説明

炭化綿製造装置

【課題】 高品質な炭化綿を量産することができる炭化綿製造装置を提供する。
【解決手段】 炭化炉2と、炭化炉2内に長尺布巾状の木綿3を搬送する搬送部4と、炭化炉2内に搬送された木綿3に、加熱水蒸気を透過させる水蒸気供給部5と、加熱水蒸気を排気する水蒸気排気部6と、木綿に水を供給し冷却する冷却部7と、各部を制御する制御部9とを備え、搬送部4は、木綿3を炭化炉2の全長に亘って搬送する第1の搬送部21と、第1の搬送部21の搬送方向と反対の搬送方向に折返し搬送する第2の搬送部22とを有し、第1及び第2の搬送部21、22は、加熱水蒸気を透過するとともに、木綿3を水蒸気供給部5からの加熱水蒸気が供給される方向に対し、所定の角度傾斜する方向に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木綿に加熱水蒸気を噴射することで当該木綿を炭化させ、脱臭作用、導電性等の多機能を有する炭化綿を製造する炭化綿製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機系の廃棄物に加熱水蒸気を噴射することで、当該廃棄物を炭化させる炭化処理が行われている。この炭化処理では、廃棄物を無酸素の還元雰囲気下で燃焼させることなく炭化させることができるため、二酸化炭素、ダイオキシン、悪臭等の発生を避けることができるとともに、廃棄物から活性炭を得ることができる利点がある。そして、この得られる活性炭には、脱臭作用等があることから、その有用性が着目されている。
【0003】
これら廃棄物を炭化処理する装置としては、炭化炉内に廃棄物を投入し、スパイラルコンベアで搬送しながら、加熱水蒸気を噴射し炭化処理を行うものがある。この炭化処理装置では、投入される廃棄物の大きさが様々であることや、含まれる不純物の割合も異なることから、生成される炭化処理物は、均一の性質を有さず、品質の良いものとはいえなかった。
【0004】
また、近年は、炭化処理を施すことで得られる炭化物の更なる効用を利用することを目的として、純度の高い炭化物の製造が試みられている。その試みとして、木綿を使って、炭化処理を施して得られる炭化綿がある。この炭化綿は、物質吸着性、吸水性、導電性等の作用があることが最近の研究で分かってきている。そこで、この炭化綿は、一酸化炭素等の有害物質を除去できるマスク、脱臭吸水できる寝装具、水耕栽培用の素材、圧電センサ用材料等の様々な分野での利用が期待されている。
【0005】
しかしながら、この炭化綿を製造するにあたっては、従来からの炭化処理装置を転用することができず、炭化綿の大量生産が行える装置は、未だに開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−219357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような問題点を解消したものであり、高品質な炭化綿を量産することができる炭化綿製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る炭化綿製造装置は、炭化炉と、上記炭化炉内に長尺布巾状の木綿を搬送する搬送部と、上記炭化炉内に搬送された木綿に、加熱水蒸気を透過させる水蒸気供給部と、上記搬送部により搬送される木綿を透過した上記水蒸気供給部からの加熱水蒸気を排気する水蒸気排気部と、上記加熱水蒸気が透過された木綿を冷却する冷却部と、上記搬送部による木綿の搬送速度、上記水蒸気供給部による加熱水蒸気の温度及び流量のそれぞれを制御する制御部とを備える。そして、上記搬送部は、少なくとも、上記木綿を上記炭化炉の全長に亘って搬送する第1の搬送部と、該第1の搬送部の後段に設けられ該第1の搬送部からの木綿を該第1の搬送部の搬送方向と反対の搬送方向に折返し搬送する第2の搬送部とを有し、上記第1及び第2の搬送部は、それぞれ上記水蒸気供給部からの加熱水蒸気を透過するとともに、上記木綿を該水蒸気供給部からの加熱水蒸気が供給される方向に対し、所定の角度傾斜する方向に搬送する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ムラがなく均一な高品質な炭化綿を量産することができる。
【0010】
さらに、本発明では、第1の搬送部と、第1の搬送部の後段に設けられ第1の搬送部からの木綿を第1の搬送部の搬送方向と反対の搬送方向に折返し搬送する第2の搬送部とを有することから、装置全体が小型化され、省スペースを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態として示す炭化綿製造装置の外観斜視図である。
【図2】炭化綿製造装置の装置内部の構成を説明するための断面図である。
【図3】炭化綿製造装置の装置内部の構成の変形例を説明するための断面図である。
