炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ及びその製造方法
【課題】相変化メモリにおいて、相変化物質と下部電極との接触面積を画期的に減らして、低電力で動作可能であり、かつ、集積度をさらに向上させることができる炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】外部電流を供給する電流源電極と、少なくとも2つの異なる状態を有する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成される絶縁体と、炭素ナノチューブ電極と相変化物質層との間に位置し、炭素ナノチューブ電極と接触する熱生成抵抗層とを備えることを特徴とする炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【解決手段】外部電流を供給する電流源電極と、少なくとも2つの異なる状態を有する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成される絶縁体と、炭素ナノチューブ電極と相変化物質層との間に位置し、炭素ナノチューブ電極と接触する熱生成抵抗層とを備えることを特徴とする炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化メモリに関し、さらに詳細には、低電力動作が可能であり、かつ集積度を向上させることができる炭素ナノチューブ(carbon nano tube)を利用した相変化メモリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリとは、特定材料の結晶相と非結晶相(amorphous phase)の電気的な導電性の差を利用して情報を格納するメモリ素子のことである。
【0003】
このような相変化メモリは、閾電圧の大きな余裕と速い動作速度、優れた耐久力、長いデータ維持時間を有しているため、近年、次世代不揮発性メモリとして注目されつつある。さらに、近年、商業用フラッシュメモリと同等の集積度を有する相変化メモリの大量生産の立証に成功した。
【0004】
相変化メモリが次世代メモリの主流となるためには、小さなメモリセルサイズ及びメモリセルの動作特性分布が一定に維持されなければならない。メモリセルのサイズは、動作電流の大きさに大きく影響され、必要な動作電流の大きさは、相変化物質と下部電極との接触面積に影響を受ける。したがって、相変化物質と下部電極との接触面積を減らして、小さな動作電流レベルで大きい動作電流密度を持たせることが必要である。
【0005】
ところが、相変化メモリの製造の際、下部電極を形成するためのエッチング工程において、接触部分の直径の大きさを一定に形成することは難しい。また、大きな電流密度を得るためには、相変化メモリと下部電極との接触部分の大きさを小さくすることが必要であるが、これは、一定の接触部分の大きさを得ると同時に相変化メモリを高集積化する場合において、さらなる他の技術的難題となっており、これにより、相変化メモリの信頼度及び集積度の向上に対する障害物となっている。
【0006】
これにより、相変化メモリのセルサイズを減らして高集積化するための方法は、大きく2種類に分けられる。
【0007】
第1に、相変化物質と下部電極との接触面積を減らして、小さな動作電流でも大きい動作電流密度を持たせることにより、相変化メモリのセルサイズを減らすことである。
【0008】
第2に、発熱物質である下部電極の抵抗を大きくして、同じ電流密度でも大きい熱を発生させ得るようにして、相変化メモリのセルサイズを減らすことである。相変化物質に伝達される熱は、ジュール(Joule)の法則により、熱を発生させる媒体の抵抗に比例し、媒体に流れる電流の自乗に比例する。
【0009】
以下、これに基づいて、従来の相変化メモリの構造を説明する。
【0010】
まず、従来の相変化メモリは、相変化物質の下方に小さな孔部を形成し、その孔部に熱を発生させる物質である下部電極を充填することにより、熱発生物質である下部電極と相変化物質とが当接する部分が2次元の面積を有するように構成される。このような従来の相変化メモリは、外部から供給される動作電流が接触面積分だけ拡散して流れるため、相変化を起こす程度の大きい熱を得るのは難しい。
【0011】
したがって、上述した問題を解決するために、リング状の接触工程が開発された。リング状の接触工程を利用した従来の相変化メモリ(以下、リングタイプの相変化メモリと称す)は、熱発生物質が流入する小さな孔部の表面のみに下部電極を充填し、残りの部分には、絶縁物質を充填する構造を取っている。
【0012】
図1Aは、従来の技術に係る相変化メモリの構造を示した透視図であり、図1Bは、図1Aに示す1b−1b´の断面図であり、図1Cは、従来の技術に係る相変化メモリにおける下部電極を示す平面図である。
【0013】
図1Aに示すように、従来の技術に係るリングタイプの相変化メモリは、外部電流を供給する外部電流源電極101と、相変化を起こしてメモリ特性を表す相変化物質層105とが、側方向に互いに対向しており、外部電流源電極101と相変化物質層105との間に熱発生物質である下部電極102がリング状に形成されており、下部電極102の内部に、下部電極から発生した熱の放出を防止するための絶縁物質103が円状に充填されている。そして、下部電極102と絶縁物質103を誘電物質104が取り囲んでいる。
【0014】
このような従来のリングタイプの相変化メモリは、相変化物質層105と下部電極102との接触面積が円周長の1次元的になるため、既存の2次元の面接触からなる相変化メモリより小さな動作電流でも、高い動作電流密度を表すことができる。また、絶縁物質103を下部電極102が取り囲んでいるため、下部電極102から発生した熱が外部に漏れるのを防止する。
【0015】
ところが、従来のリングタイプの相変化メモリは、熱発生物質である下部電極102が小さな孔部内に充填されなければならないため、下部電極102として用いられる物質が制限されるという問題がある。その上、新しいリング状の接触工程を使用するにも関わらず、相変化メモリの集積度が現在のフラッシュメモリの集積度の半分にしかならないため、上述した従来の構造では、フラッシュタイプの不揮発性メモリの集積度を超えることができないという点で根本的な限界を有している。
【0016】
結局、相変化メモリにおいて、さらに小さな動作電流を得ることができる新しい構造が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、相変化物質と下部電極との接触面積を画期的に減らして、低電力で動作が可能であり、かつ集積度をさらに向上させた炭素ナノチューブを利用した相変化メモリを提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、炭素ナノチューブを利用して相変化物質と下部電極との接触面積を画期的に減らした相変化メモリの製造方法を提供することにある。
【0019】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題に関しては、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成すべく、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブ(carbon
nano tube)を利用した相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極と、電流源電極と側方向に対向する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成されて、炭素ナノチューブ電極から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0021】
このとき、前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
【0022】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブ(SWNT;Single Wall Nano Tube)で形成されることを特徴とする。
【0023】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法は、(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、(b)触媒をシード(seed)として垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)蒸着するステップ後、炭素ナノチューブ電極が絶縁体の表面に露出するように、絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面上に炭素ナノチューブ電極と接触するように相変化物質層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0024】
前記(a)ステップにおいて、前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする。
【0025】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0026】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする。
