説明

無線通信システム及びこれに用いられる無線送受信器

【課題】双方向に信号が伝送される無線通信システムにおいて、マルチパスフェージングの影響を低減し、高感度な通信を可能とする。
【解決手段】モニタ装置2は、異なる偏波面の電波に対応する複数のアンテナ51a、51b等によって構成される偏波ダイバーシチアンテナ51を有し、カメラ装置3は、送受信される電波の位相を可変とすることにより指向性を変更可能とするフェーズドアレイアンテナ71を有する。カメラ装置3のフェーズドアレイアンテナ71を無指向状態として、モニタ装置2のアンテナ51a、51bから接続要求信号を送信し、これを受信したカメラ装置3は、フェーズドアレイアンテナ71の指向性をモニタ装置2に合わせて映像信号を送信する。モニタ装置2は、偏波ダイバーシチアンテナ51を動作させて、この映像信号を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに適用可能な無線通信システム及びこれに用いられる無線送受信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば住宅用に使用されるインターホンシステムにおいては、屋外に設置されるカメラ装置と屋内に設置されるモニタ装置との間で、目障りな配線を無くすると共に、既築(中古)住宅対応のために配線工事を不要とすべく、映像データ及び音声データの送受信に無線を用いるものが普及している。このような無線送受信システムにおいて、リアルタイムの映像伝送のように単位時間当たりに大量の情報を送る必要がある場合は、一般的に周波数帯域が広く、高速伝送が可能なGHz帯の周波数が使用される。中でも無線LANで使用されている2.4GHz帯や5GHz帯はIMSバンド(Industry Science Medical band)と呼ばれ、使用者は免許を申請する必要なく使用することができ、一般で広く使用されている。
【0003】
ところで、GHz帯での伝送は、MHz帯に比べ電波伝搬損失が大きく、通信エリアが狭くなってしまうという欠点がある。通信エリアを広げるためには、感度を向上させることが必要となるが、その一方策としてフェーズドアレイアンテナを用いた高感度化が提案されている。フェーズドアレイアンテナとは、複数個配列されたアンテナの位相を制御することにより、アンテナの指向性を通信対象に合わせて、高感度化を図る技術である。
【0004】
しかしながら、屋内にモニタ装置が設置されるインターホンシステムにおいては、見通しが効かない環境が多く、その場合、壁を透過した電波や天井や床などに反射した反射波が主流となる。電波は、物体に対し角度をもって反射することにより偏波面が変化することが一般に知られている。従って、電波の反射によって偏波面が回転する場合には、フェーズドアレイアンテナと異なる偏波面を有する電波に対しては十分な効果を得ることができない。
【0005】
そこで、特許文献1には、屋内での無線通信におけるマルチパスフェージングの影響を低減するための、偏波ダイバーシチによる無線通信方式に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−44492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示された技術は、一方の装置(送信装置)から他方の装置(受信装置)に信号を送信する無線通信システムに適するものであるが、双方向に映像信号や音声信号、その他各種の制御信号等を伝送するインターホンシステムには適さない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、双方向に信号が伝送される通信においても、マルチパスフェージングの影響を低減し、高感度な通信を可能とする無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、異なる偏波面の電波に対応する複数のアンテナと、前記複数のアンテナを切り替えて制御するアンテナ制御部とを含んで成る偏波ダイバーシチ手段を有する複数の第1無線送受信器と、送受信される電波の位相を可変とすることにより指向性を変更可能とするフェーズドアレイアンテナを有する第2無線送受信器とを備え、いずれかの第1無線送受信器は、前記複数のアンテナのそれぞれから、該第1無線送受信器を特定するためのIDを含む接続要求信号を送信し、前記第2無線送受信器は、前記フェーズドアレイアンテナを無指向状態として、前記第1無線送受信器の複数のアンテナから送信された接続要求信号を受信し、それに含まれるIDから接続要求信号を送信した第1無線送受信器を特定し、前記フェーズドアレイアンテナの指向性を該接続要求信号を送信した第1無線送受信器に合わせてデータを送信することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、既知のパターンのテスト信号を発生させるテスト信号発生部と、偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を制御する動作制御部とをさらに有し、前記第2無線送受信器は、前記フェーズドアレイアンテナによって受信したテスト信号の受信レベルを検出するレベル検出部と、前記レベル検出部によって検出された受信レベルを所定の閾値と比較する閾値比較部と、前記レベル検出部によって検出された受信レベルが閾値以上であるとき、前記第1無線送受信器の偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を停止させる旨のダイバーシチ停止信号を送信する停止信号送信部をさらに有し、前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器からダイバーシチ停止信号を受信したとき、前記偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を停止させることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、テスト信号を送信したことを契機として、期間を計数する期間計数部をさらに有し、前記期間計数部が所定の期間を計数したとき、さらにテスト信号を送信することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器から送信されるデータの受信の可否を判定する受信可否判定部をさらに有し、前記偏波ダイバーシチ手段によるダイバーシチ動作が停止された後、前記受信可否判定部が前記第2無線送受信器から送信されたデータを受信できないと判定したとき、動作制御部がダイバーシチ動作を開始させることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、前記受信可否判定部が前記第2無線送受信器から送信されたデータを受信できないと判定した回数を計数する受信不可計数部をさらに有し、前記偏波ダイバーシチ手段によるダイバーシチ動作が停止された後、前記受信不可計数部が所定回数を計数したとき、動作制御部がダイバーシチ動作を開始させることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記複数の第1無線送受信器のうち、一の第1無線送受信器は、他の第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信し、該接続要求信号を前記他の第1無線送受信器のIDが付与された状態で前記第2無線送受信器に転送することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の無線通信システムにおいて、前記他の第1無線送受信器は、まず第2無線送受信器に接続要求信号を送信し、第2無線送受信器から送信されたデータを受信できなかった場合にのみ、前記一の第1無線送受信器に対して接続要求信号を送信することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記複数の第1無線送受信器のうち、一の第1無線送受信器は、他の第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信し、該接続要求信号に含まれるIDを自己のIDに変更して前記第2無線送受信器に転送し、前記第2無線送受信器から送信されたデータを受信して前記他の第1無線送受信器に転送することを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信すると、データを所定量のデータ列に分割して送信し、前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器から送信された所定量のデータ列を受信するたび毎に、その受信したデータ列の正否を判断し、その判断に応じた正信号又は否信号を前記偏波ダイバーシチ手段を用いて前記第2無線送受信器に送信し、前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器が受信したデータ列が正しくないことを前記正信号又は否信号から判断したとき、同一のデータ列を再度送信することを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信すると、データを所定量のデータ列に分割して送信し、前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器から送信された所定量のデータ列を受信するたび毎に、その受信したデータ列の正否を判断し、正しいデータ列を受信したと判断できないとき、その旨の否信号を前記偏波ダイバーシチ手段を用いて前記第2無線送受信器に送信し、前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から前記否信号を受信したとき、同一のデータ列を再度送信することを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項10に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、正しいデータ列を受信したと判断できたとき、その旨の正信号を前記偏波ダイバーシチ手段を用いて前記第2無線送受信器に送信し、前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から前記正信号を受信しないとき、次のデータ列を送信しないことを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、既知のパターンのテスト信号を発生させるテスト信号発生部と、前記偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を制御する動作制御部とをさらに有し、前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器の複数のアンテナから送信され、前記フェーズドアレイアンテナによって受信したテスト信号の受信レベルを前記複数のアンテナ毎に検出するレベル検出部と、前記レベル検出部によって該複数のアンテナ毎に検出された受信レベルを比較して、該複数のアンテナのうち最も受信レベルが高いテスト信号を送信したアンテナを判定する受信レベル比較部と、受信レベル比較部によって判定されたアンテナを特定するアンテナ特定情報をフェーズドアレイアンテナを介してモニタ装置211に送信するアンテナ情報送信部とをさらに有し、前記動作制御部は、前記アンテナ情報送信部から送信されたアンテナ特定情報を受信して、その後の正信号又は否信号の送信にあたって、該アンテナ特定情報によって特定されるアンテナを前記一のアンテナとして優先的に用いることを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器は、前記複数のアンテナ毎に前記正信号又は否信号の通信が成功した確率を算出する確率算出部と、前記偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を制御する動作制御部とをさらに有し、前記動作制御部は、前記正信号又は否信号の送信にあたって、前記確率算出部によって算出された確率が最も高いアンテナを前記一のアンテナとして優先的に用いることを特徴とする。
