説明

無線通信システム

【課題】センター局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムで、センター局装置や子局装置において効果的な通報処理を行う。
【解決手段】センター局装置では、入力手段51が音声を入力し、生成手段5が入力手段により入力された音声に基づいて文字の情報を生成し、送信手段3、52が入力手段により入力された音声の情報及び生成手段により生成された文字の情報を子局装置に対して無線により送信する。子局装置では、受信手段53がセンター局装置から無線により送信された音声の情報及び文字の情報を受信し、音声出力手段23が受信手段により受信された音声の情報に基づいて音声を出力し、表示出力手段24が受信手段により受信された文字の情報に基づいて文字を表示出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センター局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムに関し、特に、センター局装置や子局装置において効果的な通報処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図8には、デジタル同報無線システムの構成例を示してある。
なお、図8では、後述する本発明の実施例に係る図1に示されるのと概略的に同様な構成部については同一の符号を付して示してあるが、本発明を限定する意図は全く無い。
図8に示されるデジタル同報無線システムでは、センター局装置Eと、複数の端末局装置F1〜Fnと、複数の戸別受信機G1〜Gmを設けてある。
センター局装置Eには、制御部11や無線部12やアンテナ13を有して無線通信を行う基地局無線送受信装置1と、人により操作されて各種の指令などを受け付ける操作卓2と、人により操作されて文字メッセージの入力及び文字伝送の起動を行う文字伝送装置3と、人の肉声に代わって文字メッセージからアナログ音声を生成出力する音声合成装置61と、端末局装置F1〜Fnのテレメータ収集子局装置26に対するテレメータ情報の要求や当該テレメータ収集子局装置26からのテレメータ情報の収集を行うテレメータ収集親局装置4が備えられている。
【0003】
各端末局装置F1〜Fnには、制御部31や無線部32やアンテナ33を有して無線通信を行う端末局本体装置21と、端末局本体装置21と他の構成部23、24、25、26とを接続するインタフェースである接続ボックス22と、人に対して音声を出力するトランペットスピーカ23と、人に対して文字情報等の画像を表示する表示装置24と、外部情報を検出するテレメータ収集子局装置26が備えられている。また、文字情報からアナログ音声を出力する音声合成装置25が備えられている。
各戸別受信機G1〜Gmには、文字情報等の画像を表示する表示装置41が備えられている。また、文字情報からアナログ音声を出力する音声合成機能42が備えられている。
【0004】
例えば、一般的な同報無線システムでは、行政機関にセンター局装置Eを設置し、行政管轄地区の屋外や施設内に複数の端末局装置F1〜Fnを設置して、センター局装置Eから災害関連情報等の報知情報をこれら端末局装置F1〜Fnへ同報無線送信し、各端末局装置F1〜Fnで受信した報知情報をスピーカ23から拡声出力することが行われている。一般的な同報無線システムでは、センター局装置Eから複数の端末局装置F1〜Fnへ報知情報を単一方向に無線送信することが行われている。
【0005】
また、同報無線システムに付随して備え付けられる文字伝送機能は、文字メッセージを災害関連情報等の報知情報として端末局装置F1〜Fnへ同報無線送信する機能であり、通報済みの音声通報内容の再確認や、聴覚障害者へ向けた通報として利用される。具体的には、センター局装置Eでは、扱者が報知する文字メッセージをテキスト入力することで文字情報を取得し、当該文字情報を基地局無線送受信装置1へ渡す。その後、センター局装置Eと端末局装置F1〜Fnとの間において同報無線回線a1、a2を利用して、当該文字メッセージを配信する。また、リアルタイムに配信する。
文字伝送機能としては、例えば、センター局装置Eには、文字メッセージをテキスト入力して文字情報を送信する文字伝送装置3を設置し、端末局装置F1〜Fnには、文字情報を受信して文字メッセージ表示部へ表示する表示装置24を設置する。そして、同報無線通信を利用して、センター局装置Eと端末局装置F1〜Fnとの間で文字情報の伝送を行うことにより、文字伝送機能が実現される。
【0006】
また、同報無線システムに付随して備え付けられる音声合成機能は、センター局装置Eにおいて、扱者が音声通報を実行する際に、扱者の通報内容を文章化したテキストデータとして入力すると、当該テキストデータをアナログ音声として読み上げる機能である。このような音声合成機能は、例えば、通報業務に不慣れな扱者が、肉声によるアナウンス業務を代弁するようなときに使用する。
具体的には、音声合成機能を利用するに当たっては、扱者は、肉声による通報予定の内容を、予め文章として纏めたテキストデータを作成しておき、通報時、当該機能部(音声合成装置61)に当該テキストデータを入力する。これにより、アナログ音声が合成出力される。
【0007】
また、同報無線システムに使用可能な音声合成装置61は、特に、屋外或いは屋内の音声通報の聴話者が、通報内容を誤認識しない程度に聴話可能な高音質なアナログ音声を出力する必要がある。一例として、当該要求を満たすために、サーバ型で実現する場合には、高スペックなハードウエアを必要とするため、高価となる。このため、音声合成装置61は、センター局装置Eのみに設置することが検討等されていた。
これに対して、現在では、同機能をLSI化により小型・低価格で実現することが可能となる方向にあり、音声合成機能を端末局装置F1〜Fnに設置することも検討等されている。
この場合、センター局装置Eから端末局装置F1〜Fnへ文字の情報を送信して、端末局装置F1〜Fnにおいてその文字或いは加工した文字に対応したアナログ音声を出力することが行われる。これにより、例えば、アナログ音声の情報を無線通信する場合と比べて、通信量を低減させることができ、通信に要する時間や電力を低減させることができる。また、例えば、センター局装置Eから端末局装置F1〜Fnへ文字メッセージ情報を送信するだけで、端末局装置F1〜Fnでは文字による通報と音声による通報の両方を実施することができる。
【0008】
また、同報無線システムには、同報無線回線を利用したサブシステムを付加することがしばしば行われる。例えば、テレメータシステムを一例に挙げると、具体的には、センター局装置Eにテレメータ収集親局装置4を設置し、端末局装置F1〜Fnにテレメータ収集子局装置26を設置し、テレメータ収集子局装置26が取得したテレメータ情報を、同報無線回線a1、a2を通して、テレメータ収集親局装置4へ送信する。センター局装置Eでは、取得したテレメータ情報が災害を引き起こす要因と成り得る値である場合には、その旨を加味して拡声通報を実行し、これにより、事前に地域住民へ注意を促し、時には非難命令等の指示を発令することなどが、頻繁に行われている。
【0009】
なお、ここでは、センター局装置Eと各端末局装置F1〜Fnとの間で行われる無線通信を例として説明したが、センター局装置Eと各戸別受信機G1〜Gmとの間においても同様に文字や音声の無線通信が行われる。
【0010】
上記のようなデジタル同報無線システムでは、例えば、通報内容が同じである音声通報と文字通報を同時刻に通報するような場合には、通報開始に先立って、扱者が文字通報内容を文章化して、端末局装置F1〜Fnに接続された表示装置24へ表示することが可能な文字メッセージを作成する。その後、扱者が拡声通報を起動すると、肉声による音声通報と同時或いはほぼ同時に、又は、音声通報前或いは音声通報後に、前述した予め作成しておいた文字メッセージを文字伝送機能で送出する。
しかしながら、このような構成では、デジタル同報無線システムが最も活用される緊急災害時等においては、前述したような複雑な作業手順を実行する必要があるために、迅速な音声通報と文字通報の同時通報を実現することができないといった不具合があった。
【0011】
また、緊急災害時等においては、普段から通報業務に手馴れた扱者が拡声通報を実行するとは限らないため、通報業務に不慣れな扱者でも容易に操作可能な通報手順を実現し且つ通報業務に不慣れな扱者でも音声明瞭度の高いアナウンス業務を実行する必要があった。
