説明

炭酸カルシウムバリヤーフィルムおよびその使用

本発明は、水蒸気透過速度を下げた、炭酸カルシウムを含んでなるポリオレフィンフィルム、該フィルムの製造方法、および該フィルムを含んでなる包装材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2005年12月29日提出の米国仮特許出願第60/755,659号の利益を請求するものであり、その内容は参照により本明細書に含まれる、
【発明の分野】
【0002】
本発明は、水蒸気透過速度を下げであり、水分に敏感な材料、例えば乾燥食品、動物飼料、および薬学的製品、の包装に好適な、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウムを含んでなるフィルム構造に関する。
【発明の背景】
【0003】
本願全体を通して、様々な文献を括弧内に参照している。これらの文献は、請求項直前の、明細書の末尾に一括記載されている。本発明の課題をより十分に説明するために、これらの文献の開示内容全文を、ここに参考として含める。
【0004】
乾燥食品、その他の、水分に敏感な材料の包装には、水蒸気の侵入を阻止し、中味を湿らないように保存するバリヤー包装物が望ましい。この包装は、食品材料を、棚で展示するためにボール紙箱に入れ、取り扱い易くする必要がある。
【0005】
フィルムを通る水蒸気の透過を、低下させるのではなく、増加させることを目的とする重合体フィルムが開発されている(例えば、PCT国際特許出願第WO02/10275 A2号、第03/020513 A1号、および第WO03/031134 A1号)。対照的に、水蒸気透過速度(WVTR)の低下は、飲料用容器として好適な、張り合わせた厚紙基材を使用して達成されている(公開米国特許出願第2004/0105942号)。WVTRの低下は、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムの延伸によっても達成されている(米国特許第4,183,893号、第4,870,122号、第6,391,411号)。
【0006】
包装フィルムにおける水蒸気バリヤーを与える様々な技術があるが、乾燥食品、その他の、水分に敏感な材料を包装するための、耐湿性があると共に、経済的でもある、改良されたバリヤーフィルムが求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、炭酸カルシウム(CaCO)を使用し、ポリオレフィンバリヤーフィルムを改良することにより、この要望に応えるものである。このバリヤーフィルムにより、良好な水蒸気耐性、熱密封性および取扱特性が得られる。バリヤー構造は、単層または多層構造にある、炭酸カルシウム含有ポリオレフィンフィルムから構成される。CaCOを含んでなる複数のフィルムバリヤー層を有する構造において、CaCOは、複数のバリヤー層のそれぞれで、それぞれのバリヤー層を通る水蒸気透過速度を下げる。これらのフィルムは、食品包装、動物飼料包装、薬剤包装、その他の水分に敏感な材料の包装に有用である。
【0008】
本発明の他の目的は、下記の説明から明らかである。
【発明の詳細な説明】
【0009】
本発明は、水分透過速度(MVTR)が低い、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウムを含んでなるフィルムに関する。
【0010】
ポリオレフィンは、オレフィンモノマーから製造された重合体の一群である。その例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレンおよびポリイソプレンがある。PEは、高密度PE(HDPE、密度≧0.95 gm/cm)、中密度PE(MDPE、密度0.934〜<0.95 gm/cm)および低密度PE(LDPE、密度<0.934 gm/cm)でよい。LDPEは、線状LDPE(LLDPE)でよい。HDPEが好ましいポリオレフィンである。中分子量HDPE(MMW-HDPE)は好ましいHDPEである。
【0011】
本明細書で使用するように、中分子量(MMW)重合体は、下記の重量分布、即ち数平均分子量(Mn)6,000〜13,000、重量平均分子量(Mw)50,000〜120,000、およびZ平均分子量(Mz)175,000〜500,000、を有する。好ましくは、数平均分子量(Mn)は8,000〜11,000である。好ましくは、重量平均分子量(Mw)は70,000〜100,000である。好ましくはZ平均分子量(Mz)は250,000〜400,000である。
【0012】
好ましいフィルムは、a)ポリオレフィンベース樹脂およびb)炭酸カルシウム(CaCO)と混合されたポリオレフィンキャリヤー樹脂を含んでなり、CaCOおよびキャリヤー樹脂は、15/85〜80/20の重量比で存在する。好ましくは、ベース樹脂とキャリヤー樹脂は、異なった樹脂である。ベース樹脂およびキャリヤー樹脂は、例えば分子量、密度、メルトインデックス、および/または多分散指数が異なっていてよい。多分散指数は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割ったものである。キャリヤー樹脂は、Mw/Mn比が例えば6.82でよく、ベース樹脂は、比が例えば9.35でよい。キャリヤー樹脂およびベース樹脂は、Z平均分子量(Mz)が異なっていてよく、例えばキャリヤー樹脂のMzは203,000であり、ベース樹脂のMzは332,000である。
【0013】
別の好ましいフィルムは、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなり、該フィルムが、a)メルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmであるポリオレフィンベース樹脂、b)CaCOのための、メルトインデックスが4〜10 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmであるポリオレフィンキャリヤー樹脂、およびc)フィルム中に総濃度5〜35重量%で存在するCaCOを含んでなる。
【0014】
別の好ましいフィルムは、a)メルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmである高密度ポリエチレン(HDPE)ベース樹脂、b)炭酸カルシウム(CaCO)のための、メルトインデックスが4〜10 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmであるHDPEキャリヤー樹脂、およびc)平均粒子径が0.7〜2.5μm、トップカットd98が4〜15μm、表面積3.3〜10.0 m/g、およびフィルム中の総濃度が5〜35重量%であるCaCOを含んでなり、該CaCOが、表面処理剤で0.3〜2.3重量%の処理レベルで処理されており、該CaCOおよびHDPEキャリヤー樹脂が15/85〜80/20の重量比で存在する。好ましくは、該CaCOが、該表面処理剤で1.5〜3 mg表面処理剤/mCaCOの処理レベルで処理されている。好ましくは、CaCOは、フィルムにCaCOを配合する前に、湿式粉砕および/または乾式粉砕されている。湿式粉砕は、粉砕助剤の非存在下で、または、例えばポリアクリル酸の塩および/またはアクリル酸共重合体の塩を含んでなる粉砕助剤の存在下で行うことができる。好ましくは、炭酸カルシウムを粉砕後に乾燥させる。CaCOは、CaCO粉砕の前および/または最中および/または後に、表面処理剤で処理することができる。
【0015】
別の好ましいフィルムは、a)密度が0.958〜0.963 g/cmである高密度ポリエチレン(HDPE)、およびb)平均粒子径が0.7〜2.5μm、トップカットd98が4〜15μm、表面積3.3〜10.0 m/g、およびフィルム中の総濃度が5〜35重量%であるCaCOを含んでなる。
【0016】
CaCOおよびキャリヤー樹脂は、フィルム中に重量で15/85〜80/20、例えば40/60〜80/20の比で存在することができる。CaCO/キャリヤー樹脂の好ましい比は、重量で15/85から60/40以下(≦)、例えば重量で40/60〜≦60/40および重量で45/55〜55/45である。最も好ましいフィルムでは、CaCOおよびキャリヤー樹脂は、50/50の重量比で存在する。
【0017】
CaCOは、フィルム中に、例えば5〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、より好ましくは25重量%の総濃度で存在することができる。これらの濃度は、単層および多層フィルムの両方に適用され、その際、幾つかの層がCaCOを全く含まないか、または異なった層が異なった量のCaCOを含むこともできる。
【0018】
本発明のベース樹脂は、メルトインデックスが、例えば0.05〜2.0 dg/分でよく、好ましくは1 dg/分である。ベース樹脂は、密度が0.958〜0.963 g/cmでよく、好ましくは0.962 g/cmである。好ましくは、ベース樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE)である。好ましくは、HDPEは、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である。ベース樹脂、例えばMMW-HDPE樹脂、は、ツィーグラー−ナッタ触媒化学反応により製造することができ、一般的にメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分であり、密度が0.9580 g/cm以上、コモノマー無しに製造されるポリエチレンの上限まで、に入る。好ましいベース樹脂は、樹脂A(下記の表1参照)の特性を有する樹脂である。伝統的な用途では、この材料、または類似の、その純粋な形態にある(他の添加剤またはマスターバッチを含まない)材料、を押し出すことにより、フィルムを製造することができる。本明細書で使用するように、この材料は、「ベース樹脂」と呼ぶ。
【0019】
