説明

無容器凝固法によるバリウチタン系酸化物ガラスの製造方法

【課題】 バリウチタン系強誘電体ガラスを提供する。
【解決手段】 バリウムチタン系化合物を静電浮遊とガス浮遊等無容器凝固法により、試料1を圧縮空気ガスの浮力により浮遊させ、レーザにより試料1の融点(1330℃)より約100℃高い温度まで加熱して溶融させた。一定時間(少なくとも数秒)その溶融状態を保持した後、所定の温度範囲(1400-1000℃)から約103K/secの速度で急冷することによって容器壁からの不純物混入と核生成を抑制し、原料を凝固させた。従来では得られなかった極めて大きな誘電率を示すガラスが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無容器法によるBaTi2O5強誘電体ガラスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
BaTiO3酸化物強誘電体が初めて発見されてから50年、強誘電体に関する研究は、応用に中心に世界各国で精力的に行われている。強誘電体は、高誘電率、圧電性、焦電性、電気光学効果、非線形光学効果等を有するため、コンデンサー、増幅素子、ピエゾ共振素子、焦電素子、光変調器、波長変換素子として電気・光学等様々な分野で使われている。近年、特に光通信とレーザー技術の飛躍的な発展に伴い、透明な強誘電体酸化物ガラスの研究と応用が注目を集めている。強誘電体ガラスは、結晶化することにより光物性の制御が可能となるため、高性能の光変調器(電・光信号変換)光スイッチ(光路変換)、波長変換素子(レーザーの波長変化)などの利用が期待されている。また、ガラスの製造工程が短い等利点があるため、低コストで高性能の電子デバイスの大量生産が可能である。従って、強誘電体ガラスの研究と開発は、科学、工学的な意義のみならず、産業的な意義も多大である。
【0003】
BaTiO3強誘電体は優れた誘電特性を有するが、凝固における核生成頻度と結晶成長率が高め、バルクガラスの形成は非常に困難である。これまでの報告においては、冷却速度約107-8 K/sのローラ急冷でも薄膜状ガラスしか得られていない(非特許文献1)。強誘電体ガラスを得るため、ガラス形成元素を添加する必要がある(非特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特願2003−284855
【特許文献2】特願2004−020798
【非特許文献1】吉丸克彦、植田安秋、森永健次、柳ヶ瀬勉、窯業協会誌,1984,92: p481
【非特許文献2】Narasaki A, Tanaka K, Hirao K. Appl. Phys. Lett. 1999; 75: p3399
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高純度バリウチタン系強誘電体ガラスを効率的に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、バリウムチタン系化合物に注目し、静電浮遊とガス浮遊等無容器凝固法により、容器壁からの不純物混入と核生成を抑制し、レーザーで試料を溶融した後、所定の温度範囲で急冷を行い、高純度バリウムチタン系強誘電体ガラスを製造する。
【0007】
本発明の1つの特徴によれば、BaxTi3-xO6-x(ここでx =0.9〜1.1)の組成を有する原料を浮遊させ、
浮遊させた状態で融点よりも約100℃高い温度まで加熱して溶融させ、
所定の冷却速度で冷却する段階とを有することを特徴とする他の元素を添加したバリウムチタン系強誘電体ガラスの製造方法が提供される。
【0008】
本発明の別の特徴によれば、Ba(1-y) My Ti2O5(ここで M = SrまたはCa,y =0 〜0.5)の組成を有する原料を浮遊させ、
浮遊させた状態で融点よりも約100℃高い温度まで加熱して溶融させ、
その後、所定の冷却速度で冷却する段階とを有することを特徴とするバリウムチタン系強誘電体ガラスの製造方法が提供される。
【0009】
好ましくは、原料の加熱のために原料にレーザービームを照射する。この場合、前記レーザービームを原料の上方及び下方の両方から照射する。
【0010】
また、原料が球状多結晶であることが望ましい。
【0011】
好ましくは、前記所定の冷却速度が約500K/sec以上であり、さらに好ましくは、約800K/sec以上であり、さらに好ましくは、約1000K/sec以上である。
【0012】
また、原料の加熱温度が約1200℃から1500℃であることが好ましく、さらに好ましくは、原料の加熱温度が約1300℃から1400℃である。
【0013】
また、原料を溶融した後、冷却を開始するまで所定時間当該溶融温度を保持することが均一性向上のために好ましく、この場合、前記所定時間が少なくとも数秒であることが好ましい。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、原料を浮遊させた状態で溶融及び凝固を行うための装置であって、
前記原料浮遊させるために上下方向にガスを流通させるためのノズルを有するガス浮遊炉と、
該ガス浮遊炉の下方に配置されるガス浮遊炉を支持する固定台と、
前記固定台を介して前記ガスを浮遊炉に供給するガス供給器と、
原料を加熱するための加熱源として原料にレーザービームを照射するレーザーと、
ガスの流量を調整するための流量調整器と、
原料の温度を測定する温度計と、
該温度計によって測定された原料の温度に基づいてレーザービームの照射を制御し原料の温度を制御する制御器とを備えたことを特徴とする装置が提供される。導入可能なガスとしては、空気、Ar、O2、N2等があげられる。
【0015】
