説明

炊飯器

【課題】炊飯中の異常状態を検知する炊飯器において、同じ異常状態が発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、正確な異常状態の情報を提供する。
【解決手段】スイッチング素子温度検知手段27が一定以上の温度を検知した場合スイッチング素子33の冷却状態が異常であると判断する異常状態検知手段44が、異常状態を検知した炊飯回数を記憶する異常炊飯回数記憶手段45を備え、異常状態検知手段44が異常状態を検知した場合に、炊飯終了後、表示手段23に異常状態による炊飯である異常状態表示を行い、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数が所定数を超えた場合には炊飯器異常である表示にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯動作中に発生する異常状態を検知可能な電磁誘導加熱炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能な家庭電化機器としてマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)を内蔵した各種機器が提供されている。高機能な家庭電化機器においては、使用者の選択した指令に応答して、マイコンに格納された対応する動作プログラムが起動し、使用者が望む動作が実行される。当該家庭電化機器においては、動作プログラムが起動することにより、各種動作が指定された順に稼働し、使用者の選択した所望の動作が実行される。
【0003】
しかし、家庭電化機器の動作中において、例えば使用者の誤操作、部品の故障、断線、停電等の異常状態が生じる場合がある。このように異常状態が生じた場合、使用者が指令した動作プログラムに従って忠実に実行できないため、動作プログラムに代わって安全性を確保しつつ動作を終了させるために特別なプログラムが実行されている。このような異常状態が生じた場合には、その異常状態を出来るだけ早く確実に検知して、使用者に通知する必要がある。そのため、家庭電化機器においては、各種センサーを設けて異常状態を検知し、その異常状態を使用者に通知する手段を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−308570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の電磁誘導加熱炊飯器では、炊飯動作中に、炊飯器本体内に設置された温度検出手段により、検出温度が一定温度を越えた場合に、冷却ファンの異常と判定し、加熱コイルへの通電を禁止している。また、スイッチング素子自体が、長期の使用により劣化して、自己発熱量が増加し、検出温度が一定温度を越える場合もある。そして、炊飯途中で加熱コイルへの通電を禁止しているため、正常な加熱動作ができずに炊飯動作を終了しているため、満足できる炊きあがりにならなかった。
【0005】
一方、炊飯器の使用場所、例えば絨毯の上のように、毛足により吸気口や排気口が密閉される場合、冷却ファンは正常でも、全く上記と同じ動作を行うことがある。そして、このような吸気口や排気口が密閉されたことが原因、すなわち、使用者の使用誤りであるのか、部品の不良や劣化が原因であるのか、炊飯器の制御手段では判定できず、同じ異常表示をするしか方法がないという問題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、炊飯動作中に発生する異常状態の回数を記憶して、同じ異常状態が数回発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給する共振コンデンサとスイッチング素子からなるインバータ回路と、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記スイッチング素子もしくはその近傍の温度を検知するスイッチング素子温度検知手段と、少なくとも前記スイッチング素子を冷却する冷却ファンと、前記冷却ファンによ
り、炊飯器外部から外気を吸気する吸気口と、炊飯器内部の内気を炊飯器外部に排気する排気口と、前記前記駆動回路を制御して炊飯制御を行う制御手段と、炊飯器の状態を表示する表示手段と、炊飯動作中に前記スイッチング素子温度検知手段が一定以上の温度を検知した場合、前記スイッチング素子の冷却状態が異常であると判断する異常状態検知手段と、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶する異常炊飯回数記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、前記表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、前記異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成したものである。
【0008】
これにより、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が数回発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器は、炊飯動作中に正常な炊飯動作が行えなかった場合、そのときの使用状態が異常状態なのか、製品に異常があるのかを判断して異常状態の表示を変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給する共振コンデンサとスイッチング素子からなるインバータ回路と、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記スイッチング素子もしくはその近傍の温度を検知するスイッチング素子温度検知手段と、少なくとも前記スイッチング素子を冷却する冷却ファンと、前記冷却ファンにより、炊飯器外部から外気を吸気する吸気口と、炊飯器内部の内気を炊飯器外部に排気する排気口と、前記駆動回路を制御して炊飯制御を行う制御手段と、炊飯器の状態を表示する表示手段と、炊飯動作中に前記スイッチング素子温度検