説明

無線端末及びプログラム

【課題】ユーザの利便性を損なわずに、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することを可能とする無線端末及びプログラムを提供する。
【解決手段】無線端末10は、無線接続を許可する無線アクセスポイント20のうち、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立されると、無線アクセスポイント20限定された無線アクセスポイント20を介して、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線接続を許可する無線アクセスポイントと無線接続を確立する無線通信部を備える無線端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信網に設けられる無線基地局と無線接続を確立する機能を有する無線端末(携帯電話やデジタルカメラなど)が知られている。移動体通信網では、例えば、HSDPA(High Speeed Dowonlink Packet Access)、HSUPA(High Speeed Uplink Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)などの技術が用いられる。
【0003】
近年では、このような無線端末として、無線LANを構成する無線アクセスポイントと無線接続を確立する機能を併せ持つ無線端末も知られている。無線LANでは、IEEE802.11a、b、g、nなどの技術が用いられる。
【0004】
さらに、無線LANなどのネットワークに接続された外部ストレージに無線端末からデータを格納する技術も知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
このようなケースにおいて、無線端末は、例えば、移動体通信網に設けられる無線基地局に接続された状態で、移動体通信網(無線基地局)及び公衆ネットワークを介して、外部ストレージに対してデータをアップロードする機能を有する。或いは、無線端末は、外部ストレージが接続された無線LAN(以下、ホーム無線LAN)を構成する無線アクセスポイントに接続された状態で、ホーム無線LAN(無線アクセスポイント)を介して、外部ストレージに対してデータをアップロードする機能を有する。或いは、無線端末は、ホーム無線LAN以外の無線LAN(外部無線LAN)を構成する無線アクセスポイントに接続された状態で、外部無線LAN(無線アクセスポイント)及び公衆ネットワークを介して、外部ストレージに対してデータをアップロードする機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,702,821号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/035275号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、無線端末の電源としてバッテリが用いられることも多く、データのアップロードの頻発によって、バッテリに蓄積される電力の消費量が増大し、無線端末の駆動時間が短縮してしまうことが考えられる。
【0008】
例えば、移動体通信網のサービスカバーエリアは非常に広範囲に亘っているため、外部ストレージに対するデータのアップロードを自動的に行うように設定されている場合には、アップロードすべきデータが生じる度に、データのアップロードが実行されてしまう。
【0009】
或いは、外部ストレージに対するデータのアップロードを自動的に行うように設定されている場合には、無線接続を許可する無線アクセスポイントに無線端末が接続される度に、データのアップロードが実行されてしまう。
【0010】
一方で、外部ストレージに対するデータのアップロードを自動的に行うように設定されていない場合には、無線基地局或いは無線アクセスポイントと接続可能な状態において、外部ストレージに対するデータのアップロードを手動で実行する必要があり、ユーザの利便性が損なわれてしまう。
【0011】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザの利便性を損なわずに、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することを可能とする無線端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の特徴に係る無線端末は、無線接続を許可する無線アクセスポイントと無線接続を確立する無線通信部を備える。前記無線端末は、外部ストレージに対するデータのアップロード又は前記外部ストレージからデータのダウンロードを行う制御部を備える。前記制御部は、前記無線接続を許可する無線アクセスポイントのうち、限定された無線アクセスポイント以外の無線アクセスポイントと無線接続が確立されても、前記アップロード又は前記ダウンロードを行わずに、前記限定された無線アクセスポイントと無線接続が確立されると、前記限定された無線アクセスポイントを介して前記アップロード又は前記ダウンロードを行う。
【0013】
第1の特徴において、前記限定された無線アクセスポイントは、前記外部ストレージが接続するネットワーク内に設けられる無線アクセスポイントである。
【0014】
第1の特徴において、前記制御部は、前記無線接続を許可する無線アクセスポイントを介して、前記アップロード又は前記ダウンロードを行う相手装置として前記外部ストレージを登録する手順を制御する。前記限定された無線アクセスポイントは、前記外部ストレージを登録する手順で用いる無線アクセスポイントである。
【0015】