【0022】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記第1無線送受信器と前記第2無線送受信器の間における前記接続要求信号、テスト信号、動作停止信号、ダイバーシチ停止信号、正信号又は否信号及び受信済信号の通信は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式を用いてなされ、前記第2無線送受信器は、前記フェーズドアレイアンテナの指向性を、TDMA方式のタイムスロットに準じて切り替えることを特徴とする。
【0023】
請求項15の発明は、異なる偏波面の電波に対応する複数のアンテナと、前記複数のアンテナを切り替えて制御するアンテナ制御部とを含んで成る偏波ダイバーシチ手段を有し、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の無線通信システムに適用可能な第1無線送受信器である。
【0024】
請求項16の発明は、送受信される電波の位相を可変とすることにより指向性を変更可能とするフェーズドアレイアンテナを有し、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の無線通信システムに適用可能な第2無線送受信器である。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、第1無線送受信器の偏波ダイバーシチ手段によって、マルチパスフェージングの影響を低減すると共に、第2無線送受信器のフェーズドアレイアンテナによって、第2無線送受信器側のアンテナ指向性を第1無線送受信器の設置場所や周囲の環境に合わせることができる。これにより、例えば、インターホンシステムのような双方向に信号が伝送される通信においても、電波の偏波面の回転に対応させて双方向の通信感度を高めることができる。また、第2無線送受信器は、当初、フェーズドアレイアンテナの指向性を無指向として第1無線送受信器の各アンテナから送信された接続要求信号を受信する。従って、第2無線送受信器の周辺に第1無線送受信器が複数個配置されている場合にあっても、いずれの第1無線送受信器から送信された接続要求信号に対しても対応することができる。また、第1無線送受信器から送信される接続要求信号は、その後第2無線送受信器から送信されるデータに対して、極めて小さな伝送量で済むこととなる。そのため、複数のアンテナを用いた送信時間を短縮でき、迅速に通信を行うことができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、第2無線送受信器のフェーズドアレイアンテナの受信レベルが閾値以上であるとき、第2無線送受信器からダイバーシチ停止信号が送信され、第1無線送受信器の偏波ダイバーシチ手段によるダイバーシチ機能がオフされる。従って、第1無線送受信器と第2無線送受信器とが比較的近接して設置された場合等のように両者の通信環境が良好である場合に、第1無線送受信器の消費電力の低減を図ることができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、第1無線送受信器からテスト信号が送信された後、期間計数部が所定の期間を計数したとき、第1無線送受信器からテスト信号を送信するので、所定の期間ごとにダイバーシチ機能のオン/オフ設定を見直すことができる。これにより、通信環境が変化する場合にあっても、ダイバーシチ機能の要否を自動的に再設定し、環境の変化に対応できるようになる。
【0028】
請求項4の発明によれば、偏波ダイバーシチ手段によるダイバーシチ機能がオフされた後、第2無線送受信器から送信されたデータを第1無線送受信器が受信できない場合、動作制御部がダイバーシチ機能をオンする。これにより、当初良好であった通信環境が悪化した場合であっても、ダイバーシチ機能を有効にして通信の信頼性を維持することが可能となる。従って、通常の通信環境においては第1無線送受信器の低消費電力化を図りつつ、一時的に通信環境が悪化した場合であっても、ダイバーシチ機能を一時的に有効にして通信の信頼性を維持できる。
【0029】
請求項5の発明によれば、ダイバーシチ機能をオフにした状態における、実際の動作で発生した通信エラーの回数を計数し、再度偏波ダイバーシチ手段の要否を検討するので、現実の通信環境の変化に応じて、消費電力の低減と通信の信頼性維持の高度な両立を図ることができる。
【0030】
請求項6の発明によれば、一の第1無線送受信器が他の第1無線送受信器と第2無線送受信器を中継する。これにより、例えば、第2無線送受信器から離れて他の第1無線送受信器が設置された場合であっても、一の第1無線送受信器を介して接続要求信号を送信することができ、その送信をより確実に行えるようになる。また、一の第1無線送受信器と第2無線送受信器とが通信中にあっても、他の第1無線送受信器からの接続要求信号を割り込ませることができ、他の第1無線送受信器と第2無線送受信器との通信を確立することができる。
【0031】
請求項7の発明によれば、他の第1無線送受信器は、まず第2無線送受信器に接続要求信号を送信し、第2無線送受信器から送信されたデータを受信できなかった場合にのみ、一の第1無線送受信器が接続要求信号の中継を行う。従って、例えば、他の第1無線送受信器と第2無線送受信器とが良好な通信を行うのに十分な程度に近接して設置されている場合には、他の第1無線送受信器と第2無線送受信器との間で通信がなされ、一の第1無線送受信器の消費電力を低減できる。
【0032】
請求項8の発明によれば、一の第1無線送受信器が第2無線送受信器から送信されたデータの中継を行うので、互いに単独では通信ができない程度に、他の第1無線送受信器と第2無線送受信器とが離れて設置されている場合や、両者の間に通信の障害が存在する場合であっても、両者の間で信頼性の高い通信が行えるようになる。
【0033】
請求項9の発明によれば、第1無線送受信器が第2無線送受信器から送信されたデータの受信の正否を示す正信号又は否信号を送信する際に、偏波ダイバーシチ機能を用いるので、同信号に関する通信の信頼性を高めることができる。
【0034】
請求項10の発明によれば、第2無線送受信器は、第1無線送受信器から偏波ダイバーシチ機能を用いて送信された否信号を受信したとき、同一のデータ列を再度送信するので、請求項9の発明に比べて、正信号の伝送を省略でき、伝送効率を向上させることができる。
【0035】
請求項11の発明によれば、第2無線送受信器は、正信号を受信しないとき、次のデータ列を送信せず、第1無線送受信器は、第2無線送受信器からデータ列を受信しないとき、アンテナを切り替えて正信号を第2無線送受信器に送信する。従って、第1無線送受信器から送信された正信号が第2無線送受信器に届かなかった場合に、再度正信号が送信されるので、第2無線送受信器を正信号及び否信号に応じて動作させることができる。すなわち、第1無線送受信器から送信された正信号が第2無線送受信器に届かなかった場合にのみ、別のアンテナで再度正信号が送信される。従って、1回目の送信で正信号が第2無線送受信器に届いた場合には2回目の送信を行わないため、第1無線送受信器の消費電力の低減を図ることができる。
【0036】
請求項12の発明によれば、第1無線送受信器の動作制御部が最も受信レベルが高いテスト信号を送信したアンテナを優先的に使用して正信号又は否信号を送信するので、最初の正信号又は否信号の送信が成功する可能性が高くなり、無線通信システムの消費電力のさらなる低減を図ることができるようになる。
【0037】
請求項13の発明によれば、正信号又は否信号の通信成功確率が最も高い、すなわち現実の通信環境に最も適応するアンテナを優先的に用いて正信号又は否信号を送信するので、以後の正信号又は否信号の送信においては、最初の送信が成功する可能性が高くなり、無線通信システムの消費電力のさらなる低減を図ることができるようになる。
【0038】
請求項14の発明によれば、第1無線送受信器と前記第2無線送受信器の間における各信号の通信にTDMA方式を適用しているので、両者間の通信時間がTDMA方式のタイムスロットにより確立される。よって、無線通信システムを構成する第1無線送受信器及び第2無線送受信器を増やした場合においても、信号同士の衝突が防止され、通信の信頼性を高めることができる。さらにフェーズドアレイアンテナの指向性をTDMA方式のタイムスロットに準じて切り替えるので、第1無線送受信器の動作と第2無線送受信器の動作の同期が得られ、通信の信頼性をより一層高めることが可能となる。
【0039】
請求項15の発明によれば、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の無線通信システムを容易に構築できるようになる。
【0040】
請求項16の発明によれば、請求項15の発明と相まって請求項1乃至13のいずれか一項に記載の無線通信システムを容易に構築できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態による無線通信システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】同無線通信システムのモニタ装置及びカメラ装置の構成を示すブロック図。
