説明

無線基地局および無線通信方法

【課題】レファレンス信号としてSRSを送信する無線通信システムにおいて、無線通信の品質を向上することができる無線基地局および無線通信方法を提供する。
【解決手段】リソース決定部7は、切替サブフレーム内のアップリンクパートの少なくとも一部を、無線端末がSRSを送信するための第2のリソースとして決定し、いずれかのアップリングサブフレーム内の少なくとも一部を、該無線端末が、DRSを含む上りユーザデータを所定の期間送信するための第3のリソースとして決定する。伝送路状態推定部9は、第3のリソースの決定後、上りユーザデータに含まれるDRSに基づいて無線端末との間の伝送路の状態を推定する。リソース通知部8は、推定した伝送路の状態に基づいてアンテナの指向性を形成して、決定した第2のリソースを無線端末に通知するための制御メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線基地局および無線通信方法に関し、より特定的には、レファレンス信号に基づいて伝送路を推定する無線基地局および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて仕様が策定されているLTE方式などの無線通信システムでは、無線端末が無線基地局へレファレンス信号を送信する。無線基地局は、受信したレファレンス信号に基づいて伝送路の状態を推定し、その推定した伝送路の状態に基づいて下りユーザデータのアンテナの指向性を形成する。
【0003】
レファレンス信号を送信する方法には、無線端末が上りユーザデータに埋め込まれるDRS(Demodulation Reference Signal:復調レファレンス信号)を送信する方法と、無線端末が切替サブフレームのUpPTS(アップリンクパート)でSRS(Sounding Reference Signal:サウンディングレファレンス信号)を送信する方法とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レファレンス信号としてDRSを送信する方法では、無線基地局が下りユーザデータを送信する無線リソースを決定してから、無線基地局が実際にその無線リソースを用いて下りユーザデータを送信するまでの時間が短いという利点がある。しかしながら、すべての無線端末において、上りユーザデータの送信に使用できる貴重な無線リソースをDRSの送信のためだけに使用してしまう場合があり、無線リソースを浪費するという問題がある。
【0006】
一方、レファレンス信号としてSRSを送信する方法では、SRSを上りユーザデータに埋め込んで送信しないので、無線リソースの浪費を回避できる。しかしながら、無線端末がSRSを送信するためには、最初に、無線基地局から無線端末に対して、SRSの送信命令/停止命令のための制御メッセージを送信する必要がある。すなわち、無線基地局が送信した制御メッセージを無線端末が受信したことに応答して、無線端末からSRSが送信される。そのため、無線基地局側では、制御メッセージを送信する段階では未だ伝送路の状態を推定できておらず、その結果、該制御メッセージの送信にスマートアンテナ技術を適用できないという問題がある。これにより、ダウンリンクでユーザ間の干渉が大きいという環境では、制御メッセージの送受信にエラーが発生してしまう可能性が生じる。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、レファレンス信号としてSRSを送信する無線通信システムにおいて、無線通信の品質を向上することができる無線基地局および無線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従えば、無線基地局は、いずれかのダウンリンクサブフレーム内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定し、切替サブフレーム内のアップリンクパートの少なくとも一部、またはアップリンクサブフレームの一部を、無線端末が第1のレファレンス信号を周期的に送信するための第2のリソースとして決定し、いずれかのアップリングサブフレーム内の少なくとも一部を、無線端末が、第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを所定の期間送信するための第3のリソースとして決定するリソース決定部と、決定した第3のリソースを無線端末に通知するリソース通知部と、無線端末から第3のリソースを通じて第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを受信すると、受信した上りユーザデータに含まれる第2のレファレンス信号に基づいて無線端末との間の伝送路の状態を推定する伝送路状態推定部とを備える。リソース通知部は、推定した伝送路の状態に基づいてアンテナの指向性を形成して、第1のリソースを通じて決定した第2のリソースを無線端末に通知するための制御メッセージを送信する。