また、上記のようなデジタル同報無線システムでは、センター局装置Eと端末局装置F1〜Fnとの間で拡声通報を行うための無線回線a1、a2を同時に1回線分しか開設することができず、音声通報と同時に他の通信を行うことができない。このため、音声通報と文字通報を同時に実行する場合には、通報を行う扱者が予め通報内容をテキストデータとして作成し、その後、扱者は音声通報を実行し、これにより、音声通報とほぼ同時に或いは次の通報としてシーケンシャルに、文字通報を起動して送信することが行われていた。
【0012】
また、頻繁に通報内容を変更して拡声通報を実行する必要がある状況においては、センター局装置Eが変化を検知する度に拡声通報を実行しなければならず、当該拡声通報と同時に文字メッセージによる通報を実行する場合には、更にその都度、扱者が文字メッセージを作成しなければならなかった。特に、例えば、テレメータシステムのようなサブシステムを接続した場合に、端末局装置F1〜Fnに接続されたテレメータ収集子局装置26が端末局装置近郊の河川の水位情報等を測定しているようなときには、雨量等により測定値が刻々変化する情報源に関して住民へ的確な情報の提供と指示を伝送する必要があるが、変化を検知する度に、センター局装置Eにおいて扱者が文字メッセージを作成して拡声通報を実行しなければならなかった。
【0013】
更に、音声通報や文字通報の各種通報は、地域住民毎に的確な通報内容で拡声通報する必要があり、各端末局装置F1〜Fnが管轄するエリア毎に通報内容が異なる場合がある。このような状況においては、異なる端末局装置F1〜Fnの数分だけ拡声通報を実行する必要があるが、無線回線を同時に1回線分(ここでは、1つの通報内容を送る分)しか開設することができないため、全ての端末局装置F1〜Fnへ拡声通報を実行して終了するまでに多くの時間を費やしてしまっていた。
また、例えば、防災無線システムでは、災害発生箇所における情報を迅速に収集し、対処方法の情報を即座に通報することが求められている。そして、同報無線システムにおいても、センター局装置Eから複数の端末局装置F1〜Fnへ向けた一方向の配信機能ばかりでなく、限られた無線回線を有効に利用することで、各端末局装置F1〜Fnが取得している情報を収集し、各地域住民に対して的確な通報を提供する機能が求められる。
【0014】
なお、本出願人による関連出願として、特願2005−092011号がある。
【0015】
【特許文献1】特許第3310387号公報
【非特許文献1】「市町村デジタル同報システム」、ARIB STD−T86、社団法人電波産業会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述のように、デジタル同報無線システムでは、種々な問題点や改良が望まれる点があり、更なる開発が必要であるが、特に、センター局装置から子局装置へ報知情報を送信して、子局装置が受信した報知情報に基づいて音声と文字の両方を出力するような場合における効率化を図ることが強く要求されている。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、センター局装置と子局装置(例えば、端末局装置や戸別受信機)とが無線により通信するに際して、センター局装置や子局装置において効果的な通報処理を行うことができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信システムでは、センター局装置と子局装置とが無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、前記センター局装置では、入力手段が音声を入力し、生成手段が前記入力手段により入力された音声に基づいて文字の情報を生成し、送信手段が前記入力手段により入力された音声の情報及び前記生成手段により生成された文字の情報を前記子局装置に対して無線により送信する。
前記子局装置では、受信手段が前記センター局装置から無線により送信された音声の情報及び文字の情報を受信し、音声出力手段が前記受信手段により受信された音声の情報に基づいて音声を出力し、表示出力手段が前記受信手段により受信された文字の情報に基づいて文字を表示出力する。
【0018】
従って、例えば、センター局装置の扱者(人)が音声を発してセンター局装置に入力することにより、子局装置により音声の出力と文字の出力の両方が行われることが可能であるため、扱者による作業を簡易化や容易化することができ、迅速で効果的な通報を実現することができる。
【0019】
ここで、センター局装置や、子局装置や、無線通信システムとしては、それぞれ、種々なものが用いられてもよい。
また、音声を入力する手段としては、例えば、マイクを用いることができ、或いは、音声情報の形式で音声を入力するような手段を用いることも可能である。
また、音声(或いは、音声の情報)に基づいて文字の情報を生成する手段としては、例えば、音声認識を使用する手段を用いることができる。
また、音声(或いは、音声の情報)に基づいて文字の情報を生成する態様としては、例えば、音声の内容をそのまま文字化した情報を生成する態様が用いられてもよく、或いは、音声の内容を加工して文字の情報を生成する態様が用いられてもよい。
また、音声の情報と文字の情報を通信(送信や受信)する態様としては、例えば、音声の情報と文字の情報を同時に通信する態様が用いられてもよく、或いは、音声の情報と文字の情報を時間差をもって通信する態様が用いられてもよい。
【0020】
また、音声の情報に基づいて音声を出力する態様としては、例えば、音声の情報の内容をそのまま音声化した音声を出力する態様が用いられてもよく、或いは、音声の情報の内容を加工して生成した音声を出力する態様が用いられてもよい。
また、文字の情報に基づいて文字を表示出力する態様としては、例えば、文字の情報の内容をそのまま文字化した文字を表示出力する態様が用いられてもよく、或いは、文字の情報の内容を加工して生成した文字を表示出力する態様が用いられてもよい。
また、子局装置において音声を出力するタイミング及び当該音声に対応する文字を出力するタイミングとしては、それぞれ、種々なタイミングが用いられてもよく、例えば、音声と当該音声に対応する文字を同時に出力する態様や、或いは、音声を出力した後に(例えば、すぐに)当該音声に対応する文字を出力する態様や、或いは、文字を出力した後に(例えば、すぐに)当該文字に対応する音声を出力する態様などを用いることができる。
【0021】
本発明に係る無線通信システムでは、センター局装置と子局装置とが無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、前記センター局装置では、入力手段が音声を入力し、送信手段が前記入力手段により入力された音声の情報を前記子局装置に対して無線により送信する。
前記子局装置では、受信手段が前記センター局装置から無線により送信された音声の情報を受信し、文字生成手段が前記受信手段により受信された音声の情報に基づいて文字の情報を生成し、音声出力手段が前記受信手段により受信された音声の情報に基づいて音声を出力し、表示出力手段が前記文字生成手段により生成された文字の情報に基づいて文字を表示出力する。
【0022】
従って、例えば、センター局装置の扱者(人)が音声を発してセンター局装置に入力することにより、子局装置により音声の出力と文字の出力の両方が行われることが可能であるため、扱者による作業を簡易化や容易化することができ、迅速で効果的な通報を実現することができる。また、センター局装置から子局装置へ音声情報を無線送信することで子局装置により音声と文字の両方を出力することができるため、例えば、センター局装置から子局装置へ音声情報と文字情報の両方を無線送信する場合と比べて、無線回線の使用率を低下させることができ、無線回線の有効利用を図ることができる。
【0023】
本発明に係る無線通信システムでは、センター局装置と子局装置とが無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、前記センター局装置では、入力手段が音声を入力し、生成手段が前記入力手段により入力された音声に基づいて文字の情報を生成し、送信手段が前記生成手段により生成された文字の情報を前記子局装置に対して無線により送信する。
前記子局装置では、受信手段が前記センター局装置から無線により送信された文字の情報を受信し、音声生成手段が前記受信手段により受信された文字の情報に基づいて音声を生成し、音声出力手段が前記音声生成手段により生成された音声を出力し、表示出力手段が前記受信手段により受信された文字の情報に基づいて文字を表示出力する。
【0024】