CaCOのためのキャリヤー樹脂は、メルトインデックスが4〜10 dg/分、好ましくは6.5〜8.0 dg/分、最も好ましくは6.5 dg/分である。キャリヤー樹脂は、密度が例えば0.958〜0.963 g/cmでよく、好ましくは0.962 g/cmである。好ましくは、キャリヤー樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE)である。好ましくは、HDPEは、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である。
【0020】
フィルム中のCaCOは、平均粒子径が0.7〜2.5μmでよく、好ましくは1.4〜2.0μm、より好ましくは1.4μmである。CaCOは、トップカットd98が4〜15μmでよく、好ましくは8〜10μm、より好ましくは8μmである。トップカットd98とは、第98質量100分位数における炭酸カルシウム粒子の平均直径を意味する。CaCOは、表面積が3.3〜10.0 m/gでよく、好ましくは3.3〜5.5 m/g、より好ましくは5.5 m/gである。
【0021】
炭酸カルシウムは、天然の粉砕した炭酸カルシウム、例えば粉砕した大理石、石灰石またはチョーク、および/または沈殿させた炭酸カルシウム(例えば霰石、ワテライト(waterite)または方解石)でよい。好ましくは、炭酸カルシウムは、天然の粉砕した炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムは、乾式粉砕および/または湿式粉砕することができる。湿式粉砕とは、炭酸カルシウムを液体媒体中で粉砕することを意味する。湿式粉砕は、粉砕助剤の非存在下で、または粉砕助剤の存在下で行うことができる。一種以上の粉砕助剤、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸の塩、および/またはアクリル酸共重合体の塩、を包含することができる。例えば、炭酸カルシウムは、高固体分水性媒体中、分散液助剤を使用し、粒子を処理の際に懸濁した状態に維持しながら細かく粉砕した大理石から得ることができる。次いで、材料を脱水し、乾燥させ、処理し、脱凝集させ、個々の粒子を再度細かく分割する。乾燥は、いずれかの好適な乾燥装置、例えば加熱炉、噴霧乾燥機(例えばNiroおよび/またはNaraから市販の噴霧乾燥機)のような装置を使用する熱的乾燥および/または減圧乾燥、および/または真空チャンバーにおける乾燥、使用して行うことができる。乾燥は、バッチ式および/または連続式でよい。
【0022】
表面処理剤をCaCOに加え、CaCOを樹脂中に分散し易くすることができる。表面処理剤は、例えば一種以上の、8〜24個の炭素原子を有する脂肪酸でよい。これらの試剤としては、例えばアラキン酸、ベヘン酸、カプリン酸、セロチン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、モンタン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の一種以上がある。好ましい処理剤としては、ステアリン酸およびステアリン酸とパルミチン酸のブレンドがある。脂肪酸は、植物起源のものでよい。脂肪酸は、純粋(kosher)でよい。CaCOは、表面処理剤で、0.3〜2.3重量%処理剤および97.7〜99.7重量%CaCOの処理レベルで処理することができる。処理レベルは、好ましくは0.8〜1.1重量%処理剤(89.9〜99.2重量%CaCO)、より好ましくは1.1重量%処理剤(89.9重量%CaCO)である。好ましくは、処理レベルは、CaCO1mあたり表面処理剤1.5〜3.0 mg、より好ましくは2〜2.4 mg/mCaCOである。粉砕したCaCOでは、CaCO粉砕の前および/または最中および/または後に、CaCOを表面処理剤で処理することができる。
【0023】
水蒸気バリヤー包装フィルムの構造は、単層または多層である。本発明は、本明細書で開示するポリオレフィンと炭酸カルシウムのフィルムのいずれかを含んでなる多層フィルムに関する。多層フィルムは、一般的に密封性を強化するための内側接触層を使用し、その際、内側接触層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる。この接触層中の酢酸ビニル含有量は、典型的には約18重量%である。共押出工程における押出機の配置に応じて、2〜7以上の層が可能である。
【0024】
好ましい多層フィルムは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる内側層、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるコア層、およびポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなる外側層を含んでなる。ここで使用する用語「内側」、「コア」および「外側」は、多層フィルム構造における様々な層の総体的な位置を説明および明らかにするために使用する。用語「内側」は、包装フィルムの、収容される製品と接触する表面を指し、用語「外側」は、包装フィルムの、周囲の雰囲気と接触する外側を指す。「コア」は、内側および外側層の間に効果的に挟まれる層を意味する。多層フィルムは、層毎の重量配分が、例えば外側層25〜35%、コア層50〜60%、内側層10〜20%、例えば外側30%、コア層55%、内側層15%である。
【0025】
EVA、EEA、およびEAAを含むフィルム層におけるエチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の濃度は、例えば15〜20重量%でよい。エチレン酢酸ビニル(EVA)は、密度が例えば0.95 g/cmでよい。エチレン酢酸ビニル(EVA)は、メルトインデックスが例えば1.5 dg/分でよい。
【0026】
別の多層フィルムは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含む少なくとも第一層、およびポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含む少なくとも第二層を含んでなり、その際、CaCOは、多層フィルム中に総濃度5〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、より好ましくは25重量%で存在する。
【0027】
本発明は、フィルム製造用のマスターバッチ組成物の製造方法であって、本明細書で開示するCaCOおよびポリオレフィンキャリヤー樹脂のいずれかを混合することを含んでなる、方法も提供する。炭酸カルシウムは、それ自体、細かく分割された粉末であり、取扱、計量および押出装置への供給が困難な場合がある。細かく分割された鉱物を押出工程に導入し易くするために、選択されたポリオレフィン(例えばポリエチレン)樹脂および炭酸カルシウムからペレットマスターバッチを製造することができる。ペレットマスターバッチは、炭酸カルシウムおよびペレットを結合するための「キャリヤー樹脂」を含む。典型的には、重合体分解を防止するために、少量の酸化防止剤を添加する。
【0028】
好ましい方法は、CaCOをポリオレフィンキャリヤー樹脂と混合することを含んでなり、その際、CaCOおよびキャリヤー樹脂は、15/85〜80/20、より好ましくは15/85〜≦60/40の重量比で存在する。別の好ましい方法は、CaCOをHDPEキャリヤー樹脂と混合することを含んでなり、その際、CaCOおよびHDPEキャリヤー樹脂は、15/85〜80/20、より好ましくは15/85〜≦60/40の重量比で存在する。これらの方法は、マスターバッチ組成物をペレットに成形することを含むことができる。
【0029】
本発明は、本明細書で開示する方法のいずれかにより製造されたマスターバッチ組成物を提供する。好ましいマスターバッチ組成物は、例えば平均粒子径が1.4μm、トップカット粒子径d98が8.0μmであり、1.1重量%ステアリン酸表面処理した炭酸カルシウム50重量%を、密度0.962 g/cmおよびメルトインデックス6.5 dg/分の高密度ポリエチレン(HDPE)50重量%中に含んでなる。1.1重量%ステアリン酸の処理レベルとは、1.1重量%のステアリン酸および炭酸カルシウム98.9重量%を意味する。
【0030】
本発明は、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)含んでなるフィルムの製造方法であって、本明細書で開示するマスターバッチ組成物のいずれかを、本明細書で開示するポリオレフィン樹脂のいずれかとブレンドすることを含んでなる、方法をさらに提供する。マスターバッチ組成物およびベース樹脂は、それぞれ、所望の比でブレンドできるペレットの形態でよい。ブレンドされたペレットを融解させ、次いで中間フィルムに押出または延伸し、次いでその中間フィルムを延伸し、最終的なフィルムを形成することができる。
【0031】
キャリヤー樹脂の選択は、得られるフィルムの、特に高CaCO装填レベルにおける物理的特性を決定する上で非常に重要である。本発明で開示するように、マスターバッチの製造効率または品質を高めるには、および/または得られる押出物の所望の物理的特性を得るには、ベース樹脂とは異なったキャリヤー樹脂を使用するのが有利である。好ましいキャリヤー樹脂は、MVTRバリヤー特性を改良するのに有用な、メルトインデックスが高い(分子量が低い)ポリエチレンである。好ましいキャリヤー樹脂は、樹脂B(下記の表1参照)の特性を有する樹脂である。
【0032】
カルシウムを配合するためのペレットマスターバッチ系の使用に代わるもう一つの方法は、完全に処方した樹脂を使用することである。この場合、樹脂を所望量の炭酸カルシウムと配合し、ペレット化することになろう。次いで、このペレットを押出機に直接加え、所望の種類の押出物を製造する。
【0033】