【図4】炭化綿製造装置の搬送部の構成を説明するための要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した炭化綿製造装置について、図面を参照して説明をする。なお、炭化綿製造装置1については、以下の項目順に説明をする。
【0013】
1.全体構成
1−1 炭化炉
1−2 搬送部
1−3 水蒸気供給部
1−4 水蒸気排気部
1−5 冷却部
1−6 乾燥部
1−7 制御部
1−8 変形例
2.動作説明
【0014】
1.全体構成
本発明に係る炭化綿製造装置1は、図1に示すように、炭化炉2と、この炭化炉2に長尺布巾状の木綿3を搬送する搬送部4と、加熱水蒸気を供給する水蒸気供給部5と、供給された加熱水蒸気を排気する水蒸気排気部6と、木綿に水を供給し冷却する冷却部7と、冷却された木綿3を乾燥する乾燥部8と、各部を制御する制御部9とから構成されている。炭化綿製造装置1は、ロール状に巻回された木綿3を炉本体10内に供給することで、炉本体10内において当該木綿3に炭化処理が施され、この木綿を炭化綿として排出するものである。炭化綿製造装置1での炭化処理は、炭化炉2内の酸素を絶ち、木綿3を燃焼させずに炭化する原理を利用したものである。
【0015】
1−1 炭化炉
炭化綿製造装置1の炭化炉2は、図1及び図2に示すように、全体略矩形の炉本体10からなり、この炉本体10内に、搬送部4、水蒸気供給部5、水蒸気排気部6、冷却部7等が設けられる。炭化炉2の炉本体10は、前面の略全体が開放された開口部10aを有し、この開口部10aを閉塞し密閉する開閉扉11が開閉可能に取り付けられている。また、炉本体10の左右の側面10b、10cには、それぞれ水蒸気供給部5の水蒸気供給ダクト31、水蒸気排気部6の水蒸気排気ダクト36が設けられている。また、炉本体10の側面10bには、炭化綿の原料となる木綿3の供給口12が設けられ、側面10cには炭化処理が施され冷却され炭化綿となった木綿3が排出される排出口13が設けられている。さらに、炉本体10の開閉扉11等には、炉本体10内を目視することができる窓(不図示)が設けられている。炉本体10の供給口12近傍には、ロール状の木綿3を搬送部4に送り出しを行う送出しローラ12aが設けられている。この送出しローラ12aは、上下2つのローラにより木綿3を挟持し、炉本体10内に送り出すとともに、炉本体10内への空気の流入を防止する。排出口13にも、同様に送出しローラ13aが設けられている。また、炉本体10は、側面10bから供給される木綿3に水蒸気を供給し、炭化処理を施す、炉本体10の上部から中央部にかけての炭化処理領域14と、炭化処理された木綿3を冷却する、炉本体10の下部の冷却領域15とに分かれている。また、炉本体10は、炭化処理領域14と冷却領域15との境界部に、木綿3が通過し、冷却部7に受け渡される開口部16aを残して、仕切壁16が設けられている。
【0016】
炭化綿の原料となる木綿3は、長尺布巾状であり、この長尺布巾状の木綿がロールに巻回されている。木綿3の材料としては、例えば、インドデシ綿、メキシコ綿、オーストラリア綿などが挙げられる。
【0017】
また、炭化綿製造装置1により製造される炭化綿としては、繊維の外層の1/3〜1/2程度が炭化され、中心の繊維が未炭化状態であることが好ましい。これにより、芯となる中心の40〜50%程度の繊維は未炭化状態であり、その表面に略100%炭化された繊維が付着した状態の炭化綿とすることで、炭化綿自体に形態安定性、十分な破断強度を付与することができるとともに、ある程度の可撓性を付与することができ、加工等の取扱いが便利となる。また、未炭化状態にある繊維層は、中心であることに限らず、木綿の一方の主面側に偏倚した構造であってもよい。
【0018】
このような特性を有する炭化綿は、イオン吸着性、ガス吸着性、吸水性、導電性等の作用がある。具体的に、炭化綿製造装置1にて製造する炭化綿は、アンモニア、酸、アルカリに対するイオン吸着性、アンモニア、酢酸、アセトアルデヒドのガス吸着性において一定の要件を満たすことが求められる。このイオン吸着性としては、塩化アンモニアの標準溶液(5mg/L)を1gの炭化綿カラムにて濾過した濾液のアンモニア濃度が、12%以下となる性能が求められる。また、酸性については、塩酸(0.01N)を1gの炭化綿カラムにて濾過した濾液のpHが、6.5以上となる性能が求められる。また、アルカリ性については、水酸化ナトリウム(0.01N)を1gの炭化綿カラムにて濾過した濾液のpHが、8.5以下となる性能が求められる。さらに、ガス吸着性としては、1gの炭化綿をガラス製のデシケータに入れ、アンモニア、酢酸、アセトアルデヒドのそれぞれの溶液を滴下揮発させ、5分経過時のガス濃度が10%以下となり、かつ、1時間経過時のガス濃度が0.5%以下となる性能が求められる。
【0019】
1−2 搬送部
