説明

点焦点湾曲モノクロメータ光学体を使用するX線結像系

X線結像系は、X線源300からのX線を焦点360の方に方向づけるための少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体320を有する光学デバイスを含む。少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、焦点の方に方向付けられた合焦単色X線ビームを供給し、検出器350は合焦単色X線ビームと位置合わせされる。被写体が合焦単色X線ビーム内で光学デバイスと検出器との間に配置される場合、光学デバイスは被写体340のX線画像化を容易にする。様々な実施形態において、各点焦点湾曲モノクロメータ光学体は二重湾曲の光学面を有し、光学デバイスは、焦点に対する被写体および検出器の位置に応じて受動的画像縮小または拡大を容易にし、少なくとも1つの第2の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を使用しての被写体の屈折率または偏光ビーム画像化を容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に高エネルギー電磁放射を集束するためのデバイスおよび方法に関する。詳細には、本発明は、X線を方向付けて三次元合焦することで生体などの被写体の低線量・高鮮明度画像化を可能にする改善された結像系を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
X線分析技法は前世紀の間の科学技術において最も著しく発展したもののうちの一部である。X線回折、X線分光法、X線画像化をよび他のX線分析技法が事実上すべての科学分野の知識に大きな増大をもたらしている。
【0003】
今日、X線結像は、医学用途、科学用途、および産業用途を含む様々な用途で使用される。これらの用途のうちの様々なものは非常に取り組みがいのあるものである。例えば、X線画像化を使用する検診のための乳房X線撮影は重要で取り組みがいのある用途であり、そこでは線量、コントラスト、解像度、およびコストのすべてが重要となっている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6285506号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/048146号明細書
【特許文献3】米国特許第6317483号明細書
【特許文献4】国際出願第PCT/US2003/023412号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/013867A2号パンフレット
【特許文献6】米国特許仮出願第60/400809号明細書
【特許文献7】米国特許第5570408号明細書
【特許文献8】国際出願第PCT/US02/38803号明細書
【特許文献9】米国特許仮出願第60/398968号明細書
【特許文献10】国際出願第PCT/US02/38493号明細書
【特許文献11】米国特許仮出願第60/398965号明細書
【特許文献12】米国特許仮出願第60/492353号明細書
【特許文献13】国際公開第03/048745号パンフレット (国際出願第PCT/US02/38792号明細書)
【特許文献14】米国特許仮出願第60/336584号明細書
【非特許文献1】ChenおよびWittry,“Microprobe X-ray Fluorescence with the Use of Point-focusing Diffractors,” Applied Physics Letters, 71 (13), 1884 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
別段画像に貢献することなし患者に大量に吸収される低エネルギーフォトンを除去し、また比較的低い被写体コントラストを与えてコンプトン散乱を引き起こし、画像品質を落とす高エネルギーフォトンを除去することによる単色ビームを用いて、患者の線量は減少され、かつ画像品質が向上する。しかし、1つの問題は、シンクロトロンが高価で、一般に臨床的に利用可能でないことである。単色ビームは単結晶回折を使用することによって従来の線源から達成することもできるが、適切なエネルギーおよび適切な角度のごく一部の入射ビームしか回折されないので、そのような手段は所望の強度を与えない。
【0006】
したがって、例えば、現在利用可能なX線結像系よりも線量、コントラスト、解像度、およびコストの配慮を有益に釣り合わせるためにX線結像系の向上への要求が当技術分野にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
X線源、光学デバイス、および検出器を含むX線結像系(x-ray imaging system)の提供によって、従来技術の欠点が克服され、付加的な利点が与えられる。X線源からのX線を方向付ける光学デバイスは、X線源からのX線を焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体(point-focusing, curved monochromating optic)を含んでいる。少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は合焦単色X線ビーム(focused monochromatic x-ray beam)を焦点の方に方向付け、検出器がその光学デバイスから方向付けられた合焦単色X線ビームと位置合わせされる。光学デバイスから方向付けられた合焦単色X線ビーム内で光学デバイスと検出器との間に被写体(object;物体ともいう)が配置される場合に、検出器を使用しての被写体のX線結像(x-ray imaging)を光学デバイスが容易にする。
【0008】
機能強化された実装では、各点焦点湾曲モノクロメータ光学体は二重湾曲光学面を有し、少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は複数の二重湾曲光学結晶または複数の二重湾曲多層光学体を含む。
【0009】
被写体が焦点の前に配置され、被写体が焦点に対するよりも検出器が焦点に対してより接近して配置される場合に、光学デバイスは被写体の受動的な画像縮小を容易にする。被写体が焦点に対するよりも検出器が焦点に対してより遠くに配置される場合に、光学デバイスは被写体の受動的な画像拡大を容易にする。結像用途に応じて、検出器ができるのと同様に、被写体は焦点の前または後のいずれかに配置することができる。
