説明

無線ネットワークにおける動的データ管理のためのシステムおよび方法

【課題】ノードが、差別化サービス制御パラメータに応じて無線ネットワークを介してデータパケットを送信するように構成される。
【解決手段】ノードは、差別化サービスコードパラメータの個別化された制御をもたらすように構成され、さらにデータパケットの中のペイロードに対する個別化された制御をもたらすようにも構成されたコントローラを含む。また、コントローラは、無線ネットワークを介して送信されるべきデータを受け取り、データに優先レベルを割り当て、さらにその優先レベルに基づいて、ノードに関する差別化サービス制御パラメータ設定を調整するようにも構成される。また、コントローラは、無線ネットワークに関する信号品質指標を算出するように構成され、さらにその信号品質指標に基づいて、ペイロードの中に含められるデータの量を調整するようにも構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線ネットワークにおける通信に関し、より詳細には、WLAN(無線ローカルエリアネットワーク)におけるデータの動的管理に関する。
【背景技術】
【0002】
WLANを介した患者監視が関与する医療施設ネットワークなどの、いくつかのネットワーク化された環境において、一般的なネットワークへの既存の投資を活用して、無線臨床アプリケーションおよび遠隔測定アプリケーションを展開することが望ましい。しかし、ますます多くの無線クライアントがWLANにアクセスするにつれ、ネットワークは、様々なタイプのデバイスがWLAN上で優先順位を競って、輻輳する可能性がある。無線帯域における複数のデバイスからのそのような干渉、および使用率の増加は、全体的なネットワークパフォーマンスを低下させ、さらに患者の安全に影響を及ぼす可能性がある、不可欠な患者データの欠落、および警報を発することの抜け落ちもしくは遅延につながる可能性がある。例えば、潜在的に命にかかわる不整脈に関して緊急性の高い患者を監視するようにセットアップされた患者着用型の遠隔測定デバイスが、WLAN上でデータを送信している場合があるが、医療看護提供者に患者の状態の変化を知らせるローカルアラームを備えていない可能性がある。そのようなデバイスからの患者データおよび警報メッセージが、例えば、遠隔中央監視ステーションに、または医療看護提供者が携帯するポータブル電子デバイスに、WLANを介してリアルタイムで転送されることが不可欠である。また、対照的に、状態の変化を医療看護提供者に知らせるローカルアラームを備えていることが可能な、WLANへのアクセスを競う複数の臨床モニタが存在する可能性もあり、したがって、ネットワーク上のアラームの送信の何らかの遅延は、患者の安全にそれほど重大ではない可能性がある。さらに、WLAN上の様々な無線監視デバイスによって監視されている様々な患者のそれぞれの緊急性レベルが、絶えず変化している可能性があり、患者着用型の遠隔測定デバイスによって監視されている緊急性の低い患者からのデータの遅延は、より緊急性の高い患者からのデータの遅延ほど、患者の安全に重大ではない可能性がある。これらの様々なデバイスの間で患者データおよび警報メッセージの送信に優先順位を付けるための有効な手段が存在しない状況下で、より重大なデータが遅延する、または失われる可能性がある。
【0003】
無線LANのためのIEEE(電気電子技術者協会)802.11標準が、多くの工業環境、オフィス環境、自宅環境、および医療環境においてネットワークをセットアップするための普及している機構である。レガシー802.11の主な限界は、レガシー802.11が、あらゆるタイプのトラフィックを差別化する優先順位分類をサポートすることができないことである。つまり、ネットワークにおけるすべてのタイプのトラフィックが等しい公正さで扱われる。異なる重大性レベルのトラフィックを差別化するための優先順位付けされたトラフィック配信を有する、802.11eと呼ばれる、より新しい標準が出現している。802.11e標準は、無線通信を制御するための差別化サービス制御パラメータをIP層の中に有することによって、このことを実現する。例えば、6ビットのDCSP(差別化サービスコードポイント)が、IP層において割り当てられて、トラフィックのタイプを分類し、優先順位を付けるのにMAC層において使用されることが可能である。より低い優先順位のトラフィッククラス、およびより高い優先順位のトラフィッククラスのためのDSCPパラメータを使用すると、より高い優先順位のトラフィッククラスには、WLANを介する送信のために、より短い待ち時間が割り当てられる。しかし、802.11eは、トラフィッククラスを差別化することができるものの、標準の動作条件下では、802.11e DSCPパラメータの性質は静的である、つまり、802.11e DSCPパラメータは、すべての監視シナリオの下で最適ではない。例えば、医療施設WLANを介して監視されている患者のステータスまたは状態に変化が生じた場合、802.11e DSCPパラメータは、それらの変化する状態に適応しない。このことは、802.11e DSCPのデフォルトのパラメータを、警報を発することの抜け落ちもしくは遅延が患者の安全に影響を及ぼす可能性がある、医療施設において患者監視のために使用されるデバイスなどの、一部の用途に不向きにする。
【0004】
さらに、前述したとおり、WLANの信号品質が低下して、WLANにアクセスする無線クライアントの接続されたデータ転送速度を低下させる、いくつかの状況が存在する可能性がある。より低いデータ転送速度で接続される場合、個別の無線クライアントが、そのクライアントのデータを送るのに、より長い時間がかかり、さらにデータが失われる、警報が遅延する、または波形に欠落が生じることになる可能性がある。現在、医療監視デバイスなどの無線クライアントは、しばしば、特定の監視シナリオに応じて、いくつかの異なるタイプのデータを送信する必要がある可能性がある。しかし、無線クライアントが、そのクライアントのデータペイロードのサイズを管理する有効な手段が存在しない状況下で、無線帯域における複数のデバイスからの干渉、および使用率の増加が全体的なネットワークパフォーマンスを低下させる場合、より重大なデータが遅延する、または失われる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7652993号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、WLANを介するデータ送信の信頼性を高め、さらに医療監視アプリケーションにおける患者データなどの重大なデータの堅牢な送信を確実にする、データ優先順位付けの改良されたシステム、デバイス、および方法の必要性が存在する。
