説明

無線基地局及びその制御方法

【課題】少ない周波数リソースで多数の無線端末の上りリンク制御チャネルを多重化できるようにする。
【解決手段】PUCCHを介して、CQIを含む上りリンク制御情報を周期的に受信する無線基地局eNBは、上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)と、前記上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定めるcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)との組み合わせを複数記憶する記憶部130と、記憶部130が記憶する、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)とcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)との組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末UEに割り当てるパラメータ割り当て部121とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上りリンク制御チャネルに関するパラメータを無線端末に割り当てる無線基地局及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在運用されている第3世代及び第3.5世代セルラ無線通信システムよりも高速・大容量の通信を実現する次世代システムとして、標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化されているLTE(Long Term Evolution)がある。
【0003】
LTEシステムにおいて、無線基地局は、無線端末が受信した無線信号の受信品質(すなわち、下りリンクの無線品質)を示す情報(CQI: Channel Quality Indicator)を含む上りリンク制御情報を、上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)を介して当該無線端末から周期的に受信する。上りリンク制御チャネルは、直交系列を用いた符号分割多重が採用されており、1つの周波数リソース(RB: Resource Block)で複数の無線端末を多重化できる。
【0004】
また、LTEシステムにおいて、無線基地局は、上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるタイミング設定パラメータと、上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定める制御チャネル設定パラメータとを、自局に接続する無線端末に割り当てる。そのようなタイミング設定パラメータは、cqi-pmi-ConfigIndex又はICQI/PMIと称され、制御チャネル設定パラメータは、cqi-PUCCH-ResourceIndex又はn(2)PUCCHと称される(非特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 36.211, Physical Channels and Modulation.
【非特許文献2】3GPP TS 36.213, Physical layer procedures.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1及び2には、タイミング設定パラメータ及び制御チャネル設定パラメータを無線端末に割り当てる具体的な手法について記載されておらず、次のような問題が生じ得る。
【0007】
例えば、複数の無線端末間で、タイミング設定パラメータに応じて定まる上りリンク制御情報の送信タイミングが重複するケースにおいて、当該複数の無線端末に同一の制御チャネル設定パラメータが割り当てられている場合、当該複数の無線端末が同一の直交系列を使用することになり、当該複数の無線端末の上りリンク制御チャネルを多重化できない。特に、1つの無線基地局に接続する無線端末の数が多いほど、このような問題が生じる可能性が高くなる。
【0008】
このような問題を回避するためには、上りリンク制御チャネルとして使用する周波数リソースを増やすことによって、当該複数の無線端末を周波数分割により多重化することが考えられる。なお、上りリンク制御チャネルとして使用する周波数リソースの数は、nRB-CQI又はN(2)RBと称される周波数リソース数設定パラメータにより定められる。
【0009】
しかしながら、周波数リソース数設定パラメータにより、上りリンク制御チャネルとして使用する周波数リソースを増やす場合には、ユーザデータを伝送するための上りリンクデータチャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)として使用可能な周波数リソースが減ってしまい、且つ、上りリンク制御チャネルが上りリンクデータチャネルに与える干渉が大きくなるため、上りリンクのスループットが低下する問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、少ない周波数リソースで多数の無線端末の上りリンク制御チャネルを多重化できる無線基地局及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る無線基地局の特徴は、直交系列を用いて多重化される上りリンク制御チャネルを介して、下りリンクの無線品質を示す情報を含む上りリンク制御情報を周期的に受信する無線基地局(無線基地局eNB)であって、前記上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるタイミング設定パラメータ(cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI))と、前記上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定める制御チャネル設定パラメータ(cqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH))との組み合わせを複数記憶する記憶部(記憶部130)と、前記記憶部が記憶する、前記タイミング設定パラメータと前記制御チャネル設定パラメータとの組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末(無線端末UE)に割り当てるパラメータ割り当て部(パラメータ割り当て部121)とを有し、前記記憶部は、前記上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る複数のタイミング設定パラメータに、それぞれ異なる制御チャネル設定パラメータを組み合わせて記憶することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記の特徴に係る無線基地局において、前記パラメータ割り当て部は、未割り当てのタイミング設定パラメータのうち、前記上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が短い順にタイミング設定パラメータを割り当てることを要旨とする。
【0013】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記の特徴に係る無線基地局において、前記パラメータ割り当て部は、未割り当てのタイミング設定パラメータのうち、前記上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が長い順にタイミング設定パラメータを割り当てることを要旨とする。
【0014】
本発明に係る無線基地局の他の特徴は、上記の特徴に係る無線基地局において、前記記憶部は、前記上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が等しい複数のタイミング設定パラメータをグループ化して記憶することを要旨とする。
