無線タグ通信装置及びタグラベル作成装置
【課題】通信手段からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、確実に物品検出を行う。
【解決手段】無線タグ通信装置1は、表示部5を設けた筐体4の上部に、検出対象の物品に設けられた無線タグ回路素子Toと無線通信を行うためのアンテナ2と、このアンテナ2による通信対象の無線タグ回路素子Toを把握するためのタグ把握情報を備えたバーコード11から、タグ把握情報を光学的に取得するバーコードセンサ3とを備えている。
【解決手段】無線タグ通信装置1は、表示部5を設けた筐体4の上部に、検出対象の物品に設けられた無線タグ回路素子Toと無線通信を行うためのアンテナ2と、このアンテナ2による通信対象の無線タグ回路素子Toを把握するためのタグ把握情報を備えたバーコード11から、タグ把握情報を光学的に取得するバーコードセンサ3とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報送受信可能な無線タグ回路素子に対し、無線通信を介して情報の送受信を行う無線タグ通信装置、及びそのような用途に用いるラベルを作成可能なタグラベル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、商品管理や検査工程等の様々な分野において既に実用化が進んでいる。
【0003】
この無線タグを物流システムに応用した例として、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術は、トラックで荷物を配送する場合において運転手が実行する荷物の積み卸しの管理に応用したものである。すなわち、トラックに積載される各荷物に無線タグ回路素子(無線ICタグ)が備えられるとともに、トラックの荷物積み卸し口の周囲にリーダ(アンテナ)を設けておき、積み下ろし時に荷物が通過する際に、各荷物の無線タグ回路素子からその荷物の送り先、内容物等の荷物情報を取得し、あらかじめ物流情報センタのサーバから取得した荷物情報と比較してチェックを行う。これにより、予定通り荷物の積み卸しがされているか否かの自動的なチェック作業を可能としている。
【特許文献1】特開2001−19167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば上記のように物流において流通する複数の物品に無線タグを取り付けてそれら複数の物品の検出を行う場合に、通常リーダはある程度の広がりをもった通信範囲を持つため、その通信範囲にある全ての無線タグが応答信号を返信してしまう。このとき、目的物である物品が目視でわかっていても、その目的物に取り付けられた無線タグの応答信号がどれなのかがわからない。すなわち、通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合、通信対象が把握できず、物品検出を行えない恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、通信範囲に複数の検出対象物品があっても、確実にそれらの物品の検出を行える無線タグ通信装置及びタグラベル作成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、検出対象の物品に設けられ情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するアンテナとを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信手段と、この通信手段による通信対象の前記無線タグ回路素子を把握するためのタグ把握情報を備えた光学識別子より、前記タグ把握情報を光学的に取得する情報取得手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、情報取得手段で光学識別子よりタグ把握情報を取得することで、その取得したタグ把握情報を用いて通信手段において通信対象とする無線タグ回路素子を把握することが可能となる。これにより、通信手段からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、当該複数の物品に係わる複数の無線タグ回路素子が応答し(=通信対象が把握できず)物品検出を行えない従来技術と異なり、上記把握した無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づいて物品検出を完了する(物品数のみ突き合わせの検品を含む)ことができる。
【0008】
第2発明は、上記第1発明において、前記情報取得手段は、複数の前記物品に対し包括的に関連づけられた前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記複数の物品にそれぞれ設けられた前記無線タグ回路素子に係わる複数タグ関連情報を取得することを特徴とする。
【0009】
情報取得手段で複数タグ関連情報を取得し、それを用いて通信手段において通信対象とする無線タグ回路素子を把握することで、把握した無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づき物品検出を完了することができる。
【0010】
第3発明は、上記第2発明において、前記情報取得手段は、前記複数タグ関連情報として、前記複数の物品の数情報を取得することを特徴とする。
【0011】
これにより、情報取得手段で取得した物品の数と、通信手段での情報送受信できた無線タグ回路素子の数とを対比させることで、物品検出を実行することが可能となる。
【0012】
第4発明は、上記第3発明において、前記情報取得手段で取得した前記複数の物品の数情報と、前記通信手段を介して取得した前記複数の物品に係わる前記無線タグ回路素子の数とを照合判定する第1判定手段を有することを特徴とする。
【0013】
第1判定手段で、情報取得手段で取得した物品の数と通信手段での情報送受信できた無線タグ回路素子の数とを照合判定することにより、これらの数が一致したことをもって物品検出完了とすることができる。
【0014】
第5発明は、上記第2発明において、前記情報取得手段は、前記複数タグ関連情報として、前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする。
【0015】
情報取得手段で無線タグ回路素子の識別情報(又はその一部)を取得し、それを用いて通信対象の無線タグ回路素子を特定して通信手段で情報送受信を行い、物品検出を完了することができる。また、複数タグ関連情報自体が無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部を構成することにより、別途サーバにアクセスして複数タグ関連情報に対応する無線タグ回路素子の識別情報を取得する必要がなくなるので、物品検出処理の迅速化・効率化を図れる効果もある。
【0016】
第6発明は、上記第5発明において、前記情報取得手段は、前記複数タグ関連情報として、複数の物品にそれぞれ設けられた複数の前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする。
【0017】
情報取得手段で、複数の物品それぞれに設けた各無線タグ回路素子の識別情報(又はその一部)をまとめて取得し、それを用いて通信対象の無線タグ回路素子を特定して通信手段で情報送受信を行い、物品検出を完了することができる。なおこのとき、複数の物品に設けた無線タグ回路素子全部に対応した識別情報(又はその一部)を取得する必要は必ずしもない。すなわち、識別情報の付与について一定の法則性等がある場合には、それら複数の物品のうち少なくとも一部の物品に設けた無線タグ回路素子の識別情報より、残余の物品に設けた無線タグ回路素子の識別情報を算出(推定、類推)する等でも良い。
【0018】
第7発明は、上記第1発明において、前記情報取得手段は、前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記物品に設けられた前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された当該物品に係わる物品情報を取得することを特徴とする。
【0019】
情報取得手段で検出対象の物品情報を取得し、それを用いて通信手段において通信対象とする無線タグ回路素子を把握する(当該物品情報をIC回路部に記憶した無線タグ回路素子が通信対象)。これにより、各無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づき、当該物品情報を記憶した無線タグ回路素子を検出することで、物品検出を完了することができる。
【0020】
第8発明は、上記第7発明において、前記情報取得手段で取得した前記属性情報と、前記通信手段を介して取得した前記無線タグ回路素子に記憶された前記属性情報とを照合判定する第2判定手段と、この第2判定手段による判定結果に基づき、前記情報取得手段で取得した前記属性情報に合致する属性情報を記憶した前記無線タグ回路素子の識別情報を特定する識別情報特定手段とを有することを特徴とする。
【0021】
第2判定手段で、情報取得手段で取得した属性情報と、通信手段における無線タグ回路素子との情報送受信により取得した属性情報とを照合判定し、さらに識別情報特定手段で、上記照合判定結果が一致した無線タグ回路素子を、通信対象としてその識別情報を特定する。そして、その特定された識別情報に基づき検出対象の物品に係わる無線タグ回路素子と通信を行うことで、物品検出を完了することができる。
【0022】
第9発明は、上記第5又は第8発明において、前記タグ把握情報を用いて通信対象の前記無線タグ回路素子を特定した後、この特定した無線タグ回路素子の識別情報と対応する前記タグ把握情報との相関を生成する相関生成手段を有することを特徴とする。
【0023】
通信対象の無線タグ回路素子の特定が完了したとき、相関生成手段で、無線タグ回路素子の識別情報とタグ把握情報との相関を生成することにより、これ以降は、情報取得手段でタグ把握情報を取得したら、相関を利用しただちに無線タグ回路素子の識別情報を取得することができる。
【0024】
上記目的を達成するために、第10発明は、情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子を有するタグ媒体を搬送する搬送手段と、この搬送手段で搬送される前記タグ媒体の前記無線タグ回路素子と無線通信を介し情報送受信を行う通信手段と、この通信手段による前記無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した光学識別子を、前記タグ媒体に形成する識別子形成手段とを有することを特徴とする。
【0025】
本願第10発明においては、搬送手段でタグ媒体が搬送されると、そのタグ媒体に備えられた無線タグ回路素子に対し、通信手段により無線通信を介し情報送受信が行われる。このとき、識別子形成手段によって当該情報送受信内容に対応した光学識別子がタグ媒体に形成され、これによって光学識別子つきの無線タグラベルが作成される。
【0026】
このようにして作成された無線タグラベルは、例えば光学識別子に対し無線タグ回路素子を把握可能なタグ把握情報を記憶させておけば、その後無線タグ通信装置にて読み取りを行う際に、当該無線タグ通信装置に備えられた情報取得手段で光学識別子より取得した当該タグ把握情報を用い、通信対象とする無線タグ回路素子を把握することが可能となる。この場合、通信手段からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、当該複数の物品に係わる複数の無線タグ回路素子が応答し(=通信対象が把握できず)物品検出を行えない従来技術と異なり、上記把握した無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づいて物品検出を完了する(物品数のみ突き合わせの検品を含む)ことができる。
【0027】
第11発明は、上記第10発明において、前記識別子形成手段は、前記搬送手段による搬送と協働して、前記タグ媒体に対し、前記光学識別子としてのバーコードを印字する印字手段であることを特徴とする。
【0028】
印字手段でバーコードを印字することで、通信手段を介した無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した情報(タグ把握情報等)をタグ媒体に記録することができる。
【0029】
第12発明は、上記第11発明において、前記印字手段は、前記光学識別子として、2次元バーコードを前記タグ媒体に対し印字することを特徴とする。
【0030】
これにより、通信手段を介した無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した情報(タグ把握情報等)を2次元バーコードの形でタグ媒体に記録することができる。
【0031】
第13発明は、上記第10乃至12発明のいずれかにおいて、前記タグ媒体のうち、前記光学識別子を形成した部分と、前記無線タグ回路素子を備えた部分とを分離可能な分離線を形成する分離線形成手段を有することを特徴とする。
【0032】
これにより、作成後の無線タグラベルを、分離線を介し光学識別子部分と無線タグ回路素子部分とに容易に分離し、別々の場所に貼り付けて用いることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、通信範囲に複数の検出対象物品があっても、確実にそれらの物品の検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0035】
本発明の第1の実施形態を図1〜図8により説明する。本実施形態は、本発明を、物品ケース内の複数物品の検出処理に用いた場合の実施形態である。
【0036】
図1は、本実施形態に係る無線タグ通信装置を表す正面図である。
【0037】
図1において、この無線タグ通信装置(リーダ)1は、無線タグラベルT(後述の図5等を参照)に備えられた無線タグ回路素子To(後述の図2等を参照)とバーコード11(光学識別子。後述の図5等を参照)の2つに対応しそれらの読み取りが可能な(デュアルタイプの)ものである。
【0038】
すなわち、無線タグ通信装置1は、表示部5(表示手段)を設けた筐体4の上部に、検出対象の物品に設けられた無線タグ回路素子Toと無線通信を行うためのアンテナ(装置側アンテナ)2と、このアンテナ2による通信対象の無線タグ回路素子Toを把握するためのタグ把握情報を備えたバーコード(光学識別子)11から、タグ把握情報を光学的に取得するバーコードセンサ(情報取得手段)3とを具備している。
【0039】
表示部5は、この例では筐体4の表側(図1中手前側)の大部分を占めるように設けられている。表示部5の上側には、音声報知手段7(例えばブザー、アラーム、チャイムスピーカ等)が、表示部5の下側には、操作手段の一部を構成する(この例では機械式の)操作部6がそれぞれ設けられている。
【0040】
