説明

無線通信システム、および無線通信方法

【課題】特定の無線基地局に接続する移動端末が集中してしまった場合、通信速度が低下したり、アクセス要求信号の衝突確率が増え、無線接続確立までに時間がかかる。
【解決手段】サーバ101は、位置移動可能な基地局毎の移動端末の接続台数を管理し、基地局A102の移動端末の接続台数が上限値に到達したと判定した場合、接続台数が上限値に到達していない基地局B103、基地局C104の何れかの基地局を、自身の通信範囲の一部が基地局A102の通信範囲に一部重複するよう位置移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局と複数の移動端末で構成された無線通信システムおよび無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル無線通信技術の高度化により、オフィスや工場のみならず、一般家庭内の宅内においても、高速伝送が可能な無線通信システムが広く用いられるようになってきている。
【0003】
これらの無線通信システムが、企業、大型店舗、大型施設など広い空間で使用される際には、接続する移動端末を増やすために、複数の無線基地局が空間内に分散して設置される。移動端末は無線基地局が送信するビーコン信号の受信電力を比較して接続する無線基地局を選択するよう機能する。
【0004】
上記手法では、特定の無線基地局に接続する移動端末が集中してしまった場合、通信速度が低下したり、アクセス要求信号の衝突確率が増え、無線接続確立までに時間がかかってしまうという問題が生じる。
【0005】
この問題に対して、各無線基地局が自局に接続中の移動無線端末の台数情報を相互に共有し、この共有情報を用いて、自局から発するビーコン信号の送信電力と、自局と接続する移動無線端末との無線伝送速度を制御し、無線基地局の負荷を分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−124461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、特許文献1による方法は、無線基地局の負荷を分散させる方法が提示されているが、特定の無線基地局に接続する移動端末が集中してしまった場合、すでに基地局に接続されている無線端末を遠方の基地局と通信を行わせるため、通信品質が劣化するという課題が残る。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、既に無線基地局に接続されている無線端末が別の無線基地局に接続するようになった場合における通信品質の劣化を低減する無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る無線通信システムは、複数の移動端末と、複数の基地局とを備えた通信システムであって、前記複数の基地局の配置を管理する基地局管理部を備え、前記複数の基地局は移動可能であり、前記基地局管理部は、前記基地局毎に、前記移動端末との接続台数が、予め定められている上限値に達しているかどうかを判定し、前記上限値に達している基地局が存在した場合には、前記上限値に達していない基地局の中から1つの基地局を選択し、選択した基地局を前記選択した基地局の通信範囲が前記上限値に達している基地局の通信範囲の一部と重複するように移動させるものである。
【0010】
本発明の請求項2に係る無線通信システムは、請求項1に係る無線通信システムにおいて、各基地局は、前記移動端末と無線接続を行うと、現在の接続台数を前記基地局管理部に送信し、前記基地局管理部は、前記各基地局から送信された接続台数を管理し、前記接続台数を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する。
【0011】
本発明の請求項3に係る無線通信システムは、請求項1に係る無線通信システムにおいて、各基地局は、前記移動端末と無線接続を行った場合、又は、前記移動端末との無線接続を切断した場合に、前記移動端末と無線接続、又は無線接続の切断を示す接続状態を前記基地局管理部に送信し、前記基地局管理部は、前記各基地局から送信される接続状態に従って、前記各基地局の接続台数を管理し、前記接続台数を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定してもよい。
【0012】
本発明の請求項4に係る無線通信システムは、請求項1に係る無線通信システムにおいて、前記各基地局は、前記移動端末と無線接続を行うと、現在の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを示す接続状態を前記基地局管理部に送信し、前記基地局管理部は、前記基地局から送信される接続状態を管理し、前記接続状態を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する。
【0013】
なお、上記無線通信システムにおいて、前記基地局管理部は、前記上限値に達していない基地局の中で、前記接続台数が少ない基地局を選択してもよい。
【0014】
また、前記基地局管理部は、前記上限値に達していない基地局の中で、前記上限値に達している基地局に近い位置に位置する基地局を選択してもよい。
【0015】
本発明の請求項9に係る無線通信システムは、請求項1に係る無線通信システムにおいて、各基地局は、前記基地局管理部と、現在の前記移動端末との接続台数を管理する台数管理部とを有し、前記台数管理部は、現在の接続台数が上限値に達していると判定した場合には、他の基地局に接続台数が上限値に達したことを示す接続台数上限値到達通知を送信し、前記基地局管理部は、前記接続台数上限値到達通知を受信すると、自身の接続台数を調べ、前記接続台数が上限値に達していない場合には、上限値に達していないことを示す移動可能通知を他の基地局に送信し、前記上限値に達している場合には、受信した移動可能通知の送信元の基地局の中から1つの基地局を選択し、選択した基地局を前記選択した基地局の通信範囲が自身の通信範囲の一部と重複するように移動させるものである。
【0016】
本発明の請求項13に係る無線通信システムは、請求項1に係る無線通信システムにおいて、各基地局は、前記基地局管理部と、現在の前記移動端末との接続台数を管理する台数管理部とを有し、前記台数管理部は、現在の接続台数が上限値に達していると判定した場合には、他の基地局に接続台数が上限値に達したことを示す接続台数上限値到達通知を送信し、前記基地局管理部は、前記接続台数上限値到達通知を受信すると、自身の接続台数を調べ、前記接続台数が上限値に達していない場合には、自身を移動させる基地局として選択し、上限値に達していないことを示す移動可能通知を他の基地局に送信すると共に、前記接続台数上限値到達通知を送信した基地局の通信範囲に自身の通信範囲の一部が重複するように移動する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動端末がランダムに動く通信システムにおいて、移動端末が集中している範囲の通信容量を増大させ、移動端末は安定した通信を継続することが可能となる無線通信システムおよび無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムの一構成例を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係るサーバの一構成例を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る基地局の一構成例を