無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法
【課題】無線通信システムにおいて、無線基地局装置よりも上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させること。データの消失を抑制すること。無線基地局装置よりも上位のネットワーク側で障害が発生したときに端末間の通信を継続すること。
【解決手段】無線基地局装置3は、受信処理部4、送信処理部5、保持部6、判断部7および送信制御部8を備える。保持部6は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する。受信処理部4は、送信元の第1端末1から受信したデータを処理する。判断部7は、受信処理部4の出力データに含まれる宛先の第2端末2の識別情報と、保持部6に保持されている識別情報とに基づき、第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを判断する。送信制御部8は、第2端末2が自局と無線通信可能である場合、受信処理部4の出力データを送信処理部5へ送る。送信処理部5は、受信処理部4の出力データを処理して第2端末2へ送信する。
【解決手段】無線基地局装置3は、受信処理部4、送信処理部5、保持部6、判断部7および送信制御部8を備える。保持部6は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する。受信処理部4は、送信元の第1端末1から受信したデータを処理する。判断部7は、受信処理部4の出力データに含まれる宛先の第2端末2の識別情報と、保持部6に保持されている識別情報とに基づき、第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを判断する。送信制御部8は、第2端末2が自局と無線通信可能である場合、受信処理部4の出力データを送信処理部5へ送る。送信処理部5は、受信処理部4の出力データを処理して第2端末2へ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムにおいて、端末の位置をテーブルで管理し、このテーブルに登録されている位置情報を、該端末が利用する無線通信のネットワークとは別のネットワークを介して更新する方法が知られている。例えば、ページャーが移動したとき、移動先のサービスエリアを意識することなく位置登録および周波数切替を自動的に行うページャーの位置登録方法が知られている。このようなページャーの位置登録方法の一つでは、例えば、ホーム局は、ページャーの在圏位置情報とビジタ局のサービスエリアの位置情報とこの位置情報に割当てられたチャネル周波数をページャーの個別番号に対応して予め登録しておく位置登録管理テーブルを有する。ページャーは、ビジタ局のサービスエリアへ移動したとき、ISDN公衆電話に接続し、公衆網を介してホーム局へ自動発呼して、位置登録更新情報を転送する。ホーム局は、ページャーの個別番号を基に位置登録管理テーブルを検索し、受信した位置情報が登録されているとき、位置登録管理テーブルの在圏位置情報を更新し、かつ対応する使用チャネル周波数の周波数切替情報を返送する。ページャーは、受信した周波数切替情報に基づきチャネル周波数を自動切替する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−18926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、同一の基地局Aと無線通信する端末Bと端末Cとの間でデータの送受信を行う場合、端末Bから送信されたデータは、基地局Aを介して上位のネットワーク側に転送され、該上位のネットワーク側から基地局Aを介して端末Cへ転送される。そのため、基地局Aと上位のネットワークとの間のデータ処理量が増大し、処理時間の遅延により上位のネットワーク側の装置の負荷が大きくなるという問題点がある。また、全てのユーザデータが上位のネットワークを介して送信元から宛先へ送られるので、途中でデータが消失してしまう虞がある。また、上位のネットワーク側で障害が発生したときに、端末間の通信を継続することができないという問題点がある。
【0005】
上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。データの消失を抑制することができる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。上位のネットワーク側で障害が発生したときに端末間の通信を継続することができる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
無線基地局装置は、受信処理部、送信処理部、保持部、判断部および送信制御部を備える。受信処理部は、端末から受信したデータを処理する。送信処理部は、端末へ送信するデータを処理する。保持部は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する。判断部は、受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、保持部に保持されている識別情報とに基づいて、データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する。送信制御部は、判断部により宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、受信処理部により処理されたデータを送信処理部へ送る。
【発明の効果】
【0007】
この無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法によれば、無線基地局装置よりも上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる。データの消失を抑制することができる。無線基地局装置よりも上位のネットワーク側で障害が発生したときに端末間の通信を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1にかかる無線基地局装置および無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】実施例1にかかる無線通信方法を説明するフローチャートである。
【図3】実施例2にかかるIPプロトコルのIPv4におけるヘッダ情報の一例を示す説明図である。
【図4】実施例2にかかる無線基地局装置を示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかる無線通信方法における上りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。
【図6】実施例2にかかる無線通信方法における下りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。
【図7】実施例2にかかる無線通信方法における第1の接続例を説明するシーケンス図である。
【図8】実施例2にかかる無線通信方法における第2の接続例を説明するシーケンス図である。
【図9】実施例2にかかる無線通信方法における第3の接続例を説明するシーケンス図である。
【図10】実施例2にかかる無線通信方法における第4の接続例を説明するシーケンス図である。
【図11】実施例2にかかるLCID値の一例を示す説明図である。
【図12】実施例2にかかる無線通信方法における第5の接続例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施例1)
・無線基地局装置および無線通信システムの説明
図1は、実施例1にかかる無線基地局装置および無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように、実施例1は、送信元の端末と宛先の端末とが同一の無線基地局装置と通信可能である場合に、送信元の端末から送られてきたデータを、無線基地局装置の上位のネットワークを介さずに、該無線基地局装置で宛先の端末へ転送する。図1において、第1端末1は、データの送信元となる端末である。第2端末2は、データの宛先となる端末である。
【0011】
無線基地局装置3は、受信処理部4、送信処理部5、保持部6、判断部7および送信制御部8を備える。受信処理部4は、第1端末1から受信したデータを処理する。送信処理部5は、第2端末2へ送信するデータを処理する。保持部6は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する。判断部7は、受信処理部4により処理されたデータに含まれる第2端末2の識別情報と、保持部6に保持されている識別情報とに基づいて、第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを判断する。送信制御部8は、判断部7により第2端末2が自局と無線通信可能であると判断された場合、受信処理部4により処理されたデータを送信処理部5へ送る。図1において、実線の矢印はデータ信号の流れを示し、破線の矢印は制御信号の流れを示す(図4においても同じ)。
【0012】
・無線通信方法の説明
図2は、実施例1にかかる無線通信方法を説明するフローチャートである。図2に示すように、まず、無線基地局装置3は、第1端末1から第2端末2を宛先として送信されたデータを受信し、受信処理部4により受信処理を行う(ステップS1)。次いで、無線基地局装置3は、判断部7により、受信処理されたデータに含まれる第2端末2の識別情報と、保持部6に保持されている、自局と無線通信可能な端末の識別情報とに基づいて、第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、判断部7は、保持部6に保持されている、自局と無線通信可能な端末の識別情報に第2端末2の識別情報が含まれているか否かを判断する。無線基地局装置3は、判断部7により第2端末2が自局と無線通信可能であると判断された場合(ステップS2:Yes)、送信制御部8からの指示によって、受信処理部4により受信処理されたデータを送信処理部5へ送る。送信処理部5で送信処理されたデータは、第2端末2へ転送される(ステップS3)。一方、無線基地局装置3は、判断部7により第2端末2が自局と無線通信不能であると判断された場合(ステップS2:No)、送信制御部8からの指示によって、受信処理部4により受信処理されたデータを上位のネットワークへ転送する(ステップS4)。以上のようにして、第1端末1から第2端末2へデータが送られる。
【0013】
実施例1によれば、無線基地局装置3は、保持部6に保持されている端末の識別情報により、第1端末1から受信したデータの宛先となる第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを知ることができる。第2端末2が自局と無線通信可能である場合、無線基地局装置3が第1端末1から受信したデータを、上位のネットワークを介さずに、第2端末2へ転送するので、上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる。また、端末間で送受信される全てのデータを上位のネットワークを経由させる場合に起こり得るデータの消失を抑制することができる。また、上位のネットワーク側で障害が発生しても、端末間の通信を継続することができる。
【0014】
(実施例2)
実施例1にかかる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法は、無線基地局装置が端末と無線通信するインタフェース装置として動作し、送信元の端末からのユーザデータを無線基地局装置から上位のネットワークへ転送し、該上位のネットワークを介して宛先の端末やサーバ装置に送るシステムに適用することができる。一例として、例えば3GPP(3rd Generation Partnership Project、第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクト)によって標準化が進められているシステムに適用することができる。実施例2では、3GPPによって標準化が進められているシステムの一つであるLong Term Evolution(LTE、ロングタームエボリューション)/System Architecture Evolution(SAE、システムアーキテクチャエボリューション)システムに適用した例について説明する。LTE/SAE標準規格では、無線通信システムは、無線基地局装置(eNB:Evolved Node B、エボルブドノードB)と、Mobility Management Entity(MME、モビリティマネージメントエンティティ)やServing Gateway(サービングゲートウェイ、サービングGW)やPublic Data Network Gateway(パブリックデータネットワークゲートウェイ、PDN GW)などのコアネットワークとを含む。
【0015】
実施例2では、同一セルまたはセクタに在圏する端末(UE:User Equipment、ユーザイクウィップメント)同士がデータの送受信を行う場合、無線基地局装置は、送信元の端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側に転送しないで、宛先の端末へ転送する。異なるセルまたはセクタに在圏する端末同士がデータの送受信を行う場合、ユーザデータは、無線基地局装置からコアネットワーク側に転送される。コアネットワーク側では、ユーザデータは、無線基地局装置とサービングゲートウェイとの間、サービングゲートウェイとパブリックデータネットワークゲートウェイとの間、およびパブリックデータネットワークゲートウェイとインターネットなどの公衆のサービス網との間で転送される。
【0016】
無線基地局装置は、端末と無線基地局装置との間のレイヤ3機能であるInternet Protocol(IP、インターネットプロトコル、IPプロトコル)のヘッダ情報をモニタする。無線基地局装置は、IPプロトコルのヘッダ情報に含まれる送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを管理することによって、上述したIPパケットのルーティングを行う。端末のIPアドレスは、端末の識別情報に相当する。
【0017】
・IPプロトコルのヘッダ情報の説明
図3は、実施例2にかかるIPプロトコルのIPv4におけるヘッダ情報の一例を示す説明図である。図3に示すように、IPヘッダ情報11は、送信元IPアドレスフィールド12、宛先IPアドレスフィールド13および全データ長フィールド14を有する。無線基地局装置は、送信元IPアドレスフィールド12および宛先IPアドレスフィールド13からそれぞれ送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを取得する。送信元IPアドレスは、当該IPアドレスの送信元となる端末のIPアドレスである。宛先IPアドレスは、当該IPアドレスの宛先となる端末のIPアドレスである。無線基地局装置は、全データ長フィールド14から当該IPパケットの全データ長を取得する。無線基地局装置が、取得したIPパケットの全データ長を累積してコアネットワーク側に通知することによって、コアネットワーク側で課金処理を行うことができる。
