無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法
【課題】無線通信システム内の各装置の負荷状況に応じて無線基地局あるいは無線基地局制御装置の収容替えを自律的に行って負荷分散を図る。
【解決手段】O&M制御装置は、無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率で代表される負荷の状態を、無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、負荷が予め設定した閾値を超えた場合、負荷が予め定めた閾値を超えた無線基地局制御装置の配下に接続されている無線基地局の1つ、あるいは、呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行う。
【解決手段】O&M制御装置は、無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率で代表される負荷の状態を、無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、負荷が予め設定した閾値を超えた場合、負荷が予め定めた閾値を超えた無線基地局制御装置の配下に接続されている無線基地局の1つ、あるいは、呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線基地局を収容する無線基地局制御装置を備える無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法に係り、特に、異なる無線基地局制御装置への無線基地局の収容替えを、自律的に行うことができる無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE、WiMax、cdma2000 1xEV−DO等の無線通信システは、複数の無線基地局を使用してサービスエリアを構成しており、無線端末はそのサービスエリア内で通信先となる無線基地局を切り替えながら移動して通信を行っている。1つの無線基地局がサービスを提供しているエリアはセルと呼ばれ、無線端末は、無線基地局がサービスしているセルの境界に移動すると、ハンドオーバーと呼ばれる通信先無線基地局の切り替えを行い、切り替え先の無線基地局のセル内に移動し通信を継続することができる。
【0003】
無線基地局を管理し制御している装置は、無線基地局制御装置と呼ばれ、この無線基地局制御装置は、1つ以上の無線基地局を管理し制御している。一般に、無線基地局と無線基地局制御装置とは1対1の関係ではなくN対1の関係となっており、無線基地局は、無線通信システム内の何れか1つの無線基地局制御装置によって管理・制御されている。
【0004】
通信事業者は、ユーザー数が増加して無線リソースが不足し、通信品質が低下した場合に通信品質を改善するとき、サービスエリアを拡大するとき、不感地帯を解消するとき等を契機にとして、新しい無線基地局を増設する。そして、通信事業者は、無線基地局を新規に設置すると、新規に設置した無線基地局を無線通信システム内の何れか1つの無線基地局制御装置に登録して管理させ制御させる。このように、無線基地局をある無線基地局制御装置に管理させ制御させることを、無線基地局を無線基地局制御装置に収容すると呼んでいる。
【0005】
一般に、無線基地局制御装置は、複数の無線基地局を収容することができるので、保守を容易にするために、無線基地局の無線基地局制御装置への登録を、無線基地局制御装置に地理的に近い複数無線基地局を同一の無線基地局制御装置に登録する場合が多い。この場合、ある無線基地局制御装置の配下には、無線端末の数が比較的多い都心部をサービスしている無線基地局が複数収容され、別の無線基地局制御装置の配下には、無線端末の数が比較的少ない郊外をサービスしている無線基地局が複数収容されるというケースが発生し、無線基地局制御装置相互間での通信トラフィックのアンバランス、収容無線基地局数のアンバランスを生じさせる。
【0006】
前述したようなアンバランスを解消可能とした従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、複数の無線基地局が形成する無線ゾーンの集合である位置登録エリア内に無線基地局が新設された場合、新設された無線基地局がGPS等で自局の位置を認識し周辺の複数の無線基地局と通信を行い、周辺無線基地局の所属状況と自局の位置とに基づいて、自局が所属すべき位置登録エリアを選択するというものである。そして、この従来技術は、無線基地局が位置登録エリアの境界付近に位置し、周辺無線基地局の位置登録エリアが複数となる場合、位置登録エリア毎のトラヒックが平滑化され、無線基地局数が平滑化されるよう無線基地局の所属すべき位置登録エリアを選択するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−174665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、通信事業者は、無線基地局を新たに設置した場合に、新たに設置した無線基地局を無線通信システム内のいずれかの無線基地局制御装置に登録して収容させるが、新たに無線基地局を設置するときに、無線通信システムを構成する各装置の負荷がどのように変化するかを把握することは困難である。そのため、通信事業者は、無線通信システムの管理を容易にするために、地理的に近い無線基地局を同一の無線基地局制御装置の配下に接続するといった、通信事業者のポリシーに従って新たな無線基地局をある無線基地局制御装置に登録して収容している。
【0009】
新たな無線基地局を設置すると新しいセルが追加されることになるので、これまで隣接無線基地局に接続していた無線基地局が新しい無線基地局に接続されてトラフィックパターンが変化し、近隣無線基地局でのトラフィック量、接続している無線端末の数などの負荷状況が変わってしまう。ここでの負荷としては、無線通信システムを構成する装置のCPUの使用率があるが、CPUの使用率を増加される要因としては、例えば、送受信するトラフィック量の増加、ハンドオーバー等のシグナリング処理の増加などがある。
【0010】
また、負荷状況の変化として、例えば、ある無線基地局制御装置配下の無線基地局がサービスしているエリアに、新たに別の無線基地局制御装置と、別の無線基地局とを、別の無線基地局制御装置に別の無線基地局を収容した状態で設置すると、トラフィックの一部が新規に設置した無線基地局を経由して別の無線基地局制御装置に流れることになり、無線基地局のみならず無線基地局制御装置の負荷状況が変わるということがある。また、無線基地局を設置後にこの無線基地局がサービスしているセル内に無線端末を使用するユーザーが多数集まるオフィスビルが新たに設置されたり、新しい無線端末やアプリケーションが登場したりすることによってもトラフィック量が変化することにより無線通信システムを構成する各装置の負荷状況も通信サービス中に変わってしまうことになる。
【0011】
前述のように、無線通信システムを構成する装置の負荷状況が変わった場合、無線基地局、無線基地局制御装置のある特定の装置に負荷が集中しないように負荷を分散させることが望ましい。ある無線基地局制御装置に収容されている無線基地局を別の無線基地局制御装置に収容することを収容替えと言う。しかし、無線基地局を新規に設置するときに、前述で説明したような運用後の負荷状況の変化を予測して無線基地局の収容先を選択することは困難である。
【0012】
無線基地局の設置後に無線基地局を別の無線基地局制御装置に収容替えを行う方法として、無線通信システムを構成する各装置の負荷状況を、統計データ等の運用データを監視して把握し、ある装置の負荷が高い場合に関連装置の収容替えを行う等の処置により高い負荷を別の装置へ分散させるという方法がある。しかし、無線通信システムは、そのシステムによっては、数千局から数万局の無線基地局によりサービスを提供しており、通信事業者がこれら多くの装置の運用データを常に監視して無線基地局の収容替えを行うかどうかを判断するのは手間がかかり、多大な労力やコストが必要となる。そして、手間やコストにより運用データを頻繁に確認しなくなると、負荷状況の変化に応じて直ちに負荷を分散させることができなくなり、特定の装置の負荷大きくなるということが発生する。その結果、ある装置配下での無線端末当たりのスループットが低下し、ハンドオーバーの処理が遅くなる等サービスの品質が低下してしまうことになる。
【0013】
本発明の目的は、前述で説明したような種々の問題に鑑み、通信事業者の手間やコストをかけることなく、無線通信システム内の各装置の負荷状況に応じて無線基地局の収容替えを自律的に行って負荷分散を図り、前述の負荷状況の変化によるサービスの低下を防ぐことを可能とした無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば前記目的は、複数の無線基地局と、複数の無線基地局制御装置と、複数の呼制御装置と、O&M制御装置とを備えて構成される無線通信システムにおいて、1または複数の無線基地局が1台の無線基地局制御装置により管理・制御され、1または複数台の無線基地局制御装置が1台の呼制御装置により管理・制御され、保守装置としてのO&M制御装置が前記各装置を管理・制御しており、前記O&M制御装置は、前記無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率、CPU使用率の増加の要因となるトラフィック量、無線端末の接続数、または、シグナリング処理量で代表される負荷の状態を、前記無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、前記負荷が予め設定した閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行うことにより達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信事業者の手間やコストをかけることなく、無線通信システム内の各装置の負荷状況に応じて無線基地局の収容替えを自律的に行って負荷分散を図り、負荷状況の変化によるサービスの低下を防ぐことを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す無線通信システムにおける基地局の収容替えのイメージを示す図である。
【図3】図1、図2で示している無線通信システムの複数のセルを実際の移動体通信サービスに近い状態で配置した例を示す図である。
【図4】通信事業者が無線基地局を設置して運用した後に無線基地局を撤去するまでの運用の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】無線基地局の機能構成を示すブロック図である。
【図6】無線基地局制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】呼制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】O&M制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】O&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【図10】O&M制御装置が管理している運用管理データ内の統計データの一例を示す図である。
【図11】無線基地局を新規に設置して無線通信システムに登録した場合の新基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図12】ある無線基地局を同一サブネット内の別の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図13】ある無線基地局を異なるサブネット内の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図14】無線基地局毎に登録・設定されている隣接無線基地局の情報の構成例を示す図である。
【図15】O&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の例を説明するフローチャートである。
【図16】O&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の他の例を説明するフローチャートである。
【図17】サブネットを跨るハンドオーバーの発生頻度が高く無線基地局制御装置、呼制御装置の負荷が高くなったことにより、O&M制御装置が実施するサブネットを跨ぐ収容替えの処理動作の例を説明するフローチャートである。
【図18】図1に示す無線通信システムにおける無線基地局制御装置の収容替えのイメージを示す図である。無線基地局制御装置を収容替えした時のイメージ図である。
【図19】図18に示したイメージでの収容替え前後のO&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【図20】ある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局制御装置の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図21】O&M制御装置が実施するある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行う処理動作の例を説明するフローチャートである。
【図22】装置の収容替えを行った場合、及び、装置の収容替えを行おうとしている場合に通信事業者に知らせる画面イメージの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による無線通信システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示す本発明の実施形態による無線通信システムは、複数の無線基地局100〜170と、複数の無線基地局制御装置200、220、230と、複数の呼制御装置300、350と、スイッチ400と、C&M制御装置420と、コアネットワーク440とを含んで構成されている。前述において、無線通信システムを構成する無線基地局、無線基地局制御装置、呼制御装置は、さらに多数備えられていてもよい。そして、スイッチ400には、公衆回線網460が接続されている。
【0020】
前述した本発明の実施形態による無線通信システムにおいて、無線基地局100、無線基地局110及び無線基地局120は、無線基地局制御装置200に収容されて管理・制御されている。これら無線基地局は、それぞれセル100、セル110及びセル120と呼ばれるサービスエリアを持ち、無線端末がこれらサービスエリアの配下に居ると、その無線端末は、該当するセルをサービスしている無線基地局を経由して通信を行うことができ、その無線端末がハンドオーバーと呼ばれる通信先無線基地局を切り替えることにより別のセルに移動してサービスを継続することができる。無線基地局制御装置200が管理・制御している無線基地局のセルを束ねてセルグループ1と呼ぶこととする。
【0021】
同様に、無線基地局130、無線基地局140及び無線基地局150は、無線基地局制御装置220に収容されて管理・制御されている。これら無線基地局は、それぞれセル130、セル140及びセル150と呼ばれるサービスエリアを持つ。無線基地局制御装置220が管理・制御している無線基地局のセルを束ねてセルグループ2と呼ぶこととする。
【0022】
前述の無線基地局制御装置200と前記無線基地局制御装置220とは、呼制御装置300に接続されている。そして、この呼制御装置300の配下にある全てのセルが同じサブネットに属することになる。図1に示している例では、セルグループ1とセルグループ2とが、同一のサブネットに属していて、これをサブネット1と呼ぶこととする。サブネットとは、移動体通信ネットワークを複数のネットワークに分割して管理するときの管理単位となる小さなネットワークのことである。
【0023】
前述サブネット1とサブネットの境界を挟んで隣接関係にあるサブネットをサブネット2と呼ぶこととする。このサブネット2には、無線基地局160と無線基地局170とが属しており、両無線基地局は、無線基地局制御装置240によって管理・制御されている。これら無線基地局160、170は、前述と同様に、それぞれセル160、セル170と呼ぶサービスエリアを持ち、これらをセルグループ3と呼ぶこととする。無線基地局制御装置240は、呼制御装置350に接続されていて、セルグループ3はサブネット2に属している。
【0024】
そして、呼制御装置300と呼制御装置350とは、パケット等のデータを適切な宛先に振り分けて送信するスイッチ400と呼ばれる装置に接続され、このスイッチ400の先には、O&M制御装置420、コアネットワーク440、公衆回線網460が接続されている。
【0025】
なお、図1に示す例では、説明を容易にするため、無線基地局制御装置と呼制御装置とを異なる装置として記載しているが、これら2つ装置が備える機能を1つの装置に纏めることも可能である。その場合、無線基地局は、これらの機能を統合した装置に収容され、管理・制御されることになる。そして、無線基地局制御装置と呼制御装置とを1つの装置で構成する場合、その装置は、無線通信システムによっては、BSC(Base Transceiver Station)、ASN−GW(Access Service Network - Gateway)等と呼ばれる場合もある。
【0026】
前述したように構成される本発明の実施形態による無線通信システムにおいて、ある無線基地局のサービスエリアであるセル内に居るユーザが、自身が持つ携帯電話等の通信装置を用いて、他の無線基地局のセル内に居るユーザ該持つ通信装置との間の通信を行う場合、あるいは、公衆通信網460を介した通信装置に発信し、または、公衆通信網460を介した通信装置からの着信を受けて通信を行う場合、それらの通信は、ゲートウェイ機能等を備えるコアネットワーク440を介して行われる。
【0027】
図1に示して説明した本発明の実施形態による無線通信システムにおいて、無線基地局の収容替えは、同一のサブネット内でセルグループ越えて行われる場合と、サブネットを越えて行われる場合とがある。無線基地局の収容替えがセルグループを越えて行われる場合、無線基地局は、現在管理・制御されている無線基地局制御装置から同一のサブネット配下の別の無線基地局制御装置に接続されて管理・制御されることになる。また、無線基地局の収容替えがサブネットを越えて行われる場合、無線基地局は、現在管理・制御されている無線基地局制御装置から別のサブネット配下の無線基地局制御装置に接続されて管理・制御されることになる。
【0028】
前述のような無線基地局の収容替えを行うことにより、例えば、負荷の高い無線基地局の収容替えを、負荷の低いセルグループに対して行うことにより、現在属するセルグループの負荷を低減させ、負荷の低いセルグループ負荷を増大させることができ、負荷をセルグループ間で分散させることができる。この収容替えは、無線基地局自身が持っている運用管理データ内の無線基地局制御装置のIPアドレスを新しい収容替え先の無線基地局制御装置のIPアドレスに変更し、無線基地局制御装置自身が持っている運用管理データ内の無線基地局のIPアドレスを別の無線基地局制御装置に収容替えしたら削除し、収容替え先の無線基地局制御装置が新しい無線基地局のIPアドレスを運用管理データに追加することにより行うことができる。
【0029】
図2は図1に示す無線通信システムにおける基地局の収容替えのイメージを示す図である。図2には、基地局の収容替えが同一のサブネット内でセルグループ越えて行われる場合と、サブネットを越えて行われる場合とについて示している。なお、図2では、収容関係にある装置間は論理的な接続線で表現されている。また、図2では、収容替えのイメージが判り易いように、無線基地局と無線基地局制御装置との間の線を繋ぎ変えて表現しているが、実際は各装置の運用管理データのIPアドレスを変更することによりデータの送信先や受信元を変えていて、これにより、無線基地局と無線基地局制御装置との間にあるルータやスイッチなどの中継装置がデータを適切な装置に転送するので物理的な接続の変更は不要である。
【0030】
まず、図2を参照して、同一のサブネット内でセルグループを越えて無線基地局の収容替えを行う場合について説明する。
【0031】
収容替えを実施した無線基地局は、図2では無線基地局120であるとしている。図1では、無線基地局120は、無線基地局制御装置200に接続されて管理・制御されていた。図2では、無線基地局120を無線基地局制御装置200から無線基地局制御装置220へ収容替えを行うことにより、無線基地局120は、無線基地局制御装置220に接続されて管理・制御されることとなる。この無線基地局120の収容替えにより、セルグループ1から前記無線基地局120のサービスエリアであるセル120が削除され、代わりに前記セル120がセルグループ2に追加されている。このような無線基地局の収容替えを行うことにより、無線基地局が接続される無線基地局制御装置が変更となるので、無線基地局が属するセルグループも必然的に変更される。前述のように、無線基地局制御装置200の負荷が高いときに、その配下に収容されている無線基地局120を無線基地局制御装置220への収容替えを行うことにより、無線基地局制御装置200の負荷を減らすことができる。
【0032】
次に、図2を参照して、サブネットを越えて無線基地局の収容替えを行う場合について説明する。
【0033】
いま、サブネット境界にある無線基地局150に着目すると、図1に示す例では、無線基地局150は、呼制御装置300に属する無線基地局制御装置220に接続されている。呼制御装置300は、サブネット1に属するので、前記無線基地局150もサブネット1に属している。図2の例では、無線基地局150を、無線基地局制御装置220から無線基地局制御装置240へ収容替えしている。無線基地局制御装置240は、呼制御装置350に接続され、前記呼制御装置350はサブネット2に属しているため、無線基地局150はサブネット2に属することになる。前述の無線基地局150は、収容替え前にはセルグループ2に属していたが、収容替えによりセルグループ2から削除され、セルグループ3に追加される。この収容替えにより、サブネットの境界が無線基地局150と無線基地局160との間から無線基地局140と無線基地局150との間に変更される。このような収容替えを行うことにより、例えば、無線基地局150と無線基地局160との間でサブネットを跨ぐハンドオーバーが多発している場合、サブネット境界が無線基地局140と無線基地局150の間に移動するので、無線基地局150と無線基地局160の間のハンドオーバーの処理がサブネット内の処理に替わることになり、処理負荷を軽減することができる。
【0034】
前述で説明したような基地局の収容替えが行われると、ネットワークの構成が変更されることになり、これに伴う構成情報の変更がO&M制御装置420に送信されて、保守者に構成変更が通知される。
【0035】
図3は図1、図2で示している無線通信システムのセル100〜セル170を実際の移動体通信サービスに近い状態で配置した例を示す図である。図3には各セルを六角形の形で示し、セルグループを太線で囲んで示している。運用によってはこれらセルが複数のセクタに分割されている場合がある。
【0036】
図3(a)に示すセル100〜セル170のサービスエリアは、図1のサービスエリアであり、セルグループ1は、セル100、セル110及びセル120により構成され、セルグループ2は、セル130、セル140及びセル150により構成され、そして、セルグループ3は、セル160及びセル170で構成されている。
【0037】
図3(b)に示すセル100〜セル170のサービスエリアは、図2のサービスエリアであり、無線基地局120及び無線基地局150の収容替えが行われた状態である。図2で説明したように、無線基地局の収容替えにより無線基地局のセルが属するセルグループが変更になるため、図3(b)では、無線基地局120のセル120と無線基地局150のセル150とのセルグループが変更になっている。セル120は、セルグループ1からセルグループ2に移動し、セル150はセルグループ2からセルグループ3に移動している。これにより、セルグループ間の負荷を変えることができ、セルグループ間の負荷を均等に分散させ、あるいは、あるセルグループの負荷を他セルグループの負荷より低くするといった柔軟な運用が可能となる。また、図3(b)に示す例では、セル150をセルグループ3に収容替えしており、また、セルグループ2とセルグループ3とは異なるサブネットに属することになるので、図3(a)でセル150とセル160との間、セル150とセル170との間で無線基地局が移動するとサブネットを跨ぐハンドオーバーが発生していたのが、このハンドオーバーの処理をサブネット内のハンドオーバー処理となり、処理負荷を軽減することができる。
【0038】
図4は通信事業者が無線基地局を設置して運用した後に無線基地局を撤去するまでの運用の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0039】
(1)通信事業者は、すでにサービスを実施している無線通信システムに対して、新規に無線基地局を設置し無線基地局制御装置の運用管理データに、新しい無線基地局のデータ登録する(ステップFL600)。
【0040】
(2)無線基地局制御装置を管理・制御する呼制御装置や無線通信システム内の各装置を保守するO&M制御装置402は、無線基地局制御装置から無線基地局が新たに登録されたことが通知され、これを契機に新たな無線基地局を登録して自身が持つ運用管理データを更新する。その後、新規に設置した無線基地局は運用を開始する(ステップFL601)。
【0041】
(3)新規に設置した無線基地局を含む無線通信システムの運用期間中、O&M制御装置402は、収集管理している統計データを含む運用管理データを監視していて、特定の無線基地局で負荷が高くなっていないか等の負荷情報を判定し、負荷が予め定めた閾値以上となっているか否かを判定する。この統計データの負荷と閾値との比較は、通信事業者が任意に設定することができ、例えば、統計データを他装置から受信する度に閾値との比較を実施したり、ある一定の周期で閾値との比較を実施したりすることができる。ある一定の周期で実施する場合、その周期の間に受信した統計データを移動平均などにより平均化して、その平均化された値と閾値とを比較することになる(ステップFL602、FL603)。
【0042】
(4)ステップFL603の判定で、負荷がある閾値以下であった場合、そのまま無線基地局を運用し、ステップFL602からの処理に戻り、定期的に無線基地局の負荷状況を判断する。また、ステップFL603の判定で、負荷がある閾値以上であった場合、O&M制御装置402は、無線基地局の収容替えを行うべきと判断して、無線基地局の収容替えを行う(ステップFL604)。
【0043】
(5)無線基地局の収容替えが行われると、収容替えを行った無線基地局の収容元からその無線基地局の登録を削除し、新しい収容替え先にその無線基地局の情報を追加登録するために、関連する無線基地局制御装置と呼制御装置とO&M制御装置の運用管理データベースが更新される。その後、無線基地局は、新しい収容先で運用される(ステップFL605)。
【0044】
(6)次に、無線基地局が老朽化したり移動体通信サービスを停止する等により、無線基地局の撤去が必要か否かを管理者が判断し、無線基地局の撤去の必要はないと判断された場合、ステップFL602からの処理に戻り、定期的に無線基地局の負荷状況を判断する処理以降の処理を繰り返し、無線基地局の撤去が必要と判断されると、無線基地局の情報を運用管理データより削除して、無線基地局を撤去する(FL606、FL607)。
【0045】
図5は無線基地局の機能構成を示すブロック図である。無線基地局は、無線端末からのアンテナを経由して受信した無線の信号を有線の信号に変換して無線基地局制御装置へ送信し、また、無線基地局制御装置より送信された有線の信号を無線の信号に変換する機能を有するものである。
【0046】