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1に係る基地局管理テーブルの一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1に係る基地局の動作を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1に係るサーバの動作を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態1に係る移動後の基地局を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態2に係る基地局管理テーブルの一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態2に係る移動後の基地局を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態3に係る通信システムの一構成例を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態3に係る基地局の一構成例を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態3に係る基地局管理テーブルの一例を示す図
【図13】本発明の実施の形態3に係る基地局の動作を示すフローチャート
【図14】本発明の実施の形態3に係る管理基地局の動作を示すフローチャート
【図15】本発明の実施の形態3に係る移動後の基地局を示すブロック図
【図16】本発明の実施の形態4に係る基地局の一構成例を示すブロック図
【図17】本発明の実施の形態4に係る基地局分散管理テーブルの一例を示す図
【図18】本発明の実施の形態4に係る基地局の移動要求処理を示すフローチャート
【図19】本発明の実施の形態4に係る基地局の移動応答処理を示すフローチャート
【図20】本発明の実施の形態4に係る各基地局の動作を示すタイムチャート
【図21】本発明の実施の形態4に係る他の基地局分散管理テーブルの一例を示す図
【図22】本発明の実施の形態4に係る基地局の他の移動要求処理を示すフローチャート
【図23】本発明の実施の形態4に係る基地局の他の移動応答処理を示すフローチャート
【図24】本発明の実施の形態4に係る各基地局の他の動作を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
図1から図7を参照して、本発明の実施の形態1に係る通信システムを説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態1に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
図1において、サーバ101は、基地局A102、基地局B103、基地局C104、および外部ネットワーク100と接続されている。なお、サーバ101と、基地局A102、基地局B103、基地局C104、および外部ネットワーク100のそれぞれは、有線通信により接続されても、無線通信により接続されてもよい。
【0023】
図1において、サーバ101は、基地局A102、基地局B103、基地局C104、および外部ネットワーク100と、有線通信により接続されている。基地局A102、基地局B103、基地局C104は、それぞれ無線通信システムの基地局であり、移動端末を無線通信により接続する。また、基地局A102、基地局B103、基地局C104は、位置移動が可能である。
【0024】
図1において、基地局A102、基地局B103、基地局C104は、ある座標基準点x=0を基準として、それぞれ、x=10、20、30の座標点に設置されている。移動端末105、106、107、108は、基地局のいずれかに接続し、外部ネットワーク100、もしくは、他の移動端末と無線通信を行うものである。図1に示すように、移動端末105、106、107は基地局A102に、移動端末108は基地局B103に、それぞれ接続している。
【0025】
図2は、本実施の形態1に係るサーバの一構成例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態1に係るサーバ101は、通信I/F201、基地局管理テーブル202、基地局管理部203、CPU204を備える。
【0027】
通信I/F201は、信号の送受信および変復調、アクセス制御、TCP/IP処理(Transmission Control Protocol/Internet Protocol処理)など、他機器とのデータ通信の入出力処理を行うものである。基地局管理テーブル202は、サーバ101が管理する各基地局の移動端末の接続状態を格納するものである。基地局管理部203は、基地局からの移動端末の接続状態の受信、移動端末の接続台数が上限値に達した基地局の発見、基地局の配置管理を行うものである。CPU204は、汎用処理を行う。
【0028】
図3は、本実施の形態1に係る基地局の一構成例を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、本実施の形態1に係る基地局A102、基地局B103、基地局C104は、通信I/F301、CPU302、台数管理部303、位置移動制御部304、移動部305を備える。
【0030】
通信I/F301は、信号の送受信および変復調、アクセス制御、TCP/IP処理など、他機器とのデータ通信の入出力処理を行うものである。CPU302は、アプリケーション処理などの汎用処理を行うものである。台数管理部303は、基地局に接続された移動端末の台数を管理するものである。位置移動制御部304は、サーバの基地局管理部203から送信された自局宛の移動指示情報を受信し、指示された場所に移動するための制御量を演算し、移動部305に通知するものである。移動部305は、車輪やモータなど、位置移動制御部304から入力された情報に基づいて、基地局の位置移動を行う機構である。
【0031】
図4は、本実施の形態1に係る基地局管理テーブルの一例を示す図である。図4に示すように、基地局管理テーブル202は、基地局管理部203が受信した、各基地局を一意に識別可能な基地局IDと該当基地局に接続されている移動端末の台数を格納する。なお、基地局管理テーブルには、接続台数以外に、各基地局の位置などを格納してもよい。
【0032】
図1に示す通信システムの構成において、基地局A102に移動端末105、106、107が、基地局B103に移動端末108が接続されている。したがって、この場合の基地局管理テーブル202は、図4に示すように、基地局IDがAの基地局の移動端末接続台数として3、基地局IDがBの基地局の移動端末接続台数として1、基地局IDがCの基地局の移動端末接続台数として0を、それぞれ格納している。
【0033】
以下、図5を用いて、本実施の形態1に係る基地局の動作について説明を行う。
【0034】
図5は、本実施の形態1に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【0035】