【0010】
さらなる態様では、X線源、第1の光学デバイス、第2の光学デバイス、および検出器を含む結像系が提供される。第1の光学デバイスは、X線源からのX線を第1の合焦単色X線ビームの形態で第1の焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの第1の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む。第2の光学デバイスは第1の合焦単色X線と位置合わせされ、第1の合焦単色X線ビームのX線を第2の合焦単色X線ビームの形態で第2の焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの第2の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む。検出器は第2の合焦単色X線ビームと位置合わせされる。被写体が第1の合焦単色X線ビーム内で第1の光学デバイスと第2の光学デバイスとの間に配置される場合、第1および第2の光学デバイスは検出器を使用しての被写体の画像化を容易にする。
【0011】
さらに、付加的な特徴および利点が本発明の技法によって実現される。本発明の他の実施形態および態様が本明細書で詳細に説明され、それらは請求される本発明の一部と考えられる。
【0012】
本発明と見なされる内容は、本明細書に添付の特許請求の範囲で特に指摘され明確に主張されている。本発明の前述および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付図面と共に行われる以下の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の説明および添付の特許請求の範囲において、本発明の様々な態様がX線放射の経路の変更への適用に関して説明されるが、本発明は他のタイプの放射、例えばガンマ線、電子ビーム、中性子の操作および使用に適用可能であることが理解されるべきである。
【0014】
X線分光学の分野では、高いX線ビーム強度はサンプル露光時間を減少させ、したがってX線分析測定の信号対雑音比を改善するための必須要件である。以前は、高出力シールド管、回転アノードX線管、またはシンクロトロンなどの高価で強力なX線源が、高強度X線ビームを生成するために利用できる唯一の選択枝であった。最近、X線光学デバイスの発展によって、X線を集束することによりX線源からの発散放射を集めることができるようになった。X線集束光学体と小型低出力X線源との組合せにより、高価なデバイスで達成されたものに匹敵する強度をもつX線ビームを生成することができる。その結果、小型X線源と集光光学体の組合せに基づいた光学系は、例えば小型実験室または現場用途、診療室用途、プロセスライン用途もしくは工場用途においてX線分析装置の能力を非常に拡大した。
【0015】
1つの既存のX線光技術は、結晶、例えばゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)によるX線の回折に基づく。湾曲結晶はX線源からの発散放射のターゲット上への偏向ならびにターゲットに達するフォトンの単色化(単色光分光、モノクロメート)を行うことができる。単一湾曲結晶および二重湾曲結晶(DCC)の2つの異なるタイプの湾曲結晶が存在する。ローランド円形状として当技術分野で知られているものを使用して、単一湾曲結晶は第3面または直交面ではX線放射を非集束にしたまま、二次元で集束(focusing;集光、あるいは焦点合わせともいう)を行う。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献1に開示されているように、二重湾曲結晶は線源からのX線を全三次元で点ターゲットに集束する。この三次元集束は当技術分野で「ポイントツーポイント」集束(フォーカシング)と呼ばれる。
【0016】
いくつかの二重湾曲結晶のポイントツーポイント集束特性は、例えば材料科学構造または組成分析に多くの重要な用途を有する。湾曲結晶はさらにヨハンソン(Johanson)タイプおよびヨハン(Johan)タイプに分類される。ヨハンソン形状は、例えばローランド円の半径の2倍に同等の曲率を有するような結晶面を必要とするが、結晶表面はローランド円の半径に研磨され、一方、ヨハン形状は、例えばローランド円の半径の2倍の曲率を必要とする。
【0017】
高強度X線ビームを供給する1つの利点は、所望のサンプル(試料)露光が一般に短い測定時間で達成できることである。短い測定時間を提供する可能性は多くの用途において重要となることがある。例えば、いくつかの用途では、測定時間の短縮は測定の信号対雑音比を向上させる。さらに、分析時間を最短化すると、例えば産業用途においてサンプル処理能力を向上させ、それにより生産性が改善される。別の重要な用途は、本発明が対象とする用途であるX線結像である。
【0018】
点焦点モノクロメータ湾曲光学体などの光学デバイスを使用する回折によって固有X線の三次元集束を容易にする様々な放射線結像系が本明細書で提示されている。非常に低いパワー線源を利用してハイコントラストの単色画像化を実現させることが点焦点モノクロメータ湾曲光学体を使用して、例えば患者の結像エネルギーで実証される。湾曲光学体は1つまたは複数の二重湾曲結晶(DCC)光学体または1つまたは複数の二重多層光学体を含む様々な光学デバイスを含むことができる。そのような二重湾曲光学デバイスの一実施形態が図1および図1Aに示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に詳細に説明されている。
【0019】
図1の実施形態では、二重湾曲光学デバイスは可撓性層(フレキシブル層)110、厚いエポキシ層112、および受け板(backing plate)114を含む。デバイスの構造は図1Aの断面正面図にさらに示される。
【0020】
