説明

点灯装置及びそれを用いた照明装置、照明システム、並びに照明器具

【課題】装置の小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることのできる点灯装置及びそれを用いた照明装置、照明システム、並びに照明器具を提供する。
【解決手段】直流電源1からの直流電力を所望の直流電力に変換するとともに、無機LED素子又は有機EL素子から成る光源部3に点灯電力を供給する電源部4と、光源部3を流れる負荷電流が一定となるように電源部4をフィードバック制御する制御部7とを備え、電源部4は、制御部7からの駆動制御信号によりオン/オフを切り換えるスイッチング素子Q1を有し、スイッチング素子Q1のオン/オフを切り換えることで光源部4に点灯電力を供給するチョッパ回路から成り、スイッチング素子Q1を、ワイドギャップ半導体で形成された半導体スイッチング素子とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機発光ダイオード素子又有機エレクトロルミネセンス素子から成る光源部に点灯電力を供給する点灯装置及びそれを用いた照明装置、照明システム、並びに照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型の固体発光素子として有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」と呼ぶ)の研究が盛んである。有機EL素子は、有機化合物からなる薄膜の発光層を電極で挟持した構成で、電極間に電流を供給すると発光する素子である。有機EL素子を用いると、薄型かつ軽量の発光素子が構成でき、また、駆動電圧が数Vから十数V程度と従来主流の光源である放電灯と比べて駆動電圧が低いため、点灯装置を安価に構成でき、薄型かつ軽量の照明装置への応用が期待できる。このような有機EL素子等の固体発光素子を用いた照明装置として、例えば特許文献1に記載されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−265806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような、有機EL素子から成る発光素子や、無機発光ダイオード素子(以下、「無機LED素子」と呼ぶ)から成る発光素子は、高効率の光源とし注目されている。無機LED素子から成る光源は小型、有機EL素子から成る光源は薄型を特長とするため、これら光源に点灯電力を供給する点灯装置は、光源に合わせて小型又は薄型に製造される必要がある。また、光源の近傍に点灯装置を配置することで、照明装置や照明器具としての小型化、薄型化も要望されている。
【0005】
しかしながら、点灯装置の小型化及び薄型化を図る場合には、点灯制御の効率を向上させる必要があるが、従来の回路において用いられるシリコン半導体では点灯制御の効率の向上に限界があるという問題があった。このため、従来のようにシリコン半導体を用いた点灯装置では、小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、装置の小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることのできる点灯装置及びそれを用いた照明装置、照明システム、並びに照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の点灯装置は、直流電源からの直流電力を所望の直流電力に変換するとともに、無機発光ダイオード素子又は有機エレクトロルミネセンス素子から成る光源部に点灯電力を供給する電源部と、前記光源部を流れる負荷電流が一定となるように前記電源部をフィードバック制御する制御部とを備え、前記電源部は、前記制御部からの駆動制御信号によりオン/オフを切り換えるスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のオン/オフを切り換えることで前記電源部に点灯電力を供給するチョッパ回路から成り、前記スイッチング素子は、ワイドギャップ半導体で形成された半導体スイッチング素子であることを特徴とする。
【0008】
この点灯装置において、前記スイッチング素子は、双方向スイッチング素子から成ることが好ましい。
【0009】
この点灯装置において、前記スイッチング素子は、2つの電界効果トランジスタから成るとともに各々ゲート端子を有し、何れか一方の前記ゲート端子を駆動すると何れか一方向のみに電流を流すダイオードとして動作することが好ましい。
