無線通信システムの送信ダイバシティ
本発明は、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、複数のN×N行列を得る送信ダイバシティ方式によって複数のシンボルの中から各変調シンボルの対を符号化するステップと、ここで各N×N行列は各変調シンボルの対に対応し、複数のN×N行列を含むM×Mコード行列を生成するステップと、出力行列を生成するようにM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、出力行列の少なくとも一対の行を交換することによって複数の行置換行列を生成するステップと、複数の行置換行列のシンボルを空間時間送信ダイバシティ方式、空間周波数送信ダイバシティ方式、又は空間時間送信ダイバシティ方式と空間周波数送信ダイバシティ方式の組み合わせを用いて複数のアンテナを介して送信するステップとを具備してなり、多重アンテナを通してデータを送信する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムにおいてデータを送信する方法に関するもので、特に多重アンテナ送信ダイバシティ方式を使用して情報を送信するプロセス及び回路に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的なセルラー無線システムは、複数の固定基地局と複数の移動局を含む。各基地局は、セルとして定義される地形的な領域をカバーする。
【0003】
通常、自然的及び人工的なオブジェクトが基地局と移動局との間に配置されたため、NLOS(Non-Line-Of-Sight)無線伝播経路は、基地局と移動局との間に存在する。そのため、電波は、反射、回折、及び散乱されつつ、伝播される。ダウンリンク方向で移動局のアンテナに到達され、あるいはアップリンク方向で基地局のアンテナに到達される電波は、反射、回折、散乱及び異相(out-of-phase)再組合によって生成された個別波の異なる位相のため、建設的(constructive)及び破壊的(destructive)追加を経験するようになる。これは、現在のセルラー無線通信で一般的に使用される高い搬送波周波数では、差分(differential)伝播遅延での小さな変化が個別波の位相で大きい変化を発生させるという事実に因る。移動局が移動中であるか、あるいは散乱環境で変化があると、複合受信信号の振幅及び位相の空間的変動は多重経路受信に起因できるレイリーフェージング(Rayleigh fading)又は高速フェージングとして知られている時間偏差として示す。無線チャンネルの時間-変化特性は、所望のビット誤り又はパケット誤り信頼性を提供するために非常に高い信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio:SNR)を要求する。
【0004】
このダイバシティ方式は、受信器に同一の情報転送信号の複数のフェージングされた複製(replica)を提供することによって高速フェージングの影響を克服するために幅広く使用される。
【0005】
ダイバシティ技術は、一般的に次のカテゴリー、すなわち空間、角度、偏光、電界、周波数、時間、及び多重経路ダイバシティに分類される。空間ダイバシティは、多重送信又は受信アンテナを用いて達成できる。多重アンテナ間の空間的隔離は、ダイバシティ分岐(branch)、すなわち多重アンテナから送信された信号が若干の相関性を有するか、又は相関性のないフェージングを経験するように選択される。空間ダイバシティの一つのタイプである送信ダイバシティは、同一の信号の複数の無相関複製物を受信器に提供するために多重送信アンテナを使用する。送信ダイバシティ方式は、開ループ(open loop)送信ダイバシティと閉ループ(closed loop)送信ダイバシティ方式にさらに分けられる。開ループ送信ダイバシティ接近法では、受信器からフィードバックが要求されない。閉ループ送信ダイバシティの一つのタイプでは、受信器は、送信アンテナの配列を知って、受信器で受信された信号のパワーを最大化するために、送信器アンテナに適用される位相及び振幅調整を計算する。選択送信ダイバシティ(Selection Transmit Diversity:STD)と呼ばれる、閉ループ送信ダイバシティの他の配列では、受信器は、送信に使用されるアンテナに関してフィードバック情報を送信器に提供する。
【0006】
開ループ送信ダイバシティ方式の一例は、Alamouti2×1空間-時間ダイバシティ方式である。Alamouti2×1空間-時間ダイバシティ方式は、2個のタイムスロット(すなわち、空間時間ブロックコード(Space Time Block Code:STBC)送信ダイバシティ)又は2個の周波数副搬送波(すなわち、空間周波数ブロックコード(Space Frequency Block Code:SFBC)送信ダイバシティ)を用いる2個の送信アンテナを用いてAlamouti2×2ブロックコードを送信することを考慮する。
【0007】
Alamouti2×1空間-時間ダイバシティ方式の一つの制約は、この方式が2個の送信アンテナのみに適用され得ることである。4個の送信アンテナを用いてデータを送信するために、周波数交換送信ダイバシティ(Frequency Switched Transmit Diversity:FSTD)又は時間交換送信ダイバシティ(Time Switched Transmit Diversity:TSTD)は、ブロックコードと組み合わせる。この組み合わせたSFBC+FSTD方式又はSTBC+TSTD方式である場合に、4個の送信アンテナから送信されたシンボルの行列は、次の数式にように得られる。
【0008】
【数1】
【0009】
ここで、Tijはi番目のアンテナ及びj番目の副搬送波(subcarrier)又はj番目のタイムスロットで送信されたシンボルを表し、4個の送信アンテナの場合にi=1,2,3,4、j=1,2,3,4であり、S1,S2,S3,S4は送信されるシンボルである。
【0010】
組み合わせたSFBC+FSTD方式及びSTBC+TSTD方式が有する問題点は、与えられた周波数又は時間リソースで、全体送信アンテナの一部のみ、つまりパワー増幅器容量の一部のみが送信に使用されることである。これは、上述したSFBC+FSTD及びSTBC+TSTD行列で要素‘0’によって表示される。行列の0でない要素での送信パワーが増加する場合に、バースト的(bursty)干渉は、隣接セルに発生してシステム性能を減少させる。一般的に、バースト的干渉は、周波数ホッピングパターンの任意の位相が他の位相よりさらに干渉を招く場合に現れる。
【発明の概要】
【発明を解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記した従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、多重アンテナを介してデータを送信する改善された方法及び送信器回路を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、多重アンテナ送信ダイバシティ方式を用いてデータを送信する方法及び送信器回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明の一態様によれば、データ送信方法は、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、複数の変調シンボルを複数の変調シンボルのサブセットに分割するステップと、それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボル対に対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するステップと、複数のN×N行列を含む第1のM×Mコード行列を生成するステップと、第1の出力行列を生成するように第1のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、第1の出力行列のシンボルを複数のアンテナを通じて第1のタイムスロットで送信するステップとを具備してなり、それぞれの変調シンボルサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であり、M=N×Xであって、Xは複数のN×N行列の数である。
【0014】
上記方法は、第1のM×Mコード行列の少なくとも一つの選択された行の対を交換することによって第2のM×Mコード行列を生成するステップと、第2の出力行列を生成するように第2のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、第2の出力行列のシンボルを複数のアンテナを通じて第2のタイムスロットで送信するステップとをさらに具備することを特徴とする。
【0015】
送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする。
【0016】
【数2】
【0017】
ここで、N=2であり、S1及びS2は変調シンボルの一対である。
【0018】
送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする。
【0019】
【数3】
【0020】
ここで、N=2であり、S1及びS2は変調シンボルの一対である。
【0021】
M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする。
【0022】
【数4】
【0023】
ここで、A1〜Axは複数のN×N行列であり、Xは複数のN×N行列の数であり、M=N×Xである。
【0024】
複数のN×N行列の直交拡散は、フーリエ行列によって遂行され、フーリエ行列の各要素は下記のように得られることを特徴とする。
【0025】
【数5】
【0026】
ここで、m,n=0,1,…,(N−1)であり、G=N×Nで、mは行列の行数で、nは行列の列数で、gは0とG−1との間の任意の数となるように選択される。
【0027】
複数のN×N行列の直交拡散は、Zadoff-Chuシーケンスによって遂行され、k番目のZadoff-Chuシーケンスのn番目のエントリck(n)が下記のように得られることを特徴とする。
【0028】
【数6】
【0029】
ここで、kはLと互いに素な整数であり、qは整数である。
【0030】
複数のN×N行列の直交拡散は、アダマール(Hadamard)行列によって遂行され、n次のアダマール行列は下記の式によって得られることを特徴とする。
【0031】
【数7】
【0032】
ここで、Inは、n×n単位行列である。
【0033】
第1の出力行列は、N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、M×Mコード行列とM×M拡散行列の要素別乗算によって第1のM×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする。
【0034】
第2の出力行列のシンボルは、受信器から受信されたNACK信号に応答して送信されることを特徴とする。
【0035】
本発明の他の態様によれば、出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、出力行列に基づいて生成するステップと、利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離するステップと、それぞれの副搬送波のセットがM個の副搬送波を含む複数の副搬送波を連続する副搬送波の複数のセットに分割するステップと、送信リソースにマッピングされるK個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、選択された行置換行列のシンボルを、複数のアンテナを介して対応する副搬送波を用いて送信するステップとを具備する。
【0036】
上記方法は、出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、出力行列に基づいて生成するステップと、K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、選択された行置換行列のシンボルを、複数のアンテナを介して異なるタイムスロットで対応する副搬送波を用いて送信するステップとをさらに具備することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の他の態様によれば、出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、出力行列に基づいて生成するステップと、K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離するステップと、それぞれの副搬送波のセットがM個の副搬送波を含む複数の副搬送波を連続する副搬送波の複数のセットに分割するステップと、送信リソースにマッピングされるK個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、選択された行置換行列のシンボルを複数のアンテナを介して異なるタイムスロットで対応する副搬送波を用いて送信するステップとをさらに具備する。