【0007】
前述した不備、欠点、および問題に、以下の明細書を読み、理解することによって理解される本発明において対処がなされる。
【0008】
或る実施形態において、ノードが、差別化サービス制御パラメータに応じて無線ネットワークを介してデータパケットを送信するように構成される。このノードは、差別化サービスコードパラメータの個別化された制御をもたらすように構成され、さらにデータパケットの中のペイロードに対する個別化された制御をもたらすようにも構成されたコントローラを含む。また、コントローラは、無線ネットワークを介して送信されるべきデータを受け取り、データに優先レベルを割り当て、さらにその優先レベルに基づいて、ノードに関する差別化サービス制御パラメータ設定を調整するようにも構成される。また、コントローラは、無線ネットワークに関する信号品質指標を算出するように構成され、さらにその信号品質指標に基づいて、ペイロードの中に含められるデータの量を調整するようにも構成される。
【0009】
別の実施形態において、ネットワークが、アクセスポイントと、差別化サービスコードパラメータに応じて、そのアクセスポイント経由でネットワークを介してデータパケットを無線送信するように構成されたノードとを含む。このノードは、差別化サービスコードパラメータの個別化された制御をもたらすように構成され、さらにデータパケットの中のペイロードに対する個別化された制御をもたらすようにも構成されたコントローラを含む。また、コントローラは、無線ネットワークを介して送信されるべきデータを受け取り、データに優先レベルを割り当て、さらにその優先レベルに基づいて、ノードに関する差別化サービス制御パラメータ設定を調整するようにも構成される。また、コントローラは、無線ネットワークに関する信号品質指標を算出するように構成され、さらにその信号品質指標に基づいて、ペイロードの中に含められるデータの量を調整するようにも構成される。
【0010】
別の実施形態において、方法が、無線ネットワークを介して送信されるべきデータを受け取ることを含む。そのデータは、差別化サービスコードパラメータに応じてネットワークを介してデータパケットを無線送信するように構成されたノードによって獲得される。このノードは、差別化サービスコードパラメータの個別化された制御をもたらし、さらにデータパケットの中のペイロードに対する個別化された制御をもたらすコントローラを含む。また、この方法は、そのデータに優先レベルを割り当てること、その優先レベルに基づいて、ノードに関する差別化サービス制御パラメータ設定を調整すること、無線ネットワークに関する信号品質指標を算出すること、およびその信号品質指標に基づいて、ペイロードの中に含められるデータの量を調整することも含む。
【0011】
本発明の他の様々な特徴、目的、および利点は、添付の図面、および本発明の詳細な説明から当業者には明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】例示的な実施形態によるネットワークを示す概略図である。
【図2】ネットワークにおいてデータの動的な優先順位付けをもたらすための例示的なコンピュータによって実施されるプロセスを示すブロック図である。
【図3】或る実施形態による例示的な方法を示す流れ図である。
【図4】ペイロードデータの動的な管理をもたらすための例示的なコンピュータによって実施されるプロセスを示すブロック図である。
【図5】或る実施形態による例示的な方法を示す流れ図である。
【図6】或る実施形態による例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を成す添付の図面が参照され、図面では、例として、実施されることが可能な特定の実施形態が示される。これらの実施形態は、当業者がこれらの実施形態を実施することを可能にするように十分に詳細に説明され、さらに他の実施形態が利用され得ること、ならびにこれらの実施形態の範囲を逸脱することなく、論理的変更、機械的変更、電気的変更、およびその他の変更が行われ得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0014】
図1を参照すると、概略で表されたネットワーク10が示されている。無線ネットワーク10が、2つ以上のノード20の間の無線通信、ならびにネットワーク10にアクセスするようにセットアップされた他のタイプのデバイスの間の無線通信を円滑にするように全体的に構成される。例として、ネットワーク10は、WLANであることが可能であり、様々なノード20が、IEEE802.11eプロトコルに準拠して、1つまたは複数のAP(アクセスポイント)14経由でネットワーク10を介して無線通信するように構成される。ノード20は、周期的に、プローブ要求を送ることによって能動的にスキャンすること、およびアクセスポイント14によって送信されたプローブ応答信号がないかスキャンすることによって、ネットワーク10に属するデバイスを探索している状態にあることが可能である。代替として、ノード20は、アクセスポイント14によって送信されたビーコンがないかスキャンすることによって、受動的に探索してもよい。医療施設におけるWLANを介した患者監視が関与する実施形態によれば、ネットワーク10は、様々な緊急性レベルの患者を監視する1つまたは複数のタイプのノード20(例えば、ゼネラルエレクトリック社によって製造されるDASH(登録商標)監視デバイスまたはAPEX PRO(登録商標)監視デバイス)を含むことが可能である。ノード20は、IEEE802.11eプロトコルに準拠して、1つまたは複数のアクセスポイント14経由でネットワーク10を介して中央監視ステーション16(例えば、ゼネラルエレクトリック社によって製造されるCIC PRO(登録商標)中央監視ステーション)に患者データを通信していることが可能である。
【0015】
ノード20は、ネットワーク10のようなWLANにアクセスするように構成される。最も基本的な構成において、ノード20は、少なくとも、処理ユニット22と、メモリ24とを含む。コンピューティングデバイスの厳密な構成およびタイプに依存して、メモリ24は、揮発性(RAMなどの)であることも、不揮発性(ROM、フラッシュメモリなどの)であることも、あるいは揮発性と不揮発性の何らかの組合せであることも可能である。処理ユニット22およびメモリ24は、コントローラ26の中に含められ、コントローラ26の一部を形成する。