この場合、好ましい態様では、前記レーザーからのレーザービームを分割するビームスプレリッターと、該分割されたレーザービームを原料に対して上方及び下方から照射する。
【0016】
また、前記温度計が原料に指向された放射温度計であることが好ましい。また、さらに原料の浮遊状態を監視するカメラと、該カメラによって撮影された原料の浮遊状態に基づいて浮遊炉へのガスの流量を調整するガス流量調整器とを備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、凝固の際の結晶化及びその成長を有効に阻止することができ、バリウムチタン系強誘電体ガラスを効率的に製造することができる。バリウムチタン系強誘電体ガラスは、たとえば、光変調器、光スイッチと波長変換素子として好適であり電気・光学分野で広く利用され得る。さらに、ガラスから結晶に相転移する温度において、1千万以上の極めて大きな比誘電率を有する。このよう極めて大きな誘電率を持つ材料は、たとえば高温用大容量小型の電子デバイス材料として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
ガス浮遊炉及び制御装置
図1を参照すると、本例では、試料1の浮遊のためにガス浮遊炉2を使用する。図1において、ガス浮遊炉2は、浮遊用ガス供給及び浮遊炉2の移動防止に為に、固定台3に固定用ワイヤー4で固定されている。試料1は、ガス浮遊炉2の下方に設けられたノズルから上方に向けてガスを送入して試料を浮遊させる。試料1を浮遊させるためのガス流量を制御する為に、流量調整器13を備えている。試料1の浮遊状態は、撮影装置により、本例では、CCDカメラ11で監視される。CCDカメラ11はモニター15に接続されており、試料位置を目視にて監視している。このカメラの出力に基づいて、ガス流量を調整するように構成することものできる。試料の温度は試料1に対して指向された放射温度計12によって非接触で計測される。放射温度計12により計測された試料1の温度情報は、コンピュータ14により取得される。本例では、試料1を加熱するためのレーザービームを発生する炭酸ガスレーザー装置5が設けられている。コンピュータ14は、炭酸ガスレーザー装置5に接続されており、そのレーザー出力を制御するようになっている。すなわち、コンピュータ14は、放射温度計で検出された試料1の温度データを読み込んで、所定の制御プログラムにより、試料の加熱源としてのレーザー出力を制御し、試料温度を制御することができるようになっている。炭酸ガスレーザー装置5からのレーザービームは、ビームスプリッター6により分割される。そのレーザーパワーを均等に分割し、浮遊した試料1に対して上下方向よりレーザビーム9及び10を照射して所定温度に加熱することができるようになっている。そして、図1に示す本例の装置では、所定温度1300ないし1400℃程度に加熱し、溶融させた後、500ないし1500K/sec程度の速度で冷却することによって、原料を凝固させガラスを生成する。
【0020】
ガス浮遊凝固方法
図1の装置では、ガス浮遊炉2には毎分約0.7リットルのガスを導入(導入可能なガス:空気、Ar、O2、N2等)する。レーザビームを試料1の上下方向から照射して試料1を加熱する。温度測定は放射温度計より上部から行うようになっている。試料浮遊過程においてはまずガス浮遊炉2からガスを噴出させることにより試料1を浮遊させる。浮遊させた状態でレーザビームを上方及び下方から試料1を加熱し、溶融させる。試料1の状態は、CCDカメラ11により観察されており、適宜ビデオ撮影できるようにしている。また、モニター15により試料1の状態は、目視されており、試料1が不当に振動しないように或いはガス浮遊炉2に接触しない様に適宜ガス流量を流量調整器13により調整することができるようになっている。また、本例では、CCDカメラ11とほぼ同じレベルの異なる角度位置には、試料1の温度を測定する放射温度計12が設けられ、放射温度計12は、試料1の発光を分析し、その発光状態に基づいて温度を測定することができる。検出された温度はコンピュータ14に入力され、レーザー出力の調整を通して、試料1の温度を制御する。溶融後所定の冷却速度で冷却して結晶化を生じさせることなく凝固させることによって、バリウムチタン系原料のガラスを生成する。
【実施例1】
【0021】
BaTi2O5組成を有する重さ約20mgの球状多結晶の試料を原料として、図1に示すガス浮遊装置を用いて試料1の溶融及び凝固を行った。試料1を圧縮空気ガスの浮力により浮遊させ、レーザにより試料1の融点(1330℃)より約100℃高い温度まで加熱して溶融させた。一定時間(少なくとも数秒)その溶融状態を保持した後、所定の温度範囲(1400-1000℃)から約103K/secの速度で急冷することによって原料を凝固させた。図2(a)は試料を1400℃から急冷した際の冷却曲線を示し、図2(b)は試料を1000℃から急冷した冷却曲線が示されている。いずれの冷却曲線においても、結晶凝固による発熱ピークは生じていない。連続的に冷却して凝固させる場合において結晶化が生じる場合には、発熱にともなうピークが生じる。
【0022】
しかし、上記のいずれの場合にも冷却曲線において発熱ピークが生じていないということは凝固に際して結晶化が生じていないことを証明するものである。すなわち、試料1は、結晶化しない状態すなわちガラス状態で凝固していることがわかる。図3には、得られた透明な球状試料の光学顕微鏡写真が示されている。
【0023】
