説明

無線通信システムおよび移動局

【課題】移動局と基地局との間の接続が切断された時に、移動局と基地局との間の不必要な無線リソース(論理的チャネル)をより早く解放して基地局における円滑な通信を可能にする無線通信システムおよびその移動局を提供する。
【解決手段】移動局10は、基地局20との間で呼が確立された時に、基地局20に対して、基地局20に再接続を試みるタイマ値(所定時間)を通知する。移動局10と基地局20との間の接続が切断された時に、移動局10は、タイマ値(所定時間)が経過するまで基地局20に再接続を試み、基地局20は、タイマ値(所定時間)が経過するまで移動局10からの再接続要求を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局と基地局との間で通信を行う無線通信システムおよびこれに用いられる移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末等の移動局は、電界強度の悪化等により基地局との通信が途絶えた場合、あらかじめ定義された時間の間、基地局に再接続処理を試み、基地局は、移動局からの通信が途絶えた場合、移動局とは別のあらかじめ設定されている時間の間、使用していた無線リソースを保持して、移動局からの再接続要求を待ち続ける。一般的に、移動局が基地局に再接続を試みる時間は、基地局が移動局からの再接続要求を受け付ける時間よりも短くなっている。したがって、移動局が再接続の試みを断念した後も、基地局は、使用していた無線リソース(論理的チャネル)を保持したまま、基地局に設定されていたタイマ値の間、移動局からの再接続要求を待ち続ける。
【0003】
図4は、従来の移動局と基地局の動作について説明する図である。移動局と基地局が通信を開始し、移動局がトンネルなどのような場所に移動すると、移動局の電界強度が悪化するために、通信が不可能となる。移動局は、移動局自身に設定された時間、再接続を試み、基地局は、基地局に設定された時間、移動局からの再接続要求を待ち続ける。移動局は、移動局自身に設定された時間経過後、再接続を断念し、基地局は、基地局に設定された時間経過後、保持していた無線リソース(論理的チャネル)の解放処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−079079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、移動局が基地局に再接続を試みる時間は、基地局が移動局からの再接続要求を受け付ける時間よりも短くなっているが、最近の移動局(例えば、スマートフォン等)は、消費電力を抑えるために、基地局に再接続を試みる時間がさらに短くなっている。その結果、移動局が再接続を断念してしまったにもかかわらず、基地局は、移動局からの再接続要求を待ち続けることになるため、不必要な無線リソース(論理的チャネル)を確保していることになり、他の移動局に対する迅速な通信処理が妨げられる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、移動局と基地局との間の不必要な無線リソース(論理的チャネル)をより早く解放して基地局における円滑な通信を可能にする無線通信システムおよびその移動局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の無線通信システムは、移動局と基地局とから構成される無線通信システムにおいて、前記移動局と前記基地局との間の接続が切断された時に、前記移動局は、所定時間が経過するまで前記基地局に再接続を試み、前記基地局は、前記所定時間が経過するまで前記移動局からの再接続要求を受け付けることを特徴とする。
【0008】
前記移動局は、前記基地局に前記所定時間を通知することが好ましい。
また、前記移動局は、前記基地局との間で呼が確立された時に、前記基地局に前記所定時間を通知することが好ましい。
または、前記移動局は、前記基地局から受信した信号の受信強度が所定値以下となった時に、前記基地局に前記所定時間を通知することが好ましい。
【0009】
また、本発明の移動局は、移動局と、該移動局との接続が切断された時に所定時間が経過するまで前記移動局からの再接続要求を受け付ける基地局と、から構成される無線通信システムにおける移動局であって、前記基地局との接続が切断された時に、前記所定時間が経過するまで前記基地局に再接続を試みることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、移動局から基地局に再接続を試みるタイマ値(所定時間)を通知し、移動局と基地局との間の接続が切断された場合には、基地局は、タイマ値(所定時間)が経過するまで移動局からの再接続要求を受け付けるようにしたので、移動局と基地局との間の不必要な論理的チャネルをより早く解放して、基地局における円滑な通信を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】移動局と基地局の動作について説明する図である。
【図3】移動局からの通信が途絶えた後の基地局の動作を説明するフローチャートである。
【図4】従来の移動局と基地局の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。本発明の実施の形態に係る無線通信システム(WiMAX、LTEなど)は、移動局10と、基地局20と、コアネットワーク局30からなる。なお、移動局10は、実際には、複数存在することが考えられるが、図が煩雑になることを防ぐため、所定のもののみを図示している。
【0013】
移動局10は、携帯通信端末等であり、制御部11と無線送受信部12を有する。制御部11は、再接続時に設定するタイマ値を基地局20に送信する機能を有する。
【0014】
