説明

無機ナノ粒子を含む共役重合体の薄膜およびその製造方法

本発明は、ハイブリッド有機/無機膜によって支持材を非共有結合性コーティングする方法に関する。上記方法は、支持材の上に、X型の各有機基を含む有機共役重合体を堆積させる重合体堆積工程と、支持材の上に、1以上のY型の各有機基を含む各ナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積工程とを有し、X型の有機基およびY型の有機基は、これらの各有機基間に水素型結合を形成可能であることを特徴とする。典型的には、膜が所望の厚さに達するまで、上記堆積工程を一般に交互に繰り返す。この堆積は、支持材全体に行ってもよいし、または、支持材の一部にのみ行ってもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無機ナノ粒子の光学特性、電子物性、または磁気特性が、サイズに応じて決定されることから、無機ナノ粒子に基づく多くの用途が生じている。無機ナノ粒子の重要な例には、蛍光半導体ナノ結晶(例えば、CdSe、CdTe、InP、ZnO)、金のナノ粒子、および、酸化鉄または鉄−白金合金のナノ粒子が挙げられる。
【0002】
半導体のナノ結晶は、共役重合体と結合すると、光起電力効果によって、光電変換用の有効な材料を構成する。新たに生じる用途には、特に、発光ダイオードがある。
【0003】
金属ナノ粒子(例えばAu)は、共役重合体と結合した状態で、不揮発性の分子メモリにおいて、電気触媒の分野において、または、化学センサとして用いられる。
【0004】
磁気ナノ粒子は、次世代の磁気記憶媒体に情報を格納するための「ビット」として、または、スピン依存電子輸送性を有する新規の材料(「スピントロニクス」の分野)の構成要素として想定されている。
【0005】
半導体のナノ粒子(NP)およびナノ結晶(NC)の新たな用途は、これらを共役重合体の膜の中に組み込み、光起電力技術のための新規の材料を得ることである。NCが太陽光の吸収に関与し、電子伝送を保証するため、装置内のNCの利点は倍化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1485955号公報(2004年12月15日公開)
【特許文献2】国際特許出願第WO 2004097871号(2004年11月11日公開)
【特許文献3】欧州特許出願第1548431号公報(2005年06月29日公開)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Mater. Chem. 2004, 14, p. 141
【非特許文献2】J. Appl. Phys. 2005, 97, p. 014914
【非特許文献3】Adv. Funct. Mater., 2006, 16, p. 542
【非特許文献4】CHEM. COMMUN. (2004) 2314 (Mouffouk et al.)
【非特許文献5】"Colloids and Colloid Assemblies", Frank Caruso (Ed.), 1. Ed. Dec. 2003, Wiley-VCH, Weinheim
【非特許文献6】Appl. Phys. Lett. vol 80, p1288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
膜を調製するための第1の方法は、共役重合体内にてNC/NPをあるがままの状態で成長させることである。この方法では、NCまたはNPを、共役重合体内に直接成長させる(非特許文献1の、例えば、ポリ(ヘキシルチオフェン)中のAuのNPを参照)。この方法は、重合体内に粒子を良好に分散させることを保証するが、一般に、サイズによる低分散性のNCまたはNPを得ることは不可能である。これは大きな欠点である。なぜなら、NC/NPの物理的性質は、そのサイズに大きく依存しているからである。
【0009】
さらに、NCまたはNPの各種類毎に新規のプロセスを開発する必要があり、上記新規のプロセスを開発する方法では、粒子および重合体の合成を独立して最適化することは不可能である。
【0010】
他の方法は、NCまたはNPを共役重合体と混合することである。上記方法は、CdSeのような半導体NCとポリ(3−ヘキシルチオフェン)またはポリ(p−フェニレン−ビニレン)といった共役重合体とから光起電装置を製造するために、最も多く用いられている方法である(例えば、非特許文献2および特許文献1のCdSe/PPV太陽電池を参照)。しかし、これらの混合物から得られる薄膜の形態を制御することは困難である。なぜなら、層間離隔がひどいため、太陽電池の性能が低減されるからである。
【0011】
さらに他の方法として、CdSeナノ結晶の層および重合体の層を連続的にグラフト化する方法が、最近、非特許文献3[Wang et al.]によって提案された。上記方法の技術では、重合体とナノ結晶とが共有結合された膜を形成する。上記方法は、これら2つの構成要素の偏析を回避するが、これらの間の結合が強いため、i)堆積工程中の自己組織化プロセスによって得られた、ii)堆積工程後の熱アニールによって得られた薄膜の構造の最適化が妨げられる。
【0012】
一般的に、熱アニールは薄膜の形態を変える。この方法は、共役重合体に基づく太陽電池の性能、および、特に共役重合体と半導体ナノ結晶とに基づく電池(特許文献1)の性能を高めるために広く用いられている。しかし、得られた膜は、形態異常を有していることがある。この形態異常は、膜内に共有結合が存在するため、アニーリングを適用することによって処置することが困難である。
【0013】
これらの公知の方法によって形成される膜の有効性は、膜の形態の制御が困難であるため、制限されている場合が多い。一般的に、これらの材料は、2つの構成要素であるNCと共役重合体とを単に混合することによって得られる。2つの構成要素を混合することは、層間離隔効果、つまり偏析を引き起こし、重合体が豊富な領域とNCが豊富な領域とを生じさせる場合が多い。
【0014】
他方、膜の製造に一般的に用いられるスピンコーティング技術は、堆積時に生成物の多くの部分の損失を含むため、材料消費に関して高コストである。
【0015】
すなわち、現在用いられている、共役重合体内にNCまたはNPを含む薄膜を製造するための各方法は、簡易且つ経済的な方法ではなく、得られる材料の形態および構成の制御を実現することが可能な方法でもない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ハイブリッド有機/無機膜によって、支持材を非共有性コーティングする方法に関し、
−支持材の上に、X型の各有機基を含む共役有機重合体を堆積させる重合体堆積工程と、
−支持材の上に、1以上のY型の各有機基を含むナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積工程とを含み、
X型の有機基およびY型の有機基は、X型の有機基およびY型の有機基の間に水素型結合を形成可能なものであることを特徴としている。
【0017】
典型的には、膜が所望の厚さになるまで、上記重合体堆積工程と上記ナノ粒子堆積工程を一般的には交互に繰り返して行う。上記堆積は、支持材全体に行ってもよいし、または、支持材の一部にのみ行ってもよい。
【0018】
本発明の意味する範囲において、ハイブリッド有機/無機膜とは、有機種および無機種からなる膜、特に、有機種の膜および無機種の膜が、互いに連続した交互層となる膜のことである。より具体的に言うと、上記膜は、各重合体膜中に、無機ナノ粒子の各層が存在するものである。概念的には、この種の膜は、重合体層と無機層とが交互になっている。
【0019】