図4にはBaTi2O5透明試料の室温、730℃と1280℃まで加熱後のX線回折パターンが示されている。室温のX線回折パターンでは、ガラス質に特有の広い範囲での緩やかなピークが生じる。そしてそれ以外の急峻なピークは生じていない。結晶構造が存在する場合には、結晶格子の存在のために急峻なピークが観察されるのであるが、図4の室温の状態では、試料がガラスであることがわかる。730℃と1280℃のX線回折パターンでは、結晶試料に特有なシャープなピークが示され、700℃以上になるとガラスから結晶に変化したことが判明する。
【0024】
図5にはBaTi2O5透明試料の示差走査熱量測定(DSC)データが示されている。このデータからわかるように三つの相転移温度(690℃,728℃,765℃)が存在することが判明する。すなわち、図5に示す結果から、BaTi2O5透明試料は約690℃でガラス転移が起こり、さらに728℃と765℃の二つ温度でガラスから結晶にすることが分かる。
【0025】
図6にはBaTi2O5透明試料の誘電率測定結果が示されている。生成したガラスは結晶化温度近傍(723℃)において約1千万以上の極めて大きな比誘電率を有することが判明した。
【実施例2】
【0026】
BaとTiの組成比を変化させ、BaxTi3-xO6-x (ここで、x = 0.9 - 1.2)組成をもつ試料のガラスを作製し、その物性の測定を行った。
【0027】
実施例1と同様に、BaxTi3-xO6-x (ここで、x = 0.9 - 1.2)組成を有する重さ約20mgの球状多結晶原料試料用いて、図1に示すガス浮遊装置を用いて、試料を浮遊させ、レーザー装置5用いて所定温度まで加熱して、溶融させ、その後所定時間保持したのち、実施例1同様の冷却勾配により冷却して試料を凝固させた。すなわち、試料を圧縮空気ガスにより浮遊させ、レーザにより融点より約100℃高い温度まで加熱し、一定時間保持した後、所定の温度範囲(1400-1000℃)から約103K/secの速度で急冷した。全ての冷却曲線において、結晶凝固による発熱ピークが観察されなかった。そして得られた透明球状材料はX線回折によりガラスであることを確認した。
【0028】
図7にはBaxTi3-xO6-x(ここで、x = 0.92、1.0, 1.05, 1.13)を有する四つの透明試料の示差走査熱量測定結果が示されている。図7に示すようにすべての試料において、ガラス相転移温度と結晶化温度が存在することがわかる。すなわち、4つの試料は室温の状態では、ガラス質になっていることが判明する。
【0029】
図8にはBaxTi3-xO6-x(ここで、x = 0.92)透明試料の誘電率測定結果が示されている。実施例1に示したBaTi2O5の組成からなる試料の誘電率と同様に、結晶化温度の近傍(730℃)において1千万以上の極めて大きな比誘電率を有することが判明した。
【実施例3】
【0030】
他元素をBaTi2O5に添加して、Ba1-yMyTi2O5, (ここで、M= Sr、Ca, y =0.05-0.15)組成をもつ試料についてガラスを作製し、その生成したガラス材料の物性を測定した。
【0031】
実験例1と同様に、Ba1-yMyTi2O5, (ここで、M= Sr、Ca, y =0.05-0.15)組成を有する重さ約20mgの球状多結晶原料試料用いて、図1に示すガス浮遊装置により溶融及び凝固を行った。試料を圧縮空気ガスより浮遊し、レーザにより融点より約100℃高い温度まで加熱し、一定時間保持した後、所定の温度範囲(1400-1000℃)から約103K/secの速度で急冷した。全ての冷却曲線において、結晶凝固による発熱ピークが観察されなかった。得られた透明球状試料はX線回折によりガラスであることを確認した。
【0032】
図9にBa1-yMyTi2O5, (ここで、M= Sr、y =0.05、0.1, 0.15)を有する三つの透明試料の示差走査熱量測定結果を示す。すべての試料において、ガラス相転移温度と結晶化温度が観察された。
【0033】
図10にはBa1-yMyTi2O5, (ここで、M= Sr、y =0.1)透明試料の比誘電率測定結果が示されている。実施例1に示したBaTi2O5試料の比誘電率と同様に、結晶化温度の近傍(730℃)において1千万以上の極めて大きな比誘電率を有することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明による方法により従来では得られなかった極めて大きな誘電率を示すガラスが得られることがと判明した。このような従来にない特徴を有するガラスはたとえば光デバイス(光スイッチ、光センサ)等への応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ガス浮游装置全体構成図。
【図2】BaTi2O5ガラスの冷却曲線。
【図3】BaTi2O5ガラスの光学顕微鏡写真。
【図4】BaTi2O5ガラスの室温と各温度で加熱後X線回折パターン。
【図5】BaTi2O5ガラス示の示差走査熱量測定(DSC)結果。
【図6】BaTi2O5ガラスの誘電率測定結果。
【図7】BaxTi3-xO6-x, x = 0.92 - 1.13のガラスの示差走査熱量測定(DSC)結果。
【図8】BaxTi3-xO6-x、x = 0.92 ガラスの誘電率測定結果。
【図9】Ba1-yMyTi2O5, M= Sr, y =0.05-0.15のガラスの示差走査熱量測定(DSC)結果。
【図10】Ba1-yMyTi2O5, M= Sr, y =0.1ガラスの誘電率測定結果。
【符号の説明】
【0036】
1 試料
2 ガス浮遊炉
3 固定台
4 固定用ワイヤー
5 炭酸ガスレーザー装置
6 ビームスプリッター
9 レーザービーム
10 レーザービーム
12 放射温度計
14 コンピュータ
15 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BaxTi3-xO6-x(ここでx =0.9〜1.1)の組成を有する原料を浮遊させ、