【0027】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明の他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極と、電流源電極と側方向に対向する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列し、一方が拡張されて相変化物質層にオーバーラップされる炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成されて、炭素ナノチューブ電極から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0028】
このとき、前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
【0029】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、全体長に対して前記相変化物質層にオーバーラップされる長さが1/10〜8/10であることを特徴とする。
【0030】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0031】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明の他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法は、(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、(b)触媒をシードとして垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)蒸着するステップ後、炭素ナノチューブ電極が絶縁体の表面に露出するように、絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面に露出した炭素ナノチューブ電極が突出するように、絶縁体を選択的にエッチングするステップと、(f)絶縁体上に相変化物質を蒸着して、突出した炭素ナノチューブ電極をオーバーラップさせるステップとを含むことを特徴とする。
【0032】
前記(a)ステップにおいて、前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする。
【0033】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0034】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする。
【0035】
前記(e)ステップが、前記突出する炭素ナノチューブ電極の長さが、全体長に対して約1/10〜8/10の範囲となるようにエッチングするステップであることを特徴とする。
【0036】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明のさらに他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極と、電流源電極と側方向に対向する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成されて、炭素ナノチューブ電極から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体と、炭素ナノチューブ電極と相変化物質層との間に位置し、炭素ナノチューブ電極と接触する熱生成抵抗層とを備えることを特徴とする。
【0037】
ここで、前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
【0038】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0039】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明のさらに他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法は、(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、(b)触媒をシードとして垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)蒸着するステップ後、炭素ナノチューブ電極が絶縁体の表面に露出するように、絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面上に絶縁体の表面に露出した炭素ナノチューブ電極と接触するように熱生成抵抗層を蒸着させるステップと、(f)熱生成抵抗層上に相変化物質層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0040】
前記(a)ステップにおいて、前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする。
【0041】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0042】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする。
【0043】
その他、実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になるはずである。なお、明細書全体にわたって同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【発明の効果】
【0044】
本発明の好ましい実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリは、従来の下部電極を炭素ナノチューブで構成することによって、従来の相変化メモリより小さな動作電流でも大きい電流密度を維持することができ、メモリの閾電圧の余裕を大きく改善して、多重レベルセル技術を適用することができるという効果が得られる。
【0045】
また、相変化メモリの素子サイズを低減することができるため、相変化メモリの高集積化時の問題として指摘されていた大きな動作電流の限界を克服し、持続的な相変化メモリの高集積化、低電力、高効率に寄与できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】従来の技術に係る相変化メモリの構造を示した透視図である。
【図1B】図1Aに示す1b−1b´の断面図である。
【図1C】従来の技術に係る相変化メモリにおいて、下部電極を示す平面図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの構造を示した透視図である。
【図2B】図2Aに示す2b−2b´の断面図である。
【図2C】本発明の一実施形態に係る相変化メモリにおいて、下部電極を示す平面図である。
【図3A】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3B】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3C】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3D】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3E】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0048】
<第1の実施形態>
【0049】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る相変化メモリの構造を示した透視図であり、図2Bは、図2Aに示す2b−2b´の断面図であり、図2Cは、本発明の一実施形態に係る相変化メモリにおいて下部電極を示す平面図である。
【0050】
まず、図2Aに示すように、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極201と、電流源電極201と側方向に対向する相変化物質層207、電流源電極201と相変化物質層207との間に配列される複数の炭素ナノチューブ電極203、及び炭素ナノチューブ電極203の外側に形成される絶縁体205を備える。
【0051】
電流源電極201は、相変化物質層207に相変化を誘導するのに必要な電流密度を得るために、外部電流を供給する。
【0052】
炭素ナノチューブ電極203は、電流源電極201と相変化物質層207との間に複数配列され、相変化物質層207と接触する。このような炭素ナノチューブ電極203は、相変化物質層207に相変化を誘導するのに必要な外部電流を、電流源電極201から相変化物質層207に伝達する移動通路及び熱発生物質であり、従来の下部電極(図1Aの102)と対応し得る。
【0053】
炭素ナノチューブ電極203は、図2Cに示すように、その大きさや配列などにおいて一定の規則性を有する所定のパターンに形成され得るが、規則性を有する所定のパターンでなくても良い。
【0054】
そして、炭素ナノチューブ電極203の直径dは、約1nm〜100nmの範囲で、ほぼ点のような小さな面積を有し、大きい抵抗を有する単層ナノチューブで形成することが好ましい。これは、発熱物質である炭素ナノチューブ電極203の抵抗を大きくすることにより、同じ電流密度でも大きい熱を発生させるための本発明の目的を達成するためである。これに対する詳細な説明は、後述する。
【0055】