【0009】
好ましくは、伝送路状態推定部は、無線端末から第2のリソースを通じて送信される第1のレファレンス信号を受信してからは、第1のレファレンス信号に基づいて無線端末との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局は、第1のレファレンス信号に基づいて推定した伝送路の状態に基づいてアンテナの指向性を形成して、第1のリソースを通じて下りユーザデータを送信する送信部をさらに備える。
【0010】
好ましくは、無線基地局は、LTE(Long Term Evolution)方式の通信システムにおける無線基地局であり、アップリンクパートは、UpPTS(Uplink Pilot Timeslot)である。
【0011】
好ましくは、リソース決定部は、Uplink-downlink configurationが「1」のフレーム構成に従って、第1のリソース、第2のリソース、および第3のリソースを決定する。
【0012】
本発明の別の局面に従えば、無線通信方法は、いずれかのダウンリンクサブフレーム内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定し、切替サブフレーム内のアップリンクパートの少なくとも一部、またはアップリンクサブフレームの一部を、無線端末が第1のレファレンス信号を周期的に送信するための第2のリソースとして決定し、いずれかのアップリングサブフレーム内の少なくとも一部を、無線端末が、第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを所定の期間送信するための第3のリソースとして決定するステップと、決定した第3のリソースを無線端末に通知するステップと、無線端末から第3のリソースを通じて第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを受信すると、受信した上りユーザデータに含まれる第2のレファレンス信号に基づいて無線端末との間の伝送路の状態を推定するステップとを備える。通知するステップは、推定した伝送路の状態に基づいてアンテナの指向性を形成して、第1のリソースを通じて決定した第2のリソースを無線端末に通知するための制御メッセージを送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レファレンス信号としてSRSを送信する無線通信システムにおいて、無線基地局は、無線端末からSRSを受信するための制御メッセージの送信時に、レファレンス信号としてDRSを用いる。これにより、SRSを受信した後だけでなくSRSを受信する前においても、無線通信にスマートアンテナ技術を適用することができる。本発明は、LTE方式などの無線通信システムの高速データレートおよび大容量の実現に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の無線通信システムの構成を表わす図である。
【図2】本発明の実施の形態の無線基地局を表わす図である。
【図3】本発明の実施の形態の無線端末の構成を表わす図である。
【図4】本発明の実施の形態に無線通信システムで伝送されるフレームの構成を表わす図である。
【図5】本発明の実施の形態のタイミングを説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態の無線通信システムの動作手順を表わすフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の変形例の処理タイミングを説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例の無線通信システムの動作手順を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
(無線通信システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態の無線通信システムの構成を表わす図である。
【0017】
図1を参照して、この無線通信システムは、LTE(Long Term Evolution)方式の通信システムであって、複数の無線基地局A,B,Cが、それぞれ図中の円で示される自局のゾーン内の無線端末と通信する。これらの複数の無線基地局A,B,Cは同一のタイミングで上りの信号を受信し、下りの信号を送信する。
【0018】
(無線基地局の構成)
図2は、本発明の実施の形態の無線基地局を表わす図である。
【0019】
図2を参照して、この無線基地局1は、この無線基地局1は、複数のアンテナ2,3と、送信部4と、受信部5と、下りユーザデータ管理部6と、上りユーザデータ管理部10と、SRS管理部13と、リソース決定部7と、リソース通知部8と、伝送路状態推定部9と、ネットワーク通信部11とを備える。
【0020】