浮遊させた状態で融点よりも約100℃高い温度まで加熱して溶融させ、
所定の冷却速度で冷却する段階とを有することを特徴とするバリウムチタン系強誘電体ガラスの製造方法。
【請求項2】
原料の加熱のために原料にレーザービームを照射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザービームを原料の上方及び下方の両方から照射することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記原料が球状多結晶であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の冷却速度が約500K/sec以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の冷却速度が約800K/sec以上であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の冷却速度が約1000K/sec以上であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
原料の加熱温度が約1200℃から1500℃であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
原料の加熱温度が約1300℃から1400℃であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
原料を溶融した後、冷却を開始するまで所定時間当該溶融温度を保持することを特徴とする請求項1から9のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記所定時間が少なくとも数秒であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Ba(1-y) My Ti2O5(ここで M = SrまたはCa,y =0 〜0.5)の組成を有する原料を浮遊させ、
浮遊させた状態で融点よりも約100℃高い温度まで加熱して溶融させ、
その後、所定の冷却速度で冷却する段階とを有することを特徴とする他の元素を添加したバリウムチタン系強誘電体ガラスの製造方法。
【請求項13】
原料の加熱のために原料にレーザービームを照射することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記原料が球状多結晶であることを特徴とする請求項11から13のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記レーザービームを原料の上方及び下方の両方から照射することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の冷却速度が約500K/sec以上であることを特徴とする請求項11から15のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の冷却速度が約1000K/sec以上であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
原料の加熱温度が約1200℃以上であることを特徴とする請求項11から17のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項19】
原料の加熱温度が約1300℃から1400℃であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
原料を溶融した後、冷却を開始するまで所定時間当該溶融温度を保持することを特徴とする請求項11から19のいずれか1つの請求項に記載の方法。
【請求項21】
前記所定時間が少なくとも数秒であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
原料を浮遊させた状態で溶融及び凝固を行うための装置であって、
前記原料浮遊させるために上下方向にガスを流通させるためのノズルを有するガス浮遊炉と、
該ガス浮遊炉の下方に配置されるガス浮遊炉を支持する固定台と、
前記固定台を介して前記ガスを浮遊炉に供給するガス供給器と、
原料を加熱するための加熱源として原料にレーザービームを照射するレーザーと、
ガスの流量を調整するための流量調整器と、
原料の温度を測定する温度計と、
該温度計によって測定された原料の温度に基づいてレーザービームの照射を制御し原料の温度を制御する制御器とを備えたことを特徴とする装置。
【請求項23】
前記レーザーからのレーザービームを分割するビームスプレリッターと、該分割されたレーザービームを原料に対して上方及び下方から照射するようにしたことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記温度計が原料に指向された放射温度計であることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
さらに原料の浮遊状態を関しするカメラと、該カメラによって撮影された原料の浮遊状態に基づいて浮遊炉へのガスの流量を調整するガス流量調整器とを備えたことを特徴とする請求項22に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−248801(P2006−248801A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64055(P2005−64055)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】