説明

濾過装置及びこれを用いた樹脂組成物の製造方法

【課題】フィルタを通過したゲル状物質の再凝集を十分に抑制でき、優れた外観の成形体を製造するのに有用な濾過装置を提供する。
【解決手段】濾過装置1Aは、金属焼結フィルタが巻かれた円筒体20を収容するとともに、溶融体の供給路10a及び排出路10bを有するハウジング10と、円筒体20をハウジング10内に装着するためのシャフト30と、ハウジング10内においてシャフト30をその長手方向に延びる軸周りに回転又は揺動させるシャフト駆動機構40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物、特に、ポリオレフィン系樹脂組成物の溶融体を濾過する濾過装置に関する。また本発明は、当該濾過装置を用いた樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂組成物は、機械的強度やヒートシール性能、耐薬品性、食品衛生性などの様々な性能に優れるため、ポリマーフィルムの原料等として、広く普及している。近年、ポリオレフィン系樹脂組成物は、より高価な内容物の包装用途や高価な工業製品の部材にも使用され始めており、品質に対する要求が従前より厳しくなっている。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂組成物にゲル状のポリマー炭化物やゴミなどの異物が含まれていると、ポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム状に成形した際に、表面に円形の欠陥(魚の目の形状に似ていることから、「フィッシュアイ」と称される。)が発生し、外観悪化の原因となる。
【0004】
ポリオレフィン系樹脂組成物から異物を除去する方法として、金属メッシュ、金属繊維焼結体、金属粉末焼結体などの金属焼結フィルタで該組成物を濾過する方法が知られている。例えば、特許文献1,2には、円筒状のブレーカープレートとその外周を覆うフィルタとからなる円筒形状の濾過体を備えた濾過装置を用いて可塑性材料を濾過する方法が記載されている。また、特許文献3,4には、円筒形状や円板状の濾過体を回転させる機構を有する濾過装置が記載されている。
【0005】
一方、ポリオレフィン系樹脂組成物は、製品の多様化に伴って、種々の物性及び加工性を高水準に達成することの要求が高まっている。かかる要求に応えるべく、複数のポリオレフィン成分を含有するポリオレフィン系樹脂組成物などが検討されている。この様なポリオレフィン系樹脂組成物では、各構成成分の分散不良に起因するフィッシュアイが発生しやすい傾向があるため、様々な種類のフィルタを用いる手法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−7542号公報
【特許文献2】特開平10−44216号公報
【特許文献3】特開2007−118496号公報
【特許文献4】特開平8−142161号公報
【特許文献5】特表2000−511967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来、濾過精度の高いフィルタを使用した場合であっても、処理後の樹脂組成物から製造されたフィルム等にフィッシュアイが発生することがあった。本発明者は、フィッシュアイの発生原因について検討した結果、当該フィッシュアイがゲル状物質の分散不良に起因する可能性があることを見出した。すなわち、ゲル状物質はフィルタを通過する際に一旦は細かく砕かれるものの、フィルタの通過後に再凝集し、これがフィッシュアイの原因となると推察される。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、フィルタを通過したゲル状物質の再凝集を十分に抑制でき、優れた外観の成形体を製造するのに有用な濾過装置及びこれを用いた樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る濾過装置は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物の溶融体を濾過するためのものであって、外周面から内周面にかけて貫通する複数の開口を有する円筒形状のフィルタ支持部材と、フィルタ支持部材の外周面上に設けられた濾過精度1〜200μmの金属焼結フィルタと、フィルタ支持部材と金属焼結フィルタとが一体化されてなる円筒体を収容するとともに、溶融体の供給路及び排出路を有するハウジングと、ハウジング内においてその長手方向に延びる軸周りに回転自在又は揺動自在に設けられており、円筒体が固定される円筒体保持部を有するとともにハウジングの排出路に連通しており金属焼結フィルタを通過後の溶融体が流れる流路を有するシャフトと、シャフトを軸周りに回転又は揺動させるシャフト駆動機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る濾過装置によれば、上記構成の円筒体が固定されたシャフトを回転又は揺動させながら、濾過処理を行うことができる。シャフトとともに円筒体を回転又は揺動させることにより、金属焼結フィルタを通過後のゲル状物質の再凝集を十分に抑制できる。また、上記濾過装置は、2種以上の熱可塑性樹脂を含有する溶融体を濾過する場合にも好適である。例えば、複数の成分のうち1種がゲル状の塊を形成しやすいものであっても、回転又は揺動している金属焼結フィルタを樹脂組成物が通過することで、当該成分を他の成分中に高度に分散させることができる。