絶縁体205は、電流源電極201と相変化物質層207との間に配列された炭素ナノチューブ電極203の外側を取り囲み、熱発生物質である炭素ナノチューブ電極203から発生する熱が外部に伝達されるのを抑制する機能を果たす。このような絶縁体205は、SiO2、Si4N4、HfO2、ZrO2、Ta2O5、Al2O3、La2O3、Y2O3及びCeO2からなる群から選択されたいずれか1つで形成される。
【0056】
相変化物質層207は、相変化物質の電気的な導電性の差を利用して情報を格納するメモリ層である。相変化物質は、非結晶及び結晶状態のように、少なくとも2つの異なる状態を有するが、非結晶状態が結晶状態より高い抵抗率を表すため、相変化物質の非結晶及び結晶状態は、互いに区別され得る。したがって、相変化物質層207は、炭素ナノチューブ電極203から電流が伝達されて電気的に加熱され、相変化物質が結晶相と非結晶相に可逆的に変換されることによって、情報が格納されるのである。
【0057】
このように構成される本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、熱発生物質である炭素ナノチューブ電極203と相変化物質層207が、炭素ナノチューブ電極203の直径と対応する極めて小さな面積で接触されるため、従来の円周長の1次元的な構造で接触された相変化メモリに比べて、接触面積を画期的に減らすことができる。
【0058】
したがって、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、従来の相変化メモリに比べて集積度を上げることができる色々な特徴を有する。
【0059】
第1に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、電流源電極201と相変化物質層207との間の電流通路としての下部電極を炭素ナノチューブで形成することによって、相変化に必要な動作電流を画期的に減らすことができるという特徴を有する。
【0060】
すなわち、外部から電流を供給する電流源電極201と相変化物質層207との間の炭素ナノチューブ電極203が直径約1nm〜100nmの範囲の極めて小さな円状の面積を有するため、小さな電流でも大きい電流密度を得ることができる。これにより、従来の集積度の向上に対する障害物となった大きな動作電流を克服することができる。
【0061】
第2に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、電流源電極201と相変化物質層207との間の電流通路としての下部電極を炭素ナノチューブで構成することによって、炭素ナノチューブ自体の高い熱伝導率を利用することができるという特徴を有する。
【0062】
一般に、炭素ナノチューブの熱伝導率は、ダイアモンドより2倍以上大きく、略6000(W/mk)であることが知られている。このように熱伝導率が高いというのは、炭素ナノチューブから発生した熱が外部に容易に伝達され得ることを意味する。
【0063】
第3に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、下部電極である炭素ナノチューブを相変化物質層207の周辺に均一に配列することによって、相変化を起こし得る領域を広く拡張させることができるという特徴を有する。
【0064】
これにより、相変化メモリの閾電圧の余裕を大きくすることになるので、1つの素子に複数ビットを格納することができる多重レベルセル(MLC;Multi Level Cell)技術を適用することができ、相変化メモリの集積度の向上に寄与することができる。
【0065】
第4に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、炭素ナノチューブの電気的な性質により熱生成効率が変わるという特徴を有する。
【0066】
すなわち、炭素ナノチューブの直径と巻かれた方向(カイラリティ;chirality)により、様々な電気的な性質を示す。
【0067】
その中で、多層ナノチューブ(MWNT;Multi Wall Nano Tube)は、99%が金属と似た電気的な特性を示すが、低い抵抗により下部電極として用いるのには適していない。
【0068】
単層ナノチューブ(SWNT;Single Wall Nano Tube)は、細部的に巻かれた方向(カイラリティ;chirality)に応じて半導体性質を有するナノチューブと、金属性性質を有するナノチューブとに区分できる。そのうち、半導体性質を有する単層ナノチューブを使用することによって、炭素ナノチューブの抵抗を増加させることができ、熱生成効率を増大させることができる。
【0069】
したがって、上述したように、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、従来の相変化メモリの構造に比べて動作電流を画期的に減らすことができ、1つの素子に複数ビットを格納することができるため、相変化メモリの集積度をさらに向上させることができる。
【0070】
以下、本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を説明する。
【0071】
図3A〜図3Eは、本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【0072】
本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法は、(a)電流源電極上に触媒を配列するステップと、(b)触媒をシードとして垂直方向に成長させることによって、炭素ナノチューブを形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面上に相変化物質層を形成するステップとを含む。
【0073】
最初の(a)ステップは、図3Aに示すように、相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極301上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒302を配列する。
【0074】
触媒302は、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成し、図3Aに示すように、その大きさや配列などにおいて一定の規則性を有するパターンに形成され得るが、そうでなくても良い。
【0075】
次の(b)ステップは、図3Bに示すように、前のステップで配列された触媒302をシードとして垂直方向に炭素ナノチューブを成長させることによって、柱タイプの炭素ナノチューブ電極303を形成する。
【0076】
このとき、炭素ナノチューブ電極303は、上述した通り、下部電極の抵抗を大きくして大きい熱を発生させ得るようにするために、大きい抵抗を有する単層ナノチューブで形成する。そして、炭素ナノチューブ電極303の直径は、約1nm〜100nmの範囲に形成する。このような直径は、極めて微細なサイズであるため、ほとんど点のように小さな断面積を有するようになる。
【0077】
次の(c)ステップは、図3Cに示すように、電流源電極301上に絶縁体305を蒸着させるものの、柱タイプの炭素ナノチューブ電極303の全体が十分に覆われるように広く蒸着させる。
【0078】
次の(d)ステップは、図3Dに示すように、化学機械的研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)を使用して、絶縁体305の表面を平らに研磨し、炭素ナノチューブ電極303を絶縁体305の表面に露出させる。
【0079】
次の(e)ステップは、図3Eに示すように、平らに研磨された絶縁体305の表面上に相変化物質を蒸着させることにより、炭素ナノチューブ電極303と接触するように相変化物質層307を形成する。このとき、炭素ナノチューブ電極303と相変化物質層307との接触面積は、炭素ナノチューブ電極303の直径と対応する断面積であって、ほとんど点のように小さな接触面積を有することができる。
【0080】
このような工程過程により、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した下部電極を有する相変化メモリ素子を製造することが可能となる。
【0081】
<第2の実施形態>
【0082】
図4は、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【0083】
同図に示すように、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリは、相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極401、電流源電極401と側方向に対向する相変化物質層407、電流源電極401と相変化物質層407との間に複数配列し、一方が相変化物質層407に伸びてオーバーラップされた炭素ナノチューブ電極403、及び電流源電極401と相変化物質層407との間に炭素ナノチューブ電極403の外側を取り囲むように形成されて、炭素ナノチューブ電極403から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体405を備える。
【0084】
このとき、相変化物質層407にオーバーラップされた炭素ナノチューブ電極403は、全体長に対して約1/10〜8/10の範囲の長さを有することが好ましい。
【0085】
このように構成される本発明の他の実施形態に係る相変化メモリは、電流源電極401と相変化物質層407との間の電流通路として機能する炭素ナノチューブ電極403を、第1の実施形態のように、相変化物質層407と接触させる構造ではなく、相変化物質層407にオーバーラップされるように拡張して、炭素ナノチューブ電極403が伝達する熱により相変化を起こす相変化物質層407の面積を画期的に広めた構造である。