従って、例えば、センター局装置の扱者(人)が音声を発してセンター局装置に入力することにより、子局装置により音声の出力と文字の出力の両方が行われることが可能であるため、扱者による作業を簡易化や容易化することができ、迅速で効果的な通報を実現することができる。また、センター局装置から子局装置へ文字情報を無線送信することで子局装置により音声と文字の両方を出力することができるため、例えば、センター局装置から子局装置へ音声情報と文字情報の両方を無線送信する場合と比べて、無線回線の使用率を低下させることができ、無線回線の有効利用を図ることができる。また、通常、音声情報と比べて文字情報の方がデータ量が少ないため、文字情報を送信する構成では、音声情報を送信する構成と比べて、更に無線回線の使用率を低下させることができる。
【0025】
ここで、文字の情報に基づいて音声(或いは、音声の情報)を生成する手段としては、例えば、音声合成を使用する手段を用いることができる。
また、文字の情報に基づいて音声(或いは、音声の情報)を生成する態様としては、例えば、文字の情報の内容をそのまま音声化した音声を生成する態様が用いられてもよく、或いは、文字の情報の内容を加工して音声を生成する態様が用いられてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明に係る無線通信システムによると、例えば、センター局装置から子局装置へ報知情報を送信して、子局装置により受信した報知情報を出力するに際して、センター局装置では、報知対象となる音声を受け付け、受け付けた音声から文字の情報を生成し、受け付けた音声の情報及び生成した文字の情報を子局装置へ送信するようにしたため、子局装置では受信した音声の情報及び文字の情報に基づいて音声及び文字を出力することができ、効果的な通報を実現することができる。
また、本発明に係る無線通信システムによると、センター局装置では、報知対象となる音声を受け付けて当該音声の情報を子局装置へ送信し、子局装置では、受信した音声の情報から文字の情報を生成し、受信した音声の情報及び生成した文字の情報に基づいて音声及び文字を出力するようにしたため、効果的な通報を実現することができる。
また、本発明に係る無線通信システムによると、センター局装置では、報知対象となる音声を受け付け、受け付けた音声から文字の情報を生成し、生成した文字の情報を子局装置へ送信し、子局装置では、受信した文字の情報から音声を生成し、生成した音声及び受信した文字の情報に基づく文字を出力するようにしたため、効果的な通報を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本実施例では、市区町村などの防災に関する無線通信システムであるデジタル同報無線システムに本発明を適用した場合を示す。
図1には、本実施例に係るデジタル同報無線システムの構成例を示してある。
本実施例に係るデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと、複数であるn個の端末局装置B1〜Bnと、複数であるm個の戸別受信機C1〜Cmを設けてある。なお、複数の端末局装置B1〜Bnの数nや、複数の戸別受信機C1〜Cmの数mとしては、それぞれ、種々な数が用いられてもよい。
また、図1には、センター局装置Aの通信領域(無線エリア)D1や、端末局装置B1の通信領域D2や、端末局装置Bnの通信領域D3や、センター局装置Aと端末局装置B1との間の無線回線a1や、センター局装置Aと端末局装置Bnとの間の無線回線a2や、センター局装置Aと戸別受信機C1との間の無線回線a3を示してある。
【0028】
また、本実施例では、各端末局装置B1〜Bnの構成や動作は同様であるため1個の端末局装置B1のみについて符号を付して構成を示してあり、また、各戸別受信機C1〜Cmの構成や動作は同様であるため1個の戸別受信機C1のみについて符号を付して構成を示してある。
また、本実施例では、主に、センター局装置Aと端末局装置B1〜Bnとの間で通信する場合について説明するが、例えば、端末局装置B1〜Bnと同様な構成や動作を戸別受信機C1〜Cmに適用することも可能である。
【0029】
センター局装置Aには、制御部11や無線部12やアンテナ13を有して無線通信を行う基地局無線送受信装置1と、人により操作されて各種の指令などを受け付ける操作卓2と、人により操作されて文字メッセージの入力及び文字伝送の起動を行う文字伝送装置3と、端末局装置B1〜Bnのテレメータ収集子局装置26に対するテレメータ情報の要求や当該テレメータ収集子局装置26からのテレメータ情報の収集を行うテレメータ収集親局装置4が備えられている。また、センター局装置Aには、扱者のアナログ音声を文字情報へ変換する音声認識装置5が備えられている。
【0030】
ここで、本実施例では、文字伝送装置3は、基地局無線送受信装置1に接続されているが、例えば、操作卓2に接続されてもよく、操作卓2を介して文字メッセージの入力及び文字伝送の起動を行ってもよい。また、文字伝送装置3の機能を操作卓2に含めて、同等の機能を実現してもよい。
また、本実施例では、テレメータ収集親局装置4は、基地局無線送受信装置1に接続されているが、例えば、操作卓2に接続されてもよく、操作卓2を介してテレメータ情報の要求やテレメータ情報の収集を行ってもよい。また、テレメータ収集親局装置4の機能を操作卓2に含めて、同等の機能を実現してもよい。
【0031】
各端末局装置B1〜Bnには、制御部31や無線部32やアンテナ33を有して無線通信を行う端末局本体装置21と、端末局本体装置21と他の構成部23〜27とを接続するインタフェースである接続ボックス22と、人に対して音声を出力するトランペットスピーカ23と、人に対して文字情報等の画像を表示する表示装置24と、文字情報等からアナログ音声を生成して出力する音声合成装置25と、外部情報を検出するテレメータ収集子局装置26が備えられている。なお、音声合成装置25としては、例えば、LSI化されたものを用いると、小型化や低価格化が実現されて好ましい。また、各端末局装置B1〜Bnには、アナログ音声を文字情報へ変換して出力する音声認識装置27が備えられている。
ここで、本実施例では、音声合成装置25及び音声認識装置27を端末局本体装置21の外部装置として接続しているが、例えば、音声合成装置25及び音声認識装置27と同等の機能を有する機能部を端末局本体装置21の内部(例えば、端末局本体装置21内の制御部31の内部)に備えるような構成とすることもできる。
【0032】
各戸別受信機C1〜Cmには、文字情報等の画像を表示する表示装置41と、音声合成機能を有する音声合成機能部42と、音声認識機能を有する音声認識機能部43が備えられている。なお、音声合成機能及び音声認識機能としては、例えば、LSI化されたものを用いると、小型化や低価格化が実現されて好ましい。
【0033】
ここで、本実施例では、センター局装置Aに対して、複数の端末局装置B1〜Bnや複数の戸別受信機C1〜Cmが直接的に無線回線a1〜a3を介して接続されるシステム構成を示すが、例えば、中継局装置を設けて、センター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnや複数の戸別受信機C1〜Cmとが中継局装置を介して接続されるようなシステム構成が用いられてもよい。
また、本実施例のセンター局装置Aでは、例えば、文字メッセージをテキスト入力する構成が用いられてもよく、或いは、音声認識機能を導入して、扱者が読み上げる文章(音声)から通報用の文字メッセージを生成するような構成が用いられてもよい。つまり、本実施例のセンター局装置Aでは、文字入力であっても、音声入力であっても、入力に対応した文字情報を送信することができる。
また、本実施例のセンター局装置Aでは、音声認識機能を導入して、通報業務の各種操作を扱者の音声による入力により代用するような構成が用いられてもよい。
また、本実施例の端末局装置B1〜Bnでは、音声認識機能を導入して、通報用アナログ音声から通報用の文字メッセージを生成するような構成が用いられる。
【0034】
本実施例に係るデジタル同報通信システムは、例えば、災害時に行政機関から住民に対して災害関連情報を報知する等の用途として用いられ、センター局装置Aから同報無線送信した報知情報を所定の場所に設置された複数の端末局装置B1〜Bnなどで受信して出力する。具体例として、60MHz帯(54〜70MHz)における市町村デジタル防災無線通信方式であるTDMA−TDD方式による防災行政用のデジタル同報無線システムにおいて、同報無線回線を利用してセンター局装置Aと端末局装置B1〜Bnなどとの間で文字情報や他の符号情報等による通報を行う機能や、文字情報や他の符号情報等から拡声通報用のアナログ音声を生成して出力する機能や、拡声通報用のアナログ音声や他のアナログ音声等から文字通報用の文字メッセージを生成して出力する機能などを備える。