表示部5は、この例では公知のタッチパネルとして構成され、操作手段としての機能の大部分がこのタッチパネルに表示される各種ボタンで行えるようになっている。これらタッチパネルのボタン等と操作部6とによって、表示や探索等に係わる種々の操作入力が行えるようになっている。これにより、各種通信状態等を表示するのみならず、表示機能と操作機能の両方をタッチパネルで兼ねることで、スペースの低減及び手動操作の容易化を図ることができる。
【0041】
操作部6は、この例ではスライダータイプであるが、その他適宜のキー、ボタン、スイッチ、パッド等であってもよい。さらにいわゆるシーソーボタンや、装置を持ったままで操作できる親指操作ボタン等でもよい。
【0042】
装置側アンテナ2は、例えば単一指向性又は無指向性のアンテナとして構成されている。
【0043】
図2は、上記リーダ1の検出対象の物品に設けられた無線タグラベルTに備えられる無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0044】
図2において、無線タグ回路素子Toは、リーダ1のアンテナ(装置側アンテナ)2との間でUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
【0045】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0046】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記リーダ1のアンテナ2からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、アンテナ151が受信した搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
【0047】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0048】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0049】
図3は、上記リーダ1の制御系の構成を表す機能ブロック図である。
【0050】
図3において、リーダ1の制御系は、上記アンテナ2を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む無線タグ情報)へアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路201と、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ1全体の動作を制御するための制御回路202とを有する。
【0051】
高周波回路201は、アンテナ2を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ2により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0052】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子215A、制御回路30の制御により所定の周波数の信号を発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯等の周波数を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介し送信アンテナ2に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0053】
受信部213は、アンテナ2で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ2で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
【0054】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のリーダ1では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0055】
制御回路202は、上記高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213からの受信信号を入力した後無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。また制御回路202は、操作部6等の操作手段からの操作信号を入力するとともに、表示部5への表示制御信号、音声報知手段7への報知信号等を出力する。
【0056】
図4は、この制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【0057】
図4において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、各種プログラムを格納したROM202Bと、一時記憶メモリであるRAM202Cと、アンテナ2(高周波回路201)やバーコードセンサ3との信号送受を行う回路制御部202D等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路202は、適宜の不揮発性メモリ202Eを備えていても良い。
【0058】
以上のリーダ1は、操作部6及び表示部5に表示される各種操作ボタンにより、バーコードセンサ3を用いてバーコードセンサ3をバーコード11に沿わせて走査することにより、バーコード11に記録された情報(バーコード情報)を光学的に読み取り、またアンテナ2及び高周波回路201等の通信手段を用いてアンテナ2を介して無線タグラベルT(T1,T2,・・・)の無線タグ回路素子Toと無線通信することにより、無線タグ回路素子Toに備えられたIC回路部150に記憶されているタグID(タグ識別情報)を読み取るようになっている。
【0059】
図5は、上記構成のリーダ1を用いて物品ケース内の複数物品の検出処理を行っている状況を表わす説明図である。なお、分かりやすくするために物品ケース内でも実線で表記している。
【0060】
図5において、梱包ケース等の物品ケース10内には複数(ここでは7個)の物品12が収納されており、この各物品12の一側面には無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルTが貼り付けられ、物品ケース10の一側面にはバーコード11が貼り付けられている。なおラベル状のものでない、例えばカード状、シート状の無線タグを配置、同梱等するようにしてもよい。検出対象となる上記物品12は、例えば、書類、備品、資材、設備、機械その他の可般物等である。
【0061】
バーコード11は、この例では二次元バーコードであるQRコードであるが、一次元バーコードでも良い。このバーコード11は、物品ケース10に設けることによって複数の物品12に対し包括的に関連付けられており、バーコード11には、複数の物品12にそれぞれ設けられた無線タグ回路素子Toに係わる物品12の物品数(複数タグ関連情報、タグ把握情報)が記録されている。
【0062】
図6は、上記制御回路202のCPU202Aが実行する物品検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0063】
図6において、まず、ステップS110で、バーコードセンサ3の検出結果に基づき、所定の物品ケース10に設けたバーコード11からバーコード情報を取得する。
【0064】
その後、ステップS120で、上記ステップS110で読み出したバーコード情報に基づき、物品ケース10内の物品12の数情報(物品数)を取得する。
【0065】
そして、ステップS130に移り、無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための不特定問合せコマンド(例えば「Scroll All ID」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての不特定問合せ信号(例えば「Scroll All ID」信号等)が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0066】
次に、ステップS140で、上記不特定問合せ信号に対応し、アクセス対象のそれぞれの物品12の無線タグ回路素子Toから送信された応答信号(リプライ信号)をアンテナ2を介して受信し、高周波回路201及び回路制御部202Dを介し取り込む。このときの受信できた応答信号の数を、発見できた無線タグラベルTの数とすることができる。なお、上記不特定問い合わせ信号の送信時に応答信号の衝突が生じて応答信号の数を明確に特定できなかった場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、通信範囲にある無線タグ回路素子Toに応答を促しその一群の応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に応答信号の数(=言い換えれば発見した無線タグラベルTの数)を特定するようにすればよい。
【0067】
その後、ステップS150に移り、上記ステップS140での応答信号の受信により発見されたタグ発見数とステップS120でバーコード11を介して取得した物品ケース内物品数とを照合し、タグ発見数と取得した物品ケース内物品数とが一致するか否かを判定する(第1判定手段)。
【0068】
タグ発見数と取得した物品ケース内物品数とが一致していない場合、ステップS150の判定が満たされず、ステップS160に移り、ステップS130の不特定問合信号の送信から所定時間経過したかを判定する。所定時間が経過していたら正常な読み取り処理できなかったとみなして、ステップS170でリーダ1の表示部5に表示信号を出力してエラー表示をさせた後、このルーチンを終了する。ステップS160で所定時間が経過していなければ、ステップS130に戻って同様の手順を繰り返す。
【0069】
一方、ステップS150において、タグ発見数が物品ケース内物品数に一致した場合、判定が満たされ、ステップS180で表示部5に表示信号を出力して検出完了表示を行わせ、このフローを終了する。
【0070】
本実施形態によれば、以上のように、物品ケース10に複数の物品12が収納されている場合に、リーダ1のバーコードセンサ3でバーコード1の情報を読み出すことで物品ケース10内の物品12の数情報を取得する。その一方、アンテナ2を介した無線通信により物品12に係る無線タグ回路素子Toの数情報を取得する。そして、それら物品12の数情報と無線タグ回路素子Toの数を対比させて一致を確認することにより、物品ケース10内の物品12の物品検出を完了することができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、物品ケース10に設けたバーコード11に、複数タグ関連情報として物品12の数情報のみが記録されていたが、これに限られず、各物品12に係る無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)の少なくとも一部を記録するようにしても良い。この場合、リーダ1のバーコードセンサ3でバーコード11を読み取って無線タグ回路素子Toの識別情報(又はその一部)を取得し、前述の図16のステップS130ではその取得した識別情報を用いてリーダ1の通信対象の無線タグ回路素子Toを特定して、アンテナ2より特定問い合わせ信号(例えば「Scroll ID」信号や「Ping」信号等)を用いて情報送受信を行うことで無線タグラベルTの発見を行う。
【0072】
図7(a)〜(c)は、このような変形例におけるバーコード情報とタグIDの関連付けの一例を表わす概念的説明図である。
【0073】
図7(a)は、バーコード情報とタグIDとが一致している場合(タグIDのすべてがバーコード11に記録されている場合)を表しており、この場合は、バーコード情報をそのままタグIDとして指定して無線タグ回路素子Toにアクセスすることができる。
【0074】
図7(b)は、タグIDの一部を含むバーコード情報がバーコード11に記録されている場合を表しており、この場合は、バーコード情報にタグIDの共通部分(予め分かっている場合。図の例では“123456890”)を付け加えてこれをタグIDとして指定して無線タグ回路素子Toにアクセスすることができる。
【0075】
図7(c)は、バーコード情報がタグIDを全て含む場合(タグIDのすべてがバーコード11に記録されている場合)を表しており、この場合は、バーコード情報から“000”(=予め分かっている場合)を除いたタグID部のみを抽出しこれを指定して無線タグ回路素子Toにアクセスすることができる。
【0076】
図8(a)は、本変形例の制御回路202のCPU202Aが実行する物品検出処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図6にほぼ相当する図である。
【0077】
図8(a)において、まず、ステップS210において、前述の図6のステップS110と同様、バーコードセンサ3により、所定の物品ケース10に設けられたバーコード11からバーコード情報を取得する。このバーコード情報には、図7(a)〜(c)で例示したように、各物品12に係る無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)の少なくとも一部(複数タグ関連情報)が含まれている。
【0078】
その後、ステップS220で、上記ステップS210で読み出したバーコード情報より、上記物品ケース10内の全物品12の無線タグ回路素子ToのタグIDの少なくとも一部(以下、単にタグIDという)を例えば図8(b)に示すようなリスト形式(タグIDリスト)で取得する。
【0079】
そして、ステップS230において、上記取得したタグIDを元に、通信対象となる無線タグ回路素子Toを特定して、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための特定問合せコマンド「Scroll ID」コマンドや「Ping」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての特定問合せ信号(「Scroll ID」信号又は「Ping」信号)が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して当該タグIDを備えたアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0080】
その後、ステップS240で、上記特定問合せ信号に対応し、上記アクセス対象のそれぞれの物品12の無線タグ回路素子Toから送信された応答信号(リプライ信号)をアンテナ2を介して受信し、高周波回路201及び回路制御部202Dを介し取り込む。これにより、IDリストに備えられた各タグIDに対応した無線タグラベルTを順次発見することができる。
【0081】
