無線装置及びその制御方法
【課題】マルチホップ型のネットワークに属する休止した各無線通信装置を再起動させて、元のネットワークトポロジーを復元できるようにする。
【解決手段】制御局は、複数の従属局を休止モードから他の動作モードへ移行させるための起動コマンドを送信する。各従属局は、受信手段、モード制御手段及び起動コマンド中継手段を備える。受信手段は、休止コマンドを受信すると間欠的に受信を行なう。モード制御手段は、起動コマンドが受信されると休止モードから他の動作モードへと受信手段を移行させるよう制御する。起動コマンドを受信することで再起動した従属局に対してさらに従属した他の従属局が存在する場合、再起動した従属局から他の従属局へ起動コマンドを中継する。
【解決手段】制御局は、複数の従属局を休止モードから他の動作モードへ移行させるための起動コマンドを送信する。各従属局は、受信手段、モード制御手段及び起動コマンド中継手段を備える。受信手段は、休止コマンドを受信すると間欠的に受信を行なう。モード制御手段は、起動コマンドが受信されると休止モードから他の動作モードへと受信手段を移行させるよう制御する。起動コマンドを受信することで再起動した従属局に対してさらに従属した他の従属局が存在する場合、再起動した従属局から他の従属局へ起動コマンドを中継する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リビングルームに設置されたホームゲートウェイと、書斎に置かれたパソコンとを無線LANにより接続し、ホームゲートウェイからのビデオデータを鑑賞する方法が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、鑑賞が終了すると、ホームゲートウェイをスタンバイモードへ移行するようパソコンが指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−32546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数の無線通信装置が1対1で通信するネットワークに関するものであるが、近年は、ポイント・ツー・マルチポイント型のネットワークが登場している。さらに、その発展形として、マルチホップ型のネットワークやメッシュ型のネットワークも提案されている。マルチホップ型のネットワークでは、複数の無線通信装置のうち、一部が中継装置としても機能することで、直接通信できない無線通信装置間でも間接的に通信することができる。マルチホップ型のネットワークの一例であるメッシュ型のネットワークでは、複数の中継経路を確保することができる。そのため、無線通信装置は、異なる中継経路から受信した信号のうち、より誤りの少ない信号を選択できるようになる。
【0005】
ところで、このようなマルチホップ型やメッシュ型のネットワークにおいても、ネットワークに属する無線通信装置をスタンバイモードへ移行させたいという要望がある。これを実現するには、スタンバイモードへ移行させるためのマスタ装置からの指示を、直接又は中継装置を介してスレーブ装置としての各無線通信装置へ送信することが考えられる。これにより、コマンドを受信した各無線通信装置では、送信部などが休止し、受信部だけが間欠的に受信を実行するようになる。
【0006】
一方で、休止している各無線通信装置を再起動させるには、マスタ装置から各スレーブ装置へ復帰コマンドを送信することが考えられる。よって、この復帰コマンドを受信できた無線通信装置は無事に再起動する。
【0007】
しかしながら、中継装置の役割を果たす無線通信装置の送信部が休止してしまうため、復帰コマンドが中継されない。そのため、マスタ装置から直接的に復帰コマンドを受信できない無線通信装置(例:あるスレーブ装置に従属している他のスレーブ装置など)は再起動できない。これでは、元のネットワークトポロジーを復元することができなくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。例えば、本発明は、の休止状態と休止状態を解除した状態間をより確実に遷移させることを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、無線装置であって、
休止状態へ移行している他の無線装置の前記休止状態を解除するための信号を送信する送信手段と、前記休止状態を解除した他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示する指示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線装置の休止状態と休止状態を解除した状態間をより確実に遷移させることができる。。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るネットワークシステムの一例を示す図である。
【図2】各各従属局が通常動作状態から休止状態ヘ移行するまでの処理を説明するための例示的なシーケンス図である。
【図3A】実施形態に係る制御局及び従属局の一例を示すブロック図である。
【図3B】実施形態に係るトポロジーマップの一例を示す図である。
【図4】実施形態における制御局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。
【図5】実施形態における従属局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。
【図6】本発明の課題を説明するための図である。
【図7】実施形態に係る休止モードから動作モードへ移行処理の一例を示したシーケンス図である。
【図8】実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る従属局が実行する休止モードからの復帰処理の一例を示したフローチャートである。
【図10】実施形態に係る休止モードから動作モードへ移行処理の一例を示したシーケンス図である。
【図11】実施形態に係る休止モードから他の動作モードへと復帰する処理の一例を示す図である。
【図12】実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0013】
<実施形態1>
本実施形態の制御無線装置(以下、制御局と称す。)、従属無線装置(以下、従属局と称す。)の構成および動作について説明する。なお、制御局も従属局も無線通信装置である。各無線通信装置が、制御局として機能したり、従属局として機能したり、あるいは、同時に制御局及び従属局として機能したりしてもよい。なお、制御局は、マスタ装置と呼ばれることもある。また、従属局は、スレーブ装置と呼ばれることもある。
【0014】
図1は、実施形態に係るネットワークシステムの一例を示す図である。なお、ネットワークシステムは、無線通信システムと呼ばれてもよい。制御局100は、従属局101、102、103、104、105とともにメッシュ状のネットワークを構成している。制御局100は、各従属局に対してデータをブロードキャスト送信する。
【0015】
しかし、図1に示した例では、制御局100からの送信信号が従属局103、104に直接的には到達しない。これは、通常、制御局と、従属局103、104との間の物理的な距離が遠すぎることが原因である。
【0016】
本実施形態では、この問題を解決するために、いずれかの従属局が中継装置としても機能する。例えば、従属局103は、従属局101、102により中継された信号を受信できる。従属局103は、従属局105により中継された信号を受信できる。さらに、従属局103は、従属局105及び104により中継された信号を受信できる。このように、各従属局は、受信した信号を自ら使用するとともに、中継信号として再送信する。
【0017】
従属局104は、他の従属局103及び105から信号を受信できるが、実際には、従属局104は、従属局103からのみ信号を受信する。なぜなら、制御局100が、予め従属局103からのみ信号を受信する従属局104に指示しているからである。制御局100が、各従属局まで利用可能な通信経路(通信パス)について通信状態を取得し、良好な通信状態の通信経路を1つ以上選択する。複数の通信経路が選択された場合、従属局は、複数の通信経路からそれぞれ信号を受信し、より品質の良い信号を選択する。各通信経路の通信状態が変化すれば、制御局は、各従属局までの通信経路を変更してもよい。例えば、従属局103までの通信経路として、従属局105のみを経由するルートと、従属局104を経由するルートとがあった場合、制御局100は、従属局104と105の送信順を入れ替えてもよい。
【0018】
図2は、各従属局が通常動作状態から休止状態ヘ移行するまでの処理を説明するための例示的なシーケンス図である。制御局100が送信したデータ210を、従属局101、102、105は直接的に受信できるが、従属局103、104は直接的に受信できない。
【0019】
ところで、制御局100と各従属局とが、複数のタイムスロットからなる1フレームを使用して送信する場合、制御局100は、予め各従属局の送信順番を割り当てる。例えば、送信順番は、従属局101、102、103、104、105の順であると仮定する。この場合、制御局100から送信されたデータ210の受信に成功した従属局101は、制御局により予め決められた送信タイミングでデータ210をデータ211として送信する。
【0020】
図2から分るように、従属局101が送信したデータ211は、従属局102、103、105によって受信される。さらに、次の送信順番が割り当てられている従属局102は、制御局100及び従属局101から受信した2つのたデータ210、211のうち、より信頼性の高いデータを選択する。自己に割り当てられた送信タイミングが到来すると、従属局102は、選択したデータをデータ212として送信する。
【0021】
従属局102が送信したデータ212は、従属局103、105、101により受信される。従属局103は、従属局101、102から受信したデータ211、212のうち、より信頼性の高いデータを選択する。自己に割り当てられた送信タイミングが到来すると、従属局103は、選択したデータをデータ213として送信する。
【0022】
以下、同様な手順で、従属局104はデータ214を送信し、従属局105はデータ215を送信する。これにより、すべての従属局に対して信頼性の高いデータを送信できるようになる。
【0023】
各従属局を通常動作状態から休止状態へ移行させるには、制御局100が、休止コマンド(休止状態移行コマンド)を送信する。休止コマンドは、上述したデータ210として各従属局へ伝達される。各従属局は、休止コマンドを受信すると、必要に応じて休止コマンドを転送(中継)し、その後、休止状態(休止モード)ヘ移行する。このようにして、すべての従属局が休止状態となる。
【0024】
図3Aは、実施形態に係る制御局及び従属局の一例を示すブロック図である。無線通信装置300は、上述した制御局100及び従属局である。送信アンテナ310及び受信アンテナ309は、フェイズドアレイアンテナなど、指向性を調整可能なアンテナである。アンテナ制御部313は、送信アンテナ310及び受信アンテナ309の指向性や主ビームの方向を制御する制御回路である。なお、送受信を切り替えるデュープレクサを追加すれば、単一のアンテナを、送信アンテナ310及び受信アンテナ309として使用できる。
【0025】
無線受信部308は、受信アンテナ309により受信された受信信号を復調する回路である。無線送信部311は、送信対象データを変調し、送信アンテナ310へ出力する回路である。
【0026】
無線通信装置300には、データ入出力インターフェイス302を介してパーソナルコンピュータ、プリンタなどの周辺装置など、各種の情報処理装置を接続できる。これらの外部装置からのデータは、データ入出力インターフェイス302において受け付けられる。また、受信されたデータは、データ入出力インターフェイス302から外部装置へ出力される。
【0027】
