説明

無線通信方法とそれに使用する基地局送信機および受信機

【課題】スリープ状態における携帯端末の動作時間を削減する。
【解決手段】基地局送信機では、IDSELブロック21がPCHGENブロック5に供給される上位レイヤからのページング情報を元にトレーニングシンボル系列番号を選択し、SYMBGENブロック1がトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通のトレーニングシンボルを生成することによって、基地局のカバーエリア内の携帯端末に該当する端末呼び出しがない場合、基地局は従来の例えば「0」なる全セル共通トレーニングシンボルを送信し、基地局のカバーエリア内の携帯端末に該当する端末呼び出しがある場合は、基地局は別の系列からなる例えば「1」なるトレーニングシンボルを送信する。携帯端末受信機では、従来の携帯端末受信機にIDDETブロック22と判定ブロック23とを追加してトレーニングシンボル系列番号を検出し、かつ、その結果にもとづいてページング情報を復調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の動作時間を削減できる無線通信方法とそれに使用する基地局送信機および受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、基地局と基地局のカバーエリア内でスリープ状態にある携帯端末との通信を示す。図3において、スリープしていた携帯端末が、ページング情報を受信するために、必要な回路の電源をオンにするウーエクアップ(Wake Up)状態になると、基地局から送信されているトレーニングシンボルを基に基地局と時間や周波数などの同期を確立する。その後、携帯端末は、基地局から送信されているページング情報を受信し、受信したページング情報が自分宛でない場合はスリープ状態に遷移し、受信したページング情報が自分宛である場合はアクティブ状態に遷移して基地局との通信を開始する。よって、携帯端末は、トレーニングシンボルとページング情報とを受信する期間、電力を消費する。
【0003】
図4は、スリープ状態にある携帯端末からカバーエリア内の基地局に送信したい呼び出しが生じた場合の通信を示す。図4において、スリープしていた携帯端末が、個別通信チャネルの割り当て要求情報を送信するために、必要な回路の電源をオンにするウーエクアップ(Wake Up)状態になると、基地局から送信されているトレーニングシンボルを受信し、基地局と時間や周波数などの同期を確立する。その後、携帯端末は、基地局に対し、個別通信チャネルの割り当て要求情報を送信する。そして、基地局が、個別通信チャネル割り当て要求情報を受信すると、携帯端末に対し、個別通信チャネル割り当て可否情報を送信する。よって、携帯端末は、トレーニングシンボルと個別通信チャネルの割り当て要求情報を送信する期間と、個別通信チャネル割り当て可否情報を受信する期間とで、電力を消費する。
【0004】
トレーニングシンボルは、携帯端末と基地局との時間や周波数などの同期を取るための信号である。トレーニングシンボルとしては、例えば、非特許文献1の3.4.2章に記載されているように、全てのセルに共通で時間領域で繰り返しとなる系列が用いられる。
【0005】
図5は、非特許文献1の3.4.7章の図3.4から抜粋した下り回線共通制御チャネルのODFM信号のフレーム構成を時間軸と周波数軸との2次元表現で示す。図5において、横方向が時間を示し、縦方向が周波数を示し、下り回線共通制御チャネルのODFM信号は、無地で示された324個のデータシンボル、網がけされた50個のパイロットシンボル、斜線を付した44個のトレーニングシンボル、点を散りばめた38個のヌルシンボルから構成される。具体的には、S1からS19までの19OFDMシンボルから構成されるスロットの先頭における2OFDMシンボルがトレーニングシンボルである。スロットの前後にはガードタイムが存在する。F1;F13なるサブキャリアは、ガードキャリアもしくはDCキャリアである。
【0006】
図6は、非特許文献1の3.2.1章の図3.1から抜粋したOFDM伝送方式のフレーム構成を時間軸で示す。図6において、フレームは8スロットから構成され、上下回線に4スロットずつを割り当てるTDD(時分割複信方式)である。TDDは、上り下りで同じ周波数を時間的に交互に利用する方式である。1つのスロットは、前後のガードタイムとそれらに挟まれたOFDMバーストとから構成される。OFDMバーストは、S1からS19までの19OFDMシンボルから構成される。1つのOFDMシンボルは、一つのガードインターバルGIと1つのOFDMデータとから構成される。
【0007】
図7は、非特許文献1の5.2.1章の図5.3から抜粋した論理共通チャネル(以下、LCCHと称する)構造を示す。図7において、LCCHは、スーパーフレーム構造を有する。LCCHにおける間欠送信を制御するためのスロットの全送受信タイミングなどは、スーパーフレームに基づいて生成される。
【0008】
非特許文献1の5.2.3に記載されているように、全てのLCCH要素のスロット位置を規定する下り回線用論理共通チャネル(以下、DLLCCHと称する)の最小周期は、LCCHスーパーフレームとして定義される。DLLCCH要素としては、三つのタイプのLCCH要素がある。つまり、三つのタイプのLCCH要素としては、適切なシステムによって使用されるブロードキャスト制御チャネル(以下、BCCHと称する)、着信群に対応する全てのページングチャネル(以下、PCH(P1乃至Pk:kはグループ番号)と称する)、固定的に挿入されるシグナリング制御チャネル(以下、SCCHと称する)である。