【0038】
さらに、本発明の他の態様によれば、データを送信する送信器であって、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調する変調器と、複数の変調シンボルを複数のサブセットに分割し、それぞれのN×N行列がそれぞれの一対の変調シンボルに対応する複数のN×N行列を得るために送信ダイバシティ方式によって複数のシンボルの中からそれぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するプリコーディング部と、出力行列を生成するように複数のN×N行列を直交拡散させる拡散部と、複数の行置換行列を生成するように出力行列の少なくとも一対の行を置換する置換部と、複数の行置換行列のシンボルを利用可能な送信リソースにマッピングするマッピング部と、複数の行置換行列のシンボルを送信する複数のアンテナとを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の原理を実施するために、適切な直交周波数分割多重化(OFDM)送受信器チェーンを示す図である。
【図2】2個の送信アンテナのための空間時間ブロックコード送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図3】2個の送信アンテナのための空間周波数ブロックコード送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図4】2個の送信アンテナのための他の空間周波数ブロックコード送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図5】ハイブリッド再送要求(Hybrid Repeat reQuest:HRQ)方式の送信器を示す図である。
【図6】HRQ方式を示す図である。
【図7】現在の3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution)システムでのダウンリンク基準信号のマッピングを示す図である。
【図8】本発明の原理の第1の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図9】本発明の原理の第2の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図10】本発明の原理の第3の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式案を示す図である。
【図11】本発明の原理の第4の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図12】本発明の原理の第5の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図13】本発明の原理の第6の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図14】本発明の原理による一実施形態として構成された送信器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
下記に、本発明の実施形態において、本発明の範囲及び精神を外れない限り、多様な変形が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【0041】
図1は、直交周波数分割多重化(OFDM)送受信器チェーンを示す。OFDM技術を用いる通信システムにおいて、送信器チェーン110で、制御信号又はデータ111は、変調器112によって変調され、直列/並列(S/P)変換器113によって直並列変換される。逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)部114は、信号を周波数ドメインから時間ドメインへ転送するために使用される。サイクリックプレフィックス(Cyclic Prefix:CP)又はゼロプレフィックス(Zero Prefix:ZP)は、多重経路フェージングによる影響を回避又は軽減するために、CP挿入部116によってそれぞれのOFDMシンボルに追加される。したがって、この信号は、送信器(Tx)先端(front end)処理部117、例えばアンテナ(図示せず)によって、又は固定ワイヤー又はケーブルによって送信される。受信器チェーン120では、完全な時間及び周波数同期が得られると仮定すれば、受信器(Rx)先端処理部121によって受信された信号は、CP除去部122によって処理される。高速フーリエ変換(FFT)部124は、受信された信号を追加処理するために時間ドメインから周波数ドメインへ転送する。
【0042】
OFDMシステムでの全体帯域幅は、副搬送波と呼ばれる狭帯域周波数単位に分割される。副搬送波の個数は、システムで使用されるFFT/IFFTサイズNと同一である。一般的に、データのために使用される副搬送波の数は、周波数スペクトルの境界で一部副搬送波はガード副搬送波として保存されているため、Nより小さい。一般的に、ガード副搬送波には情報が送信されない。
【0043】
ダイバシティ方式は、送信器に同一の情報転送信号の複数のフェージングされた複製物を受信器に提供することによって、高速フェージングの影響に対処するために広く使用されている。開ループ送信ダイバシティ方式の一例としては、図2に示すようなAlamouti2×1空間-時間ブロックコード(STBC)送信ダイバシティ方式がある。この方法では、任意のシンボル期間、すなわち時間周期で、送信器は、2個の送信アンテナを介して2個のデータシンボルを受信器に送信する。図2に示すように、第1のシンボル周期t1で、シンボルS1及びS2は、アンテナANT1及びANT2を介して各々送信される。次のシンボル周期t2で、シンボル-S*2及びS*1は、アンテナANT1及びANT2を介して各々送信され、ここで、x*はxの複素共役(complex conjugate)を表す。信号を受信した後に、受信器は、複数のプロセスを遂行して、元のシンボルS1及びS2を復元する。ANT1及びANT2の各々に対する瞬間チャンネル利得g1、g2が受信器での処理のために要求されることに注意すべきである。したがって、送信器は、受信器でのチャンネル利得推定のためにアンテナANT1及びANT2共を通じて別途のパイロットシンボルを送信する必要がある。Alamouti符号化によって得られるダイバシティ利得は、最大比率組合(Maximum Ratio Combining:MRC)で得られる場合と同様である。
【0044】
また、2×1Alamouti方式は、図3に示すような空間-周波数ブロックコード(SFBC)送信ダイバシティ方式で実現することができる。図3に示すように、シンボルS1及びS2は、直交周波数分割多重化(OFDM)システムで周波数f1を有する第1の副搬送波上でアンテナANT1及びANT2を通して各々受信器に送信し、シンボル-S*2及びS*1は、周波数f2を有する第2の副搬送波上でアンテナANT1及びANT2を介して各々送信される。したがって、アンテナANT1及びANT2から送信されたシンボルの行列を、次のように示すことができる。
【0045】
【数8】
【0046】
周波数f1を有する副搬送波上で受信器に受信される信号はr1であり、周波数f2を有する副搬送波上で受信器に受信される信号はr2である。r1及びr2は、次のように示すことができる。
【0047】
【数9】
【0048】
ここで、h1及びh2は、各々ANT1及びANT2からのチャンネル利得である。また、与えられたアンテナからのチャンネルは、周波数f1を有する副搬送波と周波数f2を有する副搬送波との間で変わらないと仮定する。受信器は、受信された信号に対して均等化を遂行し、2個の受信された信号(r1及びr2)を組み合わせてシンボルS1及びS2を復元する。復元されたシンボル
【数10】
は、次のように示される。
【0049】
【数11】
【0050】
送信されたシンボル
【数12】
は、共に完全な空間ダイバシティを実現し、すなわちそれぞれの送信されたシンボル
【数13】
は相互間の干渉を全く除去することがわかる。
【0051】
2個の送信アンテナSFBC方式のための代替(alternative)マッピングは、図4に示すようである。アンテナANT1及びANT2から送信されるシンボルの行列は、次のように示される。
【0052】
【数14】
【0053】
図4の方式に対する<数式5>の送信行列は、図3に示す方式に対する<数式2>の送信行列の転置(transpose)行列である。
【0054】
4個の送信アンテナの場合には、直交フル(full)ダイバシティブロックコードは利用できない。また、準直交(quasi-orthogonal)ブロックコードの一例は、次のようである。
【0055】
【数15】
【0056】
ここで、Tijは、4-Txアンテナの場合に、i番目のアンテナ及びj番目の副搬送波又はj番目のタイムスロット(i=1,2,3,4、j=1,2,3,4)で送信されたシンボルを示す。A及びBは、次のように与えられたブロックコードである。
【0057】
【数16】
【0058】
準直交ブロックコードの問題点は、直交性の損失によってシンボル間干渉を発生させ、システム性能及びスループット(throughput)が低下するということである。
【0059】
当該分野で、4個の送信アンテナ送信ダイバシティのための他の提案は、周波数交換送信ダイバシティ(FSTD)又は時間交換送信ダイバシティ(TSTD)をブロックコードと組み合わせることである。組み合わせたSFBC+FSTD方式又はSTBC+TSTD方式の場合に、4個の送信アンテナから送信されたシンボルの行列は、次のように得られる。
【0060】
【数17】
【0061】
<数式1>で得られたSFBC+FSTD送信信号の等価表現は、次の形態で存在する。送信信号ベクトル
【数18】
は、i番目の副搬送波に対する4個の送信アンテナ上の送信信号ベクトルを意味すると見なす。<数式1>のSFBC+FSTD方式から生成された送信信号は、この送信信号が4個の連続した副搬送波4i,4i+1,4i+1,4i+3にマッピングされるという仮定の下で、次のように等価的に示される。
【0062】
【数19】
【0063】
ここで、S1(i)、S2(i)、S3(i)、S4(i)は各々インデックスiの関数である。
【0064】
組み合わせたSFBC+FSTD方式及びSTBC+TSTD方式の問題点は、全体送信アンテナの一部のみ、つまりパワー増幅器(PA)容量の一部のみが、与えられた周波数又は時間リソースでの送信に使用されるということである。これは、上記したSFBC+FSTD及びSTBC+TSTD行列の中に要素‘0’によって指示される。行列の中でゼロでない要素上に送信パワーが増加する場合に、バースト的干渉は、隣接セルに発生してシステム性能を低下させる。
【0065】
ハイブリッド自動再送要求(ARQ)は、送信器がわずかな増加で冗長符号化情報(すなわち、サブパケット)を送る再送方式である。図5に示すように、送信器130では、情報パケットPは、まず、チャンネル符号化を遂行するためにチャンネルコーダ131に入力される。その結果、符号化されたビットストリームは、サブパケット生成器132に入力されて、さらに小さな単位、すなわちサブパケットSP1,SP2,SP3,SP4に分割される。ハイブリッドARQ再送は、以前の送信と異なる冗長シンボル又は符号化ビットを含み、あるいは同一のシンボル又は符号化ビットのコピーを含むことができる。同一の情報のコピーを再送する方式は、チェイス合成(chase combining)法と呼ばれる。チェイス合成の場合に、図4に示すようにサブパケットSP1,SP2,SP3,SP4はすべて同一である。再送されたシンボル又は符号化されたビットが以前送信と異なる方式は、一般的に増加的冗長(incremental redundancy)方式と呼ばれる。
【0066】
