説明

無機有機混合系に基づくUV光防御剤

本発明は、無機有機混合系に基づく光防御製剤、とくに化粧品分野の該製剤に関する。本発明は、特定的には、少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、該金属誘導体ナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の光防御化合物と、金属誘導体ナノ粒子に結合された光防御化合物とは異なる少なくとも1種の追加の有機UV光防御剤と、を含有する光防御製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機有機混合系に基づく光防御製剤、とくに化粧品分野の該製剤に関する。特定的には、本発明は、少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、この金属誘導体ナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の光防御化合物と、金属誘導体ナノ粒子に結合された光防御化合物とは異なる少なくとも1種のさらなる有機UV光防御剤と、を含む光防御製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物は、さまざまな目的に使用される。その場合、たとえば、白色顔料として、触媒として、抗細菌性皮膚保護軟膏の成分として、およびゴム加硫用の活性化剤として、使用される。化粧用サンスクリーン組成物は、微細化された酸化亜鉛または二酸化チタンをUV吸収性顔料として含む。
【0003】
本出願の範囲内では、「ナノ粒子」という用語は、電子顕微鏡法を利用して決定される平均直径が2〜10,000nm、好ましくは5〜10,000nmである粒子を意味すべく用いられる。
【0004】
国際公開第2007/017587号パンフレットには、金属誘導体と有機UV光防御フィルターとを含む複合材料の化粧的使用が記載されている。ただし、UV光防御フィルターは金属誘導体に化学結合されている。好ましくは、化学結合は共有結合である。国際公開第2007/017586号パンフレットには、そのような複合材料の製造方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、先行技術から公知である光防御製剤と比較して改善された性質プロファイルを有する光防御製剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・トリアジンの誘導体、ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、および4,4'-ジアリールブタジエンの誘導体よりなる群から選択される、前記少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の構造ユニットと、
を含む光防御製剤により達成された。
【0007】
この目的は、特定的には、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種のトリアジン誘導体と、
を含む光防御製剤により達成された。
【発明を実施するための形態】
【0008】
化学結合されたトリアジン誘導体は、たとえば、少なくとも1個の-COO官能基または少なくとも1個の-SO2O官能基を介して金属誘導体ナノ粒子に化学結合されている。-COO構造要素または-SO2O構造要素は、たとえば、遊離酸またはその塩から取得可能である。これについては、たとえば、国際公開第2007/017586号パンフレットの[0015]〜[0018]の節(その全体が本明細書で参照されるものとする)に記載されている。
【0009】
少なくとも1個の-COO基および/もしくは-SO2O基、または-COO基および/もしくは-SO2O基に変換可能な少なくとも1個の基のほかに、好適なトリアジン類は、たとえば、以下の構造モチーフ:
【化1】

【0010】
を含む。
【0011】
その場合、たとえば、欧州特許出願公開第570,838A1号明細書に記載のs-トリアジン誘導体を使用することが可能である。その化学構造は、一般式
【化2】

【0012】
〔式中、
R13*は、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C18-アルキル基、C5〜C12-シクロアルキル基(場合により1個以上のC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい)であり、
Z*は、酸素原子またはNH基であり、
R14*は、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C18-アルキル基、C5〜C12-シクロアルキル基(場合により1個以上のC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい)、または水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、もしくは式
【化3】

【0013】
{ここで、
A*は、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C18-アルキル基、C5〜C12-シクロアルキル基またはアリール基(場合により1個以上のC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい)であり、
R16*は、水素原子またはメチル基であり、
n*は、1〜10の数である}
で示される基であり、
R15*は、XがNH基である場合、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C18-アルキル基、C5〜C12-シクロアルキル基(場合により1個以上のC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい)であり、Xが酸素原子である場合、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C18-アルキル基、C5〜C12-シクロアルキル基(場合により1個以上のC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい)、または水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、もしくは式
【化4】

【0014】
{ここで、
A*は、分岐状もしくは非分岐状のC1〜C18-アルキル基、C5〜C12-シクロアルキル基またはアリール基(場合により1個以上のC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい)であり、
R16*は、水素原子またはメチル基であり、
n*は、1〜10の数である}
で示される基である〕
により示される。
【0015】
以上で述べたトリアジン類は、エステル結合および/またはアミド結合の少なくとも1つを開裂させることにより、金属誘導体への化学結合(好ましくは共有結合)を形成しうる形態に変換される。トリアジン類を対応する誘導体に変換する方法は、当業者に公知である。
【0016】
本発明の目的では、好ましいトリアジン誘導体はまた、化学構造が式
【化5】

【0017】
により示される非対称置換型s-トリアジンである。これはまた、以下ではジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)とも記され、3V SigmaからUVASORB(登録商標)HEBという商品名で入手可能である。エステル結合および/またはアミド結合の少なくとも1つを開裂させることにより、このトリアジンは、金属誘導体ナノ粒子への化学結合(好ましくは共有結合)を次に形成しうる形態に変換される。エステル結合の少なくとも1つを加水分解により開裂させ、得られた遊離酸または塩を介して金属誘導体への結合を可能にすることが好ましい。
【0018】
同様に本発明の目的に有利なのは、対称置換型s-トリアジンのトリス(2-エチルヘキシル)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリスベンゾエート(同義語:2,4,6-トリス[アニリノ(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)]-1,3,5-トリアジン(INCI:エチルヘキシルトリアゾン))であり、これはUVINUL(登録商標)T150という商品名でBASF Aktiengesellschaftにより販売されている。エステル結合の少なくとも1つを開裂させることにより、このトリアジンは、金属誘導体への化学結合(好ましくは共有結合)を次に形成しうる形態に変換される。
【0019】
本発明の根底にある目的はまた、特定的には、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種のヒドロキシベンゾフェノン誘導体と、
を含む化粧製剤により達成された。
【0020】
本発明の目的に合ったとくに有利なヒドロキシベンゾフェノンは、次式:
【化6】

【0021】
で示されるヘキシル2-(4'-(ジエチルアミノ)-2'-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(Uvinul(登録商標)A Plus)である。
【0022】
金属誘導体ナノ粒子に結合させるために、ヘキシルエステルは、たとえば、-COOH形または塩形に変換される。
【0023】
本発明の根底にある目的はまた、特定的には、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の4,4'-ジアリールブタジエン誘導体と、
を含む化粧製剤により達成された。
【0024】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体は、欧州特許出願公開第916,335号明細書の表1、2、3、および4(本明細書により参照されるものとする)に記載されている。この場合、とくに好適なのは、表1、2、および3に規定される4,4-ジアリールブタジエン誘導体である。とくに好適な4,4'-ジアリールブタジエンは、1,1-[(2,2'-ジメチルプロポキシ)カルボニル]-4,4-ジフェニル-1,3-ブタジエンである。
【0025】
少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子のほかに、かつ金属誘導体ナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の有機UV光防御剤のほかに、金属誘導体ナノ粒子に結合された光防御化合物とは異なる少なくとも1種のさらなる有機UV光防御剤を製剤が含むのであれば、とくに好ましい。そのようなさらなる好適なUV光防御剤は、以下の表に規定されるが、それらに限定されるものではない。
【表1】