フィルム製造方法としては、ポリオレフィンと炭酸カルシウムを含んでなるフィルム層と、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなるフィルム層との共押出を挙げることができる。例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる内側フィルム層を、ポリオレフィンと炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるコアフィルム層およびポリオレフィンと炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなる外側フィルム層と共押出する。
【0034】
重合体材料加工技術としての共押出は、複数の押出機を使用してダイブロックに原料供給し、複数の重合体流を組み合わせてから、組み合わせた溶融物をダイ中で成形する。共押出を使用する利点は、様々な特性を有する複数の材料から、十分に結合した構造を、一工程で形成できることである。本発明の共押出による製造方法は、例えば2基以上の押出機を使用して可塑化させた2種類以上のオレフィン樹脂を共通のダイの中に導き、それらの樹脂をダイの内側または開口部で接触させ、第一工程で2層以上を有するフィルムを形成する。
【0035】
好ましくは、フィルムを1.6:1〜2.2:1、より好ましくは1.6:1、のブロー比(BUR)で処理する。好ましくは、フィルムは、ミルゲージ2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5で加工する。
【0036】
本発明は、本明細書で開示する方法のいずれかにより製造したフィルムを提供する。
【0037】
本発明の好ましい炭酸カルシウム−ポリオレフィンフィルムは、CaCOを含まないフィルムと比較して、水分透過速度(MVTR)が低い。本明細書で使用するように、水分透過速度(MVTR)および水蒸気透過速度(WVTR)は、互換的に使用される。好ましくは、MVTRは、CaCOを含まないフィルムのMVTRと比較して、10〜30%低下している。より好ましくは、MVTRは、CaCOを含まないフィルムのMVTRと比較して、20〜30%低下している。さらに好ましくは、CaCOを含まないフィルムのMVTRと比較して、25〜30%低下している。
【0038】
これらのフィルムは、水分透過速度(MVTR)が、37.5℃および100%相対湿度で、例えば0.213〜0.230 g水蒸気−ミル/100 inのフィルム/日、より好ましくは0.213 g水蒸気−ミル/100 inのフィルム/日である。MVTRの値に関して本明細書で使用するように、用語「ミル」は、フィルムの厚さを指し、1ミル=1/1000インチのフィルム厚である。
【0039】
本発明は、本明細書で開示するフィルムのいずれかを含んでなる包装フィルムを提供する。これらのフィルムは、食品包装、動物飼料包装、薬剤包装、および他の水分に敏感な材料の包装に特に有用である。食品は、乾燥食品、例えばシリアルまたはクラッカー、でよい。本明細書で開示するフィルムのMVTRが低いので、水蒸気の侵入を阻止し、食品内容物の水濡れを防止する。このフィルム包装により、食品材料を厚紙箱に入れて棚に展示し、容易に取り扱うことができる。これらのフィルムは、必要とされる多くの性能を満たすコスト的に有利な包装物で、製品の貯蔵寿命を延長することができる。本明細書で開示するフィルムは、支持体、例えば厚紙基材または他の剛性支持体、に張り合わせていない、自己支持型フィルムとして使用できる。
【0040】
本発明を下記の実験詳細の項で例示するが、この実験詳細は、本発明を理解し易くするためであって、請求項に規定する本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0041】
概論
炭酸カルシウム添加剤を含むポリオレフィンの特性を説明するために、押し出した3層MMW-HDPEフィルムを、類似の構造を有し、総フィルム構造中に20〜30重量%の炭酸カルシウムを配合したフィルムと比較して研究した。炭酸カルシウムは、外側およびコア層にのみ含まれ、内側層には含まれていない。炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムマスターバッチとして配合した。
【0042】
3層フィルムを、外側およびコア層に、密度0.962 g/cmおよびメルトインデックス1.0 dg/分を有するMMW-HDPEベース樹脂(表1における樹脂A)を使用し、密度0.95 g/cm、メルトインデックス1.5 dg/分および酢酸ビニルコモノマー18重量%のエチレン酢酸ビニル(EVA)(DuPont(登録商標)3169Z)の内側層と共に共押出した。内側EVA層の目的は、バッグ製法で密封開始温度を低くし、密封滞留時間を短くすることにより、密封性能を高めることである。
【0043】
共押出層配分は、重量で、外側層30%、コア層55%および内側EVA層15%からなる。総鉱物装填量は、ほとんどのフィルムで炭酸カルシウム25重量%を目標とした(下記の表4参照)ので、有効量を構成するには、外側およびコア層に29.5重量%の炭酸カルシウムが必要であった。対応して、添加剤供給系は、外側およびコア層押出機に対して、58.8重量%濃度マスターバッチおよび41.2重量%MMW-HDPE(表1における樹脂A)を目標として、フィルム中25重量%の有効量を確保するために、これらの各層に必要な29.5重量%を得た。
【0044】
得られたフィルムは、水分透過速度(MVTR)を包含する物理的特性性能に関して、Mocon PERMATRAN-W(登録商標)Model 3/33を使用して評価した。3.0ミルゲージで、1.6ブロー比で押し出した炭酸カルシウムを含まない標準的なフィルムを、より低いゲージ(2.5ミル)で、類似のブロー比で、25重量%炭酸カルシウムを使用して押し出したフィルムと比較し、以下に記載するように、MVTRの改良が見られた。
【0045】
外側フィルム層に炭酸カルシウムを配合することにより、表面を粗くする効果が得られ、二次的なバッグ製造装置の操作における取扱が容易なフィルムを効果的に製造することができ、印刷がより容易になり、印刷精度が改良される。また、この炭酸カルシウム添加による表面変性により、摩擦係数が低くなることも分かった。
【0046】
好ましい実施態様を、炭酸カルシウムを約25重量%装填した共押出ポリオレフィンフィルムに関して記載したが、単層または様々な多層構造形態における、炭酸カルシウムの他の総体的な百分率も使用できることが分かった。例えば、フィルム構造の層配分または炭酸カルシウムの位置(コア層にのみ炭酸カルシウム)を変えても、上記の代表的な実施態様と類似の特性を有する構造が得られる。
【0047】
実験の詳細
メルトインデックス、密度および分子量の測定 メルトインデックスは、ASTM標準方法D1238-04、Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer (熱可塑性樹脂のメルトフローレートの、押出プラストメーターによる標準的な試験方法)を使用して測定した。この標準は、Annual Book of ASTM Standards 2005, Section Eight-Plastics Volume 8.01に見られる。密度は、ASTM標準方法D1501-03、Standard Test Method for Density-Gradient Technique (熱可塑性樹脂の密度の、密度勾配技術による標準的な試験方法)を使用して測定した。この標準は、Annual Book of ASTM Standards 2005, Section Eight-Plastics Volume 8.01に見られる。分子量は、Watersのゲル透過クロマトグラフを使用して測定した。使用したポンプは、135℃で注入体積250μLに対して流量1.00 mL/分で操作する150Cであった。試料は、1,2,4-トリクロロベンゼン4 mLに溶解させたポリエチレン試料12 mgを使用して調製した。使用したカラムは、Waters Styragel HT3、HT4、HT5およびHT6Eであった。数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)は下記のように計算する。
【0048】
数平均分子量(Mn)は、ある試料中にある全重合体分子の総重量を、該試料中にある重合体分子の総数で割ったものである。Mnは、数学的に
【数1】

として表され、式中、Niは、特定の分子質量における分子の特定数に等しく、Miは、それぞれの分子のモル重量である。
【0049】
重量分子量(Mw)は、次に高い分子量であり、数学的に
【数2】

として表され、式中、各分子は、それぞれの質量の2乗に比例してMwに寄与する。
【0050】
Z平均分子量(Mz)は、Mwの次に高い分子量であり、数学的に
【数3】

として表され、式中、各分子は、それぞれの質量の3乗に比例してMzに寄与する。
【0051】
水分透過速度の測定 フィルムの水分透過速度(MVTR)性能の評価は、Mocon Permatran-W Model 3/33で行った。試料は、ASTM標準、F1249-05 Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor(変調赤外センサーを使用する、プラスチックフィルムおよびシートを通る水分透過速度に関する標準試験方法)により、37.8℃および100%相対湿度で操作して試験した。この標準は、Annual Book of ASTM Standards 2005, Volume 15.09に見られる。
【0052】
粒子径分布の測定 粒子径分布(PSD)の評価は、ISO標準13317-1一般的原理および指針、および13317-3X線重力技術に従い、Sedigraph 5100を使用するX線沈降技術により行った。Sedigraphを使用する測定は、long flex life Tygon tubingを使用する高速度分析制御モードで行った。試料は、0.2重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム分散物中で調製した。5.0グラム試料を35℃で、内部固定位置X線供給源/検出器を使用して評価した。試料の開始/終了点直径がそれぞれ50-0.5μmを測定する。