【図3】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図5】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の第3実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図7】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の第4実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図9】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図10】本発明の第5実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図11】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の第6実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図13】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図14】本発明の第7実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図15】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図16】本発明の第8実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図17】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図18】本発明の第9実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図19】本発明の第10実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図20】本発明の第10実施形態による無線通信システムの別の動作態様を示すフローチャート。
【図21】本発明の第11実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図22】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図23】本発明の第12実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図。
【図24】同無線通信システムの動作を示すフローチャート。
【図25】本発明の第13実施形態による無線通信システム及び通信手順を示している。
【図26】同無線通信システムにおける各モニタ装置とカメラ装置と間の通信手順を時系列的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による無線通信システムについて図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の無線通信システムを示している。無線通信システム1は、例えば、マンション等の住宅用のインターホンシステムとして適用され、屋内に設置されるモニタ装置(第1無線送受信器)2と、玄関等の屋外に設置されるカメラ装置(第2無線送受信器)3等によって構成されている。モニタ装置2は、住居内の各部屋から玄関の様子をうかがえるように、通常、各部屋に配設されている。カメラ装置3によって撮像された映像信号は、無線によりモニタ装置2に送信され表示される。また、モニタ装置2とカメラ装置3との間で音声信号が無線により送信され、玄関の訪問者と各部屋の居住者との間で相互に会話が可能となる。以下において、カメラ装置3から送信される映像信号は、音声信号を含めた映像信号であるとする。
【0043】
図2は、モニタ装置2及びカメラ装置3の構成を示している。モニタ装置2は、偏波ダイバーシチアンテナ(偏波ダイバーシチ手段)51と、アンテナ制御部(偏波ダイバーシチ手段)52と、無線部53と、信号処理部54と、モニタ部55と、誤り訂正処理部56と、制御部57等を有している。偏波ダイバーシチアンテナ51は、異なる偏波面の電波に対応可能なように、水平偏波に対応するアンテナ51aと、垂直偏波に対応するアンテナ51bを有している。アンテナ制御部52は、偏波ダイバーシチアンテナ51の切り替えを制御する。無線部53は、偏波ダイバーシチアンテナ51を介して、主として映像信号を送受信する。信号処理部54は、受信した映像信号に対し各種の信号処理を実施する。モニタ部55は、信号処理された映像信号を表示する。誤り訂正処理部56は、カメラ装置3に送信する信号に誤り訂正符号処理を施し、またカメラ装置3から受信した信号に誤り訂正復号処理を施す。ここで、誤り訂正符号処理とは、伝送すべき情報に冗長ビットを加え、電波伝搬中等にビットに誤りが生じた際にも受信側で誤り訂正復号処理を行うことにより、エラーを修正する技術である。誤り訂正方式には複数の種類があり、訂正能力の高い方式を使用すれば、回路規模は増大するが、後述する同期加算処理よりも感度を向上させることができる。誤り訂正処理技術は公知の技術であるため、ここでは詳しい説明を省略する。制御部57は、モニタ装置2の上記各部の制御を司る。例えば、制御部57は、無線部53における送受信動作の切り替え等を制御する。
【0044】
カメラ装置3は、フェーズドアレイアンテナ71と、移相制御部72と、無線部73と、信号処理部74と、カメラ部75と、誤り訂正処理部76と、制御部77等を有している。フェーズドアレイアンテナ71は、アンテナ指向性を変更可能とする複数のアンテナ71a、71b、71cとアンテナ71a、71b、71cによって送受信する電波の位相を可変とする可変移相器71e、71f、71g等を有している。アンテナ71a、71b、71cによって送受信される電波の位相を変えることにより、フェーズドアレイアンテナ71の指向性を変更できる。移相制御部72は、可変移相器71e、71f、71gを制御することにより、フェーズドアレイアンテナ71の指向性を制御する。フェーズドアレイアンテナ71を構成するアンテナの本数は、4本以上であってもよく、これに伴い可変移相器の点数も4点以上であってもよい。無線部73は、フェーズドアレイアンテナ71を介して、主として映像信号を送受信する。信号処理部74は、カメラ部75によって撮像された映像信号に対し各種の信号処理を実施する。カメラ部75は、レンズを介して入射した光を電気信号に変換して信号処理部74に出力する。誤り訂正処理部76は、モニタ装置2に送信する信号に誤り訂正符号処理を施し、またモニタ装置2から受信した信号に誤り訂正復号処理を施す。制御部77は、カメラ装置3の上記各部の制御を司り、カメラ部75によって撮像された映像信号等のデータをフェーズドアレイアンテナ71を介して送信する。このとき、制御部77は、無線部73における送受信動作の切り替え等を制御する。
【0045】
図3は、本第1実施形態による無線通信システム1の動作を示している。まず、カメラ装置3の制御部77は、フェーズドアレイアンテナ71を構成するアンテナ71a、71b、71cのうちいずれか1本を動作させ、無指向の状態で待機させる(#1)。図1に示すようにモニタ装置2が複数個存在する場合に、どの方向に存在するモニタ装置2から送信される信号も受信可能とするためである。カメラ装置3のフェーズドアレイアンテナ71を無指向性としてモニタ装置から送信される信号を受信する際の感度は、対象となるモニタ装置2にアンテナ指向性を合わせて通信している際よりも劣化する。そこで本無線通信システムにおいては、モニタ装置2に設けられている偏波ダイバーシチアンテナ51によって偏波ダイバーシチを実行し高感度化を図っている。
【0046】
カメラ装置3の近傍に訪問者が現れ、カメラ装置3に設けられている人感センサによって検知され、カメラ装置3によって撮像された映像信号が送信されると(#2においてYES)、制御部77は予め登録されているモニタ装置2にフェーズドアレイアンテナ71の指向性を合わせ(#3)、カメラ部75によって撮像された映像信号に誤り訂正符号化処理を施し、無線部53で変調して送信する(#4)。#3において、より具体的には、制御部77から制御信号を受けた移相制御部72が、フェーズドアレイアンテナ71を構成する各アンテナの可変移相器71e、71f、71gを制御することにより、フェーズドアレイアンテナ71の指向性を予め登録されているモニタ装置2の方向に合わせる。無線通信システム1の設置の際には、管理者によって主となるモニタ装置2が予め登録されている。登録されたモニタ装置2の方向等に関する情報は、移相制御部72のレジスタに書き込まれて処理され、フェーズドアレイアンテナ71の指向性が制御される。
【0047】
その後、モニタ装置2は、偏波ダイバーシチアンテナ51を動作させて映像信号を受信して、その受信信号に誤り訂正復号化処理を施した後、モニタ部に表示する(#5)。ここで偏波ダイバーシチの実行にあたっては、例えば、より高い受信レベルのアンテナを選択して受信する選択ダイバーシチや、受信レベルがある閾値以下となったときに異なる偏波面のアンテナに切り替える切り替えダイバーシチ等が適用される。
【0048】
カメラ装置3の近傍に訪問者が現れない場合であっても(#2においてNO)、居住者はモニタ装置2を操作することによって、カメラ装置3が撮像した映像をモニタ装置2で確認することができる。モニタ装置2が居住者によって操作されると(#6においてYES)、モニタ装置2の制御部57は、カメラ装置3に接続要求信号を送信させる。この接続要求信号は、モニタ装置2に付与されているIDを含み、これを受信したカメラ装置3は、IDから複数のモニタ装置2のうち、どのモニタ装置2から接続の要求を受けたのかを認識する。
【0049】
より具体的には、誤り訂正処理部56が接続要求信号に誤り訂正符号化処理を施し(#7)、無線部53が各アンテナ51a及び51bから同一の接続要求信号を、それぞれ1回ずつ送信させる(#8、#9)。すなわち、制御部57が無線部53に接続要求信号を変調させる指示を出すと共に、アンテナ制御部52にアンテナ51a、51bを切り替えて接続要求信号を各偏波面のアンテナ51a及び51bからそれぞれ1回ずつ送信するように指示を出す。このとき、異なる偏波面を持つ電波に対応する複数のアンテナ51a及び51bから同一の接続要求信号が送出されているため、映像信号の受信時における偏波ダイバーシチと同等の偏波ダイバーシチ効果を接続要求信号の送信時にも得ることができる。従って、フェーズドアレイアンテナ71を無指向性にした際の感度劣化を偏波ダイバーシチの効果により低減することができる。なお、居住者がモニタ装置2を操作しなければ(#6においてNO)、#1に戻ることになる。
【0050】
一方、カメラ装置3は、モニタ装置2のアンテナ51a及び51bから送信された接続要求信号をフェーズドアレイアンテナ71によって受信し(#10)、誤り訂正処理部76がその受信信号に誤り訂正符号化処理を施す(#11)。さらにカメラ装置3の制御部77は、受信信号に含まれるIDから接続要求信号を送信したモニタ装置2を特定し、移相制御部72がフェーズドアレイアンテナ71の指向性を特定されたモニタ装置2に合わせて(#12)、映像信号を送出する(#4に移行)。
【0051】