【0018】
・無線基地局装置の説明
図4は、実施例2にかかる無線基地局装置を示すブロック図である。図4に示すように、無線基地局装置21は、上りリンク処理部22、上りMAC/RLC/PDCP処理部23、IP処理部24、スケジューラ25、下りMAC/RLC/PDCP処理部26、下りリンク処理部27および制御情報処理部28を備えている。上りリンク処理部22は、データ受信部31、データチャネル受信部32および制御チャネル受信部33を有する。データ受信部31は、端末から受信した上りリンクの信号を復調する。データチャネル受信部32は、データ受信部31の出力信号のデータチャネルを復号する。制御チャネル受信部33は、データ受信部31の出力信号の上り制御チャネルを復号する。制御チャネル受信部33は、スケジューラ25へ再送情報などのフィードバック情報を送る。上りリンク処理部22は、スケジューラ25へ種々の制御信号を送る。
【0019】
上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、MAC(Media Access Control、メディアアクセスコントロール)処理部41、RLC(Radio Link Control、ラジオリンクコントロール)処理部42およびPDCP(Packet Data Convergence Protocol、パケットデータコンバージェンスプロトコル)処理部43を有する。MAC処理部41は、データチャネル受信部32から出力されたユーザデータに対してトランスポートチャネル処理を行う。MAC処理部41で行われる処理には、Hybrid Automatic Repeat Request(HARQ、ハイブリッドオートマチックリピートリクエスト)の処理が含まれる。RLC処理部42は、MAC処理部41の出力データに対して上位レイヤのデータ転送を行う。PDCP処理部43は、RLC処理部42の出力データに対してヘッダ圧縮や暗号化などを行う。上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、スケジューラ25からの指示によって制御され、スケジューラ25に応答を返す。上りリンク処理部22および上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、受信処理部として動作する。
【0020】
IP処理部24は、第1バッファ51、IPアドレスモニタ部52、IPアドレステーブル53および第2バッファ54を有する。第1バッファ51は、上りMAC/RLC/PDCP処理部23のPDCP処理部43から出力されたユーザデータを格納する。第1バッファ51は、スケジューラ25からの指示によって、格納しているユーザデータをIPパケットとして下りMAC/RLC/PDCP処理部26またはコアネットワーク側へ送る。第2バッファ54は、コアネットワーク側から送られてきたユーザデータのIPパケットを格納する。第2バッファ54は、スケジューラ25からの指示によって、格納しているユーザデータのIPパケットを下りMAC/RLC/PDCP処理部26へ送る。第1バッファ51と第2バッファ54とは、別々に設けられていてもよいし、共通のバッファであってもよい。
【0021】
IPアドレスモニタ部52は、上りMAC/RLC/PDCP処理部23のPDCP処理部43から出力されたユーザデータのIPヘッダ内のアドレスを読み出す。IPアドレスモニタ部52は、コアネットワーク側から送られてきたユーザデータのIPヘッダ内のアドレスを読み出す。IPアドレスモニタ部52は、第1バッファ51に格納されているユーザデータまたは第2バッファ54に格納されているユーザデータからそれぞれIPヘッダ内のアドレスを読み出すようにしてもよい。IPアドレステーブル53は、スケジューラ25からの指示によって、IPアドレスモニタ部52により読み出されたIPアドレスを保持する。従って、IPアドレステーブル53には、無線基地局装置21のセルまたはセクタに在圏しており、無線基地局装置21と無線通信可能な端末のIPアドレスが保持されていることになる。IPアドレステーブル53は、スケジューラ25からの指示によって、IPアドレスモニタ部52により読み出されたIPアドレスを保持しているか否かを判断する。IPアドレステーブル53は、IPアドレスモニタ部52により読み出されたIPアドレスを保持している場合、該IPアドレスの端末が自局と無線通信可能であると判断し、その判断結果をスケジューラ25に返す。IPアドレステーブル53は、保持部として動作する。また、IPアドレステーブル53は、判断部として動作する。
【0022】
下りMAC/RLC/PDCP処理部26は、PDCP処理部61、RLC処理部62およびMAC処理部63を有する。下りMAC/RLC/PDCP処理部26は、第1バッファ51の出力データまたは第2バッファ54の出力データに対して、PDCP処理部61、RLC処理部62およびMAC処理部63の順に上りMAC/RLC/PDCP処理部23の処理と逆の処理を行う。MAC処理部63で行われる処理には、ハイブリッドオートマチックリピートリクエストの処理が含まれる。下りMAC/RLC/PDCP処理部26は、スケジューラ25からの指示によって制御され、スケジューラ25に応答を返す。
【0023】
下りリンク処理部27は、データチャネル送信部71、制御チャネル送信部72およびデータ送信部73を有する。データチャネル送信部71は、MAC処理部63の出力信号のデータチャネルを符号化する。制御チャネル送信部72は、スケジューラ25から再送情報などの制御情報を受け取り、下り制御チャネルを符号化する。データ送信部73は、データチャネル送信部71の出力信号および制御チャネル送信部72の出力信号を変調し、無線信号として端末へ送信する。下りリンク処理部27は、スケジューラ25から種々の制御信号を受け取る。下りMAC/RLC/PDCP処理部26および下りリンク処理部27は、送信処理部として動作する。
【0024】
制御情報処理部28は、スケジューラ25からの指示によって、種々の制御データをコアネットワークへ通知する。コアネットワークへ通知される制御データの一例として、例えば無線基地局装置21が内部で送信元の端末からの受信信号を宛先の端末への送信信号として処理したパケットの量が挙げられる。無線基地局装置21からコアネットワークへパケットの量を通知することによって、例えばサービングゲートウェイにおいて、無線基地局装置21の内部でルーティング処理されたパケットを含めて課金処理を行うことができる。制御情報処理部28は、コアネットワークから制御データを受け取り、受け取った制御データをスケジューラ25へ通知する。制御情報処理部28は、通知部として動作する。
【0025】
スケジューラ25は、上りリンク処理部22から受け取った種々の制御信号に基づいて、無線基地局装置21、IP処理部24および下りMAC/RLC/PDCP処理部26を制御し、上りリンクおよび下りリンクのスケジューリングを行う。スケジューラ25は、上りリンク処理部22から再送情報などのフィードバック情報を受け取り、下りリンク処理部27へ再送情報などの制御情報を送ることによって、例えば再送制御を行う。スケジューラ25は、送信元の端末からの受信信号に含まれる宛先IPアドレスがIPアドレステーブル53に保持されている場合に、第1バッファ51に格納されているユーザデータの送り先を下りMAC/RLC/PDCP処理部26とする。スケジューラ25は、該宛先IPアドレスがIPアドレステーブル53に保持されていない場合に、第1バッファ51に格納されているユーザデータの送り先をコアネットワークとする。スケジューラ25は、無線基地局装置21の内部でルーティング処理されたパケットの量を制御情報処理部28から通知させる。スケジューラ25は、IPアドレステーブル53から、自局からの呼びかけに対して応答のない端末のIPアドレスを削除する。スケジューラ25は、送信制御部として動作する。
【0026】
・無線通信方法における上りリンクのルーティング処理の説明
図5は、実施例2にかかる無線通信方法における上りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。図5に示すように、上りリンクの処理では、無線基地局装置21が送信元の端末からIPパケットを受信すると(ステップS11)、上りリンク処理部22および上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、該IPパケットに対して受信処理を行う。そして、第1バッファ51は、受信処理されたIPパケットを格納する(ステップS12)。次いで、IPアドレスモニタ部52は、該IPパケットのヘッダ情報に含まれる送信元の端末のIPアドレス(送信元アドレス)および宛先の端末のIPアドレス(宛先アドレス)を読み出す(ステップS13)。IPアドレステーブル53は、保持しているIPアドレスを参照し、IPアドレスモニタ部52により読み出された送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスと照合する(ステップS14)。IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録済みであるか否かを判断する(ステップS15)。宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されている場合(ステップS15:Yes)、スケジューラ25は、自局のセルまたはセクタに在圏する端末同士の通信であると判断し、上りリンクのIPパケットを下りリンクへ送るようにルーティング処理を行う(ステップS16)。次いで、下りMAC/RLC/PDCP処理部26および下りリンク処理部27は、下りリンクにルーティングされたIPパケットに対して送信処理を行う(ステップS17)。送信処理されたIPパケットは、宛先となる端末へ送信される。
【0027】
一方、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されていない場合(ステップS15:No)、スケジューラ25は、自局のセルまたはセクタに在圏する端末同士の通信ではないと判断する。そして、スケジューラ25は、上りリンクのIPパケットを上りリンクのデータとしてそのままコアネットワークへ送るようにルーティング処理を行う(ステップS18)。コアネットワークへルーティングされたIPパケットは、コアネットワークへ送信される。また、送信元の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されている場合(ステップS19:Yes)、IPアドレステーブル53は、送信元の端末のIPアドレスが既知であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行わない。一方、送信元の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されてない場合(ステップS19:No)、IPアドレステーブル53は、送信元の端末のIPアドレスが新規であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行う(ステップS20)。
【0028】
・無線通信方法における下りリンクのルーティング処理の説明
図6は、実施例2にかかる無線通信方法における下りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。図6に示すように、下りリンクの処理では、無線基地局装置21がコアネットワークからIPパケットを受信すると(ステップS31)、第2バッファ54は、該IPパケットを格納する(ステップS32)。次いで、下りMAC/RLC/PDCP処理部26および下りリンク処理部27は、該IPパケットに対して送信処理を行う(ステップS33)。送信処理されたIPパケットは、宛先となる端末へ送信される。
【0029】
また、IPアドレスモニタ部52は、該IPパケットのヘッダ情報に含まれる宛先の端末のIPアドレスを読み出す(ステップS34)。IPアドレステーブル53は、保持しているIPアドレスを参照し、IPアドレスモニタ部52により読み出された宛先の端末のIPアドレスと照合する(ステップS35)。IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録済みであるか否かを判断する(ステップS36)。宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されている場合(ステップS36:Yes)、IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスが既知であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行わない。一方、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されてない場合(ステップS36:No)、IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスが新規であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行う(ステップS37)。
【0030】
・無線通信方法における第1の接続例の説明
図7は、実施例2にかかる無線通信方法における第1の接続例を説明するシーケンス図である。図7に示すように、第1の接続例は、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが未登録である場合の例である。まず、送信元となる第1端末(UE#1)および宛先となる第2端末(UE#2)は、セルサーチを行う(ステップS41)。セルサーチの完了後、図には示されていないが、第1端末は、セルサーチによって検出した無線基地局装置(eNB)21に例えばランダムアクセスおよびRRC(Radio Resource Control、ラジオリソースコントロール)シグナリングによって接続する。そして、第1端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第1端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS42)。
【0031】
例えば、無線基地局装置21とMMEとは、SCTP(Stream Control Transmission Protocol、ストリームコントロールトランスミッションプロトコル)やS1−AP(S1−interface Application、S1インタフェースアプリケーション)によって接続されている。MMEとサービングゲートウェイとは、GTP−C(GPRS Tunneling Protocol Control、GPRSトンネリングプロトコルコントロール)やAP(Application Protocol、アプリケーションプロトコル)によって接続されている。新たに端末の認証が必要である場合には、例えばHSS(Home Subscriber Server。ホームサブスクライバーサーバ)にアクセスされることがある。
【0032】