ハイブリッドARQプロトコルの一例は、図6に示す。送信器130から第1のサブパケットSP1を受信した後に、受信器140は、受信された情報パケットの復号化を試みる。復号化に失敗した場合に、受信器140は、SP1を格納し、否定応答(Negative Acknowledgement:NACK)信号を送信器130に送る。NACK信号を受信した後に、送信器130は、第2のサブパケットSP2を送信する。第2のサブパケットSP2を受信した後に、受信器140は、SP2を以前に受信されたサブパケットSP1と組み合わせ、組み合わせた情報パケットを共に符号化する試みをする。任意の時点で、成功的な巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)チェックの表示によって、情報パケットが成功的に復号化されると、受信器140は、ACK信号を送信器130に送る。図6の例では、上記情報パケットは、3個のサブパケットSP1,SP2,SP3を受信して組み合わせた後に成功的に復号化される。図6に示すARQプロトコルは、送信器が次のサブパケットを伝送する前にACK/NACK信号を待機するため、一般的に停止及び待機(stop-and-wait)プロトコルと呼ばれる。ACK信号を受信した後に、送信器は、同一又は異なるユーザーに新たな情報パケットを送信する。
【0067】
3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution)システムの4個の送信アンテナのためのダウンリンク基準信号マッピングは、図7に示す。符号Rpは、アンテナポートp上で基準信号送信に使用されるリソース要素を表すために利用される。アンテナポート2及び3上の密度(density)は、アンテナポート0及び1上の密度の半分であることがわかる。その結果、アンテナポート2及び3上のチャンネル推定値は、アンテナポート0及び1上のチャンネル推定値に比べて弱い。
【0068】
本発明では、Alamoutiブロックコードが直交関数で拡散されて2個以上の送信アンテナを介して送信のためのダイバシティを提供する開ループ送信ダイバシティ方式を開示する。フーリエ行列を仮定して本発明を説明する。本発明の原理は、アダマール(Hadamard)関数又はZadoff-Chu(ZC)シーケンスのような他の直交関数の場合に容易に拡張及び適用できることに注意しなければならない。
【0069】
フーリエ行列は、次のように与えられたエントリを有するN×N正方行列である。
【0070】
【数20】
【0071】
例えば、2×2フーリエ行列は、次のように表される。
【0072】
【数21】
【0073】
同様に、4×4フーリエ行列は、次のように表される。
【0074】
【数22】
【0075】
多重フーリエ行列は、フーリエ行列に遷移パラメータ(g/G)を導入することによって定義されることができる。多重フーリエ行列のエントリは、次のように与えられる。
【0076】
【数23】
【0077】
G=4、g=0,1,2,3によって定義される4個の2×2フーリエ行列のセットは、次のように示す。
【数24】
【数25】
【数26】
【数27】
【0078】
上記リストされた4個のフーリエ行列のセットに、これらフーリエ行列セットの行(row)又は列(column)を置換したバージョンを適用することができることに留意すべきである。例えば、行列P20の行と列の置換は、次のように得られる。
【0079】
【数28】
【0080】
それぞれのフーリエ行列に対して、2個ずつ置換されたバージョンである。したがって、拡散行列Pの全体個数は12である。
【0081】
k番目のZadoff-Chuシーケンスで、このk番目のZadoff-Chuシーケンスのn番目のエントリck(n)は、次のように示すことができる。
【0082】
【数29】
【0083】
kは、Lと互いに素な整数であり、qは整数である。
【0084】
n次のアダマール行列は、アダマール行列式の決定的問題に対する解決策である。アダマール行列の同等な定義は、次のように与えられる。
【0085】
【数30】
【0086】
ここで、Inはn×n単位行列である。
【0087】
例えば、4次のアダマール行列は、次のように表される。
【0088】
【数31】
【0089】
本発明の原理による第1の実施形態で、4個のシンボルS1,S2,S3,S4は、4個の送信アンテナを用いる4個の副搬送波上で送信されると仮定する。行列A及びBは、次のように定義される。
【0090】
【数32】
【0091】
行列AとBは、各々シンボルS1とS2の対及びシンボルS3とS4の対に対するAlamoutiコードであることがわかる。A及びBを要素とする2×2行列を構成し、次のように拡張された2×2フーリエ行列と要素別乗算を遂行する。ピリオドのすぐ次にアスタリスクによって形成される演算子.*は、要素別乗算を意味し、
【数33】
はクロネッカー積(kroneccker product)を意味する。
【0092】
【数34】
【0093】
i=0である場合に、離散フーリエ変換DFT-拡散SFBC又はDFT-拡散STBCを示す結果的な4×4行列は、次のように与えられる。
【0094】
【数35】
【0095】
同様に、i=2である場合に、フーリエ行列P22は、次の4×4送信行列を生成するために使用される。
【0096】
【数36】
【0097】
拡散行列がフーリエ行列の置換バージョンである場合に、例えばi=5に対して、次のように得られる。
【0098】
【数37】
【0099】
与えられた行列(例えば、行列T0)に対して、m行n列の要素は[T0]m,nで表し、[T0]m,nはm番目のアンテナ及びn番目の副搬送波又はn番目のタイムスロットで送信されるシンボルを表し、4個の送信アンテナの場合にm=1,2,3,4で、n=1,2,3,4である。図8は、本発明の原理による第1の実施形態で、<数式25>による4個の送信アンテナ及び4個のタイムスロットのための送信ダイバシティ方式を示す。
【0100】
4×4行列送信が副搬送波とタイムスロットとの組み合わせを通じてなされる場合にも、同一の原理を適用できることがわかる。例えば、4個の要素(インデックスn)は2個の副搬送波及び2個のタイムスロットで構成できる。
【0101】
本発明の原理による第2の実施形態で、Tiの第2の行及び第3の行を交換し、その結果Ti,rと呼ばれる新たなSFBC行列が得られる。Ti,rは、LTEシステムの基準信号構造に内在するパイロット-密度差(disparity)を縮小するために有用である。例えば、T0,rは、次のように与えられる。
【0102】
【数38】
【0103】
図9は、本発明の原理による第2の実施形態で、<数式27>による4個の送信アンテナ及び4個のタイムスロットのための送信ダイバシティ方式を示す。
【0104】
本発明の原理による第3の実施形態では、<数式8>に示すようにSFBC-FSTD行列の第2及び第3の行を交換することを提案し、その結果、新たなSFBC行列を獲得する。この演算により、以下の送信行列によって与えられたように、シンボルS1及びS2はアンテナポート0及び2を通じて送信され、シンボルS3及びS4はアンテナポート1及び3を通じて送信される。また、これは、LTEシステムの基準信号構造に内在されたパイロット-密度差を縮小するために有用である。
【0105】
【数39】
【0106】
図10は、本発明の原理による第3の実施形態で、<数式28>による4個の送信アンテナ及び4個のタイムスロットのための送信ダイバシティ方式を示す。
【0107】
本発明の原理による第4の実施形態では、行列AとBは、ハイブリッドARQ再送又は反復されるシンボルのために、次のように置換される。
【0108】
【数40】
【0109】
これは、図11に示すように、ハイブリッドARQ再送又は低い符号化レートによってシンボルが反復される場合にフルダイバシティを実現可能にする。ここで、T2は第1のタイムスロット(スロット1)で第1の送信のために利用され、T2,hは第5のタイムスロット(スロット5)で第2の送信のために利用される。同様に、i=0,…,3に対して、Ti,Ti,hの任意の対は、HARQ目的に使用されることができる。これは、シンボル(S1,S2)が、第1の送信のためにアンテナ1及び2を介して送信され、第2の送信のために反復される場合にはアンテナ3及び4を介して送信されるためである。同様に、シンボル(S3,S4)は、第1の送信のためにアンテナ3及び4を通じて送信され、第2の送信のために反復される場合にはアンテナ1及び2を通じて送信される。
【0110】
本発明の原理による第5の実施形態で、i=0,…,3に対して、上記のように定義した行列Tiの各々に対して全体6個の行置換行列のセットを定義する。他の行G置換も可能であるが、ここに含まれた6個に相当することに留意する。これら6個の置換行列は、TiA,TiB,TiC,TiD,TiE,TiFとして表し、次のように定義される(i=0,…,3の場合)。
【0111】
【数41】
【0112】
例えば、T0の6個の行置換バージョンは次のようである。
【0113】
【数42】
【0114】
送信器は、変調されたシンボルを物理的な時間-周波数OFDM送信リソースにマッピングする間に、与えられた数iに対して6個の置換行列からK個の置換行列のサブセットを選択する。その後、送信器は、OFDM送信リソースを周波数ドメインのK個の部分に分割し、これらは各々K個の行列のサブセットから選択された置換行列を使用する。一例では、i=0、K=3とし、3個の置換された行列はT0A,T0B,T0Cとする。これら3個の行列は、周波数次元に従って適用され、図12に示すように12個の副搬送波ごとに反復されるパターンをなす。
【0115】
本発明の原理による第6の実施形態で、基地局は、HARQの目的のためにK個の置換行列のサブセットを選択する。また、基地局は、図13に示すように、異なるパケットの再送に対してこのサブセット内の相互に異なる置換行列が適用される。ここで、3個(K=3)の行列のサブセットは、HARQ再送のために選択される。具体的に、タイムスロット1で、送信器は、4個の副搬送波を介してT0Aを用いて4個の変調シンボルを送信する。NACK信号に応答して、送信器は、タイムスロット2で4個の副搬送波を通じてT0Bを用いて同一の4個の変調シンボルを送信する。また、他のNACK信号に応答して、送信器は、タイムスロット3で4個の副搬送波を介してT0Cを用いて同一の4個の変調シンボルを送信する。再送時に置換されるSFBC行列を適用するこの方法は、チェイス合成及び増加的冗長共に適用されることに留意すべきである。
【0116】
本発明の原理による第7の実施形態では、周波数次元の置換行列の適用と、複数のHARQ再送を通じる時間次元での置換行列の適用とを組み合わせる。例えば、周波数次元での行置換行列(row-permuted matrix)T0A,T0B,T0Cをそれぞれの再送の際に相互に異なる副搬送波のために使用できる。又は、第1のタイムスロットで、周波数次元内の行置換行列T0A,T0B,T0Cは相互に異なる副搬送波のために使用され、第2のタイムスロットでは、行置換行列T0D,T0E,T0Fは該当副搬送波のために使用される。
【0117】
図14は、本発明の原理による例示的な実施形態として構成された送信器を示す。送信器200は、変調器210と、プリコーディング部220と、拡散部230と、置換部240と、マッピング部250と、複数のアンテナ240とから構成される。変調器210は、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調する。プリコーディング部220は、送信ダイバシティ方式によって複数のシンボルの中から変調されたシンボルのサブセットをそれぞれ符号化して複数のN×N行列を得る。ここで、それぞれのN×N行列は、N個の変調シンボルのサブセット各々に該当する。拡散部230は、複数のN×N行列を直交拡散させて出力行列を生成する。置換部240は、出力行列に基づいて複数の行置換行列を生成する。マッピング部250は、行置換行列内のシンボルを複数のリソース要素にマッピングする。行置換行列内のシンボルは、空間時間送信ダイバシティ方式、空間周波数送信ダイバシティ方式、又は空間時間送信ダイバシティ方式と空間周波数送信ダイバシティ方式の組み合わせを用いて複数のアンテナ260を通じて送信される。
【符号の説明】
【0118】
110・・・送信器チェーン
112,210・・・変調器
113・・・S/P変換器
114・・・IFFT部
116・・・CP挿入部
117・・・Tx先端処理部
120・・・受信器チェーン
121・・・受信器先端処理部
122・・・CP除去部
124・・・FFT部
130,200・・・送信器
131・・・チャンネルコーダ
132・・・サブパケット生成器
140・・・受信器
220・・・プリコーディング部
230・・・拡散部
240・・・置換部
250・・・マッピング部
260・・・アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムにおいてデータを送信する方法に関するもので、特に多重アンテナ送信ダイバシティ方式を使用して情報を送信するプロセス及び回路に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的なセルラー無線システムは、複数の固定基地局と複数の移動局を含む。各基地局は、セルとして定義される地形的な領域をカバーする。
【0003】