そして、ステップS250において、応答信号の受信によりIDリストに備えられた各タグIDに対応した無線タグラベルTを全て発見できたか否かを判定する。すべてのタグの発見が完了されるまでは判定が満たされず、ステップS260に移り、上記ステップS230の特定問合せ信号の送信から所定時間経過したかを判定する。所定時間が経過していたら正常な読み取り処理できなかったとみなして、ステップS270でリーダ1の表示部5にエラー表示をさせた後、このルーチンを終了する。ステップS260で所定時間が経過していなければ、ステップS230に戻って同様の手順を繰り返す。
【0082】
一方、ステップS250において、IDリストに備えられた各タグIDに対応した無線タグラベルTを全て発見完了した場合、判定が満たされ、ステップS280で表示部5に表示信号を出力して検出完了表示を行わせ、このフローを終了する。
【0083】
本変形例では、以上のように、物品ケース10に複数の物品12が収納されている場合に、リーダ1のバーコードセンサ3により物品ケース10のバーコード11から無線タグ回路素子Toの識別情報(又はその一部)を取得し、それを用いて通信対象の無線タグ回路素子Toを特定して情報送受信を行い、ケース10内のすべての物品12について情報送受信が完了したことをもって物品検出を完了することができる。
【0084】
また本変形例では特に、バーコード情報自体が無線タグ回路素子ToのタグIDの少なくとも一部を構成することにより、バーコード情報に基づき別途サーバにアクセスしてタグIDを取得する場合に比べれば、物品検出処理の迅速化・効率化を図れる効果もある。
【0085】
なお、前述のようにバーコード11から無線タグ回路素子Toの識別情報(又はその一部。以下同様)を(例えばリスト形式で)取得する場合、複数の物品12に設けた無線タグ回路素子Toの全数の識別情報を取得する必要は必ずしもない。すなわち、識別情報の付与について一定の法則性等がある場合には、それら複数の物品12のうち少なくとも一部の物品12に設けた無線タグ回路素子Toの識別情報を(例えばリスト抜粋形式で)取得し、その取得した識別情報より、残余の物品12に設けた無線タグ回路素子Toの識別情報を算出(推定、類推)する等でも良い。
【0086】
例えば、バーコード11に、物品ケース10内の全物品12に係わる一連の無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を順番に並べたときの最初と最後の番号のみ記録するようにした場合、バーコード11よりタグID「1234」「1334」を取得したら、この「1123」〜「1334」までの範囲のタグIDの間に限定して情報送受信を行い、無線タグ回路素子Toの読み取りを行うようにしてもよい。
【0087】
本発明の第2の実施形態を図9〜図12により説明する。本実施形態は、タグ把握情報として、物品12の属性情報を用いる場合の実施形態である。第1の実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0088】
図9は、本実施形態におけるバーコード11のバーコード情報と、無線タグ回路素子Toに記憶された情報との関連付けを概念的に表わす説明図である。
【0089】
図9において、物品12は、例えば所定数ごとにパレットAに配置されている。そして、物品12に設けられた無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toには、それぞれの識別情報(タグID)と、各無線タグ回路素子Toに関連づけられる物品12の属性情報(この場合は物品12が配置されたパレット名称等のパレット情報)と、この例では併せて物品情報(物品種類や物品名等)とが記憶されている。つまり、図9に示すように、例えば物品Aに設けられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150には「ID1」「パレットA」「物品A」のようなタグID、属性情報、物品情報が記憶されている。同様に、物品Bに設けられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150には「ID2」「パレットA」「物品B」、物品Cに設けられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150には「ID3」「パレットA」「物品C」が記憶されている。
【0090】
本実施形態では、例えば図9に示すように、バーコード11に、上記属性情報「パレットA」が記録されている。したがって、このバーコード11より当該「パレットA」(パレット名称)を取得し、アンテナ2を介して各無線タグ回路素子Toとの情報送受信を行ったとき当該「パレットA」という属性情報を記憶した無線タグ回路素子Toを検出することで、目的とする無線タグ回路素子Toを(この例では他のパレットB,C…に搭載されたものとは区別して)特定し、そしてこれに基づき当該特定された無線タグ回路素子Toと情報送受信を行うことで特定物品の物品検出を完了することができる。
【0091】
なお、バーコード11は、適宜な設置態様のものでよく、物品12自体や物品ケース10、あるいは物品陳列棚に設けたり、さらには物品管理台帳に印刷されたもの等でも好適に実施できるのはもちろんである。
【0092】
図10(a)は、上記を実行するために本変形例の上記制御回路202のCPU202Aが実行する物品検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0093】
図10(a)において、まず、ステップS310で、バーコードセンサ3の検出結果に基づき、前述した物品12自体や物品ケース10、あるいは物品陳列棚バーコード11等からバーコード情報を取得する。
【0094】
その後、ステップS315で、上記ステップS310で読み出したバーコード情報に基づき、タグ把握情報としての属性情報(図9の例では「パレットA」)を取得する。
【0095】
そして、ステップS320に移り、無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための不特定問合せコマンド(例えば「Scroll All ID」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての不特定問合せ信号(例えば「Scroll All ID」信号等)が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0096】
その後、ステップS322において、上記不特定問合せ信号に対応し、アクセス対象のそれぞれの物品12の無線タグ回路素子Toから送信された応答信号(リプライ信号)をアンテナ2を介して受信し高周波回路201及び回路制御部202Dを介し取り込まれたかどうかを判定する。受信されていたら判定が満たされてステップS325へ移る。
【0097】
なお、前述と同様、上記不特定問い合わせ信号の送信時に応答信号の衝突が生じて応答信号を明確に特定できなかった場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、通信範囲にある無線タグ回路素子Toに応答を促しその一群の応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に応答信号を特定するようにすればよい。
【0098】
その後、ステップS330において、ステップS325において、各無線タグ回路素子Toからの応答信号それぞれにタグIDとともに含まれる各無線タグ回路素子Toに記憶された属性情報(この例ではパレット名称)を抽出取得するとともに、その取得した属性情報とステップS315でバーコード情報に基づき取得された属性情報とを照合する。そして、それら2つの属性情報が一致するかどうか(上記の例では無線タグ回路素子Toから取得された属性情報が”パレットA”であるか否か)を判定する(第2判定手段)。
【0099】
属性情報が一致しない場合、判定が満たされず、ステップS332へ移る。ステップS332では、上記ステップS330で属性情報が一致しなかった無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を特定して取得する。なお、このとき、前述と同様、衝突等が生じた場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、上記属性情報が一致した無線タグ回路素子Toに対しさらにそれらの応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に各無線タグ回路素子ToのタグIDを個別に特定するようにしてもよい。
【0100】
そして、ステップS333において、上記ステップS332で特定したタグIDを指定して、当該無線タグ回路素子Toを休眠化するための休眠化コマンド「Sleep」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての休眠化信号が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して当該タグIDを備えたアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、休眠化させる(通信機能を一時停止させる)。
【0101】
その後、ステップS335に移り、ステップS320の不特定問合せ信号の送信から所定時間経過したかを判定する。所定時間が経過していなければ、ステップS320の不特定問合信号の送信以下の処理を繰り返す。このようにして属性情報が一致しない無線タグ回路素子Toが検出されるときはステップS320〜ステップS333を繰り返し当該無線タグ回路素子Toを次々と休眠化させることで、属性情報が一致する無線タグ回路素子Toを円滑に検出できるようにする。ステップS335で所定時間が経過したら正常な読み取り処理ができなかったとみなして、ステップS340で表示部5に表示信号を出力してエラー表示をさせた後、このルーチンを終了する。
【0102】
一方、ステップS330において、属性情報が一致していた(前述の例では無線タグ回路素子Toから読み取った属性情報が「パレットA」であった)場合は判定が満たされ、ステップS345に移る。
【0103】
ステップS345では、上記ステップS330で属性情報が一致した無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を特定して取得する(識別情報特定手段)。なお、このとき、前述と同様、衝突等が生じた場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、上記属性情報が一致した無線タグ回路素子Toに対しさらにそれらの応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に各無線タグ回路素子ToのタグIDを個別に特定するようにしてもよい。
【0104】
そして、ステップS350において、上記ステップS345で特定したタグIDを指定して、当該無線タグ回路素子Toを休眠化するための休眠化コマンド「Sleep」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての休眠化信号が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して当該タグIDを備えたアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、休眠化させる(通信機能を一時停止させる)。
【0105】
その後、ステップS355で、上記ステップS345で取得したタグID(識別情報)と、パレット名称(属性情報)との相関を例えば図10(b)に示すテーブルの形で形成し(相関生成手段)、例えばRAM202Cに記憶する。
【0106】
上記ステップS355が終了したら、前述のステップS320に戻って同様に不特定問い合わせ信号を送信し、以降の手順を繰り返す。このようにしてステップS320〜ステップS355を繰り返して属性情報が一致する無線タグ回路素子ToのタグIDをテーブルに書き込みつつその都度休眠化させていき、すべての無線タグ回路素子Toの検出が終了したら応答が受信されなくなってステップS322の判定が満たされなくなるので、ステップS360に移って表示部5に表示信号を出力して検出完了表示を行わせ、このフローを終了する。
【0107】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得る。すなわち、バーコードセンサ3を用いて取得したバーコード情報を用い、これに含まれる属性情報を手がかりにリストを作成し通信対象の(前述の例ではパレットAに配置された物品A、物品B、物品Cに貼付された)無線タグ回路素子Toを特定することができる。これにより、リーダ1の通信範囲に他のパレットに搭載された物品を含む多数の検出対象物品が存在する場合であっても、上記の特定結果に基づいて物品検出を完了することができる。
【0108】
なお、上記第2の実施形態においては、バーコード11に属性情報(パレット情報)が備えられこれをステップS315で取得するとともに、ステップS235で無線タグ回路素子Toの応答信号から取得したパレット情報と一致するかどうかをステップS330で判定し、これに基づき無線タグ回路素子Toを順次特定したが、これに限られない。例えばバーコード11にタグ把握情報として物品情報(「物品A」等)が備えられている場合には、これをステップS315で取得するとともに、ステップS235で無線タグ回路素子Toの応答信号に含まれる物品情報(図9の「物品A」等参照)を取得し、これら物品情報が互いに一致するかどうかをステップS330で判定し、これに基づき無線タグ回路素子Toを順次特定するようにしてもよい。この場合、ステップS335においては、各物品に一対一に対応するバーコード情報とタグIDとの相関関係を表わす対応テーブル(相関テーブル)を生成し(相関生成手段)、例えばRAM202Cに記憶すればよい。
【0109】
図11は、この変形例で生成された、バーコード情報とタグIDとの相関関係の一例を表わすテーブルである。
【0110】
図11において、この例では、バーコード情報は ”1”と”0”の7ビットの数列で構成され、対応するタグIDは、”1”と”0”の16ビットの数列で構成されている。図示のように、バーコード情報とタグIDは、これらの数列で1対1に関係付けられている(テーブルの各欄において横の欄どうしで関連づけ)。
【0111】
図12は、本変形例において、上記のようにテーブルが作成された後の物品検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0112】