データ入出力インターフェイス302により受け付けられたデータは、送信データ処理部312へ送出される。送信データ処理部312は、当該データを、1フレーム内の特定のタイムスロットへ挿入するなどして送信対象データを作成する。送信対象データは、無線送信部311により変調され、送信アンテナ310から送信される。
【0028】
受信アンテナ309により受信された受信信号は、無線受信部308により復調され、受信データ処理部314により元のデータにリアッセンブルされる。複数の通信パスを経由してそれぞれ同一のデータを受信したときは、受信データ処理部314が、これらのデータの品質を測定し、より良好な品質のデータを選択する。品質としては、例えば、ビット誤り率、フレーム誤り率、信号強度、信号対雑音比、信号対干渉比などがあるが、これらは単なる例示に過ぎない。このようにして復元された元のデータは、データ入出力インターフェイス302から外部装置へ出力される。
【0029】
中継処理部301は、受信したデータのうち、下位に従属している他の従属局や、より上位の従属局若しくは制御局へ中継すべきデータを抽出し、中継用のデータを作成して、送信データ処理部312へ送出する。このように、中継処理部301は、起動コマンドを受信することで再起動した従属局に対してさらに従属した他の従属局が存在する場合に、他の従属局へ起動コマンドを中継する起動コマンド中継手段の一例である。
【0030】
主制御部306は、CPUなどの制御回路である。無線通信装置300が従属局として動作する場合、主制御部306は、受信データを解析し、休止コマンド、起動コマンド又は中継コマンドのいずれであるかどうかを判定する。受信データが休止コマンドであれば、主制御部306は、間欠受信制御部307に休止モードへ移行するよう指示する。これにより、間欠受信制御部307は、休止モードへ移行し、間欠的に無線受信部308及び受信データ処理部314を起動して信号の受信処理を実行する。よって、間欠受信制御部307、無線受信部308及び受信データ処理部314は、休止コマンドを制御局から又は他の従属局を経由して受信すると間欠的に受信を行なう受信手段の一例である。なお、休止モードにおいては、中継処理部301、送信データ処理部312及び無線送信部311には通電されない。これにより、省電力化が図られている。
【0031】
間欠受信によって起動コマンドが受信されると、主制御部306は、間欠受信制御部307へ再起動するよう指示する。これにより、間欠受信制御部307は、通常の動作モードへ移行する。また、主制御部306は、休止している各ユニット(例:無線送信部311や送信データ処理部312)への通電を再開する。
【0032】
一方、無線通信装置300が制御局100として動作する場合、主制御部306は、トポロジーマップを作成し、メモリ305に記憶する。トポロジーマップには、各従属局のデバイスID(又はデバイスアドレスなど)、従属局間の従属関係が格納される。トポロジーマップは、いわゆるルーティングテーブルとして機能する。また、主制御部306は、制御局から各従属局までにある1つ又は複数の通信経路の通信状態(例:誤り率、信号強度、信号対雑音比など)を取得し、通信状態管理テーブルを作成する。通信状態管理テーブルは、トポロジーマップに統合されてもよい。また、主制御部306は、各従属局の送信順番(例:送信タイミングや送信タイムスロット)を決定し、送信順番管理テーブルを作成する。これらのテーブルもメモリ305に記憶されるものとする。
【0033】
休止モードを解除する際に、制御局の主制御部306は、トポロジーマップに登録されている通信パスの情報を読み出して、各通信パスの復元に成功したか否かを判定する。復元されていない通信パスが存在すれば、主制御部306は、対応する従属局に対して起動コマンドをより下位の従属局へ中継(転送、代理送信)するよう中継コマンドを送信する。それでも復元できない通信パスが残存していれば、主制御部306は、新たな通信パスの確立を試行する。なお、タイマー304は、各コマンドを送信してから、対応するレスポンスを受信するまでの時間を計時するための計時回路である。
【0034】
図3Bは、実施形態に係るトポロジーマップの一例を示す図である。トポロジーマップは、一種のテーブル又はデータベースであり、ファイルとしてメモリ305に記憶される。主制御部306は、一定期間使用されていない通信パスや通信状態が相対的に劣化した通信パスをトポロジーマップから削除してもよい。トポロジーマップには、各通信パスを識別するための通信パスIDが含まれている。また、中継局となる従属局を識別するための中継局ID、最終的な宛先となる従属局を識別するための宛先従属局ID、その通信パスの品質を表す通信状態もトポロジーマップに登録されてもよい。このように、メモリ305は、トポロジー情報を記憶したトポロジー記憶手段の一例である。また、トポロジー情報は、各従属局が休止モード移行する前にネットワークシステムに属していた各従属局の識別情報と、ネットワークシステムにおける複数の従属局の接続関係を表す情報である。よって、トポロジーマップは、トポロジー情報の一例である。
【0035】
[休止モードへの移行]
図4は、実施形態における制御局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。ここでは、当初、休止モードとは異なる他の動作モード(例:通常動作モード[S401乃至S404])で制御局100が動作しているものとする。
【0036】
ステップS401で、主制御部306は、データ入出力インターフェイス302において外部装置から受信したデータ又はメモリ305から読み出したデータに基づいて送信用データを送信データ処理部312に作成させる。
【0037】
ステップS402で、無線送信部311は、作成された送信用データを、送信アンテナ310から送信する。ステップS403で、無線受信部308は、従属局から送信されてきたデータ(レスポンス)を受信アンテナ309により受信する。受信データ処理部314は、受信したレスポンスを主制御部306に送出する。
【0038】
ステップS405で、主制御部306は、不図示の操作部などから休止要求が入力されたか否かを判定する。休止要求は、休止モードへの移行を要求するための指示である。休止要求が入力されていなければ、ステップS401へ戻り、主制御部306は、通常動作モードを継続する。一方で、休止要求が入力された場合は、ステップS406へ進む。
【0039】
ステップS406で、主制御部306は、従属局を休止させるための休止コマンドを生成する。ステップS407で、主制御部306は、生成した休止コマンドを送信データ処理部312及び無線送信部311を用いて送信する。なお、休止コマンドは、ブロードキャスト又はマルチキャストにより送信される。このように、主制御部306、送信データ処理部312及び無線送信部311は、複数の従属局を間欠的な受信動作を行なう休止モードへ移行させるための休止コマンドを送信するコマンド送信手段の一例である。
【0040】
ステップS408で、主制御部306は、従属局から送信されてきたレスポンスを、無線受信部308及び受信データ処理部314を用いて受信する。ステップS409で、主制御部306は、受信したレスポンスを解析し、レスポンスの送信元である従属局を確認する。
【0041】
ステップS410で、主制御部306は、トポロジーマップに登録されているすべての従属局からレスポンスを受信できたか否か、すなわち、すべての従属局が休止したか否かを判定する。まだ、休止していない従属局が残存していれば、ステップS411に進み、主制御部306は、タイマー304を起動する。なお、すでに起動されているときは、ステップS411はスキップされる。
【0042】
ステップS412で、主制御部306は、タイマー304がタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトを判定するのは、従属局が故障したか、地理的に離脱したことにより、レスポンスを返信できない事態を検出するためである。タイムアウトしたときは、主制御部306が、タイムアウト処理を実行する。一方、タイムアウトしていなければ、ステップS407に戻り、休止コマンドの再送を実行する。
【0043】
このようにして、すべての従属局が休止すると、ステップS413で、主制御部306は、電源回路による電源の供給をOFFにする。これにより、主制御部306も休止モードへ移行する。
【0044】
図5は、実施形態における従属局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。ステップS501で、従属局の主制御部306は、従属局から送信されてきたデータ(又はコマンド)を受信アンテナ309により受信する。受信データ処理部314は、受信したデータ又はコマンドを主制御部306に送出する。
【0045】
ステップS502で、主制御部306は、無線送信部311及び送信アンテナ310を用いて、レスポンスを送信する。なお、自己が中継局として機能している場合、ステップS503で、中継処理部301は、受信したコマンドやデータを受信データ処理部314から送信データ処理部312へと折り返すことで、コマンドやデータを、さらに従属している他の従属局へと送信する。このようにして、より下位の従属局へとコマンドやデータが中継されて行く。
【0046】
ステップS504で、主制御部306は、受信したコマンドが休止コマンドであるか否かを判定する。休止コマンドでなければ、ステップS501へ戻り、主制御部306は、通常動作モードを継続する。休止コマンドであれば、ステップS505へ進む。
【0047】
ステップS505で、主制御部306は、休止コマンドを受領したこと(すなわち、これから休止モードを移行すること)を示すレスポンスを、無線送信部311及び送信アンテナ310を用いて送信する。ステップS506で、主制御部306は、休止コマンドを中継する。なお、すでに、ステップS503で休止コマンドの中継が実行されていればステップS506はスキップされる。
【0048】
ステップS507で、主制御部306は、他の従属局から送信されてきたレスポンスを受信アンテナ309及び無線受信部308により受信する。ステップS508で、主制御部306は、中継処理部301、無線送信部311及び送信アンテナ310を用いて、このレスポンスを送信(中継)する。
【0049】
ステップS509で、主制御部306は、休止モードへ移行する。例えば、主制御部306は、電源回路から中継処理部301、送信データ処理部312及び無線送信部311などへの電源の供給を停止させる。また、主制御部306は、間欠受信制御部307に休止モードへの移行を指示する。このように、主制御部306は、休止コマンドが受信されると他の動作モードから休止モードへと受信手段を移行させるモード制御手段の一例である。
【0050】
ステップS510で、間欠受信制御部307は、この指示にしたがい、定期的に、受信データ処理部314や無線受信部308など、受信処理に必要となるユニットに電源を供給することで、間欠受信を実行させる。
【0051】
[休止モードからの復帰]
図6は、本発明の課題を説明するための図である。ネットワークに属している休止中の従属局を再起動させる場合に、従来であれば、制御局100からの電波を直接受信できる範囲内に位置する従属局101、102及び105だけが再起動できた。すなわち、図1に示されているように休止前に確保されていたメッシュ状の通信パスが存在しないため、起動コマンドが従属局103、104には伝達されなかった。それゆえ、マルチホップ型のネットワークでは、無線通信装置が休止モードへ移行してしまうと、元のネットワークトポロジーが復元されない課題があった。
【0052】
図7は、実施形態に係る休止モードから動作モードへの移行処理の一例を示したシーケンス図である。ここでは、上述した各従属局が休止モード(休止状態)に移行しているものとする。
【0053】
制御局100は、広い指向性を用いて起動コマンド710を休止状態の各従属局に対して相対的に送信する。起動コマンド710を受信できた従属局101、102、105は、再起動する。再起動した従属局101、102、105は、起動したことを示すレスポンス(ACK)を制御局100に宛てに送信する。なお、この時点では、従属局103、104は、起動コマンドを受信できていないため、休止状態のままである。
