説明

無線機器及びネットワークシステム

【課題】ネットワークのロバスト性とデータ転送の信頼性の向上を図ること。
【解決手段】宛先ノードが第66無線デバイスD66であった場合、第2無線デバイスD2は、第1近隣ノード情報の親子ノード情報に基づいて、近隣ノードには宛先ノードがないと判定して、親ノードである第1無線デバイスD1にデータ転送する。第1無線デバイスD1は、通信可能範囲AR1内で通信可能であり、第0無線デバイスD0、第2無線デバイスD2、第7無線デバイスD7、第8無線デバイスD8及び第17無線デバイスD17のネットワーク情報を記憶している。第1無線デバイスD1は、第7無線デバイスD7の近隣に宛先ノードである第66無線デバイスD66があると判定して、第7無線デバイスD7にデータ転送する。そして、第7無線デバイスD7は、近隣ノードである第66無線デバイスD66が宛先ノードであると判定して、当該デバイスにデータ転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層化された複数の無線機器とネットワーク接続された無線機器と、当該無線機器を複数有するネットワークシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線ネットワークの普及に伴い、当該ネットワークの低コスト・低消費電力化が望まれている。この低コスト・省電力化を実現するネットワーク形態として、マルチホップ無線ネットワーク(以下、「マルチホップネットワーク」と略す。)が知られている。マルチホップネットワークは、無線通信機能を有する無線機器(以下、適宜「無線デバイス」という。)のみによって多段の中継・リレー方式で無線通信を行うことにより、自律分散的に形成するネットワーク形態である。
【0003】
マルチホップネットワークの1つとして、ツリー(Tree)型ネットワークがある。ツリー型ネットワークは、ネットワーク形成時に複数の無線デバイスを階層化して多段接続することで、デバイス間に親子関係を構築する。
【0004】
図10は、第1〜第8無線デバイスD1〜D8でツリー型ネットワークを形成したネットワークシステムS100の概略図である。ここで、第8無線デバイスD8から第1無線デバイスD1へデータ転送を行う場合の転送方法は、次にようになる。
【0005】
先ず、第8無線デバイスD8は、下層の無線デバイスを持たないので、上層の第5無線デバイスD5へデータ転送する。第5無線デバイスD5は、自機の下層に第1無線デバイスD1が存在しないことを確認し、上層の第2無線デバイスD2へデータ転送を行う。第2無線デバイスD2も同様に、下層に第1無線デバイスD1が存在しないことを確認し、上層の第1無線デバイスD1へデータ転送する。第1無線デバイスD1は、転送されたデータが自機宛であることを確認し、データ受信処理を行う。
【0006】
このようにネットワーク構成を階層化するツリー型ネットワークは、その階層を深めることで、無線デバイスの数を増やすことができるため、広域ネットワークの形成に有用である。このツリー型ネットワークの一例としては、自ノード(無線デバイス)のツリー上の親ノードが通信をした時刻を基準に、自ノードのIDの数値に基づいて、自ノードがデータ送信のためのキャリアセンスを行うタイムスロットを決定することで、通信の衝突を回避するものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−94529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、例えば、図10の第2無線デバイスD2にハードウェア上の故障等の障害が発生したり、第2無線デバイスD2と第5無線デバイスD5との間に電波障害や障害物が発生したりすると、第5、第7及び第8無線デバイスD5,D7,D8は、第2無線デバイスD2だけではなく第1無線デバイスD1や第3無線デバイスD3等の他のデバイスとも通信できなくなる。
【0008】
このように、ツリー型ネットワークは、上層の無線デバイスに障害が発生したり、当該無線デバイスとの通信が遮断されて通信不能状態に陥ると、通信不能となった無線デバイスの下層の全デバイスがネットワーク全体から切り離されてしまう。
【0009】
特に、無線デバイスを固定的に設置した場合、ネットワーク形成時に通信経路は固定されるが、通信環境の変化があった場合に、その通信品質が不安定になりやすいため、通信経路上の障害に対して脆弱であり、その復旧は困難であった。
【0010】
また、所謂バケツリレー方式のマルチホップネットワークにおいて、データ転送時に経由する無線デバイスの数、即ちホップ数は、データ転送の信頼性向上のためにも少ないほうが望ましい。しかし、ツリー型ネットワークの階層構造は、そのネットワークの形成時に確立されるため、例えば、第8無線デバイスD8が第6無線デバイスD6を宛先としてデータ転送する場合のように、大きく迂回した通信経路でデータ転送しなければならない。このため、宛先となる無線デバイスを探索する範囲が広がり、ホップ数が増加してしまいデータ転送の信頼性が低下してしまった。
【0011】
以上の点から、ネットワークのロバスト性(頑丈さ)と信頼性を確保することが難しくなり、広域ネットワークに有効なツリー型ネットワークであっても、例えば、プラント設計やビル内ネットワーク等の人や機械等の移動により通信環境が動的に変動する場合、その採用が難しくなり、適用対象を狭めてしまった。
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、ネットワークのロバスト性とデータ転送の信頼性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
