説明

無線通信システム

【課題】通信中の端末機に対しても一斉の配信を可能とする。
【解決手段】複数の端末機200A〜200Dは、送信と受信とで周波数が異なり前記複数の端末機いずれかが呼出を行い応答の確認がなされたことで通話を開始する複信方式の無線機である。連結中継機100Bは、少なくとも2台の複信方式の無線機であり、一方が前記複数の端末機200A〜200Dのいずれかからの送信信号を受信し、受信した信号を中継して他方より送信される中継動作を行う。応答端末機200Eは前記連結中継機100Bを介した呼出に対して応答信号の送信を行う。制御機100Aは、呼出が行われた場合、応答端末機より応答信号の送信を行わせ、音声入力信号に一斉配信の信号を重畳させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複信方式の無線機を用いた一斉配信が可能な無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の緊急通報や、業務上の指示を一斉配信する場合、半複信方式の端末機を用いると、送信を行っている端末機は配信を受信することができない。
また受信を行っている端末機であっても、交信相手の信号が配信の信号より強い場合は配信を受信できない。
一斉通報に対応した無線通信システムを構築する場合、端末機は複信方式の無線機であることが必須である。
端末機に緊急通報を行うシステムとして下記の特許文献1に記載されたものがある。基地局がその基地局に位置登録された端末局に対し緊急通報を行い、端末局の使用状況に合わせて様々な方法で端末局の使用者に緊急通報を知らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−158599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、端末機が通話中には、割り込み音または表示により通知を行うことから、割り込み音だけでは何の通報なのかは判らない。
また特許文献1の発明は、公共の携帯電話を前提にしたシステムであり、地震等の災害の際公共通信網の切断やトラフィックの集中等で一時的に使えなくなることがある。よって、駅構内、大型店舗、学校等といった小規模単位で無線通信システムを構築する場合には、公共の通信網を利用すると信頼性が得られない場合がある。
また、常に情報を共用するためには、端末機から発信した信号も他の端末機全てが受信を行う必要があり、これを行うためには1対多という通信方式の必要性があるが特許文献1の発明では対応できない。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、比較的安価で複信方式が可能な小電力端末機を使用して、通信中の端末機に対しても配信を可能とする無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、
送信と受信とで周波数が異なり、一方が他方の呼出を行う呼出信号を送出し他方が応答を行う応答信号の送出することにより、一方が他方の応答の確認がなされたことによって通話を開始する複信方式による無線機を用いた複数の端末機と、
一方が前記複数の端末機からの送信信号を受信して前記送信信号の有無に対応した論理値信号を出力し、他方が前記論理値信号が送信信号有りの論理値の場合に送信状態となり前記送信信号が音声入力信号として入力され送信される中継動作を行う少なくとも2つの前記複信方式による無線機を用いた連結中継機と、
前記複数の端末機のいずれかからの呼出により前記連結中継機を介した通話を開始するため応答信号の送信を行う前記複信方式による無線機を用いた応答端末機と、
前記複数の端末機のいずれかからの呼出が行われた場合、前記応答端末機より応答信号の送信を行わせ、前記音声入力信号に、前記複数の端末機への一斉配信の信号を重畳させる制御を行う制御部と、
を備える無線通信システムを提供するものである。
【0006】
また、上記の無線通信システムにおいて、前記制御部は、前記送信信号が無い状態の場合、前記連結中継機に前記中継動作を開始させるための呼出を行う前記複信方式による無線機を用いた発信端末機を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の無線通信システムによれば、基地局側及び端末機側からの一斉配信が可能であり、送信中の端末機に対しても一斉配信が可能であり、基地局側も端末機と同じ無線機を使用することで安価に一斉配信が可能な無線通信システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの外観図である。