このデバイスでは、エポキシの層112は、曲率を有する選択された形状に可撓性層110を保持し拘束する。好ましくは、エポキシの層の厚さは20μmよりも大きく、可撓性層の厚さは5μmよりも大きい。さらに、エポキシ層の厚さは、一般に可撓性層の厚さよりも厚い。可撓性層は、マイカ(雲母)、Si、Ge、石英、プラスチック、ガラスなどを含む種々様々の材料のうちの1つとすることができる。エポキシ層112は、10から10ポアズ(poise;粘度の単位)および30から60分ポットライフ(pot life)の程度の粘性をもつペーストタイプとすることができる。受け板114はエポキシ樹脂でよく接合する固体物体とすることができる。受け板の表面118は平坦(図1A)または湾曲とすることができ、可撓性層の形状および表面仕上げにとって正確な形状および表面仕上げは重要でない。図1および図1Aのデバイスでは、特別に準備された受け板を必要としない。
【0021】
可撓性層を取り囲むものは可撓性層端部の周りで用いる薄いプラスチックなどの保護材料116の薄いシートとすることができる(図1A参照)。保護材料は型を再使用可能とするために組み立て型を守り、可撓性層と正確に同じサイズか、もしくはそれよりも小さい型または犠牲型の型は必要としないであろう。
【0022】
二重湾曲結晶(DCC)光学体などの二重湾曲光学デバイスは、大きな立体角からのX線を集めて集束(焦点合わせ)させ、X線源からの使用可能な線束を増加させるために、現在材料分析で使用される。御存知のように、固有X線(特性X線)の三次元集束は、小型電子照射(bombardment)X線源と共に使用されるドーナツ形をしたトロイダル結晶からの回折によって達成することができる。このポイントツーポイントのヨハン幾何学図形が図2に示されている。各結晶光学要素200の回折面は結晶表面と平行にすることができる。点線源および焦点を含む焦点円210が半径Rを有する場合、結晶の表面は焦点円の面内に2Rの曲率の半径Rおよび垂直面にr=2RsinθBragの曲率の半径を有し、その半径は線源と焦点との間に引かれたラインセグメント上に中心がある。線源から発散し、結晶のロッキングカーブ内の角度で結晶の表面に入射するX線は焦点または像点に効率的に反射されることになる。DCCベースの結像系の焦点での単色線束密度は、高いパワー線源および線源から被写体までの同様の距離をもつ従来の結像系よりも数桁大きい。この増加は、(本明細書で説明されるように)放射線画像化を含む多くの異なる用途での使用で非常に高い感度をもたらす。
【0023】
さらなる強化として、図2は、光学デバイスがローランド円の周りにグリッドパターン(格子図形)で配置された多数の二重湾曲結晶光学要素200を含むことができることを示す。そのような構造はブラッグ回折を介して発散放射の捕捉および出力先変更(向け直し)を最適化するように配置することができる。一態様では、変化する原子回折面方位を有する複数の光学結晶を使用して、発散X線を捕捉し焦点の方に集束させることができる。別の態様では、結晶の二次元または三次元マトリクスをX線源に対して位置決めして発散X線を捕らえ三次元で集束させることができる。そのような構造のさらなる詳細は先に組み込まれ、同時係属出願の「An Optical Device for Directing X-Rays Having a Plurality of Optical Crystals」という名称の特許文献2に提示されている。
【0024】
前述の二重湾曲結晶(DCC)などの点焦点モノクロメータ湾曲光学体を本例では使用して、X線結像用の大きい立体角のX線源からのX線を点焦点し単色で向け直す。単色ビームはコントラストを改善し、かつ単色のビームは、低パワー化線源が望ましい場合、または画像化されるべき被写体が患者である場合に、重要になることがある放射線量を最小化する。乳房X線撮影に関して本明細書で以下に詳細に説明されるが、本明細書で説明されるX線結像系および技法は、ある特定の用途にではなく放射線結像に一般に適用可能であることが理解されるべきである。例えば、説明された結像系および技法を使用して任意の生体または集積回路チップなどの非生体を画像化することができる。
【0025】
単色ビームは、本実施形態では点焦点モノクロメータ湾曲光学体を使用することによって達成される。そのような光学体を使用するX線結像系の一実施形態が図3に示される。図示されるように、X線源300からのX線305は少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む光学デバイス320によって方向付けされて、制御可能に焦点360に集束する。X線源のサイズはX線結像用途に応じて変わることができる。一般に、線源は、従来の固定陽極または回転陽極X線管を含む電子衝撃源などの従来のX線源になるであろう。しかし、いくつかの用途では、低パワー線源を例えば500ワット未満で使用することができる。
【0026】
湾曲モノクロメータ光学体320は、線源からのX線を合焦単色X線ビーム325として焦点の方に方向づける。入力焦点スリット310および出力焦点スリット330を単独または一緒に使用して、さらにバックグラウンド放射線(背景放射)の制限、発散の制限、または出力ビームの整形を行うことができる。画像化されるべき被写体(オブジェクト)340は合焦単色X線ビーム325内で光学デバイス320の後に配置される。被写体340は図示のように焦点360の前に、または焦点360の後に配置することができる。被写体340が焦点の前に配置された状態で、検出器350を焦点の前または焦点の後に配置することができる。検出器350はX線強度の二次元マップを与える画像検出器である。これは、直接検出器または蛍光体(X線を可視光に変換する)に結合された間接検出器のいずれかとすることができる。検出器は、フィルム、フィルム/スクリーンカセット、蛍光体に結合されたCCD、アモルファスセレンもしくはアモルファスシリコン検出器、コンピューテッドラジオグラフィープレート、CdZnTe検出器、または他のアナログもしくはデジタル検出器とすることができる。
【0027】
検出器350が焦点360の前に配置される場合、検出器が焦点に近接して、例えば場所370または380に配置されるとき画像を検出器上で縮小することができる。あるいは、被写体は場所390に配置された検出器上で、すなわち被写体340よりも焦点360から遠く配置された検出器で拡大することができる。システム解像度が検出器制限である場合には、拡大が有利であり、一方、小さく廉価な検出器を使用することが望まれる場合には、縮小が有利である。
【0028】
拡散による画像ぼけは、検出器を被写体340の近くの場所350に配置することによって低減することができ、図4に示されるように、被写体と焦点との間の距離を増加させることによってさらに低減することができる。図4では、X線源400からのX線405は、点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む光学デバイス420によって合焦単色X線ビーム425に再び方向付けられ、焦点460で制御可能に集束する。この実施形態では、画像化されるべき被写体440は、光学デバイス420と焦点460との間に配置される場合に可能であるよりも、焦点から遠くなるように焦点の後に配置される。画像検出器450は被写体440の近くに配置される。