【0009】
非特許文献1の5.2.3に記載されているように、DLLCCH用のスーパースーパーフレーム構造は、プロファイルデータにより定義され、BCCH上で各携帯端末に報知される。スーパーフレームの構造を定義するプロファイルデータの選択方法により、DLLCCH用のスーパーフレームは同一の着信群に複数回送信可能であるが、1回の着呼当たりの連続送信回数(nSGによって与えられる)とLCCHスーパーフレームに含まれる同一の着信群nSGとは独立である。1回の着呼に対応する連続送信はLCCHスーパーフレーム内で終端するか、または、数スーパーフレームに渡って延長可能である。LCCHスーパーフレームは、フレーム基本ユニットと呼ばれる。
【0010】
図8は、非特許文献1の5.2.3.7章の図5.4から抜粋したプロファイルデータ間の関係を示す。図8において、nSUB≧nPCH+1を式1と称し、N=nSG×nGROUPを式2と称する。式1は、BCCHが常時割り当てられるため、フレーム基本ユニット内でnPCH+1が最小のフレーム基本ユニット長であることを示す。式2は、1つのLCCHスーパーフレーム中のフレーム基本ユニット数Nが、同一着信群数nSGと着信群分け因数nGROUPとの積で与えられることを示す。
【0011】
また、PCHはページング情報を含む要素で、その添え字は要素の番号である。携帯端末は、該当する要素番号のPCHのタイミング及び周波数位置で、トレーニングシンボルにより基地局と同期確立(チャネル補正)後、PCHをデコードし、自分宛のページング情報があるかないかを確認する。SCCHは、携帯端末からの個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報を通知する要素である。
【0012】
図9は、基地局送信機におけるトレーニングシンボルとページング情報との送信部分のブロック構造を示す。図9において、トレーニングシンボルの送信については、SYMBGENブロック1がセル共通系列番号(cell common index)に基づき全セル共通のトレーニングシンボルを生成し、SUBCMAPブロック2がトレーニングシンボルを規定されたサブキャリアに配置した後、OFDMMODブロック3がOFDM変調し、GIADDブロック4がガードインターバルを付加する。
【0013】
また、ページング情報(paging info)の送信については、PCHGENブロック5が上位レイヤからのページング情報を物理チャンネルにマッピングし、SUBCMAPブロック6が上記ページングチャネル情報のマッピングされた物理チャネルを規定されたサブキャリアに配置した後、OFDMMODブロック7がOFDM変調し、GIADDブロック8がガードインターバルを付加する。
【0014】
そして、TDMMUXブロック9がガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルとガードインターバルの付加されたページング情報とを時間多重化したTX信号(TX signal)として送信する。携帯端末からの個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報を通知する場合は、ページング情報の代わりに、該当する可否情報を送信する。
【0015】
図10は、携帯端末受信機におけるトレーニングシンボルを用いた同期処理部とページング情報検出部とのブロック構造を示す。図10において、同期処理部のSYNCDETブロック11が、RX信号(RX signal;受信信号)のトレーニングシンボルを用い、周波数誤差、OFDM復調におけるFFTウインドウ開始位置を検出する。RX信号は、図9のTX信号が基地局送信機からの無線伝播路を通って受信された信号である。ページング情報検出部のFREQCOMPブロック12は検出した周波数誤差を基にRX信号の位相を補正し、OFDMDMODブロック13は検出したFFTウインドウ開始位置からRX信号をFFTの長さ分を切り出してOFDM復調し、TDMDMUXブロック14はOFDM復調された信号から時間多重されたページング情報の含まれる物理チャネルを取り出し、PCHDETブロック15はページング情報を検出する。個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報に本提案を適用する場合は、ページング情報の代わりに、個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報を用いる。
【0016】
一方、特許文献1に記載された無線通信方式では、携帯端末である移動機の受信回路が基地局から送信されたスーパーフレームの常時受信部を受信する期間でオン動作して着信表示領域の情報を受信し、次に、着信表示領域に「着信有り」の情報がある場合は移動機の受信回路が移動機呼出部を受信する期間でオン動作して基地局から送信されたスーパーフレームの移動機呼出部を受信し、上記着信表示領域に「着信有り」の情報がない場合は移動機の受信回路がオフ動作のままで基地局から送信されたスーパーフレームの移動機呼出部を受信しないようになっている。
【0017】
つまり、携帯端末を群に分け、それぞれの群に対応したPCHを階層化し、移動機が、基地局から上位階層のPCHを用いて送信される着信表示領域の情報を受信し、その受信した着信表示領域の情報に自分を呼び出す情報がない場合、上位階層のPCHを受信するのみで受信処理を終了するようになっている。しかしながら、携帯端末と基地局との間でPCHによる通信を行う前に、携帯端末と基地局との同期を確立しておく必要がある。