【0026】
とくに好ましい実施形態では、さらなる有機UV光防御剤は、オクトクリレン(2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-アクリレート、CAS No. 6197-30-4)、エチルヘキシルサリチレート(CAS No. 118-60-5)、ジメチコジエチルベンザルマロネート(ポリシリコーン-15、CAS No. 207574-74-1)、ホモサレート(CAS No. 118-56-9)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0027】
オクトクリレンは、たとえば、Uvinul(登録商標)N 539 Tとして市販されている。エチルヘキシルサリチレートは、たとえば、Eusolex(登録商標)OSとして市販されている。ジメチコジエチルベンザルマロネートは、たとえば、Parsol(登録商標)SLXとして市販されている。
【0028】
ホモサレートは、たとえば、Eusolex(登録商標)HMSとして市販されている。
【0029】
したがって、とくに好ましいのは、以下の組合せである。
【0030】
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたジオクチルブチルアミドトリアゾンの誘導体と
・オクトクリレン、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたジオクチルブチルアミドトリアゾンの誘導体と
・エチルヘキシルサリチレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたジオクチルブチルアミドトリアゾンの誘導体と
・ジメチコジエチルベンザルマロネート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたジオクチルブチルアミドトリアゾンの誘導体と
・ホモサレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたトリス(2-エチルヘキシル)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリスベンゾエートの誘導体と
・オクトクリレン、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたトリス(2-エチルヘキシル)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリスベンゾエートの誘導体と
・エチルヘキシルサリチレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたトリス(2-エチルヘキシル)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリスベンゾエートの誘導体と
・ジメチコジエチルベンザルマロネート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたトリス(2-エチルヘキシル)4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリスベンゾエートの誘導体と
・ホモサレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたヘキシル2-(4'-(ジエチルアミノ)-2'-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートの誘導体と
・オクトクリレン、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたヘキシル2-(4'-(ジエチルアミノ)-2'-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートの誘導体と
・エチルヘキシルサリチレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたヘキシル2-(4'-(ジエチルアミノ)-2'-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートの誘導体と
・ジメチコジエチルベンザルマロネート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合されたヘキシル2-(4'-(ジエチルアミノ)-2'-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートの誘導体と
・ホモサレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合された4,4'-ジアリールブタジエン誘導体と
・オクトクリレン、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合された4,4'-ジアリールブタジエン誘導体と
・エチルヘキシルサリチレート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合された4,4'-ジアリールブタジエン誘導体と
・ジメチコジエチルベンザルマロネート、
・TiO2ナノ粒子と
・それに化学結合された4,4'-ジアリールブタジエン誘導体と
・ホモサレート。
【0031】
本発明によれば、TiO2に加えてまたはその代わりにZnOを金属誘導体として使用することも可能である。
【0032】
本発明の根底にある目的はさらに、
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・それに化学結合された有機UV光防御剤と、
・ナノ粒子に結合された有機UV光防御剤とは異なりかつオクチルメトキシシンナメートとは異なる少なくとも1種のさらなる有機UV光防御剤と、
を含む化粧製剤により達成された。
【0033】
国際公開第2007/017586号パンフレットおよび国際公開第2007/017587号パンフレットには、少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に有機UV光防御剤をどのように化学結合させうるかが記載されている。金属誘導体自体も同様に、UV線を吸収するのに好適である。さらには、金属誘導体は、有機UV光防御フィルターとの化学結合を形成しうる。
【0034】
好ましい金属誘導体は、金属のチタン、セリウム、亜鉛、ジルコニウム、銅の誘導体、およびそれらの混合物であり、とくに好ましくは、チタン、セリウム、銅の誘導体、およびそれらの混合物であり、最も好ましくは、チタンまたは亜鉛の誘導体である。とくに好ましいのは、チタンの誘導体である。好ましい誘導体は、国際公開第2007/017587号パンフレットの[0027]節(その全体が本明細書により参照されるものとする)に記載されるような金属の酸化物である。本発明のとくに好ましい実施形態では、以上で述べた光防御物質は、二酸化チタン(TiO2)の表面に化学的にグラフトされる。
【0035】
国際公開第2007/017587号パンフレットの[0045]節(その全体が本明細書により参照されるものとする)と同じように、ナノ粒子の全部または一部を光防御物質に化学結合させることが可能であり、光防御物質へのそのような結合を有していないナノ粒子はまったく存在しないかまたは一部である。
【0036】
公知のUV光防御フィルターの光防御構造要素は、好ましくは、-COO結合または-SO2-O結合により金属誘導体ナノ粒子に結合される。この目的に好適な前駆体は、たとえば、金属アルコキシドと、少なくとも1個の-COOH官能基または-SO2-OH官能基を有するUV光防御フィルターと、の反応を介して入手可能である(たとえば、国際公開第2007/017586号パンフレットの[0059]節および[0062]節に記載の修飾型金属アルコキシド)。さらには、-COOH官能基または-SO2-OH官能基を有するUV光防御フィルターは、それ自体市販されているか、またはたとえば、対応するエステルの加水分解を介して入手可能である。
【0037】
次に、光防御物質に化学結合された金属誘導体ナノ粒子は、たとえば、以上に記載した好適な前駆体のいわゆる無機重合(ゾル-ゲル法)を介して取得可能である。この方法は、国際公開第2007/017586号パンフレットの[0029]〜[0054]節(その全体が本明細書で参照されるものとする)に詳細に記載されている。一般的には、金属アルコキシドから出発してナノ粒子を生成する方法は、たとえば、S. Danielle, J. Mat. Chem. 13 (2003), 342-346に記載されている。
【0038】
官能基化度、すなわち、金属誘導体の量を基準にした光防御物質の量は、たとえば、ゾル-ゲル重合に付される金属アルコキシド対修飾型金属アルコキシド(すなわち、光防御構造要素が結合された金属アルコキシド)の比を介して調整可能である。
【0039】
以下の表には、金属誘導体ナノ粒子に結合されたUVフィルターと、金属誘導体ナノ粒子に結合されておらずかつ金属誘導体ナノ粒子に結合されたUVフィルターとは異なるさらなるUVフィルターと、の組合せを含む本発明に係る光防御製剤が記されている。
【表2】