台数管理部303は、スタート時(例えば、電源投入直後)に移動端末の接続台数を示すカウンタCを0にセットする(ステップ501)。通信I/F301は、パケットを受信すると、受信したパケットのデータが移動端末からの接続要求であるかどうかを判定する(ステップ502)。ステップ502において、受信したパケットのデータが移動端末からの接続要求であった場合、通信I/F301は、台数管理部303に通知し、台数管理部303は、カウンタCが移動端末の接続台数の上限値に達しているかを判定する(ステップ503)。台数管理部303は、ステップ503において、カウンタCが上限値に達していないと判定した場合、通信I/F301に接続要求を送信した移動端末との接続処理を行うよう通知する。その後、通信I/F301は、接続要求を送信した移動端末との接続処理を行う(ステップ504)。接続処理が完了したことを通信I/F301より通知されると、台数管理部303は、カウンタCを1だけインクリメントさせる(ステップ505)。台数管理部303は、通信I/F301を介して、更新されたカウンタCの値をサーバ101に対して通知して(ステップ506)、ステップ502に戻る。一方、ステップ503において、台数管理部303は、カウンタCが移動端末の接続台数の上限値に達していると判定した場合、新たな移動端末との接続は行えないので、通信I/F301に接続処理を行わないよう通知する。通信I/F301は、台数管理部303からの通知を受け、当該接続要求を無視して、ステップ502に戻る。
【0036】
ステップ502において、受信したパケットのデータが移動端末からの接続要求でない場合には、通信I/F301は、受信したパケットのデータが移動端末からの切断要求であるかどうかを判断する(ステップ507)。ステップ507において、受信したパケットのデータが移動端末からの切断要求であった場合、通信I/F301は、切断要求を送信した移動端末との無線通信の切断処理を行う(ステップ508)。切断処理が終了すると、通信I/F301は、台数管理部303に切断処理が終了したことを通知する。台数管理部303は、カウンタCを1だけデクリメントさせる(ステップ509)。台数管理部303は、通信I/F301を介して、更新されたカウンタCの値をサーバ101に対して通知して(ステップ506)、ステップ502に戻る。
【0037】
ステップ507において、受信したパケットのデータが移動端末からの切断要求でない場合には、通信I/F301は、受信したパケットをCPU302に出力する。CPU302は、受信したパケットの内容に従って、アプリケーション処理や位置移動に関する処理などの別処理を行い(ステップ510)、ステップ502に戻る。
【0038】
次に、図6を用いて、本実施の形態1に係るサーバ101の動作について説明を行う。
【0039】
図6は、本発明の実施の形態1に係るサーバの動作を示すフローチャートである。
【0040】
通信I/F201は、基地局A102、基地局B103、基地局C104のいずれかから移動端末の接続台数の通知があったかどうかを判定する(ステップ601)。基地局A102、基地局B103、基地局C104のいずれからも移動端末の接続台数の通知がない場合、通信I/F201は、受信したパケットをCPU204に出力する。CPU204は、受信したパケットに応じた別処理を行い(ステップ606)、ステップ601に戻る。一方、基地局A102、基地局B103、基地局C104のいずれかから移動端末の接続台数の通知があった場合、通信I/F201は接続台数の通知を基地局管理部203に出力する。基地局管理部203は、基地局からの接続台数の通知に基づいて、基地局管理テーブル202の更新を行う(ステップ602)。
【0041】
次に、基地局管理部203は、基地局管理テーブル202を参照し、いずれかの基地局の接続台数が上限値に達していないかを判定する(ステップ603)。本実施の形態1においては、接続台数の上限値は3とする。基地局管理部203は、基地局管理テーブル202に格納された基地局A102の接続台数が3であるため、基地局A102の通信範囲が混雑していると判断する。次に、基地局管理部203は、接続台数が上限値に達していなく空きがある基地局B103、基地局C104の中からひとつを、基地局A102の通信範囲を補う位置へ移動させる基地局として選択する(ステップ604)。
【0042】
本実施の形態1において、移動端末の接続台数、すなわち、「移動端末の接続台数が最も少ない基地局」を移動させる基地局の選択基準とする。本実施の形態1の場合、基地局B103の接続台数が1、基地局C104の接続台数が0であることから、基地局管理部203は、基地局C104を選択する。基地局管理部203は、通信I/F201を介して、選択した基地局C104に対し、基地局A102に近づくための移動指示情報を送信して(ステップ605)、ステップ601に戻る。ここで、移動指示情報としては、例えば、各基地局が互いの位置を把握している場合は、移動先として、接続台数が上限値に達した基地局の基地局IDを送信する。各基地局が互いの位置を把握していない場合は、サーバ101が各基地局の位置情報を管理し、移動先として接続台数が上限値に達した基地局の位置情報を送信する。
【0043】
一方、ステップ603において、基地局管理テーブル202に格納された各基地局の接続台数がいずれも上限値に達していない場合は、基地局管理部203は、何もせずに、ステップ601に戻る。
【0044】
図7は、本実施の形態1に係る、移動後の基地局の位置を示すブロック図である。
【0045】
図7に示すように、サーバ101からの移動指示を受信した基地局C104は、基地局A102の近傍(x=12の位置)まで移動を行い、移動端末が集中している基地局A102の通信範囲の一部と重複する範囲を新たな通信範囲として移動端末からの接続要求を待つ。
【0046】
以上、かかる構成によれば、移動端末がランダムに動く通信システムにおいて、移動端末が集中している範囲の通信容量を増大させ、移動端末は安定した通信を継続することが可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、移動端末の接続台数を移動させる基地局の選択基準としたが、実施の形態2においては、基地局の位置、すなわち、「混雑していない(すなわち、移動端末の接続台数が上限値に達していない)基地局のうち、混雑している(すなわち、移動端末の接続台数が上限値に達した)基地局に最も近い基地局」を移動させる基地局の選択基準とした場合について説明を行う。
【0048】
実施の形態2に係る通信システム、およびサーバ、基地局の構成は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。実施の形態2と実施の形態1との相違点は、基地局管理テーブル202の格納情報と、基地局管理部203の動作のみであるため、それらについてのみ説明を行う。
【0049】
図8は、本実施の形態2に係る基地局管理テーブルの一例を示す図である。
【0050】
図8に示すように、実施の形態に係る基地局管理テーブル202は、基地局管理部203が受信した、各基地局を一意に識別可能な基地局IDと、該当基地局に接続されている移動端末の台数、および、各基地局の位置情報を格納する。
【0051】
図1に示す通信システムの構成において、ある座標基準点x=0を基準として、x=10の位置にある基地局A102に移動端末105、106、107が、x=20の位置にある基地局B103に移動端末108が接続されている。また、x=30の位置にある基地局C104には移動端末は接続されていない。したがって、基地局管理テーブル202は、基地局IDがAの基地局の移動端末接続台数として3、位置情報として10を、基地局IDがBの基地局の移動端末接続台数として1、位置情報として20を、基地局IDがCの基地局の移動端末接続台数として0、位置情報として30を、それぞれ格納している。
【0052】
次に、図6を用いて、本実施の形態2に係るサーバ101の基地局管理部203の動作について説明を行う。上述の通り、本実施の形態2と実施の形態1との相違点は、基地局管理部203が、移動させる基地局を選択する基準である。なお、本実施の形態2においても、各基地局の移動端末接続台数の上限値は3とする。
