無線装置およびそれを備えた無線ネットワーク
【課題】転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を提供する。
【解決手段】無線装置(Add3)は、緊急パケットを生成し、その生成した緊急パケットを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて送信する。無線装置(Add2)は、無線装置(Add3)からの緊急パケットの受信が完了した後に緊急パケットを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する。無線装置(Add1)および無線装置(Add6)は、それぞれ、無線装置(Add2)および無線装置(Add1)からの緊急パケットの受信が完了した後に緊急パケットを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する。
【解決手段】無線装置(Add3)は、緊急パケットを生成し、その生成した緊急パケットを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて送信する。無線装置(Add2)は、無線装置(Add3)からの緊急パケットの受信が完了した後に緊急パケットを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する。無線装置(Add1)および無線装置(Add6)は、それぞれ、無線装置(Add2)および無線装置(Add1)からの緊急パケットの受信が完了した後に緊急パケットを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線装置およびそれを備えた無線ネットワークに関し、特に、マルチチャネルを用いて無線通信を行なう無線装置およびそれを備えた無線ネットワークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カットスルー方式によってパケットを転送する高速転送技術が知られている(非特許文献1)。
【0003】
この高速転送技術は、パケットを受信し始めると、そのパケットのヘッダを参照して、そのパケットが中継パケットであると判定すると、そのパケットをそのまま転送するものである。
【非特許文献1】酒井 敏宏、門脇 直人、板谷 聡子、Nouri Shirazi Mahdad、小花 貞夫,“アドホック無線通信システムの高レスポンス化に関する提案”,電子情報通信学会技術研究報告,RCS−2006−128(2006−8).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、パケットを受信しながら転送すると、転送された転送信号が受信信号と干渉を起こすという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を備えた無線ネットワークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、受信手段と、転送手段とを備える。受信手段は、他の無線装置から送信されたパケットを1個の周波数チャネルと1個の拡散符号とを用いて受信する。転送手段は、受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、緊急パケットの受信完了後に、1個の周波数チャネルと1個の拡散符号とを用いて緊急パケットを転送する。
【0008】
好ましくは、転送手段は、受信手段から受けた緊急パケットのヘッダ以外の本体部を一時記憶バッファに格納するとともに、ヘッダを更新し、その更新したヘッダを一時記憶バッファから取り出した本体部に付加して緊急パケットを再構築し、その再構築した緊急パケットを転送する。
【0009】
また、この発明によれば、無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、受信手段と、転送手段とを備える。受信手段は、複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いてパケットを他の無線装置から受信する。転送手段は、受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0010】
好ましくは、転送手段は、緊急パケットの受信完了後に第2の周波数チャネルおよび/または第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0011】
好ましくは、転送手段は、物理層に属し、受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急パケットであると判定したとき、緊急パケットを物理層よりも上位の層へ上げることなく緊急パケットを転送する。
【0012】
更に、この発明によれば、無線ネットワークは、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する。第2の無線装置は、第1の無線装置から第1の周波数チャネルおよび第1の拡散符号を用いて緊急パケットの受信を開始するとともに、緊急パケットの受信が完了すると、第1の周波数チャネルおよび第1の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0013】
更に、この発明によれば、無線ネットワークは、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する。第2の無線装置は、第1の無線装置から第1の周波数チャネルおよび第1の拡散符号を用いて緊急パケットの受信を開始するとともに、第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0014】
好ましくは、第2の無線装置は、緊急パケットの受信完了後に第2の周波数チャネルおよび/または第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【発明の効果】
【0015】
この発明においては、各無線装置は、緊急パケットの受信完了後に緊急パケットを転送する。その結果、各無線装置において、緊急パケットの転送期間は、緊急パケットの受信期間からずれる。
【0016】
従って、この発明によれば、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットを転送できる。
【0017】
また、この発明においては、各無線装置は、緊急パケットを受信するときの周波数チャネルと異なる周波数チャネルおよび/または緊急パケットを受信するときの拡散符号と異なる拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。その結果、各無線装置は、転送信号と受信信号とを識別して検出する。
【0018】
従って、この発明によれば、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットを転送できる。
【0019】
更に、この発明においては、各無線装置は、緊急パケットの受信完了後に、緊急パケットを受信するときの周波数チャネルと異なる周波数チャネルおよび/または緊急パケットを受信するときの拡散符号と異なる拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。その結果、各無線装置において、緊急パケットの転送期間は、緊急パケットの受信期間からずれる。また、各無線装置は、転送信号と受信信号とを識別して検出する。
【0020】
従って、この発明によれば、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットを転送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による無線ネットワークの概略図である。この発明の実施の形態による無線ネットワーク10は、無線装置1〜8を備える。無線装置1〜8は、それぞれ、車両C1〜C8に搭載される。そして、無線装置1〜8は、自律的に無線ネットワークを構成する。
【0023】
車両C1〜C8は、道路を走行し、交差点を通過する。このような場合、各車両C1〜C8は、信号機が交差点に設置されていなければ、出会い頭衝突事故および右折時事故等の交通事故を起こすこともあるので、このような交通事故を防止する必要がある。また、各車両C1〜C8は、自己の前方で交通事故が発生したことを検知した場合、前方における交通事故の発生を後方の車両へ知らせる必要がある。更に、各車両C1〜C8は、後方から救急車が近づいて来ていることを検知した場合、救急車の接近を前方の車両へ知らせる必要がある。
【0024】
そこで、以下においては、交通事故の発生を防止するとともに、救急車等の緊急車両のスムーズな走行を確保するために、各無線装置1〜8が自己の周辺を走行している他の車両の位置情報を検知するとともに、交通事故の発生または緊急車両の接近を知らせるための緊急パケットを干渉を抑制して他の無線装置へ転送する方法について説明する。
【0025】
図2は、拡散符号と周波数チャネルとの関係を示す図である。図2において、縦軸は、拡散符号を表し、横軸は、周波数チャネルを表す。15個の拡散符号Code1〜Code15は、周波数チャネルf1〜f4の各々に対して割り当てられる。
【0026】
従って、各無線装置1〜8は、後述する方法によって、周波数チャネルf1〜f4から1つの周波数チャネルft(周波数チャネルf1〜f4のいずれか)を選択するとともに、拡散符号Code1〜Code15から1つの拡散符号Code_t(拡散符号Code1〜Code15のいずれか)を選択し、その選択した周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tを用いてパケットを送信する。
【0027】
また、各無線装置1〜8は、後述する方法によって、周波数チャネルf1〜f4から1つの周波数チャネルfr(周波数チャネルftと異なる周波数チャネルf1〜f4のいずれか)を選択するとともに、拡散符号Code1〜Code15から1つの拡散符号Code_r(拡散符号Code_tと異なる拡散符号Code1〜Code15のいずれか)を選択し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを用いてパケットを受信する。
【0028】
図3は、パケットのフォーマットを示す図である。パケットPKTは、プリアンブル(PR)と、ユニークワード(UW)と、DATA_Aと、DATA_Bと、DATA_Cとを含む。
【0029】
DATA_Aは、CTと、CRC_Aとを含む。DATA_Bは、MAC(Media Access Control)と、LLC(Logical Link Control)と、CRC_Bとを含む。DATA_Cは、LSDU(Link Service Data Unit)と、CRC_Cとを含む。
【0030】
CTは、緊急パケットであるか否かを判断するためのフラグFLGと、緊急情報の送信元の無線装置を識別する識別番号ID_Sと、緊急パケットPKT_EMGの転送元である無線装置を識別する識別番号ID_Tと、緊急パケットPKT_EMGの伝達方向DRと、緊急パケットPKT_EMGの生存期間TTLと、緊急パケットPKT_EMGのシーケンス番号SEQ_Aとを含む。
【0031】
CRC_A,CRC_B,CRC_Cの各々は、誤り検出符号である。MACは、MAC制御を行なうためのフィールドである。LLCは、LLC制御を行なうためのフィールドである。LSDUは、リンクサービスデータ単位であり、シーケンス番号SEQ_Bを含む。
【0032】
CTは、CRC_Aによって誤り検出され、MACおよびLLCは、CRC_Bによって誤り検出され、LSDUは、CRC_Cによって誤り検出される。
【0033】
プリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)は、各無線装置1〜8の物理層において付加される。なお、各領域に対する誤り訂正符号は、FEC1,FEC2およびFEC3であり、図3のパケットフォーマットに示した通りである。
【0034】
パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるとき、フラグFLGには、“ON”情報が格納され、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであるとき、フラグFLGには、“OFF”情報が格納される。
【0035】
そして、この発明においては、CTおよびCRC_Aは、ヘッダHEDを構成する。また、DATA_B(=MAC+LLC+CRC_B)およびDATA_C(=LSDU+CRC_C)は、本体部BODYを構成する。
【0036】
[実施の形態1]
図4は、図1に示す無線装置1の実施の形態1における構成を示す概略図である。無線装置1は、通信制御部11と、GPS(Global Positioning System)受信機12とを備える。
【0037】
通信制御部11は、階層構造からなり、送受信手段111と、MACモジュール112と、処理手段113と、定期パケット発生手段114と、緊急パケット発生手段115とを含む。
【0038】
GPS受信機12は、無線装置1のGPS信号をGPS衛星から定期的に受信し、その受信したGPS信号を処理手段113および定期パケット発生手段114へ出力する。
【0039】
送受信手段111は、物理層に属する。そして、送受信手段111は、他の無線装置からパケットPKTを受信すると、その受信したパケットPKTの受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換する。その後、送受信手段111は、ディジタル信号からなる受信信号に基づいて、後述する方法によって、4個の周波数チャネルf1〜f4および15個の拡散符号Code1〜Code15によって構成される60個のチャネルの各々におけるパケットPKTの受信信号強度である60個の評価値を演算し、その演算した60個の評価値のち、最大の評価値が得られたときの周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択する。また、送受信手段111は、60個の評価値のうち、最小の評価値が得られたときの周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tを選択する。
【0040】
また、送受信手段111は、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスと、無線装置1に対する送信元の存在方向を示す相対方向とを処理手段113から定期的に受ける。そして、送受信手段111は、その受けた送信元のアドレスと相対方向とを用いて、後述する方法によって、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定するための転送テーブルを作成または更新し、その作成または更新した転送テーブルを保持する。
【0041】
更に、送受信手段111は、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、周波数チャネルチャネルfrにおけるパケットPKTのヘッダのみを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後のヘッダをデコードする。また、送受信手段111は、パケットPKTのヘッダHED以外の部分である本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時的に記憶する。
【0042】
そして、送受信手段111は、ヘッダのフラグFLGを参照して、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるか定期パケットPKT_PRDであるかを判定する。より具体的には、送受信手段111は、フラグFLGに“ON”情報が設定されていれば、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定し、フラグFLGに“OFF”情報が設定されていれば、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであると判定する。
【0043】
送受信手段111は、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、転送テーブルを参照して、後述する方法によって、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する。
【0044】
そして、送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定したとき、ヘッダのみを後述する方法によって再構築する。その後、送受信手段111は、再構築したヘッダをエンコードし、そのエンコード後のヘッダを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する。
【0045】
そうすると、送受信手段111は、一時記憶バッファから緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを取り出し、その取り出した本体部BODYにヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfrで転送する。
【0046】
その後、送受信手段111は、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、送受信手段111は、そのデコードしたパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG)をMACモジュール112へ出力する。
【0047】
また、送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMGの転送および受信が不要であると判定したとき、デコードしたヘッダHEDと、一時的に記憶した本体部BODYとを破棄する。
【0048】
更に、送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMGの転送が不要であるが、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であるとき、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、送受信手段111は、そのデコードしたパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG)をMACモジュール112へ出力する。
【0049】
一方、送受信手段111は、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであると判定したとき、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、送受信手段111は、そのデコードしたパケットPKT(=定期パケットPKT_PRD)をMACモジュール112へ出力する。
【0050】
また、送受信手段111は、MACモジュール112からパケットPKT(定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMG)を受けると、その受けたパケットPKTにプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加し、そのプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加したパケットPKTを拡散符号Code_tによってスペクトル拡散するとともに、その拡散したパケットPKTを周波数チャネルftで送信する。
【0051】
MACモジュール112は、MAC層に属し、定期パケット発生手段114から受けた定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケット発生手段115から受けた緊急パケットPKT_EMGに対してMACヘッダの付加等のMAC部における制御および処理を行なう。そして、MACモジュール112は、定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGを送受信手段111へ出力する。
【0052】
また、MACモジュール112は、送受信手段111から定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGを受け、その受けた定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGからMACヘッダを除去等して定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGを処理手段113へ出力する。
【0053】
処理手段113は、上位層に属し、他の無線装置から送信された定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112から受ける。そして、処理手段113は、定期パケットPKT_PRDから定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスと、送信元のGPS信号とを取り出す。なお、GPS信号は、緯度、経度、速度、進行方向(=方位)、および時刻からなる。
【0054】
また、処理手段113は、GPS受信機12から無線装置1のGPS信号を受ける。そして、処理手段113は、公知の方法によって、無線装置1のGPS信号の緯度および経度を無線装置1の位置情報(x,y座標からなる)に変換するとともに、他の無線装置のGPS信号の緯度および経度を他の無線装置の位置情報(x,y座標からなる)に変換する。その後、処理手段113は、無線装置1の位置情報と他の無線装置の位置情報とに基づいて、無線装置1に対する他の無線装置の相対位置を求めるとともに、無線装置1に対する他の無線装置の存在方向を示す相対方向を求める。
【0055】
そうすると、処理手段113は、他の無線装置のアドレス、他の無線装置のGPS信号、他の無線装置の相対位置および他の無線装置の相対方向に基づいて、周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。
【0056】
そして、処理手段113は、周辺車両情報テーブルから他の無線装置のアドレスおよび相対方向を定期的(例えば、100msec毎)に取り出して送受信手段111へ出力する。
【0057】
更に、処理手段113は、他の無線装置のアドレスおよび他の無線装置のGPS信号を定期パケット発生手段114へ出力する。
【0058】
更に、処理手段113は、緊急パケットPKT_EMGから緊急情報を取り出し、その取り出した緊急情報を表示手段(図示せず)によってドライバーに視聴覚情報として与える。
【0059】
定期パケット発生手段114は、上位層に属し、GPS受信機12から無線装置1のGPS信号を定期的に受け、処理手段113から他の無線装置のアドレスおよび他の無線装置のGPS信号を受ける。そして、定期パケット発生手段114は、無線装置1のアドレス/無線装置1のGPS信号と、他の無線装置のアドレス/他の無線装置のGPS信号とを含む定期パケットPKT_PRDを発生し、その発生した定期パケットPKT_PRDをMACモジュール112を介して定期的に送信する。
【0060】
緊急パケット発生手段115は、上位層に属し、無線装置1が搭載された車両C1のドライバーが交通事故の発生または緊急車両の接近を示す情報を緊急情報として無線装置1へ入力することによって、緊急情報を外部から受ける。
【0061】
そして、緊急パケット発生手段115は、緊急情報を受けると、その受けた緊急情報と、無線装置1のアドレスと、シーケンス番号(SEQ_A)と、伝達方向とを含む緊急パケットPKT_EMGを発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112を介して送信する。
【0062】
なお、図1に示す無線装置2〜8の各々は、図4に示す無線装置1と同じ構成からなる。
【0063】
図5は、受信信号を拡散符号によって逆拡散して得られる評価値の演算に用いるパケット中のシンボル部の概念図である。
【0064】
シンボル部は、受信されたパケットPKTの任意の位置からなる。即ち、シンボル部は、各無線装置1〜8においてパケットの送信が発生したときに各無線装置1〜8が受信しているパケットの一部に相当する。例えば、各無線装置1〜8においてパケットの送信が発生したときに各無線装置1〜8がパケットの中央部を受信しているのであれば、パケットの中央部がシンボル部になり、各無線装置1〜8がパケットの先頭部を受信しているのであれば、パケットの先頭部がシンボル部になり、各無線装置1〜8がパケットの後部を受信しているのであれば、パケットの後部がシンボル部になる。つまり、パケットの送信が発生したときに各無線装置1〜8が受信している部分がシンボル部になる。そして、シンボル部は、N(Nは、2以上の整数)個のシンボルからなる。
【0065】
周波数チャネルf(f=f1〜f4)における受信信号を拡散符号k(k=Code1〜Code15)によって逆拡散して得られた値(複素数)の絶対値をN個のシンボルにわたって平均化した値を<ξk>av,fとする。N個のシンボルのうちのs(s=1〜N)番目のシンボルにおいて、受信信号を拡散符号kによって逆拡散して得られる値ξIk,s,fおよびξQk,s,fをそれぞれ次の式(1)および式(2)によって求める。
【0066】
【数1】
【0067】
【数2】
【0068】
なお、式(1)において、Iは、周波数チャネルfにおける受信信号の実数成分を表し、Qは、周波数チャネルfにおける受信信号の虚数成分を表す。
【0069】
そして、各シンボルの干渉量の大きさξk,s,fを次式によって求める。
【0070】
【数3】
【0071】
そして、干渉量の大きさξk,s,fを次式によってN個のシンボルについて平均化し、評価値<ξk>av,fを求める。
【0072】
【数4】
【0073】
従って、送受信手段111は、上述した式(1)〜式(4)を用いて評価値<ξk>av,fを全ての周波数チャネルf1〜f4および全ての拡散符号Code1〜Code15に対して求め、その求めた60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も小さい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ干渉量が少ない周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tとして選択する。
【0074】
また、送受信手段111は、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0075】
図6は、実施の形態1における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。周辺車両情報テーブル20は、無線装置IDと、時刻と、位置情報と、シーケンス番号SEQ_Bと、相対位置と、相対方向とからなる。
【0076】
無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号SEQ_B、相対位置、および相対方向は、相互に対応付けられる。無線装置IDは、定期パケットPKT_PRDの送信元の識別情報を示し、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスからなる。
【0077】
時刻は、位置情報を取得した時刻を示し、時/分/秒(HHHH/MMMM/SSSS)からなっており、アプリケーションに応じて、年/月/日(YYYY/MMMM/DDDD)の情報を付加してもよい。位置情報は、緯度、経度、方位および速度からなる。シーケンス番号SEQ_Bは、定期パケットPKT_PRDの送信元によって付与され、正の整数からなる。そして、シーケンス番号SEQ_Bは、定期パケットPKT_PRDの生成順を示す。従って、シーケンス番号SEQ_Bの数値が大きい程、定期パケットPKT_PRDが新しいことを表す。
【0078】
相対位置は、周辺車両情報テーブル20を作成する無線装置の位置に対する定期パケットPKT_PRDの送信元の位置からなる。相対方向は、周辺車両情報テーブル20を作成する無線装置に対する定期パケットPKT_PRDの送信元の存在方向からなる。
【0079】
図7は、実施の形態1における転送テーブルの構成を示す図である。転送テーブル30は、無線装置IDと、シーケンス番号(SEQ_A)と、相対方向とからなる。無線装置ID、シーケンス番号(SEQ_A)、および相対方向は、相互に対応付けられる。
【0080】
無線装置IDは、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスからなる。図7中のシーケンス番号(SEQ_A)は、“0”または緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDに含まれているシーケンス番号SEQ_Aからなる。相対方向は、転送テーブル30を作成する無線装置に対する定期パケットPKT_PRDの送信元の存在方向からなる。
【0081】
なお、無線装置IDおよび相対方向は、それぞれ、図6に示す周辺車両情報テーブル20における無線装置IDおよび相対方向からなる。
【0082】
図8は、図4に示す送受信手段111の構成を示す概略ブロック図である。送受信手段111は、受信処理部1111と、転送処理部1112と、送信処理部1113とを含む。そして、転送処理部1112は、転送処理実行部1110と、一時記憶バッファ1120とを含む。
【0083】
受信処理部1111は、パケットPKTを周波数チャネルf1〜f4の各々で受信し、その受信したパケットPKTの4個の受信信号の各々をアナログ信号からディジタル信号に変換する。そして、受信処理部1111は、ディジタル信号からなる4個の受信信号の各々を拡散符号Code1〜Code15の各々によって逆拡散して、上述した60個の評価値を演算する。その後、受信処理部1111は、60個の評価値に基づいて、周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tを選択するとともに、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択する。そして、受信処理部1111は、周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tの組と、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rの組とを送信処理部1113へ出力する。
【0084】
受信処理部1111は、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、パケットPKTのヘッダHEDのみを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後のヘッダHEDをデコードする。そして、受信処理部1111は、デコードしたヘッダHEDのフラグFLGを参照して、上述した方法によって、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるか定期パケットPKT_PRDであるかを判定する。
【0085】
受信処理部1111は、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、そのデコードしたヘッダHEDのCTを転送処理部1112の転送処理実行部1110へ出力し、ディジタル信号からなるパケットPKTの本体部BODYを一時記憶バッファ1120へ出力する。
【0086】
その後、受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受けると、一時記憶バッファ1120に格納された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを読み出し、その読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111は、デコードした緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112へ出力する。
【0087】
一方、受信処理部1111は、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであると判定すると、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111は、デコードしたパケットPKT(=定期パケットPKT_PRD)をMACモジュール112へ出力する。
【0088】
転送処理部1112の転送処理実行部1110は、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスと無線装置1に対する送信元の存在方向を示す相対方向とを処理手段113から定期的に受ける。そして、転送処理実行部1110は、その受けた送信元のアドレスおよび相対方向をそれぞれ無線装置IDおよび相対方向に格納するとともに、シーケンス番号(SEQ_A)に“0”を格納して転送テーブル30を作成または更新し、その作成または更新した転送テーブル30を保持する。
【0089】
また、転送処理実行部1110は、受信処理部1111から緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDに含まれるCTを受けると、その受けたCTと、転送テーブル30とに基づいて、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する。
【0090】
より具体的には、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGのCTを参照して、緊急パケットPKT_EMGの生存期間TTLが有効(TTL>0)であるか否かを判定し、CTに含まれる伝達方向DRが転送テーブル30に登録されている相対方向と一致するか否かを判定する。
【0091】
そして、転送処理実行部1110は、生存期間TTLが有効(TTL>0)であり、かつ、CTに含まれる伝達方向DRが転送テーブル30に登録されている相対方向に一致すると判定したとき、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”からなるか否かを判定する。
【0092】
転送処理実行部1110は、この判定において、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”からなると判定したとき、該緊急パケットPKT_EMGを未転送と判断でき、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定する。
【0093】
一方、転送処理実行部1110は、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”ではないと判定したとき、緊急パケットPKT_EMGのCTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aと、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)とを比較する。そして、転送処理実行部1110は、シーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)よりも大きいとき、緊急パケットPKT_EMGを新たに受信したと判断でき、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定する。また、転送処理実行部1110は、シーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)以下であるとき、既に受信した緊急パケットPKT_EMGを再度受信したと判断でき、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきでないと判定する。つまり、転送処理実行部1110は、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”ではないとき、通常のシーケンス番号の使用方法に基づいて、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する。
【0094】
そして、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定したとき、緊急パケットPKT_EMGを転送する無線装置の識別番号ID_Tおよび生存期間TTLを更新してCTを更新する。その後、転送処理実行部1110は、誤り検出符号CRC_Aを新たに算出し、その算出した誤り検出符号CRC_Aに、更新したCTを付加してヘッダHEDを再構築する。そうすると、転送処理実行部1110は、一時記憶バッファ1120に格納された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODY(ディジタル信号からなる)を取り出し、その取り出した本体部BODYと、再構築したヘッダHEDとを送信処理部1113へ出力する。そして、転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aを転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)に格納して転送テーブル30を更新する。その後、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力する。
【0095】
