無線通信媒体
【課題】この発明は、リーダライタのアプリケーションに適合していない媒体が間違って重ねて使用された場合であってもレスポンスの混信を防止でき、且つアプリケーションに適合した正規の媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる無線通信媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】無線通信システム10は、ICカード1とリーダライタ20を含む。2枚のカードA、Bが重ねて使用された場合、アプリケーションに適合しているカードAは、リーダライタ20からのコマンドに応答し、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20からのコマンドにレスポンスを返さない。
【解決手段】無線通信システム10は、ICカード1とリーダライタ20を含む。2枚のカードA、Bが重ねて使用された場合、アプリケーションに適合しているカードAは、リーダライタ20からのコマンドに応答し、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20からのコマンドにレスポンスを返さない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、非接触によりリーダライタとの間で無線通信をするICカードなどの無線通信媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重ねて使用することを想定した無線通信媒体として、長方形に4巻きに巻かれたループアンテナを有し、このループアンテナの内角θを全て90°−αとしたICカードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このICカードのループアンテナは、全ての直線部が非平行となっており、ICカードを重ねて使用する場合、電磁結合を小さくできる。
【0003】
しかし、このICカードは、重ねて使用する複数枚のカードそれぞれがリーダライタと無線通信してデータ処理することを前提としているため、当該リーダライタに固有のアプリケーションに適合しない異なる種類のカードがアプリケーションに適合した正規のカードに間違って重ねて使用された場合、各カードがリーダライタからのポーリングに応答してしまうと、レスポンスが混信してしまう可能性がある。
【特許文献1】特開2001−7629号公報(要約、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、リーダライタのアプリケーションに適合していない媒体が間違って重ねて使用された場合であってもレスポンスの混信を防止でき、且つアプリケーションに適合した正規の媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる無線通信媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の無線通信媒体は、リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の無線通信媒体は、リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、媒体本体と、この媒体本体に設けられ、上記リーダライタとの間でデータを送受信するためのアンテナを有し、このアンテナを介して上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、上記媒体本体に設けられ、受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記発明によると、リーダライタのアプリケーションに適合していない無線通信媒体がリーダライタに翳された場合、当該無線通信媒体からリーダライタにレスポンスが返されることがないため、アプリケーションに適合していない間違った無線通信媒体をアプリケーションに適合した正規の無線通信媒体に重ねて使用した場合であっても、間違った媒体からのレスポンスが正規の媒体からのレスポンスに混信することがない。
【0008】
また、当該リーダライタのアプリケーションに適合していない無線通信媒体に対し、受信回路の共振周波数を変更し、受信回路の受信感度を低下させ、或いは受信回路を一時的に切断することで、アプリケーションに適合した正規の無線通信媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる。
【0009】
なお、本発明の無線通信媒体は、上述した従来のICカードのようにアンテナ形状を変更する必要がないため、設計変更を必要としない。
【発明の効果】
【0010】
この発明の無線通信媒体は、上記のような構成および作用を有しているので、リーダライタのアプリケーションに適合していない媒体が間違って重ねて使用された場合であってもレスポンスの混信を防止でき、且つアプリケーションに適合した正規の媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る非接触式ICカード1(無線通信媒体)(以下、単に、ICカード1と称する)のアンテナシート2の平面図を示してあり、図2には、ICカード1の断面図を示してある。また、図3には、ICカード1の回路構成をブロック図にして示してある。
【0012】
このICカード1は、図2に示すように、同一形状の略矩形の樹脂により形成された表面シート3、図1に示すアンテナシート2を接着したコアシート4、および裏面シート5を積層したカード本体6(媒体本体)を有する。各シート3、4、5は、熱溶着や接着剤によって互いに接着されている。また、カード本体6の4つの角部は面取りされている。
【0013】
アンテナシート2は、図1に示すように、コイルアンテナ7、およびこのコイルアンテナ7に接続したLSI8を有する。すなわち、コイルアンテナ7がアンテナシート2の表面2aにパターニングされ、LSI8がフリップチップによりアンテナシート2に実装されている。このアンテナシート2は、コアシート4に対して図示しないホットメルトシートを用いて接着されている。
【0014】
すなわち、図1に示すアンテナシート2を接着したコアシート4の表裏面それぞれに表面シート3および裏面シートを接着し、図2に示すICカード1が構成されている。
【0015】
図3に示すように、ICカード1のLSI8は、コイルアンテナ7に接続した送受信回路11、および送受信回路11に接続した制御回路12を有する。コイルアンテナ7および送受信回路11は、本発明の受信回路15として機能する。
【0016】
このICカード1は、図4に示すリーダライタ20のループアンテナ21に翳すことにより動作する。つまり、ICカード1は、リーダライタ20のループアンテナ21から送信される搬送波をコイルアンテナ7で受けて電磁誘導によりLSI8を動作させるための電力を生出し、送受信回路11で搬送波に乗ったリーダライタ20からのコマンドを受信する。そして、制御回路12は、送受信回路11で受信したコマンドに従ってデータを処理し、その処理結果のレスポンスをコイルアンテナ7を介してリーダライタ20へ返信する。
【0017】
図4には、上述したICカード1を含む無線通信システム10(以下、単に、システム10と称する)の要部の構造を模式的に示してある。システム10は、上述した構造のICカード1とリーダライタ20を含む。
【0018】