この無線基地局は、BTS(Base Transceiver Station)と呼ばれることがあり、無線、有線の信号を変換し、適切な宛先に送受信する為の通信機能101と、トラフィックデータ、無線基地局の状態等の運用管理データを管理するデータ管理機能103と、無線基地局内の各デバイスを制御するデバイス制御機能102と、無線基地局が接続中の無線基地局制御装置から自身を削除し、収容替え先の無線基地局制御装置に自身を登録する収容替え処理機能104とが搭載されて構成されている。
【0047】
データ管理機能103が管理している運用管理データの中には、無線基地局の動作で必要となる通信先IPアドレス等の運用パラメータ、運用時に取得した統計データ、ログ情報が含まれ、無線基地局の収容替えが行われると前記運用パラメータが新しい接続先の無線基地局制御装置に変更される。これにより、無線基地局は、適切な無線基地局制御装置と通信を行うことが可能となる。
【0048】
収容替え処理機能104は、収容替え先無線基地局制御装置の情報を載せた収容替え指示を受信すると、自無線基地局の運用を停止した後に、自無線基地局が現在収容されている無線基地局制御装置に対して自身の登録を削除するように指示を行い、また、収容替え指示により指定された収容替え先無線基地局制御装置に対して自身の登録を要求する。収容替え先無線基地局制御装置の情報としては、例えば、該当無線基地局制御装置のIPアドレスやIDがある。
【0049】
図6は無線基地局制御装置の機能構成を示すブロック図である。無線基地局制御装置は、無線基地局を管理・制御する機能の他に、無線端末との間の呼接続、無線基地局間を無線端末が移動することによるハンドオーバーなどの呼処理も行う機能を有するものである。
【0050】
この無線基地局制御装置は、BSC(Base Station Controller)、RNC(Radio Network Controller)等と呼ばれることがあり、無線基地局との間でデータを送受信したり呼制御装置、O&M制御装置及び他の無線基地局制御装置との間でデータを送受信したりする通信機能201と、トラフィックデータ、自無線基地局制御装置の状態等の運用管理データを管理するデータ管理機能203と、呼接続、ハンドオーバーの処理を行う呼処理機能204と、セッション情報等のユーザー特有の情報を管理して制御する呼情報管理機能205と、自無線基地局制御装置の保守を行う保守機能206と、無線基地局制御装置内の各デバイスを制御するデバイス制御機能202と、無線基地局の収容替えが行われると設定パラメータを更新し、収容替えの内容に従い適切に無線基地局との間のデータを送受信することができるように制御処理を実施する収容替え処理機能210とが搭載されて構成されている。
【0051】
データ管理機能203が管理している運用管理データの中には、自無線基地局制御装置の動作で必要となる無線基地局の収容状況及び通信先IPアドレスの一覧等の運用パラメータ、運用時に取得した統計データ、ログ情報が含まれる。
【0052】
収容替え処理機能210は、無線基地局の収容替えが行われると前述の設定パラメータを更新し、収容替えの内容に従い適切に無線基地局との間のデータを送受信することができるように制御処理を実施する。収容替え処理機能210は、例えば、収容している無線基地局が別の無線基地局制御装置へ収容替えされた場合、該当する無線基地局の情報を運用管理データより削除し、他の無線基地局制御装置に収容されている無線基地局が自無線基地局制御装置に収容替えされた場合、該当する無線基地局の情報を運用管理データに登録する。そして、収容替え処理機能210は、無線通信システム内の関係する他の無線基地局制御装置、呼制御装置、O&M制御装置に対して収容替えが行われたことを通知して運用管理データの更新を指示する。
【0053】
データ管理機能203が管理している運用管理データの中の統計データは、収容替えの判定に使用されるデータである。
【0054】
無線基地局制御装置は、無線基地局の収容替えが必要かどうかの判断で必要となる情報を運用管理データとして持っているので、収容替え処理機能210は、予め通信事業者により設定された無線基地局の収容替え判断基準を満たしているかどうか判断し、収容替えの指示をO&M制御装置に送信することもできる。
【0055】
図7は呼制御装置の機能構成を示すブロック図である。呼制御装置は、無線基地局とコアネットワークとの間のパケット引き渡し機能、セッション情報の管理、サブネットを跨ぐハンドオーバー時のセッション情報引き渡し機能等を実現している。また、呼制御装置は、本発明の無線通信システムでの収容替え先の選択も行っている。
【0056】
この呼制御装置は、無線通信システムによっては、PCF−SC(Packet Control Function- Session Control)と呼ぶことがあり、無線基地局制御装置との間でデータを送受信し、コアネットワーク、O&M制御装置、他の呼制御装置との間でデータを送受信するための通信機能301と、トラフィックデータ、無線基地局制御装置の状態等の運用管理データを管理するデータ管理機能303と、呼接続、ハンドオーバーの処理を行う呼処理機能304と、セッション情報等のユーザー特有の情報を管理して制御する呼情報管理機能305と、自呼制御装置の保守を行う保守機能306と、呼制御装置内の各デバイスを制御するデバイス制御機能302と、無線基地局制御装置の収容替えを処理する機能を持つ収容替え処理機能310とを搭載して構成されている。
【0057】
呼処理機能304は、前述の機能の他に、無線端末がサブネットを跨いでハンドオーバーをしたときに無線端末に対して新たな端末識別子を付与する機能も有している。呼情報管理機能305は、例えば、無線端末がIDLE状態となったときにセッション情報を無線基地局制御装置から引継いで管理している。
【0058】
データ管理機能303は、無線基地局の収容替えが呼制御装置配下で発生すると、無線基地局の収容されている状況に合わせて運用管理データを更新する。例えば、データ管理機能303は、収容している無線基地局が別のサブネットにある無線基地局制御装置へ収容替えされた場合、該当無線基地局の情報を運用管理データより削除し、他のサブネットの無線基地局制御装置に収容されている無線基地局が自サブネットの無線基地局制御装置に収容替えされた場合、該当無線基地局の情報を運用管理データに登録する。
【0059】
収容替え処理機能310は、無線基地局制御装置の収容替えを処理する機能を持ち、無線基地局制御装置の収容替えが行われると、前述の設定パラメータを更新し、収容替えの内容に従い適切に無線基地局制御装置とデータの送受信を行うことができるように制御処理を行うこともできる。
【0060】
呼制御装置は、例えば、収容している無線基地局制御装置が別の呼制御装置へ収容替えされた場合、該当無線基地局制御装置の情報を運用管理データから削除し、他の呼制御装置に収容されている無線基地局制御装置が自呼制御装置に収容替えされた場合、該当無線基地局制御装置の情報を運用管理データに登録する。そして、呼制御装置は、無線通信システム内の関係する他の無線基地局制御装置、他の呼制御装置及びO&M制御装置に対して収容替えが行われたことを通知して運用管理データの更新を指示する。前述の運用管理データには、統計データがふくまれ、統計データは、収容替えの判定に使用される。呼制御装置は、無線基地局制御装置の収容替えが必要かどうかの判断で必要となる統計データを運用管理データの中に持っているので、収容替え処理機能310は、予め通信事業者により設定された無線基地局の収容替え判断基準を満たしているかどうか判断し、収容替えの指示をO&M制御装置に送信することができる。
【0061】
図8はO&M制御装置の機能構成を示すブロック図である。このO&M制御装置は、無線通信システムを構成する各装置が持つ保守機能と連携して通信事業者に対して各装置の状態を通知し、通信事業者からの指示に従って各装置の構成を変更する機能を有する装置である。
【0062】
O&M制御装置は、無線通信システム内の各装置と通信を行う通信機能451と、各装置の状態や統計データ等の各装置の運用情報を収集して管理するデータ管理機能453と、通信事業者に対して各装置の運用情報を表示し、通信事業者が設定変更を入力する入出力制御機能454と、O&M制御装置を構成する各デバイスを管理制御するデバイス制御機能452と、無線基地局の収容替えが発生したときに収容替え先を選択し収容替えを指示する収容替え処理機能455とを搭載して構成されている。
【0063】
データ管理機能453により収集された各装置の運用情報は、記憶装置に一定期間保存される。収容替え処理機能455は、統計データから得られる負荷情報が予め指定した閾値を上回ったときに発生する無線基地局の収容替えの収容替え先を選択して収容替えを指示する機能である。
【0064】
前述で説明したように、O&M制御装置は、無線通信システム内の各装置を監視しているので、無線基地局、無線基地局制御装置、呼制御装置から通知されるこれら装置の統計データを含む運用状況を記憶装置に保存する。O&M制御装置は、この保存された統計データ等の運用情報を使用して、それが予め通信事業者により設定された無線基地局の収容替え判断基準を満たした場合、収容替え対象となる無線基地局と前記無線基地局を収容する収容替え先無線基地局制御装置との選択を行う。そして、O&M制御装置は、これらの選択した結果を基に、関連する装置に対して収容替えの指示を行い、無線基地局の収容替えが完了すると、収容替え処理機能455は、O&M制御装置が管理している運用情報を収容替え後の状態に更新する。
【0065】
図9はO&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【0066】
すでに説明したように、無線基地局の収容替えは、運用管理データにあるIPアドレスの情報を変更することにより可能となる。図示運用管理データは、無線基地局を識別するための無線基地局IDと、該当無線基地局を収容している無線基地局制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局制御装置を収容している呼制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局が属するサブネットの番号であるサブネットIDとにより構成されている。そして、無線基地局の収容替えが行われると、接続先の無線基地局制御装置のIPアドレス、呼制御装置のIPアドレス、サブネットIDが変更されることになる。
【0067】
以下に図2に示した無線基地局の収容替えを例として、運用管理データの変更について説明する。
【0068】
図9(a)に示しているように、無線基地局の収容替えの前において、無線基地局IDが120の無線基地局は、a.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容されていた。この無線基地局IDが120の無線基地局をa.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置から、図9(b)に示すように、b.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えされている。その収容替え後の運用管理データは、図9(b)に示しているように変更される。無線基地局120は、同一サブネット配下の別の無線基地局制御装置に収容替えされたので、無線基地局制御装置の接続先である呼制御装置は変更されずIPアドレスの変更はない。
【0069】
また、無線基地局150の収容替えの場合、図9(a)に示しているように、無線基地局150はb.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置から、図9(b)に示しているように、c.c.c.cのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えされている。この収容替え先の無線基地局制御装置は、別のサブネットに属する呼制御装置に接続されているので、図9(b)に示しているように、呼制御装置のIPアドレスがy.y.y.yに変更され、サブネットIDも2に変更される。このように、無線基地局の収容先が変更になる度に運用データの情報を更新することにより、O&M制御装置は、無線基地局がどこに収容されているかを把握することができる。
【0070】
図10はO&M制御装置が管理している運用管理データ内の統計データの一例を示す図である。統計データは、無線通信システムを構成する各装置で取得することができ、O&M制御装置420は、システムを構成している各装置から統計データを収集して管理している。
【0071】
図10(a)は無線基地局制御装置が取得した無線基地局毎の統計データの例を示している。無線基地局制御装置は、1台以上の無線基地局を収容しているので、無線基地局単位で収集される情報は、無線基地局毎に管理されている。図10(a)では、例として無線基地局制御装置を図1の装置番号で表現しているが、一意に識別できれば他の識別子であってもよい。また、ここでは、例として、無線基地局単位の統計データを示しているが、無線基地局が複数のセクタによりサービスを提供している場合、セクタ単位の統計データが使用される場合もある。O&M制御装置は、各装置から収集した統計データを確認して、その値がある閾値を超えた場合に収容替えを指示する。収容替えの契機で収容替え対象の無線基地局を選択する上で必要となる統計データの例を図10(a)に示しており、CPU使用率、平均スループット、一定時間、例えば、5分間単位でのトラフィック量、一定時間、例えば、5分間単位での平均ユーザー数、一定時間、例えば、5分間単位でのハンドオーバー発生回数等である。前述のトラフィック量、平均ユーザー数、ハンドオーバー発生回数は、CPU使用率に影響するので、CPU使用率を基準に収容替えの判断をするようにすることも可能である。
【0072】
図10(b)は前述した無線基地局単位で収集した情報を無線基地局制御装置単位で表現統計データの例である。図10(b)に示すCPU使用率、平均スループット及び平均ユーザー数は、無線基地局制御装置配下の無線基地局単位の統計データを平均化して得た値であり、トラフィック量、ハンドオーバー発生回数は、無線基地局制御装置配下の全無線基地局の合計値である。前述したと同様に、前述のトラフィック量、平均ユーザー数、ハンドオーバー発生回数は、CPU使用率に影響するので、CPU使用率を基準に収容替えの判断をするようにすることも可能である。
【0073】
システムを構成している各装置は、統計データをある収集周期に間取得してからO&M制御装置420に通知する。そして、O&M制御装置420は、前述の収集周期で得られた複数の統計データを収集時刻の情報と合わせて保存することが可能である。例えば、無線基地局が5分間の収集周期で収集した統計データを12個保存することができれば、1時間分の統計データを得ることができる。O&M制御装置420は、CPU使用率で代表される負荷がある閾値を超えた場合に収容替え処理を開始するが、このとき使用する負荷は、各装置から通知された値をそのまま使用してもよいし、過去に受信したデータを使用して移動平均した値を算出し、その結果を使用してもよい。収集周期が短く、装置から通知された値をそのまま使用すると、装置の負荷の変動が激しい場合に頻繁に収容替えが発生してしまう、このような場合、移動平均した値を使用することにより、負荷の瞬時的な変動に対応して収容替えを頻繁に行わなければならないようなことを抑止することができる。
【0074】
O&M制御装置は、前述したような無線基地局制御装置単位の統計データを予め定めたある閾値と比較して収容替えが必要かどうかを判断し、無線基地局を収容する収容替え先の無線基地局制御装置を選択する。
【0075】
図11は無線基地局を新規に設置して無線通信システムに登録した場合の新基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。無線基地局が新規に設置されると、無線通信システム内の関係する装置の運用管理データが更新されて、該当無線基地局が運用状態となる。ここでは、前提として、新たな無線基地局が無線基地局制御装置1の配下に収容されるものとしている。
【0076】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、通信事業者は、負荷分散、不感地域解消等を目的として無線基地局を新規に設置する(ステップSQ800、SQ801)。
【0077】
(2)通信事業者が新たな無線基地局を設置して電源を投入した後にソフトウェアや運用パラメータを新たな無線基地局にインストールすると、その無線基地局は、無線基地局制御装置1に登録要求を送信する。この登録要求には、無線基地局制御装置が該当無線基地局を管理し制御するために必要となる情報が含まれている(ステップSQ802)。
【0078】
(3)登録要求を受信した無線基地局制御装置1は、新たな無線基地局に対してメッセージを受領した旨の応答を行うと共に、登録要求を送信した無線基地局を自身が管理する運用管理データに追加する(ステップSQ803、SQ804)。
【0079】
(4)その後、無線基地局制御装置1は、同一サブネット内の別の無線基地局制御装置2に対して、新規に追加した無線基地局の情報を運用管理データに追加するように必要な運用情報を載せて運用管理データ更新要求を送信する(ステップSQ805)。
【0080】
(5)運用管理データ更新要求を受信した無線基地局制御装置2は、運用管理データを更新すると共に、運用管理データの更新が完了したことを通知する運用管理データ更新完了のメッセージを無線基地局制御装置1に対して送信する(ステップSQ806、SQ807)。
【0081】
なお、前述において、無線基地局制御装置が他無線基地局制御装置配下の無線基地局の情報が不要であれば、ステップSQ805からステップSQ807の処理は省略される。
【0082】
(6)無線基地局制御装置1は、無線基地局制御装置2に運用管理データを更新させているときに、呼制御装置に対して同様に運用管理データを更新する運用管理データ更新要求を送信する(ステップSQ808)。
【0083】
(7)運用管理データ更新要求を受信した呼制御装置は、自身の運用管理データを変更し新たに設置した無線基地局の情報を追加すると共に、O&M制御装置の運用管理データに新規無線基地局の情報を追加するように、運用管理データ更新要求をO&M制御装置に送信する(ステップSQ809、SQ810)。
【0084】
(8)運用管理データ更新要求を受信したO&M制御装置は、自身の運用管理データを更新し、更新が完了すると呼制御装置に対して運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ811、SQ812)。
【0085】
(9)その後、呼制御装置は、無線基地局制御装置1に対して運用管理データの更新が完了したことを通知する運用管理データ更新完了メッセージを送信する(ステップSQ813)。
【0086】
(10)そして、無線基地局制御装置1は、新たに設置された無線基地局に対して無線通信システム内の運用管理データへの無線基地局の登録が完了したことを通知する登録完了メッセージを送信する(ステップSQ814)。
【0087】
(11)新たに設置された無線基地局は、無線基地局の登録完了メッセージを受信すると、無線基地局制御装置1に対してメッセージ受領応答を送信する。その後、新たに設置された無線基地局は、無線通信システムに登録されて運用を開始する(ステップSQ815、SQ816)。
【0088】
前述した例では、呼制御装置がO&M制御装置に対して無線基地局が新規に追加されたことを通知しているが、無線基地局制御装置1がO&M制御装置420に対して直接運用管理データベースの更新を指示してもよい。O&M制御装置420は、無線基地局制御装置1がどの呼制御装置の配下に接続されているかを運用管理データにより把握しているので、呼制御装置が無線基地局の情報を必要としない場合、ステップSQ808の処理における運用管理データ更新要求を、無線基地局制御装置1からO&M制御装置420へ直接送信することができる。
【0089】
図12はある無線基地局を同一サブネット内の別の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。無線基地局制御装置1と無線基地局制御装置2とは、同一の同じサブネットに属しており同一の呼制御装置により管理されている。ここでは、無線基地局制御装置1の負荷がある閾値を超えたので、無線基地局制御装置1の配下にある無線基地局を無線基地局制御装置2の配下に収容替えする場合を例に示している。
【0090】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、無線通信システムを構成する各装置は、O&M制御装置に対して運用状況のデータを送信している。この運用状況データは、各装置で収集している統計や装置の状態等のデータである。これら運用状況データは、定期的に各装置からO&M制御装置に配信されたり、オペレータの指示により各装置から配信される場合がある(ステップSQ850、SQ851)。
【0091】
(2)O&M制御装置は、各装置からの運用状況データを受信すると、これらの情報を自身の記憶装置に格納し、この受信した運用状況データから統計データを抽出し、それら値を予め通信事業者により設定された閾値と比較して負荷状況を確認し、無線基地局の収容替えを行うべきかを判断する。O&M制御装置は、この判断の運用方法として、瞬時的に負荷が上昇したような場合を考慮して、ある回数連続して通知された統計データが閾値を超えたかどうかにより判断するという運用方法、複数の統計データを平均化してその結果が閾値を超えたかどうかで判断するという運用方法をとることもできる(SQ852)。
【0092】
(3)O&M制御装置は、無線基地局の収容替えが必要と判断すると、収容替え判定処理を実施する。この収容替え判定処理は、どの無線基地局をどの無線基地局制御装置の配下に移動させるかを判定する処理である。無線基地局制御装置の配下には複数の無線基地局が収容されており、この中から1つの基地局を収容替え対象として選択する。また、同一サブネットの配下には無線基地局制御装置が複数台あるため、この中から1台を収容替え先として選択する。ここで説明している例では、前記収容替え先判定の結果、無線基地局は、無線基地局制御装置1から無線基地局制御装置2へ収容替えすると判定されたと仮定している(ステップSQ853)。
【0093】
(4)その後、O&M制御装置は、収容替えを行うために、無線基地局の収容替えを要求するメッセージを呼制御装置に送信する。このメッセージの中には、収容替えの対象となる無線基地局と収容替え先の無線基地局制御装置の情報が格納される(ステップSQ854)。
【0094】
(5)無線基地局の収容替えを要求するメッセージを受信した呼制御装置は、要求メッセージを受信したことを、メッセージ受領応答としてO&M制御装置に送信すると共に、O&M制御装置から受信した無線基地局の収容替え要求のメッセージを配下の無線基地局制御装置1へ送信する。ここでの送信先は、O&M制御装置が収容替え対象として指定した無線基地局を収容する無線基地局制御装置である(ステップSQ855、SQ856)。
【0095】
(6)無線基地局の収容替え要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置1は、メッセージ受領応答を呼制御送信に返信すると共に、無線基地局の収容替えを実施するために、運用停止指示のメッセージを収容替え対象の無線基地局に送信する(ステップSQ857、SQ858)。
【0096】
(7)運用停止指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を停止し無線端末が自無線基地局に接続しないようにサービスを停止する。なお、収容替えを実施する場合は、収容替え対象となる無線基地局のサービスを停止する必要があり、すでに接続中の無線端末が存在する場合、ユーザーへのサービスが停止してしまう。これに対応するため、無線基地局制御装置1は、対象無線基地局に接続している全ての無線端末が切断するまで待ち、全ての無線端末が切断したのを契機に運用停止指示を無線基地局に送信してもよく、または、接続中の無線基地局を別の無線基地局へ逃がすために対象無線基地局が送信電力を徐々に弱くして他の無線基地局へハンドオーバーをさせた後に、別の無線基地局制御装置へ収容替えを行ってもよい。そして、サービスが停止すると無線基地局は、運用停止完了の報告を無線基地局制御装置1に送信する(ステップSQ859)。
【0097】
(8)ここで説明している例は、無線基地局を無線基地局制御装置2へ収容替えすることとしているので、無線基地局制御装置1は、無線基地局の運用が停止したことを確認すると、無線基地局制御装置2に対して無線基地局収容替えを要求するメッセージを送信する。このメッセージには、収容替えを指示された無線基地局のID、IPアドレス、無線基地局を管理・運用するためのパラメータが含まれる(ステップSQ860)。
【0098】
(9)無線基地局収容替えを要求するメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、メッセージに含まれるパラメータを自身の運用管理データに登録し、無線基地局制御装置1にメッセージ受領応答を送信すると共に、配下に無線基地局を接続するために、収容替えに必要となる関連パラメータを含む無線基地局収容替え指示のメッセージを無線基地局に送信する(ステップSQ861、SQ862)。
【0099】
(11)収容替え指示のメッセージを受信した無線基地局は、現在接続中の無線基地局制御装置1に対して自身の情報を削除して貰うために、登録削除要求のメッセージを送信する(ステップSQ863)。
【0100】
(12)無線基地局制御装置1は、登録削除要求のメッセージを受信すると、運用管理データからその無線基地局の情報を削除し、無線基地局の情報を削除した後、無線基地局に対して登録削除完了のメッセージを送信する(ステップSQ864、SQ865)。
【0101】
(13)また、無線基地局制御装置1は、無線基地局の情報を削除した後、登録を削除したことを関連装置に通知するために、呼制御装置に運用管理データの更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ866)。
【0102】
(14)呼制御装置は、無線基地局の情報を削除したことによる運用管理データ更新要求のメッセージを受信すると、O&M制御装置の運用管理データから無線基地局が無線基地局制御装置1の配下にあるという情報を削除するために、運用管理データ更新要求のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ867)。
【0103】
(15)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、運用管理データを更新すると、呼制御装置に対して運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ868)。
【0104】
(16)運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置は、運用管理データ更新完了を無線基地局制御装置1に送信する。無線基地局制御装置1は、これらの無線基地局の登録情報を無線基地局制御装置1から削除する処理を実施する(ステップSQ869)。
【0105】
(17)無線基地局は、ステップSQ865の処理で無線基地局制御装置1から送信されてきた登録削除完了のメッセージを受信した後、無線基地局を無線基地局制御装置2に登録する処理のために、無線基地局制御装置2に対して自身を運用管理データに登録して管理・制御の対象とするように登録要求のメッセージを送信する(ステップSQ870)。
【0106】
(18)無線基地局を運用管理データに登録して管理・制御の対象とするように登録要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、該当する無線基地局の情報を運用管理データに追加し、この追加が完了すると、無線基地局に対して登録完了のメッセージを送信する(ステップSQ871、SQ872)。
【0107】