【0053】
装置
押出機 Battenfeld Gloucester co-ex押出、2”内側押出機、3.5”コア(中間)押出機、および2”外側押出機。
層比率 A(内側)-30%、B(コア)-55%、およびC(外側)-15%
スクリーンパック 20/80/20メッシュ。3基の押出機全てに同じパック配置を使用した。
ダイ 8”Battenfeld Gloucester w/80ミルダイギャップ
空気リング Egan Davis-Standard dual-lip
【0054】
樹脂
表1 樹脂

樹脂 密度 MI Mn Mw Mz
樹脂A 0.962 1.0 8799 82314 331501
樹脂B 0.962 6.5
樹脂C 0.962 8.0 9132 62247 203165
樹脂D 0.962 8.0
密度 g/cm 、MI=メルトインデックス(dg/分)、Mn=数平均分子量、Mw=重量平均分子量、Mz=z平均分子量
【0055】
樹脂Dは、フルオロエラストマー重合体加工助剤(流動促進剤)を含み、MVTRに対する応答が悪かった。
【0056】
炭酸カルシウム鉱物
表2 炭酸カルシウム鉱物

炭酸カル 説明 平均 トップ 表面積 処理
シウム(CC) 粒子径 カット レベル
の種類 d98
(μm) (μm) (m/g)
CCA 細かく分割した大理石、 1.4 8 5.5 1.1%Wt
ポリアクリル酸 2 mg/m
ナトリウムの存在下
70%固体で湿式粉砕、
乾燥および表面処理
CCB 細かく分割した大理石、 2.0 10 3.3 0.8%Wt
分散剤の非存在下 2.4 mg/m
20%固体で湿式粉砕、
乾燥および表面処理
トップカットd98とは、第98質量100分位数における炭酸カルシウム粒子の平均直径を意味する。処理レベルとは、CaCOの、ステアリン酸/パルミチン酸ブレンドによる表面処理を意味する。
【0057】
処理
空気リング 冷却温度52〜54°F、3.5インチ圧力(psig)
フロストライン 高さ範囲−18〜19インチ
吐出速度 250#/hrで一定
条件 ブロー比(BUR)とゲージ(ミルで測定した厚さ)
表3 処理条件

条件 BUR 折り ゲージ
1 1.60 2.00
2 2.50
3 2.20 2.00
4 2.50
5 1.60 3.00
6 2.2 3.00
BUR=ブロー比
【0058】
試料
表4 試料

試料 フィルム中 CaCO マスターバッチ
CaCOの マスターバッチ 鉱物/樹脂比
目標重量% CaCO/樹脂
比較 0 - -
試料A 20 CCA/樹脂B 50/50
試料B 25 CCA/樹脂B 50/50
試料C 30 CCA/樹脂B 50/50
試料D 25 CCB/樹脂C 50/50
試料E 25 CCA/樹脂C 50/50
試料F 25 CCA/樹脂D 60/40
試料G 25 CCA/樹脂B 50/50
試料H 25 CCA/樹脂B 75/25
マスターバッチ中にある樹脂種類およびCaCO(CC)種類の説明は、それぞれ表1および2に記載されている。
【0059】
試験内容:比較試料および5種類の異なった炭酸カルシウムマスターバッチを包含する9試料を、Battenfeld Gloucester共押出ブロー成形フィルムラインで押し出した。試料AおよびCを除いて、これら試料のそれぞれを4種類の異なった条件(2.0および2.5ゲージ、および1.6および2.2ブロー比)で押し出した。試料AおよびCは、それぞれ1.6および2.2ブロー比で、2.5ミルゲージでのみ処理した。比較試料5および6(表3)は、比較用のみに使用した。
【0060】
結果および考察
評価の目的は、押出および炭酸カルシウム濃度材料の、どの設定の組合せが水分透過速度に対して最も高い耐性を示すかを確認することであった。樹脂BまたはC(表1)と炭酸カルシウム(CC)タイプA(表2)の50/50マスターバッチを経由して配合した炭酸カルシウム25重量%を含む、樹脂Aから構築されたフィルムが、1.6ブロー比および2.5ミルゲージで処理した時、MVTRに対して最も優れた改良を示した。表5A-Cは、水分透過速度(MVTR)応答を包含するフィルム性能をまとめて示す。表5A-Cにおける、試料および処理条件に関するコードは、表3および4に示す。
【0061】
本明細書で記載するフィルムは、例えば金属被覆されたフィルムと比較して、水分に対して敏感な製品、例えば乾燥食品、の包装に使用できる、MVTRを下げたフィルムを提供するための、コスト的に有利な手段を提供する。
表5A フィルム性能の結果(表5B&5Cに続く)
【表1】

表5B フィルム性能の結果(表5Aの続き)

試料& MVTR nMVTR nMVTR CaCO BURの
処理条件 (2) の効果 効果
測定値 目標値 nMVTR nMVTR
g/100 g-mil/100 g-mil/100 % %
in/d in/d in/d 改良 改良
比較 1 0.177 0.356 0.354
比較 2 0.108 0.284 0.270
比較 3 0.132 0.260 0.264 26.91
比較 4 0.097 0.240 0.243 8.45
比較 5 0.094 0.292 0.282
比較 6 0.075 0.230 0.225
A 2 0.1 0.257 0.250 9.52
A 4 0.092 0.226 0.230 12.97 11.94
B 1 0.135 0.265 0.270 25.63
B 2 0.091 0.221 0.228 22.15
B 3 0.107 0.217 0.214 16.47 17.91
B 4 0.087 0.213 0.218 18.03 3.61
C 2 0.095 0.245 0.238 13.71
C 4 0.097 0.249 0.243 4.13 -1.71
D 1 0.123 0.248 0.246 30.16
D 2 0.095 0.243 0.238 14.38
D 3 0.115 0.233 0.230 10.23 6.04
D 4 0.092 0.233 0.230 10.49 4.29
E 1 0.139 0.284 0.278 20.30
E 2 0.096 0.247 0.240 13.14
E 3 0.118 0.241 0.236 7.43 15.11
E 4 0.097 0.243 0.243 6.37 1.32
F 1 0.161 0.320 0.322 9.94
F 2 0.115 0.292 0.288 -2.84
F 3 0.134 0.264 0.268 -1.52 17.61
F 4 0.104 0.256 0.260 1.62 12.41
G 1 0.135 0.258 0.270 27.52
G 2 0.095 0.228 0.238 19.73
G 3 0.115 0.222 0.230 14.65 13.92
G 4 0.089 0.227 0.223 12.72 0.46
H 1 0.195 0.384 0.390 -7.98
H 2 0.121 0.305 0.303 -7.35
H 3 0.129 0.267 0.258 -2.69 30.49
H 4 0.091 0.231 0.228 11.11 24.20
表5C フィルム性能の結果(表5A&5Bの続き)

試料& 2.5ミルCaCO含有 平均nMVTR 平均nMVTR
処理条件 HDPEフィルム vs. 改良 改良
3.0 HDPEフィルム
nMVTR
%改良 %改良 %改良
比較 1
比較 2
比較 3
比較 4
比較 5
比較 6
A 2 11.24
A 4
B 1 23.89
B 2 24.36 20.57
B 3 17.25
B 4 7.12
C 2 16.16 8.92
C 4 −8.62
D 1 22.27
D 2 16.81 16.31
D 3 10.36
D 4 −1.42
E 1 16.72
E 2 15.61 11.81
E 3 6.90
E 4 −6.09
F 1 3.55
F 2 0.08 1.80
F 3 0.05
F 4 −11.48
G 1 23.63
G 2 22.01 18.66
G 3 13.69
G 4 1.11
H 1 −7.66
H 2 −4.30 −1.73
H 3 4.21
H 4 −0.71
【0062】
表5Bに対する注 「MVTR」は、元のMVTRである。「nMVTR」は、測定したゲージを使用して補正したMVTRである。「nMVTR(2)」は、目標ゲージを使用して補正したMVTRである。「CaCOの効果」は、同じゲージおよびフィルム延伸(BUR)における、比較フィルムに対するMVTRの改良(測定でゲージで補正)を示す。「BURの効果」は、同等のCaCO装填量およびゲージでBURから得られるMVTRの改良を示す。正の数は、改良(即ちMVTRの低下)を示し、負の数は、欠陥を示す。
【0063】
表5Cに対する注 第3欄における比較は、同等のBURにおける、CaCOを含む2.5ミルフィルムと直線的3.0ミルHDPEとの間である。第4欄における「平均nMVTR改良」は、特定のBURにおける、CaCO含有試料の、比較に対する平均MVTR改良である。第5欄における「平均nMVTR改良」は、両方のゲージおよび使用したBURにおける、CaCO含有試料の、比較に対するnMVTRの平均改良である。正の数は、改良(即ちMVTRの低下)を示し、負の数は、欠陥を示す。
【参照文献】
【0064】
PCT国際特許出願第WO02/10275 A2号、2002年2月7日公開、Eastman Chemical Company。
PCT国際特許出願第WO03/020513 A1号、2003年3月13日公開、Kimberly-Clark Worldwide, Inc.。
PCT国際特許出願第WO03/031134 A1号、2003年4月17日公開、Imerys Minerals Limited。
米国特許出願第2004/0105942 A1号、2004年6月3日公開。