一方、転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCTに含まれる生存期間TTLが“0”であり、CTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)よりも大きいとき、緊急パケットPKT_EMGの転送は不要であるが、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であると判定し、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力する。
【0096】
また、転送処理実行部1110は、例えば、CTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)以下であるとき、緊急パケットPKT_EMGの転送および受信が不要であると判定し、一時記憶バッファ1120から緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを読み出し、その読み出した本体部BODYと、受信処理部1111から受けたCTとを破棄する。この場合、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力しない。
【0097】
一時記憶バッファ1120は、緊急パケットPKT_EMGの本体部BODY(ディジタル信号からなる)を受信処理部1111から受け、その受けた本体部BODYの全体を一時的に記憶する。その後、一時記憶バッファ1120は、その記憶した本体部BODYを読出要求に応じて受信処理部1111および/または転送処理実行部1110へ出力する。
【0098】
送信処理部1113は、周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tの組と、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rの組とを受信処理部1111から受ける。そして、送信処理部1113は、MACモジュール112からパケットPKT(定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMG)を受けると、その受けたパケットPKTにプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加し、そのプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加したパケットPKTを拡散符号Code_tによってスペクトル拡散するとともに、その拡散したパケットPKTをディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルftで送信する。
【0099】
また、送信処理部1113は、転送処理部1112の転送処理実行部1110からヘッダHEDおよび本体部BODYを受けると、その受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散し、更に、その拡散後のヘッダHEDを本体部BODYに付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築する。そして、送信処理部1113は、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfrで転送する。
【0100】
図9は、実施の形態1における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【0101】
各無線装置1〜8において、受信処理部1111は、パケットPKTを受信し、パケットPKTのヘッダHEDをデコードしてパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定した後、パケットPKTのヘッダHED以外の本体部BODY(=DATA_B+DATA_C)をタイミングt1で一時記憶バッファ1120へ格納し始め、タイミングt2で本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納を完了する。
【0102】
そして、転送処理部1112の転送処理実行部1110は、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了したタイミングt2の後、ヘッダHEDを再構築し、その再構築したヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを送信処理部1113へ出力する。そうすると、送信処理部1113は、ヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する。そして、送信処理部1113は、その拡散後のヘッダHEDを本体部BODYに付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して緊急パケットPKT_EMGの転送をタイミングt3において周波数チャネルfrで開始し、タイミングt4で緊急パケットPKT_EMGの転送を完了する。
【0103】
このように、実施の形態1においては、受信が開始された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に一時的に格納し、その後に緊急パケットPKT_EMGを転送することによって、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に緊急パケットPKT_EMGを転送することを実現している。
【0104】
従って、実施の形態1においては、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に緊急パケットPKT_EMGを転送することを特徴とする。これによって、緊急パケットPKT_EMGを受信する期間と、緊急パケットPKT_EMGを転送する期間とをずらすことができ、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0105】
図10は、交通状況を示す図である。また、図11は、周辺車両情報テーブル20の第1の例を示す図である。更に、図12は、転送テーブル30の第1の例を示す図である。更に、図13は、周辺車両情報テーブル20の第2の例を示す図である。更に、図14は、転送テーブル30の第2の例を示す図である。
【0106】
図10に示すように、車両C1〜C3,C6,C7は、道路RD1を交差点CRへ向かって走行しており、車両C4は、道路RD4を交差点CRへ向かって走行しており、車両C5は、道路RD2を交差点CRから遠ざかる方向へ走行しており、車両C8は、道路RD3を交差点CRから遠ざかる方向へ走行している。
【0107】
このような状況において、車両C1〜C8にそれぞれ搭載された無線装置1〜8は、上述した方法によって定期パケットPKT_PRDを定期的に発生するとともに、その発生した定期パケットPKT_PRDを送信する。
【0108】
その結果、車両C2に搭載された無線装置2の処理手段113は、他の無線装置から受信した定期パケットPKT_PRDに含まれる他の無線装置1,3〜8のアドレスおよびGPS信号と、自己のGPS信号とに基づいて、上述した方法によって、図11に示す周辺車両情報テーブル20−1を作成する。
【0109】
そして、無線装置2の処理手段113は、周辺車両情報テーブル20−1から無線装置IDと相対方向との組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]を取り出し、その取り出した組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]を転送処理部1112の転送処理実行部1110へ出力する。
【0110】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110は、処理手段113から組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]を受け、その受けた組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]に基づいて、上述した方法によって、図12に示す転送テーブル30−1を作成する。この場合、無線装置2の転送処理実行部1110は、無線装置2が無線装置1,3〜8からの緊急パケットPKT_EMGを未だ転送していないので、シーケンス番号(SEQ_A)に“0”を格納して転送テーブル30−1を作成する。
【0111】
同様にして、無線装置1の処理手段113は、図13に示す周辺車両情報テーブル20−2を作成し、無線装置1の転送処理実行部1110は、図14に示す転送テーブル30−2を作成する。
【0112】
なお、図示していないが、無線装置3〜8も、同様にして、周辺車両情報テーブル20および転送テーブル30を作成する。
【0113】
このように、緊急情報が発生していない状況においては、各無線装置1〜8は、定期パケットPKT_PRDを定期的に送受信して周辺車両情報テーブル20および転送テーブル30を作成し、その作成した周辺車両情報テーブル20に基づいて、他の無線装置が搭載された車両の位置、相対位置、進行方向および相対方向を検知し、その検知した車両の位置、相対位置、進行方向および相対方向に基づいて、交差点CRにおける出会い頭衝突事故防止のための安全支援として、車両接近の情報をドライバーに伝える。
【0114】
図15は、他の交通状況を示す図である。また、図16および図17は、それぞれ、転送テーブル30の第3および第4の例を示す図である。
【0115】
図15に示すように、救急車が後方から車両C3に接近した場合、無線装置3の緊急パケット発生手段115は、外部から緊急情報を受け、周辺車両情報テーブル20を参照して、救急車が後方から車両C3へ接近していることを検知し、後方から救急車が接近していることを車両C3の前方に位置する車両に通知する必要があると判断する。そして、無線装置3の緊急パケット発生手段115は、緊急パケットPKT_EMG1を他の車両に搭載された無線装置へ送信するために、緊急パケットPKT_EMGであることを示すフラグFLG=ON、送信元の識別番号ID_S=Add3、中継無線装置の識別番号ID_T=Add3、伝達方向=前方、生存期間TTL=4、シーケンス番号SEQ_A=10および緊急情報(=救急車の接近)を含む緊急パケットPKT_EMG1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10/救急車の接近]を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10/救急車の接近]をMACモジュール112を介して送受信手段111へ出力する。この場合、緊急情報(=救急車の接近)は、シーケンス番号SEQ_Bと共にパケットPKTのLSDU(図3参照)に格納される。
【0116】
そして、無線装置3の送受信手段111は、プリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を緊急パケットPKT_EMG1に付加し、そのプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code_t(=例えば、拡散符号Code2)によってスペクトル拡散し、その拡散後の緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルft(例えば、周波数チャネルf1)で送信する。
【0117】
車両C2に搭載された無線装置2の送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMG1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10/救急車の接近]を無線装置3から周波数チャネルf1〜f4の各々で受信する。
【0118】
そして、無線装置2の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMG1の4個の受信信号の各々をアナログ信号からディジタル信号に変換し、その変換したディジタル信号からなる4個の受信信号に基づいて、上述した方法によって、周波数チャネルfr(=無線装置3における周波数チャネルft=f1)および拡散符号Code_r(=無線装置3における拡散符号Code_t=Code2)を検出し、その検出した周波数チャネルfr=f1および拡散符号Code_r=Code2を送信処理部1113へ出力する。
【0119】
その後、無線装置2の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]を拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後のヘッダHED1をデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111は、デコードしたヘッダHED1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]のフラグFLG=ONを参照して、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であることを検知する。その後、無線装置2の受信処理部1111は、ヘッダHED1のCT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]を転送処理部1112の転送処理実行部1110へ出力し、本体部BODY=[救急車の接近]を転送処理部1112の一時記憶バッファ1120へ格納する。
【0120】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]の送信元ID_S=Add3および伝達方向=前方を参照して、緊急パケットPKT_EMG1が無線装置3において発生されたものであること、および緊急パケットPKT_EMG1を無線装置3よりも前方へ中継すべきことを検知する。
【0121】
そして、無線装置2の転送処理実行部1110は、転送テーブル30−1(図12参照)に登録されている相対方向(=後方)から、無線装置3から見た無線装置2の相対方向が前方となることと、CT1の伝達方向=前方とが一致することを検知する。
【0122】
その後、無線装置2の転送処理実行部1110は、送信元ID_S=Add3に対応するシーケンス番号(SEQ_A)が“0”であることと、生存期間TTL=4が“0”よりも大きいことを検出し、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきであると判定する。
【0123】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110は、CT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]に格納された中継無線装置の識別番号を無線装置3から無線装置2(=ID_T=Add2)に代え、生存期間TTL=4を“1”だけ減少させてCT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]をCT1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]に更新する。
【0124】
その後、無線装置2の転送処理実行部1110は、誤り検出符号CRC_Aを新たに算出し、その算出した誤り検出符号CRC_AをCT1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]に付加してヘッダHED1を再構築する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110は、一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出し、その読み出した本体部BODYと、再構築したヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]とを送信処理部1113へ出力する。また、無線装置2の転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMG1の受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力するとともに、ヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]に含まれるシーケンス番号SEQ_A=10を転送テーブル30−1(図12参照)の無線装置ID=Add3に対応するシーケンス番号(SEQ_A)に格納し、転送テーブル30−1を転送テーブル30−3(図16参照)に更新する。
【0125】
そして、無線装置2の送信処理部1113は、ヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]と、本体部BODYとを転送処理実行部1110から受けると、その受けたヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]をエンコードし、そのエンコード後のヘッダHED1を拡散符号Code_r=Code2によってスペクトル拡散する。その後、無線装置2の送信処理部1113は、その拡散後のヘッダHED1を本体部BODYに付加して緊急パケットPKT_EMG2=[ON/Add3/Add2/前方/3/10/救急車の接近]を再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMG2をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfr(=周波数チャネルf1)で転送する。
【0126】
一方、無線装置2の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受けると、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出し、その読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、更に、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111は、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113へ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0127】
このように、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理するとともに、緊急パケットPKT_EMG1の受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMG1を緊急パケットPKT_EMG2として転送する。
【0128】
無線装置1は、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMG2の受信を開始し、無線装置2と同じ方法によって、緊急パケットPKT_EMG2を受理するとともに、緊急パケットPKT_EMG2の受信が完了すると、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて緊急パケットPKT_EMG2を緊急パケットPKT_EMG3として無線装置6へ転送する。この場合、無線装置1は、緊急パケットPKT_EMG2のヘッダ=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]をヘッダ=[ON/Add3/Add1/前方/2/10]に更新する。
【0129】
そして、無線装置1の転送処理実行部1110は、転送テーブル30−2(図14参照)の無線装置ID=Add3に対応するシーケンス番号(SEQ_A)に緊急パケットPKT_EMG2のシーケンス番号SEQ_A=10を格納し、転送テーブル30−2を転送テーブル30−4(図17参照)に更新する。
【0130】
また、無線装置6は、無線装置1からの緊急パケットPKT_EMG3の受信を開始し、無線装置2と同じ方法によって、緊急パケットPKT_EMG3を受理するとともに、緊急パケットPKT_EMG3の受信が完了すると、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて緊急パケットPKT_EMG3を緊急パケットPKT_EMG4として無線装置7へ転送する。そして、無線装置6は、転送テーブル30を更新する。この場合、無線装置6は、緊急パケットPKT_EMG3のヘッダ=[ON/Add3/Add1/前方/2/10]をヘッダ=[ON/Add3/Add6/前方/1/10]に更新する。
【0131】
そして、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG4を無線装置6から受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG4を受理し、緊急パケットPKT_EMG4を転送しない。無線装置7が緊急パケットPKT_EMG4を受信することによって、緊急パケットの生存期間TTLが“0”になるからである。
【0132】
より詳細には、無線装置7の転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMG4の転送は不要であるが、緊急パケットPKT_EMG4の受信が必要であると判定すると、緊急パケットPKT_EMG4の受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力する。
【0133】
そして、無線装置7の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMG4の受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受け、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出す。その後、無線装置7の受信処理部1111は、その読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置7の受信処理部1111は、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG4をMACモジュール112を介して処理手段113へ出力する。
【0134】
図18は、実施の形態1における緊急パケットの転送を示す概念図である。車両C3に搭載された無線装置3は、緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて送信し、車両C2に搭載された無線装置2は、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を開始する(図18の(a)参照)。
【0135】
そして、車両C2に搭載された無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信が完了すると、上述した方法によって緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する。また、車両C1に搭載された無線装置1は、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて無線装置2からの緊急パケットPKT_EMGの受信を開始する(図18の(b)参照)。
【0136】
そして、無線装置1は、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMGの受信が完了すると、上述した方法によって緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する(図18の(c)参照)。
【0137】
車両C6に搭載された無線装置6も、上述した方法によって、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて緊急パケットPKT_EMGの受信を開始し、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了すると、緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する(図18の(c)参照)。
【0138】
車両C7に搭載された無線装置7は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMGの受信を周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて開始し、緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDに含まれる生存期間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMGを転送せず、緊急パケットPKT_EMGの受信処理のみを行なう(図18の(d)参照)。
【0139】
上述したように、各無線装置2,1,6は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGを転送する。その結果、転送された緊急パケットPKT_EMGからなる転送信号が受信信号に干渉波として作用することがない。
【0140】
従って、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送できる。
【0141】
上記においては、救急車が後方から接近した場合の緊急パケットPKT_EMGの伝搬について説明したが、例えば、図15において、右折しようとした車両C7が交差点CR内で車両C4と衝突事故を起こした場合、車両C6に搭載された無線装置6は、交通事故からなる緊急情報を含む緊急パケットPKT_EMGを発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMGを、上述した方法によって、無線装置1、無線装置2および無線装置3へ順次伝達する。
【0142】
そして、無線装置1〜3は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMGを干渉を抑制して受信し、交差点CR内で交通事故が起こっていることを検知し、緊急情報=交通事故を車両C1〜C3のドライバーに視聴覚情報として与える。従って、更なる事故を防止するための安全支援を行なうことができる。
【0143】
図19は、転送テーブル30の第5の例を示す図である。無線装置6の転送処理実行部1110は、転送テーブル30−5を保持している。従って、無線装置6の転送処理実行部1110は、既に、無線装置2,3,4,7が発生した緊急パケットPKT_EMGを受信して転送している。
【0144】
このような状況において、無線装置6の転送処理実行部1110は、無線装置2が発生した緊急パケットPKT_EMGを新たに受信した場合、転送テーブル30−5を参照して、無線装置ID=Add2に対応するシーケンス番号(SEQ_A)=20と、無線装置2から送信された緊急パケットPKT_EMGのヘッダHED(=CT)に含まれるシーケンス番号SEQ_Aとを比較し、シーケンス番号SEQ_Aがシーケンス番号(SEQ_A)=20よりも大きければ、緊急パケットPKT_EMGを転送し、シーケンス番号SEQ_Aがシーケンス番号(SEQ_A)=20以下であれば、緊急パケットPKT_EMGを転送しない。無線装置6の転送処理実行部1110は、無線装置3,4,7から緊急パケットPKT_EMGを新たに受信した場合も、同様に処理する。
【0145】
この実施の形態においては、緊急パケットPKT_EMGのシーケンス番号SEQ_Aは、緊急パケットPKT_EMGの発生元のみによって付与され、転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)には、緊急パケットPKT_EMGが転送された場合、緊急パケットPKT_EMGに含まれるシーケンス番号SEQ_Aを格納する構成を採用しているので、“0”以外の値が転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)に格納されている場合、転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)と緊急パケットPKT_EMGに含まれるシーケンス番号SEQ_Aとの大小関係によって緊急パケットPKT_EMGが転送されたり、転送されなかったりする。
【0146】
従って、緊急パケットPKT_EMGの重複転送を回避できる。
【0147】
図20は、実施の形態1における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、パケットPKTの受信を周波数チャネルfrで開始する(ステップS1)。
【0148】
そして、各無線装置1〜8は、パケットPKTをアナログ信号からデジタル信号に変換し、パケットPKTのヘッダHEDのみを拡散符号Code_rによって逆拡散する(ステップS2)。その後、各無線装置1〜8は、ヘッダHEDをデコードする(ステップS3)。
【0149】
そして、各無線装置1〜8は、そのデコードしたヘッダHEDに基づいて、上述した方法によってパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるか否かを判定する(ステップS4)。
【0150】
ステップS4において、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定されたとき、各無線装置1〜8は、パケットPKTの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に格納し(ステップS5)、デコードしたヘッダHEDのCTおよび転送テーブル30に基づいて、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する(ステップS6)。
【0151】
そして、ステップS6において、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定されたとき、各無線装置1〜8は、上述した方法によってヘッダHEDを再構築し(ステップS7)、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出す(ステップS8)。その後、各無線装置1〜8は、再構築したヘッダHEDをエンコードし(ステップS9)、そのエンコード後のヘッダHEDを緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号と同じ拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する(ステップS10)。
【0152】
そうすると、各無線装置1〜8は、本体部BODYにヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfrで転送する(ステップS11)。
【0153】
その後、一連の動作は、ステップS13へ移行する。
【0154】
一方、ステップS6において、緊急パケットPKT_EMGを転送しないと判定されたとき、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを受信するか否かを更に判定する(ステップS12)。
【0155】
ステップS12において、緊急パケットPKT_EMGを受信すると判定されたとき、またはステップS11の後、各無線装置1〜8の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受け、その受けた通知に応じて、一時記憶バッファ1120から本体部BODYを取り出す。そして、各無線装置1〜8の受信処理部1111は、その取り出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し(ステップS13)、その拡散後の本体部BODYをデコードする(ステップS14)。そうすると、各無線装置1〜8の受信処理部1111は、デコードした緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112を介して処理手段113へ出力し、処理手段113は、緊急パケットPKT_EMGを受ける。これによって、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを受信する(ステップS15)。
【0156】
一方、ステップS12において、緊急パケットPKT_EMGを受信しないと判定されたとき、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCTを破棄するとともに、一時記録バッファ1120から本体部BODYを取り出し、その取り出した本体部BODYを破棄する(ステップS16)。
【0157】
そして、ステップS4において、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGでないと判定されたときは、パケットPKTは定期パケットPKT_PRDであると判断し、定期パケット受信処理(図示せず)を行なった後、一連の動作は、終了する。また、ステップS15、またはステップS16の後、一連の動作は、終了する。
【0158】
上述したように、各無線装置1〜8は、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGである場合、緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYの全体を一時記憶バッファ1120に格納した後に、上述した方法によって、ヘッダHEDを更新して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGを転送する。その結果、転送信号が受信信号に干渉波として作用することはない。
【0159】
従って、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルおよび拡散符号と同一の周波数チャネルおよび同一の拡散符号を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0160】
なお、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態1においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0161】
また、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態1においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0162】
[実施の形態2]
図21は、図1に示す無線装置1〜8の実施の形態2における構成を示す概略図である。実施の形態2においては、図1に示す無線装置1〜8は、図21に示す無線装置1Aからなる。
【0163】
無線装置1Aは、図4に示す無線装置1の通信制御部11を通信制御部11Aに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0164】
通信制御部11Aは、図4に示す通信制御部11の送受信手段111を送受信手段111Aに代え、処理手段113を処理手段113Aに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0165】
送受信手段111Aは、送受信手段111と同じ方法によって、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら、ヘッダHEDを再構築して緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルと異なる送信周波数チャネルを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0166】
また、送受信手段111Aは、送受信手段111と同じ方法によって、受信周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択し、その選択した受信周波数チャネルfrをMACモジュール112を介して処理手段113Aへ出力する。送受信手段111Aは、その他、送受信手段111と同じ機能を果たす。
【0167】
処理手段113Aは、定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルfrを送受信手段111Aから受け、その受けた受信周波数チャネルfrを格納して周辺車両情報テーブル20(図6参照)に周波数チャネルの項目を追加した周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。処理手段113Aは、その他、処理手段113と同じ機能を果たす。
【0168】
図22は、図21に示す送受信手段111Aの構成を示す概略ブロック図である。
【0169】
送受信手段111Aは、受信処理部1111Aと、転送処理部1112Aと、送信処理部1113Aとを含む。転送処理手段1112Aは、転送処理実行部1110Aと、一時記憶バッファ1120とを含む。
【0170】
