説明

無線機器用アンテナ

【課題】近傍に導電物体が存在した場合であっても全周方向の電波を良好に送受信できる無線機器用アンテナを提供する。
【解決手段】板状に形成された導体であって、電位がGNDレベルに保たれたGND板10に平行にプリント基板20を配置する。プリント基板20と導通するようにプリント基板20上に短絡導体32,42を配置し、その先端に電波を放射するための放射板34,44を取り付ける。また、放射板34,44から放射する送信信号を供給する給電点を有する逆F型のアンテナエレメント30,40を、送受信する電波の2分の1波長の間隔で、導電物体70の側面と略平行に2つ配置する。また、GND板10とプリント基板20との間で、かつ、2つのアンテナエレメント30,40それぞれの近傍に、プリント基板20をGND板10から、送受信する電波の16分の1波長以上の高さにかさ上げするための2つのかさ上げ用導体板50,60を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全周方向の電波を良好に送受信できる無線機器用アンテナ、特に車載用として好適な無線機器用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線機器用の送受信回路をシールドするためのシールド板をGND板とし、短絡導体を介してGND板に平行な放射板を配置することにより、シールド板をGND板とした逆F型アンテナを構成し、この逆F型アンテナを異なる向きに複数配置することによってダイバーシティアンテナを構成した無線機器用アンテナがある(例えば、特許文献1参照)。
この無線機器用アンテナによれば、複数のアンテナの指向性が合成されて得られる指向性によって、ほぼ無指向性のアンテナを実現することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−298340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記無線機器用アンテナでは、アンテナ近傍の特定の方向、例えば、複数のアンテナの配置方向に並行して金属構造物など金属物体が存在した場合には、その金属物体が反射器として作用し、無線機器用アンテナの指向性に偏りが発生することとなり、送受信性能が低下するという問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、近傍に導電物体が存在した場合であっても全周方向の電波を良好に送受信できる無線機器用アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0006】
上記「発明が解決しようとする課題」において述べた問題を解決するためになされた発明は、導電物体(70)の近傍に設置される無線機器用アンテナ(1)であって、GND板(10)、導体板(20)、アンテナエレメント(30,40)及びかさ上げ用導体板(50,60)を備えている。
【0007】
GND板(10)は、板状に形成された導体であって、電位がGNDレベルに保たれたものであり、導体板(20)は、GND板(10)に平行に配置された導体板である。
アンテナエレメント(30,40)は、導体板(20)と導通するように導体板(20)上に配置された短絡導体(32,42)及び短絡導体(32,42)の先端に電波を放射するための放射板(34,44)を配置してなり、送受信する電波の2分の1波長の間隔で、導電物体(70)の側面と略平行に2つ配置されたモノポール型のアンテナである。
【0008】
かさ上げ用導体板(50,60)は、GND板(10)と導体板(20)との間で、かつ、2つのアンテナエレメント(30,40)それぞれの近傍に配置され、導体板(20)をGND板(10)から、所定の高さにかさ上げするための2つの導体の板である。
【0009】
このような無線機器用アンテナ(1)は、近傍に導電物体(70)が存在した場合であっても全周方向の電波を良好に送受信できるアンテナとなる。以下説明する。
請求項1に記載の無線機器用アンテナ(1)では、GND板(10)に平行に導体板(20)を配置し、その上に2分の1波長の間隔で2つのアンテナエレメント(30,40)を配置し、導体板(20)をかさ上げ用導体板(50,60)でGND板(10)から所定の高さかさ上げしている。
【0010】
さらに、2つのアンテナエレメント(30,40)が導電物体(70)の側面と略平行になるように、無線機器用アンテナ(1)を導電物体(70)の近傍に置くようにしている。
【0011】
すると、給電点から供給される送信信号に対し、GND板(10)、導体板(20)及びかさ上げ用導体板(50,60)との間に電流ループが形成される。