【0040】
TiO2またはZnOの代わりに、他の金属酸化物もまた好適である。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、化学結合された形態で光防御構造要素を少なくとも部分的に含む金属誘導体、特定的には二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛は、液体媒体中に再分散可能でありかつ安定なディスパージョンを形成する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、修飾型ナノ粒子は、極性有機溶媒中に再分散可能でありかつ安定なディスパージョンを形成する。このことは、とくに有利である。なぜなら、化粧品以外の分野でも、たとえば、プラスチック、コーティング、またはフィルムにおいても、均一な組込みが可能になるからである。
【0043】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、修飾型ナノ粒子は、水中に再分散可能であり、その際、安定なディスパージョンを形成する。このことは、とくに有利である。なぜなら、これにより、たとえば化粧製剤で修飾型ナノ粒子を使用できる可能性が開けるからである。このほかに考えられるのは、水と極性有機溶媒との混合物である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、修飾型ナノ粒子は、10〜200nmの直径を有する。このことは、とくに有利である。なぜなら、このサイズ分布内では、良好な再分散性が保証されるからである。
【0045】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、修飾型ナノ粒子は、10〜100nmの直径を有する。このサイズ範囲は、とくに有利である。なぜなら、そのような修飾型ナノ粒子を再分散した後、得られるディスパージョンは透明であるので、たとえば、化粧製剤に添加した時に着色に影響を及ぼさないからである。さらに、これにより透明フィルムで使用できる可能性も生じる。
【0046】
修飾型ナノ粒子、特定的には二酸化チタンまたは酸化亜鉛をUV吸収剤として使用する場合、5nm超の直径を有する粒子を使用することが推奨される。なぜなら、この限界未満では、短波領域で吸収端のシフトが起こるからである(L. Brus, J. Phys., Chem. (1986), 90, 2555 - 2560)。
【0047】
1つ以上の油相のほかに、本発明の目的に合った製剤は、好ましくは、1つ以上の水相を追加的に含むことが可能であり、たとえば、W/O型、O/W型、Si/W型、W/Si型、W/O/W型、またはO/W/O型のエマルジョンの形態で存在する。そのような製剤はまた、好ましくは、マイクロエマルジョン(たとえば、PITエマルジョン)、固体エマルジョン(すなわち、固体により安定化されたエマルジョン、たとえば、Pickeringエマルジョン)、スプレー可能なエマルジョン、またはヒドロディスパージョンでありうる。さらには、本発明の目的では、製剤はまた、実質上無水でありうる(製剤の全重量を基準にして5重量%未満の水含有率)。本発明に係る製剤は、すべての点できわめて満足すべき製剤であり、原料の限られた選択に制限されない。したがって、それは、さまざまな適用目的を有する製剤形態の基剤として機能させるのにとりわけ好適である。本発明に係る製剤は、非常に良好な感覚特性および化粧特性、たとえば、皮膚上での展延性または皮膚中への吸収能などを呈し、さらには、優れたスキンケアデータと組み合わせて非常に良好な光防御効果により特徴付けられる。
【0048】
本発明に係る化粧用または皮膚用の光防御製剤は、慣用的な組成を有して化粧用または皮膚用の光防御に役立ちうる。さらにまた、皮膚および/または毛髪のトリートメント、ケア、およびクレンジング用としてならびに装飾用化粧品のメーキャップ製品として役立ちうる。特定的には、化粧用光防御製剤は、セルフタンニング製剤としても使用可能であり、その場合、セルフタンニングを促進する物質、特定的にはジヒドロキシアセトン(CAS No. 96-26-4)などを含みうる。
【0049】
本発明のさらなる実施形態によれば、光防御製剤は、皮膚のケアまたは保護に、特定的にはサンプロテクションに、および太陽光に晒される場合のケアに役立ち、エマルジョン剤、ディスパージョン剤、サスペンジョン剤、水性サーファクタント製剤、乳液剤、ローション剤、クリーム剤、バルサム剤、軟膏剤、ジェル剤、顆粒剤、粉末剤、スティック製剤(たとえばリップスティックなど)、フォーム剤、エアロゾル剤、またはスプレー剤の形態をとる。そのような製剤は、局所製剤にきわめて好適である。このことは、とくに有利である。なぜなら、サンスクリーン組成物で使用することにより、たとえば酸化亜鉛のUV吸収効果および皮膚鎮静効果を同時に利用しうるからである。さらには、修飾型ナノ粒子は、サンスクリーン組成物で使用するのにとりわけ適している。なぜなら、人間の眼に透明に見えるサイズで粒子を生成しうるからである。結果として、適用時、皮膚上に望ましくない白色塗抹を生じることはない。
【0050】
原則として、化粧組成物は、皮膚への局所適用に使用される。これに関連する局所製剤とは、微細分散状態で、好ましくは皮膚によって吸収されうる形態で活性成分を皮膚に適用するのに好適な製剤を意味するものとする。この目的に好適なのは、たとえば、水性および水性アルコール性の溶液剤、スプレー剤、フォーム剤、フォームエアロゾル剤、軟膏剤、水性ゲル剤、O/W型もしくはW/O型のエマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、または化粧用スティック製剤である。
【0051】
サンスクリーン組成物またはその拠りどころとなるUVフィルターのUV防御性能は、一般的には、標準化条件下で生物学的有効性試験により決定される。本発明の目的では、「UV防御性能」とは、UV-A線に対する防御性能さらにはUV-B線に対する防御性能の両方を意味する。本発明の目的では、UV防御性能の尺度の1つは、たとえば、光防御指数(LPFまたはSPF)、さもなければIPD値などである。光防御指数(LPF、SPF(サンプロテクションファクター)とも呼ばれる)は、サンスクリーン組成物を用いることにより可能になる日射の延長の指標となる。それは、サンプロテクション組成物を用いたときの紅斑閾値時間とサンプロテクション組成物を用いないときの紅斑閾値時間との商である。UV-A防御性能を試験するために、通常、IPD法(IPD=即時型色素黒化)が使用される。この場合、光防御指数の決定と同じように、生じる色素沈着が未保護の皮膚と同一になるまでどの程度長くUV-A線を光防御剤で保護された皮膚に照射しうるかの指標となる値が決定される。
【0052】
欧州全体で定着するようになったもう1つの試験方法は、オーストラリア規格AS/NZS 2604:1997である。この試験では、UV-A領域における製剤の吸収が測定される。規格を満たすためには、製剤は、320〜360nmの範囲内のUV-A線の少なくとも90%を吸収しなければならない。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、光防御製剤は、化粧上許容される担体を含む。水、アルコール、脂肪、油もしくはワックス、ガス、水性液、ゲル、エマルジョンもしくはマイクロエマルジョン、ディスパージョン、またはそれらの混合物は、担体として好ましい。指定の担体は、良好な皮膚適合性を呈する。水性ゲル、エマルジョン、またはマイクロエマルジョンは、局所製剤にとくに有利である。本発明に係る化粧用および皮膚用の製剤は、そのような製剤で慣用される化粧補助剤、たとえば、保存剤、保存助剤、殺細菌剤、香料、起泡を防止するための物質、染料、着色効果を有する顔料、粘稠化剤、保湿物質および/もしくは湿潤物質、皮膚上で触感を改善する充填剤、脂肪、油、ワックス、または化粧用もしくは皮膚用の製剤の他の慣用的成分、たとえば、アルコール、ポリオール、ポリマー、泡安定剤、電解質、有機溶媒、もしくはシリコーン誘導体を含みうる。
【0054】
本発明の目的では、有利な保存剤は、たとえば、ホルムアルデヒド供与体(たとえば、DMDMヒダントインなど、これは、たとえば、GlydantTM(Lonza)という商品名で入手可能である)、ヨードプロピルブチルカルバメート(たとえば、Glydant(登録商標)-2000、Glycacil(登録商標)-L、Glycacil(登録商標)-S(Lonza)、および/またはDekaben(登録商標)LMB(Jan Dekker)という商品名で入手可能なもの)、パラベン(たとえば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、および/またはブチルパラベンのようなp-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル)、フェノキシエタノール、エタノール、安息香酸などである。
【0055】
通常、本発明によれば、保存系は、さらに有利には、たとえば、エチルヘキシルオキシグリセロール、ツルマメ油などのような保存助剤をも含む。
【0056】
とくに有利な製剤は、抗酸化剤を添加剤または活性成分として使用する場合にも得られる。本発明によれば、製剤は、有利には、1種以上の抗酸化剤を含む。化粧用および/または皮膚用の適用に慣用されるかまたはそれに好適である抗酸化剤はすべて、使用される有利な抗酸化剤として、ただし、それにもかかわらず省略可能な抗酸化剤として、使用可能である。本発明の目的では、たとえば、ビタミン(アスコルビン酸など)およびその誘導体のような水溶性抗酸化剤は、とくに有利に使用可能である。好ましい抗酸化剤はまた、ビタミンEおよびその誘導体ならびにビタミンAおよびその誘導体である。
【0057】
製剤中の抗酸化剤(1種以上の化合物)の量は、製剤の全重量を基準にして、好ましくは0.001〜30重量%、とくに好ましくは0.05〜20重量%、特定的には0.1〜10重量%である。
【0058】
ビタミンEおよび/またはその誘導体が1種もしくは複数種の抗酸化剤である場合、製剤の全重量を基準にして0.001〜10重量%の範囲からそれらのそれぞれの濃度を選択することが有利である。
【0059】
ビタミンAもしくはビタミンA誘導体またはカロテンもしくはその誘導体が1種もしくは複数種の抗酸化剤である場合、製剤の全重量を基準にして0.001〜10重量%の範囲からそれらのそれぞれの濃度を選択することが有利である。
【0060】
本発明に係る化粧製剤が化粧用または皮膚用の活性成分を含むのであれば、とくに有利であり、この場合、好ましい活性成分は、酸化ストレスから皮膚を保護しうる抗酸化剤である。本発明の目的に合ったさらなる有利な活性成分は、天然の活性成分および/またはその誘導体、たとえば、α-リポ酸、フィトエン、D-ビオチン、コエンザイムQ10、α-グルコシルルチン、カルニチン、カルノシン、天然および/もしくは合成のイソフラボノイド、クレアチン、タウリン、ならびに/またはD-アラニンなどである。たとえば、フラボングリコシド(特定的にはU-グリコシルルチン)、コエンザイムQ10、ビタミンEおよび/またはその誘導体などのような公知の抗皺活性成分を含む本発明に係る製剤は、とくに有利には、たとえば、皮膚老化時に生じる皮膚の化粧的または皮膚上の変化(たとえば、乾燥、肌荒れ、および乾燥と皺の生成、痒み、再加脂減少(たとえば洗浄後)、目に見える血管拡張(毛細血管拡張、赤色膿疹)、たるみ、および筋と皺の生成、色素沈着過剰、色素沈着減少、および色素沈着異常(たとえば老人斑)、機械的ストレスに対する感受性の増大(たとえばひび割れ)など)の予防および処置に好適である。さらには、それは、乾燥した皮膚および/または荒れた皮膚の発生を防ぐのに好適である。
【0061】
