説明

無線信号伝送システム制御装置,無線信号伝送システム

【課題】 車両等の移動側の装置には大きな変更を施さず,出来るだけ安価に適切な地点でのハンドオーバーを可能とし,これにより良好な通信状態を保つことが可能な無線信号伝送システム制御装置,及びそれを具備する無線信号伝送システムを提供することにある。
【解決手段】 鉄道などの交通システムにおいて移動経路上に通常設けられている,移動無線装置(車両2)の位置及び進行方向の判別装置(在線検知装置8)からの情報を利用して前記移動無線装置が2つの前記固定無線装置の通信領域が重複するエリアに到達したことを検出し,該エリアに前記移動無線装置が到達した場合に該移動無線装置の移動の下流側の固定無線装置に対する上流側の固定無線装置の無線信号の相対強度を下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線信号伝送システム制御装置及びそれを具備する無線信号伝送システムに関するものであり,特に所定の移動経路上を移動する移動無線装置が無線信号伝送の相手とする固定無線装置を,速やか且つ確実に切り替えることが可能な無線信号伝送システム制御装置及びそれを具備する無線信号伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば路線上を走行する車両等,予め定められた軌道に沿って高速に移動する高速移動体との連絡には,無線LAN等の無線通信が用いられる。そのような無線通信を実現する例として,以下のような無線信号伝送システムが考えられる。
前記軌道に沿って複数の基地局が配置される。前記基地局各々が良好に通信できる通信領域は前記基地局各々を中心とした所定範囲(高々半径数100m)に制限されており,前記通信領域が前記軌道全てを網羅するような間隔で,前記複数の基地局が配置される。また,前記高速移動体(以下,単に移動体という)には,前記基地局各々と通信するための子局が搭載される。
前記移動体は,複数の前記基地局のうち,自身に近接する1つの基地局と接続し,その最近接の基地局と前記子局との間で無線通信を行う。前記移動体は,自身の移動に伴って複数の前記基地局各々との距離が変化するので,その移動に応じて接続すべき基地局を最近接のものに順次切り替える必要がある。このような接続対象の基地局の切替はハンドオーバーと呼ばれる。ハンドオーバーが適切になされることにより,前記移動体は前記基地局各々との良好な通信状態を保つことが可能となる。
【0003】
図1は,従来例における無線信号伝送システムの概略構成図である。以下,図1を用いて上述のような無線信号伝送システムの構成について説明する。
図1に示されるように,予め定められた軌道に沿って敷かれた路線1に従って,車両2が走行している。前記車両2には無線通信用の子局2aが搭載されている。前記子局2aを介して,走行中の前記車両2と無線通信を行うために,前記路線1に沿って複数の基地局3a,3b,3c…が設けられている。前記基地局3a,3b,3c…は,制御指令伝送ライン4を介して無線信号伝送システム制御装置5に接続されている。前記無線信号伝送システム制御装置5により,前記車両2との通信に用いる無線信号の強度の調節等を含む様々な前記基地局3a,3b,3c…各々の制御がなされる。
前記基地局3a,3b,3c…各々は,良好な通信を可能とする有限の(通常,数100m程度である)通信領域6を有しており,該通信領域6は前記基地局3a,3b,3c…各々を中心として広がっている。前記基地局3a,3b,3c…は,各々の前記通信領域6が前記路線1を全て網羅し,隣接する2つの基地局における前記通信領域6が前記路線1上で若干重なるように配置される。
【0004】
従って,前記路線1上には,単独の基地局(前記基地局3a,3b,3c)のいずれかのみと通信が可能なエリア(以下,単独無線伝送エリアという)と,2つの基地局の前記通信領域6が重なっており,2つの基地局のいずれかを選択して通信を行うことが可能なエリア(以下,重複無線伝送エリア)とが交互に形成される。
前記車両2の移動に伴って,前記子局2aを介する無線通信の対象とする(接続する)基地局が順次切り替わる(つまり,ハンドオーバーする)。ハンドオーバーは,前記重複無線伝送エリアにおいて生じる。例えば,前記基地局3aによる前記通信領域6における単独無線伝送エリアを走行中の前記車両2は,前記子局2aと前記基地局3aとが接続されることにより無線通信が可能である。前記車両2の移動により,前記子局2aが前記基地局3aの前記通信領域6と前記基地局3bの前記通信領域6とによる前記重複無線伝送エリアに到達した場合,該重複無線伝送エリアを移動中に前記子局2aの接続先が前記基地局3aから前記基地局3bへとハンドオーバーする。
【0005】
以下,前記子局2aの接続先の基地局の切り替え条件等について説明する。
前記子局2aは,該子局2aによる無線信号を受信してそれに様々な処理を施す他,受信された無線信号に基づいて接続先の基地局の切替制御を行う信号処理装置2bに接続されている。