以上のように、本第1実施形態の無線通信システム1によれば、接続要求信号を送信して映像信号を受信するモニタ装置2に偏波ダイバーシチアンテナ51を、接続要求信号を受信して映像信号を送信するカメラ装置3にフェーズドアレイアンテナ71を配設している。従って、モニタ装置2の偏波ダイバーシチアンテナ51によって、マルチパスフェージングの影響を低減すると共に、カメラ装置3のフェーズドアレイアンテナ71によって、カメラ装置3の側のアンテナ指向性をモニタ装置2の設置場所や周囲の環境に合わせることができる。これにより、例えば、インターホンシステムのような双方向に信号が伝送される通信においても、電波の偏波面の回転に対応させて双方向の通信感度を高めることができる。特に、インターホンシステムにおいては、映像信号などの大容量のデータは、カメラ装置3からモニタ装置2に対する一方向にのみ送信され、逆にモニタ装置2からカメラ装置3に対しては、接続要求信号等の情報量が極めて少ないデータのみが送信される。このような非対称な双方向の通信において、小容量の情報を送出するモニタ装置2の側に偏波ダイバーシチアンテナを設けているので、送受信のいずれの場合においても偏波ダイバーシチの効果により、高感度な通信を実現できる。一方、大容量の情報を送出するカメラ装置3の側にフェーズドアレイアンテナ71を設けているので、映像信号を送出する際に指向性を複数のモニタ装置2のうち通信相手方のモニタ装置2に合わせることにより、通信感度を維持できる。また、映像信号を送出する際にフェーズドアレイアンテナ71の指向性を絞ることにより、マルチパスの影響を低減できるようになる。
【0052】
また、カメラ装置3は、当初、フェーズドアレイアンテナ71の指向性を無指向としてモニタ装置2の各アンテナ51a、51bから送信された接続要求信号を受信する。従って、カメラ装置3の周辺にモニタ装置2が複数個配置されている場合にあっても、いずれのモニタ装置2から送信された接続要求信号に対しても対応することができる。また、モニタ装置2から送信される接続要求信号は、その後カメラ装置3から送信される映像データに対して、極めて小さな伝送量で済むこととなる。そのため、複数のアンテナ51a、51bを用いて2回送信する場合にあっても、現実的な時間で通信できる。このように、接続要求信号を出力する側にダイバーシチ機能を設ける本願発明に独自の構成による効果は、偏波ダイバーシチアンテナ51のアンテナ数をさらに増やした場合に顕著なものとなる。また、接続要求信号及び映像信号の送受信時に、誤り訂正処理部56、76が誤り訂正符号化処理及び誤り訂正復号化処理を行うので、受信感度が劣化している場合であっても、受信側で誤りを訂正し、無線通信の信頼性を高めることができる。
【0053】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム12は、モニタ装置22及びカメラ装置32を有している。モニタ装置22は、モニタ装置2の各構成に加えて、テスト信号発生部58がさらに追加されている。カメラ装置32は、カメラ装置3の各構成に加えて、レベル検出部78、閾値比較部79、閾値設定部80がさらに追加されている。
【0054】
テスト信号発生部58は、カメラ装置32に送信するテスト信号を発生させる。このテスト信号は、偏波ダイバーシチアンテナ51の偏波ダイバーシチ機能を用いた高感度化の要否を確認するために使用するものであり、カメラ装置32にとっても既知のパターンとされる。テスト信号発生部58によって発生されたテスト信号は、無線部53によって偏波ダイバーシチアンテナ51を介してカメラ装置32に送信される。
【0055】
レベル検出部78は、フェーズドアレイアンテナ71によって受信したテスト信号の受信レベルを検出する。閾値比較部79は、レベル検出部78によって検出された受信レベルと、閾値設定部80によって予め設定されている所定の閾値とを比較する。閾値設定部80は、上記高感度化処理の要否を判定する基準となる閾値を設定する。制御部(停止送信制御部)77は、閾値比較部79による比較において受信レベルが閾値以上であるとき、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能(偏波ダイバーシチ動作)をオフさせる旨のダイバーシチ停止信号を、モニタ装置22に送信する。
【0056】
モニタ装置22の制御部(動作制御部)57は、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能のオン/オフを制御する。すなわち、カメラ装置32から送信されたダイバーシチ停止信号を受信したとき、制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能をオフする。より具体的には、制御部57は、偏波ダイバーシチ機能に関わるブロック(例えば、アンテナ制御部52)の電源をオフにすることにより、省電力化を図る。
【0057】
図5は、本第2実施形態による無線通信システム12の動作の一例を示している。この動作は、無線通信システム12の設置の際、又は通信環境の変化に応じて適宜実行される。まず、モニタ装置22のテスト信号発生部58がテスト信号を発生させ、無線部53が偏波ダイバーシチアンテナ51のいずれかのアンテナ51a又は51bを介してカメラ装置32に送信する(#21)。カメラ装置32がモニタ装置22から送信されたテスト信号を受信し(#22)、レベル検出部78がその受信レベルを検出し(#23)、閾値比較部79がその受信レベルを閾値と比較する(#24)。その結果、カメラ装置32が受信したテスト信号の受信レベルが閾値以上である場合には(#25においてYES)、カメラ装置32の制御部77は、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能をオフさせる旨のダイバーシチ停止信号を、モニタ装置22に送信する(#26)。モニタ装置22がカメラ装置32から送信されたダイバーシチ停止信号を受信すると(#27)、制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能をオフする(#28)。
【0058】
一方、カメラ装置32が受信したテスト信号の受信レベルが閾値未満である場合には、モニタ装置22のアンテナ制御部52は、別のアンテナ51b又は51aに切り替えて、上記#21乃至#24の処理を実行し、それでもなお受信レベルが閾値未満である場合には(#25においてNO)、制御部77は、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能をオンさせる旨の信号を、モニタ装置22に送信する(#29)。モニタ装置22がカメラ装置32から送信された上記信号を受信すると(#30)、制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51による偏波ダイバーシチ機能をオンする(#31)。このような手順により、偏波ダイバーシチ機能のオン/オフを設定した後は、通常の通信動作を実行する。すなわち、偏波ダイバーシチ機能がオンに設定されている場合は(#31)、図3と同等の通信動作を実行する。偏波ダイバーシチ機能がオフに設定されている場合は(#30)、#5においては、#21の際に送信したアンテナ51a又は51bを用いて受信し、#8、#9においては、#21の際に送信したアンテナ51a又は51bを用いて送信する。
【0059】
以上のように、本第2実施形態の無線通信システム12によれば、カメラ装置32のフェーズドアレイアンテナ71の受信レベルが閾値以上であるとき、カメラ装置32からダイバーシチ停止信号が送信され、モニタ装置22の偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能がオフされる。従って、モニタ装置22とカメラ装置32とが比較的近接して設置された場合等のように両者の通信環境が良好である場合に、モニタ装置22の消費電力の低減を図ることができる。
【0060】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム13は、モニタ装置23及びカメラ装置33を有している。モニタ装置23は、モニタ装置22の各構成に加えて、期間計数部59がさらに追加されている。カメラ装置33の構成は、カメラ装置32と同等である。
【0061】
期間計数部59は、モニタ装置23の偏波ダイバーシチアンテナ51からテスト信号が送信されたことを契機として、期間を計数する。そして、期間計数部59が所定の期間を計数したとき、モニタ装置23からテスト信号を再送信する。これに伴い、閾値比較部79において再度ダイバーシチ機能の要否が判定される。なお、期間計数部59が計数する所定の期間とは、例えば1週間乃至1月程度であるとする。
【0062】
図7は、本第3実施形態による無線通信システム13の動作を示している。無線通信システム13の動作は、図5に示す#28及び#31の後に、#32、#33を追加する点において無線通信システム12とは相違する。また、#21において、無線部53が偏波ダイバーシチアンテナ51のいずれかのアンテナ51a又は51bを介してテスト信号をカメラ装置32に送信した後、期間計数部59が計数を開始する。#28及び#31の動作を実行後、通常の通信動作を実行中に、期間計数部59が所定の期間を計数すると(#32においてYES)、#21に戻って、無線部53が再度テスト信号を送信した後、期間計数部59が計数を開始する。そして、#22以降の動作を実行することにより、再度ダイバーシチ機能の要否が判定される。一方、期間計数部59が所定の期間を計数するまでは(#32においてNO)、#25におけるダイバーシチ機能の要否の判定に基づいて、無線通信システム13が動作し、期間計数部59が計数を継続する。
【0063】
以上のように、本第3実施形態の無線通信システム13によれば、モニタ装置23からテスト信号が送信された後、期間計数部59が所定の期間を計数したとき、モニタ装置23からテスト信号を送信するので、所定の期間毎にダイバーシチ機能のオン/オフ設定を見直すことができる。これにより、通信環境が変化する場合にあっても、ダイバーシチ機能の要否を自動的に再設定し、環境の変化に対応できるようになる。
【0064】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム14は、モニタ装置24及びカメラ装置34を有している。モニタ装置24は、モニタ装置22の各構成に加えて、受信可否判定部60がさらに追加されている。カメラ装置34の構成は、カメラ装置32と同等である。
【0065】
受信可否判定部60は、カメラ装置34から送信されるデータの受信の可否を判定する。制御部57が偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオフにした後、カメラ装置34に送信した接続要求信号に対して、カメラ装置34から映像信号等のデータが送信される。モニタ装置24の受信可否判定部60は、カメラ装置34から送信される映像信号等のデータを無線部53が受信できないときは、制御部57にその旨の信号を出力する。この信号を受けた制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオンにして、偏波ダイバーシチアンテナ51による受信感度を高める。
