説明

火力発電プラントの周波数バイアス制御装置とその運用方法

【課題】出力設定補正量33に対して周波数補償量31と協調がとれた適切な上下限制限を掛けることにより、負荷運転状態に係わらず、プラント安定性の維持と許容される最大限の周波数変動抑制効果の発揮を両立させること。
【解決手段】周波数偏差に応じて負荷要求信号(MWD)22を補正する周波数補償回路とは別に、周波数偏差に応じて出力設定補正信号33を生成し、MWD22に加算して発電量制御の制御目標値とする出力設定補正機能を持ち、出力設定補正信号33に上下限制限値を掛ける手段を含む制御回路により構成した火力発電プラントの周波数変動を抑制する装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントにおいて周波数が変動した場合に周波数変動を抑制する周波数補償制御に係わり、(特にユニットマスタの制御目標である負荷要求信号(以下MWDということがある)22の補正とは別に、タービンマスタの制御目標である発電機出力の目標値を補正して、各々の補正量をプラント能力に応じて制限できることから、)積極的に周波数補償動作をさせるのに好適な火力発電プラントの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火力発電プラントの構成を図3に示す。
ここに示す火力発電プラントは、ボイラ1と、ボイラ1で発生した蒸気エネルギを運動エネルギ(回転トルク)に変換する蒸気タービン2(以下、単にタービンということがある)と、タービン2と同軸で回転し、運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機3と、ボイラ1からタービン2に流入する蒸気量を調節して発電機3で発電する発電量7を調節するタービン加減弁4と、発電量7を含め火力プラント全体を制御するプラント制御装置(以下APCということがある)6と、タービンの回転数を補正する調速機能の各要素13〜19及び関連計測機器として発電量検出器8,周波数検出器10,タービン回転数検出器12を含んで構成されている。
【0003】
従来の火力発電プラントのプラント制御装置の周波数バイアス制御を図10に示す。
送電系統の周波数は、送電系統の需給バランスにより変動する。即ち需要量に対して発電量が多いと周波数は上昇し、反対に発電量が少ないと周波数は低下する。一般に火力発電プラントにはガバナフリー運転と呼ばれている周波数の変動を抑制する運転モード機能があり、これは発電量不足のために周波数が低下すると発電量を増補正し、発電量過多のため周波数が上昇すると発電量を減補正することで、需給バランスを改善し周波数の変動を抑制する運転モードである。
【0004】
従来の火力発電プラントにおいて、系統周波数の変動の影響を受けて発電機の周波数が変動(発電機回転数も同じ変動と考えてよい)した場合の火力発電プラントの周波数補償動作を以下に説明する。
【0005】
本発明には発電量7を発電量目標値であるMWD22に一致させる制御(以下発電機出力制御又は単に出力制御と呼ぶ)が大きく係わってくるため、まず、出力制御機能から説明する。
【0006】
動作説明を分かり易くするためにトランジェントな動きは省略する。また本発明では、発電量7と発電量検出値9と発電機出力信号43を同一として扱って差し支えないため、同一のものとして扱う。
【0007】
出力制御回路の構成と機能を図10で説明する。出力指令21がプラント制御の基本信号であり、これに周波数補償信号31が加算されてMWD22となりプラントの負荷状態が設定される。MWD22は、ボイラ1についての給水量、燃料量、空気量といったボイラ入力の基本信号であり、且つ発電機出力の目標信号であり、蒸気発生側であるボイラ1と蒸気消費側であるタービン2や発電機3の共通基本信号となる。
【0008】
MWD22と発電機出力信号43(同信号値を発電機出力43と呼ぶ)に差があると、発電機出力偏差信号44(同信号値を発電機出力偏差44と呼ぶ)に差信号が生じ、発電機出力信号43がMWD22に一致する(=発電機出力偏差44が0になる)までPI制御器46により負荷指令45を増減制御する。
【0009】
図3に示すように、負荷指令45はタービンの回転数補正信号17が加算されてタービン加減弁開度指令18となり、タービン加減弁4の開度はサーボ19によりタービン加減弁開度指令18に調節される。タービン加減弁4の開度が増減するとボイラ1からタービン2に流れる蒸気量5が変化し、蒸気量5の増減に応じて電気エネルギへの変換量が変わり発電量7が変わる。これが出力制御の基本である。
【0010】
具体的数値を仮定して以下説明する。単純化するため初期状態として出力指令21、MWD22、負荷指令45、タービン加減弁開度指令18及びタービン加減弁4の開度が全て70%と仮定する。ここで発電機出力43が70%一定に調節されたとき、プラントは出力が一定で安定した運転状態に移行する。
【0011】
例えば発電量7(=発電機出力43)がMWD22より1%低い69%の初期状態を仮定する。発電機出力偏差44は70%−69%=+1%となり、負荷指令45の値はPI制御器46により70%から増加し始める。ここではタービン回転数補正信号17=0としてタービン加減弁開度指令18は負荷指令45と同値となり、タービン加減弁4の開度はサーボ19により負荷指令45の値に合わせて70%から増加(開き操作)し始める。タービン加減弁4の開き操作により、ボイラ1からタービン2へ供給される蒸気5の蒸気流量が増加し、発電量7が69%から増加し始める。例えば負荷指令45が70%→71%に増加し、タービン加減弁4も70%→71%に開いた時、発電機出力43が69%→70%に増加したとすると、このとき発電機出力偏差44が0になって制御動作が止まり、この状態で安定する。
【0012】
反対に前記初期状態で発電機出力信号43がMWD22より1%高い71%だったと仮定すると、発電機出力偏差44は70%−71%=−1%であり、負荷指令45はPI制御器46により70%から減少方向に制御される。負荷指令45が70%→69%に減少し、タービン加減弁4も70%→69%に絞られた時、発電機出力43が71%→70%に減少したとすると、このとき発電機出力偏差44が0になり制御動作が止まり、この状態で安定する。
【0013】
次に周波数変動が生じたときの従来技術の挙動を機能別に順次説明する。
まずケース1として、周波数補正機能は図3に示すタービンの調速機能のみとし、図10に示す周波数補償信号31がなく、従ってMWD22は周波数偏差にて補正されない場合を考える。
【0014】
系統周波数が変動するとタービン2の回転数と発電機3の回転数および発電機周波数が影響を受ける。タービン回転数が変動するとタービン回転数検出器12で検出した回転数信号13が変動し、基準回転数信号14との間に差が生じて回転数偏差信号15(同信号値を回転数偏差15と呼ぶことがある)が生じる。調定率関数16は回転数偏差15に比例した回転数補正信号17(同信号値を回転数補正量17と呼ぶことがある)を出力し、負荷指令45に加算されてタービン加減弁開度指令18が補正されてタービン加減弁4の開度が調節され、発電量7が制御される。出力制御のPI制御器46が比例積分制御機能を持つのに対し、調定率関数16は比例制御機能のみである。
【0015】
出力制御と同様に具体的数値を仮定して説明する。出力指令21、MWD22、発電機出力43、負荷指令45、タービン加減弁開度指令18及びタービン加減弁4の開度が、いずれも70%一定で安定している状態において、例えば50Hz地域において電力供給量過多のため周波数偏差が0Hzから+0.2Hzに上昇した場合の従来技術ケース1について説明する。