【0054】
制御局100は、送り返されてきたレスポンスから、起動していない従属局103、104の存在を検出する。制御局100は、休止状態に移行する前の通信状態及び通信パスをトポロジーマップから取得する。制御局100は、複数の通信経路のうち、休止モードへ移行する前における通信状態が相対的に良好であった通信経路を特定し、特定された通信経路に属した上位の従属局を選択する。例えば、制御局100は、取得した通信状態及び通信パスに基づいて、動作中の従属局のうち、起動コマンドを中継すべき最適な従属局を選択する。通常、最適な従属局は、通信状態が最良であった通信パスに位置した従属局である。通信状態が相対的に良好であった(所定の基準値を超える)通信経路であれば、最良でない通信経路が選択されても良い。複数の候補が存在する場合、制御局100は、乱数等により決定してもよい。なお、起動していない従属局103、104に対して通信可能な他の従属局(例:従属局105)を最適な従属局として選択してもよい。
【0055】
制御局100は、選択した従属局105に対し、起動コマンドを中継又は代理送するよう要求するための中継コマンド720を送信する。この中継コマンド720を受信した従属局105は、制御局に代わり、起動コマンド721を送信する。さらに、従属局105は、従属局103、104からのレスポンス(ACK)を予め定められた時間だけ待ち受ける。起動コマンド721を受信した従属局103、104は再起動し、再起動したことを示すレスポンスを従属局105へ送信する。
【0056】
従属局103、104からレスポンスを受信した従属局105は、制御局100へこれらのレスポンスを中継する。このようにして、すべての従属局が休止モードから復帰することができる。
【0057】
図8は、実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。ステップS801で、操作部から起動要求が入力されると、電源回路が各ユニットへの電源の供給を開始する。
【0058】
ステップS802で、主制御部306は、メモリ305から休止前のトポロジーマップを読み込む。ステップS803で、主制御部306は、トポロジーマップの内容を解析し、中継の必要な従属局が存在するか否かを判定する。例えば、図3Bのトポロジーマップによれば、通信パスIDが’06’である通信パスに関しては中継が不要であるが、他の通信パスに関しては、中継局IDが登録されているので、主制御部306は、中継が必要と判定する。中継が必要なければ、ステップS806へスキップする。一方、中継が必要であれば、ステップS804へ進む。
【0059】
ステップS804で、主制御部306は、トポロジーマップにしたがって中継局として機能すべき従属局を決定する。例えば、通信パスIDが’01’である通信パスに関しては、従属局105が中継局として決定される。なお、複数の通信パスが存在する場合は通信状態が最良の通信パスが選択される。このように、主制御部306は、要求コマンドを送信するために、各従属局が休止モードへ移行する前の通信状態が相対的に良好な通信経路を特定し、特定した通信経路に属した従属局を選択する選択手段の一例である。また、メモリ305は、制御局から各従属局までにある1つ又は複数の通信経路の通信状態を表す状態情報を記憶する状態記憶手段の一例である。
【0060】
ステップS805で、主制御部306は、従属局105に対して従属局103、104への中継を要求するための要求コマンドである中継コマンドを生成する。ステップS806で、主制御部306は、従属局103、104へ伝達されるべき起動コマンドを生成する。
【0061】
ステップS807で、主制御部306は、送信データ処理部312及び無線送信部311を用いて中継コマンド及び起動コマンドを送信する。このように、主制御部306、送信データ処理部312及び無線送信部311は、複数の従属局を休止モードから他の動作モードへ移行させるための起動コマンドを送信するコマンド送信手段の一例である。このように、主制御部306、送信データ処理部312及び無線送信部311は、他の従属局がレスポンスを送信してこない場合に、他の従属局が従属している上位の従属局に対して要求コマンドを送信する要求コマンド送信手段の一例である。上述した中継コマンドは、起動コマンドを他の従属局へ中継するよう、当該他の従属局が従属している上位の従属局に要求するための要求コマンドの一例である。
【0062】
ステップS808で、主制御部306は、無線受信部308及び受信データ処理部314を用いて各従属局からのレスポンスを受信する。ステップS809で、主制御部306は、レスポンスの確認処理を実行する。例えば、主制御部306は、レスポンスを解析し、レスポンスを送信してきた従属局を特定する。レスポンスには、送信元の従属局に割り当てられているデバイスID(デバイスアドレス)が含まれているものとする。
【0063】
ステップS810で、主制御部306は、起動した従属局のIDをトポロジーマップに登録されている従属局のIDと比較することで、どの従属局が起動し、どの従属局が起動していないかを確認する。
【0064】
ステップS811で、主制御部306は、すべての従属局が起動したか否かを判定する。すべて起動したのであれば、主制御部306は、通常動作モードヘ移行する。一方、起動してない従属局が残存していれば、ステップS812へ進む。このように、主制御部306は、他の従属局からのレスポンスを受信できたか否かを判定する判定手段の一例である。また、主制御部306は、すべての従属局が再起動したか否かを判定する再起動判定手段の一例である。これにより、各従属局が休止モード移行する前にネットワークシステムに属していたすべての従属局が再起動するまで起動コマンドを送信できるようになる。
【0065】
ステップS812に進み、主制御部306は、タイマー304を起動する。なお、すでに起動されているときは、ステップS812はスキップされる。ステップS813で、主制御部306は、タイマー304がタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトを判定するのは、従属局が故障したり、地理的に離脱したりしたことにより、レスポンスを返信できない事態を検出するためである。タイムアウトしたときは、主制御部306が、タイムアウト処理を実行する。一方、タイムアウトしていなければ、ステップS804に戻り、起動コマンド及び中継コマンドの再送を実行する。
【0066】
図9は、実施形態に係る従属局が実行する休止モードからの復帰処理の一例を示したフローチャートである。ここでは、各従属局は、休止状態にある。
【0067】
ステップS901で、間欠受信制御部307は、定期的なタイミングで受信データ処理部314及び無線受信部308を起動し、起動コマンドの受信を試行する。ステップS902で、間欠受信制御部307は、起動コマンドを受信したか否かを判定する。起動コマンドを受信したのでなければ、間欠受信制御部307は、休止モードを継続する。一方、起動コマンドを受信したのであれば、ステップS903に進む。
【0068】
ステップS903で、間欠受信制御部307は、受信した起動コマンドを解析する。例えば、間欠受信制御部307は、受信した起動コマンドが、自局が所属するネットワークシステム内で有効なコマンドであるか否かを確認する。自局が所属するネットワークシステム内で有効なコマンドあれば、ステップS904で、間欠受信制御部307は、各ユニットへ電源を供給するよう電源回路に指示する。これにより、各ユニットが再起動する(すなわち、通常動作モードへ移行する)。このように、間欠受信制御部307は、起動コマンドが受信されると休止モードから他の動作モードへと受信手段を移行させるよう制御するモード制御手段の一例である。
【0069】
ステップS905で、主制御部306は、起動したことを示すレスポンスを生成し、送信データ処理部312及び無線送信部311を用いて、制御局100宛てに送信する。このように、主制御部306などは、起動コマンドを受信することで再起動すると、再起動したことを通知するためのレスポンスを送信するレスポンス送信手段の一例である。
【0070】
ステップS906で、主制御部306は、下位に従属した他の従属局への起動コマンドの中継を要求する中継コマンドを受信したか否かを判定する。中継コマンドを受信したのでなければ、通常動作モードを継続する。一方、中継コマンドを受信したのであれば、ステップS907に進む。
【0071】
ステップS907で、主制御部306は、中継コマンドに対するレスポンスを送信する。ステップS908で、主制御部306は、中継処理部301を用いて、データやコマンド(特に起動コマンド)の中継を実行する。ステップS909で、主制御部306は、他の従属局からのレスポンスを一定期間にわたり待ち受ける。他の従属局からのレスポンスを受信すると、ステップS910に進む。
【0072】
ステップS910で、中継処理部301は、受信データ処理部314から入力された他の従属局からのレスポンスを送信データ処理部312へ折り返すことで、レスポンスの中継処理を実行する。このように、中継処理部301などは、さらに従属した他の従属局が送信してきたレスポンスを制御局へ中継するレスポンス中継手段の一例である。
【0073】
本実施形態によれば、マルチホップ型のネットワークに属する各無線通信装置を休止させても、すべて再起動させることが可能となる。よって、休止前に構築されていた元のネットワークトポロジーを復元できるようになる。
【0074】
具体的には、いずれかの上位の従属局を通じて対象となる下位への従属局へ起動コマンドを中継する。故障した従属局や地理的に離脱した従属局については、再起動させることはできないが、中継可能な範囲に存在する正常な従属局については再起動可能である。なお、上位とは、ある通信経路において、制御局に対して相対的に近いことを意味し、下位とは、相対的に遠いことを意味する。
【0075】
なお、休止モード移行する前の通信状態が相対的に良好な通信経路に位置する従属局を中継局として選択することで、ネットワークトポロジーの復旧が迅速かつ確実となりうる。特に、制御局と従属局の位置関係や無線環境に変化が無い場合に、このような効果が期待される。
【0076】
<実施形態2>
図10は、実施形態に係る休止モードから動作モードへ移行処理の一例を示したシーケンス図である。ここでは、制御局100と従属局101、102及び105が直接通信できるものとする。
【0077】
ステップS1001で、制御局100は、起動コマンド1010を送信する。従属局101、102、105は、起動コマンド1010を受信し、通常動作モードへと復帰する。ステップS1002で、再起動した従属局101、102、105は、レスポンス(ACK)を制御局100に対して送信する。
【0078】
ステップS1003で、制御局100は、レスポンス(ACK)を送信してこなかった従属局103、104を起動するために、中継コマンド1016を送信する。これにより、従属局101、102,105に対して起動コマンドの中継(転送、代理送信)が委託される。
【0079】
ステップS1004で、中継コマンドを受信した従属局101は、起動コマンド1017を送信(中継)し、一定期間だけレスポンスを待ち受ける。この起動コマンド1017を従属局103は受信できるが、従属局104は受信できない。起動コマンド1017を受信した従属局103は、再起動する。ステップS1005で、再起動した従属局103は、レスポンスを送信する。従属局101は、従属局103からのレスポンスを制御局100へ中継する。これにより、制御局100は、従属局103が起動したことを認識する。
【0080】
ステップS1006で、従属局102は、起動コマンド1018を送信(中継)し、レスポンスを待ち受ける。しかし、従属局104は、起動コマンド1018を受信できないため、休止モードを継続する。一方で、従属局103は、従属局102からの起動コマンド1018を受信する。
【0081】