受信処理部1111Aは、受信処理部1111と同じ方法によって、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、その選択した周波数チャネルfrをMACモジュール112を介して処理手段113Aへ出力し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを送信処理部1113Aへ出力する。また、受信処理部1111Aは、受信処理部1111と同じ方法によって、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、デコードしたヘッダHEDのCTを転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶させながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。更に、受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であるとき、一時記憶バッファ1120から順次読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111Aは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112へ出力する。更に、受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないとき、一時記憶バッファ1120から順次読み出した本体部BODYを破棄する。その他、受信処理部1111Aは、受信処理部1111と同じ機能を果たす。
【0171】
転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aは、転送処理実行部1110と同じ方法によって、ヘッダHEDを再構築すると、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に本体部BODYを記憶している状態で一時記憶バッファ1120から本体部BODYを随時読み出し、その再構築したヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYとを送信処理部1113Aへ出力する。このように、転送処理実行部1110Aは、ヘッダHEDを再構築すると、その構築したヘッダHEDと、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に本体部BODYを記憶している状態で一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYとを送信処理部1113Aへ出力する。
【0172】
更に、転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMGの転送および受信が必要でないとき、受信処理部1111Aから受けたCTと、一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0173】
更に、転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないとき、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知を受信処理部1111Aへ出力する。その他、転送処理実行部1110Aは、転送処理実行部1110と同じ機能を果たす。なお、転送処理実行部1110Aは、処理手段113Aから受けた無線装置IDおよび相対方向に基づいて転送テーブル30を作成または更新し、その作成または更新した転送テーブル30を保持する。
【0174】
送信処理部1113Aは、ヘッダHEDを転送処理実行部1110Aから受けると、その受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する。そして、送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGの再構築を開始する。そして、送信処理部1113Aは、再構築を開始した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に随時変換し、その変換した緊急パケットPKT_EMGを受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する。つまり、送信処理部1113Aは、ヘッダHEDを本体部BODYの先頭部分に付加すると、ヘッダHEDおよび本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfdで転送を開始するとともに、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfdで転送する。その他、送信処理部1113Aは、送信処理部1113と同じ機能を果たす。
【0175】
このように、送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0176】
図23は、実施の形態2における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。実施の形態2における周辺車両情報テーブル20Aは、図6に示す周辺車両情報テーブル20に周波数チャネルを追加したものであり、その他は、周辺車両情報テーブル20と同じである。
【0177】
周波数チャネルは、無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向に対応付けられる。そして、周波数チャネルは、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた周波数チャネル(周波数チャネルf1〜f4のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルfrからなる。
【0178】
送受信手段111Aは、他の無線装置から受信を開始した定期パケットPKT_PRDに基づいて、上述した方法によって、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)を演算し、その演算した60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0179】
従って、処理手段113Aは、送受信手段111Aが選択した周波数チャネルfrを定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルとして送受信手段111Aから受ける。そして、処理手段113Aは、上述した無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向と、送受信手段111Aから受けた周波数チャネルfrとを対応付けて格納することにより周辺車両情報テーブル20Aを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブル20Aを保持する。
【0180】
処理手段113Aは、周辺車両情報テーブル20Aを作成または更新すると、無線装置IDおよび相対方向を取り出し、その取り出した無線装置IDおよび相対方向を定期的に転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力する。
【0181】
図24は、実施の形態2における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【0182】
各無線装置1〜8において、受信処理部1111Aは、パケットPKTの受信を開始し、パケットPKTのヘッダHEDをデコードしてパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定した後、パケットPKTのヘッダHED以外の本体部BODY(=DATA_B+DATA_C)をタイミングt5で一時記憶バッファ1120へ格納し始める。
【0183】
そして、送信処理部1113Aは、転送要否の判断、緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDの再構築および緊急パケットPKT_EMGの再構築を完了したタイミングt6において、再構築した緊急パケットPKT_EMGの転送を緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで開始し、タイミングt7で緊急パケットPKT_EMGの転送を完了する。この場合、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了するタイミングt8は、送信処理部1113Aが緊急パケットPKT_EMGを転送し始めるタイミングt6よりも後のタイミングである。
【0184】
このように、実施の形態2においては、受信が開始された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出して、緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0185】
これによって、緊急パケットPKT_EMGの転送周波数チャネルを緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネル(=周波数チャネルfr)と異なる周波数チャネルfdに設定でき、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0186】
実施の形態2における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。図25は、実施の形態2における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するための図である。図26は、実施の形態2における周辺車両情報テーブル20Aの具体例を示す図である。
【0187】
以下においては、図15に示す無線装置1〜3,6における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。この場合、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信周波数チャネルをそれぞれ周波数チャネルf1,f2,f3,f1とし、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信に用いる拡散符号は、全て同じ拡散符号Code2とする。また、無線装置2は、無線装置1,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置1は、無線装置2,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置6は、無線装置1,2,7から送信されたパケットPKTを直接受信できるものとする。その結果、無線装置2の処理手段113Aは、周辺車両情報テーブル20A−1(図26参照)を保持しており、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、転送テーブル30−1(図12参照)を保持している。なお、無線装置2は、無線装置4,5,7,8からパケットPKTを直接受信できないので、周辺車両情報テーブル20A−1において、無線装置ID=Add4,Add5,Add7,Add8に対応する周波数チャネルは、“unknown”としている。
【0188】
無線装置3は、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2および周波数チャネルf1を用いて送信する。
【0189】
そして、無線装置2の受信処理部1111Aは、無線装置3からパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG1)の受信を開始し、パケットPKTのヘッダHEDのみをデコードして、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であると判定する。
【0190】
その後、無線装置2の受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1のCT1を転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMG1の本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。
【0191】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1のCT1および転送テーブル30−1を参照して、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきか否かを判定する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきと判定すると、受信処理部1111Aが本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶を行なっている状態で本体部BODYの読出を開始するとともに、上述した方法によって、ヘッダHEDを再構築し、その再構築したヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分とを送信処理部1113Aへ出力する。そして、無線装置2の送信処理部1113Aは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_r=Code2によってスペクトル拡散する。
【0192】
そうすると、無線装置2の送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加し、ヘッダHEDおよび本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルf2で転送を開始する。そして、無線装置2の送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に随時変換して周波数チャネルf2で転送する。
【0193】
このように、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置3から周波数チャネルf1で受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf2で転送する。
【0194】
また、無線装置2の受信処理部1111Aは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111Aは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113Aへ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0195】
その後、無線装置1は、同様にして、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置2から周波数チャネルf2で受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf3で転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置6は、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置1から周波数チャネルf3で受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1で転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置6から周波数チャネルf1で受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1の生存期間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMG1の受信処理のみを行ない、緊急パケットPKT_EMG1を転送しない(図25参照)。
【0196】
その結果、無線装置2,1,6において、転送信号が受信信号に干渉波として作用することがない。また、無線装置6は、無線装置3と同じ周波数チャネルf1を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送するが、無線装置6が緊急パケットPKT_EMGを転送する時には、無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信が完了しているので、無線装置6における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。
【0197】
なお、無線装置1は、無線装置3からパケットPKTを直接受信できないとき、無線装置3におけるパケットPKTの送信周波数チャネルを検知できない。この場合、無線装置1は、無線装置2におけるパケットPKTの送信周波数チャネルf2と異なる周波数チャネルとして周波数チャネルf1を選択する場合もあるが、無線装置1が緊急パケットPKT_EMGを転送するタイミングでは、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を完了している。従って、無線装置1における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。無線装置6が無線装置2におけるパケットPKTの送信周波数チャネルf2を検知できない場合も、同様である。
【0198】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0199】
図27は、実施の形態2における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【0200】
図27に示すフローチャートは、図20に示すフローチャートのステップS5,S8,S11をそれぞれステップS5A,S8A,S11Aに代えたものであり、その他は、図20に示すフローチャートと同じである。
【0201】
一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8(=1A)は、上述したステップS1〜S4を順次実行する。そして、ステップS4において、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定されると、各無線装置1〜8(=1A)の受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDのCTを転送処理実行部1110Aへ出力し、ヘッダHED以外の本体部BODYを一時記憶バッファ1120へ格納し始める(ステップS5A)。
【0202】
そして、上述したステップS6,S7が順次実行された後、各無線装置1〜8(=1A)の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Aが緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶している状態で一時記憶バッファ1120からの本体部BODYの読出を開始する(ステップS8A)。その後、上述したステップS9,S10が順次実行される。
【0203】
そして、ステップS10の後、各無線装置1〜8の送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを受信しながら受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する(ステップS11A)。
【0204】
その後、上述したステップS12〜ステップS16が実行される。この場合、ステップS13において、各無線装置1〜8の受信処理部1111Aは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散する。また、ステップS16において、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Aから受けたCTと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄し、受信処理部1111Aは、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知に応じて、ヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0205】
このように、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを受信周波数チャネルfrで受信しながら受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0206】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0207】
また、一時記憶バッファ1120への一時記憶の完了を待つことなく緊急パケットPKT_EMGを転送する。即ち、一定のカットスルー転送処理時間、つまり、ハードウェア処理時間で緊急パケットPKT_EMGの転送を開始できる。
【0208】
なお、上述した実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせてもよい。この場合、緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図9に示す転送概念と同じになる。従って、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了した後に、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出して緊急パケットPKT_EMGを転送する。更に、各無線装置1〜8は、図20に示すフローチャートにおいて、ステップS11の「受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfr」を「受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfd」に代えたフローチャートに従って緊急パケットPKTを転送する。
【0209】
これによって、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0210】
また、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態2においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0211】
更に、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態2においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0212】
更に、上記においては、受信処理部1111Aは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出すと説明したが、この発明の実施の形態2においては、これに限らず、実装に応じて、受信処理部1111Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶が完了した後に、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知に応じて、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出すようにしてもよい。
【0213】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0214】
[実施の形態3]
図28は、図1に示す無線装置1〜8の実施の形態3における構成を示す概略図である。
【0215】
実施の形態3においては、図1に示す無線装置1〜8は、図28に示す無線装置1Bからなる。
【0216】
無線装置1Bは、図21に示す無線装置1Aの通信制御部11Aを通信制御部11Bに代えたものであり、その他は、通信制御部11Aと同じである。
【0217】
通信制御部11Bは、図21に示す通信制御部11Aの送受信手段111Aを送受信手段111Bに代え、処理手段113Aを処理手段113Bに代えたものであり、その他は、通信制御部11Aと同じである。
【0218】
送受信手段111Bは、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら、ヘッダHEDを更新して緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。送受信手段111Bは、その他、送受信手段111Aと同じ機能を果たす。
【0219】
処理手段113Bは、定期パケットPKT_PRDの受信に用いた拡散符号Code_rを送受信手段111Bから受け、その受けた拡散符号Code_rを格納して周辺車両情報テーブル20(図6参照)に拡散符号の項目を追加した周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。そして、処理手段113Bは、その作成または更新した周辺車両情報テーブルの無線装置IDおよび相対方向を定期的に送受信手段111Bへ出力する。処理手段113Bは、その他、処理手段113Aと同じ機能を果たす。
【0220】
図29は、図28に示す送受信手段111Bの構成を示す概略ブロック図である。
【0221】
送受信手段111Bは、図22に示す送受信手段111Aの受信処理部1111Aおよび送信処理部1113Aをそれぞれ受信処理部1111Bおよび送信処理部1113Bに代えたものであり、その他は、送受信手段111Aと同じである。
【0222】
受信処理部1111Bは、受信処理部1111と同じ方法によって、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、その選択した拡散符号Code_rをMACモジュール112を介して処理手段113Bへ出力し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを送信処理部1113Bへ出力する。その他、受信処理部1111Bは、受信処理部1111Aと同じ機能を果たす。
【0223】
送信処理部1113Bは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを受信処理部1111Bから受けた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dによってスペクトル拡散する。
【0224】
そうすると、送信処理部1113Bは、送信処理部1113Aと同じように、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYに拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら周波数チャネルfrで転送する。その他、送信処理部1113Bは、送信処理部1113と同じ機能を果たす。
【0225】
図30は、実施の形態3における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。実施の形態3における周辺車両情報テーブル20Bは、図6に示す周辺車両情報テーブル20に拡散符号を追加したものであり、その他は、周辺車両情報テーブル20と同じである。
【0226】
拡散符号は、無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向に対応付けられる。そして、拡散符号は、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた拡散符号(拡散符号Code1〜Code15のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信信号を逆拡散するときの拡散符号Code_rからなる。
【0227】
送受信手段111Bは、他の無線装置から受信を開始した定期パケットPKT_PRDに基づいて、上述した方法によって、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)を演算し、その演算した60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0228】
従って、処理手段113Bは、送受信手段111Bが選択した拡散符号Code_rを定期パケットPKT_PRDの受信信号を逆拡散するときの拡散符号として送受信手段111Bから受ける。そして、処理手段113Bは、上述した無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向と、送受信手段111Bから受けた拡散符号Code_rとを対応付けて格納することにより周辺車両情報テーブル20Bを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブル20Bを保持する。
【0229】
処理手段113Bは、周辺車両情報テーブル20Bを作成すると、無線装置IDおよび相対方向を取り出し、その取り出した無線装置IDおよび相対方向を定期的に転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力する。
【0230】
実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図24に示す転送概念と同じである。
【0231】
その結果、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを転送するときの拡散符号を緊急パケットPKT_EMGの受信信号の逆拡散に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dに設定して緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0232】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0233】
実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。図31は、実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するための図である。図32は、実施の形態3における周辺車両情報テーブル20Bの具体例を示す図である。
【0234】
以下においては、図15に示す無線装置1〜3,6における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。この場合、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信に用いる拡散符号をそれぞれ拡散符号Code2,Code3,Code5,Code4とし、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信周波数チャネルは、全て同じ周波数チャネルf1とする。また、無線装置2は、無線装置1,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置1は、無線装置2,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置6は、無線装置1,2,7から送信されたパケットPKTを直接受信できるものとする。その結果、無線装置2の処理手段113Bは、周辺車両情報テーブル20B−1(図32参照)を保持しており、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、転送テーブル30−1(図12参照)を保持している。なお、無線装置2は、無線装置4,5,7,8からパケットPKTを直接受信できないので、周辺車両情報テーブル20B−1において、無線装置ID=Add4,Add5,Add7,Add8に対応する拡散符号は、“unknown”としている。
【0235】
無線装置3は、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2および周波数チャネルf1を用いて送信する。
【0236】
そして、無線装置2の受信処理部1111Bは、無線装置3からパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG1)の受信を開始し、パケットPKTのヘッダHEDのみをデコードして、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であると判定する。
【0237】
その後、無線装置2の受信処理部1111Bは、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1のCT1を転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMG1の本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。
【0238】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1のCT1および転送テーブル30−1を参照して、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきか否かを判定する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきと判定すると、受信処理部1111Bが本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶を行なっている状態で一時記憶バッファ1120からの本体部BODYの読出を開始するとともに、上述した同じ方法によって、ヘッダHED1を再構築し、その再構築したヘッダHED1と、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分とを送信処理部1113Bへ出力する。
【0239】
そうすると、無線装置2の送信処理部1113Bは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHED1をエンコードし、そのエンコード後のヘッダHED1を拡散符号Code3によってスペクトル拡散する。
【0240】
そして、無線装置2の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHED1を付加し、ヘッダHED1および本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルf1で転送を開始する。そして、無線装置2の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に随時変換して周波数チャネルf1で転送する。
【0241】
このように、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code3を用いて転送する。
【0242】
また、無線装置2の受信処理部1111Bは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら読み出して拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111Bは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113Bへ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0243】
その後、無線装置1は、同様にして、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code3を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code5を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置6は、無線装置1からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code5を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code4を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置7は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code4を用いて受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1の生存期間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMG1の受信処理のみを行ない、緊急パケットPKT_EMG1を転送しない(図31参照)。
【0244】
その結果、無線装置2,1,6における転送信号と受信信号との干渉が抑制される。
【0245】
なお、無線装置1は、無線装置3からパケットPKTを直接受信できないとき、無線装置3におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code2を検知できない。この場合、無線装置1は、無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code3と異なる拡散符号として拡散符号Code2を選択する場合もあるが、無線装置1が緊急パケットPKT_EMGを転送するタイミングでは、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を完了している。従って、無線装置1における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。また、無線装置1,2間の距離が数10m以上である場合、無線装置1,3が同じ拡散符号Code2を用いても、無線装置1における転送信号が無線装置2における受信信号の干渉波になり難い。無線装置6が無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code3を検知できない場合も、同様である。