第1の特徴において、前記無線端末は、前記無線端末を駆動する電力を蓄積するバッテリをさらに備える。前記制御部は、前記バッテリに蓄積された電力が所定閾値以上である場合に、前記アップロード又はダウンロードを行う。
【0016】
第1の特徴において、前記制御部は、前記限定された無線アクセスポイントと確立された無線接続が切断された場合に、前記アップロード又は前記ダウンロードを中止する。
【0017】
第1の特徴において、プログラムは、無線接続を許可する無線アクセスポイントと無線接続を確立する無線通信部を有する無線端末に適用される。前記プログラムは、前記無線接続を許可する無線アクセスポイントのうち、限定された無線アクセスポイント以外の無線アクセスポイントと無線接続が確立されても、外部ストレージに対するデータのアップロード又は前記外部ストレージからデータのダウンロードを行わずに、前記限定された無線アクセスポイントと無線接続が確立されると、前記限定された無線アクセスポイントを介して前記アップロード又は前記ダウンロードを行うステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザの利便性を損なわずに、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することを可能とする無線端末及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1実施形態に係る通信システムを示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る無線端末10を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る無線端末10の動作を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る無線端末10の動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る無線端末10の動作を示すフロー図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る無線端末10の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、本発明の実施形態に係る無線端末について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0021】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0022】
[実施形態の概要]
実施形態に係る無線端末は、無線接続を許可する無線アクセスポイントと無線接続を確立する無線通信部を備える。前記無線端末は、外部ストレージに対するデータのアップロード又は前記外部ストレージからデータのダウンロードを行う制御部を備える。前記制御部は、前記無線接続を許可する無線アクセスポイントのうち、限定された無線アクセスポイント以外の無線アクセスポイントと無線接続が確立されても、前記アップロード又は前記ダウンロードを行わずに、前記限定された無線アクセスポイントと無線接続が確立されると、前記限定された無線アクセスポイントを介して前記アップロード又は前記ダウンロードを行う。
【0023】
実施形態では、制御部は、無線接続を許可する無線アクセスポイントのうち、限定された無線アクセスポイントと無線接続が確立された場合にのみ、限定された無線アクセスポイントを介してアップロード又はダウンロードを行う。従って、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することができる。また、限定された無線アクセスポイントを適切に登録することによって、ユーザの利便性が損なわれることもない。
【0024】
特に、無線端末が移動体通信網及び無線LANに接続する機能を有するスマートフォンであり、スマートフォンに格納されたデータを外部ストレージにバックアップするケースおいて、本実施形態は有効である。このようなケースでは、1日の中で頻繁にデータのバックアップを行う必要性が低いため、限定された無線アクセスポイントとして、自宅や職場などに設けられた無線アクセスポイントを用いることによって、ユーザの利便性を損なわずに、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することができる。
【0025】
[第1実施形態]
(通信システム)
以下において、第1実施形態に係る通信システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る通信システムを示す図である。
【0026】
図1に示すように、通信システムは、無線端末10と、無線アクセスポイント20と、無線基地局30と、外部ストレージ40と、ホームネットワーク50と、広域通信網60とを有する。
【0027】
無線端末10は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話やデジタルカメラなどである。無線端末10は、無線アクセスポイント20と無線接続を確立する機能を有する。なお、無線端末10の詳細については後述する(図2を参照)。
【0028】
ここで、無線端末10は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20とのみ無線接続を確立することが可能である。ここで、無線アクセスポイント20と無線接続を確立するためには、各種設定情報(SSID(Service Set Identifier)、セキュリティ種別、セキュリティキー、認証情報などの情報)が必要である。無線アクセスポイント20は、セキュリティが設定されている場合には、セキュリティ種別やセキュリティキーが設定された無線端末10の無線接続を許可する。また、無線アクセスポイント20は、認証情報が必要とされる場合には、正しい認証情報の入力がなされた無線端末10の無線接続を許可する。