ステップS1007で、起動コマンド1018を受信した従属局103は、起動コマンド1019を送信し、レスポンスを待ち受ける。従属局103からの起動コマンド1019を受信した従属局104は、再起動する。
【0082】
ステップS1008で、従属局104は、レスポンスを送信する。従属局104からレスポンスを受信した従属局103は、このレスポンスを従属局101へ中継する。さらに、このレスポンスを従属局101が制御局100へ中継する。これにより、すべての従属局が再起動する。
【0083】
本実施形態によれば、第1フェーズで起動した従属局101が起動コマンドを中継し、第2フェーズで起動した従属局103も起動コマンドを中継する。このように、新たに起動した従属局が起動コマンドを中継することで、すべての従属局が起動できるようになる。
【0084】
<実施形態3>
本実施形態では、休止モードに移行するとアンテナの指向性を相対的に広くし、他の動作モードに移行するとアンテナの指向性を狭くする指向性調整手段の一例について説明する。
【0085】
図11は、実施形態に係る休止モードから他の動作モードへと復帰する処理の一例を示す図である。通常動作モードでは、従属局のアンテナ制御部313は、受信アンテナ309の指向性パターンを狭指向性(高利得)1107に設定する。一方で、休止モードへ移行する際に、従属局101のアンテナ制御部313は、受信アンテナ309の指向性パターンを広指向性(低利得)1106に変更する。これにより、各従属局は、制御局100との相対的な位置関係が変化したとしても、制御局100からの起動コマンドを受信しやすくなる。
【0086】
一方で、起動コマンドを送信する際に、制御局100のアンテナ制御部313は、受信アンテナ309の指向性パターンを狭指向性(高利得)1107に設定する。さらに、受信アンテナ309の指向性の主ビームが指す方向(放射方向)を順次切り替えながら(すなわちスキャンしながら)、起動コマンドの送信とレスポンスの待ち受けとを実行する。
【0087】
図12は、実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。なお、すでに説明した個所には同一の参照符号が付与されている。とりわけ、実施形態3では、ステップS806とS807との間に、ステップS1201及びS1202が追加されている。さらに、ステップS810とS811との間に、ステップS1203が追加されている。
【0088】
ステップS1201において、主制御部306は、中継局として選択された従属局と通信するための送信アンテナの設定角度をトポロジーマップなどから読み込む。メモリ305には、休止前に通信していた従属局ごとに、送信アンテナの設定角度(主ビームの指す方向)が記憶されているものとする。
【0089】
ステップS1202で、主制御部306は、読み込んだ送信アンテナの設定角度を、アンテナ制御部313に設定する。アンテナ制御部313は、送信アンテナの設定角度にしたがって、送信アンテナ310の放射角を設定する。同様に受信アンテナ309についても送信アンテナ310に連動した放射角が設定されてもよい。その後、ステップS807乃至S810が実行され、ステップS1203に進む。
【0090】
ステップS1203で、主制御部306は、送信アンテナ310に対して設定可能なすべての角度について起動コマンドの送信を完了したか否かが判定される。完了していなければ、次の角度を設定して起動コマンドを送信すべく、ステップS1202に戻る。なお、選択された従属局からレスポンスを受信できた場合は、ステップS810からステップS811にスキップする。
【0091】
本実施形態によれば、従属局は、広指向性の指向パターンで起動コマンドを待ち受け、制御局は、狭指向性の指向パターンで起動コマンドを送信する。さらに、制御局は、指向性の主ビームの指す方向(放射方向)を順次変えながら、起動コマンドの送信とレスポンスの待ち受けを実行する。このようにアンテナを走査することで、休止モードへの移行時と復帰時とで制御局と従属局との位置関係に多少の変化があっても、従属局を再起動させやすなる。
【0092】
<他の実施形態>
制御局が中継局となる従属局を選択する際に、主制御部306は、休止モード移行する前の通信状態にしたがって従属局に優先順位を決定してもよい。例えば、主制御部306は、通信状態が良好であった順にしたがって各従属局の優先順位を決定する。この場合、主制御部306は、他の従属局からのレスポンスを受信するまで、他の従属無線局への通信経路に属した上位の従属局を優先順位にしたがって順番に選定することになる。よって、主制御部306は、優先順位決定手段や選定手段の一例といえる。とりわけ、通信状態が良好な順に各従属局の優先順位を決定すれば、相対的に少ない手順によって、従属局を復帰できよう。
【0093】
上述した実施形態では、制御局からの中継を要求するコマンドにしたがって、従属局が起動コマンドを中継していた。しかし、従属局は、中継コマンドを受信せずとも、自律的に、起動コマンドを送出してもよい。これにより、制御局が中継コマンドを送信する必要がなくなる利点が生じる。なお、従属局の主制御部306や中継処理部301は、制御局からの要求とは無関係に、起動コマンドをさらに従属した他の従属局へ中継する自律的中継手段の一例である。この場合に、起動コマンドを送信した従属局が、他の従属局が送信してきたレスポンスを制御局やより上位の従属局へ中継することになろう。
【0094】
実施形態3では、制御局がアンテナの指向性における主ビームを走査するものとして説明した。しかし、中継局として動作する従属局も同様に、さらに従属した他の従属局へ起動コマンドを中継すると、アンテナの指向性における主ビームを走査してもよい。この場合、従属局のアンテナ制御部313は、受信アンテナの指向性の主ビームを走査することで他の従属局から送信されるレスポンスの受信を試行することになる。
【符号の説明】
【0095】
100…制御無線装置(制御局)
101,102,103,104,105…従属無線装置(従属局)
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リビングルームに設置されたホームゲートウェイと、書斎に置かれたパソコンとを無線LANにより接続し、ホームゲートウェイからのビデオデータを鑑賞する方法が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、鑑賞が終了すると、ホームゲートウェイをスタンバイモードへ移行するようパソコンが指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−32546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数の無線通信装置が1対1で通信するネットワークに関するものであるが、近年は、ポイント・ツー・マルチポイント型のネットワークが登場している。さらに、その発展形として、マルチホップ型のネットワークやメッシュ型のネットワークも提案されている。マルチホップ型のネットワークでは、複数の無線通信装置のうち、一部が中継装置としても機能することで、直接通信できない無線通信装置間でも間接的に通信することができる。マルチホップ型のネットワークの一例であるメッシュ型のネットワークでは、複数の中継経路を確保することができる。そのため、無線通信装置は、異なる中継経路から受信した信号のうち、より誤りの少ない信号を選択できるようになる。
【0005】
ところで、このようなマルチホップ型やメッシュ型のネットワークにおいても、ネットワークに属する無線通信装置をスタンバイモードへ移行させたいという要望がある。これを実現するには、スタンバイモードへ移行させるためのマスタ装置からの指示を、直接又は中継装置を介してスレーブ装置としての各無線通信装置へ送信することが考えられる。これにより、コマンドを受信した各無線通信装置では、送信部などが休止し、受信部だけが間欠的に受信を実行するようになる。
【0006】
一方で、休止している各無線通信装置を再起動させるには、マスタ装置から各スレーブ装置へ復帰コマンドを送信することが考えられる。よって、この復帰コマンドを受信できた無線通信装置は無事に再起動する。
【0007】
しかしながら、中継装置の役割を果たす無線通信装置の送信部が休止してしまうため、復帰コマンドが中継されない。そのため、マスタ装置から直接的に復帰コマンドを受信できない無線通信装置(例:あるスレーブ装置に従属している他のスレーブ装置など)は再起動できない。これでは、元のネットワークトポロジーを復元することができなくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。例えば、本発明は、の休止状態と休止状態を解除した状態間をより確実に遷移させることを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、無線装置であって、
休止状態へ移行している他の無線装置の前記休止状態を解除するための信号を送信する送信手段と、前記休止状態を解除した他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示する指示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線装置の休止状態と休止状態を解除した状態間をより確実に遷移させることができる。。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るネットワークシステムの一例を示す図である。
【図2】各各従属局が通常動作状態から休止状態ヘ移行するまでの処理を説明するための例示的なシーケンス図である。
【図3A】実施形態に係る制御局及び従属局の一例を示すブロック図である。
【図3B】実施形態に係るトポロジーマップの一例を示す図である。
【図4】実施形態における制御局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。
【図5】実施形態における従属局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。
【図6】本発明の課題を説明するための図である。
【図7】実施形態に係る休止モードから動作モードへ移行処理の一例を示したシーケンス図である。
【図8】実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る従属局が実行する休止モードからの復帰処理の一例を示したフローチャートである。
【図10】実施形態に係る休止モードから動作モードへ移行処理の一例を示したシーケンス図である。
【図11】実施形態に係る休止モードから他の動作モードへと復帰する処理の一例を示す図である。
【図12】実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0013】
<実施形態1>
本実施形態の制御無線装置(以下、制御局と称す。)、従属無線装置(以下、従属局と称す。)の構成および動作について説明する。なお、制御局も従属局も無線通信装置である。各無線通信装置が、制御局として機能したり、従属局として機能したり、あるいは、同時に制御局及び従属局として機能したりしてもよい。なお、制御局は、マスタ装置と呼ばれることもある。また、従属局は、スレーブ装置と呼ばれることもある。
【0014】
図1は、実施形態に係るネットワークシステムの一例を示す図である。なお、ネットワークシステムは、無線通信システムと呼ばれてもよい。制御局100は、従属局101、102、103、104、105とともにメッシュ状のネットワークを構成している。制御局100は、各従属局に対してデータをブロードキャスト送信する。
【0015】
しかし、図1に示した例では、制御局100からの送信信号が従属局103、104に直接的には到達しない。これは、通常、制御局と、従属局103、104との間の物理的な距離が遠すぎることが原因である。
【0016】