知手段が一定以上の温度を検知した場合、前記スイッチング素子の冷却状態が異常であると判断する異常状態検知手段と、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶する異常炊飯回数記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、前記表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、前記異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成したものであり、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が数回発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしたものであり、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が数回発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるとともに、製品に異常がある場合には製品の異常が拡大しないようにできる。
【0012】
第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明において、炊飯動作中に前記異常状態検知手段が異常状態を検知しない炊飯回数を記憶する正常炊飯回数記憶手段を備え、制御手段は、前記正常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には、前記異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数をリセットするようにしたものであり、炊飯動作
中に、使用上の問題により、正常な炊飯動作が行えなかった場合、異常状態の表示を確認して、その問題を解消できれば、次回の炊飯からは同じ異常状態は発生しなくなるので、正常炊飯が所定回数連続する場合は、使用上の問題が解消できたと判断して、異常状態が発生した回数をリセットし、製品に異常のない使用方法では使用可能にすることで、使い勝手のよい炊飯器を提供できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示し、図2は、同炊飯器の主要部システム構成図を示すものである。なお、図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線等は省略している。
【0015】
図1に示すように、炊飯器本体10は、上面が開口する略円筒形に形成し、内部に鍋11を着脱自在に収納するため有底筒状の鍋収納部10aを有している。鍋収納部10aの底部には、鍋11を誘導加熱する加熱コイル(加熱手段)12を設けている。底温度センサー13は、鍋11の温度を検知するもので、鍋温度検知手段を構成しており、鍋11の底面と当接するよう付勢して装着し、炊飯および保温時の鍋11の温度を検知している。
【0016】
炊飯器本体10の上面開口部10bは、炊飯器本体10にヒンジ軸15により開閉自在に支持された蓋14で覆われている。蓋14に設けた蒸気口16は、炊飯中の蒸気を排出するものである。蓋14の下面には、鍋11に面した内蓋を構成する放熱板17を設け、この放熱板17上に蓋加熱手段である蓋ヒータ18を設け、放熱板17を加熱するようにしている。また、蓋温度センサー19は、放熱板17の温度を検知して沸騰を検知するもので、沸騰検知手段を構成しており、放熱板17に当接するように設けている。鍋パッキン20は、蓋14を閉じたときに、鍋11の上辺に当接し鍋11を密閉する。
【0017】
制御基板21は、図2に示すように、制御手段30を有するマイクロコンピュータ31を搭載し、制御手段30は、加熱コイル12および蓋ヒータ18への電力供給を制御するとともに、底温度センサー13、蓋温度センサー19の信号を読み込む。入力手段である入力スイッチ22は、使用者が操作時に用いるものである。制御基板21上には、炊飯器の状態を表示する表示手段であるLCD23や、操作時の入力受付報知や炊飯動作終了報知、再加熱動作終了報知のためのブザー(図示せず)を設けている。
【0018】
加熱基板24は、制御基板21からの制御信号を入力して、加熱コイル12に高周波電流を供給するインバータ回路32(図示せず)と、インバータ回路を構成するスイッチング素子33を冷却するためのヒートシンク25、および蓋ヒータ18への電力通電を制御する駆動手段(図示せず)を搭載している。また、ヒートシンク25の下方には、このヒートシンク25に冷却風を送るための冷却ファン26を配置している。
【0019】
また、このヒートシンク25のスイッチング素子33取り付け近傍には、スイッチング素子33の温度を検知するスイッチング素子温度検知手段27が搭載されている。
【0020】
冷却ファン26により炊飯器本体10内に外気を吸気する吸気口28は、冷却ファンの設置された下方の炊飯器本体10の下面前方に配置している。また、炊飯器本体10内の内気を炊飯器外部に排気する排気口29は、炊飯器本体10の下面後方に配置している。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の主要部システム構成図を示すものである。
【0022】
図2に示すように、鍋11は、加熱手段である加熱コイル12と磁気結合している。
【0023】
共振用コンデンサ34は、加熱コイル12に並列接続しており、加熱コイル12と並列共振回路を構成している。
【0024】
スイッチング素子33は、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成されており、ヒートシンク25(図示せず)に密着して設置している。本実施の形態において、加熱コイル12に高周波電流を供給するインバータ回路32は共振用コンデンサ34、スイッチング素子33で構成されている。このスイッチング素子33の温度を検知するスイッチング素子温度検知手段27は、ヒートシンク25(図示せず)上のスイッチング素子33近傍に設置されている。