【0011】
シャフトはハウジングに対して着脱自在に取り付けられたものであることが好ましい。この場合、本発明の濾過装置は、円筒体とともにシャフトをその長手方向に移動させ、ハウジングの外に取り出すシャフト取出し機構を更に備えることが好ましい。かかる構成を採用することにより、円筒体の各構成部材の交換や洗浄を容易に実施できるという利点がある。
【0012】
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有する溶融体を調製する溶融工程と、本発明に係る上記濾過装置の円筒体を回転又は揺動させながら溶融体の濾過を行う濾過工程とを備えることを特徴とする。本発明に係る製造方法によれば、円筒体を回転又は揺動させながら濾過を行うことにより、金属焼結フィルタの通過後にゲル状物質が再凝集することを十分に抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルタを通過したゲル状物質の再凝集を十分に抑制でき、優れた外観の成形体を製造するのに有用な濾過装置及びこれを用いた樹脂組成物の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る濾過装置の好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係る濾過装置の他の実施形態を示す模式断面図である。
【図3】本発明に係る濾過装置が有する円筒体の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る濾過装置が有するブレーカープレートの一例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る濾過装置が有する円筒体の他の一例を示す部分断面図である。
【図6】(a)−(c)は円筒体をシャフトに固定するための構成をそれぞれ示す模式断面図である。
【図7】図1に示した濾過装置のVII−VII線断面図である
【図8】シャフトが揺動する範囲を説明するための断面図である。
【図9】本発明に係る濾過装置を備える製造システムの実施形態を示す模式構成図である。
【図10】本発明に係る濾過装置を備える製造システムの他の実施形態を示す模式構成図である。
【図11】(a)は従来のブレーカープレートを示す平面図であり、(b)は従来の円筒体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(濾過装置)
まず、図面を参照しながら、本発明に係る濾過装置の好適な実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る濾過装置の内部の構成を示す模式断面図である。同図に示す濾過装置1Aは、押出機等から供給される樹脂組成物の溶融体を濾過処理するためのものである。濾過装置1Aは、ハウジング10と、ハウジング10内に設置され、溶融体の濾過処理を行う円筒体20と、ハウジング10に対して揺動自在に設けられたシャフト30と、シャフト30を揺動させるシャフト駆動機構40とを備える。
【0016】
ハウジング10は、樹脂組成物の溶融体を円筒体20の外周面側に供給する供給路10a及び円筒体20による濾過処理を経た溶融体を排出する排出路10bを有する。また、ハウジング10は、これを長手方向に貫通する貫通孔10cを有し、この貫通孔10cにシャフト30を装着できるようになっている。なお、シャフト30はハウジング10に対して着脱自在となっており、ハウジング10はシャフト30をその長手方向に移動させるためのガイド12や油圧シリンダ14等からなるシャフト取出し機構を備える。
【0017】
図1に示すように、ハウジング10の貫通孔10cにシャフト30を嵌め込むことによって、両者の内面と外面とが当接する箇所で溶融体がシールされるようになっている。濾過装置1Aは、ハウジング10の端部10dに蓋及びこれを固定するボルト等を設けなくても溶融体が外部に漏洩しないようになっている。シャフト30と貫通孔10cとの嵌め合い(JIS B0401)は、シャフト30(軸)の交差域クラスがf6,f7,g6であり、貫通孔10c(穴)の種類がH6〜H7であることが好ましい。十分なシール性を確保する観点から、面同士が接触する箇所の長さは100mm以上であることが好ましい。
【0018】
図1に示す濾過装置1Aは、面同士の接触箇所の隙間を通じて濾過処理前の溶融体が処理後の溶融体に混入することを一層確実に防止する観点から、ハウジング10の長手方向において供給路10aが円筒体20を挟んで排出路10bと反対側に設けられている。なお、貫通孔10cの内面とシャフト30の外面とが当接する箇所の長さを十分に確保すれば、図2の濾過装置1Bのように、ハウジング10の長手方向において供給路10aが必ずしも円筒体20を挟んで排出路10bと反対側に設けられていなくてもよい。濾過装置1Bにあっては、処理前後の溶融体の混合を十分に防止する観点から、面同士が接触する箇所の長さは100mm以上であることが好ましい。濾過装置1Bは、上記の他は濾過装置1Aと同様の構成を有するものである。