階層化された複数の無線機器とネットワーク接続された無線機器において、
自機の通信可能な他機のネットワーク情報を予め取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたネットワーク情報に基づいて、前記通信可能な他機がデータ送信の宛先であるか否かを判定する宛先判定手段と、
前記宛先判定手段によりデータ送信の宛先であると判定された場合、前記通信可能な他機にデータ送信し、データ送信の宛先ではないと判定された場合、前記ネットワーク接続された上層又は下層の他機にデータ送信する送信制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記ネットワーク接続された上層及び下層それぞれの他機へのデータ送信が可能であるか否かを判定する送信可否判定手段を更に備え、
前記送信制御手段は、
前記上層又は下層の他機にデータ送信するにあたり、前記送信可否判定手段により送信不可であると判定された場合は、前記ネットワーク情報に基づいて前記通信可能な他機にデータ送信することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記送信制御手段は、
前記通信可能な他機が複数であった場合は、当該他機の上層にネットワーク接続された無線機器が、自機の上層にネットワーク接続された無線機器と異なる他機を選択してデータ送信することを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記送信制御手段は、
前記選択された他機が複数であった場合は、当該他機の中から前記ネットワーク接続の階層の段数が最小の他機を更に選択してデータ送信することを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記送信制御手段は、
前記選択された他機が複数であった場合は、当該他機の中から通信感度が最良の他機を更に選択してデータ送信することを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明において、
前記ネットワーク情報は、
前記通信可能な他機とネットワーク接続された上層及び下層の無線機器のネットワークアドレスと、当該他機の前記ネットワーク内における階層の段数と、当該他機の通信可能な無線機器のネットワークアドレスとの少なくとも何れかを含むことを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の発明において、
前記ネットワーク接続は、ツリー型ネットワークによる接続であることを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載の発明は、
階層化された複数の無線機器がネットワーク接続されたネットワークシステムにおいて、
各無線機器は、
自機の通信可能な他機のネットワーク情報を予め取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたネットワーク情報に基づいて、前記通信可能な他機がデータ送信の宛先であるか否かを判定する宛先判定手段と、
前記宛先判定手段によりデータ送信の宛先であると判定された場合、前記通信可能な他機にデータ送信し、データ送信の宛先ではないと判定された場合、前記ネットワーク接続された上層又は下層の他機にデータ送信する送信制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1及び8に記載の発明によれば、予め取得された通信可能な他機のネットワーク情報に基づいて、当該他機がデータ送信の宛先であると判定した場合は、その他機にデータ送信を行い、データ送信の宛先ではないと判定した場合は、上層又は下層にネットワーク接続された他機にデータ送信する。これにより、データ送信の宛先となる他機が通信可能な場合は、ネットワーク接続された他機を経由することなくその宛先に対してデータ送信することができる。このため、データ転送時のホップ数が少ない効率的な通信経路を選択することができ、データ転送の信頼性を向上させることが可能となる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、上層又は下層の他機にデータ送信する際に、送信不可であると判定した場合は、通信可能な他機にデータ送信する。これにより、例えば、ネットワーク接続された他機と通信不能状態に陥る等して、ネットワークの階層構造を利用したデータ転送ができない場合は、通信可能な他機にデータ送信することで、通信経路を冗長化することができるこのため、通信障害によりネットワーク全体が分断されてしまうことを防止でき、ネットワークのロバスト性とデータ転送の信頼性との向上を図ることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、通信可能な複数の他機が存在する場合は、上層にネットワーク接続された無線機器が、自機の上層にネットワーク接続された無線機器とは異なる他機を選択する。このため、自機の上層の無線機器とネットワーク接続されていない無線機器にデータ送信することことで、宛先の無線機器を探索する範囲を変えて、宛先までの通信経路を効率的に選択できるようになる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、選択された他機が複数であった場合は、当該他機の中からネットワーク接続の階層の段数が最小の他機を更に選択するため、階層構造中の上層にデータ送信することができる。階層化されたネットワークでは、上層から下層に対して通信経路を選択するほうが宛先となる無線機器の探索が容易になる。