説明

無段変速機におけるプーリカバーの製造方法

【課題】 無段変速機のプーリカバーの隔壁を貫通する油孔を、プーリカバーの軸線と直交する方向に形成できるようにする。
【解決手段】 無段変速機のプーリの可動側プーリ半体を固定側プーリ半体に向けて付勢する第1、第2作動油室16a,16bを有するプーリカバー48を金属板材48′を加工して製造する工程が、プーリカバー48の環状の隔壁48aをプレス成形する第1工程と、隔壁48aに第1、第2作動油室16a,16bを連通させる油孔48eを開設する第2工程と、隔壁48aの径方向外側に第2作動油室16bの周壁48dをプレス成形する第3工程とを含むので、第2工程で隔壁48aに油孔48eを開設するときに第2作動油室16bの周壁48dは未だプレス成形されておらず、よって隔壁48aに油孔48eを開設するための工具63,64が前記周壁48dと干渉することが回避され、隔壁48aの油孔48eをプーリカバー48の軸線Lに対して直交する方向に形成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブプーリおよびドリブンプーリに無端伝動部材を巻き掛け、前記ドライブプーリの溝幅および前記ドリブンプーリの溝幅を変化させることで変速比を変更する無段変速機に関し、特にそのプーリカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ベルトが巻き掛けられたドライブプーリおよびドリブンプーリの溝幅を油圧で変化させて変速比を変更するベルト式無段変速機において、可動側プーリ半体とプーリカバーとの間に3個の作動油室を形成し、これら3個の作動油室に臨む3個のピストンを油圧で駆動することで可動側プーリ半体を固定側プーリ半体に向けて付勢するものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−264427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4は、上記特許文献1に記載された鍛造品のプーリカバー01を示すものである。鍛造品のプーリカバー01は円板状の側壁02と、環状の隔壁03と、環状の周壁04とを備えており、隔壁03の径方向内側に形成された第1作動油室05と、隔壁03の径方向外側に形成された第2作動油室06とを連通させる油孔07が、隔壁03を貫通するように加工される。鍛造品のプーリカバー01に油孔07を加工するとき、隔壁03の径方向内側から加工しようとすると軸線Lを挟んで反対側の隔壁03がドリル等の工具と干渉し、逆に隔壁03の径方向外側から加工しようとすると周壁04がドリル等の工具と干渉するため、油孔07を軸線Lを中心とする径方向に対して角度θだけ傾斜させて形成する必要があった。
【0005】
一定の直径Dを有する油孔07が径方向に対して角度θだけ傾斜していると、その油孔07の軸線L方向の寸法D′が直径Dよりも大きくなってしまい、その分だけプーリカバー01の軸線L方向の寸法が増加する問題があった。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、無段変速機のプーリカバーの隔壁を貫通する油孔を、プーリカバーの軸線と直交する方向に形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ドライブプーリおよびドリブンプーリに無端伝動部材を巻き掛け、前記ドライブプーリの溝幅および前記ドリブンプーリの溝幅を油圧で変化させることで変速比を変更する無段変速機であって、前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリの少なくとも一方は、回転軸に固定された固定側プーリ半体と、前記回転軸に相対回転不能かつ軸方向移動可能に支持された可動側プーリ半体と、前記回転軸に固定されて前記可動側プーリ半体の背面に対向するプーリカバーと、前記プーリカバーの内部に環状の隔壁によって径方向内外に分離して区画された第1、第2作動油室とを備え、前記第1、第2作動油室に供給された油圧で前記可動側プーリ半体を前記固定側プーリ半体に向けて付勢するものにおいて、金属板材を加工して前記プーリカバーを製造する工程が、前記環状の隔壁をプレス成形する第1工程と、前記隔壁に前記第1、第2作動油室を連通させる油孔を開設する第2工程と、前記隔壁の径方向外側に前記第2作動油室の周壁をプレス成形する第3工程とを含むことを特徴とする、無段変速機におけるプーリカバーの製造方法が提案される。