【0029】
点集束単色ビームの強度は特定の結像用途に合わせて調整される。強度は、ある程度、集結する立体角に依存し、それはX線源と光学デバイスとの間の入力焦点距離を減少させることによって、または光学デバイスのサイズを増大させることによって、または先に組み込まれた「An Optical Device For Directing X-Rays Having a Plurality of Optical Crystals」という名称の特許文献2に示されたような構造で配置された多数の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を使用することによって増加することができる。画像の解像度は、点集束単色ビームの角度発散を減少させることによって改善することができ、それは被写体から焦点までの距離を増加させるか、または出力焦点距離を増加させることによって達成することができる。強度および解像度は、同等の入力焦点距離および出力焦点距離を有する対称型光学体または異なる入力焦点距離および出力焦点距離をもつ非対称型光学体をもつ光学デバイスを使用することよって調節することもできる。
【0030】
本明細書で説明されるような二重湾曲光学デバイスは、図5に一例として示されたような湾曲した扇形ビーム出力を生成する。この扇形ビーム出力は、従来のスロット/走査系と同様の方法で被写体を横切って走査することができる。被写体から光学体までの距離を非常に大きくする必要なしに、大きな面積を対象範囲に含め易くする走査は、(1)ビームを横切って被写体を移動させることによって、または(2)ビームが被写体を横切るように線源および光学体を一緒に移動させることによって、または(3)入力は線源である方向を指したままであるが出力が被写体を横切って走査するように光学体を回転させることによって達成することができる。これらのオプションは、図5Aから図5Cを参照しながらそれぞれ示される。これらの図では(ここで、同様の数字は同様の要素を示すために使用される)、図3の結像系が例示として用いられるが、当業者は、これらの原理が本明細書で開示される結像系のどれにも拡張することができることを認識されよう。図5Aは、被写体340および大面積検出器(large area detector)380をビームを横切って移動させるためのガントリ(構台)510および512を示す。被写体は、例えばビームに垂直な方向にその細い寸法を横切って移動される。検出器は、例えば、同時に、同じ方向に、被写体速度の拡大率倍と同等の速度で移動される。図5Bは、静止している被写体340を横切ってビームを移動させるように集団で走査される線源300、光学体320、ならびにスリット310および330(もしあれば)を支持するガントリ520を示す。図5Cは、ブラッグ角度で配列を維持して、線源を中心とした円に沿って光学体320を移動させるように走査される光学体320ならびにスリット310および330(もしあれば)を支持するガントリ530を示す。線源形状の制約に応じて、線源ハウジングを同時に回転させることが必要なことがある。当業者は、所望の結果を生成するためにこれらの走査系の特徴を組み合わせることができることを認識されよう。検出器は被写体に対して固定された大面積検出器とすることができ、あるいは、ビームに対して固定され、被写体がビームに対して移動するときの変化を記録する小さい、例えば出力ビームの大きさの検出器とすることができる。ビームは、図3に示されたようなスリットを使用して直線の扇形に制限することができ、または単一もしくは多数の湾曲したセグメント(切片)として使用することができる。さらに、大きい被写体を画像化する場合、散乱生成の著しい低減が、走査ビームを使用して得られる。
【0031】
二重湾曲光学デバイスからの出力焦点スポットを第2の光学デバイスの線源として使用して(図6に示されるように)、屈折コントラスト(回折強化型)画像化を行うことができる。この実施形態では、二重湾曲光学デバイス620はX線源600からの放射線605を集め、この放射線を点集束単色X線ビーム625に方向付けて第1の焦点630で集束させるが、分かるようにその焦点は第2の光学デバイス650のX線源である。第2の二重湾曲光学デバイスからなるデバイス650は、合焦単色X線ビーム625を第2の点集束単色X線ビーム655に方向付けて、第2の焦点(図示せず)で集束させる。この実施形態では、画像化されるべき被写体640は、点集束単色X線ビーム内で第1の光学デバイス620と第2の光学デバイス650との間に配置される。画像検出器660は、第2の光学結晶650からの第2の合焦単色X線ビーム655光軸に位置合わせされる。被写体の屈折率の変化はX線を偏向させ、平面結晶で使用される場合、「屈折率画像化」または「回折増強型画像化」と呼ばれる方法でコントラストを生成する。
【0032】
図6の実施形態への変形として、出力ビームが偏光されるように第1の光学デバイス620は45°に近いブラッグ角で使用することができ、第2光学デバイス650は検光フィルタとして働くように、第1の光学デバイスに対して直交して配置することができる(これも45°に近いブラッグ角を有する)。例えば、この実施形態では、線源からのビームがx方向に移動する場合、第1の光学デバイスからの回折ビームはy方向に移動し、第2の光学デバイスからの回折ビーム(被写体に偏光解消がない限りそれは存在しないはずである)はz方向に移動する。これは、コントラストを向上させ、バックグラウンド(背景)を低減させることができる偏光ビーム画像化を可能にする。
【0033】
したがって、本実施形態では、二重湾曲光学デバイスは、様々な画像化用途用の高輝度で、かつ良好な角度分解をもつ点集束単色ビームを生成するのに使用される。単色X線および細い出力ビームは、患者または被写体で生成される散乱を低減し、それによりコントラストが改善され、必要線量が低減される。散乱防止用グリッド(回折格子)が使用されない場合、これは特に有利である。図6に示されるような対の光学体を使用すると、従来のX線源を使用して、または低パワーX線源(すなわち1kW未満の線源)を使用してさえも高コントラストの屈折率画像化が可能になる。