前記子局2aは,前記重複無線伝送エリアに到達した場合,それまで無線通信の相手としていた前記基地局3aから伝送された無線信号と,前記基地局3bから伝送された無線信号とを受信する。通常,無線LANシステムでは,複数の基地局からの無線信号が検出された場合,現在接続している基地局よりも接続条件(信号強度,電波状態,通信速度等)のよい基地局が存在することが検知された場合に,接続する基地局を切り替えるものが一般的であり,前記信号処理装置2bもそのような判断基準で接続先の基地局の切り替えを行う。
【0006】
ところで,前記子局2a単独で前記基地局3aからの無線信号と前記基地局3bからの無線信号を同時に受信する場合,それらの無線信号が重合された信号を受信することになる。そのような場合,直ちに前記重合された信号を前記基地局3aから伝送された無線信号と前記基地局3bから伝送された無線信号とに分離し,2つの無線信号の強度を比較して良好な接続先を決定することが出来ない。そのような2つの無線信号の強度比較が可能となるのは,それら2つの無線信号の強度に明確な差がつき,例えば強度の差が15dB以上になった場合である。
ここに,図2は前記重複無線伝送エリアにおける2つの基地局からの無線信号の強度の受信位置に対するグラフである。
図2に示されるように,前記車両2の位置変化に対して,2つの基地局からの無線信号の強度はA地点において同一となる。その後前記車両2の前記基地局3b方向への移動に伴って前記基地局3bの無線信号の強度は増幅され,前記基地局3aの無線信号の強度は減少する。しかし,前記A地点を通過後,このような無線信号強度の減少,あるいは増加は非常に緩慢である。
前記基地局3aによる無線信号の強度と前記基地局3bによる無線信号の強度とが逆転するA地点において,前記子局2aの接続先が前記基地局3aから前記基地局3bへとハンドオーバーするのが理想的であるが,上述の理由により実際にハンドオーバーするのは,A地点を遥かに通り過ぎ,B地点に到達した時点である。
【0007】
従って,前記A地点から前記B地点までは,前記基地局3aの微弱な無線信号を用いて通信を行わねばならず,適切な通信状態を保つことが出来ないという問題がある。
そこで,このような問題を解決することが可能な無線通信システムとして,特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の技術によれば,1つの車両に2つの子局が設置される。該2つの子局のうちの1つの子局により現在の通信エリアの基地局と無線通信を行いながら,もう1つの子局により次に接続するべき基地局の無線信号を探索する。このような構成により,2つの子局各々により受信された無線信号の強度を確実に相対比較することが可能であり,例えば図2に示されるA地点に到達したとき等の適切なタイミングでハンドオーバーさせることが可能である。
【特許文献1】特開2003−318765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,上述の特許文献1に開示されている技術では,車両毎に子局を2つずつ設ける必要がある。通常,交通システムにおいては多くの車両が該交通システムを走行するものであり,このように車両毎に2つずつ子局を設けるのは導入コスト,管理コスト等の費用面で大きな支障がある。
また,前記車両にGPSと携帯電話モジュールを搭載し,前記車両が自身の位置の把握を可能としたものも考えられる。このような場合には,2つの基地局からの無線信号の強度が逆転する地点の情報を予め記憶しておけば,前記GPS及び前記携帯電話モジュールを用いて判別された自分自身の位置情報に基づいて,前記無線信号の強度が逆転する地点に到達したタイミングでハンドオーバーすることが可能である。しかし,このような方法でも,交通システム上の車両全てに前記GPS及び前記携帯電話モジュールを搭載する必要があり,上述の特許文献1に開示される技術と同様の問題点を抱える。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,車両等の移動側の装置には大きな変更を施さず,出来るだけ安価に適切な地点でのハンドオーバーを可能とし,これにより良好な通信状態を保つことが可能な無線信号伝送システム制御装置,及びそれを具備する無線信号伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は,所定の移動経路上を移動する移動無線装置と前記移動経路に沿って配置された複数の固定無線装置のいずれかとの無線信号伝送(通信若しくは放送)のための無線信号伝送システムを制御する無線信号伝送システム制御装置であり,鉄道などの交通システムにおいて移動経路上に通常設けられている前記移動無線装置の位置及び進行方向の判別機構からの情報を利用して前記移動無線装置が2つの前記固定無線装置の通信領域が重複するエリアに到達したことを検出し,該エリアに前記移動無線装置が到達した場合に該移動無線装置の移動の下流側の固定無線装置に対する上流側の固定無線装置の無線信号の相対強度を下げる信号強度調節を行う無線信号伝送システム制御装置である。
これにより,前記移動無線装置が前記通信領域の重複エリアに到達した場合,前記移動無線装置が現在通信を行っている前記移動上流側の固定無線装置の信号強度とハンドオーバーの対象である前記移動下流側の固定無線装置の信号強度との差がつきやすく,速やかで適切なハンドオーバーが促される。