送信部4は、複数のアンテナ2,3を通じて、下りユーザデータ、およびRRC(Radio Resource Control:無線リソース管理)接続再設定メッセージ、上りユーザデータ/下りユーザデータ割当メッセージなどの制御信号を無線端末へ送信する。送信部4は、伝送路状態推定部9で推定したサブキャリアごとの伝送路の状態に基づいて、複数のアンテナ2,3の指向性を形成して、下りユーザデータを送信する。たとえば、送信部4は、伝送路の状態に応じて、下りユーザデータをアダプティブアレイ送信処理(重み処理)して、アンテナ2,3の指向性を形成する。ここで、アンテナの指向性を形成することには、所望の通信相手にビーム(信号を強く受信/送信する部分)を向けるビームフォーミングと、所望しない信号源の方向または干渉を与えたくない方向にヌル(信号をほとんど受信/送信しない部分)を向けるヌルステアリングとが含まれる。
【0021】
受信部5は、複数のアンテナ2,3を通じて、無線端末から上りユーザデータ、およびSRS、RRC接続再設定完了メッセージなどを含む制御信号を受信する。
【0022】
下りユーザデータ管理部6は、ネットワーク通信部11を通じて、図示しない制御センターから受信した下りユーザデータを保持する。
【0023】
上りユーザデータ管理部10は、無線端末から受信した上りユーザデータをネットワーク通信部11を通じて、図示しない制御センターへ送信する。また、上りユーザデータ管理部10は、受信した上りユーザデータに含まれるDRSを伝送路状態推定部9に出力する。
【0024】
SRS管理部13は、無線端末から受信したSRSを伝送路状態推定部9に出力する。
リソース決定部7は、下りユーザデータ管理部が下りユーザデータを受けると、いずれかのダウンリンクサブフレームDL内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを周期的に送信するための「第1のリソース」として決定する。リソース決定部7は、切替サブフレーム内のUpPTS(アップリンクパート)の一部を無線端末がSRSを周期的に送信するための「第2のリソース」として決定する。リソース決定部7は、いずれかのアップリンクサブフレームUL内の少なくとも一部を、DRSを含む上りユーザデータを所定の期間周期的に送信するための「第3のリソース」として決定する。
【0025】
リソース通知部8は、決定した第1のリソースおよび第3のリソースを表わす上りユーザデータ/下りユーザデータ割当情報を無線端末に送信する。リソース通知部8は、決定した第2のリソースを表わすRRC接続再設定メッセージを無線端末へ送信する。リソース通知部8は、無線端末からRRC接続再設定完了メッセージを受信する。
【0026】
伝送路状態推定部9は、SRSまたはDRSに基づいて伝送路状態を推定する。
ネットワーク通信部11は、制御センターからネットワーク12を通じて下りユーザデータを受信する。ネットワーク通信部11は、制御センターへネットワーク12を通じて上りユーザデータを送信する。
【0027】
(無線端末の構成)
図3は、本発明の実施の形態の無線端末の構成を表わす図である。
【0028】
図3を参照して、この無線端末51は、複数のアンテナ52,53と、送信部54と、受信部55と、ユーザデータ管理部57と、サウンディング信号管理部58とを備える。
【0029】
受信部55は、複数のアンテナ52,53を通じて、下りユーザデータ、およびRRC接続再設定メッセージなどの制御信号を受信する。
【0030】
送信部54は、複数のアンテナ52,53を通じて、無線基地局1へ上りユーザデータ、およびSRS、RRC接続再設定完了メッセージなどの制御信号を送信する。
【0031】
ユーザデータ管理部56は、無線基地局1から受信した下りユーザデータおよび無線基地局1へ送信する上りユーザデータを保持し、管理する。
【0032】
サウンディング信号管理部58は、RRC接続再設定メッセージを受信すると、RRC接続再設定メッセージに基づいて、SRSを送信する無線リソースを割当てる。その後、サウンディング信号管理部58は、RRC接続再設定完了メッセージを送信する。サウンディング信号管理部58は、割当てた無線リソースによってSRSを送信する。
【0033】
(フレームの構成)
図4は、本発明の実施の形態に無線通信システムで伝送されるフレームの構成を表わす図である。
【0034】
図4を参照して、このフレームの構成は、LTEにおける(Uplink-downlink configuration)が「1」のときの構成である。
【0035】
図4に示すように、1フレームは、10msの時間で伝送される。1フレームは、ハーフフレームに分割される。各ハーフフレームは、時間順に、ダウンリンクサブフレームDL、切替サブフレームS、2つの連続するアップリンクサブフレームUL、ダウンリンクサブフレームDLで構成される。
【0036】