【0086】
これによって、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリは、小さな動作電流でも高い電流密度を維持することができることはもちろん、相変化メモリの閾電圧の余裕が大きく改善されて、1つの素子に複数ビットを格納することができる多重レベルセル(MLC;Multi Level Cell)技術を適用することができる。
【0087】
上述した構造を有する本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの製造方法は、第1の実施形態の製造方法において、絶縁体の表面を研磨するステップ後、絶縁体405を選択的にエッチングするステップをさらに含む。
【0088】
すなわち、(a)相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極401上に、複数の炭素ナノチューブを形成する触媒402を配列するステップと、(b)触媒402をシードとして垂直方向に炭素ナノチューブを成長させるステップと、(c)電流源電極401上に炭素ナノチューブ電極403が完全に覆われるように、絶縁体405を蒸着させるステップと、(d)蒸着後、炭素ナノチューブ電極403が絶縁体405の表面に露出するように、絶縁体405を研磨するステップと、(e)絶縁体405の表面に露出した炭素ナノチューブ電極403が突出するように、絶縁体405を選択的にエッチングするステップと、(f)絶縁体405上に相変化物質層407を形成して、突出した炭素ナノチューブ電極403を相変化物質層407にオーバーラップさせるステップとを含むことにより、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリを製造する。
【0089】
このとき、(e)ステップでは、炭素ナノチューブ電極403の突出した部位が相変化物質層407にオーバーラップされるため、炭素ナノチューブ電極403の突出した部位が全体長に対して約1/10〜8/10となるように絶縁体405をエッチングする。
【0090】
以下、説明していない各構成要素及び製造方法に対する細部技術は、上述した第1の実施形態と同様なので、重複する詳細な説明は省略する。
【0091】
<第3の実施形態>
【0092】
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【0093】
同図に示すように、本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリは、第1の実施形態の構造において炭素ナノチューブの小さな抵抗による低い熱效率を克服するために、大きい抵抗を有する熱生成抵抗層509をさらに付加した構造である。
【0094】
さらに詳細に説明すれば、本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリは、相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極501、電流源電極501と側方向に対向する相変化物質層507、電流源電極501と相変化物質層507との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極503、電流源電極501と相変化物質層507との間に炭素ナノチューブ電極503の外側を取り囲むように形成されて、炭素ナノチューブ電極503から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体505、炭素ナノチューブ電極503と相変化物質層507との間に位置して、炭素ナノチューブ電極503と接触する熱生成抵抗層509とを備える。
【0095】
ここで、炭素ナノチューブ電極503を電流の移動経路として用いる場合、炭素ナノチューブが成長した方向には電子の散乱がおきないため、炭素ナノチューブ電極503は、1010A/cm2の極めて大きい電流の移動通路としても用いることができる。このように、炭素ナノチューブは、極めて大きい電流密度を得るか、あるいは、導通させるのには容易であるが、熱生成物質として用いた場合、炭素ナノチューブの抵抗が小さいため、相変化物質の相変化を起こすのに充分な熱エネルギーが発生しない。
【0096】
したがって、上述したように大きい抵抗を有する熱生成抵抗層509を炭素ナノチューブ電極503と相変化物質層507との間に薄く蒸着して炭素ナノチューブ電極503と接触させると、炭素ナノチューブ電極503の高い電流密度が熱生成抵抗層509に供給され、熱生成抵抗層509の高い抵抗を利用して熱生成効率を上げることができる。
【0097】
このような熱生成抵抗層509は、W、Mo、Ta、Ni、Cr、及びニクロムからなる群から選択されたいずれか1つで形成される。
【0098】
上述したような構造を有する本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの製造方法は、(a)相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極501上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒502を配列するステップと、(b)触媒502をシードとして垂直方向に複数の炭素ナノチューブを成長させることによって、炭素ナノチューブ電極503を形成するステップと、(c)電流源電極501上に炭素ナノチューブ電極503が完全に覆われるように、絶縁体505を蒸着させるステップと、(d)蒸着後、炭素ナノチューブ電極503が絶縁体505の表面に露出するように、絶縁体505を研磨するステップと、(e)平らに研磨された絶縁体505の表面上に、絶縁体505の表面に露出した炭素ナノチューブ電極503と接触するように、熱生成抵抗層509を蒸着させるステップと、(f)熱生成抵抗層509上に相変化物質層507を形成するステップとを含む。
【0099】
以下、説明していない各構成要素及び製造方法に対する細部技術は、上述した第1の実施形態と同様なので、重複する詳細な説明は省略する。
【0100】
一方、本発明で熱発生物質としての炭素ナノチューブの代わりに、シリコンナノ線、SiGeナノ線、ZnOナノ線などのような物質に代替し、点状の電気熱線を形成することによって、電流源電極と相変化物質層との間の電流通路を形成することができる。
【0101】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0102】
201、301、401、501 電流源電極
302、402、502 触媒
203、303、403、503 炭素ナノチューブ電極
205、305、405、505 絶縁体
207、307、407、507 相変化物質層
509 熱生成抵抗層
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化メモリに関し、さらに詳細には、低電力動作が可能であり、かつ集積度を向上させることができる炭素ナノチューブ(carbon nano tube)を利用した相変化メモリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリとは、特定材料の結晶相と非結晶相(amorphous phase)の電気的な導電性の差を利用して情報を格納するメモリ素子のことである。
【0003】
このような相変化メモリは、閾電圧の大きな余裕と速い動作速度、優れた耐久力、長いデータ維持時間を有しているため、近年、次世代不揮発性メモリとして注目されつつある。さらに、近年、商業用フラッシュメモリと同等の集積度を有する相変化メモリの大量生産の立証に成功した。
【0004】
相変化メモリが次世代メモリの主流となるためには、小さなメモリセルサイズ及びメモリセルの動作特性分布が一定に維持されなければならない。メモリセルのサイズは、動作電流の大きさに大きく影響され、必要な動作電流の大きさは、相変化物質と下部電極との接触面積に影響を受ける。したがって、相変化物質と下部電極との接触面積を減らして、小さな動作電流レベルで大きい動作電流密度を持たせることが必要である。
【0005】
ところが、相変化メモリの製造の際、下部電極を形成するためのエッチング工程において、接触部分の直径の大きさを一定に形成することは難しい。また、大きな電流密度を得るためには、相変化メモリと下部電極との接触部分の大きさを小さくすることが必要であるが、これは、一定の接触部分の大きさを得ると同時に相変化メモリを高集積化する場合において、さらなる他の技術的難題となっており、これにより、相変化メモリの信頼度及び集積度の向上に対する障害物となっている。
【0006】
これにより、相変化メモリのセルサイズを減らして高集積化するための方法は、大きく2種類に分けられる。
【0007】
第1に、相変化物質と下部電極との接触面積を減らして、小さな動作電流でも大きい動作電流密度を持たせることにより、相変化メモリのセルサイズを減らすことである。
【0008】
第2に、発熱物質である下部電極の抵抗を大きくして、同じ電流密度でも大きい熱を発生させ得るようにして、相変化メモリのセルサイズを減らすことである。相変化物質に伝達される熱は、ジュール(Joule)の法則により、熱を発生させる媒体の抵抗に比例し、媒体に流れる電流の自乗に比例する。
【0009】
以下、これに基づいて、従来の相変化メモリの構造を説明する。
【0010】