(19)無線基地局制御装置2からの登録完了のメッセージを受信した無線基地局は、正常に新しい無線基地局制御装置に登録されたことを確認することができたので、無線基地局制御装置2に対して無線基地局収容替え完了のメッセージを送信する(ステップSQ873)。
【0108】
(20)無線基地局制御装置2は、無線基地局収容替え完了のメッセージを受信すると、関連装置の運用管理データを、無線基地局が無線基地局制御装置2の配下に収容替えされたことに更新するために、呼制御装置に運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ874)。
【0109】
(21)運用管理データ更新要求のメッセージを受信した呼制御装置は、運用管理データの更新を行い、運用管理データが更新されると、O&M制御装置に運用管理データを更新させるために運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ875)。
【0110】
(22)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、無線基地局が無線基地局制御装置2に収容されたという運用管理データを更新すると、更新が完了したことを通知するために、運用管理データ更新完了のメッセージを呼制御装置に送信する(ステップSQ876)。
【0111】
(23)O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置は、運用管理データ更新完了のメッセージを無線基地局制御装置2に送信する(ステップSQ877)。
【0112】
(24)呼制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、無線基地局のサービスを開始させるために、運用開始指示のメッセージを無線基地局に送信する(ステップSQ878)。
【0113】
(25)そして、運用開始指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を開始し無線基地局制御装置2に対して運用開始完了のメッセージを送信する。これにより、無線基地局は、無線基地局制御装置2に収容替えされ、無線端末は呼接続ができるようになる。そして、無線通信システムは、新しい接続構成で運用される。なお、必要に応じて、無線基地局は、自身がサービスを開始したことを関連装置に通知することができる(ステップSQ879、SQ880)。
【0114】
前述で説明したシーケンスの例は、O&M制御装置が統計データと閾値とを比較して無線基地局の収容替えが必要か判断しているが、無線基地局制御装置には無線基地局の統計データと自身の統計データがあるので、自身の統計データがある閾値を超えた場合にO&M制御装置に対して収容替えの指示を要求してもよい。この場合、無線基地局制御装置は、どの無線基地局を収容替え対象とするか、統計データから決めて収容替え指示と一緒にO&M制御装置に通知するようにしてもよいが、収容先の無線基地局制御装置は、O&M制御装置により選択される。
【0115】
図13はある無線基地局を異なるサブネット内の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。無線基地局制御装置1と無線基地局制御装置2とは、別のサブネットに属しており、それぞれ呼制御装置1と呼制御装置2により管理されている。ここで説明する例は、無線基地局制御装置1の負荷がある閾値を超えたので、無線基地局制御装置1の配下にある無線基地局を無線基地局制御装置2へ収容替えする場合を例である。
【0116】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、無線通信システムを構成する各装置は、O&M制御装置に対して運用状況のデータを送信している。この運用状況データは、各装置で収集している統計や装置の状態等のデータである。これら運用状況データは、定期的に各装置からO&M制御装置に配信されたり、オペレータの指示により各装置から配信される場合がある(ステップSQ900、SQ901)。
【0117】
(2)O&M制御装置は、各装置からの運用状況データを受信すると、これらの情報を自身の記憶装置に格納し、この受信した運用状況データから統計データを抽出し、それら値を予め通信事業者により設定された閾値と比較して負荷状況を確認し、無線基地局の収容替えを行うべきかを判断する。O&M制御装置は、この判断の運用方法として、瞬時的に負荷が上昇したような場合を考慮して、ある回数連続して通知された統計データが閾値を超えたかどうかにより判断するという運用方法、複数の統計データを平均化してその結果が閾値を超えたかどうかで判断するという運用方法をとることもできる(SQ902)。
【0118】
(3)O&M制御装置は、無線基地局の収容替えが必要と判断すると、収容替え判定処理を実施する。この収容替え判定処理は、どの無線基地局をどの無線基地局制御装置の配下に移動させるかを判定する処理である。無線基地局制御装置の配下には複数の無線基地局が収容されており、この中から1局を収容替え対象として選択する。また、同一サブネットの配下には無線基地局制御装置が複数台あるため、この中から1台を収容替え先として選択する。ここで説明している例では、前記収容替え先判定の結果、無線基地局は、無線基地局制御装置1から別のサブネットに属する無線基地局制御装置2へ収容替えすることを判定したと仮定している。無線基地局の収容替えは、サブネットを跨いで行われてもよい(ステップSQ903)。
【0119】
(4)その後、O&M制御装置は、収容替えを行うために、無線基地局の収容替えを要求するメッセージを、対象無線基地局を収容しているサブネットに属する呼制御装置1に送信する。このメッセージの中には、収容替えの対象となる無線基地局と収容替え先の無線基地局制御装置の情報が格納される(ステップSQ904)。
【0120】
(5)無線基地局の収容替えを要求するメッセージを受信した呼制御装置1は、要求メッセージを受信したことを、メッセージ受領応答としてO&M制御装置に送信すると共に、O&M制御装置から受信した無線基地局の収容替え要求のメッセージを配下の無線基地局制御装置1へ送信する。ここでの送信先は、O&M制御装置が収容替え対象として指定した無線基地局を収容する無線基地局制御装置である(ステップSQ905、SQ906)。
【0121】
(6)無線基地局の収容替え要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置1は、メッセージ受領応答を呼制御送信に返信すると共に、無線基地局の収容替えを実施するために、運用停止指示のメッセージを収容替え対象の無線基地局に送信する(ステップSQ907、SQ908)。
【0122】
(7)運用停止指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を停止し無線端末が自無線基地局に接続しないようにサービスを停止する。なお、収容替えを実施する場合は、収容替え対象となる無線基地局のサービスを停止する必要があり、すでに接続中の無線端末が存在する場合、ユーザーへのサービスが停止してしまう。これに対応するため、無線基地局制御装置1は、対象無線基地局に接続している全ての無線端末が切断するまで待ち、全ての無線端末が切断したのを契機に運用停止指示を無線基地局に送信してもよく、または、接続中の無線基地局を別の無線基地局へ逃がすために対象無線基地局が送信電力を徐々に弱くして他の無線基地局へハンドオーバーをさせた後に、別の無線基地局制御装置へ収容替えを行ってもよい。そして、サービスが停止すると無線基地局は、運用停止完了の報告を無線基地局制御装置1に送信する(ステップSQ909)。
【0123】
(8)ここで説明している例は、無線基地局を無線基地局制御装置2へ収容替えすることとしているので、無線基地局制御装置1は、無線基地局の運用が停止したことを確認すると、無線基地局に対して無線基地局制御装置2への無線基地局収容替えを指示するメッセージを送信する。このとき、無線基地局へは無線基地局制御装置2のIPアドレスが通知されるので、無線基地局は、無線基地局制御装置2へメッセージを送信することが可能となる(ステップSQ910)。
【0124】
(9)無線基地局制御装置2への無線基地局収容替えを指示するメッセージを受信した無線基地局は、まず、無線基地局制御装置1の運用管理データから自無線基地局の登録情報を削除するために、無線基地局制御装置1に対して自無線基地局の情報の登録を削除する要求を送信する(SQ911)。
【0125】
(10)無線基地局の情報の登録を削除する要求を受信した無線基地局制御装置1は、無線基地局の情報を運用管理データより削除し、運用管理データから無線基地局の情報を削除すると、無線基地局に対して登録削除完了のメッセージを送信すると共に、無線基地局を削除したことを関連装置に通知するために、運用管理データ更新要求を行うメッセージを呼制御装置1に通知する(ステップSQ912〜SQ914)。
【0126】
(12)呼制御装置1は、無線基地局の情報を削除したことによる運用管理データ更新要求のメッセージを受信すると、O&M制御装置の運用管理データから無線基地局が無線基地局制御装置1の配下にあるという情報を削除するために、運用管理データ更新要求のメッセージをO&M制御装置に送信して、O&M制御装置に運用管理データを更新させる(ステップSQ915)。
【0127】
(13)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、運用管理データを更新すると、呼制御装置1に対して運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ916)。
【0128】
(14)運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置1は、運用管理データ更新完了を無線基地局制御装置1に送信する。無線基地局制御装置1は、これらの無線基地局の登録情報を無線基地局制御装置1から削除する処理を実施する(ステップSQ917)。
【0129】
(15)その後、無線基地局は、無線基地局制御装置1から自無線基地局の情報の登録が削除されると、先に受信した無線基地局収容替え指示の収容先に従って、自無線基地局の情報の登録要求のメッセージを無線基地局制御装置2に送信する。このメッセージには、無線基地局を運用・管理するために必要となるパラメータが含まる(ステップSQ918)。
【0130】
(16)無線基地局を運用管理データに登録して管理・制御の対象とするように登録要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、該当する無線基地局の情報と関連パラメータとを運用管理データに追加し、この追加が完了すると、無線基地局に対して登録完了のメッセージを送信する(ステップSQ919、SQ920)。
【0131】
(17)無線基地局制御装置2からの登録完了のメッセージを受信した無線基地局は、正常に新しい無線基地局制御装置に登録されたことを確認することができたので、ステップSQ910の応答として、無線基地局制御装置1に対して無線基地局収容替え完了のメッセージを送信する(ステップSQ921)。
【0132】
(18)無線基地局制御装置2は、無線基地局の情報と関連パラメータとを運用管理データに追加し、無線基地局の登録が完了すると、無線基地局が無線基地局制御装置2の配下に新規に登録されたことを関連装置に通知するために、呼制御装置2に運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ922)。
【0133】
(19)運用管理データ更新要求のメッセージを受信した呼制御装置2は、運用管理データの更新を行い、運用管理データが更新されると、O&M制御装置に運用管理データを更新させるために運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ923)。
【0134】
(20)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、無線基地局が無線基地局制御装置2に収容されたという運用管理データを更新すると、更新が完了したことを通知するために、運用管理データ更新完了のメッセージを呼制御装置2に送信する(ステップSQ924)。
【0135】
(21)O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置2は、運用管理データ更新完了のメッセージを無線基地局制御装置2に送信する(ステップSQ925)。
【0136】
(22)呼制御装置2からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、無線基地局のサービスを開始させるために、運用開始指示のメッセージを無線基地局に送信する(ステップSQ926)。
【0137】
(23)そして、運用開始指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を開始し無線基地局制御装置2に対して運用開始完了のメッセージを送信する。これにより、無線基地局は、無線基地局制御装置2に収容替えされ、無線端末は呼接続ができるようになる。そして、無線通信システムは、新しい接続構成で運用される。なお、必要に応じて、無線基地局は、自身がサービスを開始したことを関連装置に通知することができる(ステップSQ927、SQ928)。
【0138】
図14は無線基地局毎に登録・設定されている隣接無線基地局の情報の構成例を示す図である。無線通信システムは、無線端末での無線基地局の捕捉を容易とするために、無線基地局には、隣接する無線基地局の情報が登録され、制御チャネル等を使用して無線端末に配信している。なお、説明している本発明の実施形態は、無線基地局に登録されている隣接無線基地局の情報を使用して収容先の無線基地局制御装置を判定している。
【0139】
図14に示している隣接無線基地局の情報の例は、図3に示しているサービスエリアの配置に対応したものである。例えば、サービスエリアの境界にある無線基地局IDが100番の無線基地局に隣接局としては、無線基地局ID110及び無線基地局ID120の無線基地局が登録されており、これらの隣接無線基地局は同一無線基地局制御装置に収容されているため、これらの隣接無線基地局には別の無線基地局制御装置に属する無線基地局はないいと判断することができる。
【0140】
また、無線基地局IDが130番の無線基地局を例に取ると、無線基地局IDが120番、140番及び160番の無線基地局が登録されている。これらの無線基地局ID120の無線基地局と無線基地局ID160の無線基地局とは、それぞれa.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置と、c.c.c.cのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置とに登録されている。無線基地局ID120の無線基地局と無線基地局ID140の無線基地局とは、無線基地局ID130の無線基地局と同一のサブネットに属しているが、無線基地局ID160の無線基地局は、異なるサブネットに登録されている。すなわち、無線基地局ID130の無線基地局を無線基地局IDの無線基地局120と同一のa.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えをすると、同一サブネット内のセルグループ間の収容変えとなり、無線基地局ID130の無線基地局を無線基地局ID160の無線基地局と同一のc.c.c.cのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えをすると、異なるサブネットのサブネット間の収容替えとなる。
【0141】
図15はO&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで説明する例は、無線基地局制御装置の負荷を基に、より負荷の低い無線基地局制御装置への無線基地局の収容替えを行う場合の例である。
【0142】
(1)O&M制御装置は、ある無線基地局制御装置の負荷が閾値を超えて配下の無線基地局の収容替えが必要と判断すると、該当無線基地局制御装置配下で負荷が最も高い無線基地局を収容替え対象として選択する。ここでは、負荷の最も高い無線基地局を選択するとしているが、負荷の最も高い無線基地局を選択して他の無線基地局制御装置に収容すると、収容替え先の無線基地局制御装置の負荷が急増する可能性があるので、該当無線基地局制御装置配下の無線基地局の中で負荷が中間の無線基地局を選択するといった別の選択方法もあり、その方針は、通信事業者のポリシーに従って決定するようにしてよい(ステップFL620)。
【0143】
(2)O&M制御装置は、収容替え対象となる無線基地局を選択すると、最初の収容替え先となる無線基地局説明装置を対象無線基地局と同一のサブネットから選択するように設定する(ステップFL621)。
【0144】
(3)次に、O&M制御装置は、設定したサブネット内の最も負荷の低い無線基地局制御装置を収容替え先として選択する。そして、対象無線基地局を収容する収容替え先の無線基地局制御装置の負荷がサブネットの中で最も低い場合、該当無線基地局の収容替えを実施しても負荷分散とはならないので、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低いか否かを判定する(ステップFL622、FL623)。
【0145】
(4)ステップFL623の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低いと判定した場合、選択した無線基地局制御装置に新しい無線基地局を収容することができる空きポートがあるか否かを判定する(ステップFL624)。
【0146】
(5)ステップFL264の判定で、空きポートがあった場合、選択した無線基地局制御装置が収容替え先として決定して、ここでの処理を終了し、空きポートがなかった場合、選択した無線基地局制御装置への収容替えを行うことができないので、同一サブネット内で次に負荷の低い無線基地局制御装置を選択し、ステップFL623からの処理に戻って、前述と同様に、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低いか否かを判定し空きポートがあるか否かを判定する処理を繰り返して、負荷の低い無線基地局制御装置を選択していく(ステップFL625)。
【0147】
(6)ステップFL623の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも高く、対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低い無線基地局制御装置が該当サブネットになかった場合、別のサブネット配下の無線基地局制御装置を選択するために、まだ確認していない未選択のサブネットが存在するか否かを判定する(ステップFL626)。
【0148】
前述において、あるサブネットサービスしているエリアの中心側にある無線基地局を別のサブネットに収容替えすると、サービスエリアの中心側でサブネットを跨ぐ処理が頻発してしまうので、サブネットを跨ぐ収容替えを許容するのは、収容替え対象無線基地局に登録されている隣接無線基地局が別のサブネットに収容されている場合にのみ、該当サブネット内の無線基地局制御装置を選択するようにするのが望ましい。
【0149】
(7)ステップFL626の判定で、まだ確認していない未選択のサブネットが存在していた場合、収容替え先の選択対象を別のサブネットに変更し、ステップFL622からの処理に戻って処理を続ける(ステップFL627)。
【0150】
(8)ステップFL626の判定で、未選択のサブネットが存在していなかった場合、すなわち、全てのサブネットで確認が終わり対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低い無線基地局制御装置がなかった場合、収容替え先の選択を中止し、収容替えを実施することなく、ここでの処理を終了する(ステップFL628)。
【0151】
前述した処理において、通信事業者のポリシーによってはサブネットを跨いで無線基地局の収容替えは行わないとすることも可能であり、この場合、同一のサブネット内で対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低い無線基地局制御装置がない場合、収容替え先の選択を中止し、収容替えを実施しない。
【0152】
前述で説明した処理の例は、無線基地局制御装置の負荷を基準に収容替え先の無線基地局制御装置を選択しているが、無線基地局制御装置配下の無線基地局数を均等にするために、無線基地局数を基準としてもよい。例えば、新規に無線基地局を設置した場合、図11で示して説明したように、O&M制御装置が、ある無線基地局制御装置に新しい無線基地局が登録されたことの通知を受けると、同一のサブネット配下の無線基地局制御装置に収容されている無線基地局の局数を確認し、局数が最も少ない無線基地局制御装置に新規無線基地局が収容される様に収容替えを行うようにすることもできる。また、別の例として、無線基地局制御装置の負荷を基準に収容替えを行うのではなく、呼制御装置の負荷を基準に収容替えを行ってもよい。この場合、呼制御装置は、1つのサブネットを構成しているので、収容替えはサブネットを越えて行われることになる。
【0153】
図16はO&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の他の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで説明する例は、通信事業者が地理的に近い無線基地局を同じ無線基地局制御装置配下に収容するというポリシーを持っている場合の例である。
【0154】
図14に示して説明したように、各無線基地局には、無線端末が無線基地局の検索を早くするために隣接する無線基地局が登録されている。これを隣接局と呼ぶ。図15に示すフローにより説明した処理の方法で無線基地局の収容替えを実施すると、負荷の状況に応じて、隣接する無線基地局も異なる無線基地局制御装置に収容されることになるので、負荷が分散されても管理が複雑になる。無線基地局制御装置の配下に、地理的に近い無線基地局を集めて収容すると保守が容易となるという利点がある。例えば、ある地域のサービスエリアが、ある無線基地局制御装置の配下の複数の無線基地局のセルで構成されていることが判れば、その地域の無線基地局制御装置の運用管理データを見れば保守が可能であるが、ある地域のサービスエリアが、複数の無線基地局制御装置に属する無線基地局のセルで構成されている場合、それぞれの無線基地局制御装置の運用管理データを確認しなければ保守が困難であり、複数の無線基地局制御装置の運用管理データを確認ための手間が大きくなってしまう。
【0155】
前述について、図1に示して説明した無線通信システムの構成で具体的に説明すると、図1に示す無線通信システムでは、隣り合うセルを持つ無線基地局100、無線基地局110及び無線基地局120が、同一の無線基地局制御装置200に収容されているので、これら無線基地局の運用状況を確認したい時は無線基地局制御装置200から必要な情報を入手すればよい。しかし、無線基地局100、無線基地局110及び無線基地局120が、それぞれ無線基地局制御装置200、無線基地局制御装置220及び無線基地局制御装置240に収容されていると、それぞれの無線基地局の運用状況を確認するには、これら無線基地局制御装置の情報を確認する必要がある。そして、無線基地局に登録されている隣接局の情報を使用して収容替え先を選択すると、地理的に近い無線基地局同士が同じ無線基地局制御装置配下に収容されることになる。図16に示して説明する処理は、無線基地局制御装置の負荷を基に、より負荷の低い無線基地局制御装置へ収容替えを行っている。
【0156】
(1)O&M制御装置は、無線基地局制御装置の負荷が閾値を超えて収容替えが必要と判断すると、該当無線基地局制御装置の配下で負荷が最も高い無線基地局を収容替え対象として選択する。ここでは、負荷の最も高い無線基地局を選択するとしているが、負荷の最も高い無線基地局を選択して他の無線基地局制御装置に収容すると、収容替え先の無線基地局制御装置の負荷が急増する可能性があるので、該当無線基地局制御装置配下の無線基地局の中で負荷が中間の無線基地局を選択するといった別の選択方法もあり、その方針は、通信事業者のポリシーに従って決定するようにしてよい(ステップFL640)。
【0157】
(2)そして、O&M制御装置は、選択した無線基地局の隣接局情報を調べ、選択した前記無線基地局と異なる無線基地局制御装置に収容されている隣接局があるか否かを判定する(ステップFL641)。
【0158】
(3)ステップFL641の判定で、隣接局に異なる無線基地局制御装置に属するものがあると判断した場合、O&M制御装置は、隣接局が属する全ての無線基地局制御装置の中から負荷が最も低い無線基地局制御装置を収容替え先として選択・設定し、選択した無線基地局制御装置の負荷が、収容替え対象無線基地局が属する無線基地局制御装置の負荷より低いか否かを判定する(ステップFL642、FL643)。
【0159】
(4)ステップFL643の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が、収容替え対象無線基地局が属する無線基地局制御装置の負荷より低いと判定した場合、その選択した無線基地局制御装置が収容替え対象となるので、O&M制御装置は、選択された収容替え先の無線基地局制御装置に新しい無線基地局を収容する空きポートがあるか否かを判定し、空きポートがあった場合、選択した無線基地局制御装置を収容替え先と決定して、ここでの処理を終了する(ステップFL644)。
【0160】
(5)ステップFL644の判定で、空きポートがなかった場合、選択した無線基地局制御装置へは収容替えを行うことができないので、隣接局が属する無線基地局制御装置が他にあるか否かを判定する(ステップFL645)。
【0161】
(6)ステップFL645の判定で、他の無線基地局制御装置があれば、次に負荷の低い無線基地局制御装置を選択し、ステップFL644からの処理に戻って、空きポートの有無を判定して最終的に収容替え先を選択することができるまで処理を繰り返す(ステップFL646)。
【0162】
(7)ステップFL645の判定で、隣接局が属する無線基地局制御装置が他になかった場合、ステップFL641の判定で、隣接局に異なる無線基地局制御装置に属するものがなかった場合、また、ステップFL643の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が、収容替え対象無線基地局が属する無線基地局制御装置の負荷より低いものがなかった場合、収容替えを行う対象無線基地局として、前記無線基地局制御装置配下の別の無線基地局を選択し、選択した無線基地局以外に選択対象となる無線基地局がない最後の無線基地局か否かを判定する(ステップFL647)。
【0163】
(8)ステップ647の判定で、選択した基地局が最後の無線基地局ではなかった場合、同一の無線基地局制御装置の配下の次に負荷が高い無線基地局を収容替え候補として選択し、ステップFL641からの処理に戻って処理を繰り返し、選択した基地局が最後の無線基地局であった場合、収容替え先の選択を中止して、ここでの処理を終了する(ステップFL648、FL649)。
【0164】
図17はサブネットを跨るハンドオーバーの発生頻度が高く無線基地局制御装置、呼制御装置の負荷が高くなったことにより、O&M制御装置が実施するサブネットを跨ぐ収容替えの処理動作の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0165】
無線端末は、サブネットを跨ぐとハンドオーバー先で新しい端末識別子が付与される。このため、サブネットを跨ぐハンドオーバーの場合、通常のトラフィックデータに加えて、新しい端末識別子を付与する為のシグナリング処理が発生する。このシグナリング処理により負荷が高くなった場合の対処方法として、そのサブネットを跨るハンドオーバーが頻発しているハンドオーバー元及びハンドオーバー先の無線基地局を同一のサブネットの配下に収容することができる。図17に示すフローでの処理は、この場合のハンドオーバー元のサブネットにある無線基地局制御装置の収容替え先を選択する処理であり、収容替え対象の無線基地局をハンドオーバー先の無線基地局としている処理の例である。