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記油孔はピアス加工により開設されることを特徴とする、無段変速機におけるプーリカバーの製造方法が提案される。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記ピアス加工は、ダイを前記隔壁の径方向外側にセットした状態で、パンチを前記隔壁の径方向内側から前記ダイに向けて移動させることで行うことを特徴とする無段変速機におけるプーリカバーの製造方法が提案される。
【0010】
尚、実施の形態の金属ベルト19は本発明の無端伝動部材に対応し、実施の形態のアウタシャフト40は本発明の回転軸に対応する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、無段変速機のプーリの可動側プーリ半体を固定側プーリ半体に向けて付勢する第1、第2作動油室を有するプーリカバーを金属板材を加工して製造する工程が、プーリカバーの環状の隔壁をプレス成形する第1工程と、隔壁に第1、第2作動油室を連通させる油孔を開設する第2工程と、隔壁の径方向外側に第2作動油室の周壁をプレス成形する第3工程とを含むので、第2工程で隔壁に油孔を開設するときに第2作動油室の周壁は未だプレス成形されておらず、よって隔壁に油孔を開設するための工具が前記周壁と干渉することが回避され、隔壁の油孔をプーリカバーの軸線に対して直交する方向に形成することが可能となる。これにより、油孔を斜めに開設する場合に比べて該油孔の軸線方向の寸法を最小限に抑え、プーリカバーの軸線方向の寸法を小型化することができる。しかも油孔の開設後に周壁をプレス成形することで、第2作動油室を支障なく形成することができる。
【0012】
また請求項2の構成によれば、油孔をピアス加工により開設するので、金属板材の一部をプレス加工により二重に折り曲げて形成した隔壁をパンチが貫通する際に、パンチが金属板材を最初に貫通する部分から発生したバリが次に貫通する部分に食い込んでシール効果を発揮することで、特別のシール部材や特別のシール加工を必要とせずに、金属板材が二重になった隔壁の油孔から作動油が漏れるのを防止することができる。
【0013】
また請求項3の構成によれば、未だ周壁が形成されていない隔壁の径方向外側にダイをセットした状態で、パンチを隔壁の径方向内側から前記ダイに向けて移動させることでピアス加工を行うので、周壁と干渉することなくダイをセットすることが可能となって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】金属ベルト式無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図。
【図2】図1の2部拡大図。
【図3】プーリカバーの製造工程の説明図。
【図4】従来のプーリカバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図3に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1に示すように、車両用の無段変速機Tは平行に配置されたドライブシャフト11およびドリブンシャフト12を備えており、エンジンEのクランクシャフト13の左端はダンパー14を介してドライブシャフト11の右端に接続される。
【0017】
ドライブシャフト11の外周に筒状のアウタシャフト40が相対回転自在に嵌合しており、アウタシャフト40に支持されたドライブプーリ15は、該アウタシャフト40に一体に形成された固定側プーリ半体41と、この固定側プーリ半体41に対して軸方向摺動自在な可動側プーリ半体42とを備える。可動側プーリ半体42は、作動油室16に作用する油圧により固定側プーリ半体41との間の溝幅が可変である。ドリブンシャフト12に支持されたドリブンプーリ17は、該ドリブンシャフト12に一体に形成された固定側プーリ半体43と、この固定側プーリ半体43に対して軸方向摺動自在な可動側プーリ半体44とを備える。可動側プーリ半体44は、作動油室18に作用する油圧により固定側プーリ半体43との間の溝幅が可変である。そしてドライブプーリ15とドリブンプーリ17とに金属ベルト19が巻き掛けられる。