リーダライタ20は、ICカード1との間で無線通信するためのループアンテナ21、ICカード1に対するコマンドを出力するとともにICカード1からのレスポンスを処理するデータ処理回路22、およびデータ処理回路22から出力されるコマンドデータをアナログ信号に変調するとともにループアンテナ21を介して受信したICカード1からのレスポンスを復調する変復調回路23を有する。
【0019】
しかして、リーダライタ20は、ループアンテナ21を介して無変調の搬送波を送信し、この搬送波に乗せて各種コマンドを送信する。リーダライタ20のループアンテナ21にICカードが翳されると、上述したように、電磁誘導によってICカード1のLSI8に電力が与えられ、コマンドに対するレスポンスがリーダライタ20に返信される。リーダライタ20は、ループアンテナ21を介してこのレスポンスを受信し、信号をデジタルデータに復調して演算処理する。
【0020】
近年、利便性と情報の安全性から、上述したような非接触式のICカードの普及が進んでおり、交通系の定期券、プリペイド乗車券、クレジットカード、ポイントカード、社員証カード等様々な用途に利用されている。また、この種のICカードを利用したシステムは、互換性向上を目的としてISO等で標準化された通信方式を採用している場合が多く、ユーザが同じ通信方式のICカードを複数枚所持している場合がある。
【0021】
複数枚のICカードを所持する場合、通常、パスケースや財布に入れて重ねて収納するため、同じ通信方式の複数枚のICカードが重なった状態で使用される可能性が大きい。このように、同じ通信方式のICカードを重ねてリーダライタに翳すと、リーダライタからのポーリングコマンドに各ICカードが応答して各カードからリーダライタにレスポンスが返されて混信してしまう可能性がある。
【0022】
このため、本実施の形態では、上述したように複数枚のICカードが重ねた状態で使用された場合、システム10のアプリケーション(すなわち、リーダライタ20のアプリケーション)に適合していないICカードがレスポンスを返さないようにすることで、アプリケーションに適合した正規のICカードによる通信だけを確立するようにした。以下、アプリケーションに適合した正規のICカード(以下、カードAと称する)とアプリケーションに適合していない種類の異なるICカード(以下、カードBと称する)を重ねた状態でリーダライタ20のループアンテナ21に翳した場合を例にとって本実施の形態の処理動作について詳細に説明する。
【0023】
つまり、本実施の形態では、リーダライタ20のループアンテナ21を介して搬送波を送出する際に、搬送波に乗せるファーストコマンドにシステム10のアプリケーションに固有の識別情報を入れて送信するようにした。このとき、ループアンテナ21の通信可能領域にある2枚のカードA、Bは、それぞれ、ファーストコマンドに含まれる識別情報に基づいて自身が当該システム10のアプリケーションに適合しているカードであるか否かを判断する。そして、アプリケーションに適合していることを判断したカードAは、通常通りコマンドに対するレスポンスを返し、アプリケーションに適合していないことを判断したカードBは、リーダライタ20からのコマンドに対するレスポンスを返さないようにした。
【0024】
具体的には、カードBの制御回路12は、ファーストコマンドに含まれる識別情報を予め記憶した自身の識別情報と照合し、カードBが当該システムに適合しているか否かを判断する。そして、カードBが当該アプリケーションに適合していないことを判断したことをもってレスポンスの返信をやめる。
【0025】
以上のように、本実施の形態によると、リーダライタ20のアプリケーションに適合していないICカード(カードB)がループアンテナ21に翳された場合に当該リーダライタ20にレスポンスを返さないようにしたため、アプリケーションに適合しない種類の異なるICカードがアプリケーションに適合する正規のICカード(カードA)に重ねて使用された場合であっても、適合しないカードBからのレスポンスが正規のカードAのレスポンスに混信してしまうことが無く、正規のカードAの通信を確立できる。
【0026】
ところで、カードBは、リーダライタ20からの搬送波を受けて生出した電力を用いて制御回路12を動作させて当該リーダライタ20のアプリケーションに適合しているか否かを判断するため、レスポンスを返さないとしてもカードAと同様に動作する。このため、2枚のカードA、Bが重なった状態で使用された場合、上述した処理を実施したとしても、カードAだけをリーダライタ20に翳した場合と比較すると通信状態が悪くなる。
【0027】
つまり、カードA、Bが重なるとコイルアンテナ7同士の結合が密となり、各カードA、Bの共振周波数が通信周波数からずれて受信レベルが低下する。また、一定の強度レベルの搬送波を2枚のカードA、Bで取り合うため、LSIを動作させるための十分な電力を得られなくなる。
【0028】
このため、本実施の形態の第1の変形例として、カードBにおいて、上述したレスポンスを返さない処理に加え、受信回路15の共振周波数を変更するようにした。具体的には、カードBにおいて、アプリケーションに適合していないことを判断したとき、後述する変更回路を動作させてコイルアンテナ7のインダクタンスLを小さく(Lsに)して共振周波数を高くするようにした。これにより、カードBのカードAに対するアンテナの結合度を疎にすることができ、カードAの共振周波数のずれを小さく抑えることができ、カードAにおける受信レベルの低下を抑制できる。
【0029】
図5に示すように、ICカード1は、コイルアンテナ7の他に、コイルアンテナ7と協同して受信回路15の共振周波数を決定する共振用コンデンサ9を有する。共振用コンデンサ9の下流側には、ここでは図示しない変復調回路、制御処理部、電源生成・供給部などが接続されている。
【0030】
これら変復調回路、制御処理部、および電源生成・供給部の負荷をインピーダンス成分Zで表し、コイルアンテナ7のインダクタンスをLとし、共振用コンデンサ9の容量をCとすると、コイルアンテナ7の通信効率が最も高くなる受信回路15の共振周波数fは、
f=1/(2πLC)
となる。
また、コイルアンテナ7の周波数に対する受信レベルの傾向(品質)を表す受信回路15の品質係数Qは、
Q=Z/(ωL)
となる。
【0031】
このため、例えば、図6に示すように、変更回路として、コイルアンテナ7の巻き線の途中から巻き線の端を短絡するスイッチ13を設けて、コイルアンテナ7のインダクタンスをLより小さいLsに変更すると、受信回路15の共振周波数fsは、
fs=1/(2πLsC)
となり、fより高くできる。
【0032】
スイッチ13は、例えば、図7に示す回路とすることができる。このスイッチ13は、2つのトランジスタTa、Tbを有し、各トランジスタのゲートGに与える電圧を制御することで図中矢印Ia、およびIb方向の電流を流すことができ、選択的に2点S、D間を短絡(スイッチオン)できる。
【0033】
このように、カードBの共振周波数をカードAより高い値に変更することにより、両者のアンテナの結合度を疎にすることができ、カードAの共振周波数のずれを小さく抑えることができ、カードAにおける受信レベルの低下を抑制でき、カードAとリーダライタ20との間の通信を確立できる。
【0034】
ここで、図8の表を参照して、カードBにおける共振周波数の変更動作についてより詳細に説明する。
上述した2枚のカードA、Bは、同じ通信方式を採用しているため、単独で用いた場合には、図8の表のA−1、B−1に図示するように、略同じアンテナ特性を示す。すなわち、各カードA、Bは、単独で、リーダライタ20との間で良好な通信状態を確立することのできる共振周波数f0を有する。