【0016】
まず、タービン調速機能の動作としては、周波数が0.2Hz上昇(タービン基準回転数3000rpmとして回転数が12rpm上昇したことに相当)することにより、回転数信号13は3000→3012rpmに増加するため基準速度信号14の値3000rpmとの差である回転数偏差信号15に−12rpmが生じる。ここで調定率を4%(4%の周波数変動(50Hz×0.04=2Hz或は3000rpm×0.04=120rpmの変動で出力補正量が100%となる比率)と仮定すると、調定率関数16により
−12rpm÷(3000rpm×4/100)×100%=−10%
の値が回転数補正信号17として出力され、APC6より出力されている負荷指令45の値70%に加算されてタービン加減弁開度指令18は70%−10%=60%となる。
【0017】
サーボ19はタービン加減弁開度指令18に従い、タービン加減弁4の開度を70%→60%に絞り操作し、タービン2に供給される蒸気量5が10%出力に相当する分だけ減少させ、発電量7は70%→60%に低下する結果、電力供給量過多の需給バランス状態において出力を10%低減することで需給バランスの改善に貢献し、+0.2Hz上昇している周波数を抑制する方向に作用する。
【0018】
しかし、MWD22は周波数が変動しても70%の値は不変であり、発電量7が10%減少して60%になると、発電機出力偏差44が+10%となり、PI制御器46により負荷指令45は70%から増加し始める。具体的には負荷指令45が80%まで増加したとき、タービン加減弁開度指令18は負荷指令(80%)+タービン回転数補正量17(−10%)=70%となり、タービン加減弁4の開度はサーボ19にて元の70%に調節され発電量7も元の70%出力に戻って発電機出力偏差44が0になりプラントは安定し、周波数変動を抑制する効果がなくなる。
【0019】
即ち、周波数変動が生じた場合、一時的にタービン2の調速機能によって周波数変動を抑制する方向に発電量7が調整されるが、発電量7が調整されると出力制御の出力目標値であるMWD22と差が生じるため、PI制御器46により元の発電量に引戻され、タービン調速機能による周波数変動抑制効果が相殺される。
【0020】
次に従来技術のケース2として、前記の出力制御による周波数変動抑制効果の相殺作用を無くすため、周波数補償関数24(図10)を設けたケースを説明する。
出力はMWD22を目標に制御されるため、周波数が上昇した場合にはMWD22を減じる補正を行い、周波数が低下した場合にはMWD22を増加する補正を行うことで、前記従来技術のケース2のような出力制御による周波数変動抑制効果の相殺作用を無くすことができる。
【0021】
そこで周波数補償関数24により、周波数偏差に応じて周波数補償信号25を生成し、これを出力指令21に加算してMWD22とすることが考えられる。しかしMWD22が周波数偏差で変動すると、プラント全体の操作量、制御目標や状態量が周波数偏差の影響を直接受ける事になるため、プラントの安定性を確保するため、一般には回路上、以下の配慮がされている。
【0022】
(1)プラント安定性を確保する目的のために、プラントの許容範囲を超える補償量について制限するが、そのために図10に示すように、周波数補償下限関数26及び周波数補償上限関数29を設ける。プラントが許容できる変動量はプラント負荷状態で変わるため、この上下限関数26、29は出力指令21を入力とする関数としている。
周波数補償信号25は下限関数26の出力信号27と高値選択されることで下限制限され、更にこの下限制限された周波数補償信号28を上限関数29の出力信号30と低値選択することで上下限制限された周波数補償信号31となる。この周波数補償信号31を出力指令21に加算してMWD22とする。
【0023】
(2)周波数変動を抑制する重要性が高くなく、且つプラント安定上好ましくない、小さく周期の早い周波数変動に対しては、周波数補償信号25を0出力するよう周波数補償関数24の設定に不感帯を設ける。
図4の周波数補償量カーブに示すように周波数補償関数24の設定には不感帯があり、小さな周波数変動(変動周期の早いものが多い)では周波数補償信号25が出力されない設定にしてある。不感帯の幅は±0.1Hzから±0.2Hz程度が一般的であるが、更に周波数補償関数の不感帯とは別に不感帯以上の任意の周波数変動(例えば±0.25Hz)が生じてから、周波数補償信号31を出力指令21に加算するように切替器47のインターロックを設定することもある。
【0024】
(3)周波数補償信号31が急変すると応答速度の遅い火力プラントが対応できない状態が考えられるため、プラントの安定を維持する目的で周波数補償回路にLAGや変化率制限器を設ける。
【0025】
ところで、日本では±0.2Hzを超える周波数変動は希であり、通常の周波数変動は±0.15Hz以下である場合が多い。これに対して周波数補償量31には前記の通り不感帯が設定してあるので、周波数補償信号25が生じる割合は少なく、不感帯以上の周波数変動により周波数補償信号25が生じても、図4に示す通りタービン調速機能による補正量に比べて少ない補正量である。よってタービン調速機能による周波数変動抑制効果は出力制御にて相殺される割合が多い。
【0026】
そこで従来技術のケース3として、タービンの調速機能により補正された発電機出力を発電機出力制御の出力目標値とするため、図11に示すようにタービン回転数補正信号17と周波数補償信号31との差に相当する補正量を周波数偏差に応じて出力設定補正関数32で発生させ、その出力である出力設定補正信号33(同信号値を出力設定補正量33と呼ぶことがある)をMWD22に加算して新たに発電機出力設定信号42とする回路がある。
【0027】
ケース2では発電機出力43はMWD22を目標として出力制御されていたが、ケース3では発電機出力43は発電機出力設定信号42を目標として制御されることになる。
【0028】
ここで出力設定補正関数32の設定は、図5及び図6の特性に示す通り、
周波数補償量31+出力設定補正量33=回転数補正量17
とすることにある。これによりタービンの調速機能によって得られた周波数変動を抑制する効果が、出力制御で相殺されるか、減じられることが無くなるか、又は少なくなる。
【0029】
図5は通常周波数変動範囲に重点を置き、特に周波数補償関数24の不感帯に対して改善をする設定であり、周波数変動が大きい場合には出力設定補正関数32による補正はせず、プラント安定性に配慮した設定ということができ、主にこの設定が採用されている。図6は周波数変動全域で改善を図った設定で、周波数変動抑制を最重点に置いた設定である。
【0030】
図3に示す出力設定補正関数32を含む出力設定補正回路の特徴は、MWD22を直接補正しないことにある。MWD22はプラント全体の操作量や挙動に直接影響を与える信号であるのに対し、出力設定信号42が直接影響を与えるのは負荷指令45〜タービン加減弁4〜発電量7であり、特にプラント安定上重要な主機であるボイラ1に対しては、蒸気量5が変動した結果として影響が現れる事になるため、一般には直接MWD22を補正するよりプラント安定上有利と考えられている。
【0031】
前記ケース2とケース3の違いとなる出力設定補正関数32を含む出力設定補正回路の有無による制御動作の違いを、前記ケース1と同様に具体的数値を仮定して説明する。
【0032】