炉本体10内に設けられる搬送部4は、図2に示すように、炉本体10内に長尺布巾状の木綿3を、炭化処理領域14から冷却領域15に亘って搬送する。搬送部4は、炉本体10の側面10b上部に設けられる供給口12からの長尺布巾状の木綿3が受け渡され、受け渡された木綿3を側面10c側に搬送する第1の搬送部21を有する。また、搬送部4は、第1の搬送部21により搬送された木綿3を側面10c側から折返し側面10b側に搬送する第2の搬送部22を有する。搬送部4は、このように、一側面から他側面に亘って木綿3を搬送し、続いて他側面から一側面に亘って搬送する搬送手段を複数段有する。搬送部4は、炭化処理領域14において、第1の搬送部21及び第2の搬送部22が2段上下方向に配設されている。また、搬送部4は、冷却領域15において、第1の搬送部21、第2の搬送部22、第1の搬送部21が上下方向に順に3段配設されている。
【0020】
炭化処理領域14に設けられる第1の搬送部21は、いわゆるローラコンベアであり、側面10bの供給口12から側面10cに亘って、木綿3を搬送する。第1の搬送部21は、側面10cに近づくにしたがって、水平位置が下がるように、すなわち傾斜して配設されている。これは、側面10bから供給される水蒸気を、第1の搬送部21の全領域を搬送されている木綿3に十分に供給するためである。なお、第1の搬送部21上を搬送されている木綿3には、裏面側、すなわち第1の搬送部21を介して水蒸気が供給される。
【0021】
なお、炭化綿製造装置1の搬送部4における第1の搬送部21と第2の搬送部22とは、同様の構成を有し、その搬送方向が異なるのみであることから、第1の搬送部21を説明し、第2の搬送部22の説明は省略をする。
【0022】
第1の搬送部21は、図2に示すように、上流側である側面10b近傍に設けられる一対のチェーンホイール24aと、下流側である側面10c近傍に設けられる一対のチェーンホイール24bと、2つのチェーンホイール24a、24bに亘って巻回される一対のチェーンベルト25と、2つのチェーンベルト25間に横架され木綿3が載置される複数の丸棒状のローラ26とから構成されている(図4参照)。また、第1の搬送部21のチェーンホイール24aの中心軸には、駆動モータ27が設けられている(図4参照)。
【0023】
第1の搬送部21は、複数のローラ26が一対のチェーンベルト25間に横架され、木綿3が搬送される搬送面を形成する。そして、第1の搬送部21は、チェーンホイール24aに接続された駆動モータ27を駆動することにより、チェーンベルト25に倣ってローラ26が移動され、木綿3を搬送する。第1の搬送部21は、側面10cに近づくにしたがって、水平位置が下がるように、すなわち傾斜して配設されている。このとき、第1の搬送部21は、側面10c側に設けられる水蒸気排気部6により、水蒸気が排気される。第1の搬送部21は、丸棒状のローラ26が複数本所定間隔離間して設けられているので、第1の搬送部21の下方向から水蒸気が供給される場合であっても、搬送面上の木綿3に適切に水蒸気を供給することができる。
【0024】
また、炭化処理領域14に設けられる第2の搬送部22は、第1の搬送部21と同様のローラコンベアであり、側面10c側の端部近傍で、第1の搬送部21にて搬送された木綿3が受け渡される。第2の搬送部22は、側面10c側から側面10b側に亘って、木綿3を搬送する。
【0025】
このような構成を有する炭化処理領域14における搬送部4は、第1及び第2の搬送部21、22により搬送される木綿3の一の主面から水蒸気が供給される。このことにより、炭化処理領域14における搬送部4は、ある程度の厚みを有する木綿3であっても、または複数枚を重畳した木綿3であっても、平面的に均質な炭化綿を製造することができる。具体的には、炭化綿製造装置1では、木綿3の一の主面から、均質な水蒸気が供給されることから、この一の主面側の炭化処理が促進され、他の主面側の炭化処理が未炭化状態である、すなわち、未炭化状態にある繊維層が他の主面側に偏倚した構造の炭化綿が製造される。また、搬送部4では、複数のローラコンベアを上下方向に多段に配置しているので、炭化綿製造装置1全体の大きさを小さくすることができる。
【0026】
なお、本発明の実施の形態では、炭化処理領域14における搬送部4は、第1の搬送部21、第2の搬送部22、第1の搬送部21、第2の搬送部22と、交互に搬送部を設けるようにしたが、これに限らない。すなわち、木綿3に対し、ムラなく均等に十分な量の水蒸気を供給できる構成であればよく、供給口12から順に、第2の搬送部22、第1の搬送部21、第2の搬送部22、第1の搬送部21を設けるようにしてもよい。また、第1及び第2の搬送部21、22を2段設けることに限らず、十分な水蒸気が供給されるものであれば、1段構成とするものであってもよい。
【0027】
さらに、ローラ26についても、丸棒状のものであることに限らず、例えば、針金を格子状に編み合わせた金網であってもよい。
【0028】