このため、宛先までの通信経路を効率的に選択できるようになる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、選択された他機が複数であった場合は、当該他機の中から通信感度が最良の他機を更に選択するため、データ送信をより確実に行うことができるようになる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、ネットワーク情報は、通信可能な他機とネットワーク接続された上層及び下層の無線機器のネットワークアドレスと、当該他機の前記ネットワーク内における階層の段数と、当該他機の通信可能な無線機器のネットワークアドレスとの少なくとも何れかを含むため、これらのネットワーク情報に基づいて適切に通信経路を選択することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、ツリー型ネットワークでネットワーク接続するため、ロバスト性及びデータ転送の信頼性の高い広域ネットワークを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔実施形態〕
以下、本発明の無線機器を図1に示す無線デバイスDに適用した場合の実施形態について図1〜図9を参照して詳細に説明する。尚、無線デバイスDは、無線ハブやルータ等の通信機器、ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistance)等の様々の無線通信機能を有する電子機器を総称したものをいう。
【0029】
本実施形態においては、この無線デバイスDを階層化して複数ネットワーク接続することにより、図2に示すようなネットワークシステムSを構成する。ネットワークシステムSは、第0〜第66無線デバイスD0〜D66が階層化されて接続されたツリー型のネットワークを形成する。尚、これらの無線デバイスD0〜D66は、図1に示す無線デバイスDと同一の機能構成を有するものである。
【0030】
このネットワークシステムSの最上層(ルート)は第0無線デバイスD0であり、その下層に第1無線デバイスD1、第22無線デバイスD22、第43無線デバイスD43及び第64無線デバイスD64が接続され、それらの下層には更に無線デバイスが接続されていく。
【0031】
このように階層化された各無線デバイス間の関係を親子に例え、ある無線デバイスに対して上層にネットワーク接続されている無線デバイスを「親ノード」、下層に接続されている無線デバイスを「子ノード」、更に下層の無線デバイスを「孫ノード」と称して以下の説明を行う。
【0032】
〔無線デバイスの機能構成〕
先ず、図1を用いて無線デバイスDの機能構成について説明する。図1に示すように、無線デバイスDは、制御部1と、無線通信部11と、記憶部21とを備えて構成される。
【0033】
無線通信部11は、アンテナ15の他に、復調回路及び変調回路(図示略)等を有して構成され、無線制御機能13を実現する。無線通信部11は、無線制御機能13として、アンテナ15を介して受信した電波信号を復調してデジタルデータを生成して制御部1に出力する。また、制御部1からの制御に基づいて、送信データを変調して他機に送信する。記憶部21は、RAMやフラッシュメモリ等により構成される読み書き可能なメモリ領域である。
【0034】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、無線デバイスDを統括的に制御・管理する。具体的には、CPUが、ROMに格納されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、その処理結果に従って、データ処理や他の無線デバイスとの通信を行う。
【0035】
制御部1は、無線デバイスD固有のアプリケーションプログラムを記憶し、当該プログラムに従った処理によってアプリケーション機能3を実現する。アプリケーション機能3としては、ユーザからのデータの送信要求や、他機からの転送要求等を検知して、TCP/IPの伝送方式に従ってデータ送信を行う。その際、送信データには、データ送信の宛先となる無線デバイス(以下、「宛先ノード」という。)のネットワークアドレスを含むヘッダ情報を付加する。
【0036】
また、他機から送信されてきたデータに含まれるネットワークアドレスから自機宛のデータであるか否かを判定し、自機宛のデータであった場合は、当該データの記憶や他機への応答等の処理を行う。また、他機宛のデータであった場合は、後述するデータ転送/ルーティング機能9によって適切な通信経路を選択して、近隣の通信可能な他の無線デバイス(以下、「近隣ノード」という。)、親ノード及び子ノードの何れかにデータを転送する。
【0037】
制御部1は、親子関係管理機能7及びデータ転送/ルーティング機能9を有するネットワーク機能5によって、親ノード、子ノード及び近隣ノードのネットワーク情報(ネットワークアドレスや階層情報)を取得し、これらの情報を元に適切な通信経路を選択してデータ送信する。
【0038】
具体的には、親子関係管理機能7によって、他機とのネットワークの形成時に、近隣ノードを探索し、この探索した近隣ノードの中から親ノードと子ノードとを決定してツリー型ネットワークを形成する。そして、自機の親ノード及び子ノードのネットワーク情報、近隣ノードのネットワーク情報を収集し、記憶部21に記憶して管理する。この親ノードと子ノードとの決定は、ユーザによる設定でもよいし、最適化して割り振ることとしてもよい。
【0039】
また、近隣ノードを探索する方法としては、IEEE802.15.4無線規格のScan機能を用いる方法がある。このScan機能は、通信可能な無線デバイスが能動的又は受動的に同期信号を発信する機能であり、この機能を用いて電波到達範囲内に存在する任意数の近隣ノードを探索する。尚、近隣ノードを探索する方法には、適宜公知技術を採用可能である。