【0029】
なお、無線端末10は、無線端末10の無線接続を許可していない無線アクセスポイント20から出力される電波を検出することは可能である。しかしながら、無線端末10は、無線端末10の無線接続を許可していない無線アクセスポイント20と無線接続を確立することはできないことに留意すべきである。
【0030】
また、無線端末10は、移動体通信網に設けられる無線基地局30と無線接続を確立する機能を有していてもよい。一般的に、移動体通信網のサービスカバーエリアは無線LANのサービスカバーエリアよりも広く、無線アクセスポイント20と無線接続を確立できない場合に、無線端末10は、無線基地局30と無線接続を確立することに留意すべきである。
【0031】
無線アクセスポイント20は、例えば、無線LANを構成するアクセスポイントである。無線アクセスポイント20は、無線アクセスポイント20から出力される電波が到達する範囲であるカバーエリアを有する。無線アクセスポイント20は、カバーエリア内に位置する無線端末10と無線接続を確立する機能を有する。第1実施形態では、無線アクセスポイント20として、無線アクセスポイント20A、無線アクセスポイント20B、無線アクセスポイント20Cが設けられている。
【0032】
第1実施形態では、無線アクセスポイント20Aは、自宅などの宅内無線LANを構成しており、ルータ機能も有し、広域通信網60に接続されている。無線アクセスポイント20B及び無線アクセスポイント20Cは、宅内無線LAN以外の無線LAN(例えば、公衆無線LAN)を構成しており、広域通信網60に接続されている。
【0033】
例えば、無線アクセスポイント20A及び無線アクセスポイント20Bは、無線端末10の無線接続が許可されている無線アクセスポイント20である。一方で、無線アクセスポイント20Cは、無線端末10の無線接続が許可されていない無線アクセスポイント20である。
【0034】
例えば、無線アクセスポイント20Aは、セキュリティが設定された無線アクセスポイント20であり、無線アクセスポイント20Bは、セキュリティや認証情報が必要とされない無線アクセスポイント20であってもよい。
【0035】
無線基地局30は、無線基地局30から出力される電波が到達する範囲であるカバーエリア31を有する。無線基地局30は、カバーエリア31内に位置する無線端末10と無線接続を確立する機能を有する。
【0036】
外部ストレージ40は、例えば、NAS(Network Attached Storage)、パーソナルコンピュータ、ウェブサーバなどである。第1実施形態では、外部ストレージ40は、ネットワークケーブルを介して無線アクセスポイント20Aの有線ポートに接続されている。無線アクセスポイント20Aの構成する無線LANと有線LANによりホームネットワーク50が構成されている。すなわち、無線端末10は、無線アクセスポイント20Aを介してホームネットワーク50にアクセス可能である。
【0037】
ホームネットワーク50は、例えば、自宅に設けられるネットワークや職場に設けられるネットワークなどである。ホームネットワーク50は、宅内無線LANを構成する無線アクセスポイント20(第1実施形態では、無線アクセスポイント20A)によって構成される。
【0038】
広域通信網60は、例えば、TCP/IPなどのプロトコルが適用されるインターネット網である。広域通信網60には、様々なウェブサーバが接続される。
【0039】
(無線端末)
以下において、第1実施形態に係る無線端末について説明する。図2は、第1実施形態に係る無線端末10を示すブロック図である。
【0040】
図2に示すように、無線端末10は、無線通信部11と、格納部12と、バッテリ13と、制御部14とを有する。
【0041】
無線通信部11は、アンテナや無線モジュールを有する。無線通信部11は、無線アクセスポイント20から出力される電波を検出し、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20と無線接続を確立する。なお、無線通信部11は、無線基地局30から出力される電波を検出し、無線基地局30と無線接続を確立する機能を有していてもよい。
【0042】
格納部12は、無線端末10を制御するためのデータ(プログラムやアプリケーションなど)、文書や写真などのユーザデータなどを格納する。
【0043】
バッテリ13は、無線端末10に電力を供給する電池パックなどである。詳細には、バッテリ13は、無線通信部11、格納部12及び制御部14に電力を供給する。
【0044】
制御部14は、無線端末10を制御する。例えば、制御部14は、ウェブ閲覧、メール取得、データのアップロード、データのダウンロードなどの機能を制御する。
【0045】
第1実施形態では、制御部14は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20を介して、アップロード又はダウンロードを行う相手装置として外部ストレージ40を登録する手順を制御する。
【0046】
例えば、外部ストレージ40の登録手順においては、アップロードすべきデータを格納するアドレスとして、格納部12のフォルダが登録され、データをアップロードすべきアドレスとして、外部ストレージ40のフォルダが登録される。同様に、ダウンロードすべきデータを格納するアドレスとして、外部ストレージ40のフォルダが登録され、データをダウンロードすべきアドレスとして、格納部12のフォルダが登録される。
【0047】