【0016】
また、ノード20は、さらなるフィーチャ/機能を有することも可能である。例えば、ノード20は、磁気ディスクもしくは磁気テープ、または光ディスクもしくは光テープを含むが、以上には限定されない、さらなるストレージ(リムーバブルおよび/またはリムーバブルでない)を含むことも可能である。そのようなさらなるストレージが、図1にリムーバブルなストレージ28、およびリムーバブルでないストレージ30によって例示される。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を格納するために任意の方法または技術で実施される揮発性媒体および不揮発性媒体、リムーバブルな媒体、およびリムーバブルでない媒体が含まれる。また、ノード20は、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイスなどの1つまたは複数の入力デバイス32を有することも可能である。また、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの1つまたは複数の出力デバイス34が含まれることも可能である。また、ノード20は、バッテリパックなどの電源36を備えることも可能である。電源36は、ノード20による計算および無線データ送信のための電力を供給する。
【0017】
また、ノード20は、アナログ信号入力またはデジタル信号入力38を含むことも可能である。ノード20が患者監視デバイスである実施形態によれば、信号入力38は、例えば、信号獲得ハードウェア(例えば、信号増幅器、ガルバニック絶縁構成要素、アナログ−デジタル変換器など)と、信号獲得ハードウェアからデータを受け取り、さらなる処理を実行するように処理ユニット22によって実行されるソフトウェアアプリケーションとを含むデータ獲得構成要素であることが可能である。この実施形態において、入力38は、患者データを受け取るために、例えば、ECG(心電計)リード線、観血血圧デバイスもしくは非観血血圧デバイス、温度プローブ、血液ガス測定プローブ、および気道ガスセンサなどの、センサまたはトランスデューサのアレイ39によって患者に結合されることが可能である。
【0018】
また、ノード20は、ノード20が他のデバイスと通信することを許す1つまたは複数の通信接続40を含むことも可能である。通信接続40は、例えば、音響媒体、RF媒体、赤外線媒体、または他の無線媒体を介して、WLANとの通信を可能にする。前述したとおり、本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体という用語には、記憶媒体と通信媒体がともに含まれる。例として、通信接続40には、様々なタイプの無線ネットワークと無線通信するためのUSB無線カードまたはSD無線カードなどのNIC(ネットワークインタフェースカード)が含まれることが可能である。NICは、適切な周波数チャネルを介してデータを無線で送受信するためのアンテナ44に結合されたトランシーバ42を含む。或る実施形態によれば、通信接続40は、IEEE802.11e無線接続を介する無線構成サービスを使用して、インフラストラクチャネットワークおよびアドホックネットワークを含むネットワーク構成を容易にする。
【0019】
また、通信接続40は、ノード20と、例えば、アクセスポイント14の間でネットワーク10の信号品質を評価するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことも可能である。例として、通信接続40は、ネットワーク10を介して送信される信号と背景雑音の間の電力比のフォーマットで、送信に関するSNR(信号対雑音比)を測定するように構成されることが可能である。同様に、通信接続40は、ネットワーク10を介して送信される信号に存在する電力を示すRSSI(受信信号強度指標)を測定するように構成されることが可能である。また、通信接続40は、ノード20によって回復可能な情報信号として認識され得る最低の入力信号電力を示すノイズフロア値を測定するように構成されることも可能である。また、通信接続40は、ノード20による送信再試行の回数を示す再送レートを算出するように構成されることも可能である。また、通信接続40は、例えば、AP14からのビーコン信号を逸した回数を算出するように構成されることも可能である。また、他のタイプの信号品質測定も予期される。
【0020】
図1を参照すると、コントローラ26が、ペイロードデータを含むデータパケットに優先レベルを割り当てるために、ノード20によって受け取られた、ノード20によって獲得された、またはノード20上に格納されたペイロードデータを処理するためのアプリケーション46を含む。本明細書で使用される「ペイロードデータ」という用語は、一般に、データパケットの中に含められることが可能なヘッダデータではなく、例えば、患者パラメータ、警報、波形、デバイスタイプ、またはロケーションデータなどの、データパケットを介してエンドユーザに通信される実際の情報を指す。本明細書で使用される「データ」という用語は、一般に、特に明記しない限り、様々なタイプのペイロードデータを指す。本明細書で使用される「ペイロード」という用語は、一般に、ペイロードデータを含むデータパケットの部分を指す。或る実施形態によれば、アプリケーション46が、このデータを定義されたしきい値と比較して、このデータの分類を決定し、次に、優先レベルを決定するために加重和計算を実行する。また、コントローラ26は、アプリケーション46からの入力に基づいて、データパケットに差別化サービス制御パラメータを割り当てるアプリケーション47も含む。或る実施形態によれば、差別化サービス制御パラメータは、アプリケーション46から受け取られたデータパケットにIP層において割り当てられたDSCP(差別化サービス制御ポイント)である。しかし、本明細書で定義される差別化サービス制御パラメータには、他の層において適用されるDSCP以外の優先度クラシファイアが含まれることも可能である。また、コントローラ26は、アプリケーション47から受け取られたデータパケットのMAC(媒体アクセス制御)層を維持し、通信接続40の動作を制御するNDIS(ネットワークドライバインタフェース仕様)インタフェース48も含む。或る実施形態によれば、NDISインタフェース48は、IEEE802.11eプロトコルに準拠して動作し、差別化サービス制御パラメータを使用して、通信接続40を介するデータパケットの送信に優先順位を付ける。