【0019】
シャフト30をガイド12に沿って移動させることにより、円筒体20をハウジング10から取り出せるようになっている。ハウジング10は、シャフト30を装着する貫通孔10cを複数有し、複数の系統を具備することが好ましい(図9を参照)。かかる構成を採用することにより、円筒体20の交換等のために1つの系統を使用できないときも、他の系統を使用することで運転を継続できる。
【0020】
図3(a)は、円筒体20を示す平面図である。円筒体20は、外周面側に供給される溶融体を内周面側に通過させることにより、最外面に配置された金属焼結フィルタ21によって溶融体に含まれる異物を除去するためのものである。これに加え、円筒体20は、金属焼結フィルタ21によって溶融体に含まれる複数のポリオレフィン成分を十分均一に分散させる機能も有する。
【0021】
円筒体20は、金属焼結フィルタ21と、この金属焼結フィルタ21の内面と直接接するように配置された金網22と、金属焼結フィルタ21及び金網22を支持する円筒形状のブレーカープレート(フィルタ支持部材)25とを有する(図3(b)を参照)。金属焼結フィルタ21及び金網22は、円筒体20の両端部に巻かれた締め付け部材26によって、ブレーカープレート25の外周面上に固定されている。円筒体20は、ブレーカープレート25の外周面上に金網22を巻き、その上にシート状の金属焼結体を巻いた後、金属焼結体の繋ぎ目を圧着部材28aでシールすることによって形成できる。図3(b)は、形成する金属焼結体の繋ぎ目の構成を示す模式断面図である。同図に示すように、金属焼結体の繋ぎ目は、圧着部材28a及びビス28bによってシールされている。
【0022】
なお、図3に示す締め付け部材26は、バンド状の部材であるが、これの代わりにリング状の部材(例えば、O−リング、V−リング)などを使用してもよい。また、圧着部材28aとしては、板状の樹脂製部材又は金属製部材を使用できる。
【0023】
図4は、ブレーカープレート25の構成を示す平面図である。図4に示すように、ブレーカープレート25は、外周面から内周面にかけて貫通する複数の開口25aが形成された開口形成部25Aと、周方向にわたって外周面が平滑面で形成された端部25Bとを有する。端部25Bの外周面を平滑面とすることで、締め付け部材26によって金属焼結フィルタ21がブレーカープレート25に押圧されても、金属焼結フィルタ21の変形等を十分に抑制できる。
【0024】
ブレーカープレート25の端部25Bにおいて、外周面を平滑面で形成する幅(図4に示す幅W1)は、ブレーカープレート25のサイズ及び締め付け部材26の幅に応じて適宜設定すればよいが、円筒体20の両端部におけるシール性を十分に確保する観点から、10〜100mmであることが好ましく、20〜50mmであることがより好ましい。
【0025】
ブレーカープレート25は、軸方向にわたって外周面が平滑面で形成された被圧着部25Cを更に有する。この被圧着部25Cには、上記の圧着部材28aをビス28bで固定するための孔25cが複数設けられている。このような被圧着部25Cをブレーカープレート25に形成し、被圧着部25C上において圧着部材28aによる金属焼結体の繋ぎ目のシールを行うことで、圧着作業に伴う金属焼結フィルタ21の変形を十分に抑制でき、より確実に繋ぎ目からのリークを防止できる。
【0026】
被圧着部25Cの幅(図4に示す幅W2)は、ブレーカープレート25のサイズ及び圧着部材28aの幅に応じて適宜設定すればよいが、金属焼結体の繋ぎ目におけるシール性を十分に確保する観点から、10〜100mmであることが好ましく、20〜50mmであることがより好ましい。
【0027】
ブレーカープレート25は、濾過圧力を受けてもほとんど歪みを起こさない構造体であることが好ましい。濾過圧力によってブレーカープレート25が変形すると、これによって支持される金属焼結フィルタ21等に変形や破損が生じ、異物等が下流側にリークしやすくなる。かかる観点から、ブレーカープレート25の材質としては、例えば、炭素鋼等が好ましい。炭素鋼以外の好適な材質として、ニッケル、クロム、タングステン等を含有する特殊鋼を例示できる。ブレーカープレート25の厚さは、十分の強度を確保する観点から、10〜100mmであることが好ましい。
【0028】
ブレーカープレート25に形成する開口25aは、直径が1〜10mmであることが好ましい。ブレーカープレート25の開口率は30〜70%であることが好ましい。開口率が30%未満のブレーカープレート25を使用した場合、濾過圧力を過度に高くしないと、単位時間当たり十分な量の溶融体を濾過できず、濾過圧力が濾過装置の許容圧力以上となりやすい。他方、開口率が70%を超えるブレーカープレート25を使用した場合、濾過圧力によってブレーカープレート25の変形量が大きくなりやすい。ブレーカープレート25の開口率は35〜60%であることが好ましく、40〜50%であることがより好ましい。なお、ここでいう「開口率」とは、ブレーカープレート25の外周面における開口の面積の合計を外周面の面積で除すことによって算出される値を意味する。