つまり、2つのアンテナエレメント(30,40)間の導体板(20)及び2つのかさ上げ用導体板(50,60)に形成される電流経路と、その電流経路に対してGND板(10)により形成される鏡像と、から成る電流ループが形成される。
【0012】
この電流経路は、導体板(20)に形成される2つのアンテナエレメント(30,40)間の2分の1波長の電流経路1及び2つのかさ上げ用導体板(50,60)により形成される電流経路2と、GND板(10)により形成される鏡像により、電流経路1と電流経路2の和の2倍の波長となる。
【0013】
この電流ループが新たな波源として作用するため、導電物体(70)に誘起される電流の電流分布が変化する。それにより、2つのアンテナエレメント(30,40)と導電物体(70)に流れる電流の位相関係が変化するため、2つのアンテナエレメント(30,40)から放射される電波の指向性の同一方向への偏りが変化し、無線機器用アンテナ(1)の指向性が補完されることとなる。
【0014】
よって、近傍に導電物体(70)が存在した場合であっても全周方向の電波を良好に送受信できるアンテナとなる。
ここで、「導電物体(70)の近傍」とは、アンテナエレメント(30,40)に供給される送信信号が、導体板(20)と導通できる範囲内であることを意味しており、
「2つのアンテナエレメント(30,40)それぞれの近傍」とは、2つのアンテナエレメント(30,40)と導体板(20)の間の距離が、前述の電流ループが形成される程度の範囲内にあることを意味している。
【0015】
以上のように、かさ上げ用導体板(50,60)によって導体板(20)がGND板(10)からかさ上げされていると、電流ループが形成されるので、全周方向の電波を良好に送受信できる無線機器用アンテナ(1)となるが、特に、請求項2に記載のように、かさ上げ用導体板(50,60)の所定の高さを、送受信する電波の16分の1波長以上にすると、全周方向の電波をより良好に送受信できるようになる。
【0016】
また、請求項3に記載のように、2つのアンテナエレメント(30,40)間の距離を、導電物体(70)の幅より大きくし、さらに、2つのアンテナエレメント(30,40)の給電点から導電物体(70)までの距離が、送受信する電波の2分の1波長以内であるように配置するとよい。
【0017】
このようにすると、前述のように形成される電流ループに電流がより流れやすくなるため、2つのアンテナエレメント(30,40)から放射される電波の指向性の同一方向への偏りが変化し、指向性が補完されやすくなる。
【0018】
ところで、モノポール型のアンテナエレメント(30,40)には、モノポールアンテナやL型アンテナなど種々のアンテナがあるが、請求項3に記載のように、モノポール型のアンテナエレメント(30,40)は、逆F型アンテナであると、他のモノポール型アンテナに比べ、高さ方向が短い無線機器用アンテナ(1)とすることができる。したがって、特に車載用として適した無線機器用アンテナ(1)とすることができる。
【0019】
また、請求項5に記載のように、導体板(20)を、少なくとも、2つのアンテナエレメント(30,40)間を導通させる導体パターンが形成されたプリント基板であるようにすると、2つのアンテナエレメント(30,40)間を導通させる導体パターン以外に、他の導体パターンを形成することにより、導体板(20)上に種々の回路素子を配置して、電子回路を形成することができるので、無線機器用アンテナ(1)を小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】無線機器用アンテナの概略の構成を示す構成図である。
【図2】アンテナエレメントと導電物体に流れる電流分布をシミュレーションによって求めた結果を示す図である。
【図3】従来のアンテナと本実施形態における無線機器用アンテナの指向性を示す図である。
【図4】かさ上げ用導体板の間隔を変化させたとき無線機器用アンテナの指向性を示す図である。
【図5】かさ上げ用導体板の長さを変化させたとき無線機器用アンテナの指向性を示す図である。
【図6】かさ上げ用導体板の長さを変化させたとき無線機器用アンテナの指向性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
(無線機器用アンテナ1の構成)
図1は、本発明が適用された無線機器用アンテナ1の概略の構成を示す構成図である。無線機器用アンテナ1は、GND板10、プリント基板20、アンテナエレメント30,40及びかさ上げ用導体板50,60を備えており、導電物体70の近傍に設置されている。
【0022】