制御部14は、格納部12に格納されたデータを、登録された外部ストレージ40に対してアップロードする。或いは、制御部14は、登録された外部ストレージ40に格納されたデータを格納部12にダウンロードする。
【0048】
詳細には、制御部14は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20のうち、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立されると、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードを自動的に行う。一方で、制御部14は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20のうち、限定された無線アクセスポイント20以外の無線アクセスポイント20と無線接続が確立されても、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードを自動的に行わない。
【0049】
ここで、限定された無線アクセスポイント20は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20の一部であることに留意すべきである。第1実施形態では、例えば、無線アクセスポイント20A、無線アクセスポイント20B及び無線アクセスポイント20Cのうち、限定された無線アクセスポイント20は、無線アクセスポイント20Aである。
【0050】
なお、制御部14は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20と無線接続が確立された場合に、ウェブ閲覧やメール取得などの機能を提供することが可能であることは勿論である。
【0051】
また、制御部14は、無線端末10の無線接続を許可する無線アクセスポイント20以外の無線アクセスポイント20と無線接続が確立されたケースであっても、アップロード及びダウンロードがユーザから手動で指示された場合には、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードを行ってもよい。
【0052】
ここで、無線端末10が無線基地局30と無線接続を確立する機能を有する場合において、制御部14は、無線基地局30と無線通信が確立された場合に、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードを自動的に行わないことが好ましい。但し、制御部14は、無線基地局30と無線通信が確立された場合であっても、アップロード及びダウンロードがユーザから手動で指示された場合には、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードを自動的に行ってもよい。
【0053】
第1実施形態において、限定された無線アクセスポイント20は、外部ストレージ40が接続するホームネットワーク50内に設けられる無線アクセスポイント20であることが好ましい。例えば、図1に示すケースでは、限定された無線アクセスポイント20は、無線アクセスポイント20Aであることが好ましい。
【0054】
第1実施形態において、限定された無線アクセスポイント20は、外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20であることが好ましい。例えば、図1に示すケースにおいて、外部ストレージ40を登録する手順で無線アクセスポイント20Aを用いた場合には、限定された無線アクセスポイント20は、無線アクセスポイント20Aであることが好ましい。このようなケースでは、無線アクセスポイント20Bと無線接続が確立されても、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又は外部ストレージ40からデータのダウンロードが自動的に行われないことに留意すべきである。
【0055】
制御部14は、バッテリ13に蓄積された電力が所定閾値以上である場合に、限定された無線アクセスポイント20を介して、アップロード又はダウンロードを行うことが好ましい。言い換えると、制御部14は、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立されても、バッテリ13に蓄積された電力が所定閾値未満である場合に、アップロード又はダウンロードを制限することが好ましい。
【0056】
制御部14は、限定された無線アクセスポイント20と確立された無線接続が切断された場合に、アップロード又はダウンロードを中止することが好ましい。例えば、図1に示すケースにおいて、限定された無線アクセスポイント20が無線アクセスポイント20Aである場合には、無線端末10がホームネットワークを離れ、無線アクセスポイント20Aと無線接続が確立された状態から抜けた場合に、アップロード又はダウンロードが中止される。また、無線アクセスポイント20Aと無線接続が確立された状態から無線基地局30と無線接続が確立された状態に遷移した場合に、アップロード又はダウンロードが中止される。
【0057】
(無線端末の動作)
以下において、第1実施形態に係る無線端末の動作について説明する。図3は、第1実施形態に係る無線端末10の動作を示すシーケンス図である。図4〜図6は、第1実施形態に係る無線端末10の動作を示すフロー図である。
【0058】
以下においては、限定された無線アクセスポイント20が、外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20であるケースについて例示することに留意すべきである。
【0059】
(登録手順)
第1に、外部ストレージ40の登録手順(セットアップ手順)について、図3を参照しながら説明する。
【0060】