本明細書では、当該膜は、概して、厚さがナノメータとマイクロメータとの間のスケールである、光学的に薄い(光透過性の)膜であると考えられる。
【0020】
本方法は、膜の粘着および膜の支持材に対する粘着が、共有結合型の相互作用によっては保証されないという点において、「非共有結合」型のプロセスである。従って、本方法は、膜の異なる構成要素間、つまり重合体とナノ粒子との間に共有結合を生成させることもないし、支持材と支持材の表面に接触している膜の構成要素との間に共有結合を生成させることもない。
【0021】
X型の有機基およびY型の有機基とは、互いに親和力を有する化学基、具体的には互いに水素結合を形成する化学基のことである。この種の結合は、電気陰性原子と水素原子との会合の1つの種類である。水素原子自体は、比較的電気陰性の第2の電気陰性原子に結合されている。これら2つの電気陰性原子は、通常、元素周期表の最初の列に属しているが、必ずしもこれに属している必要はない。元素周期表の最初の列とは、具体的に、N、O、およびFである。酸素、窒素、またはハロゲンといった自由二重項、または、ホウ素といった電子欠損の原子を含む原子が、この種の結合に容易に含まれ得る。
【0022】
従って、XおよびYとは、典型的には、カルボニル化された官能基、またはイミンといった電気陰性原子を有する官能基、あるいは、アルコール官能基またはアミン官能基内に存在するような上述の水素を含む化学基のことである。当業者は、本発明の範囲内で使用可能な基を決定することができる。
【0023】
典型的には、XおよびYは、1つの対を形成する。この対は、Xが、式(I)の炭素含有構造を有し、
【0024】
【化1】

【0025】
Yが、式(II)の炭素含有構造を有し、
【0026】
【化2】

【0027】
ここで、
−水素結合が、Jx/Jy、Kx/Ky、Lx/Lyの対のうちの少なくとも2つにおいて形成されることが可能であり、
−Jx/Jyの対の場合、Jのうちの一方が、水素に共有結合されたNまたはOを示し、他方が、π型の結合を有するNまたはOを示し、
−Kx/Kyの対の場合、Kのうちの一方が、水素に共有結合された窒素原子を示し、他方が、π型結合を有するNを示し、
−対Lx/Lyの対の場合、いずれのLも、独立して、水素原子または炭素原子、水素に共有結合されたNまたはO、π型結合を有するNまたはOを示す。
【0028】
水素結合が、Jx/JyおよびKx/Kyにおいて形成されることが好ましい。XおよびYが、リング構造を有していることが有効であり、典型的には、リング構造は、5個または6個の原子を有するリングである。
【0029】
従って、XおよびYは、例えば次の対、ジアミノピリミジン/チミン、ジアミノトリアジン/ウラシル、ジアミノトリアジン/マレイミド、ジアシルアミドピリジン/ウラシル、ジアミノトリアジン/ペリレンビスイミド基、尿素/イミド単位、またはウレイド−s−トリアジン、またはウレイドピリミジノン二量体である。
【0030】
従って、例えば、X基およびY基として、核酸鎖に存在する塩基と一致するかまたは前記塩素に派生する基を用いて、それらの相補性の利点を受けることが可能である。本発明の範囲において、X基およびY基として、プリン塩基、アデニンおよびグアニン、および、ピリミジン塩基、シトシン、チミン、およびウラシル、並びに、水素結合の形成を保証する構造を確保する、それらの誘導体を用いることが可能である。
【0031】
当然ながら、アデニンをチミンまたはウラシルに対して相補的に用いて、2つの水素結合を形成すること、および、グアニンをシトシンに対して相補的に用いて、3つの水素結合を形成することが好ましい。その相補性において知られた対を選択することが望ましく、これらの対を用いることによって、膜の粘着性を改善する。
【0032】
共役有機重合体とは、共役結合が内部に存在する有機型の重合体の構造に相当する。上記重合体は、特にその電子工学の分野における用途のために、従来技術より公知である。これら共役有機重合体には、特に、芳香族重合体、複素環重合体、線状重合体、または、複素環と二重結合とが交互になった重合体、特に、ポリ(アニリン)類、ポリ(アルキルチオフェン)類、ポリ(p−フェニレン)類、ポリ(p−フェニレン−ビニレン)類、ポリ(フルオレン)類、ポリ(ピロール)類、ポリ(アセチレン)類、多環芳香族アミン類、ポリ(チエニレン−ビニレン)類、およびこれらの可溶性の誘導体が挙げられる。可溶性の誘導体は、本発明の構造に特に適している。
【0033】
本発明によれば、X型の有機基を含む共役有機重合体を用いることが望ましい。これらの重合体は、概して、既に定義した共役重合体から派生した共重合体であり、この共重合体は、X基を含む修飾された単量体単位を有している。典型的には、X基は側鎖に存在しており、そのため、重合体内の共役結合を妨げることはない。
【0034】
従って、X基による置換を有する単量体単位の量は、一般的には5%と50%との間、特に5%と15%との間に構成されている。従って、例えば、3−ヘキシルチオフェンといったX型の有機基を含む重合体として、図1に示した、ヘキシル鎖の終端において6−オキシ−2,4−ジアミノピリミジンに結合された3−ヘキシルチオフェンといったX型の有機基を有する単量体単位を、10%〜15%において含む重合体を使用することが可能である。
【0035】
重合体内で用いられる複数のX基の性質を類似させること、有利には同一にすることが好ましい。重合体を調製する方法は、有機化学において公知である。X基の組み込みは、実験について説明した箇所に示すように、または、文献において認識可能であるように、単量体単位の誘導体化によって容易に行うことが可能である。これに関して、非特許文献4を引用することが有用である。
【0036】
本発明の意味する範囲において、ナノ粒子(NP)とは、ナノメータのサイズの無機粒子を示し、特にナノ結晶(NC)であってよい。NPは、典型的には、少なくとも1つの金属、および/または、少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの半導体化合物によって構成されている。
【0037】
金属は、具体的には、遷移金属、希土類元素、元素周期表の第IIIA族、第IVA族、および第VA族の金属、これらの合金、これらの酸化物、および、これらの金属と合金との混合物から選択されていてよい。より詳細に言うと、本発明は、金、白金、銀、銅、酸化チタン、酸化鉄に関すると共に、鉄−白金合金、鉄−パラジウム合金、およびコバルト−白金合金に関する。
【0038】
半導体に関していえば、半導体は、例えば、化学式ABの化合物であってよい。ここで、Aは酸化数が+IIである元素であり、Bは酸化数が−IIである元素であり、典型的に、Aは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、Sn、Pb、およびこれらの元素の混合物から選択され、Bは、O、S、Se、Te、およびこれらの元素の混合物から選択される。
【0039】
これらの半導体のうちで、化学式CDの半導体についても説明可能である。ここで、Cは酸化数が+IIIである元素であり、Dは酸化数が−IIIである元素である。典型的に、Cは、Al、Ga、In、およびこれらの元素の混合物から選択され、Dは、N、P、As、Sb、Bi、およびこれらの元素の混合物から選択される。本発明は、また、化学式ECB2の半導体に関する。ここで、Eは酸化数が+Iである元素であり、Cは酸化数が+IIIである元素であり、Bは酸化数が−IIである元素である。BおよびCは、上述のように選択され、EはCu、Ag、Auから選択される。最後に、SiまたはGeといった、より簡素な半導体を用いることも当然可能である。
【0040】