米国特許第4,183,893号、1980年1月15日発行。
米国特許第4,870,122号、1989年9月26日発行。
米国特許第6,391,411 B1号、2002年5月21日発行。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリオレフィンベース樹脂、および
b)CaCOと混合されたポリオレフィンキャリヤー樹脂
を含んでなり、前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、15/85〜80/20の重量比で存在する、フィルム。
【請求項2】
前記ベース樹脂およびキャリヤー樹脂が、異なった樹脂である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ベース樹脂および前記キャリヤー樹脂が、分子量、密度、メルトインデックス、および/または多分散指数で異なっている、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが4〜10 dg/分である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記キャリヤー樹脂の密度が0.958〜0.963 g/cmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記ベース樹脂のメルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ベース樹脂の密度が0.958〜0.963 g/cmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
CaCOが、前記フィルム中に総濃度5〜35重量%で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
a)メルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmであるポリオレフィンベース樹脂、
b)CaCOのための、メルトインデックスが4〜10 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmであるポリオレフィンキャリヤー樹脂、および
c)CaCO
を含んでなり、CaCOが、前記フィルム中に総濃度5〜35重量%で存在する、フィルム。
【請求項10】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5〜8.0 dg/分である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5 dg/分である、請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記キャリヤー樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
前記ベース樹脂のメルトインデックスが1 dg/分である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項14】
前記ベース樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項15】
前記フィルム中のCaCO濃度が20〜30重量%である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項16】
前記フィルム中のCaCO濃度が25重量%である、請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、重量比15/85〜80/20で存在する、請求項9〜16のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項18】
前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、重量比40/60〜80/20で存在する、請求項1〜18のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項19】
前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、重量比40/60〜≦60/40で存在する、請求項18に記載のフィルム。
【請求項20】
前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、重量比45/55〜55/45で存在する、請求項19に記載のフィルム。
【請求項21】
前記CaCO/キャリヤー樹脂比が重量で50/50である、請求項20に記載のフィルム。
【請求項22】
前記キャリヤー樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、またはポリイソプレンである、請求項1〜21のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項23】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または線状LDPE(LLDPE)である、請求項22に記載のフィルム。
【請求項24】
前記HDPEが、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である、請求項23に記載のフィルム。
【請求項25】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項24に記載のフィルム。
【請求項26】
前記ベース樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、またはポリイソプレンである、請求項1〜25のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項27】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または線状LDPE(LLDPE)である、請求項26に記載のフィルム。
【請求項28】
前記HDPEが、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である、請求項27に記載のフィルム。
【請求項29】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項28に記載のフィルム。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載のフィルムを含んでなる、多層フィルム。
【請求項31】
エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる内側層、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるコア層、およびポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなる外側層を含んでなる、請求項30に記載の多層フィルム。
【請求項32】
前記内側層におけるエチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、またはエチレンアクリル酸(EAA)の濃度が15〜20重量%である、請求項31に記載の多層フィルム。
【請求項33】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)の密度が0.95 g/cmである、請求項31または32に記載の多層フィルム。
【請求項34】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)のメルトインデックスが1.5 dg/分である、請求項31〜33のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項35】
層毎の重量配分が、外側層25〜35%、コア層50〜60%、および内側層10〜20%である、請求項31〜34のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項36】
層毎の重量配分が、外側層30%、コア層55%、内側層15%である、請求項35に記載の多層フィルム。
【請求項37】
多層フィルムであって、前記多層フィルムの少なくとも第一層が、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなり、前記多層フィルムの少なくとも第二層が、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなり、その際、CaCOが、前記多層フィルム中に総濃度5〜35重量%で存在する、多層フィルム。
【請求項38】
前記多層フィルム中のCaCO濃度が20〜30重量%である、請求項37に記載の多層フィルム。
【請求項39】
前記多層フィルム中のCaCO濃度が25重量%である、請求項38に記載の多層フィルム。
【請求項40】
エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる内側層、ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるコア層、およびポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなる外側層を含んでなる、請求項37〜39のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項41】
前記内側層におけるエチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、またはエチレンアクリル酸(EAA)の濃度が15〜20重量%である、請求項40に記載の多層フィルム。