通常、自然的及び人工的なオブジェクトが基地局と移動局との間に配置されたため、NLOS(Non-Line-Of-Sight)無線伝播経路は、基地局と移動局との間に存在する。そのため、電波は、反射、回折、及び散乱されつつ、伝播される。ダウンリンク方向で移動局のアンテナに到達され、あるいはアップリンク方向で基地局のアンテナに到達される電波は、反射、回折、散乱及び異相(out-of-phase)再組合によって生成された個別波の異なる位相のため、建設的(constructive)及び破壊的(destructive)追加を経験するようになる。これは、現在のセルラー無線通信で一般的に使用される高い搬送波周波数では、差分(differential)伝播遅延での小さな変化が個別波の位相で大きい変化を発生させるという事実に因る。移動局が移動中であるか、あるいは散乱環境で変化があると、複合受信信号の振幅及び位相の空間的変動は多重経路受信に起因できるレイリーフェージング(Rayleigh fading)又は高速フェージングとして知られている時間偏差として示す。無線チャンネルの時間-変化特性は、所望のビット誤り又はパケット誤り信頼性を提供するために非常に高い信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio:SNR)を要求する。
【0004】
このダイバシティ方式は、受信器に同一の情報転送信号の複数のフェージングされた複製(replica)を提供することによって高速フェージングの影響を克服するために幅広く使用される。
【0005】
ダイバシティ技術は、一般的に次のカテゴリー、すなわち空間、角度、偏光、電界、周波数、時間、及び多重経路ダイバシティに分類される。空間ダイバシティは、多重送信又は受信アンテナを用いて達成できる。多重アンテナ間の空間的隔離は、ダイバシティ分岐(branch)、すなわち多重アンテナから送信された信号が若干の相関性を有するか、又は相関性のないフェージングを経験するように選択される。空間ダイバシティの一つのタイプである送信ダイバシティは、同一の信号の複数の無相関複製物を受信器に提供するために多重送信アンテナを使用する。送信ダイバシティ方式は、開ループ(open loop)送信ダイバシティと閉ループ(closed loop)送信ダイバシティ方式にさらに分けられる。開ループ送信ダイバシティ接近法では、受信器からフィードバックが要求されない。閉ループ送信ダイバシティの一つのタイプでは、受信器は、送信アンテナの配列を知って、受信器で受信された信号のパワーを最大化するために、送信器アンテナに適用される位相及び振幅調整を計算する。選択送信ダイバシティ(Selection Transmit Diversity:STD)と呼ばれる、閉ループ送信ダイバシティの他の配列では、受信器は、送信に使用されるアンテナに関してフィードバック情報を送信器に提供する。
【0006】
開ループ送信ダイバシティ方式の一例は、Alamouti2×1空間-時間ダイバシティ方式である。Alamouti2×1空間-時間ダイバシティ方式は、2個のタイムスロット(すなわち、空間時間ブロックコード(Space Time Block Code:STBC)送信ダイバシティ)又は2個の周波数副搬送波(すなわち、空間周波数ブロックコード(Space Frequency Block Code:SFBC)送信ダイバシティ)を用いる2個の送信アンテナを用いてAlamouti2×2ブロックコードを送信することを考慮する。
【0007】
Alamouti2×1空間-時間ダイバシティ方式の一つの制約は、この方式が2個の送信アンテナのみに適用され得ることである。4個の送信アンテナを用いてデータを送信するために、周波数交換送信ダイバシティ(Frequency Switched Transmit Diversity:FSTD)又は時間交換送信ダイバシティ(Time Switched Transmit Diversity:TSTD)は、ブロックコードと組み合わせる。この組み合わせたSFBC+FSTD方式又はSTBC+TSTD方式である場合に、4個の送信アンテナから送信されたシンボルの行列は、次の数式にように得られる。
【0008】
【数1】
【0009】
ここで、Tijはi番目のアンテナ及びj番目の副搬送波(subcarrier)又はj番目のタイムスロットで送信されたシンボルを表し、4個の送信アンテナの場合にi=1,2,3,4、j=1,2,3,4であり、S1,S2,S3,S4は送信されるシンボルである。
【0010】
組み合わせたSFBC+FSTD方式及びSTBC+TSTD方式が有する問題点は、与えられた周波数又は時間リソースで、全体送信アンテナの一部のみ、つまりパワー増幅器容量の一部のみが送信に使用されることである。これは、上述したSFBC+FSTD及びSTBC+TSTD行列で要素‘0’によって表示される。行列の0でない要素での送信パワーが増加する場合に、バースト的(bursty)干渉は、隣接セルに発生してシステム性能を減少させる。一般的に、バースト的干渉は、周波数ホッピングパターンの任意の位相が他の位相よりさらに干渉を招く場合に現れる。
【発明の概要】
【発明を解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記した従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、多重アンテナを介してデータを送信する改善された方法及び送信器回路を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、多重アンテナ送信ダイバシティ方式を用いてデータを送信する方法及び送信器回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明の一態様によれば、データ送信方法は、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、複数の変調シンボルを複数の変調シンボルのサブセットに分割するステップと、それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボル対に対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するステップと、複数のN×N行列を含む第1のM×Mコード行列を生成するステップと、第1の出力行列を生成するように第1のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、第1の出力行列のシンボルを複数のアンテナを通じて第1のタイムスロットで送信するステップとを具備してなり、それぞれの変調シンボルサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であり、M=N×Xであって、Xは複数のN×N行列の数である。
【0014】
上記方法は、第1のM×Mコード行列の少なくとも一つの選択された行の対を交換することによって第2のM×Mコード行列を生成するステップと、第2の出力行列を生成するように第2のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、第2の出力行列のシンボルを複数のアンテナを通じて第2のタイムスロットで送信するステップとをさらに具備することを特徴とする。
【0015】
送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする。
【0016】
【数2】
【0017】
ここで、N=2であり、S1及びS2は変調シンボルの一対である。
【0018】
送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする。
【0019】
【数3】
【0020】
ここで、N=2であり、S1及びS2は変調シンボルの一対である。
【0021】
M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする。
【0022】
【数4】
【0023】
ここで、A1〜Axは複数のN×N行列であり、Xは複数のN×N行列の数であり、M=N×Xである。
【0024】
複数のN×N行列の直交拡散は、フーリエ行列によって遂行され、フーリエ行列の各要素は下記のように得られることを特徴とする。
【0025】
【数5】
【0026】
ここで、m,n=0,1,…,(N−1)であり、G=N×Nで、mは行列の行数で、nは行列の列数で、gは0とG−1との間の任意の数となるように選択される。
【0027】
複数のN×N行列の直交拡散は、Zadoff-Chuシーケンスによって遂行され、k番目のZadoff-Chuシーケンスのn番目のエントリck(n)が下記のように得られることを特徴とする。
【0028】
【数6】
【0029】
ここで、kはLと互いに素な整数であり、qは整数である。
【0030】
複数のN×N行列の直交拡散は、アダマール(Hadamard)行列によって遂行され、n次のアダマール行列は下記の式によって得られることを特徴とする。
【0031】
【数7】
【0032】
ここで、Inは、n×n単位行列である。
【0033】
第1の出力行列は、N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、M×Mコード行列とM×M拡散行列の要素別乗算によって第1のM×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする。
【0034】
第2の出力行列のシンボルは、受信器から受信されたNACK信号に応答して送信されることを特徴とする。
【0035】
本発明の他の態様によれば、出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、出力行列に基づいて生成するステップと、利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離するステップと、それぞれの副搬送波のセットがM個の副搬送波を含む複数の副搬送波を連続する副搬送波の複数のセットに分割するステップと、送信リソースにマッピングされるK個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、選択された行置換行列のシンボルを、複数のアンテナを介して対応する副搬送波を用いて送信するステップとを具備する。
【0036】
上記方法は、出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、出力行列に基づいて生成するステップと、K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、選択された行置換行列のシンボルを、複数のアンテナを介して異なるタイムスロットで対応する副搬送波を用いて送信するステップとをさらに具備することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の他の態様によれば、出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、出力行列に基づいて生成するステップと、K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離するステップと、それぞれの副搬送波のセットがM個の副搬送波を含む複数の副搬送波を連続する副搬送波の複数のセットに分割するステップと、送信リソースにマッピングされるK個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、選択された行置換行列のシンボルを複数のアンテナを介して異なるタイムスロットで対応する副搬送波を用いて送信するステップとをさらに具備する。
【0038】
さらに、本発明の他の態様によれば、データを送信する送信器であって、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調する変調器と、複数の変調シンボルを複数のサブセットに分割し、それぞれのN×N行列がそれぞれの一対の変調シンボルに対応する複数のN×N行列を得るために送信ダイバシティ方式によって複数のシンボルの中からそれぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するプリコーディング部と、出力行列を生成するように複数のN×N行列を直交拡散させる拡散部と、複数の行置換行列を生成するように出力行列の少なくとも一対の行を置換する置換部と、複数の行置換行列のシンボルを利用可能な送信リソースにマッピングするマッピング部と、複数の行置換行列のシンボルを送信する複数のアンテナとを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の原理を実施するために、適切な直交周波数分割多重化(OFDM)送受信器チェーンを示す図である。