【0166】
(1)いま、ある無線基地局間でのハンドオーバーの発生頻度が閾値を超えると、O&M制御装置は、ハンドオーバー元の無線基地局情報からハンドオーバー元のサブネットを特定する。統計データにどの無線基地局からどの無線基地局へのハンドオーバーが発生しているかの情報が取得されているので、これらの無線基地局がお互いに異なるサブネットに属していることが判れば、確認対象となるハンドオーバーがサブネットを跨ぐハンドオーバーか否かを判断することができる。そして、確認対象となるハンドオーバーがサブネットを跨ぐハンドオーバーであった場合、ハンドオーバー元の無線基地局の情報を確認して、ハンドオーバー元が属しているサブネットを特定する。ここでは、ハンドオーバー元のサブネットを特定するとしているが、ハンドオーバーを行っている関係無線基地局は、ハンドオーバー元、ハンドオーバー先のどちらかの同一のサブネットに収容されればよいので、ハンドオーバー先のサブネットでもよい(ステップFL660)。
【0167】
(2)その後、O&M制御装置は、ハンドオーバー先の無線基地局に登録されている隣接局情報から、ハンドオーバー元のサブネットに属する無線基地局制御装置の情報の全てを抽出し、抽出された無線基地局制御装置が複数台あるか否かを判定する(ステップFL661、FL662)。
【0168】
(3)ステップFL662の判定で、抽出された無線基地局制御装置が複数台あった場合、その中から負荷が最も低い無線基地局制御装置を選択し、抽出された無線基地局制御装置が複数台でなく、1台のみであったその無線基地局制御装置を選択する。ここで説明している例では、ハンドオーバー先の無線基地局の隣接局に登録してある無線基地局が属する無線基地局制御装置を選択対象としているが、ハンドオーバー元サブネット内の全ての無線基地局制御装置を選択対象としてもよい(ステップFL663、FL664)。
【0169】
図18は図1に示す無線通信システムにおける無線基地局制御装置の収容替えのイメージを示す図である。ここで説明する収容替えは、無線基地局制御装置が自身が持っている運用管理データ内の呼制御装置のIPアドレスを新しい収容替え先の呼制御装置のIPアドレスに変更し、呼制御装置が、自身が持っている運用管理データ内の無線基地局制御装置のIPアドレスを別の呼制御装置に収容替えされたらそれを削除し、収容替え先の呼制御装置が新しい無線基地局制御装置のIPアドレスを運用管理データに追加することにより行われる。この図18では、収容関係にある装置の間を論理的な接続線で表現しており、また、収容替えのイメージが分かり易いように、無線基地局制御装置と呼制御装置との間の線を繋ぎ変えて表現しているが、実際には、各装置の運用管理データのIPアドレスを変更することによりデータの送信先や受信元を変えていて、これにより無線基地局制御装置と呼御装置との間にあるルータやスイッチ等の中継装置がデータを適切な装置に転送するので物理的な接続の変更は不要である。
【0170】
また、図18に示す収容替えでは、無線基地局制御装置が別の呼制御装置に収容替えされているので、該当する無線基地局制御装置に収容されている無線基地局は、別のサブネットに移動することになり、サブネットを跨いだ収容替えとなる。
【0171】
以下に、図18に示す収容替えを、無線基地局制御装置220の収容替えが行われたことを前提に説明する。
【0172】
呼制御装置300の負荷がある閾値を超えると、O&M制御装置420は、無線基地局制御装置220に対して収容替えの要求を行う。この要求を受信した無線基地局制御装置220は、自身が呼制御装置350に収容されるように、配下の無線基地局と共に収容替えを行う。図1示したシステムの例では、サブネット境界が無線基地局150と無線基地局160との間にあったが、図18に示す例では、無線基地局制御装置220の収容替えによるサブネット境界が無線基地局120と無線基地局130との間に移動している。また、これまでセルグループ2は、サブネット1に属していたが、収容替えが行われた後のセルグループ2は、サブネット2に属することになる。
【0173】
前述したような収容替えが行われると、ネットワークの構成が変更されたことに伴う構成情報がO&M制御装置に送信され、保守者に構成変更が通知される。
【0174】
図19は図18に示したイメージでの収容替え前後のO&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【0175】
すでに説明したように、無線基地局制御装置の収容替えは運用管理データにあるIPアドレスの情報を変更することにより可能となる。図19に示す運用管理データには、無線基地局を識別するための無線基地局IDと、該当無線基地局を収容している無線基地局制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局制御装置を収容している呼制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局が属するサブネットの番号が、図18に示したイメージでの収容替え前後について記述されている。そして、無線基地局の収容替えが行われると、接続先の無線基地局制御装置のIPアドレスや呼制御装置のIPアドレスやサブネットが変更される。
【0176】
図18に示した無線基地局の収容替えを例に図19に示す運用管理データについて説明すると、図19(a)に示すように、収容替えの前に、b.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置130、140、150は、z.z.z.zのIPアドレスを持つ呼制御装置に収容されていた。図18に示すような収容替え該行われたことより、前述のb.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置は、図19(b)に示しているように、y.y.y.yのIPアドレスを持つ呼制御装置に収容替えされたことになる。収容される呼制御装置が変更となったので、図19に示す例では、サブネットがサブネット1からサブネット2に変更されている。
【0177】
なお、前述の例では、説明を容易とするため、無線基地局制御装置のIPアドレスを変更していないが、通信事業者の設定によってはサブネットを跨ぐと無線基地局制御装置のIPアドレスも合わせて変更される場合がある。前述のように、無線基地局の収容先が変更になる度に運用データの情報を更新することにより、O&M制御装置は、無線基地局がどこに収容されているかを把握することができる。
【0178】
図20はある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行った場合収容替えされた無線基地局制御装置の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。ここで説明する処理の例は、収容替え対象の無線基地局制御装置がサブネット1の呼制御装置1により管理されていて、呼制御装置1の負荷がある閾値を超えた場合に、配下にある無線基地局制御装置をサブネット2の呼制御装置2に収容替えを行った場合の処理例である。
【0179】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、無線通信システムを構成する各装置は、O&M制御装置に対して運用状況のデータを送信している。この運用状況データは、各装置で収集している統計や装置の状態等のデータである。これら運用状況データは、定期的に各装置からO&M制御装置に配信されたり、オペレータの指示により各装置から配信される場合がある(ステップSQ1000、SQ1001)。
【0180】
(2)O&M制御装置は、各装置からの運用状況データを受信すると、これらの情報を自身の記憶装置に格納し、この受信した運用状況データから統計データを抽出し、それら値を予め通信事業者により設定された閾値と比較して負荷状況を確認し、無線基地局制御装置の収容替えを行うべきかを判断する。O&M制御装置は、この判断の運用方法として、瞬時的に負荷が上昇したような場合を考慮して、ある回数連続して通知された統計データが閾値を超えたかどうかにより判断するという運用方法、複数の統計データを平均化してその結果が閾値を超えたかどうかで判断するという運用方法をとることもできる(SQ1002)。
【0181】
(3)O&M制御装置は、無線基地局制御装置の収容替えが必要と判断すると、収容替え先の判定処理を実施する。この収容替え先の判定処理は、呼制御装置配下に収容されている複数の無線基地局制御装置の中から1台の無線基地局制御装置を収容替え対象として選択して収容替え先を選択する処理である。ここでは、収容替え先判定の結果、無線基地局制御装置を呼制御装置1から別サブネットに属する呼制御装置2へ収容替えすることを判定したと仮定する(ステップSQ1003)。
【0182】
(4)その後、O&M制御装置は、収容替えを行うために、無線基地局制御装置の収容替えを要求するメッセージを、対象無線基地局制御装置を収容しているサブネットに属する呼制御装置1に送信する。このメッセージの中には、収容替えの対象となる無線基地局制御装置と収容替え先の呼制御装置の情報が格納される(ステップSQ1004)。
【0183】
(5)無線基地局制御装置の収容替えを要求するメッセージを受信した呼制御装置1は、要求メッセージを受信したことを、メッセージ受領応答としてO&M制御装置に送信すると共に、O&M制御装置から受信した無線基地局制御装置の収容替え要求のメッセージを配下の無線基地局制御装置へ送信して収容替えを指示する。このメッセージには呼制御装置2のIPアドレスが格納されているので、収容替えの指示を受けた無線基地局制御装置は、呼制御装置2と通信を行うことが可能となる(ステップSQ1005、SQ1006)。
【0184】
(6)収容替えの指示のメッセージを受けた無線基地局制御装置は、メッセージの受領応答を呼制御装置1に返信すると共に、自身の収容替えを実施するために、自無線基地局制御装置に収容されている全ての無線基地局に運用停止指示のメッセージを送信する(ステップSQ1007、SQ1008)。
【0185】
(7)運用停止指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を停止し無線端末が自無線基地局に接続しないようにサービスを止める。なお、収容替えを実施する場合、収容替え対象となる無線基地局のサービスを停止する必要があり、すでに接続中の無線端末が存在する場合、ユーザーへのサービスが途中で停止してしまう。これをさけるため、無線基地局制御装置は、対象無線基地局に接続している全ての無線端末が通信を切断するまで待ち、無線端末の全てが切断したことを契機に運用停止指示を無線基地局に送信するようにしてもよい。または、接続中の無線基地局を別の無線基地局へ逃がすために、対象無線基地局が送信電力を徐々に弱くして他の無線基地局へハンドオーバーをさせた後に、別の無線基地局制御装置へ収容替えを行うようにしてもよい。そして、サービスが停止すると、各無線基地局は、運用停止完了のメッセージを無線基地局制御装置に送信する(ステップSQ1009)。
【0186】
(8)全ての無線基地局でのサービスが停止されると、無線基地局制御装置は、自身のデータを呼制御装置1の運用管理データより削除させるために、登録削除要求のメッセージを呼制御装置1に送信する(ステップSQ1010)。
【0187】
(9)登録削除要求のメッセージを受信した呼制御装置1は、自身か持っていた無線基地局制御装置の情報を運用管理データより削除すると共に、無線基地局制御装置の情報を削除したことによりO&M制御装置の運用管理データを更新させる要求のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1011、SQ1012)。
【0188】
(10)本発明の無線通信システムは、サブネットを跨ぐハンドオーバーをサポートしているので、呼制御装置にはお互いの情報が登録されている。このため、O&M制御装置は呼制御装置1から無線基地局制御装置が削除されたことを他の呼制御装置に通知するために、運用管理データ更新要求を呼制御装置2に送信し、呼制御装置2内の運用管理データを更新させる(ステップSQ1013)。
【0189】
(11)運用管理データ更新要求を受信した呼制御装置2は、運用管理データの更新を行った後、運用管理データの更新完了のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1014)。
【0190】
(12)O&M制御装置は、呼制御装置2から運用管理データの更新完了のメッセージを受信すると、呼制御装置1に運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ1015)。
【0191】
(13)O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置1は、登録削除が完了したことを無線基地局制御装置に通知するため、登録削除完了のメッセージを無線基地局制御装置に送信する(ステップSQ1016)。
【0192】
(14)呼制御装置1から登録削除完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置は、先に受信した無線基地局制御装置の収容替え指示で指定された呼制御装置に自身を収容するために、呼制御装置2に対して登録要求を送信する。この要求には、無線基地局制御装置の運用・管理で必要となる運用管理データも含まれる(ステップSQ1017)。
【0193】
(15)無線基地局制御装置からの登録要求を受信した呼制御装置2は、無線基地局制御装置と、その無線基地局制御装置が収容している無線基地局とを自身の運用管理データに追加登録すると共に、無線基地局制御装置を登録したことをO&M制御装置に通知するために、運用管理データ更新要求のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1018、SQ1019)。
【0194】
(16)呼制御装置2からの運用管理データ更新要求のメッセージを受信したO&M制御装置は、呼制御装置1に無線基地局制御装置が登録されたことを通知するため、運用管理データ更新要求のメッセージを呼制御装置1に送信して運用管理データを更新させる(ステップSQ1020)。
【0195】
(17)O&M制御装置からの運用管理データ更新要求のメッセージを受信した呼制御装置1は、自身が持つ運用管理データの更新を行い、運用管理データの更新の完了後、運用管理データ更新完了のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1021)。
【0196】
(18)O&M制御装置は、呼制御装置1からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信すると、呼制御装置2に運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ1022)。
【0197】
(19)呼制御装置2は、O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信すると、登録が完了したことを無線基地局制御装置に通知するために、登録完了のメッセージを無線基地局制御装置に送信する(ステップSQ1023)。
【0198】
(20)呼制御装置2からの登録完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置は、収容替えが完了したことを呼制御装置1に通知すると共に、無線基地局のサービスを開始するために、運用開始指示のメッセージを配下の全ての無線基地局に送信する(ステップSQ1024、SQ1025)。
【0199】
(21)無線基地局制御装置からの運用開始指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を開始し、無線基地局制御装置に対して運用開始完了のメッセージを信する。これにより、無線基地局制御装置が収容替えされ、無線通信システムは、新しい接続構成で運用される。なお、必要に応じて、無線基地局は、自身がサービスを開始したことを関連装置に通知することができる(ステップSQ1026、SQ1027)。
【0200】
図21はO&M制御装置が実施するある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行う処理動作の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで制御する処理の例は、呼制御装置の負荷を基に、無線基地局制御装置をより負荷の低い呼制御装置へ収容替えする場合の処理である。
【0201】
(1)O&M制御装置は、監視している呼制御装置の負荷が予め定めた閾値を超えて収容替えが必要と判断すると、該当呼制御装置配下で負荷が最も高い無線基地局制御装置を収容替え対象として選択する。ここでは、負荷の最も高い無線基地局制御装置を選択するとしているが、負荷の最も高い無線基地局制御装置を選択して他の呼制御装置に収容すると、収容替え先呼制御装置の負荷が急増する可能性があるので、該当呼制御装置配下の無線基地局制御装置の中で負荷が中間の無線基地局を選択するといった別の選択方法もあり、その方針は、通信事業者がポリシーとして設定しておくことができる(ステップFL1100)。
【0202】
(2)収容替え対象となる無線基地局制御装置を選択すると、次に、O&M制御装置は、監視している呼制御装置の中から最も負荷の低い呼制御装置を収容替え先として選択する(ステップFL1101)。
【0203】
(3)収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容する呼制御装置の負荷が無線通信システムの中で最も低い場合、該当無線基地局制御装置の収容替えを実施しても負荷分散とはならないので、選択した呼制御装置の負荷が収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置の負荷よりも低いか否かを判定する(ステップFL1102)。
【0204】
(4)ステップFL1102の判定で、選択した呼制御装置の負荷が収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置よりも低くかった場合、選択した呼制御装置に新しい無線基地局制御装置を収容することができる空きポートがあるか否かを判定し、空きポートがあった場合、選択した呼制御装置を収容替え先として選択して、ここでの処理を終了する(ステップFL1103)。
【0205】
(5)ステップFL1103の判定で、選択した呼制御装置に空きポートがなかった場合、この呼制御装置へ新しい無線基地局制御装置を収容替えすることができないので、無線通信システム内で次に負荷の低い無線基地局制御装置を選択し、ステップFL1102からの処理に戻って、選択した呼制御装置の負荷と対象無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置の負荷よりも低いか確認し空きポートを確認するという処理を繰り返す(FL1104)。
【0206】
(6)ステップFL1102の判定で、選択した呼制御装置の負荷が収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置よりも低い呼制御装置が無線通信システムになかった場合、収容替え先の選択を中止し、収容替えを実施することなくここでの処理を終了する(ステップFL1105)。
【0207】
前述で説明した処理の例は、呼制御装置の負荷を基準に収容替え先の呼制御装置を選択しているが、呼制御装置配下の無線基地局制御装置の数を均等にする為に、無線基地局制御装置の数を基準としてもよい。
【0208】
図22は装置の収容替えを行った場合、及び、装置の収容替えを行おうとしている場合に通信事業者に知らせる画面イメージの例を示す図である。
【0209】
本発明の実施形態では、無線基地局や無線基地局制御装置を負荷に応じて他装置への収容替えを自律的に行っている。しかし、無線通信システムを保守している通信事業者は、無線基地局や無線基地局制御装置がどの装置に何時収容替えされたかを把握する必要がある。また、運用上の都合により通信事業者は、自律的な収容替えを実行されたく無い場合もある。この場合、収容替えを実行するかの確認画面があるのが望ましい。
【0210】
図22(a)に示す画面例は、無線基地局の収容替えが自律的に行われ、その結果がO&M制御装置に接続された入出力装置に表示された場合のイメージである。ここでは、収容替えが発生した日時と、収容元の情報、そして収容先の情報が表示されている。これにより、通信事業者は、無線基地局が何時どの無線基地局制御装置からどの無線基地局制御装置へ収容替えが行われたかを知ることができる。
【0211】
また、図22(b)に示す画面例は、無線基地局の収容替えが必要と判断され、それを実行するかどうかの判断を通信事業者が行う場合に表示されるイメージである。O&M制御装置は、自律的に対象となる無線基地局と収容先の無線基地局制御装置とを画面に表示し、通信事業者に対して該当する収容替えを行うかどうかの入力を促している。通信事業者がそのまま無線基地局の収容替えを行ってもよいと判断すれば、実行ボタンを押してそのまま収容替えを継続し、収容替えを中止したいと判断した場合、中止ボタンにより収容替えを中止させることができる。前述のように、本発明の実施形態による無線通信システムは、通信事業者に対して収容替え対象となる装置とその収容先を自律的に判断し、収容替えを実施する前に通信事業者にその実行を判断させる手段も提供する。
【0212】
なお、前述した画面の例は、無線基地局の収容替えを例に説明したが、無線基地局制御装置の収容替え等の場合も同様である。
【0213】
前述した本発明の実施形態によれば、通信事業者が新規に設置する無線基地局を任意の無線基地局制御装置に登録すれ、無線通信システムがトラフィック量、無線端末の接続数、ハンドオーバーの発生頻度等から生じる負荷を考慮して無線基地局の収容替えを自律的に行うので、負荷が無線通信システムを構成する特定の装置に偏ることを防止することができる。また、本発明の実施形態によれば、通信事業者が無線通信システム内の装置の負荷を考慮せずに任意の無線基地局制御装置に無線基地局を登録すればよいので、無線基地局を新規に設置した後に無線基地局制御装置の負荷を定期的に確認して収容替えを行う手間を省くことができシステムの保守が容易となる。
【符号の説明】
【0214】
100〜170 無線基地局及びセル番号
101、201、301、451 通信機能
102、202、302、452 デバイス制御機能
103、203、303、453 データ管理機能
104、210、310、455 収容替え処理機能
200、220、240 無線基地局制御装置
204、304 呼処理機能
205、305 呼情報管理機能
206、306 保守機能
300、350 呼制御装置
400 スイッチ
420 O&M制御装置
440 コアネットワーク
454 入出力制御機能
460 公衆回線網
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線基地局を収容する無線基地局制御装置を備える無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法に係り、特に、異なる無線基地局制御装置への無線基地局の収容替えを、自律的に行うことができる無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE、WiMax、cdma2000 1xEV−DO等の無線通信システは、複数の無線基地局を使用してサービスエリアを構成しており、無線端末はそのサービスエリア内で通信先となる無線基地局を切り替えながら移動して通信を行っている。1つの無線基地局がサービスを提供しているエリアはセルと呼ばれ、無線端末は、無線基地局がサービスしているセルの境界に移動すると、ハンドオーバーと呼ばれる通信先無線基地局の切り替えを行い、切り替え先の無線基地局のセル内に移動し通信を継続することができる。
【0003】
無線基地局を管理し制御している装置は、無線基地局制御装置と呼ばれ、この無線基地局制御装置は、1つ以上の無線基地局を管理し制御している。一般に、無線基地局と無線基地局制御装置とは1対1の関係ではなくN対1の関係となっており、無線基地局は、無線通信システム内の何れか1つの無線基地局制御装置によって管理・制御されている。
【0004】
通信事業者は、ユーザー数が増加して無線リソースが不足し、通信品質が低下した場合に通信品質を改善するとき、サービスエリアを拡大するとき、不感地帯を解消するとき等を契機にとして、新しい無線基地局を増設する。そして、通信事業者は、無線基地局を新規に設置すると、新規に設置した無線基地局を無線通信システム内の何れか1つの無線基地局制御装置に登録して管理させ制御させる。このように、無線基地局をある無線基地局制御装置に管理させ制御させることを、無線基地局を無線基地局制御装置に収容すると呼んでいる。
【0005】
一般に、無線基地局制御装置は、複数の無線基地局を収容することができるので、保守を容易にするために、無線基地局の無線基地局制御装置への登録を、無線基地局制御装置に地理的に近い複数無線基地局を同一の無線基地局制御装置に登録する場合が多い。この場合、ある無線基地局制御装置の配下には、無線端末の数が比較的多い都心部をサービスしている無線基地局が複数収容され、別の無線基地局制御装置の配下には、無線端末の数が比較的少ない郊外をサービスしている無線基地局が複数収容されるというケースが発生し、無線基地局制御装置相互間での通信トラフィックのアンバランス、収容無線基地局数のアンバランスを生じさせる。
【0006】
前述したようなアンバランスを解消可能とした従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、複数の無線基地局が形成する無線ゾーンの集合である位置登録エリア内に無線基地局が新設された場合、新設された無線基地局がGPS等で自局の位置を認識し周辺の複数の無線基地局と通信を行い、周辺無線基地局の所属状況と自局の位置とに基づいて、自局が所属すべき位置登録エリアを選択するというものである。そして、この従来技術は、無線基地局が位置登録エリアの境界付近に位置し、周辺無線基地局の位置登録エリアが複数となる場合、位置登録エリア毎のトラヒックが平滑化され、無線基地局数が平滑化されるよう無線基地局の所属すべき位置登録エリアを選択するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−174665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、通信事業者は、無線基地局を新たに設置した場合に、新たに設置した無線基地局を無線通信システム内のいずれかの無線基地局制御装置に登録して収容させるが、新たに無線基地局を設置するときに、無線通信システムを構成する各装置の負荷がどのように変化するかを把握することは困難である。そのため、通信事業者は、無線通信システムの管理を容易にするために、地理的に近い無線基地局を同一の無線基地局制御装置の配下に接続するといった、通信事業者のポリシーに従って新たな無線基地局をある無線基地局制御装置に登録して収容している。
【0009】
新たな無線基地局を設置すると新しいセルが追加されることになるので、これまで隣接無線基地局に接続していた無線基地局が新しい無線基地局に接続されてトラフィックパターンが変化し、近隣無線基地局でのトラフィック量、接続している無線端末の数などの負荷状況が変わってしまう。ここでの負荷としては、無線通信システムを構成する装置のCPUの使用率があるが、CPUの使用率を増加される要因としては、例えば、送受信するトラフィック量の増加、ハンドオーバー等のシグナリング処理の増加などがある。
