステルを含む高分子量炭化水素ポリマーである。油溶性粘度改良ポリマーは、一般に、10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜500,000の質量平均分子量を有し、それは、ゲル透過クロマトグラフィーにより又は光散乱により測定され得る。
【実施例】
【0025】
本発明を、特に、以下の非制限的実施例において記載する。
実施例1
種々の割合のモノエステル(グリセロールモノオレエート)及びジエステル(グリセロールジオレエート)からなる4つの添加剤成分を製造した。モノ及びジエステルの割合(質量%)を、各添加剤成分について以下の表1に記載する。
表1

成分1及び2は、本発明の例における使用のためのものであり、及び成分A及びBは、比較目的のためのものである。
各成分を当該技術分野において知られる方法により潤滑油組成物にブレンドして、活性成分としての成分0.3質量%、モリブデン200ppmを提供するモリブデン添加剤、及び同一の習慣的量(identical customary amount)の無灰分散剤、金属清浄剤、酸化防止剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛及び消泡剤を含む、十分に配合されたオイル組成物を提供した。
【0026】
高周波往復リグ(HFRR)を使用して、オイル1、2、A及びBの摩擦係数特性を評価した。機器はAUTOHRFと称され、及びPCS Instrumentsにより製造されている。試験プロトコールは以下の表2に示す。段階的ランプ温度プロフィールが生じ、それによって、各300秒で、温度が20℃のステップ上昇し、及び次の連続的20℃ランプまで300秒間一定に保持した。
表2−HFRRプロトコール

【0027】
結果を、温度の関数としての平均摩擦係数として表し、及び以下の表3に概要し、ここで、試験した組成物は、それらが含む添加剤成分に従って1、2、A及びBと称される。






表3 組成物

表3は、低温で、参照例A及びBが、一般に、実施例1及び2より優れており、それらが、低い摩擦係数を示す。高温、80〜100℃の間で、それらは匹敵するようになる。温度が更に上昇し、120〜140℃の間では、実施例1及び2の結果が、一般に、参照例A及びBの結果より優れる。
【0028】
実施例2
種々の割合のモノエステル(グリセロールモノオレエート)及びジエステル(グリセロールジオレエート)からなる6つの添加剤成分を製造した。モノ及びジエステルの割合(質量%)は、各点化剤成分について以下の表4に記載する。
表4

各成分を、当該技術分野において知られる方法により潤滑油組成物にブレンドして、活性成分としての成分0.3質量%、200ppmのモリブデンを提供するモリブデン添加剤、及び同一の習慣的量の無灰分散剤、金属清浄剤、酸化防止剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛及び消泡剤を含む、十分に配合されたオイル組成物を提供した。
実施例1で使用した高周波往復リグ(HFRR)を使用して、オイル3、4、5、6、7及びCの摩擦係数特性を評価した。実施例1とは異なる試験プロトコールを使用し、及び以下の表5に記載する。実施例2において、段階的ランプ温度プロフィールが生じ、それにより、各600秒で、音頭が20℃のステップ上昇し、次の連続的20℃ランプまで600秒間一定に保持した。
【0029】
表5−HFRRプロトコール

結果は、温度の関数としての平均摩擦係数として表し、及び以下の表6に概要し、ここで、試験した組成物は、それらが含む添加剤成分に従って、3、4、5、6、7及びCと称する。各値は、2回の繰り返し試験の平均である。




表6

表6は、低温で、モノエステルの割合が上昇すると、摩擦係数が低減することを示す。一方、高温、80〜100℃の付近で、組成物3〜7は、組成物Cに匹敵するようになる。温度が更に上昇し、120〜140℃の間では、組成物3〜7の結果は、参照組成物Cのものより優れている。
【0030】
実施例3
53質量%のモノエステル及び47質量%のジエステルを含む添加剤成分8を製造した。成分8を、当該技術分野において知られる方法により、潤滑油組成物にブレンドして、組成物8及び参照組成物Dを提供した。組成物8及びDの各々には、活性成分としての成分8を0.3質量%、及び同一の習慣的量の無灰分散剤、金属清浄剤、酸化防止剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛及び消泡剤を含ませた。組成物8及び組成物Dの異なる点は、組成物8が、200質量ppmのモリブデンを提供する三核モリブデンを含み、及び組成物Dが、200質量ppmのモリブデンを提供する二核モリブデンを含む点である。
実施例1で使用した高周波往復リグ(HFRR)を使用して、オイル8及びDの摩擦係数特性を評価した。使用した試験プロトコールは、実施例2において使用したものと同一であり、上記表5に記載されている。
結果は、温度の関数としての平均摩擦係数として表し、及び以下の表7に概要する。各値は、2回の繰り返し試験の平均である。
表7 組成物