【図2】2個の送信アンテナのための空間時間ブロックコード送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図3】2個の送信アンテナのための空間周波数ブロックコード送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図4】2個の送信アンテナのための他の空間周波数ブロックコード送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図5】ハイブリッド再送要求(Hybrid Repeat reQuest:HRQ)方式の送信器を示す図である。
【図6】HRQ方式を示す図である。
【図7】現在の3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution)システムでのダウンリンク基準信号のマッピングを示す図である。
【図8】本発明の原理の第1の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図9】本発明の原理の第2の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図10】本発明の原理の第3の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式案を示す図である。
【図11】本発明の原理の第4の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図12】本発明の原理の第5の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図13】本発明の原理の第6の実施形態による4個の送信アンテナのための送信ダイバシティ方式を示す図である。
【図14】本発明の原理による一実施形態として構成された送信器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
下記に、本発明の実施形態において、本発明の範囲及び精神を外れない限り、多様な変形が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【0041】
図1は、直交周波数分割多重化(OFDM)送受信器チェーンを示す。OFDM技術を用いる通信システムにおいて、送信器チェーン110で、制御信号又はデータ111は、変調器112によって変調され、直列/並列(S/P)変換器113によって直並列変換される。逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)部114は、信号を周波数ドメインから時間ドメインへ転送するために使用される。サイクリックプレフィックス(Cyclic Prefix:CP)又はゼロプレフィックス(Zero Prefix:ZP)は、多重経路フェージングによる影響を回避又は軽減するために、CP挿入部116によってそれぞれのOFDMシンボルに追加される。したがって、この信号は、送信器(Tx)先端(front end)処理部117、例えばアンテナ(図示せず)によって、又は固定ワイヤー又はケーブルによって送信される。受信器チェーン120では、完全な時間及び周波数同期が得られると仮定すれば、受信器(Rx)先端処理部121によって受信された信号は、CP除去部122によって処理される。高速フーリエ変換(FFT)部124は、受信された信号を追加処理するために時間ドメインから周波数ドメインへ転送する。
【0042】
OFDMシステムでの全体帯域幅は、副搬送波と呼ばれる狭帯域周波数単位に分割される。副搬送波の個数は、システムで使用されるFFT/IFFTサイズNと同一である。一般的に、データのために使用される副搬送波の数は、周波数スペクトルの境界で一部副搬送波はガード副搬送波として保存されているため、Nより小さい。一般的に、ガード副搬送波には情報が送信されない。
【0043】
ダイバシティ方式は、送信器に同一の情報転送信号の複数のフェージングされた複製物を受信器に提供することによって、高速フェージングの影響に対処するために広く使用されている。開ループ送信ダイバシティ方式の一例としては、図2に示すようなAlamouti2×1空間-時間ブロックコード(STBC)送信ダイバシティ方式がある。この方法では、任意のシンボル期間、すなわち時間周期で、送信器は、2個の送信アンテナを介して2個のデータシンボルを受信器に送信する。図2に示すように、第1のシンボル周期t1で、シンボルS1及びS2は、アンテナANT1及びANT2を介して各々送信される。次のシンボル周期t2で、シンボル-S*2及びS*1は、アンテナANT1及びANT2を介して各々送信され、ここで、x*はxの複素共役(complex conjugate)を表す。信号を受信した後に、受信器は、複数のプロセスを遂行して、元のシンボルS1及びS2を復元する。ANT1及びANT2の各々に対する瞬間チャンネル利得g1、g2が受信器での処理のために要求されることに注意すべきである。したがって、送信器は、受信器でのチャンネル利得推定のためにアンテナANT1及びANT2共を通じて別途のパイロットシンボルを送信する必要がある。Alamouti符号化によって得られるダイバシティ利得は、最大比率組合(Maximum Ratio Combining:MRC)で得られる場合と同様である。
【0044】
また、2×1Alamouti方式は、図3に示すような空間-周波数ブロックコード(SFBC)送信ダイバシティ方式で実現することができる。図3に示すように、シンボルS1及びS2は、直交周波数分割多重化(OFDM)システムで周波数f1を有する第1の副搬送波上でアンテナANT1及びANT2を通して各々受信器に送信し、シンボル-S*2及びS*1は、周波数f2を有する第2の副搬送波上でアンテナANT1及びANT2を介して各々送信される。したがって、アンテナANT1及びANT2から送信されたシンボルの行列を、次のように示すことができる。
【0045】
【数8】
【0046】
周波数f1を有する副搬送波上で受信器に受信される信号はr1であり、周波数f2を有する副搬送波上で受信器に受信される信号はr2である。r1及びr2は、次のように示すことができる。
【0047】
【数9】
【0048】
ここで、h1及びh2は、各々ANT1及びANT2からのチャンネル利得である。また、与えられたアンテナからのチャンネルは、周波数f1を有する副搬送波と周波数f2を有する副搬送波との間で変わらないと仮定する。受信器は、受信された信号に対して均等化を遂行し、2個の受信された信号(r1及びr2)を組み合わせてシンボルS1及びS2を復元する。復元されたシンボル
【数10】
は、次のように示される。
【0049】
【数11】
【0050】
送信されたシンボル
【数12】
は、共に完全な空間ダイバシティを実現し、すなわちそれぞれの送信されたシンボル
【数13】
は相互間の干渉を全く除去することがわかる。
【0051】
2個の送信アンテナSFBC方式のための代替(alternative)マッピングは、図4に示すようである。アンテナANT1及びANT2から送信されるシンボルの行列は、次のように示される。
【0052】
【数14】
【0053】
図4の方式に対する<数式5>の送信行列は、図3に示す方式に対する<数式2>の送信行列の転置(transpose)行列である。
【0054】
4個の送信アンテナの場合には、直交フル(full)ダイバシティブロックコードは利用できない。また、準直交(quasi-orthogonal)ブロックコードの一例は、次のようである。
【0055】
【数15】
【0056】
ここで、Tijは、4-Txアンテナの場合に、i番目のアンテナ及びj番目の副搬送波又はj番目のタイムスロット(i=1,2,3,4、j=1,2,3,4)で送信されたシンボルを示す。A及びBは、次のように与えられたブロックコードである。
【0057】
【数16】
【0058】
準直交ブロックコードの問題点は、直交性の損失によってシンボル間干渉を発生させ、システム性能及びスループット(throughput)が低下するということである。
【0059】
当該分野で、4個の送信アンテナ送信ダイバシティのための他の提案は、周波数交換送信ダイバシティ(FSTD)又は時間交換送信ダイバシティ(TSTD)をブロックコードと組み合わせることである。組み合わせたSFBC+FSTD方式又はSTBC+TSTD方式の場合に、4個の送信アンテナから送信されたシンボルの行列は、次のように得られる。
【0060】
【数17】
【0061】
<数式1>で得られたSFBC+FSTD送信信号の等価表現は、次の形態で存在する。送信信号ベクトル
【数18】
は、i番目の副搬送波に対する4個の送信アンテナ上の送信信号ベクトルを意味すると見なす。<数式1>のSFBC+FSTD方式から生成された送信信号は、この送信信号が4個の連続した副搬送波4i,4i+1,4i+1,4i+3にマッピングされるという仮定の下で、次のように等価的に示される。
【0062】
【数19】
【0063】
ここで、S1(i)、S2(i)、S3(i)、S4(i)は各々インデックスiの関数である。
【0064】
組み合わせたSFBC+FSTD方式及びSTBC+TSTD方式の問題点は、全体送信アンテナの一部のみ、つまりパワー増幅器(PA)容量の一部のみが、与えられた周波数又は時間リソースでの送信に使用されるということである。これは、上記したSFBC+FSTD及びSTBC+TSTD行列の中に要素‘0’によって指示される。行列の中でゼロでない要素上に送信パワーが増加する場合に、バースト的干渉は、隣接セルに発生してシステム性能を低下させる。
【0065】
ハイブリッド自動再送要求(ARQ)は、送信器がわずかな増加で冗長符号化情報(すなわち、サブパケット)を送る再送方式である。図5に示すように、送信器130では、情報パケットPは、まず、チャンネル符号化を遂行するためにチャンネルコーダ131に入力される。その結果、符号化されたビットストリームは、サブパケット生成器132に入力されて、さらに小さな単位、すなわちサブパケットSP1,SP2,SP3,SP4に分割される。ハイブリッドARQ再送は、以前の送信と異なる冗長シンボル又は符号化ビットを含み、あるいは同一のシンボル又は符号化ビットのコピーを含むことができる。同一の情報のコピーを再送する方式は、チェイス合成(chase combining)法と呼ばれる。チェイス合成の場合に、図4に示すようにサブパケットSP1,SP2,SP3,SP4はすべて同一である。再送されたシンボル又は符号化されたビットが以前送信と異なる方式は、一般的に増加的冗長(incremental redundancy)方式と呼ばれる。
【0066】
ハイブリッドARQプロトコルの一例は、図6に示す。送信器130から第1のサブパケットSP1を受信した後に、受信器140は、受信された情報パケットの復号化を試みる。復号化に失敗した場合に、受信器140は、SP1を格納し、否定応答(Negative Acknowledgement:NACK)信号を送信器130に送る。NACK信号を受信した後に、送信器130は、第2のサブパケットSP2を送信する。第2のサブパケットSP2を受信した後に、受信器140は、SP2を以前に受信されたサブパケットSP1と組み合わせ、組み合わせた情報パケットを共に符号化する試みをする。任意の時点で、成功的な巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)チェックの表示によって、情報パケットが成功的に復号化されると、受信器140は、ACK信号を送信器130に送る。図6の例では、上記情報パケットは、3個のサブパケットSP1,SP2,SP3を受信して組み合わせた後に成功的に復号化される。図6に示すARQプロトコルは、送信器が次のサブパケットを伝送する前にACK/NACK信号を待機するため、一般的に停止及び待機(stop-and-wait)プロトコルと呼ばれる。ACK信号を受信した後に、送信器は、同一又は異なるユーザーに新たな情報パケットを送信する。
【0067】
3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution)システムの4個の送信アンテナのためのダウンリンク基準信号マッピングは、図7に示す。符号Rpは、アンテナポートp上で基準信号送信に使用されるリソース要素を表すために利用される。アンテナポート2及び3上の密度(density)は、アンテナポート0及び1上の密度の半分であることがわかる。その結果、アンテナポート2及び3上のチャンネル推定値は、アンテナポート0及び1上のチャンネル推定値に比べて弱い。
【0068】