図3に示すように、ステップ10において、無線端末10と無線アクセスポイント20との間で無線接続が確立する。
【0061】
ステップ11において、無線端末10は、外部ストレージ40の登録要求を外部ストレージ40に送信する。例えば、登録要求は、アップロードすべきデータを格納するアドレス(格納部12のフォルダ)、データをアップロードすべきアドレス(外部ストレージ40のフォルダ)、ダウンロードすべきデータを格納するアドレス(外部ストレージ40のフォルダ)、データをダウンロードすべきアドレス(格納部12のフォルダ)などを含む。
【0062】
ステップ12において、外部ストレージ40は、外部ストレージ40の登録応答を無線端末10に送信する。
【0063】
ステップ13において、無線端末10は、外部ストレージ40の登録手順を完了する。ここで、無線端末10は、限定された無線アクセスポイント20として、外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20を登録する。例えば、無線端末10は、外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20の識別子(例えば、SSID)を格納する。
【0064】
(アップロード/ダウンロードの開始手順1)
第2に、アップロード/ダウンロードの開始手順1について、図4を参照しながら説明する。
【0065】
図4に示すように、ステップ20において、無線端末10は、無線アクセスポイント20と無線接続を確立する。
【0066】
ステップ21において、無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20であるか否かを判定する。無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20である場合には、ステップ22の処理に移る。無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20でない場合には、一連の処理を終了する。
【0067】
ステップ22において、無線端末10は、登録された外部ストレージ40に対するデータのアップロードを開始する。或いは、無線端末10は、登録された外部ストレージ40からデータのダウンロードを開始する。
【0068】
なお、無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20であるか否かにかかわらずに、ウェブ閲覧やメール取得などを行うことが可能であることは勿論である。
【0069】
(アップロード/ダウンロードの開始手順2)
第3に、アップロード/ダウンロードの開始手順3について、図5を参照しながら説明する。
【0070】
図5に示すように、ステップ30において、無線端末10は、無線アクセスポイント20と無線接続を確立する。
【0071】
ステップ31において、無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20であるか否かを判定する。無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20である場合には、ステップ32の処理に移る。無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20でない場合には、一連の処理を終了する。
【0072】
ステップ32において、無線端末10は、バッテリ13に蓄積された電力が所定閾値以上であるか否かを判定する。無線端末10は、バッテリ13に蓄積された電力が所定閾値以上である場合に、ステップ33の処理に移る。一方で、無線端末10は、バッテリ13に蓄積された電力が所定閾値未満である場合に、一連の処理を終了する。
【0073】
ステップ33において、無線端末10は、登録された外部ストレージ40に対するデータのアップロードを開始する。或いは、無線端末10は、登録された外部ストレージ40からデータのダウンロードを開始する。
【0074】
なお、無線端末10は、無線接続が確立された無線アクセスポイント20が限定された無線アクセスポイント20であるか否かにかかわらずに、ウェブ閲覧やメール取得などを行うことが可能であることは勿論である。
【0075】
(アップロード/ダウンロードの中止手順)
第4に、アップロード/ダウンロードの中止手順について、図6を参照しながら説明する。図6では、限定された無線アクセスポイント20と無線端末10との間で無線接続が確立していることを前提としていることに留意すべきである。
【0076】
図6に示すように、ステップ40において、無線端末10は、登録された外部ストレージ40に対するデータのアップロードを行っている。或いは、無線端末10は、登録された外部ストレージ40からデータのダウンロードを行っている。
【0077】
ステップ41において、限定された無線アクセスポイント20と確立された無線接続が切断される。
【0078】
ステップ42において、無線端末10は、登録された外部ストレージ40に対するデータのアップロードを中止する。或いは、無線端末10は、登録された外部ストレージ40からデータのダウンロードを中止する。
【0079】
例えば、限定された無線アクセスポイント20のカバーエリアから無線端末10が離れた場合に、アップロード又はダウンロードが中止される。また、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立された状態から無線基地局30と無線接続が確立された状態に遷移した場合にも、アップロード又はダウンロードが中止される。
【0080】
(作用及び効果)