デフォルトベアラの確立後、第1端末から第2端末を宛先とするユーザデータが送信されると、無線基地局装置21は、該ユーザデータを受信し、受信処理したユーザデータを第1バッファ51に格納する(ステップS43)。そして、無線基地局装置21は、IPアドレスモニタ部52により、ユーザデータに含まれる送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタする(ステップS44)。次いで、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53を参照し、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS45)。ここでは、第1端末のIPアドレスおよび第2端末のIPアドレスがともにIPアドレステーブル53に登録されていないとする。従って、無線基地局装置21は、例えばサービングゲートウェイに第2端末を宛先とするユーザデータを送信する(ステップS46)。また、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53に第1端末の情報として送信元の端末のIPアドレスを登録する(ステップS47)。
【0033】
図には示されていないが、例えばサービングゲートウェイは、無線基地局装置21からユーザデータを受信すると、MMEおよび無線基地局装置21を介して第2端末との接続を試みる。無線基地局装置21は、第2端末に例えばRRCシグナリングによって接続する。新たに端末の認証が必要である場合には、例えばHSSにアクセスされることがある。そして、第2端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第2端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS48)。デフォルトベアラの確立後、例えばサービングゲートウェイから第2端末を宛先とするユーザデータが送信されると、無線基地局装置21は、該ユーザデータを受信して第2バッファ54に格納する(ステップS49)。そして、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によって第2端末へユーザデータを送信する(ステップS50)。
【0034】
また、無線基地局装置21は、IPアドレスモニタ部52により、ユーザデータに含まれる宛先の端末のIPアドレスをモニタする(ステップS51)。次いで、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53を参照し、宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS52)。第2端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されていないので、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53に第2端末の情報として宛先の端末のIPアドレスを登録する(ステップS53)。
【0035】
続いて、無線基地局装置21は、第1端末から第2端末宛のユーザデータを受信すると(ステップS54)、ステップS44およびステップS45と同様にして、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタし(ステップS55)、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS56)。既にIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置21は、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS57)。
【0036】
また、無線基地局装置21は、制御情報処理部28により、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS58)。それによって、例えばサービングゲートウェイは、第1端末からコアネットワークを経由して第2端末へ送信されたIPパケットの量と、コアネットワークを介さずに無線基地局装置21で第2端末へ送信されたIPパケットの量とを加算して、加入者データベースの課金処理に関する情報を更新することができる。例えばサービングゲートウェイは、加入者データベースの課金処理に関する情報に基づいて、課金処理を行うことができる。
【0037】
・無線通信方法における第2の接続例の説明
図8は、実施例2にかかる無線通信方法における第2の接続例を説明するシーケンス図である。図8に示すように、第2の接続例は、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが既に登録されている場合の例である。前記第1の接続例と同様にして、第1端末および第2端末のセルサーチが完了した後(ステップS61)、例えばランダムアクセスおよびRRCシグナリングによって第1端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第1端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS62)。第2端末については、例えばRRCシグナリングによって第2端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第2端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS63)。
【0038】
その後、無線基地局装置21は、第1端末から第2端末宛のユーザデータを受信すると(ステップS64)、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタし(ステップS65)、IPアドレステーブル53を参照して送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS66)。既にIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置21は、例えばRRCシグナリングによって第2端末に接続し、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS67)。また、無線基地局装置21は、前記第1の接続例と同様に、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS68)。例えばサービングゲートウェイは、前記第1の接続例と同様にして課金処理を行うことができる。
【0039】
・無線通信方法における第3の接続例の説明
図9は、実施例2にかかる無線通信方法における第3の接続例を説明するシーケンス図である。図9に示すように、第3の接続例は、宛先の端末からの応答がない場合の例である。一例として、前記第2の接続例と同様に、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが既に登録されている場合について説明する。第1端末および第2端末のセルサーチからIPアドレステーブル53の参照までは、前記第2の接続例におけるステップS61〜ステップS66と同様である(ステップS71〜ステップS76)。既にIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置21は、第2端末へ例えばRRCシグナリングを送信する(ステップS77)。第2端末から、無線基地局装置21からの例えばRRCシグナリングに対する応答がない場合、無線基地局装置21は、例えばサービングゲートウェイに第2端末を宛先とするユーザデータを送信する(ステップS78)。
【0040】
RRCシグナリングに対する第2端末からの応答がない場合、無線基地局装置21は、第2端末へRRCシグナリングを再度送信してもよい(ステップS79)。RRCシグナリングを再度送信する場合、無線基地局装置21は、初回のRRCシグナリングの送信に対する応答がないときにユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信してもよい(ステップS78)。あるいは、無線基地局装置21は、RRCシグナリングの送信回数が予め設定されている回数に達したときにユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信してもよい(ステップS80)。通信事業者は、RRCシグナリングの再送信を行う場合、ユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信するタイミングを設定することができる。第2端末からRRCシグナリングに対する応答がない場合、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53から宛先の端末のIPアドレスを削除して、IPアドレステーブル53を更新する(ステップS81)。
【0041】
なお、初回のRRCシグナリングに対する第2端末の応答がないときに無線基地局装置21がユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信した後、第2端末へのRRCシグナリングの再送信に対して第2端末が応答することがある。この場合、無線基地局装置21は、第2端末からの応答に対して、第2端末へユーザデータを送信する。従って、第2端末に、コアネットワークを経由したユーザデータと、無線基地局装置21が第2端末へ送信したユーザデータとが重複して到達する可能性がある。これに対する対策として、コアネットワークから戻ってくるユーザデータと、無線基地局装置21が第2端末へ送信したユーザデータとで、いずれか一方が廃棄されるような設定にしておいてもよい。あるいは、無線基地局装置21は、IPパケットのヘッダ情報に含まれているプロトコル(図3参照)をモニタし、上位プロトコルの種別に基づいてパケットの重複が許容されるか否かを判断してもよい。無線基地局装置21は、パケットの重複が許容される場合に例えばサービングゲートウェイへユーザデータを送信し、許容されない場合に例えば、設定する(再)送信回数に達するまでサービングゲートウェイへユーザデータを送信しないようにしてもよい。
【0042】
・無線通信方法における第4の接続例の説明
図10は、実施例2にかかる無線通信方法における第4の接続例を説明するシーケンス図である。図10に示すように、第4の接続例は、無線基地局装置同士の間でユーザデータを転送する場合の例である。第1端末および第2端末のセルサーチからIPアドレステーブル53の参照までは、前記第2の接続例におけるステップS61〜ステップS66と同様である(ステップS91〜ステップS96)。ただし、第1端末は、セルサーチによって検出した無線基地局装置(eNB#1)に例えばランダムアクセスおよびRRCシグナリングによって接続し、第1端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立する(ステップS92)。第2端末は、セルサーチによって検出した無線基地局装置(eNB#2)に例えばRRCシグナリングによって接続し、第2端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立する(ステップS93)。無線基地局装置(eNB#2)は、無線基地局装置(eNB#1)の周辺に存在する。ここでは、ステップS94において無線基地局装置(eNB#1)が第1端末からユーザデータを受信するとする。従って、ステップS95およびステップS96は、無線基地局装置(eNB#1)において実施される。無線基地局装置(eNB#1)と周辺の無線基地局装置(eNB#2)とは、同様の構成であるとする。
【0043】
無線基地局装置(eNB#1)は、周辺の無線基地局装置(eNB#2)との間でIPアドレステーブル53を交換する(ステップS97)。IPアドレステーブル53を交換するタイミングは、無線基地局装置(eNB#1)が端末からユーザデータを受信したときに限らない。例えば、定期的にIPアドレステーブル53を交換してもよいし、いずれかの無線基地局装置のIPアドレステーブル53にIPアドレスが新規に登録されたり、IPアドレステーブル53からIPアドレスが削除されるなど、IPアドレステーブル53が更新されたときでもよい。
【0044】
ここでは、第2端末のIPアドレスが、ユーザデータを受信した無線基地局装置(eNB#1)のIPアドレステーブル53ではなく、周辺の無線基地局装置(eNB#2)のIPアドレステーブル53に登録されているとする。従って、無線基地局装置(eNB#1)は、第1端末から受信したユーザデータを周辺の無線基地局装置(eNB#2)へ転送する(ステップS98)。無線基地局装置間でIPアドレステーブル53を交換する際や、無線基地局装置間でユーザデータを転送する際には、例えば、無線基地局装置(eNB)間インタフェースのX2インタフェースを使用することができる。
【0045】
周辺の無線基地局装置(eNB#2)は、無線基地局装置(eNB#1)から第2端末宛のユーザデータを受信すると、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタし(ステップS99)、IPアドレステーブル53を参照して送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS100)。既に無線基地局装置(eNB#2)のIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置(eNB#2)は、例えばRRCシグナリングによって第2端末に接続し、無線基地局装置(eNB#1)から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS101)。
【0046】
また、無線基地局装置(eNB#2)は、前記第1の接続例と同様に、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS102)。例えばサービングゲートウェイは、前記第1の接続例と同様にして課金処理を行うことができる。なお、無線基地局装置間でユーザデータを転送する範囲を、隣接する無線基地局装置同士に限らずに、第1の無線基地局装置と第1の無線基地局装置に隣接する第2の無線基地局装置との間、および第2の無線基地局装置と第2の無線基地局装置に隣接する第3の無線基地局装置との間、というように、連続的に広げてもよい。
【0047】
・無線通信方法における第5の接続例の説明
上述した第1の接続例から第4の接続例において、端末と無線基地局装置との間のレイヤ3機能であるRRCプロトコルや、端末と無線基地局装置との間のレイヤ2機能であるMACプロトコルと連動させることによって、IPアドレスをモニタする処理やIPアドレステーブルを参照する処理を省略するようにしてもよい。第5の接続例は、例えばMACプロトコルにおける論理チャネル識別子であるMACヘッダのLCID(Logical Channel ID、ロジカルチャネルID)と連動する場合の例である。
【0048】