【図2】無線機の構成の一実施例である。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線中継システムの構成を示すブロック図である。
【図4】端末機より一斉配信を行うシーケンスの一実施例の図である。
【図5】基地局より一斉配信を行うシーケンスの一実施例の図である。
【図6】端末機が一斉配信中に、基地局からの一斉配信を重畳するシーケンスの一実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの外観図である。
本実施形態は駅構内の無線通信システムであり、駅の無線室10には基地局100と連結中継機100Bと非常用信号発生装置300が設置されており、プラットホーム11およびプラットホーム12には、図示しない複数の駅職員が端末機200A〜200Dを所持している。
基地局100は、制御機100Aと、応答端末機200Eと、発信端末機200Fと、を備える。
連結中継機100Bは、端末機200A〜200Dおよび発信端末機200Fと交信可能な中継端末機200Gと、応答端末機200Eと交信可能な中継端末機200Hと、を備える。
応答端末機200Eと、発信端末機200Fと、中継端末機200Gと、中継端末機200Hとは、プラットホームで使用する駅職員が使用する端末機200A〜200Dと同等もしくは同じ物を使用する。
非常用信号発生装置300は、図示しない緊急地震速報や気象情報配信サービス等の情報を受信し、その情報を制御機100Aに出力する。
【0011】
図2に、基地局100、連結中継機100B、プラットホーム11および12で共通に使用される端末機200A〜200H(代表例を無線機200とする)の構成例を示す。
無線機200は、送信受信を同時に行うことができる複信機能を有している。
【0012】
図2を用いて、無線機200の受信動作を説明する。
送受共通アンテナ201は、送信された電波を受信し、受信信号に変換する。変換された受信信号は、アンテナ共用器202のアンテナ端子Aに入力される。
アンテナ共用器202は、アンテナ端子A、送信端子T、受信端子Rを有し、受信信号をアンテナ端子Aから受信端子Rにのみ伝達し、後述する送信信号を送信端子Tからアンテナ端子Aにのみ伝達する。
アンテナ共用器202は、受信信号を受信部203に出力する。
【0013】
受信部203は、妨害信号の除去を行い、受信信号を増幅し、受信信号の復調を行って受信音声信号に変換する。受信音声信号は、受信信号出力端子209に出力される。
受信音声出力端子209は、内部に切替機構を有するジャックであり、プラグを挿入することで、無線機200内部の受信音声信号を外部に出力することができる。
プラグが挿入されていない場合、受信音声信号は、受信音声出力端子の切替機構により無線機200内部のスピーカ204に出力され、スピーカ204により受信音声が再生される。
制御部208は、受信部203に対し、受信動作に必要なデータの設定と図示しない電源から電力の供給を行う。
【0014】
PTT(Push to Talkの略)207は使用者が無線機200を送信状態とさせるためのスイッチであり、一般的には押す(オンにする)ことにより送信させ、離す(オフにする)ことにより受信とさせる。
また、以降に、「PTTを操作する」もしくは「PTTを制御する」という記述を使うが、これは受信状態の無線機200を送信状態にする、もしくは送信状態の無線機200を受信状態にするための操作であり、必ずしも無線機200が有するPTT207を操作することだけでなく、後述する外部入力端子より制御される場合も含む。
複信方式は、送信と受信とで周波数が異なり、一方が呼出を行う呼出信号をPTTの操作により送出し、他方が呼出信号を受信し応答を行う応答信号をPTTの操作により送出することで、一方が他方の応答の確認がなされ、通話が開始される。
また通信を終了する場合は、いずれかのPTTが操作されることにより通話は切断され通信は終了する。
【0015】
制御部208は、PTT207が操作されることにより、送信部206に送信動作に必要な、図示しない電源から電力の供給やデータの設定を行う。
マイク205もしくは送信音声入力端子210より入力された送信音声信号は、送信部206に出力される。
送信部206は、送信音声信号を変調して変調信号とし、変調信号を増幅し、不要輻射成分を除去して送信信号とし、アンテナ共用器202の送信端子Tに出力される。