まず、従来の相変化メモリは、相変化物質の下方に小さな孔部を形成し、その孔部に熱を発生させる物質である下部電極を充填することにより、熱発生物質である下部電極と相変化物質とが当接する部分が2次元の面積を有するように構成される。このような従来の相変化メモリは、外部から供給される動作電流が接触面積分だけ拡散して流れるため、相変化を起こす程度の大きい熱を得るのは難しい。
【0011】
したがって、上述した問題を解決するために、リング状の接触工程が開発された。リング状の接触工程を利用した従来の相変化メモリ(以下、リングタイプの相変化メモリと称す)は、熱発生物質が流入する小さな孔部の表面のみに下部電極を充填し、残りの部分には、絶縁物質を充填する構造を取っている。
【0012】
図1Aは、従来の技術に係る相変化メモリの構造を示した透視図であり、図1Bは、図1Aに示す1b−1b´の断面図であり、図1Cは、従来の技術に係る相変化メモリにおける下部電極を示す平面図である。
【0013】
図1Aに示すように、従来の技術に係るリングタイプの相変化メモリは、外部電流を供給する外部電流源電極101と、相変化を起こしてメモリ特性を表す相変化物質層105とが、側方向に互いに対向しており、外部電流源電極101と相変化物質層105との間に熱発生物質である下部電極102がリング状に形成されており、下部電極102の内部に、下部電極から発生した熱の放出を防止するための絶縁物質103が円状に充填されている。そして、下部電極102と絶縁物質103を誘電物質104が取り囲んでいる。
【0014】
このような従来のリングタイプの相変化メモリは、相変化物質層105と下部電極102との接触面積が円周長の1次元的になるため、既存の2次元の面接触からなる相変化メモリより小さな動作電流でも、高い動作電流密度を表すことができる。また、絶縁物質103を下部電極102が取り囲んでいるため、下部電極102から発生した熱が外部に漏れるのを防止する。
【0015】
ところが、従来のリングタイプの相変化メモリは、熱発生物質である下部電極102が小さな孔部内に充填されなければならないため、下部電極102として用いられる物質が制限されるという問題がある。その上、新しいリング状の接触工程を使用するにも関わらず、相変化メモリの集積度が現在のフラッシュメモリの集積度の半分にしかならないため、上述した従来の構造では、フラッシュタイプの不揮発性メモリの集積度を超えることができないという点で根本的な限界を有している。
【0016】
結局、相変化メモリにおいて、さらに小さな動作電流を得ることができる新しい構造が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、相変化物質と下部電極との接触面積を画期的に減らして、低電力で動作が可能であり、かつ集積度をさらに向上させた炭素ナノチューブを利用した相変化メモリを提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、炭素ナノチューブを利用して相変化物質と下部電極との接触面積を画期的に減らした相変化メモリの製造方法を提供することにある。
【0019】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題に関しては、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成すべく、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブ(carbon
nano tube)を利用した相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極と、電流源電極と側方向に対向する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成されて、炭素ナノチューブ電極から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0021】
このとき、前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
【0022】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブ(SWNT;Single Wall Nano Tube)で形成されることを特徴とする。
【0023】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法は、(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、(b)触媒をシード(seed)として垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)蒸着するステップ後、炭素ナノチューブ電極が絶縁体の表面に露出するように、絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面上に炭素ナノチューブ電極と接触するように相変化物質層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0024】
前記(a)ステップにおいて、前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする。
【0025】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0026】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする。
【0027】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明の他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極と、電流源電極と側方向に対向する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列し、一方が拡張されて相変化物質層にオーバーラップされる炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成されて、炭素ナノチューブ電極から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0028】
このとき、前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
【0029】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、全体長に対して前記相変化物質層にオーバーラップされる長さが1/10〜8/10であることを特徴とする。
【0030】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0031】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明の他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法は、(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、(b)触媒をシードとして垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)蒸着するステップ後、炭素ナノチューブ電極が絶縁体の表面に露出するように、絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面に露出した炭素ナノチューブ電極が突出するように、絶縁体を選択的にエッチングするステップと、(f)絶縁体上に相変化物質を蒸着して、突出した炭素ナノチューブ電極をオーバーラップさせるステップとを含むことを特徴とする。
【0032】
前記(a)ステップにおいて、前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする。
【0033】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0034】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする。
【0035】
前記(e)ステップが、前記突出する炭素ナノチューブ電極の長さが、全体長に対して約1/10〜8/10の範囲となるようにエッチングするステップであることを特徴とする。
【0036】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明のさらに他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極と、電流源電極と側方向に対向する相変化物質層と、電流源電極と相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、炭素ナノチューブ電極の外側に形成されて、炭素ナノチューブ電極から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体と、炭素ナノチューブ電極と相変化物質層との間に位置し、炭素ナノチューブ電極と接触する熱生成抵抗層とを備えることを特徴とする。
【0037】
ここで、前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
【0038】
また、前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0039】
