説明

無線情報記録媒体

【課題】印字時の発色不良解消、消去時の消去不良解消、情報記録部の破損防止等を可能とした無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録媒体)を提供する。
【解決手段】無線情報記録媒体110は、情報記録部200をクッション材2を介して可逆性感熱記録媒体1上に設けたもので、可逆性感熱記録媒体1上にクッション材2と支持体3とを、これら3つの部材がリライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向前方部側に、該前方側から後方側に向かって上りの階段を形成するように、かつ、これら3つの部材がそれぞれ個別にステップを形成する(情報記録部200、クッション材2がそれぞれ個別に段差を形成する)ように配置して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録媒体)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
無線情報記録媒体すなわち、可逆性感熱記録媒体上に情報記録部を設けた情報記録部付き可逆性感熱記録媒体では、情報記録部の内部情報を書き換えるとともに、記録されている情報を可視画像として可逆性感熱記録媒体に表示できることが知られている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【0003】
図1は従来の無線情報記録媒体の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
この無線情報記録媒体100は、可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録シート)1上に接着層(または粘着層)8で接着された情報記録部200と、この情報記録部200を被覆する自己接着性(加圧することにより、相手部材に対する接着機能が生じる)の保護シート7とを備えた構造となっている。上記情報記録部200は、支持体3の表面に情報記録素子5(たとえばICチップ)と、この情報記録素子5に対する送受信用のアンテナ回路4とを設けたものであり、情報記録素子5は接着層8に接触している。
【0004】
図2は、従来の無線情報記録媒体の別例を示すもので、図2(a)は図1(b)に対応する断面図、図2(b)は図1(c)に対応する断面図である。この無線情報記録媒体101の構造は図1のそれと基本的に同一であり、相違点は、図1の無線情報記録媒体100では情報記録部200の情報記録素子5が接着層8に接触しているのに対し、図2の無線情報記録媒体101では、無線情報記録媒体100において情報記録部200を裏返しにした形態となっており、支持体3が接着層8に接触している。
【0005】
上記無線情報記録媒体100,101は、リライタブル記録装置(図略)に対し、図1(a)(c)、図2(b)にそれぞれ示した太い矢印の向きに搬送されることで、可逆性感熱記録媒体1に対する可視像の消去・記録動作が行われる。
【0006】
上記無線情報記録媒体100,101に対する可視像の消去・記録(消去・印字)工程では、可逆性感熱記録媒体1をリライタブル記録装置のサーマルヘッド、消去バー、消去ローラ、消去板等の加熱装置に押し当てる。
【0007】
ところが、上記無線情報記録媒体100,101にあっては、可逆性感熱記録媒体1上に設けられた、「保護層7/情報記録部200」からなる積層構造部の外周端面は、可逆性感熱記録媒体1の表面に対して垂直な面一となっている。このため、可逆性感熱記録媒体1が上記消去ローラ等により不均一にプレスされ、可逆性感熱記録媒体1に情報記録部200に対応した形状の凸部が形成されてしまう。
また、例えば上記消去ローラの場合では、これが初めに可逆性感熱記録媒体1の表面上を転動してこれを押圧するが、つぎの段階では上記積層構造部の面一となっている外周端部に一気に乗り上げ、ついでこの積層構造部を可逆性感熱記録媒体1側に押圧する工程をとる。この「ローラ乗り上げ」時にローラは、上記積層構造部を上記した太い矢印と逆の向きに押圧する力も生じる。すなわち、上記積層構造部を可逆性感熱記録媒体1から剥離させようとする力もまた、ローラからこの積層構造部に作用することになる。
【0008】
その結果、可逆性感熱記録媒体1を加熱装置によって均一に加熱することができなくなり、印字時には、可逆性感熱記録媒体1における熱伝導を均一に保てず、可逆性感熱記録媒体1に記録した画像にムラが生じてしまう。また、情報消去時には可逆性感熱記録媒体1に対して加熱装置が接触する部分にムラが生じるため、消去不良が発生してしまう。さらに、可逆性感熱記録媒体1における情報記録素子5が設けられた部分には凸部が生じるため、情報記録素子5が可逆性感熱記録媒体1を介して加熱装置でプレスされ、情報記録素子5が可逆性感熱記録媒体1から剥がれたり、傷がついたりするという問題があった。
さらに、可逆性感熱記録媒体1がA4サイズ程度の大型になった場合には、この可逆性感熱記録媒体1全面を消去・印字に有効に使用することができないため、使用可能なサイズ制限があった。
【0009】
そこで、上記問題を解決するために様々な技術が検討されている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10)。しかし、これらの技術では、無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録媒体)が、厚く硬いカードとなってしまい、可逆性感熱記録用のリライタブル記録装置(印字消去装置)で情報記録素子に記録される情報の書き換えと、可逆性感熱記録媒体に記録される情報の書き換えとを同時に処理することが難しくなるという問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開2000−94866号公報
【特許文献2】特開2000−251042号公報
【特許文献3】特開2001−63228号公報
【特許文献4】特開2002−103654号公報
【特許文献5】特開平11−91274号公報
【特許文献6】特開平11−59037号公報
【特許文献7】特開平11−85938号公報
【特許文献8】特開2002−117384号公報
【特許文献9】特開2003−141486号公報
【特許文献10】特開2003−141494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みなされてもので、その第1の目的は、少なくとも情報記録素子と該情報記録素子に対する送受信用のアンテナ回路とを設けて構成された情報記録部を、可逆性感熱記録媒体上に設けてなる無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録媒体)において、フレキシブル(可撓性に富む)であり、かつ印字時の(可逆性感熱記録媒体の)発色不良の解消、消去時の消去不良の解消および、情報記録素子の破損の防止を実現できる構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、可逆性感熱記録媒体からの上記積層構造部の剥がれ、この剥がれに起因する、接着層形成用の接着剤の「はみ出し」および、この「はみ出し」接着剤による周辺部位の汚れ、情報記録部からの保護シートの剥がれ等の問題を防止することができるとともに、A4程度の大型サイズであっても、全面にわたって消去・印字を有効に行うことが可能な無線情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、可逆性感熱記録媒体上に情報記録部等を設けてなる無線情報記録媒体において、この無線情報記録媒体をリライタブル記録装置に導入して可逆性感熱記録媒体について可視像の消去・印字を行う際に、上記記録装置の消去・印字部材(例えば消去ローラ)が、可逆性感熱記録媒体上に配置された情報記録部等の構成部材上に一気に乗り上げるのを避け、上記構成部材を可逆性感熱記録媒体上に階段状に配置することにより、消去・印字部材がこの階段を徐々に上るようにすることで、上記構成部材の全体に均等な荷重がかかるように構成したものである。
【0013】
請求項1に係る発明は、支持体3の表面に情報記録素子5と該情報記録素子5に対する送受信用のアンテナ回路4とを設けた情報記録部200を、クッション材2を介して可逆性感熱記録媒体1上に設けてなる無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録媒体)であって、
前記可逆性感熱記録媒体1上に前記クッション材2と前記支持体3とを、これら3つの部材がリライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向前方部側に、該前方側から後方側に向かって上りの階段を形成するように、かつ、これら3つの部材がそれぞれ個別にステップを形成するように(クッション材2、支持体3が個別の段差を形成するように)配置したことを特徴とする無線情報記録媒体である。
【0014】
請求項2に係る発明は、支持体3の表面に情報記録素子5と該情報記録素子5に対する送受信用のアンテナ回路4とを設けた情報記録部200を可逆性感熱記録媒体1上に設けるとともに、前記情報記録部200の全体をクッション材2で被覆してなる無線情報記録媒体であって、
前記可逆性感熱記録媒体1上に前記クッション材2を、これらがリライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向前方側に、該前方側から後方側に向かって上りの階段を形成するように配置し、