また、炭化処理領域14における搬送部4の搬送速度は、木綿3の炭化処理に大きく影響するものであり、例えば、炭化処理領域14を通過するまでの時間、すなわち、炭化処理が施される時間としては、6〜10時間程度である。なお、この炭化処理時間は、供給される木綿3の重量、水蒸気の温度及び流速によっても異なるものである。
【0029】
冷却領域15における搬送部4は、上述の第1の搬送部21が、上下方向に3段配設されている。そのため、搬送部4は、第1及び第2の搬送部21、22の2種類のみを組み合わせることで、搬送路を形成することができ、様々な仕様のコンベアを種々用意する必要がなく、経済的である。
【0030】
1−3 水蒸気供給部
次に、炭化綿製造装置1の水蒸気供給部5について説明をする。水蒸気供給部5は、図1及び図2に示すように、水蒸気を発生させる水蒸気発生部32と、この水蒸気発生部32からの水蒸気を炉本体10内の炭化処理領域14に導く水蒸気供給ダクト31と、所定の流量の水蒸気を炉本体10内に供給する供給ポンプ34とから構成されている。
【0031】
炭化綿製造装置1の炭化処理に必要な水蒸気は、高温な水蒸気であり、例えば、400℃程度の高温水蒸気である。
【0032】
水蒸気発生部32は、図示しないボイラ等により水を熱し、水蒸気を発生させるものでる。水蒸気発生部32は、炭化処理に必要な高温水蒸気を生成することができるものであれば、周知のいかなるものであってもよい。この水蒸気発生部32には、水蒸気供給ダクト31が連通されており、発生する水蒸気を炉本体10内に導く。水蒸気供給ダクト31の流路中には、供給ポンプ34が配設されており、この供給ポンプ34により水蒸気発生部32で発生する水蒸気が導かれる。このとき、制御部9は、供給ポンプ34の出力を制御することで、炉本体10内の流速を調整することができる。
【0033】
水蒸気供給ダクト31は、水蒸気発生部32で発生する水蒸気を、炉本体10内に導くダクトであり、一端が水蒸気発生部32と連通され、他端が炉本体10の側面10bに接続されている。また、水蒸気供給ダクト31は、側面10b近傍の他端側に拡径部31aが形成され、側面10b全体から炭化処理領域14に水蒸気を供給する。水蒸気供給ダクト31の拡径部31a内には、水蒸気発生部32からの水蒸気を炭化処理領域14の所定箇所に誘導する水蒸気誘導板33が設けられている。この水蒸気誘導板33は、水蒸気発生部32からの水蒸気を、2本の第1の搬送部21上を搬送される木綿3に供給するように誘導する。
【0034】
なお、水蒸気供給ダクト31の拡径部31aや水蒸気誘導板33は、上述に限らず、炉本体10の炭化処理領域14の所定箇所に水蒸気を導くものであれば、如何なる形状を有するものであってもよい。
【0035】
1−4 水蒸気排気部
炭化綿製造装置1の水蒸気排気部6は、図1及び図2に示すように、炉本体10内で炭化処理に使用された水蒸気を排気する水蒸気排気ダクト36と、この水蒸気排気ダクト36の流路中に設けられる吸気ファン37と、吸気ファン37の後段に配設されるフィルタ39とから構成されている。
【0036】
水蒸気排気ダクト36は、一端が炉本体10の側面10cに接続されており、炉本体10内の水蒸気を排気する。水蒸気排気ダクト36は、側面10c手前で、3本のダクト36a、36b、36cに分岐しており、それぞれのダクト端部の側面10c近傍に拡径部38が形成されている。
【0037】
ダクト36aは、炉本体10の炭化処理領域14上部の水蒸気を排気し、ダクト36bは、炉本体10の炭化処理領域14中央部の水蒸気を排気し、ダクト36cは、炉本体10の炭化処理領域14下部の水蒸気を排気する。特に、ダクト36aは、搬送部4の1段目として配設される第1の搬送部21上の木綿3を透過した水蒸気を排気する。ダクト36bは、搬送部4の2段目として配設される第2の搬送部22及び3段目として配設される第1の搬送部21上の木綿3を透過した水蒸気を排気する。そして、ダクト36cは、搬送部4の4段目として配設される第2の搬送部22及び炭化処理領域14の下部に溜まった水蒸気を排気する。
【0038】
水蒸気排気ダクト36に排気され、フィルタ39にて灰等のゴミが除去された水蒸気は、汚染除去処理をして水蒸気の状態で再び水蒸気発生部32に送り、再利用等される。また、排気された水蒸気は、熱交換器に供給することで、例えば水蒸気発生部32や乾燥部8に供給するようにしてもよい。
【0039】
吸気ファン37は、水蒸気排気ダクト36の流路中に設けられ、炉本体10内の水蒸気をダクト内に吸気する。
【0040】
なお、水蒸気排気部6は、上述に限らず、炉本体10の炭化処理領域14の所定箇所の水蒸気を効率的に排気できるものであれば、如何なる構成を有するものであってもよい。水蒸気排気部6は、例えば、水蒸気供給部5に設けられる水蒸気誘導板33を設けるようにしてもよい。
【0041】
このような構成を有する水蒸気排気部6は、水蒸気供給部5と協働して、搬送される木綿3に高温の水蒸気を透過させることができる。このとき、炭化綿製造装置1では、水蒸気供給部5と水蒸気排気部6とにより、炉本体10内が大気中よりもやや高い気圧となるように制御され、これにより、炉本体10内への空気の流入を防止している。