さらに、上記の目的を達成すべく、本発明のさらに他の実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法は、(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、(b)触媒をシードとして垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)蒸着するステップ後、炭素ナノチューブ電極が絶縁体の表面に露出するように、絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面上に絶縁体の表面に露出した炭素ナノチューブ電極と接触するように熱生成抵抗層を蒸着させるステップと、(f)熱生成抵抗層上に相変化物質層を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0040】
前記(a)ステップにおいて、前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする。
【0041】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする。
【0042】
前記(b)ステップにおいて、前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする。
【0043】
その他、実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になるはずである。なお、明細書全体にわたって同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【発明の効果】
【0044】
本発明の好ましい実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリは、従来の下部電極を炭素ナノチューブで構成することによって、従来の相変化メモリより小さな動作電流でも大きい電流密度を維持することができ、メモリの閾電圧の余裕を大きく改善して、多重レベルセル技術を適用することができるという効果が得られる。
【0045】
また、相変化メモリの素子サイズを低減することができるため、相変化メモリの高集積化時の問題として指摘されていた大きな動作電流の限界を克服し、持続的な相変化メモリの高集積化、低電力、高効率に寄与できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】従来の技術に係る相変化メモリの構造を示した透視図である。
【図1B】図1Aに示す1b−1b´の断面図である。
【図1C】従来の技術に係る相変化メモリにおいて、下部電極を示す平面図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの構造を示した透視図である。
【図2B】図2Aに示す2b−2b´の断面図である。
【図2C】本発明の一実施形態に係る相変化メモリにおいて、下部電極を示す平面図である。
【図3A】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3B】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3C】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3D】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図3E】本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0048】
<第1の実施形態>
【0049】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る相変化メモリの構造を示した透視図であり、図2Bは、図2Aに示す2b−2b´の断面図であり、図2Cは、本発明の一実施形態に係る相変化メモリにおいて下部電極を示す平面図である。
【0050】
まず、図2Aに示すように、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、外部電流を供給する電流源電極201と、電流源電極201と側方向に対向する相変化物質層207、電流源電極201と相変化物質層207との間に配列される複数の炭素ナノチューブ電極203、及び炭素ナノチューブ電極203の外側に形成される絶縁体205を備える。
【0051】
電流源電極201は、相変化物質層207に相変化を誘導するのに必要な電流密度を得るために、外部電流を供給する。
【0052】
炭素ナノチューブ電極203は、電流源電極201と相変化物質層207との間に複数配列され、相変化物質層207と接触する。このような炭素ナノチューブ電極203は、相変化物質層207に相変化を誘導するのに必要な外部電流を、電流源電極201から相変化物質層207に伝達する移動通路及び熱発生物質であり、従来の下部電極(図1Aの102)と対応し得る。
【0053】
炭素ナノチューブ電極203は、図2Cに示すように、その大きさや配列などにおいて一定の規則性を有する所定のパターンに形成され得るが、規則性を有する所定のパターンでなくても良い。
【0054】
そして、炭素ナノチューブ電極203の直径dは、約1nm〜100nmの範囲で、ほぼ点のような小さな面積を有し、大きい抵抗を有する単層ナノチューブで形成することが好ましい。これは、発熱物質である炭素ナノチューブ電極203の抵抗を大きくすることにより、同じ電流密度でも大きい熱を発生させるための本発明の目的を達成するためである。これに対する詳細な説明は、後述する。
【0055】
絶縁体205は、電流源電極201と相変化物質層207との間に配列された炭素ナノチューブ電極203の外側を取り囲み、熱発生物質である炭素ナノチューブ電極203から発生する熱が外部に伝達されるのを抑制する機能を果たす。このような絶縁体205は、SiO2、Si4N4、HfO2、ZrO2、Ta2O5、Al2O3、La2O3、Y2O3及びCeO2からなる群から選択されたいずれか1つで形成される。
【0056】
相変化物質層207は、相変化物質の電気的な導電性の差を利用して情報を格納するメモリ層である。相変化物質は、非結晶及び結晶状態のように、少なくとも2つの異なる状態を有するが、非結晶状態が結晶状態より高い抵抗率を表すため、相変化物質の非結晶及び結晶状態は、互いに区別され得る。したがって、相変化物質層207は、炭素ナノチューブ電極203から電流が伝達されて電気的に加熱され、相変化物質が結晶相と非結晶相に可逆的に変換されることによって、情報が格納されるのである。
【0057】
このように構成される本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、熱発生物質である炭素ナノチューブ電極203と相変化物質層207が、炭素ナノチューブ電極203の直径と対応する極めて小さな面積で接触されるため、従来の円周長の1次元的な構造で接触された相変化メモリに比べて、接触面積を画期的に減らすことができる。
【0058】
したがって、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、従来の相変化メモリに比べて集積度を上げることができる色々な特徴を有する。
【0059】
第1に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、電流源電極201と相変化物質層207との間の電流通路としての下部電極を炭素ナノチューブで形成することによって、相変化に必要な動作電流を画期的に減らすことができるという特徴を有する。
【0060】
すなわち、外部から電流を供給する電流源電極201と相変化物質層207との間の炭素ナノチューブ電極203が直径約1nm〜100nmの範囲の極めて小さな円状の面積を有するため、小さな電流でも大きい電流密度を得ることができる。これにより、従来の集積度の向上に対する障害物となった大きな動作電流を克服することができる。
【0061】
第2に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、電流源電極201と相変化物質層207との間の電流通路としての下部電極を炭素ナノチューブで構成することによって、炭素ナノチューブ自体の高い熱伝導率を利用することができるという特徴を有する。
【0062】
一般に、炭素ナノチューブの熱伝導率は、ダイアモンドより2倍以上大きく、略6000(W/mk)であることが知られている。このように熱伝導率が高いというのは、炭素ナノチューブから発生した熱が外部に容易に伝達され得ることを意味する。
【0063】
第3に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、下部電極である炭素ナノチューブを相変化物質層207の周辺に均一に配列することによって、相変化を起こし得る領域を広く拡張させることができるという特徴を有する。
【0064】
これにより、相変化メモリの閾電圧の余裕を大きくすることになるので、1つの素子に複数ビットを格納することができる多重レベルセル(MLC;Multi Level Cell)技術を適用することができ、相変化メモリの集積度の向上に寄与することができる。
【0065】
第4に、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、炭素ナノチューブの電気的な性質により熱生成効率が変わるという特徴を有する。
【0066】