本実施形態では、この問題を解決するために、いずれかの従属局が中継装置としても機能する。例えば、従属局103は、従属局101、102により中継された信号を受信できる。従属局103は、従属局105により中継された信号を受信できる。さらに、従属局103は、従属局105及び104により中継された信号を受信できる。このように、各従属局は、受信した信号を自ら使用するとともに、中継信号として再送信する。
【0017】
従属局104は、他の従属局103及び105から信号を受信できるが、実際には、従属局104は、従属局103からのみ信号を受信する。なぜなら、制御局100が、予め従属局103からのみ信号を受信する従属局104に指示しているからである。制御局100が、各従属局まで利用可能な通信経路(通信パス)について通信状態を取得し、良好な通信状態の通信経路を1つ以上選択する。複数の通信経路が選択された場合、従属局は、複数の通信経路からそれぞれ信号を受信し、より品質の良い信号を選択する。各通信経路の通信状態が変化すれば、制御局は、各従属局までの通信経路を変更してもよい。例えば、従属局103までの通信経路として、従属局105のみを経由するルートと、従属局104を経由するルートとがあった場合、制御局100は、従属局104と105の送信順を入れ替えてもよい。
【0018】
図2は、各従属局が通常動作状態から休止状態ヘ移行するまでの処理を説明するための例示的なシーケンス図である。制御局100が送信したデータ210を、従属局101、102、105は直接的に受信できるが、従属局103、104は直接的に受信できない。
【0019】
ところで、制御局100と各従属局とが、複数のタイムスロットからなる1フレームを使用して送信する場合、制御局100は、予め各従属局の送信順番を割り当てる。例えば、送信順番は、従属局101、102、103、104、105の順であると仮定する。この場合、制御局100から送信されたデータ210の受信に成功した従属局101は、制御局により予め決められた送信タイミングでデータ210をデータ211として送信する。
【0020】
図2から分るように、従属局101が送信したデータ211は、従属局102、103、105によって受信される。さらに、次の送信順番が割り当てられている従属局102は、制御局100及び従属局101から受信した2つのたデータ210、211のうち、より信頼性の高いデータを選択する。自己に割り当てられた送信タイミングが到来すると、従属局102は、選択したデータをデータ212として送信する。
【0021】
従属局102が送信したデータ212は、従属局103、105、101により受信される。従属局103は、従属局101、102から受信したデータ211、212のうち、より信頼性の高いデータを選択する。自己に割り当てられた送信タイミングが到来すると、従属局103は、選択したデータをデータ213として送信する。
【0022】
以下、同様な手順で、従属局104はデータ214を送信し、従属局105はデータ215を送信する。これにより、すべての従属局に対して信頼性の高いデータを送信できるようになる。
【0023】
各従属局を通常動作状態から休止状態へ移行させるには、制御局100が、休止コマンド(休止状態移行コマンド)を送信する。休止コマンドは、上述したデータ210として各従属局へ伝達される。各従属局は、休止コマンドを受信すると、必要に応じて休止コマンドを転送(中継)し、その後、休止状態(休止モード)ヘ移行する。このようにして、すべての従属局が休止状態となる。
【0024】
図3Aは、実施形態に係る制御局及び従属局の一例を示すブロック図である。無線通信装置300は、上述した制御局100及び従属局である。送信アンテナ310及び受信アンテナ309は、フェイズドアレイアンテナなど、指向性を調整可能なアンテナである。アンテナ制御部313は、送信アンテナ310及び受信アンテナ309の指向性や主ビームの方向を制御する制御回路である。なお、送受信を切り替えるデュープレクサを追加すれば、単一のアンテナを、送信アンテナ310及び受信アンテナ309として使用できる。
【0025】
無線受信部308は、受信アンテナ309により受信された受信信号を復調する回路である。無線送信部311は、送信対象データを変調し、送信アンテナ310へ出力する回路である。
【0026】
無線通信装置300には、データ入出力インターフェイス302を介してパーソナルコンピュータ、プリンタなどの周辺装置など、各種の情報処理装置を接続できる。これらの外部装置からのデータは、データ入出力インターフェイス302において受け付けられる。また、受信されたデータは、データ入出力インターフェイス302から外部装置へ出力される。
【0027】
データ入出力インターフェイス302により受け付けられたデータは、送信データ処理部312へ送出される。送信データ処理部312は、当該データを、1フレーム内の特定のタイムスロットへ挿入するなどして送信対象データを作成する。送信対象データは、無線送信部311により変調され、送信アンテナ310から送信される。
【0028】
受信アンテナ309により受信された受信信号は、無線受信部308により復調され、受信データ処理部314により元のデータにリアッセンブルされる。複数の通信パスを経由してそれぞれ同一のデータを受信したときは、受信データ処理部314が、これらのデータの品質を測定し、より良好な品質のデータを選択する。品質としては、例えば、ビット誤り率、フレーム誤り率、信号強度、信号対雑音比、信号対干渉比などがあるが、これらは単なる例示に過ぎない。このようにして復元された元のデータは、データ入出力インターフェイス302から外部装置へ出力される。
【0029】
中継処理部301は、受信したデータのうち、下位に従属している他の従属局や、より上位の従属局若しくは制御局へ中継すべきデータを抽出し、中継用のデータを作成して、送信データ処理部312へ送出する。このように、中継処理部301は、起動コマンドを受信することで再起動した従属局に対してさらに従属した他の従属局が存在する場合に、他の従属局へ起動コマンドを中継する起動コマンド中継手段の一例である。
【0030】
主制御部306は、CPUなどの制御回路である。無線通信装置300が従属局として動作する場合、主制御部306は、受信データを解析し、休止コマンド、起動コマンド又は中継コマンドのいずれであるかどうかを判定する。受信データが休止コマンドであれば、主制御部306は、間欠受信制御部307に休止モードへ移行するよう指示する。これにより、間欠受信制御部307は、休止モードへ移行し、間欠的に無線受信部308及び受信データ処理部314を起動して信号の受信処理を実行する。よって、間欠受信制御部307、無線受信部308及び受信データ処理部314は、休止コマンドを制御局から又は他の従属局を経由して受信すると間欠的に受信を行なう受信手段の一例である。なお、休止モードにおいては、中継処理部301、送信データ処理部312及び無線送信部311には通電されない。これにより、省電力化が図られている。
【0031】
間欠受信によって起動コマンドが受信されると、主制御部306は、間欠受信制御部307へ再起動するよう指示する。これにより、間欠受信制御部307は、通常の動作モードへ移行する。また、主制御部306は、休止している各ユニット(例:無線送信部311や送信データ処理部312)への通電を再開する。
【0032】
一方、無線通信装置300が制御局100として動作する場合、主制御部306は、トポロジーマップを作成し、メモリ305に記憶する。トポロジーマップには、各従属局のデバイスID(又はデバイスアドレスなど)、従属局間の従属関係が格納される。トポロジーマップは、いわゆるルーティングテーブルとして機能する。また、主制御部306は、制御局から各従属局までにある1つ又は複数の通信経路の通信状態(例:誤り率、信号強度、信号対雑音比など)を取得し、通信状態管理テーブルを作成する。通信状態管理テーブルは、トポロジーマップに統合されてもよい。また、主制御部306は、各従属局の送信順番(例:送信タイミングや送信タイムスロット)を決定し、送信順番管理テーブルを作成する。これらのテーブルもメモリ305に記憶されるものとする。
【0033】
休止モードを解除する際に、制御局の主制御部306は、トポロジーマップに登録されている通信パスの情報を読み出して、各通信パスの復元に成功したか否かを判定する。復元されていない通信パスが存在すれば、主制御部306は、対応する従属局に対して起動コマンドをより下位の従属局へ中継(転送、代理送信)するよう中継コマンドを送信する。それでも復元できない通信パスが残存していれば、主制御部306は、新たな通信パスの確立を試行する。なお、タイマー304は、各コマンドを送信してから、対応するレスポンスを受信するまでの時間を計時するための計時回路である。
【0034】
図3Bは、実施形態に係るトポロジーマップの一例を示す図である。トポロジーマップは、一種のテーブル又はデータベースであり、ファイルとしてメモリ305に記憶される。主制御部306は、一定期間使用されていない通信パスや通信状態が相対的に劣化した通信パスをトポロジーマップから削除してもよい。トポロジーマップには、各通信パスを識別するための通信パスIDが含まれている。また、中継局となる従属局を識別するための中継局ID、最終的な宛先となる従属局を識別するための宛先従属局ID、その通信パスの品質を表す通信状態もトポロジーマップに登録されてもよい。このように、メモリ305は、トポロジー情報を記憶したトポロジー記憶手段の一例である。また、トポロジー情報は、各従属局が休止モード移行する前にネットワークシステムに属していた各従属局の識別情報と、ネットワークシステムにおける複数の従属局の接続関係を表す情報である。よって、トポロジーマップは、トポロジー情報の一例である。
【0035】
[休止モードへの移行]
図4は、実施形態における制御局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。ここでは、当初、休止モードとは異なる他の動作モード(例:通常動作モード[S401乃至S404])で制御局100が動作しているものとする。
【0036】
ステップS401で、主制御部306は、データ入出力インターフェイス302において外部装置から受信したデータ又はメモリ305から読み出したデータに基づいて送信用データを送信データ処理部312に作成させる。
【0037】
ステップS402で、無線送信部311は、作成された送信用データを、送信アンテナ310から送信する。ステップS403で、無線受信部308は、従属局から送信されてきたデータ(レスポンス)を受信アンテナ309により受信する。受信データ処理部314は、受信したレスポンスを主制御部306に送出する。
【0038】
ステップS405で、主制御部306は、不図示の操作部などから休止要求が入力されたか否かを判定する。休止要求は、休止モードへの移行を要求するための指示である。休止要求が入力されていなければ、ステップS401へ戻り、主制御部306は、通常動作モードを継続する。一方で、休止要求が入力された場合は、ステップS406へ進む。
【0039】
ステップS406で、主制御部306は、従属局を休止させるための休止コマンドを生成する。ステップS407で、主制御部306は、生成した休止コマンドを送信データ処理部312及び無線送信部311を用いて送信する。なお、休止コマンドは、ブロードキャスト又はマルチキャストにより送信される。このように、主制御部306、送信データ処理部312及び無線送信部311は、複数の従属局を間欠的な受信動作を行なう休止モードへ移行させるための休止コマンドを送信するコマンド送信手段の一例である。
【0040】
ステップS408で、主制御部306は、従属局から送信されてきたレスポンスを、無線受信部308及び受信データ処理部314を用いて受信する。ステップS409で、主制御部306は、受信したレスポンスを解析し、レスポンスの送信元である従属局を確認する。
【0041】