【0018】
ドライブシャフト11の左端に、前進変速段を確立する際に係合してドライブシャフト11の回転を同方向にアウタシャフト40に伝達するフォワードクラッチ20と、後進変速段を確立する際に係合してドライブシャフト11の回転を逆方向にアウタシャフト40に伝達するリバースブレーキ21とを備えた、シングルピニオン式の遊星歯車機構よりなる前後進切換機構22が設けられる。前後進切換機構22のサンギヤ37はドライブシャフト11に固定され、プラネタリキャリヤ38はリバースブレーキ21によりケーシングに拘束可能であり、リングギヤ39はフォワードクラッチ20によりアウタシャフト40に結合可能である。
【0019】
ドリブンシャフト12の右端に設けられる発進用クラッチ23は、ドリブンシャフト12に相対回転自在に支持した第1中間ギヤ24を該ドリブンシャフト12に結合する。ドリブンシャフト12と平行に配置された中間軸25に、前記第1中間ギヤ24に噛合する第2中間ギヤ26が設けられる。ディファレンシャルギヤ27のギヤボックス28に設けた入力ギヤ29に、前記中間軸25に設けた第3中間ギヤ30が噛合する。ギヤボックス28にピニオンシャフト31,31を介して支持した一対のピニオン32,32に、ギヤボックス28に相対回転自在に支持した左車軸33および右車軸34の先端に設けたサイドギヤ35,36が噛合する。左車軸33および右車軸34の他端にそれぞれ駆動輪W,Wが接続される。
【0020】
従って、セレクトレバーでフォワードレンジを選択すると、電子制御ユニットU1からの指令で作動する油圧制御ユニットU2により、先ずフォワードクラッチ20が係合し、その結果ドライブシャフト11はアウタシャフト40を介してドライブプーリ15に一体に結合される。続いて発進用クラッチ23が係合し、エンジンEのトルクがドライブシャフト11、アウタシャフト40、ドライブプーリ15、金属ベルト19、ドリブンプーリ17、ドリブンシャフト12およびディファレンシャルギヤ27を経て駆動輪W,Wに伝達され、車両は前進発進する。セレクトレバーでリバースレンジを選択すると、油圧制御ユニットU2により、リバースブレーキ21が係合してアウタシャフト40およびドライブプーリ15がドライブシャフト11の回転方向と逆方向に駆動されるため、発進用クラッチ23の係合により車両は後進発進する。
【0021】
このようにして車両が発進すると、油圧制御ユニットU2によりドライブプーリ15の作動油室16に供給される油圧が増加し、ドライブプーリ15の可動側プーリ半体42が固定側プーリ半体41に接近して有効半径が増加するとともに、ドリブンプーリ17の作動油室18に供給される油圧が減少し、ドリブンプーリ17の可動側プーリ半体44が固定側プーリ半体43から離反して有効半径が減少することにより、無段変速機TのレシオがLOW側からOD側に向けて連続的に変化する。
【0022】
ドライブプーリ15およびドリブンプーリ17の構造は実質的に同一であるため、その代表としてドライブプーリ15の構造を説明する。
【0023】
図2に示すように、ドライブプーリ15は固定側プーリ半体41および可動側プーリ半体42を備えており、固定側プーリ半体41はアウタシャフト40と一体に形成され、可動側プーリ半体42はアウタシャフト40に対して軸線L方向摺動可能かつ相対回転不能に支持される。即ち、アウタシャフト40の外周面に軸線L方向に形成されたスプライン溝40aと、可動側プーリ半体42のボス部42aの内周面に軸線L方向に形成されたスプライン溝42bとにキー45が嵌合して一対のクリップ46,47で係止されており、このキー45がアウタシャフト40のスプライン溝40aに沿って摺動することで、可動側プーリ半体42はアウタシャフト40と一体に回転しながら、固定側プーリ半体41に対して接近・離間することができる。
【0024】