【0010】
この点灯装置において、前記電源部は、前記光源部を点灯状態から消灯状態に切り換える際に前記スイッチング素子の一方の前記ゲート端子を駆動させ、前記スイッチング素子は、前記直流電源側をカソード、前記光源部側をアノードとしたダイオードとして動作することが好ましい。
【0011】
この点灯装置において、前記電源部は、一定時間において前記光源部の点灯及び消灯を交互に繰り返す調光動作を行う調光機能を有し、前記光源部を点灯状態から消灯状態に切り換える際に前記スイッチング素子の前記一方とは異なる他方の前記ゲート端子を駆動させ、前記スイッチング素子は、前記直流電源側をアノード、前記光源部側をカソードとしたダイオードとして動作することが好ましい。
【0012】
この点灯装置において、前記光源部に印加される電圧を検出する電圧検出部を有し、前記電圧検出部で検出された電圧値が所定の範囲から外れた場合、前記電源部は、前記スイッチング素子の前記一方の前記ゲート端子を駆動させ、前記スイッチング素子は、前記直流電源側をカソード、前記光源部側をアノードとしたダイオードとして動作することが好ましい。
【0013】
本発明の照明装置は、上記何れかの点灯装置と、前記光源部と、前記点灯装置及び前記光源部を収納する器体とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の照明システムは、上記の照明装置を1乃至複数備えるとともに、前記各照明装置に点灯電力を供給する電源ユニットを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の照明器具は、上記照明装置と、前記照明装置を保持する器具本体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、電源部の一部を構成するスイッチング素子がワイドギャップ半導体で形成された半導体スイッチング素子であるので、従来のようにスイッチング素子がシリコン半導体で形成された場合と比較して点灯制御の効率を向上させることができる。したがって、装置の小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る点灯装置の実施形態を示す回路図である。
【図2】同上の動作説明図で、(a)はマイコンの2番端子の出力波形図で、(b)は比較器の反転入力端子の入力波形図で、(c)は比較器の非反転入力端子の入力波形図で、(d)は比較器の出力波形図で、(e)は双方向スイッチング素子の一方ゲート信号の入力波形図で、(f)は双方向スイッチング素子の他方のゲート信号の入力波形図である。
【図3】同上の光源部の消灯時の動作の説明図で、(a)は調光信号の波形図で、(b)は双方向スイッチング素子の一方のゲート信号の入力波形図で、(c)は双方向スイッチング素子の他方のゲート信号の入力波形図である。
【図4】同上の他の調光動作の説明図で、(a)は調光信号の波形図で、(b)は双方向スイッチング素子の一方のゲート信号の入力波形図で、(c)は双方向スイッチング素子の他方のゲート信号の入力波形図である。
【図5】同上の異常検出動作の説明図で、(a)は異常検出信号の波形図で、(b)は双方向スイッチング素子の一方のゲート信号の入力波形図で、(c)は双方向スイッチング素子の他方のゲート信号の入力波形図である。
【図6】本発明に係る照明装置の実施形態を示す図で、(a)は全体斜視図で、(b)は分解斜視図である。
【図7】本発明に係る照明システムの実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る照明器具の実施形態を示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る点灯装置の実施形態、照明装置の実施形態、照明システムの実施形態、照明器具の実施形態について順に説明する。
【0019】
先ず、本発明に係る点灯装置の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示すように、直流電源1と、制御用電源部2と、1乃至複数の発光素子から成る光源部3に点灯電力を供給する電源部4と、光源部3を流れる電流を検出する電流検出部5と、光源部3に印加される電圧を検出する電圧検出部6とを備える。また、本実施形態は、電流検出部5及び電圧検出部6による検出信号をフィードバックして電源部4から光源部3へ供給される電力を制御する制御部7を備える。尚、本実施形態では、光源部3を構成する発光素子として有機EL素子を用いているが、光源部3を構成する発光素子は、無機LED素子又は有機EL素子の何れであってもよい。