【0018】
よって、特許文献1に記載された無線通信方式における移動機の受信回路のオン・オフについて考察すると、受信回路は同期を取る期間と常時受信部を受信する期間とで少なくともオン動作する。この点ついて、図11を用いて説明する。
【0019】
図11は、特許文献1における移動機の受信回路のオン・オフ動作を示す。図11のa図は、受信回路が同期を取る期間と常時受信部を受信する期間とでオン動作し、受信した常時受信部の着信表示領域に「着信有り」の情報がないことから、その後、受信回路がオフ動作したままである。図11のb図は、受信回路が同期を取る期間と常時受信部を受信する期間とでオン動作し、受信した常時受信部の着信表示領域に「着信有り」の情報があることから、その後、受信回路が移動機呼出部を受信する期間でオン動作した場合である。このように、受信回路は、自分を呼び出すページング情報がない場合でも、同期を取る期間と常時受信部を受信する期間とで、電力を消費する。
【非特許文献1】ARIB STD‐T95 Ver.1.0「OFDMA/TDMA TDD Broadband Wireless Access System (Next Generation PHS)」ARIB(電波産業会)発行2007年12月12日
【特許文献1】特許第2957140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
発明が解決しようとする問題点は、携帯端末が基地局から送信される自分を呼び出すページング情報がない場合でも、同期を取る期間とページング情報または常時受信部とを受信する期間とで、電力を消費するという点である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る無線通信方法は、トレーニングシンボルに報知情報を通知する機能を備え、トレーニングシンボルに報知情報としてページング情報を通知する機能を備えるか、または、ページング情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルとしてカバーエリア内の携帯端末に該当する呼び出しがない場合は全セル共通トレーニングシンボルを送信し該当する呼び出しがある場合は別の系列からなるトレーニングシンボルを送信するか、または、報知情報として個別通信チャネルの割り当て可否情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルとしてカバーエリア内の携帯端末に個別通信チャネルの割り当てが不可能な場合は全セル共通トレーニングシンボルを送信し、個別通信チャネルの割り当てが可能な場合は別の系列からなるトレーニングシンボルを送信することを最も主要な特徴とする。本発明に係る無線通信方法は、トレーニングシンボルとして、フレーム先頭の複数OFDMシンボルを使用してもよい。本発明に係る無線通信方法に使用する基地局送信機は、上位レイヤからのページング情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部と、供給されたトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルを生成する機能部と、生成されたトレーニングシンボルを規定されたサブキャリアに配置する機能部と、サブキャリアに配置されたトレーニングシンボルをOFDM変調する機能部と、OFDM変調されたトレーニングシンボルにガードインターバルを付加する機能部と、上記ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルと他のOFDM変調された信号とを時間多重化して送信する機能部とを備えるか、または、個別通信チャネルの割り当て可否情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部と、供給されたトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルを生成する機能部と、生成されたトレーニングシンボルを規定されたサブキャリアに配置する機能部と、サブキャリアに配置されたトレーニングシンボルをOFDM変調する機能部と、OFDM変調されたトレーニングシンボルにガードインターバルを付加する機能部と、上記ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルと他のOFDM変調された信号とを時間多重化して送信する機能部とを備えたことを最も主要な特徴とする。本発明に係る無線通信方法に使用する受信機は、受信信号からトレーニングシンボル系列番号を検出する機能と、トレーニングシンボル系列番号から全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルであるかを判定しかつ別の系列トレーニングシンボルである場合はページング情報の含まれる物理チャネルを取り出してページング情報を検出する機能部とを備えるか、または、受信信号からトレーニングシンボル系列番号を検出する機能部と、トレーニングシンボル系列番号から全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルであるかを判定しかつ別の系列トレーニングシンボルである場合は割り当て可能な個別通信チャネル情報の含まれる物理チャネルを取り出して個別通信チャネル情報を検出する機能部とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る無線通信方法、無線通信方法に使用する基地局送信機、無線通信方法に使用する受信機は、同期のためのトレーニングシンボルを受信することによって、報知情報を判別することができる。