この場合,前記移動側無線装置が搭載される移動側装置(車両等)には構成の変更若しくは新たな装置導入の必要がない。また,前記移動側装置の位置及び進行方向の判別機構は通常の交通システム(鉄道など)に具備されており,固定側無線装置(つまり基地局)の信号強度も当然制御可能と考えられる。従って,前記判別機構の判別結果を前記信号強度を調節すべき制御装置に入力する機能及び経路の追加,前記制御装置に対する前記入力情報から前記移動無線装置が前記重複エリアに到達したか否かを検知する処理機能の追加,といった明らかに安価な設備変更を行うだけで,適切で速やかなハンドオーバーを得ることが可能であり,前記移動側装置との良好な通信状態を得られる。
【0010】
無線信号の相対強度の調節例として,前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を下げる,若しくは前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を下げると共に前記下流側の固定無線装置の無線信号の強度を上げる,等が考えられるが,これらは使用環境(状況)等に応じて適宜使い分けることが可能である。前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を下げる場合には,他の移動側無線装置が前記固定無線装置の通信領域に到達したときには,無線信号伝送を可能とする強度にまで再度前記無線信号の強度を上昇させる必要がある。
前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を下げる場合,一旦無線信号伝送が可能でありかつ前記下流側の前記固定無線装置の無線信号の強度とは明確な差がつくレベルにまで前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を下げ,ハンドオーバーが発生した後にゼロにまで下げるなど,前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を徐々に下げるのが望ましい。前記無線信号が突然の消失するような場合には,ハンドオーバーも適切になされないことが知られているが,このように前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を徐々に下げるものとすると,安定したハンドオーバを生じさせることができる。
【0011】
また,前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を下げる場合には,当該無線信号伝送システムと他の無線LANシステムとの干渉を避けるため,また無線LANを介した当該無線信号伝送システムへの違法な侵入を防ぐため,或いは省エネルギー化のために,略ゼロの強度にまで下げるのが望ましい。
ところで,複数の前記移動無線装置が存在し得る場合には,ある移動無線装置が前記重複無線伝送エリアに到達していても,前記判別機構による判別結果に基づいて他の移動無線装置が前記重複無線伝送エリアに対応する前記上流側の固定無線装置のみと無線信号伝送が可能な単独無線伝送エリアに存在すると判別された場合には,該単独無線伝送エリアに対応する前記固定無線装置について前記無線信号強度が下げられることを禁止する必要がある。これにより,たとえある移動無線装置がハンドオーバーする場合であっても,その移動無線装置の元の接続先である固定側無線装置が他の移動無線装置との通信中に該固定無線装置の無線信号の強度が下げられるといった不具合が防止される。
同様の課題から,ある移動無線装置に対しては前記下流側の固定無線装置となっていても,同時に他の移動無線装置に対して前記上流側の固定側無線装置となっている場合には,その固定無線装置の無線信号強度が下げられることは禁止されるべきである。
尚,本発明は以上ような無線信号伝送システム制御装置を具備する無線信号伝送システムとして捉えたものであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,無線信号伝送に用いられる信号強度の調節が可能な基地局(固定無線装置)及びその制御装置,または移動体(移動無線装置)の位置及び進行方向を判別する判別機構等の,通常の交通システムが有するべき構成に対して安価な設備変更を行うだけで,適切に前記移動無線装置のハンドオーバーを得ることが可能であり,前記移動無線装置と前記固定無線装置との良好な通信状態を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は従来例における無線信号伝送システムの概略構成図,図2は重複無線伝送エリアにおける2つの基地局各々からの無線信号の強度の受信位置に対する振る舞いを示すグラフ,図3は本発明に係る無線信号伝送システム制御装置を具備する無線信号伝送システムの概略構成図,図4は複数の車両が存在する場合における無線信号伝送システムの概略構成図,図5は複数の車両が並行して走行する場合における無線信号伝送システムの概略構成図,図6は本