【0020】
直流電源1は、例えば商用電源(図示せず)からの交流電圧をAC/DCコンバータ回路(図示せず)により整流・平滑して得られる直流電圧V1を発生する電源であり、この直流電圧V1は後段の制御用電源部2と電源部4とに印加される。この直流電圧V1は、本実施形態では例えば24Vで一定に保たれており、有機EL素子から成る発光素子の点灯を維持するのに必要な電圧となっている。ここで、例えば5Vから10V程度の駆動電圧を必要とする有機EL素子を10個直列に接続して光源部3を構成した場合には、直流電源1の直流電圧V1としては50Vから100V程度の電圧を必要とする。
【0021】
制御用電源部2は、直流電圧V1を分圧する抵抗R1,R2の直列回路と、定電圧発生用のツェナーダイオードZD1とを備える。ツェナーダイオードZD1はツェナー電圧がV2であり、抵抗R1,R2の接続点P1と接地との間に逆接続することで、接続点P1から定電圧の電源電圧V2が取り出されるようになっている。即ち、制御用電源部2は、直流電圧V1よりも低い電源電圧V2を制御部7に供給する安定化電源回路である。
【0022】
電源部4は、直流電圧V1を平滑する平滑コンデンサC1と、双方向スイッチング素子Q1と、双方向スイッチング素子Q1を駆動する駆動回路40とを備える。また、電源部4は、双方向スイッチング素子Q1のオフ時に発生する回生電流を流すための回生用ダイオードD1と、双方向スイッチング素子Q1の出力波形電圧を濾過するためのインダクタL1及びコンデンサC2とを備える。この電源部4は、駆動回路40により双方向スイッチング素子Q1を高周波でスイッチングすることで、平滑コンデンサC1に印加される直流電圧V1を光源部3の点灯に必要な電圧(<V1)に変換する降圧チョッパ回路である。駆動回路40は、制御部7からの駆動制御信号に基づいて双方向スイッチング素子Q1を駆動する。双方向スイッチング素子Q1には、インダクタL1が直列に接続され、そのインダクタL1の出力側は、コンデンサC2を介して接地される。このコンデンサC2の両端電圧が、点灯電圧として光源部3に印加される。
【0023】
双方向スイッチング素子Q1は、図示しないが、ソース端子が互いに接続された第1の電界効果トランジスタ(FET)と、第2のFETとから構成される。これら第1のFET、第2のFETの各ゲート端子には、それぞれ駆動回路40から2値信号であるゲート信号G1,G2が入力されるようになっている(図2(e),(f)参照)。以下、双方向スイッチング素子Q1の動作について簡単に説明する。ゲート信号G1,G2が何れもハイレベルの場合、双方向スイッチング素子Q1は双方向に電流を流すオン状態となる。また、ゲート信号G1,G2が何れもローレベルの場合、双方向スイッチング素子Q1は何れの方向にも電流を流さないオフ状態となる。
【0024】
一方、ゲート信号G1がハイレベル、ゲート信号G2がローレベルの場合、双方向スイッチング素子Q1は、直流電源1側をアノード、光源部3側をカソードとしたダイオードとして動作をする。即ち、この場合では、直流電源1側から光源部3側に向かう方向のみ電流が流れる。また、ゲート信号G1がローレベル、ゲート信号G2がハイレベルの場合、双方向スイッチング素子Q1は、直流電源1側をカソード、光源部3側をアノードとしたダイオードとして動作をする。即ち、この場合では、光源部3側から直流電源1側に向かう方向のみ電流が流れる。
【0025】
電流検出部5は、光源部3の出力側と接地との間に直列に接続される検出抵抗R3から成る。検出抵抗R3の両端電圧は、光源部3を流れる負荷電流に比例するので、負荷電流を検出する検出電圧として制御部7の後述する駆動信号発生回路71に印加される。電圧検出部6は、光源部3の入力側と接地との間に直列に接続される検出抵抗R4,R5から成る。これら抵抗R4,R5で分圧された点灯電圧の検出電圧(点灯電圧に比例した電圧)は、後述する負荷電流指令回路70に印加され、この検出電圧に基づいて点灯電圧が検出されるようになっている。
【0026】
制御部7は、電圧検出部6から印加される検出電圧に基づいて光源部3の負荷電流制御の指令信号を発する負荷電流指令回路70と、負荷電流指令回路70からの指令信号に基づいて駆動制御信号を発する駆動信号発生回路71とから構成される。制御部7は、駆動制御信号により双方向スイッチング素子Q1を制御することで、光源部3に供給される点灯電力を制御する。