基地局20は、コアネットワーク送受信部21、制御部22、無線送受信部23を有する。制御部22は、移動局10から通知された再接続時に設定するタイマ値を受信する機能と、タイマ値を保持する機能と、再接続時に移動局10から通知されたタイマ値を再接続待ち時間として設定する機能と、タイマ値の時間経過後に無線リソース(論理チャネル)を解放する機能を有する。
【0015】
コアネットワーク局30は、コアネットワーク送受信部31、制御部32を有し、基地局20からの要求により、論理チャネルの設定および解放を行う。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける移動局と基地局の動作について説明する図である。移動局10と基地局20との間で呼が確立されて、移動局10と基地局20が通信を開始すると、移動局10は、通信している基地局20に対して、再接続時に設定するタイマ値(所定時間)を通知する。基地局20は、基地局内蔵のタイマに、移動局10から通知されたタイマ値を設定する。
【0017】
移動局10がトンネルなどのような場所に移動すると、基地局20からの信号の受信強度が悪化するために、移動局10は、通信が不可能となる。移動局10は、基地局20に通知したタイマ値の時間が経過するまで再接続を試み、基地局20は、移動局10から通知されたタイマ値の時間が経過するまで、移動局10からの再接続要求を待ち続ける。移動局10は、基地局20に通知したタイマ値の時間経過後、再接続を断念し、基地局20は、移動局10から通知されたタイマ値の時間経過後、接続されていた呼の解放処理を行って、保持していた無線リソース(論理チャネル)を解放する。
【0018】
なお、上述した実施の形態では、移動局10と基地局20との間で呼が確立されたときに、移動局10は、基地局20にタイマ値(所定時間)を通知しているが、移動局10は、基地局20から受信した信号の受信品質(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio:信号対干渉雑音比)、FER(Flame Error Rate:フレーム誤り率)等)が所定値以下となった時に基地局20にタイマ値(所定時間)を通知するようにしても良い。
【0019】
図3は、移動局からの通信が途絶えた後の基地局の動作を説明するフローチャートである。基地局20は、移動局10からの通信が途絶えた時点で、あらかじめ移動局10から通知されたタイマ値が設定されたタイマをスタートさせる(ステップS101)。基地局20は、移動局10からの再接続要求を受信したか否かを判定し(ステップS102)、移動局10からの再接続要求を受信し、通信を継続した場合(ステップS102でYesの場合)は処理を終了する。基地局20は、あらかじめ設定したタイマ値の時間が経過するまで、移動局10からの再接続要求を待ち続ける(ステップS103)。あらかじめ設定したタイマ値の時間が経過した場合(ステップS103でYesの場合)は、基地局20は、呼の解放処理を行って、保持していた無線リソース(論理チャネル)を解放する(ステップS104)。
【0020】
上述のように、本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、移動局が基地局に再接続を試みるタイマ値(所定時間)を通知し、移動局と基地局との間の接続が切断された場合には、基地局は、タイマ値(所定時間)が経過するまで移動局からの再接続要求を受け付け、タイマ値(所定時間)の経過後に呼の解放処理を行うようにしたので、移動局と基地局との間の不必要な論理的チャネルをより早く解放して、基地局における円滑な通信を可能にすることができる。
また、基地局とコアネットワーク局との間の不必要な論理的チャネルをより早く解放することができる。
【符号の説明】
【0021】
10 移動局
11、22、32 制御部
12、23 無線送受信部
20 基地局
21、31 コアネットワーク送受信部
30 コアネットワーク局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と基地局とから構成される無線通信システムにおいて、
前記移動局と前記基地局との間の接続が切断された時に、前記移動局は、所定時間が経過するまで前記基地局に再接続を試み、前記基地局は、前記所定時間が経過するまで前記移動局からの再接続要求を受け付けることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記移動局は、前記基地局に前記所定時間を通知することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動局は、前記基地局との間で呼が確立された時に、前記基地局に前記所定時間を通知することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記移動局は、前記基地局から受信した信号の受信品質が所定値以下となった時に、前記基地局に前記所定時間を通知することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
移動局と、該移動局との接続が切断された時に所定時間が経過するまで前記移動局からの再接続要求を受け付ける基地局と、から構成される無線通信システムにおける移動局であって、
前記基地局との接続が切断された時に、前記所定時間が経過するまで前記基地局に再接続を試みることを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85021(P2013−85021A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221671(P2011−221671)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】