【0035】
本実施例に係るデジタル同報無線システムでは、例えば、災害が発生した時などに、行政機関から住民に対して災害関連の情報を一斉通報により報知することが行われる。具体的には、センター局装置Aに設置された操作卓2や基地局無線送受信装置1により、各地域における屋外や一般家庭や集会所や学校などに設置された端末局装置B1〜Bnなどに対して、災害に関する情報や、緊急指令の情報や、避難勧告の情報などを、通話による音声情報或いは文字情報等による非音声情報として送信して、住民へ情報を伝達する。
【0036】
また、端末局装置B1〜Bnなどでは、文字表示装置或いは他の表示装置(本例では、表示装置24、41)を接続し或いは内臓し、センター局装置Aから受信した文字情報等を表示装置に表示する処理を行う。
また、端末局装置B1〜Bnなどでは、音声合成機能(本例では、音声合成装置25或いは音声合成機能部42)を接続し或いは内臓し、センター局装置Aから受信した文字情報に基づいてアナログ音声を合成して出力する処理を行い、当該合成出力したアナログ音声を拡声出力する。
また、センター局装置Aや端末局装置B1〜Bnなどでは、音声認識機能(本例では、音声認識装置5、27或いは音声認識機能部43)を接続し或いは内臓し、扱者が入力したアナログ音声に基づいて文字通報用文字メッセージを生成する処理を行い、当該生成した文字メッセージを出力する。
また、センター局装置Aが送信した文字情報に限らず、端末局装置B1〜Bnなどでは、音声通報内容や文字表示内容としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、端末局装置B1〜Bnなどに固有の情報や、端末局装置B1〜Bnに接続されたテレメータ収集子局装置26により取得したテレメータ情報などを用いることもできる。
【0037】
また、通信システムとしては、例えば、端末局装置B1〜Bnが固定的に設置されるような固定系の通信システムに適用されてもよく、或いは、端末局装置B1〜Bnが携帯電話のように移動可能な通信システムに適用されてもよい。なお、本実施例では、各端末局装置B1〜Bnはそれぞれの地域の場所に設置されており、各戸別受信機C1〜Cmは例えば市町村内の住居に戸別毎(世帯毎)に設置されている或いはそれぞれの人(所有者)により携帯されている。
また、一般に、基地局装置(本実施例では、センター局装置A)から端末局装置B1〜Bnなどへの通信の方向を下りと言い、端末局装置B1〜Bnなどから基地局装置(本実施例では、センター局装置A)への通信の方向を上りと言う。
【0038】
以下で、本実施例に係る無線システムの構成例を示しておく。
一構成例として、本実施例に係る無線システムでは、センター局装置Aと子局装置(本例では、端末局装置B1〜Bnや戸別受信機C1〜Cm)とが無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、センター局装置Aでは、通報用アナログ音声から通報用文字メッセージを生成し、その後、子局装置により出力すべき文字メッセージ情報或いは加工して出力すべき文字メッセージ情報と、音声通報内容の一方又は両方を子局装置に対して無線により送信する。
子局装置では記憶機能と取得機能の一方又は両方を備え、記憶機能は前記した加工のために使用する情報を記憶し、また、取得機能は前記した加工のために使用する情報を取得する。子局装置では、センター局装置Aからの文字メッセージ情報を受信し、受信した文字メッセージ情報を記憶機能に記憶された情報或いは取得機能により取得された情報の一方又は両方を使用して加工する。そして、子局装置では、当該加工により生成された文字メッセージ情報の内容を報知する。この報知は、音声或いは文字の一方又は両方で行われる。
【0039】
従って、扱者がセンター局装置Aへ肉声によるアナログ音声を入力すると、センター局装置Aにおいて文字メッセージ情報が生成されて、当該文字メッセージ情報がセンター局装置Aから子局装置へ送信され、その後、子局装置で文字メッセージ情報や拡声音声情報が出力される。
また、センター局装置Aから送信されたアナログ音声或いは文字メッセージ情報が子局装置により受信された後に当該子局装置により記憶や取得される情報を使用して加工され、当該加工された文字メッセージ情報の内容が報知されるため、子局装置において効果的な通報を行うことができる。具体的には、例えば、センター局装置Aから送信されるままの情報ではなく、各子局装置において加工した情報を報知することができることから、様々な情報を子局装置の側で柔軟に生成して通報することができる。
【0040】
ここで、センター局装置Aから子局装置へ送信する加工すべき文字メッセージ情報の態様や、子局装置において当該文字メッセージ情報を加工する態様としては、様々なものが用いられてもよい。
一例として、追加すべき文字部分を穴埋めなどで有する文字メッセージ情報をセンター局装置Aが送信して、子局装置が当該文字メッセージ情報が有する追加すべき文字部分に文字を追加する加工を行うような態様を用いることができる。
他の一例として、センター局装置Aが子局装置へ加工の仕方を指示して、或いは、子局装置に加工の仕方を設定しておいて、これに基づいて、子局装置が受信した文字メッセージ情報を加工するような態様を用いることができる。
他の一例として、子局装置が番号などの識別情報と文字メッセージの内容との対応を記憶しておいて、センター局装置Aが子局装置へ識別情報を送信し、子局装置が受信した識別情報に対応する文字メッセージの内容の情報を生成する(つまり、識別情報を文字メッセージ情報へ加工する)ような態様を用いることができる。
【0041】
一構成例として、本実施例に係る無線システムでは、次のような構成とすることができる。
すなわち、センター局装置Aでは、扱者によって入力した通報用アナログ音声を文字メッセージ情報へ生成し、そして、通報用アナログ音声と当該通報用アナログ音声から生成した文字メッセージ情報を子局装置へ同時に或いはほぼ同時に或いはシーケンシャルに送信する。また、子局装置では、センター局装置Aから通報用アナログ音声と文字メッセージ情報を受信し、受信した通報用アナログ音声と文字メッセージ情報を出力する。
従って、センター局装置Aから子局装置への音声通報と文字通報との同時通報を、センター局装置Aにおける扱者の肉声による1回の音声通報のみで行うことが可能であり、子局装置では文字による通報と音声による通報の両方を行うことができる。例えば、扱者の操作により音声通報と文字通報とをシーケンシャルに通報するような場合と比べて、文字メッセージを作成する作業を省くことができる。
【0042】
一構成例として、本実施例に係る無線システムでは、次のような構成とすることができる。
すなわち、子局装置では、センター局装置Aから受信した通報用アナログ音声を文字メッセージ情報へ生成し、そして、受信した通報用アナログ音声と生成した文字メッセージ情報を出力する。
従って、センター局装置Aから子局装置への音声通報と文字通報との同時通報を、センター局装置Aにおける扱者の肉声による1回の音声通報のみで行うことが可能であり、子局装置では文字による通報と音声による通報の両方を行うことができる。例えば、扱者が音声通報と文字通報とをシーケンシャルに通報する場合と比べて、文字メッセージを作成する作業を省くことができる。
【0043】
一構成例として、本実施例に係る無線システムでは、次のような構成とすることができる。
すなわち、センター局装置Aでは、扱者によって入力した通報用アナログ音声を文字メッセージ情報へ生成し、そして、生成した文字メッセージ情報を子局装置へ送信する。子局装置では、センター局装置Aから文字メッセージ情報を受信して、受信した文字メッセージ情報から通報用アナログ音声を生成し、そして、受信した文字メッセージ情報と生成した通報用アナログ音声を出力する。
従って、センター局装置Aから子局装置へ文字の情報を送信して、子局装置においてその文字に対応したアナログ音声を出力することができるため、例えば、アナログ音声の情報を無線通信する場合と比べて、通信量を低減させることができ、通信に要する時間や電力を低減させることができる。また、例えば、センター局装置Aから子局装置へ文字メッセージ情報を送信するだけで、子局装置では文字による通報と音声による通報の両方を行うことが可能である。
【0044】