前記クッション材2では、複数ステップの上り階段を形成するとともに、これらステップの一つを、前記支持体3の外周端面の近傍部位に設けた段差〔これは段差面(階段の蹴込みに相当する)といってもよい。以下同じ〕により形成したことを特徴とする無線情報記録媒体である。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記情報記録部200およびクッション材2の全体を保護シート7で被覆するとともに、該保護シートでは、前記上り階段を形成するクッション材2の段差の近傍部位および、前記支持体3による段差の近傍部位に、当該保護シートの段差を形成して上り階段状としたことを特徴とする請求項1に記載の無線情報記録媒体である。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記クッション材2の全体を保護シートで被覆するとともに、該保護シートでは、前記クッション材2で形成される前記上り階段の各段差の近傍部位に当該保護シートの段差を形成して上り階段状としたことを特徴とする請求項2に記載の無線情報記録媒体である。
【0017】
請求項5に係る発明は、前記クッション材は布(織物)、不織布のいずれかであり、その上下面が接着層または粘着層を介して相手部材に固着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記クッション材を2枚重ねとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記クッション材2、前記支持体3、前記保護シート7のそれぞれにより形成される段差のうち少なくとも一つを、当該無線情報記録媒体の搬送方向前方側から後方側に上り勾配の傾斜面としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【0020】
請求項8に係る発明は、前記可逆性感熱記録媒体1上に前記段差を形成する部材では、リライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向後方部が、前記搬送方向前方側から後方側に向かって下りの階段を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【0021】
請求項9に係る発明は、前記可逆性感熱記録媒体1上に前記段差を形成する部材は、該部材の外周全体にわたって、表面方向中心部から外周部に向かって下りの階段を形成するように段差を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【0022】
請求項10に係る発明は、前記情報記録部をリライタブル記録装置における記録部、消去部の全幅で設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【0023】
請求項11に係る発明は、前記階段の各ステップ(ただし、最上段のステップを除く)の奥行き(図3に示す「はみ出し幅」に相当する)が2mm以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の無線情報記録媒体である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、フレキシブルで、かつ印字時の発色不良の解消、消去時の消去不良の解消および、情報記録素子の破損防止を実現できる無線情報記録媒体が提供される。また、本発明によれば、可逆性感熱記録媒体からの上記積層構造部の剥がれ、この剥がれに起因する、接着層形成用の接着剤の「はみ出し」および、この「はみ出し」接着剤による周辺部位の汚れ、情報記録部からの保護シートの剥がれ等の問題を防止することができるとともに、A4程度の大型サイズであっても、全面にわたって消去・印字を有効に行うことが可能な無線情報記録媒体を提供することができる。
【0025】
すなわち、本発明に係る無線情報記録媒体では、以下の効果が得られる。
(1)クッション材を所定の態様で設けたため、その可撓性が向上するのに加えて、情報記録素子による段差を吸収することができる。また、布や不織布など、薄肉でも可撓性の高いクッション材を2枚重ねで設けることにより、クッション材の機能を高めることできるうえ、情報記録素子の破損や、印字・消去のムラを防止することができる。また、可逆性感熱記録媒体上の各層を、所定の態様で階段を形成するように配置したので、無線情報記録媒体の端部がリライタブル記録装置の消去・記録部材により急激に押圧されることなく、そのうえ情報記録素子に対する消去・記録部材の押圧ムラも低減する。
【0026】
(2)情報記録素子やクッション材を保護シートで被覆することにより、情報記録素子の剥がれや、印字・消去のムラ等をなくすことができる。また、クッション材に粘着加工を施すことにより、薄肉のクッション材を容易に適用することができる。
(3)段差面を所定のように傾斜面とすることで、情報記録素子の剥がれや、印字・消去のムラ等の防止効果が更に高まる。
(4)図20に示す無線情報記録媒体のように、可逆性感熱記録媒体上の各層についてその全周に段差を設けたり、各層のはみ出し部分の幅を2mm以上としたり、接着剤・粘着剤として耐熱性に富むものを採用したりすることにより、消去・印字時の熱・圧力による接着剤や粘着剤の滲み出し、接着剤や粘着剤による裏面汚れ、保護シート、クッション材、情報記録部の剥がれ等のトラブルを的確に防止することが可能となる。
(5)情報記録部をリライタブル記録装置における記録部、消去部の全幅で設けることにより情報記録部の幅が広がるので、大量の情報を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明者らは図1、図2に示す無線情報記録媒体100,101に伴う問題点を解決するべく図1、図2の構造において、可逆性感熱記録媒体1と情報記録部200の間にクッション材を介在させたもの、および保護シート7と情報記録部200の間にクッション材を介在させたもの試作した。ただし、可逆性感熱記録媒体1上に設けられた、「保護シート7、クッション材および情報記録部200」からなる積層構造部の外周端面は、図1、図2と同じく、可逆性感熱記録媒体1の表面に対して垂直な面一のままとした。これら改造型の無線情報記録媒体を用いて画像の消去・印字試験を行った結果、以下のことが分かった。
【0028】
上記無線情報記録媒体では、保護シートと情報記録部とクッション材と可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録シート)の4点から構成される。情報記録部をクッション材とともに可逆性感熱記録シートに貼り付けたものは、該シートの全面に画像の印字と消去を繰り返し行うと、情報記録部のエッジの部分で画像にムラが生じ、十分な発色が得られないという現象が生じた。また消去時には、印字した画像の一部を完全に消去することができない、あるいはICタグラベルの形に消去部分が薄く発色する地肌カブリの現象が発生した。
【0029】
これは、消去印字を行う際にサーマルヘッドや消去バー、消去ローラ、消去板等をこの無線情報記録媒体(ICタグラベル付き可逆性感熱記録シート)に押し当てるが、この時、上記積層構造部の面一となっている外周端面部で接触不良が発生するため、上記加熱装置に接触する部分にムラが発生してしまう。つまり、媒体を均一に加熱することができなくなってしまうため、印字時にはその当たりムラにより、熱の伝わり方が異なり、記録した画像にムラが生じてしまう。同様に、消去時にも加熱装置が接触する部分にムラが生じるため、消去不良や当たりムラにより、ICタグラベルの部分だけ地肌濃度が薄く発色した地肌カブリ現象が発生してしまう。更にこのシートに消去印字を繰返し行うと、濃度ムラや消去カブリの程度が増大し、あるいは段差部分から物理的に剥がれや傷などが発生する問題があった。
【0030】
そこで本発明では、無線情報記録媒体の構造を、以下に記載する各実施形態のとおりに改良することで上記問題点を解決した。
【0031】
[第1の実施形態]
図3は無線情報記録媒体110の断面図であり、この無線情報記録媒体は太い矢印の向きに搬送され、リライタブル記録装置により無線情報記録媒体に対する可視像の消去・記録(消去・印字)行われるものである。図17は、この無線情報記録媒体を構成する可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録シート)の一例を示す模式的断面図、図18はこの無線情報記録媒体を構成する情報記録部の一例を示す模式的平面図である。この無線情報記録媒体は請求項1に係るもので、以下のように構成される。
【0032】
支持体3の片面側に情報記録素子5と該情報記録素子5に対する送受信用のアンテナ回路4とを設けて構成された情報記録部200(図18参照)を、クッション材2を介して可逆性感熱記録媒体1上に、かつ支持体3が最上面となるように設ける。この場合、クッション材2の上下面に接着層(または粘着層)8を設け、これらの接着層によりクッション材2の下面を可逆性感熱記録媒体1に接着し、上面を情報記録部200に、それぞれ接着する。また、情報記録部200はクッション材2上に、可逆性感熱記録媒体1に対する可視像の記録・消去動作を行うリライタブル記録装置における記録部、消去部の全幅で設ける。
【0033】