【0010】
また、負荷状況の変化として、例えば、ある無線基地局制御装置配下の無線基地局がサービスしているエリアに、新たに別の無線基地局制御装置と、別の無線基地局とを、別の無線基地局制御装置に別の無線基地局を収容した状態で設置すると、トラフィックの一部が新規に設置した無線基地局を経由して別の無線基地局制御装置に流れることになり、無線基地局のみならず無線基地局制御装置の負荷状況が変わるということがある。また、無線基地局を設置後にこの無線基地局がサービスしているセル内に無線端末を使用するユーザーが多数集まるオフィスビルが新たに設置されたり、新しい無線端末やアプリケーションが登場したりすることによってもトラフィック量が変化することにより無線通信システムを構成する各装置の負荷状況も通信サービス中に変わってしまうことになる。
【0011】
前述のように、無線通信システムを構成する装置の負荷状況が変わった場合、無線基地局、無線基地局制御装置のある特定の装置に負荷が集中しないように負荷を分散させることが望ましい。ある無線基地局制御装置に収容されている無線基地局を別の無線基地局制御装置に収容することを収容替えと言う。しかし、無線基地局を新規に設置するときに、前述で説明したような運用後の負荷状況の変化を予測して無線基地局の収容先を選択することは困難である。
【0012】
無線基地局の設置後に無線基地局を別の無線基地局制御装置に収容替えを行う方法として、無線通信システムを構成する各装置の負荷状況を、統計データ等の運用データを監視して把握し、ある装置の負荷が高い場合に関連装置の収容替えを行う等の処置により高い負荷を別の装置へ分散させるという方法がある。しかし、無線通信システムは、そのシステムによっては、数千局から数万局の無線基地局によりサービスを提供しており、通信事業者がこれら多くの装置の運用データを常に監視して無線基地局の収容替えを行うかどうかを判断するのは手間がかかり、多大な労力やコストが必要となる。そして、手間やコストにより運用データを頻繁に確認しなくなると、負荷状況の変化に応じて直ちに負荷を分散させることができなくなり、特定の装置の負荷大きくなるということが発生する。その結果、ある装置配下での無線端末当たりのスループットが低下し、ハンドオーバーの処理が遅くなる等サービスの品質が低下してしまうことになる。
【0013】
本発明の目的は、前述で説明したような種々の問題に鑑み、通信事業者の手間やコストをかけることなく、無線通信システム内の各装置の負荷状況に応じて無線基地局の収容替えを自律的に行って負荷分散を図り、前述の負荷状況の変化によるサービスの低下を防ぐことを可能とした無線通信システム及び該システムを構成する装置の収容替え方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば前記目的は、複数の無線基地局と、複数の無線基地局制御装置と、複数の呼制御装置と、O&M制御装置とを備えて構成される無線通信システムにおいて、1または複数の無線基地局が1台の無線基地局制御装置により管理・制御され、1または複数台の無線基地局制御装置が1台の呼制御装置により管理・制御され、保守装置としてのO&M制御装置が前記各装置を管理・制御しており、前記O&M制御装置は、前記無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率、CPU使用率の増加の要因となるトラフィック量、無線端末の接続数、または、シグナリング処理量で代表される負荷の状態を、前記無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、前記負荷が予め設定した閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行うことにより達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信事業者の手間やコストをかけることなく、無線通信システム内の各装置の負荷状況に応じて無線基地局の収容替えを自律的に行って負荷分散を図り、負荷状況の変化によるサービスの低下を防ぐことを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す無線通信システムにおける基地局の収容替えのイメージを示す図である。
【図3】図1、図2で示している無線通信システムの複数のセルを実際の移動体通信サービスに近い状態で配置した例を示す図である。
【図4】通信事業者が無線基地局を設置して運用した後に無線基地局を撤去するまでの運用の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】無線基地局の機能構成を示すブロック図である。
【図6】無線基地局制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】呼制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】O&M制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】O&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【図10】O&M制御装置が管理している運用管理データ内の統計データの一例を示す図である。
【図11】無線基地局を新規に設置して無線通信システムに登録した場合の新基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図12】ある無線基地局を同一サブネット内の別の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図13】ある無線基地局を異なるサブネット内の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図14】無線基地局毎に登録・設定されている隣接無線基地局の情報の構成例を示す図である。
【図15】O&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の例を説明するフローチャートである。
【図16】O&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の他の例を説明するフローチャートである。
【図17】サブネットを跨るハンドオーバーの発生頻度が高く無線基地局制御装置、呼制御装置の負荷が高くなったことにより、O&M制御装置が実施するサブネットを跨ぐ収容替えの処理動作の例を説明するフローチャートである。
【図18】図1に示す無線通信システムにおける無線基地局制御装置の収容替えのイメージを示す図である。無線基地局制御装置を収容替えした時のイメージ図である。
【図19】図18に示したイメージでの収容替え前後のO&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【図20】ある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局制御装置の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。
【図21】O&M制御装置が実施するある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行う処理動作の例を説明するフローチャートである。
【図22】装置の収容替えを行った場合、及び、装置の収容替えを行おうとしている場合に通信事業者に知らせる画面イメージの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による無線通信システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示す本発明の実施形態による無線通信システムは、複数の無線基地局100〜170と、複数の無線基地局制御装置200、220、230と、複数の呼制御装置300、350と、スイッチ400と、C&M制御装置420と、コアネットワーク440とを含んで構成されている。前述において、無線通信システムを構成する無線基地局、無線基地局制御装置、呼制御装置は、さらに多数備えられていてもよい。そして、スイッチ400には、公衆回線網460が接続されている。
【0020】
前述した本発明の実施形態による無線通信システムにおいて、無線基地局100、無線基地局110及び無線基地局120は、無線基地局制御装置200に収容されて管理・制御されている。これら無線基地局は、それぞれセル100、セル110及びセル120と呼ばれるサービスエリアを持ち、無線端末がこれらサービスエリアの配下に居ると、その無線端末は、該当するセルをサービスしている無線基地局を経由して通信を行うことができ、その無線端末がハンドオーバーと呼ばれる通信先無線基地局を切り替えることにより別のセルに移動してサービスを継続することができる。無線基地局制御装置200が管理・制御している無線基地局のセルを束ねてセルグループ1と呼ぶこととする。
【0021】
同様に、無線基地局130、無線基地局140及び無線基地局150は、無線基地局制御装置220に収容されて管理・制御されている。これら無線基地局は、それぞれセル130、セル140及びセル150と呼ばれるサービスエリアを持つ。無線基地局制御装置220が管理・制御している無線基地局のセルを束ねてセルグループ2と呼ぶこととする。
【0022】
前述の無線基地局制御装置200と前記無線基地局制御装置220とは、呼制御装置300に接続されている。そして、この呼制御装置300の配下にある全てのセルが同じサブネットに属することになる。図1に示している例では、セルグループ1とセルグループ2とが、同一のサブネットに属していて、これをサブネット1と呼ぶこととする。サブネットとは、移動体通信ネットワークを複数のネットワークに分割して管理するときの管理単位となる小さなネットワークのことである。
【0023】
前述サブネット1とサブネットの境界を挟んで隣接関係にあるサブネットをサブネット2と呼ぶこととする。このサブネット2には、無線基地局160と無線基地局170とが属しており、両無線基地局は、無線基地局制御装置240によって管理・制御されている。これら無線基地局160、170は、前述と同様に、それぞれセル160、セル170と呼ぶサービスエリアを持ち、これらをセルグループ3と呼ぶこととする。無線基地局制御装置240は、呼制御装置350に接続されていて、セルグループ3はサブネット2に属している。
【0024】
そして、呼制御装置300と呼制御装置350とは、パケット等のデータを適切な宛先に振り分けて送信するスイッチ400と呼ばれる装置に接続され、このスイッチ400の先には、O&M制御装置420、コアネットワーク440、公衆回線網460が接続されている。
【0025】
なお、図1に示す例では、説明を容易にするため、無線基地局制御装置と呼制御装置とを異なる装置として記載しているが、これら2つ装置が備える機能を1つの装置に纏めることも可能である。その場合、無線基地局は、これらの機能を統合した装置に収容され、管理・制御されることになる。そして、無線基地局制御装置と呼制御装置とを1つの装置で構成する場合、その装置は、無線通信システムによっては、BSC(Base Transceiver Station)、ASN−GW(Access Service Network - Gateway)等と呼ばれる場合もある。
【0026】
前述したように構成される本発明の実施形態による無線通信システムにおいて、ある無線基地局のサービスエリアであるセル内に居るユーザが、自身が持つ携帯電話等の通信装置を用いて、他の無線基地局のセル内に居るユーザ該持つ通信装置との間の通信を行う場合、あるいは、公衆通信網460を介した通信装置に発信し、または、公衆通信網460を介した通信装置からの着信を受けて通信を行う場合、それらの通信は、ゲートウェイ機能等を備えるコアネットワーク440を介して行われる。
【0027】
図1に示して説明した本発明の実施形態による無線通信システムにおいて、無線基地局の収容替えは、同一のサブネット内でセルグループ越えて行われる場合と、サブネットを越えて行われる場合とがある。無線基地局の収容替えがセルグループを越えて行われる場合、無線基地局は、現在管理・制御されている無線基地局制御装置から同一のサブネット配下の別の無線基地局制御装置に接続されて管理・制御されることになる。また、無線基地局の収容替えがサブネットを越えて行われる場合、無線基地局は、現在管理・制御されている無線基地局制御装置から別のサブネット配下の無線基地局制御装置に接続されて管理・制御されることになる。
【0028】
前述のような無線基地局の収容替えを行うことにより、例えば、負荷の高い無線基地局の収容替えを、負荷の低いセルグループに対して行うことにより、現在属するセルグループの負荷を低減させ、負荷の低いセルグループ負荷を増大させることができ、負荷をセルグループ間で分散させることができる。この収容替えは、無線基地局自身が持っている運用管理データ内の無線基地局制御装置のIPアドレスを新しい収容替え先の無線基地局制御装置のIPアドレスに変更し、無線基地局制御装置自身が持っている運用管理データ内の無線基地局のIPアドレスを別の無線基地局制御装置に収容替えしたら削除し、収容替え先の無線基地局制御装置が新しい無線基地局のIPアドレスを運用管理データに追加することにより行うことができる。
【0029】
図2は図1に示す無線通信システムにおける基地局の収容替えのイメージを示す図である。図2には、基地局の収容替えが同一のサブネット内でセルグループ越えて行われる場合と、サブネットを越えて行われる場合とについて示している。なお、図2では、収容関係にある装置間は論理的な接続線で表現されている。また、図2では、収容替えのイメージが判り易いように、無線基地局と無線基地局制御装置との間の線を繋ぎ変えて表現しているが、実際は各装置の運用管理データのIPアドレスを変更することによりデータの送信先や受信元を変えていて、これにより、無線基地局と無線基地局制御装置との間にあるルータやスイッチなどの中継装置がデータを適切な装置に転送するので物理的な接続の変更は不要である。
【0030】
まず、図2を参照して、同一のサブネット内でセルグループを越えて無線基地局の収容替えを行う場合について説明する。
【0031】
収容替えを実施した無線基地局は、図2では無線基地局120であるとしている。図1では、無線基地局120は、無線基地局制御装置200に接続されて管理・制御されていた。図2では、無線基地局120を無線基地局制御装置200から無線基地局制御装置220へ収容替えを行うことにより、無線基地局120は、無線基地局制御装置220に接続されて管理・制御されることとなる。この無線基地局120の収容替えにより、セルグループ1から前記無線基地局120のサービスエリアであるセル120が削除され、代わりに前記セル120がセルグループ2に追加されている。このような無線基地局の収容替えを行うことにより、無線基地局が接続される無線基地局制御装置が変更となるので、無線基地局が属するセルグループも必然的に変更される。前述のように、無線基地局制御装置200の負荷が高いときに、その配下に収容されている無線基地局120を無線基地局制御装置220への収容替えを行うことにより、無線基地局制御装置200の負荷を減らすことができる。
【0032】
次に、図2を参照して、サブネットを越えて無線基地局の収容替えを行う場合について説明する。
【0033】
いま、サブネット境界にある無線基地局150に着目すると、図1に示す例では、無線基地局150は、呼制御装置300に属する無線基地局制御装置220に接続されている。呼制御装置300は、サブネット1に属するので、前記無線基地局150もサブネット1に属している。図2の例では、無線基地局150を、無線基地局制御装置220から無線基地局制御装置240へ収容替えしている。無線基地局制御装置240は、呼制御装置350に接続され、前記呼制御装置350はサブネット2に属しているため、無線基地局150はサブネット2に属することになる。前述の無線基地局150は、収容替え前にはセルグループ2に属していたが、収容替えによりセルグループ2から削除され、セルグループ3に追加される。この収容替えにより、サブネットの境界が無線基地局150と無線基地局160との間から無線基地局140と無線基地局150との間に変更される。このような収容替えを行うことにより、例えば、無線基地局150と無線基地局160との間でサブネットを跨ぐハンドオーバーが多発している場合、サブネット境界が無線基地局140と無線基地局150の間に移動するので、無線基地局150と無線基地局160の間のハンドオーバーの処理がサブネット内の処理に替わることになり、処理負荷を軽減することができる。
【0034】
前述で説明したような基地局の収容替えが行われると、ネットワークの構成が変更されることになり、これに伴う構成情報の変更がO&M制御装置420に送信されて、保守者に構成変更が通知される。
【0035】
図3は図1、図2で示している無線通信システムのセル100〜セル170を実際の移動体通信サービスに近い状態で配置した例を示す図である。図3には各セルを六角形の形で示し、セルグループを太線で囲んで示している。運用によってはこれらセルが複数のセクタに分割されている場合がある。
【0036】
図3(a)に示すセル100〜セル170のサービスエリアは、図1のサービスエリアであり、セルグループ1は、セル100、セル110及びセル120により構成され、セルグループ2は、セル130、セル140及びセル150により構成され、そして、セルグループ3は、セル160及びセル170で構成されている。
【0037】
図3(b)に示すセル100〜セル170のサービスエリアは、図2のサービスエリアであり、無線基地局120及び無線基地局150の収容替えが行われた状態である。図2で説明したように、無線基地局の収容替えにより無線基地局のセルが属するセルグループが変更になるため、図3(b)では、無線基地局120のセル120と無線基地局150のセル150とのセルグループが変更になっている。セル120は、セルグループ1からセルグループ2に移動し、セル150はセルグループ2からセルグループ3に移動している。これにより、セルグループ間の負荷を変えることができ、セルグループ間の負荷を均等に分散させ、あるいは、あるセルグループの負荷を他セルグループの負荷より低くするといった柔軟な運用が可能となる。また、図3(b)に示す例では、セル150をセルグループ3に収容替えしており、また、セルグループ2とセルグループ3とは異なるサブネットに属することになるので、図3(a)でセル150とセル160との間、セル150とセル170との間で無線基地局が移動するとサブネットを跨ぐハンドオーバーが発生していたのが、このハンドオーバーの処理をサブネット内のハンドオーバー処理となり、処理負荷を軽減することができる。
【0038】
図4は通信事業者が無線基地局を設置して運用した後に無線基地局を撤去するまでの運用の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0039】
(1)通信事業者は、すでにサービスを実施している無線通信システムに対して、新規に無線基地局を設置し無線基地局制御装置の運用管理データに、新しい無線基地局のデータ登録する(ステップFL600)。
【0040】
(2)無線基地局制御装置を管理・制御する呼制御装置や無線通信システム内の各装置を保守するO&M制御装置402は、無線基地局制御装置から無線基地局が新たに登録されたことが通知され、これを契機に新たな無線基地局を登録して自身が持つ運用管理データを更新する。その後、新規に設置した無線基地局は運用を開始する(ステップFL601)。
【0041】
(3)新規に設置した無線基地局を含む無線通信システムの運用期間中、O&M制御装置402は、収集管理している統計データを含む運用管理データを監視していて、特定の無線基地局で負荷が高くなっていないか等の負荷情報を判定し、負荷が予め定めた閾値以上となっているか否かを判定する。この統計データの負荷と閾値との比較は、通信事業者が任意に設定することができ、例えば、統計データを他装置から受信する度に閾値との比較を実施したり、ある一定の周期で閾値との比較を実施したりすることができる。ある一定の周期で実施する場合、その周期の間に受信した統計データを移動平均などにより平均化して、その平均化された値と閾値とを比較することになる(ステップFL602、FL603)。
【0042】
(4)ステップFL603の判定で、負荷がある閾値以下であった場合、そのまま無線基地局を運用し、ステップFL602からの処理に戻り、定期的に無線基地局の負荷状況を判断する。また、ステップFL603の判定で、負荷がある閾値以上であった場合、O&M制御装置402は、無線基地局の収容替えを行うべきと判断して、無線基地局の収容替えを行う(ステップFL604)。
【0043】
(5)無線基地局の収容替えが行われると、収容替えを行った無線基地局の収容元からその無線基地局の登録を削除し、新しい収容替え先にその無線基地局の情報を追加登録するために、関連する無線基地局制御装置と呼制御装置とO&M制御装置の運用管理データベースが更新される。その後、無線基地局は、新しい収容先で運用される(ステップFL605)。
【0044】
(6)次に、無線基地局が老朽化したり移動体通信サービスを停止する等により、無線基地局の撤去が必要か否かを管理者が判断し、無線基地局の撤去の必要はないと判断された場合、ステップFL602からの処理に戻り、定期的に無線基地局の負荷状況を判断する処理以降の処理を繰り返し、無線基地局の撤去が必要と判断されると、無線基地局の情報を運用管理データより削除して、無線基地局を撤去する(FL606、FL607)。
【0045】
図5は無線基地局の機能構成を示すブロック図である。無線基地局は、無線端末からのアンテナを経由して受信した無線の信号を有線の信号に変換して無線基地局制御装置へ送信し、また、無線基地局制御装置より送信された有線の信号を無線の信号に変換する機能を有するものである。
【0046】
この無線基地局は、BTS(Base Transceiver Station)と呼ばれることがあり、無線、有線の信号を変換し、適切な宛先に送受信する為の通信機能101と、トラフィックデータ、無線基地局の状態等の運用管理データを管理するデータ管理機能103と、無線基地局内の各デバイスを制御するデバイス制御機能102と、無線基地局が接続中の無線基地局制御装置から自身を削除し、収容替え先の無線基地局制御装置に自身を登録する収容替え処理機能104とが搭載されて構成されている。
【0047】
データ管理機能103が管理している運用管理データの中には、無線基地局の動作で必要となる通信先IPアドレス等の運用パラメータ、運用時に取得した統計データ、ログ情報が含まれ、無線基地局の収容替えが行われると前記運用パラメータが新しい接続先の無線基地局制御装置に変更される。これにより、無線基地局は、適切な無線基地局制御装置と通信を行うことが可能となる。
【0048】
収容替え処理機能104は、収容替え先無線基地局制御装置の情報を載せた収容替え指示を受信すると、自無線基地局の運用を停止した後に、自無線基地局が現在収容されている無線基地局制御装置に対して自身の登録を削除するように指示を行い、また、収容替え指示により指定された収容替え先無線基地局制御装置に対して自身の登録を要求する。収容替え先無線基地局制御装置の情報としては、例えば、該当無線基地局制御装置のIPアドレスやIDがある。
【0049】
図6は無線基地局制御装置の機能構成を示すブロック図である。無線基地局制御装置は、無線基地局を管理・制御する機能の他に、無線端末との間の呼接続、無線基地局間を無線端末が移動することによるハンドオーバーなどの呼処理も行う機能を有するものである。
【0050】
この無線基地局制御装置は、BSC(Base Station Controller)、RNC(Radio Network Controller)等と呼ばれることがあり、無線基地局との間でデータを送受信したり呼制御装置、O&M制御装置及び他の無線基地局制御装置との間でデータを送受信したりする通信機能201と、トラフィックデータ、自無線基地局制御装置の状態等の運用管理データを管理するデータ管理機能203と、呼接続、ハンドオーバーの処理を行う呼処理機能204と、セッション情報等のユーザー特有の情報を管理して制御する呼情報管理機能205と、自無線基地局制御装置の保守を行う保守機能206と、無線基地局制御装置内の各デバイスを制御するデバイス制御機能202と、無線基地局の収容替えが行われると設定パラメータを更新し、収容替えの内容に従い適切に無線基地局との間のデータを送受信することができるように制御処理を実施する収容替え処理機能210とが搭載されて構成されている。
【0051】
データ管理機能203が管理している運用管理データの中には、自無線基地局制御装置の動作で必要となる無線基地局の収容状況及び通信先IPアドレスの一覧等の運用パラメータ、運用時に取得した統計データ、ログ情報が含まれる。
【0052】
収容替え処理機能210は、無線基地局の収容替えが行われると前述の設定パラメータを更新し、収容替えの内容に従い適切に無線基地局との間のデータを送受信することができるように制御処理を実施する。収容替え処理機能210は、例えば、収容している無線基地局が別の無線基地局制御装置へ収容替えされた場合、該当する無線基地局の情報を運用管理データより削除し、他の無線基地局制御装置に収容されている無線基地局が自無線基地局制御装置に収容替えされた場合、該当する無線基地局の情報を運用管理データに登録する。そして、収容替え処理機能210は、無線通信システム内の関係する他の無線基地局制御装置、呼制御装置、O&M制御装置に対して収容替えが行われたことを通知して運用管理データの更新を指示する。
【0053】
データ管理機能203が管理している運用管理データの中の統計データは、収容替えの判定に使用されるデータである。
【0054】
無線基地局制御装置は、無線基地局の収容替えが必要かどうかの判断で必要となる情報を運用管理データとして持っているので、収容替え処理機能210は、予め通信事業者により設定された無線基地局の収容替え判断基準を満たしているかどうか判断し、収容替えの指示をO&M制御装置に送信することもできる。
【0055】
図7は呼制御装置の機能構成を示すブロック図である。呼制御装置は、無線基地局とコアネットワークとの間のパケット引き渡し機能、セッション情報の管理、サブネットを跨ぐハンドオーバー時のセッション情報引き渡し機能等を実現している。また、呼制御装置は、本発明の無線通信システムでの収容替え先の選択も行っている。
【0056】
この呼制御装置は、無線通信システムによっては、PCF−SC(Packet Control Function- Session Control)と呼ぶことがあり、無線基地局制御装置との間でデータを送受信し、コアネットワーク、O&M制御装置、他の呼制御装置との間でデータを送受信するための通信機能301と、トラフィックデータ、無線基地局制御装置の状態等の運用管理データを管理するデータ管理機能303と、呼接続、ハンドオーバーの処理を行う呼処理機能304と、セッション情報等のユーザー特有の情報を管理して制御する呼情報管理機能305と、自呼制御装置の保守を行う保守機能306と、呼制御装置内の各デバイスを制御するデバイス制御機能302と、無線基地局制御装置の収容替えを処理する機能を持つ収容替え処理機能310とを搭載して構成されている。
【0057】
呼処理機能304は、前述の機能の他に、無線端末がサブネットを跨いでハンドオーバーをしたときに無線端末に対して新たな端末識別子を付与する機能も有している。呼情報管理機能305は、例えば、無線端末がIDLE状態となったときにセッション情報を無線基地局制御装置から引継いで管理している。
【0058】
データ管理機能303は、無線基地局の収容替えが呼制御装置配下で発生すると、無線基地局の収容されている状況に合わせて運用管理データを更新する。例えば、データ管理機能303は、収容している無線基地局が別のサブネットにある無線基地局制御装置へ収容替えされた場合、該当無線基地局の情報を運用管理データより削除し、他のサブネットの無線基地局制御装置に収容されている無線基地局が自サブネットの無線基地局制御装置に収容替えされた場合、該当無線基地局の情報を運用管理データに登録する。