【0029】
金属焼結フィルタ21は、溶融体を通過させることによって、これに含まれる異物を取り除くとともに、各ポリオレフィン成分を互いに分散させるためのものである。金属焼結フィルタ21として、例えば、ステンレス鋼(SUS316L)繊維の焼結によって製造されたものを使用できる。なお、金属焼結フィルタ21は、市販のものを使用でき、例えば、ナスロン(商品名、日本精線株式会社製)などを好適に使用できる。
【0030】
金属焼結フィルタ21は濾過精度が1〜100μmである。ここでいう濾過精度は、JIS−B8356に基づいて濾過試験を行ったときに、粒子の95%が捕集された粒子の径を意味する。濾過精度が1μm未満であると、濾過圧力を装置の許容圧力以上に高くしないと、単位時間当たり十分な量の溶融体を濾過できない。他方、濾過精度が100μmを超えると、異物の除去や各成分の分散が不十分となり、フィッシュアイ低減効果が不十分となる。金属焼結フィルタ21の濾過精度は、10〜60μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
【0031】
金網22は、ブレーカープレート25の開口形成部25A上に1重又は2重以上巻かれ、金属焼結フィルタ21と直接接している。金網22の線径は0.01〜0.25mmであることが好ましい。金網22の線径が0.01mm未満であると、濾過圧力によって金属焼結フィルタ21がブレーカープレート25の開口25aに押し込まれた際、金属焼結フィルタ21に変形や破断が生じやすい。他方、金網22の線径が0.25mmを越えると、濾過処理中、金属焼結フィルタ21に金網22を構成する針金が食い込むことによって金属焼結フィルタ21が変形し、濾過精度の低下が生じやすい。金網22の線径は、0.03〜0.23mmであることが好ましく、0.05〜0.20mmであることがより好ましい。また、金網22の線径と同様の観点から、金網22の網目数は30〜500メッシュであることが好ましく、40〜150メッシュであることがより好ましい。ここでいう金網の網目数(メッシュ)は、1インチ(25.4mm)の間にある目数を意味する。
【0032】
ブレーカープレート25の開口25aにおける金属焼結フィルタ21の変形や破断の発生をより一層確実に防止する観点から、金属焼結フィルタ21とブレーカープレート25の開口形成部25Aとの間に金網22を2〜10重に巻くことが好ましい。なお、金網22とブレーカープレート25の開口形成部25Aとの間に、更に金網等を配置してもよい。例えば、図4に示すように、金網22とブレーカープレート25との間に、線径0.01〜1mmの金網23を1〜10重に巻いてもよい。また、円筒体20をハウジング10に設置する際に、金属焼結フィルタ21が局所的につぶれたりするのを防止するため、線径0.01〜0.25mmの金網を円筒体20の外周面上に巻き付けてもよい。
【0033】
シャフト30は、円筒体20をハウジング10内において固定するためのものである。シャフト30は、図1,2に示すように、円筒体20の上流側及び下流側の端面とそれぞれ当接する面30a,30bを有する。当接面30a,30bによって円筒体保持部が形成される。円筒体20の端面と当接面30a,30bとの間は溶融体が漏洩しないように密閉されている。また、シャフト30は、ハウジング10の貫通孔10cに挿入された状態において、ハウジング10の排出路10bと連通する流路30cを有する。この流路30c及び排出路10bを通じて濾過処理後の溶融体が濾過装置1A,1Bから排出されるようになっている。
【0034】
円筒体20をシャフト30に固定するための構成は、特に制限されるものではないが、具体例として図6(a)−(c)に示す構成が挙げられる。図6(a)に示す構成は、シャフト30の一方の部材30Aが円筒体20と一体となっており、この部材30Aと他方の部材30Bとを更に一体化させるものである。部材30A,30Bにそれぞれ形成されたネジ切30dで両者が接合される。図6(b)に示す構成は、以下の点の他は図6(a)に示す構成と同様である。すなわち、シャフト30の一方の部材30Aが円筒体20と一体となっておらず、これらをネジ切30eで接合することによって一体化させる点である。図6(c)に示す構成は、以下の点の他は図6(b)に示す構成と同様である。すなわち、シャフト30の部材30A,30B及び円筒体20にボルト用のネジ孔30fが形成されており、ボルト止めによってこれらを一体化させる点、並びに、他方の部材30Bが更に2つの部材に分割され、ボルト用ネジ孔30gが形成されている点である。
【0035】
上述のように、濾過装置1A,1Bによれば、ブレーカープレート25の外周面の所定の領域(端部25B及び被圧着部25C)が平滑面で形成されているため、締め付け部材26及び圧着部材28aを使用しても金属焼結フィルタ21の変形等による濾過精度の低下を十分に防止できる。これに対し、図11(a)に示すように、従来のブレーカープレート55は、その外周面の全面にわたって開口55aが形成されているため、上述の締め付け部材26又は圧着部材28aで金属焼結フィルタ21をブレーカープレート55の方向に押圧した場合、開口55aにおいて金属焼結フィルタ21が変形し、濾過精度が低下するおそれがある。また、従来の円筒体は、通常、ブレーカープレート55の外周面上に濾材56を巻いた後、図11(b)に示すように、複数のバンド57で固定して形成されるため、ブレーカープレート55と濾材56との間のシール性が不十分となるおそれがある。なお、上記のような不具合が生じない場合、例えば、比較的低い濾過圧力で溶融体の濾過処理を行うような場合には、図11(b)に示す構成の円筒体を使用してもよい。