送信端子Tに入力された送信信号は、アンテナ共用器202のアンテナ端子Aより送受共通アンテナ201に出力され、送受共通アンテナ201より電波として送信される。
送信音声入力端子210は、内部に切替機構を有するジャックであり、プラグを挿入することで、送信端子210からプラグにより入力した信号を送信部206に送る。
プラグが挿入されていない場合は、送信音声出力端子210の切替機構により無線機200内部のマイク205に入力された音声信号が送信部206に入力される。
【0016】
受信音声出力端子209および送信音声入力端子210は、前記した音声入出力とは別の汎用端子を有し、制御部208より特定の状態の時に、予め定められた出力もしくは入力を行う設定をすることができる。
たとえば、受信信号の有無を論理値で出力を行うキャリア検出や、外部機器からの信号によって端末機200を送信状態にするためにPTT207の機能を汎用端子に設定することができる。
【0017】
端末機200は、パソコン等の機器を使って外部からの制御により、送信周波数や受信周波数の設定、送信禁止、複信方式と半複信方式の切替、外部出力端子の機能の割付等様々な設定を行うことができる。
【0018】
図3に一実施例の無線通信システムのブロック図を示す。
本実施例は、基地局100と、連結中継機100Bと、複数の端末機200A〜200Dと非常用信号発生装置300と、を備える。
基地局100は、制御機100Aと応答端末機200Eと発信端末機200Fとを有する。
制御機100Aは、制御部101とミクサ102と切替器103と音声メモリ104を有する。
連結中継機100Bは、中継端末機200Gと中継端末機200Hとを有する。
【0019】
端末機200A〜200Dは、送信周波数をf1、受信周波数をf2として、送信と受信とで異なる周波数に設定される。
基地局100の、応答端末機200Eは、送信周波数をf3、受信周波数をf4とされ、発信端末機200Fは、送信周波数をf1、受信周波数をf2に設定される。
【0020】
連結中継機100Bの中継端末機200Gは、端末機200A〜200Dおよび発信端末機200Fの送信周波数f1を受信し、受信周波数f2を送信するように設定される。
中継端末機200Hは、応答用端末機200Eの送信周波数f3を受信し、受信周波数f4を送信するように設定される。
【0021】
中継端末機200G,200Hのそれぞれの受信音声出力端子209と送信音声入力端子210は、制御機100Aに接続される。
中継端末機200G,200Hのそれぞれの汎用端子は、キャリア検出信号を出力およびPTT制御を入力される設定となり、制御機100Aに接続さ、汎用制御部101にて処理される。
【0022】
中継端末機200Gの受信音声出力端子209から出力される音声出力信号は、制御機100A内のミクサ102に入力され、ミクサ102の出力信号は中継端末機200Gの送信音声入力端子210に出力される。以降中継端末機200Gの音声出力信号がミクサ102を介して中継端末機200Gの送信入力信号となる経路の信号を中継信号と称する。
ミクサ102は、後に記載する外部入力信号を中継信号に重畳して出力するが、外部入力信号等が無い場合は中継端末機200Gの音声出力信号のみが出力される。
【0023】
制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出信号により中継端末機200Gが動作中か非動作中かを判断する。制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出信号が有る場合のみ、中継端末機200HのPTTを制御する。
制御部101は、中継端末機200Hのキャリア検出信号により中継端末機200Hが動作中か非動作中かを判断する。制御部101は、中継端末機200Hのキャリア検出信号が有る場合のみ、中継端末機200GのPTTを制御する。
中継端末機200Gおよび200Hのキャリア検出信号の論理とPTT制御の論理が一致していれば、相互に接続してもよい。
【0024】
切替器103は、複数の入力信号から1つを選択し、ミクサ103に対して中継信号に重畳される信号を出力する。切替器103は、制御部101の制御により入力信号を選択される。
切替器103の入力には、非常用信号発生装置300から出力される信号が供給される。非常用信号発生装置300は、図示しない緊急地震速報システムや気象情報配信サービス等より必要な情報を入手し、適した音声信号を発生させる。また図示しないマイクによる音声信号を切替器103に出力してもよい。さらに非常用信号発生装置300は、制御部101に中継動作を開始させる信号を出力する。