【0035】
これら2枚のカードA、Bを重ねると、A−2、B−2に図示するように、アンテナ同士が結合し、各カードA、Bの共振周波数がそれぞれ低い側にシフトする。しかし、2枚のカードA、Bを重ねて使用する場合を想定して、共振周波数がシフトした状態でも、少なくともリーダライタ20からのコマンドに応答できるように、リーダライタ20の共振周波数f0に対する各カードA、Bの信号受信レベルが、リーダライタ20からのファーストコマンドに応答可能な程度である必要がある。
【0036】
このように重ねた2枚のカードA、Bをリーダライタ20のループアンテナ21に翳し、各カードA、Bがリーダライタ20からファーストコマンドを受信すると、上述したように、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20にレスポンスを返さない処理に加え、共振周波数f0をfsに変更する処理を実行する。これにより、カードAとカードBの結合度が疎になり、A−3に図示するように、カードAの共振周波数がf0に近づき、カードAの受信レベルが、リーダライタ20からの全てのコマンドを処理可能なレベルになる。
【0037】
一方、カードBは、このとき、B−3に図示するように、共振周波数が高い側へシフトしてリーダライタ20の共振周波数f0に対して受信レベルが低くなる。しかし、カードBは、カードAの通信を維持する間、少なくとも変更した共振周波数fsを維持する必要があるため、図7で説明した変更回路のスイッチ13をオンにし続ける必要がある。このため、B−3の状態で、カードBは、少なくともスイッチ13を動作させ続ける電力を得ることのできる受信レベルが必要となる。
【0038】
以上のように、上述した第1の変形例によると、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加えて共振周波数を変更するようにしたため、アンテナの結合によりカードAの共振周波数がシフトする幅を小さくすることができ、リーダライタ20とカードAとの間の通信を良好に維持できる。
【0039】
以下、本実施の形態の第2の変形例について、図9および図10を参照して説明する。
ここでは、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加え、上述した共振周波数の変更処理の代わりに受信回路15の受信感度を低下させる処理を実行するようにした。ここで言う受信感度は、上述した品質係数Qで表すことができる。つまり、カードBは、このとき、自身の品質係数Qを小さくするように動作する。
【0040】
カードBの受信感度を低下させる感度低下回路は、例えば、図9に示すように、直列に接続された抵抗17およびスイッチ19を有する。これら抵抗17およびスイッチ19は、コイルアンテナ7および共振用コンデンサ9と並列に接続されている。スイッチ19は、上述したスイッチ13と同じ構造を有する。
【0041】
この回路でスイッチ19をオンにすると、回路の負荷は、抵抗17(抵抗値R)を上述した負荷Zに並列に接続したことにより、
Z(R/(R+Z))
となる。
【0042】
この場合、抵抗17の接続により変更される受信回路15の品質係数Qsは、
Qs=Z(R/(R+Z))/(ωL)
となる。
【0043】
つまり、抵抗17を回路に接続することにより、抵抗17を接続しない状態(Q=Z/(ωL))と比較して、受信回路15の品質係数を小さくできる。このように、受信回路15の品質係数を小さくすることにより、受信感度を低くすることができ、2枚のカードA、Bの結合度を疎にすることができ、カードAの受信感度を維持できる。
【0044】
ここで、図10の表を参照して、カードBにおける品質係数の変更動作についてより詳細に説明する。
上述した2枚のカードA、Bは、同じ通信方式を採用しているため、単独で用いた場合には、図10の表のA−1、B−1に図示するように、略同じアンテナ特性を示す。すなわち、各カードA、Bは、単独で、リーダライタ20との間で良好な通信状態を確立することのできる共振周波数f0を有するとともに、この周波数f0において通信を確立するに十分な受信感度のピークを有する。
【0045】
これら2枚のカードA、Bを重ねると、A−2、B−2に図示するように、アンテナ同士が結合し、各カードA、Bの共振周波数がそれぞれ低い側にシフトする。すなわち、各アンテナの受信感度のピークがシフトする。しかし、2枚のカードA、Bを重ねて使用する場合を想定して、共振周波数がシフトした状態でも、少なくともリーダライタ20からのコマンドに応答できるように、リーダライタ20の共振周波数f0に対する各カードA、Bの信号受信レベルが、リーダライタ20からのファーストコマンドに応答可能な程度である必要がある。
【0046】
このように重ねた2枚のカードA、Bをリーダライタ20のループアンテナ21に翳し、各カードA、Bがリーダライタ20からファーストコマンドを受信すると、上述したように、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20にレスポンスを返さない処理に加え、上述したように品質係数QをQsに変更する処理を実行する。これにより、カードAとカードBの結合度が疎になり、A−4に図示するように、カードAの共振周波数がf0に近づき、周波数f0におけるカードAの受信レベルが、リーダライタ20からの全てのコマンドを処理可能なレベルになる。
【0047】
一方、カードBは、このとき、B−4に図示するように、品質係数の低下に伴い共振周波数f0に対して受信レベルが低くなる。しかし、カードBは、カードAの通信を維持する間、少なくとも変更した品質係数Qsを維持する必要があるため、図7で説明した感度低下回路のスイッチ19をオンにし続ける必要がある。このため、B−4の状態で、カードBは、少なくともスイッチ19を動作させ続ける電力を得ることのできる受信レベルが必要となる。
【0048】
以上のように、上述した第2の変形例によると、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加えて受信感度を低くするようにしたため、アンテナの結合によりカードAの共振周波数がシフトする幅を小さくすることができ、リーダライタ20とカードAとの間の通信を良好に維持できる。
【0049】
次に、本実施の形態の第3の変形例について、図11および図12を参照して説明する。
ここでは、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加え、上述した共振周波数または品質係数の変更処理の代わりに受信回路15を一時的に切断する処理を実行するようにした。
【0050】
カードBの受信回路15を一時的に切断する切断回路は、例えば、図11に示すように、コイルアンテナ7の一端に接続されたスイッチ30を有する。スイッチ30は、通電によりスイッチをオフにした後、一定時間だけ切断状態を維持可能にするため、ポリスイッチ31の両端に過電流発生回路32を接続した構造を有する。
【0051】
ポリスイッチ31は、ポリマ系のPTCサーミスタであり、素子温度がある温度を超えて上昇すると急激に抵抗値が大きくなる特性を有する。つまり、このポリスイッチ31に過電流発生回路32を接続して、素子を過電流によって加熱して内部温度を上昇させ、抵抗値を急激に増大させて回路に流れる電流を極めて小さくすることで、実質的に回路を切断することができる。ポリスイッチ31は、時間が経つと冷えて抵抗値が低くなるため、一定時間後にスイッチがオンの状態となる。
【0052】