【0015】
本発明に係る制御方法の特徴は、直交系列を用いて多重化される上りリンク制御チャネルを介して、下りリンクの無線品質を示す情報を含む上りリンク制御情報を周期的に受信する無線基地局の制御方法であって、前記上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるタイミング設定パラメータと、前記上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定める制御チャネル設定パラメータとの組み合わせを複数記憶するステップと、前記記憶するステップで記憶された、前記タイミング設定パラメータと前記制御チャネル設定パラメータとの複数の組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末に割り当てるステップとを有し、前記記憶するステップでは、前記上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る複数のタイミング設定パラメータに、それぞれ異なる制御チャネル設定パラメータを組み合わせて記憶することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、少ない周波数リソースで多数の無線端末の上りリンク制御チャネルを多重化できる無線基地局及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信システムで使用される通信フレーム構成を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係るcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係るマッピングテーブルを説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る割り当て管理グループを説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態に係る無線基地局によるパラメータ割り当て動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る無線基地局によるパラメータ管理動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)無線通信システムの概要、(2)無線基地局の構成、(3)無線基地局の動作、(4)実施形態の効果、(5)その他の実施形態について説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
(1)無線通信システムの概要
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。本実施形態では、3GPP Release8又はRelease9(LTE)に基づく無線通信システムを説明する。
【0020】
当該無線通信システムは、上りリンクにSC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiple Access)方式が適用され、且つ下りリンクにOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が適用される。
【0021】
無線基地局eNBは、無線端末UEにサービスを提供すべき通信エリアであるセルを形成する。無線端末UEは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ装置とも称される。無線基地局eNBのセル内にある複数の無線端末UE(A)〜UE(D)は、無線基地局eNBに接続する。
【0022】
無線基地局eNBは、無線端末UEが自局に接続する際、当該無線端末UEとの間の上りリンクについて、上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)及び上りリンクデータチャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)を確立し、当該無線端末UEとの間の下りリンクについて、下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)及び下りリンクデータチャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared CHannel)を確立する。
【0023】
PUCCHは上りリンク制御データを伝送するためのチャネルであり、PUSCHは上りリンクユーザデータを伝送するためのチャネルである。また、PDCCHは下りリンク制御データを伝送するためのチャネルであり、PDSCHは下りリンクユーザデータを伝送するためのチャネルである。
【0024】
上りリンク制御データは、下りリンクの無線品質を示す情報であるCQI(Channel Quality Indicator)を含む。無線端末UEは、例えば無線基地局eNBから受信する無線信号の信号対干渉雑音比(SINR)を測定し、当該SINRのインデックスをCQIとして無線基地局eNBに送信する。CQIを含む上りリンク制御データを伝送できるPUCCHは、PUCCHフォーマット2/2a/2b(以下、PUCCHフォーマット2)と称される。なお、PUCCHフォーマット2は、CQIだけでなく、下りリンクのマルチアンテナ送信のためのプリコーディングマトリクス指標(PMI)及びランク指標(RI)や、下りリンクユーザデータの復号の成否を示す肯定応答/否定応答(ACK/NAK)を含んでもよい。
【0025】
無線基地局eNBは、CQIを含む上りリンク制御情報をPUCCH(具体的には、PUCCHフォーマット2)を介して無線端末UEから周期的に受信する。PUCCHは、直交系列を用いて多重化されており、1つの周波数リソース(以下、リソースブロック)で複数の無線端末UEを多重化できる。
【0026】
図2は、本実施形態に係る無線通信システムで使用される通信フレーム構成を説明するための図である。
【0027】
図2(a)に示すように、無線フレームは、10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。また、各スロットは、時間軸方向(time domain)で7個のSC−FDMAシンボルを含み、周波数軸方向(frequency domain)で上りリンク帯域幅に応じた数のリソースブロックを含む。各リソースブロックは周波数軸方向で12個のサブキャリアを含む。
【0028】
図2(b)に示すように、上りリンクで使用されるサブフレームにおいて、上りリンク周波数帯の両端部のリソースブロックはPUCCHを構成し、上りリンク周波数帯の中央部のリソースブロックはPUSCHを構成する。1つのPUCCHリソースは、サブフレーム内の2つのスロットの1リソースブロックずつを使用する。このとき、サブフレーム内のスロット間では、上りリンク帯域の両端を使用する周波数ホッピングが適用される。例えば、前半のスロットでは低周波数側、後半のスロットでは高周波数側といったようにホッピングする。
【0029】
PUCCHリソースは、複数の無線端末UEで共有される。具体的には、無線基地局eNBは、異なる位相回転を各無線端末UEに割り当て、無線基地局eNBに固有の基本系列を周波数領域で位相回転することによって、異なる直交系列を得る。周波数領域における位相回転は、時間領域におけるサイクリックシフトと等価である。例えば、12個の異なる位相回転(サイクリックシフト)が用意されており、12個の異なる直交系列により1つのPUCCHリソースで12個の無線端末UEを多重化できる。
【0030】
無線基地局eNBは、無線端末UEがPUCCHを介して上りリンク制御情報を送信するタイミングと、無線端末UEが上りリンク制御情報の送信に使用する直交系列とを、上位レイヤにおける無線リソース制御(RRC)プロトコルに従って、無線端末UE毎に決定する。
【0031】