ここで、切替サブフレームSは、DwPTS(Downlink Pilot Timeslot)と、GP(Guard Period:ガード期間)と、UpPTS(Uplink Pilot Timeslot:アップリンクパートとも呼ぶ)で構成される。UpPTSは、2シンボルで構成される。
【0037】
(本発明の実施の形態の処理タイミング)
図5は、本発明の実施の形態の処理タイミングを説明するための図である。
【0038】
図5を参照して、まず、第(N−3)フレームにおいて、無線基地局1は、下りユーザデータの送信先の無線端末51において、SRSを周期的に送信する第2のリソースを決定するとともに、該無線端末51において、DRSを含む上りユーザデータを送信するための第3のリソースを決定する。無線基地局1は、決定した第3のリソースを表わす上りユーザデータ割当情報を送信する((1)に示す)。
【0039】
無線端末51は、第(N−2)フレームにおいて、通知された第3のリソースを通じてDRSを含む上りユーザデータを送信する((2)に示す)。
【0040】
無線基地局1は、(2)で受信したDRSに基づいて、無線端末51との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局1は、下りユーザデータの送信先の無線端末51において、SRSを周期的に送信する第2のリソースを決定すると、推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナの指向性を形成して、決定した第2のリソースを表わすRRC接続再設定(送信開始を表わす)メッセージを送信する((5)に示す)。なお、無線端末51がRRC接続再設定(送信開始を表わす)完了メッセージを送信する((9)に示す)ことにより、SRS送信区間が開始される。
【0041】
第(N−2)フレームにおいて、無線基地局1は、無線端末51がDRSを含む上りユーザデータを送信するための第3のリソースを決定し、決定した第3のリソースを表わす上りユーザデータ割当情報を送信する((3)に示す)。無線端末51は、通知された第3のリソースでDRSを含む上りユーザデータを送信する((4)に示す)。
【0042】
無線基地局1は、ダウンリンクサブフレームDL内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定する。無線基地局1は、(4)で受信したDRSに基づいて推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナの指向性を形成して、第1のリソースを通じて下りユーザデータ、およびこの第1のリソースに下りユーザデータが含まれることを表わす下りユーザ割当情報を送信する((8)に示す)。
【0043】
第(N−1)フレームにおいて、無線基地局1は、無線端末51がDRSを含む上りユーザデータを送信するための第3のリソースを決定し、決定した第3のリソースを表わす上りユーザデータ割当情報を送信する((6)に示す)。無線端末51は、通知された第3のリソースでDRSを含む上りユーザデータを送信する((7)に示す)。
【0044】
無線基地局1は、ダウンリンクサブフレームDL内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定する。無線基地局1は、(4)で受信したDRSに基づいて推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナの指向性を形成して、第1のリソースを通じて下りユーザデータ、およびこの第1のリソースに下りユーザデータが含まれることを表わす下りユーザ割当情報を送信する((8)に示す)。無線端末51は、RRC接続再設定完了メッセージを送信する((9)に示す)。
【0045】
第(N−1)フレームの最後のサブフレームと第Nフレームの先頭から1番目および2番目のサブフレームにおいて、無線基地局1は、(7)で受信したDRSに基づいて、無線端末51との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局1は、推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナの指向性を形成して、下りユーザデータを送信する((10)に示す)。
【0046】
第Nフレームにおいて、無線端末51は、SRSをUpPTSを通じて送信する((11)に示す)。無線基地局1は、受信したSRSに基づいて、無線端末51との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局1は、推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナの指向性を形成して、第1のリソースを通じて、下りユーザデータ、およびこの第1のリソースに下りユーザデータが含まれることを表わす下りユーザ割当情報を送信する((12)に示す)。SRS送信区間では、この無線端末51によるSRSの送信(11)と、無線基地局1によるSRSに基づく下りユーザデータの送信(12)とが繰り返される。