本発明では、Alamoutiブロックコードが直交関数で拡散されて2個以上の送信アンテナを介して送信のためのダイバシティを提供する開ループ送信ダイバシティ方式を開示する。フーリエ行列を仮定して本発明を説明する。本発明の原理は、アダマール(Hadamard)関数又はZadoff-Chu(ZC)シーケンスのような他の直交関数の場合に容易に拡張及び適用できることに注意しなければならない。
【0069】
フーリエ行列は、次のように与えられたエントリを有するN×N正方行列である。
【0070】
【数20】
【0071】
例えば、2×2フーリエ行列は、次のように表される。
【0072】
【数21】
【0073】
同様に、4×4フーリエ行列は、次のように表される。
【0074】
【数22】
【0075】
多重フーリエ行列は、フーリエ行列に遷移パラメータ(g/G)を導入することによって定義されることができる。多重フーリエ行列のエントリは、次のように与えられる。
【0076】
【数23】
【0077】
G=4、g=0,1,2,3によって定義される4個の2×2フーリエ行列のセットは、次のように示す。
【数24】
【数25】
【数26】
【数27】
【0078】
上記リストされた4個のフーリエ行列のセットに、これらフーリエ行列セットの行(row)又は列(column)を置換したバージョンを適用することができることに留意すべきである。例えば、行列P20の行と列の置換は、次のように得られる。
【0079】
【数28】
【0080】
それぞれのフーリエ行列に対して、2個ずつ置換されたバージョンである。したがって、拡散行列Pの全体個数は12である。
【0081】
k番目のZadoff-Chuシーケンスで、このk番目のZadoff-Chuシーケンスのn番目のエントリck(n)は、次のように示すことができる。
【0082】
【数29】
【0083】
kは、Lと互いに素な整数であり、qは整数である。
【0084】
n次のアダマール行列は、アダマール行列式の決定的問題に対する解決策である。アダマール行列の同等な定義は、次のように与えられる。
【0085】
【数30】
【0086】
ここで、Inはn×n単位行列である。
【0087】
例えば、4次のアダマール行列は、次のように表される。
【0088】
【数31】
【0089】
本発明の原理による第1の実施形態で、4個のシンボルS1,S2,S3,S4は、4個の送信アンテナを用いる4個の副搬送波上で送信されると仮定する。行列A及びBは、次のように定義される。
【0090】
【数32】
【0091】
行列AとBは、各々シンボルS1とS2の対及びシンボルS3とS4の対に対するAlamoutiコードであることがわかる。A及びBを要素とする2×2行列を構成し、次のように拡張された2×2フーリエ行列と要素別乗算を遂行する。ピリオドのすぐ次にアスタリスクによって形成される演算子.*は、要素別乗算を意味し、
【数33】
はクロネッカー積(kroneccker product)を意味する。
【0092】
【数34】
【0093】
i=0である場合に、離散フーリエ変換DFT-拡散SFBC又はDFT-拡散STBCを示す結果的な4×4行列は、次のように与えられる。
【0094】
【数35】
【0095】
同様に、i=2である場合に、フーリエ行列P22は、次の4×4送信行列を生成するために使用される。
【0096】
【数36】
【0097】
拡散行列がフーリエ行列の置換バージョンである場合に、例えばi=5に対して、次のように得られる。
【0098】
【数37】
【0099】
与えられた行列(例えば、行列T0)に対して、m行n列の要素は[T0]m,nで表し、[T0]m,nはm番目のアンテナ及びn番目の副搬送波又はn番目のタイムスロットで送信されるシンボルを表し、4個の送信アンテナの場合にm=1,2,3,4で、n=1,2,3,4である。図8は、本発明の原理による第1の実施形態で、<数式25>による4個の送信アンテナ及び4個のタイムスロットのための送信ダイバシティ方式を示す。
【0100】
4×4行列送信が副搬送波とタイムスロットとの組み合わせを通じてなされる場合にも、同一の原理を適用できることがわかる。例えば、4個の要素(インデックスn)は2個の副搬送波及び2個のタイムスロットで構成できる。
【0101】
本発明の原理による第2の実施形態で、Tiの第2の行及び第3の行を交換し、その結果Ti,rと呼ばれる新たなSFBC行列が得られる。Ti,rは、LTEシステムの基準信号構造に内在するパイロット-密度差(disparity)を縮小するために有用である。例えば、T0,rは、次のように与えられる。
【0102】
【数38】
【0103】
図9は、本発明の原理による第2の実施形態で、<数式27>による4個の送信アンテナ及び4個のタイムスロットのための送信ダイバシティ方式を示す。
【0104】
本発明の原理による第3の実施形態では、<数式8>に示すようにSFBC-FSTD行列の第2及び第3の行を交換することを提案し、その結果、新たなSFBC行列を獲得する。この演算により、以下の送信行列によって与えられたように、シンボルS1及びS2はアンテナポート0及び2を通じて送信され、シンボルS3及びS4はアンテナポート1及び3を通じて送信される。また、これは、LTEシステムの基準信号構造に内在されたパイロット-密度差を縮小するために有用である。
【0105】
【数39】
【0106】
図10は、本発明の原理による第3の実施形態で、<数式28>による4個の送信アンテナ及び4個のタイムスロットのための送信ダイバシティ方式を示す。
【0107】
本発明の原理による第4の実施形態では、行列AとBは、ハイブリッドARQ再送又は反復されるシンボルのために、次のように置換される。
【0108】
【数40】
【0109】
これは、図11に示すように、ハイブリッドARQ再送又は低い符号化レートによってシンボルが反復される場合にフルダイバシティを実現可能にする。ここで、T2は第1のタイムスロット(スロット1)で第1の送信のために利用され、T2,hは第5のタイムスロット(スロット5)で第2の送信のために利用される。同様に、i=0,…,3に対して、Ti,Ti,hの任意の対は、HARQ目的に使用されることができる。これは、シンボル(S1,S2)が、第1の送信のためにアンテナ1及び2を介して送信され、第2の送信のために反復される場合にはアンテナ3及び4を介して送信されるためである。同様に、シンボル(S3,S4)は、第1の送信のためにアンテナ3及び4を通じて送信され、第2の送信のために反復される場合にはアンテナ1及び2を通じて送信される。
【0110】
本発明の原理による第5の実施形態で、i=0,…,3に対して、上記のように定義した行列Tiの各々に対して全体6個の行置換行列のセットを定義する。他の行G置換も可能であるが、ここに含まれた6個に相当することに留意する。これら6個の置換行列は、TiA,TiB,TiC,TiD,TiE,TiFとして表し、次のように定義される(i=0,…,3の場合)。
【0111】
【数41】
【0112】
例えば、T0の6個の行置換バージョンは次のようである。
【0113】
【数42】
【0114】
送信器は、変調されたシンボルを物理的な時間-周波数OFDM送信リソースにマッピングする間に、与えられた数iに対して6個の置換行列からK個の置換行列のサブセットを選択する。その後、送信器は、OFDM送信リソースを周波数ドメインのK個の部分に分割し、これらは各々K個の行列のサブセットから選択された置換行列を使用する。一例では、i=0、K=3とし、3個の置換された行列はT0A,T0B,T0Cとする。これら3個の行列は、周波数次元に従って適用され、図12に示すように12個の副搬送波ごとに反復されるパターンをなす。
【0115】
本発明の原理による第6の実施形態で、基地局は、HARQの目的のためにK個の置換行列のサブセットを選択する。また、基地局は、図13に示すように、異なるパケットの再送に対してこのサブセット内の相互に異なる置換行列が適用される。ここで、3個(K=3)の行列のサブセットは、HARQ再送のために選択される。具体的に、タイムスロット1で、送信器は、4個の副搬送波を介してT0Aを用いて4個の変調シンボルを送信する。NACK信号に応答して、送信器は、タイムスロット2で4個の副搬送波を通じてT0Bを用いて同一の4個の変調シンボルを送信する。また、他のNACK信号に応答して、送信器は、タイムスロット3で4個の副搬送波を介してT0Cを用いて同一の4個の変調シンボルを送信する。再送時に置換されるSFBC行列を適用するこの方法は、チェイス合成及び増加的冗長共に適用されることに留意すべきである。
【0116】
本発明の原理による第7の実施形態では、周波数次元の置換行列の適用と、複数のHARQ再送を通じる時間次元での置換行列の適用とを組み合わせる。例えば、周波数次元での行置換行列(row-permuted matrix)T0A,T0B,T0Cをそれぞれの再送の際に相互に異なる副搬送波のために使用できる。又は、第1のタイムスロットで、周波数次元内の行置換行列T0A,T0B,T0Cは相互に異なる副搬送波のために使用され、第2のタイムスロットでは、行置換行列T0D,T0E,T0Fは該当副搬送波のために使用される。
【0117】
図14は、本発明の原理による例示的な実施形態として構成された送信器を示す。送信器200は、変調器210と、プリコーディング部220と、拡散部230と、置換部240と、マッピング部250と、複数のアンテナ240とから構成される。変調器210は、送信されるデータを複数の変調シンボルに変調する。プリコーディング部220は、送信ダイバシティ方式によって複数のシンボルの中から変調されたシンボルのサブセットをそれぞれ符号化して複数のN×N行列を得る。ここで、それぞれのN×N行列は、N個の変調シンボルのサブセット各々に該当する。拡散部230は、複数のN×N行列を直交拡散させて出力行列を生成する。置換部240は、出力行列に基づいて複数の行置換行列を生成する。マッピング部250は、行置換行列内のシンボルを複数のリソース要素にマッピングする。行置換行列内のシンボルは、空間時間送信ダイバシティ方式、空間周波数送信ダイバシティ方式、又は空間時間送信ダイバシティ方式と空間周波数送信ダイバシティ方式の組み合わせを用いて複数のアンテナ260を通じて送信される。
【符号の説明】
【0118】
110・・・送信器チェーン
112,210・・・変調器
113・・・S/P変換器
114・・・IFFT部
116・・・CP挿入部
117・・・Tx先端処理部
120・・・受信器チェーン
121・・・受信器先端処理部
122・・・CP除去部
124・・・FFT部
130,200・・・送信器
131・・・チャンネルコーダ
132・・・サブパケット生成器
140・・・受信器
220・・・プリコーディング部
230・・・拡散部
240・・・置換部
250・・・マッピング部
260・・・アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを複数の変調シンボルのサブセットに分割するステップと、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボル対に対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するステップと、
前記複数のN×N行列を含む第1のM×Mコード行列を生成するステップと、
第1の出力行列を生成するように前記第1のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記第1の出力行列のシンボルを複数のアンテナを通じて第1のタイムスロットで送信するステップと、
前記第1のM×Mコード行列の少なくとも一つの選択された行の対を交換することによって第2のM×Mコード行列を生成するステップと、
第2の出力行列を生成するように前記第2のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記第2の出力行列のシンボルを前記複数のアンテナを通じて第2のタイムスロットで送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれの変調シンボルサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であり、
M=N×Xであって、Xは複数のN×N行列の数であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、前記N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数1】
ここで、N=2であり、S1及びS2は前記変調シンボルの一対である。
【請求項3】
前記送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、前記N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数2】
ここで、N=2であり、S1及びS2は前記変調シンボルの一対である。