【0027】
負荷電流指令回路70は、例えばA/D変換機能やフラッシュメモリを内蔵した汎用マイコンIC1から構成され、光源部3のピーク電流を指令するピーク電流指令値や、光源部3の明るさを調整する負荷電流のデューティ比を決定している。負荷電流指令回路70は、抵抗R4,R5の接続点P2における検出電圧を監視することにより、光源部3の点灯電圧を検出し、その検出電圧の値に応じて、負荷である光源部3の点灯判別を行う。尚、この点灯判別では、負荷短絡などの負荷の異常検出も行う。ここで、接続点P2に接続されるマイコンIC1の7番端子は、A/D変換入力に設定されており、抵抗R4,R5による分圧比から接続点P2における電圧を換算して点灯電圧を読み取る。また、マイコンIC1の2,3番端子は2値出力に設定され、1番端子は電源電圧V2が印加される電源端子、8番端子は接地されるグラウンド端子である。更に、マイコンIC1の4番端子は調光信号の受信端子で、5,6番端子は駆動回路40への信号端子である。
【0028】
駆動信号発生回路71は、2つの入力端子における電圧差により誤差信号を出力する誤差アンプOP1と、誤差アンプOP1の出力電圧と三角波状の信号とを比較して駆動回路40への駆動制御信号を生成する比較器OP2とを備える。誤差アンプOP1と比較器OP2とは、何れもオペアンプで構成され、電源電圧V2から電源が供給されている。尚、誤差アンプOP1と比較器OP2とは、1つのパッケージに2つのオペアンプを内蔵したIC等で安価に構成することができる。
【0029】
誤差アンプOP1の反転入力端子には、検出抵抗R3からの検出電圧が抵抗R6と入力抵抗R10とを介して入力される。また、抵抗R6と入力抵抗R10との接続点は、フィルタ用のコンデンサC3を介して接地される。誤差アンプOP1の非反転入力端子には、電源電圧V2が抵抗R7,R12を介して入力される。この非反転入力端子は、抵抗R13を介して接地される。また、抵抗R7と抵抗R12との接続点P3と接地との間には、抵抗R8,R9の直列回路と、FETから成るスイッチング素子Q2とが並列に接続される。スイッチング素子Q2は、そのソース端子が接地されており、ゲート端子にはマイコンIC1の3番端子から2値信号が入力されるようになっている。したがって、マイコンIC1の3番端子からの信号に応じてスイッチング素子Q2のオン/オフを切り換えることで、誤差アンプOP1の非反転入力端子に電源電圧V2が分圧された電圧、又は零電圧の何れかが入力される。また、誤差アンプOP1の出力端子と反転入力端子との間は、利得調整用の抵抗R11が接続される。
【0030】
比較器OP2の非反転入力端子には、誤差アンプOP1の出力電圧が入力される。また、比較器OP2の反転入力端子には、ソース端子が接地されたFETから成るスイッチング素子Q3のドレイン端子が接続される。スイッチング素子Q3のゲート端子には、マイコンIC1の2番端子から2値信号が入力されるようになっている。また、反転入力端子には、抵抗R14を介して電源電圧V2が入力され、抵抗R14とスイッチング素子Q3のドレイン端子との接続点は、コンデンサC4を介して接地される。
【0031】
ここで、マイコンIC1の2番端子からスイッチング素子Q3のゲート端子にローレベル信号が入力されると、スイッチング素子Q3はオフとなり、抵抗R14を介してコンデンサC4が充電される。そして、コンデンサC4の両端電圧が上昇することで、比較器OP2の反転入力端子の入力電圧が上昇する。一方、マイコンIC1の2番端子からスイッチング素子Q3のゲート端子にハイレベル信号が入力されると、スイッチング素子Q3はオンとなり、コンデンサC4に蓄積された電荷が放電される。そして、コンデンサC4の両端電圧が下降することで、比較器OP2の反転入力端子の入力電圧が下降する。したがって、マイコンIC1の2番端子からの2値信号によってスイッチング素子Q3のオン/オフを切り換えることで、比較器OP2の反転入力端子には三角波状の信号が入力される(図2(a),(b)参照)。
【0032】
以下、本実施形態の動作について図面を用いて説明する。尚、以下の説明に用いる図2では、マイコンIC1の4番端子に入力される調光信号が常にハイレベル、即ち、光源部3が常に点灯状態であるものとする。先ず、マイコンIC1の2番端子からスイッチング素子Q3に対して一定周期のパルス幅のパルス信号(例えば、数百kHz〜1MHzの周波数)が出力される。すると、パルス信号によってスイッチング素子Q3がオン/オフを交互に切り換えることで、上述のように比較器OP2の反転入力端子に三角波状の信号が入力される(図2(a),(b)参照)。