【0036】
シャフト駆動機構40は、図7に示すように、モータ41の軸41aの回転運動を揺動運動に変換するリンク機構48によって構成される。リンク機構48は、モータ41の軸41aに固定された回転板42と、ハウジング10の外側においてシャフト30に固定された動力伝達部材43と、回転板42と動力伝達部材43とを連結する動力変換部材45とを有する。図7に示す矢印Aの方向に回転板42が回転すると、動力変換部材45によって動力伝達部材43が所定の範囲で揺動する。動力伝達部材43が揺動すると、当該部材と凸部30aで嵌合するシャフト30もその長手方向に延びる中心軸周りに揺動する。
【0037】
本実施形態においては、シャフト30は図8(a)に示す位置と図8(b)に示す位置との間で揺動する。シャフト30を揺動させる範囲、すなわち、図8(b)に示す角度αは、各部材の長さ等を適宜設定することによって調整することができる。角度αは、1〜90°であることが好ましく、5〜40°であることがより好ましい。角度αが1°以上であると、1°未満の場合と比較して本発明の効果を一層安定的に得ることが可能となる。他方、角度αが90°以下であると、90°を超える場合と比較してリンク機構48によってシャフト30を安定的に揺動させることができる。
【0038】
(ポリオレフィン系樹脂組成物の原料)
ポリオレフィン系樹脂組成物の製造に使用する原料組成物について説明する。原料組成物としては、極限粘度が互いに異なるポリオレフィン成分を複数準備してこれらを組み合わせて用いることができる。あるいは、オレフィン成分を重合してポリオレフィンを製造した後、連続して極限粘度が異なるポリオレフィンを製造することにより得られるポリオレフィンを用いてもよい。なお、当該ポリオレフィンは、極限粘度が互いに異なる複数のポリオレフィン成分を含有する。本実施形態においては、多段重合により直接重合される、極限粘度が互いに異なる複数のポリオレフィン成分を含有する原料組成物を用いることが好ましい。
【0039】
原料組成物の製造方法としては、例えば、重合槽でポリオレフィンを製造(第一段階)した後、引き続いて、同一の重合槽で極限粘度が異なるポリオレフィンを製造(第二段階)する回分式重合法が挙げられる。また、別の製造方法としては、二槽以上の重合槽を直列に配列し、ポリオレフィンを製造(第一段階)した後、得られた重合体を次の重合槽へ移送し、その重合槽で極限粘度が異なるポリオレフィンを製造する(第二段階)連続式重合法が挙げられる。連続式重合法の場合、第一段階及び第二段階で用いるそれぞれの重合槽の数は一槽でも二槽以上でもよい。
【0040】
ポリオレフィンとしては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ブテン−1共重合体等が挙げられる。これらのうち、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元共重合体、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体は、熱劣化が生じてもゲル化しにくく、フィッシュアイなどの欠点を起こしにくいため好ましい。
【0041】
プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元共重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどが挙げられる。このうち、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、共重合特性、経済性などの観点から、1−ブテン、1−ヘキセンがより好ましい。
【0042】
ポリオレフィンとしてプロピレン−エチレン共重合体を用いる場合、当該共重合体中のエチレン含有量は、通常0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。プロピレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該共重合体中のα−オレフィンの含有量は、通常0.1〜40質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元共重合体を用いる場合、当該共重合体中のエチレン含有量は、通常0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、α−オレフィン含有量は、通常0.1〜40質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。エチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該共重合体中のα−オレフィンの含有量は、通常0.1〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%である。