報知情報としてページング情報または個別通信チャネルの割り当て可否情報をトレーニングシンボルにより通知する場合、同期のためのトレーニングシンボルを受信することによって、ページング情報または個別通信チャネルの割り当て可否情報を判別することができるので、その分、携帯端末の消費電力を削減できるという利点がある。とりわけ、マイクロセル方式を採用するシステムでは、マクロセル方式のシステムに比べて、基地局のカバーエリア内の携帯端末数が少ないという点から特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1のa図は、基地局送信機におけるトレーニングシンボルとページング情報との送信部分のブロック構造を示す。図1のa図は、図9の従来例に、セル共通系列番号に代わるページング情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択する機能を追加した構成である。ページング情報をページング情報以外の報知情報と読み替えることによって、ページング情報以外の報知情報を用いることも可能である。
【0024】
具体的には、IDSELブロック21が新設される。IDSELブロック21は、上位レイヤからのページング情報を基にトレーニングシンボル系列番号(Training symbol index)を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部を構成する。また、SYMBGENブロック1は、供給されたトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルを生成する機能部を構成する。SUBCMAPブロックは、生成されたトレーニングシンボルを規定されたサブキャリアに配置する機能部を構成する。OFDMMODブロックは、サブキャリアに配置されたトレーニングシンボルをOFDM変調する機能部を構成する。GIADDブロックは、OFDM変調されたトレーニングシンボルにガードインターバルを付加する機能部を構成する。TDMMUXブロックは、ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルと他のOFDM変調された信号とを時間多重化して送信する機能部を構成する。TDMMUXブロック9は、ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルとガードインターバルの付加されたページング情報とを時間多重化したTX信号(TX signal)として送信する。上記ガードインターバルの付加されたページング情報は、他のOFDM変調された信号である。つまり、TDMMUXブロック9は、ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルと他のOFDM変調された信号とを時間多重化して送信する機能部を構成する。つまり、IDSELブロック21がPCHGENブロック5に供給される上位レイヤからのページング情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択し、その選択したトレーニングシンボル系列番号をSYMBGENブロック1に供給し、SYMBGENブロック1がトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通のトレーニングシンボルを生成する。
【0025】
これによって、基地局のカバーエリア内の携帯端末に該当する端末呼び出しがない場合、基地局は従来の例えば「0」なる全セル共通トレーニングシンボルを送信し、基地局のカバーエリア内の携帯端末に該当する端末呼び出しがある場合は、基地局は別の系列からなる例えば「1」なるトレーニングシンボルを送信する。
【0026】
図1のb図は、携帯端末受信機におけるトレーニングシンボルを用いた同期処理部とページング情報検出部とのブロック構造を示す。図1のb図は、図10の従来例に、トレーニングシンボル系列番号を検出する機能と、その結果にもとづいてページング情報を復調する機能を追加した構成である。
【0027】
具体的には、IDDETブロック22と判定ブロック23とを新設する。IDDETブロック22が、上位レイヤからのページング情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部を構成する。判定ブロック23およびPCHDETブロック15が、トレーニングシンボル系列番号から全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルであるかを判定しかつ別の系列トレーニングシンボルである場合はページング情報の含まれる物理チャネルを取り出してページング情報を検出する機能部を構成する。つまり、IDDETブロック22がOFDM変調された信号のうち時間多重されているトレーニングシンボルの部分を用いてトレーニングシンボル系列番号を検出し、判定ブロック23がトレーニングシンボル系列番号から全セル共通トレーニングシンボルを例えば「0」であるか「1」であるかを判定し、全セル共通トレーニングシンボルが例えば「0」である場合は判定ブロック23がスリープモード(Sleep mode)を出力し、全セル共通トレーニングシンボルが例えば「1」である場合は判定ブロック23がOFDM復調された信号をPCHDETブロック15に出力し、PCHDETブロック15がページング情報の含まれる物理チャネルを取り出してページング情報を検出する。