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システムに入力される車両情報リストのデータ構成図,図7は本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置により予め記憶される基地局各々の無線伝送エリアの情報のデータ構成図,図8は本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置により設定される基地局各々の無線信号強度設定情報のデータ構成図,図9は本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置による基地局の無線信号強度の調節制御処理の手順を示すフローチャートである。尚,従来例と同様の構成については従来例の説明で用いた符号と同一の符号を用いるものとする。
【0014】
(1)本発明に係る無線信号伝送システム制御装置と従来例との構成上の相違点について。
図3は本発明に係る無線信号伝送システム制御装置を具備する無線信号伝送システムの概略構成図である。以下,図3を参照しつつ,本発明に係る無線信号伝送システム制御装置と従来例における無線信号伝送システムとの構成上の相違点を説明する。
図3に示されるような一般的な鉄道(交通システムの例)には,その路線上の各車両の位置及びその移動方向を判別する以下のような構成が具備される。路線1は車両2が走行する経路である。前記路線1に並行するように漏洩同軸ケーブル7が設けられている。
前記漏洩同軸ケーブル7は,その全長に渡って微弱な電波の送受信を行う無線アンテナとして機能する。一方,前記車両2には以下のような車両位置検出装置を具備している。つまり,前記車両位置検出装置は,車輪の回転数等から測定した車両の走行距離及び走行方向の情報を,前記漏洩同軸ケーブル7を介して前記在線検知装置8に対して送信する。これにより,前記在線検知装置8は,前記車両2の位置及び移動の方向を検知することが可能である。
一方,以下のように前記漏洩同軸ケーブル7を用いて前記車両2の位置検知を行うものであっても良い。
前記漏洩同軸ケーブル7からはその全長に渡って電波が放射されており,前記車両2により該電波の一部が輻射される。このような輻射電波は前記漏洩同軸ケーブル7により再受信される。また,前記漏洩同軸ケーブル7に接続された在線検知装置8により前記輻射電波が入力され,これにより,前記在線検知装置8により前記車両2の位置及び移動の方向が検知されるものであっても良い。
【0015】
ところで,図3に示される,本発明の実施の形態に係る無線システム制御装置を具備する無線信号伝送システムAは,前記路線1(所定の移動経路)上を移動する前記車両2に搭載された子局2a(移動無線装置の一例)が,前記路線1に沿って配列された複数の基地局3a,3b,3c…と無線通信(双方向の信号伝送)するためのシステムである。当該無線信号伝送システムAにおいて,前記子局2aは複数の前記基地局3a,3b,3c…のうちの2以上から無線信号を受信した場合に,それらの無線信号の強度比較に基づいて信号伝送の相手とする前記基地局3a,3b,3c…のうちのいずれかを選択(切替)する。具体的には,2つの基地局からの無線信号の相対強度が15dBよりも大きくなった場合に,前記子局2aに接続された信号処理装置2bが,前記2つの基地局のうちの信号強度の大きい方を前記子局2aとの無線信号伝送の相手としてそれに接続する。本発明に係る無線信号伝送システム制御装置5’は,当該無線信号伝送システムAの制御を行う制御装置であり,具体的には演算部のCPU,種々の情報を記憶する記憶部,及び前記基地局3a,3b,3c…に対して信号強度調節の制御指令を出力するI/O部等からなるものである。
前記在線検知装置8は,通信ケーブル9を介して,前記無線信号伝送システム制御装置5’と前記基地局3a,3b,3c…とを接続する制御指令伝送ライン4に接続されている。これにより,前記在線検知装置8による後述の車両情報リスト,つまり全ての前記車両2の位置及びその移動方向が前記無線信号伝送システム制御装置5’に入力される。
【0016】
(2)本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置の概略について。
従来例の説明において述べたとおり,車両が1つの子局を有する場合,現在通信の対象としている基地局が次の基地局に切り替わる(ハンドオーバーする)には,該次の基地局の無線伝送信号の強度が現在通信対象の基地局の無線伝送信号の強度を明確に(例えば,15dB以上)上回ることが必要である。そこで,本発明は,車両側には何ら変更を施さず,前記基地局各々の前記無線信号の強度をタイミング良く調節することにより,速やかで確実なハンドオーバーを促すことを特徴とするものである。
先ずは前記無線信号伝送システム5’の前記CPU(移動状況検出手段の一例)が,上述したような一般的な鉄道において用いられる前記在線検知装置8から入力された情報を用いて,前記車両2及びそれに搭載された前記子局2a(移動無線装置)が,その移動方向において前記基地局3a,3b,3c…のうちの隣り合う上流側の基地局(固定無線装置)と下流側の基地局とのいずれとも無線信号伝送が可能な重複無線伝送エリアに到達したこと及びその移動方向を判別(検出)する。