【0053】
実施の形態2においては、図6に示すサーバ101の動作として、実施の形態1とステップ604の動作が異なるので、ステップ604の動作を中心に説明する。
【0054】
実施の形態1と同様に、ステップ603において、基地局管理部203は、図8に示す基地局管理テーブル202に格納された基地局A102の接続台数が3であるため、基地局A102の通信範囲が混雑していると判断する。次に、基地局管理部203は、接続台数が上限値に達しておらず、空きがある基地局B103、基地局C104の中からひとつを、基地局A102の通信範囲を補う位置へ移動させる基地局として選択する(ステップ604)。
【0055】
本実施の形態2においては、基地局の位置を移動させる基地局の選択基準とする。基地局管理部203は、基地局管理テーブル202から、混雑している基地局A102の位置情報と、接続台数が上限値に達していない基地局B103、基地局C104それぞれの位置情報を参照する。そして、基地局管理部203は、基地局B103、基地局C104の中から、基地局A102に最も近い基地局である基地局B103を、基地局A102の通信範囲を補う位置へ移動させる基地局として選択する。基地局管理部203は、通信I/F201を介して、選択した基地局B103に対し、基地局A102に近づくための移動指示情報を送信して(ステップ605)、ステップ601に戻る。移動指示情報には、実施の形態1と同様、基地局IDや基地局の位置情報などを含む。
【0056】
図9は、本発明の実施の形態2に係る移動後の基地局を示すブロック図である。
【0057】
図9に示すように、サーバ101からの移動指示を受信した基地局B103は、基地局A102の近傍(x=15の位置)まで移動を行い、自身が接続中の移動端末108を通信範囲内に含み、かつ、移動端末が集中している基地局A102の通信範囲の一部と重複する範囲を新たな通信範囲として移動端末からの接続要求を待つ。
【0058】
本実施の形態2の通信システムによれば、移動端末がランダムに動く通信システムにおいて、移動端末が集中している範囲の通信容量を増大させ、移動端末は安定した通信を継続することが可能となる。
【0059】
さらに、本実施の形態2の通信システムによれば、混雑している基地局により近い位置に存在する基地局を移動させる基地局として選択することから、移動端末が集中している範囲の通信容量をより素早く増大させることが可能となる。
【0060】
(実施の形態3)
実施の形態1および2においては、サーバが基地局管理部を持ち、基地局管理部が各基地局の移動端末の接続台数を用いて基地局を管理していたが、本実施の形態3においては、いずれかひとつの基地局が基地局管理部を備え、基地局管理部が各基地局の移動端末の接続状態を示すフラグを用いて基地局を管理する場合について説明を行う。
【0061】
以下、図10から図15を参照して、本実施の形態3に係る通信システムを説明する。
【0062】
図10は、本実施の形態3に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【0063】
図10と実施の形態1に係る図1との相違点は、サーバの有無である。図10において、基地局A102、基地局B103、基地局C104、および外部ネットワーク100は、それぞれ相互に接続されている。なお、基地局A102、基地局B103、基地局C104、および外部ネットワーク100は、有線通信により相互に接続されても、無線通信により相互に接続されてもよい。図10において、基地局A102、基地局B103、基地局C104、および外部ネットワーク100は、有線通信により相互接続されている。
【0064】
図11は、本実施の形態3に係る基地局管理部を備える基地局の構成を示すブロック図である。
【0065】
図11において、本実施の形態に係る基地局は、通信I/F301、CPU302、台数管理部303、位置移動制御部304、移動部305、基地局管理部1106、基地局管理テーブル1107を備える。図11において、実施の形態1および実施の形態2における基地局が有する構成要素に対しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0066】
基地局管理部1106は、基地局からの移動端末の接続状態の受信、移動端末の接続台数が上限値に達した基地局の発見、基地局の配置管理を行うものである。基地局管理テーブル1107は、管理する基地局の移動端末の接続状態を格納するものである。また、図11に示す構成を備える基地局は、自局の管理も行う。
【0067】
本実施の形態3においては、図10に係る通信システムの構成のうち、基地局B103が図11に示す構成を備える基地局であり、基地局A102、および、基地局C104が図3に示す構成を備える基地局であるとする。基地局B103は、基地局A102、基地局B103、基地局C104の3つの基地局の管理を行う。以下、本実施の形態3において、複数の基地局を管理する基地局を、管理基地局と呼ぶ。
【0068】
図12は、本実施の形態3に係る基地局管理テーブルの一例を示す図である。
【0069】
図12と実施の形態1に係る図4との相違点は、基地局管理テーブルに格納される、各基地局の移動端末の接続状態に関する情報である。基地局管理テーブル1107は、基地局管理部1106が受信した、各基地局を一意に識別可能な基地局IDと該当基地局から受信した接続台数上限値到達フラグ、および、各基地局の位置情報を格納する。接続台数上限値到達フラグは、基地局への移動端末の接続台数が上限値に到達したことを示すものであり、本実施の形態においては、接続台数が上限値に到達した基地局からは1が、到達していない基地局からは0が送信されるとする。
【0070】
本実施の形態3において、各基地局への移動端末の接続台数の上限値を3とすると、図10に示す通信システムの場合、基地局管理テーブル1107は、基地局IDがAの基地局A102の接続台数上限値到達フラグとして1を、基地局IDがBの基地局B103の接続台数上限値到達フラグとして0、基地局IDがCの基地局C104の接続台数上限値到達フラグとして0を、それぞれ格納している。また、図10に示す通信システムの構成において、ある座標基準点x=0を基準として、基地局A102はx=10の位置に、基地局B103はx=20の位置に、基地局C104はx=30の位置に、それぞれ位置している。したがって、基地局管理テーブル1107は、基地局IDがAの位置情報として10を、基地局IDがBの位置情報として20を、基地局IDがCの位置情報として30を、それぞれ格納している。
【0071】
以下、図13を用いて、本実施の形態3に係る基地局の動作について説明を行う。
【0072】
図13は、本発明の実施の形態3に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【0073】
図13のフローチャートに示す動作は、基地局A102、基地局C104だけでなく、管理基地局である基地局B103も行う。また、図13において、実施の形態1において基地局の動作を示すフローチャートである図5と同様の処理については、同じ番号を付与し、説明を省略する。
【0074】