図11は、実施例2にかかるLCID値の一例を示す説明図である。図11に示すように、LCID値の一つにアイデンティティオブザロジカルチャネル(Identity of the logical channel)81がある。例えば、このアイデンティティオブザロジカルチャネルのインデックス82は、宛先の端末のIPアドレスと関連付けられている。アイデンティティオブザロジカルチャネルのインデックス82は、論理チャネルの識別情報に相当する。
【0049】
図12は、実施例2にかかる無線通信方法における第5の接続例を説明するシーケンス図である。一例として、前記第2の接続例と同様に、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが既に登録されている場合について説明する。図12に示すように、第1端末および第2端末のセルサーチからIPアドレステーブル53の参照までは、前記第2の接続例におけるステップS61〜ステップS66と同様である(ステップS111〜ステップS116)。無線基地局装置21は、例えばUL−SCH(Uplink Shared Channel、アップリンクシェアドチャネル)のLCIDのモニタを開始する(ステップS117)。また、無線基地局装置21は、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS118)。
【0050】
これ以降、無線基地局装置21は、第1端末からユーザデータを受信すると(ステップS119)、LCIDが前のユーザデータの受信時にモニタした値と同じである場合、IPアドレスをモニタする処理とIPアドレステーブル53を参照する処理を省略する。そして、無線基地局装置21は、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS120)。また、無線基地局装置は、前記第1の接続例と同様に、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS121)。例えばサービングゲートウェイは、前記第1の接続例と同様にして課金処理を行うことができる。
【0051】
実施例2によれば、無線基地局装置21は、IPアドレステーブル53に保持されている端末のIPアドレスにより、送信元の端末から受信したデータの宛先となる端末が自局と無線通信可能であるか否かを知ることができる。宛先の端末が自局と無線通信可能である場合、無線基地局装置21が送信元の端末から受信したデータを、コアネットワークを介さずに、宛先の端末へ転送するので、コアネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる。また、端末間で送受信される全てのデータをコアネットワークを経由させる場合に起こり得るデータの消失を抑制することができる。また、コアネットワーク側で障害が発生しても、端末間の通信を継続することができる。また、無線基地局装置21が、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量をコアネットワークへ通知することによって、例えばサービングゲートウェイで課金処理を行うことができる。また、宛先の端末から無線基地局装置21へ応答がない場合に、IPアドレステーブル53から応答のない宛先の端末のIPアドレスを削除することによって、随時、IPアドレステーブル53を更新することができる。また、無線基地局装置間でユーザデータを転送することによって、コアネットワーク側の負荷を低減させることができる。また、例えばRRCプロトコルやMACプロトコルと連動させて、IPアドレスをモニタする処理やIPアドレステーブルを参照する処理を省略することによって、無線基地局装置21の負荷を低減させることができる。例えば、一例として、監視カメラと該監視カメラで撮影した映像を表示するモニタとを含むシステムにおいて、監視カメラとモニタとが同一の無線基地局装置と無線通信可能である場合に実施例2を適用することができる。
【0052】
上述した実施例1、2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0053】
(付記1)端末から受信したデータを処理する受信処理部と、端末へ送信するデータを処理する送信処理部と、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部と、該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部と、該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部と、を備えることを特徴とする無線基地局装置。
【0054】
(付記2)前記送信制御部により前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を、自局が接続する上位のネットワークへ通知する通知部、を備えることを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0055】
(付記3)前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するとともに、前記保持部から該宛先の端末の識別情報を削除することを特徴とする付記1または2に記載の無線基地局装置。
【0056】
(付記4)前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、該宛先の端末に対して該情報を再度送信するとともに、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するタイミングを制御することを特徴とする付記3に記載の無線基地局装置。
【0057】
(付記5)前記保持部に保持されている識別情報を他の基地局との間で交換し、前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報および他の基地局から取得した識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局または該他の基地局と無線通信可能であるか否かを判断し、前記送信制御部は、該判断部により該宛先の端末が該他の基地局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該他の基地局へ転送することを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0058】
(付記6)前記端末と前記無線基地局装置との間の論理チャネル識別子と連動させることにより、前記保持部は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する処理を省略し、前記判断部は、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0059】
(付記7)前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と論理チャネルの識別情報とを予め関係づけておき、前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断した後、該データの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報と、新たに受信したデータの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報とが同じである場合、該新たに受信したデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該新たに受信したデータの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0060】
(付記8)データの送信元となる第1端末と、該第1端末から送信されたデータの宛先となる第2端末と、端末から受信したデータを処理する受信処理部、端末へ送信するデータを処理する送信処理部、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部、該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部、該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部、を備える無線基地局装置と、を含み、該受信処理部は、該第1端末から受信したデータを処理し、該判断部は、該受信処理部により処理されたデータに含まれる該第2端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該第2端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断し、該判断部により該第2端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該送信制御部は、該データを該送信処理部へ送ることを特徴とする無線通信システム。
【0061】
(付記9)前記無線基地局装置は、前記送信制御部により前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を、自局が接続する上位のネットワークへ通知する通知部、を備えており、該通知部は、前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を該上位のネットワークへ通知し、該上位のネットワークは、該無線基地局装置から通知されたデータの量に基づいて課金処理を行うことを特徴とする付記8に記載の無線通信システム。
【0062】
(付記10)前記無線基地局装置は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と論理チャネルの識別情報とを予め関係づけておき、前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる前記第2端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該第2端末が自局と無線通信可能であると判断した後、該データの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報と、新たに受信したデータの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報とが同じである場合、該新たに受信したデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該新たに受信したデータの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする付記8に記載の無線通信システム。
【0063】
(付記11)第1端末から第2端末を宛先として送信されたデータを無線基地局装置で受信するステップと、該データに含まれる該第2端末の識別情報と、該無線基地局装置と無線通信可能な端末の識別情報とに基づいて、該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であるか否かを判断するステップと、該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であると判断された場合、該無線基地局装置から該第2端末へ該データを転送するステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【符号の説明】
【0064】
1,2 端末
3,21 無線基地局装置
4,22,23 受信処理部
5,26,27 送信処理部
6,53 保持部
7,53 判断部
8,25 送信制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムにおいて、端末の位置をテーブルで管理し、このテーブルに登録されている位置情報を、該端末が利用する無線通信のネットワークとは別のネットワークを介して更新する方法が知られている。例えば、ページャーが移動したとき、移動先のサービスエリアを意識することなく位置登録および周波数切替を自動的に行うページャーの位置登録方法が知られている。このようなページャーの位置登録方法の一つでは、例えば、ホーム局は、ページャーの在圏位置情報とビジタ局のサービスエリアの位置情報とこの位置情報に割当てられたチャネル周波数をページャーの個別番号に対応して予め登録しておく位置登録管理テーブルを有する。ページャーは、ビジタ局のサービスエリアへ移動したとき、ISDN公衆電話に接続し、公衆網を介してホーム局へ自動発呼して、位置登録更新情報を転送する。ホーム局は、ページャーの個別番号を基に位置登録管理テーブルを検索し、受信した位置情報が登録されているとき、位置登録管理テーブルの在圏位置情報を更新し、かつ対応する使用チャネル周波数の周波数切替情報を返送する。ページャーは、受信した周波数切替情報に基づきチャネル周波数を自動切替する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−18926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、同一の基地局Aと無線通信する端末Bと端末Cとの間でデータの送受信を行う場合、端末Bから送信されたデータは、基地局Aを介して上位のネットワーク側に転送され、該上位のネットワーク側から基地局Aを介して端末Cへ転送される。そのため、基地局Aと上位のネットワークとの間のデータ処理量が増大し、処理時間の遅延により上位のネットワーク側の装置の負荷が大きくなるという問題点がある。また、全てのユーザデータが上位のネットワークを介して送信元から宛先へ送られるので、途中でデータが消失してしまう虞がある。また、上位のネットワーク側で障害が発生したときに、端末間の通信を継続することができないという問題点がある。
【0005】
上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。データの消失を抑制することができる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。上位のネットワーク側で障害が発生したときに端末間の通信を継続することができる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
無線基地局装置は、受信処理部、送信処理部、保持部、判断部および送信制御部を備える。受信処理部は、端末から受信したデータを処理する。送信処理部は、端末へ送信するデータを処理する。保持部は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する。判断部は、受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、保持部に保持されている識別情報とに基づいて、データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する。送信制御部は、判断部により宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、受信処理部により処理されたデータを送信処理部へ送る。
【発明の効果】
【0007】