本発明は、特に、光電池の分野または電子メモリの分野において用いられる粒子に関する。これらの粒子は、具体的には、CdSe、CdTe、ZnO、PbSe、PbS、InP、InN、CuInS2、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、GaAs、InGaAs、Si、Ge、Au、Ag、およびPt<0}の粒子である。
【0041】
光電池の分野における用途の場合、これらの粒子がCdSe、InP、およびCuInSe2のNPであることが都合がよく、Cu(In1Ga)Se2およびCuInS2であってもよい。電子メモリの分野では、これらの粒子がAu、Ag、およびPtであることが都合がよい。
【0042】
本発明によれば、Y型の有機基を有するナノ粒子を使用することが望ましい。このようなナノ粒子は、ハイブリッド有機/無機の構成要素である。これらは、具体的には、Y型の基を含む1つまたは複数の有機配位子が結合される上述のナノ粒子である。したがって、この種のナノ粒子は、典型的には、少なくとも1つの金属、および/または、少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの半導体化合物によって構成される無機コアを有する。前記無機コアに、Y型の有機基を含む、有機性のコーティングまたはクラウンからなる少なくとも1つの配位子が結合される。本発明の範囲において使用可能な配位子は、具体的には、以下の式(III)の配位子である。
【0043】
BG−(SG)p−Y (III)
ここで、
−BGは、金属および/または少なくとも1つの金属を有する少なくとも1つの半導体化合物のナノ粒子に結合可能な連鎖群を示し、
−SGはスペーサ基を示し、
−Yは上述のように規定され、
−pは0または1である。
【0044】
本発明によれば、BGは、本方法の構造において用いられるナノ粒子の種類に応じて選択される。BGは、錯化、キレート化、または、静電相互作用によって、ナノ粒子の表面に共有結合することが可能である。当該NPに最も適した構造を決定するために、当業者は、特に、従来技術、具体的には、非特許文献5「"Colloids and Colloid Assemblies", Frank Caruso (Ed.), 1. Ed. Dec. 2003, Wiley-VCH, Weinheim」を参照することが有効である。
【0045】
粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウムといった金属である場合、または、粒子がCdSe、CdTe、ZnO、PbSe、PbS、CuInS2、CuInSe2、または、Cu(In,Ga)Se2といったAB型の半導体である場合、BGは、具体的に、チオール、ジチオール、カルボジチオエート、ジチオカルバメート、キサンテートであってよい。
【0046】
チタニウム、ジルコニウム、アルミニウム、または鉄の酸化物といった酸化物のナノ粒子の場合、BGは、具体的に、カルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、スルホン酸、ヒドロキサム酸であってよい。これらの酸は、脱プロトン化体になることが可能である。これは、従来技術、特に特許文献2(国際特許出願第WO2004097871号)に開示されている通りである。
【0047】
本発明によれば、pが1であることが好ましい。スペーサ基SGは、概して、ナノ粒子の無機コア、重合体、および基板における親水型または疎水型の立体性または親和性の基以外と相互作用を生じさせず、上記無機コア、重合体、および基板と反応しない基である。典型的には、上記スペーサ基は、ヘテロ原子を含まない炭素含有鎖であってよく、例えば、脂肪族鎖(例えば、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキル鎖)、芳香族鎖、または複素環鎖であってよい。
【0048】
従って、具体的には、例えば、1−(6−メルカプトヘキシルチミン)によって機能化されたCdSeのNPを本発明の範囲において用いることが可能である。他の実施例は、Nature 2000, 404, p. 746、および、Chem. Mat. 2004, 16, p. 3252の記事に記載された方法に基づいて、チミン基を含む配位子によって機能化された、金のNP、または、酸化鉄のNPに対応する。特許文献3に記載されたCdSeのナノ結晶を機能化するために、チミン基の機能を含む、カルボジチオエート、ジチオカルバメート、またはキサンテートのタイプの分子を用いてもよい。
【0049】
支持材は、支持材の性質において種々であってよく、本発明が、特に電子機器分野の装置を提供可能であるということを考慮すると、本方法を、この分野で用いられる材料からなる支持材に適用することが望ましい。
【0050】
本発明は、支持材をコーティングするための方法に関するということを考慮すると、支持材の表面の性質のみが、支持材をコーティングしている膜の構成要素と直接相互作用してよい。従って、支持材は、具体的に、金属、金属合金、または半導体の表面を有する支持材であってよい。より具体的に言うと、特に、支持材の表面と前記表面に近接した重合体またはナノ粒子との間に、水素結合が形成可能なように、表面に酸化物を有する支持材を選択することが望ましい。
【0051】
従って、X型の有機基は、Yと水素結合する水素を備えた共有結合部分を主部分として有しているため、表面に最も近接した高分子内に存在するX基の一部が、支持材と水素結合を形成し、膜と支持材との粘着力を大幅に増大させることが可能な基であることが都合がよい。この支持材は、例えば、一般的には酸化物層、または、インジウムスズ酸化物(ITO)を有する,ガラス、雲母、シリコンから選択されてよい。
【0052】
支持材に堆積させる工程について、「支持材」という表現は、限定的に理解されるべきではなく、「支持材」の「表面」の性質は、堆積工程を連続的に行うにつれて、発現するものであることに留意されたい。従って、例えば、重合体の第1の堆積工程を、表面がガラスであるガラス支持材の上で行うならば、例えば「支持材」の上にナノ粒子を堆積させる第2の堆積工程は、重合体で覆われたガラス支持材の表面に相当する表面の上で行われる。同様に、この同じ支持材にさらなる堆積工程を行うならば、前記さらなる堆積工程は最も外側の「層」、本明細書では、ナノ粒子の「層」において行われると理解すべきであろう。
【0053】
従って、本発明は、特に、m個の有機層とn個の無機層とを有するハイブリッド有機/無機多層膜によって、支持材をコーティングするための非共有結合型の方法であり、
支持材の上に、X型の各有機基を含む共役有機重合体を堆積させる工程(a)と、
支持材の上に、1以上のY型の各有機基を含む各ナノ粒子を堆積させる工程(b)とを有し、
X型の有機基およびY型の有機基は、X型の有機基およびY型の有機基の間に水素型結合を形成可能なものであり、
工程(a)をm回行い、工程(b)をn回行い、mおよびnは、1以上であることを特徴としている。
【0054】
典型的には、工程(a)および工程(b)を、上述したように連続的に行う。また、第1の工程が工程(a)であることが好ましい。一般的には、工程(a)および工程(b)を、重合体またはナノ粒子を含む溶液を用いて行う。この溶液は、溶解化または分散化される化合物に適した溶媒によって調合される。当業者は、溶解化することが望ましいか、または、分散化させることが望ましいかに応じて、使用可能な溶媒を決定することが可能である。適切な溶解化または分散化を確保する溶媒を決定するための機能としての極性にて、異なる各溶媒をテストすることが望ましい。
【0055】