第1実施形態では、制御部14は、無線接続を許可する無線アクセスポイント20のうち、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立された場合にのみ、限定された無線アクセスポイント20を介してアップロード又はダウンロードを行う。従って、バッテリ13に蓄積された電力の消費を抑制することができる。また、限定された無線アクセスポイント20を適切に登録することによって、ユーザの利便性が損なわれることもない。
【0081】
例えば、無線接続を許可する無線アクセスポイント20としては、店舗や駅などの施設に設けられる公衆無線LANを構成する無線アクセスポイント20が考えられる。このような無線アクセスポイント20と無線接続を確立した履歴があれば、無線端末10は、無線アクセスポイント20と自動的に無線接続を確立することが考えられる。このように、公衆無線LANを構成する無線アクセスポイント20と無線接続が自動的に確立された場合に、外部ストレージ40に対するデータのアップロードやダウンロードが自動的に行われると、データのアップロードやダウンロードが頻発してしまう。
【0082】
また、無線端末10が移動しているケースでは、公衆無線LANを構成する無線アクセスポイント20から出力される電波の受信状態が不安定である可能性が高い。このように、電波の受信状態が不安定な環境下におけるアップロード又はダウンロードが行われると、バッテリ13に蓄積される電力が不要に消費されてしまう。
【0083】
第1実施形態では、上述したように、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立された場合にのみ、限定された無線アクセスポイント20を介してアップロード又はダウンロードが行われるため、ユーザの利便性を損なわずに、バッテリ13に蓄積された電力の消費を抑制することができる。
【0084】
第1実施形態では、限定された無線アクセスポイント20は、外部ストレージ40が接続するホームネットワーク50内に設けられる無線アクセスポイント20であることが好ましい。このようなケースでは、無線アクセスポイント20の設置場所が自宅や職場であることが想定され、無線端末10の充電が容易であることが多い。また、無線アクセスポイント20の電波状態が安定していることが多い。従って、ユーザの利便性が損なわれないように、アップロード又はダウンロードが許容される。
【0085】
第1実施形態では、限定された無線アクセスポイント20は、外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20であることが好ましい。外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20の設置場所が自宅や職場であることが想定され、無線端末10の充電が容易であることが多い。また、無線アクセスポイント20の電波状態が安定していることが多い。従って、ユーザの利便性が損なわれないように、アップロード又はダウンロードが許容される。
【0086】
第1実施形態では、バッテリ13に蓄積された電力が所定閾値以上である場合に、限定された無線アクセスポイント20を介して、アップロード又はダウンロードを行うことが好ましい。これによって、アップロード又はダウンロードに起因してバッテリ13に蓄積された電力が減少して、無線端末10が機能しなくなる事態が抑制される。
【0087】
第1実施形態では、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が切断された場合に、アップロード又はダウンロードを中止することが好ましい。例えば、限定された無線アクセスポイント20と無線接続された状態から、限定された無線アクセスポイント20以外の無線アクセスポイント20や無線基地局30と無線接続が確立された状態に遷移しても、アップロード又はダウンロードを中止することが好ましい。これによって、ユーザが意図していない経路でアップロード又はダウンロードが継続されて、バッテリ13に蓄積される電力が消費されることが抑制される。
【0088】
ここで、無線端末10が無線LAN(無線アクセスポイント20)及び移動体通信網(無線基地局30)の双方と無線接続を確立する機能を有する場合において、外部ストレージ40に対するデータのアップロード又はダウンロードを自動的に行うときに経由する無線アクセスポイント20を限定する効果についてさらに説明する。
【0089】
一般的に、移動体通信網のサービスカバーエリアは、無線LANのサービスカバーエリアよりも広いが、移動体通信網の通信速度は、無線LANの通信速度よりも低い。言い換えると、移動体通信網では、データのアップロード及びダウンロードが可能なエリアが広いが、データのアップロード及びダウンロードに必要な時間が長い。
【0090】
これに対して、無線LANのサービスカバーエリアは、移動体通信網のサービスカバーエリアよりも狭いが、無線LANの通信速度は、移動体通信網の通信速度よりも高い。言い換えると、無線LANでは、データのアップロード及びダウンロードが可能なエリアが狭いが、データのアップロード及びダウンロードに必要な時間が短い。
【0091】
ところで、データのアップロード及びダウンロードについては、1日の中で頻繁に行われる要性が低いことが考えられる。例えば、無線端末10に記憶されたデータのバックアップ先として外部ストレージ40を用いるケースである。このような点に着目して、限定された無線アクセスポイントとして、自宅や職場などに設けられた無線アクセスポイントを用いることによって、ユーザの利便性を損なわずに、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することができる。
【0092】