周波数補償関数24は図4の通り不感帯を±0.15Hzとし、関数の傾きはタービン調速機能の傾きに合わせて調定率4%(2Hzの変動で出力が100%補正される傾き)とする。MWD22、負荷指令45、タービン加減弁4、発電機出力信号43は70%一定状態とする。周波数条件はケース1と同様に+0Hzから+0.2Hzに変動した場合を想定する。またトランジェントな挙動や微妙な応答時間ずれは考慮しないこととする。
【0033】
まず図10に示す通り出力設定補正関数32を含む出力設定補正回路がないケース2の場合を以下に説明する。
この状態で周波数偏差が+0Hzから+0.2Hzに上昇すると、タービン回転数信号13は3000rpm→3012rpmに増加し、回転数偏差信号15は−12rpmとなり回転数補正信号17は、
−12rpm÷(3000rpm×4/100)×100%=−10%
が出力され、タービン加減弁開度指令18は70%−10%=60%になり、サーボ19によりタービン加減弁4の開度が70%→60%に絞られる。このため発電量7も70%→60%に減じる。ここまではケース1のタービン調速機能の動作と同じである。
【0034】
一方、周波数補償関数24の出力は、不感帯+0.15Hz分を除いた+0.05Hz分の周波数変動に対する補償量となる。即ち、周波数補償信号25は
+0.05Hz÷(50Hz×4/100)×(−100%)=−2.5%
の値となる。ここでは周波数補償信号25の上下限制限は省略し、MWD22は70%−2.5%=67.5%となる。よって発電機出力偏差44は67.5%−60%=+7.5%となり、PI制御器46は発電量出力43がMWD22と同じ67.5%に増加するまで負荷指令45を増加させる。
【0035】
結果として負荷指令45は70%→77.5%に、タービン加減弁開度指令18は70%→60%→67.5%、発電量7は70%→60%→67.5%に、それぞれ変動して発電量67.5%で安定する。このため本来タービン調速機能により発電量7が−10%されて周波数上昇の抑制に寄与するところ、出力制御による相殺作用のため発電量7は都合−2.5%されるに留まり、周波数変動抑制効果が1/4に低下した事になる。
【0036】
次に図11の通り出力設定補正信号33を生成する前記出力設定補正回路があるケース3の場合で、出力設定補正関数32に図6の関数が採用されている場合について、同一条件で説明する。
【0037】
ケース3の場合は、ケース1,2の場合と同様に周波数変動量が+0Hzから+0.2Hzに上昇したとすると、タービン調速機能によりケース2の場合と同様に回転数補正量17は−10%となり、タービン加減弁開度指令18は70%−10%=60%になり、サーボ19によりタービン加減弁4の開度が70%→60%に絞られる。このため発電量7も70%→60%に減じる。また周波数補償回路もケース2同様に周波数補償量25は−2.5%となり、MWD22は70%−2.5%=67.5%となる。ここまではケース2と同じである。
【0038】
一方で出力設定補正関数32は+0.15Hz相当の補正量である、
+0.15Hz÷(50Hz×4/100)×(−100%)=−7.5%
を出力設定補正信号33として出力する。よって発電機出力設定信号44はMWD22(67.5%)+出力設定補正量33(−7.5%)=60%となり、回転数補正量17にて調節された発電機出力43と同値になる。
【0039】
従って、発電機出力偏差信号44は0であり、PI制御器46は働かず、負荷指令45も変化しないことになり、MWD22は70%→67.5%、発電機出力設定信号42は70%→60%、負荷指令45は70%と変わらず、タービン加減弁開度指令18及びタービン加減弁4の開度は70%→60%、発電量7は70%→60%にそれぞれ変化し安定する。よってタービン調速機能によって得られた周波数変動抑制効果である発電量7の10%低減は、そのまま維持でき、相殺されることは無い。上述の通り、発電機出力偏差信号44を0に維持して負荷指令44を変動させず、タービン2の調速機能をそのまま生かすことがポイントである。
【0040】
別の見方をすれば、最終的に発電量7は発電機出力設定信号42に制御されるため、トランジェントな応答は別にして、最終的に周波数変動抑制効果は周波数補償量31と出力設定補正量33の合計補正量で決まると言える。
【0041】
また、特開平11−223105号公報に開示された発明は、周波数が一定範囲以上に変動した場合には、出力偏差である減算器(36)の出力△MWを制限回路(38)にてブロックし、出力を制御する比例・積分演算器(40)への入力△MW’を0とすることで、出力制御を一時的にやめてタービン調速機能による周波数制御機能を発揮させることができる。
【0042】
従来技術のケース3の出力設定補正信号33を生成する出力設定補正回路も、特開平11−223105号公報に開示された発明も、PI制御器46又は比例・積分演算器40(特開平11−223105号公報)の入力信号を0にして、負荷指令45を変化させず、タービン調速機能による周波数変動抑制機能をそのまま発揮させるものであり、出力制御の制限方法や制限範囲は違うが同様の効果を狙ったものである。
【0043】
しかし図11に示す場合には、出力設定補正量33を制限するものは出力設定補正関数32の設定のみであり、周波数偏差以外のパラメータで制限することはできない。
【0044】
また、特開平11−223105号公報に開示された発明についても、同様に周波数偏差以外のパラメータで制限することはできない。
【0045】
火力プラントは一般に高出力運転状態に比べて低出力運転状態の方がプラントの安定性が低く、外乱に弱いため、高負荷で最大の効果を発揮させ、且つ低負荷運転状態でプラントの安定性を確保する点で配慮がされていなかった。
【特許文献1】特開平11−223105号公報
【非特許文献1】電気学会技術報告第869号「電力系統における常時及び緊急時の負荷周波数制御」P43〜45、電気学会、 2002年3月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0046】
前記従来技術の出力設定補正関数32を含む出力設定補正回路は、特に周波数偏差が小さい場合に、タービン調速機能による発電量7の調整により周波数変動抑制効果を最大限発揮させるため、タービン回転数補正信号17で調節された発電量7と発電機出力設定値42が一致するよう出力設定補正信号33を生成する制御方式であるが、周波数補償に対して出力設定補正はプラント安定性への悪影響が少ないとの判断からか、又は補正量自体が小さい値でありプラント安定性へ重大な影響を及ぼす懸念がないとの判断からか、従来は特に出力設定補正信号33には制限回路を設けられていなかった。しかし実際には周波数補償信号より出力設定補正信号の方がプラント安定性への影響が大きい。
【0047】
従って、高負荷運転状態で十分に補正を生かして最大限の効果を発揮させ、且つプラント安定性が悪くなる低負荷運転状態では補正量に制限を掛け、周波数変動抑制効果とプラント安定性の両立を図れる最適な制御を行うことができるように、十分な配慮がなされているとはいえなかった。
【0048】
プラントが許容できる出力設定補正量範囲の一例を図7に示す。一般的に低負荷ほど許容範囲が小さくなる。縦軸の合成出力補正制限量は、周波数補償と出力設定補正の合成補正量に対してプラントを安定に保つための上下限制限範囲を示す。具体例で説明する。出力設定補正関数32が図5或は図6の設定とすると、±0.15Hzの周波数変動が生じた場合には出力設定補正信号33の値は±7.5%となる。一方、図7に示す通り、出力指令21が75%以上であれば上下限制限範囲は±7.5%以上あり、許容範囲内となるが、出力指令21が75%未満のときは上下限制限範囲が±7.5%未満であり、出力設定補正量33は前記制限範囲を超えることになりプラントが不安定になる可能性がある。また前記制限範囲を超えないように、出力設定補正関数32の設定値を図7に示す上下限制限範囲の最低値±3%に合わせた場合、高負荷運転状態で最大10%の補正量が許容されるにも係わらず±3%の補正量に制限すれば、周波数変動を抑制する機能が十分発揮できない。