導電物体70は、金属構造物などの導電体であり、例えば、車体の屋根上やボンネット上に設置されているテレマティクス用アンテナなどである。つまり、複数のアンテナを狭い空間内に集合させて、コンパクトな形状にしたときの、無線機器用アンテナ1以外の他のアンテナが導電物体70の例となる。
【0023】
GND板10は、略長方形の板状に形成された銅板など金属等の導体板であって、電位がGNDレベルに保たれているように接地されている。
プリント基板20は、略長方形の板状に形成されており、長手方向が導電物体70の側面に平行で、板面がGND板10に平行になるように配置されている。そして、2つのアンテナエレメント30,40間を導通させる導体パターンが形成されている。
【0024】
なお、プリント基板20には、2つのアンテナエレメント30,40間を導通させる導体パターン以外にも、半導体集積回路チップや電子部品を搭載して、無線機器用アンテナ1を作動させるための電子回路を構成するための導体パターンが形成されていてもよい。
【0025】
アンテナエレメント30,40は、プリント基板20上の導電物体70から遠い側の両隅に配置されている。
2つのアンテナエレメント30,40は、モノポール型アンテナの一種である逆F型アンテナであり、図1に示すように、プリント基板20の板面に対し略垂直になるように、短絡導体32,42がプリント基板20上のアンテナエレメントの導体パターンに電気的に接続されている。また、短絡導体32,42の先端に、放射板34,44がプリント基板20に平行となるように取り付けられている。
【0026】
このとき、一枚の導体板を、プリント基板20に垂直になるように装着し、その導体板を折り曲げてL字型を形成するようにすると、垂直部分が短絡導体32,42となり、GND板10に平行な部分が放射板34,44となる。
【0027】
そして、アンテナエレメント30,40の放射板34,44に、短絡導体32に平行となるように板状の給電導体36,46を、その先端部分がGND板10と接触しないように取り付ける。
【0028】
そして、アンテナエレメント30,40の給電導体36,46の先端を給電点とし、給電点とGND板10との間に5GHzの送信信号を給電する。
2つのアンテナエレメント30,40の給電点間の距離は、導電物体70の幅より大きく、2つのアンテナエレメント30,40の給電点から導電物体70までの距離が、送受信する電波の2分の1波長以内であるように配置されている。
【0029】
かさ上げ用導体板50,60は、略長方形に形成された2つの導体板であり、プリント基板20をGND板10から、送受信する電波の16分の1波長以上の高さにかさ上げするための導体板である。2つのかさ上げ用導体板50,60は、GND板10とプリント基板20との間で、かつ、長手方向端がプリント基板20の短手方向端に取り付けられている。
(無線機器用アンテナ1の特徴)
以上のように構成された無線機器用アンテナ1では、GND板10に平行に、導体板としてのプリント基板20を配置し、その上に2分の1波長の間隔で2つのアンテナエレメント30,40を配置し、プリント基板20をかさ上げ用導体板50,60でGND板10から16分の1波長以上かさ上げし、さらに、2つのアンテナエレメント30,40が導電物体70の側面と略平行になるように、無線機器用アンテナ1を導電物体70の近傍に置くようにしてある。
【0030】
すると、給電点から供給される送信信号に対し、GND板10、プリント基板20及び2つのかさ上げ用導体板50,60との間に略1波長の電流ループが形成される。つまり、2つのアンテナエレメント30,40間のプリント基板20に形成される電流経路と2つのかさ上げ用導体板50,60に形成される電流経路及びGND板10により形成される電流経路と、その電流経路の鏡像とから成る略1波長の電流ループが形成される。
【0031】
この電流ループが新たな波源として作用するため、導電物体70に誘起される電流の電流分布が変化する。それにより、2つのアンテナエレメント30,40と導電物体70に流れる電流の位相関係が変化するため、2つのアンテナエレメント30,40から放射される電波の指向性の同一方向への偏りが変化し、指向性が補完されることとなる。
【0032】
よって、近傍に導電物体70が存在した場合であっても全周方向の電波を良好に送受信できるアンテナとなる。
2つのアンテナエレメント30,40間の距離を、導電物体70の幅より大きくし、さらに、2つのアンテナエレメント30,40の給電点から導電物体70までの距離が、送受信する電波の2分の1波長以内であるように配置してある。
【0033】
したがって、電流ループに電流がより流れやすくなるため、2つのアンテナエレメント30,40から放射される電波の指向性の同一方向への偏りが変化し、指向性が補完されやすくなる。
【0034】