以上のように、本実施例に係る無線システムでは、通報用アナログ音声から文字情報を生成する機能をセンター局装置Aに備えた構成や、通報用アナログ音声から文字情報を生成する機能を子局装置に備えた構成や、文字情報から通報用アナログ音声を生成する機能を子局装置に備えた構成を用いることにより、センター局装置A及び子局装置において効果的な通報を行うことができる。また、扱者の技量に左右されない高品質な通報業務を実現することができる。また、子局装置では、例えば、文字メッセージ情報を各子局装置単位に固有の情報を利用して加工することにより、各子局装置毎に固有な通報用アナログ音声や文字メッセージ情報を報知することが可能である。
【実施例1】
【0045】
本発明の第1実施例を説明する。
本例では、センター局装置Aの基地局無線送受信装置1が端末局装置B1〜Bn及び戸別受信装置C1〜Cmとの間で無線回線a1〜a3を接続する。
また、本例では、拡声通報の音声情報伝送と文字情報伝送の同時通報に際し、扱者が文字メッセージ情報を直接手入力するのではなく、扱者が発声した肉声によるアナログ音声をセンター局装置Aの音声認識装置5へ入力する。この音声認識装置5は、入力されたアナログ音声を解析し、当該アナログ音声を文章として構築し、これにより文字メッセージ化された情報を出力する。このような音声認識装置5を導入することにより、扱者は、音声情報伝送と文字情報伝送の同時通報に際し、例えば、毎回、予め、文字情報通報用の文字メッセージ情報を作成しておいて、その後に、拡声通報を実行するとともに、音声通報の実行前或いは実行後に文字メッセージ情報を通報するようなことを行う必要がなくなる。
【0046】
図2を参照して、本例における同報通信の処理の一例を示す。
図2には、本例のデジタル同報無線システムのセンター局装置Aに音声認識装置5を導入した構成において、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ向かう音声情報と文字情報の処理の流れの一例を示してある。
具体的には、図2には、センター局装置Aに備えられる構成部として、扱者が通報用アナログ音声を入力するための通報用マイク51と、音声認識装置5と、文字伝送装置3と、親局設備(基地局無線送受信装置1などの他の構成部を概略化したもの)52を示してある。また、図2には、端末局装置B1〜Bnに備えられる構成部として、通報用アナログ音声を出力するトランペットスピーカ23と、通報用文字メッセージを表示する表示装置24と、子局設備(端末局本体装置21などの他の構成部を概略化したもの)53を示してある。
【0047】
本例の同報通信処理では、センター局装置Aの扱者が通報用マイク51に通報用アナログ音声を入力すると、当該通報用アナログ音声が音声情報としてセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ送信されて、端末局装置B1〜Bnにおいてトランペットスピーカ23により音声拡声通報が実行される。
また、センター局装置Aでは、同時に、扱者が入力した通報用アナログ音声を音声認識装置5へ受け渡す。音声認識装置5は、入力されたアナログ音声を解析して文章を構築して、当該アナログ音声に対応した文字情報をデータとして生成し、生成した文字情報を文字伝送装置3へ渡す。文字伝送装置3は、当該文字情報を、前述した音声通報の終了後或いは音声通報中に、端末局装置B1〜Bnへ送信する。端末局装置B1〜Bnでは、文字伝送装置3から受信した文字情報をそのまま表示装置24に表示する、或いは、受信した文字情報に対して適切な加工を施した後に表示装置24に表示する。
【0048】
図3には、本動作における、センター局装置Aと端末局装置B1〜Bnとの間の送信シーケンスの一例を示してある。
まず、扱者が操作卓2に通報開始を指示すると、操作卓2が基地局無線送受信装置1に通報開始を指示する。すると、基地局無線送受信装置1が、操作卓2に呼番号を通知するとともに、端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH通報開始指示とFACCH番号通知と下りCAC(BCCH、PCH、SCCH)送信を行い、操作卓2に送信完了を通知する。
次に、扱者が通報用マイク51に対して音声を発する。すると、当該音声が、通報用アナログ音声としてセンター局装置Aに入力されて、音声認識装置5に入力されるとともに、操作卓2及び基地局無線送受信装置1を介してTCH(音声)により端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へ送信されて、当該端末局装置B1〜Bnのトランペットスピーカ23から拡声音声出力される。音声通信について、操作卓2が基地局無線送受信装置1に一括通報終了を通知すると、基地局無線送受信装置1が端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH切断指示を行うとともに操作卓2に送信完了を通知する。
【0049】
音声認識装置5では、入力された通報用アナログ音声からその内容を表す文字メッセージが生成されて、当該文字メッセージが文字伝送装置3に入力される。すると、文字伝送装置3が操作卓2に文字伝送開始を指示し、これに応じて、操作卓2が基地局無線送受信装置1に文字伝送開始を指示し、これに応じて、基地局無線送受信装置1が、操作卓2に呼番号を通知するとともに、端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH通報開始指示とFACCH番号通知と下りCAC(BCCH、PCH、SCCH)送信を行い、操作卓2に送信完了を通知する。
【0050】
この文字メッセージは、操作卓2及び基地局無線送受信装置1を介してTCH(文字)により端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へ送信されて、当該端末局装置B1〜Bnの表示装置24により表示出力される。また、文字メッセージとともに、必要に応じて、文字制御情報もセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ伝送される。
文字通信について、操作卓2が基地局無線送受信装置1に一括通報終了を通知すると、基地局無線送受信装置1が端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH切断指示を行うとともに操作卓2に送信完了を通知する。
【0051】
このように、本例では、音声通報と文字通報が同時に実行可能となる。具体的には、センター局装置Aの扱者は、音声通報と文字通報を実行する場合に、音声通報の操作処理のみを実行すればよく、扱者の操作を容易化することができる。
本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、センター局装置Aにおいて扱者が肉声による通報操作を行うだけで、音声通報と文字通報との両方を実現することが可能である。
【0052】
以上のように、本例のデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnとを無線接続して、或いはセンター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnとを中継局装置を介して無線接続して、センター局装置Aから同報送信した報知情報を端末局装置B1〜Bnが受信して出力するに際して、センター局装置Aの扱者が音声通報の操作を実行することに応じて、センター局装置Aにおいて通報用アナログ音声から文字情報が生成され、端末局装置B1〜Bnにおいて音声通報と文字通報との両方の出力が実現される。本例では、センター局装置Aに音声認識装置5を設置し、扱者の肉声による通報用アナログ音声から文字情報を得て、当該アナログ音声と当該文字情報を端末局装置B1〜Bnへ通報する。
【0053】
従って、本例のデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと子局装置(例えば、端末局装置B1〜Bnや戸別受信機C1〜Cm)とが無線により通信するに際して、センター局装置A及び子局装置において効果的な通報処理を行うことができる。例えば、デジタル同報無線システムのセンター局装置Aにおいて、通報操作に不慣れな扱者であっても、音声通報或いは文字通報を容易に操作することを可能とすることができる。
【0054】
また、本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ同報送信した報知情報に、当該端末局装置B1〜Bnが保有する固有情報や、当該端末局装置B1〜Bnが取得した情報などを付加して通報することも可能である。
また、本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、通報の起動や終了の操作或いは通報に伴う各種選択設定操作や子局選択操作について、手動の操作の代わりに、センター局装置Aにおいて扱者が肉声によって代用して操作を行うことも可能である。