【0049】
本発明の課題は、出力設定補正量33に対して周波数補償量31と協調がとれた適切な上下限制限を掛けることにより、負荷運転状態に係わらず、プラント安定性の維持と許容される最大限の周波数変動抑制効果の発揮を両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0050】
前記本発明の課題を解決するため、周波数偏差に応じてMWD22を補正する周波数補償回路とは別に、周波数偏差に応じて出力設定補正信号33を生成し、MWD22に加算して発電量制御の制御目標値とする出力設定補正機能を持つ場合に、出力設定補正信号33についても周波数補償信号に掛ける上下限制限値とは異なる上下限制限値を掛ける手段を含み、一例として、周波数補償信号28と周波数補償下限信号27との差分から周波数補償下限裕度信号34を求める手段と、周波数補償信号31と周波数補償上限信号30との差分から周波数補償上限裕度信号37を求める手段と、下限裕度信号34,上限裕度信号37各々に係数を掛け合わせて出力設定補正下限信号35,同上限信号38とする手段と、出力設定補正信号33を前記上下限信号35,38にて制限する手段と、前記上下限信号35,38にて制限された出力設定補正信号39をMWD22と加算して発電機出力設定信号42とする手段を含む制御回路にて構成するか、
別の手段として、周波数補償下限信号27、同上限信号30とは別に、出力設定補正専用の上下限制限信号35,38を生成する手段と、出力設定補正信号33に対して前記上下限制限信号35,38にて上下限制限する手段と、上下限制限された出力設定補正信号39をMWD22と加算して発電機出力設定信号42とする手段を含む制御回路にて構成し、
更に、出力設定補正関数32の入力である周波数信号23又は出力設定補正信号33〜39の間にLAGを含ませる場合もある。
【0051】
また、あらゆる周波数偏差に対して、周波数補償量31と出力設定補正量39の合計補正量が、少なくとも周波数補償上限制限値30及び下限制限値27の範囲内に入るように構成するか、
又は周波数補償信号31と出力設定補正信号39をインターロック回路や補正関数の設定により使い分けする場合を考慮して、周波数補償量上下限制限と出力設定補正量上下限制限を個別に設け、それぞれの機能においてプラントの安定性が確保できるように制御回路を構成し、
更に、場合によってはLAG40により出力設定補正信号39を遅らせて、発電機出力設定値42と回転数補正信号17による発電機出力43の変化の位相を合致させるように制御回路を構成する。
【0052】
このように制御装置を構成することにより、周波数偏差が生じたとき周波数補償量31と出力設定補正量39を、それぞれプラントの安定性を確保し且つ最大の効果を発揮できるように最適な設定とすることが可能である。
【0053】
請求項1記載の発明は、ボイラ1と、ボイラ1で生成された蒸気5の熱的エネルギを電気エネルギに変換する蒸気タービン2と、該蒸気タービン2と同軸の発電機3と、ボイラ1から蒸気タービン2へ供給する蒸気5の流量を調整するタービン加減弁4と、ボイラ1の運転及び蒸気タービン加減弁4の操作をそれぞれ制御するプラント制御装置6と、プラント制御装置6から出力される負荷指令信号45にタービン回転数補正信号17を加えてタービン加減弁4を調節するタービン調速機能部とを備えた火力発電プラントに用いられる周波数バイアス制御装置において、プラント制御装置6は、発電量の出力指令信号21の入力があると、送電系統の設定した周波数と出力周波数信号23との間に生じる周波数偏差に応じた周波数補償信号25をプラントが許容できる補正範囲に制限して周波数補償信号31を得て、該周波数補償信号31を前記出力指令信号21に加えて負荷要求信号22を生成する周波数補正回路と、前記周波数偏差に応じた発電量の出力設定補正信号33を生成し、得られた出力設定補正信号33もプラントが許容できる補正範囲に制限して出力設定補正信号39を得て、該出力設定補正信号39を前記負荷要求信号22に加算して発電量制御の制御目標値とする出力設定補正回路と、得られた周波数補償信号31と出力設定補正信号39を負荷要求信号22に加算して発電機出力設定信号42とし、これに発電機出力信号43を加えてフィードバック制御により得られた負荷指令信号45を前記タービン加減弁4に出力する負荷指令回路とを備えた火力発電プラントの周波数バイアス制御装置である。
【0054】
請求項2記載の発明は、プラント制御装置6の周波数補正回路は、プラントが許容できる負荷要求指令22の許容変動量に基づき設定される周波数補償下限関数26と周波数補償上限関数29により出力指令信号21の周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30をそれぞれ得て、該上下限信号27,30をもとに前記周波数補償信号25を制限した周波数補償信号31を得る構成とし、プラント制御装置6の出力設定補正回路は、前記目標値周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30に対する該周波数補償信号31の上下限裕度を演算して周波数補償量下限余裕信号34と周波数補償量上限余裕信号37をそれぞれ得て、該周波数補償量上下限余裕信号37,34にそれぞれ所定の係数K1、K2を掛け合わせた信号をそれぞれ出力設定補正下限信号35と出力設定補正上限信号38とし、得られた出力設定補正上下限信号38,35により前記周波数偏差に応じた発電量の出力設定補正信号33に対して制限を加えて出力設定補正信号39とする構成とする請求項1記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置である。
【0055】
請求項3記載の発明は、プラント制御装置6の周波数補正回路は、プラントが許容できる負荷要求指令22の変動量に基づき設定される周波数補償下限関数26と周波数補償上限関数29によりそれぞれ目標値周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30を得て、前記周波数補償信号25を前記上下限信号30,27をもとに制限した周波数補償信号31を得る構成とし、プラント制御装置6の出力設定補正回路は、出力指令21に基づき設定される出力設定補正下限関数50と出力設定補正上限関数53によりそれぞれ出力設定補正下限信号35と出力設定補正上限信号38を得て、該出力設定補正上下限信号38,35により前記周波数偏差に応じた出力設定補正信号33に対して制限を加えて出力設定補正信号39とする構成とした請求項1記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置である。
【0056】
請求項4記載の発明は、プラント制御装置6の出力設定補正回路には、周波数信号23、出力設定補正信号33及び出力設定補正信号39の少なくともいずれかに遅れ要素40を加える請求項2又は3記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置である。
【0057】