本発明に係る製剤の水相は、有利には、慣用的化粧補助剤、たとえば、アルコール類、特定的には、低炭素数のもの、好ましくは、エタノールおよび/またはイソプロパノール、低炭素数のジオール類またはポリオール類およびそれらのエーテル類、好ましくは、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールのモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、またはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールのモノメチルエーテルまたはモノエチルエーテル、および類似の生成物、ポリマー、泡安定剤、電解質、ジヒドロキシアセトン、ならびに特定的には1種以上の粘稠化剤(これは、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ポリサッカリド類およびその誘導体類、たとえば、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選択され、とくに有利には、ポリアクリレート類よりなる群から、好ましくは、いわゆるCarbopol(登録商標)、たとえば、カルボポールグレード980、981、1382、2984、5984よりなる群に属するポリアクリレートから選択される)を、いずれの場合も単独でまたは組み合わせて含みうる。ポリアクリレート類よりなる群から選択される好適な粘稠化剤はまた、Luvigel(登録商標)EM(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド/ナトリウムアクリレートコポリマー)である。同様に有利なのは、C10〜30-アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらのエステルのうちの1種以上のモノマーと、のコポリマーである。INCI名「アクリレート/C10〜30-アルキル"アクリレートクロスポリマー」を有する化合物は有利である。Pemulen(登録商標)TR1およびPemulen(登録商標)TR2(Noveon)という商品名で入手可能なものは、とくに有利である。INCI名アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドンコポリマーを有する化合物は有利である。本発明によれば、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドンコポリマーは、有利には、実験式[C7H16N2SO4]n[C6H9NO]mを有する。本発明の目的に合った好ましい種は、登録番号(CAS No.)58374-69-9、13162-05-5、および88-12-0としてChemical Abstractsに列挙されており、Aristoflex(登録商標)AVC(Clariant)という商品名で入手可能である。同様に有利なのは、アクリロイルジメチルタウレートを含むコポリマー/クロスポリマー、たとえば、Simugel(登録商標)EG(Seppic)である。本発明に従って有利に使用されるさらなる粘稠化剤はまた、水溶性もしくは水分散性の陰イオン性ポリウレタンである。本発明の目的では、たとえば、ポリウレタン-1および/またはポリウレタン-4は有利である。本発明の目的に合ったとくに有利なポリウレタンは、たとえば、Avalure(登録商標)UR 445、Avalure(登録商標)UR 450などのようなAvalure(登録商標)URという商品名のグレードである。そのほかに、Luviset(登録商標)Pur(BASF)という商品名で入手可能なポリウレタンもまた、本発明の目的に有利である。
【0062】
使用可能な乳化剤は、非イオノゲン性界面活性剤、双イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および陰イオン性乳化剤である。乳化剤は、製剤を基準にして0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の量で本発明に係る製剤中に存在可能である。
【0063】
たとえば、以下の群の少なくとも1つから選ばれる界面活性剤を非イオン性界面活性剤として使用することが可能である。
【0064】
8〜22個の炭素原子を有する線状脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸への、およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜30molのエチレンオキシドおよび/または0〜5molのプロピレンオキシドの付加生成物、
グリセロールへの1〜30molのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18-脂肪酸モノおよびジエステル、
6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和の脂肪酸のグリセロールモノおよびジエステルならびにソルビタンモノおよびジエステルさらにはそれらのエチレンオキシド付加生成物、
アルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノおよびオリゴグリコシドならびにそれらのエトキシル化類似体、
ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への15〜60molのエチレンオキシドの付加生成物、
ポリオール(特定的にはポリグリセロール)エステル、たとえば、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレート、またはポリグリセロールジメレートなど。
【0065】
物質クラスの2つ以上から選ばれる化合物の混合物も同様に好適である、
ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への2〜15molのエチレンオキシドの付加生成物、
線状、分岐状、不飽和、もしくは飽和のC6/22-脂肪酸、リシノール酸、および12-ヒドロキシステアリン酸と、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、糖アルコール(たとえば、ソルビトール)、アルキルグリコシド(たとえば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、およびポリグルコシド(たとえば、セルロース)と、をベースとする部分エステル、
モノ、ジ、およびトリアルキルホスフェート、ならびにモノ、ジ、および/またはトリ-PEGアルキルホスフェート、さらにはそれらの塩、
ウールワックスアルコール、
ポリシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体、
独国特許第1165574号明細書に記載のペンタエリトリトールと脂肪酸とクエン酸と脂肪アルコールとの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸とメチルグルコースとポリオール(好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロール)との混合エステル、ならびに
ポリアルキレングリコール、
ベタイン。
【0066】
さらには、双イオン性界面活性剤を乳化剤として使用することが可能である。双イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基と少なくとも1個のカルボキシレート基または少なくとも1個のスルホネート基とを有する界面活性化合物を意味すべく用いられる用語である。とくに好適な双イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、たとえば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(たとえば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(たとえば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2-アルキル-3-カルボキシルメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(いずれの場合にも、アルキル基中またはアシル基中に8〜18個の炭素原子を有する)、さらにはココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。とくに好ましいのは、ココアミドプロピルベタインというCTFA名で知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0067】
両性界面活性剤も同様に好適な乳化剤である。両性界面活性剤は、分子中にC8,18-アルキル基またはC8,18-アシル基のほかに少なくとも1個の遊離アミノ基と少なくとも1個の-COOH基または-SO3H基とを含みかつ分子内塩を形成しうる界面活性化合物を意味するものと解釈される。好適な両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸、およびアルキルアミノ酢酸であり、いずれの場合にも、アルキル基中に約8〜18個の炭素原子を有する。
【0068】
とくに好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12/18-アシルサルコシンである。両性乳化剤のほかに、第四級乳化剤もまた好適であり、とくに好ましいのは、エステルクアットタイプのものであり、好ましくは、メチル四級化ジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩である。さらには、アルキルエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、脂肪酸スルフェート、スルホスクシネート、および/またはエーテルカルボン酸を陰イオン性乳化剤として使用することが可能である。
【0069】
好適な油体は、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースとするゲルベアルコール、線状C6〜C22-脂肪酸と線状C6〜C22-脂肪アルコールとのエステル、分岐状C6〜C13-カルボン酸と線状C6〜C22-脂肪アルコールとのエステル、線状C6〜C22-脂肪酸と分岐状アルコール(特定的には2-エチルヘキサノール)とのエステル、線状および/もしくは分岐状の脂肪酸と多価アルコール(たとえば、プロピレングリコール、ダイマージオール、もしくはトリマートリオールなど)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6〜C10-脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6〜C18-脂肪酸をベースとする液状モノ/ジ、トリグリセリド混合物、C6〜C22-脂肪アルコールおよび/もしくはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特定的には安息香酸)とのエステル、C2〜C12-ジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する線状もしくは分岐状のアルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールと、のエステル、植物油、分岐状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、線状C6〜C22-脂肪アルコールカーボネート、ゲルベカーボネート、安息香酸と線状および/もしくは分岐状のC6〜C22-アルコールとのエステル(たとえば、Finsolv(登録商標)TN)、ジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物、シリコーン油、ならびに/あるいは脂肪族もしくはナフテン系の炭化水素である。そのほかに、シリコーン化合物、たとえば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、ならびにアミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、アルキル、および/またはグリコシドで変性されたシリコーン化合物を油体として使用することも可能であり、これらは、室温で液体の形態または樹脂の形態で存在しうる。油体は、製剤を基準にして1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%、特定的には10〜50重量%の量で本発明に係る組成物中に存在しうる。特定的には、この時点で、国際公開第03/039507号パンフレットのp. 21, l. 25〜p. 24, l. 13の開示の全体を参照しうる。
【0070】
とくに好ましい実施形態によれば、本発明に係る製剤は、可溶性化合物の形態のさらなるUV光防御フィルターまたは他の顔料を含む。
【0071】
それぞれの場合において、すでに存在する光防御化合物以外のさらなるUVフィルター物質を化粧組成物またはサンプロテクション組成物に添加することが望まれることもある。このことは、フィルター性能にとくに重点が置かれる場合、必要になる可能性がある。1種以上のさらなるUV光防御フィルターを本発明に係る製剤に添加することが可能である。
【0072】
特定的には、この時点で、国際公開第03/039507号パンフレットのp. 25, l. 24〜p. 29, l. 12の開示の全体を参照しうる。そこには、さらなる好適なUVフィルター物質が指定されている。
【0073】
以下の表に示されるUV光防御フィルターは、本発明に係る製剤のさらなるUV光防御フィルターとして好適である。
【表3】