通信I/F301は、移動端末からの接続要求もしくは切断要求を受信すると、台数管理部303に出力する。台数管理部303は、それぞれ所定の処理を行い、移動端末の接続台数を示すカウンタCを増減させる(ステップ502からステップ505、およびステップ507からステップ509)。台数管理部303は、カウンタCが移動端末の接続台数の上限値に達しているかどうかを判定する(ステップ1311)。台数管理部303は、ステップ1311において、カウンタCが上限値に達していると判定した場合、接続台数上限値到達フラグを1にセットする(ステップ1312)。一方、台数管理部303は、ステップ1311においてカウンタCが上限値に達していないと判定した場合、接続台数上限値到達フラグを0にセットする(ステップ1313)。台数管理部303は、通信I/F301を介して、更新された接続台数上限値到達フラグを管理基地局に対して通知し(ステップ1314)、ステップ502に戻る。
【0075】
次に、図14を用いて、本実施の形態3に係る管理基地局の基地局管理部1106の動作について説明を行う。
【0076】
図14は、本発明の実施の形態3に係る管理基地局の動作を示すフローチャートである。
【0077】
通信I/F301は、基地局A102、基地局C104、および管理基地局である基地局B103(すなわち、自局)の台数管理部303から接続台数上限値到達フラグの通知があったかどうかを判定する(ステップ1401)。通信I/F301は、ステップ1401において、基地局A102、基地局B103、基地局C104のいずれからも接続台数上限値到達フラグの通知がないと判定した場合、受信したパケットをCPU302に出力する。CPU302は受信したパケットに応じた別処理を行い(ステップ606)、ステップ1401に戻る。
【0078】
一方、基地局A102、基地局B103、基地局C104のいずれかから接続台数上限値到達フラグの通知があった場合、通信I/F301は、基地局管理部1106に出力する。基地局管理部1106は、基地局からの通知に基づいて、基地局管理テーブル1107の更新を行う(ステップ1402)。次に、基地局管理部1106は、基地局管理テーブル1107を参照し、いずれかの基地局の接続台数上限値到達フラグが1であるかどうかを判定する(ステップ1403)。ステップ1403において、基地局管理部1106は、全ての基地局の接続台数上限値到達フラグが0であると判定した場合、ステップ1401に戻る。ステップ1403において、基地局管理部1106は、接続台数上限値到達フラグが1である基地局が存在すると判定した場合、接続台数上限値到達フラグが0である基地局の中から1つの基地局を選択する(ステップ1404)。本実施の形態3においては、基地局管理テーブル1107は図12に示す状態であるので、基地局管理部1106は、基地局A102の接続台数上限値到達フラグが1である基地局A102の通信範囲が混雑していると判断する。基地局管理部1106は、接続台数上限値到達フラグが0である基地局B103、基地局C104の中からひとつを、基地局A102の通信範囲の一部と重複し、通信範囲を補う位置へ移動させる基地局として選択する。
【0079】
本実施の形態3においては、実施の形態2と同様に、「混雑していない基地局のうち、混雑した基地局に最も近い基地局」を移動させる基地局の選択基準とする。基地局管理部1106は、基地局管理テーブル1107から、接続台数上限値到達フラグが1である基地局A102の位置情報と、接続台数上限値到達フラグが0である基地局B103、基地局C104それぞれの位置情報を参照する。そして、基地局管理部1106は、基地局B103、基地局C104の中から、基地局A102に最も近い端末である基地局B103を、基地局A102の通信範囲を補う位置へ移動させる基地局として選択する。基地局管理部1106は、通信I/F301を介して、選択した基地局B103に対し、基地局A102に近づくための移動指示情報を送信して(ステップ1405)、ステップ1401に戻る。
【0080】
本実施の形態3においては、基地局B103が基地局管理部1106を備えており、移動指示情報の送信先は自局である。基地局B103の基地局管理部1106は、通信I/F301を介して、自局の位置移動制御部304に対して移動指示情報を送信する。基地局B103の位置移動制御部304は移動指示情報を受信し、指示された場所に移動するための制御量を演算して移動部305に通知し、移動部305は、移動機構を動作させる。
【0081】
図15は、本実施の形態3に係る、基地局B103が移動した後の基地局の位置を示すブロック図である。自らを移動させる基地局として選択した基地局B103は、基地局A102の近傍まで移動を行い、自身が接続中の移動端末108を通信範囲に含み、かつ、移動端末が集中している基地局A102の通信範囲の一部と重複する範囲を新たな通信範囲として移動端末からの接続要求を待つ。
【0082】
以上のように、本実施の形態3の通信システムによれば、基地局を管理する機能を、いずれかの基地局に持たせることで、サーバなしでも移動端末が集中している範囲の通信容量をより素早く増大させることが可能となる。
【0083】
なお、本実施の形態3においては、管理基地局は自局に対して移動指示を送信したが、もちろん、移動させる基地局の選択の結果によっては他の基地局に対して移動指示を出してもよい。
【0084】
また、本実施の形態3においては、基地局管理部を備える基地局を基地局B103としたが、基地局A102、基地局C104が基地局管理部を備えていてもよいし、3つの基地局のうちの2つの基地局、または、全ての基地局が基地局管理部を備えていても構わない。ただし、基地局管理部を機能させ、実際に複数の基地局を管理する基地局は、システム内で1つである。
【0085】
また、本実施の形態3においては、各基地局の接続状況として、接続台数上限値到達フラグを用いたが、これに限定するものではなく、各基地局が現在の接続台数を格納し、現在の接続台数が上限値に到達したかどうかを基地局管理部が判断してもよい。この時、移動させる基地局の選択基準を基地局の位置、例えば「混雑していない基地局のうち、混雑した基地局に最も近い基地局」としてもよいし、移動端末の接続台数、例えば「移動端末の接続台数が最も少ない基地局」としてもよい。
【0086】
また、実施の形態2において、接続状況を、接続台数を用いて管理したが、各基地局がサーバに接続台数上限値到達フラグを通知し、サーバが接続台数上限値到達フラグを用いて、各基地局が混雑しているかどうかを判断するようにしてもよい。
【0087】
(実施の形態4)
実施の形態1から実施の形態3においては、サーバもしくは、いずれかひとつの基地局が基地局管理部を備えて、基地局を管理していた。本実施の形態4においては、全ての基地局が基地局分散管理部を備え、各基地局が自局を含む各基地局の接続状況と位置移動を管理する場合について説明を行う。
【0088】
本実施の形態における通信システムの構成は、実施の形態3と同様の図10であるので説明を省略する。
【0089】
図16は、本発明の実施の形態4に係る基地局の一構成例を示すブロック図である。
【0090】
本実施の形態4に係る基地局A102、基地局B103、基地局C104は、通信I/F301、CPU302、台数管理部1603、位置移動制御部1604、移動部305、基地局分散管理部1606、基地局分散管理テーブル1607を備える。実施の形態1の基地局と同様の構成要素に対しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0091】
台数管理部1603は、自局の移動端末の接続台数を管理し、接続台数に変化が生じると基地局分散管理部1606に通知する。位置移動制御部1604は、自局もしくは他局の基地局分散管理部1606からの移動指示情報を受信し、指示された場所に移動するための制御量を演算し、移動部305に通知する。基地局分散管理部1606は、自局の移動端末の接続状態の管理、他局との接続台数上限値到達通知、移動指示、移動可能通知の送受信、移動させる基地局の選択、基地局の配置管理を行うものである。基地局分散管理テーブル1607は、各基地局の状態を格納する。