【0025】
応答端末機200Eは、連結中継機100Bの中継端末機200Gの呼出に対して応答を行う。応答端末機200EのPTTは制御部101に接続され、制御部101より制御される。
発信端末機200Fは、連結中継機100Bからのキャリア検出信号が無い場合、基地局100から一斉配信を行う場合の呼出のための送信を行う。発信端末機200FのPTTは、制御部101に接続され、制御部101より制御される。
【0026】
各状況に応じた一斉配信のシーケンスを説明する。
図4に、駅員の端末機200Aから駅員の端末機200B〜200Dに対し一斉配信を行うシーケンスを示す。
以後、図4〜6では実線は無線による伝送を示し、破線は有線による伝送を示す。
端末機200Aは、PTTを操作されることにより連結中継機100Bに対して呼出信号を送出する(ステップS401)。
連結中継機100Bは、端末機200Aからの呼出信号を中継端末機200Gで受信し、受信信号を検出したことによりキャリア検出出力を制御機100Aに出力する(ステップS402)。制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Gキャリア検出出力が入力されたことにより中継端末機200HのPTTを制御する信号を出力する(ステップS403)。
【0027】
中継端末機200Hは送信状態となり、応答端末機200Eに対して呼出信号を送出する(ステップS404)。
制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出信号を受け、応答端末機200EのPTTを制御する(ステップS405)。
応答端末機200Eは、送信状態となるが、ステップ404にて呼出信号を受信しているため、応答信号を連結中継機100Bに送信する(ステップS406)。
連結中継機100Bは、応答端末機200Eからの応答信号を中継端末機200Hで受信し、受信信号を検出したことによりキャリア検出出力を制御機100Aに出力する(ステップS407)。制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Hキャリア検出出力が入力されたことにより中継端末機200GのPTTを制御する信号を出力する(ステップS408)。
中継端末機200Gは送信状態となり、端末機200Aに対して応答信号を送出する(ステップS409)。
【0028】
端末機200Aおよび中継端末機200Hは、呼出および応答を受信したことにより複信方式による通信が開始され、応答端末機200Eおよび中継端末機200Gは呼出に対して応答を行ったことにより複信方式による通信が開始される(ステップS411)。
【0029】
端末機200Aからの上り音声信号は、連結中継機100Bの中継端末機200Gで受信される(ステップ412)。中継端末機100Aの受信音声出力は制御機100Aの図4では図示しないミクサ102を介して中継端末機200Gに下り音声信号として入力される(ステップS413)。
連結中継機100Bの中継端末機200Gは下り音声信号を送信し、端末機200A〜200Dは下り音声信号を受信する(ステップS414)。
端末機200Aは、複信方式のため自らの上り音声を、連結中継機100Bを介して下り音声により受信することができる。
このため、端末機200A〜200Dの全ての使用者は、下り音声が再度送信されるハウリング現象を防止するため、受信はイヤホン等を使用し、受信音がマイクに入力されないようにすることが望ましい。
【0030】
端末機200Aの使用者が通話を終了(切断)する場合、端末機200AのPTTを操作し受信状態とする(ステップS415)。
連結中継機100Bの中継端末機200Gは、端末機200Aからの送信信号が無くなったことにより、通話終了となり送信を停止する(ステップS416)。
【0031】
連結中継機100Bの中継端末機200Gは、受信信号が無くなったため、キャリア検出出力も停止する(ステップS417)。制御機100Bの制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出が停止したことにより、連結中継機100Bの中継端末機200HのPTTを制御し、通話を終了させる(ステップS418)。
連結中継機100Bの中継端末機200Hの送信信号が無くなったことにより、応答端末機200Eは通話終了となり送信を停止する(ステップS419)。
【0032】