【0047】
(動作手順)
図6は、本発明の実施の形態の無線通信システムの動作手順を表わすフローチャートである。
【0048】
図6を参照して、まず、無線基地局1のリソース決定部7は、いずれかのアップリングサブフレームのUL内の少なくとも一部を、無線端末51がDRSを含む上りユーザデータを送信するための第3のリソースに決定する(ステップS101)。さらに、無線基地局1のリソース決定部7は、切替サブフレームSのUpPTS内のいずれかのリソースを、無線端末51がSRSを周期的に送信するための第2のリソースに決定する(ステップS102)。
【0049】
次に、無線基地局1のリソース通知部8は、図5の(1)で示すように、決定した第3のリソースを表わす上りユーザデータ割当情報を送信する(ステップS103)。
【0050】
次に、無線端末51のユーザデータ管理部57は、第3のリソースを表わす上りユーザデータ割当情報を受信する(ステップS104)。
【0051】
次に、無線端末51のユーザデータ管理部57は、図5の(2)で示すように、ステップS104で通知された第3のリソースによって、DRSを含む上りユーザデータを送信する(ステップS105)。
【0052】
次に、無線基地局1の上りユーザデータ管理部10は、DRSを含む上りユーザデータを受信する(ステップS106)。
【0053】
次に、無線基地局1の伝送路状態推定部9は、ステップS106で受信したDRSに基づいて、無線端末51との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局1のリソース通知部8は、推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナ2,3の指向性を形成して、図5の(5)で示すように、決定した第2のリソースを表わすRRC接続再設定メッセージを送信する(ステップS107)。
【0054】
次に、無線端末51のサウンディング信号管理部58は、RRC接続再設定メッセージを受信する(ステップS108)。
【0055】
次に、無線端末51のユーザデータ管理部57は、図5の(7)で示すように、ステップS104で通知された第3のリソースによって、DRSを含む上りユーザデータを送信する(ステップS109)。
【0056】
次に、無線基地局1の上りユーザデータ管理部10は、DRSを含む上りユーザデータを受信する(ステップS110)。
【0057】
次に、無線基地局1のリソース決定部7は、いずれかのダウンリンクサブフレームDL内の少なくとも一部を、無線端末51への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定する。無線基地局1の送信部4は、ステップS106で受信したDRSに基づいて推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナ2,3の指向性を形成して、図5の(8)で示すように、第1のリソースを通じて、下りユーザデータ、およびこの第1のリソースに下りユーザデータが含まれることを表わす下りユーザデータ割当情報を送信する(ステップS111)。
【0058】
次に、無線端末51の受信部55は、複数のアンテナ52,53を通じて、下りユーザデータおよび下りユーザデータ割当情報を受信する(ステップS112)。
【0059】
次に、無線端末51のサウンディング信号管理部58は、図5の(9)で示すように、RRC接続再設定完了メッセージを送信する(ステップS113)。
【0060】
次に、無線基地局1のリソース通知部8は、RRC接続再設定完了メッセージを受信する(ステップS114)。
【0061】
次に、無線基地局1の伝送路状態推定部9は、ステップS110で受信したDRSに基づいて、無線端末51との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局1の送信部4は、推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナ2,3の指向性を形成して、図5の(10)で示すように、下りユーザデータを送信する(ステップS115)。
【0062】
次に、無線端末51の受信部55は、複数のアンテナ52,53を通じて、下りユーザデータを受信する(ステップS116)。
【0063】
次に、無線端末51のサウンディング信号管理部58は、図5の(11)で示すように、ステップS108で通知された第2のリソースによってSRSを送信する(ステップS117)。
【0064】
次に、無線基地局1のSRS管理部13は、SRSを受信する(ステップS118)。
次に、無線基地局1の伝送路状態推定部9は、ステップS118で受信したSRSに基づいて、無線端末51との間の伝送路の状態を推定する。無線基地局1の送信部4は、推定した伝送路の状態に基づいて複数のアンテナ2,3の指向性を形成して、図5の(12)で示すように、下りユーザデータおよび下りユーザデータ割当情報を送信する(ステップS119)。