【0055】
なお、本例のセンター局装置Aでは、通報用マイク51の機能により音声の入力手段が構成されており、音声認識装置5の機能により文字情報の生成手段が構成されており、親局設備52(例えば、基地局無線送受信装置1)の機能により音声情報の送信手段が構成されており、文字伝送装置3や親局設備52(例えば、基地局無線送受信装置1)の機能により文字情報の送信手段が構成されている。
また、子局装置の一例である本例の端末局装置B1〜Bnでは、子局設備53(例えば、端末局本体装置21)の機能により音声情報や文字情報の受信手段が構成されており、トランペットスピーカ23の機能により音声出力手段が構成されており、表示装置24の機能により文字の表示出力手段が構成されている。
【実施例2】
【0056】
本発明の第2実施例を説明する。
本例では、拡声通報の音声情報伝送と文字情報伝送の同時通報に際して、扱者が文字メッセージ情報を直接手入力するのではなく、扱者が発声した肉声によるアナログ音声を端末局装置B1〜Bnへ送信した後に、当該アナログ音声を端末局装置B1〜Bnに接続された(或いは、内臓された)音声認識装置27に入力する。音声認識装置27は、入力されたアナログ音声を解析し、当該アナログ音声を文章として構築し、これにより文字メッセージ化された情報を出力する。このような音声認識装置27を導入した構成では、センター局装置Aの扱者は、音声情報伝送と文字情報伝送の同時通報に際して、例えば、毎回、予め、文字情報通報用の文字メッセージ情報を作成しておいて、その後に、拡声通報を実行するとともに、音声通報の実行前或いは実行後に文字メッセージ情報を通報するようなことを行う必要がなくなる。特に、本例では、音声通報情報と文字通報情報との2つの情報をセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ送信する必要がなく、音声通報情報のみを送信するだけでよい。
【0057】
図4を参照して、本例における同報通信の処理の一例を示す。
図4には、本例のデジタル同報無線システムの端末局装置B1〜Bnに音声認識装置27を導入した構成において、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ向かう音声情報と文字情報の処理の流れの一例を示してある。
具体的には、図4には、センター局装置Aに備えられる構成部として、扱者が通報用アナログ音声を入力するための通報用マイク51と、親局設備(基地局無線送受信装置1などの他の構成部を概略化したもの)52を示してある。また、図4には、端末局装置B1〜Bnに備えられる構成部として、通報用アナログ音声を出力するトランペットスピーカ23と、通報用文字メッセージを表示する表示装置24と、音声認識装置27を有した子局設備(基地局本体装置21などの他の構成部を概略化したもの)53aを示してある。
【0058】
本例の同報通信処理では、センター局装置Aの扱者が通報用マイク51に通報用アナログ音声を入力すると、当該通報用アナログ音声が音声情報としてセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ送信されて、端末局装置B1〜Bnにおいてトランペットスピーカ23から音声拡声通報が実行される。
また、端末局装置B1〜Bnでは、当該アナログ音声を受信すると同時に、当該アナログ音声を音声認識装置27へ受け渡す。音声認識装置27は、入力されたアナログ音声を解析し、文章を構築して、当該アナログ音声に対応した文字情報をデータとして生成する。生成された文字情報は、表示装置24に渡されて、前述した音声通報の終了後或いは音声通報中に、表示される。ここで、端末局装置B1〜Bnでは、受信した文字情報をそのまま表示装置24に表示する、或いは受信した文字情報に対して適切な加工を施した後に表示装置24に表示する。
【0059】
図5には、本動作における、センター局装置Aと端末局装置B1〜Bnとの間の送信シーケンスの一例を示してある。
まず、扱者が操作卓2に通報開始を指示すると、操作卓2が基地局無線送受信装置1に通報開始を指示する。すると、基地局無線送受信装置1が、操作卓2に呼番号を通知するとともに、端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH通報開始指示とFACCH番号通知と下りCAC(BCCH、PCH、SCCH)送信を行い、操作卓2に送信完了を通知する。
次に、扱者が通報用マイク51に対して音声を発する。すると、当該音声が、通報用アナログ音声としてセンター局装置Aに入力されて、操作卓2及び基地局無線送受信装置1を介してTCH(音声)により端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へ送信されて、当該端末局装置B1〜Bnのトランペットスピーカ23から拡声音声出力される。
【0060】
また、端末局装置B1〜Bnでは、受信した通報用アナログ音声が音声認識装置27に入力される。音声認識装置27では、入力された通報用アナログ音声からその内容を表す文字メッセージが生成されて、当該文字メッセージが表示装置24に入力される。そして、当該文字メッセージが表示装置24により表示出力される。
また、上記した音声通信について、操作卓2が基地局無線送受信装置1に一括通報終了を通知すると、基地局無線送受信装置1が端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH切断指示を行うとともに操作卓2に送信完了を通知する。
【0061】
このように、本例では、音声通報と文字通報が同時に実行可能となる。具体的には、センター局装置Aの扱者は、音声通報と文字通報を実行する場合に、音声通報の操作処理のみを実行すればよく、扱者の操作を容易化することができる。
本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、センター局装置Aにおいて扱者が肉声による通報操作を行うだけで、音声通報と文字通報との両方を実現することが可能である。
また、本例では、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ音声情報のみを送信すれば、端末局装置B1〜Bnにおいて当該音声情報とそれに対応する文字情報を出力することができる。
【0062】
以上のように、本例のデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnとを無線接続して、或いはセンター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnとを中継局装置を介して無線接続して、センター局装置Aから同報送信した報知情報を端末局装置B1〜Bnが受信して出力するに際して、センター局装置Aの扱者が音声通報の操作を実行することに応じて、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ通報用アナログ音声が送信され、端末局装置B1〜Bnにおいて当該通報用アナログ音声から文字情報が生成されて、音声通報と文字通報との両方の出力が実現される。
本例では、端末局装置B1〜Bnに音声認識装置27を設置し、そして、端末局装置B1〜Bnがセンター局装置Aから送信された音声情報を受信した後に当該音声情報を元に文字情報を生成して、アナログ音声と文字情報とを通報する。この場合、例えば、生成された文字情報に対して各端末局装置B1〜Bn毎に適切な加工を実行して、当該加工後の文字情報を表示するようなことも可能である。
【0063】
従って、本例のデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと子局装置(例えば、端末局装置B1〜Bnや戸別受信機C1〜Cm)とが無線により通信するに際して、センター局装置A及び子局装置において効果的な通報処理を行うことができる。例えば、デジタル同報無線システムのセンター局装置Aにおいて、通報操作に不慣れな扱者であっても、音声通報或いは文字通報を容易に操作することを可能とすることができ、また、音声情報のみの送信として、無線回線を有効に活用することで、高機能な無線通信を実現することができる。
【0064】
また、本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ同報送信した報知情報に、当該端末局装置B1〜Bnが保有する固有情報や、当該端末局装置B1〜Bnが取得した情報などを付加して通報することも可能である。