クッション材2を、リライタブル記録装置に対する媒体搬送方向前方側の外周端面G2が、可逆性感熱記録媒体1の媒体搬送方向前方側の外周端面G1よりも媒体搬送方向後方側にあるように位置させ、上記外周端面G2により可逆性感熱記録媒体1上に段差D1を形成する。ここで、上記「媒体搬送方向前方側」とは、無線情報記録媒体をリライタブル記録装置の消去・印字部に向けて搬送するときの搬送方向前方側を意味し、「媒体搬送方向後方側」とは、無線情報記録媒体をリライタブル記録装置の消去・印字部に向けて搬送するときの搬送方向後方側を意味する。
【0034】
また、クッション材2を、上記外周端面G2が支持体3における媒体搬送方向前方側の外周端面G3よりも媒体搬送方向前方側にあるように位置させ、上記外周端面G3により当該クッション材2上に段差D2を形成する。本実施形態では、図3に示すように、クッション材2の外周端面G2と、支持体3の外周端面G3との距離つまり、支持体3に対するクッション材2の「はみ出し幅d」を2mm以上とすることが好ましい。このように、本実施形態の無線情報記録媒体では、可逆性感熱記録媒体1、クッション材2、情報記録部200の支持体3により3段ステップの階段が形成される。
【0035】
なお、本発明に係る無線情報記録媒体では、可逆性感熱記録シートとして、例えばリコー製の530BD,430BD,431FB、三菱製紙のTRCG99CS,TRCG99SS,TRCG99SH,TRCGAACS,TRCGBBBSを用いることができる。また、情報記録部200としては、藤井製ICタグ、オムロン製ICタグ、エイリアン製ICタグ、ソニー製ICタグ、日立製作所製ICタグ、DNP製ICタグ、凸版製ICタグを採用することができる。
【0036】
上記可逆性感熱記録媒体1は、例えば図17に示すように支持層14の片面側に可逆性感熱記録層13、中間層12、保護層11の順に積層し、支持層14の反対面にバック層15を設けた構造とする。
【0037】
[第2の実施形態]
図4は無線情報記録媒体110の断面図であり、この無線情報記録媒体は太い矢印の向きに搬送され、リライタブル記録装置により無線情報記録媒体に対する可視像の消去・記録(消去・印字)行われるものである。この無線情報記録媒体は請求項2に係るもので、以下のように構成される。
【0038】
支持体3の片面側に情報記録素子5と該情報記録素子5に対する送受信用のアンテナ回路4とを設けた情報記録部200を可逆性感熱記録媒体1上に、かつ支持体3を可逆性感熱記録媒体1側に位置させて設けるとともに、情報記録部200の全体をクッション材2で被覆する。情報記録部200は、可逆性感熱記録媒体1に対する可視像の記録・消去動作を行うリライタブル記録装置における記録部、消去部の全幅で設ける。
【0039】
支持体3は、媒体搬送方向前方側の外周端面G3が可逆性感熱記録媒体1の媒体搬送方向前方側の外周端面G1よりも媒体搬送方向後方側にあるように位置させて、外周端面G3により可逆性感熱記録媒体1上に段差D2を形成する。クッション材2を、記憶媒体搬送方向前方側の外周端面G2が上記外周端面G1よりも媒体搬送方向後方側にあるように位置させて、外周端面G2により可逆性感熱記録媒体1上に段差D1を形成する。また、クッション材2では、上記外周端面G2よりも媒体搬送方向後方側、かつ上記外周端面G3の近傍に、(外周面G2−1による)段差D3を形成する。
【0040】
さらに、本実施形態では、図4に示すように、クッション材2の外周端面G2と、支持体3の外周端面G3との距離つまり、支持体3に対するクッション材2の「はみ出し幅d」を2mm以上とすることが好ましい。
【0041】
つぎに、図3、図4および図17を参照して、上記無線情報記録媒体および可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録シート)1の構造について、さらに具体的に説明する。
<情報記録部200>
情報記録部200は、支持体3上に情報記録素子5(例えばICチップ、IC回路)と、アンテナ回路4を形成して設けられる。情報記録素子5とアンテナ回路4は電気的に導通される。
【0042】
支持体3としては、一般的な紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジット等のリジッドタイプ、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、紙、合成紙等のフレキシブルタイプ、および両者の複合タイプが使用できる。厚みは、段差の高さを低くするために5〜250μmとするのが好ましい。
【0043】
情報記録素子5を保護するためにICチップ(IC回路)露出面に、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、紙等の保護フィルム(後記する図5、図6等における保護シート7を参照)を接着することもできる。保護フィルムの厚みは、段差の高さ低減のために5〜250μmが好ましい。
【0044】
情報記録部200を直接、もしくはクッション材2を介して可逆性感熱記録シート1に接着するための接着剤層、または上記保護フィルムを情報記録素子5に接着するための接着剤層8は、製造工程中の積層貼合時に接着力を保有する材料、すなわち自己接着性を有する(押圧により材料自体に接着力を生じる)材料を使用して形成することができる。
上記自己接着性の材料は通常、常温もしくは加熱した状態で加圧接着できるものであり、その具体例としてはユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、合成ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、EVA系接着剤など一般的な接着剤が挙げられる。
【0045】
情報記録部200を可逆性感熱記録媒体1に粘着するための粘着剤層8(塗工層)の種類や厚さは、被着体の種類や使用される環境、接着の強度等を考慮して適宜に選択・設定することができる。上記粘着剤層は、一般に用いられる水系もしくは溶剤系の粘着剤を塗工、乾燥して形成することができ、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系等が使用でき、これらの合成高分子粘着剤は、有機溶媒溶液や、ディスパージョンやエマルジョンといった水に分散した形態で使用可能である。
【0046】
本発明に係る無線情報記録媒体では、ICチップの凹凸による悪影響を受けないようにするために、上記接着層8または粘着層8をICチップ側に設けることが好ましい。
【0047】
上記接着層もしくは粘着層の主成分は、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、S−I−S−ブロックポリマー系、EVA系の材料であることが好ましい。これらは、用途に応じて適宜に混合して使用することができ、また各種添加剤、無機・有機フィラーまたは繊維材料を加えてもよい。さらに、その接着強度も、必要に応じて設定することができ、基材表面の微細な襞の部分において、ある程度の接着強度を確保し得るものであれば、情報記録部200を容易に着脱することにより、無線情報記録媒体を繰り返し使用することができる。また、接着強度が大で、情報記録部200取り付け後のこの情報記録部の剥離が困難なものであれば、半永久的使用が可能となる。
なお、接着層(粘着層)形成面以外の面を易接着、撥水、撥油、帯電防止など、必要に応じて各種処理を施した保護シート7を採用することもできる。特に、保護シート7として、後に詳細に説明するバック層15と同様の層を設けることにより、非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートの裏面における摩擦係数の変化を少なくすることが可能になる。
【0048】
<クッション材2>
クッション材2としては、紙、樹脂フィルム、合成紙、金属箔、樹脂板、金属板、ガラスまたはこれらの複合体から構成されたシート状、または板状になったものが使用できるが、この場合、最表面の材質は発泡ポリウレタン、スフ材、ゴム等のクッション性に富むものが好ましい。また、クッション材2としては、スポンジ材(例えば発泡ポリウレタン材)、硬質材と軟質材のブレンド、スフ材、ゴム材など、クッション性をもつものが望ましい。
このクッション材2を図3または、図4に示すように、情報記録部200の下側または、情報記録部200の上側に貼り付けるためは、支持体3の表面に粘着層または接着層を設ける必要がある。これら粘着層または接着層の材料としては、上記した粘着層8(または接着層)形成用の材料と同じものが使用できるが、これらの材料がクッション機能を有するものであれば、これらの材料をそのまま支持体3として使用することもできる。また、これら粘着層または接着層は、情報記録部200の情報記録素子5との関係で両者の段差を少なくするために、材料を同様なものとするとともに、膜厚を同等とすることが望ましい。
【0049】
<可逆性感熱記録シート1>
以下、上記可逆性熱記録媒体1について詳しく説明する。
この可逆性感熱記録媒体を構成する、図17に示す可逆性感熱記録層13すなわち、「色調が可逆的に変化する感熱層」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす材料である。目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明では主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の熱可逆記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものならばなんでも良いが、例えば常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。特に第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが好適に用いられる。