【0043】
オレフィンの重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒による溶媒重合法、液状モノマーを溶媒として用いる塊状重合法、気体モノマー中で行う気相重合法等が挙げられる。また、極限粘度が互いに異なる複数のポリオレフィン成分を含有する原料組成物を直接重合によって得る方法としては、バッチ式に行う回分式重合法や、連続式に行う気相−気相重合法、液相−気相重合法などが挙げられ、これらのうち、生産性の観点から、連続的に行う気相−気相重合法、液相−気相重合法が好ましい。
【0044】
上記ポリオレフィンは、例えばマグネシウム化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、この固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物などの第3成分を組み合わせた触媒系、又はメタロセン系触媒を用いて得ることができる。より具体的には、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系を挙げることができる。
【0045】
本実施形態では、極限粘度が3〜15dl/gのポリオレフィン成分(A)と、極限粘度が0.5〜3dl/gのポリオレフィン成分(B)とを有する原料組成物を用いることが好ましい。また、ポリオレフィン成分(A)とポリオレフィン成分(B)との極限粘度比([η]/[η])が1.5〜30であることがより好ましい。これによって、フィッシュアイの発生、及びメヤニ、スジなどの加工不良現象の発生を一層抑制できるポリオレフィン系樹脂組成物を得ることができる。なお、原料組成物全体の極限粘度は、一層均一なポリオレフィン系樹脂組成物を得る観点から、1.0〜3.0dl/gであることが好ましい。
【0046】
上述の極限粘度を有するポリオレフィン成分を用いる場合、ポリオレフィン成分(A)及び(B)の合計を基準として、ポリオレフィン成分(A)の含有量は0.05〜70質量%であることが好ましく、0.5〜40質量%であることがより好ましい。他方、ポリオレフィン成分(B)の含有量は30〜99.95質量%であることが好ましく、60〜99.5質量%であることがより好ましい。
【0047】
原料組成物には、製造するポリオレフィン系樹脂組成物の性能の向上を図るため、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤などの酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、耐ブロッキング剤、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の添加剤を含有させてもよい。
【0048】
添加剤の添加方法は、均質なポリオレフィン系樹脂組成物を得られるのであれば特に制限されない。例えば、原料組成物のパウダーと各種添加剤とをヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて配合した後、直接ペレット化する方法や、比較的高濃度の添加剤マスターバッチを二軸押出機等の高混練押出機を用いてペレット化した後、原料組成物と配合する方法、添加剤を溶融させて液状で原料組成物に添加する方法等の方法を採用することができる。
【0049】
(ポリオレフィン系樹脂組成物製造システム及びポリオレフィン系樹脂組成物の製法)
次に、上記濾過装置1Aを備えたポリオレフィン系樹脂組成物製造システム及びこれを用いたポリオレフィン系樹脂組成物の製法について説明する。なお、製造システムを構成する各装置の配置等によっては、供給路10aの位置が濾過装置1Aと異なる濾過装置1Bを採用してもよい。
【0050】
本実施形態に係る製造システムは、ポリオレフィン系樹脂組成物からなるペレットを製造するためのものである。図9に示すように、製造システム100は、2種以上のポリオレフィン成分を溶融混練して溶融体を得る押出機50と、上述の濾過装置1Aと、濾過処理を経た溶融体を冷却して固化させる水槽60と、固化物からペレットを製造するペレタイザー70とを備える。濾過装置1Aから水槽60へと溶融体を移送する流路58の途中にはダイ59が配設されており、溶融状態のストランドを水槽60内へと供給できるようになっている。
【0051】
押出機50は、ポリオレフィンなどの原料を投入するホッパー52を本体部50aの入口側に有する。本体部50aは、被処理物を移送する流路50bを有し、その中に1本又は複数本のスクリュー54が設けられている。ホッパー52に投入された原料組成物は、スクリュー54によって流路50bを下流側へと移動しながら混合され、本体部50aに内蔵されたヒーター(図示せず)によって加熱されて溶融体となる。
【0052】