すなわち、炭素ナノチューブの直径と巻かれた方向(カイラリティ;chirality)により、様々な電気的な性質を示す。
【0067】
その中で、多層ナノチューブ(MWNT;Multi Wall Nano Tube)は、99%が金属と似た電気的な特性を示すが、低い抵抗により下部電極として用いるのには適していない。
【0068】
単層ナノチューブ(SWNT;Single Wall Nano Tube)は、細部的に巻かれた方向(カイラリティ;chirality)に応じて半導体性質を有するナノチューブと、金属性性質を有するナノチューブとに区分できる。そのうち、半導体性質を有する単層ナノチューブを使用することによって、炭素ナノチューブの抵抗を増加させることができ、熱生成効率を増大させることができる。
【0069】
したがって、上述したように、本発明の一実施形態に係る相変化メモリは、従来の相変化メモリの構造に比べて動作電流を画期的に減らすことができ、1つの素子に複数ビットを格納することができるため、相変化メモリの集積度をさらに向上させることができる。
【0070】
以下、本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を説明する。
【0071】
図3A〜図3Eは、本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法を順次に示す工程図である。
【0072】
本発明の一実施形態に係る相変化メモリの製造方法は、(a)電流源電極上に触媒を配列するステップと、(b)触媒をシードとして垂直方向に成長させることによって、炭素ナノチューブを形成するステップと、(c)電流源電極上に炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、(d)絶縁体の表面を研磨するステップと、(e)絶縁体の表面上に相変化物質層を形成するステップとを含む。
【0073】
最初の(a)ステップは、図3Aに示すように、相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極301上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒302を配列する。
【0074】
触媒302は、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成し、図3Aに示すように、その大きさや配列などにおいて一定の規則性を有するパターンに形成され得るが、そうでなくても良い。
【0075】
次の(b)ステップは、図3Bに示すように、前のステップで配列された触媒302をシードとして垂直方向に炭素ナノチューブを成長させることによって、柱タイプの炭素ナノチューブ電極303を形成する。
【0076】
このとき、炭素ナノチューブ電極303は、上述した通り、下部電極の抵抗を大きくして大きい熱を発生させ得るようにするために、大きい抵抗を有する単層ナノチューブで形成する。そして、炭素ナノチューブ電極303の直径は、約1nm〜100nmの範囲に形成する。このような直径は、極めて微細なサイズであるため、ほとんど点のように小さな断面積を有するようになる。
【0077】
次の(c)ステップは、図3Cに示すように、電流源電極301上に絶縁体305を蒸着させるものの、柱タイプの炭素ナノチューブ電極303の全体が十分に覆われるように広く蒸着させる。
【0078】
次の(d)ステップは、図3Dに示すように、化学機械的研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)を使用して、絶縁体305の表面を平らに研磨し、炭素ナノチューブ電極303を絶縁体305の表面に露出させる。
【0079】
次の(e)ステップは、図3Eに示すように、平らに研磨された絶縁体305の表面上に相変化物質を蒸着させることにより、炭素ナノチューブ電極303と接触するように相変化物質層307を形成する。このとき、炭素ナノチューブ電極303と相変化物質層307との接触面積は、炭素ナノチューブ電極303の直径と対応する断面積であって、ほとんど点のように小さな接触面積を有することができる。
【0080】
このような工程過程により、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブを利用した下部電極を有する相変化メモリ素子を製造することが可能となる。
【0081】
<第2の実施形態>
【0082】
図4は、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【0083】
同図に示すように、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリは、相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極401、電流源電極401と側方向に対向する相変化物質層407、電流源電極401と相変化物質層407との間に複数配列し、一方が相変化物質層407に伸びてオーバーラップされた炭素ナノチューブ電極403、及び電流源電極401と相変化物質層407との間に炭素ナノチューブ電極403の外側を取り囲むように形成されて、炭素ナノチューブ電極403から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体405を備える。
【0084】
このとき、相変化物質層407にオーバーラップされた炭素ナノチューブ電極403は、全体長に対して約1/10〜8/10の範囲の長さを有することが好ましい。
【0085】
このように構成される本発明の他の実施形態に係る相変化メモリは、電流源電極401と相変化物質層407との間の電流通路として機能する炭素ナノチューブ電極403を、第1の実施形態のように、相変化物質層407と接触させる構造ではなく、相変化物質層407にオーバーラップされるように拡張して、炭素ナノチューブ電極403が伝達する熱により相変化を起こす相変化物質層407の面積を画期的に広めた構造である。
【0086】
これによって、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリは、小さな動作電流でも高い電流密度を維持することができることはもちろん、相変化メモリの閾電圧の余裕が大きく改善されて、1つの素子に複数ビットを格納することができる多重レベルセル(MLC;Multi Level Cell)技術を適用することができる。
【0087】
上述した構造を有する本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの製造方法は、第1の実施形態の製造方法において、絶縁体の表面を研磨するステップ後、絶縁体405を選択的にエッチングするステップをさらに含む。
【0088】
すなわち、(a)相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極401上に、複数の炭素ナノチューブを形成する触媒402を配列するステップと、(b)触媒402をシードとして垂直方向に炭素ナノチューブを成長させるステップと、(c)電流源電極401上に炭素ナノチューブ電極403が完全に覆われるように、絶縁体405を蒸着させるステップと、(d)蒸着後、炭素ナノチューブ電極403が絶縁体405の表面に露出するように、絶縁体405を研磨するステップと、(e)絶縁体405の表面に露出した炭素ナノチューブ電極403が突出するように、絶縁体405を選択的にエッチングするステップと、(f)絶縁体405上に相変化物質層407を形成して、突出した炭素ナノチューブ電極403を相変化物質層407にオーバーラップさせるステップとを含むことにより、本発明の他の実施形態に係る相変化メモリを製造する。
【0089】
このとき、(e)ステップでは、炭素ナノチューブ電極403の突出した部位が相変化物質層407にオーバーラップされるため、炭素ナノチューブ電極403の突出した部位が全体長に対して約1/10〜8/10となるように絶縁体405をエッチングする。
【0090】
以下、説明していない各構成要素及び製造方法に対する細部技術は、上述した第1の実施形態と同様なので、重複する詳細な説明は省略する。
【0091】
<第3の実施形態>
【0092】
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリの構造を示した断面図である。
【0093】
同図に示すように、本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリは、第1の実施形態の構造において炭素ナノチューブの小さな抵抗による低い熱效率を克服するために、大きい抵抗を有する熱生成抵抗層509をさらに付加した構造である。
【0094】
さらに詳細に説明すれば、本発明のさらに他の実施形態に係る相変化メモリは、相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極501、電流源電極501と側方向に対向する相変化物質層507、電流源電極501と相変化物質層507との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極503、電流源電極501と相変化物質層507との間に炭素ナノチューブ電極503の外側を取り囲むように形成されて、炭素ナノチューブ電極503から生成される熱が外部に伝達されるのを抑制する絶縁体505、炭素ナノチューブ電極503と相変化物質層507との間に位置して、炭素ナノチューブ電極503と接触する熱生成抵抗層509とを備える。
【0095】