【0021】
次に図2を参照すると、ネットワーク10におけるデータの動的な優先順位付けをもたらすためのコンピュータによって実施されるプロセス50を示すブロック図が示されている。或る実施形態において、プロセス50は、WLANの802.11e実施形態の差別化サービス制御パラメータを適応させることを対象とする。具体的には、図2に示されるプロセス50は、ノード20によって送られるデータパケットの優先順位を決定するIP層におけるDSCPパラメータの更新をもたらし、ただし、ノード20は、医療施設においてネットワーク10を介してデータを送信する患者監視デバイスである。ノード20に関してDSCPを決定するための適応方法は、ノード20によってネットワーク10上に送信されるデータパケットの実際の優先順位が時とともに変化する可能性があるため、望ましい。ネットワーク10が輻輳している、つまり、ネットワーク10が、複数のデバイスが送信を試みており、ビジーである場合、低過ぎる固定のDSCP値は、患者の安全に影響を及ぼす可能性があるノード20からの重大なデータの配信の抜け落ちまたは遅延をもたらす可能性がある。同様に、高過ぎる、ノード20に関する固定のDSCP値は、より重大なデータを送る他のデバイスからの重大なデータの配信の抜け落ちまたは遅延につながる可能性がある。したがって、任意の所与の時点でノード20によって送信されているデータの重大性に依存して、効率的なデータ送信のための適切なDSCP値は、時とともに変化する可能性がある。
【0022】
図2は、データパケットの、IP層におけるDSCP値の適応に関して説明され、図示されるが、DSCPパラメータではなく、他のパラメータ、またはさらなるパラメータが変更され得ることも企図される。さらに、プロセス50が、更新された802.11プロトコル(例えば、802.11n)などの、802.11eを超えた他の無線通信プロトコルに適用され得ることもさらに企図される。さらに、図2は、医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスとしてのノード20の文脈で説明されるが、プロセス50は、他のタイプのノードおよびネットワーク化されたアプリケーションにも適用可能であることが企図される。
【0023】
本発明の或る実施形態によれば、ノード単位のレベルの適応型DSCP決定が、WLANに関する分散型の制御として実施され、DSCP値は、その特定のノード20に関して無線送信が所望されるパケット送信の優先レベルを定義する。各ノード20内のコントローラ26は、WLANに関する802.11e標準の枠組みの下で機能し、ローカルの計算を使用して、その特定のノード20に関する優先順位要件を満たすDSCP値を動的に選択する、DSCP値を適応させるための分散型の適応アルゴリズムを実行するように構成される。この分散型の制御スキームにおいて、ネットワーク10におけるノード20の各ノード内のコントローラ26は、そのノード20の個別の動作条件に基づいて、プロセス50を別個に適用する。つまり、データ優先順位のローカルの決定に基づいて、各ノードは、そのノードがそのノード独自の優先順位要件を満たすことを許す、そのノードのDSCP値の適切な適応を決定する。
【0024】
図2を参照すると、個別のノード20におけるプロセス50において、コントローラ26が、ネットワーク10を介して送信されるべきデータを受け取る。このデータは、例えば、ノード20によって獲得されたデータ、またはノード20上に前もって格納されたデータであることが可能である。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、獲得されたデータ60には、例えば、パラメータデータ60a、警報データ60b、および波形データ60cが含まれ得ることが企図される。パラメータデータ60aには、例えば、心拍数データまたはECG(心電図)データ、血圧データ(観血または非観血の)、体温データ、血液ガス測定データ(例えば、SpO2データ)、および気道ガス測定データ(例えば、CO2データ)などの生理学的バイタルサインデータの離散的な(例えば、デジタルの)値が含まれることが可能である。警報データ60bには、例えば、患者に関する或るパラメータデータが所定の限度を超えたこと、および支援が要求される可能性がある(例えば、患者が、過度の心拍数、または通常の体温より高い体温を有する)ことを示すデータが含まれることが可能である。また、警報データ60bには、ノード20の状態の変化(例えば、センサ39の接続が切れた、または電源36がほとんど放電された)を示すデータが含まれることも可能である。波形データ60cには、例えば、医療看護提供者による精査のために適切なデータ分解能で送られる、ECG波形などの、アナログの、つまり、連続的な患者生理学データが含まれることが可能である。また、これらのデータには、例えば、患者モニタのタイプ(例えば、臨床モニタまたは遠隔測定デバイス)に関する、ノード20上に格納されたデバイスタイプデータ60d、ならびにノード20が医療施設内のどこに配置されているか(例えば、集中治療室、ステップダウン病床など)を知らせるデバイスロケーションデータ60eが含まれることも可能である。他のタイプのデータには、例えば、患者の状態を監視することに重要である可能性があるEMR(電子医療記録)データが含まれることが可能である。
【0025】
図2のプロセス50の例示される実施形態において、アプリケーション46が、ネットワーク10を介して送信するためにコントローラ26によって受け取られたデータ60を処理し、そのデータに関する優先レベルを決定する。詳細には、アプリケーション46は、そのデータのデータ分類80を決定するためにデータ60の値をデータしきい値70と比較する。各タイプのデータ60に関するデータしきい値70は、例えば、データ60の値が入ることが可能な重大性レベルまたは重大性範囲に基づいて確立されることが可能である。各タイプのデータ60に関して単一のデータしきい値70が存在しても、各タイプのデータ60に関して或る範囲のデータ値を確立する複数のデータしきい値70が存在してもよい。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、これらのデータしきい値は、データ60の値と患者緊急性の間の関係に基づいて確立され得ることが企図される。例示される実施形態において、パラメータデータ60aの値が、適切なデータしきい値70aと比較される。例えば、データしきい値70aには、心拍数ECGデータ、血圧データ、体温データ、血液ガス測定データ、および気道ガス測定データ(例えば、CO2データ)に関するユーザによって定義された限度または範囲が含まれることが可能である。同様に、警報データ60bの値が、適切なデータしきい値70bと比較され、さらに波形データ60cの値が、適切なデータしきい値70cと比較される。