X型の基を含む重合体を、少なくとも0.1g/Lの濃度で溶解化することが可能な溶媒を選択することが望ましい。概して、同一の溶媒、または、X基を含まない共役重合体に用いられる極性に類似した極性(特にこれらの分子量が類似している場合、つまり差異が多くとも10%である)の溶媒を使用することが可能である。例えばポリ(アルキルチオフェン)の場合、適切な溶媒は、むしろ非プロトン性、かつ、無極性である。従って,例えば、典型的には、ジアミノピリミジン機能を含み、位置規則性の、約12800g/molのMnを有するポリ(ヘキシルチオフェン)を、クロロホルムにおいて溶解化することが可能である。
【0056】
ナノ粒子を少なくとも0.1g/Lの濃度で分散させることを可能にする溶媒を選択することが望ましい。好適な溶媒は、典型的には、非プロトン性、かつ、極性であり、これらの溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)であってよい。DMFといった所定の複数の溶媒の性能を調整して、水素結合を可能にするために、一般的には、少量(典型的には、10容量%)のメタノールが添加される。
【0057】
これによって、例えば1−(6−メルカプトヘキシルチミン)で機能化されたCdSeのNPを、N,N−ジメチルホルムアミド/メタノール混合物(10/1容量)に分散させることが可能である。ナノ粒子の合成時に用いられる、ユーザが用いようとしている溶媒は、分散を行うことに適している場合が多い(関連する動作手順を参照することが有用である)。ナノ粒子/ナノ結晶に関していえば、分散を促進させるために、溶液に超音波処理を施すことが有効である場合が多い。
【0058】
工程(a)および工程(b)は、特に支持材の溶液を蒸発させることによって行うことが可能である。支持材を対応する溶液に浸漬することによって、工程(a)および工程(b)を行うことが都合がよい。LBLまたは「交互(layer by layer)」積層法として知られる、上記浸漬の方法は、支持材の上に堆積される化合物の量を制御可能であるため特に好適である。
【0059】
典型的には、支持材を、種々な時間だけ溶液中に漬ける。この時間は、数分(例えば0.25g/Lの濃度を用いる場合は5分)と、数10分(例えば4g/Lの濃度を用いる場合は45分)との間であり、ユーザが支持材の上に堆積しようとしている化合物の量に応じて、従って、層に必要な厚さに応じて、決定することができる。
【0060】
各層の厚さは、浸漬時間、および堆積させる種の溶媒の濃度を変更することによって容易に変えることができる。この技術では、ユーザに、極めて広い決定権が与えられている。これに関して、当業者は、想定される用途の種類に応じて、例えばAdv. Mater. 2004, 16, p. 823のような文献を参照可能である。この文献には、ポリ(p−フェニレンビニレン)の場合の、重合体の薄膜の厚さ/浸漬比の持続時間について記載されている。
【0061】
各工程の間に、支持材を溶媒で洗い流すことが可能である。これによって、有利にも、支持材に付着していない余分な材料を除去可能になり、特にNPの場合、DMFといった、水素結合を可能にする溶媒を除去可能になる。用いられる溶媒は、一般に、直ぐ前に用いられた溶液の溶媒、または、他の溶媒、特に支持材に既に存在する層とは水素結合を形成しない揮発性溶媒である。
【0062】
堆積工程の完了時に存在しているあらゆる残留溶媒を蒸発させることも可能である。このため、標準温度および標準圧力(STP)条件の下で溶媒の蒸発を待つか、または、気体流、概して不活性ガスを用いて、周囲圧力を低減または温度を上昇させることが可能である。
【0063】
一般的には、mおよびnは、多層膜が全体的に数ナノメートルまたは数十ナノメートル(この場合、mおよびnは1)と、数百ナノメートル(mおよびnの値は、概して10よりも大きい)未満との間の厚さを有するような値である。約100nmの厚さに達するには、典型的には、mおよびnの値は6と10との間である。当然ながら、プロフィロメータを用いて、または、小角X線散乱法を用いて測定を行い、膜の厚さを観察することができる。当業者は、以下に説明する実施例を参照することが有効であろう。
【0064】
本発明はまた、開示した構成に基づいて得ることが可能な膜に関する。より一般的に言うと、本発明の主題は、ハイブリッド有機/無機多層膜であり、ハイブリッド有機/無機多層膜は、
−X型の各有機基を含む共役有機重合体からなるm個の層と、
−1以上のY型の各有機基を含む各ナノ粒子からなるn個の層とを有し、
X型の有機基およびY型の有機基は、X型の有機基およびY型の有機基の間に水素型結合を形成可能なものであることを特徴としている。
【0065】
膜の各構成は、具体的には、既に定義した各構成であってよい。
【0066】
本発明はまた、既に定義した膜で覆われた、既に定義した支持材に関する。
【0067】
本発明の対象は、電子装置、特に上述の膜を含む光起電装置にも及ぶ。このような装置は、
−既に開示した膜で部分的に覆われた支持材と、
−上記膜の少なくとも一部の上の、例えばAl、Ag、Ca、またはAuといった金属層と、
−アノードを構成する、膜で覆われていない支持材の一部と、カソードを構成する上記金属層(例えば、アルミニウム)との間に形成された、電気コンタクト部とを有することが都合がよい。
【0068】
上記のような装置を太陽電池の分野において使用する際には、膜で覆われた支持材と金属層との間に、さらなる層を配置することが都合がよい。前記さらなる層とは、通常、充填比を向上(VOCを向上)させ、従って太陽電池変換装置の効率を向上させる層である。この層は、例えば、非特許文献6(Appl. Phys. Lett. vol 80, p1288)に記載されるようにLiFによって形成される。
【0069】
典型的には、このような装置は、光電池であり、具体的には、本発明に係る膜によって互いに電気的に接続された少なくとも2つの電極を有する大きさの、ヘテロ接合型の光電池である。これらの電極は、互いに無関係に、導電性または半導性であってよい。典型的には、導電性の電極は、金、カルシウム、アルミニウム、銀、マグネシウム、クロム、リチウム、または金属合金といった金属の金属表面を有する。
【0070】
導電性の電極は、In23/SnO2のような、金属および/または導電性酸化物の積層を有していてもよい。導電性の電極は、任意により、ポリピロール、Baytron(登録商標)型のPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸塩)を含むポリチオフェン、ポリアニリン、またはこれらの誘導体といった、導電性の重合体で覆われていてよい。
【0071】
半導体性の電極は、典型的には、シリコン、AsGa、Ge、SiCを含む。半導体性の電極は、任意により、シリカ、アルミナ、またはガラスといった絶縁材の上に堆積させることが可能である。これらの電極のうちの少なくとも1つが透明(光透過性)であることが都合がよい。
【0072】
このような電池は、ITO層を含むガラスの支持材から形成することが可能である。ITO層を、王水で予めエッチングして一部を除去し、その後、ITOおよびガラスの上に、Cr−Au電気コンタクト部を堆積させている。任意により、PEDOT−PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸塩))の層を、スピンコーティング法によって堆積させる。
【0073】
ガラス上のコンタクト部を除去する。その後、開示した膜に相当する活性層を、交互積層による浸漬法によって堆積させる。一旦活性層を堆積させると、コンタクト部を除去して背面を清浄化する。
【0074】
その後、複数の支持材をフレーム内に配置する。前記フレームには、一般的には1.3nmと70nmとの間で変動する厚さを有するLiF−Al層が、真空の下でマスクを介して行う熱蒸着によって堆積され、これによって、各支持材につき2つの電池が形成される。