【0017】
そのような判別結果に基づいて,前記CPUが詳しくは後述する処理手順に従って,前記子局2a(移動無線装置)が前記重複無線伝送エリアに到達したことが検出された場合に,前記下流側の基地局(固定無線装置)に対する前記上流側の基地局の無線信号の相対強度を下げるような各基地局の信号強度の設定を行い,該設定に従って前記基地局3a,3b,3c…各々を制御する。前記信号強度の設定を行う前記CPU及びその設定に従って前記基地局3a,3b,3c…に対し制御指令を出力する前記I/O部が信号強度調節手段の一例である。
前記下流側の基地局に対する前記上流側の基地局の無線信号の相対強度を下げるような具体的な設定には様々なものが考えられるが,本実施例では前記上流側の前記基地局(固定無線装置)の無線信号の強度を下げ,前記下流側の無線信号を上げるような前記信号強度の調節方法が採用される。
【0018】
(3)複数の車両が存在する場合の無線信号強度の調節処理について。
尚,前記車両2が複数存在する場合,例えばそれらの車両2のすれ違い時等に,前記基地局3a,3b,3c…のうちの1つが2つ(又はそれ以上)の前記子局2aと通信を行うことがある。図4及び図5は,そのように複数の車両が存在する場合における概略構成図である。図4に示されるように,前記車両2が前記基地局3aと前記基地局3bとによる通信領域6が重複する重複無線伝送エリアに到達している。また,前記基地局3aは前記車両2とは別の車両2’と通信中である。前記車両2を確実にハンドオーバーさせるためには,前記基地局3aの前記無線信号の強度を下げるのが望ましいが,そのようにすると前記車両2’との無線信号の伝送がストップしてしまうため,このような場合には前記基地局3aの信号強度を下げる制御が禁止される。
即ち,複数の前記子局2a(移動無線装置)が存在し得る場合には,前記CPU(移動状況検出手段の一例)により,前記車両2が上流側の前記基地局3aと下流側の前記基地局3bとによる重複無線伝送エリアに到達したことが検出されている場合に,やはり前記CPU(単独エリア存在検出手段)は前記在線検知装置8から入力された情報を用いて,前記上流側の基地局3aのみと無線信号伝送が可能な単独無線伝送エリアに,他の車両2’が存在するか否かを判別(検出)する。
前記CPUはそのような判別結果(単独エリア存在検出手段による検出結果)に基づいて,前記車両2’の存在が検出されている前記単独無線伝送エリアに対応する基地局3a(固定無線装置)については,無線信号強度が下げられることを禁止するように各基地局の信号強度の設定を行う。前記CPU及びそれにより設定された設定に従って,前記基地局3a,3b,3c…に対し制御指令を出力する前記I/O部が第1の信号強度調節制限手段の一例である。
【0019】
また,図5に示されるように,複数の路線1が敷かれている場合には,前記車両2と略平行して前記車両2の背後を別の車両2”が走行することも考えられる。その場合,図5に示されるように,前記車両2は前記基地局3bと前記基地局3cとによる重複無線伝送エリアに到達しており,同じく前記車両2”は前記基地局3aと前記基地局3cとによる重複無線伝送エリアに到達することも考えられる。このとき,前記基地局3b(固定無線装置)は前記車両2に搭載されている前記子局2a(移動無線装置)に対しては下流側になっており,同時に前記車両2に搭載されている前記子局2aに対しては上流側になっている。このような場合にも,前記基地局3bの無線信号の強度を下げると,前記車両2”との無線信号の伝送がストップするため,前記基地局3bの無線信号を下げることを禁止するように信号強度の設定を行う。前記CPU及びそれにより設定された設定に従って,前記基地局3a,3b,3c…に対し制御指令を出力する前記I/O部が第2の信号強度調節制限手段の一例である。
【0020】
(4)各種のデータ構成について。
図6は,前記在線検知装置8から前記無線信号伝送システム制御装置5’に入力される車両情報リストのデータ構成図である。また,図7は本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置5’により予め記憶される基地局各々の無線伝送エリアの情報のデータ構成図である。前述のように,前記在線検知装置8は前記車両2各々の位置及び移動方向を表す車両情報リストを生成し,前記無線信号伝送システム制御装置5’に伝送する。図6に示すように,前記車両情報リストは前記車両2各々の識別情報101に,車両毎の位置座標情報102及び移動方向情報103が対応付けられたものである。
また,前記無線信号伝送システム制御装置5’の前記記憶部には,図7に示されるような前記重複無線伝送エリア及び前記単独無線伝送エリアの情報(無線伝送エリア情報)が記憶されている。図7に示すように,前記無線伝送エリア情報は,前記路線1上における座標情報201に対して,その座標領域が前記単独無線伝送エリアであれば担当基地局情報202が,一方その座標領域が前記重複無線伝送エリアであれば上り基地局情報203と下り基地局情報204とのセット情報が,それぞれ対応付けられたものである。尚,ここでいう「上り」「下り」は前記路線1における予め定められた所定の方向を指しており,前記車両2の移動方向における「上流」「下流」とは意味が異なる。