【0050】
これらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報)、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号、特開平4−247985号、特開平4−267190号などの公報)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号、特開平2−188294号公報)等が挙げられる。
【0051】
これらの中では特に、樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分散した系や、ロイコ染料と長鎖アルキル顕色剤を用いた系が好ましい。またロイコ染料としては、この種の可逆感熱記録媒体に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体が挙げられる。長鎖アルキル顕色剤としては、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載の記録層が挙げられる。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていても良い。このような可逆性顕色剤の具体例は、たとえば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載に示され、1種または2種以上を混合して用いても良い。
【0052】
図17に示す可逆性感熱記録層13には、必要に応じて塗布特性や発色消色特性を改善したり、制御したりするための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。
【0053】
可逆性感熱記録層13は、ロイコ染料、顕色剤、種々の添加剤をバインダー樹脂とともに形成する。このとき用いられる樹脂は支持層14上にこれらの材料を結着できれば良く、従来公知の樹脂を単独で、または2種以上を混合して用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などがとくに好ましく用いられる。しかし、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。また、架橋させた場合、記録層のゲル分率は30%以上であることが好ましい。これよりも低いと架橋状態が十分でなく耐久性に劣る。この値は50%以上であることが更に好ましく、特に好ましくは70%以上である。記録層13中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1に対して0.1から10が好ましく、これより少ないと記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。また、本発明におけるバインダー樹脂が架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別には、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸す方法が使用できる。すなわち、非架橋状態にあるバインダー樹脂は、溶媒中に該樹脂が溶けだし、溶質中には残らなくなるためである。
【0054】
上記バインダー樹脂を硬化させるための硬化剤は、特に限定されるものではないが、好ましくはイソシアネート系硬化剤が用いられる。イソシアネート系硬化剤の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等、およびこれらのトリメチロールプロパンなどによるアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプ及びブロック化イソシネート類等が挙げられる。中でも特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく、このアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプが好ましく用いられる。ただし、硬化剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくても良い。すなわち、未反応硬化剤が存在していても良い。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の硬化剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の硬化剤が検出されることにより架橋状態にある樹脂が存在することが示唆されるからである。また更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。
【0055】
可逆性感熱記録層13は、ロイコ染料、顕色剤、種々の添加剤、バインダー樹脂および塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液を用いて形成する。塗液調製に用いられる溶媒の具体例としてはアルコール類、ケトン類、エーテル類、グリコールエーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等を例示することができるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0056】
上記塗液の調製は、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミルなど、公知の塗液分散装置を用いて行うことができる。また、上記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても良いし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせても良い。更に加熱溶解して急冷または徐冷によって析出させても良い。塗工方法については特に制限はなく、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工など、公知の方法を用いることができる。
【0057】
図17に示す保護層11(厚さ0.1〜10μm)の材料としては、熱や紫外線、電子線(特開平02−566号公報に記載)などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられる。その中でも紫外線により硬化可能な樹脂を用いることが望ましい。紫外線や電子線にて硬化させる樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、紫外線を用いて架橋させる場合には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。また、熱によって架橋する場合ではイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。
【0058】
また、図17に示すバック層15には上記樹脂の他に希釈溶剤、有機/無機フィラーや滑剤、着色顔料、帯電防止剤等を用いこともできる。
【0059】
これらの中には、有機若しくは無機のフィラー紫外線吸収剤、滑剤、着色顔料などを含有することができる。無機フィラーの具体例としては、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物等が挙げられ、有機フィラーの具体例としては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などを有する化合物が挙げられる。滑剤の具体例としては、合成ワックス類、植物性ワックス類、動物性ワックス類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類、アミド類などが挙げられる。ただし本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
バック層15の塗膜は、上記した分散装置、塗工方法を用いて形成することができる。
【0060】
図17に示すように、記録層13に対する保護層11の接着性向上、保護層11の塗布による記録層13の変質防止、保護層11中の添加剤の記録層13への移行を防止する目的で、両者の間に中間層12を設けることが好ましく(特開平1−133781号公報に記載)、これによって発色画像の保存性が改善できる。また、記録層13上に積層される保護層11、中間層12の材料として酸素透過性の低い樹脂を用いることにより、記録層13中の発色剤および顕色剤の酸化を防止または低減することが可能になる。
【0061】
中間層12は主に樹脂からなり、下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられ、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。また、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
【0062】