過電流発生回路32によりスイッチ30を切断すると、コイルアンテナ7がリーダライタ20からの送信磁界を全く受信しなくなり、カードBがリーダライタ20からの送信磁界を全く消費しなくなる。これにより、カードAとカードBを重ねた状態でリーダライタ20のループアンテナ21に翳したとしても、カードAを単体で使用した場合と殆ど変わらなくなり、カードAの通信を確立できる。
【0053】
ここで、図12の表を参照して、カードBにおける回路の切断動作についてより詳細に説明する。
上述した2枚のカードA、Bは、同じ通信方式を採用しているため、単独で用いた場合には、図12の表のA−1、B−1に図示するように、略同じアンテナ特性を示す。すなわち、各カードA、Bは、単独で、リーダライタ20との間で良好な通信状態を確立することのできる共振周波数f0を有する。
【0054】
これら2枚のカードA、Bを重ねると、A−2、B−2に図示するように、アンテナ同士が結合し、各カードA、Bの共振周波数がそれぞれ低い側にシフトする。すなわち、各アンテナの受信感度のピークがシフトする。しかし、2枚のカードA、Bを重ねて使用する場合を想定して、共振周波数がシフトした状態でも、少なくともリーダライタ20からのコマンドに応答できるように、リーダライタ20の共振周波数f0に対する各カードA、Bの信号受信レベルが、リーダライタ20からのファーストコマンドに応答可能な程度である必要がある。
【0055】
このように重ねた2枚のカードA、Bをリーダライタ20のループアンテナ21に翳し、各カードA、Bがリーダライタ20からファーストコマンドを受信すると、上述したように、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20にレスポンスを返さない処理に加え、上述したように回路を切断すべくスイッチ30をオフにする。これにより、A−5に図示するように、カードAの共振周波数がf0に戻り、その受信レベルがA−1のレベルにリーダライタ20からの全てのコマンドを処理可能なレベルになる。
【0056】
一方、カードBは、このとき、B−5に図示するように、回路を切断したことにより全ての周波数帯域において受信レベルがゼロとなる。なお、カードBにおける回路の切断時間は、少なくとも、カードAの通信を維持してデータの送受信処理が終了するまでの時間であればよい。
【0057】
以上のように、上述した第3の変形例によると、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加えて受信回路15を切断するようにしたため、カードBがリーダライタ20からの送信磁界を全く消費しなくなり、リーダライタ20とカードAとの間の通信を良好に維持できる。
【0058】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0059】
例えば、上述した実施の形態では、カードBがレスポンスを返さない処理に加えて共振周波数を変更する処理、品質係数を小さくする処理、受信回路を切断する処理をそれぞれ独立して実施する場合について説明したが、これに限らず、共振周波数の変更処理および品質係数の低下処理を同時に実施しても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態では、無線通信媒体としてICカードに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、RFタグなどの無線携帯可能情報媒体に本発明を適用することもできる。
【0061】
また、上述した実施の形態では、2枚のICカードを重ねた場合の処理について説明したが、これに限らず、3枚以上のカードを重ねた場合にも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態に係るICカードのアンテナシートを示す平面図。
【図2】図1のアンテナシートを有するICカードの断面図。
【図3】図2のICカードの回路構成を示すブロック図。
【図4】図2のICカードを含む無線通信システムを示す摸式図。
【図5】ICカードの回路図。
【図6】この発明の実施の形態の第1の変形例に係るICカードの回路図。
【図7】図6の回路に組み込まれたスイッチの一例を説明するための回路図。
【図8】図6のカードを動作させた場合の2枚のカードの特性の変化について説明するための図。
【図9】この発明の実施の形態の第2の変形例に係るICカードの回路図。
【図10】図9のカードを動作させた場合の2枚のカードの特性の変化について説明するための図。
【図11】この発明の実施の形態の第3の変形例に係るICカードの回路図。
【図12】図11のカードを動作させた場合の2枚のカードの特性の変化について説明するための図。
【符号の説明】
【0063】
1…ICカード、2…アンテナシート、3…表面シート、4…コアシート、5…裏面シート、6…カード本体、7…コイルアンテナ、8…LSI、9…共振用コンデンサ、10…無線通信システム、11…送受信回路、12…制御回路、13、19、30…スイッチ、15…受信回路、17…抵抗、20…リーダライタ、21…ループアンテナ、22…データ処理回路、23…変復調回路、31…ポリスイッチ、32…過電流発生回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、非接触によりリーダライタとの間で無線通信をするICカードなどの無線通信媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重ねて使用することを想定した無線通信媒体として、長方形に4巻きに巻かれたループアンテナを有し、このループアンテナの内角θを全て90°−αとしたICカードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このICカードのループアンテナは、全ての直線部が非平行となっており、ICカードを重ねて使用する場合、電磁結合を小さくできる。
【0003】
しかし、このICカードは、重ねて使用する複数枚のカードそれぞれがリーダライタと無線通信してデータ処理することを前提としているため、当該リーダライタに固有のアプリケーションに適合しない異なる種類のカードがアプリケーションに適合した正規のカードに間違って重ねて使用された場合、各カードがリーダライタからのポーリングに応答してしまうと、レスポンスが混信してしまう可能性がある。
【特許文献1】特開2001−7629号公報(要約、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、リーダライタのアプリケーションに適合していない媒体が間違って重ねて使用された場合であってもレスポンスの混信を防止でき、且つアプリケーションに適合した正規の媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる無線通信媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の無線通信媒体は、リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の無線通信媒体は、リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、媒体本体と、この媒体本体に設けられ、上記リーダライタとの間でデータを送受信するためのアンテナを有し、このアンテナを介して上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、上記媒体本体に設けられ、受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記発明によると、リーダライタのアプリケーションに適合していない無線通信媒体がリーダライタに翳された場合、当該無線通信媒体からリーダライタにレスポンスが返されることがないため、アプリケーションに適合していない間違った無線通信媒体をアプリケーションに適合した正規の無線通信媒体に重ねて使用した場合であっても、間違った媒体からのレスポンスが正規の媒体からのレスポンスに混信することがない。