【0040】
制御部1は、親子関係管理機能7によって取得したネットワーク情報は、親子ノード情報23及び第1近隣ノード情報31として記憶部21に記憶する。尚、親子ノード情報23及び第1近隣ノード情報31を取得するタイミングや頻度は、ネットワークの形成時に取得することとするが、例えば、定期的に取得して更新することとしてもよく、ネットワークシステムSの運用やコンフィグレーションに応じて適宜変更可能である。
【0041】
親子ノード情報23は、自機の親ノード、子ノード及び孫ノードのネットワーク情報25であり、IPアドレスやMACアドレスのネットワークアドレス27と、ネットワークシステムS内における階層の段数を表す階層情報29とを含む。
【0042】
第1近隣ノード情報31は、近隣ノード毎のネットワーク情報33としてのネットワークアドレス35及び階層情報37と、親子ノード情報39と、第2近隣ノード情報41とを含む。第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39は、近隣ノードの親ノード及び子ノードのネットワーク情報であり、近隣ノードと通信することによって該近隣ノード側から親子ノード情報が取得されて記憶される。第2近隣ノード情報41は、近隣ノードが通信可能な無線デバイス(第2近隣ノード)のネットワーク情報であり、当該近隣ノードと通信することによって当該近隣ノード側から第1近隣ノード情報が取得されて記憶される。
【0043】
制御部1は、これらの取得したネットワーク情報を元に適切な通信経路を選択してデータを近隣ノード、親ノード又は子ノードに転送するデータ転送/ルーティング機能9を実現する。ここで、図3のフローチャートを用いて、データ転送/ルーティング機能9の詳細を説明する。
【0044】
〔データ転送/ルーティング機能の詳細〕
先ず、制御部1は、データを中継する中継ノードとして宛先ノードへのデータを受信すると(ステップS1)、第1近隣ノード情報31のネットワークアドレス27と、受信したデータのネットワークアドレスとを比較して、近隣ノードが宛先ノードであるか否かを判定する(ステップS3)。そして、近隣ノードが宛先ノードであると判定した場合は(ステップS1;Yes)、その近隣ノードに受信したデータを転送する(ステップS5)。
【0045】
制御部1は、近隣ノードが宛先ノードではないと判定した場合(ステップS3;No)、第2近隣ノード情報41のネットワークアドレスに基づいて、近隣ノードの更なる近隣に宛先ノードが接続されているか否かを判定し(ステップS7)、接続されていると判定した場合(ステップS7;Yes)、その近隣ノードにデータ転送する(ステップS5)。
【0046】
ステップS7において、近隣ノードの更に近隣に宛先ノードが接続されていないと判定した場合(ステップS7;No)、制御部1は、親子ノード情報23のネットワークアドレス27に基づいて自機の子ノード及び孫ノードが宛先ノードであるか否かを判定する(ステップS9)。そして、宛先ノードが子ノード及び孫ノードであると判定した場合は(ステップS9;Yes)、その子ノードへデータ転送する(ステップS13)。尚、宛先ノードが孫ノードであった場合は、孫ノードとの間を中継する子ノードにデータ転送し、その子ノードが孫ノードにデータ転送することとなる。
【0047】
また、宛先ノードが子ノード及び孫ノードではないと判定した場合は(ステップS9;No)、第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39に基づいて、近隣ノードの子ノード及び孫ノードが宛先ノードであるか否かを判定する(ステップS11)。制御部1は、近隣ノードの子ノード及び孫ノードが宛先ノードであると判定した場合(ステップS11;Yes)、その近隣ノードへデータ転送する(ステップS5)。この場合は、近隣ノードを中継して、当該近隣ノードの子ノードにデータ転送することとなる。
【0048】
近隣ノードの子ノード及び孫ノードが宛先ノードではないと判定した場合は(ステップS11;No)、自機の親ノードにデータ転送可能であるか否かを判定し(ステップS15)、転送可能であれば、親ノードへデータ転送する(ステップS19)。尚、転送可能であるか否かの判定方法は、適宜公知技術を採用可能であり、例えば、親ノードと双方向の通信を行って、親ノードからの返信が有った場合に転送可能であると判定してもよいし、当該親ノードが発信する電波の信号値が所定値以上であった場合に転送可能であると判定してもよい。
【0049】
制御部1は、親ノードへのデータ転送が不能であると判定した場合(ステップS15;No)、次の選択条件を満たす無線デバイスを近隣ノードの中から選択して(ステップS17)、その選択した近隣ノードへのデータ転送を行う(ステップS5)。但し、選択条件を満たす無線デバイスが複数ある場合は、選択条件を増やしていき、データ転送に最適な無線デバイスを選択する。
【0050】
(条件1)親ノードが自機の親ノードとは異なること
先ず、制御部1は、親子ノード情報23と、第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39とを比較して、親ノードが自機の親ノードとは異なる近隣ノードを選択する。ツリー型ネットワークでは、子ノード及び孫ノードに宛先ノードがない場合は、親ノードを順次たどっていくことで、子孫となる無線デバイスの数を増やして、宛先ノードの探索範囲を広げていく。しかし、親ノードへのデータ転送ができない場合は、宛先ノードの探索範囲を広げることができないため、共通の親ノードを持たない近隣ノードへデータ転送することで、宛先ノードの探索範囲を広げることができる。
【0051】