この様子を、図2に示す。図2は、アンテナエレメント40の給電点に5GHzの送信信号を印加した場合に、アンテナエレメント30,40と導電物体70に流れる電流分布をシミュレーションによって求めた結果を示す図である。
【0035】
図2では、矢印によって電流の向きを示し、矢印の分布の疎/密によって電流分布の疎/密を示している。つまり、矢印の分布が疎の部分は電流分布が疎であり、矢印の分布が密の部分は電流分布が密である。
【0036】
かさ上げ用導体板50,60がない従来のアンテナでは、図2(a)に示すように、導電物体70の右下部分の矢印の分布が他の部分に比べて密になっている。つまり、導電物体70の右下部分の電流分布が密になっており、導電物体70における電流分布が均一ではないことが分かる。
【0037】
これに対し、無線機器用アンテナ1では、導電物体70の全体にほぼ均一に矢印が分布しており、導電物体70において電流分布が均一であることを示している。
次に、図3に基づき、無線機器用アンテナ1によって指向性が改善された様子を説明する。図3は、放射する電波が5GHzで、かさ上げ用導体板50,60の高さをλ/12とした場合に、シミュレーションによって求めた従来のアンテナと本実施形態における無線機器用アンテナ1の指向性を示す図である。なお、「λ」は、放射する電波の波長を示している。
【0038】
なおシミュレーションにあたっては、模擬的に一方のアンテナエレメント30に給電したときには、他方のアンテナエレメント40の給電点を50Ωの終端抵抗を介してプリント基板20の導体パターンに接続している。
【0039】
図3において、中心部分に無線機器用アンテナ1(アンテナエレメント30,40)及び導電物体70が置かれており、図3中P1で示す破線の曲線は、アンテナエレメント30の指向性を示し、P2で示す実線の曲線は、アンテナエレメント40の指向性を示している。
【0040】
図3(a)に従来のアンテナの指向性を示し、図3(b)に無線機器用アンテナ1の指向性を示す。
図3(a)に示すように、従来のアンテナにおける指向性は、アンテナエレメント30の指向性P1とアンテナエレメント40の指向性P2とが補完し合っても、導電物体70方向の指向性が低下している。
【0041】
これに対し、無線機器用アンテナ1では、P1とP2とが補完し合う結果、導電物体70の方向に対して、指向性が低下していない。つまり、従来アンテナに比べ、全周方向に良好な指向性を示していることが分かる。
【0042】
次に、図4に基づき、かさ上げ用導体板50,60の高さと指向性の関係について説明する。図4は、かさ上げ用導体板50,60の高さと指向性の関係を示す図である。
図4(a)に、かさ上げ用導体板50,60がない場合のアンテナ(従来のアンテナ)の指向性を示す。また、図4(b)〜図4(i)にかさ上げ用導体板50,60の高さを、電波の波長λに対し、λ/50、λ/25、λ/16、λ/12、λ/10、λ/8、λ/7、λ/6とした場合の無線機器用アンテナ1の指向性を示す。
【0043】
図4(b)、図4(c)に示す指向性は、図4(a)に示す指向性と余り差がなく、P1とP2が補完し合ったとしても、導電物体70の方向に指向性が低下する部分がある。それに対し、図4(d)〜図4(i)に示す指向性は、P1とP2とが補完し合うことによって、導電物体70方向に指向性が低下する部分がなく、図4(a)に示す指向性に比べ、全周方向に対して良好な指向性が得られていることが分かる。
【0044】
つまり、かさ上げ用導体板50,60として、λ/16以上の高さがあれば、全周方向に対する指向性が改善される。
次に、図5に基づき、かさ上げ用導体板50,60の間隔を変化させた場合の無線機器用アンテナ1の指向性について説明する。図5は、5GHzの電波を放射する場合に、かさ上げ用導体板50,60の間隔を変化させたとき無線機器用アンテナ1の指向性を示す図である。
【0045】
図5(a)〜図5(h)に、かさ上げ用導体板50,60の間隔をそれぞれ、λ/1、9、λ/2、λ/2.2、λ/2.4、λ/2.7、λ/3、λ/3.4、λ/3.9としたときの無線機器用アンテナ1の指向性を示している。なお、図5においては、かさ上げ用導体板50,60の高さは、λ/12としてある。
【0046】
図5(a)〜図5(h)に示すように、かさ上げ用導体板50,60の間隔が、λ/2より小さくなるほど、P1とP2とにより補完される指向性には、導電物体70の方向に指向性が低下する部分が現れるようになることが分かる。
【0047】
次に、図6に基づき、かさ上げ用導体板50,60の長手方向の長さを変化させた場合の無線機器用アンテナ1の指向性について説明する。図6は、5GHzの電波を放射する場合に、かさ上げ用導体板50,60の長さを変化させたとき無線機器用アンテナ1の指向性を示す図である。