【0075】
LiF−Al層の活性表面は、ユーザが必要に応じて変更可能な表面を有している。照射されると、発生した電流は、アルミニウム上(金のコンタクト部の上)およびITO上(金のコンタクト部の上)上に配置されたコンタクト部によって、回収される。これについては、実施例、特に図5を参照することが有用である。
【0076】
最後に、本発明は、上述の、膜、膜で覆われた支持材、および装置の、電子機器、特に光起電力技術、および具体的には光電池の分野における使用に関する。
【発明の効果】
【0077】
本発明は、無機NCまたは無機NPを共役重合体内に含む薄膜の新規の製造方法を開示する。この方法は、NCまたはNPと共役重合体との間の非共有結合性の相互作用を用いることに基づいている。
【0078】
開示した構成によれば、NCと共役重合体とからなる薄膜は、支持材を、重合体を含む溶液中に浸漬した後に、NCを含む溶液中に浸漬することを繰り返し行うことによって、容易に製造可能である。本発明の範囲において用いられる溶媒は、通常、有機型であり、そのため、共役重合体およびNC/NPと適合する。膜の全体の厚さは、堆積させる層の数によって、および、溶液の濃度および支持材の浸漬時間といったパラメータによって、ナノメートルのスケールにて制御される。
【0079】
また、この技術の利点は、基板に固定層を堆積させる必要がない点である。なぜなら、機能化された重合体が、重合体を支持材の表面上に固定すると共にNCを重合体の上に固定するという2つの役割を果たすからである。
【0080】
本方法は、スピンコーティング堆積法とは異なり、極めて経済的である。これは、堆積させた材料だけが消費されるからである。さらに、最終的に形成される膜は、水素結合が存在するためにNCと共役重合体との2つの成分が自然に偏析することによる凝集体を有していない。
【0081】
また、中間強度、つまり共有結合の強度よりも弱く、ファンデルワールス結合の強度よりも強い強度の結合が存在するために、有機/無機材料の自己組織化に関して極めて柔軟になり、堆積後に熱アニール処理を行うことによってその形態を変更することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
以下に記載する実施形態を参照することによって、本発明は、より良好に理解されよう。この実施形態は、図解だけの目的で記載するものであり、決して本発明の範囲を制限するために記載するものではない。
【図1】X型の有機基を含む3−ヘキシルチオフェンの重合体の2つの単量体単位を示す説明図である。これら単量体単位のうちの一方は、ヘキシル鎖の終端部において6−オキシ−2,4−ジアミノピリミジンに結合された3−ヘキシルチオフェンである。
【図2】重合体のアルキル鎖の終端に存在するDAP(ジアミノピリミジン)基と、CdSeのNCの表面における交換反応によって導入されたThy(チミン)基との間の、3つの水素結合の形成を示す説明図である。
【図3】ITO基板上の単一のP3HT−DAP/CdSe−Thy二層の堆積を示す、走査型電子顕微鏡の画像を示す図面代用写真である。
【図4】ハイブリッドを交互積層する際に記録される、各P3HT−DAP/CdSe−Thy二層のUV−Vis吸収スペクトルを示すグラフである。500nmの波長における吸収度(任意単位a.u.)は重合体の特徴であり、622nmの波長における吸収度はNCの特徴である。このグラフには、重合体/NPの二層の数に応じた変化が示されている。
【図5】光電池を示す説明図である。
【図6】25個のP3HT−DAP/CdSe−Thy二層(NC直径=5.7nm)から成る電池の場合に記録される電流電圧(I−V)曲線(電圧(単位ボルト)に応じた電流(単位アンペア))を示すグラフである。点線の曲線は、暗い場所の電池のI−V特性を示し、実線は、光力Pill=100mW/cm2で照射された電池のI−V特性を示している。
【発明を実施するための形態】
【0083】
各実施例
I ジアミノピリミジン機能(P3HT−DAP)を含むポリ(3−ヘキシルチオフェン)に基づく共重合体の合成
I.1−機能化可能な共重合体の合成:ポリ(3−ヘキシルチオフェン−co−3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン)
最初に、de Zhai et al [Macromolecules, 2003, 36, p. 61]によって開示された手順に従い、3−ブロモチオフェンと1,6−ジブロモヘキサンとの間の反応によって、3−(6−ブロモヘキシル)チオフェンを合成した。
【0084】
予め、この実験の設備を、減圧下とした後、上記設備内を不活性雰囲気(アルゴン)に置換した。3−ブロモチオフェン(5.38g;33mmol)と30mlの無水ヘキサンとを250mlの三つ口フラスコの中に投入し、この媒体を、アセトン/液体窒素浴を用いて、−40℃まで冷却し、15分間攪拌した。
【0085】
その後、上記ヘキサン溶液に、滴下漏斗を用いて、1.6Mのn−ブチルリチウム20ml(32mmol)を、約1時間にわたって滴下して加えた。さらに、5分間攪拌した後、5mlの無水THFを、約5分間にわたってシリンジにて滴下して加え、その後、この反応媒体を、−40℃で1時間、攪拌した。上記攪拌の間に、アルゴンにてパージされ、1,6−ジブロモヘキサン(50ml;320mmol)が投入された250mlの三つ口フラスコを準備した。
【0086】
1時間後、前記反応媒体の温度の制御を停止し、前記反応媒体が室温に達すると、この混合物を、ベンドを用いて1,6−ジブロモヘキサンの中に移した。上記各操作の全ては、アルゴン流下にて行った。室温において2時間攪拌した後、この溶液を、ジエチルエーテル(3x50ml)によって抽出し、有機相を蒸留水(3x50ml)で洗浄した。上記有機相のフラクションを、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、溶媒を減圧下で留去した。その後、減圧下蒸留によって、3−(6−ブロモヘキシル)チオフェンを回収した。
【0087】
1015BrS:247.2g/mol−収量:50%、
NMR1H(CDCl3、200MHz)δ(ppm):7.26−7.22(m、1H);7.13−7.10(m);6.94−6.92(m、2H);3.40(t、2H);2.79(td);2.64(t、2H);1.86(q、2H);1.64(q、2H);1.51−1.30(m、4H).
NMR13C(CDCl3、200MHz)δ(ppm):142.78;128.13;125.10;119.83;33.92;32.65;30.26;30.05;28.32;27.90.
元素分析:計算値:C,48.5%;H,6.47%;S,12.94%;Br,32.36%。実測値:C,49.48%;H,6.43%;S,11.75%;Br,32.33%。
【0088】
2,5−ジブロモ−3−(6−ブロモヘキシル)チオフェンの合成を、3−(6−ブロモヘキシル)チオフェンを開始物質として行った。3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン(3.0;12mmol)、N−ブロモサクシンイミド(4.3g;24mmol、NBS)、無水THF(15ml)、および酢酸(15ml)を、アルゴンでパージされた三つ口フラスコの中に投入し、その後、この反応媒体を1時間攪拌した。前記混合物を、ジエチルエーテルで抽出し、その後、上記ジエチルエーテル相を、中性のpHに達するまで、水およびNaHCO3で洗浄した。その後、有機相を、硫酸マグネシウムにより乾燥させて、濃縮させた。
【0089】
1013Br3S:404.9g/mol−収量:83%.