【0033】
比較器OP2では、図2(c)に示すように、非反転入力端子に入力される誤差アンプOP1の出力電圧と、上述の三角波状信号の信号電圧とを比較する。すると、誤差アンプOP1の出力電圧が三角波状信号の信号電圧を上回ると、比較器OP2の出力信号はハイレベルとなり、下回ると比較器OP2の出力信号はローレベルとなる(図2(d)参照)。この比較器OP2の出力信号は、駆動制御信号として駆動回路40に入力される。
【0034】
駆動回路40では、入力される駆動制御信号に応じて双方向スイッチング素子Q1の駆動制御を行う。駆動制御信号がハイレベルの場合には、駆動回路40は双方向スイッチング素子Q1にハイレベルのゲート信号G1,G2を入力することで、双方向スイッチング素子Q1をオン状態に切り換える。また、駆動制御信号がローレベルの場合には、駆動回路40は双方向スイッチング素子Q1にローレベルのゲート信号G1,G2を入力することで、双方向スイッチング素子Q1をオフ状態に切り換える。このように双方向スイッチング素子Q1のオン/オフを切り換えることで、光源部3に供給する点灯電力を制御することができる。
【0035】
ここで、光源部3に供給する点灯電力を一定値に制御したとしても、光源部3を流れる負荷電流が変動する場合がある。そこで、本実施形態では、電流検出部5において負荷電流を検出し、負荷電流に応じた検出電圧を誤差アンプOP1の反転入力端子に入力している。このため、検出電圧に応じて誤差アンプOP1の出力電圧が変動することで、比較器OP2から出力される駆動制御信号のパルス幅が変化し、双方向スイッチング素子Q1のオンデューティ比が変化する。したがって、光源部3を流れる負荷電流が変動しても、負荷電流が一定となるように電源部4がフィードバック制御される。
【0036】
ところで、マイコンIC1の3番端子からは、4番端子に入力される調光信号に応じた周波数でハイレベルとローレベルとを交互に繰り返す2値信号がスイッチング素子Q2に対して出力される。そして、当該2値信号によってスイッチング素子Q2がオン/オフを切り換えることで、誤差アンプOP1の出力電圧を可変することができる。例えば、スイッチング素子Q2にハイレベルの信号が入力されると、誤差アンプOP1の出力電圧は零電圧となる。また、スイッチング素子Q2にローレベルの信号が入力されると、誤差アンプOP1の出力電圧は零より大きい電圧となる。
【0037】
したがって、スイッチング素子Q2がオフの場合には、比較器OP2から出力される駆動制御信号はハイレベルとローレベルを交互に繰り返すパルス信号となる。一方、スイッチング素子Q2がオンの場合には、比較器OP2から出力される駆動制御信号はローレベルを常に出力する信号となる。即ち、調光信号に応じてスイッチング素子Q2のオン/オフを切り換えることで、光源部3に間欠的に点灯電力を供給することができ、光源部3を所望の光出力に調光することができる。例えば、調光信号を常にハイレベルの直流信号とした場合の光源部3の光出力を100%とすると、調光信号のオンデューティ比を60%に設定すれば、光源部3の光出力は60%となる。尚、調光信号の繰り返し周波数は、人間の目で見てちらつきを感じない程度の周波数に設定される。
【0038】
ここで、本実施形態では、電源部4の双方向スイッチング素子Q1は、ワイドギャップ半導体で形成された半導体スイッチング素子である。ワイドギャップ半導体は、シリコン半導体のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有し、例えば窒化ガリウム(GaN)等を用いることができる。このように、双方向スイッチング素子Q1をワイドギャップ半導体で形成された半導体スイッチング素子とすることで、従来のシリコン半導体で形成されるスイッチング素子と比較してオン抵抗を小さくすることができる。したがって、双方向スイッチング素子Q1における導通時の損失を小さくすることができるので、点灯制御の効率を向上させることができる。このため、装置の小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることができる。
【0039】
尚、上記実施形態では、電源部4として降圧チョッパ回路を採用しているが、昇圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路を採用しても構わない。これらの回路を採用した場合でも、上記と同様の効果を奏することができる。