【0059】
収容替え処理機能310は、無線基地局制御装置の収容替えを処理する機能を持ち、無線基地局制御装置の収容替えが行われると、前述の設定パラメータを更新し、収容替えの内容に従い適切に無線基地局制御装置とデータの送受信を行うことができるように制御処理を行うこともできる。
【0060】
呼制御装置は、例えば、収容している無線基地局制御装置が別の呼制御装置へ収容替えされた場合、該当無線基地局制御装置の情報を運用管理データから削除し、他の呼制御装置に収容されている無線基地局制御装置が自呼制御装置に収容替えされた場合、該当無線基地局制御装置の情報を運用管理データに登録する。そして、呼制御装置は、無線通信システム内の関係する他の無線基地局制御装置、他の呼制御装置及びO&M制御装置に対して収容替えが行われたことを通知して運用管理データの更新を指示する。前述の運用管理データには、統計データがふくまれ、統計データは、収容替えの判定に使用される。呼制御装置は、無線基地局制御装置の収容替えが必要かどうかの判断で必要となる統計データを運用管理データの中に持っているので、収容替え処理機能310は、予め通信事業者により設定された無線基地局の収容替え判断基準を満たしているかどうか判断し、収容替えの指示をO&M制御装置に送信することができる。
【0061】
図8はO&M制御装置の機能構成を示すブロック図である。このO&M制御装置は、無線通信システムを構成する各装置が持つ保守機能と連携して通信事業者に対して各装置の状態を通知し、通信事業者からの指示に従って各装置の構成を変更する機能を有する装置である。
【0062】
O&M制御装置は、無線通信システム内の各装置と通信を行う通信機能451と、各装置の状態や統計データ等の各装置の運用情報を収集して管理するデータ管理機能453と、通信事業者に対して各装置の運用情報を表示し、通信事業者が設定変更を入力する入出力制御機能454と、O&M制御装置を構成する各デバイスを管理制御するデバイス制御機能452と、無線基地局の収容替えが発生したときに収容替え先を選択し収容替えを指示する収容替え処理機能455とを搭載して構成されている。
【0063】
データ管理機能453により収集された各装置の運用情報は、記憶装置に一定期間保存される。収容替え処理機能455は、統計データから得られる負荷情報が予め指定した閾値を上回ったときに発生する無線基地局の収容替えの収容替え先を選択して収容替えを指示する機能である。
【0064】
前述で説明したように、O&M制御装置は、無線通信システム内の各装置を監視しているので、無線基地局、無線基地局制御装置、呼制御装置から通知されるこれら装置の統計データを含む運用状況を記憶装置に保存する。O&M制御装置は、この保存された統計データ等の運用情報を使用して、それが予め通信事業者により設定された無線基地局の収容替え判断基準を満たした場合、収容替え対象となる無線基地局と前記無線基地局を収容する収容替え先無線基地局制御装置との選択を行う。そして、O&M制御装置は、これらの選択した結果を基に、関連する装置に対して収容替えの指示を行い、無線基地局の収容替えが完了すると、収容替え処理機能455は、O&M制御装置が管理している運用情報を収容替え後の状態に更新する。
【0065】
図9はO&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【0066】
すでに説明したように、無線基地局の収容替えは、運用管理データにあるIPアドレスの情報を変更することにより可能となる。図示運用管理データは、無線基地局を識別するための無線基地局IDと、該当無線基地局を収容している無線基地局制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局制御装置を収容している呼制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局が属するサブネットの番号であるサブネットIDとにより構成されている。そして、無線基地局の収容替えが行われると、接続先の無線基地局制御装置のIPアドレス、呼制御装置のIPアドレス、サブネットIDが変更されることになる。
【0067】
以下に図2に示した無線基地局の収容替えを例として、運用管理データの変更について説明する。
【0068】
図9(a)に示しているように、無線基地局の収容替えの前において、無線基地局IDが120の無線基地局は、a.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容されていた。この無線基地局IDが120の無線基地局をa.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置から、図9(b)に示すように、b.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えされている。その収容替え後の運用管理データは、図9(b)に示しているように変更される。無線基地局120は、同一サブネット配下の別の無線基地局制御装置に収容替えされたので、無線基地局制御装置の接続先である呼制御装置は変更されずIPアドレスの変更はない。
【0069】
また、無線基地局150の収容替えの場合、図9(a)に示しているように、無線基地局150はb.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置から、図9(b)に示しているように、c.c.c.cのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えされている。この収容替え先の無線基地局制御装置は、別のサブネットに属する呼制御装置に接続されているので、図9(b)に示しているように、呼制御装置のIPアドレスがy.y.y.yに変更され、サブネットIDも2に変更される。このように、無線基地局の収容先が変更になる度に運用データの情報を更新することにより、O&M制御装置は、無線基地局がどこに収容されているかを把握することができる。
【0070】
図10はO&M制御装置が管理している運用管理データ内の統計データの一例を示す図である。統計データは、無線通信システムを構成する各装置で取得することができ、O&M制御装置420は、システムを構成している各装置から統計データを収集して管理している。
【0071】
図10(a)は無線基地局制御装置が取得した無線基地局毎の統計データの例を示している。無線基地局制御装置は、1台以上の無線基地局を収容しているので、無線基地局単位で収集される情報は、無線基地局毎に管理されている。図10(a)では、例として無線基地局制御装置を図1の装置番号で表現しているが、一意に識別できれば他の識別子であってもよい。また、ここでは、例として、無線基地局単位の統計データを示しているが、無線基地局が複数のセクタによりサービスを提供している場合、セクタ単位の統計データが使用される場合もある。O&M制御装置は、各装置から収集した統計データを確認して、その値がある閾値を超えた場合に収容替えを指示する。収容替えの契機で収容替え対象の無線基地局を選択する上で必要となる統計データの例を図10(a)に示しており、CPU使用率、平均スループット、一定時間、例えば、5分間単位でのトラフィック量、一定時間、例えば、5分間単位での平均ユーザー数、一定時間、例えば、5分間単位でのハンドオーバー発生回数等である。前述のトラフィック量、平均ユーザー数、ハンドオーバー発生回数は、CPU使用率に影響するので、CPU使用率を基準に収容替えの判断をするようにすることも可能である。
【0072】
図10(b)は前述した無線基地局単位で収集した情報を無線基地局制御装置単位で表現統計データの例である。図10(b)に示すCPU使用率、平均スループット及び平均ユーザー数は、無線基地局制御装置配下の無線基地局単位の統計データを平均化して得た値であり、トラフィック量、ハンドオーバー発生回数は、無線基地局制御装置配下の全無線基地局の合計値である。前述したと同様に、前述のトラフィック量、平均ユーザー数、ハンドオーバー発生回数は、CPU使用率に影響するので、CPU使用率を基準に収容替えの判断をするようにすることも可能である。
【0073】
システムを構成している各装置は、統計データをある収集周期に間取得してからO&M制御装置420に通知する。そして、O&M制御装置420は、前述の収集周期で得られた複数の統計データを収集時刻の情報と合わせて保存することが可能である。例えば、無線基地局が5分間の収集周期で収集した統計データを12個保存することができれば、1時間分の統計データを得ることができる。O&M制御装置420は、CPU使用率で代表される負荷がある閾値を超えた場合に収容替え処理を開始するが、このとき使用する負荷は、各装置から通知された値をそのまま使用してもよいし、過去に受信したデータを使用して移動平均した値を算出し、その結果を使用してもよい。収集周期が短く、装置から通知された値をそのまま使用すると、装置の負荷の変動が激しい場合に頻繁に収容替えが発生してしまう、このような場合、移動平均した値を使用することにより、負荷の瞬時的な変動に対応して収容替えを頻繁に行わなければならないようなことを抑止することができる。
【0074】
O&M制御装置は、前述したような無線基地局制御装置単位の統計データを予め定めたある閾値と比較して収容替えが必要かどうかを判断し、無線基地局を収容する収容替え先の無線基地局制御装置を選択する。
【0075】
図11は無線基地局を新規に設置して無線通信システムに登録した場合の新基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。無線基地局が新規に設置されると、無線通信システム内の関係する装置の運用管理データが更新されて、該当無線基地局が運用状態となる。ここでは、前提として、新たな無線基地局が無線基地局制御装置1の配下に収容されるものとしている。
【0076】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、通信事業者は、負荷分散、不感地域解消等を目的として無線基地局を新規に設置する(ステップSQ800、SQ801)。
【0077】
(2)通信事業者が新たな無線基地局を設置して電源を投入した後にソフトウェアや運用パラメータを新たな無線基地局にインストールすると、その無線基地局は、無線基地局制御装置1に登録要求を送信する。この登録要求には、無線基地局制御装置が該当無線基地局を管理し制御するために必要となる情報が含まれている(ステップSQ802)。
【0078】
(3)登録要求を受信した無線基地局制御装置1は、新たな無線基地局に対してメッセージを受領した旨の応答を行うと共に、登録要求を送信した無線基地局を自身が管理する運用管理データに追加する(ステップSQ803、SQ804)。
【0079】
(4)その後、無線基地局制御装置1は、同一サブネット内の別の無線基地局制御装置2に対して、新規に追加した無線基地局の情報を運用管理データに追加するように必要な運用情報を載せて運用管理データ更新要求を送信する(ステップSQ805)。
【0080】
(5)運用管理データ更新要求を受信した無線基地局制御装置2は、運用管理データを更新すると共に、運用管理データの更新が完了したことを通知する運用管理データ更新完了のメッセージを無線基地局制御装置1に対して送信する(ステップSQ806、SQ807)。
【0081】
なお、前述において、無線基地局制御装置が他無線基地局制御装置配下の無線基地局の情報が不要であれば、ステップSQ805からステップSQ807の処理は省略される。
【0082】
(6)無線基地局制御装置1は、無線基地局制御装置2に運用管理データを更新させているときに、呼制御装置に対して同様に運用管理データを更新する運用管理データ更新要求を送信する(ステップSQ808)。
【0083】
(7)運用管理データ更新要求を受信した呼制御装置は、自身の運用管理データを変更し新たに設置した無線基地局の情報を追加すると共に、O&M制御装置の運用管理データに新規無線基地局の情報を追加するように、運用管理データ更新要求をO&M制御装置に送信する(ステップSQ809、SQ810)。
【0084】
(8)運用管理データ更新要求を受信したO&M制御装置は、自身の運用管理データを更新し、更新が完了すると呼制御装置に対して運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ811、SQ812)。
【0085】
(9)その後、呼制御装置は、無線基地局制御装置1に対して運用管理データの更新が完了したことを通知する運用管理データ更新完了メッセージを送信する(ステップSQ813)。
【0086】
(10)そして、無線基地局制御装置1は、新たに設置された無線基地局に対して無線通信システム内の運用管理データへの無線基地局の登録が完了したことを通知する登録完了メッセージを送信する(ステップSQ814)。
【0087】
(11)新たに設置された無線基地局は、無線基地局の登録完了メッセージを受信すると、無線基地局制御装置1に対してメッセージ受領応答を送信する。その後、新たに設置された無線基地局は、無線通信システムに登録されて運用を開始する(ステップSQ815、SQ816)。
【0088】
前述した例では、呼制御装置がO&M制御装置に対して無線基地局が新規に追加されたことを通知しているが、無線基地局制御装置1がO&M制御装置420に対して直接運用管理データベースの更新を指示してもよい。O&M制御装置420は、無線基地局制御装置1がどの呼制御装置の配下に接続されているかを運用管理データにより把握しているので、呼制御装置が無線基地局の情報を必要としない場合、ステップSQ808の処理における運用管理データ更新要求を、無線基地局制御装置1からO&M制御装置420へ直接送信することができる。
【0089】
図12はある無線基地局を同一サブネット内の別の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。無線基地局制御装置1と無線基地局制御装置2とは、同一の同じサブネットに属しており同一の呼制御装置により管理されている。ここでは、無線基地局制御装置1の負荷がある閾値を超えたので、無線基地局制御装置1の配下にある無線基地局を無線基地局制御装置2の配下に収容替えする場合を例に示している。
【0090】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、無線通信システムを構成する各装置は、O&M制御装置に対して運用状況のデータを送信している。この運用状況データは、各装置で収集している統計や装置の状態等のデータである。これら運用状況データは、定期的に各装置からO&M制御装置に配信されたり、オペレータの指示により各装置から配信される場合がある(ステップSQ850、SQ851)。
【0091】
(2)O&M制御装置は、各装置からの運用状況データを受信すると、これらの情報を自身の記憶装置に格納し、この受信した運用状況データから統計データを抽出し、それら値を予め通信事業者により設定された閾値と比較して負荷状況を確認し、無線基地局の収容替えを行うべきかを判断する。O&M制御装置は、この判断の運用方法として、瞬時的に負荷が上昇したような場合を考慮して、ある回数連続して通知された統計データが閾値を超えたかどうかにより判断するという運用方法、複数の統計データを平均化してその結果が閾値を超えたかどうかで判断するという運用方法をとることもできる(SQ852)。
【0092】
(3)O&M制御装置は、無線基地局の収容替えが必要と判断すると、収容替え判定処理を実施する。この収容替え判定処理は、どの無線基地局をどの無線基地局制御装置の配下に移動させるかを判定する処理である。無線基地局制御装置の配下には複数の無線基地局が収容されており、この中から1つの基地局を収容替え対象として選択する。また、同一サブネットの配下には無線基地局制御装置が複数台あるため、この中から1台を収容替え先として選択する。ここで説明している例では、前記収容替え先判定の結果、無線基地局は、無線基地局制御装置1から無線基地局制御装置2へ収容替えすると判定されたと仮定している(ステップSQ853)。
【0093】
(4)その後、O&M制御装置は、収容替えを行うために、無線基地局の収容替えを要求するメッセージを呼制御装置に送信する。このメッセージの中には、収容替えの対象となる無線基地局と収容替え先の無線基地局制御装置の情報が格納される(ステップSQ854)。
【0094】
(5)無線基地局の収容替えを要求するメッセージを受信した呼制御装置は、要求メッセージを受信したことを、メッセージ受領応答としてO&M制御装置に送信すると共に、O&M制御装置から受信した無線基地局の収容替え要求のメッセージを配下の無線基地局制御装置1へ送信する。ここでの送信先は、O&M制御装置が収容替え対象として指定した無線基地局を収容する無線基地局制御装置である(ステップSQ855、SQ856)。
【0095】
(6)無線基地局の収容替え要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置1は、メッセージ受領応答を呼制御送信に返信すると共に、無線基地局の収容替えを実施するために、運用停止指示のメッセージを収容替え対象の無線基地局に送信する(ステップSQ857、SQ858)。
【0096】
(7)運用停止指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を停止し無線端末が自無線基地局に接続しないようにサービスを停止する。なお、収容替えを実施する場合は、収容替え対象となる無線基地局のサービスを停止する必要があり、すでに接続中の無線端末が存在する場合、ユーザーへのサービスが停止してしまう。これに対応するため、無線基地局制御装置1は、対象無線基地局に接続している全ての無線端末が切断するまで待ち、全ての無線端末が切断したのを契機に運用停止指示を無線基地局に送信してもよく、または、接続中の無線基地局を別の無線基地局へ逃がすために対象無線基地局が送信電力を徐々に弱くして他の無線基地局へハンドオーバーをさせた後に、別の無線基地局制御装置へ収容替えを行ってもよい。そして、サービスが停止すると無線基地局は、運用停止完了の報告を無線基地局制御装置1に送信する(ステップSQ859)。
【0097】
(8)ここで説明している例は、無線基地局を無線基地局制御装置2へ収容替えすることとしているので、無線基地局制御装置1は、無線基地局の運用が停止したことを確認すると、無線基地局制御装置2に対して無線基地局収容替えを要求するメッセージを送信する。このメッセージには、収容替えを指示された無線基地局のID、IPアドレス、無線基地局を管理・運用するためのパラメータが含まれる(ステップSQ860)。
【0098】
(9)無線基地局収容替えを要求するメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、メッセージに含まれるパラメータを自身の運用管理データに登録し、無線基地局制御装置1にメッセージ受領応答を送信すると共に、配下に無線基地局を接続するために、収容替えに必要となる関連パラメータを含む無線基地局収容替え指示のメッセージを無線基地局に送信する(ステップSQ861、SQ862)。
【0099】
(11)収容替え指示のメッセージを受信した無線基地局は、現在接続中の無線基地局制御装置1に対して自身の情報を削除して貰うために、登録削除要求のメッセージを送信する(ステップSQ863)。
【0100】
(12)無線基地局制御装置1は、登録削除要求のメッセージを受信すると、運用管理データからその無線基地局の情報を削除し、無線基地局の情報を削除した後、無線基地局に対して登録削除完了のメッセージを送信する(ステップSQ864、SQ865)。
【0101】
(13)また、無線基地局制御装置1は、無線基地局の情報を削除した後、登録を削除したことを関連装置に通知するために、呼制御装置に運用管理データの更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ866)。
【0102】
(14)呼制御装置は、無線基地局の情報を削除したことによる運用管理データ更新要求のメッセージを受信すると、O&M制御装置の運用管理データから無線基地局が無線基地局制御装置1の配下にあるという情報を削除するために、運用管理データ更新要求のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ867)。
【0103】
(15)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、運用管理データを更新すると、呼制御装置に対して運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ868)。
【0104】
(16)運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置は、運用管理データ更新完了を無線基地局制御装置1に送信する。無線基地局制御装置1は、これらの無線基地局の登録情報を無線基地局制御装置1から削除する処理を実施する(ステップSQ869)。
【0105】
(17)無線基地局は、ステップSQ865の処理で無線基地局制御装置1から送信されてきた登録削除完了のメッセージを受信した後、無線基地局を無線基地局制御装置2に登録する処理のために、無線基地局制御装置2に対して自身を運用管理データに登録して管理・制御の対象とするように登録要求のメッセージを送信する(ステップSQ870)。
【0106】
(18)無線基地局を運用管理データに登録して管理・制御の対象とするように登録要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、該当する無線基地局の情報を運用管理データに追加し、この追加が完了すると、無線基地局に対して登録完了のメッセージを送信する(ステップSQ871、SQ872)。
【0107】
(19)無線基地局制御装置2からの登録完了のメッセージを受信した無線基地局は、正常に新しい無線基地局制御装置に登録されたことを確認することができたので、無線基地局制御装置2に対して無線基地局収容替え完了のメッセージを送信する(ステップSQ873)。
【0108】
(20)無線基地局制御装置2は、無線基地局収容替え完了のメッセージを受信すると、関連装置の運用管理データを、無線基地局が無線基地局制御装置2の配下に収容替えされたことに更新するために、呼制御装置に運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ874)。
【0109】
(21)運用管理データ更新要求のメッセージを受信した呼制御装置は、運用管理データの更新を行い、運用管理データが更新されると、O&M制御装置に運用管理データを更新させるために運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ875)。
【0110】
(22)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、無線基地局が無線基地局制御装置2に収容されたという運用管理データを更新すると、更新が完了したことを通知するために、運用管理データ更新完了のメッセージを呼制御装置に送信する(ステップSQ876)。
【0111】
(23)O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置は、運用管理データ更新完了のメッセージを無線基地局制御装置2に送信する(ステップSQ877)。
【0112】
(24)呼制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、無線基地局のサービスを開始させるために、運用開始指示のメッセージを無線基地局に送信する(ステップSQ878)。
【0113】
(25)そして、運用開始指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を開始し無線基地局制御装置2に対して運用開始完了のメッセージを送信する。これにより、無線基地局は、無線基地局制御装置2に収容替えされ、無線端末は呼接続ができるようになる。そして、無線通信システムは、新しい接続構成で運用される。なお、必要に応じて、無線基地局は、自身がサービスを開始したことを関連装置に通知することができる(ステップSQ879、SQ880)。
【0114】
前述で説明したシーケンスの例は、O&M制御装置が統計データと閾値とを比較して無線基地局の収容替えが必要か判断しているが、無線基地局制御装置には無線基地局の統計データと自身の統計データがあるので、自身の統計データがある閾値を超えた場合にO&M制御装置に対して収容替えの指示を要求してもよい。この場合、無線基地局制御装置は、どの無線基地局を収容替え対象とするか、統計データから決めて収容替え指示と一緒にO&M制御装置に通知するようにしてもよいが、収容先の無線基地局制御装置は、O&M制御装置により選択される。
【0115】
図13はある無線基地局を異なるサブネット内の無線基地局制御装置の配下に収容替えを行った場合の収容替えされた無線基地局の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。無線基地局制御装置1と無線基地局制御装置2とは、別のサブネットに属しており、それぞれ呼制御装置1と呼制御装置2により管理されている。ここで説明する例は、無線基地局制御装置1の負荷がある閾値を超えたので、無線基地局制御装置1の配下にある無線基地局を無線基地局制御装置2へ収容替えする場合を例である。
【0116】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、無線通信システムを構成する各装置は、O&M制御装置に対して運用状況のデータを送信している。この運用状況データは、各装置で収集している統計や装置の状態等のデータである。これら運用状況データは、定期的に各装置からO&M制御装置に配信されたり、オペレータの指示により各装置から配信される場合がある(ステップSQ900、SQ901)。
【0117】
(2)O&M制御装置は、各装置からの運用状況データを受信すると、これらの情報を自身の記憶装置に格納し、この受信した運用状況データから統計データを抽出し、それら値を予め通信事業者により設定された閾値と比較して負荷状況を確認し、無線基地局の収容替えを行うべきかを判断する。O&M制御装置は、この判断の運用方法として、瞬時的に負荷が上昇したような場合を考慮して、ある回数連続して通知された統計データが閾値を超えたかどうかにより判断するという運用方法、複数の統計データを平均化してその結果が閾値を超えたかどうかで判断するという運用方法をとることもできる(SQ902)。
【0118】
(3)O&M制御装置は、無線基地局の収容替えが必要と判断すると、収容替え判定処理を実施する。この収容替え判定処理は、どの無線基地局をどの無線基地局制御装置の配下に移動させるかを判定する処理である。無線基地局制御装置の配下には複数の無線基地局が収容されており、この中から1局を収容替え対象として選択する。また、同一サブネットの配下には無線基地局制御装置が複数台あるため、この中から1台を収容替え先として選択する。ここで説明している例では、前記収容替え先判定の結果、無線基地局は、無線基地局制御装置1から別のサブネットに属する無線基地局制御装置2へ収容替えすることを判定したと仮定している。無線基地局の収容替えは、サブネットを跨いで行われてもよい(ステップSQ903)。
【0119】
(4)その後、O&M制御装置は、収容替えを行うために、無線基地局の収容替えを要求するメッセージを、対象無線基地局を収容しているサブネットに属する呼制御装置1に送信する。このメッセージの中には、収容替えの対象となる無線基地局と収容替え先の無線基地局制御装置の情報が格納される(ステップSQ904)。
【0120】