この無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法によれば、無線基地局装置よりも上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる。データの消失を抑制することができる。無線基地局装置よりも上位のネットワーク側で障害が発生したときに端末間の通信を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1にかかる無線基地局装置および無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】実施例1にかかる無線通信方法を説明するフローチャートである。
【図3】実施例2にかかるIPプロトコルのIPv4におけるヘッダ情報の一例を示す説明図である。
【図4】実施例2にかかる無線基地局装置を示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかる無線通信方法における上りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。
【図6】実施例2にかかる無線通信方法における下りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。
【図7】実施例2にかかる無線通信方法における第1の接続例を説明するシーケンス図である。
【図8】実施例2にかかる無線通信方法における第2の接続例を説明するシーケンス図である。
【図9】実施例2にかかる無線通信方法における第3の接続例を説明するシーケンス図である。
【図10】実施例2にかかる無線通信方法における第4の接続例を説明するシーケンス図である。
【図11】実施例2にかかるLCID値の一例を示す説明図である。
【図12】実施例2にかかる無線通信方法における第5の接続例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施例1)
・無線基地局装置および無線通信システムの説明
図1は、実施例1にかかる無線基地局装置および無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように、実施例1は、送信元の端末と宛先の端末とが同一の無線基地局装置と通信可能である場合に、送信元の端末から送られてきたデータを、無線基地局装置の上位のネットワークを介さずに、該無線基地局装置で宛先の端末へ転送する。図1において、第1端末1は、データの送信元となる端末である。第2端末2は、データの宛先となる端末である。
【0011】
無線基地局装置3は、受信処理部4、送信処理部5、保持部6、判断部7および送信制御部8を備える。受信処理部4は、第1端末1から受信したデータを処理する。送信処理部5は、第2端末2へ送信するデータを処理する。保持部6は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する。判断部7は、受信処理部4により処理されたデータに含まれる第2端末2の識別情報と、保持部6に保持されている識別情報とに基づいて、第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを判断する。送信制御部8は、判断部7により第2端末2が自局と無線通信可能であると判断された場合、受信処理部4により処理されたデータを送信処理部5へ送る。図1において、実線の矢印はデータ信号の流れを示し、破線の矢印は制御信号の流れを示す(図4においても同じ)。
【0012】
・無線通信方法の説明
図2は、実施例1にかかる無線通信方法を説明するフローチャートである。図2に示すように、まず、無線基地局装置3は、第1端末1から第2端末2を宛先として送信されたデータを受信し、受信処理部4により受信処理を行う(ステップS1)。次いで、無線基地局装置3は、判断部7により、受信処理されたデータに含まれる第2端末2の識別情報と、保持部6に保持されている、自局と無線通信可能な端末の識別情報とに基づいて、第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、判断部7は、保持部6に保持されている、自局と無線通信可能な端末の識別情報に第2端末2の識別情報が含まれているか否かを判断する。無線基地局装置3は、判断部7により第2端末2が自局と無線通信可能であると判断された場合(ステップS2:Yes)、送信制御部8からの指示によって、受信処理部4により受信処理されたデータを送信処理部5へ送る。送信処理部5で送信処理されたデータは、第2端末2へ転送される(ステップS3)。一方、無線基地局装置3は、判断部7により第2端末2が自局と無線通信不能であると判断された場合(ステップS2:No)、送信制御部8からの指示によって、受信処理部4により受信処理されたデータを上位のネットワークへ転送する(ステップS4)。以上のようにして、第1端末1から第2端末2へデータが送られる。
【0013】
実施例1によれば、無線基地局装置3は、保持部6に保持されている端末の識別情報により、第1端末1から受信したデータの宛先となる第2端末2が自局と無線通信可能であるか否かを知ることができる。第2端末2が自局と無線通信可能である場合、無線基地局装置3が第1端末1から受信したデータを、上位のネットワークを介さずに、第2端末2へ転送するので、上位のネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる。また、端末間で送受信される全てのデータを上位のネットワークを経由させる場合に起こり得るデータの消失を抑制することができる。また、上位のネットワーク側で障害が発生しても、端末間の通信を継続することができる。
【0014】
(実施例2)
実施例1にかかる無線基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法は、無線基地局装置が端末と無線通信するインタフェース装置として動作し、送信元の端末からのユーザデータを無線基地局装置から上位のネットワークへ転送し、該上位のネットワークを介して宛先の端末やサーバ装置に送るシステムに適用することができる。一例として、例えば3GPP(3rd Generation Partnership Project、第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクト)によって標準化が進められているシステムに適用することができる。実施例2では、3GPPによって標準化が進められているシステムの一つであるLong Term Evolution(LTE、ロングタームエボリューション)/System Architecture Evolution(SAE、システムアーキテクチャエボリューション)システムに適用した例について説明する。LTE/SAE標準規格では、無線通信システムは、無線基地局装置(eNB:Evolved Node B、エボルブドノードB)と、Mobility Management Entity(MME、モビリティマネージメントエンティティ)やServing Gateway(サービングゲートウェイ、サービングGW)やPublic Data Network Gateway(パブリックデータネットワークゲートウェイ、PDN GW)などのコアネットワークとを含む。
【0015】
実施例2では、同一セルまたはセクタに在圏する端末(UE:User Equipment、ユーザイクウィップメント)同士がデータの送受信を行う場合、無線基地局装置は、送信元の端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側に転送しないで、宛先の端末へ転送する。異なるセルまたはセクタに在圏する端末同士がデータの送受信を行う場合、ユーザデータは、無線基地局装置からコアネットワーク側に転送される。コアネットワーク側では、ユーザデータは、無線基地局装置とサービングゲートウェイとの間、サービングゲートウェイとパブリックデータネットワークゲートウェイとの間、およびパブリックデータネットワークゲートウェイとインターネットなどの公衆のサービス網との間で転送される。
【0016】
無線基地局装置は、端末と無線基地局装置との間のレイヤ3機能であるInternet Protocol(IP、インターネットプロトコル、IPプロトコル)のヘッダ情報をモニタする。無線基地局装置は、IPプロトコルのヘッダ情報に含まれる送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを管理することによって、上述したIPパケットのルーティングを行う。端末のIPアドレスは、端末の識別情報に相当する。
【0017】
・IPプロトコルのヘッダ情報の説明
図3は、実施例2にかかるIPプロトコルのIPv4におけるヘッダ情報の一例を示す説明図である。図3に示すように、IPヘッダ情報11は、送信元IPアドレスフィールド12、宛先IPアドレスフィールド13および全データ長フィールド14を有する。無線基地局装置は、送信元IPアドレスフィールド12および宛先IPアドレスフィールド13からそれぞれ送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを取得する。送信元IPアドレスは、当該IPアドレスの送信元となる端末のIPアドレスである。宛先IPアドレスは、当該IPアドレスの宛先となる端末のIPアドレスである。無線基地局装置は、全データ長フィールド14から当該IPパケットの全データ長を取得する。無線基地局装置が、取得したIPパケットの全データ長を累積してコアネットワーク側に通知することによって、コアネットワーク側で課金処理を行うことができる。
【0018】
・無線基地局装置の説明
図4は、実施例2にかかる無線基地局装置を示すブロック図である。図4に示すように、無線基地局装置21は、上りリンク処理部22、上りMAC/RLC/PDCP処理部23、IP処理部24、スケジューラ25、下りMAC/RLC/PDCP処理部26、下りリンク処理部27および制御情報処理部28を備えている。上りリンク処理部22は、データ受信部31、データチャネル受信部32および制御チャネル受信部33を有する。データ受信部31は、端末から受信した上りリンクの信号を復調する。データチャネル受信部32は、データ受信部31の出力信号のデータチャネルを復号する。制御チャネル受信部33は、データ受信部31の出力信号の上り制御チャネルを復号する。制御チャネル受信部33は、スケジューラ25へ再送情報などのフィードバック情報を送る。上りリンク処理部22は、スケジューラ25へ種々の制御信号を送る。
【0019】
上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、MAC(Media Access Control、メディアアクセスコントロール)処理部41、RLC(Radio Link Control、ラジオリンクコントロール)処理部42およびPDCP(Packet Data Convergence Protocol、パケットデータコンバージェンスプロトコル)処理部43を有する。MAC処理部41は、データチャネル受信部32から出力されたユーザデータに対してトランスポートチャネル処理を行う。MAC処理部41で行われる処理には、Hybrid Automatic Repeat Request(HARQ、ハイブリッドオートマチックリピートリクエスト)の処理が含まれる。RLC処理部42は、MAC処理部41の出力データに対して上位レイヤのデータ転送を行う。PDCP処理部43は、RLC処理部42の出力データに対してヘッダ圧縮や暗号化などを行う。上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、スケジューラ25からの指示によって制御され、スケジューラ25に応答を返す。上りリンク処理部22および上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、受信処理部として動作する。
【0020】
IP処理部24は、第1バッファ51、IPアドレスモニタ部52、IPアドレステーブル53および第2バッファ54を有する。第1バッファ51は、上りMAC/RLC/PDCP処理部23のPDCP処理部43から出力されたユーザデータを格納する。第1バッファ51は、スケジューラ25からの指示によって、格納しているユーザデータをIPパケットとして下りMAC/RLC/PDCP処理部26またはコアネットワーク側へ送る。第2バッファ54は、コアネットワーク側から送られてきたユーザデータのIPパケットを格納する。第2バッファ54は、スケジューラ25からの指示によって、格納しているユーザデータのIPパケットを下りMAC/RLC/PDCP処理部26へ送る。第1バッファ51と第2バッファ54とは、別々に設けられていてもよいし、共通のバッファであってもよい。
【0021】
IPアドレスモニタ部52は、上りMAC/RLC/PDCP処理部23のPDCP処理部43から出力されたユーザデータのIPヘッダ内のアドレスを読み出す。IPアドレスモニタ部52は、コアネットワーク側から送られてきたユーザデータのIPヘッダ内のアドレスを読み出す。IPアドレスモニタ部52は、第1バッファ51に格納されているユーザデータまたは第2バッファ54に格納されているユーザデータからそれぞれIPヘッダ内のアドレスを読み出すようにしてもよい。IPアドレステーブル53は、スケジューラ25からの指示によって、IPアドレスモニタ部52により読み出されたIPアドレスを保持する。従って、IPアドレステーブル53には、無線基地局装置21のセルまたはセクタに在圏しており、無線基地局装置21と無線通信可能な端末のIPアドレスが保持されていることになる。IPアドレステーブル53は、スケジューラ25からの指示によって、IPアドレスモニタ部52により読み出されたIPアドレスを保持しているか否かを判断する。IPアドレステーブル53は、IPアドレスモニタ部52により読み出されたIPアドレスを保持している場合、該IPアドレスの端末が自局と無線通信可能であると判断し、その判断結果をスケジューラ25に返す。IPアドレステーブル53は、保持部として動作する。また、IPアドレステーブル53は、判断部として動作する。
【0022】
下りMAC/RLC/PDCP処理部26は、PDCP処理部61、RLC処理部62およびMAC処理部63を有する。下りMAC/RLC/PDCP処理部26は、第1バッファ51の出力データまたは第2バッファ54の出力データに対して、PDCP処理部61、RLC処理部62およびMAC処理部63の順に上りMAC/RLC/PDCP処理部23の処理と逆の処理を行う。MAC処理部63で行われる処理には、ハイブリッドオートマチックリピートリクエストの処理が含まれる。下りMAC/RLC/PDCP処理部26は、スケジューラ25からの指示によって制御され、スケジューラ25に応答を返す。
【0023】
下りリンク処理部27は、データチャネル送信部71、制御チャネル送信部72およびデータ送信部73を有する。データチャネル送信部71は、MAC処理部63の出力信号のデータチャネルを符号化する。制御チャネル送信部72は、スケジューラ25から再送情報などの制御情報を受け取り、下り制御チャネルを符号化する。データ送信部73は、データチャネル送信部71の出力信号および制御チャネル送信部72の出力信号を変調し、無線信号として端末へ送信する。下りリンク処理部27は、スケジューラ25から種々の制御信号を受け取る。下りMAC/RLC/PDCP処理部26および下りリンク処理部27は、送信処理部として動作する。