具体的には、無線基地局eNBは、上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるRRCパラメータであるcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)と、上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定めるRRCパラメータであるcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)とを、自局に接続する無線端末UE毎に割り当てる。
【0032】
図3は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を説明するための図である。
【0033】
図3に示すように、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)は、上りリンク制御情報を送信する間隔Nと、上りリンク制御情報を送信する周期のオフセットNOFFSET,CQIとに対応付けられる。ここで、間隔N及びオフセットNOFFSET,CQIは、サブフレーム単位で定められる。上りリンク制御情報の送信タイミングは、下記の数式により、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に応じて定められる。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで、nはフレーム番号であり、nはスロット番号である。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の詳細については、非特許文献1及び2を参照されたい。
【0036】
なお、間隔Nが等しいcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)のそれぞれは、オフセットNOFFSET,CQIにより、送信タイミングが重複しないように構成される。
【0037】
無線端末UEに割り当てられる位相回転(サイクリックシフト)に相当するα(n,l)は、下記の数式により、cqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)に応じて定められる。
【0038】
【数2】

【0039】
当該数式の詳細については、非特許文献1及び2を参照されたい。
【0040】
また、無線基地局eNBは、RRCプロトコルに従って、PUCCHフォーマット2として使用するリソースブロックの数を、N(2)RBと称されるRRCパラメータにより定めることができる。
【0041】
(2)無線基地局の構成
次に、本実施形態に係る無線基地局eNBの構成を説明する。図4は、本実施形態に係る無線基地局eNBの構成を示すブロック図である。
【0042】
図4に示すように、無線基地局eNBは、アンテナ部101、無線通信部110、制御部120、記憶部130、及びネットワーク通信部140を有する。
【0043】
無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ部101を介して無線端末UEと無線信号の送受信を行う。また、無線通信部110は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。
【0044】
制御部120は、例えばCPUを用いて構成され、無線基地局eNBが備える各種の機能を制御する。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線基地局eNBの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部130は、図3に示した、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に関するテーブルを記憶する。ネットワーク通信部140は、無線基地局eNBの上位装置や、他の無線基地局との通信を行う。
【0045】
記憶部130は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)とcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)とを対応付けるためのマッピングテーブルを記憶する。図5に示すように、当該マッピングテーブルにおいては、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“0”〜“1”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“0”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“2”〜“6”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“1”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“7”〜“16”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“2”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“17”〜“36”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“3”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“37”〜“76”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“4”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“77”〜“156”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“5”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“157”〜“316”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“6”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“317”は予約済みとして確保される。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“318”〜“349”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“7”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“350”〜“413”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“8”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“414”〜“541”はcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“9”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“542”〜“1023”は予約済みとして確保される。
【0046】
このように、間隔Nが等しいcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に対して、同一のcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)が組み合わされる。また、間隔Nが異なるcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に対して、異なるcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)が組み合わされる。