【0040】
ところで、上記実施形態では、光源部3が常に点灯している状態における動作について説明したが、以下、調光信号による光源部3の消灯時の動作について図3(a)〜(c)を用いて説明する。図3(a)に示すように、調光信号がハイレベルからローレベルに切り換わると、マイコンIC1から駆動回路40に消灯時における駆動制御信号が入力される。そして、駆動回路40が双方向スイッチング素子Q1に対してローレベルのゲート信号G1、及びハイレベルのゲート信号G2を入力する駆動制御を行う。すると、双方向スイッチング素子Q1は、直流電源1側をカソード、光源部3側をアノードとしたダイオードとして動作をする。このため、光源部3の消灯時には、光源部3に溜まった電荷を素早く直流電源1側に放電させることができる。尚、放電時間は、光源部3を構成する発光素子の面積や、放電経路のインピーダンスにより決定される。
【0041】
上述のように、本実施形態では、光源部3の消灯時に、駆動回路40が双方向スイッチング素子Q1に対してローレベルのゲート信号G1、及びハイレベルのゲート信号G2を入力する駆動制御を行っていた。上記の動作は、光源部3を調光せずに単に点灯・消灯を切り換える場合に有効である。一方、図4(a)〜(c)に示すように、調光信号がローレベルの場合に、駆動回路40が双方向スイッチング素子Q1に対してハイレベルのゲート信号G1、及びローレベルのゲート信号G2を入力する駆動制御を行うように構成してもよい。この場合、双方向スイッチング素子Q1は、直流電源1側をアノード、光源部3側をカソードとしたダイオードとして動作をする。このため、光源部3の消灯時に、光源部3に溜まった電荷が直流電源1側に放電され難くなる。したがって、光源部3を調光する際に、光源部3を構成する発光素子が消灯時から発光に至るまでの時間を短くすることができ、発光効率を向上させることができる。
【0042】
ところで、光源部3を構成する無機LED素子や有機EL素子には、短絡又は開放の何れかの異常が発生する虞があり、このような異常が発生した際には、光源部3を保護する処置をする必要がある。そこで、本実施形態では、電圧検出部6において光源部3の点灯電圧を検出し、その検出電圧をマイコンIC1の7番端子に入力している。そして、マイコンIC1が検出電圧に基づいて光源部3の異常の有無を判定している。例えば、マイコンIC1において光源部3の定格電圧の10分の1のところに第1の閾値を設定し、検出電圧が当該閾値を下回るとマイコンIC1が光源部3に異常が発生したと判定する。このように第1の閾値を設定することで、無機LED素子や有機EL素子が短絡した場合の異常を判定することができる。また、マイコンIC1において光源部3の100%点灯時の点灯電圧から数V低い値に第2の閾値を設定し、検出電圧が当該閾値を上回るとマイコンIC1が光源部3に異常が発生したと判定する。このように第2の閾値を設定することで、無機LED素子や有機EL素子が開放した場合の異常を判定することができる。
【0043】
そして、マイコンIC1は、光源部3に異常が発生したと判定すると、ハイレベルの異常検出信号を駆動回路40に入力する(図5(a)参照)。駆動回路40では、ハイレベルの異常検出信号が入力されると、双方向スイッチング素子Q1に対してローレベルのゲート信号G1、及びハイレベルのゲート信号G2を入力する駆動制御を行う(図5(b),(c)参照)。すると、双方向スイッチング素子Q1は、直流電源1側をカソード、光源部3側をアノードとしたダイオードとして動作をする。このため、光源部3に異常が発生した際に、コンデンサC2を直流電源1側に放電させることができるので、光源部3に電流が流れないようにすることができ、光源部3を保護することができる。
【0044】
次に、本発明に係る照明装置の実施形態について図6(a),(b)を用いて説明する。尚、本実施形態の説明においては、図6(a)における上下を上下方向と定めるものとする。本実施形態は、図6(a),(b)に示すように、有機EL素子から成る薄型の面光源である光源部A1と、上述の点灯装置の実施形態を構成する回路部品が実装された基板A2と、光源部A1及び基板A2を収納する器体A3とから構成される。
【0045】