【0066】
図9は、本第4実施形態による無線通信システム14の動作の一例を示している。同図に示す動作は、図5における#28の動作の後に追加される。良好な通信環境下、モニタ装置24の制御部57が、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオフにした後(#28)、モニタ装置24が居住者によって操作されると、モニタ装置24からカメラ装置34に接続要求信号が送信される(#41)。この接続要求信号は、ダイバーシチ機能を使用することなく、いずれかのアンテナ51a又は51bによって送信される。この接続要求信号を受信したカメラ装置34からモニタ装置24に映像信号等のデータが送信され、受信可否判定部60がこれを受信できたと判定したときは(#42においてYES)、#28に戻る。一方、通信環境が悪化し、受信可否判定部60が、映像信号等のデータを受信できなかったと判定したときは(#42においてNO)、制御部57にその旨の信号を出力し、この信号を受けた制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能を強制的にオンにする(#43)。そして、再度偏波ダイバーシチアンテナ51を使用して接続要求信号を送信し(#44)、通信を行った後、#28に戻る。制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能を所定時間オンさせた後、オフしてもよい。なお、#42において、受信の可否判定として、例えば以下の手法を用いることができる。すなわち、モニタ装置24とカメラ装置34とは、予め決められた一定時間内に定期通信を行っており、その時間内にデータもしくは定期通信の信号を受信できた場合は、「受信できた」と判断し、受信できなかった場合には「受信できない」と判断する。
【0067】
以上のように、本第4実施形態の無線通信システム14によれば、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能がオフされた後、カメラ装置34から送信されたデータをモニタ装置24が受信できない場合、制御部57がダイバーシチ機能をオンする。これにより、当初良好であった通信環境が悪化した場合であっても、ダイバーシチ機能を有効にして通信の信頼性を維持することが可能となる。例えば、当初良好であった通信環境が家庭内で使用される電子機器から一時的に発せられるノイズ等の影響により悪化し、モニタ装置24がダイバーシチ機能を停止させた状態で受信できない場合、再度ダイバーシチ機能を有効にする。また、カメラ装置34から送信されたデータをモニタ装置24が受信した後は、ダイバーシチ機能が再びオフにして消費電力を低減する。これにより、通常の通信環境においてはモニタ装置24の低消費電力化を図りつつ、一時的に通信環境が悪化した場合であっても、ダイバーシチ機能を一時的に有効にして通信の信頼性を維持できる。
【0068】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム15は、モニタ装置25及びカメラ装置35を有している。モニタ装置25は、モニタ装置24の各構成に加えて、受信不可計数部61がさらに追加されている。カメラ装置35の構成は、カメラ装置32と同等である。
【0069】
受信不可計数部61は、受信可否判定部60がデータを受信できないと判定した回数を計数する。この判定にも、本第4実施形態の無線通信システム14における図9の#42の処理で説明した手法が用いられる。偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオフにした後、受信不可計数部61が予め定められた所定の回数を計数すると、制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオンにする。
【0070】
例えば、第4実施形態の無線通信システム14の設置後にレイアウト変更などにより家具を移動した場合にあっては、通信環境の悪化は一時的なものではなくその後も継続することが予測される。このような場合においても、無線通信システム14ではダイバーシチの機能をオフにして(#28)、接続要求信号を送信し(#41)、さらには、これに#42の動作が伴っていた。
【0071】
一方、本第5実施形態による無線通信システム15においては、受信不可計数部61が所定回数を計数すると、制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオンにする。従って、家具の移動に伴う通信環境の継続的な悪化が生ずる場合に、ダイバーシチ機能をオンにして無線通信システム15の消費電力を低減すると共に、通信の信頼性を迅速に回復させることができる。
【0072】
図11は、第5実施形態による無線通信システム15の動作の一例を示している。無線通信システム15の動作は、図9に示す#42と#43の間に、#51乃至#53を追加する点において無線通信システム14とは相違する。すなわち、通信環境の悪化に伴い、受信可否判定部60が、映像信号等のデータを受信できなかったと判定したときは(#42においてNO)、制御部57及び受信不可計数部61にその旨の信号を出力し、この信号を受けた受信不可計数部61は、データを受信できないと判定した回数を1繰り上げる(#51)。そして、受信不可計数部61が予め定められた所定の回数を計数すると(#52においてYES)、受信不可計数部61は、計数値をリセットし(#53)、制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ機能をオンにする。(#43)。一方、受信不可計数部61の計数値が所定の回数に満たない場合には(#52においてNO)、#28に戻る。
【0073】
以上のように、本第5実施形態の無線通信システム15によれば、ダイバーシチ機能をオフにした状態における、実際の動作で発生した通信エラーの回数を計数し、再度偏波ダイバーシチ機能の要否を検討するので、現実の通信環境の変化に応じて、消費電力の低減と通信の信頼性維持の高度な両立を図ることができる。
【0074】
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム16は、モニタ装置2A、2B及びカメラ装置3を有している。モニタ装置2A、2Bの構成は、上述したモニタ装置2と同等である。モニタ装置(一の第1無線送受信器)2Aは、モニタ装置(他の第1無線送受信器)2Bから受信した接続要求信号を、そのままカメラ装置3に転送する。このとき、接続要求信号に含まれるIDは、モニタ装置2Bに付与されたIDである。モニタ装置2Aによって転送された接続要求信号を受信したカメラ装置3は、IDを確認し、モニタ装置2Bにフェーズドアレイアンテナ71の指向性を合わせて、映像信号等のデータを送信し、モニタ装置2Bはこれを受信する。
【0075】
図13は、第6実施形態の無線通信システム16の動作を示している。まず、カメラ装置3の制御部77は、フェーズドアレイアンテナ71を構成するアンテナ71a、71b、71cのうちいずれか1本を動作させ、無指向の状態で待機させる(#61)。このとき、図12中、カメラ装置3との距離が長いモニタ装置2Bに対して、カメラ装置3との距離が短いモニタ装置2Aが良好な通信を行うことができる。このような状況で、モニタ装置2Bから接続要求信号が送信されると(#62)、まず、モニタ装置2Aがこれを受信する(#63)。モニタ装置2Aの制御部57は、接続要求信号に含まれるIDからこの信号がモニタ装置2Bから送信されたものと判断し(#64)、そのIDが付与されたままの接続要求信号をカメラ装置3に転送する(#65)。カメラ装置3は、この接続要求信号を受信し(#66)、IDからその信号がモニタ装置2Bから送信されたものと判断する。そして、モニタ装置2Bにフェーズドアレイアンテナ71の指向性を合わせて(#67)、映像信号等のデータを送信する(#68)。モニタ装置2Bはこの映像信号等のデータを偏波ダイバーシチアンテナにより受信する(#69)。
【0076】
以上のように、本第6実施形態の無線通信システム16によれば、モニタ装置2Aがモニタ装置2Bとカメラ装置3を中継する。これにより、例えば、カメラ装置3から離れてモニタ装置2Bが設置された場合であっても、モニタ装置2Aを介して接続要求信号を送信することができ、その送信をより確実に行えるようになる。特に、接続要求信号の送信時は、フェーズドアレイアンテナ71は無指向性であるため、より通信状態が良好なモニタ装置2Aによる中継が有効である。また、モニタ装置2Aとカメラ装置3とが通信中にあっても、モニタ装置2Bからの接続要求信号を割り込ませることができ、モニタ装置2Bとカメラ装置3との通信を確立することができる。この接続要求信号の割り込みは、例えば、TDMA方式の通信で時間的にスロットを分けることにより、容易に実現可能である。
【0077】
(第7実施形態)
図14は、第7実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム17は、モニタ装置2A、2B及びカメラ装置3を有している。モニタ装置(他の第1無線送受信器)2Bは、まずカメラ装置3に接続要求信号を送信する。このとき、カメラ装置3のフェーズドアレイアンテナ71は、無指向の状態で待機しているので、モニタ装置2Bとカメラ装置3とが比較的離れて設置されている場合等においては、カメラ装置3は、モニタ装置2Bから送信された接続要求信号を受信できない。そこで、モニタ装置2Bは、カメラ装置3に対してより近くに設置されているモニタ装置2Aに接続要求信号を送信する。この接続要求信号を受信したモニタ装置2Aは、それをカメラ装置3に転送する。一方、モニタ装置2Bから送信された接続要求信号をカメラ装置3が受信できた場合、モニタ装置2Aによる中継動作は行わない。
【0078】
図15は、第7実施形態による無線通信システム17の動作を示している。無線通信システム17の動作は、図13に示す#62の動作に替えて#71乃至#73の動作を行う点において無線通信システム16とは相違する。すなわち、カメラ装置3がフェーズドアレイアンテナ71を無指向の状態として待機中に(#61)、モニタ装置2Bからカメラ装置3に接続要求信号が送信される(#71)。モニタ装置2Bとカメラ装置3とが比較的近接して設置されている場合、カメラ装置3は接続要求信号を受信することができる。このとき、カメラ装置3は、フェーズドアレイアンテナ71の指向性をモニタ装置2Bに合わせて、映像信号等のデータを送信する。また、このとき、モニタ装置2Aは、モニタ装置2Bとカメラ装置3との間で接続要求信号の中継を行わない。モニタ装置2Bがカメラ装置3から送信された映像信号等のデータを受信できたときは(#72においてYES)、#69に移行して偏波ダイバーシチを実行する。一方、モニタ装置2Bとカメラ装置3とが離れて設置されている場合、カメラ装置3は接続要求信号を受信することができない。この場合には、カメラ装置3から映像信号等のデータが送信されないので、モニタ装置2Bは映像信号等のデータを受信できず(#72においてNO)、モニタ装置2Bからモニタ装置2Aに接続要求信号が送信され(#73)、#63に移行する。