【0074】
使用可能な油溶性UV-Bフィルターは、たとえば、以下の物質である。
【0075】
3-ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、たとえば、3-(4-メチルベンジリデン)カンファー、
4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、2-エチルヘキシル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-オクチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、およびアミル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、
ケイ皮酸のエステル、好ましくは、2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート、プロピル4-メトキシシンナメート、イソアミル4-メトキシシンナメート、イソペンチル4-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3-フェニルシンナメート(オクトクリレン)、
サリチル酸のエステル、好ましくは、2-エチルヘキシルサリチレート、4-イソプロピルベンジルサリチレート、ホモメンチルサリチレート(homomethyl salicylate)、
ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
ベンザルマロン酸のエステル、好ましくはジ2-エチルヘキシル4-メトキシベンゾマロネート、
トリアジン誘導体、たとえば、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン(オクチルトリアゾン)およびジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB)など、
プロパン-1,3-ジオン、たとえば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンなど、
2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸、ならびにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、およびグルコアンモニウム塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩、
3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、たとえば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸ならびにそれらの塩など。
【0076】
ケイ皮酸のエステル、好ましくは、2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート、イソペンチル4-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3-フェニルシンナメート(オクトクリレン)の使用がとくに好ましい。
【0077】
さらに、ベンゾフェノンの誘導体、特定的には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンの使用、およびプロパン-1,3-ジオン、たとえば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンなどの使用が好ましい。
【0078】
好適な典型的UV-Aフィルターは、以下のとおりである。
【0079】
ベンゾイルメタンの誘導体、たとえば、1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、または1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオンなど、
ベンゾフェノンのアミノヒドロキシ置換誘導体、たとえば、N,N-ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルn-ヘキシルベンゾエートなど、
2,2'-(1,4-フェニレン)ビス-1H-ベンゾイミダゾール-4,6-ジスルホン酸, Na塩(Neo Heliopan(登録商標)AP、CAS No. 180898-37-7)。
【0080】
もちろん、UV-AフィルターおよびUV-Bフィルターを混合物の状態で使用することも可能である。
【0081】
しかしながら、使用可能なさらなる光防御フィルターはまた、他の不溶性顔料、たとえば、微細分散されている金属酸化物または金属塩、たとえば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などである。この場合、粒子は、200nm未満、好ましくは100nm未満の平均直径を有していなければならない。
【0082】
2つの上記グループの第1の光防御物質に加えて、UV線が皮膚中に進入したときに引き起こされる光化学反応連鎖を阻止する抗酸化剤タイプの第2の光防御剤を使用することも可能である。その典型的な例は、スーパーオキシドジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0083】
本発明に係るサンプロテクション組成物中の光防御剤の全含有率は、通常は1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。
【0084】
本発明に係る好ましい製剤は、それ自体、1〜95重量%、好ましくは5〜80重量%、特定的には10〜60重量%の水を含みうる。
【0085】
とくに好ましい実施形態によれば、本発明に係る化粧製剤はまた、ケア物質、さらなる化粧活性成分、ならびに/または補助剤および添加剤を含む。
【0086】
使用されるさらなる化粧活性成分は、特定的には、皮膚保湿剤、抗微生物物質、および/または脱臭物質もしくは制汗物質である。これは、皮膚のケアもしくはトリートメントに寄与したりまたはたとえばこの製剤を使用したときに化粧製剤の使用者の満足感を増大させたりするさらなる所望の効果を達成しうるという利点を有する。
【0087】
したがって、担体、金属誘導体ナノ粒子、およびそれと結合された光防御化合物のほかに、水および生理学的適合性溶媒、ケア成分、たとえば、とくに、油、ワックス、脂肪、再加脂物質、粘稠化剤、乳化剤、および芳香剤などもまた、化粧製剤中に存在可能である。高含有率のケア物質は、皮膚の局所的な予防的もしくは化粧的トリートメントにとくに有利である。
【0088】
同様にケア効果を有することも多い動物性および植物性の油脂に加えて、製剤がさらなるケア成分をも含んでいるのであれば、とくに有利である。使用可能な一群のケア活性成分は、たとえば、次のものを包含する:8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール、特定的には、天然脂肪酸の脂肪アルコール;動物性および植物性のタンパク質の加水分解物、特定的には、エラスチン、コラーゲン、ケラチン、乳タンパク質、ダイズタンパク質、シルクタンパク質、オートムギタンパク質、エンドウマメタンパク質、アーモンドタンパク質、およびコムギタンパク質の加水分解物;ビタミンおよびビタミン前駆体、特定的には、ビタミンA群およびB群のもの;モノ、ジ、およびオリゴサッカリド;植物抽出物;蜂蜜抽出物;セラミド;ホスホリピド;ワセリン、パラフィン、およびシリコーン油;脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル、特定的には、脂肪酸と3〜24個の炭素原子を有するアルコールとのモノエステル。本発明に係る製剤で優先的に使用されるビタミン、プロビタミン、またはビタミン前駆体としては、とくに、以下のものが挙げられる。
【0089】
A群、C群、E群、およびF群のビタミン、プロビタミン、およびビタミン前駆体、特定的には、3,4-ジデヒドロレチノール、β-カロテン(ビタミンAのプロビタミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、およびパルミチン酸エステル、アスコルビン酸のグルコシドまたはホスフェート、トコフェロール、特定的には、α-トコフェロールおよびそのエステル(たとえば、アセテート、ニコチネート、ホスフェート、およびスクシネート);さらには、必須脂肪酸を意味するものと解釈されるビタミンF、特定的には、リノール酸、リノレン酸、およびアラキドン酸;
ビタミンAならびにその誘導体およびプロビタミンは、有利には、とくに皮膚を滑らかにする効果を呈する。
【0090】
本発明に係る製剤で優先的に使用されるビタミンB群のビタミン、プロビタミン、もしくはビタミン前駆体またはそれらの誘導体さらには2-フラノンの誘導体としては、とくに、以下のものが挙げられる。
【0091】
ビタミンB1、慣用名チアミン、化学名3-[(4'-アミノ-2'-メチル-5'-ピリミジニル)メチル]-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムクロリド。好ましくは、全組成物を基準にして0.05〜1重量%の量で塩酸チアミンを使用する。
【0092】