【請求項42】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)の密度が0.95 g/cmである、請求項37〜41のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項43】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)のメルトインデックスが1.5 dg/分である、請求項37〜42のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項44】
層毎の重量配分が、外側層25〜35%、コア層50〜60%、および内側層10〜20%である、請求項40〜43のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項45】
層毎の重量配分が、外側層30%、コア層55%、内側層15%である、請求項44に記載の多層フィルム。
【請求項46】
前記ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるフィルム層が、ポリオレフィンキャリヤー樹脂を含んでなり、その際、前記CaCOおよび前記ポリオレフィンキャリヤー樹脂が、15/85〜80/20の重量比で存在する、請求項37〜45のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項47】
前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、40/60〜80/20の重量比で存在する、請求項46に記載の多層フィルム。
【請求項48】
前記CaCO/ポリオレフィンキャリヤー樹脂比が、重量で40/60〜≦60/40である、請求項47に記載の多層フィルム。
【請求項49】
前記CaCO/ポリオレフィンキャリヤー樹脂比が、重量で45/55〜55/45である、請求項48に記載の多層フィルム。
【請求項50】
前記CaCO/ポリオレフィンキャリヤー樹脂比が、重量で50/50である、請求項49に記載の多層フィルム。
【請求項51】
前記ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるフィルム層が、メルトインデックス4〜10 dg/分を有するポリオレフィンキャリヤー樹脂を含んでなる、請求項37〜50のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項52】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5〜8.0 dg/分である、請求項51に記載の多層フィルム。
【請求項53】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5 dg/分である、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項54】
前記キャリヤー樹脂の密度が0.958〜0.963 g/cmである、請求項37〜53のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項55】
前記キャリヤー樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項54に記載の多層フィルム。
【請求項56】
CaCO用のキャリヤー樹脂を含んでなり、前記キャリヤー樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、またはポリイソプレンである、請求項37〜55のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項57】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または線状LDPE(LLDPE)である、請求項56に記載の多層フィルム。
【請求項58】
前記HDPEが、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である、請求項57に記載の多層フィルム。
【請求項59】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項58に記載の多層フィルム。
【請求項60】
ベース樹脂を含んでなり、前記ベース樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、またはポリイソプレンである、請求項37〜59のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項61】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または線状LDPE(LLDPE)である、請求項60に記載の多層フィルム。
【請求項62】
前記HDPEが、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である、請求項61に記載の多層フィルム。
【請求項63】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項62に記載の多層フィルム。
【請求項64】
前記ベース樹脂のメルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分である、請求項60〜63のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項65】
前記ベース樹脂のメルトインデックスが1 dg/分である、請求項64に記載の多層フィルム。
【請求項66】
前記ベース樹脂の密度が0.958〜0.963 g/cmである、請求項60〜65のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項67】
前記ベース樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項66に記載の多層フィルム。
【請求項68】
a)メルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmである高密度ポリエチレン(HDPE)ベース樹脂、
b)炭酸カルシウム(CaCO)のための、メルトインデックスが4〜10 dg/分であり、密度が0.958〜0.963 g/cmであるHDPEキャリヤー樹脂、および
c)平均粒子径が0.7〜2.5μm、トップカットd98が4〜15μm、表面積が3.3〜10.0 m/g、およびフィルム中の総濃度が5〜35重量%であるCaCOを含んでなり、前記CaCOが、表面処理剤で0.3〜2.3重量%の処理レベルで処理されており、前記CaCOおよびHDPEキャリヤー樹脂が15/85〜80/20の重量比で存在する、フィルム。
【請求項69】
前記CaCOが、前記フィルムにCaCOを配合する前に、湿式粉砕および/または乾式粉砕されている、請求項68に記載のフィルム。
【請求項70】
前記CaCOが、粉砕助剤の存在下で、または非存在下で、湿式粉砕されている、請求項69に記載のフィルム。
【請求項71】
前記CaCOが、ポリアクリル酸の塩および/またはアクリル酸共重合体の塩を含んでなる粉砕助剤の存在下で湿式粉砕されている、請求項69または70に記載のフィルム。
【請求項72】
前記炭酸カルシウムを粉砕後に乾燥させる、請求項69〜71のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項73】
前記CaCOが、前記CaCO粉砕の前および/または最中および/または後に、表面処理剤で処理されている、請求項68〜72のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項74】
前記CaCOが、表面処理剤で1.5〜3 mg表面処理剤/mCaCOの処理レベルで処理されている、請求項68〜73のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項75】
前記HDPEベース樹脂が、中分子量HDPE(MMW-HDPE)ベース樹脂である、請求項68〜74のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項76】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項75に記載のフィルム。
【請求項77】
前記HDPEキャリヤー樹脂が、中分子量HDPE(MMW-HDPE)キャリヤー樹脂である、請求項68〜76のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項78】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項77に記載のフィルム。
【請求項79】
前記HDPEのメルトインデックスが1.0 dg/分である、請求項68〜78のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項80】
前記HDPEキャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5〜8.0 dg/分である、請求項68〜79のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項81】
前記HDPEキャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5 dg/分である、請求項80に記載のフィルム。
【請求項82】
前記HDPEベース樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項68〜81のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項83】