【0079】
以上のように、本第7実施形態の無線通信システム17によれば、モニタ装置2Bは、まずカメラ装置3に接続要求信号を送信し、カメラ装置3から送信されたデータを受信できなかった場合にのみ、モニタ装置2Aが接続要求信号の中継を行う。従って、例えば、モニタ装置2Bとカメラ装置3とが良好な通信を行うのに十分な程度に近接して設置されている場合には、モニタ装置2Bとカメラ装置3との間で通信がなされ、モニタ装置2Aの消費電力を低減できる。
【0080】
(第8実施形態)
図16は、第8実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム18は、モニタ装置2A、2B及びカメラ装置3を有している。モニタ装置(他の第1無線送受信器)2Bとカメラ装置3との間に、壁等の障害物が存在する場合、カメラ装置3からデータを送信してもモニタ装置2Bが単独では受信することができない虞が生ずる。そこで、モニタ装置(一の第1無線送受信器)2Aは、カメラ装置3から送信されたデータを中継してモニタ装置2Bに転送する。
【0081】
図17は、第8実施形態による無線通信システム18の動作を示している。無線通信システム18の動作は、図15に示す#65乃至#68の動作に替えて#81乃至#85の動作を行う点において無線通信システム17とは相違する。すなわち、モニタ装置2Aの制御部57は、接続要求信号に含まれるIDからこの信号がモニタ装置2Bから送信されたものと判断すると(#64)、IDを自己に付与されたものに変更して接続要求信号をカメラ装置3に転送する(#81)。カメラ装置3は、この接続要求信号を受信し(#82)、IDからその信号がモニタ装置2Aから送信されたものと判断する。そして、モニタ装置2Aにフェーズドアレイアンテナ71の指向性を合わせて(#83)、映像信号等のデータを送信する(#84)。モニタ装置2Aはこの映像信号等のデータを偏波ダイバーシチアンテナ51により受信し、モニタ装置2Bに転送する(#85)。モニタ装置2Bはこの映像信号等のデータを偏波ダイバーシチアンテナ51により受信する(#69)。
【0082】
以上のように、本第8実施形態の無線通信システム18によれば、モニタ装置2Aがカメラ装置3から送信されたデータの中継を行うので、互いに単独では通信ができない程度に、モニタ装置2Bとカメラ装置3とが離れて設置されている場合や、両者の間に通信の障害が存在する場合であっても、両者の間で信頼性の高い通信が行えるようになる。
【0083】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態による無線通信システムは、第1実施形態の無線通信システム1と同等の構成を有している。第9実施形態のモニタ装置2は、カメラ装置3から送信された映像信号等のデータを受信すると、その正否に応じたACK(Acknowledgement)/NACK(Negative Acknowledgment)信号(正信号又は否信号)をカメラ装置3に送信する。モニタ装置2の制御部57はカメラ装置3から送信された映像信号等のデータを所定量、例えば1フレームずつ受信し、CRC(Cyclic Redundancy Check)などのチェック機能を用いて、受信したデータのデータ列が正しいデータ列であるか否かを判断する。そして、制御部57は、1フレームのデータを受信するたび毎に上記判断を行い、ACK/NACK信号をカメラ装置3に送信する。受信したデータのデータ列が正しいと判断した場合はACK信号を、正しくないと判断した場合はNACK信号を送信する。このとき、ACK信号又はNACK信号は、偏波ダイバーシチアンテナ51を用いて送信される。すなわち、同一のACK信号又は同一のNACK信号が、水平偏波に対応するアンテナ51a及び垂直偏波に対応するアンテナ51bを用いて、1回ずつ送信される。このACK信号を受信したカメラ装置3は、次のフレームの映像信号等データを順次送信する。なお、ここでは、カメラ装置3から送信された1フレーム単位のデータが順次送信される場合を示したが、1フレームのデータをさらに分割したパケット単位でデータが送信されてもよいし、数フレーム単位でデータが送信されてもよい。
【0084】
図18は、第9実施形態による無線通信システムの動作、特に図3における#5以降の動作を示している。モニタ装置2は、カメラ装置3から送信された映像信号等のデータを偏波ダイバーシチアンテナ51で受信し(#5)、1フレームのデータを受信すると、それを復調すると共に信号処理部54において所定の信号処理を行う(#91)。そして、モニタ装置2の制御部57は、受信したデータのデータ列が正しいデータ列であるか否かを判断する(#92)。受信したデータのデータ列が正しいと判断した場合(#92においてYES)、制御部57は、無線部53を受信から送信に切り替え、偏波ダイバーシチアンテナ51のアンテナ51a及び51bを用いて同一のACK信号を送信させる(#93)。このACK信号を受信したカメラ装置3の制御部77は、次のフレームのデータを送信させ(#94)、#5に戻る。一方、受信したデータのデータ列が正しくないと判断した場合(#92においてNO)、制御部57は、無線部53を受信から送信に切り替え、偏波ダイバーシチアンテナ51のアンテナ51a及び51bを用いて同一のNACK信号を送信させる(#95)。このNACK信号を受信したカメラ装置3の制御部77は、前と同じフレームのデータを再度送信させ(#96)、#5に戻る。
【0085】
以上のように、本第9実施形態の無線通信システムによれば、モニタ装置2がカメラ装置3から送信されたデータの受信の正否を示すACK/NACK信号を送信する際に、偏波ダイバーシチアンテナ51の偏波ダイバーシチ機能を用いるので、同信号に関する通信の信頼性を高めることができる。
【0086】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態による無線通信システムは、第1実施形態の無線通信システム1と同等の構成を有している。第10実施形態のモニタ装置2は、カメラ装置3に対してNACK信号を送信する際、まず、いずれか一のアンテナ51a又は51bを用いる。カメラ装置3が、最初にアンテナ51a又は51bから送信されたNACK信号を受信すると、偏波ダイバーシチアンテナ51によるダイバーシチ動作は行わない。すなわち、モニタ装置2は、上記NACK信号を送信したいずれか一のアンテナ51a又は51bを用いて、カメラ装置3から再送されたデータ列を受信する。
【0087】
図19は、第10実施形態による無線通信システムの動作、特に図3における#5以降の動作を示している。#5、#91及び#92の動作に関しては、図18に示す第9実施形態の無線通信システムの動作と同等である。受信したデータのデータ列が正しいと判断した場合(#92においてYES)、モニタ装置2の制御部57は、偏波ダイバーシチアンテナ51の動作を受信モードに切り替えて次のフレームのデータ列の受信を待ち受け(#101)、#91に戻る。
【0088】
一方、受信したデータのデータ列が正しくないと判断した場合(#92においてNO)、モニタ装置2の制御部57は、いずれかのアンテナ51a又は51bを用いて、NACK信号を送信する(#102)。カメラ装置3がこのNACK信号を受信すると(#103においてYES)、カメラ装置3は、同じフレームのデータ列を再度送信し(#104)、#5に戻る。カメラ装置3がNACK信号を受信できなかった場合は(#103においてNO)、カメラ装置3は、次のフレームのデータ列を送信する(#105)。この場合、モニタ装置2は、#91におけるデータ列と同じデータ列を受信できないので(#106)、制御部57は、#102とは異なるアンテナ51b又は51aを用いて、NACK信号を送信する(#107)。カメラ装置3がこのNACK信号を受信すると(#108においてYES)、#104に移行し、カメラ装置3は同じフレームのデータ列を再度送信する。カメラ装置3がNACK信号を受信できなかった場合は(#108においてNO)、#101に移行し、モニタ装置2は次のフレームのデータ列の受信を待ち受け、カメラ装置3は次のフレームのデータ列を送信する。
【0089】
また、図20は、第10実施形態の無線通信システムにおける別の動作態様を示している。#5、#91及び#92、並びに#102乃至#108の動作に関しては、図19に示すものと同等である。モニタ装置2からACK信号が送信される場合であっても、カメラ装置3によってACK信号が受信できるとは限らない。そこで、図20においては、カメラ装置3によってACK信号が受信できた場合と、そうでない場合について処理を分けている。
【0090】
すなわち、#91において受信したデータのデータ列が正しいと判断した場合(#92においてYES)、モニタ装置2の制御部57は、いずれかのアンテナ51a又は51bを用いて、ACK信号を送信する(#110)。カメラ装置3がこのACK信号を受信すると(#111においてYES)、カメラ装置3は、次のフレームのデータ列を送信する(#112)。カメラ装置3がACK信号を受信できなかった場合は(#111においてNO)、モニタ装置2は、所定時間内に映像信号を受信できないことになる。従って、制御部57は、ACK信号がカメラ装置3に届いていないものと判断し、#110とは異なるアンテナ51b又は51aを用いて、ACK信号を送信する(#113)。カメラ装置3がこのACK信号を受信すると(#114においてYES)、#112に移行し、次のフレームのデータ列を送信する。カメラ装置3がACK信号を受信できなかった場合は(#114においてNO)、#110に戻る。このとき、#110乃至#114の動作が無限にループする可能性があるため、カメラ装置3が所定の時間以上ACK信号を受信できなかった場合には、アラーム等の警告を発したり、次のフレームのデータ列を送信する用に構成してもよい。
【0091】
以上のように、図19に示した動作を行う本第10実施形態の無線通信システムによれば、カメラ装置3は、モニタ装置2から偏波ダイバーシチ機能を用いて送信されたNACK信号を受信したとき、同一のデータ列を再度送信するので、第9実施形態の無線通信システムに比べて、正信号の伝送を省略でき、伝送効率を向上させることができる。
【0092】
また、図20に示した動作を行う本第10実施形態の無線通信システムによれば、カメラ装置3は、ACK信号を受信しないとき、次のデータ列を送信せず、モニタ装置2は、カメラ装置3からデータ列を受信しないとき、アンテナを切り替えてACK信号をカメラ装置3に送信する。すなわち、モニタ装置2から送信されたACK信号がカメラ装置3に届かなかった場合にのみ、別のアンテナで再度ACK信号が送信される。従って、1回目の送信でACK信号がカメラ装置3に届いた場合には2回目の送信を行わないため、モニタ装置2の消費電力の低減を図ることができる。