【0065】
次に、無線端末51の受信部55は、複数のアンテナ52,53を通じて、下りユーザデータを受信する(ステップS120)。
【0066】
以上のように、本発明の実施の形態の無線通信システムによれば、無線基地局は、下りユーザデータを送信するための第1のリソース、SRSを受信するための第2のリソース、およびDRSを含む上りユーザデータを受信するための第3のリソースを決定するとともに、第2のリソースを表わす制御メッセージ(RRC接続再設定完了メッセージ)を無線端末に送信する。このとき、無線基地局は、受信した上りユーザデータに含まれるDRSをサウンディング信号として用いて伝送路状態を推定し、その推定した伝送路状態に基づいて複数のアンテナの指向性を形成して、制御メッセージを無線端末に送信する。したがって、当該制御メッセージの送受信エラーの発生を抑制することができる。
【0067】
なお、無線基地局がSRSを受信してからは、無線基地局は、受信したSRSを伝送路状態を推定するためのサウンディング信号として用いる。
【0068】
このように、無線基地局は、SRSの送信に必要な制御メッセージの送信にはDRSを利用する一方で、ユーザデータの送信にはSRSを利用する。この結果、LTE方式の無線通信システムにおいて、スマートアンテナ技術を効果的に活用することができる。
【0069】
[実施形態の変形例]
図7は、本発明の実施の形態の変形例の処理タイミングを説明するための図である。
【0070】
図7で示される処理が、図5と相違する点は、以下である。
図5では、無線基地局1は、下りユーザデータを送信する前ごとに、第1のリソースを決定したが、図7では、無線基地局1は、下りユーザデータを周期的に同一の第1のリソースを用いて送信することとし、最初に一度だけこの第1のリソースを決定して、無線端末51へ送信する。
【0071】
すなわち、図7に示すように、無線基地局1は、所定のダウンリンクサブフレームDL以降において下りユーザデータを周期的に(つまり、ハーフフレームを周期として)送信する第1のリソースと、下りユーザデータの送信先の無線端末51において、SRSを周期的に(ハーフフレームを周期として)送信する第2のリソースと、下りユーザデータの送信先の無線端末51において、DRSを含む上りユーザデータを周期的に所定の期間(つまり、ハーフフレームを周期として2回だけ)送信する第3のリソースとを決定する((1)に示す)。そして、無線基地局1は、これらの決定した第1のリソースおよび第3のリソースを表わす上りユーザデータ/下りユーザデータ割当情報を送信する((2)に示す)。
【0072】
図7におけるその他の処理は、図5のものと同じである。
(動作手順)
図8は、本発明の実施形態の変形例の無線通信システムの動作手順を表わすフローチャートである。
【0073】
図8で示される手順は、図6の動作手順と相違する点は、以下である。
図6では、無線基地局1のリソース決定部7が、第1のリソースおよび第2のリソースを決定し(ステップS101,102)、無線基地局1のリソース通知部8が、決定した第3のリソースを表わす上りユーザデータ割当情報を送信したが(ステップS103)、図8では、無線基地局1のリソース決定部7が、第1のリソース、第2のリソースおよび第3のリソースを決定し(ステップ201,202)、無線基地局1のリソース通知部8が、決定した第1のリソースおよび第3のリソースを表わす上りユーザデータ/下りユーザデータ割当情報を送信する(ステップS203)。なお、無線基地局1のリソース決定部7は、最初に一度だけ第1のリソースを決定し、この第1のリソースを通じて、周期的に下りユーザデータを送信する。
【0074】
(変形例)
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例も含む。
【0075】
(1) DRS
本発明の実施の形態では、無線基地局が、DRSを含む上りユーザデータを受信するための第3のリソースを決定し、その決定した第3のリソースを無線端末に通知することとしたが、これに限定するものではない。無線基地局が、すでにその無線端末から上りユーザデータを受信している場合には、その上りユーザデータに含まれるDRSを伝送路状態の推定に用いることができるので、新たに第3のリソースを決定する必要はない。
【0076】
(2) SRS
本発明の実施の形態では、リソース決定部は、切替サブフレーム内のUpPTS(アップリンクパート)の一部を無線端末がSRSを周期的に送信するための第2のリソースとして決定したが、これに限定するものではない。
【0077】
たとえば、リソース決定部は、切替サブフレーム内のUpPTSの全部を無線端末がSRSを周期的に送信するための第2のリソースとして決定することとしてもよい。
【0078】