【0028】
図2のa図は、図5に相当する下り回線共通制御チャネルのODFM信号のフレーム構成を時間軸と周波数軸との2次元表現で示す。図2のa図において、基地局のカバーエリア内の携帯端末に該当する呼がない場合は、S1およびS2なる2スロットのトレーニングシンボルが従来の全セル共通トレーニングシンボルとして送信され、呼がある場合は1およびS2なる2シンボル分のトレーニングシンボルが別の系列からなるトレーニングシンボルとして送信される。
【0029】
図2のb図およびc図は、図1のa図における携帯端末の電源のオン・オフ動作を示す。図2のa図は、携帯端末が同期を取る期間でオン動作し、その期間に受信したトレーニングシンボルの系列番号を検出して、時分割多重されるページング情報を復調すべきか否かを判定し、ページング情報を復調すべきでないことから、その後、携帯端末がオフ動作したままである。図2のc図は、携帯端末が同期を取る期間でオン動作し、その期間に受信したトレーニングシンボルの系列番号を検出して、時分割多重されるページング情報を復調すべきか否かを判定し、ページング情報を復調すべきであることから、その後、携帯端末がページング情報を受信する期間でオン動作した場合である。
【0030】
以上のように、携帯端末は、同期のために受信したトレーニングシンボルの系列番号を検出することによって、時分割多重されるページング情報を復調すべきか否かを判定することが可能になり、自分を呼び出すページング情報がない場合の無用な受信処理を削減し、電力消費を低減することができる。
【0031】
つまり、図1のb図およびc図と図11のa図およびb図とについて考察すると、図11のa図およびb図とでは自分を呼び出すページング情報がない場合でも移動機が同期を取る期間と通常受信部受信期間とでオン動作するに対し、図1のb図およびc図では自分を呼び出すページング情報がない場合に携帯端末が同期を取るためのトレーニングシンボルを受信する期間だけオン動作すればよいので、図11のa図およびb図に比べ、図1のb図およびc図の方が電力消費を低減することができる。
【0032】
要するに、自分を呼び出すページング情報がない場合、携帯端末は、トレーニングシンボルのみの受信で、スリープ状態における受信処理が完了し、トレーニングシンボルと時間多重されるページング情報を復調する必要がないので、その分の消費電力が削減可能になる。また、マイクロセル方式を採用するシステムでは、基地局のカバーエリア内の携帯端末数がマクロセルシステムに比べ少ないので、特に有効である。また、同様に、カバーエリアが限定される、例えば、フェムトセルにおいても、カバーエリア内の携帯端末数が限定されるので、有効である。
【0033】
図1において、ページング情報の代わりに、携帯端末からの個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報を通知する場合は、ページング情報の代わりに、個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報を用いればよく、トレーニングシンボルのみで個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報受信処理が完了する。この場合、図1のa図におけるIDSELブロック21が個別通信チャネルの割り当て可否情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部を構成する。また、ガードインターバルの付加された個別通信チャネルの割り当て要求の可否情報は、他のOFDM変調された信号である。また、図1のb図におけるIDDETブロック22が受信信号からトレーニングシンボル系列番号を検出する機能部を構成し、判定ブロック23およびPCHDETブロック15がトレーニングシンボル系列番号から全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルであるかを判定しかつ別の系列トレーニングシンボルである場合は割り当て可能な個別通信チャネル情報の含まれる物理チャネルを取り出して個別通信チャネル情報を検出する機能部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】a図は基地局送信機におけるトレーニングシンボルとページング情報との送信部分のブロック図、b図は携帯端末受信機におけるトレーニングシンボルを用いた同期処理部とページング情報検出部とのブロック図(最良の形態)。
【図2】a図は下り回線共通制御チャネル用のODFM物理リソースユニットの構造図、b図およびc図は携帯端末の受信回路のオン・オフ動作を示す図(最良の形態)。
【図3】基地局と携帯端末との通信を示すシーケンス図(従来例)。
【図4】基地局と携帯端末との通信を示すシーケンス図(従来例)。
【図5】下り回線共通制御チャネル用のODFM物理リソースユニットの構造図(従来例)。
【図6】OFDM伝送方式用のフレームの構成図(従来例)。
【図7】論理共通チャネルの構造図(従来例)。
【図8】プロファイルデータ間の関係を示す図。(従来例)。
【図9】基地局送信機におけるトレーニングシンボルとページング情報との送信部分のブロック図(従来例)。
【図10】携帯端末受信機におけるトレーニングシンボルを用いた同期処理部とページング情報検出部とのブロック図(従来例)。
【図11】a図およびb図は移動機の受信回路のオン・オフ動作を示す図(従来例)。
【符号の説明】
【0035】