請求項5記載の発明は、プラント制御装置6は、周波数補償上限制限値30と周波数補償下限制限値27と周波数補償信号(=周波数補償量)31と出力設定補正信号(=出力設定補正量)39との間に以下(1)式と(2)式の関係となる制御動作をすることで、周波数補償信号31と出力設定補正信号39の両補正が加わった状態でプラント運転を行う発電量7の制御を行う請求項2記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置である。
(1) [周波数補償上限制限値30]
≧[周波数補償量31]+[出力設定補正量39]/K1
(2) [周波数補償量下限制限値27]
≦[周波数補償量31]+[出力設定補正量39]/K2
但し、0≦K1≦2、0≦K2≦2
【0058】
請求項6記載の発明は、周波数補正回路により得られる周波数補償信号31と出力設定補正回路により得られる出力設定補正信号39を、それぞれ別々に使い分けるか又は両方使用する請求項3記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置の運用方法である。
【0059】
請求項7記載の発明は、周波数変動が生じた場合に、タービン加減弁4の動作に対する発電量7の遅れをLAG40にて補償し、発電機出力設定値42と発電機出力信号43の位相を合致させることで制御上の外乱を防ぎ、安定したプラント制御を行う請求項4に記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置の運用方法である。
【発明の効果】
【0060】
請求項1記載の発明によれば、周波数補償に対して出力設定補正をすることにより、高負荷運転状態で十分に補正を生かして最大限の効果を発揮させ、且つプラント安定性が悪くなる低負荷運転状態では補正量に制限を掛け、周波数変動抑制効果とプラント安定性の両立を図れる最適な制御を行うことができるようになる。また、言い換えると、請求項1記載の発明によれば、全負荷帯でプラント安定性を確保した上で、最大の周波数変動抑制効果を得ることができるので、系統周波数の安定に最大限寄与できる。
【0061】
請求項2、5記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、周波数補償と出力設定補正の合計補正量を回路上管理しているので、広範囲に亘って周波数補償と出力設定補正が可能である。
【0062】
請求項3、6記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、周波数補償と出力設定補正の合計補正量を回路上管理していないので、出力設定補正関数32の設定に関しては、周波数補償の不感帯を出力設定補正で補完するような棲み分けを考慮した設定(図5参照)に適している。
【0063】
請求項4、7記載の発明によれば、請求項2、3記載の発明の効果に加えて、高圧タービン2の他に再熱器を利用する中低圧タービンを用いる場合などには、タービン加減弁4の操作と発電量7の時間差に相当するLAG40を出力設定補正回路に挿入すると余分なトランジェント動作を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0065】
図3は従来技術の項で説明した通り本発明の対象である火力発電プラントの構成図であり、図1は図3の火力発電プラントに適用される本発明の一実施形態を示す前記プラントの周波数バイアス制御装置の制御回路図である。
【0066】
図1に示す制御回路は、従来技術である図11の制御回路に加えて、発電機出力43と発電機出力設定値42の位相調整を行なうLAG40と、周波数補償下限信号27と下限制限された周波数補償信号28との減算を行う減算器62と、減算器62の出力信号(周波数補償下限裕度)34に出力指令21を変換関数63で変換した変換信号41(0≦K1≦2)を掛ける乗算器64と、乗算器64の出力信号35と出力設定補正信号33の高値選択をする下限制限器65と、周波数補償上限信号30と上下限制限された周波数補償信号31との減算を行う減算器66と、減算器66の出力信号(周波数補償上限裕度)37に前記変換信号41(図1ではK1=K2として、共通の変換信号41を用いている)を掛ける乗算器68と、乗算器68の出力信号38と出力設定補正信号36の低値選択をする上限制限器69と、周波数補償量裕度から出力設定補正上下限制限値に変換する変換関数63とその出力信号である変換信号41を含んで構成されている。そして、前記LAG40で位相調整された発電機出力43の出力周波数信号23は出力設定補正関数32で補正されて得られた出力設定補正信号33は下限制限器65で下限が設定された出力設定補正信号36となり、この出力設定補正信号36は上限制限器69で上限が設定された出力設定補正信号39となり、負荷要求信号(MWD)22に合算される。
【0067】
本発明の制御回路及び制御信号の挙動について図1を用いて説明する。
従来技術のケース3で説明したと同じように具体的数値を仮定する。周波数補償関数24及び出力設定補正関数32は図6に示す設定とする。出力指令21〜発電量7まで70%で安定しているとして以下に説明する。
【0068】
火力発電プラントの運転中に周波数信号23が変動して周波数偏差が+0Hzから+0.2Hzになったとき、周波数補償信号25の値は図6に示す通り−2.5%となる。出力指令70%における周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30は図7に示す通り±7%である。よって周波数補償信号25は周波数補償下限制限器60と周波数補償上限制限器61で制限を受けることなく、−2.5%のまま周波数補償信号31として出力される。
【0069】
出力設定補正信号33は図6に示す通り−7.5%となる。ここで出力設定補正上下限動作は以下のように働く。周波数補償下限裕度34は、周波数補償下限値(−7%)−周波数補償信号28(−2.5%)=−4.5%となり、周波数補償上限裕度37は、周波数補償上限値(+7%)−周波数補償信号31(−2.5%)=+9.5%となる。ここでは0〜2の範囲の数値をとる変換関数63の出力信号41の実施例として、K1=1、K2=1とし、出力設定補正下限信号35は−4.5%、同上限信号38は+9.5%となる。
【0070】
K1、K2の値については、調定率関数16の特性と発電機出力設定信号42の特性を合わせるため「1」を基本とする。但し、後述の通り蒸気量5の圧力変動が大きい場合には1以下の数値に設定する場合がある。
一方、出力設定補正関数32が図5の特性の場合、小さな周波数変動範囲の動作のため圧力変動に余裕がある条件ではK1、K2を1〜2の範囲で設定し、より大きな効果を得ることもできる。
【0071】
出力設定補正信号33(−7.5%)と出力設定補正下限信号35(−4.5%)は下限制限器65にて高値選択され、出力設定補正信号36として−4.5%に制限されて出力する。更にこの出力設定補正信号36(−4.5%)と出力設定補正上限信号38(+9.5%)は上限制限器69にて低値選択され、出力設定補正信号39として−4.5%を出力する。
【0072】
上下限制限前の周波数補償信号25と出力設定補正信号33の合計補正量−2.5%+(−7.5%)=−10%に対し、上下限制限後の周波数補償信号31と出力設定補正信号39の合計補正量は−2.5%+(−4.5%)=−7%となり、合計補正量が周波数補償下限値27(−7%)に制限されたことになる。ちなみに従来技術ケース3では、出力設定補正信号に制限がないため、合計補正量は−10%となり周波数補償下限制限値を超過する。