アウタシャフト40の外周に金属板材をプレス成型したプーリカバー48の中心部が嵌合し、アウタシャフト40をケーシングに支持するためのボールベアリング49を挟んでナット50で締結される。プーリカバー48は可動側プーリ半体42に向かって開放するカップ状の部材であって、その内部に軸線Lを中心とする環状の隔壁48aが突設されており、隔壁48aと、径方向に延びる内側側壁48bと、アウタシャフト40の外周面との間に環状の第1作動油室16aが形成されるとともに、隔壁48aと、径方向に延びる外側側壁48cと、軸線L方向に延びる周壁48dとの間に環状の第2作動油室16bが形成される。また可動側プーリ半体42の側壁42cの外周部から周壁42dが軸線L方向に延びており、周壁42dと、側壁42cと、ボス部42aとの間に環状の第3作動油室16cが形成される。
【0025】
可動側プーリ半体42のボス部42aには第1作動油室16aに臨む環状の第1ピストン51の内周部がクリップ52で係止されており、第1ピストン51の外周部はシール部材53を介してプーリカバー48の隔壁48aに摺動自在に嵌合する。プーリカバー48の隔壁48aおよび周壁48dには、第2作動油室16bに臨む環状の第2ピストン54が一対のシール部材55,56を介して摺動自在に嵌合する。可動側プーリ半体42のボス部42aおよび周壁42dには、第3作動油室16cに臨む環状の第3ピストン57が一対のシール部材58,59を介して摺動自在に嵌合する。
【0026】
アウタシャフト40の内部に軸線L方向に形成した油路40bから径方向に延びる油孔40cがアウタシャフト40の外周面に軸線L方向に形成した油溝40dに連通しており、この油溝40dは可動側プーリ半体42のボス部42aに形成した油孔42eを介して第3作動油室16cに連通する。また前記油溝40dは可動側プーリ半体42のボス部42aの先端に形成した切欠き42fを介して第1作動油室16aに連通するとともに、第1作動油室16aはプーリカバー48の隔壁48aに形成した油孔48eを介して第2作動油室16bに連通する。
【0027】
金属ベルト19は、多数の金属リングを積層して構成した一対の金属リング集合体60,60に多数の金属エレメント61を支持して無端状に形成されており、ドライブプーリ15の固定側プーリ半体41および可動側プーリ半体42に巻き掛けられる。
【0028】
従って、アウタシャフト40の油路40bから供給された作動油は、アウタシャフト40の油孔40c、アウタシャフト40の油溝40dおよび可動側プーリ半体42のボス部42aの切欠き42fを経て第1作動油室16aに供給され、そこからプーリカバー48の隔壁48aの油孔48eを経て第2作動油室16bに供給される。その結果、第1作動油室16aに臨む第1ピストン51が移動して可動側プーリ半体42のボス部42aを押圧するとともに、第2作動油室16bに臨む第2ピストン54が移動して可動側プーリ半体42の周壁42dを押圧する。これと同時に、アウタシャフト40の油路40bから供給された作動油は、アウタシャフト40の油孔40cおよび可動側プーリ半体42のボス部42aの油孔42eを経て第3作動油室16cに供給され、プーリカバー48の隔壁48aに拘束された第3ピストン57に対して可動側プーリ半体42の側壁42cを押圧する。その結果、可動側プーリ半体42が固定側プーリ半体41に向かって接近し、ドライブプーリ15の溝幅が減少して金属ベルト19が径方向外側に移動する。
【0029】
次に、プーリカバー48の製造方法を説明する。
【0030】
先ず図3(A)に示す第1工程で、平坦な金属板材48′をプレス加工することで、金属板材48′が二枚重ねになった環状の隔壁48aを形成する。続いて図3(B)に示す第2工程で、隔壁48aの径方向外側にダイ64をセットした状態で、パンチ63を軸線L側から径方向外向きに移動させてダイ64の孔部64aに打ち込むことで、剪断力で隔壁48aに油孔48eを穿設する。このとき、プーリカバー48の周壁48d(図3(C)参照)は未だ形成されていないため、ダイ64が周壁48dと干渉することがなく、よって油孔48eを軸線Lに対して直交する方向に形成することができる。
【0031】
この第2工程で、パンチ63が二枚重ねになった金属板材48′の隔壁48aを貫通するとき、油孔48eの内部にバリ48fが発生するが、そのバリ48fが二重になった金属板材48′の一方から他方に食い込んでシール効果を発揮することで、特別のシール部材や特別のシール加工を必要とせずに、隔壁48aの油孔48eから作動油が漏れるのを防止することができる。
【0032】
続いて図3(C)に示す第3工程で、金属板材48′の外周部をプレス加工で折り曲げることで、環状の周壁48dを形成してプーリカバー48を完成する。
【0033】