1はSYMBGENブロック、2はSUBCMAPブロック、3はOFDMMODブロック、4はGIADDブロック、5はPCHGENブロック、6はSUBCMAPブロック、7はOFDMMODブロック、8はGIADDブロック、9はTDMMUXブロック、10は欠番、11はSYNCDETブロック、12はFREQCOMPブロック、13はOFDMDMODブロック、14はTDMDMUXブロック、15はPCHDETブロック、16乃至20は欠番、21はIDSELブロック、22はIDDETブロック、23は判定ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局は報知情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルを送信することを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
基地局は報知情報としてページング情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルを送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
基地局はページング情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルとしてカバーエリア内の携帯端末に該当する呼び出しがない場合は全セル共通トレーニングシンボルを送信し、該当する呼び出しがある場合は別の系列からなるトレーニングシンボルを送信することを特徴とする請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項4】
基地局は報知情報として個別通信チャネルの割り当て可否情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルを送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項5】
基地局は個別通信チャネルの割り当て可否情報を通知する機能を備えたトレーニングシンボルとしてカバーエリア内の携帯端末に個別通信チャネルの割り当てが不可能な場合は全セル共通トレーニングシンボルを送信し、個別通信チャネルの割り当てが可能な場合は別の系列からなるトレーニングシンボルを送信することを特徴とする請求項4に記載の無線通信方法。
【請求項6】
トレーニングシンボルとして、フレーム先頭の複数OFDMシンボルを使用することを特徴とする請求項1乃至請求項5の1つに記載の無線通信方法。
【請求項7】
上位レイヤからのページング情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部と、供給されたトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルを生成する機能部と、生成されたトレーニングシンボルを規定されたサブキャリアに配置する機能部と、サブキャリアに配置されたトレーニングシンボルをOFDM変調する機能部と、OFDM変調されたトレーニングシンボルにガードインターバルを付加する機能部と、上記ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルと他のOFDM変調された信号とを時間多重化して送信する機能部とを備えたことを特徴とする請求項3に使用される基地局送信機。
【請求項8】
個別通信チャネルの割り当て可否情報を基にトレーニングシンボル系列番号を選択するとともにその選択したトレーニングシンボル系列番号を供給する機能部と、供給されたトレーニングシンボル系列番号に基づき全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルを生成する機能部と、生成されたトレーニングシンボルを規定されたサブキャリアに配置する機能部と、サブキャリアに配置されたトレーニングシンボルをOFDM変調する機能部と、OFDM変調されたトレーニングシンボルにガードインターバルを付加する機能部と、上記ガードインターバルの付加されたトレーニングシンボルと他のOFDM変調された信号とを時間多重化して送信する機能部とを備えたことを特徴とする請求項5に使用される基地局送信機。
【請求項9】
受信信号からトレーニングシンボル系列番号を検出する機能と、トレーニングシンボル系列番号から全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルであるかを判定しかつ別の系列トレーニングシンボルである場合はページング情報の含まれる物理チャネルを取り出してページング情報を検出する機能部とを備えたことを特徴とする請求項3に使用される受信機。
【請求項10】
受信信号からトレーニングシンボル系列番号を検出する機能部と、トレーニングシンボル系列番号から全セル共通または別の系列のトレーニングシンボルであるかを判定しかつ別の系列トレーニングシンボルである場合は割り当て可能な個別通信チャネル情報の含まれる物理チャネルを取り出して個別通信チャネル情報を検出する機能部とを備えたことを特徴とする請求項5に使用される受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−147958(P2010−147958A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324955(P2008−324955)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(304058826)株式会社ウィルコム (56)
【Fターム(参考)】