中間層12の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜3μmである。また、中間層12中のフィラーの含有量は体積分率で1〜95%、より好ましくは5〜75%である。中間層12は、保護層11中に用いられるものと同一の有機紫外線吸収剤を含有しても良く、その含有量はバインダー100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。中間層12の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層12の塗工方法、中間層12の乾燥・硬化方法等としては、記録層13、保護層11で用いられる公知の方法を使用することができる。
なお、発色感度の向上、接着性の向上のためにアンダー層(図略)を、記録層13と支持層14の間に設けても良い。また、レーザー記録を可能にするために、レーザー光を吸収して光を熱に変換する光熱変換層を設けても良い。
【0063】
また、可逆性感熱記録媒体1(可逆性感熱記録フィルム)のカールを防止するために、記録層13面とは反対の裏面にバック層15を設けても良い。バック層15は記録層13面側の樹脂の収縮によるカールを抑えるために設けるもので、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられる。その中でも紫外線により硬化可能な樹脂を用いることが望ましい。紫外線や電子線の照射で硬化する樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、紫外線を用いて架橋させる場合には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。また、熱によって架橋する場合ではイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。
【0064】
また、バック層15には上記樹脂の他に希釈溶剤、有機無機フィラーや滑剤、着色顔料、帯電防止剤等を用いても良い。バック層15は可逆性感熱記録シートの記録層13面側の収縮を抑えるために設けるもので、表面層側とバック層側の収縮のバランスが取れるように塗布することが望ましく、表面層とバック層の塗布後にシートが平らになるように、これらが塗布されていることが望ましい。さらに空気層など、放熱防止のための断熱層を設けることが好ましい。
【0065】
上記非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートを用いて発色画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加熱したのち、急冷すればよい。具体的には、例えばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると感熱記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。
【0066】
一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラ、熱スタンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。
【0067】
また、感熱記録層13を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。
【0068】
上記非接触ICタグ付き可逆性感熱記録シートは、可逆性感熱記録部と情報記憶部の両方を設けることにより、情報記憶部に記憶された情報を可逆性感熱記録部に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。その際用いられる記憶部としては、非接触IC方式のものが好ましい。磁気記録方式には磁気によるエラー、低メモリ、改ざん等の問題があり、接触式IC方式には接点劣化の問題があり、光メモリには可撓性の問題があるため、非接触IC方式が好ましく用いられる。
【0069】
そこで、本発明の可逆性感熱記録媒体は、ロール状やシート状に加工され、可逆性感熱記録フィルムとして、非接触IC回路部を貼り合せ加工されるか、またはエッチングなどの2次加工が施される。加工されたものは、入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理、文書管理用途など、A4サイズなどの一般文書サイズに加工されたシート状のものとして広く用いることができる。
【0070】
[第3の実施形態]
図5は無線情報記録媒体110の断面図であり、この無線情報記録媒体は図面中、左向きに搬送され、リライタブル記録装置により無線情報記録媒体に対する可視像の消去・記録(消去・印字)行われる。この無線情報記録媒体は請求項3に係るもので、以下のように構成される。
【0071】
本実施形態に係る無線情報記録媒体は、図3に示す第1の実施形態に係る無線情報記録媒体を改変したものである。すなわち、図3の無線情報記録媒体において、情報記録部200およびクッション材2の全体を自己接着性の保護シート7で被覆するとともに、この保護シート7では、シート外周端面、クッション材2の外周端面の近傍部位および、支持体3による段差の近傍部位に、当該保護シートの段差を形成して階段状としたものである。より具体的に説明すると、保護シート7では、(1)媒体搬送方向前方側の外周端面Gaが可逆性感熱記録媒体1の外周端面G1よりも後方側にあるように位置させて、この外周端面Gaにより可逆性感熱記録媒体1上に段差D4を形成し、(2)上記した外周端面G2の近傍部位に(外周面Gbによる)段差D5および、上記外周端面G3の近傍部位に(外周面Gcによる)段差D6を形成する。
【0072】
[第4の実施形態]
図6は無線情報記録媒体110の断面図であり、この無線情報記録媒体は図面中、左向きに搬送され、リライタブル記録装置により無線情報記録媒体に対する可視像の消去・記録(消去・印字)行われるものである。この無線情報記録媒体は請求項4に係るもので、以下のように構成される。
【0073】
本実施形態に係る無線情報記録媒体は、図4に示す第2の実施形態に係る無線情報記録媒体を改変したものである。すなわち、図4の無線情報記録媒体において、クッション材2の全体を、接着機能または粘着機能のある保護シート7で被覆し、この保護シート7を、媒体搬送方向前方側の外周端面Gaが可逆性感熱記録媒体1の外周端面G1よりも媒体搬送方向後方側にあるように位置させて、外周端面Gaにより可逆性感熱記録媒体1上に段差D4を形成する。さらにこの保護シート7では、外周端面G2の近傍部位に(外周面Gdによる)段差D7および、クッション材2の外周面G2−1の近傍部位に(外周面Geによる)段差D8を形成する。
【0074】
[第5の実施形態]
図7は無線情報記録媒体110の断面図である。この無線情報記録媒体は請求項5に係るもので、図5の改変例である。クッション材2として布(織物)または不織布を採用するとともに、このクッション材2の上下両面に接着剤層8(または粘着剤層)を設け、クッション材2の上面を情報記録部200および保護シート7に接着し、クッション材2の下面を可逆性感熱記録媒体1に接着したものである。また、上記保護シート7は、自己接着性により可逆性感熱記録媒体1に接着されている。その他の構成は図5のものと同様である。
【0075】
[第6の実施形態]
図8は無線情報記録媒体110の断面図である。この無線情報記録媒体は請求項5に係るもので、図6の改変例であり、クッション材2として布(織物)または不織布を採用するとともに、このクッション材2の上下両面に接着層8(または粘着層)を設け、クッション材2の上面を保護シート7に接着し、クッション材2の下面を可逆性感熱記録媒体1および情報記録部200に接着したものである。また上記保護シート7は、自己接着性により可逆性感熱記録媒体1に接着させる。
【0076】
[第7の実施形態]〜[第10の実施形態]
図9、図10、図11、図12はそれぞれ第7、第8、第9、第10の実施形態に係る無線情報記録媒体110の要部断面図であり、これらの無線情報記録媒体は、図面左向きに搬送されてリライタブル記録装置により、無線情報記録媒体に対する可視像の消去・記録(消去・印字)行われるものである。
これらの無線情報記録媒体では、クッション材2として上下2枚重ねの布(織物)または不織布を設けた点で共通している。そして、図9〜図11の無線情報記録媒体は、情報記録部200の下面側を可逆性感熱記録媒体1に接着し、上面側に2枚重ねのクッション材2A,2Bを設け、さらにこれらのクッション材を保護シート7で被覆したものである。ただし、これら図9〜図11では、クッション材の前方側部位の形状が異なっており、例えば図9のものでは、下側のクッション材2Aは断面が階段状になっていないのに対し、上側のクッション材2Bでは、3段ステップの階段状となっている。
また、図12の無線情報記録媒体は、2枚重ねのクッション材2A,2Bを可逆性感熱記録媒体1に接着し、これらクッション材の上側に情報記録部200を設け、さらにこの情報記録部200およびクッション材2A,2Bを保護シート7で被覆したものである。
【0077】
[第11の実施形態]〜[第14の実施形態]
図13、図14、図15、図16はそれぞれ第11、第12、第13、第14の実施形態に係る無線情報記録媒体110の要部断面図であり、これらの無線情報記録媒体は、図面左向きに搬送されてリライタブル記録装置により、無線情報記録媒体に対する可視像の消去・記録(消去・印字)行われるものである。