以上のように、プーリカバー48の周壁48dを加工する前に隔壁48aに油孔48eを加工することで、パンチ63やダイ64が周壁48dと干渉することが回避されるため、油孔48eを軸線Lに対して直交する方向に形成することが可能となり、図4に示す従来例に比べて、油孔48eが軸線L方向に占める寸法を減少させてプーリカバー48の軸線L方向の寸法を小型化することができる。しかもプーリカバー48をプレスにより製造することができるので、それを鍛造により製造する場合に比べて大幅なコストダウンが可能になる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0035】
例えば、本発明の無端伝動部材は実施の形態の金属ベルト19に限定されず、ゴム等の可撓性材料で構成したベルトであっても良く、また無端チェーンであっても良い。
【0036】
また実施の形態の作動油室16は第1〜第3作動油室16a〜16cで構成されているが、少なくとも第1、第2作動油室16a,16bで構成されていれば良い。
【0037】
また実施の形態では油孔48eをピアス加工で形成しているが、ドリル加工やレーザー加工で形成することが可能である。
【0038】
また実施の形態では本発明をドライブプーリ15に適用しているが、それをドリブンプーリ17に対して適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
15 ドライブプーリ
16a 第1作動油室
16b 第2作動油室
17 ドリブンプーリ
19 金属ベルト(無端伝動部材)
40 アウタシャフト(回転軸)
41 固定側プーリ半体
42 可動側プーリ半体
48 プーリカバー
48a 隔壁
48d 周壁
48e 油孔
48′ 金属板材
63 パンチ
64 ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブプーリ(15)およびドリブンプーリ(17)に無端伝動部材(19)を巻き掛け、前記ドライブプーリ(15)の溝幅および前記ドリブンプーリ(17)の溝幅を油圧で変化させることで変速比を変更する無段変速機であって、
前記ドライブプーリ(15)および前記ドリブンプーリ(17)の少なくとも一方は、回転軸(40)に固定された固定側プーリ半体(41)と、前記回転軸(40)に相対回転不能かつ軸方向移動可能に支持された可動側プーリ半体(42)と、前記回転軸(40)に固定されて前記可動側プーリ半体(42)の背面に対向するプーリカバー(48)と、前記プーリカバー(48)の内部に環状の隔壁(48a)によって径方向内外に分離して区画された第1、第2作動油室(16a,16b)とを備え、前記第1、第2作動油室(16a,16b)に供給された油圧で前記可動側プーリ半体(42)を前記固定側プーリ半体(41)に向けて付勢するものにおいて、
金属板材(48′)を加工して前記プーリカバー(48)を製造する工程が、前記環状の隔壁(48a)をプレス成形する第1工程と、前記隔壁(48a)に前記第1、第2作動油室(16a,16b)を連通させる油孔(48e)を開設する第2工程と、前記隔壁(48a)の径方向外側に前記第2作動油室(16b)の周壁(48d)をプレス成形する第3工程とを含むことを特徴とする、無段変速機におけるプーリカバーの製造方法。
【請求項2】
前記油孔(48e)はピアス加工により開設されることを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機におけるプーリカバーの製造方法。
【請求項3】
前記ピアス加工は、ダイ(64)を前記隔壁(48a)の径方向外側にセットした状態で、パンチ(63)を前記隔壁(48a)の径方向内側から前記ダイ(64)に向けて移動させることで行うことを特徴とする、請求項2に記載の無段変速機におけるプーリカバーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11345(P2013−11345A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116325(P2012−116325)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(591214527)株式会社ジーテクト (11)
【Fターム(参考)】