また、本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、通報の起動や終了の操作或いは通報に伴う各種選択設定操作や子局選択操作について、手動の操作の代わりに、センター局装置Aにおいて扱者が肉声によって代用して操作を行うことも可能である。
【0065】
なお、本例のセンター局装置Aでは、通報用マイク51の機能により音声の入力手段が構成されており、親局設備52(例えば、基地局無線送受信装置1)の機能により音声情報の送信手段が構成されている。
また、子局装置の一例である本例の端末局装置B1〜Bnでは、子局設備53a(例えば、端末局本体装置21)の機能により音声情報や文字情報の受信手段が構成されており、音声認識装置27の機能により文字生成手段が構成されており、トランペットスピーカ23の機能により音声出力手段が構成されており、表示装置24の機能により文字の表示出力手段が構成されている。
【実施例3】
【0066】
本発明の第3実施例を説明する。
本例では、拡声通報の音声情報伝送と文字情報伝送の同時通報に際して、扱者が文字メッセージ情報を直接手入力するのではなく、扱者が発声した肉声によるアナログ音声をセンター局装置Aに接続された(或いは、内臓された)音声認識装置5へ入力する。音声認識装置5は、入力されたアナログ音声を解析し、当該アナログ音声を文章として構築し、これにより文字メッセージ化された情報を出力する。そして、この文字メッセージ化された情報をセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ送信する。端末局装置B1〜Bnでは、受信した文字メッセージを当該端末局装置B1〜Bnの音声合成装置25に入力して、通報用アナログ音声を得る。
【0067】
このような音声認識装置5及び音声合成装置25を導入した構成では、センター局装置Aの扱者は、音声情報伝送と文字情報伝送の同時通報に際して、例えば、毎回、予め、文字情報通報用の文字メッセージ情報を作成しておいて、その後に、拡声通報を実行するとともに、音声通報の実行前或いは実行後に文字メッセージ情報を通報するようなことを行う必要がなくなる。特に、本例では、音声通報情報と文字通報情報との2つの情報を送信する必要がなく、文字通報情報(データ情報)のみを送信すればよい。一般に、文字情報については、音声情報と比較して少ない情報量で伝送することが可能であるため、無線回線の有効利用を実現することができる。
【0068】
図6を参照して、本例における同報通信の処理の一例を示す。
図6には、本例のデジタル同報無線システムのセンター局装置Aに音声認識装置5を導入し、端末局装置B1〜Bnに音声合成装置25を導入した構成において、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ向かう音声情報と文字情報の処理の流れの一例を示している。
具体的には、図6には、センター局装置Aに備えられる構成部として、扱者が通報用アナログ音声を入力するための通報用マイク51と、音声認識装置5と、文字伝送装置3と、親局設備(基地局無線送受信装置1などの他の構成部を概略化したもの)52を示してある。また、図6には、端末局装置B1〜Bnに備えられる構成部として、通報用アナログ音声を出力するトランペットスピーカ23と、通報用文字メッセージを表示する表示装置24と、音声合成装置25を有した子局設備(端末局本体装置21などの他の構成部を概略化したもの)53bを示してある。
【0069】
本例の同報通信処理では、センター局装置Aの扱者が通報用マイク51に通報用アナログ音声を入力すると、当該通報用アナログ音声がセンター局装置Aの音声認識装置5へ受け渡される。音声認識装置5は、入力されたアナログ音声を解析し、文章を構築して、当該アナログ音声に対応した文字情報をデータとして生成する。生成された文字情報は、文字伝送装置3に渡される。文字伝送装置3は、端末局装置B1〜Bnへ向けて文字通報のための処理を実行して、これにより文字情報を送信する。
端末局装置B1〜Bnでは、受信した文字情報をそのまま表示装置24に表示する、或いは受信した文字情報に対して適切な加工を施した後に表示装置24に表示する。このような処理と同時に、端末局装置B1〜Bnでは、当該文字情報を音声合成装置25に入力して、音声合成により得られた通報用アナログ音声を出力する。本例では、無線回線に伝送される情報が文字情報のみになるため、無線回線を有効に利用することができ、且つ扱者の技量に左右されない通報業務を実施することが可能となる。
【0070】
図7には、本動作における、センター局装置Aと端末局装置B1〜Bnとの間の送信シーケンスの一例を示してある。
まず、扱者が操作卓2に通報開始を指示する。また、扱者が通報用マイク51に対して音声を発する。すると、当該音声が、通報用アナログ音声としてセンター局装置Aに入力されて、音声認識装置5に入力される。
音声認識装置5では、入力された通報用アナログ音声からその内容を表す文字メッセージが生成されて、当該文字メッセージが文字伝送装置3に入力される。すると、文字伝送装置3が操作卓2に文字伝送開始を指示し、これに応じて、操作卓2が基地局無線送受信装置1に文字伝送開始を指示し、これに応じて、基地局無線送受信装置1が、操作卓2に呼番号を通知するとともに、端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH通報開始指示とFACCH番号通知と下りCAC(BCCH、PCH、SCCH)送信を行い、操作卓2に送信完了を通知する。
【0071】
この文字メッセージは、操作卓2及び基地局無線送受信装置1を介してTCH(文字)により端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へ送信されて、当該端末局装置B1〜Bnの表示装置24により表示出力される。また、文字メッセージとともに、必要に応じて、文字制御情報がセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ伝送され、当該文字制御情報は表示装置24による表示の制御に使用される。
また、必要に応じて、音声合成制御情報がセンター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ伝送され、端末局装置B1〜Bnでは、音声合成装置25が、センター局装置Aから受信された音声合成制御情報により制御されて、受信された文字メッセージからその内容を表すアナログ音声を生成する。そして、トランペットスピーカ23が生成されたアナログ音声を出力する。
また、文字通信について、操作卓2が基地局無線送受信装置1に一括通報終了を通知すると、基地局無線送受信装置1が端末局装置B1〜Bnの端末局本体装置21へPCH切断指示を行うとともに操作卓2に送信完了を通知する。
【0072】
このように、本例では、音声通報と文字通報が同時に実行可能となる。具体的には、センター局装置Aの扱者は、音声通報と文字通報を実行する場合に、音声通報の操作処理のみを実行すればよく、扱者の操作を容易化することができる。
本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、センター局装置Aにおいて扱者が肉声による通報操作を行うだけで、音声通報と文字通報との両方を実現することが可能である。
また、本例では、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ文字情報のみを送信すれば、端末局装置B1〜Bnにおいて当該文字情報とそれに対応する音声情報を出力することができる。
【0073】
また、図7には、端末局装置B1〜Bnにおけるテレメータ情報の処理に関するシーケンスも示してある。
すなわち、端末局本体装置21がテレメータ収集子局装置26に対してテレメータ情報を要求すると、テレメータ収集子局装置26が収集したテレメータ情報を端末局本体装置21へ送信する。端末局本体装置21は、例えば受信したテレメータ情報(例えば、数値など)を使用した文章になるように、当該テレメータ情報に文字情報を付加して、一連の文字メッセージを生成する。表示装置24が、端末局本体装置21から必要に応じて出力される文字制御情報により制御されて、生成された文字メッセージを表示出力する。
また、音声合成装置25は、端末局本体装置21から出力される文字メッセージを入力するとともに、端末局本体装置21から必要に応じて出力される音声合成制御情報を入力して、例えば当該音声合成制御情報により制御されて、入力した文字メッセージからその内容を表すアナログ音声を生成する。そして、トランペットスピーカ23が、生成されたアナログ音声を拡声音声出力する。