【請求項4】
前記M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数3】
ここで、A1〜Axは、前記複数のN×N行列である。
【請求項5】
前記複数のN×N行列の前記直交拡散は、フーリエ行列によって遂行され、前記フーリエ行列の各要素は下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数4】
ここで、m,n=0,1,…,(N−1)であり、G=N×Nで、mは前記行列の行数で、nは前記行列の列数で、gは0とG−1との間の任意の数となるように選択される。
【請求項6】
前記複数のN×N行列の前記直交拡散は、Zadoff-Chuシーケンスによって遂行され、k番目のZadoff-Chuシーケンスのn番目のエントリck(n)が下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数5】
ここで、kはLと互いに素な整数であり、qは整数である。
【請求項7】
前記複数のN×N行列の前記直交拡散は、アダマール(Hadamard)行列によって遂行され、n次のアダマール行列は下記の式によって得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数6】
ここで、Inは、n×n単位行列である。
【請求項8】
前記第1の出力行列は、
N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、
前記M×Mコード行列と前記M×M拡散行列の要素別乗算によって前記第1のM×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の出力行列で前記シンボルを送信する前に前記第1の出力行列内の選択された一対の行を交換するステップと、
前記第1の出力行列の前記シンボルを送信する前に前記第2の出力行列内の選択された一対の行を交換するステップとをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の出力行列の前記シンボルを送信する前に前記第1の出力行列内の選択された一対の列を交換するステップと、
前記第1の出力行列の前記シンボルを送信する前に前記第2の出力行列内の選択された一対の列を交換するステップとをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の出力行列の前記シンボルは、受信器から受信されたNACK信号に応答して送信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルをそれぞれM個の変調シンボルからなる複数の変調シンボルセットに分割するステップと、
前記M個の変調シンボルのそれぞれのセットに対して、
M個の変調シンボルをN個の変調シンボルの複数のサブセットに分割し、ここで、M=N×Xで、XはN個の変調シンボルのサブセットの量であり、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボルのサブセットに対応する複数のN×N行列を生成するように送信ダイバシティ方式に従って、それぞれN個の変調シンボルのサブセットを符号化し、
前記複数のN×N行列を含むM×Mコード行列を生成し、かつ、
出力行列を生成するように前記M×Mコード行列を直交拡散させることによって、出力行列を生成するステップと、
前記生成された出力行列の中からK個の出力行列のセットを選択するステップと、
前記K個の出力行列のセット内の前記対応する出力行列に基づいてK個の行置換行列のセットを生成するステップと、
前記利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離させるステップと、
前記複数の副搬送波をM個の連続副搬送波の複数のセットに分割するステップと、
前記選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、
前記選択された行置換行列の前記シンボルを複数のアンテナを介して対応する副搬送波を用いて送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれの行置換行列は選択された行置換方式によって生成され、異なる行列によって使用される行置換方式は異なることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記送信ダイバシティ方式はAlamoutiダイバシティ方式であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【数7】
ここで、A1〜Axは、複数のN×N行列である。
【請求項15】
前記出力行列は、
N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、
前記M×Mコード行列と前記M×M拡散行列の要素ごと乗算によって前記M×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記選択されたK個の行置換行列の前記シンボルを前記対応する副搬送波を用いて、前記複数のアンテナを通じて後続タイムスロットで送信するステップをさらに具備することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを複数の変調シンボルのサブセットに分割するステップと、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボルのサブセットに対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルサブセットを符号化するステップと、
複数のN×N行列を含む第1のM×Mコード行列を生成するステップと、
出力行列を生成するように前記M×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記出力行列に基づいて行置換行列のセットを生成するステップと、
K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、
前記選択された行置換行列のサブセットの前記シンボルを異なるタイムスロットで送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれのサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であり、
M=N×Xであって、Xは複数のN×N行列の数であり、
それぞれの行置換行列は、前記出力行列の選択された一対の行を交換することによって生成されることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【数8】
ここで、A1〜Axは、前記複数のN×N行列である。
【請求項20】
前記出力行列は、
N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、
前記M×Mコード行列と前記M×M拡散行列の要素別乗算によって前記M×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを複数の変調シンボルサブセットに分割するステップと、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボル対に対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するステップと、
下記のように得られるM×Mコード行列Cを生成するステップと、
【数9】
ここで、A1〜Axは前記複数のN×N行列であり、Xは前記複数のN×N行列の数であり、M=N×Xであり、
前記出力行列を生成するように前記M×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、前記出力行列に基づいて生成するステップと、
K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、
前記利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離するステップと、
それぞれの副搬送波のセットが前記M個の副搬送波を含む複数の副搬送波を連続する副搬送波の複数のセットに分割するステップと、
前記送信リソースにマッピングされるK個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、
前記選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、
前記選択された行置換行列の前記シンボルを複数のアンテナを介して異なるタイムスロットで対応する副搬送波を用いて送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれのサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であることを特徴とする方法。
【請求項22】
データを送信する送信器であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調する変調器と、
前記複数の変調シンボルを複数のサブセットに分割し、それぞれのN×N行列がそれぞれの一対の変調シンボルに対応する複数のN×N行列を得るために送信ダイバシティ方式によって前記複数のシンボルの中からそれぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するプリコーディング部と、
出力行列を生成するように前記複数のN×N行列を直交拡散させる拡散部と、
複数の行置換行列を生成するように前記出力行列の少なくとも一対の行を置換する置換部と、
前記複数の行置換行列の前記シンボルを利用可能な送信リソースにマッピングするマッピング部と、
前記複数の行置換行列の前記シンボルを送信する複数のアンテナとを具備することを特徴とする送信器。
【請求項23】
前記マッピング部は、前記複数の行置換行列の選択されたサブセットの前記シンボルを利用可能な送信リソースにマッピングすることを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項24】
前記マッピング部は、前記複数の行置換行列の選択されたサブセットの前記シンボルを前記送信リソースの複数の周波数副搬送波に反復的にマッピングすることを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項25】
前記マッピング部は、前記複数の行置換行列の選択されたサブセットの前記シンボルを前記送信リソースの複数のタイムスロットに反復的にマッピングすることを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項26】
前記送信器は、受信器から受信された否定応答信号に応答して前記複数の行置換行列の前記シンボルを送信することを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項1】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを複数の変調シンボルのサブセットに分割するステップと、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボル対に対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するステップと、
前記複数のN×N行列を含む第1のM×Mコード行列を生成するステップと、
第1の出力行列を生成するように前記第1のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記第1の出力行列のシンボルを複数のアンテナを通じて第1のタイムスロットで送信するステップと、
前記第1のM×Mコード行列の少なくとも一つの選択された行の対を交換することによって第2のM×Mコード行列を生成するステップと、
第2の出力行列を生成するように前記第2のM×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記第2の出力行列のシンボルを前記複数のアンテナを通じて第2のタイムスロットで送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれの変調シンボルサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であり、
M=N×Xであって、Xは複数のN×N行列の数であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、前記N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数1】