【0047】
上述したように、間隔Nが等しいcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)は、オフセットNOFFSET,CQIにより、送信タイミングが重複しないように構成される。一方、間隔Nが異なるcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)は、上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る。
【0048】
したがって、記憶部130は、間隔Nが異なるcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)、すなわち、上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る複数のcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に対して、それぞれ異なるcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)を組み合わせて記憶する。
【0049】
さらに、記憶部130は、図6に示すように、間隔Nが等しいcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)をグループ化して記憶するとともに、各cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の割り当て状態を示すビットマップ(図8及び図9参照)をグループ毎に記憶する。
【0050】
具体的には、記憶部130は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)のグループ毎に、当該グループを識別するための割り当て管理グループIDを対応付ける。本実施形態では、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“0”〜“1”は割り当て管理グループID“0x0000”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“2”〜“6”は割り当て管理グループIDcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)“0x0002”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“7”〜“16”は割り当て管理グループID“0x0007”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“17”〜“36”は割り当て管理グループID“0x0011”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“37”〜“76”は割り当て管理グループID“0x0025”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“77”〜“156”は割り当て管理グループID“0x004D”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“157”〜“316”は割り当て管理グループID“0x009D”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“317”は予約済みとして確保される。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“318”〜“349”は割り当て管理グループID“0x013E”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“350”〜“413”は割り当て管理グループID“0x015E”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“414”〜“541”は割り当て管理グループID“0x019E”に対応付けられる。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“542”〜“1023”は予約済みとして確保される。
【0051】
このように、割当て管理グループIDの下位ビットは、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)グループの最も小さい値に相当する。また、割当て管理グループIDの上位4ビットは、N(2)RBに応じて定められるリソースブロック数に対応した値である。上記の例ではN(2)RB=1を想定しているが、N(2)RB=2のときは、割当て管理グループIDは、0x0000,0x0002・・・のグループと、0x1000,0x1002・・・のグループとに分けて管理される。N(2)RBが16以上のときは、上位4ビットでは表現できなくなるので、割当て管理グループIDのビット数を拡張する必要がある。
【0052】
制御部120は、パラメータ割り当て部121、パラメータ通知部122、及びパラメータ管理部123を有する。
【0053】
パラメータ割り当て部121は、自局に新規に接続(位置登録)する無線端末UEに対して、PUCCHに関するパラメータを割り当てる。具体的には、パラメータ割り当て部121は、記憶部130が記憶する、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)とcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)との組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末UEに重複なく割り当てる。パラメータ割り当て部121は、記憶部130が記憶する割り当て管理グループ毎のビットマップを用いて、未割り当てのcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を判別する。
【0054】
パラメータ通知部122は、パラメータ割り当て部121によって割り当てられたcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)とcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)との組み合わせを、自局に接続する無線端末UEに通知する。
【0055】
パラメータ管理部123は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の割り当て状態を管理する。具体的には、パラメータ管理部123は、記憶部130が記憶する割り当て管理グループ毎のビットマップを、無線端末UEの接続・切断に応じて更新する。
【0056】
(3)無線基地局の動作
次に、本実施形態に係る無線基地局eNBの動作について、(3.1)パラメータ割り当て動作、(3.2)パラメータ管理動作の順に説明する。
【0057】
(3.1)パラメータ割り当て動作
上述のように、PUCCHフォーマット2の送信間隔はRRCパラメータの1つであるcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)によって求められる。また、PUCCHフォーマット2の送信間隔は、図3のテーブルの各行間で公約数を持つので、あるサブフレームにおいて各行で設定された間隔のPUCCHフォーマット2が無線端末UEから送信される可能性がある。そのため、無線基地局eNBは、無線端末UEの接続時に、以下のようにcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)及びcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)の組み合わせを割り当てる。
【0058】