【0073】
出力制御については、MWD22が出力指令21(70%)+周波数補償量31(−2.5%)=67.5%になり、発電機出力設定値42はMWD22(67.5%)+出力設定補正量39(−4.5%)=63%になり、合計−7%補正されるのに対し、タービン2の調速機能による回転数補正信号17は、従来技術にて説明の通り+0.2Hzが−12rpm偏差に相当するため、
−12rpm÷(3000rpm×4/100)×100%=−10%
となる。
【0074】
前記したとおり最終的に発電量7は発電機出力設定信号42に出力制御されるので、調速機能の周波数変動抑制効果で発電量7が−10%補正されるところ、出力指令70%にて運転中のプラントの安定性を確保するために出力制御にて発電量7の補正量は−7%に抑制される。
【0075】
周波数変動条件を変えた例により説明する。
周波数11の変動が+0Hzから−0.3Hzになった場合、周波数補償信号25の値は図6に示す通り+7.5%となる。出力指令70%における周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30は図7に示す通り、±7%である。周波数補償信号25(+7.5%)と周波数補償下限信号27(−7%)は下限制限器60により高値選択され、周波数補償信号28として+7.5%を出力する。更に周波数補償信号28(+7.5%)と周波数補償上限信号30(+7%)は上限制限器61により低値選択され、周波数補償信号31として+7%に制限されて出力する。
【0076】
出力設定補正信号33は図6に示す通り、周波数補償信号25と同じ+7.5%が出力される。周波数補償下限裕度34は、減算器62により周波数補償下限信号27(−7%)−周波数補償信号28(+7.5%)=−14.5%となる。変換係数41は1なので出力設定補正下限信号35も−14.5%となる。また周波数補償上限裕度37は、減算器66により周波数補償上限信号30(+7%)−周波数補償信号31(+7%)=0%となり、出力設定補正上限信号38も同値の0%となる。
【0077】
次に出力設定補正信号33(+7.5%)と出力設定補正下限信号35(−14.5%)は下限制限器65にて高値選択され、出力設定補正信号36として+7.5%を出力する。更にこの出力設定補正信号36(+7.5%)と出力設定補正上限信号38(+0%)は上限制限器69にて低値選択され、出力設定補正信号39として0%に制限されて出力する。上下限制限前の周波数補償信号25と出力設定補正信号33の合計補正量は+7.5%+7.5%=+15%に対し、上下限制限後の周波数補償信号31と出力設定補正信号39の合計補正量+7%+0%=+7%となり、合計補正量が周波数補償上限値+7%にて制限された事になる。この場合も従来技術ケース3では合計補正量が+7%+7.5%=14.5%となり制限値を大きく超過することになる。
【0078】
出力制御については、MWD22は出力指令21(70%)+周波数補償信号31(+7%)=77%に、発電機出力設定信号42はMWD22(77%)+出力設定補正信号39(0%)=77%になり、合計+7%の補正であるのに対し、タービンの調速機能による回転数補正信号17は、−0.3Hzが+18rpm偏差に相当するため、
+18rpm÷(3000rpm×4/100)×100%=+15%
となる。調速機能の周波数変動抑制効果で発電量7が+15%補正されるところ、出力指令70%にて運転中のプラントの安定性を確保するため出力制御にて発電量7の補正量は+7%に抑制される。
【0079】
また、出力指令21が30%の低負荷運転状態について一例を説明する。
周波数23の変動が+0Hzから−0.1Hzになった場合、図6に示す通り周波数補償量25は不感帯の周波数変動範囲なので0%となる。図7より出力指令30%における周波数補償下限信号27は−0%、同上限信号30は+3%となる。周波数補償信号25(0%)と周波数補償下限信号27(0%)とは下限制限器60により高値選択され周波数補償信号28として0%が出力される。更に周波数補償信号28(0%)と周波数補償上限信号30(+3%)とは上限制限器61により低値選択され周波数補償信号31として0%が出力される。
【0080】
出力設定補正信号33は図6に示す通り+5%が出力される。周波数補償下限裕度34は、減算器62により周波数補償下限信号27(0%)−周波数補償信号28(0%)=0%が出力され、出力設定下限信号35も同値の0%となる。次に出力設定補正信号33(+5%)と出力設定補正下限信号35(0%)とは下限制限器65により高値選択され、出力設定補正信号36として+5%を出力する。また周波数補償上限裕度37は、減算器66により周波数補償上限信号30(+3%)−周波数補償信号31(0%)=+3%となり、出力設定上限信号38も同値の+3%となる。出力設定補正信号36(+5%)と出力設定補正上限信号38(+3%)は上限制限器69により低値選択され、出力設定補正信号39として+3%に制限され出力される。上下限制限前の周波数補償量25と出力設定補正量33の合計補正量0%+5%=+5%に対し、上下限制限後の周波数補償量31と出力設定補正量39は0%+3%=+3%となり、合計補正量が周波数補償上限値30の+3%にて制限された事になる。この条件でも従来技術ケース3では、合計補正量は0%+5%=5%となり制限値を超過することになる。
【0081】
出力制御については、MWD22=出力指令21(30%)+周波数補償信号31(0%)=30%で、発電機出力設定信号42=MWD22(30%)+出力設定補正信号39(+3%)=33%となり合計+3%の補正に対し、タービンの調速機能による回転数補正信号17は、−0.1Hzが+6rpm偏差に相当するため、
+6rpm÷(3000rpm×4/100)×100%=+5%
となる。調速機能の周波数変動抑制効果で発電量7が+5%補正されるところ、出力指令30%にて運転中のプラントの安定性を確保するため出力制御にて発電量7の補正量は+3%に抑制される。
【0082】
ところで変換係数63は0〜1の値をとる。その理由は同じ補正量であっても周波数補償より出力設定補正の方がプラント状態量の変動が大きく安定性に悪影響を与える場合があり、元々周波数補償用に設定してある周波数補償上下限制限関数26,29を出力設定補正の上下限制限に適用するには若干減じて使用するのが適当な場合がある。
【0083】
周波数補償や出力設定補正がプラントへ与える影響として最も懸念されるのは、ボイラ1の蒸気圧力変動である。蒸気圧力はボイラ1の蒸気発生量とタービン加減弁4を通過する蒸気量5のバランスにより変動する。例えば安定状態においてタービン加減弁4を絞り蒸気量5が少なくなると、(ボイラ1の蒸発量)>(蒸気量5)となり、蒸気供給量が消費量を上回るためボイラ1の蒸気圧力は上昇する。このときにはボイラ1の蒸気圧力が戻るまで、図示はしていないがボイラ制御信号73を低減して給水量、燃料量を少なくする必要がある。タービン加減弁4を開いた場合は反対に圧力が低下するので、ボイラ1の給水量、燃料量を増加させて蒸発量を増やし、蒸気圧力を回復させ蒸気量5とバランスさせなければならない。
【0084】
ここで周波数補償と出力設定補正の蒸気圧力に対する挙動の違いを説明する。