【0025】
また、このヒートシンク25(図示せず)に冷却風を送るための冷却ファン26(図示せず)を配置している。
【0026】
整流手段35は、整流素子であるダイオードブリッジ36とチョークコイル37と高周波平滑用コンデンサ38で構成されており、商用電源39を整流平滑し、略直流電圧をインバータ回路32に供給する。
【0027】
また、チョークコイル37は、インバータ回路32の高周波電流成分が商用電源39側に高周波ノイズとして漏れることを防止している。
【0028】
駆動回路40は、NPNトランジスタとPNPトランジスタからなるプッシュプル回路で構成されており、マイクロコンピュータ31内の制御手段30がハイパルスを出力している時にスイッチング素子33を構成しているIGBTにハイ電圧を出力する。このハイ電圧がスイッチング素子33に印加されている間スイッチング素子33は導通状態となり、高周波平滑用コンデンサ38に充電されたエネルギーを加熱コイル12に高周波電流として供給する。
【0029】
マイクロコンピュータ31内の制御手段30は、駆動回路42にスイッチング素子33の駆動信号を出力し、インバータ回路32を介して加熱コイル12への電力供給を制御し、蓋ヒータ18(図示せず)への電力供給を制御し、冷却ファン26を駆動すると共に、スイッチング素子温度検知手段27、底温度センサー13(図示せず)、蓋温度センサー19(図示せず)の信号を読み込む。
【0030】
また、マイクロコンピュータ31は、複数の炊飯シーケンスを記憶するシーケンス記憶手段43を有しており、選択手段を構成する入力スイッチ22により、シーケンス記憶手段43に記憶された複数の炊飯シーケンスから選択されたシーケンスに従って、制御手段30が各種の負荷を駆動制御し炊飯動作をすると共に、表示手段であるLCD23に炊飯器の状態を表示する信号を出力する。
【0031】
異常状態検知手段44は、炊飯動作中に発生する誤操作、誤動作などの異常状態を検知するものであり、異常炊飯回数記憶手段45は、異常状態検知手段44が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶するものである。
【0032】
ここで、制御手段30は、シーケンス記憶手段43に記憶された炊飯シーケンスに合わせて加熱コイル12を制御するとともに、異常状態検知手段44が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数が所定回数(例えば、3回)
を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしている。
【0033】
このとき、異常状態検知手段44は、炊飯動作中に、スイッチング素子温度検知手段27により検知したスイッチング素子33の温度が所定の温度を超えた場合、スイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態と判断するようにしている。
【0034】
上記構成において図3を参照しながら動作を説明する。図3は、本実施の形態における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャートを示すものである。
【0035】
図3のステップS1にて動作を開始すると、制御手段2はステップS2にて前炊き工程に入ると、ステップS3に進みスイッチング素子温度検知手段27で検知したスイッチング素子33の温度が所定の温度T1(例えば100℃)を超えていないかを判定し、所定の温度T1に達していなければステップS4に進み、前炊き終了時間に到達したかを判定する。ステップS4にて前炊き終了時間に到達していなければステップS2に戻り、ステップS2からステップS4の動作を繰り返す。ステップS3にて温度T1に到達するまでに、ステップS4にて前炊き終了時間に到達するとステップS5に進む。
【0036】
一方、ステップS4にて前炊き終了時間に到達する前に、ステップS3にてスイッチング素子33の温度が所定の温度T1に到達すると、異常状態検知手段44はスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態と判断し、ステップS6に進み冷却異常炊飯工程に入る。
【0037】
そして、ステップS7にて異常炊飯回数記憶手段45に記憶されている記憶回数に1をプラスし、ステップS8にて異常炊飯回数記憶手段45に記憶されている記憶回数が所定回数(3回)以上かどうかを判定する。
【0038】
ステップS8にて、記憶回数が所定回数(3回)以上でなければステップS9に進み、ステップS9にてLCD(表示手段)23にスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、その後、ステップS10に進んで炊飯動作を停止して終了する。ステップS8にて異常炊飯回数記憶手段45に記憶されている記憶回数が所定回数(3回)を超えた場合にはステップS11に進み、ステップS11にてLCD(表示手段)23に炊飯器異常である異常表示(H12)を行い、その後、ステップS12に進んで炊飯動作を停止して終了する。
【0039】
また、ステップS3にて温度T1に到達するまでに、ステップS4にて前炊き終了時間に到達するとステップS5に進み、炊き上げ工程に入る。
【0040】
ステップS5にて炊き上げ工程に入ると、ステップS13に進みスイッチング素子温度検知手段27で検知したスイッチング素子33の温度が所定の温度T1(例えば100℃)を超えていないかを判定し、所定の温度T1に達していなければステップS14に進み、炊き上げ終了温度に到達したかを判定する。ステップS14にて炊き上げ終了温度に到達していなければステップS5に戻り、ステップS5からステップS14の動作を繰り返す。ステップS13にて温度T1に到達するまでに、ステップS14にて炊き上げ終了温度に到達するとステップS15に進み、むらし工程に入る。
【0041】
一方、ステップS13にて炊き上げ終了温度に到達する前に、ステップS13にてスイッチング素子33の温度が所定の温度T1に到達すると、異常状態検知手段44はスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態と判断し、ステップS6に進み冷却異常炊飯工程に入る。