【0246】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0247】
図33は、実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【0248】
図33に示すフローチャートは、図27に示すフローチャートのステップS10をステップS10Aに代え、ステップS11AをステップS11Bに代えたものであり、その他は、図27に示すフローチャートと同じである。
【0249】
一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、上述したステップS1〜S4,S5A,S6,S7,S8A,S9を順次実行する。そして、ステップS9の後、各無線装置1〜8の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bから受けた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dによってヘッダHEDをスペクトル拡散する(ステップS10A)。そして、各無線装置1〜8の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを受信しながら受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfrで転送する(ステップS11B)。
【0250】
その後、上述したステップS12〜ステップS16が実行される。この場合、ステップS13において、各無線装置1〜8の受信処理部1111Bは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散する。また、ステップS16において、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Bから受けたCTと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄し、受信処理部1111Bは、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知に応じて、ヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0251】
このように、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いる拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0252】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0253】
なお、上述した実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせてもよい。この場合、緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図9に示す転送概念と同じになる。従って、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了した後に、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出して緊急パケットPKT_EMGを転送する。更に、各無線装置1〜8は、図33に示すフローチャートのステップS5A,S8A,S11Bをそれぞれ図20に示すフローチャートのステップS5,S8,S11に代えたフローチャートに従って緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0254】
これによって、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。また、実施の形態3においては、その他、実施の形態2と同じ効果を享受できる。
【0255】
また、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態3においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0256】
更に、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態3においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0257】
更に、上記においては、受信処理部1111Bは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出すと説明したが、この発明の実施の形態3においては、これに限らず、実装に応じて、受信処理部1111Bは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶が完了した後に、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知に応じて、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出すようにしてもよい。
【0258】
その他は、実施の形態1,2と同じである。
【0259】
[実施の形態4]
図34は、図1に示す無線装置1〜8の実施の形態4における構成を示す概略図である。
【0260】
実施の形態4においては、図1に示す無線装置1〜8は、図34に示す無線装置1Cからなる。
【0261】
無線装置1Cは、図4に示す無線装置1の通信制御部11を通信制御部11Cに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0262】
通信制御部11Cは、図4に示す通信制御部11の送受信手段111を送受信手段111Cに代え、処理手段113を処理手段113Cに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0263】
送受信手段111Cは、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら、ヘッダHEDを更新して緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdと、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dとを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、送受信手段111Cは、送受信手段111と同じ方法によって周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rをMACモジュール112を介して処理手段113Cへ出力する。送受信手段111Cは、その他、送受信手段111と同じ機能を果たす。
【0264】
処理手段113Cは、定期パケットPKT_PRDの受信に用いられた拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrを送受信手段111Cから受け、その受けた拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrを格納して周辺車両情報テーブル20(図6参照)に周波数チャネルの項目および拡散符号の項目を追加した周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。そして、処理手段113Cは、その作成または更新した周辺車両情報テーブルの無線装置IDおよび相対方向を定期的に送受信手段111Cへ出力する。処理手段113Cは、その他、処理手段113と同じ機能を果たす。
【0265】
図35は、図34に示す送受信手段111Cの構成を示す概略ブロック図である。
【0266】
送受信手段111Cは、図22に示す送受信手段111Aの受信処理部1111Aおよび送信処理部1113Aをそれぞれ受信処理部1111Cおよび送信処理部1113Cに代えたものであり、その他は、送受信手段111Aと同じである。
【0267】
受信処理部1111Cは、受信処理部1111と同じ方法によって、拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrを選択すると、その選択した拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrをMACモジュール112を介して処理手段113Cへ出力する。その他、受信処理部1111Cは、受信処理部1111Aと同じ機能を果たす。
【0268】
送信処理部1113Cは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを受信処理部1111Cから受けた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dによってスペクトル拡散する。そして、送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGの再構築を開始し、その再構築を開始した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して受信処理部1111Cから受けた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する。その後、送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfdで転送する。その他、送信処理部1113Cは、送信処理部1113Aと同じ機能を果たす。
【0269】
図36は、実施の形態4における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。実施の形態4における周辺車両情報テーブル20Cは、図6に示す周辺車両情報テーブル20に周波数チャネルおよび拡散符号を追加したものであり、その他は、周辺車両情報テーブル20と同じである。
【0270】
周波数チャネルおよび拡散符号は、無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向に対応付けられる。そして、周波数チャネルは、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた周波数チャネル(周波数チャネルf1〜f4のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルfrからなる。拡散符号は、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた拡散符号(拡散符号Code1〜Code15のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信信号を逆拡散するときの拡散符号Code_rからなる。
【0271】
送受信手段111Cは、他の無線装置から受信を開始した定期パケットPKT_PRDに基づいて、上述した方法によって、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)を演算し、その演算した60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0272】
従って、処理手段113Cは、送受信手段111Cが選択した周波数チャネルfrを定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDを送信するときの送信周波数チャネルとして送受信手段111Cから受け、送受信手段111Cが選択した拡散符号Code_rを定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDを送信するときの拡散符号として送受信手段111Cから受ける。そして、処理手段113Cは、上述した無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向と、送受信手段111Cから受けた拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrとを対応付けて格納することにより周辺車両情報テーブル20Cを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブル20Cを保持する。
【0273】
処理手段113Cは、周辺車両情報テーブル20Cを作成すると、無線装置IDおよび相対方向を取り出し、その取り出した無線装置IDおよび相対方向を定期的に転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力する。
【0274】
実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図24に示す転送概念と同じである。
【0275】
その結果、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを転送するときの周波数チャネルを緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdに設定し、かつ、緊急パケットPKT_EMGを転送するときの拡散符号を緊急パケットPKT_EMGの受信信号の逆拡散に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dに設定して緊急PKT_EMGを転送する。
【0276】
従って、緊急PKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0277】
実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。図37は、実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するための図である。図38は、実施の形態4における周辺車両情報テーブル20Cの具体例を示す図である。
【0278】
以下においては、図15に示す無線装置1〜3,6における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。この場合、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信に用いる拡散符号をそれぞれ拡散符号Code2,Code3,Code5,Code4とし、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信周波数チャネルをそれぞれ周波数チャネルf1,f2,f3,f1とする。また、無線装置2は、無線装置1,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置1は、無線装置2,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置6は、無線装置1,2,7から送信されたパケットPKTを直接受信できるものとする。その結果、無線装置2の処理手段113Cは、周辺車両情報テーブル20C−1(図38参照)を保持しており、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、転送テーブル30−1(図12参照)を保持している。なお、無線装置2は、無線装置4,5,7,8からパケットPKTを直接受信できないので、周辺車両情報テーブル20C−1において、無線装置ID=Add4,Add5,Add7,Add8に対応する周波数チャネルおよび拡散符号は、“unknown”としている。
【0279】
無線装置3は、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2および周波数チャネルf1を用いて送信する。
【0280】
そして、無線装置2の受信処理部1111Cは、無線装置3からパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG1)の受信を開始し、パケットPKTのヘッダHED1のみをデコードして、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であると判定する。
【0281】
その後、無線装置2の受信処理部1111Cは、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1のCT1を転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMG1の本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。
【0282】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1のCT1および転送テーブル30−1を参照して、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきか否かを判定する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきと判定すると、受信処理部1111Cが本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶を行なっている状態で本体部BODYの読出を開始するとともに、上述した方法によって、ヘッダHED1を再構築し、その再構築したヘッダHED1と、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分とを送信処理部1113Cへ出力する。
【0283】
そして、無線装置2の送信処理部1113Cは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHED1をエンコードし、そのエンコード後のヘッダHED1を拡散符号Code3によってスペクトル拡散する。
【0284】
そうすると、無線装置2の送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHED1を付加し、ヘッダHED1および本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルf2で転送を開始する。そして、無線装置2の送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に随時変換して周波数チャネルf2で転送する。
【0285】
このように、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf2および拡散符号Code3を用いて転送する。
【0286】
また、無線装置2の受信処理部1111Cは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYを拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111Cは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113Cへ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0287】
その後、無線装置1は、同様にして、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf2および拡散符号Code3を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf3および拡散符号Code5を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置6は、無線装置1からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf3および拡散符号Code5を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1および拡散符号Code4を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置7は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1および拡散符号Code4を用いて受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1の生存時間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMG1の受信処理のみを行ない、緊急パケットPKT_EMG1を転送しない(図37参照)。
【0288】
その結果、無線装置2,1,6において、転送信号が受信信号に干渉波として作用することがない。
【0289】
なお、無線装置1は、無線装置3からパケットPKTを直接受信できないとき、無線装置3におけるパケットPKTの送信に用いた周波数チャネルf1および拡散符号Code2を検知できない。この場合、無線装置1は、無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた周波数チャネルf2と異なる周波数チャネルとして周波数チャネルf1を選択し、無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code3と異なる拡散符号として拡散符号Code2を選択する場合もあるが、無線装置1が緊急パケットPKT_EMGを転送するタイミングでは、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を完了している。従って、無線装置1における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。また、無線装置1,2間の距離が数10m以上である場合、無線装置1,3が同じ拡散符号Code2を用いても、無線装置1における転送信号が無線装置2における受信信号の干渉波になり難い。無線装置6が無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた周波数チャネルf2および拡散符号Code3を検知できない場合も、同様である。
【0290】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0291】
図39は、実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【0292】
図39に示すフローチャートは、図33に示すフローチャートのステップS11BをステップS11Aに代えたものであり、その他は、図33に示すフローチャートと同じである。
【0293】
一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、上述したステップS1〜S4,S5A,S6,S7,S8A,S9,S10Aを順次実行する。そして、ステップS10Aの後、各無線装置1〜8の送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを受信しながら受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する(ステップS11A)。
【0294】
その後、上述したステップS12〜ステップS16が実行される。この場合、ステップS13において、各無線装置1〜8の受信処理部1111Cは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散する。また、ステップS16において、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Cから受けたCT(=ヘッダHED)と、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄し、受信処理部1111Cは、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知に応じて、ヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0295】
このように、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdと、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dとを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0296】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0297】
なお、上述した実施の形態1と実施の形態4とを組み合わせてもよい。この場合、緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図9に示す転送概念と同じになる。従って、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdと、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dとを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了した後に、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出して緊急パケットPKT_EMGを転送する。更に、各無線装置1〜8は、図39に示すフローチャートのステップS5A,S8A,S11Aを図20に示すフローチャートのステップS5,S8,S11にそれぞれ代え、かつ、ステップS11の「受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfr」を「受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfd」に代えたフローチャートに従って緊急パケットPKTを転送する。
【0298】
これによって、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。また、実施の形態4においては、その他、実施の形態2と同じ効果を享受できる。
【0299】
また、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態4においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0300】
更に、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態4においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0301】
更に、上記においては、受信処理部1111Cは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出すと説明したが、この発明の実施の形態4においては、これに限らず、実装に応じて、受信処理部1111Cは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶が完了した後に、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知に応じて、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出すようにしてもよい。
【0302】
その他は、実施の形態1,2と同じである。
【0303】
上記においては、4個の周波数チャネルf1〜f4および15個の拡散符号Code1〜Code15を用いると説明したが、この発明においては、これに限らず、4個以外の周波数チャネルおよび15個以外の拡散符号が用いられてもよい。
【0304】
なお、この発明においては、受信処理部1111,1111A,1111B,1111Cの各々は、「受信手段」を構成する。また、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110および送信処理部1113は、「転送手段」を構成する。更に、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110Aおよび送信処理部1113Aは、「転送手段」を構成する。更に、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110Aおよび送信処理部1113Bは、「転送手段」を構成する。更に、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110Aおよび送信処理部1113Cは、「転送手段」を構成する。
【0305】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0306】
この発明は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置に適用される。また、この発明は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を備えた無線ネットワークに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】この発明の実施の形態による無線ネットワークの概略図である。
【図2】拡散符号と周波数チャネルとの関係を示す図である。
【図3】パケットのフォーマットを示す図である。
【図4】図1に示す無線装置の実施の形態1における構成を示す概略図である。
【図5】受信信号を拡散符号によって逆拡散して得られる評価値の演算に用いるパケット中のシンボル部の概念図である。
【図6】実施の形態1における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図7】実施の形態1における転送テーブルの構成を示す図である。
【図8】図4に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】実施の形態1における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【図10】交通状況を示す図である。
【図11】周辺車両情報テーブルの第1の例を示す図である。
【図12】転送テーブルの第1の例を示す図である。
【図13】周辺車両情報テーブルの第2の例を示す図である。
【図14】転送テーブルの第2の例を示す図である。
【図15】他の交通状況を示す図である。
【図16】転送テーブルの第3の例を示す図である。
【図17】転送テーブルの第4の例を示す図である。
【図18】実施の形態1における緊急パケットの転送を示す概念図である。
【図19】転送テーブルの第5の例を示す図である。
【図20】実施の形態1における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【図21】図1に示す無線装置の実施の形態2における構成を示す概略図である。
【図22】図21に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図23】実施の形態2における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図24】実施の形態2における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【図25】実施の形態2における緊急パケットの転送動作を説明するための図である。
【図26】実施の形態2における周辺車両情報テーブルの具体例を示す図である。
【図27】実施の形態2における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】図1に示す無線装置の実施の形態3における構成を示す概略図である。
【図29】図28に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図30】実施の形態3における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図31】実施の形態3における緊急パケットの転送動作を説明するための図である。
【図32】実施の形態3における周辺車両情報テーブルの具体例を示す図である。
【図33】実施の形態3における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【図34】図1に示す無線装置の実施の形態4における構成を示す概略図である。
【図35】図34に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図36】実施の形態4における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図37】実施の形態4における緊急パケットの転送動作を説明するための図である。
【図38】実施の形態4における周辺車両情報テーブルの具体例を示す図である。
【図39】実施の形態4における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0308】
1〜8,1A,1B,1C 無線装置、10 無線ネットワーク、11,11A,11B,11C 通信制御部、12 GPS受信機、20,20A,20B,20C 周辺車両情報テーブル、30 転送テーブル、111,111A,111B,111C 送受信手段、112 MACモジュール、113,113A,113B,113C 処理手段、114 定期パケット発生手段、115 緊急パケット発生手段、1110,1110A 転送処理実行部、1111,1111A,1111B,1111C 受信処理部、1112,1112A 転送処理部、1113,1113A,1113B,1113C 送信処理部、1120 一時記憶バッファ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線装置およびそれを備えた無線ネットワークに関し、特に、マルチチャネルを用いて無線通信を行なう無線装置およびそれを備えた無線ネットワークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カットスルー方式によってパケットを転送する高速転送技術が知られている(非特許文献1)。
【0003】
この高速転送技術は、パケットを受信し始めると、そのパケットのヘッダを参照して、そのパケットが中継パケットであると判定すると、そのパケットをそのまま転送するものである。
【非特許文献1】酒井 敏宏、門脇 直人、板谷 聡子、Nouri Shirazi Mahdad、小花 貞夫,“アドホック無線通信システムの高レスポンス化に関する提案”,電子情報通信学会技術研究報告,RCS−2006−128(2006−8).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、パケットを受信しながら転送すると、転送された転送信号が受信信号と干渉を起こすという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を備えた無線ネットワークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、受信手段と、転送手段とを備える。受信手段は、他の無線装置から送信されたパケットを1個の周波数チャネルと1個の拡散符号とを用いて受信する。転送手段は、受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、緊急パケットの受信完了後に、1個の周波数チャネルと1個の拡散符号とを用いて緊急パケットを転送する。
【0008】
好ましくは、転送手段は、受信手段から受けた緊急パケットのヘッダ以外の本体部を一時記憶バッファに格納するとともに、ヘッダを更新し、その更新したヘッダを一時記憶バッファから取り出した本体部に付加して緊急パケットを再構築し、その再構築した緊急パケットを転送する。
【0009】
また、この発明によれば、無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、受信手段と、転送手段とを備える。受信手段は、複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いてパケットを他の無線装置から受信する。転送手段は、受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0010】
好ましくは、転送手段は、緊急パケットの受信完了後に第2の周波数チャネルおよび/または第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0011】
好ましくは、転送手段は、物理層に属し、受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急パケットであると判定したとき、緊急パケットを物理層よりも上位の層へ上げることなく緊急パケットを転送する。
【0012】
更に、この発明によれば、無線ネットワークは、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する。第2の無線装置は、第1の無線装置から第1の周波数チャネルおよび第1の拡散符号を用いて緊急パケットの受信を開始するとともに、緊急パケットの受信が完了すると、第1の周波数チャネルおよび第1の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0013】