【0042】
1−5 冷却部
次に、炭化綿製造装置1の冷却部7について説明をする。冷却部7は、図1及び図2に示すように、搬送される炭化処理が施された木綿3に冷却水を吹き付けるスプリンクラ41と、スプリンクラ41に冷却水を供給する冷却水供給ポンプ42とを有する。冷却部7は、炉本体10の冷却領域15に配設され、炭化処理領域14にて炭化処理が施された木綿3を搬送する第1の搬送部21が、3段配設されている。すなわち、冷却部7では、木綿3を側面10bと側面10cとの間を1往復半させて、その搬送中に冷却を行い、排出口13から冷却された木綿3が排出される。
【0043】
スプリンクラ41は、仕切壁16近傍に側面10bと側面10cとの間に亘って配設される管状部材41aの多数箇所に吹出し口41bが設けられている。スプリンクラ41は、内部に冷却水が導水され、冷却水を吹出し口41bから木綿3に吹き付ける。
【0044】
冷却部7には、炉本体10の冷却領域15の下部に、熱交換がされた冷却水を排水する排水口43が設けられている。また、炉本体10の冷却領域15の底面は、排水口43に冷却水が導水されるように、排水口43に向かって傾斜している。
【0045】
さらに、冷却部7には、冷却領域15内の水分を多く含む空気を排気する排気ダクト44と、排気ファン45とが設けられている。
【0046】
このような構成を有する冷却部7は、炭化処理が施された木綿3を効率よく冷却することができる。また、この冷却部7は、水噴霧を行うことで、冷却とともに、木綿3を洗浄することができ、表層に浮いた灰や十分な酸化がされなかった炭粒を除去することができ、艶の良い黒炭繊維のしっかりした炭化綿を製造することができる。なお、冷却部7は、スプリンクラ41により吹き付けられた冷却水を排水口43を介して、回収され、汚染除去処理をして再利用等される。
【0047】
なお、冷却部7は、上述のように、炭化処理領域14からの木綿3に対してすぐに強制冷却処理を施すことに限らず、例えば、木綿3が150℃程度まで自然冷却するようにし、搬送部4の後段にスプリンクラ41を設け、冷却するようにしてもよい。
【0048】
1−6 乾燥部
冷却部7により冷却された木綿3は、冷却部7の後段に設けられる乾燥部8に搬送される。乾燥部8は、搬送される木綿3に熱風を吹き付けて乾燥させる周知の乾燥装置である。乾燥部8は、例えば、搬送部46と、この搬送部46により搬送される木綿3に100℃前後の空気熱風を吹き付けるブロア47とから構成されている。
【0049】
乾燥部8における搬送部46は、例えば炉本体10内に設けられる第1の搬送部21と同一の構成を有する。ブロア47は、搬送部46の上部に配設され、搬送される冷却した湿潤な木綿3に100℃前後の空気熱風を吹き付ける。
【0050】
このような乾燥部8は、冷却された湿潤な木綿3を連続して乾燥させることができる。乾燥処理が施された木綿3は、所望とする大きさに裁断されて最終的な炭化綿を得ることができる。
【0051】
1−7 制御部
次に、炭化綿製造装置1に取り付けられる各種センサと制御部9について説明をする。炭化綿製造装置1には、図2に示すように、供給側センサ51、53、55、57、排気側センサ52、54、56、58の複数のセンサが各所に取り付けられている。また、炭化綿製造装置1には、炭化度判別手段59〜61が各所に取り付けられている。炭化綿製造装置1は、これらのセンサ51〜58、炭化度判別手段59〜61により測定された値が制御部9に供給され、この供給された値に基づいて各部を制御する。
【0052】
供給側センサ51は、1段目の第1の搬送部21の下側の略中央部に臨まされるセンサであり、水蒸気供給部5からの水蒸気の、1段目の第1の搬送部21直前の温度及び流速を検知する。この検知された温度値及び流速値は、制御部9に供給される。供給側センサ51は、1段目の第1の搬送部21を搬送される木綿3に供給される水蒸気の温度及び流速を監視するものである。
【0053】
また、排気側センサ52は、1段目の第1の搬送部21の上側の略中央部に臨まされるセンサであり、1段目の第1の搬送部21上を搬送される木綿3を透過した水蒸気の温度及び流速を検知する。この検知された温度値及び流速値は、制御部9に供給される。排気側センサ52は、1段目の第1の搬送部21上を搬送される木綿3を透過した水蒸気の温度及び流速を監視するものである。
【0054】
同様に、供給側センサ53は、2段目の第2の搬送部22の上側の略中央部に臨まされるセンサであり、排気側センサ54は、2段目の第2の搬送部22の下側の略中央部に臨まされるセンサである。また、供給側センサ55、57においては、3段目の第1の搬送部21、4段目の第2の搬送部22のそれぞれの木綿3透過直前の温度及び流速を検知するセンサである。さらに、排気側センサ56、58においては、3段目の第1の搬送部21、4段目の第2の搬送部22のそれぞれの木綿3透過直後の温度及び流速を検知するセンサである。