NMR1H(CDCl3、200MHz)δ(ppm):6.77(s,1H);3.41(t、2H);2.52(t、2H);1.86(q、2H);1.64−1.26(m、6H)。位置異性体5−ブロモ−2−(6−ブロモヘキシル)チオフェン(約7%)に割り当てられるピーク:6.86(s)および2.73(t)
NMR13C(CDCl3、200MHz)δ(ppm):142.47;130.74;110.32;107.95;33.81;32.53;29.23;29.17;28.04;27.76。
【0090】
重合を行うために、上述の手順と同様の方法で、3−ヘキシルチオフェン(2g;12mmol)、NBS(4.2g;24mmol)、および、無水THF(10ml)/酢酸(10ml)の混合物から、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェンを調製した。
【0091】
1014Br2S:326.1g/mol−収量:81%。
【0092】
NMR1H(CDCl3、200MHz)δ(ppm):6.76(s、1H);2.50(t、2H);1.53(q、2H);1.38−1.22(m、6H),0.88(t、3H)。
【0093】
NMR13C:(CDCl3,200MHz)δ(ppm):142.85;130.83;110.29;107.90;31,55;29.52;29.43;28.78;22.57;14.09。
【0094】
その後、上記の2つの各単量体をGRIM(グリニャールメタセシス)法によって共重合して、ヘキシルチオフェン/ブロモヘキシルチオフェン単位比が6〜1である、統計的に位置規則性の共重合体を生成した。その後、上記共重合体を一連の各溶媒を用いて分留して、その多分散性を低減させ、続いて、ジクロロメタンによって抽出した留分を、ポスト機能化に使用した(Mn=12800g/mol;Mp=22200g/mol;lp=1.73)。
【0095】
上記の合成は、不活性雰囲気(アルゴン)下の設備において行った。10mlの無水THF、その後、ターシャリーブチル塩化マグネシウム(1.73ml;ジエチルエーテル内にて2M)を加えた2,5−ジブロモ−3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン(1.17g;2.8mmol)を、第1の三つ口フラスコの中に入れ、その後、この混合物を、還流させながら2時間加熱した。
【0096】
ターシャリーブチル塩化マグネシウム(5.22ml;ジエチルエーテル内にて2M)を、無水THF(30ml)中に2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(2.8g;8.6mmol)を含む第2の三つ口フラスコの中に投入した。結果として生じた混合物を、その後、還流させながら2時間加熱した。
【0097】
第1の三つ口フラスコの中身を、カニューレを用いてアルゴンを流しながら、第2の三つ口フラスコに移した。その後、1,3−(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)塩化物(Ni(dppp)CI2)(32mg,0.059mmol)を加えることによって、および、1時間還流させながら攪拌して残った反応媒体によって、重合を開始した。この媒体を室温まで冷却した後、この重合体を200mlのメタノールから沈殿させた。その後、重合体をメタノールで3回洗浄した。
【0098】
導入された各単量体の初期比は、3−(6−ブロモヘキシルチオフェン)の1モル等価物に対する、3−(ヘキシルチオフェン)の3モル等価物である。共重合体鎖に組み込まれた3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン単位の比率は、1から5までである。これは、プロトンNMRの特徴的なピークを積分することによって決定されたと共に、元素分析によって確認された。
【0099】
NMR1H(CDCl3、200MHz)δ(ppm):3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン単位に特有のピークに下線を付した。:6.98(s、1H);3.43(t、2H);2.80(t2H);1.90(m、2H);1.71(m、2H);1.37(m、6H);0.91(t、3H)。
【0100】
NMR13C(CDCl3、200MHz)δ(ppm):3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン単位に特有のピークに下線を付した。:139.86;133.65;130.42;128.57;33.9232.69;31.68;30.49;29.44;29.25;28.60;27.97;22.65;14.13。
【0101】
元素分析:計算値:C,66.98%;H,7.72%;Br,7.44%;S,17.86%。実測値:C,65.98%;H,7.74%;Br,7.32%;S,16.33%。
【0102】
IRTF−ATR:3040w、2942m、2920s、2850s、2784w、1504m、1452s、1374m、1254w、1198w、1094s、822s、724m
共重合反応の終了点では、重合体は、選択抽出によって減少したモル質量多分散性(Mn=9200g/mol;Mp=23500g/mol;lp=2.57)を有している。得られた重合体を減圧下で乾燥させ、得られた粉末をさらに粉砕した後、ソックスレー抽出器内に配置されたセルロースのカートリッジの中に導入した。その後、重合体の熱抽出を、ポリアルキルチオフェンに標準的に用いられる一連の溶媒を次の順番で用いて行った。アセトン→ヘキサン→ジクロロメタン→テトラヒドロフラン→クロロホルム。オリゴマーの抽出を、アセトンおよびヘキサンを用いて行った。より長い鎖を、THFおよびクロロホルムを用いて抽出した。ジクロロメタンによって、中程度のサイズの鎖を回収することが可能であった。この手順を、メタノールによる熱抽出よりも先に行い、触媒の全ての痕跡物および反応しなかった単量体を除去した。
【0103】
I,2−ポリ(3−ヘキシルチオフェン−co−3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン)のポスト機能化
この重合体の、ジアミノピリミジン(DAP)機能による機能化を、共重合体と2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジンとを塩基性の媒体において反応させることによって得た。前記反応は、アルキル鎖の終端の臭素を、オキシ−ジアミノピリミジン機能と置換することからなる。最終的に、得られた共重合体は、9対1のヘキシルチオフェン/DAP−ヘキシルチオフェン単位比を有していた。得られた共重合体は、クロロホルムにおいて溶解可能であった。
【0104】
より詳細には、上記合成は、アルゴン下の三つ口フラスコの中に予め投入された、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−co−3−(6−ブロモヘキシル)チオフェン)(Mn=12800g/mol;55.2mg)と、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン(357.2mg;2.83mmol)との混合物に対して、12mlの無水DMSOと、39.8mgのK2CO3と、20mlの無水THFとを加えることによって行った。結果として生じる混合溶液を、攪拌下に置き、18時間還流させた。その後、この反応媒体において、メタノールを添加して沈殿物を生じさせた。ろ取された沈殿物である重合体をメタノールで洗浄した。
【0105】
NMR1H(CDCl3,200MHz)δ(ppm):6.98(s、1H);5.21(s、1H);4.67(s、2H);4.48(s、2H);4.15(t、2H);2.80(t、2H);1.70(m、2H);1.36(m、6H);0.91(t、3H)。
【0106】
IRTF−ATR:3464w、3332w、3162w、3048w、2920s、2850s、2642w、1580s、1502m、1450s、1420s、1372m、1250w、1196m、1150w、1014m、820s、796s、720m、660w.