前記HDPEキャリヤー樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項68〜82のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項84】
前記フィルム中の炭酸カルシウム(CaCO)濃度が20%〜30%である、請求項68〜83のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項85】
前記フィルム中の炭酸カルシウム(CaCO)濃度が25%である、請求項84に記載のフィルム。
【請求項86】
前記CaCOおよび前記HDPEキャリヤー樹脂が、40/60〜80/20の重量比で存在する、請求項68〜85のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項87】
前記CaCOおよび前記HDPEキャリヤー樹脂が、重量で40/60〜≦60/40の重量比で存在する、請求項86に記載のフィルム。
【請求項88】
前記CaCOおよび前記HDPEキャリヤー樹脂が、45/55〜55/45の重量比で存在する、請求項87に記載のフィルム。
【請求項89】
前記CaCOおよび前記HDPEキャリヤー樹脂が、50/50の重量比で存在する、請求項88に記載のフィルム。
【請求項90】
a)密度が0.958〜0.963 g/cmである高密度ポリエチレン(HDPE)、および
b)平均粒子径が0.7〜2.5μm、トップカットd98が4〜15μm、表面積が3.3〜10.0 m/g、およびフィルム中の総濃度が5〜35重量%である炭酸カルシウム(CaCO)
を含んでなる、フィルム。
【請求項91】
前記HDPEが、中分子量HDPE(MMW-HDPE)である、請求項90に記載のフィルム。
【請求項92】
前記HDPEの密度が0.962 g/cmである、請求項90または91に記載のフィルム。
【請求項93】
前記フィルム中のCaCO濃度が20〜30重量%である、請求項90〜92のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項94】
前記フィルム中のCaCO濃度が25重量%である、請求項93に記載のフィルム。
【請求項95】
前記CaCOの平均粒子径が0.7〜2.5μmである、請求項1〜94のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項96】
前記CaCOの平均粒子径が1.4〜2.0μmである、請求項95に記載のフィルム。
【請求項97】
前記CaCOの平均粒子径が1.4μmである、請求項96に記載のフィルム。
【請求項98】
前記CaCOのトップカットd98が4〜15μmである、請求項1〜97のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項99】
前記CaCOのトップカットd98が8〜10μmである、請求項98に記載のフィルム。
【請求項100】
前記CaCOのトップカットd98が8μmである、請求項99に記載のフィルム。
【請求項101】
前記CaCOの表面積が3.3〜10.0 m/gである、請求項1〜100のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項102】
前記CaCOの表面積が3.3〜5.5 m/gである、請求項101に記載のフィルム。
【請求項103】
前記CaCOの表面積が5.5 m/gである、請求項102に記載のフィルム。
【請求項104】
前記CaCOが、表面処理剤で0.3〜2.3重量%の処理レベルで処理されている、請求項1〜103のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項105】
前記処理レベルが0.8〜1.1重量%である、請求項104に記載のフィルム。
【請求項106】
前記処理レベルが1.1重量%である、請求項105に記載のフィルム。
【請求項107】
前記表面処理剤が、一種以上の、8〜24個の炭素原子を有する脂肪酸である、請求項104〜106のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項108】
前記表面処理剤が、アラキン酸、ベヘン酸、カプリン酸、セロチン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、モンタン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の一種以上である、請求項107に記載のフィルム。
【請求項109】
前記表面処理剤が、ステアリン酸を含んでなる、請求項107に記載のフィルム。
【請求項110】
請求項68〜109のいずれか一項に記載のフィルムを含んでなる多層フィルム。
【請求項111】
エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる内側層、HDPEおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるコア層、およびHDPEおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなる外側層を含んでなる、請求項110に記載の多層フィルム。
【請求項112】
前記内側層におけるエチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、またはエチレンアクリル酸(EAA)の濃度が15〜20重量%である、請求項111に記載の多層フィルム。
【請求項113】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)の密度が0.95 g/cmである、請求項111または112に記載の多層フィルム。
【請求項114】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)のメルトインデックスが1.5 dg/分である、請求項111〜113のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項115】
層毎の重量配分が、外側層25〜35%、コア層50〜60%、および内側層10〜20%である、請求項111〜114のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項116】
層毎の重量配分が、外側層30%、コア層55%、内側層15%である、請求項115に記載の多層フィルム。
【請求項117】
フィルム製造用の、炭酸カルシウム(CaCO)およびポリオレフィンのマスターバッチ組成物の製造方法であって、該方法がCaCOをポリオレフィンキャリヤー樹脂と混合することを含んでなり、前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、15/85〜≦60/40の重量比で存在する、方法。
【請求項118】
前記ポリオレフィンキャリヤー樹脂が高密度ポリエチレン(HDPE)である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
フィルム製造用の、炭酸カルシウム(CaCO)および高密度ポリエチレン(HDPE)のマスターバッチ組成物の製造方法であって、該方法がCaCOとHDPEキャリヤー樹脂を混合することを含んでなる、前記CaCOおよび前記キャリヤー樹脂が、15/85〜80/20の重量比で存在する、方法。
【請求項120】
前記CaCO/キャリヤー樹脂比が重量で40/60〜80/20である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記CaCO/キャリヤー樹脂比が重量で40/60〜≦60/40である、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
前記CaCO/キャリヤー樹脂比が重量で45/55〜55/45である、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記CaCO/キャリヤー樹脂比が重量で50/50である、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが4〜10 dg/分である、請求項117〜123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5〜8.0 dg/分である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記キャリヤー樹脂のメルトインデックスが6.5 dg/分である、請求項124に記載の方法。
【請求項127】
前記キャリヤー樹脂の密度が0.958〜0.963 g/cmである、請求項117〜126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記キャリヤー樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記HDPEが、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である、請求項118〜128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記CaCOの平均粒子径が0.7〜2.5μmである、請求項117〜130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記CaCOの平均粒子径が1.4〜2.0μmである、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記CaCOの平均粒子径が1.4μmである、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