【0024】
制御情報処理部28は、スケジューラ25からの指示によって、種々の制御データをコアネットワークへ通知する。コアネットワークへ通知される制御データの一例として、例えば無線基地局装置21が内部で送信元の端末からの受信信号を宛先の端末への送信信号として処理したパケットの量が挙げられる。無線基地局装置21からコアネットワークへパケットの量を通知することによって、例えばサービングゲートウェイにおいて、無線基地局装置21の内部でルーティング処理されたパケットを含めて課金処理を行うことができる。制御情報処理部28は、コアネットワークから制御データを受け取り、受け取った制御データをスケジューラ25へ通知する。制御情報処理部28は、通知部として動作する。
【0025】
スケジューラ25は、上りリンク処理部22から受け取った種々の制御信号に基づいて、無線基地局装置21、IP処理部24および下りMAC/RLC/PDCP処理部26を制御し、上りリンクおよび下りリンクのスケジューリングを行う。スケジューラ25は、上りリンク処理部22から再送情報などのフィードバック情報を受け取り、下りリンク処理部27へ再送情報などの制御情報を送ることによって、例えば再送制御を行う。スケジューラ25は、送信元の端末からの受信信号に含まれる宛先IPアドレスがIPアドレステーブル53に保持されている場合に、第1バッファ51に格納されているユーザデータの送り先を下りMAC/RLC/PDCP処理部26とする。スケジューラ25は、該宛先IPアドレスがIPアドレステーブル53に保持されていない場合に、第1バッファ51に格納されているユーザデータの送り先をコアネットワークとする。スケジューラ25は、無線基地局装置21の内部でルーティング処理されたパケットの量を制御情報処理部28から通知させる。スケジューラ25は、IPアドレステーブル53から、自局からの呼びかけに対して応答のない端末のIPアドレスを削除する。スケジューラ25は、送信制御部として動作する。
【0026】
・無線通信方法における上りリンクのルーティング処理の説明
図5は、実施例2にかかる無線通信方法における上りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。図5に示すように、上りリンクの処理では、無線基地局装置21が送信元の端末からIPパケットを受信すると(ステップS11)、上りリンク処理部22および上りMAC/RLC/PDCP処理部23は、該IPパケットに対して受信処理を行う。そして、第1バッファ51は、受信処理されたIPパケットを格納する(ステップS12)。次いで、IPアドレスモニタ部52は、該IPパケットのヘッダ情報に含まれる送信元の端末のIPアドレス(送信元アドレス)および宛先の端末のIPアドレス(宛先アドレス)を読み出す(ステップS13)。IPアドレステーブル53は、保持しているIPアドレスを参照し、IPアドレスモニタ部52により読み出された送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスと照合する(ステップS14)。IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録済みであるか否かを判断する(ステップS15)。宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されている場合(ステップS15:Yes)、スケジューラ25は、自局のセルまたはセクタに在圏する端末同士の通信であると判断し、上りリンクのIPパケットを下りリンクへ送るようにルーティング処理を行う(ステップS16)。次いで、下りMAC/RLC/PDCP処理部26および下りリンク処理部27は、下りリンクにルーティングされたIPパケットに対して送信処理を行う(ステップS17)。送信処理されたIPパケットは、宛先となる端末へ送信される。
【0027】
一方、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されていない場合(ステップS15:No)、スケジューラ25は、自局のセルまたはセクタに在圏する端末同士の通信ではないと判断する。そして、スケジューラ25は、上りリンクのIPパケットを上りリンクのデータとしてそのままコアネットワークへ送るようにルーティング処理を行う(ステップS18)。コアネットワークへルーティングされたIPパケットは、コアネットワークへ送信される。また、送信元の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されている場合(ステップS19:Yes)、IPアドレステーブル53は、送信元の端末のIPアドレスが既知であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行わない。一方、送信元の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されてない場合(ステップS19:No)、IPアドレステーブル53は、送信元の端末のIPアドレスが新規であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行う(ステップS20)。
【0028】
・無線通信方法における下りリンクのルーティング処理の説明
図6は、実施例2にかかる無線通信方法における下りリンクのルーティング処理を説明するフローチャートである。図6に示すように、下りリンクの処理では、無線基地局装置21がコアネットワークからIPパケットを受信すると(ステップS31)、第2バッファ54は、該IPパケットを格納する(ステップS32)。次いで、下りMAC/RLC/PDCP処理部26および下りリンク処理部27は、該IPパケットに対して送信処理を行う(ステップS33)。送信処理されたIPパケットは、宛先となる端末へ送信される。
【0029】
また、IPアドレスモニタ部52は、該IPパケットのヘッダ情報に含まれる宛先の端末のIPアドレスを読み出す(ステップS34)。IPアドレステーブル53は、保持しているIPアドレスを参照し、IPアドレスモニタ部52により読み出された宛先の端末のIPアドレスと照合する(ステップS35)。IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録済みであるか否かを判断する(ステップS36)。宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されている場合(ステップS36:Yes)、IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスが既知であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行わない。一方、宛先の端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されてない場合(ステップS36:No)、IPアドレステーブル53は、宛先の端末のIPアドレスが新規であるとして、該IPアドレスを書き込む処理を行う(ステップS37)。
【0030】
・無線通信方法における第1の接続例の説明
図7は、実施例2にかかる無線通信方法における第1の接続例を説明するシーケンス図である。図7に示すように、第1の接続例は、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが未登録である場合の例である。まず、送信元となる第1端末(UE#1)および宛先となる第2端末(UE#2)は、セルサーチを行う(ステップS41)。セルサーチの完了後、図には示されていないが、第1端末は、セルサーチによって検出した無線基地局装置(eNB)21に例えばランダムアクセスおよびRRC(Radio Resource Control、ラジオリソースコントロール)シグナリングによって接続する。そして、第1端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第1端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS42)。
【0031】
例えば、無線基地局装置21とMMEとは、SCTP(Stream Control Transmission Protocol、ストリームコントロールトランスミッションプロトコル)やS1−AP(S1−interface Application、S1インタフェースアプリケーション)によって接続されている。MMEとサービングゲートウェイとは、GTP−C(GPRS Tunneling Protocol Control、GPRSトンネリングプロトコルコントロール)やAP(Application Protocol、アプリケーションプロトコル)によって接続されている。新たに端末の認証が必要である場合には、例えばHSS(Home Subscriber Server。ホームサブスクライバーサーバ)にアクセスされることがある。
【0032】
デフォルトベアラの確立後、第1端末から第2端末を宛先とするユーザデータが送信されると、無線基地局装置21は、該ユーザデータを受信し、受信処理したユーザデータを第1バッファ51に格納する(ステップS43)。そして、無線基地局装置21は、IPアドレスモニタ部52により、ユーザデータに含まれる送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタする(ステップS44)。次いで、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53を参照し、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS45)。ここでは、第1端末のIPアドレスおよび第2端末のIPアドレスがともにIPアドレステーブル53に登録されていないとする。従って、無線基地局装置21は、例えばサービングゲートウェイに第2端末を宛先とするユーザデータを送信する(ステップS46)。また、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53に第1端末の情報として送信元の端末のIPアドレスを登録する(ステップS47)。
【0033】
図には示されていないが、例えばサービングゲートウェイは、無線基地局装置21からユーザデータを受信すると、MMEおよび無線基地局装置21を介して第2端末との接続を試みる。無線基地局装置21は、第2端末に例えばRRCシグナリングによって接続する。新たに端末の認証が必要である場合には、例えばHSSにアクセスされることがある。そして、第2端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第2端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS48)。デフォルトベアラの確立後、例えばサービングゲートウェイから第2端末を宛先とするユーザデータが送信されると、無線基地局装置21は、該ユーザデータを受信して第2バッファ54に格納する(ステップS49)。そして、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によって第2端末へユーザデータを送信する(ステップS50)。
【0034】
また、無線基地局装置21は、IPアドレスモニタ部52により、ユーザデータに含まれる宛先の端末のIPアドレスをモニタする(ステップS51)。次いで、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53を参照し、宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS52)。第2端末のIPアドレスがIPアドレステーブル53に登録されていないので、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53に第2端末の情報として宛先の端末のIPアドレスを登録する(ステップS53)。
【0035】
続いて、無線基地局装置21は、第1端末から第2端末宛のユーザデータを受信すると(ステップS54)、ステップS44およびステップS45と同様にして、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタし(ステップS55)、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS56)。既にIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置21は、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS57)。
【0036】
また、無線基地局装置21は、制御情報処理部28により、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS58)。それによって、例えばサービングゲートウェイは、第1端末からコアネットワークを経由して第2端末へ送信されたIPパケットの量と、コアネットワークを介さずに無線基地局装置21で第2端末へ送信されたIPパケットの量とを加算して、加入者データベースの課金処理に関する情報を更新することができる。例えばサービングゲートウェイは、加入者データベースの課金処理に関する情報に基づいて、課金処理を行うことができる。
【0037】
・無線通信方法における第2の接続例の説明
図8は、実施例2にかかる無線通信方法における第2の接続例を説明するシーケンス図である。図8に示すように、第2の接続例は、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが既に登録されている場合の例である。前記第1の接続例と同様にして、第1端末および第2端末のセルサーチが完了した後(ステップS61)、例えばランダムアクセスおよびRRCシグナリングによって第1端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第1端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS62)。第2端末については、例えばRRCシグナリングによって第2端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立し、第2端末にIPアドレスが割り当てられる(ステップS63)。
【0038】
その後、無線基地局装置21は、第1端末から第2端末宛のユーザデータを受信すると(ステップS64)、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタし(ステップS65)、IPアドレステーブル53を参照して送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS66)。既にIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置21は、例えばRRCシグナリングによって第2端末に接続し、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS67)。また、無線基地局装置21は、前記第1の接続例と同様に、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS68)。例えばサービングゲートウェイは、前記第1の接続例と同様にして課金処理を行うことができる。