II 1−(6−メルカプトヘキシル)チミン(MHT)配位子の合成
この配位子の合成を、Nowick [J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, p. 7636] およびMatsuura [Langmuir 1997, 13, p. 814]の手順に従って行った。この操作手順によれば、最初に、1,6−ジブロモヘキサンによって保護されたチミンを反応させることにより、1−(6−ブロモヘキシル)チミンが合成され、その後、1−(6−ブロモヘキシル)チミンを、チオ尿素と反応させることにより、チオール機能が導入され、1−(6−メルカプトヘキシル)チミン(MHT)を生成した。
【0107】
III CdSeのナノ結晶の合成
用いた合成手順は、Angew. Chem. Int.Ed. 2002, 41 , p. 2368に記載された方法から導かれたものである。得られたNCは、透過型の電子顕微鏡法(TEM)によってその直径を測定すると、3nmと6nmとの間の大きさを有していた。
【0108】
直径が3.7nmであるCdSeのナノ結晶の合成
0.4mmolの酸化カドミウム(CdO)、10mmolのステアリン酸、10mmolのオレイルアミン、および、20mlのオクタデセン(ODE)を、コンデンサー上に載せられた三つ口フラスコの中に入れて減圧下にて15分間脱気し、上記フラスコを不活性雰囲気(アルゴン)下に置いて250℃まで加熱した。その後、上記フラスコ内の媒体の中に、トリオクチルホスフィン(TOP−Se)中にSeを0.4Mの濃度に溶解させた溶液5mlと、ODE8.3mlとを含む溶液を、素早く注入した。
【0109】
直径が4.5nmのCdSeのナノ結晶の合成
上記合成の手順については、上述の手順に同様であるが、以下のように変更した。0.4mmolのCdO、10mmolのステアリン酸、14mlのオレイルアミン、9mlのODE、および、上記注入された溶液は、5mlの0.4M濃度SeのTOP溶液が、3.3mlのODEおよび5mlのオレイルアミンによって希釈されたものである。
【0110】
直径が5.8nmのCdSeのナノ結晶の合成
上記合成の手順については、上述の手順と同様であるが、試薬の量を以下のように変更した。0.8mmolのCdO、40mmolのステアリン酸、5.3mlのODE、オレイルアミン無し、および、上記注入された溶液は、1mlの0.4M濃度のSeのTOP溶液が、1.7mlのODEによって希釈されたものである。さらに、合成の温度を300℃とした。
【0111】
IV−CdSeのナノ結晶の表面における配位子の交換:CdSe−Thy機能化されたNCを得る
配位子(ステアリン酸)にて予め覆われたCdSeのナノ結晶は、クロロホルムの溶液において、公知であるMHT配位子の過剰な添加、つまり、上記ナノ結晶の表面でのステアレート配位子のモル数の20倍〜50倍の上記MHT配位子のモル数の添加によって、上記溶液中にて、上記配位子の交換反応が施された。MHTによって機能化されたナノ結晶は、クロロホルムへの可溶性が低下するが、ジメチルスルホキシドおよびN,N−ジメチルホルムアミドといった溶媒への可溶性が大きくなる。NMR1H分光法および熱重量測定法によって測定される、MHTとの交換比は、反応条件に依存している。
【0112】
CdSeのナノ結晶(直径=6.1nm)を0.674×10-6Mの濃度のクロロホルム溶液30mlに、1−(6−メルカプトヘキシル)チミン(67.2mg;0.28mmol)を加え、その後、この反応混合物を50℃で3日間加熱した。
【0113】
上記交換反応の終了点には、クロロホルム中における溶解度が低くなったため、ナノ結晶をろ過によって単離した。上記ろ取物をクロロホルムで洗浄して、過剰な1−(6−メルカプトヘキシル)チミンおよび交換されたステアリン酸を除去した。その後、得られたナノ結晶をDMSO−d6中で溶解し、1HNMRによって交換比を測定した。本実施例では、上記ナノ結晶の表面の1−(6−メルカプトヘキシル)チミンの交換比は、20%であった。
【0114】
上記交換反応を、マイクロウェーブを用いた電子レンジにて行うことによって、上記交換比を増大させることが可能である。従って、1−(6−メルカプトヘキシル)チミン(70.1mg;0.29mmol)とCdSe(直径=6.1nm)のナノ結晶の1.27×10-6M濃度のクロロホルム溶液17mlとを混合した後、反応媒体を、60Wの電力で45℃の温度に設定された電子レンジ中に載置して反応させた。次に、上記載置が15分経過すると温度が上昇するようにプログラムし、上記反応媒体を、45℃の温度にて1時間載置して反応させ、最後に20分にて室温まで降温させた。ナノ結晶を、標準的手段の交換反応と同じように精製した。今回、交換比は70%であると推定された。
【0115】
V AuのNPの合成
用いた合成手順は、Chem.Commun.1994,p.801&J.Phys.Chem.2003,107,p.7406に記載された方法に従ったものである。得られたNPは、TEM(透過型の電子顕微鏡法)による測定では、2.5nmと6nmとの間のサイズを有していた。
【0116】
VI Auのナノ粒子の表面における配位子の交換:Au−Thy機能化されたNPを含む
配位子(オクタンチオール)によって予め覆われたAuのNPを、公知のMHT配位子の過剰量(予めの配位子であるオクタンチオールのモル数の50倍のモル数)を加えることによって交換反応させた。MHTで機能化されたNPは、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドといった溶媒中に溶解可能である。MHTとの交換比は、反応条件に依存しており、NMR1H分光法によって測定される。クロロホルム中において45℃で3時間にわたって行われる交換反応では、得られた交換比は約80%であった。
【0117】
VII 交互積層技術によるCdSe−P3HTのNCの薄膜の製造
重合体P3HT−DAPの1g/L濃度のクロロホルム溶液を、重合体溶液としてビーカーに入れた。また、N,N−ジメチルホルムアミド:メタノール(10:1)の混合溶液中にナノ結晶CdSe−Thyを濃度約0.2g/Lにて分散させた分散液を、別のビーカーの中に入れた。
【0118】
厚さが1.1mmの並行6面体のスライドガラスを用いて堆積を行った。前記スライドガラスの大きな表面のうちの1つの面には、ITO(ALDRICH(登録商標)によって供給される8〜12Ω/sqの表面抵抗率を有するインジウムスズ酸化物)を予め堆積させていた。このITOは、予め超音波をあてながら15分間エタノールに浸した後、超音波を当てながら15分間アセトンに浸し、その後、炉において乾燥させることによって清浄化された。
【0119】
上記ITOが堆積されたスライドガラスである支持材を重合体溶液に2分間浸漬し、その後、クロロホルムで洗い流し、アルゴンを流しながら乾燥させることによって、第1の層を生成した。その後、支持材を、CdSeのNCの溶液中に5分間沈め、その後、クロロホルムで洗い流し、アルゴンを流しながら乾燥させた。図2は、ナノ結晶と重合体の分子との間の相互作用を示す説明図である。
【0120】
重合体の層およびNCの層を堆積させた後、電子顕微鏡検査法によって支持材を観察し、支持材上のNPの極めて均一な分散を実証した。得られた画像は、図3に示されている。図3の背景には、ITOの粗面に相当する不整構造が認識可能である。CdSeのナノ結晶は、小さな広い粒の形で最前面に表れている。これら2つの溶液中に交互に浸す動作を、それぞれの種が25層になるまで繰り返した。膜の大きさを、図4に示した通りUV−Vis吸光光度法によって観察した。
【0121】
VIII 交互積層技術によるAu−P3HTのNPの薄膜の製造
上記製造の手順は、VIIに記載した手順と同じであるが、CdSe−ThyNCsの代わりにAu−ThyNPの分散液を用いている。
【0122】
IX 光起電装置
光電池を生成するために、最初に、P3HT−DAP/CdSe−Thy(NCの直径=5.7nm。表面は、MHT=68%、ステアレート32%で覆われている)二層を25含む膜を、VIIに示した方法に係る交互積層法によってガラス支持材の上に堆積させた。前記ガラス支持材は、部分的にITOによって覆われており、Cr−Au型の2つの各電気コンタクト部を有している(図5)。
【0123】
その後、LiFの層(1.3nm)、続いて、アルミニウム層(70nm)を、熱蒸着によってマスクを介して真空下で堆積させて、電池の活性表面(2.8cm2)の領域を規定した。用意した装置は、図5に示した装置に相当する。
【0124】