すなわち、図12において、まず、ステップS410において、バーコードセンサ3の検出結果に基づきバーコード情報を読み出し、ステップS420でステップS410で取得したバーコード情報から上記相関テーブルを用いて無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を特定する。その後、ステップS430で取得したタグIDを指定して当該無線タグ回路素子Toに特定問合信号(「Scroll ID」信号)を送信し、ステップS440でこれに対応した無線タグ回路素子Toからの応答信号を受信する。応答信号の受信によって物品の検出が完了したらステップS450で表示部5に検出完了表示を行わせ、フローを終了する。
【0113】
本変形例においては、上記のように一度相関関係のテーブルを作成したら、それ以降、バーコード情報を読み出すだけで、相関テーブルを用いて無線タグ回路素子ToのタグIDを直接取得することができる。
【0114】
本発明の第3の実施形態を図13〜図15を用いて説明する。本実施形態は、バーコード付き無線タグラベルの作成装置についての実施形態である。
【0115】
図13(a)は、本実施形態に係るバーコード付き無線タグラベル作成装置を模式的に表わす斜視図であり、図13(b)は、この作成装置で作成された無線タグラベルを表わす平面図である。すなわち、図13(a)に示すバーコード付き無線タグラベル作成装置20が、図13(b)に示すようなバーコード付き無線タグラベル21を作成して、排出するようになっている。
【0116】
図13(b)に示すように、無線タグラベル21は、バーコード11を設けたバーコードラベル領域22と無線タグ回路素子Toを設けた無線タグラベル領域23とからなっており、バーコードラベル領域22と無線タグラベル領域23との間に、これらの部分を手で容易に分離可能なようにハーフカットの分離線24が設けられている。
【0117】
バーコード11はこの例では二次元バーコードであり、バーコードラベル領域22に例えば印刷によって形成されている。また無線タグラベルを設けた無線タグラベル領域23には、無線タグ回路素子ToのIC回路部140の記憶内容に対応した所定の印字Rが印刷されている。
【0118】
図14は、上記図13(a)に示したバーコード付き無線タグラベル作成装置20の詳細構成を表す説明図である。
【0119】
図14において、バーコード付き無線タグラベル作成装置20は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ303(タグ媒体)を巻回したタグテープロール304を着脱可能な(又はタグテープロール304を備えたカートリッジを着脱可能な)タグテープロールホルダ部310と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303を搬送する搬送ローラ309(搬送手段)と、タグテープ303のうち上記バーコードラベル領域22に相当する領域に上記バーコード11を印字すると共に、上記無線タグラベル領域23に相当する領域無線タグ回路素子Toに上記印字Rを印字する印字ヘッド305(印字手段、識別子形成手段)と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(通信手段)と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定長さに切断する(併せて上記分離線24を形成する分離線形成手段として機能させてもよい)カッタ307と、これら各部を統括制御する制御回路302とを備える。
【0120】
高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、上記リーダ1の高周波回路201及び制御回路202とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路302は有線又は無線の上記通信回線(ネットワーク)206を介して上記サーバ207や、他のコンピュータ、端末等と接続されており、それらと情報の送受が可能となっている。
【0121】
図15は、上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0122】
図15において、まずステップS710において、通信回線を介し制御回路302に接続された操作端末等により別途入力された、印字ヘッド305で上記バーコードラベル領域22へ印字するバーコード情報、無線タグラベル領域23へ印字する印字Rの印字情報、及び無線タグ回路素子Toへの書き込み情報が取得される。
【0123】
その後、ステップS720に移り、搬送ローラ309に制御信号を出力してタグテープ303の搬送を開始するとともに、印字ヘッド305に制御信号を出力してタグテープ303のうち無線タグラベル領域23及びバーコードラベル領域22に相当する領域にそれぞれ印字R及びバーコード11の印字を行う。なお、このとき印字される印字R及びバーコード11のバーコード情報の内容は、後述するステップS725で書き込まれる情報と互いに対応づけられている。特にバーコード11には、上記第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例において前述した、タグ把握情報(物品数情報、物品情報等)が記録される。
【0124】
そして、ステップS725において、所定のタグ書込み位置までタグテープ303を搬送して情報(タグIDを含む無線タグ情報)の書き込みを行う。
【0125】
その後、ステップS730に移り、タグテープ303が所定の切断位置となったら搬送ローラ309に制御信号を出力して搬送を停止し、カッタ307を駆動する駆動手段(図示せず)に制御信号を出力してカッタ307を駆動させ、テープ切断を行う。これにより、バーコード11を備えたバーコードラベル領域22と無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベル領域23とからなるバーコード付き無線タグラベル21を作成し、このフローを終了する。
【0126】
以上説明したように、本実施形態では、タグテープ303に備えられた無線タグ回路素子Toに対し、アンテナ306及び高周波回路301によって無線通信を介し情報送受信(情報書き込み)が行われる。またこのとき、印字ヘッド305によって当該情報送受信内容に対応するバーコード11がタグテープ303のうちのバーコードラベル領域22に形成され、これによってバーコード付き無線タグラベル21が作成される。
【0127】
このようにしてラベル21を作成した後は、手によって分離線24の箇所でバーコードラベル領域22と無線タグラベル領域23とに容易に切断して分離することができ、これらを別々の場所に貼り付けて用いることができる。なお、分離線24自体をハーフカット線でなくフルカット線とし、最初からバーコードラベル領域22のラベルと、無線タグラベル領域23のラベルとに分離した状態で作成しても良い。
【0128】
このとき、前述のようにバーコード11には無線タグ回路素子Toを把握可能なタグ把握情報が記録されているので、その後リーダ1で読み取りを行った際に、上記第1又は第2実施形態と同様にして、バーコードセンサ3を用いて検出し取得された上記タグ把握情報を用い、通信対象とする無線タグ回路素子Toを把握することができる。
【0129】
この結果、上記第1又は第2実施形態で前述したように、アンテナ2からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、上記把握した無線タグ回路素子Toとの情報送受信結果に基づいて物品検出を完了する(第1の実施形態のような物品数のみ突き合わせの検品を含む)ことができる。
【0130】
なお、以上においては、バーコード付き無線タグラベル21において、手による切断でバーコード11の部分と無線タグ回路素子Toの部分とに分離し易いように、ハーフカット等の分離線24を設けたが、分離するのに鋏みで切断したり、場合によっては手による引きちぎりを行っても良く、その場合には分離線24は必ずしも必要ではない。
【0131】
なお、以上で用いた「Scroll ALL ID」信号、「Scroll ID」信号、「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0132】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0133】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線タグ通信装置を表す正面図である。
【図2】図1のリーダの検出対象の物品に設けられた無線タグラベルに備えられる無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図3】図1のリーダの制御系の構成を表す機能ブロック図である。
【図4】図3の制御系に設けられた制御回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図5】物品ケース内複数物品の検出処理を表わす説明図である。
【図6】物品検出処理における制御手順を表すフローチャートである。
【図7】バーコードに無線タグ回路素子のタグIDの少なくとも一部を記録する変形例において、バーコード情報とタグIDの関連付けの一例を表わす説明図である。
【図8】物品検出処理における制御手順を表すフローチャート、及び、取得するタグIDリストを表す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるバーコード情報とタグメモリ情報の関連付けを表わす説明図である。
【図10】物品検出処理における制御手順を表すフローチャート、及び、作成したタグIDリストを表す図である。
【図11】バーコード情報とタグIDとの相関関係を表わす対応テーブルの一例を表すテーブルである。
【図12】物品検出処理における制御手順を表すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るバーコード付き無線タグラベル作成装置を模式的に表わす斜視図、及び、作成された無線タグラベルを表わす平面図である。
【図14】図13(a)に示した無線タグラベル作成装置の詳細構成を表わす概念的説明図である。
【図15】制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
1 リーダ(無線タグ通信装置)
2 バーコードセンサ(情報取得手段)
3 装置側アンテナ(通信手段)
5 表示部
10 物品ケース
11 バーコード(光学識別子)
12 物品
20 バーコード付き無線タグラベル作成装置
21 バーコード付き無線タグラベル
24 分離線
T 無線タグラベル
To 無線タグ回路素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報送受信可能な無線タグ回路素子に対し、無線通信を介して情報の送受信を行う無線タグ通信装置、及びそのような用途に用いるラベルを作成可能なタグラベル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、商品管理や検査工程等の様々な分野において既に実用化が進んでいる。
【0003】
この無線タグを物流システムに応用した例として、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術は、トラックで荷物を配送する場合において運転手が実行する荷物の積み卸しの管理に応用したものである。すなわち、トラックに積載される各荷物に無線タグ回路素子(無線ICタグ)が備えられるとともに、トラックの荷物積み卸し口の周囲にリーダ(アンテナ)を設けておき、積み下ろし時に荷物が通過する際に、各荷物の無線タグ回路素子からその荷物の送り先、内容物等の荷物情報を取得し、あらかじめ物流情報センタのサーバから取得した荷物情報と比較してチェックを行う。これにより、予定通り荷物の積み卸しがされているか否かの自動的なチェック作業を可能としている。
【特許文献1】特開2001−19167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば上記のように物流において流通する複数の物品に無線タグを取り付けてそれら複数の物品の検出を行う場合に、通常リーダはある程度の広がりをもった通信範囲を持つため、その通信範囲にある全ての無線タグが応答信号を返信してしまう。このとき、目的物である物品が目視でわかっていても、その目的物に取り付けられた無線タグの応答信号がどれなのかがわからない。すなわち、通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合、通信対象が把握できず、物品検出を行えない恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、通信範囲に複数の検出対象物品があっても、確実にそれらの物品の検出を行える無線タグ通信装置及びタグラベル作成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、検出対象の物品に設けられ情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するアンテナとを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信手段と、この通信手段による通信対象の前記無線タグ回路素子を把握するためのタグ把握情報を備えた光学識別子より、前記タグ把握情報を光学的に取得する情報取得手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、情報取得手段で光学識別子よりタグ把握情報を取得することで、その取得したタグ把握情報を用いて通信手段において通信対象とする無線タグ回路素子を把握することが可能となる。これにより、通信手段からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、当該複数の物品に係わる複数の無線タグ回路素子が応答し(=通信対象が把握できず)物品検出を行えない従来技術と異なり、上記把握した無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づいて物品検出を完了する(物品数のみ突き合わせの検品を含む)ことができる。
【0008】
第2発明は、上記第1発明において、前記情報取得手段は、複数の前記物品に対し包括的に関連づけられた前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記複数の物品にそれぞれ設けられた前記無線タグ回路素子に係わる複数タグ関連情報を取得することを特徴とする。
【0009】
情報取得手段で複数タグ関連情報を取得し、それを用いて通信手段において通信対象とする無線タグ回路素子を把握することで、把握した無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づき物品検出を完了することができる。
【0010】
第3発明は、上記第2発明において、前記情報取得手段は、前記複数タグ関連情報として、前記複数の物品の数情報を取得することを特徴とする。
【0011】