(5)無線基地局の収容替えを要求するメッセージを受信した呼制御装置1は、要求メッセージを受信したことを、メッセージ受領応答としてO&M制御装置に送信すると共に、O&M制御装置から受信した無線基地局の収容替え要求のメッセージを配下の無線基地局制御装置1へ送信する。ここでの送信先は、O&M制御装置が収容替え対象として指定した無線基地局を収容する無線基地局制御装置である(ステップSQ905、SQ906)。
【0121】
(6)無線基地局の収容替え要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置1は、メッセージ受領応答を呼制御送信に返信すると共に、無線基地局の収容替えを実施するために、運用停止指示のメッセージを収容替え対象の無線基地局に送信する(ステップSQ907、SQ908)。
【0122】
(7)運用停止指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を停止し無線端末が自無線基地局に接続しないようにサービスを停止する。なお、収容替えを実施する場合は、収容替え対象となる無線基地局のサービスを停止する必要があり、すでに接続中の無線端末が存在する場合、ユーザーへのサービスが停止してしまう。これに対応するため、無線基地局制御装置1は、対象無線基地局に接続している全ての無線端末が切断するまで待ち、全ての無線端末が切断したのを契機に運用停止指示を無線基地局に送信してもよく、または、接続中の無線基地局を別の無線基地局へ逃がすために対象無線基地局が送信電力を徐々に弱くして他の無線基地局へハンドオーバーをさせた後に、別の無線基地局制御装置へ収容替えを行ってもよい。そして、サービスが停止すると無線基地局は、運用停止完了の報告を無線基地局制御装置1に送信する(ステップSQ909)。
【0123】
(8)ここで説明している例は、無線基地局を無線基地局制御装置2へ収容替えすることとしているので、無線基地局制御装置1は、無線基地局の運用が停止したことを確認すると、無線基地局に対して無線基地局制御装置2への無線基地局収容替えを指示するメッセージを送信する。このとき、無線基地局へは無線基地局制御装置2のIPアドレスが通知されるので、無線基地局は、無線基地局制御装置2へメッセージを送信することが可能となる(ステップSQ910)。
【0124】
(9)無線基地局制御装置2への無線基地局収容替えを指示するメッセージを受信した無線基地局は、まず、無線基地局制御装置1の運用管理データから自無線基地局の登録情報を削除するために、無線基地局制御装置1に対して自無線基地局の情報の登録を削除する要求を送信する(SQ911)。
【0125】
(10)無線基地局の情報の登録を削除する要求を受信した無線基地局制御装置1は、無線基地局の情報を運用管理データより削除し、運用管理データから無線基地局の情報を削除すると、無線基地局に対して登録削除完了のメッセージを送信すると共に、無線基地局を削除したことを関連装置に通知するために、運用管理データ更新要求を行うメッセージを呼制御装置1に通知する(ステップSQ912〜SQ914)。
【0126】
(12)呼制御装置1は、無線基地局の情報を削除したことによる運用管理データ更新要求のメッセージを受信すると、O&M制御装置の運用管理データから無線基地局が無線基地局制御装置1の配下にあるという情報を削除するために、運用管理データ更新要求のメッセージをO&M制御装置に送信して、O&M制御装置に運用管理データを更新させる(ステップSQ915)。
【0127】
(13)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、運用管理データを更新すると、呼制御装置1に対して運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ916)。
【0128】
(14)運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置1は、運用管理データ更新完了を無線基地局制御装置1に送信する。無線基地局制御装置1は、これらの無線基地局の登録情報を無線基地局制御装置1から削除する処理を実施する(ステップSQ917)。
【0129】
(15)その後、無線基地局は、無線基地局制御装置1から自無線基地局の情報の登録が削除されると、先に受信した無線基地局収容替え指示の収容先に従って、自無線基地局の情報の登録要求のメッセージを無線基地局制御装置2に送信する。このメッセージには、無線基地局を運用・管理するために必要となるパラメータが含まる(ステップSQ918)。
【0130】
(16)無線基地局を運用管理データに登録して管理・制御の対象とするように登録要求のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、該当する無線基地局の情報と関連パラメータとを運用管理データに追加し、この追加が完了すると、無線基地局に対して登録完了のメッセージを送信する(ステップSQ919、SQ920)。
【0131】
(17)無線基地局制御装置2からの登録完了のメッセージを受信した無線基地局は、正常に新しい無線基地局制御装置に登録されたことを確認することができたので、ステップSQ910の応答として、無線基地局制御装置1に対して無線基地局収容替え完了のメッセージを送信する(ステップSQ921)。
【0132】
(18)無線基地局制御装置2は、無線基地局の情報と関連パラメータとを運用管理データに追加し、無線基地局の登録が完了すると、無線基地局が無線基地局制御装置2の配下に新規に登録されたことを関連装置に通知するために、呼制御装置2に運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ922)。
【0133】
(19)運用管理データ更新要求のメッセージを受信した呼制御装置2は、運用管理データの更新を行い、運用管理データが更新されると、O&M制御装置に運用管理データを更新させるために運用管理データ更新要求のメッセージを送信する(ステップSQ923)。
【0134】
(20)O&M制御装置は、運用管理データ更新要求のメッセージを受信し、無線基地局が無線基地局制御装置2に収容されたという運用管理データを更新すると、更新が完了したことを通知するために、運用管理データ更新完了のメッセージを呼制御装置2に送信する(ステップSQ924)。
【0135】
(21)O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置2は、運用管理データ更新完了のメッセージを無線基地局制御装置2に送信する(ステップSQ925)。
【0136】
(22)呼制御装置2からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置2は、無線基地局のサービスを開始させるために、運用開始指示のメッセージを無線基地局に送信する(ステップSQ926)。
【0137】
(23)そして、運用開始指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を開始し無線基地局制御装置2に対して運用開始完了のメッセージを送信する。これにより、無線基地局は、無線基地局制御装置2に収容替えされ、無線端末は呼接続ができるようになる。そして、無線通信システムは、新しい接続構成で運用される。なお、必要に応じて、無線基地局は、自身がサービスを開始したことを関連装置に通知することができる(ステップSQ927、SQ928)。
【0138】
図14は無線基地局毎に登録・設定されている隣接無線基地局の情報の構成例を示す図である。無線通信システムは、無線端末での無線基地局の捕捉を容易とするために、無線基地局には、隣接する無線基地局の情報が登録され、制御チャネル等を使用して無線端末に配信している。なお、説明している本発明の実施形態は、無線基地局に登録されている隣接無線基地局の情報を使用して収容先の無線基地局制御装置を判定している。
【0139】
図14に示している隣接無線基地局の情報の例は、図3に示しているサービスエリアの配置に対応したものである。例えば、サービスエリアの境界にある無線基地局IDが100番の無線基地局に隣接局としては、無線基地局ID110及び無線基地局ID120の無線基地局が登録されており、これらの隣接無線基地局は同一無線基地局制御装置に収容されているため、これらの隣接無線基地局には別の無線基地局制御装置に属する無線基地局はないいと判断することができる。
【0140】
また、無線基地局IDが130番の無線基地局を例に取ると、無線基地局IDが120番、140番及び160番の無線基地局が登録されている。これらの無線基地局ID120の無線基地局と無線基地局ID160の無線基地局とは、それぞれa.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置と、c.c.c.cのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置とに登録されている。無線基地局ID120の無線基地局と無線基地局ID140の無線基地局とは、無線基地局ID130の無線基地局と同一のサブネットに属しているが、無線基地局ID160の無線基地局は、異なるサブネットに登録されている。すなわち、無線基地局ID130の無線基地局を無線基地局IDの無線基地局120と同一のa.a.a.aのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えをすると、同一サブネット内のセルグループ間の収容変えとなり、無線基地局ID130の無線基地局を無線基地局ID160の無線基地局と同一のc.c.c.cのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置に収容替えをすると、異なるサブネットのサブネット間の収容替えとなる。
【0141】
図15はO&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで説明する例は、無線基地局制御装置の負荷を基に、より負荷の低い無線基地局制御装置への無線基地局の収容替えを行う場合の例である。
【0142】
(1)O&M制御装置は、ある無線基地局制御装置の負荷が閾値を超えて配下の無線基地局の収容替えが必要と判断すると、該当無線基地局制御装置配下で負荷が最も高い無線基地局を収容替え対象として選択する。ここでは、負荷の最も高い無線基地局を選択するとしているが、負荷の最も高い無線基地局を選択して他の無線基地局制御装置に収容すると、収容替え先の無線基地局制御装置の負荷が急増する可能性があるので、該当無線基地局制御装置配下の無線基地局の中で負荷が中間の無線基地局を選択するといった別の選択方法もあり、その方針は、通信事業者のポリシーに従って決定するようにしてよい(ステップFL620)。
【0143】
(2)O&M制御装置は、収容替え対象となる無線基地局を選択すると、最初の収容替え先となる無線基地局説明装置を対象無線基地局と同一のサブネットから選択するように設定する(ステップFL621)。
【0144】
(3)次に、O&M制御装置は、設定したサブネット内の最も負荷の低い無線基地局制御装置を収容替え先として選択する。そして、対象無線基地局を収容する収容替え先の無線基地局制御装置の負荷がサブネットの中で最も低い場合、該当無線基地局の収容替えを実施しても負荷分散とはならないので、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低いか否かを判定する(ステップFL622、FL623)。
【0145】
(4)ステップFL623の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低いと判定した場合、選択した無線基地局制御装置に新しい無線基地局を収容することができる空きポートがあるか否かを判定する(ステップFL624)。
【0146】
(5)ステップFL264の判定で、空きポートがあった場合、選択した無線基地局制御装置が収容替え先として決定して、ここでの処理を終了し、空きポートがなかった場合、選択した無線基地局制御装置への収容替えを行うことができないので、同一サブネット内で次に負荷の低い無線基地局制御装置を選択し、ステップFL623からの処理に戻って、前述と同様に、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低いか否かを判定し空きポートがあるか否かを判定する処理を繰り返して、負荷の低い無線基地局制御装置を選択していく(ステップFL625)。
【0147】
(6)ステップFL623の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも高く、対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低い無線基地局制御装置が該当サブネットになかった場合、別のサブネット配下の無線基地局制御装置を選択するために、まだ確認していない未選択のサブネットが存在するか否かを判定する(ステップFL626)。
【0148】
前述において、あるサブネットサービスしているエリアの中心側にある無線基地局を別のサブネットに収容替えすると、サービスエリアの中心側でサブネットを跨ぐ処理が頻発してしまうので、サブネットを跨ぐ収容替えを許容するのは、収容替え対象無線基地局に登録されている隣接無線基地局が別のサブネットに収容されている場合にのみ、該当サブネット内の無線基地局制御装置を選択するようにするのが望ましい。
【0149】
(7)ステップFL626の判定で、まだ確認していない未選択のサブネットが存在していた場合、収容替え先の選択対象を別のサブネットに変更し、ステップFL622からの処理に戻って処理を続ける(ステップFL627)。
【0150】
(8)ステップFL626の判定で、未選択のサブネットが存在していなかった場合、すなわち、全てのサブネットで確認が終わり対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低い無線基地局制御装置がなかった場合、収容替え先の選択を中止し、収容替えを実施することなく、ここでの処理を終了する(ステップFL628)。
【0151】
前述した処理において、通信事業者のポリシーによってはサブネットを跨いで無線基地局の収容替えは行わないとすることも可能であり、この場合、同一のサブネット内で対象無線基地局を収容していた無線基地局制御装置の負荷よりも低い無線基地局制御装置がない場合、収容替え先の選択を中止し、収容替えを実施しない。
【0152】
前述で説明した処理の例は、無線基地局制御装置の負荷を基準に収容替え先の無線基地局制御装置を選択しているが、無線基地局制御装置配下の無線基地局数を均等にするために、無線基地局数を基準としてもよい。例えば、新規に無線基地局を設置した場合、図11で示して説明したように、O&M制御装置が、ある無線基地局制御装置に新しい無線基地局が登録されたことの通知を受けると、同一のサブネット配下の無線基地局制御装置に収容されている無線基地局の局数を確認し、局数が最も少ない無線基地局制御装置に新規無線基地局が収容される様に収容替えを行うようにすることもできる。また、別の例として、無線基地局制御装置の負荷を基準に収容替えを行うのではなく、呼制御装置の負荷を基準に収容替えを行ってもよい。この場合、呼制御装置は、1つのサブネットを構成しているので、収容替えはサブネットを越えて行われることになる。
【0153】
図16はO&M制御装置が実施している収容替え対象無線基地局とその収容替え先無線基地局制御装置との選択の処理動作の他の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで説明する例は、通信事業者が地理的に近い無線基地局を同じ無線基地局制御装置配下に収容するというポリシーを持っている場合の例である。
【0154】
図14に示して説明したように、各無線基地局には、無線端末が無線基地局の検索を早くするために隣接する無線基地局が登録されている。これを隣接局と呼ぶ。図15に示すフローにより説明した処理の方法で無線基地局の収容替えを実施すると、負荷の状況に応じて、隣接する無線基地局も異なる無線基地局制御装置に収容されることになるので、負荷が分散されても管理が複雑になる。無線基地局制御装置の配下に、地理的に近い無線基地局を集めて収容すると保守が容易となるという利点がある。例えば、ある地域のサービスエリアが、ある無線基地局制御装置の配下の複数の無線基地局のセルで構成されていることが判れば、その地域の無線基地局制御装置の運用管理データを見れば保守が可能であるが、ある地域のサービスエリアが、複数の無線基地局制御装置に属する無線基地局のセルで構成されている場合、それぞれの無線基地局制御装置の運用管理データを確認しなければ保守が困難であり、複数の無線基地局制御装置の運用管理データを確認ための手間が大きくなってしまう。
【0155】
前述について、図1に示して説明した無線通信システムの構成で具体的に説明すると、図1に示す無線通信システムでは、隣り合うセルを持つ無線基地局100、無線基地局110及び無線基地局120が、同一の無線基地局制御装置200に収容されているので、これら無線基地局の運用状況を確認したい時は無線基地局制御装置200から必要な情報を入手すればよい。しかし、無線基地局100、無線基地局110及び無線基地局120が、それぞれ無線基地局制御装置200、無線基地局制御装置220及び無線基地局制御装置240に収容されていると、それぞれの無線基地局の運用状況を確認するには、これら無線基地局制御装置の情報を確認する必要がある。そして、無線基地局に登録されている隣接局の情報を使用して収容替え先を選択すると、地理的に近い無線基地局同士が同じ無線基地局制御装置配下に収容されることになる。図16に示して説明する処理は、無線基地局制御装置の負荷を基に、より負荷の低い無線基地局制御装置へ収容替えを行っている。
【0156】
(1)O&M制御装置は、無線基地局制御装置の負荷が閾値を超えて収容替えが必要と判断すると、該当無線基地局制御装置の配下で負荷が最も高い無線基地局を収容替え対象として選択する。ここでは、負荷の最も高い無線基地局を選択するとしているが、負荷の最も高い無線基地局を選択して他の無線基地局制御装置に収容すると、収容替え先の無線基地局制御装置の負荷が急増する可能性があるので、該当無線基地局制御装置配下の無線基地局の中で負荷が中間の無線基地局を選択するといった別の選択方法もあり、その方針は、通信事業者のポリシーに従って決定するようにしてよい(ステップFL640)。
【0157】
(2)そして、O&M制御装置は、選択した無線基地局の隣接局情報を調べ、選択した前記無線基地局と異なる無線基地局制御装置に収容されている隣接局があるか否かを判定する(ステップFL641)。
【0158】
(3)ステップFL641の判定で、隣接局に異なる無線基地局制御装置に属するものがあると判断した場合、O&M制御装置は、隣接局が属する全ての無線基地局制御装置の中から負荷が最も低い無線基地局制御装置を収容替え先として選択・設定し、選択した無線基地局制御装置の負荷が、収容替え対象無線基地局が属する無線基地局制御装置の負荷より低いか否かを判定する(ステップFL642、FL643)。
【0159】
(4)ステップFL643の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が、収容替え対象無線基地局が属する無線基地局制御装置の負荷より低いと判定した場合、その選択した無線基地局制御装置が収容替え対象となるので、O&M制御装置は、選択された収容替え先の無線基地局制御装置に新しい無線基地局を収容する空きポートがあるか否かを判定し、空きポートがあった場合、選択した無線基地局制御装置を収容替え先と決定して、ここでの処理を終了する(ステップFL644)。
【0160】
(5)ステップFL644の判定で、空きポートがなかった場合、選択した無線基地局制御装置へは収容替えを行うことができないので、隣接局が属する無線基地局制御装置が他にあるか否かを判定する(ステップFL645)。
【0161】
(6)ステップFL645の判定で、他の無線基地局制御装置があれば、次に負荷の低い無線基地局制御装置を選択し、ステップFL644からの処理に戻って、空きポートの有無を判定して最終的に収容替え先を選択することができるまで処理を繰り返す(ステップFL646)。
【0162】
(7)ステップFL645の判定で、隣接局が属する無線基地局制御装置が他になかった場合、ステップFL641の判定で、隣接局に異なる無線基地局制御装置に属するものがなかった場合、また、ステップFL643の判定で、選択した無線基地局制御装置の負荷が、収容替え対象無線基地局が属する無線基地局制御装置の負荷より低いものがなかった場合、収容替えを行う対象無線基地局として、前記無線基地局制御装置配下の別の無線基地局を選択し、選択した無線基地局以外に選択対象となる無線基地局がない最後の無線基地局か否かを判定する(ステップFL647)。
【0163】
(8)ステップ647の判定で、選択した基地局が最後の無線基地局ではなかった場合、同一の無線基地局制御装置の配下の次に負荷が高い無線基地局を収容替え候補として選択し、ステップFL641からの処理に戻って処理を繰り返し、選択した基地局が最後の無線基地局であった場合、収容替え先の選択を中止して、ここでの処理を終了する(ステップFL648、FL649)。
【0164】
図17はサブネットを跨るハンドオーバーの発生頻度が高く無線基地局制御装置、呼制御装置の負荷が高くなったことにより、O&M制御装置が実施するサブネットを跨ぐ収容替えの処理動作の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0165】
無線端末は、サブネットを跨ぐとハンドオーバー先で新しい端末識別子が付与される。このため、サブネットを跨ぐハンドオーバーの場合、通常のトラフィックデータに加えて、新しい端末識別子を付与する為のシグナリング処理が発生する。このシグナリング処理により負荷が高くなった場合の対処方法として、そのサブネットを跨るハンドオーバーが頻発しているハンドオーバー元及びハンドオーバー先の無線基地局を同一のサブネットの配下に収容することができる。図17に示すフローでの処理は、この場合のハンドオーバー元のサブネットにある無線基地局制御装置の収容替え先を選択する処理であり、収容替え対象の無線基地局をハンドオーバー先の無線基地局としている処理の例である。
【0166】
(1)いま、ある無線基地局間でのハンドオーバーの発生頻度が閾値を超えると、O&M制御装置は、ハンドオーバー元の無線基地局情報からハンドオーバー元のサブネットを特定する。統計データにどの無線基地局からどの無線基地局へのハンドオーバーが発生しているかの情報が取得されているので、これらの無線基地局がお互いに異なるサブネットに属していることが判れば、確認対象となるハンドオーバーがサブネットを跨ぐハンドオーバーか否かを判断することができる。そして、確認対象となるハンドオーバーがサブネットを跨ぐハンドオーバーであった場合、ハンドオーバー元の無線基地局の情報を確認して、ハンドオーバー元が属しているサブネットを特定する。ここでは、ハンドオーバー元のサブネットを特定するとしているが、ハンドオーバーを行っている関係無線基地局は、ハンドオーバー元、ハンドオーバー先のどちらかの同一のサブネットに収容されればよいので、ハンドオーバー先のサブネットでもよい(ステップFL660)。
【0167】
(2)その後、O&M制御装置は、ハンドオーバー先の無線基地局に登録されている隣接局情報から、ハンドオーバー元のサブネットに属する無線基地局制御装置の情報の全てを抽出し、抽出された無線基地局制御装置が複数台あるか否かを判定する(ステップFL661、FL662)。
【0168】
(3)ステップFL662の判定で、抽出された無線基地局制御装置が複数台あった場合、その中から負荷が最も低い無線基地局制御装置を選択し、抽出された無線基地局制御装置が複数台でなく、1台のみであったその無線基地局制御装置を選択する。ここで説明している例では、ハンドオーバー先の無線基地局の隣接局に登録してある無線基地局が属する無線基地局制御装置を選択対象としているが、ハンドオーバー元サブネット内の全ての無線基地局制御装置を選択対象としてもよい(ステップFL663、FL664)。
【0169】
図18は図1に示す無線通信システムにおける無線基地局制御装置の収容替えのイメージを示す図である。ここで説明する収容替えは、無線基地局制御装置が自身が持っている運用管理データ内の呼制御装置のIPアドレスを新しい収容替え先の呼制御装置のIPアドレスに変更し、呼制御装置が、自身が持っている運用管理データ内の無線基地局制御装置のIPアドレスを別の呼制御装置に収容替えされたらそれを削除し、収容替え先の呼制御装置が新しい無線基地局制御装置のIPアドレスを運用管理データに追加することにより行われる。この図18では、収容関係にある装置の間を論理的な接続線で表現しており、また、収容替えのイメージが分かり易いように、無線基地局制御装置と呼制御装置との間の線を繋ぎ変えて表現しているが、実際には、各装置の運用管理データのIPアドレスを変更することによりデータの送信先や受信元を変えていて、これにより無線基地局制御装置と呼御装置との間にあるルータやスイッチ等の中継装置がデータを適切な装置に転送するので物理的な接続の変更は不要である。
【0170】
また、図18に示す収容替えでは、無線基地局制御装置が別の呼制御装置に収容替えされているので、該当する無線基地局制御装置に収容されている無線基地局は、別のサブネットに移動することになり、サブネットを跨いだ収容替えとなる。
【0171】
以下に、図18に示す収容替えを、無線基地局制御装置220の収容替えが行われたことを前提に説明する。
【0172】
呼制御装置300の負荷がある閾値を超えると、O&M制御装置420は、無線基地局制御装置220に対して収容替えの要求を行う。この要求を受信した無線基地局制御装置220は、自身が呼制御装置350に収容されるように、配下の無線基地局と共に収容替えを行う。図1示したシステムの例では、サブネット境界が無線基地局150と無線基地局160との間にあったが、図18に示す例では、無線基地局制御装置220の収容替えによるサブネット境界が無線基地局120と無線基地局130との間に移動している。また、これまでセルグループ2は、サブネット1に属していたが、収容替えが行われた後のセルグループ2は、サブネット2に属することになる。
【0173】
前述したような収容替えが行われると、ネットワークの構成が変更されたことに伴う構成情報がO&M制御装置に送信され、保守者に構成変更が通知される。
【0174】
図19は図18に示したイメージでの収容替え前後のO&M制御装置が管理している運用管理データの構成例の一部を示す図である。
【0175】
すでに説明したように、無線基地局制御装置の収容替えは運用管理データにあるIPアドレスの情報を変更することにより可能となる。図19に示す運用管理データには、無線基地局を識別するための無線基地局IDと、該当無線基地局を収容している無線基地局制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局制御装置を収容している呼制御装置のIPアドレスと、該当無線基地局が属するサブネットの番号が、図18に示したイメージでの収容替え前後について記述されている。そして、無線基地局の収容替えが行われると、接続先の無線基地局制御装置のIPアドレスや呼制御装置のIPアドレスやサブネットが変更される。
【0176】
図18に示した無線基地局の収容替えを例に図19に示す運用管理データについて説明すると、図19(a)に示すように、収容替えの前に、b.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置130、140、150は、z.z.z.zのIPアドレスを持つ呼制御装置に収容されていた。図18に示すような収容替え該行われたことより、前述のb.b.b.bのIPアドレスを持つ無線基地局制御装置は、図19(b)に示しているように、y.y.y.yのIPアドレスを持つ呼制御装置に収容替えされたことになる。収容される呼制御装置が変更となったので、図19に示す例では、サブネットがサブネット1からサブネット2に変更されている。
【0177】