このようにして製造された太陽電池を、100mW/cm2の照射電力を有するAM1.5の白色光の下でテストした。得られた結果は、電流電圧曲線(l=f(V))の形にて図6のグラフに示したように、光起電力効果を示している。
【0125】
上記グラフの特徴的な曲線から、開放回路電位値VOC=0.82V、短絡回路電流密度値JSC=6.5×10-5A/cm、および、JMとVMとの充填比FF=JMM/(JSCOC)の0.28という値を抽出することが可能である。JMおよびVMは、太陽電池によって供給される最大出力に起因する電流値および電位値である。これらの数値から、計算式η=JSCOCFF/Pに基づき、電池の変換収率(η)0.015%を算出することができる。上記計算式のPは、装置(太陽電池)の表面における、照射電力の積算値を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド有機/無機膜によって、支持材に非共有結合性のコーティングを行う方法であって、
上記支持材の上に、X型の有機基を含む有機共役重合体を堆積させる重合体堆積工程と、
上記支持材の上に、1つ以上のY型の有機基を含むナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積工程とを有し、
上記X型の有機基および上記Y型の有機基は、これら有機基の間に水素型結合を形成可能なものであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
上記重合体堆積工程と上記ナノ粒子堆積工程とが、交互に繰り返されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xは、式(I)の炭素含有構造を有し、
【化1】

Yは、式(II)の炭素含有構造を有し、
【化2】

水素結合が、Jx/Jy、Kx/Ky、Lx/Lyの各対のうちの少なくとも2つの各対において形成されることが可能であり、
上記Jx/Jyの対では、Jのうちの一方が、水素に共有結合されたNまたはOを示し、Jのうちの他方が、π型の結合を有するNまたはOを示し、
上記Kx/Kyの対では、Kのうちの一方が、水素に共有結合された窒素原子を示し、Kのうちの他方が、π型結合を有するNを示し、
上記Lx/Lyの対では、いずれのLも、独立して、水素原子または炭素原子、水素に共有結合されたNまたはO、π型結合を有するNまたはOを示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
XおよびYは、ジアミノピリミジン/チミンの対、ジアミノトリアジン/ウラシルの対、ジアミノトリアジン/マレイミドの対、ジアシルアミドピリジン/ウラシルの対、ジアミノトリアジン/ペリレンビスイミド基類の対、尿素/イミド単位またはウレイド−s−トリアジンまたはウレイドピリミジノンの二量体の対の何れかに対応したものであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
X型の有機基を含む上記有機共役重合体は、上記X基を有する修飾された単量体単位を含む、ポリ(アニリン)類、ポリ(アルキルチオフェン)類、ポリ(p−フェニレン)類、ポリ(p−フェニレン−ビニレン)類、ポリ(フルオレン)類、ポリ(ピロール)類、ポリ(アセチレン)類、多環芳香族アミン類、ポリ(チエニレン−ビニレン)類、またはこれらの誘導体の共重合体を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記X基を有する修飾された単量体単位の量は、5%と50%との間であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
X型の有機基を含む上記有機共役重合体は、ジアミノピリミジン機能によって機能化されたポリ(3−ヘキシルチオフェン)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記ナノ粒子は、少なくとも1つの金属、および、少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの半導体化合物の少なくとも一方によって構成される無機コアを有し、
上記無機コアには、Y型の有機基を有する、少なくとも1つの有機性の配位子が結合されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
上記少なくとも1つの金属、および、上記少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの半導体化合物の少なくとも一方は、CdSe、CdTe、ZnO、PbSe、PbS、InP、InN、CulnS2、CulnSe2、Cu(In,Ga)Se2、GaAs、InGaAs、Si、Ge、Au、Ag、およびPtから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記配位子は、式(III)の配位子であり、
BG−(SG)p−Y 式(III)
BGは、上記ナノ粒子に結合可能な連鎖群を示し、
SGはスペーサ基を示し、
pは0または1であることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
BGは、チオール、ジチオール、カルボジチオエート、ジチオカルバメート、キサンテート、カルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、スルホン酸、またはヒドロキサム酸であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記スペーサ基は、脂肪族の性質を有することを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
上記支持材は、酸化物層およびインジウムスズ酸化物(ITO)を有する、ガラス、雲母、シリコンから選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
上記支持材を、X型の有機基を含む有機共役重合体の溶液と、1以上のY型の有機基を含む溶液との中に浸漬することによって、上記重合体堆積工程および上記ナノ粒子堆積工程を行うことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
X型の有機基を含む有機共役重合体からなる、m個の層と、
1以上のY型の有機基を含む各ナノ粒子からなる、n個の層とを含み、
mおよびnは、1以上であり、
上記X型の有機基および上記Y型の有機基は、これらの有機基の間に水素型結合を形成可能なものであることを特徴とする、ハイブリッド有機/無機多層膜。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によって得られた膜によってコーティングされた支持材。
【請求項17】
X型の有機基を含む有機共役重合体からなる、m個の層と、
1以上のY型の有機基を含む各ナノ粒子からなる、n個の層とを有し、
mおよびnは、1以上であり、
上記X型の有機基および上記Y型の有機基は、これらの有機基の間に水素型結合を形成可能なものであることを特徴とする、ハイブリッド有機/無機多層膜によってコーティングされた支持材。
【請求項18】
請求項15または16に記載の膜によって部分的にコーティングされた支持材と、
上記膜の少なくとも一部の上の金属層と、
アノードを構成する、上記膜で覆われていない支持材の一部と、カソードを構成する金属層との間に形成された電気コンタクト部とを備えていることを特徴とする、電子デバイス。
【請求項19】
請求項15に記載のハイブリッド有機/無機多層膜の、または、請求項16または17に記載の膜によってコーティングされた支持材の、光電池における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−527783(P2010−527783A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509872(P2010−509872)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050915
【国際公開番号】WO2008/152295
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509303958)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【住所又は居所原語表記】25 rue Leblanc,Immeuble  Le Ponant D ,F−75015 Paris,France
【Fターム(参考)】