【0021】
以上から,前記無線信号伝送システム制御装置5’は,前記在線在線検知装置8より入力された前記車両情報リストと,前記記憶部に予め記憶されている前記無線伝送エリア情報から,全ての前記車両2各々の移動方向,及びどの基地局による前記単独無線伝送エリアに居るのか,若しくはどの2つの基地局間による前記重複無線伝送エリアに居るのか,の車両毎エリア情報を生成する。
ここで,図8は前記無線信号伝送システム制御装置5’により設定される基地局各々の無線信号強度設定情報のデータ構成図である。上述の様な判別情報に基づいて,前記無線信号伝送システム制御装置5’は,図8に示されるような,前記基地局3a,3b,3c…各々に対する無線信号の強度の設定情報(無線信号強度設定情報)を設定し,該無線信号強度設定情報に基づいて前記基地局3a,3b,3c…の無線信号の強度を制御する。
【0022】
図8に示されるように,前記無線信号強度設定情報は,基地局識別情報301に対して,現在の信号強度情報302及び次回の信号強度情報303が対応付けられたものである。
前記現在の信号強度情報302は,前記基地局3a,3b,3c…各々の現在の無線信号の強度を「最大レベル」「停止レベル」「最大レベルー10dB」の3段階の強度で表した情報である。一方,前記次回の信号強度情報303は,前記車両毎エリア情報に基づいて設定される無線信号の強度を,やはり3段階の強度で表した情報であり,前記現在の信号強度情報302は所定時間の経過に伴い前記次回の信号強度情報303の内容に更新される。
尚,「最大レベル」は,その基地局の前記無線信号の強度が,前記子局2aとの通信に十分な強度である状態を示している。これは,必ずしも前記基地局3a,3b,3c…各々が伝送しうる最大強度の無線信号を出力することを表しておらず,前記基地局3a,3b,3c…各々の周辺環境などに応じて,通信に十分な無線信号の強度に設定すれば良い。一方,「停止レベル」は前記無線信号の伝送が停止されている状態を示しており,つまり前記無線信号の強度が略ゼロに設定される状態である。このように,前記基地局3a,3b,3c…各々の前記無線信号の強度をただ下げるのではなく,略ゼロのレベルにまで下げることにより,当該無線信号伝送システムAの沿線で利用される無線LANシステム等への影響を極力抑えることが可能である。また,前記無線信号の強度を略ゼロにまで下げることは省エネルギー化の観点からも望ましいものである。
【0023】
更に,「最大レベル−10dB」は前記子局2aとの通信は可能であるが,「最大レベル」である状態に比較して10dBだけ信号強度が下げられた状態である。前記車両2が前記重複無線伝送エリアにあるときに上流側の基地局に対して「最大レベル−10dB」が設定され,下流側の基地局に対して「最大レベル」が設定されていると,前記重複無線伝送エリアにおいては前記下流側の基地局による前記無線信号の強度が強くなり,ハンドオーバーが速やかになされる。
また,一度の設定情報の更新で「最大レベル」から「停止レベル」にまで前記無線信号の強度が下げられることはなく,「最大レベル」から「最大レベル−10dB」,「最大レベル−10dB」から「停止レベル」へと,徐々に前記無線信号の低下がなされる。
前記子局2aは,現在無線信号伝送の相手としている基地局からの無線信号がいきなり停止した場合には,次回に信号伝送の相手とする基地局からの無線信号との強度比較が出来なくなり,ハンドオーバーに支障する可能性がある。しかし,上述のように前記無線信号を急に「停止レベル」にはせず,「最大レベル−10dB」を経由して徐々に信号強度を下げることにより,そのような不具合は回避される。
【0024】
(5)無線信号強度設定情報を設定する処理手順について。
図9は本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置による基地局の無線信号強度の調節処理の手順を示すフローチャートである。以下,図9を参照しつつ,前記無線信号伝送システム制御装置5’による前記無線信号強度設定情報の設定の手順について詳細に説明する。尚,図9に示されるフローチャートにおける各手順(ステップ)の処理は,詳しくは後述のように,前記無線信号伝送システム制御装置5’の有する前記CPU,前記記憶部,前記I/O等により実現される。ここで,図9におけるS1,S2…は処理の番号(ステップ)を示しており,前記無線信号伝送システムAによる無線通信の開始時等にステップS1の処理から実行される。
【0025】
ステップS1の処理では,前記在線検知装置8から入力された前記車両情報リストと,前記記憶部に記憶されている無線伝送エリア情報に基づいて,前記CPUが前記車両毎エリア情報を生成する。
ステップS1に続くステップS2の処理では,前記CPUが前記無線信号強度設定情報における前記次回の信号強度情報303を,前記基地局3a,3b,3c…全てに対して一旦「停止レベル」に設定する。