(条件2)ネットワークシステムSにおける階層が最も低いこと
制御部1は、条件1を満たす近隣ノードが複数であった場合、第1近隣ノード情報31の階層情報37に基づいて、ネットワークシステムS内における階層の段数が最小の近隣ノードを選択する。これは、ツリー型ネットワークにおいて、階層がルートに近い無線デバイスを起点した方が、宛先ノードの探索範囲を広げることができるためである。
【0052】
(条件3)通信感度が良好であること
制御部1は、条件1及び条件2を満たす近隣ノードが複数であった場合、これらの近隣ノードとの通信感度が最も良い近隣ノードを選択する。これは、通信感度が良好な近隣ノードの方がデータデータ転送の信頼性が高いためである。尚、通信感度の判定は、例えば、近隣ノードそれぞれが発信する電波を受信して、その電波の信号値が最大である近隣ノードを通信感度が最良の近隣ノードとして判定する。
【0053】
〔ネットワークシステムの具体的な動作〕
次に、図2に示す第0無線デバイスD0〜第66無線デバイスD66を図4のように配置し、第2無線デバイスD2からデータ転送する場合のネットワークシステムSの具体的な動作を説明する。
【0054】
先ず、第2無線デバイスD2は、ネットワークの形成時に、親子ノード情報23と第1近隣ノード情報31とを取得する。図2に示したように、第2無線デバイスD2の親ノードは第1無線デバイスD1であるから、この第1無線デバイスD1のネットワーク情報を親子ノード情報23として記憶する。尚、図2において、第2無線デバイスD2の子ノードの図示は省略しているが、子ノードが接続されている場合は、その子ノードのネットワーク情報も親子ノード情報23として記憶する。
【0055】
また、図4において第2無線デバイスD2は、通信可能範囲AR2内に存在する無線デバイスと通信可能であり、近隣ノードとして第7無線デバイスD7、第17無線デバイスD17及び第33無線デバイスD33のネットワーク情報を第1近隣ノード情報31のネットワークアドレス35と階層情報37として記憶する。また、第7無線デバイスD7、第17無線デバイスD17及び第33無線デバイスD33それぞれの親子ノード及び子ノードの無線デバイスのネットワーク情報と、各デバイスが更に通信可能な無線デバイスのネットワーク情報とを、各デバイスから取得して第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39と第2近隣ノード情報41として記憶する。
【0056】
そして、第2無線デバイスD2が送信するデータの宛先が第7無線デバイスD7であった場合、第2無線デバイスD2は、第1近隣ノード情報31のネットワークアドレス35から近隣ノードの第7無線デバイスD7が宛先ノードであると判定して、図5に示すように、その第7無線デバイスD7に直接データ転送する。
【0057】
従来のようにツリー型ネットワークの階層構造を利用してデータ転送を行う場合、図2においては、第2無線デバイスD2と第7無線デバイスとの間の距離的、電波的な通信条件が良好であったとしても、第2無線デバイスD2→第1無線デバイスD1→第7無線デバイスD7といった順にデータ転送を行うため、ホップ数(経由する無線デバイスの数)は“1”となる。これに対して、本実施形態では、第1無線デバイスD1を経由せずにデータ転送を行うことができるため、効率的なデータ転送が可能となる。
【0058】
また、宛先ノードが第22無線デバイスD22であった場合、第2無線デバイスD2は、第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39に基づいて、近隣ノードの第33無線デバイスD33の親ノードとして第22無線デバイスD22が接続されていると判定して、第33無線デバイスD33にデータ転送する。
【0059】
第33無線デバイスD33は、図6に示す通信可能範囲AR33内で他機との通信可能であり、第1無線デバイスD1と第12無線デバイスD12とのネットワーク情報を取得して、第1近隣ノード情報31のネットワークアドレス35及び階層情報37として記憶する。また、第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39と第2近隣ノード情報41には、第1及び第12無線デバイスD1,D12それぞれの親ノード及び子ノードのネットワーク情報と、近隣ノードのネットワーク情報とを記憶する。
【0060】
第2無線デバイスD2からデータを受信した第33無線デバイスD33は、宛先ノードが近隣ノードとしては接続されておらず、親ノードとして接続されていると判定して、第22無線デバイスD22にデータ転送する。
【0061】
従来のように宛先ノードへのデータ転送を行う場合、図2においては、第2無線デバイスD2→第1無線デバイスD1→第0無線デバイスD0→第22無線デバイスD22といった順にデータ転送を行うため、ホップ数は“2”となるが、本実施形態ではホップ数を“1”に減らすことができる。
【0062】
また、図6において、第33無線デバイスD33が親ノードの第22無線デバイスD22にデータ転送するにあたって、障害物や電波障害等により転送不能となった場合、第33無線デバイスD33は、第22無線デバイスD22が接続されたネットワークから分断されてしまう。第33無線デバイスD33の制御部1は、近隣ノードの中から第22無線デバイスD22を親ノードとして持たない無線デバイスを選択する。ここで、第1無線デバイスD1と第12無線デバイスD12が該当するため、階層が小さい方の第1無線デバイスD1を選択してデータ転送する。そして、第1無線デバイスD1から第0無線デバイスD0、第22無線デバイスD22といった順に階層構造を利用したデータ転送が行われる。
【0063】