ステップS410で、主制御部306は、トポロジーマップに登録されているすべての従属局からレスポンスを受信できたか否か、すなわち、すべての従属局が休止したか否かを判定する。まだ、休止していない従属局が残存していれば、ステップS411に進み、主制御部306は、タイマー304を起動する。なお、すでに起動されているときは、ステップS411はスキップされる。
【0042】
ステップS412で、主制御部306は、タイマー304がタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトを判定するのは、従属局が故障したか、地理的に離脱したことにより、レスポンスを返信できない事態を検出するためである。タイムアウトしたときは、主制御部306が、タイムアウト処理を実行する。一方、タイムアウトしていなければ、ステップS407に戻り、休止コマンドの再送を実行する。
【0043】
このようにして、すべての従属局が休止すると、ステップS413で、主制御部306は、電源回路による電源の供給をOFFにする。これにより、主制御部306も休止モードへ移行する。
【0044】
図5は、実施形態における従属局の休止モード移行処理を示したフローチャートである。ステップS501で、従属局の主制御部306は、従属局から送信されてきたデータ(又はコマンド)を受信アンテナ309により受信する。受信データ処理部314は、受信したデータ又はコマンドを主制御部306に送出する。
【0045】
ステップS502で、主制御部306は、無線送信部311及び送信アンテナ310を用いて、レスポンスを送信する。なお、自己が中継局として機能している場合、ステップS503で、中継処理部301は、受信したコマンドやデータを受信データ処理部314から送信データ処理部312へと折り返すことで、コマンドやデータを、さらに従属している他の従属局へと送信する。このようにして、より下位の従属局へとコマンドやデータが中継されて行く。
【0046】
ステップS504で、主制御部306は、受信したコマンドが休止コマンドであるか否かを判定する。休止コマンドでなければ、ステップS501へ戻り、主制御部306は、通常動作モードを継続する。休止コマンドであれば、ステップS505へ進む。
【0047】
ステップS505で、主制御部306は、休止コマンドを受領したこと(すなわち、これから休止モードを移行すること)を示すレスポンスを、無線送信部311及び送信アンテナ310を用いて送信する。ステップS506で、主制御部306は、休止コマンドを中継する。なお、すでに、ステップS503で休止コマンドの中継が実行されていればステップS506はスキップされる。
【0048】
ステップS507で、主制御部306は、他の従属局から送信されてきたレスポンスを受信アンテナ309及び無線受信部308により受信する。ステップS508で、主制御部306は、中継処理部301、無線送信部311及び送信アンテナ310を用いて、このレスポンスを送信(中継)する。
【0049】
ステップS509で、主制御部306は、休止モードへ移行する。例えば、主制御部306は、電源回路から中継処理部301、送信データ処理部312及び無線送信部311などへの電源の供給を停止させる。また、主制御部306は、間欠受信制御部307に休止モードへの移行を指示する。このように、主制御部306は、休止コマンドが受信されると他の動作モードから休止モードへと受信手段を移行させるモード制御手段の一例である。
【0050】
ステップS510で、間欠受信制御部307は、この指示にしたがい、定期的に、受信データ処理部314や無線受信部308など、受信処理に必要となるユニットに電源を供給することで、間欠受信を実行させる。
【0051】
[休止モードからの復帰]
図6は、本発明の課題を説明するための図である。ネットワークに属している休止中の従属局を再起動させる場合に、従来であれば、制御局100からの電波を直接受信できる範囲内に位置する従属局101、102及び105だけが再起動できた。すなわち、図1に示されているように休止前に確保されていたメッシュ状の通信パスが存在しないため、起動コマンドが従属局103、104には伝達されなかった。それゆえ、マルチホップ型のネットワークでは、無線通信装置が休止モードへ移行してしまうと、元のネットワークトポロジーが復元されない課題があった。
【0052】
図7は、実施形態に係る休止モードから動作モードへの移行処理の一例を示したシーケンス図である。ここでは、上述した各従属局が休止モード(休止状態)に移行しているものとする。
【0053】
制御局100は、広い指向性を用いて起動コマンド710を休止状態の各従属局に対して相対的に送信する。起動コマンド710を受信できた従属局101、102、105は、再起動する。再起動した従属局101、102、105は、起動したことを示すレスポンス(ACK)を制御局100に宛てに送信する。なお、この時点では、従属局103、104は、起動コマンドを受信できていないため、休止状態のままである。
【0054】
制御局100は、送り返されてきたレスポンスから、起動していない従属局103、104の存在を検出する。制御局100は、休止状態に移行する前の通信状態及び通信パスをトポロジーマップから取得する。制御局100は、複数の通信経路のうち、休止モードへ移行する前における通信状態が相対的に良好であった通信経路を特定し、特定された通信経路に属した上位の従属局を選択する。例えば、制御局100は、取得した通信状態及び通信パスに基づいて、動作中の従属局のうち、起動コマンドを中継すべき最適な従属局を選択する。通常、最適な従属局は、通信状態が最良であった通信パスに位置した従属局である。通信状態が相対的に良好であった(所定の基準値を超える)通信経路であれば、最良でない通信経路が選択されても良い。複数の候補が存在する場合、制御局100は、乱数等により決定してもよい。なお、起動していない従属局103、104に対して通信可能な他の従属局(例:従属局105)を最適な従属局として選択してもよい。
【0055】
制御局100は、選択した従属局105に対し、起動コマンドを中継又は代理送するよう要求するための中継コマンド720を送信する。この中継コマンド720を受信した従属局105は、制御局に代わり、起動コマンド721を送信する。さらに、従属局105は、従属局103、104からのレスポンス(ACK)を予め定められた時間だけ待ち受ける。起動コマンド721を受信した従属局103、104は再起動し、再起動したことを示すレスポンスを従属局105へ送信する。
【0056】
従属局103、104からレスポンスを受信した従属局105は、制御局100へこれらのレスポンスを中継する。このようにして、すべての従属局が休止モードから復帰することができる。
【0057】
図8は、実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。ステップS801で、操作部から起動要求が入力されると、電源回路が各ユニットへの電源の供給を開始する。
【0058】
ステップS802で、主制御部306は、メモリ305から休止前のトポロジーマップを読み込む。ステップS803で、主制御部306は、トポロジーマップの内容を解析し、中継の必要な従属局が存在するか否かを判定する。例えば、図3Bのトポロジーマップによれば、通信パスIDが’06’である通信パスに関しては中継が不要であるが、他の通信パスに関しては、中継局IDが登録されているので、主制御部306は、中継が必要と判定する。中継が必要なければ、ステップS806へスキップする。一方、中継が必要であれば、ステップS804へ進む。
【0059】
ステップS804で、主制御部306は、トポロジーマップにしたがって中継局として機能すべき従属局を決定する。例えば、通信パスIDが’01’である通信パスに関しては、従属局105が中継局として決定される。なお、複数の通信パスが存在する場合は通信状態が最良の通信パスが選択される。このように、主制御部306は、要求コマンドを送信するために、各従属局が休止モードへ移行する前の通信状態が相対的に良好な通信経路を特定し、特定した通信経路に属した従属局を選択する選択手段の一例である。また、メモリ305は、制御局から各従属局までにある1つ又は複数の通信経路の通信状態を表す状態情報を記憶する状態記憶手段の一例である。
【0060】
ステップS805で、主制御部306は、従属局105に対して従属局103、104への中継を要求するための要求コマンドである中継コマンドを生成する。ステップS806で、主制御部306は、従属局103、104へ伝達されるべき起動コマンドを生成する。
【0061】
ステップS807で、主制御部306は、送信データ処理部312及び無線送信部311を用いて中継コマンド及び起動コマンドを送信する。このように、主制御部306、送信データ処理部312及び無線送信部311は、複数の従属局を休止モードから他の動作モードへ移行させるための起動コマンドを送信するコマンド送信手段の一例である。このように、主制御部306、送信データ処理部312及び無線送信部311は、他の従属局がレスポンスを送信してこない場合に、他の従属局が従属している上位の従属局に対して要求コマンドを送信する要求コマンド送信手段の一例である。上述した中継コマンドは、起動コマンドを他の従属局へ中継するよう、当該他の従属局が従属している上位の従属局に要求するための要求コマンドの一例である。
【0062】
ステップS808で、主制御部306は、無線受信部308及び受信データ処理部314を用いて各従属局からのレスポンスを受信する。ステップS809で、主制御部306は、レスポンスの確認処理を実行する。例えば、主制御部306は、レスポンスを解析し、レスポンスを送信してきた従属局を特定する。レスポンスには、送信元の従属局に割り当てられているデバイスID(デバイスアドレス)が含まれているものとする。
【0063】
ステップS810で、主制御部306は、起動した従属局のIDをトポロジーマップに登録されている従属局のIDと比較することで、どの従属局が起動し、どの従属局が起動していないかを確認する。
【0064】
ステップS811で、主制御部306は、すべての従属局が起動したか否かを判定する。すべて起動したのであれば、主制御部306は、通常動作モードヘ移行する。一方、起動してない従属局が残存していれば、ステップS812へ進む。このように、主制御部306は、他の従属局からのレスポンスを受信できたか否かを判定する判定手段の一例である。また、主制御部306は、すべての従属局が再起動したか否かを判定する再起動判定手段の一例である。これにより、各従属局が休止モード移行する前にネットワークシステムに属していたすべての従属局が再起動するまで起動コマンドを送信できるようになる。
【0065】
ステップS812に進み、主制御部306は、タイマー304を起動する。なお、すでに起動されているときは、ステップS812はスキップされる。ステップS813で、主制御部306は、タイマー304がタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトを判定するのは、従属局が故障したり、地理的に離脱したりしたことにより、レスポンスを返信できない事態を検出するためである。タイムアウトしたときは、主制御部306が、タイムアウト処理を実行する。一方、タイムアウトしていなければ、ステップS804に戻り、起動コマンド及び中継コマンドの再送を実行する。
【0066】
図9は、実施形態に係る従属局が実行する休止モードからの復帰処理の一例を示したフローチャートである。ここでは、各従属局は、休止状態にある。
【0067】
ステップS901で、間欠受信制御部307は、定期的なタイミングで受信データ処理部314及び無線受信部308を起動し、起動コマンドの受信を試行する。ステップS902で、間欠受信制御部307は、起動コマンドを受信したか否かを判定する。起動コマンドを受信したのでなければ、間欠受信制御部307は、休止モードを継続する。一方、起動コマンドを受信したのであれば、ステップS903に進む。
【0068】