【0026】
アプリケーション46が、データしきい値70との比較に基づいて、データ60のデータ分類80を決定する。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、データ分類80は、データ60とデータしきい値70の比較に基づく患者緊急性の指標であることが企図される。例えば、データ60が、心拍数データに関するデータしきい値70aを超える心拍数パラメータデータ60aの値を含む場合、アプリケーション46は、高い患者緊急性レベルを示すデータ分類80aを割り当てることが可能である。心拍数パラメータデータ60aの値が、心拍数データに関するデータしきい値70aを下回る場合、アプリケーション46は、より低い患者緊急性レベルを示すデータ分類80bを割り当てることが可能である。同様に、アプリケーション46は、警報データ60bの値が、警報データ60bに関するデータしきい値70bを超えるかどうかに依存して、より高い緊急性レベル、またはより低い緊急性レベルを示すデータ分類80bを割り当てることが可能である。また、アプリケーション46は、波形データ60cの値が、波形データ60cに関するデータしきい値70cを超えるかどうかに依存して、より高い緊急性レベル、またはより低い緊急性レベルを示すデータ分類80cを割り当てることも可能である。また、データ分類80dおよび80eが、それぞれ、デバイスタイプデータ60dおよびデバイスロケーションデータ60eに、これらのデータとそれぞれのデータしきい値70d(例えば、ノード20が、確立されたサイズ制約または携帯性制約を超える、または下回る)および70e(例えば、ノード20が、或る特定の距離範囲内にある、またはそのような距離範囲外にある)の比較に基づいて、割り当てられることも可能である。
【0027】
アプリケーション46が、割り当てられたデータ分類80を有するデータ60の値に関する統計的な重み値90を算出する。統計的な重み値90は、様々なデータ優先レベルが、加重和計算によって適応的に決定される構造をもたらすように使用される。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、様々な患者緊急性ベースのデータ分類80のそれぞれに関する対応する統計的な重み値90が、これらのデータ分類80のそれぞれに与えられるべき優先度に基づいて確立されることが企図される。例えば、データ60が、高い患者緊急性レベルを示すデータ分類80aを割り当てられた、送信されるべき心拍数パラメータデータ60aの値を含む場合、アプリケーション46は、対応する統計的な重み値90aが適切であると決定する。この特定の状況において、統計的な重み値90aの決定された値は、送信されるべき心拍数パラメータデータ60aの値に、より低い患者緊急性レベルを示すデータ分類80aが割り当てられた場合と比べて、より高い。様々な警報データ分類80bに関して統計的な重み値90bが確立され、さらに様々な波形データ分類80cに関して統計的な重み値90cが確立される。或る実施形態によれば、警報データ分類80bに関して確立された統計的な重み値90bは、波形データ分類80cに関して確立された統計的な重み値90cより高いことが可能であり、統計的な重み値90cは、パラメータデータ分類80aに関して確立された統計的な重み値90aより高いことが可能である。同様に、様々なそれぞれのデバイスタイプデータ分類80d(例えば、ローカルアラームを有する臨床モニタとしてのデバイスデータ分類80dを有するノード20に関して、より低い重みが確立されることが可能である一方で、ローカルアラームを有さない遠隔測定デバイスとしてのデバイスデータ分類80dを有するノード20に関して、より高い重みが確立されることが可能である)およびロケーションデータ分類80e(例えば、集中治療室に対応するロケーションデータ分類80eを有するノード20に、より高い重みが割り当てられることが可能である)に関して統計的な重み値90dおよび90eが確立される。
【0028】
また、アプリケーション46は、ネットワーク10を介してノード20によって送信されるべきデータ60に全体的な優先レベル92を割り当てるために、加重和計算も実行する。線形加重和計算、非線形加重和計算、および幾何加重和計算などの、様々なタイプの加重和計算技術が使用されることが可能である。優先レベル92に関する加重和計算は、ネットワーク10を介してデータパケットの中で送信されるデータ60の様々な値に割り当てられた様々な統計的な重み値90のそれぞれを計算に入れ、全体的な合計を計算する。このようにして、高い患者緊急性レベルに対応するデータ値60は、全体的な優先レベル92を高め、それに相応して、そのデータがネットワーク10を介して送信される確率を高める。より低い患者緊急性レベルに対応するデータ値60は、全体的な優先レベル92を低下させ、それに相応して、そのデータがネットワーク10を介して送信される確率を低下させて、より高い優先度のデータが送信される確率を高める。
【0029】
アプリケーション47が、アプリケーション46から全体的な優先レベル92を受け取り、全体的な優先レベル92を対応する差別化サービス制御パラメータ値94(例えば、IEEE802.11eに準拠する6ビットDSCP値)に変換し、さらに差別化サービス制御パラメータ値94を、データ60を組み込んだデータパケットのIP層に割り当てる。NDISインタフェース48が、差別化サービス制御パラメータ値94を受け取り、さらにそのデータパケットを、MAC層における対応するデータキュー96に割り当てる。次に、データ60を組み込んだデータパケットは、ネットワーク10を介してアクセスポイント14に送信されるように通信接続40に送られる。次に、データ60を組み込んだデータパケットは、例えば、表示のために中央監視ステーション16に転送されることが可能である。
【0030】