上記した各実施形態1〜10に係る無線情報記録媒体では、クッション材2、(情報記録部200の)支持体3、保護シート7のそれぞれ上記段差面を可逆性感熱記録媒体1の表面に対して垂直またはほぼ垂直に形成したが、図11〜図14の無線情報記録媒体では、クッション材2、支持体3、保護シート7のそれぞれにより形成される段差面のうち少なくとも一つを、この無線情報記録媒体の搬送方向前方側から後方側に上り勾配の傾斜面としたものである。したがって、リライタブル記録装置の例えば消去ロールはこの傾斜面上を、転動しながら上昇することになる。また例えば図13では、クッション材2および支持体3の段差面が上り勾配の傾斜面となっており、図16ではクッション材2、支持体3、保護シート7のすべてについて段差面が上り勾配の傾斜面として形成されている。
【0078】
[第15の実施形態]
図19は本実施形態に係る無線情報記録媒体110の要部断面図であり、この無線情報記録媒体は、可逆性感熱記録媒体1上に接着層8(または粘着層)、クッション材2、接着層8、情報記録部200、接着層8、保護シート7の順に積層した構造となっている。また、この無線情報記録媒体では、クッション材2、情報記録部200(支持体3)、接着層8、保護シート7が、リライタブル記録装置に対するこの無線情報記録媒体の搬送方向前方部側に、該前方側から後方側に向かって上りの階段を形成するように、かつ、これら4つの部材がそれぞれ個別にステップを形成するように配置されている(図3参照)。
【0079】
本発明に係る無線情報記録媒体では、例えば図5や図7に示すように、クッション材2、情報記録部200(支持体3)および保護シート7が、リライタブル記録装置に対する媒体搬送方向後方部において、媒体搬送方向前方側から後方側に向かって下りの階段を形成した構造とすることもできる。こうすることにより、リライタブル記録装置の熱ローラ等から無線情報記録媒体の後方部位にかかる押圧力を分散させることができるので、この無線情報記録媒体の使用寿命が更に長くなるなどの効果がある。
【0080】
[第16の実施形態]
本発明に係る無線情報記録媒体では、可逆性感熱記録媒体1上に段差を形成する部材(クッション材2、情報記録部200(支持体3)等)は、その部材の外周全体にわたって、かつその表面方向中心部から外周部に向かって下りの階段を形成するように上記段差を備えていることが極めて好ましい。このような構造の無線情報記録媒体としては、平面形状が例えば図20に示されるものが挙げられる。この場合においては上記段差を、各部材の表面方向中心部から外周部に向かって下り勾配の傾斜面とすることが更に好ましい。
【0081】
なお本発明では、図4および図5において一点鎖線で示したように、可逆性感熱記録媒体1上に、単一の上り勾配の傾斜面による段差を形成することもできる。このような無線情報記録媒体では、リライタブル記録装置の例えば消去ロールが、この単一の傾斜面を転動上昇するから、情報記録部200にかかる荷重を高度に均等化することができる。
【0082】
つぎに、上記各実施形態について、さらに具体的に説明する。
(1)例えば図3の無線情報記録媒体では、情報記録部の厚み(支持体3およびアンテナ回路4の合計厚み)、およびクッション材2の厚みは例えば5〜450μmに設定し、これらの厚みを上記段差の高さとすることが好ましい。
(2)例えば図5、図6の無線情報記録媒体では、情報記録部200の信頼性を確保するために、保護シート7も厚みも5〜450μmとして、すべての段差(D1〜D8)の高さを5〜450μmとすることが好ましい。
(3)接着層8(粘着層)の厚みは通常5〜100μmとする。
(4)クッション材2を薄くても良いようにするには、図7、図8のように粘着剤や接着剤を塗布した厚み50〜300μmのスフ材や不織布を1枚または、2枚重ねで使用することで、十分な柔軟性が得られ、所期のクッション性を確保することができる。
(5)情報記録素子5の割れや消去印字不良の影響が、リライタブル記録装置(消去印字装置)のプラテンの条件で左右されるため、クッション材の厚みが350μm以上になるときには、厚み5μm以上で、350μmより十分薄い複数のクッション材を重ねるとともに、これらの外周端面を研磨装置で加工するなどして、段差面を緩やかな勾配の傾斜面とすることが好ましい。また、情報記録部200の厚み(支持体3およびアンテナ回路4の合計厚み)、クッション材2の厚みがそれぞれ5〜1000μmである場合には、同様にこれらの外周端面を研磨加工して緩やかな勾配の傾斜面とすることが好ましい。さらに、これらの傾斜段差面を無線情報記録媒体の前方側および後方側(これら前方側、後方側の意味は既述のとおりである。)に形成する場合には、無線情報記録媒体を構成する各部材の可逆性感熱記録シート1への貼り付け位置の自由度が向上するだけでなく、可逆性感熱記録シート1に対する画像の消去・印字の精度および、無線情報記録媒体の使用寿命が更に向上する。
(6)情報記録部200を可逆性感熱記録シート1に貼り付ける際の、ICタグラベルと支持体3を貼り付ける位置は特には限定されないが、例えば図3のように、可逆性感熱記録シート1の前方側(無線情報記録媒体の搬送方向での前方側)に貼り付けることが好ましく、これによれば、無線情報記録媒体の前方側に段差による多段ステップの階段を容易に形成することができる。
【0083】
(7)図21および図22はそれぞれ、本発明に係る無線情報記録媒体の可逆性感熱記録媒体について可視画像の消去・印字を行うリライタブル記録装置の模式的説明図である。図21では、無線情報記録媒体(図略)が太い矢印の向きに搬送され、セラミックバー(消去バー)21、搬送ローラ22、サーマルヘッド23およびプラテンロール24を通って系外に排出される。この場合、消去バー21による消去部で可視画像の消去が行われ、サーマルヘッド23とプラテンロール24の組み合わせで構成される印字部で可視画像の記録が行われる。
【0084】
また、図22のリライタブル記録装置では、無線情報記録媒体(図略)が太い矢印の向きに搬送され、消去部としての熱ロール31、サーマルヘッド32とプラテンロール33の組み合わせで構成される印字部および、搬送ローラ34を通って系外に排出される。
上記無線情報記録媒体の搬送速度は、例えば10〜100mm/secに設定されるが、可逆性感熱記録シート1の厚みに応じて、情報記録部200により印字部および、消去部における無線情報記録媒体の搬送速度が調節されるため、的確かつ省エネ的な加熱処理により正確な消去・印字工程が進むように、無線情報記録媒体およびこのリライタブル記録装置が構成されている。また、リライタブル記録装置が小型の場合には、印字と消去が連続しているため、加熱処理時の加熱エネルギーを調整することで、正確な消去・印字ができるように構成されている。
【0085】
例えば図3の無線情報記録媒体において、クッション材2のはみ出し幅dが2mm未満であると、図22のように無線情報記録媒体が搬送ローラ34で屈曲力を受ける屈曲タイプのリライタブル記録装置では、情報記録部などが「めくれる」現象が生じることがある。また、無線情報記録媒体を構成する、可逆性感熱記録媒体上の各層のはみ出し幅(階段の各ステップの奥行きに相当する)が2mm未満の場合には、図21、図22の記録装置では、印字が薄くなる印字不良が発生することがある。したがって、これら各層のはみ出し幅を2mm以上とすることが好ましい。
【実施例】
【0086】
実施例1
図3に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
可逆性感熱記録シート1としてリコー製530BF(A4サイズ。以下同じ)を用いた。クッション材2としてはウレタンフォーム基材に、アクリル系粘着剤をコーティングした両面テープ[ムサシ化成工業(株)製のプロタックPTR−5060(総厚み400μm)]を貼ったものを、情報記録部200としてフィルム厚30μmのオムロン製ICタグIcodeSLIを、それぞれ用いた。上記情報記録部200を構成する支持体3は、30μm厚のフィルムである。
【0087】
可逆性感熱記録シート1上にクッション材2を貼着し、このクッション材上に情報記録部200を貼着して無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録紙シート)とした。この場合、上記支持体3がこの無線情報記録媒体の最上層となるようにした。
この無線情報記録媒体を用いて、下記3タイプのプリンタA〜Cで50回、消去・印字(A4シートに縦罫線3本を印字。以下同じ)を行った際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。またこの場合、わずかではあるが「粘着汚れ」(接着剤、粘着剤のはみ出し等に起因する汚れ)および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
(1)プリンタA:図21に示すタイプ。パナソニックコミュニケーションズ製のシートプリンタ
(2)プリンタB:図21に示すタイプ。三和ニューテック製プリンタ「プルテール」
(3)プリンタC:図22に示すタイプ。東北リコー製の試作機
【0088】
実施例2
図4に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
可逆性感熱記録シート1、クッション材2、情報記録部200として、それぞれ実施例1と同一のものを用いた。可逆性感熱記録シート1上に情報記録部200を貼着した。この場合、支持体3を上記両面テープで可逆性感熱記録シート1に粘着させた。この情報記録部をクッション材2で被覆するとともに、このクッション材を可逆性感熱記録シート1に、上記両面テープで貼着して無線情報記録媒体とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した。その結果、「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