【0008】
また、当該リーダライタのアプリケーションに適合していない無線通信媒体に対し、受信回路の共振周波数を変更し、受信回路の受信感度を低下させ、或いは受信回路を一時的に切断することで、アプリケーションに適合した正規の無線通信媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる。
【0009】
なお、本発明の無線通信媒体は、上述した従来のICカードのようにアンテナ形状を変更する必要がないため、設計変更を必要としない。
【発明の効果】
【0010】
この発明の無線通信媒体は、上記のような構成および作用を有しているので、リーダライタのアプリケーションに適合していない媒体が間違って重ねて使用された場合であってもレスポンスの混信を防止でき、且つアプリケーションに適合した正規の媒体との間の無線通信を高い感度で確立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る非接触式ICカード1(無線通信媒体)(以下、単に、ICカード1と称する)のアンテナシート2の平面図を示してあり、図2には、ICカード1の断面図を示してある。また、図3には、ICカード1の回路構成をブロック図にして示してある。
【0012】
このICカード1は、図2に示すように、同一形状の略矩形の樹脂により形成された表面シート3、図1に示すアンテナシート2を接着したコアシート4、および裏面シート5を積層したカード本体6(媒体本体)を有する。各シート3、4、5は、熱溶着や接着剤によって互いに接着されている。また、カード本体6の4つの角部は面取りされている。
【0013】
アンテナシート2は、図1に示すように、コイルアンテナ7、およびこのコイルアンテナ7に接続したLSI8を有する。すなわち、コイルアンテナ7がアンテナシート2の表面2aにパターニングされ、LSI8がフリップチップによりアンテナシート2に実装されている。このアンテナシート2は、コアシート4に対して図示しないホットメルトシートを用いて接着されている。
【0014】
すなわち、図1に示すアンテナシート2を接着したコアシート4の表裏面それぞれに表面シート3および裏面シートを接着し、図2に示すICカード1が構成されている。
【0015】
図3に示すように、ICカード1のLSI8は、コイルアンテナ7に接続した送受信回路11、および送受信回路11に接続した制御回路12を有する。コイルアンテナ7および送受信回路11は、本発明の受信回路15として機能する。
【0016】
このICカード1は、図4に示すリーダライタ20のループアンテナ21に翳すことにより動作する。つまり、ICカード1は、リーダライタ20のループアンテナ21から送信される搬送波をコイルアンテナ7で受けて電磁誘導によりLSI8を動作させるための電力を生出し、送受信回路11で搬送波に乗ったリーダライタ20からのコマンドを受信する。そして、制御回路12は、送受信回路11で受信したコマンドに従ってデータを処理し、その処理結果のレスポンスをコイルアンテナ7を介してリーダライタ20へ返信する。
【0017】
図4には、上述したICカード1を含む無線通信システム10(以下、単に、システム10と称する)の要部の構造を模式的に示してある。システム10は、上述した構造のICカード1とリーダライタ20を含む。
【0018】
リーダライタ20は、ICカード1との間で無線通信するためのループアンテナ21、ICカード1に対するコマンドを出力するとともにICカード1からのレスポンスを処理するデータ処理回路22、およびデータ処理回路22から出力されるコマンドデータをアナログ信号に変調するとともにループアンテナ21を介して受信したICカード1からのレスポンスを復調する変復調回路23を有する。
【0019】
しかして、リーダライタ20は、ループアンテナ21を介して無変調の搬送波を送信し、この搬送波に乗せて各種コマンドを送信する。リーダライタ20のループアンテナ21にICカードが翳されると、上述したように、電磁誘導によってICカード1のLSI8に電力が与えられ、コマンドに対するレスポンスがリーダライタ20に返信される。リーダライタ20は、ループアンテナ21を介してこのレスポンスを受信し、信号をデジタルデータに復調して演算処理する。
【0020】
近年、利便性と情報の安全性から、上述したような非接触式のICカードの普及が進んでおり、交通系の定期券、プリペイド乗車券、クレジットカード、ポイントカード、社員証カード等様々な用途に利用されている。また、この種のICカードを利用したシステムは、互換性向上を目的としてISO等で標準化された通信方式を採用している場合が多く、ユーザが同じ通信方式のICカードを複数枚所持している場合がある。
【0021】
複数枚のICカードを所持する場合、通常、パスケースや財布に入れて重ねて収納するため、同じ通信方式の複数枚のICカードが重なった状態で使用される可能性が大きい。このように、同じ通信方式のICカードを重ねてリーダライタに翳すと、リーダライタからのポーリングコマンドに各ICカードが応答して各カードからリーダライタにレスポンスが返されて混信してしまう可能性がある。
【0022】
このため、本実施の形態では、上述したように複数枚のICカードが重ねた状態で使用された場合、システム10のアプリケーション(すなわち、リーダライタ20のアプリケーション)に適合していないICカードがレスポンスを返さないようにすることで、アプリケーションに適合した正規のICカードによる通信だけを確立するようにした。以下、アプリケーションに適合した正規のICカード(以下、カードAと称する)とアプリケーションに適合していない種類の異なるICカード(以下、カードBと称する)を重ねた状態でリーダライタ20のループアンテナ21に翳した場合を例にとって本実施の形態の処理動作について詳細に説明する。
【0023】
つまり、本実施の形態では、リーダライタ20のループアンテナ21を介して搬送波を送出する際に、搬送波に乗せるファーストコマンドにシステム10のアプリケーションに固有の識別情報を入れて送信するようにした。このとき、ループアンテナ21の通信可能領域にある2枚のカードA、Bは、それぞれ、ファーストコマンドに含まれる識別情報に基づいて自身が当該システム10のアプリケーションに適合しているカードであるか否かを判断する。そして、アプリケーションに適合していることを判断したカードAは、通常通りコマンドに対するレスポンスを返し、アプリケーションに適合していないことを判断したカードBは、リーダライタ20からのコマンドに対するレスポンスを返さないようにした。
【0024】
具体的には、カードBの制御回路12は、ファーストコマンドに含まれる識別情報を予め記憶した自身の識別情報と照合し、カードBが当該システムに適合しているか否かを判断する。そして、カードBが当該アプリケーションに適合していないことを判断したことをもってレスポンスの返信をやめる。
【0025】