これにより、情報取得手段で取得した物品の数と、通信手段での情報送受信できた無線タグ回路素子の数とを対比させることで、物品検出を実行することが可能となる。
【0012】
第4発明は、上記第3発明において、前記情報取得手段で取得した前記複数の物品の数情報と、前記通信手段を介して取得した前記複数の物品に係わる前記無線タグ回路素子の数とを照合判定する第1判定手段を有することを特徴とする。
【0013】
第1判定手段で、情報取得手段で取得した物品の数と通信手段での情報送受信できた無線タグ回路素子の数とを照合判定することにより、これらの数が一致したことをもって物品検出完了とすることができる。
【0014】
第5発明は、上記第2発明において、前記情報取得手段は、前記複数タグ関連情報として、前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする。
【0015】
情報取得手段で無線タグ回路素子の識別情報(又はその一部)を取得し、それを用いて通信対象の無線タグ回路素子を特定して通信手段で情報送受信を行い、物品検出を完了することができる。また、複数タグ関連情報自体が無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部を構成することにより、別途サーバにアクセスして複数タグ関連情報に対応する無線タグ回路素子の識別情報を取得する必要がなくなるので、物品検出処理の迅速化・効率化を図れる効果もある。
【0016】
第6発明は、上記第5発明において、前記情報取得手段は、前記複数タグ関連情報として、複数の物品にそれぞれ設けられた複数の前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする。
【0017】
情報取得手段で、複数の物品それぞれに設けた各無線タグ回路素子の識別情報(又はその一部)をまとめて取得し、それを用いて通信対象の無線タグ回路素子を特定して通信手段で情報送受信を行い、物品検出を完了することができる。なおこのとき、複数の物品に設けた無線タグ回路素子全部に対応した識別情報(又はその一部)を取得する必要は必ずしもない。すなわち、識別情報の付与について一定の法則性等がある場合には、それら複数の物品のうち少なくとも一部の物品に設けた無線タグ回路素子の識別情報より、残余の物品に設けた無線タグ回路素子の識別情報を算出(推定、類推)する等でも良い。
【0018】
第7発明は、上記第1発明において、前記情報取得手段は、前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記物品に設けられた前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された当該物品に係わる物品情報を取得することを特徴とする。
【0019】
情報取得手段で検出対象の物品情報を取得し、それを用いて通信手段において通信対象とする無線タグ回路素子を把握する(当該物品情報をIC回路部に記憶した無線タグ回路素子が通信対象)。これにより、各無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づき、当該物品情報を記憶した無線タグ回路素子を検出することで、物品検出を完了することができる。
【0020】
第8発明は、上記第7発明において、前記情報取得手段で取得した前記属性情報と、前記通信手段を介して取得した前記無線タグ回路素子に記憶された前記属性情報とを照合判定する第2判定手段と、この第2判定手段による判定結果に基づき、前記情報取得手段で取得した前記属性情報に合致する属性情報を記憶した前記無線タグ回路素子の識別情報を特定する識別情報特定手段とを有することを特徴とする。
【0021】
第2判定手段で、情報取得手段で取得した属性情報と、通信手段における無線タグ回路素子との情報送受信により取得した属性情報とを照合判定し、さらに識別情報特定手段で、上記照合判定結果が一致した無線タグ回路素子を、通信対象としてその識別情報を特定する。そして、その特定された識別情報に基づき検出対象の物品に係わる無線タグ回路素子と通信を行うことで、物品検出を完了することができる。
【0022】
第9発明は、上記第5又は第8発明において、前記タグ把握情報を用いて通信対象の前記無線タグ回路素子を特定した後、この特定した無線タグ回路素子の識別情報と対応する前記タグ把握情報との相関を生成する相関生成手段を有することを特徴とする。
【0023】
通信対象の無線タグ回路素子の特定が完了したとき、相関生成手段で、無線タグ回路素子の識別情報とタグ把握情報との相関を生成することにより、これ以降は、情報取得手段でタグ把握情報を取得したら、相関を利用しただちに無線タグ回路素子の識別情報を取得することができる。
【0024】
上記目的を達成するために、第10発明は、情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子を有するタグ媒体を搬送する搬送手段と、この搬送手段で搬送される前記タグ媒体の前記無線タグ回路素子と無線通信を介し情報送受信を行う通信手段と、この通信手段による前記無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した光学識別子を、前記タグ媒体に形成する識別子形成手段とを有することを特徴とする。
【0025】
本願第10発明においては、搬送手段でタグ媒体が搬送されると、そのタグ媒体に備えられた無線タグ回路素子に対し、通信手段により無線通信を介し情報送受信が行われる。このとき、識別子形成手段によって当該情報送受信内容に対応した光学識別子がタグ媒体に形成され、これによって光学識別子つきの無線タグラベルが作成される。
【0026】
このようにして作成された無線タグラベルは、例えば光学識別子に対し無線タグ回路素子を把握可能なタグ把握情報を記憶させておけば、その後無線タグ通信装置にて読み取りを行う際に、当該無線タグ通信装置に備えられた情報取得手段で光学識別子より取得した当該タグ把握情報を用い、通信対象とする無線タグ回路素子を把握することが可能となる。この場合、通信手段からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、当該複数の物品に係わる複数の無線タグ回路素子が応答し(=通信対象が把握できず)物品検出を行えない従来技術と異なり、上記把握した無線タグ回路素子との情報送受信結果に基づいて物品検出を完了する(物品数のみ突き合わせの検品を含む)ことができる。
【0027】
第11発明は、上記第10発明において、前記識別子形成手段は、前記搬送手段による搬送と協働して、前記タグ媒体に対し、前記光学識別子としてのバーコードを印字する印字手段であることを特徴とする。
【0028】
印字手段でバーコードを印字することで、通信手段を介した無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した情報(タグ把握情報等)をタグ媒体に記録することができる。
【0029】
第12発明は、上記第11発明において、前記印字手段は、前記光学識別子として、2次元バーコードを前記タグ媒体に対し印字することを特徴とする。
【0030】
これにより、通信手段を介した無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した情報(タグ把握情報等)を2次元バーコードの形でタグ媒体に記録することができる。
【0031】
第13発明は、上記第10乃至12発明のいずれかにおいて、前記タグ媒体のうち、前記光学識別子を形成した部分と、前記無線タグ回路素子を備えた部分とを分離可能な分離線を形成する分離線形成手段を有することを特徴とする。
【0032】
これにより、作成後の無線タグラベルを、分離線を介し光学識別子部分と無線タグ回路素子部分とに容易に分離し、別々の場所に貼り付けて用いることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、通信範囲に複数の検出対象物品があっても、確実にそれらの物品の検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0035】
本発明の第1の実施形態を図1〜図8により説明する。本実施形態は、本発明を、物品ケース内の複数物品の検出処理に用いた場合の実施形態である。
【0036】
図1は、本実施形態に係る無線タグ通信装置を表す正面図である。
【0037】
図1において、この無線タグ通信装置(リーダ)1は、無線タグラベルT(後述の図5等を参照)に備えられた無線タグ回路素子To(後述の図2等を参照)とバーコード11(光学識別子。後述の図5等を参照)の2つに対応しそれらの読み取りが可能な(デュアルタイプの)ものである。
【0038】
すなわち、無線タグ通信装置1は、表示部5(表示手段)を設けた筐体4の上部に、検出対象の物品に設けられた無線タグ回路素子Toと無線通信を行うためのアンテナ(装置側アンテナ)2と、このアンテナ2による通信対象の無線タグ回路素子Toを把握するためのタグ把握情報を備えたバーコード(光学識別子)11から、タグ把握情報を光学的に取得するバーコードセンサ(情報取得手段)3とを具備している。
【0039】
表示部5は、この例では筐体4の表側(図1中手前側)の大部分を占めるように設けられている。表示部5の上側には、音声報知手段7(例えばブザー、アラーム、チャイムスピーカ等)が、表示部5の下側には、操作手段の一部を構成する(この例では機械式の)操作部6がそれぞれ設けられている。
【0040】
表示部5は、この例では公知のタッチパネルとして構成され、操作手段としての機能の大部分がこのタッチパネルに表示される各種ボタンで行えるようになっている。これらタッチパネルのボタン等と操作部6とによって、表示や探索等に係わる種々の操作入力が行えるようになっている。これにより、各種通信状態等を表示するのみならず、表示機能と操作機能の両方をタッチパネルで兼ねることで、スペースの低減及び手動操作の容易化を図ることができる。
【0041】
操作部6は、この例ではスライダータイプであるが、その他適宜のキー、ボタン、スイッチ、パッド等であってもよい。さらにいわゆるシーソーボタンや、装置を持ったままで操作できる親指操作ボタン等でもよい。
【0042】
装置側アンテナ2は、例えば単一指向性又は無指向性のアンテナとして構成されている。
【0043】
図2は、上記リーダ1の検出対象の物品に設けられた無線タグラベルTに備えられる無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0044】
図2において、無線タグ回路素子Toは、リーダ1のアンテナ(装置側アンテナ)2との間でUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
【0045】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0046】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記リーダ1のアンテナ2からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、アンテナ151が受信した搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
【0047】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0048】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0049】
図3は、上記リーダ1の制御系の構成を表す機能ブロック図である。
【0050】
図3において、リーダ1の制御系は、上記アンテナ2を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む無線タグ情報)へアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路201と、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ1全体の動作を制御するための制御回路202とを有する。
【0051】
高周波回路201は、アンテナ2を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ2により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0052】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子215A、制御回路30の制御により所定の周波数の信号を発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯等の周波数を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介し送信アンテナ2に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0053】
受信部213は、アンテナ2で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ2で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
【0054】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のリーダ1では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0055】
制御回路202は、上記高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213からの受信信号を入力した後無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。また制御回路202は、操作部6等の操作手段からの操作信号を入力するとともに、表示部5への表示制御信号、音声報知手段7への報知信号等を出力する。
【0056】
図4は、この制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【0057】
図4において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、各種プログラムを格納したROM202Bと、一時記憶メモリであるRAM202Cと、アンテナ2(高周波回路201)やバーコードセンサ3との信号送受を行う回路制御部202D等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路202は、適宜の不揮発性メモリ202Eを備えていても良い。
【0058】