更に、この発明によれば、無線ネットワークは、複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する。第2の無線装置は、第1の無線装置から第1の周波数チャネルおよび第1の拡散符号を用いて緊急パケットの受信を開始するとともに、第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【0014】
好ましくは、第2の無線装置は、緊急パケットの受信完了後に第2の周波数チャネルおよび/または第2の拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。
【発明の効果】
【0015】
この発明においては、各無線装置は、緊急パケットの受信完了後に緊急パケットを転送する。その結果、各無線装置において、緊急パケットの転送期間は、緊急パケットの受信期間からずれる。
【0016】
従って、この発明によれば、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットを転送できる。
【0017】
また、この発明においては、各無線装置は、緊急パケットを受信するときの周波数チャネルと異なる周波数チャネルおよび/または緊急パケットを受信するときの拡散符号と異なる拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。その結果、各無線装置は、転送信号と受信信号とを識別して検出する。
【0018】
従って、この発明によれば、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットを転送できる。
【0019】
更に、この発明においては、各無線装置は、緊急パケットの受信完了後に、緊急パケットを受信するときの周波数チャネルと異なる周波数チャネルおよび/または緊急パケットを受信するときの拡散符号と異なる拡散符号を用いて緊急パケットを転送する。その結果、各無線装置において、緊急パケットの転送期間は、緊急パケットの受信期間からずれる。また、各無線装置は、転送信号と受信信号とを識別して検出する。
【0020】
従って、この発明によれば、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットを転送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による無線ネットワークの概略図である。この発明の実施の形態による無線ネットワーク10は、無線装置1〜8を備える。無線装置1〜8は、それぞれ、車両C1〜C8に搭載される。そして、無線装置1〜8は、自律的に無線ネットワークを構成する。
【0023】
車両C1〜C8は、道路を走行し、交差点を通過する。このような場合、各車両C1〜C8は、信号機が交差点に設置されていなければ、出会い頭衝突事故および右折時事故等の交通事故を起こすこともあるので、このような交通事故を防止する必要がある。また、各車両C1〜C8は、自己の前方で交通事故が発生したことを検知した場合、前方における交通事故の発生を後方の車両へ知らせる必要がある。更に、各車両C1〜C8は、後方から救急車が近づいて来ていることを検知した場合、救急車の接近を前方の車両へ知らせる必要がある。
【0024】
そこで、以下においては、交通事故の発生を防止するとともに、救急車等の緊急車両のスムーズな走行を確保するために、各無線装置1〜8が自己の周辺を走行している他の車両の位置情報を検知するとともに、交通事故の発生または緊急車両の接近を知らせるための緊急パケットを干渉を抑制して他の無線装置へ転送する方法について説明する。
【0025】
図2は、拡散符号と周波数チャネルとの関係を示す図である。図2において、縦軸は、拡散符号を表し、横軸は、周波数チャネルを表す。15個の拡散符号Code1〜Code15は、周波数チャネルf1〜f4の各々に対して割り当てられる。
【0026】
従って、各無線装置1〜8は、後述する方法によって、周波数チャネルf1〜f4から1つの周波数チャネルft(周波数チャネルf1〜f4のいずれか)を選択するとともに、拡散符号Code1〜Code15から1つの拡散符号Code_t(拡散符号Code1〜Code15のいずれか)を選択し、その選択した周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tを用いてパケットを送信する。
【0027】
また、各無線装置1〜8は、後述する方法によって、周波数チャネルf1〜f4から1つの周波数チャネルfr(周波数チャネルftと異なる周波数チャネルf1〜f4のいずれか)を選択するとともに、拡散符号Code1〜Code15から1つの拡散符号Code_r(拡散符号Code_tと異なる拡散符号Code1〜Code15のいずれか)を選択し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを用いてパケットを受信する。
【0028】
図3は、パケットのフォーマットを示す図である。パケットPKTは、プリアンブル(PR)と、ユニークワード(UW)と、DATA_Aと、DATA_Bと、DATA_Cとを含む。
【0029】
DATA_Aは、CTと、CRC_Aとを含む。DATA_Bは、MAC(Media Access Control)と、LLC(Logical Link Control)と、CRC_Bとを含む。DATA_Cは、LSDU(Link Service Data Unit)と、CRC_Cとを含む。
【0030】
CTは、緊急パケットであるか否かを判断するためのフラグFLGと、緊急情報の送信元の無線装置を識別する識別番号ID_Sと、緊急パケットPKT_EMGの転送元である無線装置を識別する識別番号ID_Tと、緊急パケットPKT_EMGの伝達方向DRと、緊急パケットPKT_EMGの生存期間TTLと、緊急パケットPKT_EMGのシーケンス番号SEQ_Aとを含む。
【0031】
CRC_A,CRC_B,CRC_Cの各々は、誤り検出符号である。MACは、MAC制御を行なうためのフィールドである。LLCは、LLC制御を行なうためのフィールドである。LSDUは、リンクサービスデータ単位であり、シーケンス番号SEQ_Bを含む。
【0032】
CTは、CRC_Aによって誤り検出され、MACおよびLLCは、CRC_Bによって誤り検出され、LSDUは、CRC_Cによって誤り検出される。
【0033】
プリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)は、各無線装置1〜8の物理層において付加される。なお、各領域に対する誤り訂正符号は、FEC1,FEC2およびFEC3であり、図3のパケットフォーマットに示した通りである。
【0034】
パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるとき、フラグFLGには、“ON”情報が格納され、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであるとき、フラグFLGには、“OFF”情報が格納される。
【0035】
そして、この発明においては、CTおよびCRC_Aは、ヘッダHEDを構成する。また、DATA_B(=MAC+LLC+CRC_B)およびDATA_C(=LSDU+CRC_C)は、本体部BODYを構成する。
【0036】
[実施の形態1]
図4は、図1に示す無線装置1の実施の形態1における構成を示す概略図である。無線装置1は、通信制御部11と、GPS(Global Positioning System)受信機12とを備える。
【0037】
通信制御部11は、階層構造からなり、送受信手段111と、MACモジュール112と、処理手段113と、定期パケット発生手段114と、緊急パケット発生手段115とを含む。
【0038】
GPS受信機12は、無線装置1のGPS信号をGPS衛星から定期的に受信し、その受信したGPS信号を処理手段113および定期パケット発生手段114へ出力する。
【0039】
送受信手段111は、物理層に属する。そして、送受信手段111は、他の無線装置からパケットPKTを受信すると、その受信したパケットPKTの受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換する。その後、送受信手段111は、ディジタル信号からなる受信信号に基づいて、後述する方法によって、4個の周波数チャネルf1〜f4および15個の拡散符号Code1〜Code15によって構成される60個のチャネルの各々におけるパケットPKTの受信信号強度である60個の評価値を演算し、その演算した60個の評価値のち、最大の評価値が得られたときの周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択する。また、送受信手段111は、60個の評価値のうち、最小の評価値が得られたときの周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tを選択する。
【0040】
また、送受信手段111は、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスと、無線装置1に対する送信元の存在方向を示す相対方向とを処理手段113から定期的に受ける。そして、送受信手段111は、その受けた送信元のアドレスと相対方向とを用いて、後述する方法によって、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定するための転送テーブルを作成または更新し、その作成または更新した転送テーブルを保持する。
【0041】
更に、送受信手段111は、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、周波数チャネルチャネルfrにおけるパケットPKTのヘッダのみを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後のヘッダをデコードする。また、送受信手段111は、パケットPKTのヘッダHED以外の部分である本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時的に記憶する。
【0042】
そして、送受信手段111は、ヘッダのフラグFLGを参照して、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるか定期パケットPKT_PRDであるかを判定する。より具体的には、送受信手段111は、フラグFLGに“ON”情報が設定されていれば、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定し、フラグFLGに“OFF”情報が設定されていれば、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであると判定する。
【0043】
送受信手段111は、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、転送テーブルを参照して、後述する方法によって、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する。
【0044】
そして、送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定したとき、ヘッダのみを後述する方法によって再構築する。その後、送受信手段111は、再構築したヘッダをエンコードし、そのエンコード後のヘッダを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する。
【0045】
そうすると、送受信手段111は、一時記憶バッファから緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを取り出し、その取り出した本体部BODYにヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfrで転送する。
【0046】
その後、送受信手段111は、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、送受信手段111は、そのデコードしたパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG)をMACモジュール112へ出力する。
【0047】
また、送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMGの転送および受信が不要であると判定したとき、デコードしたヘッダHEDと、一時的に記憶した本体部BODYとを破棄する。
【0048】
更に、送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMGの転送が不要であるが、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であるとき、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、送受信手段111は、そのデコードしたパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG)をMACモジュール112へ出力する。
【0049】
一方、送受信手段111は、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであると判定したとき、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、送受信手段111は、そのデコードしたパケットPKT(=定期パケットPKT_PRD)をMACモジュール112へ出力する。
【0050】
また、送受信手段111は、MACモジュール112からパケットPKT(定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMG)を受けると、その受けたパケットPKTにプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加し、そのプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加したパケットPKTを拡散符号Code_tによってスペクトル拡散するとともに、その拡散したパケットPKTを周波数チャネルftで送信する。
【0051】
MACモジュール112は、MAC層に属し、定期パケット発生手段114から受けた定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケット発生手段115から受けた緊急パケットPKT_EMGに対してMACヘッダの付加等のMAC部における制御および処理を行なう。そして、MACモジュール112は、定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGを送受信手段111へ出力する。
【0052】
また、MACモジュール112は、送受信手段111から定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGを受け、その受けた定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGからMACヘッダを除去等して定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGを処理手段113へ出力する。
【0053】
処理手段113は、上位層に属し、他の無線装置から送信された定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112から受ける。そして、処理手段113は、定期パケットPKT_PRDから定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスと、送信元のGPS信号とを取り出す。なお、GPS信号は、緯度、経度、速度、進行方向(=方位)、および時刻からなる。
【0054】
また、処理手段113は、GPS受信機12から無線装置1のGPS信号を受ける。そして、処理手段113は、公知の方法によって、無線装置1のGPS信号の緯度および経度を無線装置1の位置情報(x,y座標からなる)に変換するとともに、他の無線装置のGPS信号の緯度および経度を他の無線装置の位置情報(x,y座標からなる)に変換する。その後、処理手段113は、無線装置1の位置情報と他の無線装置の位置情報とに基づいて、無線装置1に対する他の無線装置の相対位置を求めるとともに、無線装置1に対する他の無線装置の存在方向を示す相対方向を求める。
【0055】
そうすると、処理手段113は、他の無線装置のアドレス、他の無線装置のGPS信号、他の無線装置の相対位置および他の無線装置の相対方向に基づいて、周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。
【0056】
そして、処理手段113は、周辺車両情報テーブルから他の無線装置のアドレスおよび相対方向を定期的(例えば、100msec毎)に取り出して送受信手段111へ出力する。
【0057】
更に、処理手段113は、他の無線装置のアドレスおよび他の無線装置のGPS信号を定期パケット発生手段114へ出力する。
【0058】
更に、処理手段113は、緊急パケットPKT_EMGから緊急情報を取り出し、その取り出した緊急情報を表示手段(図示せず)によってドライバーに視聴覚情報として与える。
【0059】
定期パケット発生手段114は、上位層に属し、GPS受信機12から無線装置1のGPS信号を定期的に受け、処理手段113から他の無線装置のアドレスおよび他の無線装置のGPS信号を受ける。そして、定期パケット発生手段114は、無線装置1のアドレス/無線装置1のGPS信号と、他の無線装置のアドレス/他の無線装置のGPS信号とを含む定期パケットPKT_PRDを発生し、その発生した定期パケットPKT_PRDをMACモジュール112を介して定期的に送信する。
【0060】
緊急パケット発生手段115は、上位層に属し、無線装置1が搭載された車両C1のドライバーが交通事故の発生または緊急車両の接近を示す情報を緊急情報として無線装置1へ入力することによって、緊急情報を外部から受ける。
【0061】
そして、緊急パケット発生手段115は、緊急情報を受けると、その受けた緊急情報と、無線装置1のアドレスと、シーケンス番号(SEQ_A)と、伝達方向とを含む緊急パケットPKT_EMGを発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112を介して送信する。
【0062】
なお、図1に示す無線装置2〜8の各々は、図4に示す無線装置1と同じ構成からなる。
【0063】
図5は、受信信号を拡散符号によって逆拡散して得られる評価値の演算に用いるパケット中のシンボル部の概念図である。
【0064】
シンボル部は、受信されたパケットPKTの任意の位置からなる。即ち、シンボル部は、各無線装置1〜8においてパケットの送信が発生したときに各無線装置1〜8が受信しているパケットの一部に相当する。例えば、各無線装置1〜8においてパケットの送信が発生したときに各無線装置1〜8がパケットの中央部を受信しているのであれば、パケットの中央部がシンボル部になり、各無線装置1〜8がパケットの先頭部を受信しているのであれば、パケットの先頭部がシンボル部になり、各無線装置1〜8がパケットの後部を受信しているのであれば、パケットの後部がシンボル部になる。つまり、パケットの送信が発生したときに各無線装置1〜8が受信している部分がシンボル部になる。そして、シンボル部は、N(Nは、2以上の整数)個のシンボルからなる。
【0065】
周波数チャネルf(f=f1〜f4)における受信信号を拡散符号k(k=Code1〜Code15)によって逆拡散して得られた値(複素数)の絶対値をN個のシンボルにわたって平均化した値を<ξk>av,fとする。N個のシンボルのうちのs(s=1〜N)番目のシンボルにおいて、受信信号を拡散符号kによって逆拡散して得られる値ξIk,s,fおよびξQk,s,fをそれぞれ次の式(1)および式(2)によって求める。
【0066】
【数1】
【0067】
【数2】
【0068】
なお、式(1)において、Iは、周波数チャネルfにおける受信信号の実数成分を表し、Qは、周波数チャネルfにおける受信信号の虚数成分を表す。
【0069】
そして、各シンボルの干渉量の大きさξk,s,fを次式によって求める。
【0070】
【数3】
【0071】
そして、干渉量の大きさξk,s,fを次式によってN個のシンボルについて平均化し、評価値<ξk>av,fを求める。
【0072】
【数4】
【0073】
従って、送受信手段111は、上述した式(1)〜式(4)を用いて評価値<ξk>av,fを全ての周波数チャネルf1〜f4および全ての拡散符号Code1〜Code15に対して求め、その求めた60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も小さい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ干渉量が少ない周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tとして選択する。
【0074】
また、送受信手段111は、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0075】
図6は、実施の形態1における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。周辺車両情報テーブル20は、無線装置IDと、時刻と、位置情報と、シーケンス番号SEQ_Bと、相対位置と、相対方向とからなる。
【0076】
無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号SEQ_B、相対位置、および相対方向は、相互に対応付けられる。無線装置IDは、定期パケットPKT_PRDの送信元の識別情報を示し、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスからなる。
【0077】
時刻は、位置情報を取得した時刻を示し、時/分/秒(HHHH/MMMM/SSSS)からなっており、アプリケーションに応じて、年/月/日(YYYY/MMMM/DDDD)の情報を付加してもよい。位置情報は、緯度、経度、方位および速度からなる。シーケンス番号SEQ_Bは、定期パケットPKT_PRDの送信元によって付与され、正の整数からなる。そして、シーケンス番号SEQ_Bは、定期パケットPKT_PRDの生成順を示す。従って、シーケンス番号SEQ_Bの数値が大きい程、定期パケットPKT_PRDが新しいことを表す。
【0078】
相対位置は、周辺車両情報テーブル20を作成する無線装置の位置に対する定期パケットPKT_PRDの送信元の位置からなる。相対方向は、周辺車両情報テーブル20を作成する無線装置に対する定期パケットPKT_PRDの送信元の存在方向からなる。
【0079】
図7は、実施の形態1における転送テーブルの構成を示す図である。転送テーブル30は、無線装置IDと、シーケンス番号(SEQ_A)と、相対方向とからなる。無線装置ID、シーケンス番号(SEQ_A)、および相対方向は、相互に対応付けられる。
【0080】
無線装置IDは、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスからなる。図7中のシーケンス番号(SEQ_A)は、“0”または緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDに含まれているシーケンス番号SEQ_Aからなる。相対方向は、転送テーブル30を作成する無線装置に対する定期パケットPKT_PRDの送信元の存在方向からなる。
【0081】
なお、無線装置IDおよび相対方向は、それぞれ、図6に示す周辺車両情報テーブル20における無線装置IDおよび相対方向からなる。
【0082】
図8は、図4に示す送受信手段111の構成を示す概略ブロック図である。送受信手段111は、受信処理部1111と、転送処理部1112と、送信処理部1113とを含む。そして、転送処理部1112は、転送処理実行部1110と、一時記憶バッファ1120とを含む。
【0083】
受信処理部1111は、パケットPKTを周波数チャネルf1〜f4の各々で受信し、その受信したパケットPKTの4個の受信信号の各々をアナログ信号からディジタル信号に変換する。そして、受信処理部1111は、ディジタル信号からなる4個の受信信号の各々を拡散符号Code1〜Code15の各々によって逆拡散して、上述した60個の評価値を演算する。その後、受信処理部1111は、60個の評価値に基づいて、周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tを選択するとともに、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択する。そして、受信処理部1111は、周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tの組と、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rの組とを送信処理部1113へ出力する。
【0084】
受信処理部1111は、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、パケットPKTのヘッダHEDのみを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後のヘッダHEDをデコードする。そして、受信処理部1111は、デコードしたヘッダHEDのフラグFLGを参照して、上述した方法によって、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるか定期パケットPKT_PRDであるかを判定する。
【0085】
受信処理部1111は、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、そのデコードしたヘッダHEDのCTを転送処理部1112の転送処理実行部1110へ出力し、ディジタル信号からなるパケットPKTの本体部BODYを一時記憶バッファ1120へ出力する。
【0086】
その後、受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受けると、一時記憶バッファ1120に格納された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを読み出し、その読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111は、デコードした緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112へ出力する。
【0087】
一方、受信処理部1111は、パケットPKTが定期パケットPKT_PRDであると判定すると、周波数チャネルfrにおけるパケットPKTの本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111は、デコードしたパケットPKT(=定期パケットPKT_PRD)をMACモジュール112へ出力する。
【0088】
転送処理部1112の転送処理実行部1110は、定期パケットPKT_PRDの送信元のアドレスと無線装置1に対する送信元の存在方向を示す相対方向とを処理手段113から定期的に受ける。そして、転送処理実行部1110は、その受けた送信元のアドレスおよび相対方向をそれぞれ無線装置IDおよび相対方向に格納するとともに、シーケンス番号(SEQ_A)に“0”を格納して転送テーブル30を作成または更新し、その作成または更新した転送テーブル30を保持する。
【0089】
また、転送処理実行部1110は、受信処理部1111から緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDに含まれるCTを受けると、その受けたCTと、転送テーブル30とに基づいて、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する。
【0090】
より具体的には、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGのCTを参照して、緊急パケットPKT_EMGの生存期間TTLが有効(TTL>0)であるか否かを判定し、CTに含まれる伝達方向DRが転送テーブル30に登録されている相対方向と一致するか否かを判定する。
【0091】
そして、転送処理実行部1110は、生存期間TTLが有効(TTL>0)であり、かつ、CTに含まれる伝達方向DRが転送テーブル30に登録されている相対方向に一致すると判定したとき、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”からなるか否かを判定する。
【0092】
転送処理実行部1110は、この判定において、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”からなると判定したとき、該緊急パケットPKT_EMGを未転送と判断でき、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定する。
【0093】
一方、転送処理実行部1110は、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”ではないと判定したとき、緊急パケットPKT_EMGのCTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aと、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)とを比較する。そして、転送処理実行部1110は、シーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)よりも大きいとき、緊急パケットPKT_EMGを新たに受信したと判断でき、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定する。また、転送処理実行部1110は、シーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)以下であるとき、既に受信した緊急パケットPKT_EMGを再度受信したと判断でき、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきでないと判定する。つまり、転送処理実行部1110は、転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)が“0”ではないとき、通常のシーケンス番号の使用方法に基づいて、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する。
【0094】
そして、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定したとき、緊急パケットPKT_EMGを転送する無線装置の識別番号ID_Tおよび生存期間TTLを更新してCTを更新する。その後、転送処理実行部1110は、誤り検出符号CRC_Aを新たに算出し、その算出した誤り検出符号CRC_Aに、更新したCTを付加してヘッダHEDを再構築する。そうすると、転送処理実行部1110は、一時記憶バッファ1120に格納された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODY(ディジタル信号からなる)を取り出し、その取り出した本体部BODYと、再構築したヘッダHEDとを送信処理部1113へ出力する。そして、転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aを転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)に格納して転送テーブル30を更新する。その後、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力する。
【0095】
一方、転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCTに含まれる生存期間TTLが“0”であり、CTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)よりも大きいとき、緊急パケットPKT_EMGの転送は不要であるが、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であると判定し、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力する。
【0096】
また、転送処理実行部1110は、例えば、CTに含まれるシーケンス番号SEQ_Aが転送テーブル30中のシーケンス番号(SEQ_A)以下であるとき、緊急パケットPKT_EMGの転送および受信が不要であると判定し、一時記憶バッファ1120から緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを読み出し、その読み出した本体部BODYと、受信処理部1111から受けたCTとを破棄する。この場合、転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力しない。
【0097】
一時記憶バッファ1120は、緊急パケットPKT_EMGの本体部BODY(ディジタル信号からなる)を受信処理部1111から受け、その受けた本体部BODYの全体を一時的に記憶する。その後、一時記憶バッファ1120は、その記憶した本体部BODYを読出要求に応じて受信処理部1111および/または転送処理実行部1110へ出力する。
【0098】
送信処理部1113は、周波数チャネルftおよび拡散符号Code_tの組と、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rの組とを受信処理部1111から受ける。そして、送信処理部1113は、MACモジュール112からパケットPKT(定期パケットPKT_PRDまたは緊急パケットPKT_EMG)を受けると、その受けたパケットPKTにプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加し、そのプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加したパケットPKTを拡散符号Code_tによってスペクトル拡散するとともに、その拡散したパケットPKTをディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルftで送信する。
【0099】
また、送信処理部1113は、転送処理部1112の転送処理実行部1110からヘッダHEDおよび本体部BODYを受けると、その受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散し、更に、その拡散後のヘッダHEDを本体部BODYに付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築する。そして、送信処理部1113は、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfrで転送する。
【0100】
図9は、実施の形態1における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【0101】
各無線装置1〜8において、受信処理部1111は、パケットPKTを受信し、パケットPKTのヘッダHEDをデコードしてパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定した後、パケットPKTのヘッダHED以外の本体部BODY(=DATA_B+DATA_C)をタイミングt1で一時記憶バッファ1120へ格納し始め、タイミングt2で本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納を完了する。
【0102】
そして、転送処理部1112の転送処理実行部1110は、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了したタイミングt2の後、ヘッダHEDを再構築し、その再構築したヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを送信処理部1113へ出力する。そうすると、送信処理部1113は、ヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する。そして、送信処理部1113は、その拡散後のヘッダHEDを本体部BODYに付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して緊急パケットPKT_EMGの転送をタイミングt3において周波数チャネルfrで開始し、タイミングt4で緊急パケットPKT_EMGの転送を完了する。
【0103】
このように、実施の形態1においては、受信が開始された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に一時的に格納し、その後に緊急パケットPKT_EMGを転送することによって、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に緊急パケットPKT_EMGを転送することを実現している。
【0104】