【0042】
ステップS15にてむらし工程に入ると、ステップS16に進みスイッチング素子温度検知手段27で検知したスイッチング素子33の温度が所定の温度T1(例えば100℃)を超えていないかを判定し、所定の温度T1に達していなければステップS17に進み、むらし終了時間に到達したかを判定する。
【0043】
ステップS17にてむらし終了時間に到達していなければステップS15に戻り、ステップS15からステップS17の動作を繰り返す。ステップS16にて温度T1に到達するまでに、ステップS17にてむらし終了時間に到達するとステップS18に進み、炊飯を終了する。
【0044】
一方、ステップS17にてむらし終了時間に到達する前に、ステップS16にてスイッチング素子33の温度が所定の温度T1に到達すると、異常状態検知手段44はスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態と判断し、ステップS6に進み冷却異常炊飯工程に入る。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段30は、異常状態検知手段44がスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23にスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数が所定回数(3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更するよう構成したので、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が数回発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0046】
また、制御手段30は、異常状態検知手段44がスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23にスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数が所定回数(3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしたので、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が数回発生する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるとともに、製品に異常がある場合には製品の異常が拡大しないようにできる。
【0047】
なお、本実施の形態では、スイッチング素子温度検知手段27は、ヒートシンク25のスイッチング素子33取り付け近傍に配置しているが、加熱基板24上に配置しても同様な効果を得られる。
【0048】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態3における炊飯器の炊飯器の主要部ブロック図を示すものである。
【0049】
図4に示すように、正常炊飯回数記憶手段46は、異常状態検知手段44がスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態を検知しなかった炊飯動作回数を記憶するものである。
【0050】
ここで、制御手段30は、シーケンス記憶手段43に記憶された炊飯シーケンスに合わせて加熱コイル12を制御するとともに、異常状態検知手段44が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23にスイッチング素子33の冷却状態が正
常でない異常状態による炊飯動作である異常状態表示(U12)を行い、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数を1プラスする。一方、異常状態検知手段44がスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態を検知せずに炊飯動作終了した場合、LCD(表示手段)23には異常状態表示(U12)は行わず、正常炊飯回数記憶手段46に記憶された回数を1プラスする。そして、正常炊飯回数記憶手段46に記憶された回数が所定の回数(例えば、2回)になった場合には、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数をリセットする。
【0051】
この状態で、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数が所定回数(例えば、3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしている。
【0052】
このとき、異常状態検知手段44は、炊飯動作中に、スイッチング素子温度検知手段27により検知したスイッチング素子33の温度が所定の温度を超えた場合、スイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態と判断するようにしている。
【0053】
他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
上記構成において図5を参照しながら動作を説明する。図5は、本実施の形態における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャートを示すものである。なお、ステップS1からステップS17の動作は、上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0055】
図5のステップS1にて動作を開始すると、制御手段30はステップS2にて前炊き工程に入り、ステップS4にて前炊き終了時間に到達すると、ステップS5に進み、炊き上げ工程に入る。その後、ステップS14にて炊き上げ終了温度に到達すると、ステップS15に進み、むらし工程に入る。
【0056】