ステップS903で、間欠受信制御部307は、受信した起動コマンドを解析する。例えば、間欠受信制御部307は、受信した起動コマンドが、自局が所属するネットワークシステム内で有効なコマンドであるか否かを確認する。自局が所属するネットワークシステム内で有効なコマンドあれば、ステップS904で、間欠受信制御部307は、各ユニットへ電源を供給するよう電源回路に指示する。これにより、各ユニットが再起動する(すなわち、通常動作モードへ移行する)。このように、間欠受信制御部307は、起動コマンドが受信されると休止モードから他の動作モードへと受信手段を移行させるよう制御するモード制御手段の一例である。
【0069】
ステップS905で、主制御部306は、起動したことを示すレスポンスを生成し、送信データ処理部312及び無線送信部311を用いて、制御局100宛てに送信する。このように、主制御部306などは、起動コマンドを受信することで再起動すると、再起動したことを通知するためのレスポンスを送信するレスポンス送信手段の一例である。
【0070】
ステップS906で、主制御部306は、下位に従属した他の従属局への起動コマンドの中継を要求する中継コマンドを受信したか否かを判定する。中継コマンドを受信したのでなければ、通常動作モードを継続する。一方、中継コマンドを受信したのであれば、ステップS907に進む。
【0071】
ステップS907で、主制御部306は、中継コマンドに対するレスポンスを送信する。ステップS908で、主制御部306は、中継処理部301を用いて、データやコマンド(特に起動コマンド)の中継を実行する。ステップS909で、主制御部306は、他の従属局からのレスポンスを一定期間にわたり待ち受ける。他の従属局からのレスポンスを受信すると、ステップS910に進む。
【0072】
ステップS910で、中継処理部301は、受信データ処理部314から入力された他の従属局からのレスポンスを送信データ処理部312へ折り返すことで、レスポンスの中継処理を実行する。このように、中継処理部301などは、さらに従属した他の従属局が送信してきたレスポンスを制御局へ中継するレスポンス中継手段の一例である。
【0073】
本実施形態によれば、マルチホップ型のネットワークに属する各無線通信装置を休止させても、すべて再起動させることが可能となる。よって、休止前に構築されていた元のネットワークトポロジーを復元できるようになる。
【0074】
具体的には、いずれかの上位の従属局を通じて対象となる下位への従属局へ起動コマンドを中継する。故障した従属局や地理的に離脱した従属局については、再起動させることはできないが、中継可能な範囲に存在する正常な従属局については再起動可能である。なお、上位とは、ある通信経路において、制御局に対して相対的に近いことを意味し、下位とは、相対的に遠いことを意味する。
【0075】
なお、休止モード移行する前の通信状態が相対的に良好な通信経路に位置する従属局を中継局として選択することで、ネットワークトポロジーの復旧が迅速かつ確実となりうる。特に、制御局と従属局の位置関係や無線環境に変化が無い場合に、このような効果が期待される。
【0076】
<実施形態2>
図10は、実施形態に係る休止モードから動作モードへ移行処理の一例を示したシーケンス図である。ここでは、制御局100と従属局101、102及び105が直接通信できるものとする。
【0077】
ステップS1001で、制御局100は、起動コマンド1010を送信する。従属局101、102、105は、起動コマンド1010を受信し、通常動作モードへと復帰する。ステップS1002で、再起動した従属局101、102、105は、レスポンス(ACK)を制御局100に対して送信する。
【0078】
ステップS1003で、制御局100は、レスポンス(ACK)を送信してこなかった従属局103、104を起動するために、中継コマンド1016を送信する。これにより、従属局101、102,105に対して起動コマンドの中継(転送、代理送信)が委託される。
【0079】
ステップS1004で、中継コマンドを受信した従属局101は、起動コマンド1017を送信(中継)し、一定期間だけレスポンスを待ち受ける。この起動コマンド1017を従属局103は受信できるが、従属局104は受信できない。起動コマンド1017を受信した従属局103は、再起動する。ステップS1005で、再起動した従属局103は、レスポンスを送信する。従属局101は、従属局103からのレスポンスを制御局100へ中継する。これにより、制御局100は、従属局103が起動したことを認識する。
【0080】
ステップS1006で、従属局102は、起動コマンド1018を送信(中継)し、レスポンスを待ち受ける。しかし、従属局104は、起動コマンド1018を受信できないため、休止モードを継続する。一方で、従属局103は、従属局102からの起動コマンド1018を受信する。
【0081】
ステップS1007で、起動コマンド1018を受信した従属局103は、起動コマンド1019を送信し、レスポンスを待ち受ける。従属局103からの起動コマンド1019を受信した従属局104は、再起動する。
【0082】
ステップS1008で、従属局104は、レスポンスを送信する。従属局104からレスポンスを受信した従属局103は、このレスポンスを従属局101へ中継する。さらに、このレスポンスを従属局101が制御局100へ中継する。これにより、すべての従属局が再起動する。
【0083】
本実施形態によれば、第1フェーズで起動した従属局101が起動コマンドを中継し、第2フェーズで起動した従属局103も起動コマンドを中継する。このように、新たに起動した従属局が起動コマンドを中継することで、すべての従属局が起動できるようになる。
【0084】
<実施形態3>
本実施形態では、休止モードに移行するとアンテナの指向性を相対的に広くし、他の動作モードに移行するとアンテナの指向性を狭くする指向性調整手段の一例について説明する。
【0085】
図11は、実施形態に係る休止モードから他の動作モードへと復帰する処理の一例を示す図である。通常動作モードでは、従属局のアンテナ制御部313は、受信アンテナ309の指向性パターンを狭指向性(高利得)1107に設定する。一方で、休止モードへ移行する際に、従属局101のアンテナ制御部313は、受信アンテナ309の指向性パターンを広指向性(低利得)1106に変更する。これにより、各従属局は、制御局100との相対的な位置関係が変化したとしても、制御局100からの起動コマンドを受信しやすくなる。
【0086】
一方で、起動コマンドを送信する際に、制御局100のアンテナ制御部313は、受信アンテナ309の指向性パターンを狭指向性(高利得)1107に設定する。さらに、受信アンテナ309の指向性の主ビームが指す方向(放射方向)を順次切り替えながら(すなわちスキャンしながら)、起動コマンドの送信とレスポンスの待ち受けとを実行する。
【0087】
図12は、実施形態に係る制御局が実行する復帰処理の一例を示すフローチャートである。なお、すでに説明した個所には同一の参照符号が付与されている。とりわけ、実施形態3では、ステップS806とS807との間に、ステップS1201及びS1202が追加されている。さらに、ステップS810とS811との間に、ステップS1203が追加されている。
【0088】
ステップS1201において、主制御部306は、中継局として選択された従属局と通信するための送信アンテナの設定角度をトポロジーマップなどから読み込む。メモリ305には、休止前に通信していた従属局ごとに、送信アンテナの設定角度(主ビームの指す方向)が記憶されているものとする。
【0089】
ステップS1202で、主制御部306は、読み込んだ送信アンテナの設定角度を、アンテナ制御部313に設定する。アンテナ制御部313は、送信アンテナの設定角度にしたがって、送信アンテナ310の放射角を設定する。同様に受信アンテナ309についても送信アンテナ310に連動した放射角が設定されてもよい。その後、ステップS807乃至S810が実行され、ステップS1203に進む。
【0090】
ステップS1203で、主制御部306は、送信アンテナ310に対して設定可能なすべての角度について起動コマンドの送信を完了したか否かが判定される。完了していなければ、次の角度を設定して起動コマンドを送信すべく、ステップS1202に戻る。なお、選択された従属局からレスポンスを受信できた場合は、ステップS810からステップS811にスキップする。
【0091】
本実施形態によれば、従属局は、広指向性の指向パターンで起動コマンドを待ち受け、制御局は、狭指向性の指向パターンで起動コマンドを送信する。さらに、制御局は、指向性の主ビームの指す方向(放射方向)を順次変えながら、起動コマンドの送信とレスポンスの待ち受けを実行する。このようにアンテナを走査することで、休止モードへの移行時と復帰時とで制御局と従属局との位置関係に多少の変化があっても、従属局を再起動させやすなる。
【0092】
<他の実施形態>
制御局が中継局となる従属局を選択する際に、主制御部306は、休止モード移行する前の通信状態にしたがって従属局に優先順位を決定してもよい。例えば、主制御部306は、通信状態が良好であった順にしたがって各従属局の優先順位を決定する。この場合、主制御部306は、他の従属局からのレスポンスを受信するまで、他の従属無線局への通信経路に属した上位の従属局を優先順位にしたがって順番に選定することになる。よって、主制御部306は、優先順位決定手段や選定手段の一例といえる。とりわけ、通信状態が良好な順に各従属局の優先順位を決定すれば、相対的に少ない手順によって、従属局を復帰できよう。
【0093】
上述した実施形態では、制御局からの中継を要求するコマンドにしたがって、従属局が起動コマンドを中継していた。しかし、従属局は、中継コマンドを受信せずとも、自律的に、起動コマンドを送出してもよい。これにより、制御局が中継コマンドを送信する必要がなくなる利点が生じる。なお、従属局の主制御部306や中継処理部301は、制御局からの要求とは無関係に、起動コマンドをさらに従属した他の従属局へ中継する自律的中継手段の一例である。この場合に、起動コマンドを送信した従属局が、他の従属局が送信してきたレスポンスを制御局やより上位の従属局へ中継することになろう。
【0094】
実施形態3では、制御局がアンテナの指向性における主ビームを走査するものとして説明した。しかし、中継局として動作する従属局も同様に、さらに従属した他の従属局へ起動コマンドを中継すると、アンテナの指向性における主ビームを走査してもよい。この場合、従属局のアンテナ制御部313は、受信アンテナの指向性の主ビームを走査することで他の従属局から送信されるレスポンスの受信を試行することになる。
【符号の説明】
【0095】
100…制御無線装置(制御局)
101,102,103,104,105…従属無線装置(従属局)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置であって、
休止状態へ移行している他の無線装置の前記休止状態を解除するための信号を送信する送信手段と、
前記休止状態を解除した他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示する指示手段と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記休止状態は、他の無線装置の一部への電源供給を停止する状態であることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記休止状態は、間欠的な受信動作を行う状態であることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
ネットワークのトポロジー情報に基づいて、前記信号の中継を指示する他の無線装置を選択する選択手段を有し、
前記指示手段は、前記選択手段により選択された他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記信号の中継を指示する他の無線装置を変更する変更手段をさらに有し、
前記指示手段は、前記変更手段により変更された他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