以降のステップS3〜ステップS9の処理は,前記車両情報リストに記載されている車両全てに対して順次なされる。
ステップS2に続くステップS3では,前記CPUにより前記車両2が前記単独無線伝送エリアに位置するか否かが判別される。前記単独無線伝送エリアに位置すると判別された場合には(S3のYES),ステップS5に進む。一方,前記単独無線伝送エリアに位置しないと判別された場合には(S3のNO)ステップS4に進む。
【0026】
ステップS5では,前記基地局3a,3b,3c…のうちのステップS3において,前記車両2が位置すると判別された前記単独無線伝送エリアに対応する基地局の次回の信号強度が前記CPUにより「最大レベル」に設定される。ステップS5が終了されるとステップS9に進む。
一方,ステップS4では,前記CPUにより,前記車両2が前記重複無線伝送エリアに位置するか否かが判別される。前記重複無線伝送エリアに位置すると判別された場合には(S3のYES),ステップS6に進む。一方,前記重複無線伝送エリアに位置しないと判別された場合には(S4のNO)ステップS9に進む。
ステップS6では,前記車両2の移動方向情報103が参照され,前記重複無線伝送エリアに対応する2つの基地局について,下流側の基地局と上流側の基地局が判別される。また,前記下流側の基地局の次回の信号強度が前記CPUにより「最大レベル」に設定される。これは,前記車両2(正しくは子局2a)の新規の接続先の基地局について,前記無線信号の強度が上げられることを示す。ステップS6の処理が終了されると,ステップS7に進む。
【0027】
ステップS7の処理では,前記上流側の基地局に対して,次回の信号強度が既に「最大レベル」に設定されているか(つまり,別の車両が位置する単独無線伝送エリアに対応する基地局であるか,若しくは前記下流側の基地局であるか)が判別される。既に「最大レベル」に設定されている場合は(S7のYES),別の車両と無線信号伝送中であるか,若しくは次回に前記別の車両の無線信号伝送の対象となると判別され(つまり,図4,図5に示される状態であると判別され),設定変更がなされずにステップS9に進む。
一方,「最大レベル」に設定されていない(「停止レベル」に設定されている)場合には(S7のNO),ステップS8に進む。ステップS8では,前記CPUにより,次回の信号強度が「最大レベル−10dB」に設定される。このように,前記上流側の固定無線装置に対して,前記無線信号の強度がいきなり「停止レベル」には設定されずに,前記無線信号の強度を徐々に下げるべく,一旦「最大レベル−10dB」に設定される。また,前記車両2が前記重複無線伝送領域を通過した後に,上述のステップS2の処理により前記無線信号の強度が「停止レベル」にまで下げられる(厳密には,ステップS2において「停止レベル」に設定された前記次回の信号強度情報303がそのまま維持される)。ステップS8の処理が終了されるとステップS9に進む。
ステップS9では,前記CPUにより,前記車両情報リストに記載されている車両全てに対してステップS3〜ステップS9のループ処理が終了しているか否かが判別される。終了していると判別された場合(S9のYES)にはステップS10に進む。一方,全ての車両について前記ループ処理が終了していないと判別された場合(S9のNO)には,ステップS3に戻る。
ステップS9に続くステップS10では,ステップS3〜ステップS9のループ処理で設定された前記次回の信号強度情報が,新たな前記現在の信号強度として設定される。また,前記I/O部を介して,新たな前記現在の信号強度に基づいた前記基地局3a,3b,3c…各々に対する制御指令が出力される。
【実施例】
【0028】
上述の実施形態では,交通システムとして鉄道を例にとって説明したが,本発明はリニアモーターカーによる交通システム,モノレールによる交通システムにおける車両との無線信号伝送システムに対しても適用することが可能である。
また,上述の実施形態では,基地局と子局との間で無線通信が行われる例について開示したが,前記子局,前記基地局の一方が無線信号を出力し他方がそれを受信する,いわゆる放送形態で一方向の信号伝送が行われるシステムに対しても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来例における無線信号伝送システムの概略構成図。
【図2】重複無線伝送エリアにおける2つの基地局各々からの無線信号の強度の受信位置に対する振る舞いを示すグラフ。
【図3】本発明に係る無線信号伝送システム制御装置を具備する無線信号伝送システムの概略構成図。
【図4】複数の車両が存在する場合における無線信号伝送システムの概略構成図。
【図5】複数の車両が並行して走行する場合における無線信号伝送システムの概略構成図。
【図6】本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システムに入力される車両情報リストのデータ構成図。
【図7】本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置により予め記憶される基地局各々の無線伝送エリアの情報のデータ構成図。