【0048】
図6(a)〜図6(c)に、かさ上げ用導体板50,60の長さをそれぞれ15mm、11.25mm、7.5mmとしたときの無線機器用アンテナ1の指向性を示している。
図6(a)、図6(b)に示すように、放射周波数が5GHzの場合、かさ上げ用導体板50,60の長さが11mm以上であれば、P1とP2とで補完される指向性には、導電物体70の方向に指向性が低下する部分がなく、全周方向に良好な指向性が得られることが分かる。
【0049】
また、モノポール型のアンテナエレメント30,40として、逆F型アンテナを用いているので、他のモノポール型アンテナに比べ、高さ方向が短い無線機器用アンテナ1とすることができる。したがって、特に車載用として適した無線機器用アンテナ1とすることができる。
【0050】
さらに、2つのアンテナエレメント30,40間を導通させる導体パターンが形成されたプリント基板20を用いて導通させているので、2つのアンテナエレメント30,40間を導通させる導体パターン以外に、他の導体パターンを形成することにより、プリント基板20上に種々の回路素子を配置して、電子回路を形成することができるので、無線機器用アンテナ1を小型にすることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
(1)上記実施形態では、かさ上げ用導体板60をプリント基板20の短手方向の長さと同じにしたが、短手方向の長さの2分の1以上の長さであれば、同じ性能を得ることができる。
(2)上記実施形態では、アンテナエレメント30,40として、逆F型アンテナを用いたが、無線機器用アンテナ1の設置スペースに余裕があれば、逆L型アンテナなど他のモノポール型アンテナを用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…無線機器用アンテナ、10…GND板、20…プリント基板、30,40…アンテナエレメント、32,42…短絡導体、34,44…放射板、36,46…給電導体、50,60…かさ上げ用導体板、70…導電物体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電物体の近傍に設置される無線機器用アンテナであって、
板状に形成された導体であって、電位がGNDレベルに保たれたGND板と、
前記GND板に平行に配置された導体板と、
前記導体板と導通するように該導体板上に配置された短絡導体及び該短絡導体の先端に電波を放射するための放射板を配置してなり、送受信する電波の2分の1波長の間隔で、前記導電物体の側面と略平行に2つ配置されたモノポール型のアンテナエレメントと、
前記GND板と前記導体板との間で、かつ、前記2つのアンテナエレメントそれぞれの近傍に配置され、前記導体板を前記GND板から、所定の高さにかさ上げするための2つのかさ上げ用導体板と、
を備えることを特徴とする無線機器用アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の無線機器用アンテナにおいて、
前記かさ上げ用導体板の所定の高さは、
送受信する電波の16分の1波長以上であることを特徴とする無線機器用アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線機器用アンテナにおいて、
前記2つのアンテナエレメント間の距離は、前記導電物体の幅より大きく、
前記2つのアンテナエレメントの給電点から前記導電物体までの距離が、送受信する電波の2分の1波長以内であるように配置されていることを特徴とする無線機器用アンテナ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無線機器用アンテナにおいて、
前記モノポール型のアンテナエレメントは、逆F型アンテナであることを特徴とする無線機器用アンテナ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無線機器用アンテナにおいて、
前記導体板は、
少なくとも、前記2つのアンテナエレメント間を導通させる導体パターンが形成されたプリント基板であることを特徴とする無線機器用アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−165258(P2012−165258A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25108(P2011−25108)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】