器体A3は、図6(b)に示すように、下面が開口するとともに光源部A1及び基板A2が内底部に載せられる扁平な箱状のボディA30と、上面が開口するとともにボディA30の開口を覆う扁平な箱状のカバーA31とから構成される。カバーA31の下面には、光源部A1からの光を外部に採り出すための矩形状の窓A32が設けられている。また、基板A2に設けられた点灯装置の出力端子と、光源部A1の電極(図示せず)とは、図示しない配線により電気的に接続されている。
【0046】
而して、外部の直流電源(図示せず)から基板A2に設けられた点灯装置に直流電力を供給することで、光源部A1を発光させ、窓A32を介して外部に光を照射することができる。
【0047】
上述のように、本実施形態では、前述の点灯装置の実施形態を備えているので、小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることができる。
【0048】
次に、本発明に係る照明システムの実施形態について図7を用いて説明する。本実施形態は、図7に示すように、複数(図示では3つ)の発光モジュール(照明装置)B1を有する複数(図示では2つ)の灯具B2と、各発光モジュールB1に点灯電力を供給する電源ユニットB3とから構成される。
【0049】
発光モジュールB1は、有機EL素子から成る薄型の面光源である光源部B10と、点灯装置B11と、調光信号受信部B12とを備える。尚、点灯装置B11は上述の点灯装置の実施形態と同様の構成である。調光信号受信部B12は、後述する電源ユニットB3から送信される調光信号を受信し、当該調光信号を点灯装置B11に出力する構成を有する。また、調光信号受信部12は、図示しない受光素子を備え、外部のリモコン(図示せず)から送信される赤外線信号を受信し、当該信号に基づいた調光信号を点灯装置B11に出力する構成を有する。
【0050】
灯具B2は、複数の発光モジュールB1を内部に収納する器体B20を備える。また、器体B20には、後述する電源ユニットB3、若しくは他の灯具B2からの後述する電線L1〜L3の各一端部を電気的に接続するための送り配線用の1対の端子部B21が設けられている。尚、本実施形態では、2つの灯具B2を送り配線により接続しているが、更に多くの灯具B2を送り配線により接続してもよい。
【0051】
電源ユニットB3は、商用電源等から供給される交流電力を直流電力に変換して各発光モジュールB1に供給するもので、例えばAC/DCコンバータ回路を内蔵して成る。電源ユニットB3からは、直流電圧を各発光モジュールB1に供給するための電圧線L1、及び各発光モジュールB1を調光するための調光信号を伝送する信号線L2、及び接地線L3の各一端部が接続されている。
【0052】
而して、電源ユニットB3と各灯具B2とを電線L1〜L3を介して電気的に接続することにより、電源ユニットB3から各発光モジュールB1に点灯電力を供給し、各光源部B10を点灯させることができる。また、電源ユニットB3から調光信号を各灯具B2に送信することで、各発光モジュールB1の光源部B10を一括して調光することができる。勿論、リモコンを用いて各発光モジュールB1の光源部B10を個別に調光してもよい。
【0053】
上述のように、本実施形態では、前述の点灯装置の実施形態を備えているので、小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることができる。
【0054】
最後に、本発明に係る照明器具の実施形態について図8を用いて説明する。尚、本実施形態の説明においては、図8における上下を上下方向と定めるものとする。本実施形態は、図8に示すように、下面を発光面とする発光パネルから成る光源部C10を有する照明装置C1と、照明装置C1を天井(造営面)に対して保持する器具本体C2とから構成される。
【0055】
照明装置C1は、有機EL素子から成る薄型の面光源である光源部C10と、点灯装置(図示せず)とを備える。尚、点灯装置は上述の点灯装置の実施形態と同様の構成である。点灯装置は、後述する器具本体C2の筐体C22に収納される。勿論、点灯装置は、その一部又は全部が光源部C10と共に後述する器具本体C2の枠体C20に収納される構成であってもよい。
【0056】
器具本体C2は、下面に矩形状の開口C200を有し照明装置C1を内部に収納する矩形状の枠体C20と、枠体C20を電源コードC21によって吊り下げ支持する筐体C22とを備える。枠体C20には、電源コードC21の一端が連結される。そして、電源コードC21の他端が天井に取り付けられる筐体C22に連結されることで、枠体C20が天井から吊り下げ支持される。筐体C22は、上面が天井に取り付けられる箱体から成り、その下面には外部のリモコン(図示せず)から送信される赤外線信号を受信する受光素子(図示せず)を外部に臨ませる受光窓C23が設けられている。