図5に、基地局100より緊急地震速報の一斉配信を行う場合のシーケンスを示す。
非常信号発生装置300は、緊急地震速報を受け、その情報配信する音声信号を制御機100Aの図5では図示しない切替器103に出力する(ステップS501)。制御機100Aの図示しない制御部101に、緊急地震速報であることを示す情報を出力する。
緊急地震情報であることを示す情報を受信した制御部101は、連結中継機100Bが動作中か非動作中かを確認するためキャリア検出信号の確認を行う(ステップS502)。
制御部101は、キャリア検出信号が無い場合は、連結中継機100Bは非動作状態であると判断する。
制御部101は、非動作中の連結中継機100Bを中継動作にするため、発信端末機200FのPTTを制御する(ステップS503)。
発信端末機200Fは、制御部101からのPTT制御信号により送信状態とされ連結中継機100Bの中継端末機200Gに対し呼出を行う(ステップS504)。
【0033】
発信端末機200Fからの呼出信号を受信した連結中継機100Bの中継端末機200Gは、制御機100Aの制御部101にキャリア検出信号を出力する(ステップS505)。
制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Gキャリア検出出力が入力されたことにより中継端末機200HのPTTを制御する信号を出力する(ステップS506)。
【0034】
中継端末機200Hは送信状態となり、応答端末機200Eに対して呼出信号を送出する(ステップS507)。
制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出信号を受け、応答端末機200EのPTTを制御する(ステップS508)。
応答端末機200Eは送信状態となるが、ステップ507にて呼出信号を受信しているため、応答信号を連結中継機100Bに送信する(ステップS509)。
【0035】
連結中継機100Bは、応答端末機200Eからの応答信号を中継端末機200Hで受信し、受信信号を検出したことによりキャリア検出出力を制御機100Aに出力する(ステップS510)。制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Hキャリア検出出力が入力されたことにより中継端末機200GのPTTを制御する信号を出力する(ステップS511)。
中継端末機200Gは送信状態となり、端末機200Aにたいして応答信号を送出する(ステップS512)。
【0036】
発信端末機200Fおよび中継端末機200Hは、呼出および応答を受信したことにより複信方式による通信が開始され、応答端末機200Eおよび中継端末機200Gは呼出に対して応答を行ったことにより複信方式による通信が開始される(ステップS513)。
【0037】
制御部101は、図5では図示しない切替器103を制御し、入力された緊急地震速報の情報配信する音声信号(以降、情報音声と記述する)を選択させる。
情報音声は、切替器103より出力され図5では図示しないミクサ102に入力される。情報音声は、ミクサにより中継信号に重畳され、連結中継機100Bの中継端末機200Gより送信される。各端末機200A〜200Dは、情報音声を受信する(ステップS514)。
【0038】
情報音声の信号が終了すると、緊急信号発生器300は終了したことを制御機100Aの制御部101に終了指示の信号を出力する(ステップS515)。
制御機100Aの制御部101は、発信端末機200FのPTTを操作し送信を終了する(ステップS516)。
連結中継機100Bの中継端末機200Gは、発信端末機200Fからの送信信号が無くなったことにより、通話終了となり送信を停止する(ステップS517)。
連結中継機100Bの中継端末機200Gは、受信信号が無くなったため、キャリア検出出力も停止する(ステップS518)。制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出が停止したことにより、連結中継機100Bの中継端末機200HのPTTを制御し、通話を終了させる(ステップS519)。
連結中継機100Bの中継端末機200Hの送信信号が無くなったことにより、応答端末機200Eは通話終了となり送信を停止する(ステップS520)。
【0039】
図6に、現在行われている通信に、基地局100から一斉配信を重畳する場合のシーケンスを示す。
端末機200Aが、上り音声を送信し、連結中継機100Bを介して端末機200B〜200Dが受信している(ステップS601)。