ビタミンB2、慣用名リボフラビン、化学名7,8-ジメチル-10-(1-D-リビチル)ベンゾ[g]プテリジン2,4(3H,10H)-ジオン。遊離形では、リボフラビンは、たとえば乳清中に存在し、他のリボフラビン誘導体は、細菌および酵母から単離可能である。同様に本発明に好適なリボフラビンの立体異性体は、リキソフラビンである。これは、魚粉または肝臓から単離可能であり、D-リビチル基の代わりにD-アラビチル基を有する。好ましくは、全組成物を基準にして0.05〜1重量%の量でリボフラビンまたはその誘導体を使用する。
【0093】
ビタミンB3。ニコチン酸およびニコチンアミド(ナイアシンアミド)という化合物は、多くの場合、この名称を有する。本発明によれば、好ましいのはニコチンアミドであり、これは、全組成物を基準にして好ましくは0.05〜1重量%の量で本発明に係る組成物中に存在する。
【0094】
ビタミンB5(パントテン酸およびパンテノール)。好ましくは、パンテノールを使用する。本発明に従って使用しうるパンテノールの誘導体は、特定的には、パンテノールのエステルおよびエーテルさらにはカチオン誘導体化パンテノールである。本発明のさらなる好ましい実施形態では、パントテン酸またはパンテノールに加えて2-フラノンの誘導体を使用することも可能である。とくに好ましい誘導体は、パントラクトンという慣用名を有する市販物質でもあるジヒドロ-3 ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2(3H)-フラノン(Merck)、4 ヒドロキシメチル-γ-ブチロラクトン(Merck)、3,3-ジメチル-2-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン(Aldrich)、および2,5-ジヒドロ-5-メトキシ-2-フラノン(Merck)である(すべての立体異性体が明示的に包含されるものとする)。
【0095】
これらの化合物は、有利には、本発明に係る化粧製剤に保湿性および皮膚鎮静性を付与する。
【0096】
ビタミンB5タイプの指定の化合物および2-フラノン誘導体は、全組成物を基準にして好ましくは0.05〜10重量%の全量で本発明に係る組成物中に存在する。0.1〜5重量%の全量がとくに好ましい。
【0097】
ビタミンB6(これは、単一の物質を意味するものではなく、ピリドキシン、ピリドキサミン、およびピリドキサールという慣用名で知られる5-ヒドロキシメチル-2-メチルピリジン-3-オールの誘導体であると解釈される)。ビタミンB6は、好ましくは0.0001〜1.0重量%の量で、特定的には0.001〜0.01重量%の量で本発明に係る組成物中に存在する。
【0098】
ビタミンHまたは「皮膚ビタミン」とも呼ばれるビタミンB7(ビオチン)。ビオチンは、(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロチエノール[3,4-d]イミダゾール-4-吉草酸である。ビオチンは、好ましくは0.0001〜1.0重量%の量で、特定的には0.001〜0.01重量%の量で本発明に係る組成物中に存在する。
【0099】
本発明によれば、パンテノール、パントラクトン、ニコチンアミド、およびビオチンは、なかでもとくに好ましい。
【0100】
補助剤および添加剤は、審美性、適用性、および/または化粧特性の改善に好適な物質、たとえば、共乳化剤、有機溶媒、過脂肪化剤、安定化剤、抗酸化剤、ワックスまたは脂肪、稠度調整剤、粘稠化剤、日焼け剤、ビタミン、カチオン性ポリマー、生理活性成分、保存剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、染料、芳香剤などを意味するものと解釈される。
【0101】
たとえば、以下の補助剤および添加剤を使用することが可能である。
【0102】
・アラントイン、
・アロエベラ、
・ビサボロール、
・セラミドおよび擬似セラミド(psuedoceramides)。
【0103】
抗酸化剤は、有利には、本発明に係る製剤の安定性を改善する。抗酸化剤は、たとえば、アミノ酸(たとえば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体(たとえば、ウロカニン酸)、ペプチド(たとえば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンなど)およびその誘導体(たとえば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(たとえば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(たとえば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル、ならびに他のチオ化合物(たとえば、チオグリセロール、チオソルビトール、チオグリコール酸、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにそれらのグリコシルエステル、N-アセチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、アミルエステル、ブチルエステル、ラウリルエステル、パルミトイルエステル、オレイルエステル、γ-リノレイルエステル、コレステリルエステル、およびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、および塩)、ならびに非常に少ない耐用量(たとえば、pmol/kg〜pmol/kg)のスルホキシミン化合物(たとえば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタチオニンスルホキシミン、ヘキサチオニンスルホキシミン、ヘプタチオニンスルホキシミン)、さらには金属キレート化剤(たとえば、α-ヒドロキシ脂肪酸、EDTA、EGTA、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(たとえば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、没食子酸エステル(たとえば、プロピルガレート、オクチルガレート、およびドデシルガレート)、フラボノイド、カテキン、ビリルビン、ビリベルジンおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(たとえば、γ-リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ヒドロキノンおよびその誘導体(たとえば、アルブチン)、ユビキノンおよびユビキノールならびにそれらの誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(たとえば、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、アスコルビルジパルミテート、アスコルビルアセテート、Mg-アスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルベートおよびマグネシウムアスコルベート、ジナトリウムアスコルビルホスフェートおよびジナトリウムアスコルビルスルフェート、カリウムアスコルビルトコフェリルホスフェート、キトサンアスコルベート)、イソアスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体(たとえば、トコフェリルアセテート、トコフェリルリノレエート、トコフェリルオレエート、およびトコフェリルスクシネート、トコフェレス-5、トコフェレス-10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェルソラン)、ビタミンAおよび誘導体(たとえば、ビタミンAパルミテート)、ベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン、ルチン酸およびその誘導体、ジナトリウムルチニルジスルフェート、ケイ皮酸およびその誘導体(たとえば、フェルラ酸、エチルフェルレート、カフェー酸)、コウジ酸、キトサングリコレートおよびキトサンサリチレート、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアク酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛および亜鉛誘導体(たとえば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびセレン誘導体(たとえば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびスチルベン誘導体(たとえば、スチルベンオキシド、trans-スチルベンオキシド)である。
【0104】
本発明によれば、これらの指定の活性成分の好適な誘導体(塩、エステル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド、および脂質)および混合物またはこれらの抗酸化剤を含む植物抽出物(たとえば、ティーツリー油、ローズマリー抽出物、およびローズマリン酸)を使用することが可能である。この群に属する好ましい親油性油溶性抗酸化剤は、トコフェロールおよびその誘導体、没食子酸エステル、フラボノイドおよびカロテノイド、ならびにブチルヒドロキシトルエン/アニソールである。好ましい水溶性抗酸化剤は、アミノ酸(たとえば、チロシンおよびシステイン)およびその誘導体さらにはタンニン(特定的には植物起源のもの)である。本発明に係る化粧製剤中の抗酸化剤の全量は、0.001〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特定的には0.1〜5重量%、なかでもとくに好ましくは0.1〜2重量%である。