【0055】
炭化度判別手段59は、供給口12近傍に取り付けられ、供給口12より供給された木綿3の炭化度を判別する。炭化度判別手段59は、例えば、当該位置における木綿3の状態を撮像するカメラであり、このカメラにより撮像された映像信号を制御部9に供給する。制御部9においては、この供給される映像信号を画像解析し、例えば、木綿3の色を判断して、異常があるかどうか判別する。特に、炭化度判別手段59は、炭化処理前の木綿3の品質を確認するために設けられる。
【0056】
また、炭化度判別手段60は、3段目の第1の搬送部21上で側面10c側に取り付けられ、搬送される木綿3の炭化度を判別する。この炭化度判別手段60は、炭化処理中に発生する異常を検知するためのものである。
【0057】
さらに、炭化度判別手段61は、4段目の第2の搬送部22後段で、冷却部7直前位置に取り付けられ、全ての炭化処理が終了した状態の木綿3の炭化度を判別する。この炭化度判別手段61は、最終的な炭化綿の品質を監視するためのものである。
【0058】
このように、各所に取り付けられたセンサ51〜58は、その検知信号が制御部9に供給される。そして、この検知信号に基づいて制御部9は、炭化処理が正常に行われているかを判断し、異常と判断した場合には各部を制御する。なお、各センサの取り付け位置は、上述に限らず、炭化処理を適切に行うように監視できるものであれば、適宜必要な箇所に設けるようにしてもよい。また、炭化度判別手段についても、上述のように、カメラを設けることに限らず、特定波長光の反射率を測定するものを用いて、色判別を行うようにしてもよい。
【0059】
炭化綿製造装置1の制御部9は、搬送部4、水蒸気供給部5、水蒸気排気部6、冷却部7、乾燥部8と接続されており、各部に信号を供給し、各部を制御する。また、制御部9は、各センサ51〜61からの信号が供給され、この供給される信号に基づいて、各部を制御する。制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリと、タイマ等を有し、これらがバスを介して互いに接続されている。制御部9は、メモリに、各部の駆動タイミングのプログラム等が格納され、タイマにより、各動作の開始時間がカウントされる。具体的には、制御部9は、搬送部4の第1及び第2の搬送部21、22のそれぞれの駆動モータ27と接続され、駆動モータ27の出力、すなわち、搬送速度を制御する。また、制御部9は、水蒸気供給部5の供給ポンプ34と接続され、炉本体10内に供給する水蒸気の温度及び流速を制御する。また、制御部9は、水蒸気排気部6の吸気ファン37と接続され、その出力を制御する。制御部9は、冷却部7の冷却水供給ポンプ42、乾燥部8のブロア47と接続され、それぞれの出力を制御することで、冷却部7、乾燥部8を制御する。
【0060】
以上のような構成を有する炭化綿製造装置1では、搬送部4により搬送される木綿3の一の主面に水蒸気を透過させて炭化処理を行っており、一の主面の表面近傍は略100%炭化された繊維が付着し、他の主面近傍に全体の40〜50%程度の繊維が未炭化状態の炭化綿を製造することができる。このように、未炭化状態が偏倚された炭化綿は、炭化された繊維層の効果を一面側からのみ受けることに適した使用例が考えられる。具体的には、布団寝具に用いられるシーツ、壁紙など、炭化綿としての効能を一方の面側からのみ所望とする場合に有効である。
【0061】
そして、炭化綿製造装置1では、搬送部4の搬送速度、水蒸気供給部5の供給水蒸気の温度及び流速を制御することで、ムラなく均質な上述の炭化綿を連続して製造することができる。また、搬送部4は、第1及び第2の搬送部21、22を折返しながら、複数段設けられるので、装置全体の小型化を図ることができる。
【0062】
また、炭化綿製造装置1では、炭化処理を施す雰囲気として、無酸素状態とする高温水蒸気を用いており、この高温水蒸気を用いることで、木綿3への透過、熱伝達率がよく、取扱いも容易となり、経済的である。炭化綿製造装置1で用いられる水蒸気としては、200〜500℃が炭化処理に適しており、400℃が最も好ましい。
【0063】
また、炭化綿製造装置1では、搬送部4を設け、木綿3を搬送しながら順次連続して炭化処理を行うことができるので、例えば、バッジ式の炭化炉と比較して、大量生産を行うことができる。さらに、搬送部4の第1及び第2の搬送部21、22は、水蒸気が供給される側面10bに対し傾斜しているので、側面10bから供給される水蒸気が効率よく木綿3に提供されるとともに、透過させることができる。これにより製造される炭化綿としては、形態安定性、十分な破断強度を付与されるとともに、ある程度の可撓性を有し、イオン吸着性、ガス吸着性、吸水性、導電性等の作用がある。
【0064】
1−8 変形例