以上のように、本実施の形態によると、リーダライタ20のアプリケーションに適合していないICカード(カードB)がループアンテナ21に翳された場合に当該リーダライタ20にレスポンスを返さないようにしたため、アプリケーションに適合しない種類の異なるICカードがアプリケーションに適合する正規のICカード(カードA)に重ねて使用された場合であっても、適合しないカードBからのレスポンスが正規のカードAのレスポンスに混信してしまうことが無く、正規のカードAの通信を確立できる。
【0026】
ところで、カードBは、リーダライタ20からの搬送波を受けて生出した電力を用いて制御回路12を動作させて当該リーダライタ20のアプリケーションに適合しているか否かを判断するため、レスポンスを返さないとしてもカードAと同様に動作する。このため、2枚のカードA、Bが重なった状態で使用された場合、上述した処理を実施したとしても、カードAだけをリーダライタ20に翳した場合と比較すると通信状態が悪くなる。
【0027】
つまり、カードA、Bが重なるとコイルアンテナ7同士の結合が密となり、各カードA、Bの共振周波数が通信周波数からずれて受信レベルが低下する。また、一定の強度レベルの搬送波を2枚のカードA、Bで取り合うため、LSIを動作させるための十分な電力を得られなくなる。
【0028】
このため、本実施の形態の第1の変形例として、カードBにおいて、上述したレスポンスを返さない処理に加え、受信回路15の共振周波数を変更するようにした。具体的には、カードBにおいて、アプリケーションに適合していないことを判断したとき、後述する変更回路を動作させてコイルアンテナ7のインダクタンスLを小さく(Lsに)して共振周波数を高くするようにした。これにより、カードBのカードAに対するアンテナの結合度を疎にすることができ、カードAの共振周波数のずれを小さく抑えることができ、カードAにおける受信レベルの低下を抑制できる。
【0029】
図5に示すように、ICカード1は、コイルアンテナ7の他に、コイルアンテナ7と協同して受信回路15の共振周波数を決定する共振用コンデンサ9を有する。共振用コンデンサ9の下流側には、ここでは図示しない変復調回路、制御処理部、電源生成・供給部などが接続されている。
【0030】
これら変復調回路、制御処理部、および電源生成・供給部の負荷をインピーダンス成分Zで表し、コイルアンテナ7のインダクタンスをLとし、共振用コンデンサ9の容量をCとすると、コイルアンテナ7の通信効率が最も高くなる受信回路15の共振周波数fは、
f=1/(2πLC)
となる。
また、コイルアンテナ7の周波数に対する受信レベルの傾向(品質)を表す受信回路15の品質係数Qは、
Q=Z/(ωL)
となる。
【0031】
このため、例えば、図6に示すように、変更回路として、コイルアンテナ7の巻き線の途中から巻き線の端を短絡するスイッチ13を設けて、コイルアンテナ7のインダクタンスをLより小さいLsに変更すると、受信回路15の共振周波数fsは、
fs=1/(2πLsC)
となり、fより高くできる。
【0032】
スイッチ13は、例えば、図7に示す回路とすることができる。このスイッチ13は、2つのトランジスタTa、Tbを有し、各トランジスタのゲートGに与える電圧を制御することで図中矢印Ia、およびIb方向の電流を流すことができ、選択的に2点S、D間を短絡(スイッチオン)できる。
【0033】
このように、カードBの共振周波数をカードAより高い値に変更することにより、両者のアンテナの結合度を疎にすることができ、カードAの共振周波数のずれを小さく抑えることができ、カードAにおける受信レベルの低下を抑制でき、カードAとリーダライタ20との間の通信を確立できる。
【0034】
ここで、図8の表を参照して、カードBにおける共振周波数の変更動作についてより詳細に説明する。
上述した2枚のカードA、Bは、同じ通信方式を採用しているため、単独で用いた場合には、図8の表のA−1、B−1に図示するように、略同じアンテナ特性を示す。すなわち、各カードA、Bは、単独で、リーダライタ20との間で良好な通信状態を確立することのできる共振周波数f0を有する。
【0035】
これら2枚のカードA、Bを重ねると、A−2、B−2に図示するように、アンテナ同士が結合し、各カードA、Bの共振周波数がそれぞれ低い側にシフトする。しかし、2枚のカードA、Bを重ねて使用する場合を想定して、共振周波数がシフトした状態でも、少なくともリーダライタ20からのコマンドに応答できるように、リーダライタ20の共振周波数f0に対する各カードA、Bの信号受信レベルが、リーダライタ20からのファーストコマンドに応答可能な程度である必要がある。
【0036】
このように重ねた2枚のカードA、Bをリーダライタ20のループアンテナ21に翳し、各カードA、Bがリーダライタ20からファーストコマンドを受信すると、上述したように、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20にレスポンスを返さない処理に加え、共振周波数f0をfsに変更する処理を実行する。これにより、カードAとカードBの結合度が疎になり、A−3に図示するように、カードAの共振周波数がf0に近づき、カードAの受信レベルが、リーダライタ20からの全てのコマンドを処理可能なレベルになる。
【0037】
一方、カードBは、このとき、B−3に図示するように、共振周波数が高い側へシフトしてリーダライタ20の共振周波数f0に対して受信レベルが低くなる。しかし、カードBは、カードAの通信を維持する間、少なくとも変更した共振周波数fsを維持する必要があるため、図7で説明した変更回路のスイッチ13をオンにし続ける必要がある。このため、B−3の状態で、カードBは、少なくともスイッチ13を動作させ続ける電力を得ることのできる受信レベルが必要となる。
【0038】
以上のように、上述した第1の変形例によると、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加えて共振周波数を変更するようにしたため、アンテナの結合によりカードAの共振周波数がシフトする幅を小さくすることができ、リーダライタ20とカードAとの間の通信を良好に維持できる。
【0039】
以下、本実施の形態の第2の変形例について、図9および図10を参照して説明する。
ここでは、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加え、上述した共振周波数の変更処理の代わりに受信回路15の受信感度を低下させる処理を実行するようにした。ここで言う受信感度は、上述した品質係数Qで表すことができる。つまり、カードBは、このとき、自身の品質係数Qを小さくするように動作する。
【0040】
カードBの受信感度を低下させる感度低下回路は、例えば、図9に示すように、直列に接続された抵抗17およびスイッチ19を有する。これら抵抗17およびスイッチ19は、コイルアンテナ7および共振用コンデンサ9と並列に接続されている。スイッチ19は、上述したスイッチ13と同じ構造を有する。
【0041】
この回路でスイッチ19をオンにすると、回路の負荷は、抵抗17(抵抗値R)を上述した負荷Zに並列に接続したことにより、
Z(R/(R+Z))
となる。
【0042】
この場合、抵抗17の接続により変更される受信回路15の品質係数Qsは、
Qs=Z(R/(R+Z))/(ωL)
となる。
【0043】
つまり、抵抗17を回路に接続することにより、抵抗17を接続しない状態(Q=Z/(ωL))と比較して、受信回路15の品質係数を小さくできる。このように、受信回路15の品質係数を小さくすることにより、受信感度を低くすることができ、2枚のカードA、Bの結合度を疎にすることができ、カードAの受信感度を維持できる。