表7から、同等モリブデン含量で、三核モリブデン源の使用により、二核モリブデン源を含む同等組成物に比し、有意に摩擦係数が低減されることが分かる。
【0031】
実施例4
種々の割合のモノエステル(グリセロールモノオレエート)、ジエステル(グリセロールジオレエート)及びトリエステル(グリセロールトリオレエート)からなる2つの添加剤成分を製造した。モノ、ジエステル及びトリエステルの割合(質量%)を、各添加剤成分について以下の表8に記載する。





表8

各成分を、当該技術分野において知られる方法により、潤滑油組成物中にブレンドして、活性成分としての成分0.3質量%、及び200質量ppmのモリブデンを提供するモリブデン添加剤、及び同一の習慣的量の無灰分散剤、金属清浄剤、酸化防止剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛及び消泡剤を含む、十分に配合されたオイル組成物を提供した。
実施例1の高周波往復リグ(HFRR)を使用して、オイル9及び10の摩擦係数特性を評価した。試験プロトコールは、実施例2及び3で使用したものと同一であり、上記表5に記載されている。
【0032】
結果は、温度の関数としての平均摩擦係数として表し、及び以下の表9に概要し、ここで、試験した組成物は、それらが含む添加剤成分に従って9及び10として称される。
表9 組成物

表9は、高温で、より高い割合のトリエステルを含む組成物が、一般に、より低い割合のトリエステルを含む組成物より優れていることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)潤滑粘性油;
(B)エステル添加剤成分としての、グリセロールと12〜30個の炭素原子及び0〜3個の炭素−炭素二重結合を含むカルボン酸との1又はそれより多くのエステルであって、成分の50質量%未満が、1又はそれより多くのモノエステルであるもの;及び
(C)更なる添加剤成分としての、油溶性モリブデン化合物
を含む組成物。
【請求項2】
エステル添加剤成分の45%又はそれ未満、好ましくは40質量%又はそれ未満、例えば30質量%又はそれ未満が、1又はそれより多くのモノエステルである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カルボン酸が、飽和又は不飽和のC16-18脂肪酸、例えばオレイン酸である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
油溶性モリブデン化合物が、三核モリブデン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
更に、無灰分散剤、金属清浄剤、腐食抑制剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩、酸化防止剤、流動点降下剤、付加的摩擦改良剤、消泡剤及び粘度改良剤より選ばれる、(B)及び(C)とは異なる、1又はそれより多くの共添加剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
(A)潤滑粘性油;
(B)エステル添加剤成分としての、グリセロールと12〜30個の炭素原子及び0〜3個の炭素−炭素二重結合を含むカルボン酸との1又はそれより多くのエステルであって、成分の50質量%未満が、1又はそれより多くのモノエステルであるもの;及び
(C)更なる添加剤成分としての、油溶性モリブデン化合物
を含む潤滑油濃縮物。
【請求項7】
潤滑粘性油が、30〜70質量%の量で存在する請求項6に記載の濃縮物。
【請求項8】
90℃を越える作業温度で内燃エンジンの摩擦変化を改良する方法であって、エンジンを運転すること、及びエンジンを請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物で潤滑化することを含む方法。
【請求項9】
90℃を越える作業温度での内燃エンジンの潤滑化において潤滑油組成物の摩擦変化特性を強化するための、請求項1〜4のいずれか1項に定義するような添加剤(C)との組み合わせでの添加剤(B)の使用。
【請求項10】
(A)潤滑粘性油;
(B)エステル添加剤成分としての、グリセロールと12〜30個の炭素原子及び0〜3個の炭素−炭素二重結合を含むカルボン酸との1又はそれより多くのエステルであって、成分の55質量%未満が、1又はそれより多くのモノエステルであるもの;及び
(C)更なる添加剤成分としての、油溶性三核モリブデン化合物
を含む組成物。
【請求項11】
エステル添加剤成分の50質量%又はそれ未満、好ましくは45質量%又はそれ未満、例えば40質量%又はそれ未満又は30質量%又はそれ未満が、1又はそれより多くのモノエステルである請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
カルボン酸が、飽和又は不飽和のC16-18脂肪酸、例えばオレイン酸である請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
潤滑粘性油が、濃縮物形成量で存在する請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
濃縮物形成量が、30〜70質量%である請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
更に、無灰分散剤、金属清浄剤、腐食抑制剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩、酸化防止剤、流動点降下剤、付加的摩擦改良剤、消泡剤及び粘度改良剤より選ばれる、(B)及び(C)とは異なる、1又はそれより多くの共添加剤を含む請求項10〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
高温で内燃エンジンの摩擦変化を改良する方法であって、エンジンを運転すること、及びエンジンを請求項10、11、12及び15のいずれか1項に記載の組成物で潤滑化することを含む方法。
【請求項17】
高温が、90℃を越える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
内燃エンジンの潤滑化において潤滑油組成物の高温摩擦変化特性を強化するための、請求項10又は12に記載の添加剤(C)との組み合わせでの添加剤(B)の使用。

【公開番号】特開2007−146090(P2007−146090A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−347002(P2005−347002)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】