このように、ネットワークシステムSが通信障害等よって分断されてしまってデータ転送に行き詰まった場合は、近隣ノードの中から新たにデータ転送先を選択して転送することで、通信経路を冗長化することができる。また、階層が最も低い無線デバイスが複数ある場合は、その中から通信感度の高い無線デバイスを選択することで、確実なデータ転送を行うことができる。
【0064】
また、宛先ノードが第66無線デバイスD66であった場合、第2無線デバイスD2は、第1近隣ノード情報31の親子ノード情報39に基づいて、近隣ノードには宛先ノードがないと判定して、親ノードである第1無線デバイスD1にデータ転送する。
【0065】
第1無線デバイスD1は、図7に示す通信可能範囲AR1内で通信可能であり、第0無線デバイスD0、第2無線デバイスD2、第7無線デバイスD7、第8無線デバイスD8及び第17無線デバイスD17のネットワーク情報を第1近隣ノード情報31として記憶している。また、第7無線デバイスD7は、通信可能範囲AR7内で通信可能であり、第66無線デバイスD66のネットワーク情報を第1近隣ノード情報31として記憶している。このため、第1無線デバイスD1は、第2近隣ノード情報41として第66無線デバイスD66のネットワーク情報を記憶する。
【0066】
第1無線デバイスD1は、第2近隣ノード情報41に基づいて、第7無線デバイスD7の近隣に宛先ノードである第66無線デバイスD66があると判定して、第7無線デバイスD7にデータ転送する。そして、第7無線デバイスD7は、第1近隣ノード情報31に基づいて近隣ノードである第66無線デバイスD66が宛先ノードであると判定して、当該デバイスにデータ転送する。
【0067】
従来のように宛先ノードへのデータ転送を行う場合、図2においては、第2無線デバイスD2→第1無線デバイスD1→第0無線デバイスD0→第64無線デバイスD64→第65無線デバイスD65→第66無線デバイスD66といった順にデータ転送を行うためホップ数は“4”となるが、本実施形態ではホップ数を“2”に減らし、効率的なデータ転送が可能となる。
【0068】
以上、本実施形態によれば、通信可能な他機(近隣ノード)のネットワーク情報を予め取得しておき、宛先ノードへのデータ転送の際に、近隣ノードが当該宛先ノードであった場合には、その近隣ノードへデータ転送するため、宛先ノードが近隣に存在する場合には、ツリー型ネットワークの階層構造を順次たどっていくことなく、直接的にデータ転送することができる。このため、通信経路のホップ数を減らすことができ、データ転送の信頼性を向上させることができる。
【0069】
また、近隣ノードに宛先ノードがなかった場合は、宛先ノードが接続された親ノード及び子ノードにデータ転送するため、ツリー型ネットワークの階層構造を利用したデータ転送を行ったデータ転送が可能となる。このように、予め取得したネットワーク情報に基づいて、近隣ノードと、親ノード及び子ノードとの何れにデータ転送するかを選択するため、最適な通信経路でデータ転送することができる。
【0070】
また、親ノードへのデータ転送が不能であった場合、異なる親ノードを持つこと、階層が最も低いこと、通信感度が良好であることといった選択条件を満たす近隣ノードを選択してデータ転送を行う。このため、自機が通信不良等によりネットワークシステムSから切り離されていた場合に、宛先ノードの探索範囲を広げられる近隣ノードを適切に選択してデータ転送することができる。このため、通信障害が全ネットワーク対してクリティカルなものにならずに済むため、通信障害に対してネットワークが堅牢になり、ロバスト性を向上させることができる。
【0071】
また、例えば、無線デバイスがバッテリ駆動である場合、バッテリ切れによるデバイス障害が発生する頻度が高いと想定されるが、ネットワークシステムSのロバスト性の向上により、無線ネットワークの可用性の向上にも寄与することができる。また、無線デバイス間の通信経路が固定的になった場合は、障害物や電波障害によって通信が不安定になって可能性が高いが、本実施形態のように通信可能な他機を動的に選択して転送経路を冗長化することで、通信環境の変動による通信の不安定さを回避し、ネットワークシステムSの信頼性を向上させ、安定した通信品質を提供することが可能になる。
【0072】
また、例えば、フィールド(屋外)に無線デバイスを設置してネットワークシステムSを構築し、ある無線デバイスをメンテナンスするために一時停止するような場合があっても、無線デバイスは、宛先ノードの探索を近隣ノードから行っていくため、メンテナンスの影響を抑えることができる。また、メンテナンス後の復旧に際しても、ネットワーク情報の保持・復旧といった人為的な作業が必要なくなる。このため、ネットワークシステムSのメンテナンスを高めることができる。このようなロバスト性、信頼性及びメンテナンス性の向上は、利便性やメンテナンス費用の削減等、運用コストの改善にも繋がる。
【0073】
尚、上述した実施形態では、親ノードへのデータ転送が不可である場合に、選択条件を満たす近隣ノードを選択することとして説明したが、例えば、次のようにしてもよい。即ち、ステップS9において子ノードへデータ転送する際に、その子ノードにデータ転送可能であるか否かを判定し、転送できないと判定した場合に、上述した選択条件を満たす近隣ノードを選択することとしてもよい。
【0074】
これにより、例えば、図7において、第7無線デバイスD7から第8無線デバイスD8にデータ転送する際に通信不良が発生した場合、異なる親ノードを持ち、階層の最も引く第0無線デバイスD0にデータ転送し、第0無線デバイスD0から近隣ノードの第8無線デバイスD8にデータ転送することができ、ネットワークシステムSから孤立した子ノードに対してもデータ転送が可能となる。
【0075】