【0093】
(第11実施形態)
図21は、第11実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム111は、モニタ装置211及びカメラ装置311を有している。モニタ装置211は、モニタ装置22と同等の構成を有している。カメラ装置311は、カメラ装置3の各構成に加えて、レベル検出部78、受信レベル比較部81がさらに追加されている。
【0094】
モニタ装置211のテスト信号発生部58は、カメラ装置311に送信する既知のパターンのテスト信号を発生させる。テスト信号発生部58によって発生されたテスト信号は、アンテナ51a及び51bを用いて送信される。このとき、テスト信号には、送信に用いたアンテナを特定するための情報が添付される。
【0095】
カメラ装置311のレベル検出部78は、アンテナ51a及び51bから送信されたテスト信号の受信レベルを各アンテナ51a、51b毎に検出する。受信レベル比較部81は、レベル検出部78によって検出された受信レベルを比較して、アンテナ51a、51bのうち最も受信レベルが高いテスト信号を送信したアンテナを判定する。また、無線部(アンテナ情報送信部)73及び制御部(アンテナ情報送信部)77は、受信レベル比較部81によって最も受信レベルが高いと判定されたアンテナ51a又は51bを特定するアンテナ特定情報を、フェーズドアレイアンテナ71を介してモニタ装置211に送信する。
【0096】
モニタ装置211の制御部57は、カメラ装置311から送信されたアンテナ特定情報を受信して、その後のACK/NACK信号の送信にあたって、上記アンテナ特定情報によって特定されるアンテナ51a又は51bを優先的に用いる。すなわち、アンテナ51a又は51bのうちアンテナ特定情報によって特定されるものをまず最初に用いて、ACK/NACK信号を送信する。
【0097】
図22は、第11実施形態による無線通信システム111の動作の一例を示している。まず、モニタ装置211がテスト信号発生部58で発生させたテスト信号をアンテナ51aを用いて送信する(#121)。カメラ装置311はそのテスト信号を受信すると(#122)、レベル検出部78により受信レベルを検出し(#123)、受信レベル比較部81がその受信レベルを記憶する(#124)。同様に、モニタ装置211は、続けて同じテスト信号をアンテナ51bを用いて送信する(#125)。カメラ装置311はそのテスト信号を受信すると(#126)、レベル検出部78により受信レベルを検出し(#127)、受信レベル比較部81がその受信レベルを記憶する(#128)。そして、受信レベル比較部81は、#124及び#128において記憶した受信レベルを比較する(#129)。アンテナ51aによって送信されたテスト信号の方が受信レベルが高い場合には(#130においてYES)、無線部73及び制御部77は、アンテナ51aを優先的に使用する旨の制御信号(アンテナ特定情報)を、フェーズドアレイアンテナ71を介してモニタ装置211に送信する(#131)。モニタ装置211は、この制御信号を受信すると(#132)、ACK/NACK信号の送信にあたって、アンテナ51aを優先的に使用する(#133)。一方、アンテナ51bによって送信されたテスト信号の方が受信レベルが高い場合には(#130においてNO)、無線部73及び制御部77は、アンテナ51bを優先的に使用する旨の制御信号(アンテナ特定情報)をモニタ装置211に送信する(#134)。モニタ装置211は、この制御信号を受信すると(#135)、ACK/NACK信号の送信にあたって、アンテナ51bを優先的に使用する(#136)。#133及び#136以降の動作は、図19と同等であるので説明を省略する。
【0098】
以上のように、本第11実施形態の無線通信システム111によれば、モニタ装置211が、テスト信号の受信結果から受信レベル比較部によって通信に適すると判定されたアンテナを優先的に使用してACK/NACK信号を送信する。従って、モニタ装置211からの最初のACK/NACK信号の送信が成功する可能性が高くなり、無線通信システムの消費電力のさらなる低減を図ることができるようになる。
【0099】
(第12実施形態)
図23は、第12実施形態による無線通信システムを示している。無線通信システム112は、モニタ装置212及びカメラ装置312を有している。モニタ装置212は、モニタ装置2の各構成に加えて、確率算出部62がさらに追加されている。またカメラ装置312は、カメラ装置3と同等の構成を有している。
【0100】
確率算出部62は、アンテナ51a、51b毎にACK/NACK信号の通信が成功した確率(以下、通信成功確率とする)を算出する。ACK/NACK信号の通信成功確率は、モニタ装置212がカメラ装置312にACK/NACK信号を送信した回数に対するカメラ装置312からACK/NACK受信済信号を受信した回数の比を算出することにより得ることができる。カメラ装置312は、モニタ装置212からACK/NACK信号を受信すると、ACK/NACK受信済信号をモニタ装置212に送信する。モニタ装置212の確率算出部62は、カメラ装置312からACK/NACK受信済信号を受信後、直ちに通信成功確率を算出し、最新の通信結果をアンテナ51a又は51bの選択に反映させる。そして、モニタ装置212の制御部57は、その後のACK/NACK信号の送信にあたって、確率算出部62によって算出された通信成功確率が最も高いアンテナ51a、51bを優先的に用いる。
【0101】
図24は、第12実施形態による無線通信システム112の動作の一例を示している。#5、#91乃至#96の動作に関しては、図18に示す第9実施形態の無線通信システムの動作と同等である。#94において、カメラ装置312が次のフレームのデータ列を送信すると、モニタ装置212の確率算出部62は、ACK/NACK信号の通信成功確率を再計算し(#141)、#91に戻る。同様に、#96において、カメラ装置312が同じフレームのデータ列を送信すると、モニタ装置212の確率算出部62は、ACK/NACK信号の通信成功確率を再計算し(#141)、#91に戻る。以後モニタ装置は、通信成功確率が最も高いアンテナ51a又は51bを優先的に用いてACK/NACK信号を送信する。
【0102】
以上のように、本第12実施形態の無線通信システム112によれば、ACK/NACK信号の通信成功確率が最も高い、すなわち現実の通信環境に最も適応するアンテナを優先的に用いてACK/NACK信号を送信するので、以後のACK/NACK信号の送信においては、最初に用いたアンテナ51a又は51bによるACK/NACK信号の送信が成功する可能性が高くなり、無線通信システムの消費電力のさらなる低減を図ることができるようになる。
【0103】
(第13実施形態)
図25は、第13実施形態による無線通信システム及び通信手順を示している。無線通信システム113は、モニタ装置2A、2B・・・2Z及びカメラ装置3を有している。各モニタ装置2A、2B・・・2Zの構成は、上述したモニタ装置2と同等である。
【0104】
図26は、第13実施形態による無線通信システム113における各モニタ装置2A、2B・・・2Z及びカメラ装置3間の通信手順を時系列的に示している。各モニタ装置2A、2B・・・2Z及びカメラ装置3間の接続要求信号、映像信号及びACK/NACK信号の通信は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式を用いてなされる。TDMA方式とは、装置間の各通信に対して時間スロットを与えることにより、信号衝突の無い通信を可能とする通信方式である。なお、図26は、各モニタ装置2A、2B・・・2Zのアンテナ51a、51bのダイバシチ機能に対応させて、カメラ装置3から映像信号が繰り返して2度ずつ送信される例を示している。
【0105】
モニタ装置2Aから接続要求信号が送信されると(i)、フェーズドアレイアンテナの指向性を無指向としているカメラ装置3は、接続要求信号を受信する。次のスロットでは、カメラ装置3は、フェーズドアレイアンテナの指向性をモニタ装置2Aに合わせて、所定量の映像信号を送信する(ii)。所定量の映像信号を受信したモニタ装置2Aは、次のスロットでACK/NACK信号をカメラ部3に送信する(iii)。モニタ装置2AがNACK信号をカメラ部3に送信した場合は、カメラ装置3は、同一の映像信号を送信する(ii)。モニタ装置2AがACK信号をカメラ部3に送信した場合は、モニタ装置2Bから接続要求信号が送信される(iv)。以下同様に、モニタ装置2B乃至モニタNとカメラ装置3との間で(v)乃至(ix)の通信を行い、それが完了するとモニタ装置2Aから次の接続要求信号が送信される(i)。以下、上記と同等の通信が繰り返される。その際、カメラ装置3は、フェーズドアレイアンテナの指向性を、TDMA方式のタイムスロットに準じて通信相手に合わせて切り替える。
【0106】
以上のように、本第13実施形態の無線通信システム113によれば、各モニタ装置2A、2B・・・2Zとカメラ装置3の間における各信号の通信にTDMA方式を適用しているので、両者間の通信時間がTDMA方式のタイムスロットにより確立される。よって、無線通信システム113を構成するモニタ装置2A、2B・・・2Z及びカメラ装置3を増やした場合においても、信号同士の衝突が防止され、通信の信頼性を高めることができる。さらにフェーズドアレイアンテナの指向性をTDMA方式のタイムスロットに準じて切り替えるので、カメラ装置3の動作とモニタ装置2A、2B・・・2Zの動作の同期が得られ、通信の信頼性をより一層高めることが可能となる。
【0107】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも無線通信システムを構成するいずれかの送受信器(例えば、モニタ装置2)の側に偏波ダイバーシチアンテナ51を、他方の送受信器(例えば、カメラ装置3)の側にフェーズドアレイアンテナ71が配設されていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、モニタ装置2等に組み込まれるアンテナの数は、3本以上であってもよい。また、第1実施形態乃至第13実施形態において、モニタ装置の点数は、3点以上として各実施形態の無線通信システムが構成されていてもよく、複数のカメラ装置によって無線通信システムが構成されていてもよい。また、それぞれの実施形態の構成が組み合わされて、無線通信システムが構成されていてもよい。
【0108】
また、モニタ装置2等からカメラ装置3等に、各アンテナ51a又は51bを用いて接続要求信号を複数回連続して送信するものとしてもよい。この場合、複数回送信された接続要求信号のうち、一回でもカメラ装置3が受信できればカメラ装置3から映像信号が送信されるので、接続要求信号の通信の信頼性を高めることができる。
【0109】