ステップS15にてむらし工程に入ると、ステップS16に進みスイッチング素子温度検知手段27で検知したスイッチング素子33の温度が所定の温度T1(例えば100℃)を超えていないかを判定し、所定の温度T1に達していなければステップS17に進み、むらし終了時間に到達したかを判定する。
【0057】
ステップS17にてむらし終了時間に到達していなければステップS15に戻り、ステップS15からステップS17の動作を繰り返す。ステップS16にて温度T1に到達するまでに、ステップS17にてむらし終了時間に到達するとステップS19に進む。
【0058】
そして、ステップS19にて正常炊飯回数記憶手段46に記憶されている記憶回数に1をプラスし、ステップS20にて正常炊飯回数記憶手段46に記憶されている記憶回数が所定回数(2回)以上かどうかを判定する。
【0059】
ステップS20にて、記憶回数が所定回数(2回)以上でなければステップS21に進み、炊飯を終了する。
【0060】
一方、ステップS20にて正常炊飯回数記憶手段46に記憶されている記憶回数が所定回数(2回)を超えた場合にはステップS22に進み、ステップS22にて異常炊飯回数記憶手段45に記憶されている記憶回数をリセット(0回)し、その後、ステップS23に進んで炊飯を終了する。
【0061】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段30は、異常状態検知手段44がスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後
、LCD(表示手段)23にスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数を1プラスする。一方、異常状態検知手段44がスイッチング素子33の冷却状態が正常でない異常状態を検知せずに炊飯動作終了した場合、LCD(表示手段)23には異常状態表示は行わず、正常炊飯回数記憶手段46に記憶された回数を1プラスする。そして、正常炊飯回数記憶手段46に記憶された回数が所定の回数(2回)になった場合には、異常炊飯回数記憶手段45に記憶された回数をリセットする。
【0062】
すなわち、使用者が、異常炊飯表示(U12)を確認して、例えば絨毯の上に炊飯器をおいて吸気口や排気口を塞いでしまっていることに気が付いた場合、置き場所を変更することで、正常な冷却状態になるため、次回の炊飯からは同じ異常状態は発生しなくなるので、正常炊飯が所定回数連続する場合は、使用上の問題が解消できたと判断して、異常状態が発生した回数をリセットし、製品に異常のない使用方法では使用可能にすることで、使い勝手のよい炊飯器を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、炊飯動作中に正常な炊飯動作が行えなかった場合、その使用状態が異常状態なのか、製品に異常があるのかを判断して異常状態の表示を変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるので、炊飯動作中に発生する異常状態を検知可能な炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の主要部ブロック図
【図3】同炊飯器の誤動作表示動作のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器の主要部ブロック図
【図5】同炊飯器の誤動作表示動作のフローチャート
【符号の説明】
【0065】
10 炊飯器本体
11 鍋
12 加熱コイル(加熱手段)
22 入力スイッチ(選択手段)
23 LCD(表示手段)
25 ヒートシンク
26 冷却ファン
27 スイッチング素子温度検知手段
28 吸気口
29 排気口
30 制御手段
33 スイッチング素子
44 異常状態検知回路
45 異常炊飯回数記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給する共振コンデンサとスイッチング素子からなるインバータ回路と、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記スイッチング素子もしくはその近傍の温度を検知するスイッチング素子温度検知手段と、少なくとも前記スイッチング素子を冷却する冷却ファンと、前記冷却ファンにより、炊飯器外部から外気を吸気する吸気口と、炊飯器内部の内気を炊飯器外部に排気する排気口と、前記前記駆動回路を制御して炊飯制御を行う制御手段と、炊飯器の状態を表示する表示手段と、炊飯動作中に前記スイッチング素子温度検知手段が一定以上の温度を検知した場合、前記スイッチング素子の冷却状態が異常であると判断する異常状態検知手段と、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶する異常炊飯回数記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、前記表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、前記異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成した炊飯器。
【請求項2】
制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
炊飯動作中に前記異常状態検知手段が異常状態を検知しない炊飯回数を記憶する正常炊飯回数記憶手段を備え、制御手段は、前記正常炊飯回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には、前記異常炊飯回数記憶手段に記憶された回数をリセットするようにした請求項1または2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−88648(P2010−88648A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261451(P2008−261451)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】