非常信号発生装置300は、緊急地震速報を受け、その情報配信する音声信号を制御機100Aの図6では図示しない切替器103に出力し、制御機100Aの制御部101に、緊急地震速報であることを示す情報を出力する(ステップS602)。
緊急地震情報であることを示す情報を受信した制御部101は、連結中継機100Bが動作中か非動作中かを確認するためキャリア検出信号の確認を行う(ステップS603)。
制御部101は、キャリア検出信号がある場合は、連結中継機100Bは動作状態であると判断する。
【0040】
制御部101は、切替器103を制御し、入力された情報音声を選択させる。
情報音声は、切替器103より出力され図6では図示しないミクサ102に入力される。情報音声は、ミクサにより現在通信中の中継信号に重畳され(ステップS604)、連結中継機100Bの中継端末機200Gより送信される。
各端末機200A〜200Dは、情報音声と端末機200Aからの下り音声が重畳された信号を受信する(ステップS605)。
【0041】
情報音声の信号が終了すると、緊急信号発生器300は終了したことを制御機100Aの制御部101に終了指示の信号を出力する(ステップS606)。
制御機100Aの制御部101は、発信端末機200FのPTTを操作し(ステップS607)、切断指示信号を中継機200Gに送信する(ステップS608)。
連結中継機100Bの中継端末機200Gおよび端末機200Aは、発信端末機200Fからの切断指示をうけ、通話終了となり送信を停止する(ステップS609)。
連結中継機100Bの中継端末機200Gは、受信信号が無くなったため、キャリア検出出力も停止する(ステップS610)。制御機100Aの制御部101は、中継端末機200Gのキャリア検出が停止したことにより、連結中継機100Bの中継端末機200HのPTTを制御し、通話を終了させる(ステップS611)。
連結中継機100Bの中継端末機200Hの送信信号が無くなったことにより、応答端末機200Eは通話終了となり送信を停止する(ステップS612)。
【符号の説明】
【0042】
10…無線室、 11…プラットホームA、 12…プラットホームB
100…基地局、100A…制御機、 100B…連結中継機
101…制御部、 102…ミクサ、 103…切替器
200…無線機、 200A〜200D…端末機
200E…応答端末機、 200F…発信端末機
200G…中継端末機、 200H…中継端末機
201…送受共用アンテナ、 202…アンテナ共用器、
203…受信部、 204…スピーカ、 205…マイク
206…送信部、 207…PTT、 208…制御部
209…受信音声出力端子、 210…送信音声入力端子
300…非常用信号発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信と受信とで周波数が異なり、一方が他方の呼出を行う呼出信号を送出し他方が応答を行う応答信号の送出することにより、一方が他方の応答の確認がなされたことによって通話を開始する複信方式による無線機を用いた複数の端末機と、
一方が前記複数の端末機からの送信信号を受信して前記送信信号の有無に対応した論理値信号を出力し、他方が前記論理値信号が送信信号有りの論理値の場合に送信状態となり前記送信信号が音声入力信号として入力され送信される中継動作を行う少なくとも2つの前記複信方式による無線機を用いた連結中継機と、
前記複数の端末機のいずれかからの呼出により前記連結中継機を介した通話を開始するため応答信号の送信を行う前記複信方式による無線機を用いた応答端末機と、
前記複数の端末機のいずれかからの呼出が行われた場合、前記応答端末機より応答信号の送信を行わせ、前記音声入力信号に、前記複数の端末機への一斉配信の信号を重畳させる制御を行う制御部と、
を備える無線通信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信信号が無い状態の場合、前記連結中継機に前記中継動作を開始させるための呼出を行う前記複信方式による無線機を用いた発信端末機を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160312(P2011−160312A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21856(P2010−21856)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】