周波数変動があって周波数補償量31による補正が生じた場合は、タービン回転数補正信号17によりタービン加減弁4が制御され、MWD22は周波数補償量31により相当量の補正がなされる。図1に示す通り、MWD22は発電機出力設定信号42とボイラ制御信号73を同時に同量補正する。従ってタービン加減弁4の制御(蒸気量5の調節)と、図示はしていないがボイラ制御信号73によるボイラ1の給水量、燃料供給量の制御(蒸発量の調節)が、同位相で操作されるため、ボイラ1の応答遅れはあるもののボイラ1の蒸発量と蒸気量5の差は相対的に少なく、よって圧力変動は比較的少ない。
【0085】
一方、出力設定補正量39による補正が生じた場合には、タービン回転数補正信号17によりタービン加減弁4が制御され、発電機出力設定信号42は出力設定補正量39により相当量の補正がなされ発電量7は発電機出力設定信号42にバランスするものの、MWD22は変わらないためボイラ制御信号73は直接補正されない。そのため蒸気量5が調節されてもボイラ1の蒸発量が変わらないため蒸気量の需給バランスが崩れ、蒸気圧力が変動する。この蒸気圧力の変動を圧力偏差70として捉えて、PI制御器71でボイラマスタ信号72を増減し、蒸気圧力が元に戻るまでボイラ制御信号73を調節する。先にタービン加減弁4が制御(蒸気量5の調節)され、それにより蒸気量アンバランスが生じて蒸気圧力が変動した後、ボイラ1の給水量、燃料供給量が制御(蒸発量の調節)されるため操作に時間差が生じ、前記の周波数補償に比べてボイラ1の対応が遅く蒸気量の需給アンバランスが大きくなるので、圧力変動も相対的に大きくなる。
【0086】
周波数補償量及び出力設定補正量と圧力変動量との関係について試験結果の一例を図8、図9に示す。図8は周波数補償量と圧力変動の関係を示し、図9は出力設定補正量と圧力変動の関係を示す。周波数補償量の圧力変動特性と出力設定補正量の圧力変動特性を比べると、周波数補償量による圧力変動は出力設定補正量による圧力変動の6割程度と少ない。上記の一実施形態のように周波数補償用に設定してある上下限関数26,29を出力設定補正量の上下限制限に利用する場合、通常周波数補償回路の効果と出力設定補正回路の効果を等価とするため、変換関数63は「1」に設定するが、出力設定補正量による圧力変動を周波数補償量による圧力変動と同等に抑制する必要がある場合には変換関数63は「0.6程度」に設定するのが適当である。
【0087】
本実施例では、周波数補償下限裕度34は周波数補償下限信号27から周波数補償量28を減算して求めているが、例えば周波数補償下限裕度34は周波数補償下限信号27から周波数補償信号25を減算して「0」との低値選択をすることで同一の信号を得ることもできる。式で表すと、
周波数補償下限裕度34=周波数補償下限値27−周波数補償量28
=Min.{(周波数補償下限値27−周波数補償量25),0}
同様に周波数補償上限裕度37についても、下記は同一信号となる。
周波数補償上限裕度37=周波数補償上限値30−周波数補償量31
=Max.{(周波数補償上限値30−周波数補償量25),0}
これは周波数補償信号の上限下限裕度34,37を求める回路として、周波数補償信号25,28,31及び周波数補償上下限信号27,30の組み合わせで複数の計算方法が存在するということであり、図1の実施形態はその内の一例に過ぎない。
【0088】
また図3には示されていないが、一般の火力発電プラントには効率向上のため再熱器がある。タービン加減弁4の開度を調節すれば高圧タービン2に流入する蒸気量5が制御されて高圧タービン2の仕事率は遅れなく追従する。但しタービン加減弁4の開度調節により蒸気量5が制御されても、高圧タービン2から排出された蒸気が再熱器を経由して中低圧タービン(図示せず)へ流入までの容積効果により、中低圧タービンへ流入する蒸気量は下限弁4の開度調節に対してやや遅れる。中低圧タービンの出力は発電量の7割近くを占めるため、実際には発電量7はタービン加減弁4の開度調節より遅れることになる。従い周波数変動と同期して周波数補償信号31や出力設定補正信号39で発電機出力設定信号42を補正したのでは、実際の発電機出力43より先に補正が入り、タービン加減弁4の操作がオーバーアクションぎみになってしまう。そこでタービン加減弁4の操作と発電量7の時間差に相当するLAG40を出力設定補正回路に挿入すると余分なトランジェント動作を抑制することができる。周波数補償回路のLAGも同様の遅れ時間に設定するのがよい。
【実施例2】
【0089】
本発明の他の実施形態を図2に示す。前記の図1に示す実施の形態では出力設定補正信号33に対する上下限制限値35,38を、周波数補償信号25の上下限裕度34,37から生成したのに対し、本実施形態の特徴は出力設定補正信号33に対する上下限制限値35,38を、出力指令21を入力とする関数にて個別に得ることにあり、周波数補償回路の裕度とは回路上の相関関係はない。
【0090】
図2の回路構成は、まず出力指令21を入力とする出力設定補正下限関数50により出力設定補正下限信号35を生成し、同じ出力指令21を入力とする出力設定補正上限関数53により出力設定補正上限信号38を生成する。出力設定補正関数32から出力される出力設定補正信号33と出力設定補正下限信号35を下限制限器65にて高値選択して出力設定補正信号36を出力する。その出力設定補正信号36と出力設定補正上限信号38を上限制限器69にて低値選択して出力設定信号補正量39とし、MWD22に加算して発電機出力設定信号42とする。
【0091】
動作は出力設定補正下限信号35、出力設定補正上限信号38の生成過程が異なるだけで、出力設定補正信号33に対する上下限制限値35,38の制限方法や出力制御の動作などは図1の実施形態と変わりない。
【0092】
出力設定上下限関数50,53の設定値は、図1の実施形態の説明で述べたように、周波数補償上下限関数26,29の設定値と同じかあるいは若干小さい設定値にするのが良い。例えば図8,12に示すような圧力応答の比率差であれば、周波数補償上下限関数26,29の設定値の0.6〜1倍程度が適正範囲である。また、本実施形態では周波数補償と出力設定補正の合計補正量を回路上管理していないので、出力設定補正関数32の設定に関しては、図6に示すような両補正量が広い範囲に亘って混在する設定は好ましくなく、図5に示す周波数補償の不感帯を出力設定補正で補完し、及び/または出力指令21の範囲で分担分けするような棲み分けを考慮した設定が適当である。
【0093】
なお、LAG40の遅れ時間は、実施例1、2共に0〜20秒の間の適切な値に設定される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、最大限ガバナフリー効果を高めることができ、低負荷でも安定したガバーナーフリーの周波数調整能力がある火力発電プラントとして利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態の一例に関わる制御回路を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態に関わる制御回路を示す図である。
【図3】火力発電プラントの構成を示す図である。
【図4】周波数補償関数設定値の一例を示した図である。
【図5】出力設定補正関数設定値の一例を示した図である。
【図6】出力設定補正関数設定値の他の例を示した図である。
【図7】周波数補償上下限制限関数の一例を示した図である。
【図8】周波数補償量と圧力変動の関係を示した図である。
【図9】出力設定補正量と圧力変動の関係を示した図である。
【図10】従来例に関わる制御回路を示す図である。
【図11】従来例に関わる制御回路を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 ボイラ 32 出力設定補正関数
2 蒸気タービン 33 出力設定補正信号