【0089】
実施例3
図5に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
実施例1の無線情報記録媒体のクッション材2および情報記録部200を保護シート7で被覆するとともに、この保護シート7をこれらクッション材2、情報記録部200の支持体3および可逆性感熱記録シート1に貼着して無線情報記録媒体とした。上記保護シートとして、上質タック紙[リンテック(株)製スーパーステック55PZ2(総厚み90μm)]を用いた。この上質タック紙は、このまま相手の材料に被せて押圧することにより貼着することができるものである。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
【0090】
実施例4
図6に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
実施例2の無線情報記録媒体のクッション材2を、実施例3で使用したものと同一の保護シート7で被覆するとともに、この保護シート7をこれらクッション材2および可逆性感熱記録シート1に貼着して無線情報記録媒体とした。この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
【0091】
実施例5
図7に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
可逆性感熱記録シート1および情報記録部200として実施例1と同じものを、保護シート7として実施例3と同一のものを用いた。また、クッション材2として、スフ布基材にゴム系の粘着剤をコーティングした両面テープ[菊水テープ(株)キクダブルテープNo.183(総厚み260μm)]を使用した。
可逆性感熱記録シート1上にクッション材2を貼着し、このクッション材上に情報記録部200を貼着した。さらに、これらクッション材2および情報記録部200を保護シート7で被覆するとともに、この保護シートを情報記録部200の支持体3、クッション材2および可逆性感熱記録シート1に貼着して無線情報記録媒体とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
【0092】
実施例6
図8に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
可逆性感熱記録シート1、両面テープ(クッション材2)、および情報記録部200として実施例5と同じものを、保護シート7として実施例3と同一のものを用いた。可逆性感熱記録シート1上に情報記録部200を上記両面テープで貼着した。この場合、支持体3を上記両面テープで可逆性感熱記録シート1に粘着させた。両面テープを保護シート7で被覆するとともに、この保護シート7をこれらクッション材2および可逆性感熱記録シート1に貼着して無線情報記録媒体とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
【0093】
実施例7
要部構造が図12で示される無線情報記録媒体を作製した。この実施例7は、図7の無線情報記録媒体(実施例5)において、2層のクッション材を積層して設けたものに相当する。
可逆性感熱記録シート1および情報記録部200として実施例1と同じものを、保護シートとして実施例3と同一のものを用いた。また、クッション材2としては、不織布基材にアクリル系の粘着剤をコーティングした両面テープ[東洋インキ製造(株)製のダブルフェースDF1800(総厚み208μm)]を使用した。
可逆性感熱記録シート1上に上記クッション材2を2枚重ねで貼着し、このクッション材上に情報記録部200を貼着した。さらに、これらクッション材2および情報記録部200を保護シート7で被覆するとともに、この保護シート7を情報記録部200の支持体3、クッション材2および可逆性感熱記録シート1に貼着して無線情報記録媒体とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができた。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」および、情報記録部200の「はがれ」が生じていた。
【0094】
実施例8
積層構造が図8に示すように「保護シート/クッション材/情報記録部/可逆性感熱記録シート」となっており、かつ各層の外周面が図16で示されるように傾斜面となっている無線情報記録媒体を作製した。可逆性感熱記録シート1および情報記録部200として実施例1と同じものを、保護シート7として実施例3と同一のものを用いた。また、クッション材2としては、実施例5と同一のものを使用した。
【0095】
可逆性感熱記録シート1上に情報記録部200を貼着し、ついでこの情報記録部の支持体3の外周部をサンドペーパ処理して段差を傾斜面とした。この情報記録部200上に上記クッション材2を貼着して被覆し、ついでこのクッション材2の外周部をサンドペーパ処理して段差を傾斜面とした。さらに、これらクッション材2を保護シート7で被覆するとともに、この保護シートをクッション材2および可逆性感熱記録シート1に貼着し、ついでこの保護シート7の外周部をサンドペーパ処理して段差を傾斜面とすることにより無線情報記録媒体とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができ、情報記録部200の「はがれ」も認められなかった。しかし、わずかではあるが「粘着汚れ」が生じていた。
【0096】
実施例9
図7に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
可逆性感熱記録シート1および保護シート7として実施例1と同一のものを用いた。情報記録部200としては、厚み100μm(支持体3の厚みが100μm)のDNP製ICタグIcodeSLIを用いた。また、クッション材2としては、不織布基材にアクリル系の粘着剤をコーティングした両面テープ[東洋インキ製造(株)製ダブルフェースR202M(総厚み72μm)を使用した。
可逆性感熱記録シート1上にクッション材2を貼着し、このクッション材上に情報記録部200を貼着した。さらに、これらクッション材2および情報記録部200を保護シートで被覆するとともに、この保護シートを情報記録部200の支持体3、クッション材2および可逆性感熱記録シート1に貼着して無線情報記録媒体とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができ、また、情報記録部200の「はがれ」、「粘着汚れ」のいずれも認められなかった。なお、情報記録部200の支持体3の厚みが100μmと比較的厚いため、印字不良が少し見られたが、実用上問題にならい程度であった。
【0097】
実施例10
図7に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
実施例9において情報記録部200として、上記DNP製ICタグIcodeSLIに替えて、フィルム厚30μmのオムロン製ICタグIcodeSLIを貼ったものを使用し、クッション材2として、上記ダブルフェースR202Mに替えて、ポリエステル基材にアクリル系の粘着剤をコーティングした両面テープ[住友スリーエム(株)製のY−9479(総厚み85μm)]を使用した。それ以外は実施例9と同一の条件・方法で無線情報記録媒体を作製した。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同じ3タイプのプリンタを使用し、実施例1と同じ条件で印字した際の「印字かすれ」はなく、全面にわたって良好な印字ができ、また、情報記録部200の「はがれ」、「粘着汚れ」のいずれも認められなかった。
【0098】
上記実施例1〜10に係る無線情報記録媒体の構成を下記表1、表2にまとめた。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
比較例1
図1に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。
可逆性感熱記録シート1、情報記録部200および保護シート7として、実施例3と同一のものを使用した。ただし、クッション材は使用せず、またこの無線情報記録媒体の外周端面の形状は、実施例3と異なるものとした。すなわち、実施例3ではクッション材2、情報記録部200の支持体3のそれぞれの外周端面で段差を形成するとともに、保護シート7では図5に示すように複数の段差を形成したのに対し、この比較例1では、段差は全く形成せず、図1(c)に示すように、情報記録部200および保護シート7の段差(外周端面)を面一で、かつ可逆性感熱記録シート1の表面に垂直な面とした。
この無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同一の3タイプのプリンタで印字試験を行ったところ、いずれのプリンタに関しても、「印字評価」では印字当初から「印字かすれ」があり、多数回の消去・印字の繰り返し後には「粘着汚れ」も認められた。また、「剥がれ評価」に関しては、東北リコー製プリンタを使用したときに、上記段差面の部位に「はがれ」が生じていた。
【0102】
比較例2