また、リソース決定部は、切替サブフレーム内の、またはアップリンクサブフレームの一部(たとえば、最後のシンボル)を無線端末がSRSを周期的に送信するための第2のリソースとして決定することとしてもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1 無線基地局、2,3,52,53 アンテナ、4,54 送信部、5,55 受信部、6,57 ユーザデータ管理部、7 リソース決定部、8 リソース通知部、9 伝送路状態推定部、10 ユーザデータ管理部、11 ネットワーク通信部、12 ネットワーク、13 SRS管理部、51 無線端末、58 サウンディング信号管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれかのダウンリンクサブフレーム内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定し、切替サブフレーム内のアップリンクパートの少なくとも一部、またはアップリンクサブフレームの一部を、前記無線端末が第1のレファレンス信号を周期的に送信するための第2のリソースとして決定し、いずれかのアップリングサブフレーム内の少なくとも一部を、前記無線端末が、第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを所定の期間送信するための第3のリソースとして決定するリソース決定部と、
前記決定した第3のリソースを前記無線端末に通知するリソース通知部と、
前記無線端末から前記第3のリソースを通じて前記第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを受信すると、前記受信した上りユーザデータに含まれる前記第2のレファレンス信号に基づいて前記無線端末との間の伝送路の状態を推定する伝送路状態推定部とを備え、
前記リソース通知部は、前記推定した伝送路の状態に基づいてアンテナの指向性を形成して、前記第1のリソースを通じて、前記決定した第2のリソースを前記無線端末に通知するための制御メッセージを送信する、無線基地局。
【請求項2】
前記伝送路状態推定部は、前記無線端末から前記第2のリソースを通じて送信される前記第1のレファレンス信号を受信してからは、前記第1のレファレンス信号に基づいて前記無線端末との間の伝送路の状態を推定し、
前記無線基地局は、前記第1のレファレンス信号に基づいて推定した伝送路の状態に基づいて前記アンテナの指向性を形成して、前記第1のリソースを通じて前記下りユーザデータを送信する送信部をさらに備える、請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記無線基地局は、LTE(Long Term Evolution)方式の通信システムにおける無線基地局であり、
前記アップリンクパートは、UpPTS(Uplink Pilot Timeslot)である、請求項1または2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記リソース決定部は、Uplink-downlink configurationが「1」のフレーム構成に従って、前記第1のリソース、前記第2のリソース、および前記第3のリソースを決定する、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項5】
いずれかのダウンリンクサブフレーム内の少なくとも一部を、無線端末への下りユーザデータを送信するための第1のリソースとして決定し、切替サブフレーム内のアップリンクパートの少なくとも一部、またはアップリンクサブフレームの一部を、前記無線端末が第1のレファレンス信号を周期的に送信するための第2のリソースとして決定し、いずれかのアップリングサブフレーム内の少なくとも一部を、前記無線端末が、第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを所定の期間送信するための第3のリソースとして決定するステップと、
前記決定した第3のリソースを前記無線端末に通知するステップと、
前記無線端末から前記第3のリソースを通じて前記第2のレファレンス信号を含む上りユーザデータを受信すると、前記受信した上りユーザデータに含まれる前記第2のレファレンス信号に基づいて前記無線端末との間の伝送路の状態を推定するステップとを備え、
前記通知するステップは、前記推定した伝送路の状態に基づいてアンテナの指向性を形成して、前記第1のリソースを通じて、前記決定した第2のリソースを前記無線端末に通知するための制御メッセージを送信する、無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−39415(P2012−39415A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178160(P2010−178160)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】