【0092】
図17は、本実施の形態4に係る基地局分散管理テーブルの一例を示す図である。
【0093】
図17に示すように、基地局分散管理テーブル1607は、各基地局を一意に識別可能な基地局IDと、該当基地局の現在位置を示す位置情報、および移動可能通知フラグを格納する。移動可能通知フラグは、自局からの接続台数上限値到達通知に対して、移動可能通知を送信した基地局に対しては1を、移動可能通知を送信していない基地局に対しては0を格納する。また、自局の接続台数上限値到達通知に対して、自局は応答しないため、自局の移動可能通知フラグには、移動できない基地局を表す0を格納する。図17においては、自局は基地局IDがAである基地局なので、移動可能通知フラグには0が格納されている。
【0094】
以下、図面を用いて、本実施の形態の動作を説明する。
【0095】
まず、本実施の形態4に係る基地局の移動要求処理について説明する。
【0096】
図18は、本発明の実施の形態4に係る基地局の移動要求処理を示すフローチャートである。
【0097】
図18において、図5と同様の動作に関しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0098】
通信I/F301は、移動端末からの接続要求もしくは切断要求を受信すると、台数管理部1603に出力する。台数管理部1603は、それぞれ所定の処理を行い、移動端末の接続台数を示すカウンタCを増減させる(ステップ502からステップ505、およびステップ507からステップ509)。台数管理部1603は、カウンタCが移動端末の接続台数の上限値に達しているかどうかを判定する(ステップ1810)。台数管理部1603は、ステップ1810において、カウンタCが上限値に達していると判定した場合、基地局分散管理部1606に通知する。基地局分散管理部1606は、台数管理部1603からの通知を受け、通信I/F301を介して、他の基地局に移動端末接続台数が上限値に到達したことを通知する(ステップ1811)。基地局分散管理部1606は、タイマー値Timerを0にリセットし(ステップ1812)、その後、ステップ502に戻る。一方、ステップ1810において、台数管理部1603は、カウンタCが上限値に達していないと判定した場合、カウンタCが上限値に達していないことを基地局分散管理部1606に通知し、ステップ502に戻る。
【0099】
ステップ507において、受信したパケットが移動端末からの切断要求でない場合、すなわち、接続要求でも切断要求でもない場合には、通信I/F301は、受信したパケットが、自局が送信した上限値到達通知に対する他局からの応答であるかどうかを判定する(ステップ1813)。ステップ1813において、通信I/F301は、他局からの応答を受けたと判定すると、基地局分散管理部1606に他局からの応答を出力する。基地局分散管理部1606は、他局からの応答の内容を基地局分散管理テーブル1607に格納する。基地局分散管理部1606は、基地局分散管理テーブル1607において、移動可能通知を受けた基地局の移動可能通知の項目に0を格納する。次に、基地局分散管理部1606は、現在のTimer値が所定の時間x(>0)より大きいかどうかを判定する(ステップ1814)。基地局分散管理部1606は、Timer値が時間xより大きい場合(所定時間が経過した場合)は、基地局分散管理テーブル1607を用いて、移動させる基地局を選択する(ステップ1815)。
【0100】
ステップ1814において、Timer値が時間xより大きいと判定した場合、基地局分散管理部1606は、移動させる基地局を、基地局分散管理テーブル1607の移動可能通知フラグ、または、移動端末の接続台数、または、基地局の位置情報、または、それらの組み合わせを基準にして選択する。なお、図17の基地局分散管理テーブル1607には各基地局の移動端末の接続台数は格納してないが、接続台数を格納するようにしてもよい。移動端末の接続台数は、各基地局の台数管理部1603がカウントする度に、自局以外の基地局に通知し、基地局分散管理テーブル1607を更新する。
【0101】
基地局分散管理部1606は、通信I/F301を介して、ステップ1815において選択した基地局に対し、上限値到達通知を送信した基地局(つまり自局)に向かって移動するよう通知し(ステップ1816)、ステップ502に戻る。
【0102】
一方、ステップ1814においてTimer値が所定の時間xに満たない場合、もしくは、受信したパケットのデータが接続要求、切断要求、上限値到達通知に対する応答のいずれでもなくCPU302において受信したパケットに対する別処理が行われた場合には、基地局分散管理部1606は、タイマー値Timerを1インクリメントして(ステップ1817)、ステップ502に戻る。
【0103】
次に、本実施の形態4に係る基地局の移動応答処理について説明する。
【0104】
図19は、本発明の実施の形態4に係る基地局の移動応答処理を示すフローチャートである。
【0105】
通信I/F301は、他の基地局から上限値到達通知があったかどうかを判定する(ステップ1901)。通信I/F301は、ステップ1901において、上限値到達通知があったと判定した場合には、基地局分散管理部1606に他の基地局から上限値到達通知を受信したことを通知する。基地局分散管理部1606は、台数管理部1603に自局への移動端末の接続台数を示すカウンタCを問い合わせ、自局の接続台数が上限値に到達しているかどうかを判定する(ステップ1902)。ステップ1902において、基地局分散管理部1606は、自局への接続台数が上限値に到達していると判断した場合はステップ1901に戻り、到達していないと判断した場合は、通信I/F301を介して、移動可能であることを他の基地局に通知する(ステップ1903)。
【0106】
ステップ1901において他の基地局からの上限値到達通知がなかった場合、通信I/F301は、他の基地局から移動指示の通知があったかどうかを判定する(ステップ1904)。移動指示の通知があったと判定した場合、通信I/F301は、位置移動制御部1604に出力し、位置移動制御部1604は、移動指示の通知に従って移動部305を制御して(ステップ1905)、ステップ1901に戻る。ステップ1904において、移動指示の通知がなかったと判定した場合、CPU302が受信したパケットに対応する別処理を行い(ステップ510)、ステップ1901に戻る。
【0107】
以下、上記動作を、図10の通信システムを例にとって、図20を用いて説明する。
【0108】
図20は、本発明の実施の形態4の各基地局の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態4において、接続端末数の上限値は3とする。
【0109】
図10の場合、基地局A102の接続端末数が3と上限値に達しているので(ステップ2001)、基地局A102は、基地局B103、基地局C104に対して、それぞれ上限値到達通知2002、2003を送信する。基地局B103および基地局C104は、基地局A102からの上限値到達通知を受信し、自局の移動端末の接続台数が上限値に達しているかを調べる(ステップ2004)。この場合、基地局B103、基地局C104とも上限値に達していないので、それぞれ、移動可能通知2005、2006を基地局A102に通知する。
【0110】
基地局A102は、所定時間xを経過すると、その時間内に受信した移動可能通知の送信元である基地局B103、基地局C104のいずれかを移動局として選択する(ステップ2007)。この場合、基地局A102は、基地局B103を選択し、基地局B103に移動指示通知2008を通知する。基地局B103は移動指示通知2008を受信すると、移動指示通知2008に従って、位置移動する(ステップ2009)。基地局B103が移動した後の基地局の位置を示すブロック図を図15に示す。