なお、押出機50として、市販の押出機を使用することができ、具体的には、単軸押出機、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機等を用いることができる。同方向回転二軸押出機としては、東芝機械(株)製のTEM(登録商標)、日本製鋼所(株)製のTEX(登録商標)及びCMP(登録商標)などを例示できる。異方向回転二軸押出機としては、日本製鋼所(株)製のTEX(登録商標)及びCMP(登録商標)、並びに、神戸製鋼所(株)製のFCM(登録商標)、NCM(登録商標)及びLCM(登録商標)等を例示できる。
【0053】
本実施形態に係るポリオレフィン系樹脂組成物の製法は、2種以上のポリオレフィン成分を含有する溶融体を調製する溶融工程と、濾過装置1Aにおいて溶融体を濾過する濾過工程と、濾過工程を経た溶融体からペレットを得る成形工程とを備える。具体的には、まず、極限粘度の異なる複数のポリオレフィン成分を含有する原料組成物をホッパー52に投入する。押出機50のスクリュー54を回転させることによって原料組成物を混練するとともに、原料を160〜300℃に加熱することによって複数のポリオレフィン成分を含有する溶融体を得る(溶融工程)。
【0054】
押出機50から供給される溶融体を濾過装置1Aの供給路10aを通じて装置内に導入する。濾過装置1Aのシャフト30を揺動させ、これに固定された円筒体20を揺動させた状態で溶融体の濾過を行う(濾過工程)。円筒体20を揺動させる単位時間あたりの回数は、本発明の効果を十分且つ安定的に得る点から、10〜2000回/分であることが好ましく、10〜1500回/分であることがより好ましい。なお、この回数は円筒体20の一往復を1回とするものである。また、同様の観点から、揺動する円筒体20の最大速度は、後述の濾過速度よりも高いことが好ましく、150〜3000cm/分であることが好ましい。
【0055】
溶融体を濾過する際の濾過速度は1〜150cm/分であることが好ましい。濾過速度が1cm/分未満である場合、単位時間当たりの処理量を十分に確保するために面積の大きい金属焼結フィルタを要し、設備が過度に大型化して設備費が増大する傾向がある。他方、濾過速度が150cm/分を超える場合、金属焼結フィルタ21がブレーカープレート25の開口25aで変形して濾過精度が悪化しやすくなる。これに加え、濾過圧力が高くなり濾過装置1Aに過度な負荷が生じやすい。
【0056】
濾過装置1Aにおける溶融体の濾過速度が1〜150cm/分となるように、濾過面積を決定することが好ましい。なお、高い生産性及びフィッシュアイ低減効果の両立の観点から、濾過速度は10〜100cm/分であることがより好ましく、30〜80cm/分であることが更に好ましい。また、濾過装置入口と出口の圧力差は、3〜35MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0057】
濾過処理によって得られた溶融体をダイ59から押出し、水槽60に供給する。水槽60内で固化したストランドをペレタイザー70で裁断し、ポリオレフィン系樹脂組成物からなるペレットを得る。
【0058】
このようにして得られたペレットは、例えば、自動部品、家電部品、医療用材料、OA機器部品、建材、シート、各種ボトル等の製造に用いられる。このペレットから各種の部品を成形する際の流動性の観点から、ポリオレフィン系樹脂組成物はメルトフローレート(MFR)が0.1〜300g/10分であることが好ましく、1〜50g/10分であることがより好ましい。なお、ここでいうメルトフローレートとは、230℃で測定される値を意味する。
【0059】
濾過装置1Aを備える製造システム100及びこれを用いた上記製造方法によれば、異物が十分に取り除かれたポリオレフィン系樹脂組成物からなるペレットを得ることができる。このペレットを使用することにより、フィッシュアイの発生量が十分に少なく、優れた外観の成形体を製造することができる。また、濾過装置1Aは濾過圧力を比較的高く設定しても、リークを十分に抑制できるため、ポリオレフィン系樹脂組成物を効率的に製造することができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、2種以上のポリオレフィン成分を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を製造するための製造システムを例示したが、1種のポリオレフィン成分からなるポリオレフィン系樹脂組成物を製造するのに本発明に係る濾過装置を適用してもよい。当該濾過装置を使用することにより、原料に含まれるゲル状の異物の再凝集を十分に抑制でき、これに起因するフィッシュアイ等の発生を低減できる。なお、各ポリオレフィン成分の溶融体を当該濾過装置で濾過処理した後、溶融体を混練する工程を更に実施してもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、リンク機構48によってシャフト30を揺動させる場合を例示したが、シャフト駆動機構はこれに限定されるものではない。例えば、粘性が比較的低い溶融体を濾過する場合には、カムとスプリングとを組み合わせた機構によってシャフト30が揺動する濾過装置を使用してもよい。更に、シャフト30の動きは、揺動に限定されず、一定の方向への回転であってもよい。シャフト30を回転させる場合、その回転数は、本発明の効果を十分且つ安定的に得る点から、10〜2000回/分であることが好ましく、10〜1500回/分であることがより好ましい。