【0074】
以上のように、本例のデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnとを無線接続して、或いはセンター局装置Aと複数の端末局装置B1〜Bnとを中継局装置を介して無線接続して、センター局装置Aから同報送信した報知情報を端末局装置B1〜Bnが受信して出力するに際して、センター局装置Aの扱者が音声通報の操作を実行することに応じて、センター局装置Aにおいて通報用アナログ音声から文字情報が生成されて送信され、端末局装置B1〜Bnにおいて受信した文字情報から通報用アナログ音声が生成されて、音声通報と文字通報との両方の出力が実現される。
本例では、センター局装置Aに音声認識装置5を設置し、扱者の肉声による通報用アナログ音声から文字情報を得て、当該文字情報を通報する。端末局装置B1〜Bnでは、音声合成装置25を設置し、センター局装置Aから送信された文字情報を受信した後に、当該文字情報を元に拡声通報用アナログ音声を得て、当該アナログ音声と当該文字情報を通報する。この場合、文字情報について、各端末局装置B1〜Bn毎に適切な加工を実行することも可能である。また、本例では、文字情報のみを送信するため、無線回線を有効に利用することができる。
【0075】
従って、本例のデジタル同報無線システムでは、センター局装置Aと子局装置(例えば、端末局装置B1〜Bnや戸別受信機C1〜Cm)とが無線により通信するに際して、センター局装置A及び子局装置において効果的な通報処理を行うことができる。例えば、デジタル同報無線システムのセンター局装置Aにおいて、通報操作に不慣れな扱者であっても、音声通報或いは文字通報を容易に操作することを可能とすることができ、また、文字情報のみの送信として、無線回線を有効に活用することで、高機能な無線通信を実現することができる。
【0076】
また、本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、センター局装置Aから端末局装置B1〜Bnへ同報送信した報知情報に、当該端末局装置B1〜Bnが保有する固有情報や、当該端末局装置B1〜Bnが取得した情報などを付加して通報することも可能である。
また、本例のデジタル同報無線システムでは、例えば、通報の起動や終了の操作或いは通報に伴う各種選択設定操作や子局選択操作について、手動の操作の代わりに、センター局装置Aにおいて扱者が肉声によって代用して操作を行うことも可能である。
【0077】
なお、本例のセンター局装置Aでは、通報用マイク51の機能により音声の入力手段が構成されており、音声認識装置5の機能により文字情報の生成手段が構成されており、文字伝送装置3や親局設備52(例えば、基地局無線送受信装置1)の機能により文字情報の送信手段が構成されている。
また、子局装置の一例である本例の端末局装置B1〜Bnでは、子局設備53b(例えば、端末局本体装置21)の機能により音声情報や文字情報の受信手段が構成されており、音声合成装置25の機能により音声生成手段が構成されており、トランペットスピーカ23の機能により音声出力手段が構成されており、表示装置24の機能により文字の表示出力手段が構成されている。
【0078】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例に係るデジタル同報無線システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る情報の処理の流れの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るセンター局装置と端末局装置との間の送信シーケンスの一例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る情報の処理の流れの一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るセンター局装置と端末局装置との間の送信シーケンスの一例を示す図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る情報の処理の流れの一例を示す図である。
【図7】本発明の第3実施例に係るセンター局装置と端末局装置との間の送信シーケンスの一例を示す図である。
【図8】デジタル同報無線システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
A、E・・センター局装置、 B1〜Bn、F1〜Fn・・端末局装置、 C1〜Cm、G1〜Gm・・戸別受信機、 D1〜D3・・通信領域、 a1〜a3・・無線回線、 1・・基地局無線送受信装置、 2・・操作卓、 3・・文字伝送装置、 4・・テレメータ収集親局装置、 5、27・・音声認識装置、 11、31・・制御部、 12、32・・無線部、 13、33・・アンテナ、 21・・端末局本体装置、 22・・接続ボックス、 23・・トランペットスピーカ、 24、41・・表示装置、 25、61・・音声合成装置、 26・・テレメータ収集子局装置、 42・・音声合成機能部、 43・・音声認識機能部、 51・・通報用マイク、 52・・親局設備、 53、53a、53b・・子局設備、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、
前記センター局装置は、音声を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された音声に基づいて文字の情報を生成する生成手段と、
前記入力手段により入力された音声の情報及び前記生成手段により生成された文字の情報を前記子局装置に対して無線により送信する送信手段と、を備え、
前記子局装置は、前記センター局装置から無線により送信された音声の情報及び文字の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された音声の情報に基づいて音声を出力する音声出力手段と、
前記受信手段により受信された文字の情報に基づいて文字を表示出力する表示出力手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
センター局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、
前記センター局装置は、音声を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された音声の情報を前記子局装置に対して無線により送信する送信手段と、を備え、
前記子局装置は、前記センター局装置から無線により送信された音声の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された音声の情報に基づいて文字の情報を生成する文字生成手段と、
前記受信手段により受信された音声の情報に基づいて音声を出力する音声出力手段と、
前記文字生成手段により生成された文字の情報に基づいて文字を表示出力する表示出力手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
センター局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、
前記センター局装置は、音声を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された音声に基づいて文字の情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された文字の情報を前記子局装置に対して無線により送信する送信手段と、を備え、
前記子局装置は、前記センター局装置から無線により送信された文字の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された文字の情報に基づいて音声を生成する音声生成手段と、
前記音声生成手段により生成された音声を出力する音声出力手段と、
前記受信手段により受信された文字の情報に基づいて文字を表示出力する表示出力手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−259100(P2007−259100A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81157(P2006−81157)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】