【0111】
なお、本実施の形態においては、各基地局は移動指示通知があった場合に、移動部305を制御したが、自局が移動可能であり、かつ、他の基地局が未応答の場合には、移動指示の通知を待たずに、移動するようにしてもよい。
【0112】
この場合の動作について、図21から図23を用いて説明する。
【0113】
図21は、本実施の形態4に係る他の基地局分散管理テーブルを示す図である。
【0114】
図21と図17に示す基地局分散管理テーブルとの相違点は、移動可能通知フラグの有無である。
【0115】
図22は、本実施の形態4に係る基地局の他の移動要求処理を示すフローチャートである。図22において、図18と同じ動作に関しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0116】
図22に示す移動要求処理では、移動する基地局は移動指示の通知を待たずに移動するため、移動要求を行った基地局は、移動させる基地局の選択を行わない。このため、ステップ1811において他の基地局に上限値到達通知を送信した後、基地局分散管理部1606は、ステップ502に戻る。また、ステップ502およびステップ507において受信したパケットが接続要求でも切断要求でもない場合は、通信I/F301は、CPU302に出力し、CPU302が受信したパケットに対応する別処理を行い(ステップ510)、ステップ502に戻る。
【0117】
図23は、本発明の実施の形態4に係る基地局の他の移動応答処理を示すフローチャートである。図23において、図19と同じ動作に関しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0118】
他の基地局から上限値到達通知があった場合、通信I/F301は、基地局分散管理部1606に他の基地局から上限値到達通知を受信したことを通知する(ステップ1901)。基地局分散管理部1606は、台数管理部1603に自局への移動端末の接続台数を示すカウンタCを問い合わせ、自局への接続台数が上限値に到達しているかどうかを判定する(ステップ1902)。ステップ1902において、基地局分散管理部1606は、自局の移動端末の接続台数が上限値に達していると判定した場合、何もせずにステップ1901に戻る。
【0119】
一方で、ステップ1902において、基地局分散管理部1606は、自局の移動端末の接続台数が上限値に達していないと判定した場合、他の基地局から移動可能通知を受信したかどうかを判定する(ステップ2303)。ステップ2303において、基地局分散管理部1606は、他の基地局からの移動可能通知を受信したと判定した場合、何もせずにステップ1901に戻る。
【0120】
基地局分散管理部1606は、ステップ2303において、他の基地局からの移動可能通知を受信していないと判定した場合、自局を移動させる基地局として選択し、通信I/F301を介して、自局が移動可能であることを他の基地局に通知する(ステップ2304)。基地局分散管理部1606は、基地局分散管理テーブル1607を参照して移動先の位置を決定し、決定した位置を示す位置情報を作成して、位置移動制御部1604に出力する。位置移動制御部1604は、移動部305を制御して、自局の位置を、上限値到達通知を通知した基地局の通信範囲の一部と重複するように移動させる(ステップ2305)。
【0121】
以下、上記動作を、図10の通信システムを例にとって、図24を用いて説明する。図24において、図20と同様の動作に関しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0122】
基地局A102より上限値到達通知2002を受信した基地局B103は、自身が移動可能であるかどうかを判定する。(ステップ2004)。基地局B103は、移動可能であると判定し、移動可能通知2405を基地局A102、基地局C104に通知し、その後基地局A102に近づくよう位置移動する(ステップ2406)。
【0123】
なお、本実施の形態におけるステップ1814において、Timer値が所定の値xを超えた場合に、移動させる基地局を選択していたが、所定の値xを超えるのを待たずに、最初に移動可能通知を通知した局を選択するようにしてもよい。
【0124】
また、各基地局は移動端末の接続台数の上限値に到達した場合に、他の基地局に上限値到達通知を送信していたが、接続端末が増減する毎に、他の基地局に通知し、他の基地局が上限値到達を判断してもよい。
【0125】
また、各実施の形態において、移動させる基地局の選択基準を、移動端末の接続台数、もしくは、基地局の位置としたが、これら2つを組合せた選択基準を用いてもよい。また、各実施の形態では、この選択基準において、最も接続台数が少ない基地局や最も近い基地局を選択したが、選択対象の基地局の中で、接続台数が少ない方の基地局や、接続台数が上限値に到達した基地局に近い方の位置にいる基地局の中から選択してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、比較的広い空間に、複数の基地局と複数の無線端末が存在する無線通信システムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0127】
100 外部ネットワーク
101 サーバ
102、103、104 基地局
105、106、107、108 移動端末
201、301 通信I/F
202、1107 基地局管理テーブル
203、1106 基地局管理部
204、302 CPU
303、1603 台数管理部
304、1604 位置移動制御部
305 移動部
1606 基地局分散管理部
1607 基地局分散管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動端末と、複数の基地局とを備えた通信システムであって、
前記複数の基地局の配置を管理する基地局管理部を備え、
前記複数の基地局は移動可能であり、
前記基地局管理部は、前記基地局毎に、前記移動端末との接続台数が、予め定められている上限値に達しているかどうかを判定し、
前記上限値に達している基地局が存在した場合には、前記上限値に達していない基地局の中から1つの基地局を選択し、選択した基地局を前記選択した基地局の通信範囲が前記上限値に達している基地局の通信範囲の一部と重複するように移動させる無線通信システム。
【請求項2】
各基地局は、前記移動端末と無線接続を行うと、現在の接続台数を前記基地局管理部に送信し、
前記基地局管理部は、前記各基地局から送信された接続台数を管理し、前記接続台数を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
各基地局は、前記移動端末と無線接続を行った場合、又は、前記移動端末との無線接続を切断した場合に、前記移動端末と無線接続、又は無線接続の切断を示す接続状態を前記基地局管理部に送信し、
前記基地局管理部は、前記各基地局から送信される接続状態に従って、前記各基地局の接続台数を管理し、前記接続台数を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記各基地局は、前記移動端末と無線接続を行うと、現在の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを示す接続状態を前記基地局管理部に送信し、