【0039】
・無線通信方法における第3の接続例の説明
図9は、実施例2にかかる無線通信方法における第3の接続例を説明するシーケンス図である。図9に示すように、第3の接続例は、宛先の端末からの応答がない場合の例である。一例として、前記第2の接続例と同様に、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが既に登録されている場合について説明する。第1端末および第2端末のセルサーチからIPアドレステーブル53の参照までは、前記第2の接続例におけるステップS61〜ステップS66と同様である(ステップS71〜ステップS76)。既にIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置21は、第2端末へ例えばRRCシグナリングを送信する(ステップS77)。第2端末から、無線基地局装置21からの例えばRRCシグナリングに対する応答がない場合、無線基地局装置21は、例えばサービングゲートウェイに第2端末を宛先とするユーザデータを送信する(ステップS78)。
【0040】
RRCシグナリングに対する第2端末からの応答がない場合、無線基地局装置21は、第2端末へRRCシグナリングを再度送信してもよい(ステップS79)。RRCシグナリングを再度送信する場合、無線基地局装置21は、初回のRRCシグナリングの送信に対する応答がないときにユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信してもよい(ステップS78)。あるいは、無線基地局装置21は、RRCシグナリングの送信回数が予め設定されている回数に達したときにユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信してもよい(ステップS80)。通信事業者は、RRCシグナリングの再送信を行う場合、ユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信するタイミングを設定することができる。第2端末からRRCシグナリングに対する応答がない場合、無線基地局装置21は、スケジューラ25の指示によってIPアドレステーブル53から宛先の端末のIPアドレスを削除して、IPアドレステーブル53を更新する(ステップS81)。
【0041】
なお、初回のRRCシグナリングに対する第2端末の応答がないときに無線基地局装置21がユーザデータを例えばサービングゲートウェイへ送信した後、第2端末へのRRCシグナリングの再送信に対して第2端末が応答することがある。この場合、無線基地局装置21は、第2端末からの応答に対して、第2端末へユーザデータを送信する。従って、第2端末に、コアネットワークを経由したユーザデータと、無線基地局装置21が第2端末へ送信したユーザデータとが重複して到達する可能性がある。これに対する対策として、コアネットワークから戻ってくるユーザデータと、無線基地局装置21が第2端末へ送信したユーザデータとで、いずれか一方が廃棄されるような設定にしておいてもよい。あるいは、無線基地局装置21は、IPパケットのヘッダ情報に含まれているプロトコル(図3参照)をモニタし、上位プロトコルの種別に基づいてパケットの重複が許容されるか否かを判断してもよい。無線基地局装置21は、パケットの重複が許容される場合に例えばサービングゲートウェイへユーザデータを送信し、許容されない場合に例えば、設定する(再)送信回数に達するまでサービングゲートウェイへユーザデータを送信しないようにしてもよい。
【0042】
・無線通信方法における第4の接続例の説明
図10は、実施例2にかかる無線通信方法における第4の接続例を説明するシーケンス図である。図10に示すように、第4の接続例は、無線基地局装置同士の間でユーザデータを転送する場合の例である。第1端末および第2端末のセルサーチからIPアドレステーブル53の参照までは、前記第2の接続例におけるステップS61〜ステップS66と同様である(ステップS91〜ステップS96)。ただし、第1端末は、セルサーチによって検出した無線基地局装置(eNB#1)に例えばランダムアクセスおよびRRCシグナリングによって接続し、第1端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立する(ステップS92)。第2端末は、セルサーチによって検出した無線基地局装置(eNB#2)に例えばRRCシグナリングによって接続し、第2端末とコアネットワーク側との間にデフォルトベアラが確立する(ステップS93)。無線基地局装置(eNB#2)は、無線基地局装置(eNB#1)の周辺に存在する。ここでは、ステップS94において無線基地局装置(eNB#1)が第1端末からユーザデータを受信するとする。従って、ステップS95およびステップS96は、無線基地局装置(eNB#1)において実施される。無線基地局装置(eNB#1)と周辺の無線基地局装置(eNB#2)とは、同様の構成であるとする。
【0043】
無線基地局装置(eNB#1)は、周辺の無線基地局装置(eNB#2)との間でIPアドレステーブル53を交換する(ステップS97)。IPアドレステーブル53を交換するタイミングは、無線基地局装置(eNB#1)が端末からユーザデータを受信したときに限らない。例えば、定期的にIPアドレステーブル53を交換してもよいし、いずれかの無線基地局装置のIPアドレステーブル53にIPアドレスが新規に登録されたり、IPアドレステーブル53からIPアドレスが削除されるなど、IPアドレステーブル53が更新されたときでもよい。
【0044】
ここでは、第2端末のIPアドレスが、ユーザデータを受信した無線基地局装置(eNB#1)のIPアドレステーブル53ではなく、周辺の無線基地局装置(eNB#2)のIPアドレステーブル53に登録されているとする。従って、無線基地局装置(eNB#1)は、第1端末から受信したユーザデータを周辺の無線基地局装置(eNB#2)へ転送する(ステップS98)。無線基地局装置間でIPアドレステーブル53を交換する際や、無線基地局装置間でユーザデータを転送する際には、例えば、無線基地局装置(eNB)間インタフェースのX2インタフェースを使用することができる。
【0045】
周辺の無線基地局装置(eNB#2)は、無線基地局装置(eNB#1)から第2端末宛のユーザデータを受信すると、送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスをモニタし(ステップS99)、IPアドレステーブル53を参照して送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが登録済みであるか否かを確認する(ステップS100)。既に無線基地局装置(eNB#2)のIPアドレステーブル53に第2端末のIPアドレスが登録されているので、無線基地局装置(eNB#2)は、例えばRRCシグナリングによって第2端末に接続し、無線基地局装置(eNB#1)から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS101)。
【0046】
また、無線基地局装置(eNB#2)は、前記第1の接続例と同様に、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS102)。例えばサービングゲートウェイは、前記第1の接続例と同様にして課金処理を行うことができる。なお、無線基地局装置間でユーザデータを転送する範囲を、隣接する無線基地局装置同士に限らずに、第1の無線基地局装置と第1の無線基地局装置に隣接する第2の無線基地局装置との間、および第2の無線基地局装置と第2の無線基地局装置に隣接する第3の無線基地局装置との間、というように、連続的に広げてもよい。
【0047】
・無線通信方法における第5の接続例の説明
上述した第1の接続例から第4の接続例において、端末と無線基地局装置との間のレイヤ3機能であるRRCプロトコルや、端末と無線基地局装置との間のレイヤ2機能であるMACプロトコルと連動させることによって、IPアドレスをモニタする処理やIPアドレステーブルを参照する処理を省略するようにしてもよい。第5の接続例は、例えばMACプロトコルにおける論理チャネル識別子であるMACヘッダのLCID(Logical Channel ID、ロジカルチャネルID)と連動する場合の例である。
【0048】
図11は、実施例2にかかるLCID値の一例を示す説明図である。図11に示すように、LCID値の一つにアイデンティティオブザロジカルチャネル(Identity of the logical channel)81がある。例えば、このアイデンティティオブザロジカルチャネルのインデックス82は、宛先の端末のIPアドレスと関連付けられている。アイデンティティオブザロジカルチャネルのインデックス82は、論理チャネルの識別情報に相当する。
【0049】
図12は、実施例2にかかる無線通信方法における第5の接続例を説明するシーケンス図である。一例として、前記第2の接続例と同様に、無線基地局装置21のIPアドレステーブル53に送信元の端末のIPアドレスおよび宛先の端末のIPアドレスが既に登録されている場合について説明する。図12に示すように、第1端末および第2端末のセルサーチからIPアドレステーブル53の参照までは、前記第2の接続例におけるステップS61〜ステップS66と同様である(ステップS111〜ステップS116)。無線基地局装置21は、例えばUL−SCH(Uplink Shared Channel、アップリンクシェアドチャネル)のLCIDのモニタを開始する(ステップS117)。また、無線基地局装置21は、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS118)。
【0050】
これ以降、無線基地局装置21は、第1端末からユーザデータを受信すると(ステップS119)、LCIDが前のユーザデータの受信時にモニタした値と同じである場合、IPアドレスをモニタする処理とIPアドレステーブル53を参照する処理を省略する。そして、無線基地局装置21は、第1端末から受信したユーザデータを、コアネットワーク側へ送信せずに、第2端末へ送信する(ステップS120)。また、無線基地局装置は、前記第1の接続例と同様に、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量を例えばサービングゲートウェイに通知する(ステップS121)。例えばサービングゲートウェイは、前記第1の接続例と同様にして課金処理を行うことができる。
【0051】
実施例2によれば、無線基地局装置21は、IPアドレステーブル53に保持されている端末のIPアドレスにより、送信元の端末から受信したデータの宛先となる端末が自局と無線通信可能であるか否かを知ることができる。宛先の端末が自局と無線通信可能である場合、無線基地局装置21が送信元の端末から受信したデータを、コアネットワークを介さずに、宛先の端末へ転送するので、コアネットワーク側の装置の負荷を低減させることができる。また、端末間で送受信される全てのデータをコアネットワークを経由させる場合に起こり得るデータの消失を抑制することができる。また、コアネットワーク側で障害が発生しても、端末間の通信を継続することができる。また、無線基地局装置21が、コアネットワーク側に送信せずに第2端末へ送信したIPパケットの量をコアネットワークへ通知することによって、例えばサービングゲートウェイで課金処理を行うことができる。また、宛先の端末から無線基地局装置21へ応答がない場合に、IPアドレステーブル53から応答のない宛先の端末のIPアドレスを削除することによって、随時、IPアドレステーブル53を更新することができる。また、無線基地局装置間でユーザデータを転送することによって、コアネットワーク側の負荷を低減させることができる。また、例えばRRCプロトコルやMACプロトコルと連動させて、IPアドレスをモニタする処理やIPアドレステーブルを参照する処理を省略することによって、無線基地局装置21の負荷を低減させることができる。例えば、一例として、監視カメラと該監視カメラで撮影した映像を表示するモニタとを含むシステムにおいて、監視カメラとモニタとが同一の無線基地局装置と無線通信可能である場合に実施例2を適用することができる。
【0052】
上述した実施例1、2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0053】
(付記1)端末から受信したデータを処理する受信処理部と、端末へ送信するデータを処理する送信処理部と、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部と、該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部と、該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部と、を備えることを特徴とする無線基地局装置。
【0054】
(付記2)前記送信制御部により前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を、自局が接続する上位のネットワークへ通知する通知部、を備えることを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0055】
(付記3)前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するとともに、前記保持部から該宛先の端末の識別情報を削除することを特徴とする付記1または2に記載の無線基地局装置。
【0056】
(付記4)前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、該宛先の端末に対して該情報を再度送信するとともに、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するタイミングを制御することを特徴とする付記3に記載の無線基地局装置。
【0057】
(付記5)前記保持部に保持されている識別情報を他の基地局との間で交換し、前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報および他の基地局から取得した識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局または該他の基地局と無線通信可能であるか否かを判断し、前記送信制御部は、該判断部により該宛先の端末が該他の基地局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該他の基地局へ転送することを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0058】