次に、本発明の炭化綿製造装置の変形例について説明をする。変形例として示す炭化綿製造装置70は、図3及び図4に示すように、第2の搬送部22の代わりに、第2の搬送部71が設けられている。また、この第2の搬送部71に関連する箇所以外の構成は、炭化綿製造装置1と同一であることから、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
炭化綿製造装置70では、炭化綿製造装置1における第2の搬送部22に代わり、第2の搬送部71が設けられている。この第2の搬送部71は、図3及び図4に示すように、側面10c近傍に設けられる一対のチェーンホイール24aと、側面10b近傍に設けられる一対のチェーンホイール24bと、2つのチェーンホイール24a、24bに亘って巻回される一対のチェーンベルト25と、2つのチェーンベルト25間に横架され木綿3が載置される複数の丸棒状のローラ26とから構成されている。また、第2の搬送部71のチェーンホイール24aの中心軸には、駆動モータ27が設けられている。さらに、第2の搬送部71には、ローラ26の下側を覆い下側から水蒸気が供給される供給カバー28と、ローラ26の上側を覆い下側からの水蒸気を排気する排気カバー29とが設けられている。
【0066】
供給カバー28及び排気カバー29は、例えば、耐熱性を有する金属板を折曲げ成型することで形成される。供給カバー28及び排気カバー29には、それぞれ中央部に供給ダクト28aと排気ダクト29aが設けられ、それぞれ後述する水蒸気供給部5と水蒸気排気部6と接続されている。
【0067】
なお、第2の搬送部71は、第2の搬送部22に供給カバー28及び排気カバー29が設けられるのみで、その他の構成は、第2の搬送部22と同一である。
【0068】
第2の搬送部71は、複数のローラ26が一対のチェーンベルト25間に横架され、木綿3が搬送される搬送面を形成する。そして、第2の搬送部71は、チェーンホイール24aに接続された駆動モータ27を駆動することにより、チェーンベルト25に倣ってローラ26が移動され、木綿3を搬送する。第2の搬送部71は、側面10bに近づくにしたがって、水平位置が下がるように、すなわち傾斜して配設されている。このとき、第2の搬送部71は、供給ダクト28aを通じて、下側から水蒸気が供給され、排気ダクト29aを通じて排気される。すなわち、第2の搬送部71では、第1の搬送部21から搬送された木綿3を折返し搬送するとともに、第1の搬送部21での搬送時に水蒸気が供給されなかった側の木綿3主面から水蒸気が供給される構成となっている。第2の搬送部71は、丸棒状のローラ26が複数本所定間隔離間して設けられているので、第2の搬送部71の下方向から水蒸気が供給される場合であっても、搬送面上の木綿3に適切に水蒸気を供給することができる。
【0069】
このとき、水蒸気供給部5の水蒸気供給ダクト31には、第2の搬送部71の供給ダクト28aが連通されており、この供給ダクト28aを介して、水蒸気発生部32からの水蒸気が第2の搬送部71上を搬送される木綿3に供給する。また、水蒸気排気部6の水蒸気排気ダクト36は、第2の搬送部71の排気ダクト29aが連通されており、この排気ダクト29aを介して、第2の搬送部71上の木綿3を透過した水蒸気を排気する。
【0070】
このような構成を有する炭化処理領域14における搬送部4は、第1の搬送部21により搬送される木綿3の一の主面から水蒸気が供給されるとともに、第2の搬送部71においては、木綿3の他の主面から水蒸気が供給される。このことにより、炭化処理領域14における搬送部4は、ある程度の厚みを有する木綿3であっても、または複数枚を重畳した木綿3であっても、両主面から均等に十分な量の水蒸気が供給される構成となっており、ムラのない安定した高品質な炭化綿を製造することができる。また、搬送部4では、複数のローラコンベアを上下方向に多段に配置しているので、炭化綿製造装置70全体の大きさを小さくすることができる。
【0071】
なお、本発明の実施の形態では、炭化処理領域14における搬送部4は、第1の搬送部21、第2の搬送部71、第1の搬送部21、第2の搬送部71と、交互に搬送部を設けるようにしたが、これに限らない。すなわち、木綿3に対し、ムラなく均等に十分な量の水蒸気を供給できる構成であればよく、供給口12から順に、第2の搬送部71、第1の搬送部21、第2の搬送部71、第1の搬送部21を設けるようにしてもよい。また、第1及び第2の搬送部21、71を2段設けることに限らず、十分な水蒸気が供給されるものであれば、1段構成とするものであってもよい。
【0072】
2.動作説明