【0034】
色々な単色X線撮影の具体例についての実験結果を、図7から図12を参照しながら以下で説明する。
【0035】
図7は本発明の態様による単色結像系のさらなる概略図を示す。この結像系は、二重湾曲結晶(DCC)光学体などの点焦点二重湾曲光学体からなる光学デバイスを再び使用する。結像系はX線源700を含み、このX線源はX線705をスリット710を介して光学デバイス720に供給する。デバイス720は合焦単色X線ビーム725のX線を第2のスリット730を通して焦点760の方に導く。画像化されるべき被写体740は、この例では、被写体の近くに配置された検出器750と共に焦点760の後に配置される。実行された実験でのDCC光学体のパラメータを表1に示す。線源はOxford Instruments,LTCからの120ワットの最大線源パワーをもつMicrofocus Mo線源であり、検出器はFuji Computed Radiography Plateであった。
【0036】
【表1】

【0037】
DCC光学体はX線ビームを横断する2つの移動ステージに取り付けられ、線源スポットからの設計された焦点距離に大体で配置された。線源から光学体までのおおよその位置合せは先ずCCDカメラで行われた。カメラは回折画像を途中で捕まえられるように光学体から180mmに2θBragg角で配置され、光学体が最大輝度を得るように走査された。次に、回折強度が(全ビーム中の光子束の合計を与える)Ge検出器で記録され、その回折強度は異なるz位置でxおよびy方向に沿ってDCC光学体を走査することによって最大にされた。その結果生じた出力スペクトルを図8に示す。図8では、25kVの電源電圧、0.1mAの電流、および20秒の記録時間での、DCC光学体による回折スペクトルが示されている。測定されたスペクトルの幅は検出器制限であることに留意されたい。
【0038】
コントラスト測定が図9に示されるような2つのプラスチックファントム(phantom)を用いて行われた。図9に示されるように、ポリプロピレンの5mmのステップ(段差)付きファントム1100が10mmのポリメタクリル酸メチルブロック1110に取り付けられて使用された。ファントムは図7に示されるように出力焦点を越えた70mmの距離に、すぐ近傍のComputed Radiography Plate(計算機化X線写真プレート)と共に配置された。この位置でのビームサイズは水平軸に沿って約1mm、垂直軸に沿って10mmであった。ファントムおよびプレートは3つの並進ステージ(translation stage)に取り付けられ、垂直方向に沿って走査された。約200mmの画像サイズが、10W線源で2分から5分の範囲の露光時間で得られた。これは10KWパルス源の場合の1秒未満の露光に対応することになる。
【0039】
単色コントラスト測定も、5mmのステップ高さをもつポリプロピレンファントム(図9参照)で行われ、次に6mmおよび7mmの深さの2つの孔をもつ12mm厚のポリスチレンファントム(図示せず)で行われた。ポリプロピレンステップ付きファントムについて、単色ビームによる画像およびその強度プロファイルを図10に示す。測定されたコントラストおよび計算されたコントラストを表2に掲載した。測定は計算とよく一致している。表2に掲載されているように、2.5のコントラスト比は、光学体の前の全スペクトル放射線を用いて測定されたコントラストと比較して得られたものである。
【0040】
【表2】

【0041】
ポリスチレンファントムの画像およびその強度プロファイルを図11に示す。同図は、破線の端から端までの強度プロファイルにより6mmおよび7mmの異なる深さの2つの孔を示している。電源電圧は10Wパワーで35kVであった。ファントムは、3分の露光時間で、0.1mm/sで移動された。測定されたコントラストおよび計算されたコントラストを表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
どのような結像系でも画像解像度は重要なパラメータである。厚い被写体、または被写体から検出器までの長い距離に対して、空間分解能は角度発散にほぼ比例し、角分解能とも呼ばれる。角分解能測定はOxford Instrument Microfocus5011モリブデン線源で行われた。この線源は、Oxford Microfocus線源の15μmスポットサイズよりも臨床線源のものにやや近い約60μmの大きい焦点スポットサイズを有する。
【0044】
角分解能は、50μm画素をもつFujiレスティムブル(restimuble)蛍光体コンピュータ化X撮影イメージプレートを用いてナイフエッジ影を記録することによって測定された。出力ビームの半分を阻止するためにナイフエッジは結晶の後に配置された。検出器によって記録された強度プロファイルは識別され、半値で全幅を得るのに用いたガウスフィット(Gaussian fit)であった。検出器角分解能σは、ナイフエッジから検出器までの距離で割った50μmである。表4および表5に掲載した結果は、求積法(quadrature)で減算された検出器解像度を有し、測定された角分解能は
【0045】
【数1】

【0046】
であると想定され、ここでσはX線ビームの実際の角分解能である。最初に、ビームが集束ではなく発散しているように光学体から190mmである出力焦点を越えた70mmを用いて、解像度はナイフエッジにより測定された。画像プレートはナイフエッジに対して50、200、300、450mmの距離に配置された。集束角が異なるので、解像度は水平方向および垂直方向で異なる。50ミクロン画素を有するこの検出器では、300mmを越えてプレート距離を増加させても解像度は大きく改善されず、したがって、残りの測定は300mmのプレート距離で行われた。その後、測定は図12に示される様々なナイフエッジ位置で行われた。その測定された結果を表5に示す。全集束の様々な部分がサンプリングされるので角分解能は光学体からの距離と共に変わる。予想どおりに、出力焦点からファントムまでの距離が増加すると共に解像度は改善される。しかし、図10および図11に示されるように、焦点スポットから70mmで全く良好である一様性は、焦点スポットからファントムまでの距離が長くなる程、若干劣化してくる。非対称型光学体設計において出力焦点距離を増加させることによって、一様性を低減することなしに解像度はさらに改善することができる。ビームが走査されることになっている場合、走査に沿った方向の一様性は重要でない。
【0047】
【表4】

【0048】