従って、実施の形態1においては、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に緊急パケットPKT_EMGを転送することを特徴とする。これによって、緊急パケットPKT_EMGを受信する期間と、緊急パケットPKT_EMGを転送する期間とをずらすことができ、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0105】
図10は、交通状況を示す図である。また、図11は、周辺車両情報テーブル20の第1の例を示す図である。更に、図12は、転送テーブル30の第1の例を示す図である。更に、図13は、周辺車両情報テーブル20の第2の例を示す図である。更に、図14は、転送テーブル30の第2の例を示す図である。
【0106】
図10に示すように、車両C1〜C3,C6,C7は、道路RD1を交差点CRへ向かって走行しており、車両C4は、道路RD4を交差点CRへ向かって走行しており、車両C5は、道路RD2を交差点CRから遠ざかる方向へ走行しており、車両C8は、道路RD3を交差点CRから遠ざかる方向へ走行している。
【0107】
このような状況において、車両C1〜C8にそれぞれ搭載された無線装置1〜8は、上述した方法によって定期パケットPKT_PRDを定期的に発生するとともに、その発生した定期パケットPKT_PRDを送信する。
【0108】
その結果、車両C2に搭載された無線装置2の処理手段113は、他の無線装置から受信した定期パケットPKT_PRDに含まれる他の無線装置1,3〜8のアドレスおよびGPS信号と、自己のGPS信号とに基づいて、上述した方法によって、図11に示す周辺車両情報テーブル20−1を作成する。
【0109】
そして、無線装置2の処理手段113は、周辺車両情報テーブル20−1から無線装置IDと相対方向との組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]を取り出し、その取り出した組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]を転送処理部1112の転送処理実行部1110へ出力する。
【0110】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110は、処理手段113から組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]を受け、その受けた組[Add1/前方],[Add3/後方],[Add4/前方],[Add5/左前方],[Add6/前方],[Add7/前方],[Add8/右前方]に基づいて、上述した方法によって、図12に示す転送テーブル30−1を作成する。この場合、無線装置2の転送処理実行部1110は、無線装置2が無線装置1,3〜8からの緊急パケットPKT_EMGを未だ転送していないので、シーケンス番号(SEQ_A)に“0”を格納して転送テーブル30−1を作成する。
【0111】
同様にして、無線装置1の処理手段113は、図13に示す周辺車両情報テーブル20−2を作成し、無線装置1の転送処理実行部1110は、図14に示す転送テーブル30−2を作成する。
【0112】
なお、図示していないが、無線装置3〜8も、同様にして、周辺車両情報テーブル20および転送テーブル30を作成する。
【0113】
このように、緊急情報が発生していない状況においては、各無線装置1〜8は、定期パケットPKT_PRDを定期的に送受信して周辺車両情報テーブル20および転送テーブル30を作成し、その作成した周辺車両情報テーブル20に基づいて、他の無線装置が搭載された車両の位置、相対位置、進行方向および相対方向を検知し、その検知した車両の位置、相対位置、進行方向および相対方向に基づいて、交差点CRにおける出会い頭衝突事故防止のための安全支援として、車両接近の情報をドライバーに伝える。
【0114】
図15は、他の交通状況を示す図である。また、図16および図17は、それぞれ、転送テーブル30の第3および第4の例を示す図である。
【0115】
図15に示すように、救急車が後方から車両C3に接近した場合、無線装置3の緊急パケット発生手段115は、外部から緊急情報を受け、周辺車両情報テーブル20を参照して、救急車が後方から車両C3へ接近していることを検知し、後方から救急車が接近していることを車両C3の前方に位置する車両に通知する必要があると判断する。そして、無線装置3の緊急パケット発生手段115は、緊急パケットPKT_EMG1を他の車両に搭載された無線装置へ送信するために、緊急パケットPKT_EMGであることを示すフラグFLG=ON、送信元の識別番号ID_S=Add3、中継無線装置の識別番号ID_T=Add3、伝達方向=前方、生存期間TTL=4、シーケンス番号SEQ_A=10および緊急情報(=救急車の接近)を含む緊急パケットPKT_EMG1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10/救急車の接近]を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10/救急車の接近]をMACモジュール112を介して送受信手段111へ出力する。この場合、緊急情報(=救急車の接近)は、シーケンス番号SEQ_Bと共にパケットPKTのLSDU(図3参照)に格納される。
【0116】
そして、無線装置3の送受信手段111は、プリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を緊急パケットPKT_EMG1に付加し、そのプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)を付加した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code_t(=例えば、拡散符号Code2)によってスペクトル拡散し、その拡散後の緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルft(例えば、周波数チャネルf1)で送信する。
【0117】
車両C2に搭載された無線装置2の送受信手段111は、緊急パケットPKT_EMG1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10/救急車の接近]を無線装置3から周波数チャネルf1〜f4の各々で受信する。
【0118】
そして、無線装置2の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMG1の4個の受信信号の各々をアナログ信号からディジタル信号に変換し、その変換したディジタル信号からなる4個の受信信号に基づいて、上述した方法によって、周波数チャネルfr(=無線装置3における周波数チャネルft=f1)および拡散符号Code_r(=無線装置3における拡散符号Code_t=Code2)を検出し、その検出した周波数チャネルfr=f1および拡散符号Code_r=Code2を送信処理部1113へ出力する。
【0119】
その後、無線装置2の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]を拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後のヘッダHED1をデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111は、デコードしたヘッダHED1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]のフラグFLG=ONを参照して、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であることを検知する。その後、無線装置2の受信処理部1111は、ヘッダHED1のCT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]を転送処理部1112の転送処理実行部1110へ出力し、本体部BODY=[救急車の接近]を転送処理部1112の一時記憶バッファ1120へ格納する。
【0120】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]の送信元ID_S=Add3および伝達方向=前方を参照して、緊急パケットPKT_EMG1が無線装置3において発生されたものであること、および緊急パケットPKT_EMG1を無線装置3よりも前方へ中継すべきことを検知する。
【0121】
そして、無線装置2の転送処理実行部1110は、転送テーブル30−1(図12参照)に登録されている相対方向(=後方)から、無線装置3から見た無線装置2の相対方向が前方となることと、CT1の伝達方向=前方とが一致することを検知する。
【0122】
その後、無線装置2の転送処理実行部1110は、送信元ID_S=Add3に対応するシーケンス番号(SEQ_A)が“0”であることと、生存期間TTL=4が“0”よりも大きいことを検出し、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきであると判定する。
【0123】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110は、CT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]に格納された中継無線装置の識別番号を無線装置3から無線装置2(=ID_T=Add2)に代え、生存期間TTL=4を“1”だけ減少させてCT1=[ON/Add3/Add3/前方/4/10]をCT1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]に更新する。
【0124】
その後、無線装置2の転送処理実行部1110は、誤り検出符号CRC_Aを新たに算出し、その算出した誤り検出符号CRC_AをCT1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]に付加してヘッダHED1を再構築する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110は、一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出し、その読み出した本体部BODYと、再構築したヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]とを送信処理部1113へ出力する。また、無線装置2の転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMG1の受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力するとともに、ヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]に含まれるシーケンス番号SEQ_A=10を転送テーブル30−1(図12参照)の無線装置ID=Add3に対応するシーケンス番号(SEQ_A)に格納し、転送テーブル30−1を転送テーブル30−3(図16参照)に更新する。
【0125】
そして、無線装置2の送信処理部1113は、ヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]と、本体部BODYとを転送処理実行部1110から受けると、その受けたヘッダHED1=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]をエンコードし、そのエンコード後のヘッダHED1を拡散符号Code_r=Code2によってスペクトル拡散する。その後、無線装置2の送信処理部1113は、その拡散後のヘッダHED1を本体部BODYに付加して緊急パケットPKT_EMG2=[ON/Add3/Add2/前方/3/10/救急車の接近]を再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMG2をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfr(=周波数チャネルf1)で転送する。
【0126】
一方、無線装置2の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受けると、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出し、その読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、更に、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111は、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113へ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0127】
このように、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理するとともに、緊急パケットPKT_EMG1の受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMG1を緊急パケットPKT_EMG2として転送する。
【0128】
無線装置1は、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMG2の受信を開始し、無線装置2と同じ方法によって、緊急パケットPKT_EMG2を受理するとともに、緊急パケットPKT_EMG2の受信が完了すると、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて緊急パケットPKT_EMG2を緊急パケットPKT_EMG3として無線装置6へ転送する。この場合、無線装置1は、緊急パケットPKT_EMG2のヘッダ=[ON/Add3/Add2/前方/3/10]をヘッダ=[ON/Add3/Add1/前方/2/10]に更新する。
【0129】
そして、無線装置1の転送処理実行部1110は、転送テーブル30−2(図14参照)の無線装置ID=Add3に対応するシーケンス番号(SEQ_A)に緊急パケットPKT_EMG2のシーケンス番号SEQ_A=10を格納し、転送テーブル30−2を転送テーブル30−4(図17参照)に更新する。
【0130】
また、無線装置6は、無線装置1からの緊急パケットPKT_EMG3の受信を開始し、無線装置2と同じ方法によって、緊急パケットPKT_EMG3を受理するとともに、緊急パケットPKT_EMG3の受信が完了すると、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて緊急パケットPKT_EMG3を緊急パケットPKT_EMG4として無線装置7へ転送する。そして、無線装置6は、転送テーブル30を更新する。この場合、無線装置6は、緊急パケットPKT_EMG3のヘッダ=[ON/Add3/Add1/前方/2/10]をヘッダ=[ON/Add3/Add6/前方/1/10]に更新する。
【0131】
そして、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG4を無線装置6から受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG4を受理し、緊急パケットPKT_EMG4を転送しない。無線装置7が緊急パケットPKT_EMG4を受信することによって、緊急パケットの生存期間TTLが“0”になるからである。
【0132】
より詳細には、無線装置7の転送処理実行部1110は、緊急パケットPKT_EMG4の転送は不要であるが、緊急パケットPKT_EMG4の受信が必要であると判定すると、緊急パケットPKT_EMG4の受信が必要であることを示す通知を受信処理部1111へ出力する。
【0133】
そして、無線装置7の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMG4の受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受け、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出す。その後、無線装置7の受信処理部1111は、その読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置7の受信処理部1111は、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG4をMACモジュール112を介して処理手段113へ出力する。
【0134】
図18は、実施の形態1における緊急パケットの転送を示す概念図である。車両C3に搭載された無線装置3は、緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて送信し、車両C2に搭載された無線装置2は、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を開始する(図18の(a)参照)。
【0135】
そして、車両C2に搭載された無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信が完了すると、上述した方法によって緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する。また、車両C1に搭載された無線装置1は、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて無線装置2からの緊急パケットPKT_EMGの受信を開始する(図18の(b)参照)。
【0136】
そして、無線装置1は、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMGの受信が完了すると、上述した方法によって緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する(図18の(c)参照)。
【0137】
車両C6に搭載された無線装置6も、上述した方法によって、周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて緊急パケットPKT_EMGの受信を開始し、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了すると、緊急パケットPKT_EMGを周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて転送する(図18の(c)参照)。
【0138】
車両C7に搭載された無線装置7は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMGの受信を周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて開始し、緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDに含まれる生存期間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMGを転送せず、緊急パケットPKT_EMGの受信処理のみを行なう(図18の(d)参照)。
【0139】
上述したように、各無線装置2,1,6は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGを転送する。その結果、転送された緊急パケットPKT_EMGからなる転送信号が受信信号に干渉波として作用することがない。
【0140】
従って、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送できる。
【0141】
上記においては、救急車が後方から接近した場合の緊急パケットPKT_EMGの伝搬について説明したが、例えば、図15において、右折しようとした車両C7が交差点CR内で車両C4と衝突事故を起こした場合、車両C6に搭載された無線装置6は、交通事故からなる緊急情報を含む緊急パケットPKT_EMGを発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMGを、上述した方法によって、無線装置1、無線装置2および無線装置3へ順次伝達する。
【0142】
そして、無線装置1〜3は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMGを干渉を抑制して受信し、交差点CR内で交通事故が起こっていることを検知し、緊急情報=交通事故を車両C1〜C3のドライバーに視聴覚情報として与える。従って、更なる事故を防止するための安全支援を行なうことができる。
【0143】
図19は、転送テーブル30の第5の例を示す図である。無線装置6の転送処理実行部1110は、転送テーブル30−5を保持している。従って、無線装置6の転送処理実行部1110は、既に、無線装置2,3,4,7が発生した緊急パケットPKT_EMGを受信して転送している。
【0144】
このような状況において、無線装置6の転送処理実行部1110は、無線装置2が発生した緊急パケットPKT_EMGを新たに受信した場合、転送テーブル30−5を参照して、無線装置ID=Add2に対応するシーケンス番号(SEQ_A)=20と、無線装置2から送信された緊急パケットPKT_EMGのヘッダHED(=CT)に含まれるシーケンス番号SEQ_Aとを比較し、シーケンス番号SEQ_Aがシーケンス番号(SEQ_A)=20よりも大きければ、緊急パケットPKT_EMGを転送し、シーケンス番号SEQ_Aがシーケンス番号(SEQ_A)=20以下であれば、緊急パケットPKT_EMGを転送しない。無線装置6の転送処理実行部1110は、無線装置3,4,7から緊急パケットPKT_EMGを新たに受信した場合も、同様に処理する。
【0145】
この実施の形態においては、緊急パケットPKT_EMGのシーケンス番号SEQ_Aは、緊急パケットPKT_EMGの発生元のみによって付与され、転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)には、緊急パケットPKT_EMGが転送された場合、緊急パケットPKT_EMGに含まれるシーケンス番号SEQ_Aを格納する構成を採用しているので、“0”以外の値が転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)に格納されている場合、転送テーブル30のシーケンス番号(SEQ_A)と緊急パケットPKT_EMGに含まれるシーケンス番号SEQ_Aとの大小関係によって緊急パケットPKT_EMGが転送されたり、転送されなかったりする。
【0146】
従って、緊急パケットPKT_EMGの重複転送を回避できる。
【0147】
図20は、実施の形態1における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、パケットPKTの受信を周波数チャネルfrで開始する(ステップS1)。
【0148】
そして、各無線装置1〜8は、パケットPKTをアナログ信号からデジタル信号に変換し、パケットPKTのヘッダHEDのみを拡散符号Code_rによって逆拡散する(ステップS2)。その後、各無線装置1〜8は、ヘッダHEDをデコードする(ステップS3)。
【0149】
そして、各無線装置1〜8は、そのデコードしたヘッダHEDに基づいて、上述した方法によってパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであるか否かを判定する(ステップS4)。
【0150】
ステップS4において、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定されたとき、各無線装置1〜8は、パケットPKTの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に格納し(ステップS5)、デコードしたヘッダHEDのCTおよび転送テーブル30に基づいて、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきか否かを判定する(ステップS6)。
【0151】
そして、ステップS6において、緊急パケットPKT_EMGを転送すべきと判定されたとき、各無線装置1〜8は、上述した方法によってヘッダHEDを再構築し(ステップS7)、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出す(ステップS8)。その後、各無線装置1〜8は、再構築したヘッダHEDをエンコードし(ステップS9)、そのエンコード後のヘッダHEDを緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号と同じ拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する(ステップS10)。
【0152】
そうすると、各無線装置1〜8は、本体部BODYにヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfrで転送する(ステップS11)。
【0153】
その後、一連の動作は、ステップS13へ移行する。
【0154】
一方、ステップS6において、緊急パケットPKT_EMGを転送しないと判定されたとき、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを受信するか否かを更に判定する(ステップS12)。
【0155】
ステップS12において、緊急パケットPKT_EMGを受信すると判定されたとき、またはステップS11の後、各無線装置1〜8の受信処理部1111は、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知を転送処理実行部1110から受け、その受けた通知に応じて、一時記憶バッファ1120から本体部BODYを取り出す。そして、各無線装置1〜8の受信処理部1111は、その取り出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し(ステップS13)、その拡散後の本体部BODYをデコードする(ステップS14)。そうすると、各無線装置1〜8の受信処理部1111は、デコードした緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112を介して処理手段113へ出力し、処理手段113は、緊急パケットPKT_EMGを受ける。これによって、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを受信する(ステップS15)。
【0156】
一方、ステップS12において、緊急パケットPKT_EMGを受信しないと判定されたとき、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110は、受信処理部1111から受けたCTを破棄するとともに、一時記録バッファ1120から本体部BODYを取り出し、その取り出した本体部BODYを破棄する(ステップS16)。
【0157】
そして、ステップS4において、パケットPKTが緊急パケットPKT_EMGでないと判定されたときは、パケットPKTは定期パケットPKT_PRDであると判断し、定期パケット受信処理(図示せず)を行なった後、一連の動作は、終了する。また、ステップS15、またはステップS16の後、一連の動作は、終了する。
【0158】
上述したように、各無線装置1〜8は、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGである場合、緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYの全体を一時記憶バッファ1120に格納した後に、上述した方法によって、ヘッダHEDを更新して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、その再構築した緊急パケットPKT_EMGを転送する。その結果、転送信号が受信信号に干渉波として作用することはない。
【0159】
従って、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルおよび拡散符号と同一の周波数チャネルおよび同一の拡散符号を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0160】
なお、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態1においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0161】
また、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態1においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0162】
[実施の形態2]
図21は、図1に示す無線装置1〜8の実施の形態2における構成を示す概略図である。実施の形態2においては、図1に示す無線装置1〜8は、図21に示す無線装置1Aからなる。
【0163】
無線装置1Aは、図4に示す無線装置1の通信制御部11を通信制御部11Aに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0164】
通信制御部11Aは、図4に示す通信制御部11の送受信手段111を送受信手段111Aに代え、処理手段113を処理手段113Aに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0165】
送受信手段111Aは、送受信手段111と同じ方法によって、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら、ヘッダHEDを再構築して緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルと異なる送信周波数チャネルを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0166】
また、送受信手段111Aは、送受信手段111と同じ方法によって、受信周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択し、その選択した受信周波数チャネルfrをMACモジュール112を介して処理手段113Aへ出力する。送受信手段111Aは、その他、送受信手段111と同じ機能を果たす。
【0167】
処理手段113Aは、定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルfrを送受信手段111Aから受け、その受けた受信周波数チャネルfrを格納して周辺車両情報テーブル20(図6参照)に周波数チャネルの項目を追加した周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。処理手段113Aは、その他、処理手段113と同じ機能を果たす。
【0168】
図22は、図21に示す送受信手段111Aの構成を示す概略ブロック図である。
【0169】
送受信手段111Aは、受信処理部1111Aと、転送処理部1112Aと、送信処理部1113Aとを含む。転送処理手段1112Aは、転送処理実行部1110Aと、一時記憶バッファ1120とを含む。
【0170】
受信処理部1111Aは、受信処理部1111と同じ方法によって、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、その選択した周波数チャネルfrをMACモジュール112を介して処理手段113Aへ出力し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを送信処理部1113Aへ出力する。また、受信処理部1111Aは、受信処理部1111と同じ方法によって、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、デコードしたヘッダHEDのCTを転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶させながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。更に、受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であるとき、一時記憶バッファ1120から順次読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、受信処理部1111Aは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMGをMACモジュール112へ出力する。更に、受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないとき、一時記憶バッファ1120から順次読み出した本体部BODYを破棄する。その他、受信処理部1111Aは、受信処理部1111と同じ機能を果たす。
【0171】
転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aは、転送処理実行部1110と同じ方法によって、ヘッダHEDを再構築すると、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に本体部BODYを記憶している状態で一時記憶バッファ1120から本体部BODYを随時読み出し、その再構築したヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYとを送信処理部1113Aへ出力する。このように、転送処理実行部1110Aは、ヘッダHEDを再構築すると、その構築したヘッダHEDと、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に本体部BODYを記憶している状態で一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYとを送信処理部1113Aへ出力する。
【0172】
更に、転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMGの転送および受信が必要でないとき、受信処理部1111Aから受けたCTと、一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0173】
更に、転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないとき、緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知を受信処理部1111Aへ出力する。その他、転送処理実行部1110Aは、転送処理実行部1110と同じ機能を果たす。なお、転送処理実行部1110Aは、処理手段113Aから受けた無線装置IDおよび相対方向に基づいて転送テーブル30を作成または更新し、その作成または更新した転送テーブル30を保持する。
【0174】
送信処理部1113Aは、ヘッダHEDを転送処理実行部1110Aから受けると、その受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_rによってスペクトル拡散する。そして、送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGの再構築を開始する。そして、送信処理部1113Aは、再構築を開始した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に随時変換し、その変換した緊急パケットPKT_EMGを受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する。つまり、送信処理部1113Aは、ヘッダHEDを本体部BODYの先頭部分に付加すると、ヘッダHEDおよび本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfdで転送を開始するとともに、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfdで転送する。その他、送信処理部1113Aは、送信処理部1113と同じ機能を果たす。
【0175】
このように、送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0176】
図23は、実施の形態2における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。実施の形態2における周辺車両情報テーブル20Aは、図6に示す周辺車両情報テーブル20に周波数チャネルを追加したものであり、その他は、周辺車両情報テーブル20と同じである。
【0177】
周波数チャネルは、無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向に対応付けられる。そして、周波数チャネルは、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた周波数チャネル(周波数チャネルf1〜f4のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルfrからなる。
【0178】
送受信手段111Aは、他の無線装置から受信を開始した定期パケットPKT_PRDに基づいて、上述した方法によって、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)を演算し、その演算した60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0179】