前記CaCOのトップカットd98が4〜15μmである、請求項117〜133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記CaCOのトップカットd98が8〜10μmである、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記CaCOのトップカットd98が8μmである、請求項134に記載の方法。
【請求項137】
前記CaCOの表面積が3.3〜10.0 m/gである、請求項117〜136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記CaCOの表面積が3.3〜5.5 m/gである、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記CaCOの表面積が5.5 m/gである、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
前記CaCOが、表面処理剤で0.3〜2.3重量%の処理レベルで処理されている、請求項117〜139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記処理レベルが0.8〜1.1重量%である、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
前記処理レベルが1.1重量%である、請求項140に記載の方法。
【請求項143】
前記表面処理剤が、一種以上の、8〜24個の炭素原子を有する脂肪酸である、請求項140〜142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記表面処理剤が、アラキン酸、ベヘン酸、カプリン酸、セロチン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、モンタン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の一種以上である、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記表面処理剤が、ステアリン酸を含んでなる、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記マスターバッチ組成物をペレットに形成することをさらに含んでなる、請求項117〜145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
請求項117〜146のいずれか一項に記載の方法により製造されたマスターバッチ組成物。
【請求項148】
平均粒子径が1.4μm、トップカット粒子径d98が8.0μmであり、1.1重量%ステアリン酸表面処理した炭酸カルシウム50重量%を、密度0.962 g/cmおよびメルトインデックス6.5 dg/分の高密度ポリエチレン(HDPE)キャリヤー樹脂50重量%中に含んでなる、炭酸カルシウムマスターバッチ組成物。
【請求項149】
ポリオレフィンおよび炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるフィルムの製造方法であって、(a)請求項147または148に記載のマスターバッチ組成物および(b)ポリオレフィンベース樹脂をブレンドすることを含んでなる、方法。
【請求項150】
前記ポリオレフィンベース樹脂が高密度ポリエチレン(HDPE)である、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記ベース樹脂のメルトインデックスが0.05〜2.0 dg/分である、請求項149または150に記載の方法。
【請求項152】
前記ベース樹脂のメルトインデックスが1 dg/分である、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記HDPEが、中分子量高密度ポリエチレン(MMW-HDPE)である、請求項150に記載の方法。
【請求項154】
前記MMW-HDPEのメルトインデックスが0.85〜1.5 dg/分である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記ベース樹脂の密度が0.958〜0.963 g/cmである、請求項149〜154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記ベース樹脂の密度が0.962 g/cmである、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
ポリオレフィンと炭酸カルシウムを含んでなるフィルム層を、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなるフィルム層と共に共押出することをさらに含んでなる、請求項149〜156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、およびエチレンアクリル酸(EAA)の一種以上を含んでなる内側フィルム層、ポリオレフィンと炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなるコアフィルム層、およびポリオレフィンと炭酸カルシウム(CaCO)を含んでなる外側フィルム層を共押出することを含んでなる、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、またはエチレンアクリル酸(EAA)を含んでなるフィルム層中のエチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、またはエチレンアクリル酸(EAA)の濃度が15〜20重量%である、請求項157または158に記載の方法。
【請求項160】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)の密度が0.95 g/cmである、請求項157〜159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記エチレン酢酸ビニル(EVA)のメルトインデックスが1.5 dg/分である、請求項157〜160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記フィルムの層毎の重量配分が、外側層25〜35%、コア層50〜60%、および内側層10〜20%である、請求項158〜161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記フィルムの層毎の重量配分が、外側層30%、コア層55%、内側層15%である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
CaCOが前記フィルム中に総濃度5〜35重量%で存在する、請求項157〜163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
CaCOが前記フィルム中に総濃度20〜30重量%で存在する、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記フィルム中のCaCO総濃度が25重量%である、請求項164に記載の方法。
【請求項167】
請求項149〜166のいずれか一項に記載の方法により製造されたフィルム。
【請求項168】
CaCOを含まないフィルムと比較して、水分透過速度(MVTR)が低下している、請求項1〜116および167のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項169】
CaCOを含まないフィルムのMVTRと比較して、前記水分透過速度(MVTR)が10〜30%低下している、請求項168に記載のフィルム。
【請求項170】
CaCOを含まないフィルムのMVTRと比較して、前記水分透過速度(MVTR)が20〜30%低下している、請求項169に記載のフィルム。
【請求項171】
CaCOを含まないフィルムのMVTRと比較して、前記水分透過速度(MVTR)が25〜30%低下している、請求項170に記載のフィルム。
【請求項172】
前記水分透過速度(MVTR)が、37.5℃および100%相対湿度で、0.213〜0.230 g水蒸気−ミル/100 inのフィルム/日である、請求項1〜116および167〜171のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項173】
前記水分透過速度(MVTR)が、37.5℃および100%相対湿度で、0.213 g水蒸気−ミル/100 inのフィルム/日である、請求項172に記載のフィルム。
【請求項174】
請求項1〜116および167〜173のいずれか一項に記載のフィルムを含んでなる包装フィルム。
【請求項175】
前記フィルムが、水分に敏感な材料のための包装フィルムである、請求項174に記載の包装フィルム。
【請求項176】
前記フィルムが、食品包装フィルム、動物飼料包装フィルム、または薬剤包装フィルムである、請求項174または175に記載の包装フィルム。
【請求項177】
前記食品が乾燥食品である、請求項176に記載のフィルム。
【請求項178】
前記乾燥食品がシリアルまたはクラッカーである、請求項177に記載のフィルム。

【公表番号】特表2009−522400(P2009−522400A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548516(P2008−548516)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/045179
【国際公開番号】WO2007/078454
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508196519)オミヤ、ディベロップメント、アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】OMYA DEVELOPMENT AG
【Fターム(参考)】