【0057】
而して、外部の直流電源(図示せず)から点灯装置に直流電力を供給することで、光源部C10を発光させ、枠体C20に設けられた開口C200を介して外部に光を照射することができる。また、受光窓C23を介してリモコンからの赤外線信号を受信できるので、リモコン操作により光源部C10を調光することができる。
【0058】
上述のように、本実施形態では、前述の点灯装置の実施形態を備えているので、小型化及び薄型化を図りつつ点灯制御の効率を向上させることができる。尚、本実施形態では、器具本体C2によって天井から照明装置C1を吊り下げ支持する構成であるが、壁を造営面として、器具本体C2によって照明装置C1を壁に保持する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 直流電源
3 光源部
4 電源部
7 制御部
Q1 スイッチング素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの直流電力を所望の直流電力に変換するとともに、無機発光ダイオード素子又は有機エレクトロルミネセンス素子から成る光源部に点灯電力を供給する電源部と、前記光源部を流れる負荷電流が一定となるように前記電源部をフィードバック制御する制御部とを備え、前記電源部は、前記制御部からの駆動制御信号によりオン/オフを切り換えるスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のオン/オフを切り換えることで前記光源部に点灯電力を供給するチョッパ回路から成り、前記スイッチング素子は、ワイドギャップ半導体で形成された半導体スイッチング素子であることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、双方向スイッチング素子から成ることを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子は、2つの電界効果トランジスタから成るとともに各々ゲート端子を有し、何れか一方の前記ゲート端子を駆動すると何れか一方向のみに電流を流すダイオードとして動作することを特徴とする請求項2記載の点灯装置。
【請求項4】
前記電源部は、前記光源部を点灯状態から消灯状態に切り換える際に前記スイッチング素子の一方の前記ゲート端子を駆動させ、前記スイッチング素子は、前記直流電源側をカソード、前記光源部側をアノードとしたダイオードとして動作することを特徴とする請求項3記載の点灯装置。
【請求項5】
前記電源部は、一定時間において前記光源部の点灯及び消灯を交互に繰り返す調光動作を行う調光機能を有し、前記光源部を点灯状態から消灯状態に切り換える際に前記スイッチング素子の前記一方とは異なる他方の前記ゲート端子を駆動させ、前記スイッチング素子は、前記直流電源側をアノード、前記光源部側をカソードとしたダイオードとして動作することを特徴とする請求項3記載の点灯装置。
【請求項6】
前記光源部に印加される電圧を検出する電圧検出部を有し、前記電圧検出部で検出された電圧値が所定の範囲から外れた場合、前記電源部は、前記スイッチング素子の前記一方の前記ゲート端子を駆動させ、前記スイッチング素子は、前記直流電源側をカソード、前記光源部側をアノードとしたダイオードとして動作することを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の点灯装置と、前記光源部と、前記点灯装置及び前記光源部を収納する器体とを備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項7記載の照明装置を1乃至複数備えるとともに、前記各照明装置に点灯電力を供給する電源ユニットを備えたことを特徴とする照明システム。
【請求項9】
請求項7記載の照明装置と、前記照明装置を保持する器具本体とを備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48982(P2012−48982A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190030(P2010−190030)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】