図7は、無線基地局eNBによるパラメータ割り当て動作の一例を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS11において、パラメータ割り当て部121は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の値を0に設定する。また、パラメータ割り当て部121は、図5に示すマッピングテーブルを参照し、cqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)をcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の値に対応する値に設定する。ここでは、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)=0に対応するcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)=0に設定する。
【0060】
無線基地局eNBに新規に無線端末UEが接続した場合(ステップS12;YES)、ステップS13において、パラメータ割り当て部121は、現在のcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)及び現在のcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)を、新規に接続した無線端末UEに割り当てる。
【0061】
ステップS14において、パラメータ割り当て部121は、現在のcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の値に1を加算する。そして、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の値が317に達していない場合(ステップS15;NO)には、処理がステップS12に戻る。cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の値が317に達している場合(ステップS15;YES)には、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の値にさらに1を加算した後、処理がステップS12に戻る。
【0062】
このように、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)をインクリメントで割り当てる際に、図3及び図4に示すテーブルの各行において、異なるcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)を割り当てる。その結果、複数の無線端末UE間で上りリンク制御情報の送信タイミングが重複するケースにおいても、当該複数の無線端末UEのそれぞれのα(n,l)をオフセットし、当該複数の無線端末UEを多重化している。
【0063】
このような手法により、nRB-CQI(N(2)RB)=1である場合、最大541UEまでPUCCHフォーマット2の1リソースブロック割当てに収まり、1サブフレームの1リソースブロック当たり、最大10多重となる。無線基地局eNBにおける、PUCCHフォーマット2の検出処理負荷もワーストケースで10/12となる。なお、1000UEに対応するには、nRB-CQI(N(2)RB)=2とすれば良い。
【0064】
(3.2)パラメータ管理動作
図8は、無線基地局eNBによるパラメータ管理動作を説明するための図である。
【0065】
記憶部130に記憶される割り当て管理グループ毎のビットマップは、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の要素数に対応したビット数のビット列からなり、各ビットの初期値は0である。図8(a)の例では、割り当て管理グループID“0x0000”のグループについてのビットマップは、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“0”に対応するビットと、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“1”に対応するビットとからなる。
【0066】
無線基地局eNBに無線端末UE(A)が新規に接続した場合を想定すると、パラメータ割り当て部121がcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“0”を無線端末UE(A)に割り当てる。パラメータ管理部123は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“0”に対応するビットを“0”から“1”に反転させる。ここでビットが“1”であるということは、対応するcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)が割り当て済みであることを表している。これにより、パラメータ割り当て部121が、未割り当てのcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)をサーチする際に、ビットマップを見る事で判断可能である。
【0067】
また、無線基地局eNBに無線端末UE(B)が新規に接続した場合を想定すると、パラメータ割り当て部121がcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“1”を無線端末UE(B)に割り当てる。パラメータ管理部123は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“1”に対応するビットを“0”から“1”に反転させる。
【0068】
さらに、無線基地局eNBに無線端末UE(C)が新規に接続した場合を想定すると、パラメータ割り当て部121がcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“2”を無線端末UE(C)に割り当てる。パラメータ管理部123は、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“2”に対応するビットを“0”から“1”に反転させる。
【0069】
パラメータ管理部123は、ある無線端末UEが切断した(ハンドオーバも含む)場合には、切断した無線端末UEに割り当てていたcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に対応するビットを“1”から“0”に反転させる。これにより、切断した無線端末UEに割り当てていたcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)が未割り当てとなったことをパラメータ割り当て部121が判断可能になる。
【0070】
図8(b)の例では、無線端末UE(B)が切断しており、パラメータ管理部123は、無線端末UE(B)に割り当てていたcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“1”に対応するビットを“1”から“0”に反転させる。そして、無線基地局eNBに無線端末UE(D)が新規に接続した場合を想定すると、パラメータ割り当て部121は、ビットマップに基づき、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“1”が未割り当てであると判断し、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)“1”を無線端末UE(D)に割り当てる。
【0071】
(4)実施形態の効果