次に図3を参照すると、或る実施形態による方法100を示す流れ図が示されている。方法100は、例えば、図1に示されるネットワーク上で、例えば、図3に関連して前述したプロセスを使用して実施されることが可能である。ステップ110で、ネットワークを介して送信されるべきデータが受け取られる。或る実施形態によれば、そのデータは、差別化サービス制御パラメータに応じてアクセスポイント14と無線通信するように構成されたノード20によって獲得される。ノード20は、IEEE802.11eプロトコルに準拠してアクセスポイント14と無線通信するように構成されることが可能であり、差別化サービス制御パラメータは、差別化サービスコードポイントであることが可能である。ステップ120で、そのデータに優先レベルが割り当てられる。この優先レベルは、例えば、そのデータの分類を決定して、その分類に基づいて加重和計算を実行することによって、割り当てられることが可能である。ステップ130で、差別化サービス制御パラメータが、この優先レベルに基づいて調整されることが可能である。
【0031】
このようにして、開示されるシステムおよび方法は、無線ローカルエリアネットワークにおけるデータ優先度に基づく無線通信プロトコルの動的な調整をもたらす。医療監視アプリケーションにおいて、データに、患者緊急性に基づいて、優先順位が付けられ、したがって、最も危険にさらされている患者が、患者のデータがネットワークを介して送信される高い確率を有するようにする。
【0032】
次に図4を参照すると、ペイロードデータの動的管理をもたらすための例示的なコンピュータによって実施されるプロセス200を示すブロック図が、示されている。或る実施形態において、プロセス200は、WLANの802.11e実施形態においてデータパケットのペイロードの中に含められるデータの量を調整することを対象とする。具体的には、図2に示されるプロセス200は、ノード20によって送られるデータパケットの中に含められるデータの量を調整し、ただし、ノード20は、医療施設においてネットワーク10を介してデータを送信する患者監視デバイスである。ネットワーク10を介する送信の信号品質は、時々、低下して、ネットワーク10にアクセスするノード20の接続されたデータ転送速度を低下させる可能性があるため、ノード20によって送信されるデータパケットの中に含められるデータの量を調整するための適応方法が、望まれる。より低いデータ転送速度で接続される場合、個別のノードがそのノードのデータを送るのに、より長い時間がかかり、さらにデータが失われる、警報が遅延する、または波形に欠落が生じることになる可能性がある。したがって、任意の所与の時点でネットワーク10を介して送られる送信の信号品質に依存して、効率的なデータ送信のためにノード20によって送られるパケットの中のデータの適切な量は、時とともに変化する可能性がある。
【0033】
図4は、802.11 WLANにおける信号品質に基づいてデータパケットのペイロードの中に含められるデータの量の適応に関連して説明され、示されるが、プロセス200は、更新された802.11プロトコル(例えば、802.11n)などの、802.11eを超えた他の無線通信プロトコルに適用され得ることも企図される。さらに、図4は、医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスとしてのノード20の文脈で説明されるが、プロセス200は、他のタイプのノードおよびネットワーク化されたアプリケーションに適用可能であることも企図される。
【0034】
本発明の或る実施形態によれば、ノード単位のレベルの適応データパケットペイロード調整が、WLANに関する分散型の制御として実施される。各ノード20内のコントローラ26が、WLANに関する802.11e標準の枠組みの下で機能するデータパケットのペイロードの中に含められるデータの量を調整するための分散型の適応アルゴリズムを実行するように構成され、さらにローカル信号品質測定を使用するように構成され、特定のノード20によって送信されるデータパケットのペイロードを動的に調整する。この分散型の制御スキームにおいて、ネットワーク10におけるノード20の各ノード20内のコントローラ26は、そのノード20の個別の動作条件に基づいて、プロセス200を別個に適用する。つまり、信号品質のローカルの測定に基づいて、各ノード20は、そのノードがそのノード独自の要件を満たすことを許す、データパケットのペイロードの適切な適応を決定する。
【0035】
図4を参照すると、個別のノード20におけるプロセス200において、コントローラ26が、ネットワーク10を介して送信されるべきデータを受け取る。図2に関連して前述したとおり、そのデータは、例えば、ノード20によって獲得されたデータ、またはノード20上に前もって格納されたデータであることが可能である。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、獲得されたデータ60には、例えば、パラメータデータ60a、警報データ60b、および波形データ60cが含まれ得ることが企図される。パラメータデータ60aには、例えば、心拍数データまたはECG(心電図)データ、血圧データ(観血または非観血の)、体温データ、血液ガス測定データ(例えば、SpO2データ)、および気道ガス測定データ(例えば、CO2データ)などの生理学的バイタルサインデータの離散的な(例えば、デジタルの)値が含まれることが可能である。警報データ60bには、例えば、患者に関する或るパラメータデータが所定の限度を超えたこと、および支援が要求される可能性がある(例えば、患者が、過度の心拍数、または通常の体温より高い体温を有する)ことを示すデータが含まれることが可能である。また、警報データ60bには、ノード20の状態の変化(例えば、センサ39の接続が切れた、または電源36がほとんど放電された)を示すデータが含まれることも可能である。波形データ60cには、例えば、医療看護提供者による精査のために適切なデータ分解能で送られる、ECG波形などの、アナログの、つまり、連続的な患者生理学データが含まれることが可能である。また、これらのデータには、例えば、患者モニタのタイプ(例えば、臨床モニタまたは遠隔測定デバイス)に関する、ノード20上に格納されたデバイスタイプデータ60d、ならびにノード20が医療施設内のどこに配置されているか(例えば、集中治療室、ステップダウン病床など)を知らせるデバイスロケーションデータ60eが含まれることも可能である。他のタイプのデータには、例えば、患者の状態を監視することに重要である可能性があるEMR(電子医療記録)データが含まれることが可能である。
【0036】