【0062】
上記実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂組成物からなるペレットを製造する場合を例示したが、ペレットの代わりに各種用途(例えば、食品包装用、工業用)のフィルム又はシートを製造してもよい。本発明に係る濾過装置における処理を経て得られた溶融体を使用することで、外観の優れたポリオレフィン系フィルムやシートを製造できる。
【0063】
フィルム製造装置としては、インフレーションフィルム製造装置又はTダイフィルム製造装置と、本発明に係る濾過装置とを組合せたものが好適である。例えば、Tダイフィルムを製造する場合、図10に示すように、ダイ81から押し出した溶融膜を冷却ロール82及びエアーチャンバー装置83によって所望の厚さにまで引き伸ばしながら、冷却固化させる。その後、所定の厚さのフィルムを最終的に巻取機85で巻き取る。なお、Tダイフィルム製造装置を用いてポリオレフィン系フィルムを製造する際の加工条件は下記の通りである。
ダイリップから押出す溶融樹脂の温度 …180〜300℃、
ダイリップにおける溶融樹脂の剪段速度…10〜1500sec−1
冷却ロールの回転速度 …10〜500m/分、
冷却ロールの温度 …10〜80℃、
フィルムの厚さ …5〜200μm。
【0064】
上記の方法によって製造したポリオレフィン系フィルム又はシートを延伸する加工を施し、最終的にフィルム又はシートを得てもよい。延伸方法としては、例えばロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等によって、一軸又は二軸に延伸する方法を例示できる。
【0065】
上記実施形態においては、原料として1種又は2種以上のポリオレフィン成分を含有する樹脂組成物を使用する場合を例示したが、原料として使用できる熱可塑性樹脂はポリオレフィン成分に限定されるものではない。例えば、原料としてポリエステル、ポリアミド及び塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を使用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…濾過装置、10…ハウジング、10a…供給路、10b…排出路、12…ガイド、14…油圧シリンダ、20…円筒体、21…金属焼結フィルタ、25…ブレーカープレート(フィルタ支持部材)、25a…ブレーカープレートの開口、30…シャフト、30a,30b…当接面、30c…流路、40…シャフト駆動機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物の溶融体を濾過する濾過装置であって、
外周面から内周面にかけて貫通する複数の開口を有する円筒形状のフィルタ支持部材と、
前記フィルタ支持部材の外周面上に設けられた濾過精度1〜200μmの金属焼結フィルタと、
前記フィルタ支持部材と前記金属焼結フィルタとが一体化されてなる円筒体を収容するとともに、溶融体の供給路及び排出路を有するハウジングと、
前記ハウジング内においてその長手方向に延びる軸周りに回転自在又は揺動自在に設けられており、前記円筒体が固定される円筒体保持部を有するとともに前記ハウジングの前記排出路に連通しており前記金属焼結フィルタを通過後の溶融体が流れる流路を有するシャフトと、
前記シャフトを前記軸周りに回転又は揺動させるシャフト駆動機構と、
を備えることを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記シャフトは前記ハウジングに対して着脱自在に取り付けられたものであり、前記円筒体とともに前記シャフトをその長手方向に移動させ、前記円筒体を前記ハウジングの外に取り出すシャフト取出し機構を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記溶融体は、1種又は2種以上のポリオレフィン成分を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の濾過装置。
【請求項4】
1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物の溶融体を調製する溶融工程と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の濾過装置の前記円筒体を回転又は揺動させながら前記溶融体の濾過を行う濾過工程とを備えることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記溶融体は、1種又は2種以上のポリオレフィン成分を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−221432(P2010−221432A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68729(P2009−68729)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】