なお、前述の例では、説明を容易とするため、無線基地局制御装置のIPアドレスを変更していないが、通信事業者の設定によってはサブネットを跨ぐと無線基地局制御装置のIPアドレスも合わせて変更される場合がある。前述のように、無線基地局の収容先が変更になる度に運用データの情報を更新することにより、O&M制御装置は、無線基地局がどこに収容されているかを把握することができる。
【0178】
図20はある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行った場合収容替えされた無線基地局制御装置の運用開始までの無線通信システムでの処理例を示すシーケンスチャートである。ここで説明する処理の例は、収容替え対象の無線基地局制御装置がサブネット1の呼制御装置1により管理されていて、呼制御装置1の負荷がある閾値を超えた場合に、配下にある無線基地局制御装置をサブネット2の呼制御装置2に収容替えを行った場合の処理例である。
【0179】
(1)いま、無線通信システムの各装置は運用中の状態にあるものとし、無線通信システムを構成する各装置は、O&M制御装置に対して運用状況のデータを送信している。この運用状況データは、各装置で収集している統計や装置の状態等のデータである。これら運用状況データは、定期的に各装置からO&M制御装置に配信されたり、オペレータの指示により各装置から配信される場合がある(ステップSQ1000、SQ1001)。
【0180】
(2)O&M制御装置は、各装置からの運用状況データを受信すると、これらの情報を自身の記憶装置に格納し、この受信した運用状況データから統計データを抽出し、それら値を予め通信事業者により設定された閾値と比較して負荷状況を確認し、無線基地局制御装置の収容替えを行うべきかを判断する。O&M制御装置は、この判断の運用方法として、瞬時的に負荷が上昇したような場合を考慮して、ある回数連続して通知された統計データが閾値を超えたかどうかにより判断するという運用方法、複数の統計データを平均化してその結果が閾値を超えたかどうかで判断するという運用方法をとることもできる(SQ1002)。
【0181】
(3)O&M制御装置は、無線基地局制御装置の収容替えが必要と判断すると、収容替え先の判定処理を実施する。この収容替え先の判定処理は、呼制御装置配下に収容されている複数の無線基地局制御装置の中から1台の無線基地局制御装置を収容替え対象として選択して収容替え先を選択する処理である。ここでは、収容替え先判定の結果、無線基地局制御装置を呼制御装置1から別サブネットに属する呼制御装置2へ収容替えすることを判定したと仮定する(ステップSQ1003)。
【0182】
(4)その後、O&M制御装置は、収容替えを行うために、無線基地局制御装置の収容替えを要求するメッセージを、対象無線基地局制御装置を収容しているサブネットに属する呼制御装置1に送信する。このメッセージの中には、収容替えの対象となる無線基地局制御装置と収容替え先の呼制御装置の情報が格納される(ステップSQ1004)。
【0183】
(5)無線基地局制御装置の収容替えを要求するメッセージを受信した呼制御装置1は、要求メッセージを受信したことを、メッセージ受領応答としてO&M制御装置に送信すると共に、O&M制御装置から受信した無線基地局制御装置の収容替え要求のメッセージを配下の無線基地局制御装置へ送信して収容替えを指示する。このメッセージには呼制御装置2のIPアドレスが格納されているので、収容替えの指示を受けた無線基地局制御装置は、呼制御装置2と通信を行うことが可能となる(ステップSQ1005、SQ1006)。
【0184】
(6)収容替えの指示のメッセージを受けた無線基地局制御装置は、メッセージの受領応答を呼制御装置1に返信すると共に、自身の収容替えを実施するために、自無線基地局制御装置に収容されている全ての無線基地局に運用停止指示のメッセージを送信する(ステップSQ1007、SQ1008)。
【0185】
(7)運用停止指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を停止し無線端末が自無線基地局に接続しないようにサービスを止める。なお、収容替えを実施する場合、収容替え対象となる無線基地局のサービスを停止する必要があり、すでに接続中の無線端末が存在する場合、ユーザーへのサービスが途中で停止してしまう。これをさけるため、無線基地局制御装置は、対象無線基地局に接続している全ての無線端末が通信を切断するまで待ち、無線端末の全てが切断したことを契機に運用停止指示を無線基地局に送信するようにしてもよい。または、接続中の無線基地局を別の無線基地局へ逃がすために、対象無線基地局が送信電力を徐々に弱くして他の無線基地局へハンドオーバーをさせた後に、別の無線基地局制御装置へ収容替えを行うようにしてもよい。そして、サービスが停止すると、各無線基地局は、運用停止完了のメッセージを無線基地局制御装置に送信する(ステップSQ1009)。
【0186】
(8)全ての無線基地局でのサービスが停止されると、無線基地局制御装置は、自身のデータを呼制御装置1の運用管理データより削除させるために、登録削除要求のメッセージを呼制御装置1に送信する(ステップSQ1010)。
【0187】
(9)登録削除要求のメッセージを受信した呼制御装置1は、自身か持っていた無線基地局制御装置の情報を運用管理データより削除すると共に、無線基地局制御装置の情報を削除したことによりO&M制御装置の運用管理データを更新させる要求のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1011、SQ1012)。
【0188】
(10)本発明の無線通信システムは、サブネットを跨ぐハンドオーバーをサポートしているので、呼制御装置にはお互いの情報が登録されている。このため、O&M制御装置は呼制御装置1から無線基地局制御装置が削除されたことを他の呼制御装置に通知するために、運用管理データ更新要求を呼制御装置2に送信し、呼制御装置2内の運用管理データを更新させる(ステップSQ1013)。
【0189】
(11)運用管理データ更新要求を受信した呼制御装置2は、運用管理データの更新を行った後、運用管理データの更新完了のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1014)。
【0190】
(12)O&M制御装置は、呼制御装置2から運用管理データの更新完了のメッセージを受信すると、呼制御装置1に運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ1015)。
【0191】
(13)O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信した呼制御装置1は、登録削除が完了したことを無線基地局制御装置に通知するため、登録削除完了のメッセージを無線基地局制御装置に送信する(ステップSQ1016)。
【0192】
(14)呼制御装置1から登録削除完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置は、先に受信した無線基地局制御装置の収容替え指示で指定された呼制御装置に自身を収容するために、呼制御装置2に対して登録要求を送信する。この要求には、無線基地局制御装置の運用・管理で必要となる運用管理データも含まれる(ステップSQ1017)。
【0193】
(15)無線基地局制御装置からの登録要求を受信した呼制御装置2は、無線基地局制御装置と、その無線基地局制御装置が収容している無線基地局とを自身の運用管理データに追加登録すると共に、無線基地局制御装置を登録したことをO&M制御装置に通知するために、運用管理データ更新要求のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1018、SQ1019)。
【0194】
(16)呼制御装置2からの運用管理データ更新要求のメッセージを受信したO&M制御装置は、呼制御装置1に無線基地局制御装置が登録されたことを通知するため、運用管理データ更新要求のメッセージを呼制御装置1に送信して運用管理データを更新させる(ステップSQ1020)。
【0195】
(17)O&M制御装置からの運用管理データ更新要求のメッセージを受信した呼制御装置1は、自身が持つ運用管理データの更新を行い、運用管理データの更新の完了後、運用管理データ更新完了のメッセージをO&M制御装置に送信する(ステップSQ1021)。
【0196】
(18)O&M制御装置は、呼制御装置1からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信すると、呼制御装置2に運用管理データ更新完了のメッセージを送信する(ステップSQ1022)。
【0197】
(19)呼制御装置2は、O&M制御装置からの運用管理データ更新完了のメッセージを受信すると、登録が完了したことを無線基地局制御装置に通知するために、登録完了のメッセージを無線基地局制御装置に送信する(ステップSQ1023)。
【0198】
(20)呼制御装置2からの登録完了のメッセージを受信した無線基地局制御装置は、収容替えが完了したことを呼制御装置1に通知すると共に、無線基地局のサービスを開始するために、運用開始指示のメッセージを配下の全ての無線基地局に送信する(ステップSQ1024、SQ1025)。
【0199】
(21)無線基地局制御装置からの運用開始指示のメッセージを受信した無線基地局は、電波の送信を開始し、無線基地局制御装置に対して運用開始完了のメッセージを信する。これにより、無線基地局制御装置が収容替えされ、無線通信システムは、新しい接続構成で運用される。なお、必要に応じて、無線基地局は、自身がサービスを開始したことを関連装置に通知することができる(ステップSQ1026、SQ1027)。
【0200】
図21はO&M制御装置が実施するある無線基地局制御装置をサブネットの異なる別の呼制御装置の配下に収容替えを行う処理動作の例を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。ここで制御する処理の例は、呼制御装置の負荷を基に、無線基地局制御装置をより負荷の低い呼制御装置へ収容替えする場合の処理である。
【0201】
(1)O&M制御装置は、監視している呼制御装置の負荷が予め定めた閾値を超えて収容替えが必要と判断すると、該当呼制御装置配下で負荷が最も高い無線基地局制御装置を収容替え対象として選択する。ここでは、負荷の最も高い無線基地局制御装置を選択するとしているが、負荷の最も高い無線基地局制御装置を選択して他の呼制御装置に収容すると、収容替え先呼制御装置の負荷が急増する可能性があるので、該当呼制御装置配下の無線基地局制御装置の中で負荷が中間の無線基地局を選択するといった別の選択方法もあり、その方針は、通信事業者がポリシーとして設定しておくことができる(ステップFL1100)。
【0202】
(2)収容替え対象となる無線基地局制御装置を選択すると、次に、O&M制御装置は、監視している呼制御装置の中から最も負荷の低い呼制御装置を収容替え先として選択する(ステップFL1101)。
【0203】
(3)収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容する呼制御装置の負荷が無線通信システムの中で最も低い場合、該当無線基地局制御装置の収容替えを実施しても負荷分散とはならないので、選択した呼制御装置の負荷が収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置の負荷よりも低いか否かを判定する(ステップFL1102)。
【0204】
(4)ステップFL1102の判定で、選択した呼制御装置の負荷が収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置よりも低くかった場合、選択した呼制御装置に新しい無線基地局制御装置を収容することができる空きポートがあるか否かを判定し、空きポートがあった場合、選択した呼制御装置を収容替え先として選択して、ここでの処理を終了する(ステップFL1103)。
【0205】
(5)ステップFL1103の判定で、選択した呼制御装置に空きポートがなかった場合、この呼制御装置へ新しい無線基地局制御装置を収容替えすることができないので、無線通信システム内で次に負荷の低い無線基地局制御装置を選択し、ステップFL1102からの処理に戻って、選択した呼制御装置の負荷と対象無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置の負荷よりも低いか確認し空きポートを確認するという処理を繰り返す(FL1104)。
【0206】
(6)ステップFL1102の判定で、選択した呼制御装置の負荷が収容替えの対象とする無線基地局制御装置を収容していた呼制御装置よりも低い呼制御装置が無線通信システムになかった場合、収容替え先の選択を中止し、収容替えを実施することなくここでの処理を終了する(ステップFL1105)。
【0207】
前述で説明した処理の例は、呼制御装置の負荷を基準に収容替え先の呼制御装置を選択しているが、呼制御装置配下の無線基地局制御装置の数を均等にする為に、無線基地局制御装置の数を基準としてもよい。
【0208】
図22は装置の収容替えを行った場合、及び、装置の収容替えを行おうとしている場合に通信事業者に知らせる画面イメージの例を示す図である。
【0209】
本発明の実施形態では、無線基地局や無線基地局制御装置を負荷に応じて他装置への収容替えを自律的に行っている。しかし、無線通信システムを保守している通信事業者は、無線基地局や無線基地局制御装置がどの装置に何時収容替えされたかを把握する必要がある。また、運用上の都合により通信事業者は、自律的な収容替えを実行されたく無い場合もある。この場合、収容替えを実行するかの確認画面があるのが望ましい。
【0210】
図22(a)に示す画面例は、無線基地局の収容替えが自律的に行われ、その結果がO&M制御装置に接続された入出力装置に表示された場合のイメージである。ここでは、収容替えが発生した日時と、収容元の情報、そして収容先の情報が表示されている。これにより、通信事業者は、無線基地局が何時どの無線基地局制御装置からどの無線基地局制御装置へ収容替えが行われたかを知ることができる。
【0211】
また、図22(b)に示す画面例は、無線基地局の収容替えが必要と判断され、それを実行するかどうかの判断を通信事業者が行う場合に表示されるイメージである。O&M制御装置は、自律的に対象となる無線基地局と収容先の無線基地局制御装置とを画面に表示し、通信事業者に対して該当する収容替えを行うかどうかの入力を促している。通信事業者がそのまま無線基地局の収容替えを行ってもよいと判断すれば、実行ボタンを押してそのまま収容替えを継続し、収容替えを中止したいと判断した場合、中止ボタンにより収容替えを中止させることができる。前述のように、本発明の実施形態による無線通信システムは、通信事業者に対して収容替え対象となる装置とその収容先を自律的に判断し、収容替えを実施する前に通信事業者にその実行を判断させる手段も提供する。
【0212】
なお、前述した画面の例は、無線基地局の収容替えを例に説明したが、無線基地局制御装置の収容替え等の場合も同様である。
【0213】
前述した本発明の実施形態によれば、通信事業者が新規に設置する無線基地局を任意の無線基地局制御装置に登録すれ、無線通信システムがトラフィック量、無線端末の接続数、ハンドオーバーの発生頻度等から生じる負荷を考慮して無線基地局の収容替えを自律的に行うので、負荷が無線通信システムを構成する特定の装置に偏ることを防止することができる。また、本発明の実施形態によれば、通信事業者が無線通信システム内の装置の負荷を考慮せずに任意の無線基地局制御装置に無線基地局を登録すればよいので、無線基地局を新規に設置した後に無線基地局制御装置の負荷を定期的に確認して収容替えを行う手間を省くことができシステムの保守が容易となる。
【符号の説明】
【0214】
100〜170 無線基地局及びセル番号
101、201、301、451 通信機能
102、202、302、452 デバイス制御機能
103、203、303、453 データ管理機能
104、210、310、455 収容替え処理機能
200、220、240 無線基地局制御装置
204、304 呼処理機能
205、305 呼情報管理機能
206、306 保守機能
300、350 呼制御装置
400 スイッチ
420 O&M制御装置
440 コアネットワーク
454 入出力制御機能
460 公衆回線網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線基地局と、複数の無線基地局制御装置と、複数の呼制御装置と、O&M制御装置とを備えて構成される無線通信システムにおいて、
1または複数の無線基地局が1台の無線基地局制御装置により管理・制御され、1または複数台の無線基地局制御装置が1台の呼制御装置により管理・制御され、保守装置としてのO&M制御装置が前記各装置を管理・制御しており、
前記O&M制御装置は、前記無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率、CPU使用率の増加の要因となるトラフィック量、無線端末の接続数、または、シグナリング処理量で代表される負荷の状態を、前記無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、前記負荷が予め設定した閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、通信ネットワークを分割して管理されているサブネットを跨ぐハンドオーバー発生回数の増加に伴う呼制御装置、無線基地局制御装置のCPU使用率で代表される負荷が、予め設定された閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別のサブネットに属する別の無線基地局制御装置、あるいは、別のサブネットに属する別の呼制御装置への収容替えを行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、収容替えの対象となる無線基地局、あるいは、収容替えの対象となる無線基地局制御装置を、負荷が高いと判断された無線基地局制御装置に収容された無線基地局から負荷の大きさを基準に選択し、あるいは、負荷が高いと判断された呼制御装置に収容された無線基地局無線基地局から負荷の大きさを基準に選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置の中から、収容元の無線基地局制御装置、あるいは、収容元の呼制御装置の負荷より低く、かつ、最も負荷の低い無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置を収容替え先として選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項4記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、収容替え先として選択した無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置に空きポートがあるか否かを確認し、空きポートがない場合、空きポートのある無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置が見つかるまで次に負荷の低い無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置を順番に空きポートがあるか否かを確認して収容替え先を選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、収容替え先の無線基地局制御装置を選択する場合、収容替え対象となる無線基地局に登録されている隣接無線基地局の情報を使用し、隣接無線基地局が属する無線基地局制御装置を収容替え先として選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
収容元の無線基地局制御装置、あるいは、収容元の呼制御装置は、前記O&M制御装置からの無線基地局、あるいは、無線基地局制御装置の収容替え指示に従い、前記収容元の無線基地局制御装置は、自身が管理している運用管理データから無線基地局の登録を削除し、収容先の無線基地局制御装置は、該当無線基地局を運用管理データに登録し、前記収容元の呼制御装置は、自身が管理している運用管理データから無線基地局制御装置の登録を削除し、収容先の呼制御装置は、該当無線基地局制御装置を運用管理データに登録することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
複数の無線基地局と、複数の無線基地局制御装置と、複数の呼制御装置と、O&M制御装置とを備えて構成される無線通信システムにおける該システムを構成する装置の収容替え方法において、
1または複数の無線基地局が1台の無線基地局制御装置により管理・制御され、1または複数台の無線基地局制御装置が1台の呼制御装置により管理・制御され、保守装置としてのO&M制御装置が前記各装置を管理・制御しており、
前記O&M制御装置は、前記無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率、CPU使用率の増加の要因となるトラフィック量、無線端末の接続数、または、シグナリング処理量で代表される負荷の状態を、前記無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、前記負荷が予め設定した閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行うことを特徴とするシステムを構成する装置の収容替え方法。
【請求項1】
複数の無線基地局と、複数の無線基地局制御装置と、複数の呼制御装置と、O&M制御装置とを備えて構成される無線通信システムにおいて、
1または複数の無線基地局が1台の無線基地局制御装置により管理・制御され、1または複数台の無線基地局制御装置が1台の呼制御装置により管理・制御され、保守装置としてのO&M制御装置が前記各装置を管理・制御しており、
前記O&M制御装置は、前記無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率、CPU使用率の増加の要因となるトラフィック量、無線端末の接続数、または、シグナリング処理量で代表される負荷の状態を、前記無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、前記負荷が予め設定した閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、通信ネットワークを分割して管理されているサブネットを跨ぐハンドオーバー発生回数の増加に伴う呼制御装置、無線基地局制御装置のCPU使用率で代表される負荷が、予め設定された閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別のサブネットに属する別の無線基地局制御装置、あるいは、別のサブネットに属する別の呼制御装置への収容替えを行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、収容替えの対象となる無線基地局、あるいは、収容替えの対象となる無線基地局制御装置を、負荷が高いと判断された無線基地局制御装置に収容された無線基地局から負荷の大きさを基準に選択し、あるいは、負荷が高いと判断された呼制御装置に収容された無線基地局無線基地局から負荷の大きさを基準に選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置の中から、収容元の無線基地局制御装置、あるいは、収容元の呼制御装置の負荷より低く、かつ、最も負荷の低い無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置を収容替え先として選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項4記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、収容替え先として選択した無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置に空きポートがあるか否かを確認し、空きポートがない場合、空きポートのある無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置が見つかるまで次に負荷の低い無線基地局制御装置、あるいは、呼制御装置を順番に空きポートがあるか否かを確認して収容替え先を選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記O&M制御装置は、収容替え先の無線基地局制御装置を選択する場合、収容替え対象となる無線基地局に登録されている隣接無線基地局の情報を使用し、隣接無線基地局が属する無線基地局制御装置を収容替え先として選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
収容元の無線基地局制御装置、あるいは、収容元の呼制御装置は、前記O&M制御装置からの無線基地局、あるいは、無線基地局制御装置の収容替え指示に従い、前記収容元の無線基地局制御装置は、自身が管理している運用管理データから無線基地局の登録を削除し、収容先の無線基地局制御装置は、該当無線基地局を運用管理データに登録し、前記収容元の呼制御装置は、自身が管理している運用管理データから無線基地局制御装置の登録を削除し、収容先の呼制御装置は、該当無線基地局制御装置を運用管理データに登録することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
複数の無線基地局と、複数の無線基地局制御装置と、複数の呼制御装置と、O&M制御装置とを備えて構成される無線通信システムにおける該システムを構成する装置の収容替え方法において、
1または複数の無線基地局が1台の無線基地局制御装置により管理・制御され、1または複数台の無線基地局制御装置が1台の呼制御装置により管理・制御され、保守装置としてのO&M制御装置が前記各装置を管理・制御しており、
前記O&M制御装置は、前記無線基地局制御装置、呼制御装置のCPU使用率、CPU使用率の増加の要因となるトラフィック量、無線端末の接続数、または、シグナリング処理量で代表される負荷の状態を、前記無線基地局制御装置、呼制御装置から運用管理データとして収集・管理しており、前記負荷が予め設定した閾値を超えた場合、前記負荷が予め定めた閾値を超えた前記無線基地局制御装置の配下に接続されている前記無線基地局の1つ、あるいは、前記呼制御装置の配下に接続されている無線基地局制御装置の1つを収容替えの対象として、別の無線基地局制御装置、あるいは、別の呼制御装置への収容替えを行うことを特徴とするシステムを構成する装置の収容替え方法。
【図1】
【図2】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図20】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図15】
【図16】
【図17】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図16】
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【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−253622(P2012−253622A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125670(P2011−125670)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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