また、無線デバイスDを複数無線接続することで、ツリー型ネットワークを形成することとして説明したが、このネットワーク形態はマルチホップネットワークであれば適宜適用可能である。
【0076】
〔実用例:プラント診断システム〕
次に、ネットワークシステムSの実用例を説明する。図8は、ネットワークシステムSをプラント診断システムPSとして実用化した場合の、システム構成の概要を示すブロック図である。
【0077】
プラント診断システムPSは、データ収集サーバSVと、ゲートウェイデバイスGとが基幹ネットワークNに接続されて構成され、プラント建物内に配された配管の診断情報をセンサデバイスE1〜E10からデータ収集サーバSVに収集するFA/PA(Factory Automation/Plant Automation)系のシステムである。
【0078】
図8に示すように、ゲートウェイデバイスGの下層には、第1〜第3中継デバイスR1〜R3が無線接続されて構成される。この第1〜第3中継デバイスR1〜R3とゲートウェイデバイスGとは、上述した無線デバイスDと同様の構成で実現される。即ち、この第1〜第3中継デバイスR1〜R3とゲートウェイデバイスGとにより、ネットワークシステムSに相当するツリー型ネットワークが形成される。
【0079】
各センサデバイスE1〜E10は、工場内の配管の流動状態等を診断して、その診断結果を第3中継デバイスR3に送信する。この診断結果を受信した第3中継デバイスR3は、ゲートウェイデバイスGを宛先ノードとして親ノードである第1中継デバイスR1に診断結果を送信する。このとき、第1中継デバイスR1と第3中継デバイスR3との間に通信障害が生じたとしても、第3中継デバイスR3が通信可能範囲AR3内にある近隣ノードの第2中継デバイスR2にデータ転送先を変更することで、ゲートウェイデバイスGに診断結果を転送することができる。
【0080】
一般に、建物が広範囲に及ぶ場合、有線通信によるネットワーク構成は困難とされ、広範囲な通信が可能なツリー型ネットワークを適用することが検討されるが、無線デバイスが設置されるべきプラント建物内は、数々の設備(障害物)が存在すると共に、電波障害にさらされやすいため、無線通信が不安定になりやすい。そこで、本実施形態のネットワークシステムSを応用することで、プラント建物内の環境変化によって通信経路に障害が発生した場合にも、ネットワークを再構成することで、プラント診断システムPSのロバスト性及び信頼性を高めることができる。従って、広域プラント内の多くの設備の診断を行うといった、新たな付加価値(サービス)を提供することができる。
【0081】
〔実用例:ビルオートメーションシステム〕
図9は、ネットワークシステムSをビルオートメーションシステムBSとして実用化した場合の、システム構成の概要を示すブロック図である。このビルオートメーションシステムBSは、照明器具や空調設備等のビル内の各種設備に無線デバイスを搭載することで、これらの設備の運用を自動化するシステムである。
【0082】
ビルオートメーションシステムBSは、第1〜第6センサデバイスE10〜E60と、第1〜第4中継デバイスR10〜R40とが無線接続されて構成される。また、第1中継デバイスR10は、第1〜第3センサデバイスE10〜E30と第2及び第3中継デバイスR20及びE30とを子ノードとして有する。また、第2中継デバイスR20が第4及び第6センサデバイスE40及びE60を、第3中継デバイスR30が第4中継デバイスR40と第5センサデバイスE50とをそれぞれ子ノードとして有する。即ち、第1中継デバイスR10がネットワークシステムSの第0無線デバイスD0に相当する最上層(ルート)のデバイスとなる。
【0083】
第1〜第6センサデバイスE10〜E60は、照明器具に搭載され、それぞれのON/OFFを連携させる。例えば、第3センサデバイスE30の照明器具のスイッチがONされた場合に、第1〜第4センサデバイスE10〜E40が搭載された照明器具の照明を全てONにするように連携制御する。また、人感センサ等をセンサデバイスに組み込むことにより、人の入退室に応じて照明のON/OFFを制御することができる。
【0084】
例えば、第6センサデバイスE60が、第3中継デバイスR30にデータ転送する場合、通信可能範囲AR20内に存在する第3中継デバイスR30のネットワーク情報を予め取得しているため、親ノードで第2中継デバイスR20へデータ転送するのではなく、第3中継デバイスR30へ直接データ転送することができる。
【0085】
一般に、ビル管理のLCC(Life Cycle Cost)問題では、エネルギー管理を行うことでランニングコストを削減することが重要となり、無線技術の適用が有効である。この場合でも、広範囲なネットワーク形成が容易なツリー型ネットワークの適用が現実的であるが、フロア内の特定の場所に人が密集したり、一時的にホワイトボードやパーティション等の設備が設置されて、通信が不安定になりやすい。そこで、本実施形態のネットワークシステムSを応用することで、通信障害が生じてもその通信環境の変動に応じて近隣ノードを順次選択していくため、ネットワークのロバスト性、通信安定性を高めることができる。
【0086】
また、ネットワークシステムSを、センサデータ、画像、音声などの情報を収集、監視するフィールド監視システム(図示略)に実用化することとしてもよい。一般に、フィールド監視におけるネットワークシステムは、天候や自然環境、新たな建造物の建設等の環境変化や、無線デバイス特有の制約(電波特性や電源寿命)のために、通信環境が変化しやすい。また、無線通信の特徴を生かして無線デバイスをアドホックに配置するシステムを構築した場合、無線デバイスのメンテナンスが頻繁に行われことがあり得る。このとき、本実施形態のネットワークシステムSを応用することで、無線デバイスを一時停止した場合にも、近隣ノードを順次選択してデータ転送していくことが可能になり、そのメンテナンス性も向上する。また、当該システムの利便性、可用性を高め、無線デバイスのアドホック性を生かした高度なシステムインテグレーションが可能となる。