3 発電機 34 周波数補償下限裕度
4 タービン加減弁 35 出力設定補正下限信号
5 蒸気量 36 出力設定補正信号
6 APC(プラント制御装置) 37 周波数補償上限裕度
7 発電量 38 出力設定補正上限信号
8 発電量検出器 39 出力設定補正信号
9 発電量信号 40 遅れ要素
10 周波数検出器 41 変換信号
11 周波数信号 42 発電機出力設定信号
12 タービン回転数検出器 43 発電機出力信号
13 回転数信号 44 発電機出力偏差信号
14 基準回転数信号 45 負荷指令
15 回転数偏差信号 46 PI制御器
16 調定率関数 47 切替器
17 回転数補正信号 50 出力設定補正下限関数
18 タービン加減弁指令 53 出力設定補正上限関数
19 タービン加減弁サーボ 60 下限制限器
20 出力目標値 61 上限制限器
21 出力指令 62 減算器
22 負荷要求信号(MWD) 63 変換関数
23 周波数信号 64 乗算器
24 周波数補償関数 65 下限制限器
25 周波数補償信号 66 減算器
26 周波数補償下限関数 68 乗算器
27 周波数補償下限信号 69 上限制限器
28 周波数補償信号 70 主蒸気圧力偏差
29 周波数補償上限関数 71 PI制御器
30 周波数補償上限信号 72 ボイラマスタ信号
31 周波数補償信号 73 ボイラ制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ1と、ボイラ1で生成された蒸気5の熱的エネルギを電気エネルギに変換する蒸気タービン2と、該蒸気タービン2と同軸の発電機3と、ボイラ1から蒸気タービン2へ供給する蒸気5の流量を調整するタービン加減弁4と、ボイラ1の運転及び蒸気タービン加減弁4の操作をそれぞれ制御するプラント制御装置6と、プラント制御装置6から出力される負荷指令信号45にタービン回転数補正信号17を加えてタービン加減弁4を調節するタービン調速機能部とを備えた火力発電プラントに用いられる周波数バイアス制御装置において、
プラント制御装置6は、
発電量の出力指令信号21の入力があると、送電系統の設定した周波数と出力周波数信号23との間に生じる周波数偏差に応じた周波数補償信号25をプラントが許容できる補正範囲に制限して周波数補償信号31を得て、該周波数補償信号31を前記出力指令信号21に加えて負荷要求信号22を生成する周波数補正回路と、
前記周波数偏差に応じた発電量の出力設定補正信号33を生成し、得られた出力設定補正信号33もプラントが許容できる補正範囲に制限して出力設定補正信号39を得て、該出力設定補正信号39を前記負荷要求信号22に加算して発電量制御の制御目標値とする出力設定補正回路と、
得られた周波数補償信号31と出力設定補正信号39を負荷要求信号22に加算して発電機出力設定信号42とし、これに発電機出力信号43を加えてフィードバック制御により得られた負荷指令信号45を前記タービン加減弁4に出力する負荷指令回路と
を備えたことを特徴とする火力発電プラントの周波数バイアス制御装置。
【請求項2】
プラント制御装置6の周波数補正回路は、プラントが許容できる負荷要求指令22の許容変動量に基づき設定される周波数補償下限関数26と周波数補償上限関数29により出力指令信号21の周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30をそれぞれ得て、該上下限信号27,30をもとに前記周波数補償信号25を制限した周波数補償信号31を得る構成とし、
プラント制御装置6の出力設定補正回路は、前記目標値周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30に対する該周波数補償信号31の上下限裕度を演算して周波数補償量下限余裕信号34と周波数補償量上限余裕信号37をそれぞれ得て、該周波数補償量上下限余裕信号37,34にそれぞれ所定の係数K1、K2を掛け合わせた信号をそれぞれ出力設定補正下限信号35と出力設定補正上限信号38とし、得られた出力設定補正上下限信号38,35により前記周波数偏差に応じた発電量の出力設定補正信号33に対して制限を加えて出力設定補正信号39とする構成とする
ことを特徴とする請求項1記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置。
【請求項3】
プラント制御装置6の周波数補正回路は、プラントが許容できる負荷要求指令22の変動量に基づき設定される周波数補償下限関数26と周波数補償上限関数29によりそれぞれ目標値周波数補償下限信号27と周波数補償上限信号30を得て、前記周波数補償信号25を前記上下限信号30,27をもとに制限した周波数補償信号31を得る構成とし、
プラント制御装置6の出力設定補正回路は、出力指令21に基づき設定される出力設定補正下限関数50と出力設定補正上限関数53によりそれぞれ出力設定補正下限信号35と出力設定補正上限信号38を得て、該出力設定補正上下限信号38,35により前記周波数偏差に応じた出力設定補正信号33に対して制限を加えて出力設定補正信号39とする構成としたことを特徴とする請求項1記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置。
【請求項4】
プラント制御装置6の出力設定補正回路には、周波数信号23、出力設定補正信号33及び出力設定補正信号39の少なくともいずれかに遅れ要素40を加えることを特徴とする請求項2又は3記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置。
【請求項5】
プラント制御装置6は、周波数補償上限制限値30と周波数補償下限制限値27と周波数補償信号(=周波数補償量)31と出力設定補正信号(=出力設定補正量)39との間に以下(1)式と(2)式の関係となる制御動作をすることで、周波数補償信号31と出力設定補正信号39の両補正が加わった状態でプラント運転を行う発電量7の制御を行うことを特徴とする請求項2記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置。
(1) [周波数補償上限制限値30]
≧[周波数補償量31]+[出力設定補正量39]/K1
(2) [周波数補償量下限制限値27]
≦[周波数補償量31]+[出力設定補正量39]/K2
但し、0≦K1≦2、0≦K2≦2
【請求項6】
周波数補正回路により得られる周波数補償信号31と出力設定補正回路により得られる出力設定補正信号39を、それぞれ別々に使い分けるか又は両方使用することを特徴とする請求項3記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置の運用方法。
【請求項7】
周波数変動が生じた場合に、タービン加減弁4の動作に対する発電量7の遅れをLAG40にて補償し、発電機出力設定値42と発電機出力信号43の位相を合致させることで制御上の外乱を防ぎ、安定したプラント制御を行うことを特徴とした請求項4に記載の火力発電プラントの周波数バイアス制御装置の運用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−161566(P2006−161566A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349743(P2004−349743)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】