前記基地局管理部は、前記基地局から送信される接続状態を管理し、前記接続状態を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記基地局管理部は、前記上限値に達していない基地局の中で、前記接続台数が少ない基地局を選択する請求項2または請求項3記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記基地局管理部は、前記上限値に達していない基地局の中で、前記上限値に達している基地局に近い位置に位置する基地局を選択する請求項2ないし請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
サーバを備え、
前記サーバが基地局管理部を備える請求項1ないし請求項6記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記複数の基地局のうち、少なくとも1つの基地局が前記基地局管理部を備える請求項1ないし請求項7記載の無線通信システム。
【請求項9】
各基地局は、前記基地局管理部と、
現在の前記移動端末との接続台数を管理する台数管理部とを有し、
前記台数管理部は、現在の接続台数が上限値に達していると判定した場合には、他の基地局に接続台数が上限値に達したことを示す接続台数上限値到達通知を送信し、
前記基地局管理部は、前記接続台数上限値到達通知を受信すると、自身の接続台数を調べ、前記接続台数が上限値に達していない場合には、上限値に達していないことを示す移動可能通知を他の基地局に送信し、
前記上限値に達している場合には、受信した移動可能通知の送信元の基地局の中から1つの基地局を選択し、選択した基地局を前記選択した基地局の通信範囲が自身の通信範囲の一部と重複するように移動させる請求項1記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記基地局管理部は、前記選択において、最初に受信した移動可能通知の送信元の基地局を選択する請求項9記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記基地局管理部は、前記選択において、前記移動可能通知の送信元の基地局の中で、自身に近い位置にある基地局を選択する請求項9記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記移動可能通知は、現在の接続台数を含み、
前記基地局管理部は、前記選択において、前記移動可能通知の送信元の基地局の中で、接続台数が少ない基地局を選択する請求項9及び請求項11記載の無線通信システム。
【請求項13】
各基地局は、前記基地局管理部と、
現在の前記移動端末との接続台数を管理する台数管理部とを有し、
前記台数管理部は、現在の接続台数が上限値に達していると判定した場合には、他の基地局に接続台数が上限値に達したことを示す接続台数上限値到達通知を送信し、
前記基地局管理部は、前記接続台数上限値到達通知を受信すると、自身の接続台数を調べ、前記接続台数が上限値に達していない場合には、自身を移動させる基地局として選択し、上限値に達していないことを示す移動可能通知を他の基地局に送信すると共に、前記接続台数上限値到達通知を送信した基地局の通信範囲に自身の通信範囲の一部が重複するように移動する請求項1記載の無線通信システム。
【請求項14】
複数の移動端末と、複数の基地局とを備えた通信システムにおいて基地局の配置を管理する基地局の管理方法であって、
前記複数の基地局は移動可能であり、
前記複数の基地局の配置を管理する基地局管理部は、前記基地局毎に、前記移動端末との接続台数が、予め定められている上限値に達しているかどうかを判定し、
前記上限値に達している基地局が存在した場合には、前記上限値に達していない基地局の中から1つの基地局を選択し、選択した基地局を前記選択した基地局の通信範囲が前記上限値に達している基地局の通信範囲の一部と重複するように移動させる基地局の管理方法。
【請求項15】
各基地局は、前記移動端末と無線接続を行うと、現在の接続台数を前記基地局管理部に送信し、
前記基地局管理部は、前記各基地局から送信された接続台数を管理し、前記接続台数を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する請求項14記載の基地局の管理方法。
【請求項16】
各基地局は、前記移動端末と無線接続を行った場合、又は、前記移動端末との無線接続を切断した場合に、前記移動端末と無線接続、又は無線接続の切断を示す接続状態を前記基地局管理部に送信し、
前記基地局管理部は、前記各基地局から送信される接続状態に従って、前記各基地局の接続台数を管理し、前記接続台数を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する請求項14記載の基地局の管理方法。
【請求項17】
前記各基地局は、前記移動端末と無線接続を行うと、現在の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを示す接続状態を前記基地局管理部に送信し、
前記基地局管理部は、前記基地局から送信される接続状態を管理し、前記接続状態を用いて、各基地局の接続台数が前記上限値に達しているかどうかを判定する請求項14記載の基地局の管理方法。
【請求項18】
前記基地局管理部は、前記上限値に達していない基地局の中で、前記接続台数が少ない基地局を選択する請求項15または請求項16記載の基地局の管理方法。
【請求項19】
前記基地局管理部は、前記上限値に達していない基地局の中で、前記上限値に達している基地局に近い位置に位置する基地局を選択する請求項15ないし請求項18記載の基地局の管理方法。
【請求項20】
各基地局は、前記基地局管理部と、
現在の前記移動端末との接続台数を管理する台数管理部とを有し、
前記台数管理部は、現在の接続台数が上限値に達していると判定した場合には、他の基地局に接続台数が上限値に達したことを示す接続台数上限値到達通知を送信し、
前記基地局管理部は、前記接続台数上限値到達通知を受信すると、自身の接続台数を調べ、前記接続台数が上限値に達していない場合には、上限値に達していないことを示す移動可能通知を他の基地局に送信し、
前記上限値に達している場合には、受信した移動可能通知の送信元の基地局の中から1つの基地局を選択し、選択した基地局を前記選択した基地局の通信範囲が自身の通信範囲の一部と重複するように移動させる請求項14記載の基地局の管理方法。
【請求項21】
前記基地局管理部は、前記選択において、最初に受信した移動可能通知の送信元の基地局を選択する請求項20記載の基地局の管理方法。
【請求項22】
前記基地局管理部は、前記選択において、前記移動可能通知の送信元の基地局の中で、自身に近い位置にある基地局を選択する請求項20記載の基地局の管理方法。
【請求項23】
前記移動可能通知は、現在の接続台数を含み、
前記基地局管理部は、前記選択において、前記移動可能通知の送信元の基地局の中で、接続台数が少ない基地局を選択する請求項21及び請求項22記載の基地局の管理方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図1】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−151726(P2012−151726A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9633(P2011−9633)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】