図4のプロセス200の例示される実施形態において、アプリケーション46は、ネットワーク10に関する信号品質指標210の算出も行う。詳細には、アプリケーション46は、通信接続40から1つまたは複数の信号品質測定を受信するように構成され、さらに全体的な信号品質指標値を算出するように構成される。信号品質測定は、図1および通信接続40に関連して前述したとおり、例えば、RSSI値、ノイズフロア値、SNR値、パケット再送レート、ビーコン信号を逸したレートであることが可能である。信号品質指標210は、単一の信号品質測定(例えば、RSSI値だけ)に基づいても、通信接続40から受信された信号品質測定(例えば、RSSIとSNR)の組合せから導き出されてもよい。
【0037】
アプリケーション46が、データパケットのペイロードの中に含められる、ノード20によって受け取られるデータ60の量を、信号品質指標210に基づいて調整する。具体的には、信号品質指標210が、ネットワーク10を介して利用可能な測定された信号品質が或るしきい値を下回る、または或る特定の範囲を外れることを示す場合、アプリケーション46は、データパケットのペイロードの中に含められるデータの量を調整することが可能である。信号品質指標210の値に基づいて、アプリケーション46は、例えば、或るタイプの受け取られたデータ60を排除することによって、受け取られたデータ60からデータのサブセット220を除去することができる。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データのパケットを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、アプリケーション46が、データのサブセットを、そのようなデータが、パラメータデータ60aであるか、警報データ60bであるか、波形データ60cであるか、デバイスタイプデータ60dであるか、またはロケーションデータ60eであるかに基づいて、除去して、データパケットのペイロードの中に含められるべき或るタイプのデータ(例えば、警報)だけを残すことが可能であることが企図される。別の実施形態によれば、信号品質指標210の値に基づいて、アプリケーション46は、例えば、受け取られたデータ60の分解能を低減することによって、受け取られたデータ60からデータ220のサブセットを除去することが可能である。ノード20が医療施設においてネットワーク10を介して患者データのパケットを送信する患者監視デバイスである実施形態によれば、アプリケーション46が、例えば、パラメータデータ60a、警報データ60b、波形データ60c、デバイスタイプデータ60d、またはロケーションデータ60eの分解能を低減することによって、データのサブセットを除去することが可能であることが企図される。例として、信号品質指標210が、ネットワーク10を介して利用可能な測定された信号品質が或るしきい値を下回ることを示す場合、アプリケーション46は、ECG波形データの分解能を120Hzから60Hzに低減することができる。別の例示的な実施形態によれば、信号品質指標210が、ネットワーク10を介して利用可能な測定された信号品質が或るしきい値を下回ることを示す場合、アプリケーション46は、データパケット再送試行の回数を低減することができる。アプリケーション46は、受け取られたデータ60の残りの部分をペイロードデータ230として、ネットワーク10上で送信するためにパケットの中に含める。
【0038】
次に図5を参照すると、或る実施形態による方法300を示す流れ図が示されている。方法300は、例えば、図1に示されるネットワーク上で、図4に関連して前述したプロセス200を使用して実施されることが可能である。ステップ310で、ネットワークを介して送信されるべきデータが受け取られる。或る実施形態によれば、そのデータは、ネットワークを介してデータパケットを無線送信するように構成されたノードによって獲得される。その受け取られたデータには、例えば、警報データ、波形データ、バイタルサインデータ、デバイスタイプデータ、およびロケーションデータなどの、患者監視デバイスによって獲得された生理学的データが含まれることが可能である。ノードは、データパケットの中のペイロードの個別化された制御をもたらすように構成されたコントローラを含む。ノードは、IEEE802.11eプロトコルに準拠してアクセスポイントと無線通信するように構成されることが可能である。ステップ320で、無線ネットワークに関する信号品質指標が算出される。信号品質指標は、例えば、RSSI値、ノイズフロア値、SNRの値、パケット再送レート、ビーコン信号を逸したレートに基づくことが可能である。ステップ330で、ペイロードの中に含められるデータの量が、信号品質指標に基づいて調整される。ペイロードの中に含められるデータの量は、例えば、警報データ、波形データ、バイタルサインデータ、デバイスタイプデータ、およびロケーションデータなどのデータのタイプに基づいて、受け取られたデータからデータのサブセットを除去することによって、調整されることが可能である。また、ペイロードの中に含められるデータの量は、例えば、受け取られたデータの分解能を低減することによって、調整されることも可能である。
【0039】
このようにして、ノード20によって送られるパケットの中に含められる、受け取られたデータ60の適切な量が、任意の所与の時点でネットワーク10を介して送られる伝送の信号品質に応じた効率的なデータ送信のために動的に調整される。このため、開示されるシステムおよび方法は、無線帯域における複数のデバイスからの干渉、および使用率の増加が全体的なネットワークパフォーマンスを低下させる場合に、或るタイプのデータが遅延されない、または失われない尤度を高める。
【0040】