図8に示されるように、DCC光学体によって回折された線束はGe検出器で測定された。開口測定で得られた、光学体から回折されるフォトン(光子)と光学体の表面に入射されるフォトンの数の比であるDCC光学体の回折効率ηは、
【0049】
【数2】

【0050】
によって計算されたが、ここで、Cは回折されたカウント、Cは光学体なしでのカウント、Aaperは開口の面積、Aopticは光学面の実効面積、dopticは線源までの光学体の距離、daperは線源までの開口距離である。17keVから18keVまでの1keVウィンドウ内のこれらの入力フォトンだけを考慮すると、回折効率ηは1.8%である。
【0051】
結晶帯域幅σと、線源発散σおよびエネルギー角度帯域幅σの求積法における和との比としての効率ηの概算は、
【0052】
【数3】

【0053】
で与えられ、ここで、σは線源サイズと線源距離の比で約0.5mradであり、約0.2mradのσは特性線のエネルギー幅に起因するブラッグの法則から計算された角度幅である。計算されたηは測定とよく一致している。
【0054】
【表5】

【0055】
0.1mAの電流で様々な電源電圧でDCC光学体を使用して測定された回折線束(diffraction flux)を表6に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
光学体までの様々な距離での強度を表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
当業者は以上の説明から患者などの被写体の画像化で使用される合焦単色X線ビームを方向づけるための1つまたは複数の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を使用するX線結像系が、本明細書で提示されていることに留意されよう。X線の単色化は二重湾曲結晶光学体または二重湾曲多層光学デバイスを使用して容易に達成することができる。さらに、そのような光学体は、大きいサイズで製作することが比較的容易であり、その結果、本明細書で提案されるようなX線結像系は、従来の手法よりも製作するのが簡単で容易である。X線結像系のビーム発散は、光学体から被写体までの距離を増加させることによって、または出力焦点距離を増大させるように光学設計を変更することによって抑制することができる。
【0060】
前述の光学体は、湾曲結晶光学体(例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、X−Ray Optical,Inc.の特許文献1、特許文献3、および2003年7月25日に出願された特許文献4として完成され、2004年2月12日の特許文献5として英語によりPCT条項下で公表された、「An Optical Device for Directing X-Rays Having a Plurality of Crystals」という名称で2002年8月2日に出願された特許文献6)または同様に機能する多層光学体を含む。光学体はビーム利得ならびに一般的なビーム制御を与えることができる。
【0061】
さらに、上述のように、単色化光学要素はシステム要求に応じて放射線帯域を狭くするために望ましいことがある。この機能のために、上記の光学体の多く、特に湾曲結晶光学体および多層光学体が、先に組み込まれた米国特許の多くに記載されているように、使用することができる。
【0062】
X−Ray Optical Systems,Inc.の1996年10月29日に発行された特許文献7、ならびに(1)(特許文献8として完成され、「Method and Device for Cooling and Electrically-Insulating a High-Voltage, Heat-Generating Component」という名称で2002年7月26日に出願された)特許文献9、(2)(特許文献10として完成され、「X-Ray Source Assembly Having Enhanced Output Stability」という名称で2002年7月26日に出願された)特許文献11、(3)(「X-Ray Source Assembly Having Enhanced Output Stability Using Tube Power Adjustments and Remote Calibration」という名称の2003年8月4日に出願された)特許文献12、(4)(「X-Ray Tube and Method and Apparatus for Analyzing Fluid Streams Using X-Rays」という名称で特許文献13として完成された「X-Ray Tube and Method and Apparatus for Analyzing Fluid Streams Using X-Rays」という名称で2001年12月4日に出願された)特許文献14に開示されたものなどの光学体/線源組合せも使用可能であり、これらはすべて全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
好ましい実施形態が本明細書で図示され詳細に説明されたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変形、追加、代替などを行うことができ、したがって、これらは添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内にあると考えられることが当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の態様によるX線結像系用の点焦点湾曲モノクロメータ光学体の一実施形態を示す図である。
【図1A】図1の構造のA−A線に沿った断面正面図である。
【図2】本発明の態様による、X線結像系の一実施形態で使用するための光学デバイスの一実施形態(およびローランド円形状)を示す図である。
【図3】本発明の態様によるX線結像系の一実施形態を概略形態で示す図である。
【図4】本発明の態様によるX線結像系の別の実施形態を概略形態で示す図である。
【図5】本発明の態様による、X線結像系によって使用される光学デバイスの二重湾曲光学セグメントからのX線ビーム露光を示す図である。
【図5A】本発明の態様に沿って、大きな部品間距離を必要とせずに、広い面積の対象範囲を実現しやすくするために、本明細書に開示された系の部品を機械的に走査する包括的な実施形態を示す図である。