【0044】
ここで、図10の表を参照して、カードBにおける品質係数の変更動作についてより詳細に説明する。
上述した2枚のカードA、Bは、同じ通信方式を採用しているため、単独で用いた場合には、図10の表のA−1、B−1に図示するように、略同じアンテナ特性を示す。すなわち、各カードA、Bは、単独で、リーダライタ20との間で良好な通信状態を確立することのできる共振周波数f0を有するとともに、この周波数f0において通信を確立するに十分な受信感度のピークを有する。
【0045】
これら2枚のカードA、Bを重ねると、A−2、B−2に図示するように、アンテナ同士が結合し、各カードA、Bの共振周波数がそれぞれ低い側にシフトする。すなわち、各アンテナの受信感度のピークがシフトする。しかし、2枚のカードA、Bを重ねて使用する場合を想定して、共振周波数がシフトした状態でも、少なくともリーダライタ20からのコマンドに応答できるように、リーダライタ20の共振周波数f0に対する各カードA、Bの信号受信レベルが、リーダライタ20からのファーストコマンドに応答可能な程度である必要がある。
【0046】
このように重ねた2枚のカードA、Bをリーダライタ20のループアンテナ21に翳し、各カードA、Bがリーダライタ20からファーストコマンドを受信すると、上述したように、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20にレスポンスを返さない処理に加え、上述したように品質係数QをQsに変更する処理を実行する。これにより、カードAとカードBの結合度が疎になり、A−4に図示するように、カードAの共振周波数がf0に近づき、周波数f0におけるカードAの受信レベルが、リーダライタ20からの全てのコマンドを処理可能なレベルになる。
【0047】
一方、カードBは、このとき、B−4に図示するように、品質係数の低下に伴い共振周波数f0に対して受信レベルが低くなる。しかし、カードBは、カードAの通信を維持する間、少なくとも変更した品質係数Qsを維持する必要があるため、図7で説明した感度低下回路のスイッチ19をオンにし続ける必要がある。このため、B−4の状態で、カードBは、少なくともスイッチ19を動作させ続ける電力を得ることのできる受信レベルが必要となる。
【0048】
以上のように、上述した第2の変形例によると、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加えて受信感度を低くするようにしたため、アンテナの結合によりカードAの共振周波数がシフトする幅を小さくすることができ、リーダライタ20とカードAとの間の通信を良好に維持できる。
【0049】
次に、本実施の形態の第3の変形例について、図11および図12を参照して説明する。
ここでは、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加え、上述した共振周波数または品質係数の変更処理の代わりに受信回路15を一時的に切断する処理を実行するようにした。
【0050】
カードBの受信回路15を一時的に切断する切断回路は、例えば、図11に示すように、コイルアンテナ7の一端に接続されたスイッチ30を有する。スイッチ30は、通電によりスイッチをオフにした後、一定時間だけ切断状態を維持可能にするため、ポリスイッチ31の両端に過電流発生回路32を接続した構造を有する。
【0051】
ポリスイッチ31は、ポリマ系のPTCサーミスタであり、素子温度がある温度を超えて上昇すると急激に抵抗値が大きくなる特性を有する。つまり、このポリスイッチ31に過電流発生回路32を接続して、素子を過電流によって加熱して内部温度を上昇させ、抵抗値を急激に増大させて回路に流れる電流を極めて小さくすることで、実質的に回路を切断することができる。ポリスイッチ31は、時間が経つと冷えて抵抗値が低くなるため、一定時間後にスイッチがオンの状態となる。
【0052】
過電流発生回路32によりスイッチ30を切断すると、コイルアンテナ7がリーダライタ20からの送信磁界を全く受信しなくなり、カードBがリーダライタ20からの送信磁界を全く消費しなくなる。これにより、カードAとカードBを重ねた状態でリーダライタ20のループアンテナ21に翳したとしても、カードAを単体で使用した場合と殆ど変わらなくなり、カードAの通信を確立できる。
【0053】
ここで、図12の表を参照して、カードBにおける回路の切断動作についてより詳細に説明する。
上述した2枚のカードA、Bは、同じ通信方式を採用しているため、単独で用いた場合には、図12の表のA−1、B−1に図示するように、略同じアンテナ特性を示す。すなわち、各カードA、Bは、単独で、リーダライタ20との間で良好な通信状態を確立することのできる共振周波数f0を有する。
【0054】
これら2枚のカードA、Bを重ねると、A−2、B−2に図示するように、アンテナ同士が結合し、各カードA、Bの共振周波数がそれぞれ低い側にシフトする。すなわち、各アンテナの受信感度のピークがシフトする。しかし、2枚のカードA、Bを重ねて使用する場合を想定して、共振周波数がシフトした状態でも、少なくともリーダライタ20からのコマンドに応答できるように、リーダライタ20の共振周波数f0に対する各カードA、Bの信号受信レベルが、リーダライタ20からのファーストコマンドに応答可能な程度である必要がある。
【0055】
このように重ねた2枚のカードA、Bをリーダライタ20のループアンテナ21に翳し、各カードA、Bがリーダライタ20からファーストコマンドを受信すると、上述したように、アプリケーションに適合していないカードBは、リーダライタ20にレスポンスを返さない処理に加え、上述したように回路を切断すべくスイッチ30をオフにする。これにより、A−5に図示するように、カードAの共振周波数がf0に戻り、その受信レベルがA−1のレベルにリーダライタ20からの全てのコマンドを処理可能なレベルになる。
【0056】
一方、カードBは、このとき、B−5に図示するように、回路を切断したことにより全ての周波数帯域において受信レベルがゼロとなる。なお、カードBにおける回路の切断時間は、少なくとも、カードAの通信を維持してデータの送受信処理が終了するまでの時間であればよい。
【0057】
以上のように、上述した第3の変形例によると、カードAに重ねて使用されたカードBが、リーダライタ20からのファーストコマンドにレスポンスを返さない処理に加えて受信回路15を切断するようにしたため、カードBがリーダライタ20からの送信磁界を全く消費しなくなり、リーダライタ20とカードAとの間の通信を良好に維持できる。
【0058】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0059】
例えば、上述した実施の形態では、カードBがレスポンスを返さない処理に加えて共振周波数を変更する処理、品質係数を小さくする処理、受信回路を切断する処理をそれぞれ独立して実施する場合について説明したが、これに限らず、共振周波数の変更処理および品質係数の低下処理を同時に実施しても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態では、無線通信媒体としてICカードに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、RFタグなどの無線携帯可能情報媒体に本発明を適用することもできる。
【0061】
