説明

無線通信システム

【課題】従来の簡易的な中継局によるグループ通信中継は、中継のみを行うだけであり、中継局自身がグループ通信に参加することができなかった。
本発明の目的は、グループ通信中継において、中継局が中継を継続しながら、中継局自身もグループ通信に参加し、プレストークによる送受信を可能とすることである。
【解決手段】本発明の無線通信システムは、基地局と複数の移動局と中継局を有し、中継局は基地局とグループ通信を行うための基地局経由専用機と、基地局が通信圏外となる地域で移動局とグループ通信を行うための直接通信専用機と、基地局経由専用機と直接通信専用機を接続する専用ケーブルを備え、中継局自身がグループ通信を行うために基地局経由専用機と直接通信専用機にそれぞれ中継部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特にグループ通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線通信システムは、山岳地帯などの不感地域の少数の無線機が通信するためにはそのエリアに基地局または中継局を設置する必要があり、装置費用及び設置費用が高額であった。 そこで、移動局を利用した簡易的な中継局を設置していた。しかし、従来の簡易的な中継局によるグループ通信中継は、中継のみを行うだけであり、中継局自身がグループ通信に参加することができなかった。
無線通信システムにおいて、中継局と移動局のグループ通信が例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2008−067141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の簡易的な中継局によるグループ通信中継は、中継のみを行うだけであり、中継局自身がグループ通信に参加することができなかった。
簡易的な中継局は送受信されたデータを専用ケーブルを介してやり取りを行う中継動作のみであり、グループ通信を中継しながら参加することはできないという欠点があった。
基地局と移動局が通信できない不感地域は、山岳地帯での遭難救助や避難所となる学校などの施設があり、このような場所は救助活動や避難所とやり取りをする拠点になる可能性があり、そこで中継局自身がグループ通信に参加する必要がある。
【0004】
本発明の目的は、グループ通信中継において、中継を継続しながら、中継局自身もグループ通信に参加し、プレストークによる送受信を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の無線通信システムは、基地局と複数の移動局と中継局を有し、中継局は基地局とグループ通信を行うための基地局経由専用機と、基地局が通信圏外となる地域で移動局とグループ通信を行うための直接通信専用機と、基地局経由専用機と直接通信専用機を接続する専用ケーブルを備え、中継局自身がグループ通信を行うために基地局経由専用機と直接通信専用機にそれぞれ中継部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の無線通信システムによれば、簡易中継局が基地局と移動局のグループ通信を中継しながら中継局自身もグループ通信に参加できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例を図1と図2を用いて説明する。図2は本発明の一実施例である無線通信システムを説明するための図である。
【0008】
図2において、基地局無線送受信装置12は、基地局無線送受信装置12の通信可能エリアである基地局圏内エリア18内にある移動局13〜14と中継局17と通信を行う。中継局17は、基地局圏内エリア18外である不感地域19内にある移動局15〜16に対して基地局無線送受信装置12との通信を中継する。
【0009】
中継局17を簡易中継局とする場合は、移動局2台を専用ケーブル11で接続し、1台の移動局を基地局経由専用機5とし、もう1台の移動局を直接通信専用機10とし、不感地域19内の移動局15〜16は直接通信を使用して基地局圏内エリア18内の移動局13〜14と中継局17および基地局無線送受信装置12を介して通信を行う。中継方法は、基地局無線送受信装置12を経由する移動局13〜14からの送受信を基地局経由専用機5が、直接通信を使用する移動局15〜16からの送受信を直接通信専用機10が送受信する。
【0010】
次に本発明の一実施例である中継局17が基地局と移動局のグループ通信を中継しながら中継局17自身もグループ通信に参加できる動作の詳細を説明する。
図1は本発明の一実施例である中継局を説明するためのブロック図である。
【0011】
図1において、中継局17は2台の移動局を専用ケーブル11で接続し、それぞれを基地局経由専用機5と直接通信専用機10とする。移動局13が中継局17に登録されているグループにて発信する。基地局経由専用機5が移動局13からのグループ呼出によって着信し、それと同時に基地局経由専用機5の制御部3が専用ケーブル11によるシリアル通信にて基地局経由専用機5の着信したグルーフ番号を直接通信専用機10の制御部8に伝送し、直接通信専用機10がそのグループ番号にて発信する。直接通信専用機10からの発信は移動局16及び移動局15にて着信し、呼が確立する。中継局17は基地局経由専用機5及び直接通信専用機10のどちらからでも送話ができる。基地局経由専用機5のアンテナ20は、送信部1と受信部2に接続している。基地局経由専用機5のアンテナ21は、送信部6と受信部7に接続している。
【0012】
移動局13からの送話は、基地局無線送受信装置12を経由し基地局経由専用機5の受信部2が受信し、制御部3へ出力する。制御部3は移動局13からの送話と判断した場合、中継部4へ出力する。基地局経由専用機5の中継部4が専用ケーブル11のシリアル伝送によって、直接通信専用機10の中継部9へと伝送し、中継部9から制御部8を通じて不感地域19内の移動局16及び移動局15に送信される。
【0013】
中継局17の動作は、基地局経由専用機5が基地局無線送受信装置12からの送信信号を受信部2で受信し、受信した受信信号を受信部2が制御部3に出力し、受信信号を制御部3から専用ケーブル11にてシリアル通信による伝送を行い、直接通信専用機10の制御部8へ伝送する。制御部8は伝送された信号を送信部6に出力し、送信部6は伝送されてきた信号をアンテナ21を介して不感地域19内の移動局15〜16へ直接通信にて送信する。不感地域19内の移動局15〜16から送信された送信信号は、直接通信専用機10のアンテナ21を介して受信部7で受信し、受信した受信信号を受信部7が制御部8に出力し、受信信号を制御部8から専用ケーブル11にてシリアル通信による伝送を行い、基地局経由専用機5の制御部3へ伝送する。制御部3は伝送された信号を送信部1に出力し、送信部1は伝送されてきた信号をアンテナ20を介して基地局無線送受信装置12に送信する。
【0014】
中継局17は装置内部に中継部4と中継部9を設けることで、中継を継続しながらもグループ通信に参加することが可能となる。中継部4は基地局経由専用機5による移動局13及び移動局14からの送受信及び不感地域19内の移動局15及び移動局16の直接通信による送受信を中継する役割を持つ。制御部3では中継動作または中継局自身による送信であるかを判断し、中継動作であれば中継部4へデータを出力し、中継局自身による送信であれば、制御部3が通常のグループ通信の動作を行う。
【0015】
上記で説明したように、本発明の無線通信システムは、簡易中継局が基地局と移動局のグループ通信を中継しながら中継局自身もグループ通信に参加できる。
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例である中継局を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例である無線通信システムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0017】
1:送信部、2:受信部、3:制御部、4:中継部、5:基地局経由専用機、6:送信部、7:受信部、8:制御部、9:中継部、10:直接通信専用機、11:専用ケーブル、12:基地局無線送受信装置、13〜16:移動局、17:中継局、18:基地局圏内エリア、19:不感地域、20,21:アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と複数の移動局と中継局を有する無線通信システムにおいて、
前記中継局は、前記基地局とグループ通信を行うための基地局経由専用機と、前記基地局が通信圏外となる地域で前記移動局とグループ通信を行うための直接通信専用機と、前記基地局経由専用機と前記直接通信専用機を接続する専用ケーブルを備え、
前記中継局自身がグループ通信を行うために前記基地局経由専用機と前記直接通信専用機にそれぞれ中継部を有することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−114741(P2010−114741A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286643(P2008−286643)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】