次に図6を参照すると、或る実施形態による例示的な方法400を示す流れ図が示されている。詳細には、図6は、図2および図4に関連して示され、説明されるプロセスを組み合わせて、ネットワーク10を介して送信されるべきデータの優先度と、任意の所与の時点でネットワーク10を介して送られる伝送の信号品質の両方に基づいて、動的なデータ管理が実行されるようにする方法400の実施形態を示す。方法400は、例えば、図1に示されるネットワーク上で実施されることが可能である。ステップ410で、ネットワークを介して送られるべきデータが受け取られる。或る実施形態によれば、そのデータは、例えば、差別化サービス制御パラメータに応じてアクセスポイント経由で、ネットワークを介してデータパケットを無線通信するように構成されたノードによって獲得される。このノードは、IEEE802.11eプロトコルに準拠してアクセスポイントと無線通信するように構成されることが可能であり、差別化サービス制御パラメータは、差別化サービスコードポイントであることが可能である。その受け取られたデータには、例えば、警報データ、波形データ、バイタルサインデータ、デバイスタイプデータ、およびロケーションデータなどの、患者監視デバイスによって獲得された生理学的データが含まれることが可能である。ステップ420で、そのデータに優先レベルが割り当てられる。この優先レベルは、例えば、そのデータの分類を決定して、その分類に基づいて加重和計算を実行することによって、割り当てられることが可能である。ステップ430で、差別化サービス制御パラメータが、この優先レベルに基づいて調整されることが可能である。ステップ440で、ネットワークに関する信号品質指標が算出される。信号品質指標は、例えば、RSSI値、ノイズフロア値、SNRの値、パケット再送レート、ビーコン信号を逸したレートに基づくことが可能である。ステップ450で、ペイロードの中に含められるデータの量が、信号品質指標に基づいて調整される。ペイロードの中に含められるデータの量は、例えば、警報データ、波形データ、バイタルサインデータ、デバイスタイプデータ、およびロケーションデータなどのデータのタイプに基づいて、受け取られたデータからデータのサブセットを除去することによって、調整されることが可能である。また、ペイロードの中に含められるデータの量は、例えば、受け取られたデータの分解能を低減することによって、調整されることも可能である。
【0041】
本発明は、好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、本発明の趣旨を逸脱することなく、これらの実施形態にいくつかの置換、変更、および省略が行われ得ることが当業者には認識されよう。したがって、以上の説明は、単に例示的であることを意図しており、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を制限すべきものではない。
【符号の説明】
【0042】
10 ネットワーク
14 AP(アクセスポイント)
16 中央監視ステーション
20 ノード
22 処理ユニット
24 メモリ
26 コントローラ
28 リムーバブルなストレージ
30 リムーバブルでないストレージ
32 入力デバイス
34 出力デバイス
36 電源
38 信号入力
40 通信接続
42 トランシーバ
44 アンテナ
46 アプリケーション
47 アプリケーション
48 NDISインタフェース
50 プロセス
60 データ
60a パラメータデータ
60b 警報データ
60c 波形データ
60d デバイスタイプデータ
60e ロケーションデータ
70 データしきい値
70a データしきい値
70b データしきい値
70c データしきい値
70d データしきい値
70e データしきい値
80 データ分類
80a データ分類
80b データ分類
80c データ分類
80d データ分類
80e データ分類
90 統計的な重み値
90a 統計的な重み値
90b 統計的な重み値
90c 統計的な重み値
90d 統計的な重み値
90e 統計的な重み値
92 優先レベル
94 差別化サービス制御パラメータ値
96 データキュー
210 信号品質指標
220 データのサブセット
230 ペイロードデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差別化サービス制御パラメータ(94)に応じて無線ネットワーク(10)を介してデータパケットを送信するように構成されたノード(20)であって、
前記差別化サービスコードパラメータ(94)の個別化された制御をもたらすように構成され、さらに前記データパケットの中のペイロード(230)に対する個別化された制御をもたらすようにも構成されたコントローラ(26)を備え、前記コントローラ(26)は、
前記無線ネットワーク(10)を介して送信されるべきデータ(60)を受け取り、
前記データ(60)に優先レベル(92)を割り当て、
前記優先レベル(92)に基づいて、前記ノード(20)に関する前記差別化サービス制御パラメータ(94)設定を調整し、
前記無線ネットワーク(10)に関する信号品質指標(210)を算出し、さらに
前記信号品質指標(210)に基づいて、前記ペイロード(230)の中に含められる前記データ(60)の量を調整するようにさらに構成されるノード(20)。
【請求項2】
前記信号品質指標(210)は、受信信号強度指標値、ノイズフロア値、信号対雑音比値、パケット再送レート、およびビーコンが逸せられたレートのうち1つに基づく請求項1記載のノード(20)。
【請求項3】
前記コントローラ(26)は、前記受け取られたデータ(60)からデータのサブセット(220)を除去することによって、前記ペイロード(230)の中に含められるべきデータ(60)の量を調整するように構成される請求項1記載のノード(20)。
【請求項4】
患者監視デバイス(20)である請求項3記載のノード(20)であって、前記受け取られたデータ(60)は、前記患者監視デバイス(20)によって獲得された生理学的データ(60)を含み、さらにデータの前記サブセット(220)は、警報データ(60b)、波形データ(60c)、およびバイタルサインデータ(60a)のうち1つを含むノード(20)。
【請求項5】
前記コントローラ(26)は、前記受け取られたデータ(60)の分解能を低減することによって、前記ペイロード(230)の中に含められるデータ(60)の量を調整するように構成される請求項1記載のノード(20)。
【請求項6】
IEEE802.11eプロトコルに準拠してアクセスポイント(14)と無線通信するように構成された請求項1記載のノード(20)であって、前記差別化サービス制御パラメータ(94)は、差別化サービスコードポイントであるノード(20)。
【請求項7】
前記コントローラ(26)は、前記データ(60)に前記優先レベル(92)を割り当てるために、前記データ(60)の分類(80)を決定し、さらに前記分類(80)に基づいて加重和計算(92)を実行するようにさらに構成される請求項1記載のノード(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142937(P2012−142937A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−285351(P2011−285351)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】