【図5B】本発明の態様に沿って、大きな部品間距離を必要とせずに、広い面積の対象範囲を実現しやすくするために、本明細書に開示された系の部品を機械的に走査する包括的な実施形態を示す図である。
【図5C】本発明の態様に沿って、大きな部品間距離を必要とせずに、広い面積の対象範囲を実現しやすくするために、本明細書に開示された系の部品を機械的に走査する包括的な実施形態を示す図である。
【図6】本発明の態様によるX線結像系のさらなる実施形態を概略形態で示す図である。
【図7】本発明の態様によるX線結像系の別の実施形態を概略形態で示す図である。
【図8】本発明の態様による、点焦点湾曲モノクロメータ光学体、および25kVの電源電圧、0.1mAの電流、20秒の記録時間を使用するX線結像系に対する強度カウント対エネルギーを示すグラフである。
【図9】本発明の態様による、図7のX線結像系の実験で使用するための10mmのポリメタクリル酸メチルブロックに取り付けられたポリプロピレンの5mmのステップ付きファントムのブロック図である。
【図10】本発明の態様による、図7に示されたようなX線結像系を使用して結像された図9のファントムに対する検出強度対位置のグラフである。
【図11】本発明の態様による、6mmおよび7mmの異なる深さの2つのファントム孔の画像、および図7に示されたようなX線結像系を使用して結像された破線の端から端までの強度プロファイルを示す図である。
【図12】本発明の態様による、図7に示されたX線結像系の実験における点焦点湾曲モノクロメータ光学体から方向付けられた合焦単色X線ビームおよびナイフエッジ解像度測定用の様々な位置を示す図である

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、
前記X線源からのX線を方向づける光学デバイスであって、前記X線源からのX線を合焦単色X線ビームの形態で焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む光学デバイスと、
前記光学デバイスから方向付けられた前記合焦単色X線ビームと位置合わせされた検出器と
を含み、
被写体が、前記光学デバイスによって供給される前記合焦単色X線ビーム内で、前記光学デバイスと前記検出器との間に配置される場合に、前記光学デバイスは、前記検出器を使用しての前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とするX線結像系。
【請求項2】
前記光学デバイスの各少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、二重湾曲の光学面を含むことを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項3】
前記光学デバイスの前記少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、複数の二重湾曲光学結晶または複数の二重湾曲多層光学体を含むことを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項4】
前記少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、同等の入力焦点距離および出力焦点距離を有する少なくとも1つの対称型光学体を含むことを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項5】
前記少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、異なる入力焦点距離および出力焦点距離を有する少なくとも1つの非対称型光学体を含むことを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項6】
前記被写体が前記合焦単色X線ビーム内で前記焦点の前に配置されて、前記被写体が前記焦点に対するよりも、前記検出器が前記焦点に対してより近くに配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体の画像縮小を容易にすることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項7】
前記被写体が前記合焦単色X線ビーム内に配置されて、前記被写体が前記焦点に対するよりも、前記検出器が前記焦点からより遠くに配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体の画像拡大を容易にすることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項8】
前記被写体が前記合焦単色X線ビーム内で前記焦点の前に配置されて、前記検出器が前記被写体と前記焦点との間に配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項9】
前記被写体が前記合焦単色X線ビーム内で前記焦点の前に配置されて、前記検出器が前記焦点の後に配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項10】
前記被写体が前記焦点に対するよりも、前記検出器が前記焦点に対してより近くに配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とする請求項9に記載のX線結像系。
【請求項11】
前記被写体が前記検出器よりも前記焦点に対してより近くに配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とする請求項9に記載のX線結像系。
【請求項12】
前記被写体および前記検出器が前記焦点の後に配置される場合に、前記光学デバイスは前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項13】
前記少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、少なくとも1つの半径Rのローランド円を画定するための前記X線源および前記焦点で位置決めされた複数の二重湾曲光学体を含み、前記複数の二重湾曲光学体は前記X線源からのX線の前記焦点への集束を行い、前記複数の二重湾曲光学体は前記半径Rと異なるローランド円の面内に表面プロファイル半径を有することを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項14】