また、モニタ装置2等から複数回送信された接続要求信号を受信したカメラ装置3等がその受信した接続要求信号の同期加算処理を行い、その加算値に応じて接続要求信号の受信の有無を判定するように構成してもよい。ここでいう同期加算処理とは、複数の接続要求信号を互いに同期させて足し合わせる処理をいう。この場合にあっては、カメラ装置3等は受信した接続要求信号の高感度化を図ることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 無線通信システム
2 モニタ装置(第1無線送受信器)
2A モニタ装置(一の第1無線送受信器)
2B モニタ装置(他の第1無線送受信器)
3 カメラ装置(第2無線送受信器)
51 偏波ダイバーシチアンテナ(偏波ダイバーシチ手段)
51a アンテナ
51b アンテナ
52 アンテナ制御部(偏波ダイバーシチ手段)
57 制御部
58 テスト信号発生部
59 期間計数部
60 受信可否判定部
61 受信不可計数部
62 確率算出部
71 フェーズドアレイアンテナ
73 無線部(アンテナ情報送信部)
77 制御部(アンテナ情報送信部)
78 レベル検出部
79 閾値比較部
80 閾値設定部
81 受信レベル比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる偏波面の電波に対応する複数のアンテナと、前記複数のアンテナを切り替えて制御するアンテナ制御部とを含んで成る偏波ダイバーシチ手段を有する複数の第1無線送受信器と、
送受信される電波の位相を可変とすることにより指向性を変更可能とするフェーズドアレイアンテナを有する第2無線送受信器とを備え、
いずれかの第1無線送受信器は、前記複数のアンテナのそれぞれから、該第1無線送受信器を特定するためのIDを含む接続要求信号を送信し、
前記第2無線送受信器は、前記フェーズドアレイアンテナを無指向状態として、前記第1無線送受信器の複数のアンテナから送信された接続要求信号を受信し、それに含まれるIDから接続要求信号を送信した第1無線送受信器を特定し、前記フェーズドアレイアンテナの指向性を該接続要求信号を送信した第1無線送受信器に合わせてデータを送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1無線送受信器は、既知のパターンのテスト信号を発生させるテスト信号発生部と、偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を制御する動作制御部とをさらに有し、
前記第2無線送受信器は、前記フェーズドアレイアンテナによって受信したテスト信号の受信レベルを検出するレベル検出部と、前記レベル検出部によって検出された受信レベルを所定の閾値と比較する閾値比較部と、前記レベル検出部によって検出された受信レベルが閾値以上であるとき、前記第1無線送受信器の偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を停止させる旨のダイバーシチ停止信号を送信する停止信号送信部をさらに有し、
前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器からダイバーシチ停止信号を受信したとき、前記偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1無線送受信器は、テスト信号を送信したことを契機として、期間を計数する期間計数部をさらに有し、前記期間計数部が所定の期間を計数したとき、さらにテスト信号を送信することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器から送信されるデータの受信の可否を判定する受信可否判定部をさらに有し、
前記偏波ダイバーシチ手段によるダイバーシチ動作が停止された後、前記受信可否判定部が前記第2無線送受信器から送信されたデータを受信できないと判定したとき、動作制御部がダイバーシチ動作を開始させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1無線送受信器は、前記受信可否判定部が前記第2無線送受信器から送信されたデータを受信できないと判定した回数を計数する受信不可計数部をさらに有し、
前記偏波ダイバーシチ手段によるダイバーシチ動作が停止された後、前記受信不可計数部が所定回数を計数したとき、動作制御部がダイバーシチ動作を開始させることを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記複数の第1無線送受信器のうち、一の第1無線送受信器は、他の第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信し、該接続要求信号を前記他の第1無線送受信器のIDが付与された状態で前記第2無線送受信器に転送することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記他の第1無線送受信器は、まず第2無線送受信器に接続要求信号を送信し、第2無線送受信器から送信されたデータを受信できなかった場合にのみ、前記一の第1無線送受信器に対して接続要求信号を送信することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記複数の第1無線送受信器のうち、一の第1無線送受信器は、
他の第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信し、該接続要求信号に含まれるIDを自己のIDに変更して前記第2無線送受信器に転送し、
前記第2無線送受信器から送信されたデータを受信して前記他の第1無線送受信器に転送することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信すると、データを所定量のデータ列に分割して送信し、
前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器から送信された所定量のデータ列を受信するたび毎に、その受信したデータ列の正否を判断し、その判断に応じた正信号又は否信号を前記偏波ダイバーシチ手段を用いて前記第2無線送受信器に送信し、
前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器が受信したデータ列が正しくないことを前記正信号又は否信号から判断したとき、同一のデータ列を再度送信することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から送信された接続要求信号を受信すると、データを所定量のデータ列に分割して送信し、
前記第1無線送受信器は、前記第2無線送受信器から送信された所定量のデータ列を受信するたび毎に、その受信したデータ列の正否を判断し、正しいデータ列を受信したと判断できないとき、その旨の否信号を前記偏波ダイバーシチ手段を用いて前記第2無線送受信器に送信し、
前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から前記否信号を受信したとき、同一のデータ列を再度送信することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第1無線送受信器は、正しいデータ列を受信したと判断できたとき、その旨の正信号を前記偏波ダイバーシチ手段を用いて前記第2無線送受信器に送信し、
前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器から前記正信号を受信しないとき、次のデータ列を送信しないことを特徴とする請求項10に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第1無線送受信器は、既知のパターンのテスト信号を発生させるテスト信号発生部と、前記偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を制御する動作制御部とをさらに有し、
前記第2無線送受信器は、前記第1無線送受信器の複数のアンテナから送信され、前記フェーズドアレイアンテナによって受信したテスト信号の受信レベルを前記複数のアンテナ毎に検出するレベル検出部と、前記レベル検出部によって該複数のアンテナ毎に検出された受信レベルを比較して、該複数のアンテナのうち最も受信レベルが高いテスト信号を送信したアンテナを判定する受信レベル比較部と、受信レベル比較部によって判定されたアンテナを特定するアンテナ特定情報をフェーズドアレイアンテナを介してモニタ装置211に送信するアンテナ情報送信部とをさらに有し、
前記動作制御部は、前記アンテナ情報送信部から送信されたアンテナ特定情報を受信して、その後の正信号又は否信号の送信にあたって、該アンテナ特定情報によって特定されるアンテナを前記一のアンテナとして優先的に用いることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記第1無線送受信器は、前記複数のアンテナ毎に前記正信号又は否信号の通信が成功した確率を算出する確率算出部と、前記偏波ダイバーシチ手段の偏波ダイバーシチ動作を制御する動作制御部とをさらに有し、
前記動作制御部は、前記正信号又は否信号の送信にあたって、前記確率算出部によって算出された確率が最も高いアンテナを前記一のアンテナとして優先的に用いることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記第1無線送受信器と前記第2無線送受信器の間における前記接続要求信号、テスト信号、動作停止信号、ダイバーシチ停止信号、正信号又は否信号及び受信済信号の通信は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式を用いてなされ、前記第2無線送受信器は、前記フェーズドアレイアンテナの指向性を、TDMA方式のタイムスロットに準じて切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項15】
異なる偏波面の電波に対応する複数のアンテナと、前記複数のアンテナを切り替えて制御するアンテナ制御部とを含んで成る偏波ダイバーシチ手段を有し、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の無線通信システムに適用可能な第1無線送受信器。
【請求項16】
送受信される電波の位相を可変とすることにより指向性を変更可能とするフェーズドアレイアンテナを有し、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の無線通信システムに適用可能な第2無線送受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−171820(P2010−171820A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13570(P2009−13570)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】