従って、処理手段113Aは、送受信手段111Aが選択した周波数チャネルfrを定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルとして送受信手段111Aから受ける。そして、処理手段113Aは、上述した無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向と、送受信手段111Aから受けた周波数チャネルfrとを対応付けて格納することにより周辺車両情報テーブル20Aを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブル20Aを保持する。
【0180】
処理手段113Aは、周辺車両情報テーブル20Aを作成または更新すると、無線装置IDおよび相対方向を取り出し、その取り出した無線装置IDおよび相対方向を定期的に転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力する。
【0181】
図24は、実施の形態2における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【0182】
各無線装置1〜8において、受信処理部1111Aは、パケットPKTの受信を開始し、パケットPKTのヘッダHEDをデコードしてパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定した後、パケットPKTのヘッダHED以外の本体部BODY(=DATA_B+DATA_C)をタイミングt5で一時記憶バッファ1120へ格納し始める。
【0183】
そして、送信処理部1113Aは、転送要否の判断、緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDの再構築および緊急パケットPKT_EMGの再構築を完了したタイミングt6において、再構築した緊急パケットPKT_EMGの転送を緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで開始し、タイミングt7で緊急パケットPKT_EMGの転送を完了する。この場合、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了するタイミングt8は、送信処理部1113Aが緊急パケットPKT_EMGを転送し始めるタイミングt6よりも後のタイミングである。
【0184】
このように、実施の形態2においては、受信が開始された緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出して、緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0185】
これによって、緊急パケットPKT_EMGの転送周波数チャネルを緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネル(=周波数チャネルfr)と異なる周波数チャネルfdに設定でき、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0186】
実施の形態2における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。図25は、実施の形態2における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するための図である。図26は、実施の形態2における周辺車両情報テーブル20Aの具体例を示す図である。
【0187】
以下においては、図15に示す無線装置1〜3,6における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。この場合、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信周波数チャネルをそれぞれ周波数チャネルf1,f2,f3,f1とし、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信に用いる拡散符号は、全て同じ拡散符号Code2とする。また、無線装置2は、無線装置1,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置1は、無線装置2,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置6は、無線装置1,2,7から送信されたパケットPKTを直接受信できるものとする。その結果、無線装置2の処理手段113Aは、周辺車両情報テーブル20A−1(図26参照)を保持しており、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、転送テーブル30−1(図12参照)を保持している。なお、無線装置2は、無線装置4,5,7,8からパケットPKTを直接受信できないので、周辺車両情報テーブル20A−1において、無線装置ID=Add4,Add5,Add7,Add8に対応する周波数チャネルは、“unknown”としている。
【0188】
無線装置3は、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2および周波数チャネルf1を用いて送信する。
【0189】
そして、無線装置2の受信処理部1111Aは、無線装置3からパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG1)の受信を開始し、パケットPKTのヘッダHEDのみをデコードして、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であると判定する。
【0190】
その後、無線装置2の受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1のCT1を転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMG1の本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。
【0191】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1のCT1および転送テーブル30−1を参照して、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきか否かを判定する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきと判定すると、受信処理部1111Aが本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶を行なっている状態で本体部BODYの読出を開始するとともに、上述した方法によって、ヘッダHEDを再構築し、その再構築したヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分とを送信処理部1113Aへ出力する。そして、無線装置2の送信処理部1113Aは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを拡散符号Code_r=Code2によってスペクトル拡散する。
【0192】
そうすると、無線装置2の送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加し、ヘッダHEDおよび本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルf2で転送を開始する。そして、無線装置2の送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に随時変換して周波数チャネルf2で転送する。
【0193】
このように、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置3から周波数チャネルf1で受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf2で転送する。
【0194】
また、無線装置2の受信処理部1111Aは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111Aは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113Aへ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0195】
その後、無線装置1は、同様にして、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置2から周波数チャネルf2で受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf3で転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置6は、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置1から周波数チャネルf3で受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1で転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1を無線装置6から周波数チャネルf1で受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1の生存期間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMG1の受信処理のみを行ない、緊急パケットPKT_EMG1を転送しない(図25参照)。
【0196】
その結果、無線装置2,1,6において、転送信号が受信信号に干渉波として作用することがない。また、無線装置6は、無線装置3と同じ周波数チャネルf1を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送するが、無線装置6が緊急パケットPKT_EMGを転送する時には、無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信が完了しているので、無線装置6における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。
【0197】
なお、無線装置1は、無線装置3からパケットPKTを直接受信できないとき、無線装置3におけるパケットPKTの送信周波数チャネルを検知できない。この場合、無線装置1は、無線装置2におけるパケットPKTの送信周波数チャネルf2と異なる周波数チャネルとして周波数チャネルf1を選択する場合もあるが、無線装置1が緊急パケットPKT_EMGを転送するタイミングでは、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を完了している。従って、無線装置1における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。無線装置6が無線装置2におけるパケットPKTの送信周波数チャネルf2を検知できない場合も、同様である。
【0198】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0199】
図27は、実施の形態2における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【0200】
図27に示すフローチャートは、図20に示すフローチャートのステップS5,S8,S11をそれぞれステップS5A,S8A,S11Aに代えたものであり、その他は、図20に示すフローチャートと同じである。
【0201】
一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8(=1A)は、上述したステップS1〜S4を順次実行する。そして、ステップS4において、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定されると、各無線装置1〜8(=1A)の受信処理部1111Aは、緊急パケットPKT_EMGのヘッダHEDのCTを転送処理実行部1110Aへ出力し、ヘッダHED以外の本体部BODYを一時記憶バッファ1120へ格納し始める(ステップS5A)。
【0202】
そして、上述したステップS6,S7が順次実行された後、各無線装置1〜8(=1A)の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Aが緊急パケットPKT_EMGの本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶している状態で一時記憶バッファ1120からの本体部BODYの読出を開始する(ステップS8A)。その後、上述したステップS9,S10が順次実行される。
【0203】
そして、ステップS10の後、各無線装置1〜8の送信処理部1113Aは、受信処理部1111Aが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを受信しながら受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する(ステップS11A)。
【0204】
その後、上述したステップS12〜ステップS16が実行される。この場合、ステップS13において、各無線装置1〜8の受信処理部1111Aは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散する。また、ステップS16において、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Aから受けたCTと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄し、受信処理部1111Aは、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知に応じて、ヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0205】
このように、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを受信周波数チャネルfrで受信しながら受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0206】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0207】
また、一時記憶バッファ1120への一時記憶の完了を待つことなく緊急パケットPKT_EMGを転送する。即ち、一定のカットスルー転送処理時間、つまり、ハードウェア処理時間で緊急パケットPKT_EMGの転送を開始できる。
【0208】
なお、上述した実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせてもよい。この場合、緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図9に示す転送概念と同じになる。従って、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了した後に、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出して緊急パケットPKT_EMGを転送する。更に、各無線装置1〜8は、図20に示すフローチャートにおいて、ステップS11の「受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfr」を「受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfd」に代えたフローチャートに従って緊急パケットPKTを転送する。
【0209】
これによって、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0210】
また、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態2においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0211】
更に、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態2においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0212】
更に、上記においては、受信処理部1111Aは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出すと説明したが、この発明の実施の形態2においては、これに限らず、実装に応じて、受信処理部1111Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶が完了した後に、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知に応じて、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出すようにしてもよい。
【0213】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0214】
[実施の形態3]
図28は、図1に示す無線装置1〜8の実施の形態3における構成を示す概略図である。
【0215】
実施の形態3においては、図1に示す無線装置1〜8は、図28に示す無線装置1Bからなる。
【0216】
無線装置1Bは、図21に示す無線装置1Aの通信制御部11Aを通信制御部11Bに代えたものであり、その他は、通信制御部11Aと同じである。
【0217】
通信制御部11Bは、図21に示す通信制御部11Aの送受信手段111Aを送受信手段111Bに代え、処理手段113Aを処理手段113Bに代えたものであり、その他は、通信制御部11Aと同じである。
【0218】
送受信手段111Bは、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら、ヘッダHEDを更新して緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。送受信手段111Bは、その他、送受信手段111Aと同じ機能を果たす。
【0219】
処理手段113Bは、定期パケットPKT_PRDの受信に用いた拡散符号Code_rを送受信手段111Bから受け、その受けた拡散符号Code_rを格納して周辺車両情報テーブル20(図6参照)に拡散符号の項目を追加した周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。そして、処理手段113Bは、その作成または更新した周辺車両情報テーブルの無線装置IDおよび相対方向を定期的に送受信手段111Bへ出力する。処理手段113Bは、その他、処理手段113Aと同じ機能を果たす。
【0220】
図29は、図28に示す送受信手段111Bの構成を示す概略ブロック図である。
【0221】
送受信手段111Bは、図22に示す送受信手段111Aの受信処理部1111Aおよび送信処理部1113Aをそれぞれ受信処理部1111Bおよび送信処理部1113Bに代えたものであり、その他は、送受信手段111Aと同じである。
【0222】
受信処理部1111Bは、受信処理部1111と同じ方法によって、周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択すると、その選択した拡散符号Code_rをMACモジュール112を介して処理手段113Bへ出力し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを送信処理部1113Bへ出力する。その他、受信処理部1111Bは、受信処理部1111Aと同じ機能を果たす。
【0223】
送信処理部1113Bは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを受信処理部1111Bから受けた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dによってスペクトル拡散する。
【0224】
そうすると、送信処理部1113Bは、送信処理部1113Aと同じように、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYに拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを再構築し、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら周波数チャネルfrで転送する。その他、送信処理部1113Bは、送信処理部1113と同じ機能を果たす。
【0225】
図30は、実施の形態3における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。実施の形態3における周辺車両情報テーブル20Bは、図6に示す周辺車両情報テーブル20に拡散符号を追加したものであり、その他は、周辺車両情報テーブル20と同じである。
【0226】
拡散符号は、無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向に対応付けられる。そして、拡散符号は、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた拡散符号(拡散符号Code1〜Code15のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信信号を逆拡散するときの拡散符号Code_rからなる。
【0227】
送受信手段111Bは、他の無線装置から受信を開始した定期パケットPKT_PRDに基づいて、上述した方法によって、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)を演算し、その演算した60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0228】
従って、処理手段113Bは、送受信手段111Bが選択した拡散符号Code_rを定期パケットPKT_PRDの受信信号を逆拡散するときの拡散符号として送受信手段111Bから受ける。そして、処理手段113Bは、上述した無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向と、送受信手段111Bから受けた拡散符号Code_rとを対応付けて格納することにより周辺車両情報テーブル20Bを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブル20Bを保持する。
【0229】
処理手段113Bは、周辺車両情報テーブル20Bを作成すると、無線装置IDおよび相対方向を取り出し、その取り出した無線装置IDおよび相対方向を定期的に転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力する。
【0230】
実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図24に示す転送概念と同じである。
【0231】
その結果、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを転送するときの拡散符号を緊急パケットPKT_EMGの受信信号の逆拡散に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dに設定して緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0232】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0233】
実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。図31は、実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するための図である。図32は、実施の形態3における周辺車両情報テーブル20Bの具体例を示す図である。
【0234】
以下においては、図15に示す無線装置1〜3,6における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。この場合、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信に用いる拡散符号をそれぞれ拡散符号Code2,Code3,Code5,Code4とし、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信周波数チャネルは、全て同じ周波数チャネルf1とする。また、無線装置2は、無線装置1,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置1は、無線装置2,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置6は、無線装置1,2,7から送信されたパケットPKTを直接受信できるものとする。その結果、無線装置2の処理手段113Bは、周辺車両情報テーブル20B−1(図32参照)を保持しており、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、転送テーブル30−1(図12参照)を保持している。なお、無線装置2は、無線装置4,5,7,8からパケットPKTを直接受信できないので、周辺車両情報テーブル20B−1において、無線装置ID=Add4,Add5,Add7,Add8に対応する拡散符号は、“unknown”としている。
【0235】
無線装置3は、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2および周波数チャネルf1を用いて送信する。
【0236】
そして、無線装置2の受信処理部1111Bは、無線装置3からパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG1)の受信を開始し、パケットPKTのヘッダHEDのみをデコードして、受信したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であると判定する。
【0237】
その後、無線装置2の受信処理部1111Bは、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1のCT1を転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMG1の本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。
【0238】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1のCT1および転送テーブル30−1を参照して、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきか否かを判定する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきと判定すると、受信処理部1111Bが本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶を行なっている状態で一時記憶バッファ1120からの本体部BODYの読出を開始するとともに、上述した同じ方法によって、ヘッダHED1を再構築し、その再構築したヘッダHED1と、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分とを送信処理部1113Bへ出力する。
【0239】
そうすると、無線装置2の送信処理部1113Bは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHED1をエンコードし、そのエンコード後のヘッダHED1を拡散符号Code3によってスペクトル拡散する。
【0240】
そして、無線装置2の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHED1を付加し、ヘッダHED1および本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルf1で転送を開始する。そして、無線装置2の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に随時変換して周波数チャネルf1で転送する。
【0241】
このように、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code3を用いて転送する。
【0242】
また、無線装置2の受信処理部1111Bは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら読み出して拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111Bは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113Bへ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0243】
その後、無線装置1は、同様にして、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code3を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code5を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置6は、無線装置1からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code5を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code4を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置7は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code4を用いて受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1の生存期間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMG1の受信処理のみを行ない、緊急パケットPKT_EMG1を転送しない(図31参照)。
【0244】
その結果、無線装置2,1,6における転送信号と受信信号との干渉が抑制される。
【0245】
なお、無線装置1は、無線装置3からパケットPKTを直接受信できないとき、無線装置3におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code2を検知できない。この場合、無線装置1は、無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code3と異なる拡散符号として拡散符号Code2を選択する場合もあるが、無線装置1が緊急パケットPKT_EMGを転送するタイミングでは、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を完了している。従って、無線装置1における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。また、無線装置1,2間の距離が数10m以上である場合、無線装置1,3が同じ拡散符号Code2を用いても、無線装置1における転送信号が無線装置2における受信信号の干渉波になり難い。無線装置6が無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code3を検知できない場合も、同様である。
【0246】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0247】
図33は、実施の形態3における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【0248】
図33に示すフローチャートは、図27に示すフローチャートのステップS10をステップS10Aに代え、ステップS11AをステップS11Bに代えたものであり、その他は、図27に示すフローチャートと同じである。
【0249】
一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、上述したステップS1〜S4,S5A,S6,S7,S8A,S9を順次実行する。そして、ステップS9の後、各無線装置1〜8の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bから受けた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dによってヘッダHEDをスペクトル拡散する(ステップS10A)。そして、各無線装置1〜8の送信処理部1113Bは、受信処理部1111Bが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを受信しながら受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfrで転送する(ステップS11B)。
【0250】
その後、上述したステップS12〜ステップS16が実行される。この場合、ステップS13において、各無線装置1〜8の受信処理部1111Bは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散する。また、ステップS16において、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Bから受けたCTと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄し、受信処理部1111Bは、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知に応じて、ヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0251】
このように、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いる拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0252】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0253】
なお、上述した実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせてもよい。この場合、緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図9に示す転送概念と同じになる。従って、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了した後に、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出して緊急パケットPKT_EMGを転送する。更に、各無線装置1〜8は、図33に示すフローチャートのステップS5A,S8A,S11Bをそれぞれ図20に示すフローチャートのステップS5,S8,S11に代えたフローチャートに従って緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0254】
これによって、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。また、実施の形態3においては、その他、実施の形態2と同じ効果を享受できる。
【0255】
また、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態3においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0256】
更に、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態3においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0257】
更に、上記においては、受信処理部1111Bは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出すと説明したが、この発明の実施の形態3においては、これに限らず、実装に応じて、受信処理部1111Bは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶が完了した後に、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知に応じて、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出すようにしてもよい。
【0258】
その他は、実施の形態1,2と同じである。
【0259】
[実施の形態4]
図34は、図1に示す無線装置1〜8の実施の形態4における構成を示す概略図である。
【0260】