前記X線源は1000ワット未満の低いパワーX線源であることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項15】
前記被写体は生体であることを特徴とする請求項1に記載のX線結像系。
【請求項16】
X線源と、
前記X線源からのX線を第1の合焦単色X線ビームの形態で第1の焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの第1の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む第1の光学デバイスと、
前記第1の光学デバイスからの前記第1の合焦単色X線ビームと位置合わせされた第2の光学デバイスであって、前記第1の合焦単色X線ビームのX線を第2の合焦単色X線ビームの形態で第2の焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの第2の点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含む第2の光学デバイスと、
前記第2の光学デバイスから方向付けられた前記第2の合焦単色X線ビームと位置合わせされた検出器とを含み、
被写体が前記第1の合焦単色X線ビーム内で前記第1の光学デバイスと前記第2の光学デバイスとの間に配置される場合に、前記第1の光学デバイスおよび前記第2の光学デバイスは、前記検出器を使用しての前記被写体のX線画像化を容易にすることを特徴とするX線結像系。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1の点焦点湾曲モノクロメータ光学体および前記少なくとも1つの第2の点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、各々二重湾曲の光学面を含むことを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第1の点焦点湾曲モノクロメータ光学体および前記少なくとも1つの第2の点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、複数の二重湾曲光学結晶および複数の二重湾曲多層光学体のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第1の点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、少なくとも1つの半径Rのローランド円を画定するための前記X線源および前記第1の焦点で位置決めされた複数の二重湾曲光学体を含み、前記第1の複数の二重湾曲光学体は前記線源からのX線の前記第1の焦点への集束を行い、前記第1の複数の二重湾曲光学体は前記半径Rと異なるローランド円の面内に表面プロファイル半径を有し、前記少なくとも1つの第2の点焦点湾曲モノクロメータ光学体は、少なくとも1つの半径R’のローランド円を画定するための前記第1の焦点および前記第2の焦点で位置決めされた第2の複数の二重湾曲光学体を含み、前記第2の複数の二重湾曲光学体は前記第1の焦点からのX線の集束を行い、前記第2の複数の二重湾曲光学体は前記半径R’と異なるローランド円の面内に表面プロファイル半径を有することを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項20】
前記被写体が前記第1の合焦単色X線ビーム内で前記第1の焦点と前記第2の光学デバイスとの間に配置される場合に、前記第1の光学デバイスおよび前記第2の光学デバイスは、前記検出器を使用しての前記被写体の画像化を容易にすることを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項21】
前記被写体が前記第1の合焦単色X線ビーム内で前記第1の光学デバイスと前記第1の焦点との間に配置される場合に、前記第1の光学デバイスおよび前記第2の光学デバイスは、前記検出器を使用しての前記被写体の画像化を容易にすることを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項22】
前記第1の光学デバイスおよび前記第2の光学デバイスのうちの少なくとも1つは、前記被写体の屈折率画像化を容易にすることを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項23】
前記第1の光学デバイスおよび前記第2の光学デバイスのうちの少なくとも1つは、前記被写体の偏光ビーム画像化を容易にすることを特徴とする請求項16に記載のX線結像系。
【請求項24】
被写体をX線で画像化する方法であって、
X線源、光学デバイス、および検出器を有する結像系を準備するステップであって、前記光学デバイスは前記X線源からのX線を合焦単色X線ビームの形態で焦点の方に方向づけるための少なくとも1つの点焦点湾曲モノクロメータ光学体を含み、前記検出器は前記光学デバイスから方向付けられた前記合焦単色X線ビームと位置合わせさせられるステップと、
前記光学デバイスによって供給される前記合焦単色X線ビーム内で前記光学デバイスと前記検出器との間に被写体を位置決めするステップと、
前記合焦単色X線ビームを前記被写体を横切って走査させることによって、前記検出器を使用して前記被写体を画像化するステップと
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−503546(P2009−503546A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525079(P2008−525079)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/029732
【国際公開番号】WO2007/016484
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508034314)ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステート ユニバーシティ オブ ニューヨーク (1)
【出願人】(500577987)エックス−レイ オプティカル システムズ インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】