ここで、炭素ナノチューブ電極503を電流の移動経路として用いる場合、炭素ナノチューブが成長した方向には電子の散乱がおきないため、炭素ナノチューブ電極503は、1010A/cm2の極めて大きい電流の移動通路としても用いることができる。このように、炭素ナノチューブは、極めて大きい電流密度を得るか、あるいは、導通させるのには容易であるが、熱生成物質として用いた場合、炭素ナノチューブの抵抗が小さいため、相変化物質の相変化を起こすのに充分な熱エネルギーが発生しない。
【0096】
したがって、上述したように大きい抵抗を有する熱生成抵抗層509を炭素ナノチューブ電極503と相変化物質層507との間に薄く蒸着して炭素ナノチューブ電極503と接触させると、炭素ナノチューブ電極503の高い電流密度が熱生成抵抗層509に供給され、熱生成抵抗層509の高い抵抗を利用して熱生成効率を上げることができる。
【0097】
このような熱生成抵抗層509は、W、Mo、Ta、Ni、Cr、及びニクロムからなる群から選択されたいずれか1つで形成される。
【0098】
上述したような構造を有する本発明の他の実施形態に係る相変化メモリの製造方法は、(a)相変化を誘導するのに必要な外部電流を供給する電流源電極501上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒502を配列するステップと、(b)触媒502をシードとして垂直方向に複数の炭素ナノチューブを成長させることによって、炭素ナノチューブ電極503を形成するステップと、(c)電流源電極501上に炭素ナノチューブ電極503が完全に覆われるように、絶縁体505を蒸着させるステップと、(d)蒸着後、炭素ナノチューブ電極503が絶縁体505の表面に露出するように、絶縁体505を研磨するステップと、(e)平らに研磨された絶縁体505の表面上に、絶縁体505の表面に露出した炭素ナノチューブ電極503と接触するように、熱生成抵抗層509を蒸着させるステップと、(f)熱生成抵抗層509上に相変化物質層507を形成するステップとを含む。
【0099】
以下、説明していない各構成要素及び製造方法に対する細部技術は、上述した第1の実施形態と同様なので、重複する詳細な説明は省略する。
【0100】
一方、本発明で熱発生物質としての炭素ナノチューブの代わりに、シリコンナノ線、SiGeナノ線、ZnOナノ線などのような物質に代替し、点状の電気熱線を形成することによって、電流源電極と相変化物質層との間の電流通路を形成することができる。
【0101】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0102】
201、301、401、501 電流源電極
302、402、502 触媒
203、303、403、503 炭素ナノチューブ電極
205、305、405、505 絶縁体
207、307、407、507 相変化物質層
509 熱生成抵抗層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電流を供給する電流源電極と、
少なくとも2つの異なる状態を有する相変化物質層と、
前記電流源電極と前記相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、
該炭素ナノチューブ電極の外側に形成される絶縁体と、
前記炭素ナノチューブ電極と前記相変化物質層との間に位置し、前記炭素ナノチューブ電極と接触する熱生成抵抗層と
を備えることを特徴とする炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項2】
前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項3】
前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項4】
前記熱生成抵抗層は、W、Mo、Ta、Ni、Cr、又はニクロムのいずれか1つで形成されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項5】
(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、
(b)前記触媒をシードとして垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、
(c)前記電流源電極上に前記炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、
(d)前記蒸着するステップ後、前記炭素ナノチューブ電極が前記絶縁体の表面に露出するように、前記絶縁体の表面を研磨するステップと、
(e)前記絶縁体の表面上に前記絶縁体の表面に露出した前記炭素ナノチューブ電極と接触するように熱生成抵抗層を蒸着させるステップと、
(f)前記熱生成抵抗層上に相変化物質層を形成するステップと
を含むことを特徴とする炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項6】
前記(a)ステップにおいて、
前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項7】
前記(b)ステップにおいて、
前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項8】
前記(b)ステップにおいて、
前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項9】
前記(e)ステップにおいて、
前記熱生成抵抗層が、W、Mo、Ta、Ni、Cr、又はニクロムのいずれか1つで形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項1】
外部電流を供給する電流源電極と、
少なくとも2つの異なる状態を有する相変化物質層と、
前記電流源電極と前記相変化物質層との間に複数配列した炭素ナノチューブ電極と、
該炭素ナノチューブ電極の外側に形成される絶縁体と、
前記炭素ナノチューブ電極と前記相変化物質層との間に位置し、前記炭素ナノチューブ電極と接触する熱生成抵抗層と
を備えることを特徴とする炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項2】
前記炭素ナノチューブ電極の直径が、1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項3】
前記炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項4】
前記熱生成抵抗層は、W、Mo、Ta、Ni、Cr、又はニクロムのいずれか1つで形成されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリ。
【請求項5】
(a)外部電流を供給する電流源電極上に複数の炭素ナノチューブを形成する触媒を配列するステップと、
(b)前記触媒をシードとして垂直方向に成長させることにより、複数の炭素ナノチューブ電極を形成するステップと、
(c)前記電流源電極上に前記炭素ナノチューブ電極が完全に覆われるように、絶縁体を蒸着させるステップと、
(d)前記蒸着するステップ後、前記炭素ナノチューブ電極が前記絶縁体の表面に露出するように、前記絶縁体の表面を研磨するステップと、
(e)前記絶縁体の表面上に前記絶縁体の表面に露出した前記炭素ナノチューブ電極と接触するように熱生成抵抗層を蒸着させるステップと、
(f)前記熱生成抵抗層上に相変化物質層を形成するステップと
を含むことを特徴とする炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項6】
前記(a)ステップにおいて、
前記触媒が、Fe2O3、Pt、Co、Ni、Ti、Moのうち、少なくともいずれか1つ以上で形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項7】
前記(b)ステップにおいて、
前記複数の炭素ナノチューブ電極が、単層ナノチューブで形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項8】
前記(b)ステップにおいて、
前記複数の炭素ナノチューブ電極が、1nm〜100nmの範囲の直径に形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【請求項9】
前記(e)ステップにおいて、
前記熱生成抵抗層が、W、Mo、Ta、Ni、Cr、又はニクロムのいずれか1つで形成されることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブを利用した相変化メモリの製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2010−287910(P2010−287910A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181352(P2010−181352)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2006−321082(P2006−321082)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2006−321082(P2006−321082)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】
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