言い換えると、無線基地局30を経由するデータのアップロード及びダウンロードの自動化を制限することによって、データのアップロード及びダウンロードの頻発、データのアップロード及びダウンロードに必要な時間の長期化が抑制される。従って、バッテリに蓄積された電力の消費を抑制することができる。
【0093】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0094】
実施形態では特に触れていないが、外部ストレージ40を登録する手順で用いる無線アクセスポイント20は、外部ストレージ40が接続するホームネットワーク50内に設けられる無線アクセスポイント20に限られていてもよい。
【0095】
実施形態では特に触れていないが、無線端末10は、限定された無線アクセスポイント20から出力が所定閾値以上である場合に、アップロード又はダウンロードを行ってもよい。
【0096】
実施形態では特に触れていないが、無線端末10は、限定された無線アクセスポイント20から出力が所定閾値以上である時間が所定時間以上である場合に、アップロード又はダウンロードを行ってもよい。
【0097】
実施形態では特に触れていないが、無線端末10は、無線端末10がAC電源に接続されている状態であれば、バッテリ13に蓄積された電力に関係なく、アップロード又はダウンロードを行ってもよい。
【0098】
実施形態では特に触れていないが、無線端末10は、限定された無線アクセスポイント20と確立された無線接続が切断された場合に、アップロード又はダウンロードを中止してもよいことは勿論である。
【0099】
実施形態では、アップロード又はダウンロードについて主として説明したが、実施形態は、データの同期に適用されてもよい。すなわち、無線端末10は、限定された無線アクセスポイント20と無線接続が確立された場合にのみ、無線端末10と外部ストレージ40との間でデータの同期を行ってもよい。
【0100】
なお、上述した無線端末10の動作をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。このようなプログラムは、DVD−ROMやCD−ROMなどの記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよく、インターネット網などのネットワークを介して提供されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…無線端末、11…無線通信部、12…格納部、13…バッテリ、14…制御部、20…無線アクセスポイント、30…無線基地局、31…カバーエリア、40…外部ストレージ、50…ホームネットワーク、60…広域通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線接続を許可する無線アクセスポイントと無線接続を確立する無線通信部を有する無線端末であって、
外部ストレージに対するデータのアップロード又は前記外部ストレージからデータのダウンロードを行う制御部を備え、
前記制御部は、前記無線接続を許可する無線アクセスポイントのうち、限定された無線アクセスポイント以外の無線アクセスポイントと無線接続が確立されても、前記アップロード又は前記ダウンロードを行わずに、前記限定された無線アクセスポイントと無線接続が確立されると、前記限定された無線アクセスポイントを介して前記アップロード又は前記ダウンロードを行うことを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記限定された無線アクセスポイントは、前記外部ストレージが接続するネットワーク内に設けられる無線アクセスポイントであることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記無線接続を許可する無線アクセスポイントを介して、前記アップロード又は前記ダウンロードを行う相手装置として前記外部ストレージを登録する手順を制御し、
前記限定された無線アクセスポイントは、前記外部ストレージを登録する手順で用いる無線アクセスポイントであることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項4】
前記無線端末を駆動する電力を蓄積するバッテリをさらに備え、
前記制御部は、前記バッテリに蓄積された電力が所定閾値以上である場合に、前記アップロード又はダウンロードを行うことを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記限定された無線アクセスポイントと確立された無線接続が切断された場合に、前記アップロード又は前記ダウンロードを中止することを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項6】
無線接続を許可する無線アクセスポイントと無線接続を確立する無線通信部を有する無線端末に適用されるプログラムであって、コンピュータに、
前記無線接続を許可する無線アクセスポイントのうち、限定された無線アクセスポイント以外の無線アクセスポイントと無線接続が確立されても、外部ストレージに対するデータのアップロード又は前記外部ストレージからデータのダウンロードを行わずに、前記限定された無線アクセスポイントと無線接続が確立されると、前記限定された無線アクセスポイントを介して前記アップロード又は前記ダウンロードを行うステップを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−42302(P2013−42302A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177154(P2011−177154)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】