【0105】
トリテルペン、特定的には、ウルソール酸、ローズマリン酸、ベツリン酸、ボスウェル酸、およびブリオノール酸(byronolic acid)のようなトリテルペン酸、
単量体カテキン(特定的には、カテキンおよびエピカテキン)、ロイコアントシアニジン、カテキンポリマー(カテキンタンニン)、ならびにガロタンニン、
粘稠化剤、たとえば、ゼラチン、植物ガム(たとえば、寒天、グアーガム、アルギネート、キサンタンガム、アラビアガム、カラヤガム、またはイナゴマメ種子粉)、天然および合成のクレーおよび層状シリケート(たとえば、ベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、またはLaponite(登録商標))、完全合成親水コロイド(たとえば、ポリビニルアルコールなど)、さらには脂肪酸のCa石鹸、Mg石鹸、またはZn石鹸、植物グリコシド、構造化剤、たとえば、マレイン酸および乳酸、ジメチルイソソルビド、α、β、およびγ-シクロデキストリン(特定的には、レチノール安定化用)、溶媒、膨潤物質および浸透物質、たとえば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、およびジエチレングリコール、カーボネート、ヒドロゲンカーボネート、グアニジン、ウレア、ならびに第一級、第二級、および第三級ホスフェート、香料油、顔料および染料(組成物着色用)、pH調整用物質、たとえば、α-およびβ-ヒドロキシカルボン酸、錯化剤、たとえば、EDTA、NTA、β-アラニン二酢酸、およびリン酸、乳白剤、たとえば、ラテックスのスチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー、真珠光沢化剤、たとえば、エチレングリコールモノおよびジステアレートならびにPEG-3ジステアレート、噴射剤、たとえば、プロパン/ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2、および空気。
【0106】
アラントイン、ビサボロール、および/またはアロエベラ(抽出物の形態のものを包含する)を本発明に係る化粧製剤に添加することは、製剤の皮膚鎮静性、保湿性、およびスキンケア性を改善するのでとくに好ましい。
【0107】
さらなる成分として、本発明に係る化粧製剤は、他の成分と相溶としうるさらなる界面活性剤を副次量で含みうる。
【0108】
陰イオン性界面活性剤の典型的な例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(たとえば、アシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメート、アシルアスパルテートなど)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特定的には、小麦ベースの植物産物)、ならびにアルキル(エーテル)ホスフェートである。
【0109】
陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは、従来の同族体分布を有しうるが、好ましくは、狭い同族体分布を有する。
【0110】
非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル(fatty amine polygycol ethers)、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール、適切であれば部分酸化されたアルキ(ケニ)ルオリゴグリコシドおよびグルクロン酸誘導体(glucoronic acid derivatives)、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特定的には、小麦ベースの植物産物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ならびにアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは、従来の同族体分布を有しうるが、好ましくは、狭い同族体分布を有する。
【0111】
陽イオン性界面活性剤の典型的な例は、第四級アンモニウム化合物およびエステルクアット、特定的には、四級化脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
【0112】
両性および双イオン性の界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、およびスルホベタインである。
【0113】
本発明に係る光防御製剤の使用は、特定的には、シャンプー、コンディショナー、リンス、ヘアトニック、ヘアジェル、ヘアスプレーなどのような毛髪化粧品においても同様に可能である。特定的には、適用後に毛髪上および/またはま頭皮上に残存するリーブオン製品は、とくにきわめて好適である。この場合、このようにして頭皮および毛髪に適用された製剤はまた、UV防御剤として作用可能でありかつ/または頭皮上でその皮膚鎮静効果を生成可能である。
【0114】
本発明に係る製剤はまた、洗浄用、シャワー用、および入浴用の製剤の分野でも使用可能である。
【0115】
本発明に係る化粧製剤の好ましい実施形態によれば、化粧製剤は、トリートメントおよび/または保護の対象となる身体の表面に局所的に適用される。この適用形態は、取扱いが容易であるので、とくに有利である。このことは、不適切な投与が大幅に削減されることを意味する。さらには、皮膚に対する追加のケア効果を達成することが可能である。身体の個別部分のみが太陽光線に晒される場合、これらの身体部分にのみ特定的にサンスクリーン組成物を適用することも可能である。
【0116】
本発明はさらに、UV防御のための本発明に従って表面改質された金属酸化物の使用を提供する。このことは、とくに有利である。なぜなら、たとえば表面改質酸化亜鉛の微細化特性および良好な分散のおかげで、とくに高いUV吸収が達成されるからである。
【0117】
本発明はさらに、抗微生物活性成分としての本発明に従って表面改質された金属酸化物(特定的には酸化亜鉛)の使用を提供する。これらの粒子の使用は、この使用目的にとくに有利である。なぜなら、粒子の微細化特性およびそれから得られる大面積のおかげで、抗微生物効果が大幅に改善されるとともに、材料の良好な分散特性のおかげで、酸化亜鉛が微細化形態で存在するからである。したがって、酸化亜鉛は、クリーム、スキンミルク、ローション、またはトニックなどのような種々の供給形態で、問題なく使用可能である。
【0118】
本発明はさらに、本発明に係る表面改質金属酸化物を含む医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、粒子の微細化特性のおかげで、医薬の効力が大幅に増大されるという事実により特徴付けられる。
【0119】
さらには、本発明に係る医薬組成物は、以上ですでに述べたように、たとえば酸化亜鉛ディスパージョンの良好な長期安定性のおかげで、分離を阻止する安定化剤の添加を行わずにすますことが可能であるという利点を有する。この場合、医薬組成物の適合性が追加的に増大される。
【0120】
以下の実施例を参照することにより本発明をさらに詳細に説明する。
【0121】
化粧製剤の実施例
本発明に係る以下の製剤は、修飾型金属誘導体ナノ粒子を成分としてを含む。
【0122】
本発明に係る化粧製剤の以下に指定された実施例では、「ハイブリッド」という用語は、以下のものから選択される少なくとも1つの組合せである。
【0123】
1)・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子
・少なくとも1種の金属誘導体(TiO2またはZnO)のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種のトリアジン誘導体。
【0124】
2)・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子
・少なくとも1種の金属誘導体(TiO2またはZnO)のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種のヒドロキシベンゾフェノン誘導体。
【0125】
3)・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子
・少なくとも1種の金属誘導体(TiO2またはZnO)のナノ粒子に化学結合され、かつ国際公開第2007/017587号パンフレットの[0036]節および[0037]節に規定される光防御化合物から選択される、少なくとも1種の化合物。
【0126】
4)・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子
・少なくとも1種の金属誘導体(TiO2またはZnO)のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の4,4'-ジアリールブタジエン誘導体。
【0127】
以下の定量的データは、重量部単位である。製剤を調製しうる方法は、当業者に公知である。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【表44】