実施の形態4においては、図1に示す無線装置1〜8は、図34に示す無線装置1Cからなる。
【0261】
無線装置1Cは、図4に示す無線装置1の通信制御部11を通信制御部11Cに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0262】
通信制御部11Cは、図4に示す通信制御部11の送受信手段111を送受信手段111Cに代え、処理手段113を処理手段113Cに代えたものであり、その他は、通信制御部11と同じである。
【0263】
送受信手段111Cは、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMGであると判定すると、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら、ヘッダHEDを更新して緊急パケットPKT_EMGの受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdと、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dとを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、送受信手段111Cは、送受信手段111と同じ方法によって周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rを選択し、その選択した周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rをMACモジュール112を介して処理手段113Cへ出力する。送受信手段111Cは、その他、送受信手段111と同じ機能を果たす。
【0264】
処理手段113Cは、定期パケットPKT_PRDの受信に用いられた拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrを送受信手段111Cから受け、その受けた拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrを格納して周辺車両情報テーブル20(図6参照)に周波数チャネルの項目および拡散符号の項目を追加した周辺車両情報テーブルを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブルを保持する。そして、処理手段113Cは、その作成または更新した周辺車両情報テーブルの無線装置IDおよび相対方向を定期的に送受信手段111Cへ出力する。処理手段113Cは、その他、処理手段113と同じ機能を果たす。
【0265】
図35は、図34に示す送受信手段111Cの構成を示す概略ブロック図である。
【0266】
送受信手段111Cは、図22に示す送受信手段111Aの受信処理部1111Aおよび送信処理部1113Aをそれぞれ受信処理部1111Cおよび送信処理部1113Cに代えたものであり、その他は、送受信手段111Aと同じである。
【0267】
受信処理部1111Cは、受信処理部1111と同じ方法によって、拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrを選択すると、その選択した拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrをMACモジュール112を介して処理手段113Cへ出力する。その他、受信処理部1111Cは、受信処理部1111Aと同じ機能を果たす。
【0268】
送信処理部1113Cは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHEDをエンコードし、そのエンコード後のヘッダHEDを受信処理部1111Cから受けた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dによってスペクトル拡散する。そして、送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGの再構築を開始し、その再構築を開始した緊急パケットPKT_EMGをディジタル信号からアナログ信号に変換して受信処理部1111Cから受けた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する。その後、送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルfdで転送する。その他、送信処理部1113Cは、送信処理部1113Aと同じ機能を果たす。
【0269】
図36は、実施の形態4における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。実施の形態4における周辺車両情報テーブル20Cは、図6に示す周辺車両情報テーブル20に周波数チャネルおよび拡散符号を追加したものであり、その他は、周辺車両情報テーブル20と同じである。
【0270】
周波数チャネルおよび拡散符号は、無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向に対応付けられる。そして、周波数チャネルは、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた周波数チャネル(周波数チャネルf1〜f4のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信周波数チャネルfrからなる。拡散符号は、定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDの送信に用いた拡散符号(拡散符号Code1〜Code15のいずれか)、即ち、定期パケットPKT_PRDの受信信号を逆拡散するときの拡散符号Code_rからなる。
【0271】
送受信手段111Cは、他の無線装置から受信を開始した定期パケットPKT_PRDに基づいて、上述した方法によって、60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)を演算し、その演算した60個の評価値<ξCode1>av,f〜<ξCode15>av,f(f=f1〜f4)のうち、最も大きい評価値が得られる周波数チャネルおよび拡散符号をそれぞれ周波数チャネルfrおよび拡散符号Code_rとして選択する。
【0272】
従って、処理手段113Cは、送受信手段111Cが選択した周波数チャネルfrを定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDを送信するときの送信周波数チャネルとして送受信手段111Cから受け、送受信手段111Cが選択した拡散符号Code_rを定期パケットPKT_PRDの送信元が定期パケットPKT_PRDを送信するときの拡散符号として送受信手段111Cから受ける。そして、処理手段113Cは、上述した無線装置ID、時刻、位置情報、シーケンス番号(SEQ_B)、相対位置および相対方向と、送受信手段111Cから受けた拡散符号Code_rおよび周波数チャネルfrとを対応付けて格納することにより周辺車両情報テーブル20Cを作成または更新し、その作成または更新した周辺車両情報テーブル20Cを保持する。
【0273】
処理手段113Cは、周辺車両情報テーブル20Cを作成すると、無線装置IDおよび相対方向を取り出し、その取り出した無線装置IDおよび相対方向を定期的に転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力する。
【0274】
実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図24に示す転送概念と同じである。
【0275】
その結果、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGを転送するときの周波数チャネルを緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdに設定し、かつ、緊急パケットPKT_EMGを転送するときの拡散符号を緊急パケットPKT_EMGの受信信号の逆拡散に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dに設定して緊急PKT_EMGを転送する。
【0276】
従って、緊急PKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号が受信信号に干渉波として作用するのを抑制できる。
【0277】
実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。図37は、実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するための図である。図38は、実施の形態4における周辺車両情報テーブル20Cの具体例を示す図である。
【0278】
以下においては、図15に示す無線装置1〜3,6における緊急パケットPKT_EMGの転送動作について説明する。この場合、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信に用いる拡散符号をそれぞれ拡散符号Code2,Code3,Code5,Code4とし、無線装置3,2,1,6におけるパケットPKTの送信周波数チャネルをそれぞれ周波数チャネルf1,f2,f3,f1とする。また、無線装置2は、無線装置1,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置1は、無線装置2,3,6から送信されたパケットPKTを直接受信でき、無線装置6は、無線装置1,2,7から送信されたパケットPKTを直接受信できるものとする。その結果、無線装置2の処理手段113Cは、周辺車両情報テーブル20C−1(図38参照)を保持しており、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、転送テーブル30−1(図12参照)を保持している。なお、無線装置2は、無線装置4,5,7,8からパケットPKTを直接受信できないので、周辺車両情報テーブル20C−1において、無線装置ID=Add4,Add5,Add7,Add8に対応する周波数チャネルおよび拡散符号は、“unknown”としている。
【0279】
無線装置3は、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を発生し、その発生した緊急パケットPKT_EMG1を拡散符号Code2および周波数チャネルf1を用いて送信する。
【0280】
そして、無線装置2の受信処理部1111Cは、無線装置3からパケットPKT(=緊急パケットPKT_EMG1)の受信を開始し、パケットPKTのヘッダHED1のみをデコードして、受信を開始したパケットPKTが緊急パケットPKT_EMG1であると判定する。
【0281】
その後、無線装置2の受信処理部1111Cは、緊急パケットPKT_EMG1のヘッダHED1のCT1を転送処理部1112Aの転送処理実行部1110Aへ出力し、緊急パケットPKT_EMG1の本体部BODY(ディジタル信号からなる)を一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から本体部BODYを読み出す。
【0282】
そうすると、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1のCT1および転送テーブル30−1を参照して、上述した方法によって、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきか否かを判定する。そして、無線装置2の転送処理実行部1110Aは、緊急パケットPKT_EMG1を転送すべきと判定すると、受信処理部1111Cが本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶を行なっている状態で本体部BODYの読出を開始するとともに、上述した方法によって、ヘッダHED1を再構築し、その再構築したヘッダHED1と、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分とを送信処理部1113Cへ出力する。
【0283】
そして、無線装置2の送信処理部1113Cは、転送処理実行部1110Aから受けたヘッダHED1をエンコードし、そのエンコード後のヘッダHED1を拡散符号Code3によってスペクトル拡散する。
【0284】
そうすると、無線装置2の送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHED1を付加し、ヘッダHED1および本体部BODYの先頭部分をディジタル信号からアナログ信号に変換して周波数チャネルf2で転送を開始する。そして、無線装置2の送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの残りの部分をディジタル信号からアナログ信号に随時変換して周波数チャネルf2で転送する。
【0285】
このように、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1および拡散符号Code2を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf2および拡散符号Code3を用いて転送する。
【0286】
また、無線装置2の受信処理部1111Cは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYを拡散符号Code_r=Code2によって逆拡散し、その逆拡散後の本体部BODYをデコードする。そして、無線装置2の受信処理部1111Cは、そのデコードした緊急パケットPKT_EMG1をMACモジュール112を介して処理手段113Cへ出力する。これによって、無線装置2は、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。
【0287】
その後、無線装置1は、同様にして、無線装置2からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf2および拡散符号Code3を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf3および拡散符号Code5を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置6は、無線装置1からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf3および拡散符号Code5を用いて受信しながら、緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1および拡散符号Code4を用いて転送するとともに、緊急パケットPKT_EMG1を受理する。更に、無線装置7は、無線装置6からの緊急パケットPKT_EMG1を周波数チャネルf1および拡散符号Code4を用いて受信する。この場合、無線装置7は、緊急パケットPKT_EMG1の生存時間TTLが“0”であるので、緊急パケットPKT_EMG1の受信処理のみを行ない、緊急パケットPKT_EMG1を転送しない(図37参照)。
【0288】
その結果、無線装置2,1,6において、転送信号が受信信号に干渉波として作用することがない。
【0289】
なお、無線装置1は、無線装置3からパケットPKTを直接受信できないとき、無線装置3におけるパケットPKTの送信に用いた周波数チャネルf1および拡散符号Code2を検知できない。この場合、無線装置1は、無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた周波数チャネルf2と異なる周波数チャネルとして周波数チャネルf1を選択し、無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた拡散符号Code3と異なる拡散符号として拡散符号Code2を選択する場合もあるが、無線装置1が緊急パケットPKT_EMGを転送するタイミングでは、無線装置2は、無線装置3からの緊急パケットPKT_EMGの受信を完了している。従って、無線装置1における緊急パケットPKT_EMGの転送信号が無線装置2における緊急パケットPKT_EMGの受信信号に干渉波として作用することはない。また、無線装置1,2間の距離が数10m以上である場合、無線装置1,3が同じ拡散符号Code2を用いても、無線装置1における転送信号が無線装置2における受信信号の干渉波になり難い。無線装置6が無線装置2におけるパケットPKTの送信に用いた周波数チャネルf2および拡散符号Code3を検知できない場合も、同様である。
【0290】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0291】
図39は、実施の形態4における緊急パケットPKT_EMGの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【0292】
図39に示すフローチャートは、図33に示すフローチャートのステップS11BをステップS11Aに代えたものであり、その他は、図33に示すフローチャートと同じである。
【0293】
一連の動作が開始されると、各無線装置1〜8は、上述したステップS1〜S4,S5A,S6,S7,S8A,S9,S10Aを順次実行する。そして、ステップS10Aの後、各無線装置1〜8の送信処理部1113Cは、受信処理部1111Cが一時記憶バッファ1120に記憶しながら転送処理実行部1110Aが一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYの先頭部分に拡散後のヘッダHEDを付加して緊急パケットPKT_EMGを受信しながら受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdで転送する(ステップS11A)。
【0294】
その後、上述したステップS12〜ステップS16が実行される。この場合、ステップS13において、各無線装置1〜8の受信処理部1111Cは、一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出した本体部BODYを拡散符号Code_rによって逆拡散する。また、ステップS16において、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、受信処理部1111Cから受けたCT(=ヘッダHED)と、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄し、受信処理部1111Cは、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要でないことを示す通知に応じて、ヘッダHEDと、一時記憶バッファ1120から読み出した本体部BODYとを破棄する。
【0295】
このように、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdと、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dとを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。
【0296】
従って、緊急パケットPKT_EMGを受信しながら転送しても、転送信号と受信信号との干渉を抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。
【0297】
なお、上述した実施の形態1と実施の形態4とを組み合わせてもよい。この場合、緊急パケットPKT_EMGの転送概念は、図9に示す転送概念と同じになる。従って、各無線装置1〜8は、緊急パケットPKT_EMGの受信が完了した後に、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfdと、緊急パケットPKT_EMGの受信に用いた拡散符号Code_rと異なる拡散符号Code_dとを用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する。また、各無線装置1〜8の転送処理実行部1110Aは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への格納が完了した後に、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から取り出して緊急パケットPKT_EMGを転送する。更に、各無線装置1〜8は、図39に示すフローチャートのステップS5A,S8A,S11Aを図20に示すフローチャートのステップS5,S8,S11にそれぞれ代え、かつ、ステップS11の「受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルfr」を「受信周波数チャネルfrと異なる周波数チャネルfd」に代えたフローチャートに従って緊急パケットPKTを転送する。
【0298】
これによって、転送信号と受信信号との干渉を更に抑制して緊急パケットPKT_EMGを転送できる。また、実施の形態4においては、その他、実施の形態2と同じ効果を享受できる。
【0299】
また、上記においては、パケットPKTの受信時にパケットPKTのヘッダHEDのみを逆拡散およびデコードすると説明したが、この発明の実施の形態4においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの受信時にパケットPKTの全体を逆拡散し、ヘッダHEDのみをデコードしてもよい。
【0300】
更に、上記においては、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダHEDのみをエンコードおよびスペクトル拡散すると説明したが、この発明の実施の形態4においては、これに限らず、実装に応じて、パケットPKTの転送時にパケットPKTのヘッダのみをエンコードし、パケットPKTの全体をスペクトル拡散してもよい。
【0301】
更に、上記においては、受信処理部1111Cは、本体部BODYを一時記憶バッファ1120に記憶しながら一時記憶バッファ1120から随時読み出すと説明したが、この発明の実施の形態4においては、これに限らず、実装に応じて、受信処理部1111Cは、本体部BODYの一時記憶バッファ1120への記憶が完了した後に、転送処理実行部1110Aからの緊急パケットPKT_EMGの受信が必要であることを示す通知に応じて、本体部BODYを一時記憶バッファ1120から読み出すようにしてもよい。
【0302】
その他は、実施の形態1,2と同じである。
【0303】
上記においては、4個の周波数チャネルf1〜f4および15個の拡散符号Code1〜Code15を用いると説明したが、この発明においては、これに限らず、4個以外の周波数チャネルおよび15個以外の拡散符号が用いられてもよい。
【0304】
なお、この発明においては、受信処理部1111,1111A,1111B,1111Cの各々は、「受信手段」を構成する。また、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110および送信処理部1113は、「転送手段」を構成する。更に、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110Aおよび送信処理部1113Aは、「転送手段」を構成する。更に、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110Aおよび送信処理部1113Bは、「転送手段」を構成する。更に、一時記憶バッファ1120を用いて緊急パケットPKT_EMGを転送する転送処理実行部1110Aおよび送信処理部1113Cは、「転送手段」を構成する。
【0305】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0306】
この発明は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置に適用される。また、この発明は、転送信号と受信信号との干渉を抑制してパケットを転送可能な無線装置を備えた無線ネットワークに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】この発明の実施の形態による無線ネットワークの概略図である。
【図2】拡散符号と周波数チャネルとの関係を示す図である。
【図3】パケットのフォーマットを示す図である。
【図4】図1に示す無線装置の実施の形態1における構成を示す概略図である。
【図5】受信信号を拡散符号によって逆拡散して得られる評価値の演算に用いるパケット中のシンボル部の概念図である。
【図6】実施の形態1における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図7】実施の形態1における転送テーブルの構成を示す図である。
【図8】図4に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】実施の形態1における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【図10】交通状況を示す図である。
【図11】周辺車両情報テーブルの第1の例を示す図である。
【図12】転送テーブルの第1の例を示す図である。
【図13】周辺車両情報テーブルの第2の例を示す図である。
【図14】転送テーブルの第2の例を示す図である。
【図15】他の交通状況を示す図である。
【図16】転送テーブルの第3の例を示す図である。
【図17】転送テーブルの第4の例を示す図である。
【図18】実施の形態1における緊急パケットの転送を示す概念図である。
【図19】転送テーブルの第5の例を示す図である。
【図20】実施の形態1における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【図21】図1に示す無線装置の実施の形態2における構成を示す概略図である。
【図22】図21に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図23】実施の形態2における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図24】実施の形態2における緊急パケットの転送方法を説明するための概念図である。
【図25】実施の形態2における緊急パケットの転送動作を説明するための図である。
【図26】実施の形態2における周辺車両情報テーブルの具体例を示す図である。
【図27】実施の形態2における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】図1に示す無線装置の実施の形態3における構成を示す概略図である。
【図29】図28に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図30】実施の形態3における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図31】実施の形態3における緊急パケットの転送動作を説明するための図である。
【図32】実施の形態3における周辺車両情報テーブルの具体例を示す図である。
【図33】実施の形態3における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【図34】図1に示す無線装置の実施の形態4における構成を示す概略図である。
【図35】図34に示す送受信手段の構成を示す概略ブロック図である。
【図36】実施の形態4における周辺車両情報テーブルの構成を示す図である。
【図37】実施の形態4における緊急パケットの転送動作を説明するための図である。
【図38】実施の形態4における周辺車両情報テーブルの具体例を示す図である。
【図39】実施の形態4における緊急パケットの転送動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0308】
1〜8,1A,1B,1C 無線装置、10 無線ネットワーク、11,11A,11B,11C 通信制御部、12 GPS受信機、20,20A,20B,20C 周辺車両情報テーブル、30 転送テーブル、111,111A,111B,111C 送受信手段、112 MACモジュール、113,113A,113B,113C 処理手段、114 定期パケット発生手段、115 緊急パケット発生手段、1110,1110A 転送処理実行部、1111,1111A,1111B,1111C 受信処理部、1112,1112A 転送処理部、1113,1113A,1113B,1113C 送信処理部、1120 一時記憶バッファ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、
他の無線装置から送信されたパケットを前記1個の周波数チャネルと前記1個の拡散符号とを用いて受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、前記緊急パケットの受信完了後に、前記1個の周波数チャネルと前記1個の拡散符号とを用いて前記緊急パケットを転送する転送手段とを備える無線装置。
【請求項2】
前記転送手段は、前記受信手段から受けた前記緊急パケットのヘッダ以外の本体部を一時記憶バッファに格納するとともに、前記ヘッダを更新し、その更新したヘッダを前記一時記憶バッファから取り出した前記本体部に付加して緊急パケットを再構築し、その再構築した緊急パケットを転送する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、
前記複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと前記複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いてパケットを他の無線装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、前記第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または前記第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する転送手段とを備える無線装置。
【請求項4】
前記転送手段は、前記緊急パケットの受信完了後に前記第2の周波数チャネルおよび/または前記第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する、請求項3に記載の無線装置。
【請求項5】
前記転送手段は、物理層に属し、前記受信手段によって受信が開始されたパケットが前記緊急パケットであると判定したとき、前記緊急パケットを前記物理層よりも上位の層へ上げることなく前記緊急パケットを転送する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、
前記複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと前記複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する第1の無線装置と、
前記第1の無線装置から前記第1の周波数チャネルおよび前記第1の拡散符号を用いて前記緊急パケットの受信を開始するとともに、前記緊急パケットの受信が完了すると、前記第1の周波数チャネルおよび前記第1の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する第2の無線装置とを備える無線ネットワーク。
【請求項7】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、
前記複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと前記複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する第1の無線装置と、
前記第1の無線装置から前記第1の周波数チャネルおよび前記第1の拡散符号を用いて前記緊急パケットの受信を開始するとともに、前記第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または前記第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する第2の無線装置とを備える無線ネットワーク。
【請求項8】
前記第2の無線装置は、前記緊急パケットの受信完了後に前記第2の周波数チャネルおよび/または前記第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する、請求項7に記載の無線ネットワーク。
【請求項1】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、
他の無線装置から送信されたパケットを前記1個の周波数チャネルと前記1個の拡散符号とを用いて受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、前記緊急パケットの受信完了後に、前記1個の周波数チャネルと前記1個の拡散符号とを用いて前記緊急パケットを転送する転送手段とを備える無線装置。
【請求項2】
前記転送手段は、前記受信手段から受けた前記緊急パケットのヘッダ以外の本体部を一時記憶バッファに格納するとともに、前記ヘッダを更新し、その更新したヘッダを前記一時記憶バッファから取り出した前記本体部に付加して緊急パケットを再構築し、その再構築した緊急パケットを転送する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線装置であって、
前記複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと前記複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いてパケットを他の無線装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信が開始されたパケットが緊急情報を含む緊急パケットであるとき、前記第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または前記第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する転送手段とを備える無線装置。
【請求項4】
前記転送手段は、前記緊急パケットの受信完了後に前記第2の周波数チャネルおよび/または前記第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する、請求項3に記載の無線装置。
【請求項5】
前記転送手段は、物理層に属し、前記受信手段によって受信が開始されたパケットが前記緊急パケットであると判定したとき、前記緊急パケットを前記物理層よりも上位の層へ上げることなく前記緊急パケットを転送する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、
前記複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと前記複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する第1の無線装置と、
前記第1の無線装置から前記第1の周波数チャネルおよび前記第1の拡散符号を用いて前記緊急パケットの受信を開始するとともに、前記緊急パケットの受信が完了すると、前記第1の周波数チャネルおよび前記第1の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する第2の無線装置とを備える無線ネットワーク。
【請求項7】
複数の周波数チャネルから選択した1個の周波数チャネルと複数の拡散符号から選択した1個の拡散符号とを用いてパケットを送受信する無線通信方式によって無線通信が行なわれる無線ネットワークであって、
前記複数の周波数チャネルから選択した第1の周波数チャネルと前記複数の拡散符号から選択した第1の拡散符号とを用いて、緊急情報を含む緊急パケットを送信する第1の無線装置と、
前記第1の無線装置から前記第1の周波数チャネルおよび前記第1の拡散符号を用いて前記緊急パケットの受信を開始するとともに、前記第1の周波数チャネルと異なる第2の周波数チャネルおよび/または前記第1の拡散符号と異なる第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する第2の無線装置とを備える無線ネットワーク。
【請求項8】
前記第2の無線装置は、前記緊急パケットの受信完了後に前記第2の周波数チャネルおよび/または前記第2の拡散符号を用いて前記緊急パケットを転送する、請求項7に記載の無線ネットワーク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2010−68206(P2010−68206A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232136(P2008−232136)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「高レスポンスマルチホップ自律無線通信システムの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「高レスポンスマルチホップ自律無線通信システムの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】
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