(付記6)前記端末と前記無線基地局装置との間の論理チャネル識別子と連動させることにより、前記保持部は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する処理を省略し、前記判断部は、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0059】
(付記7)前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と論理チャネルの識別情報とを予め関係づけておき、前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断した後、該データの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報と、新たに受信したデータの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報とが同じである場合、該新たに受信したデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該新たに受信したデータの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする付記1に記載の無線基地局装置。
【0060】
(付記8)データの送信元となる第1端末と、該第1端末から送信されたデータの宛先となる第2端末と、端末から受信したデータを処理する受信処理部、端末へ送信するデータを処理する送信処理部、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部、該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部、該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部、を備える無線基地局装置と、を含み、該受信処理部は、該第1端末から受信したデータを処理し、該判断部は、該受信処理部により処理されたデータに含まれる該第2端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該第2端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断し、該判断部により該第2端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該送信制御部は、該データを該送信処理部へ送ることを特徴とする無線通信システム。
【0061】
(付記9)前記無線基地局装置は、前記送信制御部により前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を、自局が接続する上位のネットワークへ通知する通知部、を備えており、該通知部は、前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を該上位のネットワークへ通知し、該上位のネットワークは、該無線基地局装置から通知されたデータの量に基づいて課金処理を行うことを特徴とする付記8に記載の無線通信システム。
【0062】
(付記10)前記無線基地局装置は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と論理チャネルの識別情報とを予め関係づけておき、前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる前記第2端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該第2端末が自局と無線通信可能であると判断した後、該データの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報と、新たに受信したデータの伝送に用いられた論理チャネルの識別情報とが同じである場合、該新たに受信したデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該新たに受信したデータの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする付記8に記載の無線通信システム。
【0063】
(付記11)第1端末から第2端末を宛先として送信されたデータを無線基地局装置で受信するステップと、該データに含まれる該第2端末の識別情報と、該無線基地局装置と無線通信可能な端末の識別情報とに基づいて、該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であるか否かを判断するステップと、該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であると判断された場合、該無線基地局装置から該第2端末へ該データを転送するステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【符号の説明】
【0064】
1,2 端末
3,21 無線基地局装置
4,22,23 受信処理部
5,26,27 送信処理部
6,53 保持部
7,53 判断部
8,25 送信制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から受信したデータを処理する受信処理部と、
端末へ送信するデータを処理する送信処理部と、
自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部と、
該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部と、
該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部と、
を備えることを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記送信制御部により前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を、自局が接続する上位のネットワークへ通知する通知部、を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するとともに、前記保持部から該宛先の端末の識別情報を削除することを特徴とする請求項1または2に記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、該宛先の端末に対して該情報を再度送信するとともに、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するタイミングを制御することを特徴とする請求項3に記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記保持部に保持されている識別情報を他の基地局との間で交換し、
前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報および他の基地局から取得した識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局または該他の基地局と無線通信可能であるか否かを判断し、
前記送信制御部は、該判断部により該宛先の端末が該他の基地局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該他の基地局へ転送することを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項6】
前記端末と前記無線基地局装置との間の論理チャネル識別子と連動させることにより、前記保持部は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する処理を省略し、前記判断部は、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項7】
データの送信元となる第1端末と、
該第1端末から送信されたデータの宛先となる第2端末と、
端末から受信したデータを処理する受信処理部、端末へ送信するデータを処理する送信処理部、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部、該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部、該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部、を備える無線基地局装置と、
を含み、
該受信処理部は、該第1端末から受信したデータを処理し、
該判断部は、該受信処理部により処理されたデータに含まれる該第2端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該第2端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断し、
該判断部により該第2端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該送信制御部は、該データを該送信処理部へ送ることを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
第1端末から第2端末を宛先として送信されたデータを無線基地局装置で受信するステップと、
該データに含まれる該第2端末の識別情報と、該無線基地局装置と無線通信可能な端末の識別情報とに基づいて、該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であるか否かを判断するステップと、
該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であると判断された場合、該無線基地局装置から該第2端末へ該データを転送するステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項1】
端末から受信したデータを処理する受信処理部と、
端末へ送信するデータを処理する送信処理部と、
自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部と、
該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部と、
該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部と、
を備えることを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記送信制御部により前記受信処理部から前記送信処理部へ送られたデータの量を、自局が接続する上位のネットワークへ通知する通知部、を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するとともに、前記保持部から該宛先の端末の識別情報を削除することを特徴とする請求項1または2に記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記送信制御部は、自局から前記宛先の端末に対して送信した情報に対して該宛先の端末から応答がない場合、該宛先の端末に対して該情報を再度送信するとともに、前記受信処理部により処理されたデータを、自局が接続する上位のネットワークへ転送するタイミングを制御することを特徴とする請求項3に記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記保持部に保持されている識別情報を他の基地局との間で交換し、
前記判断部は、前記受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、前記保持部に保持されている識別情報および他の基地局から取得した識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局または該他の基地局と無線通信可能であるか否かを判断し、
前記送信制御部は、該判断部により該宛先の端末が該他の基地局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該他の基地局へ転送することを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項6】
前記端末と前記無線基地局装置との間の論理チャネル識別子と連動させることにより、前記保持部は、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する処理を省略し、前記判断部は、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する処理を省略することを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項7】
データの送信元となる第1端末と、
該第1端末から送信されたデータの宛先となる第2端末と、
端末から受信したデータを処理する受信処理部、端末へ送信するデータを処理する送信処理部、自局と無線通信可能な端末の識別情報を保持する保持部、該受信処理部により処理されたデータに含まれる宛先の端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該データの宛先の端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断する判断部、該判断部により該宛先の端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該受信処理部により処理されたデータを該送信処理部へ送る送信制御部、を備える無線基地局装置と、
を含み、
該受信処理部は、該第1端末から受信したデータを処理し、
該判断部は、該受信処理部により処理されたデータに含まれる該第2端末の識別情報と、該保持部に保持されている識別情報とに基づいて、該第2端末が自局と無線通信可能であるか否かを判断し、
該判断部により該第2端末が自局と無線通信可能であると判断された場合、該送信制御部は、該データを該送信処理部へ送ることを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
第1端末から第2端末を宛先として送信されたデータを無線基地局装置で受信するステップと、
該データに含まれる該第2端末の識別情報と、該無線基地局装置と無線通信可能な端末の識別情報とに基づいて、該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であるか否かを判断するステップと、
該第2端末が該無線基地局装置と無線通信可能であると判断された場合、該無線基地局装置から該第2端末へ該データを転送するステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−77866(P2011−77866A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227784(P2009−227784)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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