続いて、炭化綿製造装置1の動作について説明をする。炭化綿製造装置1は、ユーザにより運転開始操作がされると、制御部9が、搬送部4、水蒸気供給部5、水蒸気排気部6、冷却部7、乾燥部8を運転させる。具体的には、制御部9は、搬送部4のそれぞれの駆動モータ27に電力を供給させ、所定の搬送速度となるように制御信号を出力する。また、制御部9は、水蒸気供給部5の供給ポンプ34を制御し、炉本体10内に所定の温度及び流速の水蒸気を供給させる。また、制御部9は、水蒸気排気部6の吸気ファン37を運転させ、炉本体10内の木綿3を透過した水蒸気を排気させる。さらに、制御部9は、冷却部7の冷却水供給ポンプ42、乾燥部8のブロア47に対し、所定の運転状態となるように制御信号を出力する。このとき、制御部9には、各センサ51〜58、炭化度判別手段59〜61からの検知信号が入力されるので、この検知信号に基づいて、各部を制御する。
【0073】
このようにして、炭化綿製造装置1は、連続して木綿3から炭化綿を製造することができる。すなわち、炭化綿を量産することができる。また、製造される炭化綿についても、上述のような高性能のイオン吸着性、ガス吸着性を有するとともに、形態安定性、十分な破断強度、可撓性を備える。
【0074】
また、この炭化綿製造装置1では、ムラなく均質な炭化綿を製造することができる。そして、搬送部4は、第1及び第2の搬送部21、22を折返しながら、複数段設けられるので、装置全体の小型化を図ることができる。
【0075】
また、炭化綿製造装置1では、炭化処理を施す雰囲気として、無酸素状態とする高温水蒸気を用いており、この高温水蒸気を用いることで、木綿3への透過、熱伝達率がよく、取扱いも容易となり、経済的である。
【符号の説明】
【0076】
1 炭化綿製造装置、2 炭化炉、3 木綿、4 搬送部、5 水蒸気供給部、6 水蒸気排気部、7 冷却部、8 乾燥部、9 制御部、10 炉本体、10a 開口部、10b 側面、10c 側面、11 開閉扉、12 供給口、12a 送出しローラ、13 排出口、14 炭化処理領域、15 冷却領域、16 仕切壁、16a 開口部、21 第1の搬送部、22 第2の搬送部、24a、24b チェーンホイール、25 チェーンベルト、26 ローラ、27 駆動モータ、28 供給カバー、28a 供給ダクト、29 排気カバー、29a 排気ダクト、31 水蒸気供給ダクト、31a 拡径部、32 水蒸気発生部、33 水蒸気誘導板、34 供給ポンプ、36 水蒸気排気ダクト、36a、36b、36c ダクト、37 吸気ファン、38 拡径部、41 スプリンクラ、41a 管状部材、41b 吹出し口、42 冷却水供給ポンプ、43 排水口、44 排気ダクト、45 排気ファン、46 搬送部、47 ブロア、51、53、55、57 供給側センサ、52、54、56、58 排気側センサ、59〜61 炭化度判別手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化炉と、
上記炭化炉内に長尺布巾状の木綿を搬送する搬送部と、
上記炭化炉内に搬送された木綿に、加熱水蒸気を透過させる水蒸気供給部と、
上記搬送部により搬送される木綿を透過した上記水蒸気供給部からの加熱水蒸気を排気する水蒸気排気部と、
上記加熱水蒸気が透過された木綿を冷却する冷却部と、
上記搬送部による木綿の搬送速度、上記水蒸気供給部による加熱水蒸気の温度及び流量のそれぞれを制御する制御部とを備え、
上記搬送部は、少なくとも、上記木綿を上記炭化炉の全長に亘って搬送する第1の搬送部と、該第1の搬送部の後段に設けられ該第1の搬送部からの木綿を該第1の搬送部の搬送方向と反対の搬送方向に折返し搬送する第2の搬送部とを有し、
上記第1及び第2の搬送部は、それぞれ上記水蒸気供給部からの加熱水蒸気を透過するとともに、上記木綿を該水蒸気供給部からの加熱水蒸気が供給される方向に対し、所定の角度傾斜する方向に搬送する炭化綿製造装置。
【請求項2】
上記搬送部を挟んで上記水蒸気供給部側及び上記水蒸気排気部側のそれぞれに加熱水蒸気の温度及び流量を検知する検知部が複数設けられ、
上記制御部は、上記複数の検知部により検知された値に基づいて、上記搬送部、上記水蒸気供給部を制御する請求項1記載の炭化綿製造装置。
【請求項3】
上記水蒸気供給部は、上記第1及び第2の搬送部のいずれか一方により搬送される上記木綿の一の主面から加熱水蒸気を供給する第1の水蒸気供給部と、該第1及び第2の搬送部のいずれか他方により搬送される上記木綿の他の主面から加熱水蒸気を供給する第2の水蒸気供給部とを有する請求項2記載の炭化綿製造装置。
【請求項4】
さらに、上記冷却部により冷却された木綿を乾燥する乾燥部を備える請求項3記載の炭化綿製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−216045(P2010−216045A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65978(P2009−65978)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(502186268)株式会社ビィ・エス・シィ (1)
【出願人】(505017606)
【出願人】(500164628)
【Fターム(参考)】