図2に示す構造の無線情報記録媒体を作製した。この無線情報記録媒体と、図1に示す無線情報記録媒体との構造上の相違点は、前者では情報記録部200の支持体3が保護シート7に接しているのに対し、後者では情報記録部200の支持体3が可逆性感熱記録シート1に接していることである。その他の構造は両者同一である。
この図2の無線情報記録媒体を用いて、実施例1と同一の3タイプのプリンタで印字試験を行ったところ、いずれのプリンタに関しても、「印字評価」では印字当初から「印字かすれ」があり、多数回の消去・印字の繰り返し後には「粘着汚れ」も認められた。また、「剥がれ評価」では、東北リコー製プリンタでは、上記段差面の部位に「はがれ」が生じていた。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の無線情報記録媒体(情報記録部付き可逆性感熱記録媒体)は、例えば入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理、文書管理用途など、A4サイズなどの一般文書サイズに加工されたシート状のものに、広く応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】従来の無線情報記録媒体の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】従来の無線情報記録媒体の別例を示すもので、(a)は図1(b)に対応する断面図、(b)は図1(c)に対応する断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線情報記録媒体の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る無線情報記録媒体の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る無線情報記録媒体の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る無線情報記録媒体の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る無線情報記録媒体の断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態に係る無線情報記録媒体の断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図10】本発明の第8の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図11】本発明の第9の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図12】本発明の第10の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図13】本発明の第11の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図14】本発明の第12の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図15】本発明の第13の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図16】本発明の第14の実施形態に係る無線情報記録媒体の要部断面図である。
【図17】本発明の無線情報記録媒体を構成する可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録シート)の一例を示す模式的断面図である。
【図18】本発明の無線情報記録媒体を構成する情報記録部の一例を示す模式的平面図である。
【図19】本発明の第15の実施形態に係る無線情報記録媒体の構造を示す模式的断面図である。
【図20】本発明の第16の実施形態に係る無線情報記録媒体の構造を示す模式的断平面図である。
【図21】本発明に係る無線情報記録媒体の可逆性感熱記録媒体について可視画像の消去・印字を行うための、リライタブル記録装置の一例を示す模式的説明図である。
【図22】リライタブル記録装置の別例を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
【0105】
1 可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録シート)
2 クッション材
3 支持体
4 アンテナ回路
5 情報記録素子
7 保護シート
8 接着層(または粘着層)
11 保護層
12 中間層
13 可逆性感熱記録層
14 支持層
15 バック層
21 セラミックバー(消去バー)
22 搬送ローラ
23 サーマルヘッド
24 プラテンロール
31 熱ロール(消去ロール)
32 サーマルヘッド
33 プラテンロール
34 搬送ローラ
100 無線情報記録媒体
101 無線情報記録媒体
110 無線情報記録媒体
200 情報記録部
d はみ出し幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の表面に情報記録素子と該情報記録素子に対する送受信用のアンテナ回路とを設けた情報記録部を、クッション材を介して可逆性感熱記録媒体上に設けてなる無線情報記録媒体であって、
前記可逆性感熱記録媒体上にクッション材と支持体とを、これら3つの部材がリライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向前方部側に、該前方側から後方側に向かって上りの階段を形成するように、かつ、これら3つの部材がそれぞれ個別にステップを形成するように配置したことを特徴とする無線情報記録媒体。
【請求項2】
支持体の表面に情報記録素子と該情報記録素子に対する送受信用のアンテナ回路とを設けた情報記録部を可逆性感熱記録媒体上に設けるとともに、前記情報記録部の全体をクッション材で被覆してなる無線情報記録媒体であって、
前記可逆性感熱記録媒体上にクッション材を、これらがリライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向前方側に、該前方側から後方側に向かって上りの階段を形成するように配置し、
前記クッション材では、複数ステップの上り階段を形成するとともに、これらステップの一つを、支持体の外周端面の近傍部位に設けた段差により形成したことを特徴とする無線情報記録媒体。
【請求項3】
前記情報記録部およびクッション材の全体を保護シートで被覆するとともに、該保護シートでは、前記上り階段を形成するクッション材の段差の近傍部位および、支持体による段差の近傍部位に、当該保護シートの段差を形成して上り階段状としたことを特徴とする請求項1に記載の無線情報記録媒体。
【請求項4】
前記クッション材の全体を保護シートで被覆するとともに、該保護シートでは、前記クッション材で形成される上り階段の各段差の近傍部位に当該保護シートの段差を形成して上り階段状としたことを特徴とする請求項2に記載の無線情報記録媒体。
【請求項5】
前記クッション材は布または不織布であり、その上下面が接着層または粘着層を介して相手部材に固着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無線情報記録媒体。
【請求項6】
前記クッション材を2枚重ねとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線情報記録媒体。
【請求項7】
前記クッション材、支持体、保護シートのそれぞれにより形成される段差のうち少なくとも一つを、当該無線情報記録媒体の搬送方向前方側から後方側に上り勾配の傾斜面としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無線情報記録媒体。
【請求項8】
前記可逆性感熱記録媒体1上に前記段差面を形成する部材では、リライタブル記録装置に対する当該無線情報記録媒体の搬送方向後方部が、前記搬送方向前方側から後方側に向かって下りの階段を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無線情報記録媒体。
【請求項9】
前記可逆性感熱記録媒体上に前記段差を形成する部材は、該部材の外周全体にわたって、表面方向中心部から外周部に向かって下りの階段を形成するように前記段差面を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の無線情報記録媒体。
【請求項10】
前記情報記録部をリライタブル記録装置における記録部、消去部の全幅で設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の無線情報記録媒体。
【請求項11】
前記階段の各ステップ(ただし、最上段のステップを除く)の奥行きが2mm以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の無線情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−114022(P2006−114022A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264049(P2005−264049)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(392004819)株式会社ビーエフ (13)
【Fターム(参考)】