前記信号を送信する際に、送信アンテナの指向性を狭指向性に設定する設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
前記信号のレスポンスを受信する際、受信アンテナの指向角を順次切り替える切り替え手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項8】
無線装置であって、
休止状態を解除するための信号を受信する第1の受信手段と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する解除手段と、
休止状態を解除する信号の中継指示を受信する第2の受信手段と、
前記受信した中継指示に従って、前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する第1の中継手段と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項9】
前記第1の中継手段により中継した前記休止状態を解除するための信号に対するレスポンスを中継する第2の中継手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の無線装置。
【請求項10】
無線装置であって、
休止状態を解除するための信号を受信する受信手段と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する解除手段と、
前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する第1の中継手段と、
前記中継した前記休止状態を解除するための信号に対するレスポンスを中継する第2の中継手段と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項11】
無線装置であって、
休止状態への移行を指示する信号を受信する受信手段と、
休止状態への移行を指示する信号を送信する送信手段と、
休止状態に移行する休止手段と、を有し、
休止状態へ移行することを指示する信号を受信すると、他の無線装置に休止状態への移行を指示する信号を送信した後に、休止状態に移行することを特徴とする無線装置。
【請求項12】
他の無線装置に送信した休止状態の移行を指示する信号の該他の無線装置からのレスポンスを中継した後に、休止状態に移行することを特徴とする請求項11に記載の無線装置。
【請求項13】
前記休止状態は、他の無線装置の一部への電源供給を停止する状態であることを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項14】
前記休止状態は、間欠的な受信動作を行う状態であることを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項15】
前記休止状態中は、前記休止状態を解除後よりもアンテナを広指向性に設定することを特徴とする請求項8乃至請求項14の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項16】
無線装置の制御方法であって、
休止状態へ移行している他の無線装置の前記休止状態を解除するための信号を送信する工程と、
前記休止状態を解除した他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示する工程と、
を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項17】
無線装置の制御方法であって、
休止状態を解除するための信号を受信する工程と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する工程と、
休止状態を解除する信号の中継指示を受信する工程と、
前記受信した中継指示に従って、前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する工程と、
を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項18】
無線装置の制御方法であって、
休止状態を解除するための信号を受信する工程と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する工程と、
前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する工程と、
前記中継した前記休止状態を解除するための信号に対するレスポンスを中継する工程と、
を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項19】
無線装置の制御方法であって、
休止状態へ移行することを指示する信号を受信すると、他の無線装置に休止状態への移行を指示する信号を送信した後に、休止状態に移行することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項1】
無線装置であって、
休止状態へ移行している他の無線装置の前記休止状態を解除するための信号を送信する送信手段と、
前記休止状態を解除した他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示する指示手段と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記休止状態は、他の無線装置の一部への電源供給を停止する状態であることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記休止状態は、間欠的な受信動作を行う状態であることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
ネットワークのトポロジー情報に基づいて、前記信号の中継を指示する他の無線装置を選択する選択手段を有し、
前記指示手段は、前記選択手段により選択された他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記信号の中継を指示する他の無線装置を変更する変更手段をさらに有し、
前記指示手段は、前記変更手段により変更された他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
前記信号を送信する際に、送信アンテナの指向性を狭指向性に設定する設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
前記信号のレスポンスを受信する際、受信アンテナの指向角を順次切り替える切り替え手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項8】
無線装置であって、
休止状態を解除するための信号を受信する第1の受信手段と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する解除手段と、
休止状態を解除する信号の中継指示を受信する第2の受信手段と、
前記受信した中継指示に従って、前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する第1の中継手段と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項9】
前記第1の中継手段により中継した前記休止状態を解除するための信号に対するレスポンスを中継する第2の中継手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の無線装置。
【請求項10】
無線装置であって、
休止状態を解除するための信号を受信する受信手段と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する解除手段と、
前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する第1の中継手段と、
前記中継した前記休止状態を解除するための信号に対するレスポンスを中継する第2の中継手段と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項11】
無線装置であって、
休止状態への移行を指示する信号を受信する受信手段と、
休止状態への移行を指示する信号を送信する送信手段と、
休止状態に移行する休止手段と、を有し、
休止状態へ移行することを指示する信号を受信すると、他の無線装置に休止状態への移行を指示する信号を送信した後に、休止状態に移行することを特徴とする無線装置。
【請求項12】
他の無線装置に送信した休止状態の移行を指示する信号の該他の無線装置からのレスポンスを中継した後に、休止状態に移行することを特徴とする請求項11に記載の無線装置。
【請求項13】
前記休止状態は、他の無線装置の一部への電源供給を停止する状態であることを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項14】
前記休止状態は、間欠的な受信動作を行う状態であることを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項15】
前記休止状態中は、前記休止状態を解除後よりもアンテナを広指向性に設定することを特徴とする請求項8乃至請求項14の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項16】
無線装置の制御方法であって、
休止状態へ移行している他の無線装置の前記休止状態を解除するための信号を送信する工程と、
前記休止状態を解除した他の無線装置に対して、前記信号の中継を指示する工程と、
を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項17】
無線装置の制御方法であって、
休止状態を解除するための信号を受信する工程と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する工程と、
休止状態を解除する信号の中継指示を受信する工程と、
前記受信した中継指示に従って、前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する工程と、
を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項18】
無線装置の制御方法であって、
休止状態を解除するための信号を受信する工程と、
受信した前記信号に基づいて、前記休止状態を解除する工程と、
前記休止状態を解除するための信号を他の無線装置に中継する工程と、
前記中継した前記休止状態を解除するための信号に対するレスポンスを中継する工程と、
を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【請求項19】
無線装置の制御方法であって、
休止状態へ移行することを指示する信号を受信すると、他の無線装置に休止状態への移行を指示する信号を送信した後に、休止状態に移行することを特徴とする無線装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−102517(P2013−102517A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−9608(P2013−9608)
【出願日】平成25年1月22日(2013.1.22)
【分割の表示】特願2007−248182(P2007−248182)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月22日(2013.1.22)
【分割の表示】特願2007−248182(P2007−248182)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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