以上のリーダ1は、操作部6及び表示部5に表示される各種操作ボタンにより、バーコードセンサ3を用いてバーコードセンサ3をバーコード11に沿わせて走査することにより、バーコード11に記録された情報(バーコード情報)を光学的に読み取り、またアンテナ2及び高周波回路201等の通信手段を用いてアンテナ2を介して無線タグラベルT(T1,T2,・・・)の無線タグ回路素子Toと無線通信することにより、無線タグ回路素子Toに備えられたIC回路部150に記憶されているタグID(タグ識別情報)を読み取るようになっている。
【0059】
図5は、上記構成のリーダ1を用いて物品ケース内の複数物品の検出処理を行っている状況を表わす説明図である。なお、分かりやすくするために物品ケース内でも実線で表記している。
【0060】
図5において、梱包ケース等の物品ケース10内には複数(ここでは7個)の物品12が収納されており、この各物品12の一側面には無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルTが貼り付けられ、物品ケース10の一側面にはバーコード11が貼り付けられている。なおラベル状のものでない、例えばカード状、シート状の無線タグを配置、同梱等するようにしてもよい。検出対象となる上記物品12は、例えば、書類、備品、資材、設備、機械その他の可般物等である。
【0061】
バーコード11は、この例では二次元バーコードであるQRコードであるが、一次元バーコードでも良い。このバーコード11は、物品ケース10に設けることによって複数の物品12に対し包括的に関連付けられており、バーコード11には、複数の物品12にそれぞれ設けられた無線タグ回路素子Toに係わる物品12の物品数(複数タグ関連情報、タグ把握情報)が記録されている。
【0062】
図6は、上記制御回路202のCPU202Aが実行する物品検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0063】
図6において、まず、ステップS110で、バーコードセンサ3の検出結果に基づき、所定の物品ケース10に設けたバーコード11からバーコード情報を取得する。
【0064】
その後、ステップS120で、上記ステップS110で読み出したバーコード情報に基づき、物品ケース10内の物品12の数情報(物品数)を取得する。
【0065】
そして、ステップS130に移り、無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための不特定問合せコマンド(例えば「Scroll All ID」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての不特定問合せ信号(例えば「Scroll All ID」信号等)が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0066】
次に、ステップS140で、上記不特定問合せ信号に対応し、アクセス対象のそれぞれの物品12の無線タグ回路素子Toから送信された応答信号(リプライ信号)をアンテナ2を介して受信し、高周波回路201及び回路制御部202Dを介し取り込む。このときの受信できた応答信号の数を、発見できた無線タグラベルTの数とすることができる。なお、上記不特定問い合わせ信号の送信時に応答信号の衝突が生じて応答信号の数を明確に特定できなかった場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、通信範囲にある無線タグ回路素子Toに応答を促しその一群の応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に応答信号の数(=言い換えれば発見した無線タグラベルTの数)を特定するようにすればよい。
【0067】
その後、ステップS150に移り、上記ステップS140での応答信号の受信により発見されたタグ発見数とステップS120でバーコード11を介して取得した物品ケース内物品数とを照合し、タグ発見数と取得した物品ケース内物品数とが一致するか否かを判定する(第1判定手段)。
【0068】
タグ発見数と取得した物品ケース内物品数とが一致していない場合、ステップS150の判定が満たされず、ステップS160に移り、ステップS130の不特定問合信号の送信から所定時間経過したかを判定する。所定時間が経過していたら正常な読み取り処理できなかったとみなして、ステップS170でリーダ1の表示部5に表示信号を出力してエラー表示をさせた後、このルーチンを終了する。ステップS160で所定時間が経過していなければ、ステップS130に戻って同様の手順を繰り返す。
【0069】
一方、ステップS150において、タグ発見数が物品ケース内物品数に一致した場合、判定が満たされ、ステップS180で表示部5に表示信号を出力して検出完了表示を行わせ、このフローを終了する。
【0070】
本実施形態によれば、以上のように、物品ケース10に複数の物品12が収納されている場合に、リーダ1のバーコードセンサ3でバーコード1の情報を読み出すことで物品ケース10内の物品12の数情報を取得する。その一方、アンテナ2を介した無線通信により物品12に係る無線タグ回路素子Toの数情報を取得する。そして、それら物品12の数情報と無線タグ回路素子Toの数を対比させて一致を確認することにより、物品ケース10内の物品12の物品検出を完了することができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、物品ケース10に設けたバーコード11に、複数タグ関連情報として物品12の数情報のみが記録されていたが、これに限られず、各物品12に係る無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)の少なくとも一部を記録するようにしても良い。この場合、リーダ1のバーコードセンサ3でバーコード11を読み取って無線タグ回路素子Toの識別情報(又はその一部)を取得し、前述の図16のステップS130ではその取得した識別情報を用いてリーダ1の通信対象の無線タグ回路素子Toを特定して、アンテナ2より特定問い合わせ信号(例えば「Scroll ID」信号や「Ping」信号等)を用いて情報送受信を行うことで無線タグラベルTの発見を行う。
【0072】
図7(a)〜(c)は、このような変形例におけるバーコード情報とタグIDの関連付けの一例を表わす概念的説明図である。
【0073】
図7(a)は、バーコード情報とタグIDとが一致している場合(タグIDのすべてがバーコード11に記録されている場合)を表しており、この場合は、バーコード情報をそのままタグIDとして指定して無線タグ回路素子Toにアクセスすることができる。
【0074】
図7(b)は、タグIDの一部を含むバーコード情報がバーコード11に記録されている場合を表しており、この場合は、バーコード情報にタグIDの共通部分(予め分かっている場合。図の例では“123456890”)を付け加えてこれをタグIDとして指定して無線タグ回路素子Toにアクセスすることができる。
【0075】
図7(c)は、バーコード情報がタグIDを全て含む場合(タグIDのすべてがバーコード11に記録されている場合)を表しており、この場合は、バーコード情報から“000”(=予め分かっている場合)を除いたタグID部のみを抽出しこれを指定して無線タグ回路素子Toにアクセスすることができる。
【0076】
図8(a)は、本変形例の制御回路202のCPU202Aが実行する物品検出処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図6にほぼ相当する図である。
【0077】
図8(a)において、まず、ステップS210において、前述の図6のステップS110と同様、バーコードセンサ3により、所定の物品ケース10に設けられたバーコード11からバーコード情報を取得する。このバーコード情報には、図7(a)〜(c)で例示したように、各物品12に係る無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)の少なくとも一部(複数タグ関連情報)が含まれている。
【0078】
その後、ステップS220で、上記ステップS210で読み出したバーコード情報より、上記物品ケース10内の全物品12の無線タグ回路素子ToのタグIDの少なくとも一部(以下、単にタグIDという)を例えば図8(b)に示すようなリスト形式(タグIDリスト)で取得する。
【0079】
そして、ステップS230において、上記取得したタグIDを元に、通信対象となる無線タグ回路素子Toを特定して、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための特定問合せコマンド「Scroll ID」コマンドや「Ping」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての特定問合せ信号(「Scroll ID」信号又は「Ping」信号)が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して当該タグIDを備えたアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0080】
その後、ステップS240で、上記特定問合せ信号に対応し、上記アクセス対象のそれぞれの物品12の無線タグ回路素子Toから送信された応答信号(リプライ信号)をアンテナ2を介して受信し、高周波回路201及び回路制御部202Dを介し取り込む。これにより、IDリストに備えられた各タグIDに対応した無線タグラベルTを順次発見することができる。
【0081】
そして、ステップS250において、応答信号の受信によりIDリストに備えられた各タグIDに対応した無線タグラベルTを全て発見できたか否かを判定する。すべてのタグの発見が完了されるまでは判定が満たされず、ステップS260に移り、上記ステップS230の特定問合せ信号の送信から所定時間経過したかを判定する。所定時間が経過していたら正常な読み取り処理できなかったとみなして、ステップS270でリーダ1の表示部5にエラー表示をさせた後、このルーチンを終了する。ステップS260で所定時間が経過していなければ、ステップS230に戻って同様の手順を繰り返す。
【0082】
一方、ステップS250において、IDリストに備えられた各タグIDに対応した無線タグラベルTを全て発見完了した場合、判定が満たされ、ステップS280で表示部5に表示信号を出力して検出完了表示を行わせ、このフローを終了する。
【0083】
本変形例では、以上のように、物品ケース10に複数の物品12が収納されている場合に、リーダ1のバーコードセンサ3により物品ケース10のバーコード11から無線タグ回路素子Toの識別情報(又はその一部)を取得し、それを用いて通信対象の無線タグ回路素子Toを特定して情報送受信を行い、ケース10内のすべての物品12について情報送受信が完了したことをもって物品検出を完了することができる。
【0084】
また本変形例では特に、バーコード情報自体が無線タグ回路素子ToのタグIDの少なくとも一部を構成することにより、バーコード情報に基づき別途サーバにアクセスしてタグIDを取得する場合に比べれば、物品検出処理の迅速化・効率化を図れる効果もある。
【0085】
なお、前述のようにバーコード11から無線タグ回路素子Toの識別情報(又はその一部。以下同様)を(例えばリスト形式で)取得する場合、複数の物品12に設けた無線タグ回路素子Toの全数の識別情報を取得する必要は必ずしもない。すなわち、識別情報の付与について一定の法則性等がある場合には、それら複数の物品12のうち少なくとも一部の物品12に設けた無線タグ回路素子Toの識別情報を(例えばリスト抜粋形式で)取得し、その取得した識別情報より、残余の物品12に設けた無線タグ回路素子Toの識別情報を算出(推定、類推)する等でも良い。
【0086】
例えば、バーコード11に、物品ケース10内の全物品12に係わる一連の無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を順番に並べたときの最初と最後の番号のみ記録するようにした場合、バーコード11よりタグID「1234」「1334」を取得したら、この「1123」〜「1334」までの範囲のタグIDの間に限定して情報送受信を行い、無線タグ回路素子Toの読み取りを行うようにしてもよい。
【0087】
本発明の第2の実施形態を図9〜図12により説明する。本実施形態は、タグ把握情報として、物品12の属性情報を用いる場合の実施形態である。第1の実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0088】
図9は、本実施形態におけるバーコード11のバーコード情報と、無線タグ回路素子Toに記憶された情報との関連付けを概念的に表わす説明図である。
【0089】
図9において、物品12は、例えば所定数ごとにパレットAに配置されている。そして、物品12に設けられた無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toには、それぞれの識別情報(タグID)と、各無線タグ回路素子Toに関連づけられる物品12の属性情報(この場合は物品12が配置されたパレット名称等のパレット情報)と、この例では併せて物品情報(物品種類や物品名等)とが記憶されている。つまり、図9に示すように、例えば物品Aに設けられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150には「ID1」「パレットA」「物品A」のようなタグID、属性情報、物品情報が記憶されている。同様に、物品Bに設けられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150には「ID2」「パレットA」「物品B」、物品Cに設けられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150には「ID3」「パレットA」「物品C」が記憶されている。
【0090】
本実施形態では、例えば図9に示すように、バーコード11に、上記属性情報「パレットA」が記録されている。したがって、このバーコード11より当該「パレットA」(パレット名称)を取得し、アンテナ2を介して各無線タグ回路素子Toとの情報送受信を行ったとき当該「パレットA」という属性情報を記憶した無線タグ回路素子Toを検出することで、目的とする無線タグ回路素子Toを(この例では他のパレットB,C…に搭載されたものとは区別して)特定し、そしてこれに基づき当該特定された無線タグ回路素子Toと情報送受信を行うことで特定物品の物品検出を完了することができる。
【0091】
なお、バーコード11は、適宜な設置態様のものでよく、物品12自体や物品ケース10、あるいは物品陳列棚に設けたり、さらには物品管理台帳に印刷されたもの等でも好適に実施できるのはもちろんである。
【0092】
図10(a)は、上記を実行するために本変形例の上記制御回路202のCPU202Aが実行する物品検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0093】