ここで、N=2であり、S1及びS2は前記変調シンボルの一対である。
【請求項3】
前記送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であって、前記N×N行列の各々は下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数2】
ここで、N=2であり、S1及びS2は前記変調シンボルの一対である。
【請求項4】
前記M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数3】
ここで、A1〜Axは、前記複数のN×N行列である。
【請求項5】
前記複数のN×N行列の前記直交拡散は、フーリエ行列によって遂行され、前記フーリエ行列の各要素は下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数4】
ここで、m,n=0,1,…,(N−1)であり、G=N×Nで、mは前記行列の行数で、nは前記行列の列数で、gは0とG−1との間の任意の数となるように選択される。
【請求項6】
前記複数のN×N行列の前記直交拡散は、Zadoff-Chuシーケンスによって遂行され、k番目のZadoff-Chuシーケンスのn番目のエントリck(n)が下記のように得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数5】
ここで、kはLと互いに素な整数であり、qは整数である。
【請求項7】
前記複数のN×N行列の前記直交拡散は、アダマール(Hadamard)行列によって遂行され、n次のアダマール行列は下記の式によって得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数6】
ここで、Inは、n×n単位行列である。
【請求項8】
前記第1の出力行列は、
N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、
前記M×Mコード行列と前記M×M拡散行列の要素別乗算によって前記第1のM×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の出力行列で前記シンボルを送信する前に前記第1の出力行列内の選択された一対の行を交換するステップと、
前記第1の出力行列の前記シンボルを送信する前に前記第2の出力行列内の選択された一対の行を交換するステップとをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の出力行列の前記シンボルを送信する前に前記第1の出力行列内の選択された一対の列を交換するステップと、
前記第1の出力行列の前記シンボルを送信する前に前記第2の出力行列内の選択された一対の列を交換するステップとをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の出力行列の前記シンボルは、受信器から受信されたNACK信号に応答して送信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルをそれぞれM個の変調シンボルからなる複数の変調シンボルセットに分割するステップと、
前記M個の変調シンボルのそれぞれのセットに対して、
M個の変調シンボルをN個の変調シンボルの複数のサブセットに分割し、ここで、M=N×Xで、XはN個の変調シンボルのサブセットの量であり、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボルのサブセットに対応する複数のN×N行列を生成するように送信ダイバシティ方式に従って、それぞれN個の変調シンボルのサブセットを符号化し、
前記複数のN×N行列を含むM×Mコード行列を生成し、かつ、
出力行列を生成するように前記M×Mコード行列を直交拡散させることによって、出力行列を生成するステップと、
前記生成された出力行列の中からK個の出力行列のセットを選択するステップと、
前記K個の出力行列のセット内の前記対応する出力行列に基づいてK個の行置換行列のセットを生成するステップと、
前記利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離させるステップと、
前記複数の副搬送波をM個の連続副搬送波の複数のセットに分割するステップと、
前記選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、
前記選択された行置換行列の前記シンボルを複数のアンテナを介して対応する副搬送波を用いて送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれの行置換行列は選択された行置換方式によって生成され、異なる行列によって使用される行置換方式は異なることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記送信ダイバシティ方式はAlamoutiダイバシティ方式であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【数7】
ここで、A1〜Axは、複数のN×N行列である。
【請求項15】
前記出力行列は、
N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、
前記M×Mコード行列と前記M×M拡散行列の要素ごと乗算によって前記M×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記選択されたK個の行置換行列の前記シンボルを前記対応する副搬送波を用いて、前記複数のアンテナを通じて後続タイムスロットで送信するステップをさらに具備することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを複数の変調シンボルのサブセットに分割するステップと、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボルのサブセットに対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルサブセットを符号化するステップと、
複数のN×N行列を含む第1のM×Mコード行列を生成するステップと、
出力行列を生成するように前記M×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記出力行列に基づいて行置換行列のセットを生成するステップと、
K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、
前記選択された行置換行列のサブセットの前記シンボルを異なるタイムスロットで送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれのサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であり、
M=N×Xであって、Xは複数のN×N行列の数であり、
それぞれの行置換行列は、前記出力行列の選択された一対の行を交換することによって生成されることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記送信ダイバシティ方式は、Alamoutiダイバシティ方式であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記M×Mコード行列Cは、下記のように得られることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【数8】
ここで、A1〜Axは、前記複数のN×N行列である。
【請求項20】
前記出力行列は、
N×N直交拡散行列とすべての要素が1であるX×X行列のクロネッカー積であるM×M拡散行列を生成し、
前記M×Mコード行列と前記M×M拡散行列の要素別乗算によって前記M×Mコード行列を直交拡散させることによって生成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
データを送信する方法であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを複数の変調シンボルサブセットに分割するステップと、
それぞれのN×N行列がそれぞれの変調シンボル対に対応する複数のN×N行列を生成する送信ダイバシティ方式によって、それぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するステップと、
下記のように得られるM×Mコード行列Cを生成するステップと、
【数9】
ここで、A1〜Axは前記複数のN×N行列であり、Xは前記複数のN×N行列の数であり、M=N×Xであり、
前記出力行列を生成するように前記M×Mコード行列を直交拡散させるステップと、
前記出力行列で選択された一対の行を交換することによって生成される行置換行列のセットを、前記出力行列に基づいて生成するステップと、
K個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、
前記利用可能な送信リソースを複数の周波数副搬送波に分離するステップと、
それぞれの副搬送波のセットが前記M個の副搬送波を含む複数の副搬送波を連続する副搬送波の複数のセットに分割するステップと、
前記送信リソースにマッピングされるK個の行置換行列のサブセットを選択するステップと、
前記選択されたK個の行置換行列のセットを、行置換行列に対応するM個の副搬送波の複数のセットに反復的にマッピングするステップと、
前記選択された行置換行列の前記シンボルを複数のアンテナを介して異なるタイムスロットで対応する副搬送波を用いて送信するステップとを具備してなり、
前記それぞれのサブセットはN個の変調シンボルを有し、Nは2より小さくない整数であることを特徴とする方法。
【請求項22】
データを送信する送信器であって、
送信されるデータを複数の変調シンボルに変調する変調器と、
前記複数の変調シンボルを複数のサブセットに分割し、それぞれのN×N行列がそれぞれの一対の変調シンボルに対応する複数のN×N行列を得るために送信ダイバシティ方式によって前記複数のシンボルの中からそれぞれの変調シンボルのサブセットを符号化するプリコーディング部と、
出力行列を生成するように前記複数のN×N行列を直交拡散させる拡散部と、
複数の行置換行列を生成するように前記出力行列の少なくとも一対の行を置換する置換部と、
前記複数の行置換行列の前記シンボルを利用可能な送信リソースにマッピングするマッピング部と、
前記複数の行置換行列の前記シンボルを送信する複数のアンテナとを具備することを特徴とする送信器。
【請求項23】
前記マッピング部は、前記複数の行置換行列の選択されたサブセットの前記シンボルを利用可能な送信リソースにマッピングすることを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項24】
前記マッピング部は、前記複数の行置換行列の選択されたサブセットの前記シンボルを前記送信リソースの複数の周波数副搬送波に反復的にマッピングすることを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項25】
前記マッピング部は、前記複数の行置換行列の選択されたサブセットの前記シンボルを前記送信リソースの複数のタイムスロットに反復的にマッピングすることを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【請求項26】
前記送信器は、受信器から受信された否定応答信号に応答して前記複数の行置換行列の前記シンボルを送信することを特徴とする請求項22に記載の送信器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−519844(P2010−519844A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550811(P2009−550811)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002335
【国際公開番号】WO2008/133439
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002335
【国際公開番号】WO2008/133439
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
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