【表45】

【表46】

【表47】

【表48】

【表49】

【表50】

【表51】

【表52】

【表53】

【表54】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・トリアジンの誘導体、ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、および4,4'-ジアリールブタジエンの誘導体よりなる群から選択される、前記少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の構造ユニットと、
を含む、光防御製剤。
【請求項2】
前記ナノ粒子に結合されたUV光防御剤とは異なる少なくとも1種のさらなる有機UV光防御剤を含む、請求項1に記載の光防御製剤。
【請求項3】
・少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子と、
・前記少なくとも1種の金属誘導体のナノ粒子に化学結合された少なくとも1種の有機UV光防御剤と、
・該ナノ粒子に結合されたUV光防御剤とは異なりかつオクチルメトキシシンナメートとは異なる少なくとも1種のさらなる有機UV光防御剤と、
を含む、光防御製剤。
【請求項4】
前記少なくとも少なくとも1種のさらなる有機UV光防御剤が、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(CAS No. 6197-30-4)、エチルヘキシルサリチレート(CAS No. 118-60-5)、ホモサレート(CAS No. 118-56-9)、ジメチコジエチルベンザルマロネート(CAS No. 207574-74-1)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項2または3のいずれかに記載の光防御製剤。
【請求項5】
ジヒドロキシアセトンをさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の光防御製剤。
【請求項6】
前記金属誘導体がチタンおよび/または亜鉛の誘導体から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の光防御製剤。

【公表番号】特表2010−523513(P2010−523513A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501461(P2010−501461)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053046
【国際公開番号】WO2008/122481
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】