図10(a)において、まず、ステップS310で、バーコードセンサ3の検出結果に基づき、前述した物品12自体や物品ケース10、あるいは物品陳列棚バーコード11等からバーコード情報を取得する。
【0094】
その後、ステップS315で、上記ステップS310で読み出したバーコード情報に基づき、タグ把握情報としての属性情報(図9の例では「パレットA」)を取得する。
【0095】
そして、ステップS320に移り、無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出すための不特定問合せコマンド(例えば「Scroll All ID」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての不特定問合せ信号(例えば「Scroll All ID」信号等)が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0096】
その後、ステップS322において、上記不特定問合せ信号に対応し、アクセス対象のそれぞれの物品12の無線タグ回路素子Toから送信された応答信号(リプライ信号)をアンテナ2を介して受信し高周波回路201及び回路制御部202Dを介し取り込まれたかどうかを判定する。受信されていたら判定が満たされてステップS325へ移る。
【0097】
なお、前述と同様、上記不特定問い合わせ信号の送信時に応答信号の衝突が生じて応答信号を明確に特定できなかった場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、通信範囲にある無線タグ回路素子Toに応答を促しその一群の応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に応答信号を特定するようにすればよい。
【0098】
その後、ステップS330において、ステップS325において、各無線タグ回路素子Toからの応答信号それぞれにタグIDとともに含まれる各無線タグ回路素子Toに記憶された属性情報(この例ではパレット名称)を抽出取得するとともに、その取得した属性情報とステップS315でバーコード情報に基づき取得された属性情報とを照合する。そして、それら2つの属性情報が一致するかどうか(上記の例では無線タグ回路素子Toから取得された属性情報が”パレットA”であるか否か)を判定する(第2判定手段)。
【0099】
属性情報が一致しない場合、判定が満たされず、ステップS332へ移る。ステップS332では、上記ステップS330で属性情報が一致しなかった無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を特定して取得する。なお、このとき、前述と同様、衝突等が生じた場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、上記属性情報が一致した無線タグ回路素子Toに対しさらにそれらの応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に各無線タグ回路素子ToのタグIDを個別に特定するようにしてもよい。
【0100】
そして、ステップS333において、上記ステップS332で特定したタグIDを指定して、当該無線タグ回路素子Toを休眠化するための休眠化コマンド「Sleep」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての休眠化信号が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して当該タグIDを備えたアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、休眠化させる(通信機能を一時停止させる)。
【0101】
その後、ステップS335に移り、ステップS320の不特定問合せ信号の送信から所定時間経過したかを判定する。所定時間が経過していなければ、ステップS320の不特定問合信号の送信以下の処理を繰り返す。このようにして属性情報が一致しない無線タグ回路素子Toが検出されるときはステップS320〜ステップS333を繰り返し当該無線タグ回路素子Toを次々と休眠化させることで、属性情報が一致する無線タグ回路素子Toを円滑に検出できるようにする。ステップS335で所定時間が経過したら正常な読み取り処理ができなかったとみなして、ステップS340で表示部5に表示信号を出力してエラー表示をさせた後、このルーチンを終了する。
【0102】
一方、ステップS330において、属性情報が一致していた(前述の例では無線タグ回路素子Toから読み取った属性情報が「パレットA」であった)場合は判定が満たされ、ステップS345に移る。
【0103】
ステップS345では、上記ステップS330で属性情報が一致した無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を特定して取得する(識別情報特定手段)。なお、このとき、前述と同様、衝突等が生じた場合には(「Ping」コマンドに基づく「Ping」信号等の)探索信号を送信し、上記属性情報が一致した無線タグ回路素子Toに対しさらにそれらの応答を階層的に区分けしながら収納することで、最終的に各無線タグ回路素子ToのタグIDを個別に特定するようにしてもよい。
【0104】
そして、ステップS350において、上記ステップS345で特定したタグIDを指定して、当該無線タグ回路素子Toを休眠化するための休眠化コマンド「Sleep」コマンド等)を回路制御部202Dに出力する。これに基づき回路制御部202Dでアクセス情報としての休眠化信号が生成されて高周波回路201及びアンテナ2を介して当該タグIDを備えたアクセス対象の無線タグ回路素子Toに送信され、休眠化させる(通信機能を一時停止させる)。
【0105】
その後、ステップS355で、上記ステップS345で取得したタグID(識別情報)と、パレット名称(属性情報)との相関を例えば図10(b)に示すテーブルの形で形成し(相関生成手段)、例えばRAM202Cに記憶する。
【0106】
上記ステップS355が終了したら、前述のステップS320に戻って同様に不特定問い合わせ信号を送信し、以降の手順を繰り返す。このようにしてステップS320〜ステップS355を繰り返して属性情報が一致する無線タグ回路素子ToのタグIDをテーブルに書き込みつつその都度休眠化させていき、すべての無線タグ回路素子Toの検出が終了したら応答が受信されなくなってステップS322の判定が満たされなくなるので、ステップS360に移って表示部5に表示信号を出力して検出完了表示を行わせ、このフローを終了する。
【0107】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得る。すなわち、バーコードセンサ3を用いて取得したバーコード情報を用い、これに含まれる属性情報を手がかりにリストを作成し通信対象の(前述の例ではパレットAに配置された物品A、物品B、物品Cに貼付された)無線タグ回路素子Toを特定することができる。これにより、リーダ1の通信範囲に他のパレットに搭載された物品を含む多数の検出対象物品が存在する場合であっても、上記の特定結果に基づいて物品検出を完了することができる。
【0108】
なお、上記第2の実施形態においては、バーコード11に属性情報(パレット情報)が備えられこれをステップS315で取得するとともに、ステップS235で無線タグ回路素子Toの応答信号から取得したパレット情報と一致するかどうかをステップS330で判定し、これに基づき無線タグ回路素子Toを順次特定したが、これに限られない。例えばバーコード11にタグ把握情報として物品情報(「物品A」等)が備えられている場合には、これをステップS315で取得するとともに、ステップS235で無線タグ回路素子Toの応答信号に含まれる物品情報(図9の「物品A」等参照)を取得し、これら物品情報が互いに一致するかどうかをステップS330で判定し、これに基づき無線タグ回路素子Toを順次特定するようにしてもよい。この場合、ステップS335においては、各物品に一対一に対応するバーコード情報とタグIDとの相関関係を表わす対応テーブル(相関テーブル)を生成し(相関生成手段)、例えばRAM202Cに記憶すればよい。
【0109】
図11は、この変形例で生成された、バーコード情報とタグIDとの相関関係の一例を表わすテーブルである。
【0110】
図11において、この例では、バーコード情報は ”1”と”0”の7ビットの数列で構成され、対応するタグIDは、”1”と”0”の16ビットの数列で構成されている。図示のように、バーコード情報とタグIDは、これらの数列で1対1に関係付けられている(テーブルの各欄において横の欄どうしで関連づけ)。
【0111】
図12は、本変形例において、上記のようにテーブルが作成された後の物品検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0112】
すなわち、図12において、まず、ステップS410において、バーコードセンサ3の検出結果に基づきバーコード情報を読み出し、ステップS420でステップS410で取得したバーコード情報から上記相関テーブルを用いて無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を特定する。その後、ステップS430で取得したタグIDを指定して当該無線タグ回路素子Toに特定問合信号(「Scroll ID」信号)を送信し、ステップS440でこれに対応した無線タグ回路素子Toからの応答信号を受信する。応答信号の受信によって物品の検出が完了したらステップS450で表示部5に検出完了表示を行わせ、フローを終了する。
【0113】
本変形例においては、上記のように一度相関関係のテーブルを作成したら、それ以降、バーコード情報を読み出すだけで、相関テーブルを用いて無線タグ回路素子ToのタグIDを直接取得することができる。
【0114】
本発明の第3の実施形態を図13〜図15を用いて説明する。本実施形態は、バーコード付き無線タグラベルの作成装置についての実施形態である。
【0115】
図13(a)は、本実施形態に係るバーコード付き無線タグラベル作成装置を模式的に表わす斜視図であり、図13(b)は、この作成装置で作成された無線タグラベルを表わす平面図である。すなわち、図13(a)に示すバーコード付き無線タグラベル作成装置20が、図13(b)に示すようなバーコード付き無線タグラベル21を作成して、排出するようになっている。
【0116】
図13(b)に示すように、無線タグラベル21は、バーコード11を設けたバーコードラベル領域22と無線タグ回路素子Toを設けた無線タグラベル領域23とからなっており、バーコードラベル領域22と無線タグラベル領域23との間に、これらの部分を手で容易に分離可能なようにハーフカットの分離線24が設けられている。
【0117】
バーコード11はこの例では二次元バーコードであり、バーコードラベル領域22に例えば印刷によって形成されている。また無線タグラベルを設けた無線タグラベル領域23には、無線タグ回路素子ToのIC回路部140の記憶内容に対応した所定の印字Rが印刷されている。
【0118】
図14は、上記図13(a)に示したバーコード付き無線タグラベル作成装置20の詳細構成を表す説明図である。
【0119】
図14において、バーコード付き無線タグラベル作成装置20は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ303(タグ媒体)を巻回したタグテープロール304を着脱可能な(又はタグテープロール304を備えたカートリッジを着脱可能な)タグテープロールホルダ部310と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303を搬送する搬送ローラ309(搬送手段)と、タグテープ303のうち上記バーコードラベル領域22に相当する領域に上記バーコード11を印字すると共に、上記無線タグラベル領域23に相当する領域無線タグ回路素子Toに上記印字Rを印字する印字ヘッド305(印字手段、識別子形成手段)と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(通信手段)と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定長さに切断する(併せて上記分離線24を形成する分離線形成手段として機能させてもよい)カッタ307と、これら各部を統括制御する制御回路302とを備える。
【0120】
高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、上記リーダ1の高周波回路201及び制御回路202とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路302は有線又は無線の上記通信回線(ネットワーク)206を介して上記サーバ207や、他のコンピュータ、端末等と接続されており、それらと情報の送受が可能となっている。
【0121】
図15は、上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0122】
図15において、まずステップS710において、通信回線を介し制御回路302に接続された操作端末等により別途入力された、印字ヘッド305で上記バーコードラベル領域22へ印字するバーコード情報、無線タグラベル領域23へ印字する印字Rの印字情報、及び無線タグ回路素子Toへの書き込み情報が取得される。
【0123】
その後、ステップS720に移り、搬送ローラ309に制御信号を出力してタグテープ303の搬送を開始するとともに、印字ヘッド305に制御信号を出力してタグテープ303のうち無線タグラベル領域23及びバーコードラベル領域22に相当する領域にそれぞれ印字R及びバーコード11の印字を行う。なお、このとき印字される印字R及びバーコード11のバーコード情報の内容は、後述するステップS725で書き込まれる情報と互いに対応づけられている。特にバーコード11には、上記第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例において前述した、タグ把握情報(物品数情報、物品情報等)が記録される。
【0124】
そして、ステップS725において、所定のタグ書込み位置までタグテープ303を搬送して情報(タグIDを含む無線タグ情報)の書き込みを行う。
【0125】
その後、ステップS730に移り、タグテープ303が所定の切断位置となったら搬送ローラ309に制御信号を出力して搬送を停止し、カッタ307を駆動する駆動手段(図示せず)に制御信号を出力してカッタ307を駆動させ、テープ切断を行う。これにより、バーコード11を備えたバーコードラベル領域22と無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベル領域23とからなるバーコード付き無線タグラベル21を作成し、このフローを終了する。
【0126】