以上説明したように、無線基地局eNBは、上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る複数のcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に、それぞれ異なるcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)を組み合わせて記憶する記憶部130と、記憶部130が記憶する、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)とcqi-PUCCH-ResourceIndex(n(2)PUCCH)との組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末UEに重複なく割り当てるパラメータ割り当て部121とを有する。これにより、複数の無線端末UE間で、cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)に応じて定まる上りリンク制御情報の送信タイミングが重複するケースにおいても、α(n,l)をオフセットさせることで、当該複数の無線端末UEが異なる直交系列を使用することになり、当該複数の無線端末UEのPUCCHを多重化できる。したがって、本実施形態に係る無線基地局eNBは、少ない周波数リソースで多数の無線端末のPUCCHを多重化できる。
【0072】
また、記憶部130は、上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が等しい複数のcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)をグループ化して記憶するとともに、各cqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)の割り当て状態を示すビットマップを割り当て管理グループ毎に記憶する。パラメータ割り当て部121は、記憶部130が記憶する割り当て管理グループ毎のビットマップを用いて、未割り当てのcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を判別する。これにより、多数のタイミング設定パラメータそれぞれの割り当て状態の管理が容易になり、無線端末UEの接続及び切断に柔軟に対応できる。
【0073】
本実施形態では、パラメータ割り当て部121は、未割り当てのcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)のうち、上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が短い順にcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を割り当てる。これにより、無線基地局eNBは、無線端末UEに対する通信制御を高精度に行うことができ、無線端末UEに良好な通信サービスを提供できる。
【0074】
(5)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0075】
上述した実施形態では、パラメータ割り当て部121は、未割り当てのcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)のうち、上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が短い順にcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を割り当てていた。しかしながら、このような割り当て順序に限らず、パラメータ割り当て部121は、未割り当てのcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)のうち、上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が長い順にcqi-pmi-ConfigIndex(ICQI/PMI)を割り当ててもよい。これにより、無線基地局eNBは、無線端末UEに対する通信制御に係る処理負荷を軽減できる。
【0076】
さらに、上述した実施形態では、3GPP Release8又はRelease9(LTE)に基づく無線通信システムについて説明したが、3GPP Release10(LTE Advanced)に本発明を適用してもよい。
【0077】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0078】
eNB…無線基地局、UE…無線端末、101…アンテナ部、110…無線通信部、120…制御部、121…パラメータ割り当て部、122…パラメータ通知部、123…パラメータ管理部、130…記憶部、140…ネットワーク通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交系列を用いて多重化される上りリンク制御チャネルを介して、下りリンクの無線品質を示す情報を含む上りリンク制御情報を周期的に受信する無線基地局であって、
前記上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるタイミング設定パラメータと、前記上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定める制御チャネル設定パラメータとの組み合わせを複数記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する、前記タイミング設定パラメータと前記制御チャネル設定パラメータとの組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末に割り当てるパラメータ割り当て部とを有し、
前記記憶部は、前記上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る複数のタイミング設定パラメータに、それぞれ異なる制御チャネル設定パラメータを組み合わせて記憶する無線基地局。
【請求項2】
前記パラメータ割り当て部は、未割り当てのタイミング設定パラメータのうち、前記上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が短い順にタイミング設定パラメータを割り当てる請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記パラメータ割り当て部は、未割り当てのタイミング設定パラメータのうち、前記上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が長い順にタイミング設定パラメータを割り当てる請求項1に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記記憶部は、前記上りリンク制御情報の送信タイミングの間隔が等しい複数のタイミング設定パラメータをグループ化して記憶する請求項1〜3の何れか一項に記載の無線基地局。
【請求項5】
直交系列を用いて多重化される上りリンク制御チャネルを介して、下りリンクの無線品質を示す情報を含む上りリンク制御情報を周期的に受信する無線基地局の制御方法であって、
前記上りリンク制御情報の送信タイミングを定めるタイミング設定パラメータと、前記上りリンク制御情報の送信に使用される直交系列を定める制御チャネル設定パラメータとの組み合わせを複数記憶するステップと、
前記記憶するステップで記憶された、前記タイミング設定パラメータと前記制御チャネル設定パラメータとの複数の組み合わせの何れかを、自局に接続する無線端末に割り当てるステップとを有し、
前記記憶するステップでは、前記上りリンク制御情報の送信タイミングが重複し得る複数のタイミング設定パラメータに、それぞれ異なる制御チャネル設定パラメータを組み合わせて記憶する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−250042(P2011−250042A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119916(P2010−119916)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】