また、上述した実施の形態では、2枚のICカードを重ねた場合の処理について説明したが、これに限らず、3枚以上のカードを重ねた場合にも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態に係るICカードのアンテナシートを示す平面図。
【図2】図1のアンテナシートを有するICカードの断面図。
【図3】図2のICカードの回路構成を示すブロック図。
【図4】図2のICカードを含む無線通信システムを示す摸式図。
【図5】ICカードの回路図。
【図6】この発明の実施の形態の第1の変形例に係るICカードの回路図。
【図7】図6の回路に組み込まれたスイッチの一例を説明するための回路図。
【図8】図6のカードを動作させた場合の2枚のカードの特性の変化について説明するための図。
【図9】この発明の実施の形態の第2の変形例に係るICカードの回路図。
【図10】図9のカードを動作させた場合の2枚のカードの特性の変化について説明するための図。
【図11】この発明の実施の形態の第3の変形例に係るICカードの回路図。
【図12】図11のカードを動作させた場合の2枚のカードの特性の変化について説明するための図。
【符号の説明】
【0063】
1…ICカード、2…アンテナシート、3…表面シート、4…コアシート、5…裏面シート、6…カード本体、7…コイルアンテナ、8…LSI、9…共振用コンデンサ、10…無線通信システム、11…送受信回路、12…制御回路、13、19、30…スイッチ、15…受信回路、17…抵抗、20…リーダライタ、21…ループアンテナ、22…データ処理回路、23…変復調回路、31…ポリスイッチ、32…過電流発生回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、
上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、
受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、
を有することを特徴とする無線通信媒体。
【請求項2】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路の共振周波数を変更する変更回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信媒体。
【請求項3】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路の受信感度を低下させる感度低下回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信媒体。
【請求項4】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路を一時的に切断する切断回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信媒体。
【請求項5】
リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、
媒体本体と、
この媒体本体に設けられ、上記リーダライタとの間でデータを送受信するためのアンテナを有し、このアンテナを介して上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、
上記媒体本体に設けられ、受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、
を有することを特徴とする無線通信媒体。
【請求項6】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記アンテナのインダクタンスを変更する変更回路をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信媒体。
【請求項7】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路の受信感度を低下させる感度低下回路をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信媒体。
【請求項8】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路を一時的に切断する切断回路をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信媒体。
【請求項1】
リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、
上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、
受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、
を有することを特徴とする無線通信媒体。
【請求項2】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路の共振周波数を変更する変更回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信媒体。
【請求項3】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路の受信感度を低下させる感度低下回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信媒体。
【請求項4】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路を一時的に切断する切断回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信媒体。
【請求項5】
リーダライタに固有のアプリケーションに従って非接触でデータを送受信する無線通信媒体であって、
媒体本体と、
この媒体本体に設けられ、上記リーダライタとの間でデータを送受信するためのアンテナを有し、このアンテナを介して上記リーダライタからのコマンドを受信する受信回路と、
上記媒体本体に設けられ、受信したコマンドに基づいて当該リーダライタのアプリケーションに適合しているか否かを判断し、適合している場合に当該リーダライタにレスポンスを返し、適合していない場合にレスポンスを返さない制御回路と、
を有することを特徴とする無線通信媒体。
【請求項6】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記アンテナのインダクタンスを変更する変更回路をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信媒体。
【請求項7】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路の受信感度を低下させる感度低下回路をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信媒体。
【請求項8】
上記制御回路で当該リーダライタのアプリケーションに適合していないことを判断した場合に上記受信回路を一時的に切断する切断回路をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−332758(P2006−332758A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149506(P2005−149506)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]