以上説明したように、本実施形態では、タグテープ303に備えられた無線タグ回路素子Toに対し、アンテナ306及び高周波回路301によって無線通信を介し情報送受信(情報書き込み)が行われる。またこのとき、印字ヘッド305によって当該情報送受信内容に対応するバーコード11がタグテープ303のうちのバーコードラベル領域22に形成され、これによってバーコード付き無線タグラベル21が作成される。
【0127】
このようにしてラベル21を作成した後は、手によって分離線24の箇所でバーコードラベル領域22と無線タグラベル領域23とに容易に切断して分離することができ、これらを別々の場所に貼り付けて用いることができる。なお、分離線24自体をハーフカット線でなくフルカット線とし、最初からバーコードラベル領域22のラベルと、無線タグラベル領域23のラベルとに分離した状態で作成しても良い。
【0128】
このとき、前述のようにバーコード11には無線タグ回路素子Toを把握可能なタグ把握情報が記録されているので、その後リーダ1で読み取りを行った際に、上記第1又は第2実施形態と同様にして、バーコードセンサ3を用いて検出し取得された上記タグ把握情報を用い、通信対象とする無線タグ回路素子Toを把握することができる。
【0129】
この結果、上記第1又は第2実施形態で前述したように、アンテナ2からの通信範囲に複数の検出対象物品が存在する場合であっても、上記把握した無線タグ回路素子Toとの情報送受信結果に基づいて物品検出を完了する(第1の実施形態のような物品数のみ突き合わせの検品を含む)ことができる。
【0130】
なお、以上においては、バーコード付き無線タグラベル21において、手による切断でバーコード11の部分と無線タグ回路素子Toの部分とに分離し易いように、ハーフカット等の分離線24を設けたが、分離するのに鋏みで切断したり、場合によっては手による引きちぎりを行っても良く、その場合には分離線24は必ずしも必要ではない。
【0131】
なお、以上で用いた「Scroll ALL ID」信号、「Scroll ID」信号、「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0132】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0133】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線タグ通信装置を表す正面図である。
【図2】図1のリーダの検出対象の物品に設けられた無線タグラベルに備えられる無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図3】図1のリーダの制御系の構成を表す機能ブロック図である。
【図4】図3の制御系に設けられた制御回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図5】物品ケース内複数物品の検出処理を表わす説明図である。
【図6】物品検出処理における制御手順を表すフローチャートである。
【図7】バーコードに無線タグ回路素子のタグIDの少なくとも一部を記録する変形例において、バーコード情報とタグIDの関連付けの一例を表わす説明図である。
【図8】物品検出処理における制御手順を表すフローチャート、及び、取得するタグIDリストを表す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるバーコード情報とタグメモリ情報の関連付けを表わす説明図である。
【図10】物品検出処理における制御手順を表すフローチャート、及び、作成したタグIDリストを表す図である。
【図11】バーコード情報とタグIDとの相関関係を表わす対応テーブルの一例を表すテーブルである。
【図12】物品検出処理における制御手順を表すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るバーコード付き無線タグラベル作成装置を模式的に表わす斜視図、及び、作成された無線タグラベルを表わす平面図である。
【図14】図13(a)に示した無線タグラベル作成装置の詳細構成を表わす概念的説明図である。
【図15】制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
1 リーダ(無線タグ通信装置)
2 バーコードセンサ(情報取得手段)
3 装置側アンテナ(通信手段)
5 表示部
10 物品ケース
11 バーコード(光学識別子)
12 物品
20 バーコード付き無線タグラベル作成装置
21 バーコード付き無線タグラベル
24 分離線
T 無線タグラベル
To 無線タグ回路素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の物品に設けられ情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するアンテナとを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信手段と、
この通信手段による通信対象の前記無線タグ回路素子を把握するためのタグ把握情報を備えた光学識別子より、前記タグ把握情報を光学的に取得する情報取得手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
複数の前記物品に対し包括的に関連づけられた前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記複数の物品にそれぞれ設けられた前記無線タグ回路素子に係わる複数タグ関連情報を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記複数タグ関連情報として、前記複数の物品の数情報を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段で取得した前記複数の物品の数情報と、前記通信手段を介して取得した前記複数の物品に係わる前記無線タグ回路素子の数とを照合判定する第1判定手段を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項5】
請求項2記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記複数タグ関連情報として、前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項6】
請求項5記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記複数タグ関連情報として、複数の物品にそれぞれ設けられた複数の前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項7】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記物品に設けられた前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された当該物品に係わる属性情報を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段で取得した前記属性情報と、前記通信手段を介して取得した前記無線タグ回路素子に記憶された前記属性情報とを照合判定する第2判定手段と、
この第2判定手段による判定結果に基づき、前記情報取得手段で取得した前記属性情報に合致する属性情報を記憶した前記無線タグ回路素子の識別情報を特定する識別情報特定手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項9】
請求項5又は8記載の無線タグ通信装置において、
前記タグ把握情報を用いて通信対象の前記無線タグ回路素子を特定した後、この特定した無線タグ回路素子の識別情報と対応する前記タグ把握情報との相関を生成する相関生成手段を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項10】
情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子を有するタグ媒体を搬送する搬送手段と、
この搬送手段で搬送される前記タグ媒体の前記無線タグ回路素子と無線通信を介し情報送受信を行う通信手段と、
この通信手段による前記無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した光学識別子を、前記タグ媒体に形成する識別子形成手段と
を有することを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項11】
請求項10記載のタグラベル作成装置において、
前記識別子形成手段は、
前記搬送手段による搬送と協働して、前記タグ媒体に対し、前記光学識別子としてのバーコードを印字する印字手段である
ことを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項12】
請求項11記載のタグラベル作成装置において、
前記印字手段は、
前記光学識別子として、2次元バーコードを前記タグ媒体に対し印字することを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項記載のタグラベル作成装置において、
前記タグ媒体のうち、前記光学識別子を形成した部分と、前記無線タグ回路素子を備えた部分とを分離可能な分離線を形成する分離線形成手段を有することを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項1】
検出対象の物品に設けられ情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するアンテナとを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信手段と、
この通信手段による通信対象の前記無線タグ回路素子を把握するためのタグ把握情報を備えた光学識別子より、前記タグ把握情報を光学的に取得する情報取得手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
複数の前記物品に対し包括的に関連づけられた前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記複数の物品にそれぞれ設けられた前記無線タグ回路素子に係わる複数タグ関連情報を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記複数タグ関連情報として、前記複数の物品の数情報を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段で取得した前記複数の物品の数情報と、前記通信手段を介して取得した前記複数の物品に係わる前記無線タグ回路素子の数とを照合判定する第1判定手段を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項5】
請求項2記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記複数タグ関連情報として、前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項6】
請求項5記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記複数タグ関連情報として、複数の物品にそれぞれ設けられた複数の前記無線タグ回路素子の識別情報の少なくとも一部分を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項7】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段は、
前記光学識別子より、前記タグ把握情報として、前記物品に設けられた前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された当該物品に係わる属性情報を取得することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグ通信装置において、
前記情報取得手段で取得した前記属性情報と、前記通信手段を介して取得した前記無線タグ回路素子に記憶された前記属性情報とを照合判定する第2判定手段と、
この第2判定手段による判定結果に基づき、前記情報取得手段で取得した前記属性情報に合致する属性情報を記憶した前記無線タグ回路素子の識別情報を特定する識別情報特定手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項9】
請求項5又は8記載の無線タグ通信装置において、
前記タグ把握情報を用いて通信対象の前記無線タグ回路素子を特定した後、この特定した無線タグ回路素子の識別情報と対応する前記タグ把握情報との相関を生成する相関生成手段を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項10】
情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子を有するタグ媒体を搬送する搬送手段と、
この搬送手段で搬送される前記タグ媒体の前記無線タグ回路素子と無線通信を介し情報送受信を行う通信手段と、
この通信手段による前記無線タグ回路素子との情報送受信内容に対応した光学識別子を、前記タグ媒体に形成する識別子形成手段と
を有することを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項11】
請求項10記載のタグラベル作成装置において、
前記識別子形成手段は、
前記搬送手段による搬送と協働して、前記タグ媒体に対し、前記光学識別子としてのバーコードを印字する印字手段である
ことを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項12】
請求項11記載のタグラベル作成装置において、
前記印字手段は、
前記光学識別子として、2次元バーコードを前記タグ媒体に対し印字することを特徴とするタグラベル作成装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項記載のタグラベル作成装置において、
前記タグ媒体のうち、前記光学識別子を形成した部分と、前記無線タグ回路素子を備えた部分とを分離可能な分離線を形成する分離線形成手段を有することを特徴とするタグラベル作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−47049(P2008−47049A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224375(P2006−224375)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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