【0087】
このように、ツリー型ネットワークのネットワークシステムSを応用することにより、広範囲のネットワーク形成が困難であった有線接続やスター型やリング型のネットワークに対して、様々な形態のシステムを提案・提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】無線デバイスの機能構成の一例を示すブロック図。
【図2】ネットワークシステムのツリー構造の一例を示す図。
【図3】無線デバイスの具体的な動作を説明するためのフローチャート。
【図4】ネットワークシステムの各無線デバイスの配置例を示す図。
【図5】ネットワークシステムのデータ転送の工程例を示す第1の図。
【図6】ネットワークシステムのデータ転送の工程例を示す第2の図。
【図7】ネットワークシステムのデータ転送の工程例を示す第3の図。
【図8】プラント診断システムのシステム構成の概要を示すブロック図。
【図9】ビルオートメーションシステムのシステム構成の概要を示すブロック図。
【図10】ネットワークシステムのシステム構成の概要を示すブロック図。
【符号の説明】
【0089】
D 無線デバイス
S ネットワークシステム
1 制御部
3 アプリケーション機能
5 ネットワーク機能
7 親子関係管理機能
9 ルーティング機能
11 無線通信部
13 無線制御機能
15 アンテナ
21 記憶部
23 親子ノード情報
25 ネットワーク情報
27 親子ノード情報
29 階層情報
31 第1近隣ノード情報
33 ネットワーク情報
35 ネットワークアドレス
37 階層情報
39 親子ノード情報
41 第2近隣ノード情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層化された複数の無線機器とネットワーク接続された無線機器において、
通信可能な他機のネットワーク情報を予め取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたネットワーク情報に基づいて、前記通信可能な他機がデータ送信の宛先であるか否かを判定する宛先判定手段と、
前記宛先判定手段によりデータ送信の宛先であると判定された場合、前記通信可能な他機にデータ送信し、データ送信の宛先ではないと判定された場合、前記ネットワーク接続された上層又は下層の他機にデータ送信する送信制御手段と、
を備えることを特徴とする無線機器。
【請求項2】
前記ネットワーク接続された上層及び下層それぞれの他機へのデータ送信が可能であるか否かを判定する送信可否判定手段を更に備え、
前記送信制御手段は、
前記上層又は下層の他機にデータ送信するにあたり、前記送信可否判定手段により送信不可であると判定された場合は、前記ネットワーク情報に基づいて前記通信可能な他機にデータ送信することを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項3】
前記送信制御手段は、
前記通信可能な他機が複数であった場合は、当該他機の上層にネットワーク接続された無線機器が、自機の上層にネットワーク接続された無線機器と異なる他機を選択してデータ送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線機器。
【請求項4】
前記送信制御手段は、
前記選択された他機が複数であった場合は、当該他機の中から前記ネットワーク接続の階層の段数が最小の他機を更に選択してデータ送信することを特徴とする請求項3に記載の無線機器。
【請求項5】
前記送信制御手段は、
前記選択された他機が複数であった場合は、当該他機の中から通信感度が最良の他機を更に選択してデータ送信することを特徴とする請求項4に記載の無線機器。
【請求項6】
前記ネットワーク情報は、
前記通信可能な他機とネットワーク接続された上層及び下層の無線機器のネットワークアドレスと、当該他機の前記ネットワーク内における階層の段数と、当該他機の通信可能な無線機器のネットワークアドレスとの少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の無線機器。
【請求項7】
前記ネットワーク接続は、ツリー型ネットワークによる接続であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の無線機器。
【請求項8】
階層化された複数の無線機器がネットワーク接続されたネットワークシステムにおいて、
各無線機器は、
自機の通信可能な他機のネットワーク情報を予め取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたネットワーク情報に基づいて、前記通信可能な他機がデータ送信の宛先であるか否かを判定する宛先判定手段と、
前記宛先判定手段によりデータ送信の宛先であると判定された場合、前記通信可能な他機にデータ送信し、データ送信の宛先ではないと判定された場合、前記ネットワーク接続された上層又は下層の他機にデータ送信する送信制御手段と、
を備えることを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−142647(P2007−142647A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331751(P2005−331751)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】