【図8】本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置により設定される基地局各々の無線信号強度設定情報のデータ構成図。
【図9】本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置による基地局の無線信号強度の調節制御処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0030】
A…本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置を具備する無線信号伝送システム
B…従来例における無線信号伝送システム制御装置を具備する無線信号伝送システム
1…路線
2…車両
2a…子局
2b…信号処理装置
3…基地局
4…制御指令伝送ライン
5…従来例における無線信号伝送システム制御装置
5’…本発明の実施の形態に係る無線信号伝送システム制御装置
6…通信領域
7…漏洩同軸ケーブル
8…在線検知装置
9…通信ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の移動経路上を移動する移動無線装置が,前記移動経路に沿って配列された複数の固定無線装置との間で一方向又は双方向に無線信号の伝送を行うとともに,前記移動無線装置が複数の前記固定無線装置からの無線信号を受信した場合に該無線信号の強度比較に基づいて信号伝送の相手とする前記固定無線装置を切り替える無線信号伝送システムを制御する無線信号伝送システム制御装置であって,
前記移動無線装置が前記移動無線装置の移動方向において隣り合う上流側の前記固定無線装置と下流側の前記固定無線装置とのいずれとも無線信号伝送が可能な重複無線伝送エリアに到達したこと及びその移動方向を検出する移動状況検出手段と,
前記移動状況検出手段により前記移動無線装置が前記重複無線伝送エリアに到達したことが検出された場合に,前記下流側の固定無線装置に対する前記上流側の固定無線装置の無線信号の相対強度を下げる信号強度調節手段と,
を具備してなることを特徴とする無線信号伝送システム制御装置。
【請求項2】
前記信号強度調節手段が,前記上流側の前記固定無線装置の無線信号の強度を下げるものである請求項1に記載の無線信号伝送システム制御装置。
【請求項3】
前記信号強度調節手段が,前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を徐々に下げるものである請求項2に記載の無線信号伝送システム制御装置。
【請求項4】
前記信号強度調節手段が,前記上流側の固定側無線装置の無線信号の強度を下げるとともに,前記下流側の固定無線装置の無線信号の強度を上げるものである請求項2又は3のいずれかに記載の無線信号伝送システム制御装置。
【請求項5】
前記信号強度調節手段が,前記上流側の固定無線装置の無線信号の強度を略ゼロにまで下げるものである請求項2〜4のいずれかに記載の無線信号伝送システム制御装置。
【請求項6】
複数の前記移動無線装置が存在し得る場合に,前記移動状況検出手段による前記移動無線装置の到達が検出されている前記重複無線伝送エリアに対応する前記上流側の固定無線装置について,該固定無線装置のみと無線信号伝送が可能な単独無線伝送エリアに他の前記移動無線装置が存在するか否かを検出する単独エリア存在検出手段と,
前記単独エリア存在検出手段により前記他の移動無線装置の存在が検出されている前記単独無線伝送エリアに対応する前記固定無線装置について前記信号強度調節手段により無線信号強度が下げられることを禁止する第一の信号強度調節制限手段と,
を具備してなる請求項1〜5のいずれかに記載の無線信号伝送システム制御装置。
【請求項7】
複数の前記移動無線装置が存在する場合に,前記移動状況検出手段の検出状況によりある前記移動無線装置に対しては前記下流側の固定無線装置となっていると同時に他の前記移動無線装置に対しては前記上流側の固定無線装置となっている前記固定無線装置について前記信号強度調節手段により無線信号強度が下げられることを禁止する第2の信号強度調節制限手段を具備してなる請求項1〜6のいずれかに記載の無線信号伝送システム制御装置。
【請求項8】
所定の移動経路上を移動する移動無線装置が,前記移動経路に沿って配列された複数の固定無線装置との間で一方向又は双方向に無線信号の伝送を行うとともに,前記移動無線装置が複数の前記固定無線装置からの無線信号を受信した場合に該無線信号の強度比較に基づいて信号伝送の相手とする前記固定無線装置を切り替える無線信号伝送システムを制御する無線信号伝送システム制御装置であって,請求項1〜7のいずれかに記載の無線信号伝送システム制御装置を具備することを特徴とする無線信号伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−211344(P2006−211344A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21315(P2005−21315)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】